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サルコイドーシス〔sarcoidosis〕

1 疾患概要■ 概念・定義サルコイドーシスは、1877年にイギリスの内科医Jonathan Hutchinsonが皮膚病変として初めて報告した疾患である。全身の臓器に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を形成する原因不明の多臓器疾患であり、両側肺門リンパ節、肺、 眼、皮膚の罹患頻度が高く、神経、筋、心臓、腎、骨、消化器などの臓器も罹患する。免疫学的には、CD4陽性T細胞/CD8陽性T細胞比の増加(Th-1型反応)がみられ、皮膚の遅延型過敏反応が抑制されている。無症状の肺門リンパ節腫脹例などは自然治癒することが多いが、肺外多臓器病変を伴うときは、肺や他臓器に進行性の線維化を認めることがある。■ 疫学サルコイドーシスは世界中でみられ、両性、全人種、全年齢層で起こりうるが、地域差があり、これは遺伝的な要因や環境因子の違いによるものと考えられている。海外と比較すると、わが国においては、サルコイドーシスの有病率、罹患率ともに低く、西欧諸国と比較し重症になりにくい。わが国でのピークは男性で20~34歳であり、女性では25~39歳と50~60代と2峰性を示す。20歳以下または80歳以上のサルコイドーシス患者はまれであり、それぞれ割合は0.9%、0.4%と報告されている。全国調査では、北部、とくに北海道に多く、南部の四国、九州には少ない傾向がある。■ 病因サルコイドーシスの原因は不明だが、遺伝的に感受性のある宿主が特定の環境因子に曝露されて起こると考えられている。環境因子としては、これまでも抗酸菌をはじめとする、いくつかの感染性微生物がサルコイドーシスを起こす可能性のある原因として考えられてきた。とくに最近では、Propionibacterium acnes(P. acnes)が、サルコイドーシス患者の肉芽腫形成を惹起する可能性の1つとして考えられている。■ 症状・分類霧視・羞明・飛蚊・視力低下などの眼症状で発見される場合がもっとも多く、次いで皮疹、咳、全身倦怠感が多い。発熱、疲労感、倦怠感、体重減少などの非特異的な身体症状はサルコイドーシス患者の3分の1でみられ、各種臓器病変に関連しさまざまな症状を呈する。サルコイドーシスの肉芽腫は、すべての臓器に形成される可能性があるが、90%以上の患者で呼吸器病変、眼病変、皮膚病変のいずれかを認める。とくに呼吸器病変は、日本人では胸郭内病変が86%の患者で認められ、もっとも頻度が高く、胸部単純X線における両側肺門リンパ節腫脹は、もっとも診断的価値が高い。また、日本人では眼病変(54.8%)、心病変(23%)が海外の報告よりも多いのに対し、結節性紅斑の合併は6.2%と低い。■ 予後サルコイドーシスの臨床所見、自然経過、および予後はきわめて多様であり、自然経過・治療に対する反応のいずれにおいても、増悪したり改善したりする傾向がある。自然寛解は3分の2に近い症例でみられるが、10~30%の症例で慢性ないし進行性の経過をとる。胸部X線所見は臨床経過と関連しており、StageI、II(両側肺門リンパ節腫脹±肺野陰影)では80~90%で自然寛解するのに対し、StageIII、IV(肺野陰影のみ、または肺線維化)は予後不良と報告されている。西欧諸国では進行性の肺病変が死因としてもっとも多いが、日本人のサルコイドーシス患者の死因としてもっとも多いのは、心病変であり、主に心不全や不整脈である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)サルコイドーシスは、臨床・画像所見がサルコイドーシスに合致し、組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が証明され、他の類似疾患が除外されることで診断される。2015年に日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会と厚生労働省のびまん性肺疾患に関する調査研究班とが合同でこれまでの診断基準を刷新した。「サルコイドーシスの診断基準と診断の手引き-2015」として、広く臨床で使用されている。【組織診断群】全身のいずれかの臓器で壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が陽性であり、かつ、既知の原因の肉芽腫および局所サルコイド反応を除外できているもの。ただし、特徴的な検査所見および全身の臓器病変を十分検討することが必要である。【臨床診断群】類上皮細胞肉芽腫病変は証明されていないが、 呼吸器、眼、心臓の3臓器中の2臓器以上において本症を強く示唆する臨床所見を認め、かつ、特徴的検査所見の5項目中2項目以上が陽性のもの。●特徴的な検査所見1)両側肺門リンパ節腫脹2)血清アンジオテンシン変換酵素(ACE)活性高値または血清リゾチーム値高値3)血清可溶性インターロイキン-2容体(sIL-2R)高値4)Gallium-67 citrateシンチグラムまたはfluorine-18 fluorodeoxygluose PETにおける著明な集積所見5)気管支肺胞洗浄検査でリンパ球比率上昇、CD4/CD8比が3.5を超える上昇※特徴的な検査所見5項目中2項目以上陽性の場合に陽性とする。サルコイドーシスに関連した臓器病変の特徴と除外疾患についても診断の手引きとして示されているが、呼吸器病変では両側肺門リンパ節腫脹、眼病変では前部ぶどう膜炎(豚脂様角膜後面沈着物、虹彩結節)、硝子体病変、心病変では高度房室ブロック、心室中隔基部の菲薄化、左室収縮不全などが各臓器病変を強く示唆する所見である。皮膚病変や表在リンパ節腫脹のない例においては、経気管支肺生検での組織診断が推奨されているが、最近は縦隔リンパ節に対する超音波気管支鏡ガイド下針生検により診断率が上昇することが報告されている。FDG-PET/CTでは、サルコイドーシス病変の広がりを評価することが可能であり、空腹時PET/CTは心病変の診断に有用であると報告されている。また、病理組織診断において、前述したP. acnesに対する特異的なモノクローナル抗体を用いた免疫組織染色が診断に有用であるとも報告されている。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)胸部単純X線分類によるStageI~IIの軽症例では、自然治癒する可能性が高いため全身ステロイドによる治療の必要はない。一般的に、全身ステロイドの治療適応は、胸部単純X線所見分類によるStageIII~IVの重症例や、心病変、局所治療抵抗性の眼病変、神経病変、高Ca血症などであるが、投与後の長期予後の検討はあまり行われていない。ステロイド抵抗性の症例には、メトトレキサート、アザチオプリン、シクロホスファミドなども使用される。また、サルコイドーシスはP. acnesをはじめとするさまざまな感染性微生物との関連が示唆されており、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、クラリスロマイシンなどが有効であった例も報告されている。4 今後の展望サルコイドーシスの発症機序は、いまだ解明されておらず根治治療は開発されていない。原因解明、予後不良因子のリスク評価、進行予防や重症例への有効な治療法の開発、国際的な診断基準の統一などが、今後のサルコイドーシス診療の課題である。5 主たる診療科呼吸器内科、循環器内科、眼科、皮膚科、神経内科 など※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター サルコイドーシス(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報サルコイドーシス友の会(患者とその家族向けのまとまった情報)公開履歴初回2015年06月09日更新2017年05月02日

