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世界の健康維持に必要な人的資源、医師は640万人不足か/Lancet

 2019年の世界の医師密度は人口1万人当たり約17人、看護師・助産師の密度は約39人と、ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC:すべての人が適切な保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態)の達成に要する、健康のための人的資源(HRH)としては不十分で、医師は640万人、看護師・助産師は3,060万人が足りておらず、今後、世界の多くの地域で保健人材の拡充を進める必要があることが、米国・ワシントン大学のAnnie Haakenstad氏らGBD 2019 Human Resources for Health Collaboratorsの調査で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2022年5月23日号で報告された。GBD研究の一環の系統的解析 研究グループは、比較可能で標準化されたデータ源を用いて世界のHRH密度を推定し、HRHの中核となる最小限の保健人材とUHCの有効なカバレッジの遂行能力との関係を評価する目的で、「世界の疾病負担(GBD)研究」の一環として系統的な解析を行った(Bill & Melinda Gates財団の助成を受けた)。 国際労働機関(ILO)とGlobal Health Data Exchangeのデータベースを用いて、労働力調査から1,404ヵ国年のデータと、国勢調査から69ヵ国年のデータが特定され、医療関連の雇用に関する詳細なマイクロデータが収集された。また、世界保健機関(WHO)のNational Health Workforce Accountsから2,950ヵ国年のデータが同定された。 すべての職業コーディングシステムのデータを、国際標準職業分類1988(ISCO-88)にマッピングすることで、全時系列で医療従事者の16項目のカテゴリーについて、その密度の推定が可能となった。 204の国と地域のうち196(GBDの7つの広域圏と21の地域を網羅)の1990~2019年のデータを用い、時空間ガウス過程回帰(ST-GPR)を適用することで、1990~2019年のすべての国と地域のHRH密度がモデル化された。 また、UHCの有効カバレッジインデックスと、持続可能な開発目標(SDG)の指針3.c.1のHRHにかかわる保健人材の4つのカテゴリー(医師、看護師・助産師、歯科医師等[歯科医、歯科衛生士等(dental assistants)]、薬剤師等[薬剤師、pharmaceutical assistants])の密度との関係が、確率的フロンティアメタ回帰(SFM)でモデル化された。 UHCの有効カバレッジインデックスに関して、特定の目標の達成(100のうち80)に要する保健人材の最小限の密度の閾値が同定され、これらの最小閾値に関して国ごとの保健人材の不足分が定量化された。過小評価の可能性を考慮 2019年に、世界には1億400万人(95%不確実性区間[UI]:8,350万~1億2,800万)の保健人材が存在し、このうち医師が1,280万人(970万~1,660万)、看護師・助産師が2,980万人(2,330万~3,770万)、歯科医師等が460万人(360万~600万)、薬剤師等は520万人(400万~670万)であった。 2019年の世界の医師密度は、人口1万人当たり平均16.7人(95%UI:12.6~21.6)で、看護師・助産師は1万人当たり38.6人(30.1~48.8)であった。日本は人口1万人当たり、それぞれ23.5人(17.8~30.1)および119.2人(94.7~148.8)で、高所得国(それぞれ33.4人[26.9~41.0]および114.9人[94.7~137.7])の中では医師密度が低かった。 GBDの7つの広域圏のうち、サハラ以南のアフリカ(人口1万人当たりの医師密度2.9人[95%UI:2.1~4.0]、看護師・助産師密度18.3人[13.6~24.0])、南アジア(6.5人[4.8~8.5]、9.7人[7.3~12.8])、北アフリカ/中東(10.8人[8.0~14.3]、25.8人[19.6~33.5])でHRH密度が低かった。 UHC有効カバレッジインデックスの100のうち80の目標を達成するのに要する最小限の保健人材は、人口1万人当たり、医師が20.7人、看護師・助産師が70.6人、歯科医師等が8.2人、薬剤師等は9.4人であった。2019年に、この最小限の閾値の達成に不足していた保健人材数は各国の合計で、医師が640万人、看護師・助産師が3,060万人、歯科医師等が330万人、薬剤師等は290万人だった。 著者は、「中核となる保健人材の最小限の閾値は、人的資源を最も効率的にUHCの達成に結び付ける保健システムを基準としているため、実際のHRHの不足は推定よりも大きい可能性がある。この過小評価の可能性を考慮すると、UHCの有効カバレッジを向上させるには、多くの地域で保健人材の拡充を進める必要がある」としている。

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メトホルミン、非糖尿病の浸潤性乳がんに無効-MA.32試験/JAMA

 糖尿病のない高リスクの切除可能な乳がん患者の術後補助療法において、ビグアナイド系経口血糖降下薬メトホルミンはプラセボと比較して、無浸潤疾患生存率を改善せず、全生存や遠隔無再発生存、乳がん無再発期間にも差はなく、Grade3以上の非血液毒性の頻度が高いことが、カナダ・トロント大学のPamela J. Goodwin氏らが実施した「MA.32試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2022年5月24・31日号に掲載された。4ヵ国の医師主導型無作為化第III相試験 MA.32試験は、非糖尿病の浸潤性乳がん患者における術後補助療法へのメトホルミン追加の有効性の評価を目的とする、医師主導の二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2010年8月~2013年3月の期間に、4ヵ国(カナダ、スイス、米国、英国)の施設で参加者の登録が行われた(Canadian Cancer Society Research Institute[CCSRI]などの助成を受けた)。 対象は、年齢18~74歳、過去1年以内に診断されたT1~T3/N0~N3/M0(T1aN0とT1bN0を除く)の乳がんで、切除術後に標準的な術後補助療法を受けており、空腹時血糖値≦126mg/dLの患者であった。被験者は、メトホルミン(850mg、1日2回)またはプラセボを5年間経口投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、ホルモン受容体陽性(エストロゲン受容体[ER]またはプロゲステロン受容体[PgR]、あるいはこれら双方が陽性)例における無浸潤疾患生存とされた。無浸潤疾患生存は、無作為化の時点から、局所、領域、遠隔での浸潤性病変の再発、新規の原発性浸潤性病変(乳房または乳房以外)、死亡(乳がん、乳がん以外のがん、不明な原因)のうち、最も早く発現したイベントまでの期間と定義された。 また、8つの副次アウトカムのうち、3つ(全生存、遠隔無再発生存、乳がん無再発期間)の評価が行われた。中間解析で、ER/PgR陰性例での無益性を確認 3,649例(平均年齢52.4歳、女性3,643例[99.8%])が登録され、全例が解析に含まれた。2回目の中間解析で、ER/PgR陰性例における無益性が示されたため、主解析はER/PgR陽性例(2,533例)で行われた。ER/PgR陽性例の追跡期間中央値は96.2ヵ月(範囲:0.2~121)であった。 無浸潤疾患生存のイベントは、ER/PgR陽性例のうち465例で発現した。イベント発生率は、100人年当たりメトホルミン群が2.78と、プラセボ群の2.74と比較して有意な差は認められなかった(ハザード比[HR]:1.01、95%信頼区間[CI]:0.84~1.21、p=0.93)。また、死亡の発生率は、100人年当たりメトホルミン群が1.46、プラセボ群は1.32であり、全生存率にも両群間に差はなかった(1.10、0.86~1.41、p=0.47)。 一方、ER/PgR陰性例の追跡期間中央値94.1ヵ月の時点における無浸潤疾患生存イベントの発生率は、100人年当たりメトホルミン群が3.58、プラセボ群は3.60であった(HR:1.01、95%CI:0.79~1.30、p=0.92)。全生存率にも差はなかった(0.89、0.64~1.23、p=0.46)。 また、ER/PgR陽性例における遠隔無再発生存率(HR:0.99、95%CI:0.80~1.23、p=0.94)、乳がん無再発期間(0.98、0.80~1.20、p=0.87)にも統計学的に有意な差はみられなかった。 なお、探索的解析では、ERBB2(以前はHER2またはHER2/neuと呼ばれた)陽性例で、無浸潤疾患生存率(HR:0.64、95%CI:0.43~0.95、p=0.03)および全生存率(0.54、0.30~0.98、p=0.04)が、メトホルミン群で有意に良好であった。 Grade3以上の非血液毒性が、メトホルミン群で高頻度に認められた(21.5% vs.17.5%、p=0.003)。最も頻度の高いGrade3以上の有害事象は、高血圧(2.4% vs.1.9%)、月経不順(1.5% vs.1.4%)、下痢(1.9% vs.0.8%)であった。 著者は、「これらの知見を糖尿病患者へ外挿する際は、糖尿病と非糖尿病で代謝状態(たとえば、血糖コントロール、インスリン抵抗性、肥満)が異なるため注意を要する。また、メトホルミンは2型糖尿病に有効であるため、今回の結果は、乳がん患者における糖尿病治療薬としてのメトホルミンの使用には影響を与えないと考えられる」としている。

