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LG入りヨーグルトがアスピリン誘発小腸傷害を軽減

 アスピリン誘発小腸傷害に対するプロバイオティクスの効果はまだ十分に検討されていない。今回、東海大学の鈴木孝良氏らが実施したプラセボ対照二重盲検比較試験で、ラクトバチルスガセリOLL2716(LG)が、アスピリン誘発小腸傷害の軽減および消化管症状の緩和に有用であることが示された。Digestion誌2017年1月号に掲載。 本試験では、アスピリンを1ヵ月以上投与された64例の患者が登録され、LG入りヨーグルト(112mL)またはプラセボを1日2回6週間摂取した。小腸傷害はヨーグルト摂取の前後のカプセル内視鏡検査によって評価した。また、患者の症状への効果についても、摂取前後にFSSG(Frequency Scale for the Symptoms of GERD)とGSRS(Gastrointestinal Symptom Rating Scale)の質問票を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の患者特性および小腸粘膜傷害の数について、2群間に有意な差はなかった。・LG群ではプラセボ群に比べ、6週間後の小腸粘膜傷害や発赤が有意に少なかった(p<0.01)。・FSSGおよびGSRSのスコアもLG群では有意に改善し、プラセボ群では改善しなかった。

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アテゾリズマブ 尿路上皮がんの1次治療に申請:シスプラチン不適患者に

 スイスRoche社は2017年1月9日、FDA(米国食品医薬品局)がアテゾリズマブの生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)と優先審査を受理したことを発表した。対象はシスプラチンによる化学療法の適用がない局所進行または転移性尿路上皮がんで、前治療歴なし(1次治療)、あるいは術前・術後補助化学療法12ヵ月以降で病勢進行した患者。 このアテゾリズマブに関するsBLAの提出はIMvigor210試験を基にしており、FDAは2017年4月30日までに結論を出す予定。 IMvigor210試験は単群の第II相試験で、局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対するアテゾリズマブの安全性と効果をBD-L1発現にかかわらず評価している。対象患者はコホート1と2の2つのコホートに登録された。今回の申請の基となったのは、シスプラチン適用のない未治療(1次治療)または術前術後補助化学療法12ヵ月以降で病勢進行した患者を対象としたコホート1。 アテゾリズマブは2016年5月、FDAにより、既治療の進行膀胱がんに対して30年ぶりに認められた。尿路上皮がんは、腎盂、尿管、尿路にみられ、膀胱がんの90%を占めている。■参考Roche社:プレスリリースIMvigor210試験 コホート1(ClinicalTrials.gov)■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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ニボルマブ 標準治療不応の胃がんに良好な効果(ONO-4538-12 試験):ASCO-GI 2017

 小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は2017年1月20日、標準治療が不応または不耐の切除不能な進行または再発胃がん患者を対象に実施したニボルマブ(商品名:オプジーボ)の無作為化二重盲検第III相臨床試験(ONO-4538-12試験)の結果が、2017 Gastrointestinal Cancer Symposium(ASCO-GI 2017)で発表されたことを明らかにした。 ONO-4538-12 試験は、日本、韓国、台湾において、標準治療が不応または不耐の切除不能な進行または再発胃がん(食道胃接合部がんを含む)患者を対象にONO-4538(ニボルマブ)の有効性および安全性について、プラセボ群を対照として実施された多施設共同第III相臨床試験である。主要評価項目は全生存期間(OS)。副次的評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、安全性等が含まれた。本試験では、過去に2回以上の化学療法後に不応であり、ECOG PS 0~1で20歳以上の上記患者493例を3mg/kgのニボルマブ(n=330)とプラセボ(n=163)に2:1 の比率で無作為に割り付け、病勢進行、もしくは高度な有害事象などの発現が認められるまで2週間ごとに投与された。 本臨床試験の最終解析において、ニボルマブ群がプラセボ群に対して主要評価項目である全生存期間(OS)の有意な延長を示した(HR:0.63、95%CI:0.50~0.78、p<0.0001)。最後に患者が無作為化されてから5.6ヵ月後のOS中央値はニボルマブ群で5.32ヵ月、プラセボ群で4.14ヵ月であった。12ヵ月全生存率は、ニボルマブ群で26.6%、プラセボ群で10.9%、6ヵ月全生存率は、ニボルマブ群で46.4%、プラセボ群で34.7%であった。副次的評価項目であるORRは、ニボルマブ群で11.2%(95%CI:7.7~15.6)、プラセボ群で 0%(95%CI:0.0~2.8)(p<0.0001)であった。PFS中央値は、ニボルマブ群で1.61ヵ月、プラセボ群で1.45ヵ月であった(HR:0.60、95%CI:0.49~0.75、p<0.0001)。Grade3 以上の薬剤関連有害事象(AE)は、ニボルマブ群の11.5%、プラセボ群の5.5%で発現した。薬剤関連AE(Gradeを問わず)による投与中止は、ニボルマブ群で2.7%、プラセボ群の2.5%であった。本臨床試験のデータは、米国サンフランシスコで開催された 2017 GastrointestinalCancer Symposium(ASCO-GI 2017)にて発表された。(ケアネット 細田 雅之)参考ブリストルマイヤーズスクイブ社・小野薬品工業:ニューススリリース(PDF)ASCO-GI 2017の発表ONO-4538-12試験(ClinicalTrials.gov)

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軟性S状結腸鏡検査、60歳以上の女性では効果なし?/BMJ