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循環器内科 米国臨床留学記 第20回

第20回 米国の電子カルテ事情日本でも電子カルテが一般的になっていますが、米国では電子カルテのことをElectrical Medical Record (EMR)と言います。今回は、米国におけるEMR事情について書いてみたいと思います。米国のEMRの特徴の1つとして、どこからでもアクセスできるというのが挙げられます。「今日は疲れたから、残りのカルテは家で書きます」といった感じで、インターネットで世界中のどこからでも電子カルテにアクセスできます。実際、私も帰国時に日本から米国の患者に処方したり、カルテをフォローしたりすることがあります。日本でも電子カルテが登場して久しいですが、インターネットを介して患者のカルテにアクセスするのはまだ一般的でないかもしれません。Medscapeのリポートによると、2016年の段階で91%の医師が電子カルテを使用しており、これは2012年の74%から比べても大幅な増加です。その中でも、41%と圧倒的なシェアを誇るのがEPICというシステムです。ほかのEMRと比べても、EPICはuser friendlyで使いやすく、日常臨床を強力にサポートしてくれます。私のいるカリフォルニア大学アーバイン校では、現在はEPICと異なるシステムを使っていますが、評判が悪いため、来年EPICに移行します。乱立していたEMRの会社も徐々に淘汰され、数社に絞られてきているようです。また、同じEMRシステムを使うと、異なる病院間でも情報が共有できるといったサービスもあります。以前いたオハイオ州のシンシナティーという町にはEPIC everywhereというシステムがあり、EPICを使っているシンシナティー市内すべての病院の情報が共有されていました。ほかの病院の情報に簡単にアクセスできると、無駄な検査を減らすことができます。EMRは、入院時に必要なオーダーを入れないとオーダーを完了できないシステムになっています。例えば、深部静脈血栓症(DVT)予防は、入院時に必須のオーダーセットに入っているため、オーダーせずに患者を入院させようとすると、ブロックサインが現れ、入院させることが難しくなっています。このようなシステムは日本の電子カルテにもあると思います。また、代表的なEMRのシステムには、ガイドラインに準じたクリニカルパスが組み込まれています。 主なものとしては、敗血症ショックセット、糖尿病ケトアシドーシス(DKA)セット、急性冠動脈症候群(ACS)セットなどが挙げられます。例えばACSで入院すると、ヘパリン、アスピリン、クロピドグレル、スタチン、β遮断薬をクリック1つで選択するだけですから、確かに処方し忘れなどは減ります。オーダーセットは非常に楽ですし、DKAなどは勝手に治療が進んでいき、うまくいけば入院時のワンオーダーで、ほぼ退院まで辿り着けるかもしれません。しかしながら、一方で医者が状況に応じて考えなければいけないことが減り、時には危険なことも起こります。患者の状態は、1人ずつ異なりますから、tailor madeな治療が必要になります。実際、DKAで入院した患者がDKAオーダーセットによる多量の生理食塩水で心不全を起こすというようなことは、何度も見てきました。このほか、EMRで問題となっているのは、いわゆる“copy and paste”です。デフォルトのカルテでは、正常の身体所見が自動的に表示されます。注意を怠ると、重度の弁膜症患者にもかかわらず「雑音がない」とか、心房細動なのに脈拍が“regular”などといった不適切な記載となります。実際に、このようなことはしょっちゅう見受けられます。他人のカルテをコピーすることも日常茶飯事なので、4日前に投与が終わったはずの抗生剤が、カルテの記載でいつまでも続いているということもあります。Medscapeの調査でも66%の医者が“copy and paste”を日常的に(時々から常に)使用しているとのことでした。外来でのEMRは、Review of System、服薬の情報、予防接種(インフルエンザ、肺炎球菌)、スクリーニング(大腸ファイバーなど)などをすべて入力しなければ、カルテを終了(診察を終了)できなくなっています。こうした項目を入力しないと医療点数(診療費)に関わってくるからです。その結果、EMRに追われてしまい、患者を見ないでひたすらコンピューターの画面を見て診療しているような状況に陥りがちです。こうなると、自分がEMRを操作しているのか、EMRに操作されているのかわからなくなります。いろいろな問題がありますが、EMRは日々進歩している印象があります。使い勝手は良いのですが、最終的には医者自身が頭を使わければ患者に不利益が被ることもあるため、注意が必要です。

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うつ病患者のモニタリングツール、実現性の検証

 プライマリケアでのうつ病患者のモニタリングのために患者報告アウトカム測定(PROM)の実施が可能かを判断するため、英国・サウサンプトン大学のTony Kendrick氏らは、部分的にランダム化された部分的クラスターランダム化比較試験を行った。BMJ open誌2017年3月30日号の報告。 対象は、南イングランドの9つの診療所における新規エピソードうつ病患者47例。介入群22例、対照群25例に無作為に割り付けた。診断の10~35日後、うつ病モニタリングのために患者健康アンケート(PHQ)、Distress Thermometer Analogue Scale、PSYCHLOPS problem profileによる介入を行った。患者スコアのフィードバックは、診療医により実施した。主要アウトカムは、ベックうつ病調査表(BDI-II)で評価した。副次的アウトカムは、仕事と社会性の調整尺度(Work and Social Adjustment Scale:WSAS)、QOL評価のためのEuroQol 5項目、5レベル(EQ-5D-5L)スケール、コスト評価のためのmodified Client Service Receipt Inventory、医療情報適合満足度(Medical Informant Satisfaction Scale:MISS)で評価し、実施の可能性と受容性について、患者14例およびスタッフ13例より定性的インタビューを行った。主な結果は以下のとおり。・3つの診療所で、12ヵ月間で6例の目標患者を達成できなかった。・介入群におけるフォローアップ率は、12週で18例(82%)、26週で15例(68%)であった。対照群では、12週で18例(72%)、26週で15例(60%)であった。・介入群における12週目の平均BDI-IIスコアは、対照群と比較し5.8ポイント(95%CI:-11.1~-0.5)低かった(ベースライン差とクラスタリングで調整)。・WSASスコアに有意な差が認められなかった。・26週での症状、社会機能、QOL、コストに有意な差は認められなかったが、平均満足度スコアは、22.0ポイント(95%CI:-40.7~-3.29)高かった。・介入群の患者は、PROMを完遂することを好んだが、その結果を診療医が管理者に伝えるために使用しなかったことに失望した。 著者らは「PROMは、その結果を診療医が管理者に知らせなかったとしても、短期間でうつ病アウトカムを改善する可能性がある。患者を募集し、フォローアップする際の課題は、管理者に知らせることのできる比較的簡単な対策に取り組む必要がある」としている。関連医療ニュース うつ病の診断年齢を分析、とくに注意が必要なのは たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能 自殺予防に求められる、プライマリ・ケア医の役割

