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10代うつ病患者の治療はファンタジーゲームで?

うつ病の認知行動療法のパソコン用ソフトとして開発された「SPARX(Smart, Positive, Active, Realistic, X-factor thoughts)」は、ファンタジーゲーム様式が特徴で、4~7週間にわたって提供される7つのモジュールを克服していくというものである。その治療効果について、ニュージーランド・オークランド大学のSally N Merry氏らによる12~19歳のティーンエイジャーを対象とした多施設無作為化非劣性試験の結果、プライマリ・ケアにおいて対面カウンセリングといった通常ケアの代替療法となり得るものであることが示された。Merry氏らは、「治療が必要にもかかわらず介入が行われていない患者を対象に適用していくことができるだろう」とまとめている。これまでパソコンソフトを活用した認知行動療法は成人についてはその効果が認められていたが、ティーンエイジャーにおける効果は明らかではなかった。BMJ誌2012年4月19日号より。12~19歳の187例をSPARX介入群と通常ケア群に無作為化試験は、ニュージーランドの24のプライマリなヘルスケア施設(小児科、一般診療所、学校のカウンセリング・サービス)で、うつ症状に対する支援を希望していて、自傷行為の重大リスクがなく、一般医が治療が必要と判断した12~19歳の187例を対象に、多施設無作為化非劣性試験を実施した。94例がSPARXを受ける群(平均年齢15.6歳、女性62.8%)に、93例は通常の治療を受ける群(平均年齢15.6歳、女性68.8%)に割り付けられた。通常ケア群には、訓練を受けたカウンセラーと臨床心理士が提供する対面カウンセリングが行われた。主要評価項目は、小児うつ病尺度改訂版(CDRS-R:children's depression rating scale-revised)スコアの変化とした。副次評価項目は、小児うつ病尺度改訂版、Reynoldのティーンエイジャーうつ病スケール第2版(Reynolds adolescent depression scale-second edition)、気分と感情質問票(mood and feelings questionnaire)、Spence小児不安スケール(SCAS:Spence children's anxiety scale)、小児用QOL・喜び・満足度質問票(paediatric quality of life enjoyment and satisfaction questionnaire)、小児用Kazdin絶望感測定尺度(Kazdin hopelessness scale for children)などの各スケールスコアの変化と、治療評価を含む全体的満足度を含めた。副次評価項目もすべてSPARX群の非劣性を支持170例(91%、SPARX群85例、通常ケア群85例)が介入後に評価を受け、168例(90%、83例、85例)が3ヵ月後のフォローアップ評価を受けた。パープロトコル解析(143例)の結果、SPARX群が通常ケア群に非劣性であることが示された。介入後、CDRS-R未処理スコアは、SPARX群で平均10.32の減少が認められた。通常ケア群では7.59の減少だった(群間差:2.73、95%信頼区間:-0.31~5.77、P=0.079)。寛解率は、SPARX群(31例、43.7%)が通常ケア群(19例、26.4%)より有意に高く(差17.3%、95%CI 1.6~31.8%)、P=0.030)、反応率はSPARX群(66.2%、47例)と通常ケア群(58.3%、42例)との間に有意差は認められなかった(格差:7.9%、95%信頼区間:-7.9~24%、P=0.332)。副次評価項目もすべて非劣性を支持するものであった。intention-to-treat解析はこれらの所見を確認し、得られた改善はフォローアップ後も維持された。介入に関連すると思われる有害事象の頻度も群間での差異は認められなかった(SPARX群11例、通常ケア群11例)。

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妊婦への新型インフルエンザワクチン接種、胎児死亡との関連認められず

妊婦への不活化新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種に関して、胎児死亡リスク増大のエビデンスは見つからなかったことが、デンマーク・Statens Serum InstitutのBjorn Pasternak氏らによる約5.5万人の妊婦を被験者とするデンマーク全国登録コホート研究の結果、示された。2009パンデミック当時、新型インフルエンザに罹患した妊婦の罹病率、死亡率が増大し、妊娠アウトカムが不良となることが認められたことから、その後、多くの国で、新型インフルエンザワクチン接種キャンペーンのターゲットに妊婦を含んでいる。Pasternak氏らは、ワクチン接種が胎児死亡と関連しないかを国民ベースで検証した。BMJ誌2012年5月19日号(オンライン版2012年5月2日号)掲載報告より。妊婦5万4,585例を対象に、ワクチン接種群と非接種群の胎児死亡等リスクを比較対象となったのは、2009年11月~2010年9月に単胎児妊娠中の妊婦5万4,585例であった。AS03パンデミックA/H1N1 2009インフルエンザワクチン不活化新型インフルエンザワクチン(Pandemrix)接種状況および潜在的交絡因子を結びつけて調査が行われた。主要アウトカムは、ワクチン非接種妊婦と比較したワクチン接種妊婦の、傾向スコア補正後の胎児死亡(特発性流産と死産を含む)リスクとした。副次アウトカムは、流産(妊娠7~22週)、死産(22週過ぎ以降)とした。主要、副次アウトカムともにリスク増大の関連認められず妊婦5万4,585例のうち、ワクチン接種者は7,062例(12.9%)。胎児死亡発生は、1,818例(特発性流産1,678例、死産140例)だった。解析の結果、ワクチン接種と胎児死亡リスク増大との関連は認められなかった(補正後オッズ比:0.79、95%信頼区間:0.53~1.16)。副次アウトカムについても、流産(同:1.11、0.71~1.73)、死産(同:0.44、0.20~0.94)ともに増大は認められなかった。また共存症あり(同:0.82、0.44~1.53)、共存症なし(同:0.77、0.47~1.25)で検討した結果も、推定胎児死亡リスクは同程度であった。

