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スタチン薬による糖尿病発症リスクの検討/BMJ

 スタチン薬について示唆されていた糖尿病の新規発症リスクについて、格差があることが明らかにされた。カナダ・トロント総合病院のAleesa A Carter氏らが、オンタリオ住民150万人以上の医療記録をベースとした研究の結果、プラバスタチン(商品名:メバロチンほか)と比較して、より効力の高いスタチン薬、とくにアトルバスタチン(同:リピトールほか)とシンバスタチン(同:リポバスほか)でリスクが高い可能性があることを報告した。BMJ誌オンライン版2013年5月23日号掲載の報告より。解析対象47万1,250例、スタチン薬6種類の糖尿病発症リスクを調査 研究グループは、特定のスタチン使用と糖尿病発症との関連について調べるtime to event解析による住民ベースコホート研究を行った。糖尿病発症リスクに与えるスタチンの投与量および種類の影響について、ハザード比を算出して評価した。 対象は、オンタリオ住民で、1997年8月1日~2010年3月31日の間にスタチン治療を開始した糖尿病歴のない66歳以上の全患者とした。具体的には、解析には前年にスタチン処方がなかった新規処方患者が組み込まれ、治療開始前に糖尿病の診断が付いていた人は除外した。 被験者は47万1,250例で、そのうち心血管疾患の一次予防としてスタチン治療を受けていたのは48.3%、二次予防としては51.7%であった。治療開始時の年齢中央値は73歳、女性は54.1%であった。 全体の半数以上がアトルバスタチンを処方されており(26万8,254例)、次いでロスバスタチン(商品名:クレストール、7万6,774例)、シンバスタチン(7万5,829例)、プラバスタチン(3万8,470例)、フルバスタチン(同:ローコールほか)/ロバスタチン(国内未承認)(1万1,923例)であった。 解析では、プラバスタチンを参照薬とした。プラバスタチンを参照薬に、リスクを増大するものとしないものに分かれる 解析の結果、プラバスタチンと比べてアトルバスタチン(補正後ハザード比:1.22、95%信頼区間[CI]:1.15~1.29)、ロスバスタチン(同:1.18、1.10~1.26)、シンバスタチン(同:1.10、1.04~1.17)で糖尿病発症リスクの増大がみられた。フルバスタチン(同:0.95、0.81~1.11)、ロバスタチン(同:0.99、0.86~1.14)では有意なリスクの増大はみられなかった。 糖尿病発症の絶対リスクは、1,000人・年当たりアトルバスタチンでは31件、ロスバスタチンは34件であった。シンバスタチンのリスクはわずかに低く同26件であった。参照薬のプラバスタチンは同23件であった。 解析の所見は、スタチン処方が心血管疾患の一次予防か二次予防かで異ならなかった。 また、スタチン薬を効力で分類した場合も同様の結果が示された。しかし、ロスバスタチン使用者の糖尿病発症リスクについて、有意ではないが用量依存の可能性が示唆された(同:1.01、0.94~1.09)。

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性格特性の主要5因子と痛覚感受性の関連について

 痛みに対する反応には個人差があり、その要因として年齢、性別、人種などの人口統計学的特性や性格を含む心理的要因に加え、痛覚感受性における遺伝的影響が考えられるが、まだ十分に解明されていない。ノルウェー・オスロ大学のOlav Vassend氏らは、双生児を対象とした研究で、熱痛覚強度より寒冷昇圧疼痛強度のほうが表現型的にも遺伝的にも性格素因との関連が示唆されることを明らかにした。Pain誌2013年5月号(オンライン版2013年1月29日号)の掲載報告。 本研究の目的は、性格特性と実験的な痛覚感受性との関係を調べ、これらの表現型がどの程度、一般的な遺伝的要因および環境要因と関連しているかを検討することであった。  23~35歳の双生児188例を対象に、熱痛覚強度(HPI)と寒冷昇圧試験による疼痛強度(CPI)を測定するとともにNEO-PI-R人格検査を用いて性格特性を評価した。  性格特性と痛覚感受性指標との関連は相関係数および一般化推定方程式を用いて検討し、バイオメトリック分析にはコレスキーモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・CPIは、衝動性(神経症傾向の下位次元)ならびに刺激希求性(外向性の下位次元)と有意に関連していることが認められ、遺伝相関の推定値はそれぞれ0.37(p<0.05)と0.43(p<0.05)であった。 ・HPIは、性格特性との相関はあまりみられなかったが、一般化推定方程式では敵意(神経症傾向の下位次元)に対する影響が有意であることが示された。・表現型に遺伝的相関性は認められなかったが、個人特異的環境と有意な弱い相関(re= 0.21、p<0.05)が認められた。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる

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統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究センター

 統合失調症患者に対し抗精神病薬は、単剤かつ適切な用量で使用されるべきである。国立精神・神経医療研究センターの藤田 純一氏らは、抗精神病薬を必要に応じて追加すること(p.r.n)で、過量投与(CP換算値1,000mg以上)や多剤併用リスクを増加させるかを検討した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2013年5月28日号の報告。 対象は、統合失調症患者413例(9病院、17の精神科急性期病棟より抽出)。調査日の24時間にわたる、定期処方の投薬データとp.r.nの使用データを回収した。分析には興奮を呈する患者におけるp.r.nに焦点を当てた。p.r.n前後(定期処方の投薬時 vs 追加投与時)での過量投与、多剤併用の比率の差を検討した。分析には、McNemar's testを用いた。 主な結果は以下のとおり。・興奮症状発現時、312例(75.5%)において、追加投与が行われた。そのうち、281例(90.1%)では、抗精神病薬が併用されていた。・抗精神病薬を追加投与した患者では、しなかった患者と比較し、総投与量が有意に多くまた併用率もより高かった。・興奮症状発現時における、併用薬を含む抗精神病薬の合計投与量は過量投与であり、かつ多剤併用であることが示された。関連医療ニュース 急性期精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤の使用をどう考える 統合失調症、双極性障害の急性期治療に期待! 初回エピソード統合失調症患者に対する薬物治療効果の予測因子は

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アレルギーのフェノタイプがCOPDに及ぼす影響は?

