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ステント型血栓回収デバイス、急性虚血性脳卒中の1次治療に 米脳卒中治療ガイドライン

 2015年7月10日、日本メドトロニック発表。アメリカ心臓協会/アメリカ脳卒中協会(American Heart Association, AHA/American Stroke Association, ASA)から新しい脳卒中治療ガイドラインが発表された。本ガイドラインでは、適応患者に対し現行の標準治療であるIV-tPAに、Medtronic plc(本社:アイルランド ダブリン、会長兼最高経営責任者:オマーイシュラック)のステント型血栓回収デバイス(商品名:Solitaire)をはじめとするステント型血栓除去術の併用が治療の第1選択として推奨されている。 本ガイドラインは、NEJM誌にて発表された5つのグローバル臨床試験を専門委員会で分析した結果に基づくもの。この臨床試験では、脳から血栓を物理的に取り除く手技であるステント型血栓除去術を、IV-tPAなどの現行の薬剤治療へ追加することにより、薬剤治療のみを行った場合以上の治療効果をもたらすことが確認された。さらに、ステント型血栓除去術を追加することにより、脳卒中患者における身体障害の低減、神経学的結果および機能的自立回復率の向上が得られることが示唆された。 米国の急性虚血性脳卒中患者69万5,000人のうち、約24万人がステント型血栓回収デバイスによる治療に適応となるが、年間約1万3,000件の手技しか行われていないのが現状。日本メドトロニックプレスリリースはこちら。(PDF)

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タバコに空気清浄機は意味がない?

空気清浄機には意味がない?!なぜ、あなたは空気清浄機を使うのでしょうか?家族や友人を受動喫煙の害から守るには、タバコをやめるしかありません。タバコ煙の有害成分は、ほとんどが気体(ガス)です。一方、空気清浄機で除去できるのは、微細な粒子(固体)なのです。タバコの煙に含まれる有害物質は、ほとんどが空気清浄機を素通りしてしまいます。社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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Vol. 3 No. 4 高尿酸血症と循環器疾患 心不全・虚血性心疾患とのかかわり