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血管疾患の低リスク例に対するスタチンによるLDLコレステロール低下の効果:17万超患者データのメタ解析

27の無作為化試験の個々データをメタ解析した結果、スタチンによる治療は、血管疾患の低リスク例でも、ベネフィットが大きいことが、Cholesterol Treatment Trialists’ (CTT) Collaboratorsにより発表された。5年主要血管イベント発症リスクが10%未満の患者において、LDLコレステロール1 mmol / Lの低下は、5年間で1,000人あたり約11人の主要血管イベントの絶対的減少を招き、この利益は、スタチン療法の危険性を超えているとされた。現在のガイドラインは、概して、血管イベントリスクの低い患者は、LDL低下療法に適しているとはされていないが、研究グループは「今回の報告は、これらのガイドラインに再考の必要性があることを示唆している」と主張した。対象は、スタチン治療をコントロールと比較した22試験(134,537例)およびスタチン間で比較した5試験(39,612例)を対象とし、それを、基線における5年主要冠動脈イベント発症リスクで5つのカテゴリに分けた(~5%, 5~10%、10~20%, 20~30%, 30%~)。主要血管イベントは、主要冠動脈イベント、脳卒中、冠動脈血行再建術の施行とした。主な結果は以下のとおり。 ・スタチンによるLDL低下は、年齢、性別、ベースラインLDLコレステロール値に関係なく、主要血管イベントを低下させた[1.0mmol/LあたりRR 0.79 (95%信頼区間 0.77-0.81)]。また、血管死、全死亡も低下した。・イベントリスクの低い2つのカテゴリにおける主要血管イベントの減少は、イベントリスクのより高いカテゴリにおけるイベント減少と同程度に大きかった。1mmol/LあたりRRは、低リスクカテゴリから高リスクに向け順に、0.62(95%信頼区間:0.47-0.81)、0.69 (0.60-0.79)、0.79 (0.74-0.85)、 0.81 (0.77-0.86)、0.79 (0.74-0.84)。傾向性p=0.04。・イベントリスクの低い2つのカテゴリにおいて、主要冠動脈イベント[同 0.57(0.36-0.89)、0.61(0.50-0.74)]および冠動脈再建術[(同0.52(0.35-0.75)、0.63(0.51-0.79)]が有意に減少していた。・脳卒中は、5年主要血管イベント発症リスクが10%未満の対象者でも、リスクの高いカテゴリのリスクリダクションに類似していた[同0.76(0.61-0.95)](傾向性p=0.3) 。・スタチンによるLDLコレステロール低下において、がんの発症[同1.00(0.96-1.04)]がん死亡[(同0.99(0.93-1.06)]、血管以外の死亡に増加は認められなかった。(ケアネット 鈴木 渉)

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バングラデシュ貧困地域の妊婦、妊娠早期からの微量栄養素補給で乳児死亡率などが大幅減少

バングラデシュの貧困地域に住む妊婦に対し、妊娠9週目からの複合微量栄養素補給(multiple micronutrient supplementation;MMS)をすることで、妊娠20週目からの栄養素補給に比べ、乳児死亡率や5歳未満死亡率が大幅に減少することが明らかにされた。スウェーデン・ウプサラ大学病院の、Lars Ake Persson氏らが、バングラデシュの貧困地域に住む約4,400人の妊婦を対象に行った試験の結果で、JAMA誌2012年5月16日号で発表した。妊娠30週目のヘモグロビン値や乳児死亡率を比較研究グループは、2001年11月11日~2003年10月30日にかけて、バングラデシュの妊婦4,436人について試験を開始し、2009年6月23日まで追跡した。研究グループは被験者を無作為に6群に分け、(1)鉄30mgと葉酸400μg、(2)鉄60mgと葉酸400μg(通常投与群)、(3)鉄30mgと葉酸400μgを含む微量栄養素15種から成るMMS(早期投与MMS群)の3種類のサプリメントについて、妊娠9週目(早期投与群)と妊娠20週目(通常投与群)から、二重盲検でそれぞれ投与を行った。主要アウトカムは、妊娠30週目のヘモグロビン値、出生体重、乳児死亡率だった。また5歳までの死亡率についても調査した。早期投与MMS群、通常投与群に比べ乳児死亡率は0.38倍、5歳未満死亡率は0.34倍結果、妊娠30週目の補正後ヘモグロビン平均値は約115.0g/Lと、群間で有意差はなかった。妊産婦ヘモグロビン平均値は、通常投与群が115.4g/Lに対し早期投与群が114.5 g/Lと、有意に低かった(p=0.04)。乳児死亡率については、通常投与の鉄60mgと葉酸400μg群44.1/1,000児に対し、早期投与MMS群は16.8/1,000児と、大幅に低率だった(ハザード比:0.38、95%信頼区間:0.18~0.78)。また5歳未満死亡率についても、通常投与群の鉄60mgと葉酸400μg群が54/1,000児に対し、早期MMS群は18/1,000児と、およそ3分の1だった(ハザード比:0.34、同:0.18~0.65)。そのほか通常投与MMS群は、自然流産率と乳児死亡率が最も高率だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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バレニクリン、心血管重大有害イベントの有意な増大との関連認められず:メタ解析