 COPDと喘息は、いずれも種々の外来因子(アレルゲン、喫煙など)に肺組織が反応する病態である。オランダ仮説のように、これら2つの疾患は気道組織の傷害に対する感受性が亢進し、気道リモデリングが起こりやすいという共通病態に基づいた症候群であり、両疾患は単に表現型の違いを見ているにすぎないとする考え方もある。 このような背景の中、米国のジョンズ・ホプキンス大学Daniel B. Jamieson氏らにより、COPDとアレルギーのフェノタイプ(表現型)がどのように関係しているかについて研究が行われた。American journal of respiratory and critical care medicine誌オンライン版2013年5月13日号の掲載報告。 本研究はNHANES III(国民健康栄養調査)とCODE(COPD・国内エンドトキシン コホート)の2つを分析したものである。NHANES III からは、40歳超で喫煙歴があり、FEV1/FVCが70%未満かつ喘息と診断されていないCOPD患者1,381例が選ばれた。医師による花粉症、もしくはアレルギー性の上気道症状の診断を受けた患者について、アレルギーのフェノタイプありと定義した。CODEでは、喫煙歴を有するCOPD患者77例を抽出し、通年性のアレルゲンに対する特異的IgE反応検査によりアレルギー感作を評価した。アレルギーのフェノタイプが呼吸器症状やCOPD増悪と関係しているかの評価には、二変量解析または多変量解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・NHANES IIIの多変量解析の結果、アレルギーのフェノタイプを有する患者(296例)では、喘鳴、慢性的な咳、慢性的な喀痰が有意に多く(それぞれ、オッズ比[OR]:2.1, p<0.01、OR:1.9, p=0.01、OR:1.5, p<0.05)、医師の迅速な処置を要するCOPD増悪のリスクも有意に高かった(OR:1.7, p=0.04)・CODEの多変量解析の結果、アレルギー感作を有する患者は喘鳴、咳による夜間の目覚め、医師の迅速な訪問が有意に多く(それぞれ、OR:5.91, p<0.01、OR:4.20, p=0.03、OR:11.05, p<0.01)、抗菌薬を必要とするCOPD増悪のリスクも有意に高かった(OR:3.79, p=0.02) このように、COPD患者では、アレルギーのフェノタイプが呼吸器症状の悪化やCOPD増悪のリスクと関連していることが示唆された。

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高齢の慢性疼痛患者の多くはモバイル機器での疼痛管理に興味あり

 モバイル機器を用いた医療(Mobile health:mHealth)が急速に進展している。慢性疼痛の管理においてmHealthは、医療提供者とのコミュニケーションや治療関連副作用および疼痛のモニタリングを強化し、疼痛ケア資源へのアクセスを増加させることで高齢者を支援できる可能性がある。しかし、高齢者のmHealthに対する態度や認識、あるいは疼痛管理を改善するためのmHealthツール使用への障壁や助けとなるものについては、現在のところほとんどわかっていない。そこで、米国・ワイルコーネル大学医学部のSamantha J. Parker氏らは、フォーカスグループ法を用いた研究を行った。その結果、慢性疼痛を有する高齢者は、mHealthに興味があり使用する意欲は高いが、使用にあたっては重大な障壁もあること、医療従事者や研究者およびmHealthの開発者は、慢性疼痛を有する高齢者の年齢や機能に応じたデータ収集装置の開発に取り組む必要があることを明らかにした。BMC Geriatrics誌オンライン版2013年5月6日号の掲載報告。 対象は、慢性疼痛を有する60歳以上の高齢者で、ニューヨーク市にある一般診療所1施設および日帰り複合サービスセンター2施設から本研究への参加者を募集した。 参加者は41人で、6つのフォーカスグループに分けフォーカスグループディスカッション(FDG)を行ってもらった。FDGは記録しテキストに起こした後、内容分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・FDGにより、疼痛ならびに鎮痛薬の管理を支援するmHealthの使用に関して38のテーマが同定された。・参加者のうちmHealthの使用経験者は5%と少なかったが、85%の参加者は試してみたいという高い意欲があった。・mHealthは、より早く医療提供者と連絡をとるのに役立つ可能性があると述べた参加者が27%、自宅における転倒や他の有害事象を監視するのに役立つ可能性があると述べた参加者が15%であった。・データ収集装置を使用することに対する障壁としては、コスト(42%)と、機器の操作に精通していないこと(32%)が挙げられた。・データ収集装置の使用にあたっての援助としては、使用に先立つ研修(61%)と、高齢者の機能に応じた装置の調整(34%)が挙げられた。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか? 治療経過を解説「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる

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中高年の病因不明の慢性湿疹、Ca拮抗薬とサイアザイド系利尿薬との関連