室原 豊明 氏名古屋大学大学院医学系研究科循環器内科学はじめに高尿酸血症は循環器疾患の危険因子の1つとして見なされているが、その具体的な影響度や機序などに関しては不明な点も多い。高尿酸血症が持続すると、いわゆる尿酸の蓄積に伴う疾患や症状が前面に現れてくる。典型的には、痛風・関節炎・尿路結石などである。しかしながら、尿酸そのものは抗酸化作用があるともいわれており、尿酸そのものが血管壁や心筋に直接ダメージを与えているのか否かは未だ不明の部分も多い。ただし、尿酸が体内で生成される過程の最終段階では、酵素であるキサンチンオキシダーゼが作用するが、この時に同時に酸素フリーラジカルが放出され、これらのラジカルが血管壁や心筋組織にダメージを与え、その結果動脈硬化病変や心筋障害が起こるとの考え方が主流である。本稿では、高尿酸血症と循環器疾患、特に心不全、虚血性心疾患とのかかわりに関して緒言を述べたい。高尿酸血症と尿酸代謝尿酸はDNAやRNAなどの核酸や、細胞内のエネルギーの貯蔵を担うATPの代謝に関連したプリン体の最終代謝産物である。プリン体は食事から摂取される部分(約20%)と、細胞内で生合成される部分(約80%)がある。細胞は過剰なプリン体やエネルギー代謝で不要になったプリン体を、キサンチンオキシダーゼにより尿酸に変換し、細胞から血液中に排出する。体内の尿酸の総量は通常は一定に保たれており(尿酸プール約1,200mg)、1日に約700mgの尿酸が産生され、尿中に500mg、腸管等に200mgが排泄される。余分な尿酸は尿酸塩結晶となり組織に沈着したり、結石となる。多くの生物はウリカーゼという酵素を持ち、尿酸を水溶性の高いアラントインに代謝し尿中に排泄することができるが、ヒトやチンパンジーや鳥類はウリカーゼを持たないために、血清尿酸値が高くなりやすい。尿酸の約3/4は腎臓から尿中に排泄される。腎臓の糸球体ではいったん100%濾過されるが、尿細管で再吸収され、6 ~10%のみ体外へ排出される。最近、尿酸の再吸収や分泌を担うトランスポーターが明らかにされ、再吸収では近位尿細管の管腔側膜にURAT1、血管側にGLUT9が、分泌では管腔側にABCG2が存在することが報告されている1, 2)。腎障害としては、尿酸の結晶が沈着して起こる痛風腎のほかに、結晶沈着を介さない腎障害である慢性腎臓病(CKD)も存在する。高尿酸血症のタイプは、尿酸産生過剰型(約10%)、尿酸排泄低下型( 約50~70%)、混合型(約20 ~30%)に分類され、病型を分類するために、簡便法では尿中の尿酸とクレアチニンの比を算出し、その比が 0.5を上回った場合には尿酸産生過剰型、0.5未満の場合には尿酸排泄低下型と分類している。高尿酸血症と循環器疾患の疫学高尿酸血症と動脈硬化性疾患、心血管イベント高尿酸血症は痛風性関節炎、腎不全、尿路結石を起こすだけでなく、生活習慣病としての側面も有しており、高血圧・肥満・糖尿病・高脂血症などの他の危険因子とよく併存し、さらには脳血管障害や虚血性心臓病を合併することが多い3)。尿酸は直接動脈硬化病変も惹起しうるという報告と、尿酸は単なる病態のマーカーに過ぎないという2面の考え方がある。いずれにしても、血清尿酸値の高値は、心血管病変(動脈硬化病変)の進行や心血管イベントの増大と関連していることは間違いなさそうである。尿酸は血管壁において、血小板の活性化や炎症反応の誘導、血管平滑筋の増殖を刺激するなど、局所で動脈硬化を惹起する作用がこれまでに報告されている。実際に、ヒトの頸動脈プラーク部において、尿酸生成酵素であるキサンチンオキシダーゼや、結晶化した尿酸が存在することが報告されている(本誌p.24図を参照)4)。尿酸は直接細胞膜やライソゾーム膜を傷害し、また補体を活性化することで炎症を誘発し血管壁細胞を傷害する。さらに尿酸生成に直接寄与する酵素であるキサンチンオキシダーゼは、血管内皮細胞や血管平滑筋細胞にも発現しており、この酵素は酸素ラジカルを生成するため、このことによっても細胞がさらなる傷害を受けたり、内皮細胞由来の一酸化窒素(NO)の作用を減弱させたりする。実際に、高尿酸血症患者では血管内皮機能が低下していることや、血管の硬さを表す脈派伝播速度が増大していることが報告されている(本誌p.25図を参照)5)。このように、尿酸が過度に生成される状態になると、尿酸が動脈壁にも沈着し動脈硬化病変を直接惹起させうると考えられている。では、血清尿酸値と心血管イベントとの関係はどうであろうか。1次予防の疫学調査はいくつかあるが、過去の研究では、種々の併存する危険因子を補正した後も、血清尿酸値の高値が心血管イベントの独立した危険因子であるとする報告が多く、女性では7.0mg/dL、男性では9.0mg/dL以上が危険な尿酸値と考えられている。また2次予防の疫学調査でも、血清尿酸値の高値が心血管事故再発の独立した危険因子であることが報告されている3)。日本で行われたJ-CAD研究でも、冠動脈に75%以上の狭窄病変がある患者群において、血清尿酸値高値(6.8mg/dL以上)群では、それ以下の群に比べて心血管イベントが増大することが示されている(本誌p.25図を参照)6)。イベントのみならず、最近のVH-IVUS法を用いたヒトの冠動脈画像の研究から、高尿酸血症はプラーク量や石灰化病変と関連していることが示されている(本誌p.26図を参照)7)。繰り返しになるが、これらが因果関係を持っての尿酸によるイベントや動脈硬化病変の増大か否かについては議論の余地が残るところではある。高尿酸血症と心不全慢性心不全患者では高尿酸血症が多くみられることがこれまでに明らかにされている8)。これは慢性心不全患者には他のさまざまな危険因子が併存しており、このため生活習慣病(multiple risk factor 症候群)の患者も多く、これらに付随して尿酸高値例が自然と多くみられるという考え方がある。もう1つは、慢性心不全患者では多くの場合利尿剤が併用されているため、この副作用のために血清尿酸値が高くなっているという事実がある。いずれにしても、尿酸が生成される過程は、心不全患者では全般に亢進していると考えられており、ここにもキサンチンオキシダーゼの高発現による酸素フリーラジカルの産生が寄与していると考えられている。事実、拡張型心筋症による慢性心不全患者の心筋組織では、キサンチンオキシダーゼの発現が亢進していることが報告されている9)。また、血清尿酸値と血中のキサンチンオキシダーゼ活性も相関しているという報告がある10)。高尿酸血症では、付随するリスクファクターや腎機能障害、炎症性サイトカインの増加、高インスリン血症などが心不全を増悪させると考えられるが、なかでも高尿酸血症に伴う心不全の病態においては、酸化ストレスの関与は以前から注目されている。慢性の不全心では心筋内のキサンチンオキシダーゼの発現が亢進しており、このために酸素フリーラジカルが細胞内で多く産生されている。また、慢性心不全患者の血液中には、心不全のないコントロール群に比べて、内皮結合性のキサンチンオキシダーゼの活性が約3倍に増加していることが報告されている。心筋細胞内のミトコンドリアにおいては、細胞内の酸素フリーラジカルが増加すると、ミトコンドリアDNAの傷害や変異、電子伝達系の機能異常などが起こり、最終的なエネルギー貯蔵分子であるATP産生が低下する。傷害されたミトコンドリアはそれ自身も酸素フリーラジカルを産生するため、細胞のエネルギー代謝系は悪循環に陥り、この結果心筋細胞のエネルギー産生と活動性が低下、すなわち心不全が増悪してくると考えられている。では疫学データではどうであろうか。前述したように、慢性心不全患者では高尿酸血症が多くみられる。さらに2003年にAnkerらが報告した論文では、ベースラインの血清尿酸値が高くなればなるほど、慢性心不全患者の予後が悪化することが示された11)。また筒井らの行った日本におけるJ-CARE-CARD試験でも、高尿酸血症(血清尿酸値が7.4mg/dL以上)は、それ以下の群に比べて、心不全患者の全死亡および心臓死が有意に増加していることが示された(本誌p.27表を参照)12)。このように、高尿酸血症は、心血管イベントの増加のみにとどまらず、慢性心不全の病態悪化や予後とも関連していることがこれまでに明らかにされている。おわりに高尿酸血症と虚血性心疾患、心不全との関係について概説した。尿酸そのものが、直接の原因分子として動脈硬化病変の進展や虚血性心疾患イベントの増加、心不全増悪と関連しているか否かは議論の残るところではあるが、疫学的には高尿酸血症とこれらのイベントに正の相関があることはまぎれもない事実である。この背景には、付随するリスクファクターとキサンチンオキシダーゼ/酸素フリーラジカル系が強く関与しているものと思われる。文献1)Enomoto A et al. Molecular identification of a renal urate anion exchanger that regulates blood urate levels. Nature 2002; 417: 447-452.2)Matsuo H et al. Common defects of ABCG2, a highcapacity urate exporter, cause gout: a functionbased genetic analysis in a Japanese population. Sci Transl Med 2009; 1: 5ra11.3)Fang J, Alderman MH. Serum uric acid and cardiovascular mortality the NHANES I epidemiologic follow-up study, 1971–1992: National Health and Nutrition Examination Survey. JAMA 2000; 283: 2404-2410.4)Patetsios P et al. Identification of uric acid and xanthine oxidase in atherosclerotic plaque. Am J Cardiol 2001; 88: 188-191.5)Khan F et al. The association between serum urate levels and arterial stiffness/endothelial function in stroke survivors. Atherosclerosis 2008; 200: 374-379.6)Okura T et al. Japanese Coronary Artery Disease Study Investigators. Elevated serum uric acid is an independent predictor for cardiovascular events in patients with severe coronary artery stenosis: subanalysis of the Japanese Coronary Artery Disease (JCAD) Study. Circ J 2009; 73: 885-891.7)Nozue T et al. Correlations between serum uric acid and coronary atherosclerosis before and during statin therapy. Coron Artery Dis 2014; 25: 343-348.8)Bergamini Cetal. Oxidative stress and hyperuricaemia: pathophysiology, clinical relevance, and therapeutic implications in chronic heart failure. Eur J Heart Fail 2009; 11: 444-452.9)Cappola TP et al. Allopurinol improves myocardial efficiency in patients with idiopathic dilated cardiomyopathy. Circulation 2001; 104: 2407-2411.10)Landmesser U et al. Vascular oxidative stress and endothelial dysfunction in patients with chronic heart failure: role of xanthine-oxidase and extracellular superoxide dismutase. Circulation 2002; 106: 3073-3078.11)Anker SD et al. Uric acid and survival in chronic heart failure: validation and application in metabolic, functional, and hemodynamic staging. Circulation 2003; 107: 1991-1997.12)Hamaguchi S et al. JCARE-CARD Investigators. Hyperuricemia predicts adverse outcomes in patients with heart failure. Int J Cardiol 2011; 151: 143-147.

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非小細胞肺がんの早期診断には無細胞DNA解析が有用

 非小細胞肺がん患者の血漿における無細胞DNA値の上昇は、炎症反応が原因ではなく、腫瘍の発生が主な原因であることをポーランド・結核・肺疾患研究所のAdam Szpechcinski氏らが報告した。British Journal of Cancer誌オンライン版2015年6月30日号の掲載報告。 血漿中の無細胞DNA値の解析は、非小細胞肺がんの早期診断に役立つバイオマーカーと期待されている。しかしながら、非小細胞肺がん患者の血流に多くの無細胞DNAが放出される理由が悪性腫瘍によるものなのか、慢性炎症反応によるものなのかはいまだ明らかになっていない。 このため、慢性の呼吸器炎症を有する患者において血漿の無細胞DNAの定量化が診断を付けるうえで有用かは、明確になっていないのが現状である。そこで、慢性の呼吸器炎症を有する患者における血漿の無細胞DNA値の解析が有効なのかを検討し、早期の肺がんの診断ツールとしての潜在的な臨床的意義を評価した。 対象は切除可能な非小細胞肺がん患者50人と慢性の呼吸器炎症(COPD、サルコイドーシス、喘息)を有する患者101人、リアルタイムPCRを利用している健常人40人で、それぞれの血漿の無細胞DNA値を測定した。 主な結果は以下のとおり。・非小細胞肺がんの患者では、慢性の呼吸器炎症を有する患者と健常人に比べて、有意に血漿の無細胞DNA値が高いことがわかった(p<0.0001)・慢性の呼吸器炎症を有する患者と健常人との間で血漿の無細胞DNA値に有意な差は認められなかった。・2.8 ng ml-1以上をカットオフとしたとき、非小細胞肺がん患者と健常人とを鑑別する感度は90%、特異度は80.5%であった(Area Under the Curve[AUC]0.90)。・ROC曲線による非小細胞肺がん患者と慢性の呼吸器炎症を有する患者を鑑別するカットオフは5.25 ng ml-1以上で感度は56%、特異度は91%であった(AUC=0.76)。 本研究は、肺がんの早期スクリーニングや早期診断において、血漿無細胞DNA値の潜在的な臨床的意義を向上させたといえる。非小細胞肺がん患者で血漿の無細胞DNA値が上昇する要因や過程の特徴付けや同定をするためには、今後さらなる研究が必要である。