米国・カリフォルニア大学のJudith J Prochaska氏らによるメタ解析の結果、禁煙補助薬バレニクリン(商品名:チャンピックス)服用による、心血管系の重大有害イベントの有意な増大は認められなかったとの報告が発表された。解析にはこれまで発表された全データが含まれ、服用中に起きたイベントに焦点を絞り、4つの要約推定値(summary estimates)を用いて行われた。バレニクリンをめぐっては、心血管系の深刻な有害事象リスクが議論になっているが、その解析手法が適切ではないのではとの指摘があり、米国FDAがさらなる解析を行うことを求めていた。BMJ誌2012年5月12日号(オンライン版2012年5月4日号)掲載報告より。二重盲検プラセボ比較対照試験22試験をメタ解析Prochaska氏らは、Medline、Cochrane Library、オンライン臨床試験レジストリならびに特定論文参照リストをデータソースとして、メタ解析を行った。試験適格としたのは、現に喫煙中の成人を対象にバレニクリン投与と非投与を比較し、有害事象について報告をしていた無作為化試験とした。試験治療下での心血管系の重大有害事象の発現との定義は、薬物療法中または中断後30日以内に起きたもので、虚血性または不整脈性の有害な心血管イベント(心筋梗塞、不安定狭心症、冠動脈血管再生、冠動脈疾患、不整脈、一過性脳虚血発作、脳卒中、突然死または心血管関連死、うっ血性心不全)とした。解析対象となったのは22試験で、すべてが二重盲検プラセボ比較対照試験だった。そのうち2試験は現に心血管疾患を有する被験者を対象としたもので、また11試験は心血管疾患の既往があり登録された被験者を含んでいた。イベント発生率の差、臨床的にも統計学的にも有意ではない結果、試験治療下での発現率、心血管重大有害イベントは、バレニクリン群0.63%(34/5,431)、プラセボ群0.47%(18/3,801)だった。全22試験に基づくリスク差の要約推定値は0.27%(95%信頼区間:-0.10~0.63、P=0.15)で、臨床的にも統計学的にも有意ではなかった。1つ以上のイベント発生が認められた14試験に基づく、相対リスク比(1.40、0.82~2.39、P=0.22)、マンテル-ヘンツェル・オッズ比(1.41、0.82~2.42、P=0.22)、ピート・オッズ比(1.58、0.90~2.76、P=0.11)の結果も、バレニクリン群とプラセボ群に有意差は認められなかった。Prochaska氏は、これまで発表された全試験を含み、服薬曝露期間中に起きたイベントに焦点を絞り、4つの要約推定値を使用した所見を分析したメタ解析の結果、バレニクリン服用による心血管系の重大有害イベントと有意な増大は認められなかったと結論した上で、希少アウトカムには絶対効果に基づく要約推定値が推奨され、ピート・オッズ比に基づく推定は無効とすべきであると述べた。

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1973~2009年の健康と雇用、経済動向との関連:英国一般世帯調査

1973~2009年の間の、健康と雇用、経済動向との関連をみた結果、男女とも、健康と雇用確保・維持との関連は強くなっていることが明らかとなった。英国・シェフィールド大学のJonathan William Minton氏らの調査結果による。社会階級と健康状態、経済活動との有害な関連については、1973~1993年の間の観察結果が1996年のBMJで発表されていた。Minton氏らは、その後の1994~2009年の間も、経済情勢や全国民の健康状態は改善しているが、有害な関連は続いていたかどうかを調査した。BMJ誌2012年5月12日号(オンライン版2012年5月4日号)掲載報告より。1973~2009年の英国一般世帯調査を基に解析研究グループは、英国一般世帯調査(General Household Survey)1973~2009年の各年間の調査対象となった20~59歳の男女を対象に、反復断面調査解析を行った。主要評価項目は、雇用率、失業率、回答者サブグループでの経済不活動状態(economic inactivity)とした。結果、全体的な雇用率は、生産年齢男性については減少していた一方、生産年齢女性では上昇していた。男女とも健康状態が雇用率と深く関連特に男性における右肩下がりの傾向は、職業グループに依ることが認められた。37歳以上では、職業的グループ間のeconomic inactivityと雇用率の格差が、長期にわたる疾患を有している群と有していない群とで大きいことが認められた。またMinton氏は、「男性では、雇用率の低下、economic inactivity増大が健康状態の不良によるものであることがみてとれた。女性では、健康状態が良好な群では、一般的には雇用率が上昇し、economic inactivityの低下が認められたが、健康状態が不良の女性では、反対の関連が認められた」と報告。「健康と雇用、economic inactivityとの関連について、2005年以降の女性上位2グループは男性よりもより強くなっているということ、また健康状態の不良と雇用率低下との関連がより強くなっているというエビデンスが示唆された」と分析結果を述べている。

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ワルファリン投与終了後のアスピリン投与で静脈血栓塞栓症の再発は予防可能か?