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米の多摂取による糖尿病リスク、緑茶が抑える可能性

 最近の観察研究では、白米摂取と糖尿病リスクの間に正の相関関係が、また、緑茶・コーヒー摂取と糖尿病リスクの間に保護的な関連が示唆されている。しかし、これらの飲食物の相互作用は検討されていない。今回、九州大学の平田 明恵氏らが実施したわが国の高齢者における前向き研究において、米の摂取量と糖尿病リスクの正相関は女性でのみ認められ、その相関は緑茶を多く摂取することで抑制される可能性が報告された。Asia Pacific journal of clinical nutrition誌2017年5月号に掲載。 本研究のベースライン調査(2004~07年)に参加した日本人の男女のうち、1万1,717人(91%)が追跡調査(2010~12年)に応じた。多重ロジスティック回帰分析を用いて、穀物食品(米、パン、麺など)、緑茶、コーヒーのそれぞれで摂取量別の糖尿病発症のオッズ比を算出し、さらに米摂取による糖尿病リスクの増加が緑茶とコーヒーの摂取でどう変化するかを調べた。 主な結果は以下のとおり。・糖尿病の新規発症が464例で確認された。・女性のみ、米の摂取量と糖尿病発症の間に正相関が示され(傾向のp=0.008)、緑茶の摂取量と糖尿病発症の間に逆相関を示した(傾向のp=0.02)。・コーヒーは男女共に糖尿病発症との関連が認められなかった。・緑茶摂取量による層別解析で、緑茶を1日7杯以上摂取する女性では、米の摂取量と糖尿病発症の関連が消失した(相互作用のp=0.08)。

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ニボルマブによるNSCLCの5年全生存率が明らかに

 ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の非小細胞肺がん(NSCLC)の5年全生存率(5年OS)が、ジョンズ・ホプキンスBloomberg–Kimmel Institute for Cancer ImmunotherapyのJulie Brahmer氏らにより、米国がん学会年次総会(AACR2017)で明らかになった。この研究はニボルマブの第Ib相臨床試験CA209-003のコホートデータを解析したものであり、免疫チェックポイント阻害薬による転移性NSCLCの長期生存率に関する初めての報告である。5年OSは16%。3年目以降はプラトーに CA209-003試験では、高度な前治療歴のある進行NSCLC患者が、PD-L1状態に関係なく登録された。ニボルマブが有望な有効性を示し、その後の米国食品医薬品局(FDA)による進行NSCLCの2次治療の承認につながっている。 5年(最低期間58.25ヵ月)のフォローアップの結果、全体の5年OSは16%であった。組織別にみると、扁平上皮がんでは16%、非扁平上皮がんでは15%であった。経時的にみると、1年42%、2年24%、3年18%、5年16%と、3年目以降は横ばい傾向であった。 5年以上生存した16例の患者における、PRは12例、SD、PDは各2例であった。この16例中12例では、さらなる治療を必要としなかった(8例は副作用なしに2年間治療、4例は副作用のため早期に中止)。 PD-L1発現状況と5年OSの関連をみると、PD-L1発現1%未満では20%、1%以上50%未満23%、50%以上43%と、発現が高くなると共に生存率が上昇する傾向にあった。しかし、対象患者の47%にあたる61例はPD-L1測定不能であった。従来の数倍の5年OSだが、予測にはさらなる研究が必要 米国国立がん研究所(NCI)のSEERデータによると、転移性NSCLC患者の5年OSは4.9%。この研究での5年OSは標準治療を受けている患者集団の数倍となる。しかし、5年以上の生存を予測する一貫したパターンは明らかにならなかった。効果の持続性は証明されたものの、免疫システムが、がんを完全に排除して治療が不要になったのか?治療が持続的に免疫記憶を呼び覚ましているのか?さらなる研究が必要である、とBrahmer氏は述べている。(ケアネット 細田 雅之)参考AACRニュースリリースブリストル・マイヤーズ スクイブ(グローバル)プレスリリース

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糖尿病患者の大腸がんリスク、55歳未満でより高い

 2型糖尿病(DM)患者の大腸がんリスクについて、オランダ・マーストリヒト大学のSander de Kort氏らが、DMの診断年齢に注目して検討したところ、大腸がんリスクの増加は、DMの診断年齢により変化し、55歳未満で診断された男性でリスクがより高いことが示された。Scientific reports誌2017年4月24日号に掲載。 本研究は、Eindhoven Cancer RegistryとリンクしたPHARMO Database Networkの薬局データ(1998~2010年)を用いた。多変量時間依存性Cox回帰分析を用いて、2型DMでない人と比べた2型DM患者の大腸がん発症のハザード比(HR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・259万9,925人年の追跡期間中、大腸がんは、DM患者4万1,716例(平均64.0歳、男性48%)のうち394例、また非DM患者32万5,054例(平均51.2歳、男性46%)のうち1,939例に確認された。・男女共にDMが大腸がんリスクの増加に関連し(HR:1.3、95%CI:1.2~1.5)、とくに2型DMの診断後6ヵ月間、また近位結腸において増加が著しかった。このリスクは55歳未満の男性でより高かった(HR:2.0、95%CI:1.0~3.8)。