 軟性S状結腸鏡検査による大腸がんスクリーニングは、大腸がん発症リスクを男性では24%、女性では17%の減少効果があったものの、年齢別にみると60歳以上の女性については同スクリーニングによる大腸がん発症リスクの抑制効果は認められなかった。ノルウェー・Sorlandet Hospital KristiansandのOyvind Holme氏らが、被験者総数約29万例を対象に行ったプール解析で明らかにしたもので、BMJ誌2017年1月13日号で発表した。軟性S状結腸鏡検査スクリーニングは、無作為化試験で、大腸がんへの有用性が示されているが、年齢および性別にみたスクリーニング効果は不明であった。米国、イタリア、ノルウェーの無作為化試験をプール解析 研究グループは、3つの無作為化試験(米国のPLCO試験[Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian cancer screening trial]、イタリアのSCORE試験[Screening for Colon and Rectum trial]、ノルウェーのNORCCAP試験[Norwegian Colorectal Cancer Prevention trial])についてプール解析を行い、軟性S状結腸鏡検査による大腸がんスクリーニングについて、性別、年齢別の有効性を検証した。 被験者の年齢は、PLCO試験が55~74歳、SCORE試験が55~64歳、NORCCAP試験が50~64歳だった。各試験の介入群は、SCORE試験とNORCCAP試験では1回、PLCO試験では2回の軟性S状結腸鏡検査によるスクリーニングを受けた。対照群はいずれも0回だった。大腸がん死亡リスク、女性では60歳未満で低下 被験者総数28万7,928例を対象にプール解析を行った。被験者のうち、軟性S状結腸鏡検査によるスクリーニングを受けた人は11万5,139例、スクリーニングなしで通常のケアを受けた人は17万2,789例だった。追跡期間の中央値は、10.5~12.1年だった。 同スクリーニングにより、男性の大腸がんの相対リスクは、0.76(95%信頼区間:0.70~0.83)、女性は0.83(同:0.75~0.92)に減少した。男性については、60歳未満と60歳超では、スクリーニングの有効性に差は認められなかった。 一方女性では、60歳未満では同スクリーニングにより大腸がんの相対リスクは0.71(同:0.59~0.84)に減少したが、60歳以上については、同リスクの有意な減少は認められなかった(相対リスク:0.90、同:0.80~1.02)。また、大腸がん死亡率も、男性では年齢にかかわらず有意に減少し、女性では60歳未満において有意に減少した。 大腸がんの部位別にみると、遠位部の発症についてはスクリーニングの効果は男女で同程度であったが、近位部では性および年齢間に有意な交互作用が認められた(p=0.04)。 著者は、「スクリーニングの有益性は60歳以上女性では小さくまた統計的に有意ではなかった。同集団について、近位部腫瘍検出のより効果的なスクリーニング法を検討する必要がある」と述べている。

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歩くのが遅いと認知症リスク大

 歩行速度は、将来の認知症を予測する良い因子である。東京都健康長寿医療センター研究所の谷口 優氏らは、日本人高齢者の歩行性能軌道パターンを特定し、歩行性能が認知症と関連しているかを検討した。Journal of the American Medical Directors Association誌2017年2月号の報告。 2002~14年の日本における集団ベースフォローアップ観察プロスペクティブ研究として実施された。65~90歳の認知症でない高齢者1,686人(平均年齢:71.2歳[SD:5.6]、女性比:56.3%)を対象に、2002年6月~2014年7月まで毎年、老人保健調査を行った。追跡調査数の平均は3.9、総観察数は6,509件であった。歩行性能は、通常および最大速度での歩行速度と歩幅を測定することにより評価した。日本の公的介護保険制度のデータベースを調査したところ、2014年12月までに196人(11.6%)が認知症を発症していた。 主な結果は以下のとおり。・通常と最大速度での歩行速度と歩幅より高・中・低の3つの軌道パターンを特定した。これら歩行パターンは、男女間で同様に減少した。・重要な交絡因子で調整したのち、通常ベースの歩行速度と歩幅の低パターン群における認知症発症率は、それぞれ3.46(95%CI:1.88~6.40)、2.12(95%CI:1.29~3.49)倍であった。・最高速度ベースの歩行速度と歩幅の低パターン群における認知症発症率は、それぞれ2.05(95%CI:1.02~4.14)、2.80(95%CI:1.48~5.28)倍であった。 著者らは「歩行速度および歩幅の3つの主要パターンは、ベースラインのレベルにかかわらず、年齢関連変動を示す傾向があった。歩行速度および歩幅の低パターン高齢者は、認知症リスクが高いため、歩行能力改善のための介入が重要である」としている。関連医療ニュース 米国の認知症有病率が低下、その要因は 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン 認知症者はどの程度活動性が落ちているか

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ペムブロリズマブ 肺がん1次治療の適応さらなる拡大へ:化学療法との併用で

 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. は2017年1月10日、FDA(米国食品医薬品局)がペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したことを発表した。この申請は、同社の抗PD-1 抗体ペムブロリズマブと化学療法(ペメトレキセド+カルボプラチン)の併用を、PDーL1発現の有無にかかわらず(EGFRおよびALK変異のない)転移性・進行の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療とするというもの。 これはペムブロリズマブが他の治療法との併用で承認を目指す初めての申請となる。この申請では、ペムブロリズマブ200mg(固定容量)と、ペメトレキセド500mg/m2+カルボプラチンAUC5 の3週ごと4サイクルの併用についての迅速承認を求めている。申請の基礎となったKEYNOTE-021 part2 コホートGは、123例のEGFRおよびALK変異のない未治療の非扁平上皮NSCLCで、PDL1発現にかかわらない患者に対して行われた。 ペムブロリズマブは、PD-L1高発現(50%以上)で、EGFRおよびALK変異陰性のNSCLCの1次治療に承認されている。また、PD-L1発現1パーセント以下の場合、EGFRおよびALK変異陰性例では、プラチナを含む化学療法で病勢進行した患者に、EGFRおよびALK変異陽性例では、承認された各治療で病勢進行した患者での適応を有している。(ケアネット 細田 雅之)MERCK(米国)のニュースリリースはこちら関連情報ペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善:ESMOKEYNOTE-021試験(ClinicalTrials.gov)