Becattini氏らWARFASA研究グループは24日、抗凝固療法を中止した、誘因のない静脈血栓塞栓症患者に対するアスピリン投与により、再発リスクが低下することをNEJM誌に発表した。アスピリンの投与による重大な出血のリスクに明らかな上昇は認められなかった。約 20%の静脈血栓塞栓症患者は、経口抗凝固療法を中止後 2 年以内に再発すると言われている。抗凝固療法の投与期間延長によって再発予防は可能だが、出血リスクが伴う。WARFASA研究グループは多施設二重盲検試験にてアスピリンによる静脈血栓塞栓症の再発予防のベネフィットを検証した。誘因のない初発の静脈血栓塞栓症に対し、 6~18 ヵ月間の経口抗凝固療法を終了した患者が、アスピリン 100 mg/日とプラセボが投与される群に無作為に割り付けられた。主要有効性評価項目は静脈血栓塞栓症の再発、主要安全性評価項目は重大な出血。主な結果は下記のとおり。1. 試験期間中(中央値:24.6 ヵ月)、 静脈血栓塞栓症が再発した患者は、  アスピリン群 205 例中 28 例(6.6%/年)、プラセボ群 197 例中 43 例(11.2%/年)。  ハザード比 0.58(95%信頼区間:0.36~0.93)。2. 治療期間中(中央値: 23.9 ヵ月)、 アスピリン群 23 例(5.9%/年)、 プラセボ群 39 例(11.0%/年)で再発が認められた。 ハザード比 0.55(95%信頼区間:0.33~0.92)3. 各群 1 例に重大な出血が発現。有害事象は両群で同様。 (ケアネット 藤原 健次)

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進行期のホジキンリンパ腫への6サイクルBEACOPP+放射線療法

進行期のホジキンリンパ腫の最も有望な治療法と目されている多剤併用化学療法のBEACOPPに関して、標準としてきた8サイクルと比べて、6サイクル+PET活用の放射線療法が、無治療失敗(FFTF)についてより効果があり、かつ8サイクルで懸念される毒性を低減することが示された。ドイツ・ケルン大学病院のAndreas Engert氏らによる無作為化オープンラベル非劣性試験の結果で、Engert氏は、「6サイクル+PET活用の放射線療法を、進行期ホジキンリンパ腫の治療選択肢の一つとすべきであろう」と結論した。また化学療法後のPET活用の有用性について、「追加的な放射線療法に欠かせないもの」とまとめている。Lancet誌2012年5月12日号(オンライン版2012年4月4日号)掲載報告より。BEACOPPの強度と放射線療法の必要性について検討研究グループは、進行期ホジキンリンパ腫患者への化学療法の強度と放射線療法の必要性について明らかとするため、多施設共同オープンラベルパラレル平行非劣性試験「HD15」を行った。研究グループが以前標準レジメンとしていた8サイクルBEACOPP(8×Besc)と、2つの強度を弱めた、6サイクルBEACOPP(6×Besc)と、14日間を1サイクルとして8サイクル行うBEACOPP(8×B14)とを比較検討した。被験者は化学療法後、PET検査で2.5cm以上の腫瘍が認められた場合、追加で放射線療法(30Gy)を受けることとした。試験に登録されたのは、18~60歳の進行期ホジキンリンパ腫の新規患者2,182例だった。主要エンドポイントは無治療失敗(FFTF)とした。また12ヵ月時点のPETによる腫瘍再発の陰性予測値を独立エンドポイントとした。6×Besc群、標準の8×Besc群に対して非劣性登録被験者のうち2,126例が無作為に、8×Besc群705例、6×Besc群711例、8×B14群710例に割り付けられintention-to-treat解析が行われた。FFTFは、結果としては6×Besc群と8×B14群は、8×Besc群に対し非劣性だった。5年FFTF率は、8×Besc群84.4%[97.5%信頼区間(CI):81.0~87.7]、6×Besc群89.3%(同:86.5~92.1)、8×B14群85.4%(同:82.1~88.7)だった(6×Besc群と8×Besc群との差の97.5%CI:0.5~9.3)。3群の全生存率は、8×Besc群91.9%、6×Besc群95.3%、8×B14群94.5%で、8×Besc群よりも6×Besc群が有意に良好だった(両群間差の97.5%CI:0.2~6.5)。死亡率は8×Besc群(7.5%)が、6×Besc群(4.6%)、8×B14群(5.2%)よりも高値を示した。その差の要因は、主として治療関連のイベントにあり(各群2.1%、0.8%、0.8%)、副次的には二次性腫瘍によるものだった(各群1.8%、0.7%、1.1%)。追加放射線療法を受けたのは2,126例中225例(11%)で、12ヵ月時点のPET評価による陰性予測値は94.1%(95%CI:92.1~96.1)だった。

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境界性人格障害患者の自殺予防のポイントはリハビリ

境界性人格障害では自殺行為を繰り返すことが大きな問題となる。多くの患者は寛解まで時間を要するため、約10%が自殺により死亡するといわれている。Soloff氏らは境界性人格障害患者の長期予後改善のために、自殺の予測因子を検証した。そのうえで「自殺リスクを減少させ、長期の転帰を改善するには、社会的かつ職業的リハビリテーションによる心理社会的介入が重要である」と結論づけている。Am J Psychiatry誌2012年5月号掲載の報告。境界性人格障害患者90例に対し6年以上の追跡調査を実施、縦断的研究をおこなった。分析にはCox比例ハザードモデルを用いた。主な結果は以下のとおり。 ・25例(27.8%)において、少なくとも1回以上の自殺企図がみられた。・自殺企図者の大部分は、発症後2年目以内であった。・自殺企図リスクの増加要因は、社会経済的地位の低さ、心理社会的適応の低さ、自殺の家族歴、精神科入院歴、自殺前の外来診療の不足であった。・総合評価尺度(GAS)が高いほど自殺リスクは低かった。・自殺の危険因子は時間とともに変化し、短期(12ヵ月)では大うつ病性障害などの急性ストレス、長期的には心理社会的機能の低さとの関係が示唆された。(ケアネット 鷹野 敦夫)

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アトピー性皮膚炎患者の「痒み」に対するタクロリムスの有用性とは?