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侮れない侵襲性髄膜炎菌感染症にワクチン普及願う

 サノフィ株式会社は2015年7月3日、侵襲性髄膜炎菌感染症(Invasive Meningococcal Disease、以下IMD)を予防する4価髄膜炎菌ワクチン(ジフテリアトキソイド結合体)(商品名:メナクトラ筋注)のプレスセミナーを開催。川崎医科大学小児科学主任教授 尾内 一信氏と、同大学小児科学教授 中野 貴司氏がIMDの疾患概要や予防ワクチンの必要性について講演した。  細菌性髄膜炎の起因菌にはHib(インフルエンザ菌b型)、肺炎球菌などがあるが、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)もその1つである。髄膜炎菌は髄膜炎以外にも菌血症、敗血症などを引き起こし、それらをIMDと呼ぶ。IMDの初期症状は風邪症状に類似しており、早期診断が難しい。だが、急速に進行し発症から24~48時間以内に患者の5~10%が死に至り、生存しても11~19%に難聴、神経障害、四肢切断など重篤な後遺症が残ると報告されている。また、髄膜炎菌は感染力が強く、飛沫感染で伝播するため集団感染を起こしやすい。そのため、各国の大学・高校、さらにスポーツイベントなどでの集団感染が多数報告されている。このような状況から、IMDは本邦でも2013年4月より第5類感染症に指定されている。 IMDは全世界で年間50万件発生し、うち約5万人が死亡に至っている。IMDの発生は髄膜炎ベルトといわれるアフリカ中部で多くみられるが、米国、オーストラリア、英国などの先進国でも流行を繰り返しており注意が必要だ。米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、米国では2005年~2011年に年間800~1,200人のIMDが報告されている。発症年齢は5歳未満と10歳代が多くを占める。本邦でも、2005年1月~2013年10月に報告されたIMD 115例の好発年齢は0~4歳と15~19歳であった。 IMDの治療にはペニシリンGまたは第3世代セフェム系抗菌薬などが用いられるが、急速に進行するため予防対策が重要となる。IMDの予防にはワクチン接種が有効であることが明らかになっている。本邦の第III相試験の結果をみても、4価髄膜炎菌ワクチン接種後、80%以上の接種者の抗体価が上昇しており、その有効性が示されている。このような高い有効性から、発症数は多くないものの、米国、オーストラリア、英国においてはすでに定期接種ワクチンとなっている。 本邦でも4価髄膜炎菌ワクチン「メナクトラ筋注」が本年(2015年)5月に発売され、IMDの予防が可能となった。しかしながら、本邦におけるIMDの認知度は医師および保護者の双方で低い。また、IMDワクチンの医師の認知率は49%と約半分である。IMDの罹患率は低いが、そのリスクは無視できない。今後の啓発活動が重要となるだろう。サノフィプレスリリース「侵襲性髄膜炎菌感染症」に関する意識調査(PDFがダウンロードされます)「メナクトラ筋注」新発売のお知らせ(PDFがダウンロードされます)

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静脈血栓症でのがんスクリーニング、CT追加でも検出率向上せず/NEJM

 初回特発性深部静脈血栓症(DVT)を発症した人のうち、原発不明がんの罹患率は4%未満と低率で、血栓症発症時に腹部・骨盤部CT検査を含めたスクリーニングを行っても、がん検出率は向上しないことが明らかになった。カナダ・オタワ大学のMarc Carrier氏らが多施設共同非盲検無作為化比較試験の結果、報告した。静脈血栓症は、最も初期のがん徴候である可能性が示唆されている。一方、原発不明がんのスクリーニングについてはばらつきが大きいのが現状だった。NEJM誌オンライン版2015年6月22日号掲載の報告より。腹部・骨盤部CT検査を加えたスクリーニングを実施し結果を比較 Carrier氏らは、カナダの医療機関を通じて、初回特発性深部静脈血栓症を発症した患者854例を対象に試験を行った。 被験者を2群に分け、一方には血液検査、胸部X線検査、乳房・子宮頸部・前立腺がんのスクリーニングから成る限定的原発不明がんスクリーニングを、もう一群にはそれに腹部・骨盤部CT検査を加えたスクリーニングを行った。 主要評価項目は、スクリーニングにより見逃したがんで、追跡期間1年以内に見つかり診断を受けたものとした。スクリーニング見逃し率、がん診断までの期間など、両群で同等 その結果、被験者のうち1年以内に原発不明がんが見つかったのは、3.9%(33例)だった。そのうち限定的スクリーニング群は3.2%(431例中14例)で、CTスクリーニング群は4.5%(423例中19例)だった(p=0.28)。 限定的スクリーニングによってがんが検出できなかった人は4例(29%)、限定的スクリーニング+CT検査でがんが検出できなかった人は5例(26%)で、両群に有意差はなかった(p=1.0)。 また、がん診断までの期間平均値についても、限定的スクリーニング群が4.2ヵ月、CTスクリーニング群が4.0ヵ月と、両群で同等だった(p=0.88)。がん死亡率についても、それぞれ1.4%、0.9%と同等だった(p=0.75)。