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新肺炎診療ガイドラインは高齢者に重点

 2017年4月21~23日に都内で開催された第57回日本呼吸器学会学術講演会(会長:中西洋一、九州大学大学院附属胸部疾患研究施設 教授)において、新しい「成人肺炎診療ガイドライン」が発表された。 特別講演として「新しい肺炎診療ガイドラインとは」をテーマに、迎 寛氏(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 呼吸器内科学分野 教授)が今回の改訂の背景、ガイドラインの概要について講演を行った。患者の意思を尊重した終末期の治療を 今までのガイドラインは、市中肺炎(CAP)、院内肺炎(HAP)、医療・介護関連肺炎(NHCAP)と3冊に分かれ、各疾患への細かい対応ができた反面、非専門医や医療従事者にはわかりにくかった。これに鑑み、新しいガイドラインは1冊に統合・改訂されたものである。 今回の改訂は、『Minds 診療ガイドライン作成の手引き』に準拠して行われ、第1部では“SCOPE”として肺炎の基本的特徴を解説、第2部では“Clinical Question”として25項目のCQが掲載されている。 CQ推奨の強さは、アウトカムへのエビデンスの強さ、リスクとプロフィットのバランス、患者の価値観や好み、コストパフォーマンスの視点から総合的に評価できることにある。とくに今回の改訂では、肺炎死亡の96.8%が65歳以上の高齢者が占めることから、高齢者の肺炎への対応も述べられている。 予後不良や誤嚥性肺炎といった肺炎における高齢者特有の問題は、終末期とも密接に関わっており、このような場合は治療を本人や家族とよく検討して対処することを推奨している。肺炎治療に抗菌薬を使うと死亡率は減少するが、QOLは低下することも多い。そのため、患者が不幸な終末期を迎えないためにも、厚生労働省や老年医学会のガイドラインなどが参照され、患者や患者家族の意思の尊重が考慮されている。大きく2つのグループに分けて肺炎診療を考える 新しいガイドラインは、わが国の現状を見据え、CAPとHAP+NHCAPの大きく2つのグループに分けた概念で構成されている。 CAP診断の際には従来のA-DROPによる重症度分類に加えて、新たに敗血症の有無を判定することも推奨され、敗血症の有無や重症度に応じて治療の場や治療薬を決定する。 また、HAPとNHCAPは高齢者に多いことから、最初に重要なのは患者のアセスメントだという。疾患終末期や老衰、誤嚥性肺炎を繰り返す患者では、患者の意思を尊重しQOLに配慮した緩和ケアを中心とした治療を行う。上記に該当しない場合は、敗血症の有無、重症度、耐性菌リスクを考慮して、治療を行うこととしている。このほかに、予防の項目ではインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種や、口腔ケアの実施を推奨している。 今回の新肺炎診療ガイドラインの特徴としては、 ・CAP、HAP、NHCAPの診療の流れを1つのフローチャートにまとめたこと ・終末期や老衰状態の患者には個人の意思を尊重した治療を推奨すること ・重要度の高い医療行為は、CQを設定し、システマティックレビューを行い、  リスクとベネフィット、患者の意思、コストを考慮しながら委員投票で推奨を  決定したことが挙げられる。 最後に迎氏は「今後、新ガイドラインの検証が必要である。ガイドラインを精読していただき、診療される先生方のさまざまな提案や意見を取り入れてより良くしていきたい。次版の改訂に向け、動き出す予定である」と語り、講演を終えた。 なお、本ガイドラインの入手は日本呼吸器学会直販のみで、書店などでの販売はない。詳しくは日本呼吸器学会 事務局まで。(ケアネット 稲川 進)関連リンク 日本呼吸器学会 事務局 第57回日本呼吸器学会学術講演会

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鶏眼(魚の目)

【皮膚疾患】鶏眼(魚の目)◆症状足の裏の角質が固くなり、くさび状に深く食い込みます。これが刺激して歩くときに痛みをもたらします。いわゆる「魚の目」です。◆原因足のサイズや形に合わない靴を履いたり、姿勢や歩行時のバランスが悪いことなどで発生します。◆治療と予防・治療では、「鶏眼を削る」ことが基本です。角質を軟化させる貼り薬などはお勧めしません。ウイルス性のイボなどと鑑別が必要です。・予防では、きちんと足のサイズや形に合った靴を履く、正しい歩き方をすることです。また、適切な靴の中敷きの作成が必要な場合もあります。監修:ふくろ皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.袋 秀平氏

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突然やってくる!? 外国人患者さん対応エピソード集 第3回

第3回 医療滞在ビザはどんなときに必要?観光ビザとの違いは?<Case3>ある外国人患者さんが日本で働く家族を頼って治療目的で来日し、医療機関を受診。短期滞在のつもりだったため、観光ビザ(短期滞在ビザ)を取得していましたが、医師が診察したところ、治療には長期入院が必要なことが判明し…。対談相手IMS(イムス)グループ 株式会社アイセルネットワークス 国際事業部 課長 山本 修 氏澤田:本日はIMSグループ病院全体の国際部機能を果たされている、アイセルネットワークスの山本さんにお話を伺います。御社は医療滞在ビザの取得サポートを行うなど、医療ツーリズムを目的とした訪日も積極的に支援されていますね。山本:はい、当社では健診、治療ともに、中国、ベトナム、モンゴルなどの患者さんを対象に、医療滞在ビザの取得を始めとする医療ツーリズムのサポートを行っています。澤田:「医療滞在ビザ」というのは、どういったものなのでしょうか。山本:医療滞在ビザとは、日本において医療行為を受けることを目的として訪日する外国人患者と同伴者に発給されるものです。このビザを申請するためには、身元保証機関として政府に登録された国際医療コーディネーターもしくは旅行会社などにより身元保証を受けなければなりません。そのため、日本の医療機関における外国人患者の受け入れをアレンジする国際医療コーディネーターは、身元保証機関として、経済産業省へ登録されている必要があります。弊社も国際医療コーディネーターとして登録されています。澤田:観光ビザでは健診や治療は行うことができないのでしょうか。山本:可能です。たとえば最近は、中国から健診のために観光ビザで訪日する方も増えてきました。ただし、医療滞在ビザは患者の病態等により、最大3年間数次有効のものも発給可能であるのに対し、観光ビザは有効期間が90日以内ですので、長期の治療を要する場合は、医療滞在ビザが必要となります。今回のケースも本来ならば医療滞在ビザを取得して来日されていれば、そのまま治療を継続できましたが、この患者さんの場合は結局一度、自国へ戻られたようです。澤田:そうなんですね。医療滞在ビザ申請のため、医療機関側が必要とする手続きはどのようなものになるのでしょうか。山本:医療機関は「医療機関による受診等予定証明書及び身元保証機関による身元保証書」という用紙の上半分「医療機関による受診等予定証明書」を記入する必要があります。下半分の「身元保証機関による身元保証書」をわれわれコーディネーターが記入し、現地の大使館もしくは総領事館に提出をします。忘れてはならないのは、翌月10日までに、前月に申請手続きをした医療滞在ビザを経産省の担当課に報告することです。タイミングによっては慌ただしい作業となるため、このあたりのマネジメントは重要になってきます。澤田:なるほど。入国後は在留資格に関わるので法務省への問い合わせもあることを考えると、作業に抜け漏れのないよう、管理は重要ですね。山本:はい、そのために国際医療コーディネーターが存在します。澤田:なかなか聞けないお話で、大変勉強になりました。今日はありがとうございました。<本事例からの学び>医療滞在ビザ申請手続きは事前に管理体制を整備!取得後の各所への報告も忘れずに

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抗精神病薬多剤併用大量療法と関連するペントシジン:順天堂大

