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テレビの視聴時間が長いと肺がんのリスクが高まる?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第42回

テレビの視聴時間が長いと肺がんのリスクが高まる? >足成より使用 テレビを見るとこんなに弊害があるのかというほど文献は数多くありますが、賢明な読者の皆様はあまりテレビを怖がらないようにしてくださいね。別にテレビが健康に悪いというわけではなく、本稿の趣旨に合った論文を探しているとテレビがたまたま引っかかっただけです。 さて、紹介するのはテレビの視聴時間と肺がんの関連を調べた日本の論文です。 Ukawa S, et al. Prospective cohort study on television viewing time and incidence of lung cancer: findings from the Japan Collaborative Cohort Study. Cancer Causes Control. 2013;24:1547-1553. この論文はテレビの視聴時間が長い成人が肺がんになりやすいかどうかを検証したものです。日本の40歳から79歳の成人において行われた大規模コホート研究です。がんの既往のない5万4,258人(男性2万3,090人、女性3万1,168人)が登録され、中央値で15.6年フォローアップされました。Cox比例ハザードモデルを用いてテレビ視聴時間が肺がん発症に及ぼす影響を調べました。テレビの視聴時間は、アンケートによって「1日2時間未満」、「1日2~4時間」、「1日4時間以上」の3つに分類されました。フォローアップ後、798人の参加者が肺がんと診断されました。驚くべきことに、男性において1日4時間以上のテレビを視聴する参加者は、1日2時間未満の参加者と比較して肺がんを発症するハザード比が1.36(95%信頼区間1.04~1.80)という結果が得られました。テレビ視聴時間の長さは肺がんのリスクだけでなく、大腸がんのリスク(Howard RA, et al. Cancer Causes Control. 2008;19:939-953.)、卵巣がんのリスク(Zhang M, et al. Cancer Causes Control. 2004;15:83-89.)を上昇させる可能性が示唆されています。これは坐位が長時間に及ぶことが原因ではないかと考えられています。ちなみに日本人のテレビ視聴時間は1日平均3~4時間と考えられており、アメリカ人と比較すると1時間程度少ないそうです。インデックスページへ戻る

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ニボルマブとイピリムマブの併用、悪性黒色腫に優れた有効性

 米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国・ニューヨーク/CEO:ランベルト・アンドレオッティ)は2015年4月20日、未治療の進行期悪性黒色腫患者を対象としたニボルマブ(商品名:オプジーボ)・イピリムマブ併用療法とイピリムマブ単剤療法を比較する第II相試験(CheckMate-069試験)の結果を発表した。 CheckMate-069試験は、未治療で切除不能のステージIIIまたはIVの悪性黒色腫患者に対してニボルマブ・イピリムマブ併用療法(以下、併用群)を評価した第II相二重盲検無作為化試験で、BRAF野生型とBRAF変異陽性の双方の悪性黒色腫患者を対象としている。142例の登録患者は、併用群95例とイピリムマブ単剤投与群(以下、単剤群)47例に無作為に割り付けられた。 主要評価項目はBRAF野生型患者の奏効率(ORR)。副次的評価項目はBRAF野生型患者における無増悪生存期間(PFS)、BRAF変異陽性患者におけるORRとPFS、EORTC-QLQ-C30/QoL composite scaleのベースラインからの変化であった。 その結果、主要評価項目であるBRAF野生型のORRは、併用群61%(72例中44例)に対し、単剤群11%(37例中4例)であった(p<0.001)。BRAF野生型患者のPFS中央値は未達。BRAF変異陽性患者のPFS中央値は併用群8.5ヵ月、単独群2.7ヵ月であった。 治療関連有害事象の発現率は併用群(91%)、単独群(93%)であった。重度(グレード3または4)有害事象は併用群で54%、単独群で24%であった。併用群で最も多く報告された重度有害事象は大腸炎17%、下痢11%、アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇11%であった。 ニボルマブは米国において、2014年12月にイピリムマブで治療されたBRAF V600変異陽性の切除不能・転移性悪性黒色腫における、BRAF阻害薬でPDとなった後の治療薬として迅速承認された。さらに2015年3月、プラチナ製剤による化学療法の治療中または治療後に進行・再発が認められた進行期肺扁平上皮がん患者の治療の適応が追加承認されている。ブリストル・マイヤーズ株式会社のプレスリリースはこちら。

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症候性の頭蓋内動脈狭窄患者に対する血管内治療の有効性示されず(解説:中川原 譲二 氏)-355

 脳梗塞の再発率の高い症候性の頭蓋内動脈狭窄患者に対して、自己拡張型ステントを用いた血管内治療の有効性を検証する目的で行われたSAMMPRIS(Stenting vs. Aggressive Medical Management for Preventing Recurrent Stroke in Intracranial Stenosis)試験では、積極的な内科治療単独群のほうが、Wingspan 自己拡張型ステントを用いた経皮的バルーン拡張治療群よりも優れていることが判明し、血管内治療の限界が示された。一方、SAMMPRIS試験の開始後ただちに始まったVISSIT(the Vitesse Intracranial Stent Study for Ischemic Stroke Therapy)試験では、試験デザインや使用するステントが異なっていたが、SAMMPRIS試験の否定的な結果を受けて、出資企業が研究を早期に中止し、短期間の転帰分析が行われた。その最終報告が、JAMA誌2015年3月24・31日号に報告され、あらためて血管内治療の限界が確認された。Balloon-expandable stent治療と内科治療との無作為化臨床比較試験 VISSIT試験は、症候性の頭蓋内動脈狭窄(≧70%)患者に対してBalloon- expandable stent+内科治療と内科治療単独とを比較する無作為化臨床試験であり、その有効性と安全性が評価された。この試験は、国際的な多施設共同研究で、1:1の無作為化、parallel group 試験として行われ、2009年1月から2012年6月までの間(最終追跡は2013年5月)に27施設から患者が登録された。 112例が登録され、Balloon-expandable stent治療+内科治療群(ステント群59例)と内科治療単独群(内科群53例)に無作為化された。主要転帰、機能的障害は12ヵ月間で評価、主要安全性は30日間で評価 主要転帰の評価項目は、無作為化から12ヵ月以内の同一血管支配域における脳卒中、あるいは無作為化後2日から12ヵ月までの同一血管支配域におけるhard TIAの複合とされた。hard TIAとは、局所脳虚血あるいは網膜虚血を原因とする神経学的機能障害が少なくとも10分間以上続き、24時間以内に回復する一過性事象と定義された。主要安全性の評価項目は、無作為化から30日以内のすべての脳卒中・死亡・頭蓋内出血と、無作為化後2日から30日までのすべてのhard TIAの複合とされた。機能的障害は、12ヵ月までのmodified Rankin Scale(mRS)とEuroQol-5Dで測定された。主要安全性、主要転帰、機能的障害ともにステント群で不良 試験のサンプルサイズは250例で計画されたが、実際には112例の患者が登録された。30日における主要安全性エンドポイントは、ステント群(14/58;24.1%[95%CI:13.9%~37.2%])が、内科群(5/53;9.4%[95%CI:3.1%~20.7%])よりも多かった(p=0.05)。30日以内の頭蓋内出血は、ステント群(5/58;8.6%[95%CI:2.9%~19.0%])が、内科群(0/53;0%[95%CI:0%~5.5%])よりも多かった(p=0.06)。1年後における脳卒中とhard TIAからなる主要転帰は、ステント群(21/58;36.2%[95%CI:124.0%~49.9%])が、内科群(8/53;15.1%[95%CI:6.7%~27.6%])よりも多かった(p=0.02)。機能的障害(mRS)の悪化は、ステント群(14/58;24.1%[95%CI:13.9%~37.2%])が、内科群(6/53;11.3%[95%CI:4.3%~23.0%])よりも多かった(p=0.09)。12ヵ月追跡時点でのEuroQol-5Dは、5dimensionsのいずれにおいても両群間に差はなかった。頭蓋内動脈狭窄に対する血管内治療には新たなイノベーションが必要 VISSIT試験では、症候性の頭蓋内動脈狭窄患者に対するBalloon-expandable stentの使用は、12ヵ月間の同一血管支配域における脳卒中やTIAの再発リスクの上昇と、30日間のすべての脳卒中とTIAのリスクの上昇をもたらすことが示された。この結果は、SAMMPRIS試験の結果と合わせて、現時点における症候性の頭蓋内動脈狭窄患者に対するBalloon-expandable stentの使用を支持しない。症候性の頭蓋内動脈狭窄は、欧米人よりもアジア人における脳梗塞において、最も普通にみられる原因病変の1つであり、高い再発率が問題となる血管病変である。血管内治療に対する過度の期待は戒めなければならないが、頭蓋内動脈狭窄に対する血管内治療には新たなイノベーションが必要である。