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【JSMO2015見どころ】消化器がん

 2015年7月16日(木)から3日間にわたり、札幌にて、第13回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち、6月25日、日本臨床腫瘍学会(JSMO)主催のプレスセミナーが開催され、今年のJSMOで取り上げられる各領域のトピックスや、期待が高まるがん免疫療法などについて、それぞれ紹介された。 消化器がんについては、小松 嘉人氏(北海道大学病院 腫瘍センター)が、大腸がんを中心にJSMOでの見どころや注目演題を紹介した。 小松氏は、本学会での大腸がんにおける注目点として4つを挙げ、それぞれの主な演題を紹介した。1)バイオマーカー・遺伝子検査など 大腸がん治療における分子標的薬には血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を標的とするベバシズマブと上皮成長因子(EGFR)を標的とするセツキシマブとパニツムマブがある。KRAS変異型大腸がんには後者(抗EGFR抗体薬)は効果を得られない可能性が高いため、ベバシズマブが投与される。一方、KRAS野生型大腸がんの1次治療においてはどちらを使用すべきか、現在、いくつかの比較試験が実施されているが、まだ答えが出ていない。 また、KRAS変異だけではなく、NRAS変異といった新規のRAS変異のある患者も抗EGFR抗体薬の効果が期待できないことがわかってきている。大腸がんのRAS野生型は約50%であり、抗EGFR抗体薬の投与前に、KRAS/NRAS遺伝子変異の有無を測定することが推奨されている。・シンポジウムゲノム解析などを用いた大腸がん分子標的治療薬の最適化日時:2015年7月18日(土)14:30~16:30会場:Room3(ロイトン札幌3F)2)新薬:TAS-102、レゴラフェニブなど わが国で大腸がんに使用できる薬剤は、ドラッグラグの問題も徐々に改善され、レゴラフェニブでは米国での承認の翌年に承認された。また、TAS-102は昨年、世界に先駆けて日本で承認された。JSMOでは、これらの新薬のほか、FOLFOXIRI+ベバシズマブ療法の臨床成績について発表される。・インターナショナルセッションISS1-1 大腸がん日時:2015年7月16日(木)12:30~13:20会場:Room5(ロイトン札幌2F)・オーラルセッション大腸3 TAS-102/レゴラフェニブ日時:2015年7月18日(土)9:30~10:30会場:Room5(ロイトン札幌2F)・オーラルセッション大腸2 FOLFOXIRI+ベバシズマブ日時:2015年7月16日(木)15:00~15:40会場:Room5(ロイトン札幌2F)3)国際共同臨床試験への参画 日本も参画した、切除不能進行・再発大腸がんに対する1次治療(フッ化ピリミジン系製剤+オキサリプラチン+ベバシズマブ)後の2次治療としてのFOLFIRI±ラムシルマブの国際共同第III相試験(RAISE試験)の結果について、プレナリーセッションで発表される。・プレナリーセッションPS-1 RAISE: A Randomized, Double-Blind, Multicenter Phase III Study of Irinotecan, Folinic Acid, and 5-Fluorouracil (FOLFIRI) plus Ramucirumab (RAM) or Placebo (PBO) in Patients (pts) with Metastatic Colorectal Carcinoma (mCRC) Progressive During or Following First-Line Combination Therapy日時:2015年7月17日(金)14:05~15:20会場:Room1(ニトリ文化ホール)・インターナショナルセッションISS1-1-1 PF-05212384 + irinotecan Phase II study in metastatic colorectal cancer (mCRC): B2151005 Japanese lead-in-cohort (J-LIC)ISS1-1-4 標準治療に不応・不耐な転移性大腸癌に対するTAS-102 の国際共同第III相試験(RECOURSE 試験)における地域別サブセット解析結果日時:2015年7月16日(木)12:30~13:20会場:Room5(ロイトン札幌2F)4)New Paradigm(免疫チェックポイント阻害薬) 現在、がん治療で期待されている免疫チェックポイント阻害薬は、消化器がんにおいても検討されている。JSMOでは、胃がんに対するニボルマブの第III相試験(現在進行中)などが紹介される予定である。・インターナショナルセッションISS2-1-3 ONO-4538(ニボルマブ)第III相試験(切除不能な進行又は再発胃がんに対する多施設共同二重盲検無作為化試験)日時:2015年7月17日(金)8:30~9:30会場:Room3(ロイトン札幌3F)・インターナショナル・シンポジウムISY4-6 切除不能進行・再発胃癌における抗PD-1抗体MK-3475(Pembrolizumab)のphase Ib試験日時:2015年7月17日(金)9:30~11:30会場:Room3(ロイトン札幌3F)・インターナショナル・シンポジウムISY5-1 Biologics and immunotherapy in metastatic colorectal cancerISY5-2 New molecular targeting agents for colorectal cancer 日時:2015年7月17日(金)16:00~17:30会場:Room3(ロイトン札幌3F)【第13回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2015年7月16日(木)~18日(土)■会場:ロイトン札幌・ホテルさっぽろ芸文館・札幌市教育文化会館■会長:秋田 弘俊氏(北海道大学大学院医学研究科 腫瘍内科学分野 教授)■テーマ:難治がんへの挑戦 医学・医療・社会のコラボレーション第13回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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抗精神病薬の変更は何週目が適切か

 統合失調症において抗精神病薬が無効な場合、どの程度の期間を待ったうえで治療変更すべきかという臨床上の課題は未解決である。この点に関して、各ガイドラインの見解はさまざまであった。オランダ・アムステルダム大学のMyrto T. Samara氏らは、統合失調症において抗精神病薬の変更を考える場合の効果判定時期の目安を明らかにすべく、メタ解析を行った。その結果、治療開始2週時点で効果が認められない場合は、その後も効果が得られる可能性が低いことを報告した。American Journal of Psychiatry誌2015年7月1日号の掲載報告。 研究グループは、主に個人の患者データを用いて2週時点での非改善がその後の無反応を予測するかどうかを評価する診断検査のメタ解析を行った。EMBASE、MEDLINE、BIOSIS、PsycINFO、Cochrane Library、CINAHL、関連文献の引用文献リスト、全関連文献の補足資料を検索対象とした。主要アウトカムは、ベースラインからエンドポイント(4~12週)までの無反応に対する予測とした。無反応は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)または簡易精神症状評価尺度(BPRS)における総スコアの50%以下の減少(最小の改善幅を示す)と定義した。また、2週時点の非改善はPANSSあるいはBPRSの20%以下の改善(最小限の改善より小さいことを示す)とした。副次的アウトカムは、横断的な症状の非寛解、そしてエンドポイント時点でのPANSSあるいはBPRSの20%以下の減少とした。可能性のある調整変数をメタ回帰分析により検証した。主な結果は以下のとおり。・34件の試験(9,460例)において、2週時点でのPANSSあるいはBPRSスコアの20%以下の減少は、特異度86%、陽性適中率(PPV)90%をもってエンドポイント時点での無反応を予測した。・実際の観察症例(特異度86%、PPV 85%)または非寛解症例(特異度77%、PPV 88%)のデータを用いても、同様の結果が得られた。・一方、エンドポイント時点での20%以下の減少という定義を用いた場合、予測適中率の結果は不良であった(特異度70%、PPV 55%)。・検査の特異度は、試験期間6週間以下、ベースライン時の高い重症度、短い罹患期間により、有意に低下した。関連医療ニュース 急性期統合失調症、2剤目は併用か 切り換えか:順天堂大学 抗うつ薬切替のベストタイミングは? 抗精神病薬の切り替えエビデンス、どう評価すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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いわゆる「新規経口抗凝固薬」:中和剤は臨床的に意味があるか?【1】(解説:後藤 信哉 氏)-380

 長らく使用されてきたワルファリンには、経験的に中和法が確立されている。ワルファリンの抗凝固薬としての作用機序は、経験に基づいて理解されてきた。ワルファリンは、基本的には第II、VII、IX、X因子の機能的完成を阻害する薬剤であるため、濃縮血漿を加えることにより抗凝固活性を速やかに阻害することができる。最近開発された新規経口抗凝固薬(抗Xa、抗トロンビン薬)存在下では濃縮血漿を加えても、ダビガトラン存在下では第II因子機能、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン存在下では第Xa活性の速やかな回復は期待できない。第Xa因子は血漿中でプロトロンビンをトロンビンに転換するのみならず、活性化血小板膜上のprothrombinase complexにより、固相でもトロンビンを産生するため、生体におけるXa活性の中和は論理的にも困難である。 ダビガトランは、主に液相で起こるトロンビンによるフィブリンの産生を阻害する薬剤であるため、血漿からダビガトランを取り除けば効果の中和を期待できる。そこで、スポンサーはダビガトランに対する選択的モノクロナール抗体を作成した。抗体を作成し、抗体をヒト化して免疫原性を減らす方法は、すでに血小板膜糖蛋白GPIIb/IIIaに対する選択的阻害薬治療として技術は確立している。ダビガトラン中和剤の投与を一生1回と割り切れば、アナフィラキシーの心配も大きくない。出血がコントロールできない場合、緊急手術時には欠点の多い抗体でも少数例でも出血死亡例は減らせると期待されて、idarucizumabというヒト化抗ダビガトラン抗体Fab(IgGのFcを切り離し、Fabを1ドメインのみ製剤化したという意味)が開発された。 本論文は、idarucizumab開発の第I相試験である。NEJM誌、 Lancet誌などの臨床的一流雑誌に第I相試験が掲載されることは少ない。上記の解説のごとく、ヒト化monovalent Fabとはいえ、アナフィラキシーショックの可能性が否定できないので一生に2度は使えない(すなわち、本試験に参加したヒトが将来ダビガトランを必要とし、なお、その中和が必要になってもこの薬を使うと、アナフィラキシーのリスクが高くなるという問題)。本論文は第I相試験であるので、健常人に対して「重篤な出血イベントリスクを増加させる」ダビガトランを「臨床的にメリットがない」と想定される状態で使用されている。さらに、まったく新しいヒト化monovalent Fabを、「臨床的に必要がないのに」ダビガトランを服用している症例に重ねてランダムに介入している。完全に実験的研究であり、今後繰り返される可能性はない。 本実験的研究によりidarucizumabは、ダビガトランにより惹起されたdiluted thrombin time(dTT)、ecarin clotting time(ECT)、activated partial thromboplastin time(aPTT)の延長を正常化することが示された。確かに、本試験は既存の薬剤開発システムの中ではproof of concept (POC)として必須と考えられる。しかし、被験者は出血のリスク、抗体投与のリスクなどを負うがメリットがあるとは考えにくい。ハードエンドポイントを含まないサロゲートエンドポイントを指標としたtrickyな試験なので、ヒトを用いず実証実験により精緻化されたsimulationなどにより、このような試験をスキップできる方法を考えるべきである。 日本ではとても、このような第I相試験はできないだろうな(というよりも、このような試験をする国にはなりたくないな)と思いました。