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有害事象報告のための可視化への動きが始まった(解説:折笠秀樹氏)

 臨床試験の有害事象はおよそ、群ごとに各事象の頻度と割合を示しているだけです。最後の表で示されていることが多いので、しっかり見ている人は少ないかもしれません。もっと注目してもらおうと、可視化(Visualization)への動きが高まっています。 英国の大学に所属する統計家を主に、コンセンサス会議が行われました。28種類の可視化を検討して、その中で10個を推奨することになったようです。 その多くはよく知られたものでした。棒グラフ、帯グラフ、折れ線グラフ、散布図、ドット・プロット、カプラン・マイヤープロットはよく見掛けます。それ以外にバイオリン・プロットとカーネル密度プロットが推奨されましたが、最近医学雑誌で見掛けたことがあります。統計ソフトのStata、R、SASなどでも描けるようになったみたいです。 カプラン・マイヤープロットというと、100%から下がるタイプしかありませんでした。がん治療の生命予後ならこれでよかったわけですが、循環器の心臓死なら、むしろ0%から上がっていく方式のほうが見やすいわけです。こうした持ち上がり型プロットが登場したのは、20年ほど前ではなかったでしょうか。統計ソフトもこれに対応するようになってきました。 可視化への動きは医学論文だけとは限りません。テレビや新聞などのマスメディアにおいても、視聴者や読者へ訴えかける手段として可視化には力を入れています。どういった解析法がよいかだけを考えるのが統計家の役目のように考えられてきましたが、この可視化についても統計家はもっと関与していくべきかもしれません。可視化に関する著書もたくさん出版されるようになってきました。最後に、可視化のカタログというサイトがあります(https://datavizcatalogue.com)。ぜひ見ておいてください。

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妊娠糖尿病、インスリン使用で周産期合併症が増加/BMJ

 妊娠糖尿病の妊婦は正常血糖値妊婦と比較して、インスリンを使用していない場合は、帝王切開による分娩や早産児・巨大児が多く、インスリンを使用している場合は、母親のアウトカムに差はないものの、新生児の在胎不当過大や黄疸、呼吸窮迫症候群などの周産期合併症の割合が有意に高いことが、中国・中南大学のWenrui Ye氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年5月25日号で報告された。妊娠糖尿病と妊娠有害アウトカムの関連をメタ解析で評価 研究グループは、妊娠糖尿病と妊娠有害アウトカムとの関連を、最小限の交絡因子を調整したうえで評価する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(中国国家自然科学基金などの助成を受けた)。 1990年1月1日~2021年11月1日の期間に、医学データベース(Web of Science、PubMed、Medline、Cochrane Database of Systematic Reviews)に登録された文献が検索された。 対象は、非妊娠糖尿病(対照群)と妊娠糖尿病(曝露群)が厳格に定義され、妊娠糖尿病と妊娠のさまざまな有害アウトカムの明確な診断基準を有するコホート研究および臨床試験の対照群とした。 これらの基準を満たした研究が、インスリンの使用状況に基づき次の3つのサブグループに分けられた。(1)インスリン非使用(疾患の経過中にインスリンを使用したことがない)、(2)インスリン使用(個別の割合で、妊婦がインスリン治療を受けている)、(3)インスリン使用の報告がない。 妊娠糖尿病や妊娠有害アウトカムに影響を及ぼす可能性のある因子(国の発展状況[先進国、開発途上国]、バイアスのリスク[低、中、高]、診断基準[WHO〔1999年版〕、Carpenter-Coustan基準、国際糖尿病・妊娠学会〔IADPSG〕、その他]、スクリーニング法[universal one step、universal glucose challenge test、リスク因子に基づく選択的スクリーニング])について、事前に計画されたサブグループ解析が行われた。 インスリンの投与を受けた患者の割合に基づきメタ回帰モデルが適用された。器械分娩や肩甲難産などには差がない 156件(インスリン非使用35件[22.4%]、インスリン使用63件[40.4%]、報告なし58件[37.2%])の研究に参加した750万6,061例の妊婦が解析に含まれた。133件(85.3%)が母親のアウトカムを、151件(96.8%)は新生児のアウトカムを報告していた。 アジアの研究が39.5%、欧州が25.5%、北米は15.4%で、84件(53.8%)が先進国で行われた研究であった。Newcastle-Ottawa尺度によるバイアスのリスクは、50件(32.1%)が低または中、106件(67.9%)は高だった。 インスリン非使用研究では、交絡因子を調整すると、非妊娠糖尿病妊婦に比べ妊娠糖尿病の妊婦で有意にオッズ比(OR)が高かったのは、次の5つの項目であった。母親のアウトカムでは、帝王切開による分娩(OR:1.16、95%信頼区間[CI]:1.03~1.32)、新生児のアウトカムでは、早産児(在胎期間<37週)(1.51、1.26~1.80)、分娩から1分後のApgarスコア低値(<7点)(1.43、1.01~2.03)、巨大児(出生時体重≧4,000g)(1.70、1.23~2.36)、在胎不当過大児(出生時体重が在胎期間の標準の90パーセンタイル以上)(1.57、1.25~1.97)。 また、インスリン使用研究では、交絡因子を調整すると、妊娠糖尿病の女性で有意にORが高かったのは次の4項目で、いずれも新生児のアウトカムであった。在胎不当過大児(OR:1.61、95%CI:1.09~2.37)、呼吸窮迫症候群(1.57、1.19~2.08)、黄疸(1.28、1.02~1.62)、新生児集中治療室入室(2.29、1.59~3.31)。 一方、器械分娩、肩甲難産、分娩後出血、死産、新生児死亡、分娩から5分後のApgarスコア低値、低出生時体重、在胎不当過小児については、交絡因子を調整しても、妊娠糖尿病の有無で明確な差は認められなかった。 サブグループ解析では、先進国よりも開発途上国において、妊娠糖尿病妊婦で巨大児が多く(インスリン使用研究のp<0.001、インスリン非使用研究のp=0.001)、インスリン使用研究ではBMIで調整すると巨大児(p=0.02)と在胎不当過大児(p<0.001)が有意に多かった。また、インスリン使用の報告がなかった研究では、選択的スクリーニングを受けた妊婦において、妊娠糖尿病妊婦で帝王切開による分娩(p<0.001)と新生児集中治療室入室(p<0.001)が有意に多くみられた。 著者は、「これらの知見は、妊娠糖尿病に関連する妊娠有害アウトカムの、より包括的な理解に寄与すると考えられる。今後の研究では、より完全な予後因子で調整することを常に心がける必要がある」としている。

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チェーンソーと首吊りによる複合自殺の一例【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第211回

チェーンソーと首吊りによる複合自殺の一例pixabayより使用法医学の世界では、自殺や他殺の症例報告がたくさんあります。死因を特定する重要性を啓蒙するためですが、世の中には、自殺に見せかけた他殺であったり、その逆であったりすることがあるため、事実の究明に役立つという側面もあります。さて今日は痛そうなタイトルです…。チェーンソーと首吊りの複合自殺の一例です。え、どういうことでしょうか?Gualco B, et al.An unusual complex suicide involving a chainsaw and a hanging: a case report.J Med Case Rep . 2022 Mar 28;16(1):122.58歳の白人男性が、地下室の天井で首を吊って死んでいるのを妻に発見されました。すでに死後3時間ほどが経過していました。彼は重度のうつ病を罹患し、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を定期内服していました。数年前から引きこもりがちになり、いつしか地下室に住むようになったそうです。当初の現場検証では自殺と思われましたが、なぜか首吊り死体の下に多量の血だまりがあったのです。調べてみると、セーターに多量の血液が付着して、腹部に多数の切創があることがわかりました。臍周辺に不規則な広い切開創が広がっており、筋肉・脂肪組織が見えていました。「自殺ではないのかもしれない―――」現場では、そんな思いがよぎったに違いありません。地下室の周辺を調べると、中庭で血痕が付いたチェーンソーが発見されました。チェーンソーの近くには、セーターの切れ端が見つかりました。チェーンソーからは、被害者の指紋のみが検出されました。また、腹部に切り込まれたチェーンソーの角度が不自然であり、自分で傷を付けたとしか考えられないことが判明しました。つまり、チェーンソーで腹部を切ろうとして死にきれず、最終的に首吊り自殺で死を遂げたというのが真実のようです。謎はすべて解けた。さて、チェーンソー自殺については、この連載の第194回で斬首した症例を紹介しました。「キックバック」がとても危ないという話でしたよね。

