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原発性胆汁性胆管炎に対するオベチコール酸治療に関するプラセボ群を対照とした治験(解説:中村 郁夫 氏)-595

 本論文は、原発性胆汁性胆管炎(従来の病名:原発性胆汁性肝硬変)に対するオベチコール酸の効果を、二重盲検でプラセボを対照群とした12ヵ月間の第III相試験で検討した結果の報告である。 オベチコール酸は、Farnesoid X核内受容体の作動薬である。ウルソデオキシコール酸(UDCA)が十分な効果を示さなかった、あるいは、UDCAの副作用のために内服できなかった217例をランダムに3群に割り付けた。(1)オベチコール酸の容量10mg(10mg群)、(2) オベチコール酸を5mgで開始し可能であれば10mgまで増量する群(5~10mg群)、(3) プラセボ群の3群である。 Primary endpoiont(主要評価項目)は、ALP(アルカリホスファターゼ)値が基準値上限の1.67倍未満で、基礎値の少なくとも15%以上の低下、総ビリルビン値の正常化とした。 オベチコール酸またはプラセボを内服した216例のうち、93%が背景の治療としてUDCAを内服していた。結果としてのPrimary endpointは、5~10mg群で46%、10mg群で47%で達成され、プラセボ群(10%)と比較して有意に高かった(p<0.001)。5~10mg群と10mg群において、プラセボ群と比較して、ALP値の大きな低下(最小二乗平均:-113U/L、-130U/L vs.-14U/L;p<0.001)、および、総ビリルビン値の大きな低下(-0.02 mg/dL、-0.05 mg/dL vs.0.12mg/dL;p<0.001)が認められた。一方、瘙痒感は、オベチコール酸群においてプラセボ群と比べて出現の頻度が高かった(5~10mg群で56%、10mg群で68% vs.プラセボ群で38%)。重篤な有害事象の頻度は、5~10mg群で16%、10mg群で11%、プラセボ群で4%であった。 結論として、原発性胆汁性胆管炎における12ヵ月間のオベチコール酸のUDCAとの併用、あるいは、単独投与により、ALP値および総ビリルビン値の低下がプラセボ群と比べて有意に大きかった。一方で、有害事象の頻度は、オベチコール酸群において多かった。 わが国における原発性胆汁性胆管炎の治療は、UDCAを中心として、さらに、ベザフィブラートや茵陳蒿湯などが用いられている。将来、オベチコール酸も治療薬の1つとなる可能性があると考える。

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揚げ物はうつ病の天敵か:日医大

 感情の調整に対して、長鎖n-3、n-6系多価不飽和脂肪酸(LC n-3/n-6 PUFA)は重要な役割を担っている。以前の著者らの研究では、LC n-3 PUFAが豊富な魚類の消費量とうつ病へのレジリエンス(逆境に直面してストレスに対処する能力)との関連が報告されていた。魚類の高摂取は日本の伝統的な食事パターンであるが、現在の日本人の食事パターンは西欧化している。西洋食は、一般的に揚げ物に使用される植物油によるLC n-6 PUFAを多く含有し、うつ病リスクと関連する。日本医科大学 多摩永山病院の吉川 栄省氏らは、揚げ物の消費量とうつ病へのレジリエンスとの関連を検討した。Lipids in health and disease誌2016年9月15日号の報告。 対象は、日本企業に勤務する715人。抑うつ症状の測定には、うつ症状をうつ病自己評価尺度(CES-D)、レジリエンスを14-item Resilience Scale(RS-14)を用いて評価した。魚や揚げ物の摂取頻度は、自己記入式食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて調査した。患者背景要因の調整、身体活動や魚類の摂取頻度は、Preacher and Hayesブートストラップ法を用いた回帰分析を使用した。 主な結果は以下のとおり。・揚げ物の消費量とCES-D合計スコアとの関連は有意であった(path c、B=0.72、p<0.01)。・揚げ物の消費量とRS-14合計スコアとの関連は有意であった(path a、B=-1.73、p<0.01)。・RS-14合計スコアとCES-D合計スコアとの関連も有意であった(path b、B=-0.35、p<0.01)。・RS-14合計スコアで調整した場合、揚げ物の消費量とCES-D合計スコアとの間に有意な関連はみられなかった。・ブートストラップ法により、RS-14スコアを介して揚げ物の消費量とCES-Dスコアが間接的に有意な関係にあることが示された(BCa信頼区間:0.34~0.92;95%信頼区間)。 著者らは「本検討により、揚げ物の消費量とうつ病への低レジリエンスとの関連が認められた。うつ病へのレジリエンスや予防のために、さらなる栄養介入研究が必要である」としている。関連医療ニュース 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大 魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当か 日本食は認知症予防によい:東北大

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タバコとアトピー性皮膚炎、受動/能動喫煙いずれも関連

 タバコの煙は、アトピー性皮膚炎(AD)の危険因子かもしれない。米国・ノースウェスタン大学のRobert Kantor氏らのシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、能動喫煙および受動喫煙によるタバコの煙への曝露は、AD有病率の増加と関連していることが明らかとなった。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年8月16日号掲載の報告。 研究グループは、アトピー性皮膚炎とタバコの煙への曝露との関連について検討する目的で、MEDLINE、EMBASE、ScopusおよびCochrane Libraryを用い1823~2015年に発表された論文を検索し、観察研究86報のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。 エビデンスの質はNewcastle-Ottawa Scale(NOS)にて評価し、メタ解析はランダム効果モデルを用いて推定プールオッズ比(OR)を算出して行った。サブセット解析は、年齢(小児、成人)、地域、試験デザイン(横断、縦断)、研究の規模(<5,000、≧5,000)、研究の質(NOSスコア<6、≧6)、および喫煙量(少量、多量)に関して行われた。 主な結果は以下のとおり。・ADの診断は、能動喫煙(OR:1.87、95%信頼区間[CI]:1.32~2.63)および受動喫煙(OR:1.18、95%CI:1.01~1.38)でOR高値の関連が認められた。・一方、妊娠中における母親の喫煙(OR:1.06、95%CI:0.80~1.40)とは関連していなかった。・能動喫煙とADとの関連は、小児・成人、地域、研究の規模にかかわらず有意なままであった。ただし、研究はすべて横断研究でありNOSスコアは6以上であった。・受動喫煙については、小児・成人、横断研究、南部/中央アメリカおよびアフリカで行われた研究、研究の規模が5,000未満、NOSスコア6未満の研究において、ADとの関連が認められた。

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治療抵抗性統合失調症は予測可能か

 治療抵抗性統合失調症に対し、唯一エビデンスベースの抗精神病薬はクロザピンである。初発統合失調症患者で治療抵抗性基準を満たすかを予測できれば、治療抵抗性を認識でき、適切な治療が行われることで、重度の機能的障害の軽減に役立つ可能性がある。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのJ Lally氏らは、治療抵抗性統合失調症患者に関する調査を行った。Psychological medicine誌オンライン版2016年9月8日号の報告。 2005~10年に南ロンドンで行われた英国国立健康研究所(NIHR)遺伝学および精神病(GAP)研究の一環として収集された、初回エピソード統合失調症スペクトラム患者246例のコホートにおける臨床アウトカムを、5年間の縦断的研究により評価した。ベースラインの患者背景、臨床的対策、治療抵抗性の発現との関連を調査した。治療抵抗性の状況は、電子カルテよりレビューを行った。治療抵抗性の早期発症・遅発、非治療抵抗性、および治療抵抗性におけるクロザピン使用の有無による違いとの関連について評価した。 主な結果は以下のとおり。・治療抵抗性患者56例のうち70%、全患者246例のうち23%は、発症時から治療抵抗性であった。・発症後5年間で治療抵抗性基準を満たした患者は、非治療抵抗性患者と比較し、精神障害の初回受診年齢が若かった(20歳未満、OR:2.49、95%CI:1.25~4.94)。・20歳未満の初回受診年齢と治療抵抗性との関係は、黒人(OR:3.71、95%CI:1.44~9.56)および男性(OR:3.13、95%CI:1.35~7.23)で有意に高かった。・治療抵抗性の大部分には、発症時から治療抵抗性抗精神病薬が使用されているが、クロザピンの早期使用はよく検討する必要がある。関連医療ニュース 治療抵抗性統合失調症へ進展する重要な要因とは:千葉県精神科医療C 難治性統合失調症患者に対する治療戦略:千葉大 治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか