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ヘパリンブリッジに意味はあるのか?(解説:後藤 信哉 氏)-381

 抗血栓療法は、リスクを飲み込んでメリットを期待する「両刃の剣」の治療である。 脳卒中リスクを有する心房細動症例ではとくに喧伝されているが、血栓イベントの多くが不可逆的なので、血栓リスク・出血リスクのどちらを重視するかは、個別の臨床医と患者さんの選択である。 多くの抗血栓薬は、2~3年間の観察期間内の血栓イベント、出血イベントにより、有効性、安全性を検証されて一般臨床における使用推奨がなされる。 日本人の死因の第1位は出血疾患としての悪性腫瘍なので、過去のランダム化比較試験に基づいて抗凝固療法が開始された症例であっても、将来発がんし、出血を伴う検査、手術などが発生するリスクが高い。日本でも多くの症例が抗凝固治療を受けており、消化器内視鏡治療を受けるために一時的にヘパリンブリッジを受けている症例も多い。各種診療ガイドラインではヘパリンブリッジについて触れているが、一様に「明確なエビデンスはないが…」と記載されている。 本試験は、日本の標準治療である未分画ヘパリンではなく低分子ヘパリンではあるが、明確なエビデンスである。Medical legal issueとしても、手術時に「ヘパリンブリッジ」をしなかったと苦情を受けることが多い。今後は「ヘパリンブリッジについてのevidenceはある」、「evidenceはヘパリンブリッジをしても、非ヘパリンブリッジと比較して血栓イベント・出血イベントについて劣らないことを示した」と明確に答える根拠ができてとてもよかった。

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【JSMO2015見どころ】肺がん

 2015年7月16日(木)から3日間にわたり、札幌にて、第13回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち、6月25日、日本臨床腫瘍学会(JSMO)主催のプレスセミナーが開催され、今年のJSMOで取り上げられる各領域のトピックスや、期待が高まるがん免疫療法などについて、それぞれ紹介された。 肺がんについては、大泉 聡史氏(北海道大学大学院医学研究科 呼吸器内科学分野)より、トピックスや注目演題などが紹介された。 大泉氏は、肺がん領域で取り上げられるトピックスとして4つを挙げ、それぞれの主な注目演題を紹介した。1)免疫チェックポイント阻害薬の非小細胞肺がんへの応用肺扁平上皮がんの2次治療におけるニボルマブ対ドセタキセルの第III相試験(Checkmate-017試験)で、ニボルマブの有用性が確認された。わが国でも早く承認されることが期待されている。・プレナリーセッションPS-2 A Phase III Study (CheckMate 017) of Nivolumab (NIVO; anti-programmed death-1) vs Docetaxel (DOC) in Previously Treated Advanced or Metastatic Squamous (SQ) cell Non-small Cell Lung Cancer (NSCLC)日時:2015年7月17日(金)14:05~15:20会場:Room1(ニトリ文化ホール)・オーラルセッション呼吸器7 免疫チェックポイント阻害薬による肺がん治療日時:2015年7月18日(土)8:00~9:30会場:Room2(ロイトン札幌3FロイトンホールA)2)EGFR遺伝子変異陽性肺がんのEGFR-TKI耐性時の治療戦略EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)に抵抗性となる患者の5~6割がT790Mという遺伝子変異である。これを標的とする新規EGFR-TKIのAZD9291の臨床研究結果が報告されているが、JSMOでは日本人集団のみのデータが報告される予定である。・オーラルセッション呼吸器1 EGFR-TKI 耐性日時:2015年7月16日(木)12:30~13:40会場:Room7(ホテルさっぽろ芸文館3F瑞雪の間)3)わが国で開発された進行期肺扁平上皮がんの新規治療法進行再発肺扁平上皮がんの初回治療では、今までシスプラチン+ドセタキセルが標準治療であった。今回、標準治療と新たな治療法であるネダプラチン+ドセタキセルについて、西日本がん研究機構(WJOG)による第III相試験で比較したところ、ネダプラチン+ドセタキセルの有用性が認められた。・オーラルセッション呼吸器5 肺がんの新たなる治療戦略日時:2015年7月17日(金)9:30~10:30会場:Room7(ホテルさっぽろ芸文館3F瑞雪の間)4)肺がんの遺伝子学的解析の最前線・インターナショナルセッション2-2肺がん(2)肺がんの遺伝子学的解析の最前線日時:2015年7月17日(金)8:30~9:30会場:Room7(ホテルさっぽろ芸文館3F瑞雪の間)【第13回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2015年7月16日(木)~18日(土)■会場:ロイトン札幌・ホテルさっぽろ芸文館・札幌市教育文化会館■会長:秋田 弘俊氏(北海道大学大学院医学研究科 腫瘍内科学分野 教授)■テーマ:難治がんへの挑戦 医学・医療・社会のコラボレーション第13回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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医師主導型研究の面目躍如(解説:野間 重孝 氏)-379