 統合失調症患者におけるカルボニルストレスは、末梢ペントシジンレベルの増加により反映されることが報告されている。順天堂大学の三戸 高大氏らは、ペントシジンの蓄積が疾患の重症度または治療(抗精神病薬高用量投与)と関連しているかをコホート研究により検討した。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌オンライン版2017年3月7日号の報告。 独自調査より得た急性期統合失調症患者137例と健常対照者45例および2つのコホート研究よりプールした合計274例について分析を行った。血清ペントシジンレベル、ピリドキサールレベルと教育期間、推定投与期間、症状重症度および抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、抗不安薬の1日投与量との関連を、重回帰分析を用い評価した。 主な結果は以下のとおり。・ペントシジンは、異常に高い血清レベルが示され、診断の統計学的有意性なく抗精神病薬の1日投与量の高さと推定投与期間の長さと関連していた。・これは、抗精神病薬の多剤併用療法患者においても観察されたが、第1または第2世代抗精神病薬の単剤療法で治療された患者の血清ペントシジンレベルでは、関連が認められなかった。 著者らは「高血清ペントシジンレベルは、抗精神病薬の多剤併用療法患者において、抗精神病薬の高用量投与、薬物療法期間の長さと関連していた」としている。関連医療ニュース 統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学 カルボニルストレス、統合失調症との関連を解析:都医学研 日本のDPCデータより統合失調症診断患者を分析

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乾癬へのウステキヌマブvs. IL-23選択的阻害薬/NEJM

 中等症から重症の尋常性乾癬患者を対象に、インターロイキン(IL)-12およびIL-23を構成するサブユニットp40に対する抗体であるウステキヌマブと、IL-23のもう1つのサブユニットp19に特異的に結合しIL-23経路を阻害するヒト化IgG1モノクローナル抗体risankizumab(BI 655066)を比較した第II相試験において、risankizumabによるIL-23の選択的阻害はウステキヌマブよりも臨床効果が優れていることが示された。カナダ・K Papp Clinical ResearchのKim A Papp氏らが、北米および欧州の32施設で実施した48週間の多施設共同無作為化用量範囲探索試験の結果を報告した。IL-23は、乾癬の発症に極めて重要な役割を担っていることが知られている。IL-23経路を阻害する乾癬治療薬として最初に登場したのがウステキヌマブであるが、ウステキヌマブはIL-23とIL-12の両方を阻害する。そのため、IL-23を選択的に阻害する乾癬治療薬の開発が進められていたが、これまでIL-12/IL-23阻害薬と選択的IL-23阻害薬の有効性について直接比較した検討は行われていなかった。NEJM誌2017年4月20日号掲載の報告。患者約160例を対象に、ウステキヌマブとIL-23選択的阻害薬による乾癬重症度の改善を評価 研究グループは、中等症から重症の尋常性乾癬患者166例を、risankizumab 18mg群(単回皮下投与)、90mg群(0週、4週、16週時に皮下投与)、180mg群(0週、4週、16週時に皮下投与)、ウステキヌマブ群(体重に応じて45mgまたは90mgを0週、4週、16週時に皮下投与)に1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、12週時の乾癬重症度(PASIスコア)がベースラインから90%以上改善した患者の割合(PASI 90達成率)。有効性の副次評価項目は12週時のPASI 50、PASI 75、PASI 100および24週時のPASI 75、PASI 100などで、intention-to-treat解析にて評価した。IL-23選択的阻害薬群のPASI 90達成率、ウステキヌマブ群の約2倍 12週時におけるPASI 90達成率は、risankizumab群(90mg群と180mg群の合計)が77%(64/83例)であったのに対して、ウステキヌマブ群は40%(16/40例)であった(p<0.001)。PASI 100達成率は、risankizumab群(同)45%、ウステキヌマブ群18%であった。有効性は、risankizumab(90mgまたは180mg)の最終投与20週後までおおむね維持された。 重篤な有害事象はrisankizumab 18mg群で5例(12%)、risankizumab 90mg群で6例(15%)、ウステキヌマブ群で3例(8%)に発生し(基底細胞がん2例、主要心血管イベント1例)、risankizumab 180mg群では確認されなかった。 著者は、研究の限界として安全性に関して結論付けるには試験の規模と期間が不十分であることを挙げ、「プラセボと実薬を用いた大規模な比較臨床試験においてrisankizumabの有効性と安全性をさらに検証する必要がある」とまとめている。

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高齢者における潜在性甲状腺機能低下症への対応(解説:吉岡 成人 氏)-673

潜在性甲状腺機能低下症とその頻度 血中サイロキシン(T4)あるいは遊離サイロキシン(FT4)値は基準範囲にありながら、血中TSHのみが基準値上限を超えて高値を示している場合が潜在性甲状腺機能低下症である。血清TSHが10μU/mLを超え、血清FT4が基準値を下回っている場合は顕性甲状腺機能低下症と診断される。潜在性甲状腺機能低下症の診断には血清TSHの測定が最も重要であるが、TSH値の基準値の上限は加齢に伴い変化し、40歳以上では10歳ごとに0.3μU/mL上昇すると報告されており1)、日本人においても同様の傾向が確認されている2)。 日本における潜在性甲状腺機能低下症の疫学を検討した聖路加国際病院予防医療センターの成績によれば、頻度は、健診受診者のうち4.03%(38万6,846人中1万5,540人、男性1.99%、女性2.03%)、男女とも加齢とともに頻度が増加することが報告されている3)。潜在性甲状腺機能低下症の治療 潜在性甲状腺機能低下症であることのデメリットとしては、倦怠感などの自覚症状の出現、脂質代謝への悪影響、動脈硬化の進展、心機能の低下、妊婦においては流・早産の増加、児の精神発育遅延などが挙げられる。しかし、潜在性甲状腺機能低下症を治療することに対しての十分なエビデンスは確立しておらず、一般的には、TSHが10μU/mL以上の場合に甲状腺ホルモンを補充することが多いものの、TSHが10μU/mL未満の「軽症」患者にどのように対応するかについては意見の一致をみていない。日本甲状腺学会の「Subclinical hypothyroidism潜在性甲状腺機能低下症:診断と治療の手引き」にはTSHが10μU/mLを持続して超える場合に補充を行うとしながらも、甲状腺ホルモンを補充することの有用性と危険性を勘案し、個々の患者の状況を総合的に判断して補充の適応を考慮すべきとしている4)。一般に、抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体が陽性の場合には顕性甲状腺機能低下症に移行しやすいことが知られており、慢性甲状腺炎などの疾患が背景に隠れていないかどうかを判定することも重要である。また、甲状腺ホルモンを補充することの有害性としては、潜在性冠不全の顕性化、心房細動の誘発、骨粗鬆症の進行などが挙げられ、80歳以上の高齢者では慎重に治療の適否を判定すべきである。高齢潜在性甲状腺機能低下症患者への対応 NEJM誌オンライン版2017年4月3日号に65歳以上の高齢潜在性甲状腺機能低下患者を対象として甲状腺ホルモンを投与することの有用性を検討した無作為二重盲検プラセボ対照試験の結果が掲載されている5)。737名(女性396名)、平均年齢74.4歳の潜在性甲状腺機能低下症患者に甲状腺ホルモンを投与しても、甲状腺機能低下症の症状や甲状腺関連QOLに関した質問票の疲労感のスコアには差を認めないという結論が示されている。甲状腺ホルモンを補充することの有害事象である、心房細動や心不全、骨粗鬆症の出現についても差はなかったという。甲状腺自己抗体の測定は実施しておらず、慢性甲状腺炎患者の頻度などは勘案されていない。この臨床試験の結果を日常診療の現場に即座に置き換えることの有用性についてはさらなる検証が必要である。とはいえ、顕性の甲状腺機能低下症患者はもちろん治療の対象となるが、TSHの異常のみを指摘された潜在性甲状腺機能低下症の高齢者に対しては、慌てることなく、十分な経過観察を行い、甲状腺ホルモンの補充の必要性についても慎重に考えてよいといえる。参考文献1)Boucai L, et al. Thyroid. 2011; 21: 5-11.2)Yoshihara A, et al. Thyroid. 2011; 58: 585-588.3)武田京子.日本甲状腺学会誌.2015;6:95-98.4)網野信行ほか.ホルモンと臨床.2008;56:705-724.5)Stott DJ, et al. N Engl J Med. 2017 Apr 3. [Epub ahead of print]