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「がんゲノム医療の現状と未来」国際WEBカンファレンス開催/日本乳がん情報ネットワーク

 日本乳がん情報ネットワーク(JCCNB)では2022年6月25日、「Cancer genome medicineの現状と将来展望」と題した国際WEBカンファレンスを開催する。米国臨床腫瘍学会(ASCO)CEOのClifford A. Hudis氏による基調講演のほか、NCCN(National Comprehensive Cancer Network)のWilliam Gradisher氏による「NCCN ガイドラインの最新情報」などのミニレクチャー、米国・欧州・アジア・オセアニアを繋いだライブでのパネルディスカッションが予定されている。<JCCNB Conference 2022 開催概要>主催:日本乳がん情報ネットワーク(JCCNB)テーマ:Cancer genome medicineの現状と将来展望開催日:2022年6月25日(土)17:00~21:30会議形式:WEB配信(録画・ライブ)参加費:10,000円プログラム:17:00~17:05 「開会」 Dr.中村 清吾(昭和大学臨床ゲノム研究所)17:05~18:00 「基調講演」 Dr. Clifford Hudis(ASCO)18:00~18:05 「Introduction」Dr. Robert Carlson(NCCN)18:05~18:20 「NCCN ガイドラインの最新情報」Dr. William Gradisher(Northwestern University)18:20~18:35 「トリプルネガティブ乳がんにおける最近の話題」Dr. Mellinda Telli(Stanford University School of Medicine)18:35~18:50 「外科医の視点」Dr. Emiel Rutgers(EBC council)18:50~19:05 「腫瘍内科医の視点」Dr. Barbara Pistilli(Gustave Roussy Cancer Center)19:05~19:20 「がん治療における免疫療法の新パラダイム」Dr. Gianpaolo Biancini(Ospedale San Raffaele)19:20~20:00 休憩20:00~21:30 パネルディスカッション(座長:Dr. Clifford Hudis・Dr. 中村清吾)パネルディスカッション参加予定者:Dr. Robert Carlson、Dr. William Gradisher、Dr. Mellinda Telli、Dr. Emiel Rutgers、Dr. Barbara Pistilli、Dr. Gianpaolo Biancini、Dr. Wonshik Han(Seoul National University Hospital)、Dr. Tan Puay Hoon(Singapore General Hospital)、Dr. Bruce Mann(Victorian Comprehensive Cancer Centre) 詳細、ならびに事前参加登録はこちら。

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4回目のコロナワクチン、感染予防の持続期間は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するBNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)の4回接種は、3回接種と比較して新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染予防とCOVID-19重症化予防の両方の有効性が認められたが、感染予防効果は比較的早期に減弱することが示唆された。イスラエル・Maccabi Healthcare ServicesのSivan Gazit氏らが、後ろ向き診断陰性デザインによる症例対照研究の結果を報告した。BMJ誌2022年5月24日号掲載の報告。約9万7,500例の10週間のデータを解析、4回目接種者vs.マッチング3回接種者 研究グループは、イスラエルの健康保険組織Maccabi Healthcare Services(MHS、250万人が加入)のデータベースを用い、同国でオミクロン株が優勢であった2022年1月10日(初めて4回目接種が行われた日の7日後)から2022年3月13日までのデータを解析した。 解析対象は、SARS-CoV-2感染歴がなく2022年1月3日から4回目接種を受ける資格を有していた(すなわち、3回目接種から4ヵ月以上経過)60歳以上のMHS会員で、追跡期間中に少なくとも1回のPCR検査を受けた9万7,499例であった。COVID-19の既往歴を完全に把握できない可能性のある2020年3月以降にMHSに加入した人は除外された。 主要評価項目は、SARS-CoV-2感染(BNT162b2ワクチン4回目接種後7日以上経過した時点でのPCR検査陽性)、および重症COVID-19(COVID-19関連の入院または死亡)とした。 追跡期間中のPCR検査において、最初の陽性判定(または重症度分析ではCOVID-19に関連した最初の入院または死亡)で症例、陰性判定のみを対照とし、性別、年齢(70歳未満、70歳以上)、居住地、社会経済状態、最初に検査を受けた週、3回目接種月、生活環境(医療介護施設、介護付き住宅、個人宅)の7因子に基づき、1症例に対して最大5例の対照をマッチングさせた。条件付きロジスティック回帰モデルを用い、4回目未接種(3回接種)に対する4回接種の相対的なワクチンの有効率を、接種後の各週で(1-オッズ比)×100(%)として算出した。感染予防効果は3週目が65%でピーク、重症化予防効果は72%以上を維持 解析対象の9万7,499例のうち、追跡期間中に4回目接種を受けたのは2万7,876例、3回接種が6万9,623例であった。 4回目接種後最初の3週間は、3回接種と比較してSARS-CoV-2感染およびCOVID-19重症化の両方に対して有効性が認められたが、感染予防効果は時間とともに低下した。すなわち、SARS-CoV-2感染に対する4回接種の相対的な有効率は、接種後3週目(14~20日)に65.1%(95%信頼区間[CI]:63.0~67.1)でピークに達した後、以降は急速に低下し、接種後10週目(63~69日)には22.0%(95%CI:4.9~36.1)となった。 一方、重症COVID-19に対する4回接種の相対的な有効率は、追跡期間を通じて高率に維持された(接種後7~27日で77.5%、28~48日で72.8%、49~69日で86.5%)。ただし、重症化は比較的まれな事象で、追跡期間中のCOVID-19関連入院・死亡の発生は全体でもわずか572例(0.25%)であった。COVID-19による死亡は106例で、このうち77例は3回接種のみ、23例は3回接種後の最初の3週間に4回目接種を受けていた。

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第111回 手術動画提供で機器メーカーの不当な現金供与発覚、類似事件がなくならないワケとは