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心房細動患者の血栓塞栓症や大出血予防に重要なこと

 非弁膜性心房細動患者の血栓塞栓症および大出血の予防には、高血圧症の既往歴やベースライン時の血圧よりも血圧コントロールが重要であることが、わが国のJ-RHYTHMレジストリの事後解析で示された。Journal of the American Heart Association誌2016年9月12日号に掲載。 医療機関158施設において連続して登録した外来の心房細動患者7,937例のうち、非弁膜症性心房細動7,406例(男性70.8%、69.8±10.0歳)を、2年間もしくはイベントが発生するまで追跡した。「収縮期血圧140mmHg以上」「拡張期血圧90mmHg以上」「高血圧症の既往歴あり」「降圧薬使用」のうち1つ以上あれば高血圧症と定義した。また、イベント発生に最も近い時点もしくは追跡期間終了時の収縮期血圧によって、患者を四分位に分け(Q1:114mmHg未満、Q2:114~125mmHg、Q3:126~135mmHg、Q4:136mmHg以上)、血栓塞栓症と大出血のオッズ比を検討した。 主な結果は以下のとおり。・高血圧症は、大出血の独立した危険因子であった(ハザード比 1.52、95%CI 1.05~2.21、p=0.027)が、血栓塞栓症の危険因子ではなかった(ハザード比 1.05、95%CI 0.73~1.52、p=0.787)。・CHA2DS2-VASCスコア・ワルファリン使用・抗血小板薬使用における調整後の血栓塞栓症と大出血のオッズ比は、Q1よりQ4で有意に高かった(血栓塞栓症:オッズ比 2.88、95%CI 1.75~4.74、p<0.001、大出血:オッズ比 1.61、95%CI 1.02~2.53、p=0.041)。収縮期血圧136mmHg以上は、血栓塞栓症および大出血の独立した危険因子であった。

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電子タバコの使用増加と禁煙成功率/BMJ

 英国では、電子タバコの使用の増加と禁煙試行の変動の関連は明確ではないものの、電子タバコの使用増加によって、禁煙試行の成功率が上昇していることが、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのEmma Beard氏らの検討で示された。また、電子タバコは、医師の処方によるニコチン代替療法薬の使用を減少させたが、他の禁煙支援サービスとの関連は認めないこともわかった。研究の成果は、BMJ誌2016年9月13日号に掲載された。近年、電子タバコ使用の増加が、禁煙活動を阻害している可能性が懸念されている。これが事実であれば、たとえ電子タバコを使用する喫煙者の禁煙成功率が上昇したとしても、公衆衛生学上の電子タバコの影響はネガティブである可能性があるという。禁煙試行、禁煙成功、薬物療法、支援サービスとの関連を時系列に評価 研究グループは、英国における電子タバコの使用の変動が、禁煙試行やその成功、および禁煙試行における薬物療法や禁煙支援サービスの利用に及ぼす影響を推定するために、時系列的アプローチを用いた実証研究を行った(Cancer Research UKなどの助成による)。 解析には、英国の16歳以上を対象とする反復的な横断的世帯調査であるSmoking Toolkit Studyの参加者のデータを用いた。2006~15年に、約1,200人の喫煙者のデータを年4回収集した。また、全国行動支援プログラムのモニタリング・データから、試験期間中に禁煙支援サービスで禁煙日を設定した802万9,012例のデータを解析に含めた。 喫煙者および禁煙試行者の電子タバコの使用データを用いて、禁煙成功率を予測した。また、喫煙者の電子タバコの使用データを用いて、禁煙試行率を予測した。さらに、電子タバコを用いた禁煙試行率のデータからは、処方箋医薬品、処方箋または薬局で購入したニコチン代替療法薬、および行動支援の利用による禁煙試行率を予測した。喫煙者、禁煙試行者の双方で禁煙率が改善 禁煙の成功率は、喫煙者の電子タバコの使用率が1%増加するごとに、有意に0.098%上昇し(95%信頼区間[CI]:0.064~0.132、p<0.001)、禁煙試行者の電子タバコの使用率が1%増加するごとに、有意に0.058%(95%CI:0.038~0.078、p<0.001)上昇した。 電子タバコの使用が、禁煙試行率(β:0.025、95%CI:-0.035~0.085、p=0.41)、薬局で購入したニコチン代替療法薬の使用(β:0.006、95%CI:-0.088~0.077、p=0.89)、処方箋医薬品の使用(β:-0.070、95%CI:-0.152~0.013、p=0.10)、行動支援の利用(β:-0.013、95%CI:-0.102~0.077、p=0.78)と関連することを示すエビデンスは認めなかった。 一方、禁煙試行中の電子タバコの使用と、処方箋で入手したニコチン代替療法薬の使用には負の相関が認められた(β:-0.098、95%CI:-0.189~-0.007、p=0.04)。 著者は、「本試験の知見は、『電子タバコの使用の増加は禁煙を阻害する』との仮説に反するものであった。電子タバコの使用増加は、処方箋によるニコチン代替療法を抑制するとともに、禁煙の成功に寄与している可能性がある」としている。

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循環器内科 米国臨床留学記 第13回

第13回 米国でフェローに挑戦する方へのアドバイス(読者からの質問 Part 2)前回に引き続き、読者の方からの質問にお答えします。米国留学を検討されている方の参考になれば幸いです。質問:日本人が米国でフェローを考える場合に気をつけたほうがよいことはありますか。フェローから始める難しさまれなケースではありますが、フェローから始めることも可能です。実際、私の場合も、内科のレジデンシーや循環器内科のフェローシップを経ずに不整脈のフェローから始めました。レジデンシーを行っていない分、薬剤名やシステムがよくわからず、英語でもかなり苦労しました。幸い、日本で不整脈のトレーニングを修了していたため、不整脈の知識だけは他のフェローよりもあったことに加え、教授をはじめとする周囲のあたたかい理解とサポートのおかげで何とか乗り切ることができました。フェローから始める場合、専門分野で周囲より優れた知識や技術があれば、英語力などのマイナス面を補うことができます。英語に関して、仕事をこなすのには問題ありませんが、私は今でも苦労しています。勤勉なイメージがある日本人日本人が勤勉だと思われているのは、いろいろな分野の先達の努力のおかげだと感じていますし、日本人であることを本当に誇りに思っています。米国で、日本の医学部を卒業した日本人医師は各分野で数えるほどしかいません。外国医学部卒業生(FMG:Foreign Medical Graduates)が米国でレジデンシーを始めるには、ECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)を取得する必要があります。(ECFMGは、FMGが米国でレジデントやフェローの研修を行うための資格であり、医師免許ではありません。FMGが米国の各州で医師免許を取得するには、レジデンシーを2年行うことが必要です)。2015年のデータでは、ECFMGを取得している日本人が63人(FMG全体のわずか0.6%、インドは1,000人以上)、このうち内科のレジデンシーで実際にポジションを獲得したのが14人でした。インド人の475人という数字と比べると、日本人医師の数ははるかに少ないのですが、日本人と働いた経験がある米国人や外国人医師の多くは、「日本人は勤勉だ」と口を揃えて言います。シフト制と“patient ownership”日本と米国では、患者に対する責任の考え方が大きく異なります。私は初期研修(東京都済生会中央病院)の教育のおかげで、患者に対する責任感を自然と身に付けることができました。患者の状態が悪いと家に帰れないこともありましたが、良い経験だったと感謝しています。米国では、こういった事態に伴うレジデントの過労を防止するためにシフト制が発展しました。レジデントが24時間以上続けて働くことはありません。燃え尽き症候群や集中力低下によるミスを防ぐなど良い面もあるのですが、シフト制を重視するあまり、”patient ownership“(自分の患者であるという意識)という考えが失われてしまったように感じます。もちろん、なかには日本人医師と変わらない感覚で働く医師もいるのですが、受け持ちの患者に何が起きようが自分の勤務時間が終わったら帰宅するという米国のレジデントに、日本人の感覚としては違和感を覚えます。年配の米国人医師もこのことを嘆いていましたので、おそらくこれは最近の若い医師にとくに当てはまるのでしょう。若手の先生が米国へ研修に行かれるなら、日本で身に付けた受け持ちの患者に対する責任感を忘れずに仕事をすることをお勧めします。シフト制が定着しているとはいえ、そういった姿勢は必ず評価されると思います。