アトピー性皮膚炎(AD)が原因となって起こる痒みは、ステロイド外用薬による治療ではコントロールできないケースもあるが、タクロリムス軟膏の使用により、難治性の痒みが緩和する例が臨床現場ではたびたび経験される。九州大学の竹内氏らは、AD治療の寛解導入療法、維持療法におけるタクロリムス軟膏の抗掻痒効果を確かめるべく、多施設共同無作為化オープンラベル試験を実施した。ANNALS OF DERMATOLOGY誌2012年5月号(オンライン版2012年4月26日号)の報告。試験開始にあたり、患者は、寛解導入療法後にタクロリムス軟膏単剤で維持される群と、皮膚軟化剤のみで維持される群の2群に無作為に割り付けられた。寛解導入療法では、低用量のステロイド外用薬(

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iPhoneアプリ『がん治療と食事』無料配信を開始

大鵬薬品工業と静岡がんセンターは18日、同社らが共同で運営しているサイト『サバイバーシップ』(http://survivorship.jp)に掲載しているコンテンツから人気のあったものをまとめた『がん治療と食事』を、アップル社のiPhone(アイフォーン)版アプリケーションとしてApple Storeより無料で配信を開始したと発表した。このアプリケーションは、がん治療の食事本『がん患者さんと家族のための 抗がん剤・放射線治療と食事のくふう』の内容をiPhoneでみやすいレイアウトに変更し、書籍と同じレシピ数を掲載、自由に閲覧できるように作りかえたもの。抗がん剤治療や放射線治療によって生じる副作用に症状に応じて、その原因や症状を抑えるためのくふう、症状が現れたときの対策、患者の声、医師・看護師・栄養士からのアドバイスなどを閲覧できるほか、その症状に適した食事のレシピや配慮が必要な食事のレシピなどを紹介している。レシピは全176品目。詳細はプレスリリースへhttp://www.taiho.co.jp/corporation/news/2012/20120518.html

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推定GFRによる死亡や末期腎疾患予測、CKD-EPI式がMDRD式より正確に

推定糸球体濾過量(eGFR)による死亡や末期腎疾患発症の予測は、CKD-EPI(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration)式のほうがMDRD(Modification of Diet in Renal Disease)式より正確であることが示された。米国・Johns Hopkins大学のKunihiro Matsushita氏らが、45のコホート試験、被験者総数110万人について行ったメタ解析の結果で、JAMA誌2012年5月9日号で発表した。先行研究で、CKD-EPI式のほうがMDRD式より、GFR予測が正確であることはわかってきているが、腎疾患関連リスクとの関係については明らかではなかった。コホートの平均追跡期間中央値は7.4年、延べ940万人・年追跡研究グループは、25の一般地域住民を対象としたコホート試験と、7つのハイリスク被験者からなるコホート試験、13の慢性腎疾患患者が参加したコホート試験についてメタ解析を行い、CKD-EPI式とMDRD式による、死亡や末期腎疾患リスクの予測能について比較した。被験者数の合計は、約110万人(18歳以上)で、2011年3月~2012年3月の間に収集解析された。主要アウトカムは、全死因死亡(40コホート、死亡者数:8万4,482人)、心血管疾患(28コホート、イベント数:2万2,176件)、末期腎疾患(21コホート、イベント数:7,644件)とした。総計940万人・年、平均追跡期間中央値は、7.4年(範囲:4.2~10.5年)だった。eGFRは両式によって、6カテゴリーが設定された(≧90、60~89、45~59、30~44、15~29、

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日本睡眠学会第37回定期学術集会のご案内 会長の井上氏より

2012年6月28~30日にパシフィコ横浜にて日本睡眠学会第37回定期学術集会が開催されます。会長の井上雄一氏より寄稿文をいただきました。是非ご覧ください。来る平成24年6月28日から30日の3日間、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)にて、日本睡眠学会第37回定期学術集会を会長として主催いたします。本学術集会は毎年1回、睡眠ならびに生体リズムのメカニズムと病態、社会的意義を解明し、実生活に活かすことを目的に開催され、全国の基礎医学、社会医学、臨床医学、薬学、検査医学、臨床ならびに実験心理学、看護学等の研究者や臨床家が参加し、過去最多となる45のシンポジウムが予定されています。本年度は「睡眠研究 新世代への架け橋」をテーマに掲げ、快適な睡眠がストレス社会の現代で人間性を回復させるために重要であり、睡眠健康の増進が高血圧や糖尿病という生活習慣病の予防・治療や、うつ病に代表される精神疾患、ひいては自殺の抑制にも有益であることを訴求、提案していく予定です。今回は、睡眠学の学際的な進歩を広く若手研究者に普及・拡大させるのみならず、睡眠を専門としない医療関係者の皆様にも広く門戸を開くため、開催期間中は常時、学会員以外の医療関係者が聴講できるシンポジウムを開催いたします。本学会は、事前の参加申込み不要、当日会場にて参加登録頂けます。多くの医師、医療関係者の皆様のご参加をお待ちしております。 日本睡眠学会第37回定期学術集会会長 井上 雄一東京医科大学睡眠学講座 教授 医療法人社団絹和会 理事長公益財団法人神経研究所附属睡眠学センター センター長 日本睡眠学会第37回定期学術集会テーマ:「睡眠研究 新世代への架け橋」会 期:2012年6月28日(木)/29日(金)/30日(土)会 場:パシフィコ横浜 http://www.pacifico.co.jp/(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1) 主なシンポジウム: ■6月28日(木)シンポジウムS2「睡眠呼吸障害と上気道~睡眠中の上気道と呼吸調節における進歩」シンポジウムS4「頭痛と睡眠障害」シンポジウムS7「不眠症治療薬開発の現状と未来」シンポジウムSS2「睡眠と生活習慣病がからむ血管内皮機能障害」 ■6月29日(金)シンポジウムS15「循環器領域における睡眠呼吸障害のガイドラインを検証する」シンポジウムS21「OSAS治療の長期化について考える」シンポジウムS22「産業保健と睡眠・睡眠障害」シンポジウムS26「高齢社会における睡眠障害の意義と対応」 ■6月30日(土)シンポジウムS30「我が国における不眠症に対する認知行動療法の現状(CBT-I up to date in Japan)」シンポジウムS34「睡眠関連運動障害」  *シンポジウムの最新情報はウェブサイトにて随時更新しています。 日本睡眠学会第37回定期学術集会ウェブサイト:http://www.c-linkage.co.jp/jssr37/本学会はFacebook、Twitterも開設しています。Facebook: http://www.facebook.com/jssr37Twitter: http://twitter.com/37jssr