 本論文は、スウェーデンのカロリンスカ研究所のResuscitation Scienceセンターに所属する研究グループが、心肺蘇生術(CPR)の有効性を検討した研究結果をまとめたものである。 その背景には、スウェーデンでは人口約970万人のうち300万人以上がCPRの訓練を受けているという事情がある。970万人には老人や子供が含まれることから、青壮年成人の半分以上がCPRの訓練を受けていることになり、これが大変な数字であることは誰もが理解するところだろう。 わが国の実態を調査した正確なデータはないが、2002年に中・高等学校の学習指導要領が改訂され、学校教育におけるCPRの訓練の必要性がうたわれた。だが、複数台の自動除細動器(AED)が設置されている東京の中・高等学校を対象としても、実際の教育が行われているのは現在でも12%強でしかないという事実から、このスウェーデンの数字がいかに驚異的か理解されるものと思う。 著者らは、1990年1月1日~2011年12月31日にSwedish Cardiac Arrest Registryに登録された患者6万1,781例を対象として、(1)救急隊(EMS)到着前に、その場に居合わせたもの(bystander)によってCPRが開始されることが実際の30日生存率につながるか?(2)CPRが開始されるまでの時間と30日生存率の間に相関があるか?の2点を検討した。その際、目撃者のいない例や、目撃者がEMSのみの例を除外規定により除外し、実際の解析対象は3万381例となった。 その結果、著者らは、CPRがEMS到着前から施行された例では30日生存率が有意に高いこと(10.5% vs.4.0%、p<0.001)、CPR開始時間と30日生存率には相関があり、早期にCPRが開始されればされるほど30日生存率が上がることを示した。また、この結果の傾向は、種々の因子を考慮した傾向スコア(propensity score)を用いた事後解析を行っても変わらなかった。なお、本論文ではAEDの使用実績については触れられていない。 この除外規定について疑問を持たれた方がおられたのではないだろうか。この除外規定により、半分以上の例(3万1,400例)が解析対象から外されているため、結果にバイアスがかかる要因となっている可能性が考えられるからである。しかし、評者はこの除外規定は適当なものであったと考える。その理由は2つ挙げられる。 第一は、この除外例中で救命された者はごく少数であったと考えられ、この研究の結果にバイアスがかかるほどの数字にはなっていないと考えられることである。第二は、こちらのほうが重要であるが、突然死の多くがその発生状況が不明で、かつ、その原因も不明であるという事実である。 評者は長く労災認定業務に従事してきたが、突然死に関する相談事例で、発生状況や死因が同定されていたのは、ごく少数の例外以外はなかった。突然死に分類される例でも、死亡からある程度時間が経過した例を扱うのは救急隊や医師ではなく司法であり、司法は事件性のない事例の死因に興味を示さない。これは、スウェーデンといえども大きく事情は違わないだろう。発生状況や死因が不明な例を解析対象に持ち込むことは、研究の信頼性を低下させると考えられるからである。 ここで、評者が興味深いと感じた点を2点あげることをお許し願いたい。 第一は到着前施行例の35%で、緊急電話の指導の下、CPRの訓練を受けていないbystanderによってCPRが施行されており、CPRの訓練を受けた者によって早期に開始された場合には劣るものの、10.9%の30日生存率を示していることである。これは、早期のCPRがいかに重要かを示す良い数字であると考えられるだろう。 第二は到着前施行群の解析から、心臓が原因ではないと推定される患者でも、結果的に心室細動の頻度が高かったことが示されたことである。これは、突然死の原因同定がそもそもいかに難しいかを示しており、評者自身の経験に照らしてうなずく点があった。 一方で、ひとつ意地の悪い疑問も湧いた。到着前非施行例の発見者の中には、どのくらいの割合でCPRの訓練をすでに受けたものがいたのだろうかという疑問である。この研究をそのままみれば、スウェーデン人の公徳心の高さを示しているように受け取れるが、スウェーデン人といえどもそういう人ばかりではあるまい。もっとも、疫学においてこのような数字は明らかにすることが不可能な数字で、結局研究者は性善説に基づいた解析をせざるを得ないのである。蛇足であることを恐れつつあえて付け加える。 本研究は早期CPRの有効性を検討するという、ある意味で当たり前の項目を検討した研究のように感じる向きもあるのではないかと思う。しかし、誰もが当たり前と思うことと、それを実際に証明することはまったく異なる。誰もが当たり前のように思って研究対象としないような項目を、あえて研究対象として事実を明らかにする――ここに、医師主導型研究の面目躍如たるものがあるといえるのではないだろうか。ただし、AEDの使用実績についてまったく触れられていなかったことは不満点・疑問点として残った。

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Dr.たけしの本当にスゴい症候診断

第1回 動悸第2回 胸痛第3回 呼吸困難第4回 失神第5回 発熱第6回 体重減少 患者の訴える主な症状に対してどんな鑑別疾患を挙げ、どのように問診し、いかに身体所見・検査値を評価し、疾患を絞り込んでいくか?医師としてあたりまえの「診断」を、膨大なエビデンスを綿密かつ公正に分析して行うのがDr.たけし流。その“スゴさ”はご自分の目でお確かめください。このシリーズでは、6症候:動悸・胸痛・失神・呼吸困難・発熱・体重減少について取り上げます。研修医はもちろんのこと、診察を行うすべての医師必見の番組です。問診と身体診察を駆使して、必要な検査を適切に選び、迅速かつ正確に診断できるスキルを身につけましょう。第1回 動悸動悸の原因は不整脈、洞性頻脈、精神疾患と3つに大きく分けて考えます。その上で、病歴聴取や身体診察から原因を探っていきましょう。特に診断に重要なのは、「病歴」です。病歴から診断や、除外診断できるものを豊富なエビデンスを参照しながら導き出していきましょう。第2回 胸痛よくある症状の“胸痛”ですが、原因疾患は多岐にわたり、また、重篤な疾患が隠れていることもあります。胸痛を訴える患者に対して、どんな鑑別疾患を挙げ、どのように疾患を絞り込んでいきますか?胸痛を来す疾患を挙げ、重症度、遭遇頻度で分類し、致死的3大疾患を中心に解説していきます。その他に重症度は低いけれど知っているとちょっと役に立つ疾患“Precaudial catch”、“Bornholm disease”“肋軟骨炎”などについても見ていきます。第3回 呼吸困難呼吸困難の原因は、心疾患と肺疾患が大きく占めていますが、それ以外でも、貧血、心因性などのさまざまな原因があります。まずはキーワードから原因疾患を探っていきましょう。そして、原因疾患の中でも重要度の高い、“心不全”と“慢性閉塞性肺疾患(COPD)”について取り上げ、詳しく見ていきます。これらの診断に必要な身体所見は何か?そしてその所見は検査結果のどこにつなげて考えていけばよいのか。身体診察のスキルアップのためのヒントが満載です。第4回 失神失神とは脳血流の低下によって起こる一過性意識消失発作のことで、まずはてんかんなどと区別することから始めましょう。そして予後から考え、脳血管障害、心原性、起立性低血圧、薬剤性、神経介在性の順に鑑別を行なっていきます。失神の原因を導き出すために考慮すべき検査をそれぞれの原因ごとに提示していきます。でも結局は病歴と身体診察に勝る検査はありません。第5回 発熱発熱はもっともコモンな症候ですが、原因が多岐にわたり、対応には膨大な知識が必要となります。今回はその中から、とくに“すぐに対応しなければならない発熱”、“不明熱”をピックアップして解説します。原因を絞り込むためには、どんな材料が必要なのか。症状、検査、病歴など、さまざまな切り口から整理していきましょう。第6回 体重減少臨床の場でよくみられる体重減少。12ヵ月に5%以上の体重減少があった場合は、原因を精査することが必要となります。鑑別には、まず、「食」と「薬」を除外してから疾患を絞り込んでいきます。さまざまな疾患が体重減少の原因となりますが、その中でも、重要度の高い5大疾患群を詳しく解説していきます。

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97)摂取カロリーの計算法を教える【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者食べているカロリーがよくわからないんです。何かいい方法はありませんか? 医師カロリーの基本を理解しておくとよいですね。 患者カロリーの基本!? 医師そうです。摂取カロリーは、糖質、たんぱく質、脂質、それと……。 患者それと? 医師アルコールで決まってきます。糖質とたんぱく質には4をかけて、脂質はカロリーが高いので9をかけます。 患者なるほど。アルコールはどうなりますか? 医師アルコールには7をかけます。 患者やっぱり、アルコールと油料理の組み合わせがよくないんですね。●ポイント食物繊維や水には、カロリーがないことを補足説明します●資料摂取カロリーを求める式摂取カロリー = 糖質×4+たんぱく質×4+脂質×9+アルコール×7(kcal)※食物繊維×0+水×0(kcal)