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飲酒と前立腺がんリスクの関連、ビールとワインで逆

 大量飲酒で悪性前立腺がん(APC)リスクがわずかに増加することが最近の研究で示されているが、飲料の種類ごとの関連は一致していない。今回、オーストラリア・Cancer Council VictoriaのN P Papa氏らが調査したところ、ビールでは摂取量がAPCリスクと相関し、スピリッツでは摂取量に相関する可能性が示され、ワインでは用量反応関係はみられなかった。また、ビールを週5日以上飲む人は飲まない人に比べてAPCリスクが高かったが、ワインを飲む人はすべての摂取頻度で、飲まない人に比べてAPCリスクが低かった。Prostate cancer and prostatic diseases誌オンライン版2017年4月18日号に掲載。 本研究は、自記式質問票を用いたケースコントロール研究で、APC 1,282例とコントロール951例が組み込まれた。登録前2年間の飲酒頻度・飲酒量とAPCの関連を調査し、ビール、赤ワイン、白ワイン、スピリッツの摂取との関係を調べた。 主な結果は以下のとおり。・ビールを週5日以上摂取していた場合、摂取していなかった場合に比べてAPCリスクが高かった(オッズ比[OR]:1.66、95%信頼区間[CI]:1.12~2.48)が、ワインでは、すべての摂取頻度で摂取していなかった人と比べて保護的であった。・ビールによるエタノール摂取量が週に10g増加するにつれて、APCのオッズは3%上昇した(OR:1.03、95%CI:1.02~1.05)。このようなリスクの増加は、赤ワインや白ワインではみられなかったが、スピリッツではきわめて弱い用量反応関係がみられた(OR:1.03、95%CI:0.99~1.07)。

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初発統合失調症患者の脳変化を調査

 統合失調症患者では、進行性の脳体積減少が認められ、抗精神病薬曝露との関連が報告されている。南アフリカ・ステレンボッシュ大学のR Emsley氏らは、抗精神病薬ナイーブの初発エピソード統合失調症患者における脳体積の変化と抗精神病薬の投与量との関連を調査した。Psychological medicine誌オンライン版2017年3月28日号の報告。 抗精神病薬ナイーブの初回エピソード統合失調症または統合失調感情障害に対し、flupenthixol decanoateデポ製剤の最低有効量で治療された患者23例とマッチした健常者53例を対象に、ベースラインから12ヵ月までの灰白質および白質体積の変化量を比較した。総抗精神病薬投与量を正確に計算し、脳体積の変化との関連を調べた。体積の変化と治療との関連は、治療レスポンス(精神病理学的、機能的変化)および治療関連副作用(錐体外路症状、体重増加)の観点からさらに調査した。主な結果は以下のとおり。・患者群(-4.6[6.6]%)では、対照群(-1.12[4.0]%)と比較し過度な皮質体積減少が観察されたが(p=0.009)、皮質下灰白質体積および白質体積の変化に有意な差は認められなかった。・重回帰モデルでは、皮質体積の変化で唯一の有意な予測因子は、総抗精神病薬投与量であった(p=0.04)。・皮質体積の変化は、精神病理学的、機能的、錐体外路症状の変化、BMIまたは年齢、性別、未治療の精神疾患持続期間との間に有意な関連を示さなかった。 著者らは「抗精神病薬治療に伴う脳体積減少は、アウトカムの悪い患者だけでなく、また抗精神病薬の最低有効用量でも起こりうる。治療レスポンスまたは治療関連副作用との関連性の欠如は、少なくとも短期間での神経毒性を反映する皮質体積減少を意味している。一方で、体積の減少は、抗精神病薬の治療ベネフィットとは関連していなかった」としている。関連医療ニュース 統合失調症患者の脳ゲノムを解析:新潟大学 統合失調症、大脳皮質下領域の新発見:東京大学 統合失調症患者の性生活に対する満足度は

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急性咽頭痛、デキサメタゾンで有意に改善/JAMA

 急性咽頭痛で抗菌薬の即時投与を必要としない成人患者に対し、経口デキサメタゾンの単回投与が、48時間後の症状完全消失に効果があることがわかった。なお24時間後の症状完全消失については、有意な改善はみられなかったという。英国・Nuffield Department of Primary Care Health SciencesのGail Nicola Hayward氏らが、英国プライマリケアベースで565例を対象に行った、プラセボ対照無作為化二重盲検試験で明らかにしたもので、JAMA誌2017年4月18日号で発表した。急性咽頭痛はプライマリケアで最も多い症状の1つで、それに対する不適切な抗菌薬投与も少なくないのが現状だという。24時間、48時間後の症状完全消失の割合を比較 研究グループは、2013年4月~2015年4月にかけて、南・西イングランドのプライマリケア診療所42ヵ所で、急性咽頭痛の症状があり、抗菌薬の即時投与を必要としない成人患者565例を対象に試験を行った。被験者を2群に分け、一方には経口デキサメタゾン10mgを、もう一方にはプラセボをそれぞれ投与し、28日間追跡した。 主要評価項目は、24時間後に症状が完全消失した人の割合。副次評価項目は、48時間後に症状が完全消失した人の割合や、中等症・重症症状の持続期間などだった。抗菌薬の遅延処方有無にかかわらず、デキサメタゾンが2日後症状完全消失に効果 被験者の年齢中央値は34歳(範囲:26.0~45.5歳)、女性の割合は75.2%だった。 結果、24時間後に症状が完全消失した人の割合は、プラセボ群が17.7%(277例中49例)に対し、デキサメタゾン群は22.6%(288例中65例)と、両群で有意差はなかった(相対リスク[RR]:1.28、95%信頼区間[CI]:0.92~1.78、p=0.14)。 一方、48時間後の同割合は、プラセボ群が27.1%(277例中75例)に対し、デキサメタゾン群は35.4%(288例中102例)と有意に高率だった(RR:1.31、95%CI:1.02~1.68、p=0.03)。抗菌薬を遅延処方されなかった人についても、48時間後の同割合はそれぞれ27.2%、37.6%と、デキサメタゾン群で高率だった(RR:1.37、95%CI:1.01~1.87、p=0.046)。 その他の副次評価項目には、両群で有意差はなかった。■「デキサメタゾン」関連記事術前デキサメタゾン追加で術後24時間の嘔吐が低減/BMJ