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ADHD治療薬は将来のうつ病発症に影響するか

 注意欠如・多動症(ADHD)は、うつ病を含む精神疾患を高率に合併するといわれている。しかし、ADHD治療薬がうつ病リスクの増減と関連するかは不明である。スウェーデン・カロリンスカ研究所のZheng Chang氏らは、ADHD治療薬の投与とうつ病との関連を検討した。Biological psychiatry誌2016年12月15日号の報告。 対象は、1960~98年にスウェーデンで生まれ、ADHDの診断を受けた患者3万8,752例。ADHD治療薬の処方、うつ病および他の精神疾患の診断、集団ベースのレジスタから得た人口統計学的要因に関するデータを入手した。ADHD治療薬の投与とうつ病との関連は、Cox比例ハザード回帰分析を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・人口統計学的および臨床的交絡因子で調整後、ADHD治療薬の投与は、うつ病の長期リスク(3年後)低下との関連が認められた(HR:0.58、95%CI:0.51~0.67)。・ADHD治療薬の投与期間が長いほど、うつ病リスクは低かった。・また、ADHD治療薬の投与は、うつ病合併率の低下と関連しており、未投与患者と比較し、うつ病発症率が20%低下していた(HR:0.80、95%CI:0.70~0.92)。 著者らは「ADHD治療薬の投与は、その後のうつ病リスクを増加させないことが示唆された。むしろ、ADHD治療薬の投与は、その後のうつ病合併率の低下と関連していた」としている。関連医療ニュース ADHD発症や重症度にビタミン摂取が関連 成人ADHD、世界の調査結果発表 2つのADHD治療薬、安全性の違いは

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ハイリスクな僧帽弁逆流症に対するTMVR―その有効性と安全性

 症候性の僧帽弁逆流症(MR)は罹患率および死亡率が高い。外科的な修復および弁置換術で改善が期待できるにもかかわらず、多くのMR患者は外科手術を受けていない。カテーテルを用いた僧帽弁置換術(Transcatheter mitral valve replacement:TMVR)は、重症のMR患者に対して選択肢となりうると考えられている。St.Vincent’s Hospital(シドニー、オーストラリア)のDavid W.M.Muller氏らによる本研究は、開心術がハイリスクと考えられる自己弁のMR患者に対して、TMVRが有効かつ安全であるかを評価する目的で行われた。Journal of the American College of Cardiology誌2016年12月号の掲載。全身麻酔下での左側胸アプローチ、小開胸、心尖部アプローチ 患者はオーストラリア、米国、ノルウェーの8つの施設で登録された。全身麻酔下での左側胸アプローチで、小開胸後、カテーテルを用いて自己拡張型の僧帽弁デバイスが心尖部から植込まれた。前向きレジストリによる、短期および30日のアウトカムが調査された。人工僧帽弁に使用されたTendyne僧帽弁システムは、ニチノール(ニッケル・チタン形状記憶合金)で作成された自己拡張型僧帽弁である。植込みの成功率は93.3% 重症度III~IVのMRを有する患者30例(平均年齢:75.6±9.2歳、25例が男性)がTMVRを受けた。MRの原因は二次性(23例)、一次性(3例)、そして両方の混合型(4例)であった。STS-PROM(米国胸部外科学会死亡リスク予測因子)のスコアは、7.3±5.7%であった。デバイスの植込みは28例(93.3%)で成功した。急性期の死亡、脳梗塞、心筋梗塞は認められなかった。TMVRから13日後、院内肺炎により1例が死亡した。また、フォローアップ中に1例で人工弁の血栓症が認められたが、ワルファリンによる抗凝固で消失した。30日後の時点の経胸壁エコーにおいて、TMVRによって人工弁が植込まれた27例の内、I度の中心性MRが1例で認められたが、残りの26例においては、残存MRは認められなかった。左室の拡張末期容積係数(90.1±28.2 mL/m2ベースラインvs.72.1±19.3 mL/m2フォローアップ、p= 0.0012)および左室収縮末期容積係数は減少した(48.4±19.7 mL/m2 vs.43.1±16.2 mL/m2、p=0.18)。75%の患者は軽症もしくは無症候にまで改善 フォローアップの時点で、75%の患者は軽度の症状もしくは無症状と報告した(NYHA分類 I度またはII度)。30日間における心臓血管に伴う死亡、脳梗塞および植込み弁の異常がなく、植込みが成功した患者は86.6%であった。 登録された患者において、TMVRは症状を伴った自己弁のMRの患者に対して有効かつ安全であった。著者らは僧帽弁のためにデザインされた人工弁を用いたTMVRのさらなる評価が必要であるが、この侵襲的手技によって、ハイリスクな僧帽弁逆流症患者の満たされていないニーズが改善される可能性がある、と結論付けている。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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治療耐性転移性乳がんの遺伝子変異、原発腫瘍と異なる

 Dana-Faber Cancer Instituteの大規模腫瘍組織分析によれば、初発部位を超えて広がる薬剤耐性のER陽性乳がんでは、原発腫瘍と異なる遺伝子変異を有することが明らかになった。新たな薬剤標的の探索と、転移がんの治療を受ける患者に影響を与えるこの結果は、昨年(2016年)のサン・アントニオ乳がんシンポジウムで発表された。 本研究では、130例のER陽性転移性乳がんの腫瘍サンプルと、34例の治療前の原発腫瘍サンプルが分析された。研究者らは、これらの乳がんサンプルに対し、全エクソームとトランスクリプトームの大規模な並列シーケンスを行った。 全エクソームシークエンスの結果、転移腫瘍のサンプルではESR1、ERBB2、PIK3CA、PTEN、RB1、AKT1の遺伝子の変異が多いことが示された。Dana-Faber Cancer Instituteのニュースリリースはこちら