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前立腺がん、4つの治療法を患者報告アウトカムで評価/NEJM

 限局性前立腺がん治療後の排尿・腸・性機能の重症度、回復状況および機能低下のパターンやQOLは、治療法によって異なることが明らかにされた。英国・ブリストル大学のJ. L. Donovan氏らが、PSA監視療法、根治的前立腺摘除術および内分泌療法併用根治的放射線療法の有効性を検証したProstate Testing for Cancer and Treatment(ProtecT)試験の患者報告アウトカムを分析し、報告したもので、これまで、患者報告アウトカムを用いて臨床的限局性前立腺がんに対する治療効果を評価したデータはあまりない。NEJM誌オンライン版2016年9月14日号掲載の報告。限局性前立腺がん患者約1,600例で、6年間の患者報告アウトカムを解析 ProtecT試験は、1999~2009年にPSA検査で限局性前立腺がんと診断された男性1,643例を、PSA監視療法群(545例)、根治的前立腺摘除術群(553例)、ネオアジュバントアンドロゲン除去療法(内分泌療法)併用放射線療法群(545例)に無作為に割り付け、追跡期間中央値10年時の前立腺がん死亡を主要評価項目として各治療法を比較検討した臨床試験である。 今回、研究グループは、事前に定義された副次評価項目である患者報告アウトカムについて解析した。患者には診断前、無作為化後6ヵ月時、12ヵ月時、その後は毎年、質問票に記入してもらい、4領域(排尿機能、腸機能、性機能、不安・うつ・健康状態を含む健康関連QOL)について評価した。がん関連QOLの評価は5年時のみとし、6年間のデータについてintention-to-treat解析を行った。追跡期間中の質問票完遂率は、ほとんどの項目で85%以上であった。それぞれ治療が与える術後への影響は異なることが明確に 前立腺摘除術群では、性機能および排尿機能に対する悪影響が最も大きく、わずかに回復したものの試験期間を通して他の治療群に比べ悪影響が持続した。腸機能は変わらなかった。 内分泌療法併用放射線療法群では、性機能に対する悪影響が6ヵ月時で最大となったものの多少回復し、その後は安定した。他の治療群と比較すると、6ヵ月時に腸機能の低下が認められたが、血便頻度の増加を除きそれ以降腸機能は回復した。排尿調節にはほとんど影響がなかった。他の治療群と比較すると排尿症状スコアおよび夜間頻尿が6ヵ月時に悪化したが、その後はほとんど回復し、12ヵ月後は他の治療群と同程度であった。 監視療法群では、性機能および排尿機能が徐々に低下した。腸機能は変化しなかった。 QOLへの影響は、各機能の変化を反映していたが、不安・うつ・健康状態を含む健康関連QOL、ならびにがん関連QOLに関する評価では、治療群間で有意差は認められなかった。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第32回

第32回:偶然肺結節を見つけたときには?監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 日本における悪性腫瘍による死亡の第1位は肺がんです。肺がんに対しては対策型検診として、40歳以上の男女に対する胸部単純X線撮影と、高危険群に対する喀痰細胞診による早期発見の努力が推進されてきました。CTによる肺がん検診は、日本では任意型検診として、受診者の自由意志により行われています。今回は偶然発見された孤発性肺結節の評価について、米国での対応を見てみましょう。 ちなみに日本CT検診学会から「低線量CTによる肺がん検診の肺結節の判定基準と経過観察の考え方第3版」2) 、「低線量マルチスライスCTによる肺がん検診:肺結節の判定と経過観察図」3) というものが公開されておりますので併せてご覧いただき、参考にしてください。 タイトル:孤立性肺結節の評価Evaluation of the Solitary Pulmonary Nodule以下、American family physician 2015年12月15日号1) より【孤立性肺結節の定義】 直径3cmまでの境界明瞭な単一の円形の不透明な領域で、含気肺によって完全に囲まれているもの。 直径3cmよりも大きい肺病変は肺腫瘤と呼ばれ、悪性の可能性を考慮しなければならない。 悪性腫瘍のリスクが高い喫煙者のがんスクリーニングでは、孤立性肺結節の有病率は8%~51%であった。【結節の特徴】 悪性のリスク:最大径20mm以上、倍加時間(Tumor Doubling Time)400日以内、非対称の石灰化を伴う病変、上葉に位置する病変、棘形成病変。 良性の可能性:最大径5mm以下、2年間サイズが不変、境界明瞭、中心または同心円パターンの石灰化結節。【メイヨークリニックからの最も一般的に使用されるモデル】年齢、胸郭外癌の病歴(結節検出5年以内)、結節直径、棘形成の有無、喫煙歴、結節位置(上葉か否か):6つの独立した予測因子を用いて、悪性腫瘍の確率を推定(計算方法はこちらを参照)。【フォローアップ評価】 外科的切除や非外科的な生検は、連続的な画像評価ではっきりと増大している充実性もしくは一部が充実性の孤発性肺結節の患者で実施すべきである。 少なくとも2年間安定している充実性の孤発性肺結節には、通常さらなる評価を必要としない。 直径8~30mmの結節に関しては、悪性リスクが低ければCTフォロー、リスクが中等度ならPET-CTで評価し必要に応じて生検や切除、リスクが高ければ転移の有無を確認した上で切除が検討される。直径8mm未満の場合には、大きさに応じて一定間隔でのCT画像フォローとなる。実際にはそれぞれの悪性のリスクを見積もり、リスクに応じた対応、患者の価値観などに応じて個別対応が求められる。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Kikano GE, et al. Am Fam Physician. 2015;92:1084-1091. 2) 「低線量CTによる肺がん検診の肺結節の判定基準と経過観察の考え方 第3版」日本CT検診学会 肺がん診断基準部会編 3) 「低線量マルチスライスCTによる肺がん検診:肺結節の判定と経過観察図」日本CT検診学会 肺がん診断基準部会編

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その後のオンライン英会話【Dr. 中島の 新・徒然草】(137)

百三十七の段 その後のオンライン英会話試合前の恐怖がボクサーを練習に駆り立てるのだ、と耳にしたことがあります。実は私もオンライン英会話のレッスン前に恐怖を感じております。たとえば、フィリピン人講師相手にこんな話の展開になったらどうすべきでしょうか。講師「ハ~イ、今日1日どうだった?」中島「大変な1日でした」講師「何があったの?」中島「家のトイレが壊れてしまって」講師「あらら」中島「『小』のほうは風呂でして流すにしても」講師「はあ?」中島「『大』の場合はコンビニトイレですよ」講師「あらまあ」中島「幸い、家の近所に何軒かあるんです」講師「それは大変ね」ここで「トイレ」を bath room と表現すると、「風呂」も bath room なので混乱します。違いをうまく表現するためには、前者を toilet とし、後者を shower room とすれば良さそうですね。「風呂」を bath-tub と言ってしまうと、ちょっと怖い気もします。では、トイレが「壊れた」ってのは何と表現すべきなのでしょうか?broken というと、ハンマーか何かで物理的に壊したみたいに誤解されるかも。水を流すと排水管から漏れて床がビショビショになるわけですから、機能的なものです。そうすると out of order がいいですね。調べれば調べるほど、新たな恐怖が湧き上ってきます。「水を流す」は flush かな。「排水管」は drain pipe。「漏れる」は leak。「ビショビショ」は wet かも。恐怖のタネは次から次へと湧き上ってきます。1つずつ考えたり調べたりしているうちに、アッという間にレッスンの時間です。そして本番。中島「女房が出張中にトイレが壊れてしまって」講師「何よ、それ!」中島「仕方なく風呂でする羽目になりましてね」講師「ギャッハッハ!」「『大』のほうは近くのコンビニで」と言おうとした時、肝心の「大」を調べていなかったことに気付きました!中島「う~ん、う~ん」講師「どうしたの」こうなったら伝家の宝刀、医学用語を使うしかありません。中島「stool というか、defecation というか」講師「ギャッハッハ!」中島「私の英語、通じてますか?」講師「わかるわよ、もちろん!」ああ良かった、通じてた!中島「そっちのほうは近所のコンビニで」講師「それ、無茶苦茶不便じゃん」中島「そうなんですよ」敬虔なカソリック教徒であるはずのフィリピン人は、皆、やたら明るい!レッスンの25分間、トイレの話題で盛り上がってしまいました。とはいえ、体は正直です。レッスンが終わった時には全身汗だくでした。ということで最後に1句役立てろ レッスン前の あの恐怖