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日本のDPCデータより統合失調症診断患者を分析

 QOLや社会的機能が改善された臨床的寛解を達成するためには、患者特性ごとに最適な治療を考慮する必要がある。これまでのエビデンスでは、統合失調症の再発予防に対する抗精神病薬持効性注射剤(LAI)の使用が支持されている。関西学院大学のStephane Cheung氏らは、統合失調症と診断された日本人患者の特徴を明らかにし、再入院または救急受診率についてLAIと経口抗精神病薬(AP)のアウトカムを比較した。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2017年3月30日号の報告。 2013年7月~2015年6月におけるICD-10コードF20xの日本のDPC指定の病院データは、メディカル・データ・ビジョン社より得た。併存診断条件をフィルタリングするため、患者をサブグループに分類した。サブグループ間の差異は、カイ2乗検定またはANOVAを用いて評価した。発症率比(IRR)を計算し、退院後30日間の再入院または救急受診率について、経口APとLAIの薬物療法間の比較または定型LAIと非定型LAI患者との比較を行った。調整推定値は、年齢、性別、Charlson co-morbidity index(CCI)スコアに割り付けられた傾向スコアにより算出した。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬使用リスクが報告されているにもかかわらず、データの4分の1において、認知症またはせん妄の併存診断に対し抗精神病薬が処方されていた。・年齢、性別、併存疾患で調整した後、LAIは経口APよりも再入院(IRR:0.38、95%CI:0.17~0.74)および救急受診率(IRR:0.56、95%CI:0.34~0.91)を低下させた。 著者らは「併存診断の分類に基づく統合失調症薬物療法におけるDPC病院データの利用が実証された。LAI使用は、経口APと比較して、統合失調症患者の再入院、救急受診率の低下に寄与する」としている。関連医療ニュース 統合失調症の認知機能に関連する独立因子:産業医大 統合失調症患者への抗精神病薬高用量投与、自律神経系への影響は:横浜市大 統合失調症患者の再入院、ベンゾジアゼピンの影響を検証:東医大

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カテーテルによる三尖弁形成術の初期段階の実用性は?

 機能的な三尖弁逆流(TR)は有病率が高いうえ進行することが多く、予後にも影響を与える。AHA/ACC(American Heart Association/American College of Cardiology guidelines)のガイドラインによると、三尖弁の修復術は、左室の開心術と同時に行う場合のみ、NYHA分類Iの適応となっている。三尖弁の修復術は患者にとって有益であるが、患者の多くは左心の開心術の際に、三尖弁の修復術を受けていない。一方で、経カテーテルによる治療は増えており、重症TRはこれらの患者の予後にも影響を与えている。このような背景から、経カテーテルによるTR治療が注目されている。 こうした中、Percutaneous Tricuspid Valve Annuloplasty System for Symptomatic Chronic Functional Tricuspid Regurgitation(症候性の慢性機能性三尖弁逆流症に対する経皮的三尖弁輪形成術システム)における初期の実用性を評価するSCOUT試験の結果を、米国コロンビア大学のRebecca T. Hahn氏らが報告した。Journal of American College of Cardiology誌4月号に掲載。NYHA分類 II以上の機能性TR15例を前向きに評価 本研究は、多施設共同で行われた前向きのシングルアーム試験である。 2015年11月~16年6月、NYHA分類II以上で、中等度以上の機能性TRを有する患者15例が登録され、手技が成功し、30日目までの段階で再手術が行われないことをプライマリエンドポイントとして評価した。心エコーによる三尖弁径、有効逆流口面積(EROA)、左室の拍出量(LVSV)の計測と、QOLの評価(NYHA分類、ミネソタ心不全QOL質問票、6分間歩行テスト)が、ベースライン時と30日後に行われた。 85歳以上、ペースメーカー患者、肺動脈圧>60mmHg、LVEF<35%、心エコーでTAPSE(tricuspid annular plane systolic excursion)<3mm、三尖弁のEROA>1.2 cm2の患者は除外された。1ヵ月後におけるデバイス植込み成功率は80% すべての患者(平均年齢73.2±6.9歳、87%が女性)において、デバイスの植込みが成功し、死亡、脳卒中、心タンポナーデおよび弁に対する再手術は認められなかった。30日後における手技の成功率は80%で、3例でプレジェットが弁輪から外れていた。残りの12例では、三尖弁輪とEROAは共に有意に縮小し(三尖弁輪:12.3±3.1cm2から11.3±2.7cm2、p=0.019、EROA:0.51±0.18cm2 vs.0.32±0.18cm2、p=0.020)、左室の拍出量は有意に増加していた(63.6±17.9mL vs.71.5±25.7mL、p=0.021)。Intention-to-treatコホートの解析でも、NYHA分類(NYHA≧I、p=0.001)、MLHFQ(47.4±17.6から20.9±14.8、p<0.001)、6分間歩行(245.2±110.1mから298.0±107.6m、p=0.008)で有意な改善がみられた。 30日後におけるSCOUT試験の結果により、新しい経カテーテルデバイスの安全性を確認した。経カテーテル三尖弁形成デバイスは、三尖弁輪およびEROAを縮小させるとともに左室拍出量を増加させ、QOLを改善することが示された。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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iFR vs.FFR、即席麺が老舗の味に肩を並べたのか?DEFINE-FLAIR試験(解説:中野 明彦 氏)-672