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減塩政策、世界中で高い費用対効果/BMJ

 政府が基準を設けて推奨する減塩加工食品生産と、国民への減塩喚起キャンペーンを組み合わせた自主的取り組みを促す減塩政策(soft regulation policy)は、世界中で高度な費用対効果をもたらしていることが示された。米国・スタンフォード大学のMichael Webb氏らが、183ヵ国の政策と費用対効果を定量化し明らかにした。BMJ誌2017年1月10日号掲載の報告。183ヵ国のsoft regulation policyの取り組みを評価 世界各国のsoft regulation policyは、成功したとされる近年の英国のプログラムをモデルとしている。各国の取り組みの減塩目標にはばらつきがあり、評価に当たっては、10年間に達成されたナトリウム摂取量減少10%、30%、0.5g/日、1.5g/日などさまざまなシナリオを包含して分析した。 183ヵ国のナトリウム摂取量、血圧値、血圧へのナトリウムの影響、心血管疾患への血圧の影響、2010年の心血管疾患率を、それぞれ年齢および性別で特徴付けた。国別のsodium reduction policyの費用は、World Health Organization Noncommunicable Disease Costing Toolで推算し、国別の死亡・障害調整生存年数(DALY)を比較リスク評価法でモデル化した。今回、研究グループは、プログラム費用のみを評価し、イベント予防による医療費削減は評価に組み込まなかった。 主要評価項目は、費用対効果比で、10年間のDALY当たりの費用を国際的な通貨ドルで換算して評価した。99.6%の国が高度な費用対効果を享受 世界中で、10年間でナトリウム摂取量の10%減少が、心血管疾患関連の約580万DALYs/年を回避すると見積もられた。 10年間の介入の1人当たりの人口加重平均で求めた費用は1.13ドルであり、人口加重平均で求めた費用対効果比は、約204ドル/DALYであった。 世界の9地域のうち、減塩の費用対効果が最も優れていたのは南アジア地域で推算116ドル/DALYであった。人口の多い上位30ヵ国では、ウズベキスタン(26.08ドル/DALY)とミャンマー(33.30ドル/DALY)が優れていた。 費用対効果が低かったのは、オーストラリア/ニュージーランドで880ドル/DALY、0.02×GDP/人であった。しかし、費用対効果の介入の標準閾値(<3.0×GDP/人)よりはかなり良好で、高度な費用対効果(<1.0×GDP/人)であった。 今回評価を行った各国生存成人の大半(96.0%)が、また、99.6%の国が、<1.0×GDP/人の費用対効果比を有していた。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第34回

第34回:脳転移、せん妄…緩和ケアの話キーワード脳転移せん妄LancetJAMA Intern MedMulvenna P, et al. Dexamethasone and supportive care with or without whole brain radiotherapy in treating patients with non-small cell lung cancer with brain metastases unsuitable for resection or stereotactic radiotherapy (QUARTZ): results from a phase 3, non-inferiority, randomised trial. Lancet. 2016; 388: 2004-2014. Agar MR, et al. Efficacy of Oral Risperidone, Haloperidol, or Placebo for Symptoms of Delirium Among Patients in Palliative Care: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2016 Dec 5. [Epub ahead of print]

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肝性脳症に抗菌薬?新たな治療戦略

 40~50万程度いると推定される肝硬変患者、その合併症の1つである肝性脳症の治療に進歩がみられている。あすか製薬主催のプレスセミナー「知られざる肝性脳症の病態と最新治療」にて2017年1月18日、大阪市立大学 肝胆膵病態内科学 河田則文氏が新たな肝性脳症治療についての講演を行った。 肝性脳症の初期症状として、人格や行動の微妙な変化、判断力低下、睡眠パターンの乱れ、認知症、うつ病などの精神症状が現れる。初期では患者に自覚症状がないこともあり、家族もほとんど気付かない。その後、羽ばたき振戦、見当識障害、肝性口臭などの特徴的な症状が出て徐々に悪化し、最終的に昏睡に陥り寝たきり状態となる。 肝性脳症は、血中のアンモニアが高くなることで引き起こされると考えられている。アンモニアは食物を腸内細菌が代謝する過程で産生される。肝硬変になると、肝臓機能が低下しアンモニア解毒能が下がる、門脈―大循環シャントのためアンモニアが直接体循環内に入る、などが誘因となり高アンモニア血症から脳症を惹起すると考えられている。 肝性脳症の治療では、腸管内pHの低下や排便促進などによりアンモニア産生・吸収を抑制する合成二糖類、筋肉でのアミノ酸代謝を促進する分岐鎖アミノ酸製剤(以下、BCAA)、尿素回路を活性化させるカルニチン製剤などが用いられていた。そこに、腸内細菌に対し抗菌作用を示す難吸収性抗菌薬リファキシミン(商品名:リフキシマ)が登場した。リファキシミンは、BCAAや合成二糖類など既存の治療法で十分な効果が認められなかった場合に、治療効果を向上させるために用いられる。 リファキシミンは、腸内細菌叢におけるアンモニア酸性菌として報告されている菌群に対し抗菌活性を示すと共に、そのほとんどが体で吸収されず、消化管細菌叢に移行するという特徴を有する。二重盲検試験の結果、リファキシミン群の血中アンモニアレベルはプラセボ群に比べ有意に低下し(p=0.008)、肝性脳症の点数であるPSEインデックスもプラセボに比べ、有意に低下することが明らかとなった(p=0.0103)。また、肝性脳症による入院までの期間も、プラセボに比べ有意に延長した(p=0.01)。さらに、肝硬変患者の生存率も、プラセボに比べ有意に延長した(p=0.012)。 肝硬変が完治できない現在、肝性脳症も完治することはできない。しかし、難吸収性抗菌薬という新たな選択肢が加わった今、非代償性あっても代償性に近い時期であれば、高アンモニア血症の改善やアルブミン改善など治療を組み合わせることで代償性に戻る患者もいるという。症状が軽微な初期の段階から、肝臓専門医と他診療科医が連携し、肝性脳症の早期発見が進むことを期待したい。