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高齢者の遅発性うつ病に影響する要因とは:東大

 これまでのうつ病に対する小児期の社会経済的地位(SES)の影響に関する研究は、欧米諸国の中年成人に焦点が当てられてきた。東京大学の谷 友香子氏らは、小児期SESが高齢者のうつ病発症に影響するかを検討した。The American journal of geriatric psychiatry誌2016年9月号の報告。 日本老年評価調査のデータを用いた前向きコホート研究。2010年のベースライン時点でうつ病でない65歳以上1万458人を対象に分析を行った。対象者は、基準に従って15歳時の小児期SESを評価した。ログリンク、既知および2013年までのうつ病発症リスク評価の潜在的なリスク因子による調整により二項ロジスティック回帰分析で評価した。 主な結果は以下のとおり。・全体として、2013年までの新規うつ病発症率は13.9%であった。・年齢、性別で調整した後、低小児期SESは、うつ病発症と正の相関が認められた(ARR:1.44、95%CI:1.23~1.69)。・教育により調整した際、この関連は減少した(ARR:1.33、95%CI:1.13~1.57)。・しかし、成人期SES調整後、現在の疾患状態、健康行動、社会的関係は有意に残存した(ARR:1.27、95%CI:1.08~1.50)。・その関係は、75歳以上の高齢者よりも65~74歳の高齢者でより強かった。 著者らは「日本人高齢者における遅発性うつ病発症には、おそらく第2次世界大戦後の貧困による低小児期SESが関連していると考えられる。うつ病に対する小児期SESの影響は75歳以上では弱く、これは日本人高齢者のサバイバル効果を示唆している」とまとめている。関連医療ニュース うつ病の治療転帰を予測するには、臨床的要因 < 社会経済的要因 抑うつ症状は、がん罹患有無に関係なく高齢者の死亡に関連 なぜ高齢期うつ病は寛解率が低いのか

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CABG既往ACSへのスタチン治療 エゼチミブの上乗せ効果

 IMPROVE-IT試験では、急性冠動脈症候群(ACS)に対するシンバスタチン+エゼチミブ併用療法の有用性を評価し、両剤併用によりシンバスタチン単剤と比較してLDL-C値が約24%改善することが示された。今回、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のAlon Eisen氏らは、IMPROVE-IT試験のサブ解析により、高リスクと考えられる冠動脈バイパス術(CABG)の既往がある患者に対するエゼチミブの上乗せ効果を検討した。European Heart Journal誌オンライン版2016年8月28日号に掲載の報告。IMPROVE-IT試験のサブ解析、CABG既往の有無で比較 CABG既往歴がある患者の急性冠動脈症候群を発症した際のリスクは、CABG既往歴がない患者と比較して高い。研究者らは、CABG既往歴のある患者がACSで入院した後、スタチン製剤にエゼチミブを加えることの有効性と安全性を評価した。 IMPROVE-IT試験では、ACSを発症し、初診時の平均LDL-C値が93.8mg/dLの患者を無作為化によりシンバスタチン+エゼチミブ群またはシンバスタチン+プラセボ群に割り付けた。主要評価項目は心血管関連死、主要な冠動脈イベント、脳卒中とし、平均追跡期間は6年であった。有効性と安全性の評価項目を以前のバイパスの状態によって評価した。 1万8,134人の患者のうち1,684例(9.3%)がCABGを受けていた(平均年齢69歳、82%が男性)。試験期間中、時間加重平均値は、CABG既往歴がある場合、シンバスタチン+エゼチミブ群で55.0mg/dL、シンバスタチン+プラセボ群で69.9mg/dL(p

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重症/最重症COPD、3剤配合吸入薬の臨床効果/Lancet

 重症/最重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療において、吸入コルチコステロイド(ICS)+長時間作用型β2受容体刺激薬(LABA)+長時間作用型ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)の配合薬の吸入療法は、ICS+LABAよりも良好な臨床ベネフィットをもたらすことが、英国・マンチェスター大学のDave Singh氏らが実施したTRILOGY試験で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌2016年9月3日号(オンライン版2016年9月1日号)に掲載された。GOLDガイドラインは、COPDの増悪歴のある患者には、LAMAまたはICS+LABAを推奨しているが、これらを行っても多くの患者が増悪を来すため、実臨床ではICS+LABA+LAMAの3剤併用療法へと治療が強化されることが多い。このレジメンを簡便化した、プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)+フマル酸フォルモテロール(FF)+グリコピロニウム臭化物(GB)の配合薬の開発が進められている。3剤配合薬の有用性を無作為化試験で評価 TRILOGYは、重症/最重症COPD患者において、BDP/FF/GBとBDP/FFの安全性と有効性を比較する二重盲検実薬対照無作為化試験(Chiesi Farmaceutici SpA社の助成による)。 対象は、年齢40歳以上、気管支拡張薬投与後の1秒量(FEV1)<50%、%FEV1<0.7で、過去1年以内に中等症~重症のCOPD増悪を1回以上発症し、COPDアセスメントテスト(CAT)スコア≧10点、ベースライン呼吸困難指数(BDI)スコア≦10点であり、スクリーニングの前に、ICS+LABA、ICS+LAMA、LABA+LAMA、LAMAによる2ヵ月以上の治療歴がある症候性COPD患者であった。 被験者は、全例が2週間の導入期間にBDP/FFの投与を受けたのち、BDP/FF/GBにステップアップする群またはBDP/FFを維持する群(加圧定量噴霧式吸入器[pMDI]を用いて1日2回吸入)に無作為に割り付けられ、52週の治療が行われた。 主要評価項目は、26週時の投与前(朝)FEV1および投与後2時間のFEV1のベースラインからの変化、呼吸困難変化指数(TDI)スコアの3つとした。副次評価項目は、52週時の中等症~重症のCOPD増悪の割合などであった。 2014年3月21日~2016年1月14日までに、14ヵ国159施設(1次医療機関:18、2次医療機関:99、3次医療機関:28、専門研究機関:14)に、1,368例が登録された。BDP/FF/GB群に687例、BDP/FF群には681例が割り付けられた。呼吸困難の改善効果には差がない 平均年齢は、BDP/FF/GB群が63.3歳、BDP/FF群は63.8歳で、男性がそれぞれ74%、77%を占めた。現在喫煙者は両群とも47%、COPD初回診断後の経過期間は両群とも7.7年であった。 26週時の投与前FEV1は、BDP/FF/GB群がBDP/FF群よりも0.081L改善し(95%信頼区間[CI]:0.052~0.109、p<0.001)、投与後2時間FEV1はBDP/FF/GB群が0.0117L改善した(95%CI:0.086~0.147、p<0.001)。これらのBDP/FF/GB群の優位性は、52週時も維持されていた(いずれも、p<0.001)。 26週時の平均TDIスコアは、BDP/FF/GB群が1.71、BDP/FF群は1.50であり、両群に有意な差は認めなかった(群間差:0.21、95%CI:-0.08~0.51、p=0.160)。 QOL評価では、26週時のSt George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)スコアの臨床的に重要な改善(ベースラインからの4単位以上の低下)の達成率は、BDP/FF/GB群が47%と、BDP/FF群の36%に比べ有意に良好であった(オッズ比[OR]:1.52、95%CI:1.21~1.91、p<0.001)。このBDP/FF/GB群の優位性は、52週時も維持されていた(43 vs.36%、OR:1.33、95%CI:1.06~1.66、p=0.014)。 中等症~重症増悪の補正年間発生頻度は、BDP/FF/GB群が0.41と、BDP/FF群の0.53に比べ有意に23%少なかった(率比:0.77、95%CI:0.65~0.92、p=0.005)。 治療関連有害事象の発現率は、BDP/FF/GB群が54%、BDP/FF群は56%であった。BDP/FF/GB群で、1例に重篤な治療関連有害事象(心房細動)が認められた。 著者は、「BDP/FF/GBは、良好な気管支拡張作用を発揮し、呼吸困難の改善効果は有意ではなかったものの、健康関連QOLおよび中等症~重症の増悪の予防効果は有意に優れた」とまとめ、「本試験は、単一の吸入器を用いた、ICS+LABAからICS+LABA+LAMAの3剤併用療法へのステップアップ治療の、臨床ベネフィットのエビデンスをもたらした初めての研究である」としている。