手術動画を患者や勤務先に無断で医療機器メーカーに繰り返し提供こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。週末は深田 久弥の著作「日本百名山」に掲載されている100座の山を登ろうという百名山ハンターの友人に付き合って、関東最難関(岩場、鎖場が多く、1日の行動時間も10時間超になるため)の皇海山(すかいさん:栃木県と群馬県県境)に登ってきました。金曜夕方に登山の起点となる庚申山荘(ここまでも2時間歩きます)に到着したのですが、平日にもかかわらず山荘は宿泊客で既に満員。「百名山」の名前の威力に改めて驚かされました。岩場、鎖場だけでなく、下山路に使う谷沿いのトラバース道も相当危険で、高齢者の転落事故が多いのもうなずけました。どんなに危険でもここを登っておかないと「百名山クリア」を自慢できないわけで、深田 久弥も罪な山を選んだものだと思った次第です。さて今回は、5月半ばに発覚した、眼科医の白内障手術動画の提供事件について書いてみたいと思います。事件発覚のきっかけはNHKの報道でした。2022年5月14日、NHKは全国の総合病院などに勤務する眼科医5人が、白内障の手術の動画を患者や勤務先に無断で医療機器メーカーに繰り返し提供し、現金を受け取っていたと報じました。手術の動画は個人情報保護法に基づいて、病院が適切に管理することが求められていています。NHK報道によれば、各病院は医師を指導するなどしたうえで、「管理が不適切だった。再発防止に努めたい」などと話しているとのことです。「コンプライアンス上、問題があった可能性がある」とメーカー現金を受け取っていたとされるのは、北海道の社会福祉法人北海道社会事業協会・帯広病院(帯広協会病院)、愛知県の医療法人済衆館・済衆館病院、広島県の広島県厚生農業協同組合連合会・廣島総合病院(JA広島総合病院)、福井市の日本赤十字社・福井赤十字病院、大阪府の社会医療法人生長会・府中病院の5病院の眼科に勤める5人の医師です。5人は、米国の医療機器メーカー、STAAR SURGICAL社の日本法人、スター・ジャパンとの間で、この会社が製造するレンズを使用した白内障手術の動画を作成する契約を結んだ上で、手術動画を繰り返し提供、2021年までの3年間に現金40万~105万円、総額で700万円を超える額を受け取っていたとのことです。NHK報道では、5人の医師は患者からの同意も取っていなかったとのことです。またスター・ジャパンはNHKの取材に対し、「眼内レンズを使用した外科技術の教材を作成するプログラムを行っていた。コンプライアンス上、問題があった可能性があり、日本の医療機器業公正取引協議会および関係当局に報告するとともに、外部の法律事務所に委託し調査を実施している。事態を重く受け止め、医療従事者や患者、ご家族にご心配とご迷惑をおかけしていることをおわびします」などと回答したとのことです。医療機器業公正取引協議会、厚労省調査に乗り出すこの事件の報道を聞いて、医師の皆さんの中には「これはそれほどの事件なのか?」と思った方もいるのではないでしょうか。それはおそらく、「個人情報保護法の問題」と「現金供与の問題」が混在し、事件の焦点(いったい何が悪いのか)がボケてしまったためと思われます。病院や医師、メーカーはコメント上では反省しているようですが、「コンプライアンス上、問題があった可能性がある」といった発言からは、それほどの切迫感、緊張感は伝わって来ません。その後の続報によると、医療機器メーカーの業界で作る医療機器業公正取引協議会が、医師への現金提供の目的が景品表示法に基づく自主規制のルールで禁じられた自社製品の販売促進だった可能性もある、として調査を始めました。また、厚生労働省も会社側から聞き取りを行うなど契約内容の調査を始めたとのことです。こうした流れからも“事件”としての側面は、若干弱い感じもします。実際、NHK報道をきっかけにいくつかのマスコミも報道しましたが、その後尻すぼみとなりました。実は罰則が緩い個人情報保護法この事件、法律的にもなかなか微妙です。手術の動画は、映像や音声などから患者の特定につながるおそれがあるため、医療機関には漏えいなどを防ぐために個人情報保護法に基づいて適切な管理や従業員の監督を行うことが求められています。ただ、適切でなかったからといって、すぐに法律で罰せられるわけではありません。違法性がある場合、まず個人情報保護委員会(個人情報の適切な管理と利活用を監督する政府機関)が事業者に立ち入り検査などを行い、実態に応じて指導や勧告、命令を出します。そしてこの命令に違反した場合に、「個人は1年以下の懲役または100万円以下の罰金、法人は1億円以下の罰金」が科せられます。つまり、一医師が手術動画をメーカーに提供したからと言ってすぐに罪を問われることはなく、せいぜい個々の病院の就業規則違反止まりなのです。「整形外科医に巨額リベート」事件との共通点現金供与の方はどうでしょう。医療機器業公正取引協議会は、医師への現金提供の目的が景品表示法に基づく自主規制のルールで禁じられた自社製品の販売促進だった可能性もある、として調査を始めています。学会での紹介や医師への説明などに使うため、動画を含む医用画像の提供を医師から受け、その対価として謝礼を支払うことは基本問題ないとされています。しかし、 今回は動画の活用がなかった(つまり医師に現金を支払うためだけに動画の提供を受けた)ケースもあるようです。この事件を聞いて思い出したのは、本連載の「第35回 著名病院の整形外科医に巨額リベート、朝日スクープを他紙が追わない理由とは?」で書いた、2020年11月に発覚した、医療機器メーカーから整形外科医に現金供与が行われていた事件です。この事件では、米国の医療機器メーカー、Globus Medical社の日本法人が、同社の機器を購入した病院の医師20数人に対し、売上の10%前後をキックバックしていました。スクープした朝日新聞の記事によれば、キックバック額は2019年の1年間で総額1億円超となり、医師本人ではなく、各医師や親族らが設立した会社に振り込む形で行っていたとのことです。グローバスメディカル日本法人は、背骨や腰の治療で使う脊椎インプラントなどを販売する整形外科専門の医療機器メーカーです。20数人の医師は関東や関西、九州の大規模な民間病院の勤務医で、東京慈恵会医科大学病院や岡山済生会総合病院などの名前が挙がっていました。リベートや不当な現金供与が罰せられない日本この時は、朝日新聞が報道するのみで、他媒体はほとんど後追いしませんでした。おそらく、日本にはリベート供与を罰する法律が整備されておらず、企業も医師も法律上は「何の罪も犯していない」状況で、事件性が薄かったためと思われます。日本には、過大な景品提供などによる不公正な取引を防ぐため、個々の業界が定めた自主規制ルールである「公正競争規約」があります。同規約は景品表示法第31条に基づくものですが、あくまでも業界の自主ルールであり、そこに法律違反は発生しません。一方、米国にはリベートを罰する法律があり、受け取った医師も罰せられます。この時も、医療機器業公正取引協議会が調査に乗り出すのみで、事件は収束に向かいました。今回発覚したスター・ジャパンの事件も、同協議会が調査に乗り出していますが、おそらく協議会の内部処分で終了となるでしょう。整形外科医の時は朝日新聞の報道のみであったのに対し、今回のケースはNHKの報道を他メディアも後追いしています。それは、現金供与に加えて、「個人情報=患者情報」も絡んでいたことが関係していそうです。ただ、その患者情報についても、無断提供が発覚したところで、厳しい罰則は現在のところありません。以前の記事では、「医薬品業界よりも医療機器業界のほうが『公正競争規約』などの自主規制ルールやその運用自体が“緩い”とみる専門家もいるようです。今後、同社以外の“不適切事例”もひょっとしたら出てくるかもしれません」と書きましたが、実際その通りになってしまいました。医療機器絡みのリベートや不当な現金供与は、そろそろ「自主規制ルール」ではなく、何らかの法律で罰するようにしたほうがよいのではないでしょうか。医療機関が購入する医療機器の代金はそもそも公的財源も入った診療報酬で賄われています。その代金にあらかじめリベートや不当な現金供与分も上乗せされているとしたら、それは大きな問題だからです。

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日本人統合失調症患者におけるQOLと臨床的要因の関係

 徳島・城南病院のYoshimune Ishii氏らは、統合失調症入院患者におけるQOLと臨床的要因の関係を明らかにするため検討を行った。その結果、抑うつ症状の治療が統合失調症入院患者の主観的QOLの改善に影響を及ぼす可能性が示唆された。The Journal of Medical Investigation誌2022年1.2号の報告。 対象は、統合失調症入院患者50例(平均年齢:56.48±11.93歳)。主観的QOLの評価には、統合失調症QOL尺度日本語版(JSQLS)および主観的ウェルビーイング評価尺度短縮版-日本語版(SWNS-J)を用い、認知機能の評価には、ミニメンタルステート検査(MMSE)-日本語版を用いた。うつ症状の重症度、精神症状、薬物誘発性錐体外路症状の評価には、それぞれ、カルガリー統合失調症用抑うつ症状評価尺度日本語版(JCDSS)、簡易精神症状評価尺度(BPRS)、薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)を用いた。JSQLSおよびSWNS-Jに影響を及ぼす因子を特定するため、段階的回帰分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・うつ症状の重症度を評価するJCDSSは、主観的QOLを評価するJSQLSの2つのスケールの予測因子であり、同じくSWNS-Jの総スコアと2つのサブスケールの予測因子でもあった。・他の臨床的因子では、JSQLSおよびSWNS-Jとの関連は認められなかった。

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米国における片頭痛治療開始患者に対するフレマネズマブの有効性