 50歳以上の中高年に認められる病因不明の慢性湿疹について、Ca拮抗薬およびサイアザイド系利尿薬との関連を指摘する知見が、米国・ユタ大学のErika M. Summers氏らによる後ろ向き症例対照研究の結果、報告された。 皮膚科医が、中高年者の慢性湿疹(chronic eczematous eruptions in the aging:CEEA)に遭遇する頻度が高いことから、研究グループは、薬剤性湿疹の可能性について検討した。薬剤性湿疹が疑われる場合、原因となる医薬品を特定することは臨床的に複雑なチャレンジとなっている。JAMA Dermatology誌オンライン版2013年5月1日号の掲載報告。 本研究は米国において特定の医薬品、とくに今回はCa拮抗薬がCEEAと関連しているか検討することを目的とした。 ユタ大学医学部皮膚科部門の外来患者を対象とし、2005年1月1日~2011年12月31日の間に、2ヵ月以上の説明がつかない対称性の湿疹がみられた50歳以上の94例を対象症例とした。薬剤性湿疹が臨床的に疑われる場合、海綿状皮膚炎あるいは接合部皮膚炎などの組織病理学的な変化がみられる場合も適格とし、対照群として年齢、性別、人種でマッチさせた皮膚の状態が良好な132例を設定し分析を行った。また、従来法の皮膚生検で炎症が認められた症例についてサブグループ解析を行い、湿疹型薬疹(湿疹、接合部皮膚炎など)との関連についても調べた。  主要評価項目は、特定の医薬品と、説明がつかない病因不明のCEEAとの関連とした。 主な結果は以下のとおり。・症例群と対照群では、Ca拮抗薬とサイアザイド系利尿薬の使用について、有意な差異が明らかであった。・Ca拮抗薬の適合オッズ比は4.21(95%CI:1.77~9.97、p=0.001)、サイアザイド系利尿薬の適合オッズ比は2.07(同:1.08~3.96、p=0.03)であった。・サブグループ解析では、統計的に有意な関連性が一つも示されなかった。

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低用量デキサメタゾンの予防的投与はTKAの術後悪心・嘔吐および疼痛軽減に有効

 デキサメタゾン(商品名:デカドロンほか)は強力な鎮痛薬であり、かつ制吐薬である。人工膝関節置換術(TKA)後のデキサメタゾン投与の利点は不明であったが、韓国・カトリック大学校議政府聖母病院のIn Jun Koh氏らは無作為化試験にて、ラモセトロン(同:ナゼアほか)単独投与に比べ、ラモセトロン+デキサメタゾンの予防的投与のほうが、創傷合併症のリスクが増加することなく術後嘔吐および疼痛が減少することを明らかにした。Clinical Orthopaedics and Related Research誌オンライン版2013年5月4日号の掲載報告。 本研究の目的は、ラモセトロン+デキサメタゾンの予防的投与がラモセトロン単独投与と比較して、術後悪心・嘔吐(PONV)ならびに術後疼痛を減少させ、TKA後の創傷合併症のリスクを増加させるかどうかを評価することであった。 TKA施行予定患者269例を、手術1時間前にデキサメタゾン10mgを投与し手術直後にラモセトロンを投与する群(Dexa-Ra群、135例)と、ラモセトロン単独投与群(Ra群、134例)に無作為化し、術後0~6時間、6~24時間、24~48時間および48~72時間におけるPONV発生率、悪心の重症度、制吐薬の要求頻度、完全抑制率、疼痛の程度およびオピオイド使用量を調べた。  また、術後少なくとも1年以内に、創傷合併症および人工関節術後感染について評価した。 主な結果は以下のとおり。・Dexa-Ra群では、術後72時間までのPONV発生率が低かった。また、術後0~6時間における悪心の重症度が低かったが、6~72時間においてはそうではなかった。・概して制吐薬のレスキュー使用は少なく、完全抑制率はDexa-Ra群で高かった。・Dexa-Ra群は疼痛の程度が低く、術後6~24時間および全期間を通してオピオイド使用量が少なかった。・両群間で創傷合併症の頻度に差はなかった。人工関節周囲感染症は各群1例ずつにみられた。■「デキサメタゾン」関連記事術前デキサメタゾン追加で術後24時間の嘔吐が低減/BMJ

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皮膚科診療での医療ミス、最も多いのは?

 米国・マサチューセッツ総合病院のAlice J. Watson氏らは、患者の安全に立脚した分類システムの開発を目的に、皮膚科診療において医師が報告した医療ミスを集め分類を行った。150人から回答が得られ、直近のミスのうち85%が1年以内に発生していたこと、安全性のイニシアチブに必要な患者ケアにおけるキー(生検手順、薬物マネジメント、手術部位誤りの防止)が明らかになったことを報告した。著者らによれば、皮膚科診療における医療ミスの性質や領域についての研究は、本報告が初めてだという。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2013年5月号(オンライン版2013年1月27日号)の掲載報告。 研究グループは、直近および最も重大な医療ミスを検証するサーベイ票を開発し、米国の皮膚科学会に参加した皮膚科医に配布した。 150人から回答を得られ、直近ミス152件、最重大ミス130件が示された。 得られたサーベイの回答を他科専門医のための分類システムとともに、皮膚科の医療ミス分類システム開発のために活用した。 主な結果は以下のとおり。・回答者の人口統計学的背景は、専門性を反映したものであった。すなわち63%が男性で、50歳以上が60%、60%が個人開業医あるいは民間グループ診療に属していた。・直近のミスのうち、85%は1年以内の発生であった。86%は、患者に危害(harm)を与えるものとはならなかった。・最も多かった医療ミスのカテゴリーは、「評価(assessment)」(直近41%、最重大31%)と、「介入(intervention)」(直近44%、最重大52%)であった。・評価のミスは、主に検査(investigation)と関連していて、概して多かったのは生検の進め方であった。・介入のミスは、「薬物療法関連」(直近54%、最重大27%)、「処置関連」(直近46%、最重大73%)に二分した。・注目すべきは、誤った部位への手術が、直近群で5件、最重大群で21件あったことである。・本所見については、回答が得られた範囲内のもので、思い出しバイアスを受けたものであり、本分類システムに限定されたものである。重要な第一歩ではあるが完全なものではない。

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統合失調症、デポ剤と抗精神病薬併用による効果はどの程度?