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うまい第1文型【Dr. 中島の 新・徒然草】(065)

六十五の段 うまい第1文型たまには英語の話をしましょう。英語の基本5文型というのは、誰でも中学校の時に習ったと思います。どんな複雑な英文でも5つの基本文型のどれかに当てはまります。このうち第1文型はS+Vで最も単純です。主語+動詞ですからシンプルそのもの。ここで登場するのは完全自動詞と言われ、補語も目的語も不要です。動詞そのものに完結した意味が含まれているわけです。そう考えてみると、この第1文型こそ我々、日本人にとって馴染みやすい英文ではないかと私は思います。というのは、日本語はハイコンテクスト言語であり、日本人同士はお互いに数多くの前提を共有した上で、無意識のうちに最小限の言葉でコミュニケーションをしているのです。英語でも第1文型、特に主語+動詞の2語文だと、ハイコンテクストな雰囲気があるので、日本人にも使いやすそうです。例を挙げましょう。 It works. →「あれこれ言う奴もおるけどな、これでうまくいくんだよ」 Design counts. →「外見より中身が大切と言われたりするけど、結局はデザインが良いものが売れるんだ」 スティーブ・ジョブズのもとで働いていた日系アメリカ人のガイ・カワサキのお言葉です。 Money talks. →「地獄の沙汰も金次第」 アメリカ人がよく引用する諺(ことわざ)です。 Who cares? →「そんなこと、誰も気にせえへんぞ」 短い文章にちょっとした物語を含んでいる表現です。このようなうまい第1文型はほかにもたくさんあるはずなので、各自それぞれにコレクションして使いこなすといいですね。最後に1句英語でも 最小限で 伝えるぞ

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手術中の疼痛緩和で患者満足度は向上するのか

 周術期の治療と患者満足度には、どのような関連があるのだろうか。米国・シダーズ・サイナイメディカルセンターのDermot P. Maherらの研究によれば、術中の鎮痛は、疼痛管理に関する患者満足度および病院全体に対する患者満足度のいずれとも関連していなかった。関連が示唆されたのは、人口統計学的要因、入院前の薬物療法および麻酔回復室での疼痛スコアであったという。Pain Medicine誌2015年4月号の掲載報告。 本研究は、都市部の教育機関かつ3次医療のレベル1外傷センター1施設で行われた。米国患者満足度調査(HCAHPS)による評価に関する基準を満たしている外科入院患者連続2,758例を対象に、4つのHCAHPS質問項目に対する回答と周術期要因19項目との関連を後ろ向きに解析した。 主な結果は以下のとおり。・「病院全体の評価はどれくらいですか」の回答が「9」または「10(最高)」は、入院期間(短い)、手術時間(長い)、術中オピオイド使用量(少ない)、術前ミダゾラム投与量(多い)、術後麻酔回復室(PACU)在室時間(短い)、PACUでの最終疼痛スコア(低い)と関連していた。・「この病院をあなたの家族に勧めますか」の回答が「必ず勧める」は、PACUでの最終疼痛スコア(低い)と関連していた。・「どのくらいの頻度で病院スタッフはあなたの疼痛をケアしましたか」の回答が「はい、いつも」は、入院期間(短い)、長期ベンゾジアゼピン使用者(割合が低い)、長期非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)使用者(割合が高い)、PACU在室時間(短い)と関連していた。・「あなたの痛みはどのくらいの頻度でよくコントロールされましたか」の回答が「はい、いつも」は、長期オピオイド使用者(割合が低い)、長期ベンゾジアゼピン使用者(割合が低い)、長期NSAIDs使用者(割合が高い)、手術時間(長い)、PACUでの最終疼痛スコア(低い)、PACUでの初回疼痛スコア(低い)と関連していた。・HCAHPSの回答との関連は、手術の種類(診療科別)によって異なっていた。

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ヒトとペット類の花粉症、類似点と相違点

 オーストリア・ウィーン大学のErika Jensen-Jarolim氏らは、ヒト、イヌ、ネコおよびウマのアレルギーに関する論文についてレビューし、これらにおけるトランスレーショナル研究が動物のアレルギーの治療に役立つと同時に、ヒトに関連する知識の収集にも役立つことを報告した。著者は、「自然発症アレルギーを有するイヌ、ネコおよびウマはトランスレーショナル研究の魅力的なモデル患者であることが示唆された」とまとめている。Clinical and Translational Allergy誌オンライン版2015年4月7日号の掲載報告。 研究グループは、ヒト、イヌ、ネコ、ウマの花粉症について、相違点と類似点を検討した。 主な概要は以下のとおり。・ヒトおよびヒトの大切なペットや家畜はともに、IgEおよび類似IgE受容体のレパートリーと発現パターンを保有している。・また同じ細胞型がアレルギーの誘発または調節(たとえば肥満細胞、好酸球または制御性T細胞)に関係している。・イヌ、ネコおよびウマは、花粉アレルゲンへの即時型症状を自発的かつ異なる程度で発症する可能性がある。・これらにおける花粉による皮膚、鼻および気管支症状、ならびに慢性皮膚病変は、ヒトとおおむね類似している。・さまざまな種の花粉は、ヒトにおいては多くの場合アレルギー性鼻炎を引き起こすが、イヌにおいては主に湿疹様病変(イヌのアトピー性皮膚炎)を、ウマにおいては再発性気道閉塞、蕁麻疹、そう痒性皮膚炎を、ネコにおいては気管支喘息と皮膚症状(好酸球性肉芽腫症候群、頭頸部そう痒症、対称性の自己誘発性脱毛症)を誘発する。・ヒトにおいて、アレルギー特異的IgE検出、皮膚テストまたは他のアレルゲン誘発試験はすべて行われる。・対照的に動物において、IgE検出と皮膚テストの重要性は同等と考えられており、それぞれが他方にとって代わることがある。しかしながら、実用的および経済的な理由で、皮内テストが最も一般的に行われている。・ヒトと同様、イヌ、ネコおよびウマにおいても、アレルゲン免疫療法は臨床症状を有意に改善する。