 成人の片頭痛予防に承認されている、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を選択的標的としたヒト化モノクローナル抗体(IgG2Δa)フレマネズマブの有効性および忍容性は、ランダム化二重盲検比較プラセボ対照試験で実証されている。リアルワールドでのデータはこれら臨床試験のデータを支持しており、フレマネズマブの臨床的ベネフィットは明らかになっている。オランダ・Teva PharmaceuticalsのMaurice T. Driessen氏らは、実臨床診療に従って治療された成人片頭痛患者の臨床アウトカム改善に対するフレマネズマブの有効性を評価するため、チャートレビューを実施した。その結果、実臨床において、投与レジメンや過去の片頭痛予防治療の失敗数にかかわらず、最大6ヵ月間のフレマネズマブ治療の有効性が確認されたことを報告した。The Journal of Headache and Pain誌2022年4月11日号の報告。 米国医師による電子症例報告フォームを用いて、レトロスペクティブ、パネルベースのオンライン医師チャートレビュー研究を実施した。患者の選択基準は、医師による片頭痛の診断、FDA承認後に18歳以上でフレマネズマブ治療を開始、フレマネズマブ治療1回以上、1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)2以上の評価(治療開始前30日間で1、治療開始後1以上)とした。MMD、1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)、片頭痛評価尺度(MIDAS)、Headache Impact Test 6(HIT-6)スコアのベースラインからの変化を6ヵ月間にわたり評価した。これらのエンドポイントは、全体の母集団とサブグループで、投与レジメンおよび過去の片頭痛予防治療の失敗数で除して評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・臨床医421人が参加し、1,003例の患者データが収集された。・フレマネズマブ治療開始時の平均年齢は、39.7歳であり、多くは女性であった(75.8%)。・母集団全体では、ベースライン時の平均MMDは12.7、平均MHDは14.0であった。・MMDとMHDの平均減少数(割合)は以下のとおりであった。【MMD】1ヵ月:-4.6(36.2%)、3ヵ月-6.7(52.8%)、6ヵ月:-9.2(72.4%)【MHD】1ヵ月:-4.7(33.6%)、3ヵ月:-6.8(48.6%)、6ヵ月:-9.8(70.0%)・MIDASおよびHIT-6スコアの平均値も、ベースラインから1ヵ月および6ヵ月にわたり、減少が認められた。【MIDAS】1ヵ月:-6.2(21.6%)、6ヵ月:-18.1(63.1%)【HIT-6】1ヵ月:-8.4(14.0%)、6ヵ月:-16.2(27.0%)・評価したすべてのサブグループにおいて、6ヵ月間にわたり、これらアウトカムの改善が認められた。

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オミクロン株優勢下、小児~青少年でも追加接種が必要か/JAMA

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のオミクロン変異株が優勢な時期に、年齢5~15歳の小児・青少年では、BNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)の2回接種後の推定有効率は高くなく(約60%)、その後2ヵ月後までに急速な低下が認められたが、12~15歳では3回目の追加接種により上昇に転じたことが、米国・疾病予防管理センター(CDC)のKatherine E. Fleming-Dutra氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年5月13日号で報告された。米国の検査陰性デザインの症例対照研究 研究グループは、オミクロン変異株優勢期の小児および青少年における症候性SARS-CoV-2感染症とBNT162b2ワクチン接種との関連を評価し、当ワクチンの有効率を推定する目的で、検査陰性者を対照とする症例対照研究を行った(米国・CDCの助成を受けた)。 解析には、Increasing Community Access to Testing(ICATT)プラットホームのデータが用いられた。ICATTは米国保健福祉省(HHS)のプログラムで、ドライブスルー形式のSARS-CoV-2検査を全国的に展開する4つの商業的な薬局チェーンが参加しており、今回は、このうち1つのチェーンのデータについて解析が行われた。 対象は、2021年12月26日~2022年2月21日の期間に、SARS-CoV-2の核酸増幅検査(NAAT)を受けた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)様疾患を呈する小児(5~11歳)および青少年(12~15歳)であった。6,897ヵ所の検査所(ノースダコタ州を除く49州とワシントンDC、プエルトリコ)で行われた12万1,952件(5~11歳:7万4,208件、12~15歳:4万7,744件)の検査が解析に含まれた。 5~11歳では、SARS-CoV-2検査の2週間以上前にBNT162b2ワクチンの2回目接種を受けた集団と未接種の集団、12~15歳(追加接種が推奨された)では、検査の2週間以上前に2回または3回の接種を受けた集団と未接種の集団の比較が行われた。 主要アウトカムは症候性SARS-CoV-2感染症(COVID-19様疾患を呈し、NAATでSARS-CoV-2陽性の場合と定義)とされた。ワクチン接種と症候性SARS-CoV-2感染症の関連の補正後オッズ比(OR)を用いて、推定ワクチン有効率([1-OR]×100%)が算出された。5~11歳で追加接種が必要となる可能性も 年齢5~11歳の7万4,208件のSARS-CoV-2検査のうち、3万999件が陽性(症例)で、4万3,209件は陰性(対照)であった。また、12~15歳の4万7,744件の検査では、2万2,273件が陽性(症例)、2万5,471件は陰性(対照)だった。全体では、症例が5万3,272人(43.7%)、対照は6万8,680人(56.3%)であった。 全体で、検査を受けた集団の年齢中央値は10歳(IQR:7~13)、6万1,189人(50.2%)が女児で、7万5,758人(70.1%)は白人、2万9,034人(25.7%)はヒスパニック系/中南米系であった。5~11歳の7万4,208件の検査のうち、5万8,430件(78.7%)はワクチン未接種者のもので、1万5,778件(21.3%)は2回接種者であった。12~15歳の4万7,744件では、それぞれ2万4,767件(51.9%)および2万2,072件(46.2%)で、残りの905件(1.9%)は3回目の追加接種を受けていた。 2回目接種後2~4週の時点において、5~11歳では、補正後ORが0.40(95%信頼区間[CI]:0.35~0.45)で、推定有効率は60.1%(95%CI:54.7~64.8)であり、12~15歳では、補正ORが0.40(95%CI:0.29~0.56)、推定有効率は59.5%(95%CI:44.3~70.6)と、有効率は高い値ではなかった。 また、2回目接種後2ヵ月の時点では、5~11歳の補正後ORは0.71(95%CI:0.67~0.76)、推定有効率は28.9%(95%CI:24.5~33.1)で、12~15歳はそれぞれ0.83(95% CI:0.76~0.92)および16.6%(95%CI:8.1~24.3)であり、いずれの年齢層でも有効率は急速に低下していた。 2回目接種後1ヵ月までは、5~11歳と12~15歳で推定有効率に有意差はなかったが、2ヵ月後には5~11歳が12~15歳よりも推定有効率が高かった(0ヵ月後p=0.99、1ヵ月後p=0.40、2ヵ月後p=0.01、0~2ヵ月後p=0.06)。 12~15歳のうち追加接種を受けた集団では、3回目接種後2~6.5週の補正後ORは0.29(95%CI:0.24~0.35)、推定有効率は71.1%(95%CI:65.5~75.7)であり、推定有効率の上昇が認められた。 著者は、「これらの知見は、オミクロン変異株が優勢な時期に成人で観察されたパターンと類似する」とし、「成人におけるmRNAワクチン2回接種後や追加接種後の有効率の漸減パターンを考慮すると、12~15歳では追加接種による感染防御の期間の監視が重要であり、5~11歳でも、オミクロン変異株に対する感染防御効果を最適化するために、追加接種が必要となる可能性がある」と指摘している。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その3【「実践的」臨床研究入門】第20回

かつては、出版した論文(掲載誌)のインパクトファクター(Impact factor:IF)の総計で、研究者個人の研究業績評価がなされている向きがあったかもしれません(もしかしたら、一部では今でも?)。繰り返しになりますが、IFは学術誌の影響力を測るひとつのものさしであり、個々の論文の影響力や、ましてや論文著者の研究業績を評価する指標ではありません(連載第18回、第19回参照)。今回は、研究者(論文著者)の影響力や業績評価の指標について解説します。研究者(論文著者)の影響力の指標 h-index研究者の影響力や業績評価もまた、学術誌や個々の論文の影響力の指標と同じく、被引用回数に基づく指標が用いられています。研究者が出版した論文の被引用回数が多ければ多いほど、それだけその研究者の論文が注目されているということであり、ひいては質の高い業績がある、と評価されます。研究者個人単位での業績評価には近年、h-indexという指標が多く用いられています。h-indexは、「その研究者が出版した論文のうち、被引用回数がh回以上である論文がh本以上であることを満たす最大値h」と定義されています。「ちょっと何言ってるかわからない」ですかね。もし、ある研究者のh-indexが20であったとすると、その研究者は20回以上引用されている論文が20本以上ある、ということです。このように、h-indexは研究者が出版した論文の「被引用回数」と「論文数」という、その研究者の影響力と生産性を同時に示すことができる指標です。h-indexが高いほど、その研究分野への貢献度が高いと評価されます。具体的な-indexの算出方法は下記のとおりになります。1.その研究者が出版した論文を被引用数が多い順(降順)にすべて並べる2.順位の数値が被引用数より高くなった手前の順位の数値が、その研究者のh-indexh-indexは、実際には上記の手順で手計算で算出するのではなく、ScopusやGoogle Scholarなどの検索データベースで簡単に調べることができます。ScopusとGoogle Scholarどちらで調べれば良いかについては、筆者はScopusをおすすめします。その理由は下記のとおりです。ScopusはMEDLINE(PubMed)を100%、EMBASE収録誌のほとんどを網羅しており(連載第17回参照)、これらの電子データベースに収載された論文を1本でも出版したすべての研究者の情報が公開されています。一方、Google Scholarでは、アカウントを登録し自分のプロフィールの公開を許可している研究者の情報しか閲覧できません。また、Google Scholarが収録している文献情報は、学会抄録やMEDLINEやEMBASEに収載されていない(低レベルの)学術誌も含まれており、Scopusよりh-indexが見かけ上高く出る傾向があります。ほとんどの研究教育施設ではScopusを機関契約していると思いますが、h-indexなどの研究者プロフィールは、無料で利用可能なScopus Previewでも調べられます(一部機能制限あり)。著者検索ページにアクセスし、著者の姓、名、および所属機関を英語入力することで、その研究者情報を閲覧できます。それでは、前回もとりあげたコクラン・フル・レビュー論文著者のh-indexをScopusで調べてみましょう。筆頭著者のDeirdre Hahn氏、責任著者のDenis Fouque氏のh-indexを上記の手順で検索すると、連載第20回執筆時点(2022年5月)では、それぞれ10と64と表示されます。おそらくHahn氏は比較的若手の、Fouque氏はシニアの大御所研究者であることが推測されます。このようにh-indexもIFと同様に研究歴の浅い若手には不利な数値となります。そのため直近5年間のh5-indexという指標が使われることもあります。また、これもIFと同じですが、異なる研究分野間での研究者のh-indexの比較も難しいとされています。関連研究レビューの際に、その論文著者の影響力評価のひとつの指標としてh-indexも参考にしてみてください。h-indexはメンター探しのツールとしても有用かもしれません。1)Hirsch JE. Proc Natl Acad Sci U S A. 2005;102:16569-72. doi: 10.1073/pnas.0507655102.2)Hahn D, et al. Cochrane Database Syst Rev 2020:CD001892.doi: 10.1002/14651858.CD001892.pub4.