【FFRとiFR】 iFR(instantaneous wave-free ratio)は、ずっとFFRの背中を追いかけてきた。 FFR(fractional flow reserve)は、冠動脈病変の生理的・機能的評価のゴールドスタンダードである。最大充血を誘発することで末梢血管抵抗を最小値かつ一定にし、狭窄前後の圧力比を血流量比に落とし込むことを可能とする。しかし、最大充血を誘導する薬剤の副作用(アデノシンでは狭心症誘発・血圧低下・房室ブロック・気管支攣縮など、塩酸パパベリンではQT延長・VT/Vfなど)、短い半減期(とくにアデノシン)、手技時間延長などの欠点がある。最大充血を誘発しないことでFFRのアキレス腱を排除したiFRは、ADVISE study1)でFFRとの高い相関性(診断精度95%)を示し、VERIFY study2)で「FFR:0.6.0.9の範囲では相関性が低い」と否定されると、ADVISE II study3)では相関性の低いiFR:0.86.0.93の区間にFFRを併用(iFR+FFRハイブリッド法)して生き残りを目指した。 iFRには当初より批判的な意見も多い。iFRは血管抵抗が最小かつ一定になる(これにも議論が多いが)拡張末期の特定時相(wave free period)において、本研究にも助成しているVolcano社独自のアルゴリズム(未公開)で圧較差として算出されるが、その方法論の客観性・安定性に疑問符が投げかけられている。またFFR派・iFR派双方のグループがデータを出し合い第三者機関で解析したRESOLVE study4)では、iFRの診断精度は80%で、アデノシン非投与時の全時相の平均圧較差と同程度であった。さらにiFRのカットオフ値:0.90に明確な根拠はなく、これを基にiFR+FFRハイブリッド法の精度を検証したVERIFY 2 study5)では約10%に誤分類が生じていた。【DEFINE-FLAIR試験について】 これだけの逆風の中、単なる数値の比較ではなく臨床的意義でFFRと初めて対峙したのがDEFINE-FLAIRである。虚血の判断に迷う40~70%狭窄の新規病変を対象とし、急性冠症候群症例では非責任病変について検討した。同じジャーナルに掲載されたiFR-SWEDEHEARTもほぼ同一のプロトコールで行われ、患者背景こそ異なるものの両試験は判で押したように同じ結論:MACEでは非劣性、手技時間や手技に伴う不快感・有害事象はiFRが優れる、であった。 果たして、20%程度の診断精度不良は臨床現場ではかき消されてしまうということなのだろうか? 同じくDES時代で、FFRのマイルストーンであるFAME試験(多枝病変、陽性率63%)6)やFAME II試験(陽性率76%)7)と比較すると、軽症病変で6割が一枝のみでの検討だったDEFINE-FLAIR試験の平均FFR:0.83は明らかに高く、両群とも虚血陽性率が低かった(FFR群:34.6%、iFR群:28.6%)。iFR群でより陽性率が低かったのはカットオフ値(0.89)を引き下げたためかもしれないが、いずれにしろFAME/FAME IIとは明らかに対象の重症度が異なっている。軽症例でPCIと薬物療法との差がつきにくいことは多くの臨床試験で指摘されており、したがって、DEFINE-FLAIR試験ではiFRの精度の低さがカモフラージュされた可能性が否定できない。【冠動脈病変の生理的・機能的検査に求められるもの】 FAME試験(2年次)6)において「治療不要」のDefer群で自然発症心筋梗塞:0.2%、血行再建率:3.2%(明らかな病変進行:1.9%)という数字に驚かされたことがある。しかし生理的・機能的検査はその瞬間を捉え虚血の有無や血行再建の適応を判定する手法であって、その後の病変の運命を予言できるとは限らない。一方、FAME II試験7)で示されたように、「治療すべき」と判定された場合、薬物療法だけでは予後もQOLも不良となる。 冠動脈の生理的・機能的検査は血行再建のappropriatenessに直結する。血管造影では判定できない有意病変を拾いだす一方で、不要なPCIを回避して無益な合併症やコストを削減するのが使命となる。本試験のように似て非なるモダリティーの優劣を比較するには、「是」とした症例・病変と「否」とした症例・病変の行く末を別々に検討する必要がある。診断精度・カットオフ値の議論は脇に置くとしても、本試験のように「是」と「否」をひとまとめにするのはいかにも乱暴であり、結論をミスリードする可能性がある。 面倒な手続きを省いたインスタントなこの新しい手法が、老舗であるFFRと肩を並べたと声高に叫ぶのは、本試験の結果だけではいささか早計であろう。いうなれば、バイアスのかかったアンテナショップで好評を得た程度の感じである。今後、FAME/FAME IIのような重症群のそろうリアルワールドで、より丁寧な比較検討が必要と思われる。参考文献1)Sen S, et al. J Am Coll Cardiol. 2012;59;1392-1402.2)Berry C, et al. J Am Coll Cardiol. 2013;61;1421-1427.3)Escaned J, et al. J Am Coll Cardiol Intv. 2015;8;824-833.4)Jeremias A, et al. J Am Coll Cardiol. 2014;63;1253-1261.5)Hennigan B, et al. Circ Cardiovasc Interv. 2016;9;e004016.6)Pijls NH, et al. J Am Coll Cardiol. 2010;56;177-184.7)Bruyne BD, et al. N Engl J Med. 2014;371;1208-1217.

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アテゾリズマブ、白金化学療法不適格の尿路上皮がん1次治療に承認:FDA

 ロシュ社は2017年4月18日、米国食品医薬品局(FDA)がプラチナベース化学療法不適格の局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対するアテゾリズマブの投与について、迅速承認したことを発表した。 アテゾリズマブは、プラチナベース化学療法歴のある局所進行または転移性尿路上皮がん患者への投与について、既に承認を取得していたが、今回はプラチナベース化学療法不適格に対する1次治療での承認。 この適応症は、第II相臨床試験であるIMvigor 210試験の成績(奏効率および奏効期間)に基づき迅速承認された。承認の継続には、検証試験での臨床的有用性の証明が必要となる。■参考中外製薬ニュースリリースロシュ社ニュースリリースIMvigor210試験 コホート1(ClinicalTrials.gov)■関連記事テゾリズマブ 尿路上皮がんの1次治療に申請:シスプラチン不適患者にアテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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161)卵は食べてないと思っていたのに!【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者コレステロール値がなかなか下がらなくて…。医師どんなことに気を付けておられますか?患者卵をなるべく食べないようにしています。コレステロールが含まれているので…。医師なるほど。全然、卵は食べないんですか?患者そうなんです。「脂質異常症」と診断されてから、1個も食べていません。それでもなかなかコレステロール値が下がらなくて…。医師ちょっと、減らし過ぎな感じもしますけど。ちょっと、これを見てもらえますか?このチーズ蒸しパン、何でできていて、何が多く含まれていると思いますか?(チーズ蒸しパンを見せる)患者やっぱり、チーズですか? それとも小麦粉?医師正解は食品の裏の原材料名を見るとわかります。多く含まれている順番に書かれています。患者そうすると、一番多いのが砂糖で、次が卵なんですか! 知らなかった。これからは原材料名も見るようにします。●ポイント食品の原材料名の確認を勧めることで、患者さん自身が何をよく食べているか理解する助けとなります文献1)Nakamura Y, et al. Am J Clin Nutr. 2004;80:58-63.2)Kurotani K, et al. Br J Nutr. 2014;112:1636-1643.3)Kojima M, et al. Nutr Cancer. 2004;50:23-32.

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