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中枢性睡眠時無呼吸、経静脈的神経刺激デバイスが有用/Lancet

 経静脈的神経刺激デバイスは、中枢性睡眠時無呼吸の重症度を軽減し、忍容性も良好であることが、米国・Advocate Heart InstituteのMaria Rosa Costanzo氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌2016年9月3日号(オンライン版2016年9月1日号)に掲載された。中枢性睡眠時無呼吸は、呼吸調節中枢からの神経細胞アウトプットの一時的な遮断によって発症し、呼吸刺激の喪失や気流停止を来す。心血管や脳血管疾患など広範な疾患にみられ、酸化ストレスを増強して基礎疾患の進展を促し、不良な転帰をもたらす可能性が示唆されている。remedeシステムと呼ばれる神経刺激療法は、横隔膜を収縮させる神経を経静脈的に刺激して正常呼吸に近づける埋め込み型デバイスである。デバイスの安全性と有効性を無作為化対照比較試験で評価 研究グループは、種々の原因による中枢性睡眠時無呼吸における埋め込み型経静脈的神経刺激デバイスの安全性と有効性を評価する無作為化対照比較試験を行った(Respicardia Inc社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、医学的に安定した状態にあり、ガイドラインが推奨する適切な治療を受け、デバイスの埋め込み術が忍容可能であり、試験要件に応じる意思と能力がある患者で、終夜睡眠ポリソムノグラフ検査で測定した無呼吸低呼吸指数(AHI)が≧20イベント/時の者とした。 被験者は、治療群または対照群に無作為に割り付けられ、すべての患者にデバイスが埋め込まれた。神経刺激装置は、左または右胸部に埋め込まれ、刺激用リードは左心膜横隔静脈または右腕頭静脈に留置された。 治療群は、埋め込み後1ヵ月の受診時にデバイスを作動させ、その6ヵ月後に有効性の主要エンドポイントの評価が行われた。対照群は、この評価が終了するまで、6ヵ月間デバイスを作動させず、評価終了後に作動させた。 有効性の主要エンドポイントは、治療群における6ヵ月時のAHIのベースラインから≧50%の低下とした。安全性の主要エンドポイントは、12ヵ月時の手技・デバイス・治療関連の重篤な有害事象であった。 2013年4月17日~2015年5月28日までに、ドイツの6施設、ポーランドの1施設、米国の24施設に151例が登録された。治療群に73例、対照群には78例が割り付けられ、有効性の主要エンドポイントの評価はそれぞれ68例、73例(ITT集団)で行われた。覚醒反応指数やREM睡眠、QOL、眠気も改善 全体の平均年齢は65(SD 13)歳、男性が89%、白人が95%で、BMIは31.1(SD 6.0)、心拍数は74.1(SD 13.3)拍/分、血圧は124.5(SD 17.9)/74.9(SD 11.0)mmHg、呼吸数は17.4(SD 2.7)回/分であり、AHIは46.2(SD 18.2)イベント/時であった。64例(42%)に、心デバイスが埋め込まれていた。 デバイスの埋め込みは147例(97%)で成功し、解剖学的問題により4例(両群2例ずつ)では埋め込みができなかった。埋め込み術の平均所要時間は2.7(SD 0.8)時間だった。 6ヵ月時に、AHIのベースラインから≧50%の低下を達成した患者の割合は、治療群が51%(35/68例)と、対照群の11%(8/73例)に比べ有意に良好であった(群間差:41%、95%信頼区間[CI]:25~54、p<0.0001)。 PP集団における有効性の副次エンドポイント(中枢性無呼吸指数[CAI]、AHI、覚醒反応指数、睡眠に占めるREM睡眠の割合、患者全般評価[PGA]の健康関連QOLの著明/中等度改善の患者割合、≧4%酸素飽和度低下指数[ODI4]、エプワース眠気尺度[ESS]スコア)のベースラインからの平均変化はすべて、治療群が対照群よりも有意に優れた。 12ヵ月時に、全体の91%(138/151例)では重篤な手技・デバイス・治療関連有害事象を認めなかった。重篤な関連有害事象の発現率は、治療群が8%(6/73例)、対照群は9%(7/78例)であった。 7例が死亡したが、いずれも手技・デバイス・治療とは関連がなかった。このうち4例(両群2例ずつ)は、デバイスが治療群でのみ作動し、対照群では作動していない初回受診から6ヵ月の間に死亡し、3例は全患者が神経刺激療法を受けている6~12ヵ月の間に死亡した。 治療群の27例(37%)が、重篤ではない治療関連有害事象を報告し、このうち26例(36%)はシステムプログラムの簡単な再調整で解決したが、1例(1%)は解決しなかった。 著者は、「このデバイスは、夜間に自動的に作動するため、患者のアドヒアランスの影響を受けず、中枢性睡眠時無呼吸の新たな治療アプローチとなる可能性がある」としている。

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感覚トリックで患者の半数の眼周囲ジストニア症状が緩和

 良性本態性眼瞼痙攣患者や片側顔面痙攣患者の中には、感覚トリックを利用して症状を緩和させている患者もいることが知られている。感覚トリックの利用と重症度およびボツリヌス毒素療法との関連はわかっていなかったが、英国・St Mary's HospitalのCaroline L. S. Kilduff氏らによる前向き横断観察研究の結果、患者の半数は感覚トリックを利用しており、それは重症度と関連していたがボツリヌス毒素療法とは関連していないことが明らかとなったと報告した。今回の研究について著者は、「今後、たとえば感覚トリックの使用についてアドバイスしたり装置を作ったり、治療方針を考えるうえで役に立つかもしれない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2016年9月8日号の掲載の報告。 対象は、2014年1月~6月に、Moorfields Eye Hospitalの附属クリニックで登録された良性本態性眼瞼痙攣患者連続74例および顔半側痙攣患者連続56例。アンケート調査および臨床評価を行い、2015年12月に解析を行った。 主要評価項目は、眼瞼痙攣および片側顔面痙攣の症状を緩和させるために感覚トリックを利用している患者の割合と種類、ジストニアの重症度およびボツリヌス毒素療法の用量や頻度であった。 主な結果は以下のとおり。・感覚トリックの使用率は、眼瞼痙攣患者74例中39例52.7%(平均±標準偏差[SD]70.4±9.1歳)、片側顔面痙攣患者56例中25例44.6%(66.5±12.7歳)であった。・最もよく使用されていた方法は「顔をさわる」(54.7%、35/64例)、次いで「眼を覆う」(9.4%、6/64例)、「歌をうたう」(7.8%、5/64例)、「口を大きく開ける」(7.8%、5/64例)であった。・眼瞼痙攣患者において、感覚トリック使用患者は非使用患者より、Jankovic評価スケールのスコアが高く(スコア中央値:5 vs.4、群間差のホッジス-レーマン推定値中央値:1[95%CI:0~2]、p=0.01)、眼瞼痙攣障害指数重症度スコアも高かった(同:11 vs.4、4[95%CI:1~7]、p=0.01)。・片側顔面痙攣患者において、感覚トリック使用患者は非使用患者より、7項目片側顔面痙攣QOL評価スケールのスコアが高く(スコア中央値:7 vs.3、群間差のホッジス-レーマン推定値中央値:4[95%CI:1~7]、p=0.01)、SMC重症度評価スケールのスコアも高かった(同:2 vs.2、0[95%CI:0~1]、p=0.03)。・ジストニアの重症度は、眼瞼痙攣患者および片側顔面痙攣患者ともに、ボツリヌス毒素療法と相関した(それぞれr=0.23、p=0.049、およびr=0.45、p=0.001)。・感覚トリック使用患者と非使用患者との間で、眼瞼痙攣患者(150 vs.125単位、群間差のホッジス-レーマン推定値中央値:20[95%CI:-10~70]、p=0.15)、および片側顔面痙攣患者(58 vs.60単位、同:0[95%CI:-15~20]、p=0.83)のいずれも、ボツリヌス毒素療法に差はみられなかった。