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成人発症精神疾患の背景に自閉スペクトラム症が関連

 国立精神・神経医療研究センターの松尾 淳子氏らは、成人発症精神障害患者における自閉症的特性/症状の存在について検討を行った。その結果、成人発症精神障害患者(大うつ病性障害[MDD]寛解例を除く)の約半数で高レベルの自閉症様特性/症状を有する割合が認められること、双極性障害および統合失調症患者では重症度と関係なく自閉症様特性/症状を認める割合が高かったこと、MDD患者ではうつ症状の重症度と自閉症様特性/症状の発生に関連を認めることなどを報告した。結果を踏まえて著者は、「最適な治療のためには、成人発症精神障害の背景にある自閉症様特性/症状を評価することの重要性が示された。前向きデザインの大規模集団によるさらなる研究が必要である」と述べている。PLoS One誌オンライン版2015年4月2日号の掲載報告。 自閉スペクトラム症は、しばしば他の精神疾患との同時発症がみられる。正常知能の小児精神疾患集団において自閉症様特性/症状が高頻度に発現することが確認されているが、成人精神疾患集団における報告はない。本研究では、成人発症のMDD、双極性障害、統合失調症等の精神障害患者において自閉症的特性/症状が高頻度に認められるか否か、そしてこうした関連が症状の重症度と独立してみられるのか否かを検討した。 対象は、25~59歳の正常知能の成人290例である(MDD125例、双極性障害56例、統合失調症44例、健常対照65例)。自閉症様特性/症状は成人用対人応答性尺度(Social Responsiveness Scale:SRS)を用いて評価した。症状の重症度は陽性・陰性症状評価尺度(Positive and Negative Symptoms Scale)、ハミルトンうつ病評価尺度(Hamilton Depression Rating Scale)やヤング躁病評価尺度(Young Mania Rating Scale)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・MDD寛解患者を除いた被験者の約半数は、自閉スペクトラム症の診断閾または診断閾下レベルの自閉症様特性/症状を示した。・さらに、精神疾患患者において自閉症様特性が高レベルを示した者の割合は健常対照と比べ有意に多く、双極性障害あるいは統合失調症の寛解または非寛解であるかによる差異はなかった。・一方、MDD寛解患者において、自閉症様特性が高レベルを示した者の発生率または程度において、健常対照と差はなかった。・双極性障害および統合失調症成人患者ではかなりの割合で、重症度と関係なく自閉症様特性/症状が認められたが、これは自閉スペクトラム症とこれら精神疾患との間に共通の病態生理が存在することを示唆するものである。・これに対し、MDD患者における自閉症様特性は、うつ症状の重症度と関連がみられた。関連医療ニュース 成人ADHDをどう見極める 自閉症スペクトラム障害への薬物治療、国による違いが明らかに 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学

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アスピリンとNSAIDsの使用による大腸がんリスクと遺伝子型の関連(解説:上村 直実 氏)-354

 アスピリンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の常用により、大腸がんリスクが低下することが知られているが、どのようなヒトに有効かは不明であった。今回、ゲノムワイド(GWAS)を用いた遺伝子型と環境要因の相互作用を考慮したCase-Control研究により、アスピリンやNSAIDs使用が大腸がんの発症を減少させる一因として、染色体12番と15番の2つの一塩基多型(SNP)の遺伝子型と関連が深く、個別化医療への推進が期待される研究結果が報告された。すなわち、染色体12番と15番のSNPで、薬剤の常用と大腸がんリスクとの関連が異なることが示され、遺伝子型によってはリスクが高まるヒトもいる可能性が示唆された。 本研究のデザインは、1976~2003年までの米国、カナダ、オーストラリア、ドイツの10研究のデータを基に、大腸がん患者8,634例とマッチしたコントロール群8,553例を対象としたCase Control研究である。研究の結果、薬剤常用者はコントロール群と比較して31%の大腸がんリスク低下を認めた(オッズ比[OR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.64~0.74)。遺伝子変異との関連を検討したところ、染色体12と15のSNPがリスクの低下に影響していることが示唆されたが、染色体15の中の一部はリスクを増大させる可能性が示唆された。アスピリンとNSAIDsの常用は概して大腸がんのリスクを下げるが、少数ながらリスクを増加するヒトも存在するという研究結果である。 1976年から開始された大規模データベース(DB)を用いたCase-Controlであるが、大規模研究につきものの大腸がん診断法や薬剤常用の定義があいまいな部分も見受けられる。さらに、過去の欧米におけるGWAS研究の結果が、日本人での追試では異なる結果を示したことも注意すべきである。しかし、このような大規模研究は今後の疫学的な方向性を示してくれるものが多く、わが国でも国を挙げての対策が必要と思われる。