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高齢の心筋梗塞例でのICDの有用性/JAMA

 急性心筋梗塞(AMI)発症後に左室駆出率(EF)の低下がみられる高齢患者では、植込み型除細動器(ICD)の装着例は非装着例に比べ2年死亡率が良好であることが、米国・デューク大学医療センターのSean D Pokorney氏らの調査で示された。ACCF/AHAガイドラインでは、心筋梗塞(MI)患者における心停止による突然死の1次予防として、MI発症後40日以上、至適な薬物療法を行っても、EF<35%の場合にICDの装着を推奨している。一方、とくにMIの日常診療ではICDが十分に活用されていないことを示唆するエビデンスがあり、またMIやその結果としての虚血性心筋症は加齢に伴って増加するが、高齢患者におけるICDの有用性については議論があるという。JAMA誌2015年6月23・30日号掲載の報告。約1万例でICD装着と死亡の関連を後ろ向きに評価 研究グループは、EFの低下がみられる高齢MI患者におけるICD装着と背景因子、死亡との関連を後ろ向きに評価する観察研究を行った。 2007~2010年に、米国の441施設で治療を受けた、MI発症後にEFが<35%に低下した65歳以上のメディケア受給者1万318例のデータを後ろ向きに解析した。ICD装着歴のある患者は除外した。 ICD装着の適格例におけるMI発症後1年以内のICD装着の有無とその関連因子を評価し、ICD装着の有無別に2年死亡率を比較した。フォローアップ期間中央値は718日(四分位範囲:372~730日)だった。 全体の年齢中央値は78歳(四分位範囲:72~84)で、65%が非ST上昇型MI(NSTEMI)であり、75%が入院中に血行再建術を受けた。1年以内のICD装着率は8.1%(95%信頼区間[CI]:7.6~8.7)で、入院からICD装着までの期間中央値は137日、血行再建術施行例では115日だった。2年死亡リスクが36%低下、ICD装着率改善の研究を MI発症後1年以内のICD装着例(785例)はICD非装着例(9,533例)に比べ、年齢が若く(74 vs.78歳、p<0.001)、女性が少なく(30 vs.47%、ハザード比[HR]:0.62、95%CI:0.52~0.73、p<0.001)、末期腎臓病例が少なかった(9 vs.20%、0.57、0.43~0.75、p<0.001)。 一方、MI発症後1年以内のICD装着例は、冠動脈バイパス術(CABG)施行歴のある患者が多く(31 vs.20%、HR:1.49、95%CI:1.26~1.78、p<0.001)、心筋トロポニンのピーク値の中央値が高かった(正常上限の85倍 vs.51倍、1.02、1.01~1.03、p<0.001)。 また、院内心原性ショック発症率(13 vs.9%、HR:1.57、95%CI:1.25~1.97、p<0.001)や、退院後2週間以内の心臓関連の追加処置(30 vs.20%、1.64、1.37~1.95、p<0.001)の頻度が高かった。 1年以内のICD装着例は非ICD装着例に比し、2年死亡率が有意に低下した。すなわち、ICD装着例の死亡率は100人年当たり15.3件(128件/838人年)で、非ICD装着例は26.4件(3,033件/1万1,479人年)であり、補正後HRは0.64(95%CI:0.53~0.78)と、ICD装着例で有意に良好であった。 著者は、「MI発症後のEFが低くICDの装着が適切と考えられた高齢患者のうち、1年以内に実際にICDを装着したのは10例中1例にも満たなかったが、これらICD装着例ではリスク補正2年死亡率が有意に改善されていた」とまとめ、「適格例のICD装着率を向上させるエビデンスに基づくアプローチを確立するために、さらなる研究を進める必要がある」と指摘している。

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【JSMO2015見どころ】最新のがん免疫療法

 2015年7月16日(木)から3日間にわたり、札幌にて、第13回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち、6月25日、日本臨床腫瘍学会(JSMO)主催のプレスセミナーが開催され、今年のJSMOで取り上げられる各領域のトピックスや、期待が高まるがん免疫療法などについて、それぞれ紹介された。 いま最も注目されているがん免疫療法については、北野 滋久氏(国立がん研究センター中央病院 先端医療科)より、免疫チェックポイント阻害薬の開発状況や注目演題などが紹介された。 がん医療の進歩に貢献してきた「手術療法」「放射線療法」「化学(薬物)療法」の3大治療に続き、第4の治療として「がん免疫療法」への期待がますます高まっている。わが国でも昨年、「免疫チェックポイント阻害薬」の1つである抗PD-1抗体療法が進行悪性黒色腫に対して承認された。現在、非小細胞がんに対しても国内承認の期待が高まり、さらに他の多くのがん種においても後期臨床試験が実施されている。  「がん免疫療法」の中でも臨床開発が最も成功し、世界的な注目を集めている「免疫チェックポイント阻害薬」の開発状況は、以下のようである。●メラノーマ・進行メラノーマに対して、抗CTLA-4抗体(イピリムマブ)が2011年3月に米国FDA承認済みで、国内でも承認(2015年7月3日)。・進行メラノーマに対して、抗PD-1抗体(ニボルマブ)が2014年7月国内承認、次いで米国FDAがペムブロリズマブ、ニボルマブの順で承認。・B-raf変異陰性進行メラノーマに対して、1次治療として抗PD-1抗体がダカルバジンを上回る臨床効果を認められた。●肺がん・進行扁平上皮肺がんに対して抗PD-1抗体(ニボルマブ)が2015年3月にFDA承認。国内申請中。・進行非扁平上皮非小細胞肺がんに対して抗PD-1抗体がFDA承認申請。・既治療進行非小細胞肺がんに対して、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体の第III相試験が施行されている。・進行非小細胞肺がんに対する1次治療として、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体の第II相試験が実施または計画中。●その他・既治療の腎細胞がん、頭頸部がん、胃がん、膀胱がんなどにおいて、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体の第III相試験が施行または準備されている。 また、JSMOでのがん免疫療法に関する注目演題は以下の通り。・Special LectureImmune checkpoint inhibitors日時:2015年7月17日(金)8:45~9:30会場:Room1(ニトリ文化ホール)・ESMO/JSMO合同シンポジウムImmune checkpoint blockade in cancer therapy: new insights, opportunities, and prospects for a cure日時:2015年7月17日(金)9:30~11:30会場:Room1(ニトリ文化ホール)・プレナリーセッションPS-2 A Phase III Study (CheckMate 017) of Nivolumab (NIVO; anti-programmed death-1) vs Docetaxel (DOC) in Previously Treated Advanced or Metastatic Squamous (SQ) cell Non-small Cell Lung Cancer (NSCLC)PS-3 Phase III study of pembrolizumab (MK-3475) versus ipilimumab in patients with ipilimumab-naïve advanced melanoma日時:2015年7月17日(金)14:05~15:20会場:Room1(ニトリ文化ホール)・教育講演EL-23 免疫チェックポイントの基礎日時:2015年7月18日(土)10:30~11:00会場:Room11(札幌市教育文化会館1F大ホール)EL-24 使って分かる免疫チェックポイント阻害薬日時:2015年7月18日(土)11:00~11:30会場:Room11(札幌市教育文化会館1F大ホール)・シンポジウムSY-5 がん免疫制御の現況と次なるホープ日時:2015年7月16日(木)9:00~11:00会場:Room6(ロイトン札幌2Fハイネスホール)SY-6 がん幹細胞の分子標的・免疫制御の新展開日時:2015年7月16日(木)12:30~14:30会場:Room6(ロイトン札幌2Fハイネスホール)・セミナーCAR-T細胞療法セミナー 基礎と臨床日時:2015年7月17日(金)16:00~17:30会場:Room6(ロイトン札幌2Fハイネスホール)【第13回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2015年7月16日(木)~18日(土)■会場:ロイトン札幌・ホテルさっぽろ芸文館・札幌市教育文化会館■会長:秋田 弘俊氏(北海道大学大学院医学研究科 腫瘍内科学分野 教授)■テーマ:難治がんへの挑戦 医学・医療・社会のコラボレーション第13回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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睡眠薬使用は自動車事故を増加させているのか