 統合失調症治療の主な目標は、機能の向上である。しかし、第一世代抗精神病薬と第二世代抗精神病薬、あるいはデポ剤/持効性注射薬(D/LAI)とD/LAI+経口抗精神病薬との有効性の相違については明らかとなっていない。スペイン・Canary Health ServiceのFrancisco J. Acosta氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬の種類およびレジメンによる有効性の相違を検討した。その結果、第一世代抗精神病薬と第二世代抗精神病薬の間に相違はなく、D/LAIの抗精神病薬は経口抗精神病薬と併用せずに単独で使用するほうが統合失調症患者の機能向上に好ましいことを報告した。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年5月15日号の掲載報告。  本研究の目的は、種類の異なる抗精神病薬またはレジメンの、統合失調症患者の機能に対する有効性の相違を評価することである。対象は、前年の治療アドヒアランスが良好であり、経口抗精神病薬を併用または非併用のもとD/LAIの抗精神病薬による治療を受けている、統合失調症の外来患者85例。患者を、抗精神病薬の種類(第一世代vs. 第二世代)または経口抗精神病薬の併用の有無により群別し、社会人口統計学的特性、臨床的特性、治療関連、全体的重症度および機能について評価した。 主な結果は以下のとおり。・全体的な機能において、第一世代抗精神病薬と第二世代抗精神病薬の間で相違は認められなかった。・リスペリドンLAI単独治療の患者は、リスペリドンLAIに第二世代経口抗精神病薬を併用している患者に比べ、全体機能、日常の社会活動における状態、個人と社会との関係が良好であった。・より良好な機能には、高学歴、統合失調症のパラノイドタイプ、ニコチンの有害な使用(harmful use)、経口薬のアドヒアランス、併用薬の経口抗コリン薬または精神薬理的学治療の欠如も関連していた。・以上から、より良好な機能を得るには、D/LAI抗精神病薬は可能な限り単独で使用すべきことが示唆された。また、これにより治療スケジュールもシンプルになるはずである。関連医療ニュース 統合失調症へのアリピプラゾール持効性注射剤、経口剤との差は? 統合失調症、双極性障害の急性期治療に期待!アリピプラゾール筋注製剤 どのタイミングで使用するのが効果的?統合失調症患者への持効性注射剤投与

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そのひと手間は必要か?ICD 留置の際の心房リードについて-米国ナショナルレジストリからの報告(コメンテーター:香坂 俊 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(102)より-

米国のナショナルデータベースである、NCDRからの解析である。こうした大規模レジストリからの研究もだいぶトップジャーナルに認知されるようになってきた。これは単に登録された数が大きくなってきたという「ハッタリ効果」1)だけではなく、解析手法が洗練されてきたことと、前向き試験だけではカバーできる患者さんが限られてくるといった、臨床研究全般に関する理解の進捗によるものと考えられる。 さて、今回の解析はICDに関して従来のSingle-Chamberタイプ(心室のみにリードを留置する)のものと、Dual-Chamberタイプ(心房と心室両方にリードを留置する)のものとを比較している。 結果は、長期的な予後(1年後の死亡率)に差はなかったものの、in-hospital(院内)での手技そのものに関連した合併症の発症率が、残念ながらDualの方が高かったというものであった。ICDは目的からしてSingle-Chamberであれば事足りるのであるが、Singleよりも若干手間のかかるDualは「労多くして実り少なし」ということなのであろうか?論文に書かれているとおり、Dualの方が得られる情報量も多いし、「適切」な除細動2)に貢献できるものと予想されていた。 そのDual-Chamber ICDの合併症の内実をみてみると、その多くは1回目の留置手術を終えた後に、もう一度システム変更のために再度手術を行わなくてはならないケースが多数を占めていた。筆者は最後にペースメーカーの留置術を行なってから5年以上経ってしまっているので、そのあたりの感触を現役のElectrophisiologist3)に聞いてみたところ、「System Revisionのためのリオペは術者の腕によって非常に差がつくところなので、この論文を読み、さらに自分の施設の成績と照らし合わせてSingleかDualかは決める必要があると思う」との意見をいただいた。 また、コストや医師の勤務時間、そして手術室の稼働時間などを細かく管理する米国と、わが国とでは、この試験の受け止め方は若干異なるように思われる。 いずれにせよ、こうした大規模レジストリデータの集積からの発信はわが国からも行うべきと思うが(日本人はこうしたデータを集めることは得意と思う)、循環器領域全般における今後の課題であろう。1) 正式には統計的なパワーstatistical powerが十分であり、βエラーを起こす確率が10から20%以下となることを指すのだが、筆者はしばしば「数による暴力」とか「ハッタリ効果」とか呼んでいる。2) ICDを留置した場合、おおよそ30%の患者さんが誤作動を経験する。これはICD留置前のムンテラに必ず含めなくてはならない情報でもある。3) T先生。拙著「もしも心電図が小学校の必修科目だったら」(医学書院)にも登場。ちなみに、わが国での小学校の科目は義務教育であるため、「すべて必修だ」というツッコミを多数の方からいただいた。

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ペーシング非適応患者への一次予防として二腔ICDを選択する理由は不明である/JAMA