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心房細動の患者さんへの説明

心房細動監修:公益財団法人 心臓血管研究所 所長 山下 武志氏Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房細動とは?・洞結節由来の心房波が消え、複数あるいは単一の興奮波が心房の中を旋回しています。・肺静脈の開口部にある心筋細胞から生じる心房期外収縮が引き金になります。・心房細動が起こると、1分間に350回以上心房が興奮します。通常の心臓はこのように興奮が伝わりますが…①洞結節心房細動では、心房が速い速度で細かく収縮するため、外から見るとけいれんしているような状態になります。①洞結節②房室結節②房室結節③ヒス束③ヒス束④脚④右脚⑤プルキンエ線維プルキンエ線維Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房細動とは?◆通常の心臓は興奮が伝わり規則正しく収縮しますが…トントントントン◆心房細動では、心房が速い速度で細かく収縮しますが、収縮の一部は心室に伝わらないので、心室の収縮は不規則です。そのため、脈拍は1分間に50回前後のこともあれば、100回を超えるような方もいます。トントントントントン人によって脈の速さが大きく違うため、まったく無症状の方から、ひどい動悸、息切れ、脈が速くなる・でたらめになる、などの症状を訴える方までさまざまです。持続時間もまちまちで、発作的に数分から数時間起きる方(発作性心房細動)もいれば、慢性的に起きる方(慢性心房細動:1週間上持続するもの=持続性心房細動、1年以上持続しているもの=永続性心房細動)もいます。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房の収縮心室の収縮(脈)心房細動とは?・人口の1%と、比較的ありふれた不整脈ですが、加齢により増加し、80歳以上では5%の方がかかっています。・心房細動自体が直接命に関わることはありませんが、脳梗塞や心不全を引き起こす原因となるため、脳梗塞へのなりやすさなどを考え治療を決めます。血栓が血管を閉塞脳梗塞心房細動や心房粗動では、心房がけいれんするように小刻みに震えて、規則正しい心房の収縮ができなくなります。このため心房内 の血液の流れがよどみ、心房の壁の一部に血の固まり(血栓)ができ、これがはがれて心臓から動脈に沿って、脳 の中の大きな血管を突然閉塞するのが心原性脳塞栓症です。心房細動がある人は心房細動のない人と比べると、脳梗塞を発症する確率は約5倍といわれています。この塞栓症を予防することが心房細動や心房粗動治療の最も重要な目的です。血液がよどむ→血栓ができる→血栓が全身に飛ぶ(運ばれる)→脳梗塞、心筋梗塞などの塞栓症Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房細動の治療は・脳梗塞を起こす危険がある場合は、血栓が起きないように抗血栓薬を飲みます。・心房細動を止める必要がある場合は、薬(抗不整脈薬など)を服用するか、カテーテルアブレーションを行います。高周波通電カテーテルアブレーション高周波発生装置電極カテーテルアブレーション血管を通して心臓まで細い管(カテーテル)を入れ、不整脈の原因となっている場所を探して、その部位を低温やけどさせ、不整脈の原因を取り除くという治療です。心房細動では左心房にある肺静脈の血管内やその周囲から発生する異常な電気信号をきっかけに起こるため、肺静脈を囲むようにしてアブレーションの治療を行い、肺静脈からの異常電気信号が、心臓全体に伝わらないようにします。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.生活上の注意◆高血圧、糖尿病、心臓の病気などがあると脳梗塞を起こしやすくなるので、しっかり管理してください。◆睡眠不足、ストレス、アルコールは心房細動を起こしやすくしますので注意してください。◆生活改善を行っても症状が気になる場合は、薬物療法を行い、症状を少なくします。◆脳梗塞の危険性が高い場合は、脳梗塞予防薬を毎日忘れないように服用します。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.抗血栓薬による脳梗塞予防◆血栓の形成を抑制する薬剤を用いた治療です。◆ワルファリンは血液の凝固に必要なビタミンKを減らすことによって血栓ができるのを抑えます。◆薬の必要量には個人差があり、また他の薬剤や食事の内容に影響されるため、適正な量を決めるために受診のたびに血液検査を行う必要があります。◆ビタミンKを多く含む納豆や青汁、クロレラといった食品を食べると薬が効かなくなります。最近では、そのような食事制限の必要のない新しい抗凝固薬も使用できるようになっています。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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身長とCADリスクとの関連が大規模研究で判明/NEJM

 遺伝的に低身長であることと冠動脈疾患(CAD)リスク増大との関連が、英国・レスター大学のChristopher P Nelson氏らによる大規模な調査の結果、明らかにされた。これまで、身長とCADリスクに負の相関があることは知られていたが、メカニズムについては不明であった。なお、関連の一部は低身長と脂質プロファイル異常との関連で説明されることも示され、著者は、成人身長と動脈硬化の進展プロセスを調べることで、関連の一部を説明できるのではないかと述べている。NEJM誌オンライン版2015年4月8日号掲載の報告より。身長6.5cm変化とCADリスクとの関連などを調査 身長とCADの関連を調べる研究は遺伝的アプローチにて、180の身長に関連する遺伝子型を用いて行われた。 まず、CAD症例6万5,066例と対照12万8,383例で、遺伝的身長1SD(6.5cm)変化ごとのCADリスクとの関連を調べた。また1万8,249人の遺伝子データを用いて、CADリスクと複数の身長関連変異型との関連についても調べた。 考えられるメカニズムを特定するために、遺伝的に確定されている身長と既知の心血管リスク因子との関連を調べ、身長関連遺伝子の経路分析(pathway analysis)を行った。6.5cm低下で13.5%リスク増大 結果、1-SD減少につきCADリスクが13.5%(95%信頼区間[CI]:5.4~22.1、p<0.001)増大することが明らかになった。 また、高身長遺伝子変異が多いほど、CADリスクは減少する段階的関連性があることも判明した(四分位範囲第4位群vs. 第1位群のオッズ比[OR]:0.74、95%CI:0.68~0.84、p<0.001)。 検討した12の心血管リスク因子のうち、LDLコレステロール値とトリグリセリド値のみで有意な関連(関連のうち約30%を占める)が観察された。 また、発育と動脈硬化の両者と関連する遺伝子を含む複数のオーバーラップする経路の特定に至った。

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BRCA遺伝子、変異型・部位の違いで乳がん・卵巣がんリスク異なる/JAMA

 BRCA遺伝子の変異型とヌクレオチド配列部位によって、乳がんや卵巣がんリスクが異なることが明らかにされた。米国・ペンシルベニア大学のTimothy R. Rebbeck氏らが、33ヵ国のBRCA1/2変異を持つ女性について行った観察研究の結果、報告した。これまで同遺伝子キャリアに関するがんリスクについては、限定的であり、研究グループは大規模な検討を行い、特有のがんリスクの特定を試みた。今回の結果を踏まえて著者は、「確証が得られれば、BRCA1/2変異のキャリアに対してリスク評価とがん予防への意思決定に寄与する知見となるだろう」とまとめている。JAMA誌2015年4月7日号掲載の報告より。BRCA1変異の約2万人とBRCA2変異の約1万2,000人を追跡 33ヵ国55ヵ所の医療機関を通じて1937~2011年(中央値1999年)間の、BRCA1変異(1万9,581例)またはBRCA2変異(1万1,900例)を持つ女性を特定し、観察研究を行った。 BRCA1/2の変異型、機能、ヌクレオチド配列部位と、乳がん・卵巣がんリスクを分析した。 また、乳がんと卵巣がんの相対ハザード比(RHR)も算定した。RHRが1より大きい場合には、乳がんリスクの増大が、1より小さい場合には、卵巣がんリスクの増大が示唆されるとした。BRCA1/2ともに乳がんで3つの多発領域を特定 その結果、BRCA1変異キャリアの女性のうち、乳がんの診断を受けたのは9,052例(46%)、卵巣がんは2,317例(12%)、乳がんと卵巣がんは1,041人(5%)、がんとの診断を受けなかったのは7,171例(37%)だった。 BRCA2変異キャリアでは、それぞれ6,180例(52%)、682例(6%)、272例(2%)、4,766例(40%)だった。 BRCA1変異については、乳がんについて3ヵ所の多発領域が見つかり、RHRは1.34~1.46だった。卵巣がんの多発領域についても1ヵ所が見つかり、RHRは0.62だった。 BRCA2変異についても、乳がんについて3ヵ所の多発領域が見つかり、RHRは1.63~2.31だった。また、卵巣がんでも複数の多発領域が見つかり、RHRは0.51~0.57だった。 なお、乳がんの診断については両遺伝子キャリアとも、年齢が若いことと関連していた。