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第114回 英国のサル痘患者7人の経過や抗ウイルス薬の効果の兆候

サル痘は動物を出どころとするヒト感染症で、天然痘ウイルスと同じ類のオルソポックスウイルスの一種によって生じます。1970年に中央アフリカで初めて見つかり、世界で最も貧しく、見放された地域でこれまで流行していました1)。しかしここにきていまや高所得国を含む少なくとも20ヵ国でいつにないサル痘感染の増加が認められています2)。サル痘の症状は発熱・発疹・リンパ節の腫れを特徴とし、悪くすると間質性肺炎・脳炎・視力を損ないうる角膜炎・細菌二次感染などを合併する恐れがあります。サル痘による死亡率は症例の見立ての偏りの影響が大きく、報告によってかなり異なります。より強毒らしい一派のウイルスが広まるコンゴ盆地でのサル痘死亡率はおよそ1~10%と報告されています3,4)。一方、ナイジェリアで最近流行した西アフリカのウイルス一派の死亡率はおおむね低くておよそ3%未満です4,5)。これまでのサル痘での死亡例のほとんどは幼い子やHIV感染者です。サル痘のヒトからヒトへの感染はよく知られていますが、どう広がっていくかはよく分かっていません。これまでの報告一揃いによると感染者と接触した家族への伝播率はおよそ8%です。サル痘ウイルス血症や皮膚からのウイルス排出の流行に寄与する臨床的な意義はいまだ不確かです。英国では2018年以降に4人が旅行絡みのサル痘に感染し、それら4人から3人への感染の伝播が認められています1)。感染が伝播した3人のうち1人は医療従事者で、院内でサル痘ウイルスに感染しました。他の2人は感染者の子供と母親です。二次感染も含むのべ7人のそれら英国感染者のうち最初の3人には抗ウイルス薬・brincidofovir(ブリンシドフォビル)、別の1人(母親)にはSIGA Technologies社の抗ウイルス薬tecovirimat(テコビリマット;製品名 TPOXX)が経口投与されました。brincidofovirはどうやら肝毒性があり、投与された3人全員が肝酵素上昇によりその投与を中止しています。一方、合併症予防と入院期間の短縮を目指してtecovirimatが2週間投与された1人は有害事象を被ることなく他の6人に比べて早く退院できました。またウイルス排出期間も短くて済んでいました。7人のうち1人は退院から6週後に軽い再発を経験しています。上気道からのウイルス排出は皮膚病変解消後も長く続きうるらしく、3人の患者の上気道のサル痘ウイルスDNA検出は少なくとも3週間認められています。5人はウイルス検出(PCR検査陽性)が長く続いたため隔離を3週間超(最長39日間)続けました。他のヒトへの感染の伝播しやすさのデータは不十分で今後調べる必要があります。また、サル痘への抗ウイルス薬投与の試験が急務です2)。サル痘がまん延する中央アフリカ共和国ではすでにtecovirimatの試験が進行中です6)。その試験ではサル痘入院患者に同剤を広く提供し、将来の同剤使用や臨床開発に役立つ効果や安全性の情報を揃えることを目指しています。SIGA社は同試験でのtecovirimat一通り投与最大500回分を無償で提供することを去年7月に約束しています7)。その取り組みが功を奏し、やがては同剤が最も必要とされる人に使われて重宝されるようになることを中央アフリカ共和国の試験代表者Emmanuel Nakoune氏等は望んでいます8)。参考1)Adler H,et al. Lancet Infect Dis. 2022 May 24:S1473-3099.00228-6. [Epub ahead of print]2)Disease experts call on WHO, governments for more action on monkeypox / Reuters3)Jezek Z,et al. Bull World Health Organ. 1988; 66: 459-464.4)Beer EM, Rao VB. PLoS Negl Trop Dis. 2019; 13.e0007791. 5)Yinka-Ogunleye A,et al. Lancet Infect Dis. 2019; 19: 872-879. 6)Expanded access protocol for the use of tecovirimat for the treatment of monkeypox infection. ISRCTN433079477)SIGA Announces Collaboration with Oxford University to Support Expanded Access Protocol for Use of TPOXX? (Tecovirimat) To Treat Monkeypox in Central African Republic / GlobeNewswire8)Nakoune E, Olliaro P. BMJ. 2022 May 25;377:o1321.

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血圧コントロールのため慢性心不全治療の見直しを提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第47回

 今回は、心不全患者の降圧薬の処方提案について紹介します。高血圧が理由でデイサービスの利用に影響が生じた場合は降圧だけに着目しがちですが、慢性心不全の標準治療薬を見直して心不全そのものをコントロールすることで、血圧やうっ血などの改善も兼ねられます。患者情報70歳、女性(グループホーム入居)基礎疾患慢性心不全(HFrEF)、心房細動、狭心症、高血圧服薬管理施設管理処方内容1.クロピドグレル錠75mg 1錠 朝食後2.ジゴキシン錠0.125mg 1錠 朝食後3.ランソプラゾール口腔内崩壊錠15mg 1錠 朝食後4.カンデサルタン錠4mg 1錠 朝食後5.フロセミド錠20mg 1錠 朝食後6.アトルバスタチン錠5mg 1錠 朝食後7.カルベジロール錠2.5mg 1錠 朝食後8.スピロノラクトン錠25mg 1錠 朝食後本症例のポイントこの患者さんは、最近は収縮期血圧が170~180台と高値が持続するようになり、下腿浮腫も増強したことからフロセミド錠20mgが開始となりました。下腿浮腫は軽減しましたが、血圧は高値で横ばいの状態が続き、デイサービスの利用や入浴の制限などがかかったことから、施設スタッフより医師に降圧薬追加の依頼がありました。そこで、医師よりCa拮抗薬を追加しようと思っているがどの薬がいいか、と相談がありました。確かに血圧だけを下げるのであればCa拮抗薬が妥当ですが、現在の患者さんの状態や治療薬などから、ほかの薬剤でうまくコントロールできないか検討することにしました。まず、基礎疾患とその治療をみると、HFrEFの治療として標準治療薬であるARBのカンデサルタン、β遮断薬のカルベジロール、MR拮抗薬のスピロノラクトンを服用しています。また、下腿のうっ血治療として直近でフロセミド錠が追加されています。現行の薬剤の増量やCa拮抗薬の追加によって降圧を図るという方法もありますが、うっ血症状が最近現れるようになったことから心不全治療薬の再考も選択肢となります。「2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療」の治療アルゴリズムのとおり、ARBからARNIへ基本薬の変更を行うことは、血圧のコントロールに加え、心不全の管理としても有効ではないかと考えました。処方提案と経過医師に、「Ca拮抗薬の追加も選択肢の1つですが、降圧とともにうっ血症状の管理が必要なため、心不全管理の観点からカンデサルタンをARNIのサクビトリルバルサルタンに変更してみるのはどうですか」と提案しました。心不全診療ガイドラインの改訂についてはPDFファイルでその場で医師と共有してARNIの位置づけを再確認し、提案内容で2週間様子をみようと承諾を得ることができました。翌日の朝よりカンデサルタンからサクビトリルバルサルタン100mg 朝食後に切り替えとなり、開始4日目から血圧は130/80台で安定するようになりました。その後も過度に血圧が下がることはなく、下腿浮腫の増悪や体重増加もなく経過は安定しています。日本循環器学会 / 日本心不全学会.2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版