 ペーシングの必要性がない患者への一次予防として移植する植込み型除細動器(ICD)について、デュアルチャンバー(二腔)デバイスとシングルチャンバー(単腔)デバイスとを比較した結果、二腔ICDのほうがデバイス関連合併症が高率であり、移植後1年死亡率および入院アウトカムは両デバイスで同程度であったことが示された。米国・デンバー保健医療センターのPamela N. Peterson氏らによる後ろ向きコホート研究からの報告で、「ペーシング非適応患者に対して二腔ICDを優先的に用いる理由は明らかにならなかった」とまとめている。一次予防としてのICDの有効性を検討した無作為化試験は主に単腔ICDが用いられてきた。しかし臨床の場では、ペーシングの必要性が明白でない場合でも、しばしば二腔ICDが移植されている。これまで、二腔ICDと単腔ICDのアウトカムは明らかになっていなかった。JAMA誌2013年5月15日号より。単腔ICDvs.二腔ICDの転帰を比較 研究グループは、突然死の一次予防に用いられる単腔ICDと二腔ICDのアウトカムを比較することを目的に、2006~2009年のNational Cardiovascular Data Registry's(NCDR)ICDに登録され、メディケア診療報酬の請求データにリンク可能であった入院データについて後ろ向きコホート研究を行った。対象には、一次予防でICDを受けたが、ペーシング非適応であった患者3万2,034例が含まれた。 主要評価項目は、患者・医師・病院データに基づく傾向スコアマッチングから推定された移植後1年の死亡率、全原因再入院、心不全再入院、90日以内のデバイス関連合併症の補正リスクとした。1年後死亡率、全原因再入院、心不全再入院は同程度 結果、3万2,034例の患者のうち1万2,246例(38%)が単腔ICDを、1万9,788例(62%)が二腔ICDの移植を受けていた。 傾向スコアをマッチさせたコホートにおいて、単腔ICDのほうが合併症割合は有意に低かった[3.51%対4.72%、p<0.001、リスク差:-1.20(95%信頼区間[CI]:-1.72~-0.69)]。 一方で、1年後死亡率(未調整死亡率:9.85%対9.77%、ハザード比[HR]:0.99、95%CI:0.91~1.07、p=0.79)、1年後の全原因再入院(未調整入院率:43.86%対44.83%、HR:1.00、95%CI:0.97~1.04、p=0.82)、心不全による再入院(未調整入院率:14.73%対15.38%、HR:1.05、95%CI:0.99~1.12、p=0.19)については、いずれもデバイス間の有意差はみられなかった。

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n-3脂肪酸、複数の心血管疾患リスクを有する患者において有益な効果なし/NEJM

 複数の心血管疾患リスクを有するプライマリ・ケア患者について、魚由来のn-3系多価不飽和脂肪酸の連日服用は、心血管死および罹患の低下に結びつかないことが、Maria Carla Roncaglioni氏ら860人の医師が参加したイタリア全国開業医ネットワークのリスク・予防研究共同研究グループによる二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果、報告された。先行研究においてn-3脂肪酸は、アテローム性動脈硬化 、炎症に対する有益な効果により、心血管疾患リスクを低減する可能性が示唆され、心筋梗塞や心不全既往患者において有益であると明文化されていた。NEJM誌2013年5月9日号掲載の報告より。1万2,513例をn-3脂肪酸連日1g投与群とプラセボ群に無作為化 研究グループは、n-3脂肪酸について示されている有益な効果が、心筋梗塞非既往だが複数の心血管リスク因子あるいはアテローム性動脈硬化性疾患を有する患者においても認められるのか、評価することを目的とした。 2004年2月~2007年3月の間に、試験に参加した860人の医師の下で登録された合計1万2,513例(平均年齢64.0歳、男性61.5%)を、n-3脂肪酸投与群(連日1g、6,244例)かプラセボ投与群(オリーブオイル、6,269例)に無作為化し追跡した。 主要エンドポイントは、当初、死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の累積発生率と規定された。しかし、1年時点でイベント発生率が予想よりも低いことが判明したため、心血管系による死亡までの期間、あるいは心血管系による入院までの期間に修正された。心血管系による死亡・入院までの期間について、補正後ハザード比0.97、p=0.58 被験者の特性では、糖尿病+心血管リスク因子が≧1が最も多く、5,986例(47.9%)の患者でみられた。アテローム動脈硬化性疾患歴ありは3,691例(29.5%)で、2,602例(20.8%)は糖尿病以外に4つ以上の心血管リスク因子を有していた。 結果、フォローアップ中央値5年時点において、主要エンドポイントの発生は、1万2,505例の解析群において1,478例(11.8%)であった。n-3脂肪酸群(6,239例)における発生は733例(11.7%)、プラセボ群(6,266例)における発生は745例(11.9%)であり、補正後ハザード比は0.97(95%信頼区間:0.88~1.08、p=0.58)で、n-3脂肪酸服用による有益な効果は認められなかった。 同様の非有益効果を示す結果は、すべての副次エンドポイントにおいても認められた。

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神経障害性疼痛は過少治療もしくは未治療である可能性が高い