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慢性C型肝炎に対するRG-101の忍容性と安全性/Lancet

 慢性C型肝炎に対するRG-101の第IB相二重盲検無作為化試験の結果が、オランダ・Academic Medical CenterのMeike H van der Ree氏らにより報告された。2mg/kgまたは4mg/kgの単回投与は、いずれも忍容性良好であり、投与を受けた全患者28例で4週間にわたってウイルス量の低下が認められ、3例については76週にわたるウイルス量低下の持続が認められた。RG-101は、C型肝炎ウイルス(HCV)複製の重要な宿主因子であるmiR-122を拮抗するN-アセチルガラクトサミン抱合オリゴヌクレオチドをターゲットとする。Lancet誌オンライン版2017年1月10日号掲載の報告。2mg/kgまたは4mg/kgとプラセボを投与し評価 試験は、さまざまなHCV遺伝子型の患者を多施設から登録し、RG-101またはプラセボに7対1の割合で無作為に割り付けて行われた。被験者は、年齢18~65歳、男性および閉経後または子宮摘出後の女性で、HCV遺伝子型1、3または4に24週以上感染していると診断され、インターフェロンαベース未治療患者と同治療後再発患者を対象とした。複数ウイルスに感染(B型肝炎ウイルスやHIVウイルス)、非代償性肝硬変や肝細胞がん歴のある患者は除外した。無作為化はSAS procedure Proc Planを用いて独立的に非盲検下で統計家によって行われた。 試験は、第1コホートにはRG-101の2mg/kg皮下注またはプラセボを、第2コホートには4mg/kg皮下注またはプラセボをそれぞれ投与して行われた。 被験者は、無作為化後8週間のフォローアップ(全患者対象)と、最長76週間のフォローアップ(ウイルス増殖のない患者、プラセボ群への割り付け患者は除く)を受けた。試験の主要目的は、RG-101の安全性と忍容性の評価であった。2mg/kg、4mg/kgとも忍容性良好でウイルス量は持続的に低下 2014年6月4日~10月27日の間に32例が登録された。年齢中央値は52歳(IQR:49~57)、男性被験者が24例、女性は8例で、HCV遺伝子型別では1型16例、3型10例、4型6例であった。 第1コホートでは、14例がRG-101の2mg/kg皮下注群に、2例がプラセボ群に割り付けられた。第2コホートでは14例がRG-101の4mg/kg皮下注群に、2例がプラセボ群に割り付けられた。 結果、1つ以上の治療関連有害事象を報告したのは、28例中26例であった。 4週時点で、ベースラインからのウイルス量の持続的低下中央値は、2mg/kg皮下注群が4.42(IQR:3.23~5.00)log10IU/mL、4mg/kg皮下注群が5.07(IQR:4.19~5.35)log10IU/mLであった。また3例の患者については、RG-101単回投与後76週間、HCV RNAが検出されなかった。12週時点またはそれ以前のウイルス増殖は耐性出現と関連しており、HCV遺伝子の5’UTRにおけるmiR-122結合領域の代替と関わるものであった。

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タバコは嗜好品か、“死向品”か

嗜好品? それとも“死向品” !? 実は、英語などの外国語には「嗜好品」に当たる単語が存在しないようです。日本では、明治時代に森鷗外らによって使われるようになった言葉とされています。 1923(大正12)年発行の『看護学教科書』には、嗜好品として「酒精(アルコール)飲料、煙草(タバコ)、コーヒー、茶、阿片(アヘン)、清涼飲料等」の記載があります。 かつてアヘンが嗜好品であったように、嗜好品は安全が証明されているとは限りません。つまり「タバコは嗜好品だから安全である」とは言えないということです。 とくにタバコについては、“死向品”と呼ぶべきだという禁煙支援者もいます。社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.Copyright © 2017 CareNet, Inc. All rights reserved.

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重症下肢虚血に対する足首以下への血行再建の効果は?