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乳がんにおける術後タキサン単独化学療法の忍容性は?:無作為化比較試験N-SAS BC 02

乳がんの術後化学療法においては、アンスラサイクリン系の薬剤が中心をなしてきたが、心毒性などの有害事象があることから、アンスラサイクリンを含まないレジメンの検討がなされている。わが国でも、無作為化比較試験によりタキサン単独療法が検討され(N-SAS BC 02)、現在、「乳癌診療ガイドライン」において術後化学療法の選択肢の1つとして勧められている。一方、タキサン投与により末梢神経障害が多くみられることから、忍容性の検討が求められる。立命館大学の下妻晃二郎氏らは、化学療法による末梢神経障害(CIPN)の重症度と健康関連QOLを用いて、タキサンを含む術後化学療法における相対的忍容性を評価。その結果、「患者評価によるCIPNは、タキサン単独療法がAC(アンスラサイクリン+シクロホスファミド〔商品名:エンドキサン〕)→タキサンに比べ有意に重篤であった。しかしながら、健康関連QOLの結果はタキサン単独療法の忍容性を支持している」と下妻氏らは報告した。この論文はSupport Care Cancer誌2012年5月15日付オンライン版に掲載された。本試験では、多施設第III相試験(N-SAS BC 02)で最初に登録された腋窩リンパ節転移陽性乳がん患者300例が以下の4群に無作為に割り付けられ、CIPNと健康関連QOLが評価された。 1)AC→パクリタキセル(商品名:タキソールなど) 2)AC→ドセタキセル(商品名:タキソテールなど) 3)パクリタキセル単独 4)ドセタキセル単独 CIPNの評価は患者評価(Patient Neurotoxicity Questionnaire:PNQ)と医師評価(NCI-CTC)が、また、健康関連QOLの評価は患者評価(Functional Assessment of Cancer Therapy -General:FACT-G)が用いられている。主な結果は以下のとおり。 ・PNQスコアは、タキサン単独療法群がAC→タキサン群に比べて有意に高かった(p=0.003)。パクリタキセルを含むレジメンとドセタキセルを含むレジメンの間に有意差はみられなかった(p=0.669)。・PNQスコアは、術後化学療法1年以内でほとんどが回復した。・FACT-Gスコアは、治療期間中、いずれのレジメン間においても有意差はみられなかった。(ケアネット 金沢 浩子)

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統合失調症の再発予防のポイントとは?

統合失調症の治療において、再発を予防することは極めて重要な課題である。Leucht氏らは抗精神病薬の再発予防への影響を分析した。統合失調症患者の維持治療期おける65件のプラセボ対照無作為化試験から得られた116件の報告より6,493名の患者データを抽出した。主要評価項目は7~12ヵ月後の再発率とし、忍容性や機能的な影響に関しても調査した。主な結果は以下のとおり。 1)抗精神病薬投与群ではプラセボ群と比較して1年後の再発率を有意に低下させた(27% vs 64%、リスク比=0.40(95%信頼区間=0.33-0.49)、number needed to treat to benefit(NNTB)=3(95%信頼区間=2-3))。2)抗精神病薬投与群では再入院率は低かった(10% vs 26%、リスク比=0.38(95%信頼区間=0.27-0.55)、NNTB=5(95%信頼区間=4-9))。3)抗精神病薬投与群で良好なQOL(両群間の変化差=-0.62(95%信頼区間=-1.15 to -0.09))、攻撃性の低下(2% vs 12%、リスク比=0.27(95%信頼区間=0.15-0.52)、NNTB=11(95%信頼区間=6-100))が認められた。4)抗精神病薬投与群では体重増加(10% vs 6%、リスク比=2.07(95%信頼区間=2.31-3.25))、運動障害(16% vs 9%、リスク比=1.55(95%信頼区間=1.25-1.93))、過鎮静(13% vs 9%、リスク比=1.50(95%信頼区間=1.22-1.84))が多く認められた。5)サブグループ解析の結果、エピソード数、寛解率の有無、治療中止方法、症状安定期間、第1世代または第2世代抗精神病薬使用状況、無作為割り当て方法に関しては有意な影響を及ぼさなかった。6)デポ剤投与患者では経口剤投与患者と比較して再発率が低かった(リスク比=0.31(95%信頼区間=0.21-0.41))。7)抗精神病薬の効果は非盲検下の2試験においてより大きかった。8)メタ回帰分析では、抗精神病薬投与群とプラセボ群の差は試験期間により減少した。