 神経障害性疼痛の有病率は、痛みの特徴から神経障害性疼痛の可能性を判断するスクリーニングツールを用いた研究によって推定されているが、激しいあるいは長期にわたる神経障害性疼痛を経験している患者の割合や標準治療に抵抗性の難治性疼痛患者の割合は知られていない。英国・ダンディー大学のNicola Torrance氏らは、地域の家庭医に登録している患者を対象にアンケート調査を行い、慢性疼痛を有する患者は非常に多く、難治性の神経障害性疼痛はまれであるものの、神経障害性疼痛は過少治療もしくは未治療である可能性が高いことを明らかにした。Pain誌2013年5月号(オンライン版2013年1月23日)の掲載報告。 本研究は、難治性疼痛患者における神経障害性疼痛の割合を推定し、臨床および人口統計学的特徴との関連を定量化することが目的であった。 英国5地域の一般診療所計10施設から、無作為に選択した成人患者1万例を対象に自己記入式質問票を送付した。質問内容は、慢性疼痛の同定や重症度に関する質問、痛みの原因、SF-12、EQ-5D、S-LANSS(Self-administered Leeds Assessment of Neuropathic Signs and Symptoms)、PSEQ(Pain Self-Efficacy Questionnaire)、薬物治療および医療の利用についてなどであった。 さらに、国際的な専門家のデルファイ調査によって確認されている特徴にしたがって“難治性”神経障害性疼痛の存在と特徴を調べ、これらのデータを組み合わせた。また、難治性の基準を組み入れ、神経障害性の特徴の有無による慢性疼痛のカテゴリ分類を行った。 主な結果は以下のとおり。・4,451例から回答があった(回答率47%)。・「神経障害性疼痛の特徴を有する慢性疼痛(S-LANSS陽性)」に該当した患者は399例(回答者の8.9%)で、そのうち215人(S-LANSS陽性者の53.9%)は「S-LANSS陽性+関連した既往歴あり(神経障害性疼痛の可能性が高い)」であった。・98例(慢性疼痛があると回答した患者の4.5%)は、1剤以上の神経障害性疼痛治療薬を服薬していた(神経障害性疼痛の治療を受けていると考えられる)。 ・難治性患者の大部分は、身体的健康および精神的健康が著しく不良で、痛みに対する自己効力感が低く、痛みの程度が強く、痛みに関連した障害が強く、さらに医療の利用が多かった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」神経障害性疼痛の実態をさぐる

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ICDのVT検出インターバル、長期vs.標準設定/JAMA

 植込み型除細動器(ICD)について、心室不整脈(VT)検出インターバルを30~40に設定すると、標準設定の18~24と比べ、ATPやショック発生リスク、不適切なショック発生リスクのいずれもが、有意に減少することが明らかになった。一方で、死亡率については両者で有意差はなかった。イタリア・Humanitas Clinical and Research CenterのMaurizio Gasparini氏らによる無作為化単盲検試験「ADVANCE III」の結果で、著者は、「標準設定よりも長期インターバルの設定とする戦略は、適正な選択肢となりうる可能性がある」と結論している。JAMA誌2013年5月8日号掲載の報告より。ATPとショックの発生回数を主要エンドポイントに Gasparini氏らは2008~2010年にかけて、虚血性・非虚血性病因により、一次・二次予防を目的にICDを初めて装着した1,902例について、無作為化単盲検試験を開始した。一方の群(長期インターバル群:948例)は、突発性fast VTが発生した際、ICDのVT検出インターバルを30~40とし、もう一方の群(標準インターバル群:954例)は、同インターバルを18~24に設定した。 被験者の平均年齢は65歳(標準偏差:11)、一次予防のためにICDを装着した人は全体の75%だった。 主要エンドポイントは、抗頻拍ペーシング(ATP)とショックの発生回数とし、不適切なショック数、死亡率、失神発生率を副次エンドポイントとした。ATP/ショック発生リスクは長期インターバル群でおよそ4割減 追跡期間の中央値は12ヵ月だった。標準インターバル群では、ATPまたはショックの回数は557回(67回/100人・年、95%信頼区間:62~73)だったのに対し、長期インターバル群は346回(42回/100人・年、同:38~47)であり、発生率比は0.63(同:0.51~0.78、p<0.001)だった。 ATP回数は、標準インターバル群37回/100人・年に対し、長期インターバル群では23回/100人・年であり、罹患率比は0.58(同:0.47~0.72、p<0.001)だった。 また、ショック数は、標準インターバル群30回/100人・年、長期インターバル群19回/100人・年であり、発生率比は0.77(同:0.59~1.01、p=0.06)だった。 不適切なショックの初回発生リスクについては、長期インターバル群の標準インターバル群に対する発生率比は0.55(p=0.008)とおよそ半減した。 一方、死亡率と失神発生率については、いずれも両群で有意差はみられなかった。

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高齢の遅発統合失調症患者に対する漢方薬の効果は?

 統合失調症の発症年齢には個人差があるが、遅発性および超遅発性の統合失調症に関する研究は不十分であり、治療のさまざまな問題点は未解決のままである。島根大学の宮岡 剛氏らは、認知機能障害のない超遅発性統合失調症様精神障害の高齢患者に対する抑肝散(TJ-54)単独療法の有効性と安全性を評価した。Phytomedicine : international journal of phytotherapy and phytopharmacology誌2013年5月15日号の報告。 本試験は、最近の超遅発性統合失調症様精神病のコンセンサス基準およびDSM-IV-TR診断基準の両方を満たす患者(平均年齢73.1±4.8歳)40例を対象としたオープンラベル試験。簡易精神症状評価尺度、臨床全般印象重症度(CGI-SI)、PANSSについて、ベースライン時と抑肝散(2.5~7.5g/日)投与4週間後のスコアの変化量を評価した。加えて、異常不随意運動は、Scale Simpson-Angus 錐体外路系副作用評価尺度、Barnesアカシジア尺度、異常不随意運動評価尺度(AIMS)にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・すべての患者において、精神症状の有意に高い改善が認められた(p<0.001)。・抑肝散の忍容性は良好であり、臨床的に有意な有害事象は認められなかった。・すべての異常な不随意運動に関するスコアは、抑肝散の投与前後で有意な差は認められなかった。・超遅発性統合失調症様精神病患者に対する抑肝散による治療は、有用かつ安全であることが示された。関連医療ニュース 統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?:藤田保健衛生大学 統合失調症治療にベンゾ併用は有用なのか? 統合失調症患者の社会的認知機能改善に期待「オキシトシン」