 重症下肢虚血(CLI)は予後は悪く、保存的療法後1年の大切断は73~95%という報告がある。CLIの救肢において、バイパス手術および血管内治療(EVT)による動脈血行再建は重要である。バイパス手術は、救肢率、創傷治癒率共に高いものの、その侵襲性から適応となる患者は多くない。そのような中、侵襲性の低さとバイパス手術に匹敵する救肢率からEVTが注目され始めている。一方、CLIでは足首以下の病変の合併が多く、この足首以下の病変の存在は、創傷治癒率を低下させ、創傷治癒遅延(DH)をもたらすことが明らかになっている。EVTによる足首以下の病変への補助的な血行再建(PAA)は、創傷治癒を改善させる可能性があり、有効性を示す単施設の研究も報告されている。しかしながら、EVTの創傷治癒率は高いとはいえない。そこで、多施設によるPAAの効果を評価するため、RENDEZVOUS(Retrospective Analysis for the Clinical Impact of Pedal Artery Revascularization Strategy for Patients With Critical Limb Ischemia) レジストリ研究が宮崎市郡医師会病院 仲間達也氏らにより行われ、JACC Cardiovascular Interventions誌で報告された。 RENDEZVOUSレジストリでは、国内の経験豊富な循環器センター5施設でEVTを施行した、膝下動脈と足首以下に病変を有する新規CLI患者257例(257肢)が、PAA施行群140例と非施行群117例の2群に分類され、後ろ向きに評価された。主要評価項目は、1年後の創傷治癒率と創傷治癒までの時間。副次的有効性評価項目は、救肢率、大切断回避生存率、再血行再建回避率。副次的安全性評価項目は、PAA成功率、手技関連合併症であった。また、創傷治癒遅延の独立危険因子を多変量解析で求め、危険因子の数から創傷治癒遅延スコア(DHスコア)を規定。DHスコア(危険因子数)0を低リスク、DHスコア1~2を中等度リスク、DHスコア3を高リスクに層別化し、各リスク群でのPAAによる1年後の創傷治癒率を評価した。PAA追加の基本的な適応は、1)標的血管血行再建後の血流が確認されない、2)足動脈のランオフ不良によるimpaired flow現象、3)広範囲な創傷、救肢と創傷治癒のために大量の血液供給が必要になる感染、とした。 主な結果は以下のとおり。・患者の平均年齢は73.2歳、男性が68.1%、51.4%が自立歩行不能、62.3%が透析患者、77.8%の患肢がRutherford分類5であった。・全体の救肢率は88.5%、大切断回避生存率は73.5%、創傷治癒率は49.5%であった。・主要評価項目である創傷治癒率は、PAA群57.5%、非PAA群37.3%とPAA群で有意に高かった(p=0.003)。・同じく主要評価項目の創傷治癒までの時間は、PAA群211日、非PAA群365日とPAA群で有意に短かった(p=0.008)。・副次的安全性評価項目であるPAA手技の成功率は88.6%、手技関連合併症は17例(6.6%)。PAA群と非PAA群で差はみられなかった。・副次的有効性評価項目はいずれも両群間で差はみられなかった。・DHの危険因子は、歩行不能、創傷の深さ(UTグレード2以下)、透析であった。・低リスク群の創傷治癒率は、PAA群93.3%、非PAA群69.2%とPAA群で高かったが、統計学的有意には至らなかった(p=0.184)。・中等度リスク群の創傷治癒率は、PAA群59.3%、非PAA群33.9%とPAA群で有意に高かった(p=0.001)。・高リスク群の創傷治癒率は、PAA群29.4%、非PAA群35.7%と、PAAによる創傷治癒への影響はみられなかった(p=0.477)。 PAAによる介入は、救肢率や大切断回避生存率、再血行再建回避率には影響を及ぼさなかったものの、創傷治癒に関連するアウトカムには重要な影響を及ぼした。また、PAAの介入は、創傷治癒遅延中等度リスク群でとくに有効であった。当研究は後ろ向き非無作為化研究であったが、今後はさらに前向きの無作為化研究の実施が望まれる。(ケアネット 細田 雅之)原著および論説はこちらNakama T, et al. JACC Cardiovasc Interv. 2017;10:79-90.Mustapha JA,et al. JACC Cardiovasc Interv. 2017;10:91-93.関連コンテンツ【CVフロントライン】CLIの創傷治癒を改善した足首以下の血行再建「RENDEZVOUSレジストリ」

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硬水と乳児アトピー性皮膚炎リスク増大の関連を確認

 アトピー性皮膚炎は、家庭用水の硬度が高い地域、および秋~冬に生まれた小児に多くみられるようだが、相乗作用があるかどうかはわかっていない。デンマーク・コペンハーゲン大学のKristiane Aa Engebretsen氏らは、大規模出生コホートを用いた研究を行い、生後早期の硬水への曝露ならびに秋~冬の出生は、生後18ヵ月以内におけるアトピー性皮膚炎の相対有病率の増加と関連していることを明らかにした。家庭用水の硬度と出生季節の間に相乗作用はなかったが、硬水とアトピー性皮膚炎との間には用量反応関係が観察されたという。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌オンライン版2016年12月22日号掲載の報告。 研究グループは、デンマークにおける全国出生コホートの小児5万2,950例を対象に、アトピー性皮膚炎の既往(医師による診断)と人口統計学的特性について聞き取り調査を行うとともに、市民登録システムから出生データを、デンマーク・グリーンランド地質調査所から家庭用水の硬度に関するデータを入手し、log線形二項回帰モデルを用いてアトピー性皮膚炎の相対有病率を算出した。 主な結果は以下のとおり。・アトピー性皮膚炎の有病率は、15.0%(7,942/5万2,950例)であった。・アトピー性皮膚炎の相対有病率(RP)は、家庭用水の硬度(範囲:6.60~35.90 deg.dH[118~641mg/L])が5度増大するごとに、5%(RPtrend:1.05、95%信頼区間[CI]:1.03~1.07)高くなった。・アトピー性皮膚炎の相対有病率は、秋(RP:1.24、95%CI:1.17~1.31)または冬(RP:1.18、95%CI:1.11~1.25)の出生児で高かったが、家庭用水の硬度との有意な相互作用は観察されなかった。・アトピー性皮膚炎に対する硬水の人口寄与危険度は2%であった。

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統合失調症患者への抗精神病薬高用量投与、自律神経系への影響は:横浜市大