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機械学習でアルコール使用障害の再発リスクを予測

 機械学習により治療終了後に再発するリスクの高いアルコール使用障害(AUD)患者を特定できる可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。米イェール大学医学部精神医学分野のWalter Roberts氏らが実施したこの研究の詳細は、「Alcoholism: Clinical and Experimental Research」に4月14日掲載された。 AUDに対する治療は再発率が高く、多くの患者が治療中や治療後に大量のアルコール飲料を摂取してしまう。そのため、特に重度のAUD患者では、長期にわたる禁酒を成功させるまでに、繰り返し治療を受けることも珍しくない。AUDの再発は、医療費にかける負担が大きいだけでなく、患者の治療に対する意欲を損なう。過去の研究では、治療アウトカムと関連するAUD患者の特徴が特定されているが、これらを体系的に活用して臨床的アウトカムの予測を試みた研究は少ない。 そこでRoberts氏らは、AUDと薬物療法に関する最大の臨床試験であるCOMBINE試験(対象者1,383人)のデータを基に機械学習による予測モデルを構築し、AUD患者の臨床的アウトカムに対する予測能を検証した。同試験の対象患者は、薬物療法、または薬物療法+行動療法など9種類の介入法のうちのいずれかを4カ月間受ける群にランダムに割り当てられていた。予測ターゲットは、治療開始後1カ月以内、治療終了前1カ月間、または隔週で行われる治療セッション間での大量飲酒とされた。なお、大量飲酒は、女性では1日4杯以上、男性では1日5杯以上の飲酒と定義された。 その結果、このモデルは再発リスクの予測に優れ、大量飲酒に舞い戻るリスクが高く、介入を追加することでベネフィットを得られる可能性のある患者を、臨床医よりも正確に特定できる可能性が高いことが明らかになった。 また、AUD再発を予測する上で最も重要な因子は、肝酵素レベル、アルコール依存症が始まった年齢などの他、飲酒行動や精神症状に関連する自記式の調査スコアなどであることが分かった。Roberts氏らは、「これらの因子に関する情報は、AUDの治療中に比較的容易かつ安価に得ることができる」と指摘している。さらに、過去の研究では有害な飲酒と関連を示す因子に性差のあることが示されていたが、今回の研究でもそれらの知見と一致する結果が得られた。 以上のような結果を踏まえた上でRoberts氏らは、「この研究により、定期的に収集された臨床データを用いれば、機械学習によりAUDに対する治療のアウトカムを予測できる可能性のあることが明らかになった。この手法を用いることで、高額で侵襲的な評価方法を使わずとも、臨床上の予測精度を大幅に向上させることができるかもしれない。こうしたモデルをどのように活用するのが最善なのか、さらなる研究で追求する必要がある」と結論付けている。

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武田(ノババックス)ワクチンの副反応

武田(ノババックス)コロナワクチンの主な副反応初回接種(1、2回目)追加接種(3回目)(%)1001001001回目81.42回目80808063.362.760606050.032.743.354.651.046.945.940404029.321.3 20.729.317.3 10.0 10.7 8.728.617.3 15.313.3 11.3 2020202.72.74.711.310.313.317.33.3000<背景>国内第I/Ⅱ相試験(TAK-019-1501試験)の結果を基に作成。ワクチン接種群150例(新型コロナウイルス感染症ワクチン未接種の20歳以上の日本人健康成人)から報告された局所反応別割合の結果をグラフ化。<背景>海外第I/Ⅱ相試験(2019nCoV-101試験 第2相パート)の結果を基に作成。ワクチン接種群97例(本剤を3週間隔で2回接種した18~84歳の健康成人)から報告された局所反応別割合の結果をグラフ化。・本剤は組換えタンパクワクチンで、不活化ワクチンの一種です。・ワクチン未接種の方、1回目や2回目にほかのワクチンを接種した方でも接種可能です。また、mRNAワクチンにアレルギーがあった方でも受けられる場合があります。・上記グラフは発現頻度が10%以上の副反応を示し、「発熱」については追加接種(3回目)後に報告されました。いずれの副反応も大部分は接種後1~2日以内に発現し、持続期間の中央値は1.0~2.5日でした。出典:ヌバキソビッド筋注添付文書、厚生労働省_武田社の新型コロナワクチン(ノババックス)についてCopyright © 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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双極I型障害における抗うつ薬治療と躁転リスク

 双極性障害の治療において、症状転換は臨床的な問題になることが多い。実臨床では、双極性うつ病の治療に抗うつ薬が用いられることがあるが、そのベネフィットについては議論の余地が残っている。これまで双極性うつ病の躁転に焦点を当てた遺伝子研究はほとんど行われておらず、ゲノムワイド関連解析(GWAS)はなかった。台湾・Chang Gung Memorial HospitalのChih-Ken Chen氏らは、双極I型障害の躁転リスクに対するゲノム研究と抗うつ薬の影響について調査を行った。その結果、抗うつ薬治療とrs10262219は、複合的に双極性うつ病後の躁転リスクを増加させることを報告した。Journal of Personalized Medicine誌2022年4月11日号の報告。 対象は、抗うつ薬治療とアウトカムの完全なデータがあり、複数のうつ病エピソードを有する双極性障害患者1,004例。躁症状とうつ症状の臨床評価は、訓練を受けた精神科看護師および精神科医がSchedules for Clinical Assessment in Neuropsychiatry(SCAN)の中国語版を用いて実施した。双極I型障害の診断はDSM-IV基準に従った。躁転は、急性うつ病エピソードの寛解から8週間以内に認められた躁病エピソードと定義した。対象患者の初回うつ病エピソード発症年齢は30.7±12.5歳であり、全患者の56%は女性であった。GWASは746例で実施し、その後255例の独立したグループで複製を行った。 主な結果は以下のとおり。・GWASにおいて、7番染色体上のrs10262219は、躁転リスクと最も強く関連する対立遺伝子であることが示唆されたが(p=0.000000221)、複製では有意性は認められなかった。・抗うつ薬治療は、躁転リスクを有意に増加させた(オッズ比:1.7、95%CI:1.3~2.2、p<0.001)。・ロジスティック回帰分析では、rs10262219のCC遺伝子型(オッズ比:3.0、95%CI:1.7~5.2)および抗うつ薬治療(オッズ比:2.3、95%CI:1.4~3.7)が、複合的な影響を伴う躁転リスクを有意に増加させた(オッズ比:5.9、95%CI:3.7~9.4)。

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膀胱がん摘除術後の生存・回復、ロボット支援 vs.開腹術/JAMA

