肥満は腰椎椎間板ヘルニアの治療効果に影響するか?

提供元:ケアネット

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公開日:2013/01/30

 

 腰椎椎間板ヘルニアの治療効果に及ぼす肥満の影響について、米国・トーマスジェファーソン大学病院のJeffrey A. Rihn氏らによるThe Spine Patient Outcomes Research Trial(SPORT)の解析結果が発表された。肥満患者は、手術を行った場合でも保存的治療を行った場合でも、非肥満患者と比較すると臨床的な改善効果は低いことが明らかになった。一方で、手術的治療は肥満患者および非肥満患者のいずれに対しても同様に保存的治療を上回る恩恵をもたらすという。The Journal of Bone & Joint Surgery誌2013年1月2日号の掲載報告。

 肥満が腰椎椎間板ヘルニアの治療効果に影響を及ぼすかどうかを評価するため、SPORT研究の被験者についてas-treated 解析(実際行われた治療に基づいた解析)を実施した。

 BMI 30kg/m2未満を非肥満患者(854例)、BMI 30kg/m2以上を肥満患者(336例)として比較検討した。手術的治療群と保存的治療群とで、両患者別に主要評価項目および副次的評価項目の各評価時期におけるベースラインからの改善を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・主要評価項目の4年後におけるベースラインからの改善は、保存的治療群におけるSF-36 [身体の痛み]を除くすべてで、手術的治療群、保存的治療群のいずれにおいても肥満患者が非肥満患者より有意に低かった。
 <手術的治療群>(肥満患者 vs. 非肥満患者)
  SF-36 [身体機能]:37.3 vs. 47.7、p<0.001
  SF-36 [身体の痛み]:44.2 vs. 50.0、p=0.005
  Oswestry Disability Index:-33.7 vs. -40.1、p<0.001
 <保存的治療群>(肥満患者 vs. 非肥満患者)
  SF-36 [身体機能] :23.1 vs. 32.0、p<0.001
  SF-36 [身体の痛み]:30.9 vs. 33.4、p=0.39
  Oswestry Disability Index:-21.4 vs. -26.1、p<0.001
・手術的治療群では、副次的評価項目である坐骨神経痛症状スコア(Sciatica Bothersomeness Index)および腰痛症状スコア(Low Back Pain Bothersomeness Index)の4年後におけるベースラインからの改善が、非肥満患者に比べ肥満患者で有意に低かった。しかし症状緩和に対する満足度および主観的改善率については、有意差を認めなかった。
・4年後にフルタイムまたはパートタイムで仕事をしている患者の割合は、肥満患者77.5%、非肥満患者86.9%であった。
・保存的治療群では、すべての副次的評価項目について肥満患者と非肥満患者とで有意差は観察されなかった。

(ケアネット)