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うつ病治療の助けとなるか、うつ病認知再評価ツール

 うつ病について、セルフガイドのWebベース介入は有望な結果を示すが、脱落率が高く、使用者との結び付きが低い。オンライン・ピア・サポート・ネットワークは、結び付きは強いが、さまざまな結果を示し、根拠に基づくコンテンツが不足している。米国・マサチューセッツ工科大学のRobert R Morris氏らは、Webベースのピア・ツー・ピアのうつ病認知再評価プラットホームを開発し、有効性の評価を行った。結果、同プラットホォームは、うつ病患者のうち、とくに自身で再評価テクニックを十分に活用できない人に有用であることが示されたという。検討の結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、長期的な有効性を調べ、また多様な集団が使用できるよう普遍化できないかを検討する必要がある」とまとめている。Journal of Medical Internet Researchオンライン版2015年3月号の掲載報告。 研究グループは、新たなWebベースのピア・ツー・ピア認知再評価プラットホームを開発し、評価を行った。プラットホームは根拠に基づくテクニックを促進するようデザインされおり、(1)プラットホームの反復使用により再評価が増え、うつ病が減る、(2)クラウドを通じた社会的相互関与が関わりを強化する、との仮説について検討した。 18~35歳の参加者をオンラインで集めて、治療群(「Panoply」、84例)またはアクティブ対照群[オンラインで筆記開示(express writing)を行う、82例]に無作為に割り付けた。いずれも、自動Webベースのプラットホームであった。参加者は、1週間に最低25分間、3週にわたってそれら割り当てられたプラットホームを使用するよう依頼された。いずれも、ストレスを感じていること、および状況について説明を送信することが必要だった。Panoply群の参加者は、送信後に(中央値9分後)、クラウドを介した再評価サポートを受けた。また、同群の参加者は、他の使用者によって提出されたストレスを感じている状況について、再評価の実践を行うこともできた。ベースラインと、3週時点でオンライン・アンケートを行い、抑うつ症状、再評価、固執思考について評価した。関わりの評価は、自己報告、セッション・データ、アクティブレベルにより行われた。 主な結果は以下のとおり。・Panoplyプラットホームの使用前と比べて使用後は、抑うつ(p=0.001)、再評価(p<0.001)、固執思考(p<0.001)が有意に改善した。・対照群も、抑うつ(p=0.02)、固執思考(p<0.001)は有意に改善したが、再評価は改善しなかった(p=0.45)。・介入後の、抑うつや固執思考の測定において、両群に有意な差はみられなかった。しかし、再評価スコアが、Panoply使用者は対照群と比較して有意に上昇した(p=0.02)。・また、治療の相互作用による群間の有意差も認められた。・うつ症状の高い人は、抑うつ(p=0.02)、固執思考(p=0.008)について、Panoply使用で、より大きなベネフィットを得たことが示された。・ベースラインで再評価の障害があった人は、抑うつ(p=0.002)、固執思考(p=0.002)について、Panoply使用で、より大きなベネフィットを得たことが示された。・対照の筆記開示ではみられなかったが、再評価の変化にはPanoplyの効果が介在し、これは抑うつ(ab=-1.04[SE 0.58]、95%信頼区間[CI]:-2.67~-0.12)、固執思考(同-1.02[0.61]、-2.88~-0.20)の両アウトカムにも影響を及ぼした。・試験からの脱落率は両群で同程度であった。一方で、Panoply群のほうが有意に使用頻度が高く(p<0.001)、使用者数も有意に多かった(p<0.001)。関連医療ニュース これからのうつ病治療はWebベース介入で変わるのか うつ病患者の疲労感を評価する新ツール スマホ版うつ病スクリーニングアプリの精度は  担当者へのご意見箱はこちら

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血栓吸引療法に何を求めるのか(解説:上田 恭敬 氏)-351

 本論文は、以前に行われた多施設、前向き、オープンラベル、無作為化比較対照試験のThrombus Aspiration in ST-Elevation Myocardial Infarction in Scandinavia (TASTE)trialの後に行われた、新たな多施設、前向き、オープンラベル、無作為化比較対照試験であるThe Trial of Routine Aspiration Thrombectomy with PCI versus PCI Alone in Patients with STEMI(TOTAL)trialの結果を報告したものである。 対象症例は発症12時間以内のST上昇型急性心筋梗塞であり、マニュアルによる血栓吸引療法の有効性を主要エンドポイントとして、180日以内の心血管死、心筋梗塞再発、心原性ショック、あるいはNYHA IV心不全の出現・増悪で評価し、安全性エンドポイントを30日以内の脳卒中で評価している。有効性の2次エンドポイントとして、ステント血栓症や標的血管血行再建を加えて評価しているが、いずれの有効性評価項目においても有意な差を認めなかった。しかし、脳卒中の発生が血栓吸引群で有意に多く、その差は6ヵ月後にさらに広がっていた。手技に関連したものとは考えられない長期にわたる脳卒中発生頻度の差が生じた理由については不明としている。有意差がついた項目として、70%未満の不完全ST-resolutionの頻度とDistal embolizationの頻度は、血栓吸引群で有意に低値となっていたが、これについて著者らは、臨床的な利益につながっていないとして、重要視することに否定的な意見を述べている。まず、血栓吸引療法にどのような効果を期待するかという点で、この試験には大きな問題があると考える。以前にも同様のコメントを記載したことがあるが「もともと血栓吸引療法をしない場合に、血栓の末梢塞栓やslow flow/ no flowが生じてSTの再上昇や梗塞サイズの増大を生じたと思われる症例はまれであり、さらにそれらを生じた症例中にはプラーク内容物の末梢塞栓が原因で、血栓吸引療法では予防できない症例も含まれていることを考慮すると、血栓吸引療法が単独で心機能保護に役立つ症例は非常にまれと思われ、死亡率低下にまで役立つ症例はさらにまれと思われる。ただし、末梢の血管構築がみえるようになることで、その後のPCI手技が容易になるために合併症が減るといった効果も、とくに未熟な術者に対しては期待される。さらに、特定のサブ集団では血栓吸引療法に有用性が示される可能性も残されていると考える。」。 ただし、特定の高リスク集団を対象としても、6ヵ月以内の死亡率を変えるような効果は期待できないだろう。実際、血栓の末梢塞栓やslow flow/ no flowが生じて、心エコー上明らかに心機能が低下する症例は認められるが、その影響としては、その後長期の間に心不全を生じる頻度が多くなることが想定される。もし、重度の労働に従事することが不可避な人であれば、心不全入院を繰り返して最終的には生命予後が短くなることが想定される。しかし、労作を制限して十分な薬物療法を受ければ一生日常生活には困らないかもしれない。  その程度の差を意味がないといえば、血栓吸引療法は不要といえるかもしれないが、左室駆出率で10~30%程度の差でも「よい方がいい」と考えれば、その効果を示すことは可能なように思われる。 残念ながら本試験では、心機能の指標に対する影響は示されていない。さらに、本試験では血栓吸引療法に起因するとは考えられない長期にわたる脳卒中発生頻度に有意な群間差を認めたことから、症例選択に何らかのバイアスが存在した可能性が大きく、その点においても結果をそのまま受け入れることはできない。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第19回