 催眠鎮静薬の使用と自動車衝突事故リスクとの関連性について、米国・シアトル大学のRyan N Hansen氏らは検証を行った。American journal of public health誌オンライン版2015年6月11日号の報告。 研究グループは、統合ヘルスケアシステムより抽出した、成人40万9,171人の新規使用者のコホート研究を行った。ヘルスプランデータは、運転免許証と衝突記録にリンクさせた。対象者は、ワシントン州の運転免許を取得(2003~2008年の間に少なくとも1年以上保持)した21歳以上の成人。死亡、保険の解約、または試験終了まで調査した。鎮静薬3剤に関連する事故リスクを推定するため、比例ハザード回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・5.8%の患者が、新規に鎮静薬を処方されていた(1万1,197人/年)。・鎮静薬の新規使用者では、不使用者と比べて、衝突事故リスクの増加と関連していた。 temazepam(国内未承認):HR 1.27(95%CI:0.85~1.91) トラゾドン:HR 1.91(95%CI:1.62~2.25) ゾルピデム:HR 2.20(95%CI:1.64~2.95)・これらのリスクは、血中アルコール濃度レベルが0.06~0.11%の場合と同等と推算された。 著者らは「催眠鎮静薬の新規使用は、自動車衝突事故リスクの増加との関連が認められたことから、催眠鎮静薬の処方を開始する臨床医は、治療期間や運転リスクに関するカウンセリングを考慮する必要がある」とまとめている。  担当者へのご意見箱はこちら関連医療ニュース てんかんドライバーの事故率は本当に高いのか 精神疾患ドライバー、疾患による特徴の違い 認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか

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タバコには放射性物質が?!

タバコには放射性物質が?!タバコから取り込まれる放射性物質 タバコには、肥料由来とされる放射性物質(ポロニウム210など)が含まれていることが知られています。タバコ煙の粒子BベンツピレンPo ポロニウムPb 鉛210…気管分岐部にポロニウムなどの煙の粒子が付着し、放射線(α線)を出し続ける。(10シーベルト/20年※) タバコを吸うと、ポロニウムが肺内に入り、気管分岐部に付着して、放射線(α線)を出し続けます。肺がんを発症??※一生の内部被ばくは0.1シーベルト以下に抑える(厚生労働省)社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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青年期うつは自助予防可能か

 思春期はうつ病発症のピーク期であるが、青少年が自身でリスクレベルを低下可能かどうかは、ほとんど明らかとなっていない。オーストラリア・メルボルン大学のKathryn E. Cairns氏らは、デルファイ法を用いた検討で、青年期うつ病の自助予防戦略について専門家のコンセンサス確立を試みた。その結果、自助予防が可能だと支持される戦略が明らかになった。Affective Disorders誌オンライン版2015年5月18日号の掲載報告。 検討は、文献検索にて青年期に対する194の勧告を特定して行われた。それらについて、32人の国際研究者と臨床専門家から成るパネル、および49人の消費者団体から成るパネルに対して、3回繰り返しての質問票提示を行い、パネル委員は、各勧告の予防の重要性と青少年による実行可能性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・両パネルの80%以上が、145の戦略について青年期うつ病発症リスクを低下すると支持した。・それらは、精神的健康、人格的アイデンティティ、生活能力、健全な関係性、健康的なライフスタイル、レクリエーションやレジャーにおけるメッセージなどであった。・127の戦略が、思春期初期と後期の両方のうつ病リスク低下に有用だと支持された。思春期初期にのみ有用と評価された戦略は1つ、後期にのみ有用と支持された戦略は17であった。・青年期において実行しやすいとパネル委員に評価された戦略は、概して中程度のものであった。・なお、本研究の専門家は、先進国で英語を母国語とする国の出身者であった。そのため特定された戦略は適切性に欠け、また同一国内のマイノリティや他国では適切ではない可能性があり、本検討は限定的なものであった。関連医療ニュース 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大 若者の新型うつ病へのアプローチとなりうるか 子供はよく遊ばせておいたほうがよい  担当者へのご意見箱はこちら

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よくある話【2】見えなかったリスクに対する過小評価:カテ前出血リスクの定量的評価(解説:香坂 俊 氏)-377

われわれはどうも昔から「見えないところ」の評価であっても、自分たちの経験による見立てはそれほど大きく的をはずさない、と考えるようである。今回は、冠動脈インターベンション(PCI)の合併症の予測に関する話題であるが、この手技には穿刺に伴う出血や造影剤使用による腎症といった問題点がつきまとう。そうした合併症を誰が起こしやすく、誰が起こさないのかということは、医師の評価の「正しさ」に関わる事象であり、これまでその領域があまり問題視されたことはなかった。John Spertus氏は、これまでそうしたリスク評価について、循環器分野で先駆的な役割を果たしてきた。そのSpertus氏がこれまでの集大成として提示したのが今回BMJ誌に掲載された論文である。扱われている内容はPCIに伴う出血の予測である。米国にはbivalirudinという、わが国のアルガトロバン(商品名:スロンノン)に近いトロンビン阻害薬が存在し、このbivalirudinはPCIに際し標準治療よりも出血率を下げることができる、とされている。ただ高額な薬剤であり、症例を選んで使わなくてはならない。Spertus氏がまず提示したのは、そのbivalirudinの使用率である。その使用率を客観的に計算された出血リスクに応じて振り分けたのが下図となる。わかりにくいかもしれないが、1本1本の曲線が各ドクターのbivalirudin使用率を示していて、人によって使い方がさまざまであることがおわかりいただけるかと思う。ただ、注目すべきは、ドクターによってはリスクが低い患者にbivalirudinを多く使用し、リスクが高い患者に使用していないといった傾向がみられるというところである(赤矢印方向)。これは本来のbivalirudinの用途からすると合目的ではない。そこで、Spertus氏は各施設にその客観的に計算された出血リスクを提示し、PCIの同意書に強制的にその数値を印刷する、という介入を行った。すると、その結果として、bivalirudinの使用は以下のように変化した。右上がりの曲線(赤矢印方向)が多くみられるようになり、bivalirudinの使用がその目的に沿ったものとなっていることがうかがえる。リスクの提示でここまで医師の判断や行動が変化するということも驚きであるが、この研究の成果はこれだけにとどまらない。上の図は、客観的に計算された出血リスクが同意書に提示されるようになる前後での実際の出血率を表したものである。グラフ右側に注目していただきたいが、高リスク患者における出血率が劇的に改善している。幾多もの薬剤、そしてデバイスの進歩よりも明確な「予後改善効果」がここには示されており、この分野注)での画期的な成果として特筆すべきことと(自分には)思われる。おそらく、これからの医療はデータを積極的に活用する時代を迎え、こうしたリスク計算なしには成立しえない方向に向かっていくであろう。好むと好まざるとにかかわらず、それが患者さんの安全の担保につながるからである(定量的なリスク評価なしに手技や手術に踏み込むことは、海図を持たずに航海に出るに等しい)。そのランドマークとなる発見がここにあった、といつの日かいわれる時がくるのではないか。注:Spertus氏はこうした研究分野を好んでOutcome Researchと呼び、米国では今後臨床研究はTranslational Research、Clinical Trial、そして Outcome Researchの3つに分かれていくと多くの研究者が考えている。

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