 統合失調症患者は、一般集団と比較し、異常な自律神経系(abnormal autonomic nervous system:ANS)の活性を有する。この理由の1つとして、抗精神病薬のムスカリン親和性があり、ムスカリン受容体遺伝子の一塩基多型が、ANS機能不全に影響を及ぼすといわれている。横浜市立大学のmasatoshi miyauchi氏らは、抗精神病薬が投与されている統合失調症患者のANS活性に対するコリン作動性ムスカリン性受容体(cholinergic muscarinic receptor:CHRM)遺伝子の一塩基多型の影響を検証した。Neuropsychobiology誌2016年12月7日号の報告。 対象は、日本の統合失調症患者173例。心拍変動をANS活性の指標として測定した。CHRM1(rs542269、rs2075748)、CHRM2(rs324640、rs8191992、rs1824024、rs7810473)、CHRM3(rs3738435、rs4620530、rs6429157)の一塩基多型は、TaqMan法を用いて遺伝子解析を行った。標準的なクロルプロマジン(CP)換算に従って、高CP群(1,000mg以上)と低CP群(1,000mg未満)に患者を分類し、ANS活性の群間比較を行った。患者の心拍変動のトータル、LF(low-frequency)、HF(high-frequency)、LF/HF成分、高CP群と低CP群の両方の一塩基多型遺伝子を比較した。Bonferroni補正には多重比較を適用し、臨海p値は<0.005とした。 主な結果は以下のとおり。・高CP群におけるCHRM2 rs8191992多型のAアレルは、ANS活性の低下と関連していた。 著者らは「統合失調症患者に対する抗精神病薬の高用量投与は、CHRM2 rs8191992多型と関連するANS活性の低下を示す。CHRM2多型は、統合失調症患者のANS活性に対し、重要な役割を果たす可能性がある」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬のアジア実態調査:高用量投与は36% 抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大 統合失調症、維持期では用量調節すべきか:慶應義塾大

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骨転移へのゾレドロン酸の投与間隔、4週 vs.12週/JAMA

 乳がん、前立腺がんの骨転移および多発性骨髄腫の骨病変の治療において、ゾレドロン酸の12週ごとの投与は、従来の4週ごと投与に比べて骨格イベントの2年リスクを増大させないことが、米国・Helen F Grahamがんセンター・研究所のAndrew L Himelstein氏らが行ったCALGB 70604(Alliance)試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年1月3日号に掲載された。第3世代ビスホスホネート製剤であるゾレドロン酸は、多発性骨髄腫や固形がん骨転移の疼痛や骨格関連事象を抑制し、忍容性も全般に良好であるが、顎骨壊死、腎毒性、低カルシウム血症などのリスク上昇が知られている。標準的な投与間隔は4週とされるが、これは経験的に定められたもので、さまざまな投与法の検討が進められているものの、至適な投与間隔は確立されていないという。間隔の長い投与法を非劣性試験で評価 CALGB 70604(Alliance)は、がん患者の骨転移の治療において、ゾレドロン酸の投与間隔を12週に延長した治療アプローチの、従来の4週間隔の投与法に対する非劣性を検証する非盲検無作為化第III相試験(米国国立がん研究所[NCI]などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、1つ以上の骨転移を有する転移性乳がん、転移性前立腺がん、多発性骨髄腫で、全身状態(ECOG PS)0~2の患者であった。被験者は、ゾレドロン酸を12週ごとまたは4週ごとに静脈内投与する群に無作為化に割り付けられ、2年間の治療が行われた。主要評価項目は、2年時までの1つ以上の骨格関連事象の発生とし、群間の絶対差7%を非劣性マージンとした。 骨格関連事象は、臨床的骨折(有症状患者の評価時に同定された骨折、偶発的に見つかった骨折は除外)、脊髄圧迫(画像評価を要する神経学的障害、背部痛、これら双方)、骨への放射線照射(疼痛を伴う骨病変への緩和的照射、骨折や脊髄圧迫の治療または予防のための照射など)、骨関連手術(差し迫った骨折の予防や、病的骨折および脊髄圧迫の治療を目的とする外科的手技)と定義した。 2009年5月~2012年4月に、米国の269施設に1,822例が登録され、12週投与群に911例、4週投与群にも911例が割り付けられた。骨格関連事象の2年発生率:28.6 vs.29.5% ベースラインの全体の年齢中央値は65歳、女性が53.8%(980例)を占めた。乳がんが855例、前立腺がんが689例、多発性骨髄腫は278例で、795例が試験を完遂した。 2年時までに1つ以上の骨格関連事象を経験した患者の割合は、12週投与群が28.6%(253例)、4週投与群は29.5%(260例)であった。リスク差は-0.3%(95%信頼区間[CI]:-4~∞)であり、12週投与群の4週投与群に対する非劣性が確認された(非劣性検定p<0.001)。 3つの癌腫とも、両群間に骨格関連事象の発生率の差はみられなかった(乳がん 群間差:-0.02、99.9%CI:-0.13~0.09、p=0.50、前立腺がん:0.02、-0.10~0.14、p=0.59、多発性骨髄腫:0.06、-0.12~0.24、p=0.14)。 疼痛スコア(簡易疼痛調査票)、PS(ECOG)、顎骨壊死の発生(12週投与群:9件[1.0%]、4週投与群:18件[2.0%]、p=0.08)、腎機能障害についても、両群間に差を認めなかった。また、骨格罹患率(骨格関連事象の年間平均発生数)は両群とも同じであった(0.4、中央値:0、IQR:0~0.5)。  骨代謝回転のマーカーであるC末端テロペプチド値(553例、2,530サンプル)は、試験期間を通じて12週投与群のほうが高かった。 著者は、「ゾレドロン酸の投与間隔を12週に延長した治療アプローチは、がん患者の骨転移の治療選択肢として許容される可能性がある」と指摘している。