第19回:アルツハイマー病の治療監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 認知症は世界的に増加しており、2010年の時点で3,560万人の患者数と推定され4秒に1人発症しています1)。 全国平均とほぼ同じ年齢・職業分布の母集団を対象にした久山町研究での病理学的評価では認知症の内訳は増加傾向2)で、医療機関を受診しアルツハイマー病と診断される方も増加傾向3)です。アルツハイマー病は進行性疾患で個人のADLを著しく損ないます。また介護負担/経済的負担などから、その影響は罹患個人に留まらず急速に高齢化が進むわが国にとっては重要な社会的問題でもあります。認知症治療薬として1999年ドネペジルが日本/米国のFDA(食品医薬品局)で認可され、2011年に日本でメマンチンが認可され日本で認知症の治療に大きな影響を与えました。 しかし上記薬物治療はアルツハイマー病の進行を抑制できず症状改善もわずかです。10年の慢性経過に患者/家族/医療者が付き合っていくことが必要な疾患だと考えられます。薬剤治療以外の自然経過に関する教育、終末期ケア計画の相談などが大変重要です。また薬剤使用開始検討時は家族/介護者を交えて、そのわずかな効果や副作用の情報提供を行い、患者希望を聞いたうえで決断をすることが望ましいです。臨床的に改善がなければ薬剤中止を検討することも必要だと考えられます。 以下、American Family Physician 2011年6月15日号4)よりアルツハイマー病は最も多いタイプの認知症で、アメリカでは85歳以上の人の半数程度が罹患している。進行性の記憶障害と認知機能低下がその特徴である。病態生理は複雑で複数の要因が関与している。病理学的特徴として、アミロイド斑の蓄積、軸索の不溶性異常タウ蛋白出現、コリン作動性ニューロンのシナプスでのアセチルコリンの減少が認められる。アルツハイマー病に証明された予防法はない。ささやかな将来性があると考えられる予防法として高血圧治療、ω-3脂肪酸補充、運動、思考/分析を必要とする作業への参加が挙げられる。アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が治療薬の第1選択である。軽症から中等症の患者さんに対してわずかな認知機能改善が証明され、多くのガイドラインで軽症から中等度の患者さんで処方が推奨されている。Cochrane reviewでは、軽~重症の患者に対してプラセボと比較して、ドネペジル/ガランタミン/リバスチグミンを6ヵ月~1年間使用し、軽度の認知機能/臨床尺度の改善(ADAS-cog:認知機能評価方法で-2.7点)が認められたが、臨床的に著明な認知機能の改善が認められたと判断するにはADAS-cogで7点の差が必要であり、その効果は疑問の余地がある。より長期使用における効果はさらなる研究が待たれる。各製品では効果に大きな差は認められていない。副作用は、多いものとして嘔気/嘔吐/下痢で、めまい/混乱/不整脈は比較的よくみられる。NMDA受容体拮抗薬は耐用性良好で、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とあわせてよく処方されている。多くのガイドラインでも中等症から重症の患者さんで単独使用/アセチルコリンエステラーゼ阻害薬との併用が推奨されている。Cochrane reviewで中等度~重症患者に対して、6ヵ月以上のメマンチン20mg/日使用でわずかな認知機能改善(SIB:認知機能評価で3点)/わずかなADL改善(ADCS-ADLで1.3点)が認められた。また、軽度~中等度患者で認知機能はADAS-cogで1点改善で統計的に有意であった。臨床的に著明な認知機能の改善が認められたと判断するには、SIBで10点の差、ADCS-ADLでは5点の差が必要であり、こちらも効果は疑問が残る。メタアナリシスでは軽度患者に対しては無効であり、中等度患者には効果に一貫性がないと結論付けられた。軽度~中等度患者ですでにドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンを使用中の人にメマンチン20mg/日で24週間追加投与した群とプラセボを投与した群では、統計学的に有意な改善を認めなかった。高齢の認知症患者さんで非定型抗精神病薬の使用は行動上の症状を改善するが、死亡率増加と関連性がある。セレギリン、テストステロン、イチョウの治療効果に関しては相反するエビデンスが混在する結果となっている。ビタミンE、エストロゲン、NSAIDSは治療の利益に関するエビデンスはない。ケア方針で大事なことは、認知症に関する複数のガイドラインで共通して強調されているように、臨床経過の患者教育と家族への教育、早期の地域支援団体への紹介(地域包括支援センターなど)である。また、自動車運転や終末期ケアなどの法的問題を取り扱うことも大事である。薬物治療開始の相談時は、患者と介護者を含めた話し合いとすべきで、薬物使用によるわずかな利益、副作用、費用を相談すべきである。Mini Mental State Examinationなどで認知機能をモニタリングし最大限の薬物治療を行っても顕著な改善が認められないときは、医師は患者さん/家族との薬物治療継続中止の相談を検討すべきである。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Marc wartmann. Alzheimer’s Research & Therapy. 2012;4:40. 2) 本田 祐之, 岩城 徹. 病理学から見た認知症の原因疾患と疫学-久山町研究から-. 最新医学. 2013;68:754-760. 3) 厚生労働省. 精神疾患のデータ. 知ることから始めようみんなのメンタルヘルス総合サイト.(参照 2015.4.15) 4) Winslow BT, et.al. Am Fam Physician. 2011;83:1403-1412.

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【GET!ザ・トレンド】ステントで脳血栓を回収 脳血管内治療はここまで来た