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NORSTENT試験:人は冠動脈のみにて生くるものにあらず(解説:中川 義久 氏)-594

 「人はパンのみにて生くるものにあらず」という言葉を皆さんは耳にしたことがあると思います。聖書の「マタイによる福音書」の有名な一節です。人は物質的な満足だけを目的として生きるものではなく、精神的なよりどころが必要であるといった意味合いでしょうか。医学界における位置付けは聖書にも近いともされるNEJM誌から、「人は冠動脈のみにて生くるものにあらず」というありがたい教えがもたらされました。 PCIで用いる留置ステントの長期有効性について、冠動脈疾患患者9,013例を対象に、薬剤溶出ステント(DES)とベアメタルステント(BMS)で比較検討しています(NORSTENT試験)。2008年から2011年に、ノルウェーでPCIを受けた全患者が試験対象です。追跡6年時点の主要複合エンドポイント(全死亡、非致死的自然発症心筋梗塞)の発生には有意差はなかったというのが本研究の結論です(DES群16.6%、BMS群17.1%、ハザード比[HR]0.98、95%信頼区間[CI]:0.88~1.09、p=0.66)。項目別にみた場合も有意差はなく、全死亡はそれぞれ7.5% vs.7.4%(HR:1.11、95%CI:0.94~1.32、p=0.21)、非致死的自然発症心筋梗塞も9.8% vs.10.5%(HR:0.89、95%CI:0.77~1.02、p=0.10)でした。冠動脈の狭窄病変を拡張する際に使用するステントがDESかBMSかという小さな差異によって、全死亡という崇高なイベントに影響が及ぶかどうかを検討すること自体に無理があると感じます。生命とはもっと泰然自若としたものなのでしょう。 小生は、PCIの質を少しでも高めようと努力することを否定しているわけではありません。本研究でも、再血行再建術についてはDES群16.5% vs.BMS群19.8%(HR:0.76、95%CI:0.69~0.85、p<0.001)で、ステント血栓症は0.8% vs.1.2%(HR:0.64、95%CI:0.41~1.00、p=0.0498)とDES群で有意に優れていました。このBMSからDESへの進歩は称賛に値するものです。この研究の結果が教えるところは、PCI施行医が患者の生命のカギを握るかのようなおごりを持つことなく、冠動脈だけでなく全人的な視点をもって患者に接することの重要性も示しているように感じるのです。 この一見地味に見える内容がNEJM誌に掲載されるに至った理由を推察してみたいと思います。従来は、DESは有効性(efficacy)に優れるが、安全性(safety)ではBMSのほうが優っているという判断が一般的でした。本研究によって、DESの安全性がBMSに対して劣っていないことが証明されたと考えて良いものと思います。その面では、NEJM誌編集部の判断には、DES使用がBMSに比して生命予後改善効果があることを求めているわけではなく、少なくとも生命予後を毀損していないことが重要であったのでしょう。