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COPDの悪液質患者のグレリン治療

 COPD(慢性閉塞性肺疾患)の悪液質患者にグレリンを投与することにより、症状や呼吸筋力が改善する可能性があることを国立病院機構 刀根山病院の三木 啓介氏らが報告した。肺の悪液質は、病態が進行したCOPDでは一般的な徴候であり、死亡の独立した危険因子である。グレリンは新たな成長ホルモン放出ペプチドであり、成長ホルモンの独立した効果を有している。 研究グループはCOPDの悪液質患者33例を対象にグレリン投与群とプラセボ投与群に割り当て、多施設共同無作為化二重盲検比較試験を行った。試験期間中、両群とも呼吸リハビリテーションが並行して行われた。 主要アウトカムは6分間歩行距離とSGRQ(St. George Respiratory Questionnair)であった。 主な結果は以下のとおり。・フォロー期間は7週間であった。・投与開始3週後(95%Cl: -37~48、p=0.81)、7週後(95%Cl:-15~73、p=0.19)ともに6分間歩行距離に両群間で有意差は認められなかった。・SGRQでは7週後の「症状項目」のみ、両群間で有意差が認められた(95%Cl:-29.5~2.1、p=0.026)。・副次アウトカムでは7週後のMRC息切れスケール(95%Cl: -1.4~-0.1、p=0.030)と最大呼気筋力(95%Cl: 4.1~35.6、p=0.015)で有意差が認められた。

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MEDiSHAREキックオフ~ITによる学生からの医療改革~ イベント開催のご案内

ITによる学生からのボトムアップ医療改革を目指す医療学生の団体「MEDiSHARE」は5月26日(土)、Apple Store, Ginza 3F theater にてキックオフイベント「ITによる学生からの医療改革」を開催する。また、スペシャルゲストにはチーム医療3.0のメンバーであり、TEDxOsakaのオーガナイザーでもある神戸大学の杉本真樹氏を迎える。 【日時】5月26日(土) 17:00~19:00(その後、希望者で懇親会 19:30~21:30) 【場所】Apple Store, Ginza(http://www.apple.com/jp/retail/ginza/map/) 【対象】現役医学生限定80名(座席の都合上、それ以上は立ち見となります。)以下のような医学生にピッタリです!・将来の医療現場にはiPadのようなデバイスが不可欠だと思う。・ITによって医療はもっと良くなるはずと考えている。・今の日本の医療に危機感を抱いている。・将来に向けて今から自分で何かアクションを起こしたい。・これからの医学生は医学だけ学んでいれば良い訳ではないと思う。・プレゼンテーションスキルを身に付けたい! 【参加費用】Apple Storeでのイベントは参加費無料。その後の懇親会は飲食代1,500円。 【内容】1.現在の医療とこれからの医療~データから未来を考える~ Speaker: 慶應義塾大学医学部2年 大岡 令奈 氏2.医学教育におけるiPadの活用 ~海外事例の紹介と日本での試み~ Speaker: 慶應義塾大学医学部5年 田沢 雄基 氏3.次世代医学教育のカタチ ~医学生によるOsiriX活用への取り組み~ Speaker: 昭和大学医学部4年 鷺坂 彰吾 氏4.これからの医学生に必要なスキル ~想いが届くPresentation思考術~ Special Guest: 神戸大学医学部 杉本 真樹 氏 イベント詳細http://medishare.jp/index.php/ja/2012イベントページ(Facebook)http://www.facebook.com/events/365568666822131/

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2型糖尿病肥満、薬物療法+外科的肥満手術で血糖コントロール有意に改善

2型糖尿病非コントロールの肥満患者について、薬物療法に加えて胃バイパス術など外科的肥満手術を行うことが、薬物療法単独よりも有意に血糖コントロールを達成するとの報告が発表された。米国・Bariatric and Metabolic InstituteのPhilip R. Schauer氏らが、無作為化非盲検単独施設試験の結果、報告したもので、これまでは観察研究においては、胃バイパス術などを受けた2型糖尿病患者における病状の改善が認められていた。NEJM誌2012年4月26日号(オンライン版2012年3月26日号)掲載報告より。150例を対象に薬物療法単独と外科的手術群の血糖コントロール改善を比較Schauer氏らによるSurgical Treatment and Medications Potentially Eradicate Diabetes Efficiently(STAMPEDE)試験は、2007年3月から2011年1月にクリーブランドクリニック単施設で行われた無作為化試験で、2型糖尿病を有するBMI 30~35以上の肥満患者を対象に、血糖コントロール達成について、薬物療法単独と外科的手術(Roux-en-Y胃バイパス術と胃切除術)を併用する群とを比較して行われた。被験者は150例、平均年齢は49±8歳、66%が女性であり、血糖値平均は9.2±1.5%であった。追跡期間は12ヵ月、主要エンドポイントは、治療12ヵ月後に血糖値6%以下に到達した患者の割合とした。被験者150例のうち93%が、12ヵ月の追跡期間を完了した。治療後の血糖値平均、薬物療法単独群7.5%に対し、胃バイパス術群6.4%、胃切除群6.6%結果、主要エンドポイントを達成した患者の割合は、薬物療法単独群12%(5/41例)に対し、胃バイパス術群42%(21/50例、P=0.002)、胃切除群37%(18/49例、P=0.008)だった。血糖コントロールは3群すべて改善したが、薬物療法単独群の改善された血糖値平均7.5±1.8%に比べて、胃バイパス術群は6.4±0.9%(P<0.001)、胃切除群は6.6±1.0%(P=0.003)だった。手術群はいずれも、術後は血糖降下薬、脂質低下薬、降圧薬の使用量が減少した。一方で、薬物療法群は増量していた。また、手術群はインスリン抵抗性指数(HOMA-IR)も有意に改善していた。その他には、患者4例が再手術を受けていたが、死亡や命に関わるような合併症の発生例はなかった。研究グループは今回の結果を受け、さらなる無作為化試験での検証の必要性を提言している。