脳血管内治療がさらに進歩している。今回は、同治療の第一人者である神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科部長 坂井 信幸氏に、その最新情報を聞いた。坂井氏によれば、脳動脈瘤や頸動脈などを含め脳血管内治療は、いまや年間2万件以上実施されているという。また、脳血管内治療専門医として認定された医師はおよそ950人だが、毎年100人程度増加しており、多くの医師が取り組み始めていることがわかる。脳血管内治療の進化脳の血管は細く屈曲蛇行し、なおかつデリケートで破れやすい。当然、挿入機器は細く柔らかく長いものになる。柔らかいものは押し込みにくいため、技術導入初期ではカテーテルの誘導そのものに苦労していたそうだ。その後の機器の開発は著しく、マイクロカテーテルは細く、滑りやすく、安全に脳血管に届くよう改良され、同時にガイドワイヤーなどの機器も大きく進化した。さらに、心臓などで用いられるステントも脳内に適用できるようになった。注目される局所線溶(再開通)療法この脳内ステントの登場により、さらに注目を浴びているのが局所線溶(再開通)療法だ。急性虚血性脳血管障害では、従来tPAで詰まった血栓を溶かすしか手段がなく、tPAの適応外症例や無効例には対応できなかった。tPAで対応できないこうした血栓を、血管内から挿入したワイヤー型やステント型のデバイスで回収し、再開通させるのが局所線溶(再開通)療法である。本邦では、中心循環系塞栓除去用カテーテル(Merciリトリーバー)が2010年に、ステント型血栓除去用カテーテル(Solitaire FR)が昨年(2014年)保険適用となっている。坂井氏の経験では、どちらも非常に速く血栓を確保し再開通できるという。この血管内カテーテル追加治療の有用性を確認すべく、いくつかの比較試験が最近行われている。まず昨年(2014年)12月にMR CLEAN1)試験が発表された。次いで本年(2015年)2月、ESCAPE2)、EXTEND-IA3)というSolitaire FRを用いた2つの無作為化比較試験の結果が発表された。ESCAPE試験においては、Solitaire FR追加群の機能的自立率はtPA単独群に比べ統計学的にも有意に改善(53%vs. 29%)。脳卒中による死亡率もtPA単独群に比べ2分の1近くとなり(10%vs. 19%)、統計学的にも有意に低減していた。(血管内治療の追加で脳梗塞の予後改善)。EXTEND-IA試験においては、tPA単独群に比べ機能的自立回復率が有意に改善(71% vs 40%)した。この両試験の結果は3月の日本脳卒中学会(STROKE2015)でも非常に大きな話題となったという。すべての適応患者に行われるべき局所線溶(再開通)療法これらの試験から局所線溶(再開通)療法の有用性が明らかとなった。可能な限り多くの適応患者にこの治療を受けてもらうため、日本脳卒中学会、日本脳神経外科学会、日本脳神経血管内治療学会は3学会の合同で所定の適正使用指針を定め、脳血管内治療専門医および、それに準じる経験を有する医師に対しても広く情報提供している。とはいえ、tPA自体もすべての適応患者に用いられているわけではなく、おのずと次段階で用いられる局所線溶(再開通)療法を受けられる患者はさらに少なくなってしまうのが現状である。急性期の脳梗塞患者を診療する医師は、まずtPA適応患者を見極めて、必要であれば速やかに専門施設に送っていただきたいと坂井氏は述べる。機器の開発により、脳血管内治療の適応は今後ますます拡大していくと予想される。これらの疾患に関わるすべての医療者は、脳血管内治療の最新情報を収集し診療に実践していく必要があるだろう。脳血管障害の医療を担う若手医師へのメッセージ1)Berkhemer OA, et al. N Engl J Med. 2015;372:11-20.2)Goyal M, et al. N Engl J Med. 2015;372:1019-1030.3) Campbell BC, et al. N Engl J Med. 2015;372:1009-1018.

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切除不能大腸がん、CAPOX-B後の維持療法でPFS延長/Lancet

 切除不能大腸がんの1次治療において、カペシタビン+オキサリプラチン+ベバシズマブ(CAPOX-B)による導入療法に加えカペシタビン+ベバシズマブによる維持療法を行うと予後が改善することが、オランダ・アムステルダム大学のLieke H J Simkens氏らオランダ大腸がん研究グループ(DCCG)が実施したCAIRO3試験で示された。切除不能大腸がんに対する化学療法薬の間欠投与は持続投与に比べて生存期間が劣らず、OPTIMOX1試験ではフルオロウラシル+ロイコボリンの継続投与下にオキサリプラチンを休薬し、病勢進行(PD)後に再投与しても生存期間は持続投与と同等であることが報告されている。一方、分子標的薬であるベバシズマブは、PD後も継続的に投与することで予後の改善をもたらすことが示唆されている。Lancet誌オンライン版2015年4月7日掲載の報告より。維持療法の意義を無作為化試験で評価 CAIRO3試験は、切除不能大腸がんに対する導入療法後のカペシタビン+ベバシズマブによる維持療法の意義を評価する非盲検無作為化第III相試験(DCCGの助成による)。対象は、年齢18歳以上、全身状態(WHO PS)が0/1の未治療の切除不能大腸がんで、CAPOX-B(1サイクル3週)を6サイクル施行後にRECIST判定基準で病勢安定(SD)以上と判定された患者であった。 被験者は、カペシタビン+ベバシズマブによる維持療法(1サイクル3週)または経過観察を行う群に1対1の割合で無作為に割り付けられ、9週ごとにCTによる病変の評価が行われた。病勢進行(PD)となった患者には、両群ともに2回目のPDとなるまでCAPOX-Bが再導入された。無作為割り付け時から初回PDまでの期間を初回無増悪生存期間(PFS1)、2回目のPDまでの期間をPFS2と定義した。主要評価項目はPFS2とし、副次評価項目はPFS1などであった。 2007年5月30日~2012年10月15日までにオランダの64施設に558例が登録され、維持療法群に279例が、経過観察群にも279例が割り付けられた。それぞれ279例、278例がITT解析の対象となった。フォローアップ期間中央値は48ヵ月であった。オキサリプラチン再導入率は47%、耐用性も良好、QOLは保持 PFS1は、維持療法群が8.5ヵ月であり、経過観察群の4.1ヵ月に比べ有意に延長した(層別化ハザード比[HR]:0.43、95%信頼区間[CI]:0.36~0.52、p<0.0001)。PFS1後に維持療法群の47%(132例)、経過観察群の60%(168例)がCAPOX-Bの再投与を受け、全身療法を受けなかったのはそれぞれ16%(45例)、11%(31例)であった。 PFS2も、維持療法群が11.7ヵ月と、経過観察群の8.5ヵ月に比し有意に延長した(層別化HR:0.67、95%CI:0.56~0.81、p<0.0001)。CAPOX-B中止の主な理由はPDまたは死亡(維持療法群:79%、経過観察群:67%)で、PFS1後の施行数中央値は両群とも6サイクルであった。また、再CAPOX-B療法の奏効率は維持療法群が0%、経過観察群は17%で、最良の効果がSDの患者の割合はそれぞれ69%、62%だった。 CAPOX-B以外の治療を受けた患者を含む全体の2回目のPDまでの期間は、維持療法群が13.5ヵ月、経過観察群は11.1ヵ月(層別化HR:0.68、95%CI:0.57~0.82、p<0.0001)と有意差がみられたが、全生存期間(OS)中央値はそれぞれ21.6ヵ月、18.1ヵ月(層別化HR:0.89、95%CI:0.73~1.07、p=0.22)であり、有意な差はなかった。 事前に規定されたサブグループ解析では、ほとんどのサブグループでPFS2、PFS1、全体の2回目のPDまでの期間が維持療法群で良好であった。割り付け前の導入CAPOX-B 6サイクルの奏効例(CR/PR)およびSD例のいずれにおいても、PFS2、OSは維持療法群で有意に優れた(それぞれ、p<0.0001、p=0.0002)。 維持療法は良好な耐用性を示したが、Grade 3/4の有害事象の発症率は維持療法群が60%であり、経過観察群の34%に比べ有意に高かった(p<0.0001)。維持療法群で頻度の高いGrade 3/4の有害事象として、手足症候群(23 vs. 0%、p<0.0001)、感覚性神経障害(10 vs. 5%、p=0.0501)、高血圧(24 vs. 18%、p=0.0582)が認められた。 QOLは維持療法中に増悪しなかったが、経過観察群でわずかに改善したため両群間に有意な差がみられたものの、その差は臨床的に意義があるとされる閾値を十分に下回っていた。 著者は、「CAPOX-B 6サイクルでSD以上が達成された患者に対するカペシタビン+ベバシズマブ維持療法は、切除不能大腸がんの1次治療における標準治療となる可能性がある」と結論付けている。