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亜急性硬化性全脳炎〔SSPE : subacute sclerosing panencephalitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis: SSPE)は、1934年Dawsonにより急速進行する脳炎として初めて報告された。この疾患は、麻疹に感染してから数年の潜伏期間を経て発症する。発病後は数ヵ月から数年の経過(亜急性)で神経症状が進行し、病巣の性状はグリオーシス(硬化)であり、全脳を侵すことにより、亜急性硬化性全脳炎と呼ばれる。このように潜伏期間が長く、緩徐に進行するウイルス感染を遅発性ウイルス感染と呼び、ほかにはJCウイルスによる進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy: PML)が知られている。根本的治療法は確立されておらず、現在でも予後不良の疾患である。■ 疫学わが国での発症者は、麻疹ワクチンが普及する以前は年間10~15人程度であったが、麻疹ワクチン普及後は減少し、現在は年間5~10人程度となっている。男女比は2 : 1でやや男性に多く、潜伏期間、症状の発症とも女性と比較すると長く、遅くなっている。SSPEの発症年齢は平均12歳で、20代をピークに10~30歳代で96%を占める。麻疹ワクチンによるSSPEの発症は認められておらず、SSPE発症には直接的な麻疹ウイルス(MV)感染が必要であるため、発症予防には麻疹への感染予防が重要であるが、わが国では他の先進国に比べて麻疹ワクチンの接種率が低く、接種率向上が必要である。■ 病因SSPEの発症のメカニズムは現在まで十分には判明していないが、発症に関与する要因として、ウイルス側のものと宿主側のものが考えられている。1)ウイルス側の要因MVの変異株(SSPEウイルスと呼ぶ)が、中枢神経に持続感染することで起こる。SSPEウイルスは野生のMVと比較すると、M遺伝子やF遺伝子の変異が生じている。M遺伝子は、ウイルス粒子形成とカプシドからの粒子の遊離に重要なMタンパク質をコードし、Mタンパク質機能不全のため、SSPEウイルスは、感染性ウイルス粒子を産生できない。そのため隣接する細胞同士を融合させながら、感染を拡大していく。F遺伝子は、エンベロープ融合に関与するFタンパク質をコードし、一般にはSSPEウイルスはFタンパク質の膜融合が亢進しており、神経親和性が高くなっている。2)宿主側の要因幼少期にMV初感染を受けると免疫系や中枢神経系が十分に発達していないため、MVの脳内での持続感染が起こりやすく、SSPE発症リスクが上がる。ほかにSSPE発症に関わる遺伝的要因として、これまでにIL-4遺伝子多型とMxA遺伝子多型が報告されている。IL-4は、ヘルパーT細胞のTh1/Th2バランスをTh2(抗体産生)側に傾けるサイトカインで、SSPE患者ではIL-4産生が多いタイプの遺伝子多型を持つことが多いために、IL-4産生が亢進してTh2側に傾き、細胞傷害性T細胞の活性が抑えられて、MVの持続感染が起こりやすくなっていると考えられている。また、SSPE患者はインターフェロンによって誘導され、細胞内でのウイルス増殖を抑える機能を持つ、MxAの産生が多くなる遺伝子多型を持つことも知られている。MxA産生が多いと、中枢神経系のMV増殖が抑制され、MVに感染した神経細胞が免疫系から認識されにくくなり、中枢神経系での持続感染が起こりやすくなると考えられている。■ 症状と特徴初発症状として、学校の成績低下、記憶力低下、行動の異常、性格の変化があり、その後、歩行障害、ミオクローヌス、痙攣、自律神経症状、筋固縮を来し、最終的には無言・無動となり、死に至ることが多い。これらの症状の分類には、Jabbourが提唱した臨床病期分類が一般的に用いられる。■ Jabbourの分類第1期精神神経症状性格変化(無関心、反抗的)、学力低下、行動異常など第2期痙攣および運動徴候痙攣のタイプは全身強直発作、失神発作、複雑部分発作など運動徴候として運動機能低下、不随意運動(SSPEに特徴的な四肢の屈曲や進展を反復するミオクローヌス)第3期昏睡に至る意識障害の進行、筋緊張の亢進、球症状の出現による経口摂取困難、自律神経症状など第4期無言無動、ミオクローヌス消失全経過は通常数年だが、数ヵ月以内に死に至る急性型(約10%)、数年以上の経過を示す慢性型(約10%)がある。■ 予後SSPE症例は、無治療の場合は約80%が亜急性の経過をたどり、約1~3年の経過で第1期から第4期の順に進行し死亡する。約10%は発症後急速に進行し、3ヵ月以内に死亡する。また、残り約10%の進行は緩徐で、約4年以上生存する。無治療で寛解する症例や、寛解と増悪を繰り返す症例も報告されている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断は、臨床症状を軸に血液、髄液、脳波、画像検査を統合して行う。■ 特徴的な検査所見1)麻疹抗体価血清および髄液の麻疹抗体価が上昇する。髄液麻疹抗体価の上昇はSSPEに特異的であり、検出されれば診断的意義が高い。SSPE患者の抗体価は異常高値が特徴とされたが、最近では、軽度上昇にとどまる症例も多く、注意が必要である。また、抗体価の推移と臨床経過は必ずしも一致しない。2)髄液検査多くの場合は細胞数・糖・蛋白とも正常だが、細胞数・蛋白が軽度上昇することもある。また、髄液IgGおよびIgG indexの上昇も認める。3)脳波検査Jabbour2期から3期にかけて、左右同期性または非同期性で3~20秒間隔で出現する周期性同期性高振幅徐波をほとんどの症例で認めるが、Jabbour4期になると消失する(図)。画像を拡大する4)画像検査MRIは、疾患の推移を評価するのに有用である。画像変化は臨床病期とは一致せず、主に罹患期間に依存する。病初期のMRI所見では、正常または後頭葉の皮質・皮質下に非対称なT2強調画像での高信号の病変を認める。病期の進行とともに脳萎縮が進行し、側脳室周囲に対称性の白質病変が出現・拡大する。5)病理病理所見の特徴は、灰白質と白質の両方が障害される全脳炎であることと、線維性グリオーシスにより硬化性変化を示すことである。組織学的には、軟膜と血管周囲の炎症細胞浸潤、グリア細胞の増生、ニューロンの脱落および神経原線維変化の形成、脱髄などの所見がみられる。炎症所見は、発症からの経過が長いほど乏しくなる。麻疹ウイルス感染に関連した所見として、核内および細胞質の封入体を認める。■ 鑑別診断SSPEは急速に進行する認知症、ミオクローヌス、痙攣などを来す疾患の一部であり、ADEM(acute disseminated encephalomyelitis)、亜急性および慢性脳炎、脳腫瘍、多発性硬化症、代謝性白質脳症、進行性ミオクローヌスてんかんなどが鑑別に挙がる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ イノシンプラノベクスイノシンプラノベクス(商品名: イソプリノシン)は、抗ウイルス作用と免疫賦活作用を併せ持つ薬剤で、保険適用薬として認可されている。通常50~100mg/kg/日を3~4回に分割し、経口的に投与する。これにより生存期間の延長が得られるとされている。副作用として、血中および尿中の尿酸値の上昇(18.8%)があり、注意を要する。■ インターフェロン(IFN)インターフェロンは、ウイルス増殖阻害作用を持つ薬剤であり、IFNα、IFNγともに保険適用薬として認可されている。イノシンプラノベクスとの併用により有効であったとの報告例を多数認める。通常100~300万単位を週1~3回、脳室内に直接投与する。副作用として一過性の発熱をほぼ全例で認める。頻度は低いが、アレルギー反応を来す症例も認める。イノシンプラノベクス経口投与とIFN髄腔内または脳室内投与を併用するのが一般的で、有効性は言われているものの進行を阻止した例はまれであり、治療効果として不十分と考えられている。■ リバビリン近年、研究的治療(保険適用外)として、リバビリンの髄腔内または脳室内投与療法が試みられている。リバビリンは、広い抗ウイルススペクトラムを有する薬剤であり、麻疹(SSPE)ウイルスに対しても優れた抗ウイルス効果を示す。直接脳室内に投与することで、髄液中のリバビリン濃度はウイルス増殖を完全に抑制する濃度に維持され、重篤な副作用を認めず、少数例ではあるが臨床的有効性が報告されている。しかし、病初期(Jabbour2期)に投与した症例においては、臨床症状に明らかな改善を認めたとする報告が多く、病期の進行した症例(Jabbour3期)では改善効果に乏しかったとする報告が多い。以上のことから、リバビリン療法は、リバビリンがウイルスの増殖を抑制して病期の進行を抑制する治療法であり、進行した神経障害を改善させるものではないと考えられている。■ 対症療法上記の治療のほかには対症療法として、ミオクローヌスのコントロールや呼吸管理、血圧コントロールなどの対症療法を行っていく必要がある。4 今後の展望SSPEの重症度の評価として、新たにトリプトファン代謝の主要経路であるキヌレニン経路の代謝産物の髄液中濃度について検討されている。SSPE群では対象例と比較し、髄液中のキノリン酸濃度が有意に高値であり、病期の進行とともに増加が認められている。代謝産物であるキノリン酸の増加はキヌレニン経路の活性化が示唆され、その活性化はSSPEにおける変異型麻疹ウイルスの持続感染に関与している可能性がある。さらにキノリン酸は NMDA型グルタミン酸受容体アゴニストとして興奮性神経毒性を持つため、SSPEにおける神経症状との関係が示唆されている。また、前述したが、研究的治療としてリバビリン髄腔内または脳室内投与が有望である可能性が考えられている。具体的な投与方法として、リバビリン1mg/kg/回、1日2回、5日間投与から開始し、1回量、投与回数を調整し、髄液リバビリン濃度を目標濃度(50~200μg/mL)にする。投与量が決定したら、5日間投与・9日間休薬を12クール(6ヵ月)継続するものとなっている。効果としては、国内で詳細に調査された9例において、治療前後の臨床スコアの平均は前が52.9、後が51.0であり、治療前後で有意差は認めなかった。しかし、イノシンプラノベクスとIFNの併用療法を施行された48症例では治療前後の臨床スコアは前が54.3、後が61.1と悪化を認めており、リバビリン脳室内投与群のほうが優る結果となっている。しかしSSPEは、症例により異なる経過をたどり、その経過も長いため、多数例の調査を行ったうえでの慎重な判断が必要である。5 主たる診療科神経内科および小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 亜急性硬化性全脳炎(一般利用者向けと医療従事者むけのまとまった情報)プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班(医療従事者向けの情報)患者会情報SSPE青空の会(SSPE患者とその家族の会)1)厚生労働省難治性疾患克服研究事業 プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班. 亜急性硬化性全脳炎(SSPE)診療ガイドライン(案)2)平成27年度(2015年度)プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班 総括研究報告書3)Gutierrez J, et al. Dev Med Child Neurol.2010;52:901-907.公開履歴初回2014年05月19日更新2016年09月20日