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末梢動脈疾患と関連する食事~前向き研究

 食事はアテローム性動脈硬化性心血管疾患の発症に関連しているが、食物摂取量や食事パターンと末梢動脈疾患(PAD)との関係を調べた研究はほとんどない。米国ミネソタ大学のRachel P. Ogilvie氏らは、中年期の習慣的な食事とその後の約20年間のPAD発症の関係を前向きコホート研究で調査した。その結果、肉の摂取量が多いほどPADリスクが高く、適度な飲酒はPADリスクが低いことと関連していた。なお、これらの関連における因果関係の有無は不明である。The American journal of clinical nutrition誌オンライン版2017年1月11日号に掲載。 著者らは、ARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究に登録された参加者においてPADを発症していなかった1万4,082人に対し、ベースライン時(1987~89年)にハーバード食物摂取頻度調査票を用いて食物摂取量を評価した。食品群や食事パターン(「健康的」および「西洋風」)について、五分位数または四分位数で分類した。PAD発症は、2012年までの2回の検査で、ABI(ankle brachial index:足関節上腕血圧比)<0.9、および退院時診断コードで判断した。分析は多変量調整Cox比例ハザード回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・平均19.9年のフォローアップ期間中、1,569人がPADを発症した。・人口統計学的特徴、行動、食品群について調整したモデルで、PAD発症のハザード比(95%CI)は食肉消費量の五分位を通して増加した[第1五分位:基準、第2五分位:1.38(1.16~1.65)、第3五分位:1.38(1.16~1.65)、第4五分位:1.45(1.20~1.74)、第5五分位:1.66(1.36~2.03)、傾向のp<0.001]。・週に1~6杯飲酒した人は、飲酒しなかった人よりPAD発症リスクが低かった[0.78(0.68~0.89)]。・コーヒーを1日4杯以上飲んでいる人は、飲まない人に比べてPAD発症が少なかった[第1五分位に比した第5五分位:0.84(0.75~1.00)、傾向のp=0.014]。・他の食品群やパターンとPAD発症との関連はみられなかった。

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サン・アントニオ2016 レポート-3

レポーター紹介オランダから乳房温存手術(BCS:breast conserving surgery)後の放射線治療(以下、RT)のタイミングがおよぼす10年生存率への影響に関する報告があった。グループ1:BCS→RT→+/-CT(2,759例)<42日、 42~55 日、 >55 日、グループ2:BCS→CT→RT(1,120例)<112日、 112~140日、 >140日、に分けて検討している。グループ1(-CT)では>55 日が<42日と比較して無病生存率、無遠隔再発率共に有意に良好であり、+CTでは>55 日と42~55 日が<42日と比較して無病生存率が有意に良好であった。グループ2では再発率は>140日で有意に高かった。しかし交絡因子(年齢、グレード、転移リンパ節個数、ホルモン受容体の状況、内分泌療法の使用、他院RT施設への紹介)で調整すると、グループ1(-CT)でのみ>55 日が<42日と比較して無遠隔再発率が良好であった。結論としてRTをBCSの後にすぐに行う必要はないと述べている。過去の報告では、BCSからRTまでの期間と生存率との関連についてはcontroversialであり、早い方が良いというものもあれば、むしろ遅らせた方が生存率は高いという報告もある。現状では期間にあまりこだわりすぎず、がんの性質や術後の状況に応じて柔軟に対応するのがよいだろう。きわめて増殖率の高い一部の乳がんではどの治療も遅らせないのが賢明であろうと考える。KAMILLA研究という、すでにHER2標的薬と化学療法をしっかり受けた患者に対するT-DM1の安全性と有効性をみる第III b相試験から、脳神経系(CNS)転移の有無でのT-DM1の安全性と有効性を確認し、またCNS転移への効果を評価した結果が報告されていた。安全性と有効性に関してはあまり参考にならないが、CNS転移への効果は大変興味のあるところである。測定可能なCNS転移を持つ患者26例のうち、CRが3例、PRが24例、6ヵ月以上のSDが27例であった(CBR43%)。またCNS病変において最大径が30%以上減少したのは54例(43%)であった( CNS以外がSDまたはPDであった症例も含む)。全身の転移状況にかかわらずCNS転移の減少が4割程度にみられるというのは非常に大きな効果である。しかし、CNS転移以外がPDでCNS転移がPRであった場合の治療方針が難しいところである。通常T-DM1とペルツズマブの併用による生存率向上効果は認められていないが、このような症例には試す価値があるかもしれない。乳がんの既往を持つ女性患者におけるサーベイランスとしてのマンモグラフィと乳房MRIの効果について評価した報告があったので紹介する。米国5地域の乳がんサーベイランスコンソーシアムレジストリーからのデータで、マンモグラフィのみ33,938件、乳房MRI 2,506件であった。データはプロペンシティスコアマッチングで調整されており、無作為化比較試験に近似させたものとなっている。欠損値は5件と非常に少ないうえに補正も行われている。第2がんのリスクが最も高い女性は含まれていないようである。マンモグラフィと乳房MRIとで乳がん発見率は変わらなかったが、MRI施行例では乳房生検率が有意に高かった。このことから乳がん術後の女性に乳房MRIをルーチンに行ってもよい効果は及ぼさないようである。このデータは非常に重要だと考えている。BRCA1/2遺伝子変異保有者には年1回の乳房MRIが推奨されているが、そのような乳がん発症の大きなリスクを持っていない方には、サーベイランスとしての乳房MRIは有用性が確認されないということである。遺伝子検査をしなくても乳房MRIを希望する方を時々みかけるが、やはりリスクに基づいてサーベイランス法を決定することが大切であり、重要な個別化医療の1つである。

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