 根治的膀胱摘除術を受けた転移のない膀胱がん患者において、体腔内尿路変向術(ICUD)を伴うロボット支援根治的膀胱摘除術(RARC)は開腹膀胱全摘除術(ORC)と比較し、術後90日間の生存および入院不要の院外療養日数を統計学的に有意に増加することが、英国・シェフィールド大学のJames W. F. Catto氏らによる医師主導型多施設共同第III相無作為化非盲検試験「iROC試験」の結果、示された。近年、RARCの実施頻度が増加しているが、ORCと比較して回復を改善するかどうかは不明であった。なお著者は、「今回示された両群の差については、臨床的意義があるかどうかまだ不確かである」と述べている。JAMA誌オンライン版2022年5月15日号掲載の報告。転移のない膀胱がん患者338例をロボット群または開腹群に無作為化 研究グループは、2017年3月~2020年3月の間に、英国内の9施設にて転移のない膀胱がん患者を登録した。適格基準は、転移のない尿路上皮・扁平上皮・腺がんまたは特殊型膀胱がん(≦N1)で、根治的膀胱摘除術の適応となる成人(18歳以上)患者であった。 適格患者338例を、ICUDを伴うRARC(ロボット)群(169例)またはORC(開腹)群(169例)に、尿路変向の種類および施設で層別化して無作為に割り付け、90日後、6ヵ月後および12ヵ月後に追跡調査を実施した(最終追跡調査日:2021年9月23日)。 主要評価項目は術後90日以内の生存および院外療養日数(術後入院期間・再入院・死亡の評価を意味する)、副次評価項目は合併症、有害事象、健康関連QOL、障害、全生存期間等を含む20項目であった。生存・院外療養日数中央値、ロボット群82日、開腹群80日で有意差あり 338例中317例が根治的膀胱摘除術を受けた(ロボット群161例、開腹群156例)。患者背景は平均年齢69歳、女性67例(21%)、術前化学療法歴107例(34%)、回腸導管再建282例(89%)であった。 主要評価項目の解析対象は305例(96%)で、術後90日以内の生存・院外療養日数中央値は、ロボット群82日(IQR:76~84)、開腹群80日(72~83)であった(補正後群間差:2.2日、95%信頼区間[CI]:0.50~3.85、p=0.01)。 血栓塞栓性合併症(1.9% vs.8.3%、群間差:-6.5%[95%CI:-11.4~-1.4])および創傷合併症(5.6% vs.16.0%、-11.7%[-18.6~-4.6])は、ロボット群が開腹群より低頻度であった。 開腹群では、ロボット群より5週後の健康関連QOLが不良であった(平均EQ-5D-5Lスコアの群間差:-0.07、95%CI:-0.11~-0.03、p=0.003)。また、5週後の障害も大きかったが(WHO DAS 2.0スコアの群間差:0.48、95%CI:0.15~0.73、p=0.003)、12週以降には有意差はなくなった(同:0.38、0.09~0.68、p=0.01)。 追跡期間中央値18.4ヵ月(IQR:12.8~21.1)において、ロボット群と開腹群とでがん再発(29/161例[18%]vs.25/156例[16%])および全死因死亡(23/161例[14.3%]vs.23/156例[14.7%])はいずれも有意差は認められなかった。

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小児期の心血管リスク因子、中年期の心血管イベントと関連/NEJM

 心血管リスク因子であるBMI、収縮期血圧、総コレステロール値、トリグリセライド値および若年期喫煙は、とくに幼少期からの組み合わせで、成人期の心血管イベントおよび60歳前の心血管死と関連することが、米国・ミネソタ大学のDavid R. Jacobs Jr氏らによるInternational Childhood Cardiovascular Cohort(i3C)コンソーシアムの前向きコホート研究の結果、示された。小児期の心血管リスク因子は潜在的な成人期の心血管疾患を予測するが、臨床イベントとの関連は明らかになっていなかった。NEJM誌2022年5月19日号掲載の報告。3~19歳の約4万人を平均35年追跡、5つのリスク因子と心血管イベントの関連を解析 研究グループは、1970年代から1990年代にかけてi3Cコンソーシアムの7つの前向きコホートに登録された3~19歳の参加者4万2,324人を対象に、平均35年追跡し、小児期に最もよく評価される5つのリスク因子(BMI、収縮期血圧、総コレステロール値、トリグリセライド値、若年期喫煙)が成人期の心血管イベントに関連しているかを評価した。追跡調査は2015~19年に行われた。 リスク因子は、i3Cコンソーシアム内で正規化された年齢・性特異的zスコア、および5つのリスクzスコアの非加重平均として計算した複合リスクzスコアを用いて解析し、代数的に同等な成人の複合リスクzスコア(心血管イベント発生前)は小児期のリスク因子と同様に解析した。評価項目は、致死的心血管イベント、致死的または非致死的心血管イベントで、多重代入後に比例ハザード回帰分析を行った。 参加者4万2,324人のうち、所在が確認された生存者、原因が確認された死亡者、または死亡登録がなく生存していると推定された者の計3万8,589人が解析対象となった。登録時の背景は、男性49.7%、黒人15.0%、平均(±SD)年齢11.8±3.1歳であった。5つの複合リスクzスコア1単位増加当たり2.71倍 3万8,589人中319人(0.8%)に致死的心血管イベントが発生した。イベント発生時の年齢は47.0±8.0歳であった。成人期の致死的心血管イベントのハザード比は、各リスク因子zスコアに関しては総コレステロール値zスコアの1単位増加当たり1.30(95%信頼区間[CI]:1.14~1.47)から、若年期喫煙(ありvs.なし)の1.61(95%CI:1.21~2.13)の範囲であり、複合リスクzスコアに関しては1単位増加当たり2.71(95%CI:2.23~3.29)であった。 致死的または非致死的心血管イベントの解析対象は2万656人で、このうち779人(3.8%)にイベントが発生した。イベント発生時の年齢は47.1±7.4歳であった。致死的または非致死的心血管イベントのハザード比および95%CIは、致死的心血管イベントのハザード比および95%CIと類似していた。 成人期(心血管イベント発生前)のリスク因子に関するデータを有する1万3,401人(成人期調査時の年齢31.0±5.6歳)のサブグループでは、115人に致死的心血管イベントが発生し、補正後ハザード比は小児期の複合リスクzスコアに関して1単位増加当たり3.54(95%CI:2.57~4.87)、複合リスクzスコアの小児期から成人期の変化量の1単位増加当たり2.88(95%CI:2.06~4.05)であった。 同サブグループで致死的または非致死的心血管イベントは524人に発生し、補正後ハザード比はそれぞれ3.21(95%CI:2.69~3.85)および2.58(2.15~3.09)であり、致死的心血管イベントと結果は同様であった。

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RCTでの有害事象の可視化、どんなグラフが有効か/BMJ

 臨床試験の有害事象の伝達において、グラフ化(可視化)は強力なツールであり従来の頻度表に代わる他の視点を提供し、臨床試験の報告書で有害事象の可視化の使用が増加することよって、明確な情報の提示とより有益な解釈が可能となる。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのRachel Phillips氏らが、有害事象を視覚的に提示するための推奨事項を作成するコンセンサス研究の結果を報告した。有害事象のデータは複雑であるが、可視化は安全性プロファイルを明確にし、潜在的な副作用の特定に役立つ可能性がある。著者は、「デシジョンツリーは可視化の選択を補助するが、最終的には統計学者および臨床試験チームがそのデータと目的に最適な可視化を決定しなければならない」と述べている。BMJ誌2022年5月16日号掲載の報告。治験に携わる統計学者、医療経済学者、グラフィックデザイナーらでコンセンサス会議 コンセンサスグループは、UK Clinical Research Collaborationに登録されている15の臨床試験ユニットから統計学者20人と、学術的な公衆衛生部門に所属する医療経済学者1人、業界の統計学者1人、BMJ誌のマルチメディアチームの一員であるデータグラフィックデザイナー1人、医師2人から構成された。 統計手法の方法論的なレビューにより、コンセンサスグループメンバーが推奨する可視化法を特定し、3回にわたる会議で可視化の推奨に関するコンセンサス(有効投票数の60%以上)が得られた。 メンバーは、合意された枠組みに対する候補となる可視化を再検討し、また批評的に評価して、それぞれの可視化を承認するかどうか投票した。スコアが閾値をわずかに下回った場合(50~60%)は、さらなる議論のため再考され、コンセンサスが得られるまで再投票が行われた。推奨されるグラフ化は10種類、アウトカムの種類や状況に応じて選択 28種類の可視化法が検討され、そのうち10種類が、研究者が主要な研究結果を発表する際に検討するよう推奨された。 提示する可視化法の選択は、アウトカムの種類(たとえば、頭痛の発生の有無など追跡期間中に経験したイベントの発生数[2値変数]、治療開始から頭痛発生までの時間[time-to-event]、血球数の個々の結果[連続変数]など)や、状況(有害事象のプロファイル全体を評価するか、特定のイベントまたは関心のあるイベントに関する直接的なメッセージを伝えるか)に依存する。すなわち、有害事象のプロファイルを示す場合は、アウトカムの種類が2値変数ではドットプロット、積み上げ棒グラフ、カウントでは棒グラフ、連続変数では散布図マトリックスが推奨され、time-to-eventでは推奨される方法なし。1つのイベントについて示す場合は、アウトカムの種類がtime-to-eventではKaplan-Meierプロット、生存率(Survival ratio)プロット、平均累積関数プロットが、連続変数では折れ線グラフ、バイオリンプロットおよびカーネル密度プロットが推奨された。 また、どの可視化法を使用するかの決定に役立つデシジョンツリーが提示され、各可視化法については、プロットの説明、解釈、潜在的な限界、標準的な統計ソフトで実施可能なコード等がまとめられている。

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