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授乳中の抗精神病薬使用、適切な安全性評価が必要

 授乳中の抗精神病薬使用に関する授乳論文の品質を確認するため、オランダ・フローニンゲン大学のHazel Hummels氏らは、米国FDAやInternational Lactation Consultant Association(ILCA)ドラフトガイドラインに従って検討を行った。European journal of clinical pharmacology誌オンライン版2016年8月24日号の報告。 授乳中の抗精神病薬使用を含む論文の品質を確認するため、FDAドラフト、ILCAガイドランを用いた。PubMed、Lactmedより文献検索を行った。さらなる研究は、相互参照により検索を行った。 主な結果は以下のとおり。・51件の研究が抽出された。オランザピン1件、クエチアピン1件のみが、ミルク血漿比(M:P比)、絶対幼児投与量(AID)、相対幼児投与量(RID)を正しく計算していた。・その他の研究については、3つのエンドポイントのうち1つ以上が適切に決定されていなかった。・クロルプロマジン、chlorprothixene、クロザピン、ハロペリドール、スルピリド、trifluoperazine、ziprasidone、ゾニサミド、zuclopenthixolについては、正しいエンドポイントが計算されていなかった。・本レビューでは、母乳の採取方法に関する情報の欠如があった。・また、3つのエンドポイントの計算に必要な濃度は、単回投与中に5回以上の測定ではなく、主に単一測定に基づいていた。・多くの研究において、RIDは事実上、正しく計算されていなかった(母体中で正規化されていないまたは平均母体中70kgを標準的に使用)。 著者らは「2つの研究を除き、ほとんどの研究は、授乳中の抗精神病薬使用の安全性に関して、FDAドラフト、ILCAガイドライン基準を満たしていなかった。授乳しながら抗精神病薬を投与した際の安全性を評価するさらなる研究が必要である」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬服用中の授乳、安全性は 統合失調症女性の妊娠・出産、気をつけるべきポイントは 授乳中の気分安定薬は中止すべきか

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生体吸収性スキャフォールド2年の結果:ABSORB Japan試験

 生体吸収性スキャフォールド(以下、BVS:Bioregradable Vascular Scaffold)Absorb BVSの日本人試験であるABSORB Japan研究の2年の結果が発表された。Euro Intervention誌オンライン版2016年7月6日号の掲載報告。筆頭著者は、エラスムス大学Thoraxcenterの小沼 芳信氏。 BVSには遠隔期の血管内腔拡大、プラーク減少といった長期的な利益が期待され、近年の4つのRCT試験(ABSORB II、III、Japan、China)でBVSはコバルトクロム製エベロリムス溶出ステント(以下、CoCr-EES)に対し、1年間の非劣性を示している。長期イベントについては1年を超えるエビデンスはほとんどないものの、ケースレポートなどで超遅発性ステント・スキャフォールド血栓(以下、VLST)が報告されている。 ABSORB Japan研究は、BVSとCoCr-EESを比較した日本での多施設無作為化単盲検比較非劣性試験。今回、筆者らは2年のBVSとCoCr-EESの臨床効果を比較するとともに、OCTとIVUSのイメージングサブスタディ(125例を無作為に割り付け)を実施し、VLSTのメカニズムなどを分析した。主要評価項目は、標的病変不全(以下、TLF:Target Lesion Failure)。 主な結果は以下のとおり。・被験者はBVS群266例とCoCr-EES群134例に2:1で無作為に割り付けられた。・2年間の追跡調査の対象はBVS群261例、CoCr-EES群130例であった。・TLF発生率はBVS群7.3%、CoCr-EES群3.8%とCoCr-EES群で低かったが、統計学的な有意には至らなかった(p=0.18)。・2年間のST発生率はBVS群3.1%、CoCr-EES群1.5%とCoCr-EES群で低かったが、統計学的な有意には至らなかった(p=0.51)。・1年後以降のVLST発現率はBVS群1.6%(4例)、CoCr-EES群ではみられなかった。・BVS群のVLST4例のうち1例は抗血小板治療が行われていなかった。残りの3例のOCT所見ではストラット断絶(discontinuity)、ステント不完全圧着(malapposition)、非被覆ストラット(uncovered strut)が観察された。4例ともに比較的大きな参照血管直径の部位で発生していた。・ストラットが被覆されステント不完全圧着が最小限な症例では2年後の血管治癒はBVS、CoCr-EESともにほぼ完全であった。 BVSの金属ステントとの比較、VLSTのメカニズムについてはさらなる研究が必要であると筆者らは述べている。【訂正のお知らせ】本文内の表記を一部訂正いたしました(2016年9月20日)。(ケアネット 細田 雅之)原著論文はこちらOnuma Y, et al. EuroIntervention. 2016;12:1090-1101.関連医療ニュース 生体吸収性スキャフォールド(BRS)の現状と今後の期待 生体吸収性スキャフォールド、中長期の臨床成績 スキャフォールド血栓症の傾向と対策 生体吸収性スキャフォールド留置5年の追跡結果 生体吸収性スキャフォールドの1年転帰:4つのABSORBメタ解析/Lancet 生体吸収性スキャフォールド、ABSORB IIIの結果/NEJM 新たな生体吸収性ステントは金属ステントと同等/Lancet

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コントロール不良の重症喘息にbenralizumabは有用/Lancet

 好酸球増多を伴うコントロール不良な重症喘息の治療において、benralizumabは患者アウトカムを改善する可能性があることが、米国・ウェイクフォレスト大学のEugene R Bleecker氏らが実施したSIROCCO試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年9月2日号に掲載された。重症喘息の増悪は生命を脅かし、QOLを低下させる。好酸球増多は、喘息の重症度の悪化や肺機能の低下をもたらし、喘息増悪の頻度を上昇させる。benralizumabは、インターロイキン(IL)-5受容体αに対するモノクローナル抗体であり、抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(ADCC)によって好酸球を抑制するという。増悪を繰り返す重症例が対象のプラセボ対照無作為化試験 SIROCCO試験は、好酸球増多を伴うコントロール不良な重症喘息の治療におけるbenralizumabの有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験(AstraZeneca社、Kyowa Hakko Kirin社の助成による)。 対象は、年齢12~75歳、体重40kg以上で、登録の1年以上前に、医師によって中/高用量の吸入コルチコステロイド(ICS)+長時間作用型β2刺激薬(LABA)を要する喘息と診断され、登録前の1年以内に、コルチコステロイドの全身療法または維持量の経口コルチコステロイドの一時的な増量を要する増悪を2回以上発症した患者であった。 被験者は、標準治療に加え、benralizumab 30mgを4週ごとに投与する群、同8週ごとに投与する群(最初の3回は4週ごとに投与)、プラセボを4週ごとに投与する群に無作為に割り付けられ、48週の治療が行われた。 主要評価項目は、血中好酸球数が300個/μL以上の患者における、プラセボ群と比較した増悪の年間発症率の率比とし、主な副次評価項目は、48週時の気管支拡張薬投与前の1秒量(FEV1)および喘息症状スコアとした。 2013年9月19日~2015年3月16日までに、17ヵ国374施設に1,204例が登録され、benralizumab 4週ごと投与群に399例、同8週ごと投与群に398例、プラセボ群には407例が割り付けられた。2つの投与法とも年間喘息増悪率が改善 ベースラインの平均年齢は、benralizumab 4週ごと投与群が50.1歳、同8週ごと投与群が47.6歳、プラセボ群は48.7歳で、女性がそれぞれ69%、63%、66%を占めた。血中好酸球数が300個/μL以上の患者は、275例、267例、267例であり、これらの患者が主要評価項目の解析の対象となった。 48週時の年間喘息増悪率は、プラセボ群に比べ4週ごと投与群(率比[RR]:0.55、95%信頼区間[CI]:0.42~0.71、p<0.0001)および8週ごと投与群(RR:0.49、0.37~0.64、p<0.0001)とも有意に低下した。 benralizumabの2つの投与レジメンは、いずれもプラセボ群に比し、48週時の気管支拡張薬投与前FEV1が有意に改善された(ベースラインからの最小二乗平均の差=4週ごと投与群:0.106L、95%CI:0.016~0.196、8週ごと投与群:0.159L、0.068~0.249)。 喘息症状は、プラセボ群に比べ8週ごと投与群(ベースラインからの最小二乗平均の差:-0.25、95%CI:-0.45~-0.06)は有意に改善したが、4週ごと投与群(同:-0.08、-0.27~0.12)では有意な差を認めなかった。 最も頻度の高い有害事象は、喘息増悪(benralizumab治療群:13%[105/797例] vs. プラセボ群:19%[78/407例])および鼻咽頭炎(12%[93/797例] vs. 12%[47/407例])であった。 著者は、「これらの知見は、benralizumabが、好酸球増多を伴うコントロール不良な重症喘息の新たな治療選択肢となることを支持するもの」と指摘している。

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