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人工股関節全置換術後の脚長差を防ぐ新しい方法

 人工股関節全置換術において、脚長差などの合併症は機能障害と患者の不満の重大な原因となる。術中の下肢長測定にはいくつかの方法があるが、多くは侵襲的であり、そうでないものはあまり正確ではない。米国・ミシガン大学のJoseph D. Maratt氏らは、非侵襲的で術中に迅速かつ正確に下肢長を測定し術後の脚長差を防ぐことができる、新しいツールを開発した。「この方法は関節形成術を行う整形外科医にとって、正確な脚長補正を確実にするための付加的ツールとなる」とまとめている。Orthopedics誌2013年4月1日号の掲載報告。 本論文は、新しい術中の脚長測定法を紹介したものである。 この方法は、術中および術前計画において大転子近位部に近い大腿骨軸に垂直な線を正確に再現することに基づいており、使用器具の軽微な改良を必要としている。 主な方法は以下のとおり。・ヘッドにガイドプレート設置用の細い溝を機械加工した。その溝は、ハイオフセットであるネックアングル127°のセキュアフィットプラスステム(Stryker Orthopaedics社)を用いる場合はネックの軸から37°となるように、標準オフセットであるネックアングル132°のセキュアフィットステム(Stryker Orthopaedics社)を用いる場合はネックの軸から42°となるようにした。・ブローチをしっかりと固定したら、ネック、溝加工したヘッド、およびガイドプレートを取り付け、ガイドプレートと大転子近位端までの距離を術前計画測定値と比較しステム位置を決定する。・この方法を使用した初回人工股関節置換術施行例の連続31例について、後ろ向きにX線像を分析したところ、術後の脚長差は平均2.18±6.08mmであった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」神経障害性疼痛の実態をさぐる

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高齢糖尿病患者の転倒予防に!TVゲームでエクササイズ

 テレビゲームを用いたバーチャルリアリティ・エクササイズ(VRE)プログラムは、2型糖尿病の高齢者における転倒リスクの減少に、実行可能かつ効果的であることが、韓国・三育保健大学 Sunwoo Lee氏らの研究で明らかになった。VREプログラムは、転倒リスクの高い高齢糖尿病患者をゲームに没頭させることで、エクササイズの効果を最大限に引き出し、バランス、いすから立ち上がる時間、歩行スピード、歩調、転倒回数を有意に改善させるという。Diabetes Technology & Therapeutics誌オンライン版2013年4月5日号の報告。 高齢者の糖尿病は、転倒リスクの上昇と関連があると報告されている。 本研究では、VREプログラムが糖尿病の高齢者のバランス、筋力、歩行の改善に効果があるかどうかを調査した。 65歳以上の糖尿病患者55例をVRE群(27例)と対照群(28例)に無作為に割り付け、VRE群はVREプログラムと糖尿病教育、対照群は糖尿病教育のみを受けた。VREプログラムは、テレビゲームを使用し(PlayStation®2、ソニー、東京、日本)、50分間ずつ、週2回、10週間行った。バランス、筋力、歩行、転倒に対する影響は、試験開始時と試験後に測定した。測定には、片足立ちテスト、Berg Balance Scaleによるバランス能力評価、FRT(Functional Reach test)、TUG(Timed Up-and-Go)、10 回いす立ち上がりテストなどの臨床検査、および歩行分析を用いた。転倒に対する影響を調査するために、自記式アンケートを使用した。 その結果、VRE群は対照群と比較し、バランス、いすから立ち上がる時間、歩行スピード、歩調、転倒回数が有意に改善した。

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初回エピソード統合失調症患者に対する薬物治療効果の予測因子は

 抗精神病薬による治療歴のない統合失調症患者において、薬物治療開始後6ヵ月間は臨床反応が一律ではないことが、フランス・INSERM 669(パリ第11大学とパリ第5大学)のC. Nordon氏らにより、明らかにされた。結果を踏まえて著者は、「初回エピソード患者における治療戦略は、回復の機会を逸することのないよう、症状の重症度と治療早期の臨床反応に注意すべきである」と結論している。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2013年4月18日号の掲載報告。 本検討は、抗精神病薬未投与の統合失調症患者の投与開始6ヵ月間の臨床反応の不均一性を調べること、およびアウトカムの予測因子を評価することを目的とした。フランス国内における467例の被験者を対象とし、6ヵ月間にわたって追跡した。臨床反応の軌跡は、臨床上の医師の印象による重症度(CGI-S)スコアを用いて、ベースライン、1、3、6ヵ月時点で測定し、潜在クラス成長分析(LCGA)を行い検討した。また、回帰モデルを用いて軌道の予測因子を特定した。 主な結果は以下のとおり。・被験者467例は、臨床反応によって5群に分類された。内訳は、迅速反応群(45例)、段階的反応群(204例)、症状軽度残存群(133例)、症状重度残存群(23例)、非持続的反応群(62例)であった。・6ヵ月間の臨床反応の予測因子は、ベースラインでのCGI-Sスコア(オッズ比[OR]:3.1、95%CI:2.1~4.4)と、陰性症状(同:1.5、1.2~1.9)であった。・段階的反応との比較における迅速反応の予測因子は、仕事を持っている(OR:2.5、95%CI:1.2~4.9)のみであった。関連医療ニュース ・抗精神病薬投与前に予後予測は可能か? ・統合失調症患者の再発を予測することは可能か? ・第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析

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遺伝性骨疾患とWNT1遺伝子変異の関連が明らかに/NEJM