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抗精神病薬間で虚血性脳卒中リスクに違いはあるか

 従来抗精神病薬(CAP)と非定型抗精神病薬(AAP)で、虚血性脳卒中のリスクに違いがあるのか。韓国医薬品安全性・リスク管理研究所のJu-Young Shin氏らは、高齢者を対象にCAPとAAPの虚血性脳卒中リスクを比較した。その結果、CAPであるクロルプロマジンおよびハロペリドールの虚血性脳卒中リスクが高いことが示された。CAPとAAPにおける虚血性脳卒中リスクの差に対する関心が高まっているが、今回示された結果を受けて著者は、「所見は、AAPに伴う重篤な有害事象を考慮してCAPを高齢者に処方する場合、とくに注意を払う必要性があることを示すものであった」とまとめている。PLoS Oneオンライン版2015年3月19日号の掲載報告。 本研究では、CAPまたはAAPを投与した高齢患者の虚血性脳卒中リスクを比較した。新規にCAP(ハロペリドールまたはクロルプロマジン)およびAAP(リスペリドン、クエチアピン、オランザピンのいずれか)を処方した高齢患者7万1,584例を対象とした後ろ向きコホート研究を実施した。健康保険審査評価院(HIRA)によるNational Claims Databaseにおいて2006年1月1日から2009年12月31日までのデータを使用した。虚血性脳卒中発症例を特定し(ICD-10, I63)、AAP、CAPそして各抗精神病薬のハザード比(HR)を、多変量Cox回帰モデルを用い、リスペリドンを基準として算出した。 主な結果は以下のとおり。・合計7万1,584例のうち、リスペリドンが2万4,668例、クエチアピンが1万5,860例、オランザピンが3,888例、ハロペリドールが1万9,564例、クロルプロマジンが7,604例に処方されていた。・クロルプロマジン処方例のリスクがかなり高く(HR:3.47、95%信頼区間[CI]:1.97~5.38)、次いで、ハロペリドール(同:2.43、1.18~3.14)、クエチアピン(1.23、0.78~2.12)、オランザピン(1.12、0.59~2.75)の順であった。・クロルプロマジンの150日以上の長期処方は、それ以下の短期間投与に比べリスクが高かった(HR:3.60、95%CI:1.83~6.02)。・クロルプロマジンおよびハロペリドール使用例は、リスペリドン使用例に比べ、虚血性脳卒中のリスクが大きかった。関連医療ニュース 認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加 認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか  担当者へのご意見箱はこちら

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フィナステリドの安全性には要注意?

 男性型脱毛症に対してフィナステリドによる治療は安全であることが2件のメタ解析において示されたが、安全性に関する報告の質は評価されていなかった。米国・ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部のSteven M. Belknap氏らはレビューを行い、男性型脱毛症に関するフィナステリドの臨床成績から得られた安全性に関する情報は非常に限られており、質が低く、系統的な偏りがみられることを報告した。著者は、「男性型脱毛症の日常診療でフィナステリドを処方された男性の多くは、FDAが男性型脱毛症の適応症を承認する根拠となったピボタル試験では除外基準に該当すると思われる。発表された臨床試験成績では、男性型脱毛症の治療におけるフィナステリドの安全性プロファイルを確立するには情報が不十分である」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2015年4月1日号の掲載報告。 研究グループは、MEDLINE、ClinicalTrials.govおよび大学病院の臨床データリポジトリをデータソースとして、男性型脱毛症に対するフィナステリドの臨床試験について安全性に関する報告を評価した。 試験ごとに、有害事象に関する報告の質を評価するとともに、治療群およびプラセボ群における有害事象の発現例数と種類、安全性評価期間および盲検化の適切性を評価した。 データの抽出は2人の研究者が独立して行ったうえでコンセンサスを取った。安全性に関する報告の質は、「十分」「部分的」「不十分」「有害事象に関する記載なし」で判定し、バイアスはハザード比のファンネルプロットを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・34試験が解析に組み込まれた。安全性に関する報告が「十分」と判定されたものはなく、19試験が「部分的」、12試験が「不十分」、3試験は「有害事象に関する記載なし」だった。・ファンネルプロットは非対称性で、性機能/生殖有害事象に関するオッズ比が低い試験が多かった。このことは、性機能/生殖有害事象の発現が過小評価されていることを示唆している。・盲検化の適切性を評価した報告はなかった。18試験(53%)が利害関係を開示しており、19試験(56%)は製薬メーカーから資金の提供を受けていた。・34試験中26試験(76%)は、安全性の評価期間が1年以下であった。・臨床データリポジトリにおいて、男性型脱毛症の治療にフィナステリド(1.25mg/日以下)が用いられていた5,704例中、ピボタル試験の選択基準を満たすのはわずか31%で、33%はフィナステリドを1年以上服用していた。

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武田薬品が京大iPS研と連携 山中氏が総指揮

 武田薬品工業(本社:大阪市中央区)は4月17日、京都大学iPS研究所(以下、CiRA)とiPS細胞技術の臨床応用に向けた共同研究に関する契約を締結したと発表した。同日開催された記者会見には京都大学iPS細胞研究所の山中 伸弥所長、武田薬品のクリストフ・ウェバー社長兼CEOら主要関係者が出席した。 提携はT-CiRA(Takeda-CiRA Joint Program for iPS Cell Applications)と名付けられ、iPS細胞技術を用いた創薬研究や細胞治療に関する複数プロジェクトが実施される。 iPS細胞の発見者でCiRA所長である山中 伸弥氏が本プロジェクトを指揮、武田薬品は同社湘南研究所内の研究施設を提供する。研究人員は武田薬品およびCiRAから計100名以上が従事する見込み。武田薬品は10年間で200億円の提携費用を提供する。 今回の連携についてウェバー氏は、「今回の連携は従来にない初めての試みであり、さまざまな課題があるが、まったく新しい創薬の可能性に向けて努力していく」と述べた。 米国ではベンチャー企業が再生医療など大学発の技術の事業化に大きな役割を果たしているものの、本邦ではベンチャーの参入は容易ではなく大きなギャップが存在していた。山中氏は、「今回の提携は、その障害を飛び越えた大規模なアカデミアと大企業の直接連携である。また、今後はiPS細胞によるヒトでの疾患モデル開発および薬剤の効果・安全性の評価が可能となり、動物実験からヒトでの試験という従来の医薬品開発の手順も変化していく可能性がある」と述べた。

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