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ここまでわかったプラザキサ ~1年の臨床実績からなにを学び、なにが確立されたのか~

 2012年5月10日、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社主催のプレスセミナーが行われた。演者は、山下武志氏(心臓血管研究所所長)。演題は「ここまでわかったプラザキサ~1年の臨床実績からなにを学び、なにが確立されたのか~」。この内容をレポートする。プラザキサ発売後1年でなにが起こったか?プラザキサは、発売当初、ワーファリンの3つの課題(1.毎回の採血 2.投与量の調整 3.食事・併用薬の注意)を解決し、さらに、出血事象も少ない画期的な新薬として期待された。しかし、出血性副作用の出現が報告され、当初の期待どおりとはいかなかった。この原因は何か? 「私たちは、発売時に3つのGapがあることに気づくべきだった」と、山下氏は語った。 3つのGapとは、1.臨床試験と現場との違い2.Population と Patientの違い3.ドラッグラグの有無である。3つのGapとは? 3つのGapとは、具体的には、下記のとおりである。1.治験と現場との違い治験は、限られた医師により、ある一定の条件を満たす限られた患者に対して、モニターの後ろ盾がある中で実施されるものである。しかし、臨床現場では、さまざまな医師が、さまざまな背景の患者に対し、モニターなしで投与する。このふたつは大きく異なる。2.Population とPatientの違い薬剤の効果は、患者によって異なる。治験は、populationが重要視されるため、いわゆる「はずれ値」はあまり重要視されないが、実臨床では、目の前の患者さんひとりひとりが重要であり、むしろ、population studyではじかれたような情報こそ意味をもつ。3.ドラッグラグの有無わが国で認可される薬は、これまで多くの場合、ドラッグラグが存在していた。そのため、海外での臨床経験やその対策がすでに存在する状態で使用を開始することができた。しかし、プラザキサの場合、ドラッグラグが存在しないため、臨床経験を積み、対策を講じることが必要になった。1年でわかったこと プラザキサ発売から1年間、プラザキサの試験であるRE-LYをより詳しく解析し、プラザキサのマイナスの部分をかくさず、様々な文献が発表された。主な知見は下記のとおり。・プラザキサによる大出血のリスク因子として、加齢、抗血小板剤との併用がある。・プラザキサは、ワーファリンに比べ、非消化管出血は減少するが、消化管出血は増加する。・プラザキサは、ワーファリンに比べ、75歳未満では安全だが、75歳以上では、ワーファリンよりも安全とは言えない。・プラザキサは、患者により効き目が異なるため、血液モニタリングが必要である。とくに、CHADS2スコアが上昇するにつれ、効き目にばらつきがでる。心臓血管研究所での投与方法 つまり、プラザキサには、投与が適切な患者と投与方法があり、現在、心臓血管研究所では、つぎのような方法で投与しており、当施設では、大出血をまだ経験していないと山下氏は語った。・Ccr

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慢性虚血性心不全に対する自己骨髄単核細胞の経心内膜注入、改善効果は?

慢性虚血性心不全に対する自己骨髄単核細胞(BMC)の経心内膜注入手技について、左室収縮終末期容積(LVESV)や最大酸素消費量などの心機能の改善は認められなかったことが報告された。米国・Texas Heart InstituteのEmerson C. Perin氏らが行った、2つのプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月25日号で発表した。92人を無作為化、6ヵ月後のLVESVや最大酸素消費量などを比較研究グループは、2009年4月29日~2011年4月18日にかけて、慢性虚血性心不全で左室機能不全が認められる患者(NYHA心機能分類II~IIIまたはカナダ循環器学会分類法II~IV、LVEF<45%、SPECTで血流欠損認める)92人を無作為に2群に分け、一方の群(61人)には自己骨髄単核細胞(BMC)の経心内膜注入(1億BMC)を行い、もう一方の群(31人)にはプラセボを注入した。被験者は、CCTRN(Cardiovascular Cell Therapy Research Network)を後援する5つのNHLBI(National Heart, Lung, and Blood Institute)で治療を受けている患者で、平均年齢63歳、男性が82人で、同治療法以外には血行再建の方法はなかった。主要エンドポイントは、6ヵ月後の、心エコーによるLVESV、最大酸素消費量、SPECTによる可逆性の所見だった。LVESV、最大酸素消費量、可逆性のいずれの変化にも両群で有意差なしその結果、LVESV指標の6ヵ月後の変化について、BMC群とプラセボ群で有意差はなかった(-0.9mL/m2、95%信頼区間:-6.1~4.3、p=0.73)。最大酸素消費量の平均値の変化量も、両群で有意差はなかった(1.0、同:-0.42~2.34、p=0.17)。さらに可逆性についても、その変化量は両群で同等だった(-1.2、同:-12.50~10.12、p=0.84)。副次エンドポイントとして評価した心筋梗塞欠損割合や総欠損量、臨床的改善なども、BMC群とプラセボ群で有意差は認められなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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