 遺伝病である若年性骨粗鬆症と骨形成不全症はWNT1遺伝子変異と関連し、WNT1は骨形成のシグナル伝達経路の主要分子であり、骨量調節における重要なリガンドであることが、フィンランド・ヘルシンキ大学のChristine M. Laine氏らの検討で示された。近年、骨の形成や維持におけるWNTシグナル伝達経路の役割が広く研究されているが、主要な伝達物質である低密度リポ蛋白受容体関連蛋白(LRP)5/6を介する経路のWNTリガンドはみつかっていなかった。NEJM誌オンライン版5月9日号掲載の報告。若年性骨粗鬆症、骨形成不全症の2家系を調査 研究グループは、優性遺伝病である若年性骨粗鬆症の1家系および劣性遺伝病である骨形成不全症の1家系を調査し、ヒトの骨疾患とWNT1遺伝子変異の関連について検討した。 重度の若年性骨粗鬆症の家系では、X線検査で10人が低骨密度(BMD)および脊椎、末梢骨の骨折をともなう骨粗鬆症と診断された。カルシウムホメオスタシスや骨代謝回転の血清および尿中マーカーは正常だった。  腸骨間の骨生検標本の組織形態計測的解析で成人2例に骨代謝回転や骨形成の低下をともなう重度の骨粗鬆症が確認され、14歳の男子は骨量は正常なもののこの年齢にしては骨形成や骨再形成が低下していた。 もうひとつのLao Hmong族の家族は、姉妹である2例が重度の劣性遺伝骨形成不全症と推定された。姉は生後1ヵ月時に最初の骨折を起こし、ともにX線画像上で多発性骨折および経時的な続発症(脊椎圧迫骨折、後側弯症、重度の低身長、長骨の変形など)を発症していた。  姉(26歳)は骨疾患のため車いす生活だが日常生活にほとんど問題はなく、知能も正常であった。妹(23歳)には重度の知能障害がみられた。他の同胞や母親に異常はなく、父親には腰椎のBMD低値や椎体終板(L5)を含む軽度の圧迫変形がみられた。骨疾患のバイオマーカー、治療標的となる可能性も WNT1遺伝子変異の解析では、若年性骨粗鬆症の家系でヘテロ接合性ミスセンス変異(c.652T→G[p.Cys218Gly])が、骨形成不全症の家系でホモ接合性ナンセンス変異(c.884C→A, p.Ser295★)がみつかった。いずれの遺伝子変異も、WNT1のシグナル伝達を阻害し、骨形成の障害を引き起こす。  in vitro実験では、異常型WNT1蛋白により、古典的なWNTシグナル伝達(canonical WNT signaling)、その標的遺伝子および石灰化の誘導能が障害されることが示された。古典的WNTシグナル伝達は正常な骨の発育や恒常性の維持に不可欠とされる。 マウスを用いた実験では、骨髄(とくにB細胞系と造血前駆細胞)におけるWnt1遺伝子の発現が示され、細胞系譜解析(lineage tracing)により骨細胞サブセットでの強力な蛋白発現と、皮質骨での弱い蛋白発現が確認された。  これは、若年性骨粗鬆症や骨形成不全症では、骨髄の造血幹細胞発育環境における造血系細胞と骨芽系細胞間のクロストークに変化が生じていることを示唆する。正常な造血にはこのクロストークが必須であり、WNTシグナル伝達が重要な役割を担っている。 著者は、「これらの知見は、骨形成における造血細胞の役割を支持し、WNT1がこのシグナル伝達経路の主要分子であることを示す。また、WNT1はヒトの骨量調節における重要なリガンドであり、それゆえ骨疾患のバイオマーカーとなり、骨粗鬆症、骨形成不全の治療標的となる可能性がある」と考察している。

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高齢者の施設ケアに科学の光を当てる(コメンテーター:岡村 毅 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(99)より-

本論文は、オランダにおいて403名の高齢認知症入所者(16ユニット)と、390名の高齢身体入所者(17ユニット)を対象に、スタッフが疾病について学習したうえで対象者のうつ症状の評価を行い、スタッフ・心理士・医師等が、きちんと事前に考えられたマネジメントをすることの有効性を報告するものである。 結果であるが、うつ症状に関しては身体入所者では有意な効果がみられたが、認知症入所者では有意ではなかった。しかし、生活の質の評価では、両者とも介入が有効であった。 このほか、高齢者のうつ症状評価尺度のうちGDS(Geriatric Depression Scale)が使い物にならず、他者評価のCSDD(Cornell Scale for Depression in Dementia)が使用に耐えたことも書かれており、これは私たちがうすうす感じていることでもあり、興味深い。なお、CSDDの非認知症対象者における使用に関しても、専門家による操作診断を外的基準として十分な弁別能を有することがさくっと書かれており、本当にぬかりのない論文である。 それにしても、Depressionとは人生後半の課題である。一般には思春期の悩みや新入社員の五月病のイメージであろうし、その極限である自殺も、若者において深刻とみなされているように思われる。確かに若者の自殺も悲劇であるが、自殺はWHOに統計を報告する全ての国で中高年が最も多いのである。家族介護者(その多くが中高年であろう)の多くがうつ状態であるとか、認知症介護者の死亡率が高いといった報告もある。今回示されたように介護対象入所者においても、高齢認知症入所者の52%、高齢身体入所者の41%がCSDDで引っ掛かってしまっている・・・暗澹たる結果である。 それにもかかわらず、本論文は爽やかな輝きを持つ。その光源を2つ挙げたい。 1)ケアの領域で多数の施設を巻き込んでトライアルを遂行しきった点。著者らは「観念的な状況における介入の有用性を調べるトライアルではなく、現実の状況におけるプラグマティックなトライアルであり、一般臨床での応用ができるものだ」(意訳)と書いている。この研究は遂行においても結果においても実社会の役に立つべく綿密にデザインされている。 2)次に、科学的なケアの必要性のエビデンスを示している点。優れた職業ケアラーは、知識を学んだうえで対象を評価し、他職種で協働して、事前に考えられたマネジメントを行うことができる、すなわち科学的であるはずである。 根性とか優しい心はあって当たり前であり、こうした能力を備えたケアラーにケアしてもらいたいものだ。

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