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アレルギー性接触皮膚炎はアトピー性皮膚炎と併存しやすい可能性

 より低年齢(0~5歳)の子どもほど、パッチテストでよくあるハプテンに対して陽性反応を示す割合が高率であり、またアレルギー性接触皮膚炎はアトピー性皮膚炎と併存しやすい可能性があることが明らかにされた。イタリア・ヴェローナ大学のDonatella Schena氏らが、小児のアレルギー性接触皮膚炎について、アトピー性皮膚炎の有無別に調査を行い報告した。Dermatitis誌2012年11月号の掲載報告。 著者は、「小児のアレルギー性接触皮膚炎の有病率や原因は、時代や地域性により異なるものである」としたうえで、小児のアレルギー性接触皮膚炎のアレルゲンを調べ、アレルギー性接触皮膚炎とアトピー性皮膚炎との関連についても調べた。 7年間にわたって小児349例(0~15歳)にパッチテストを行うコホート研究を実施した。 主な結果は以下のとおり。・パッチテストの結果、69.3%が1つ以上のアレルゲンに対して陽性反応を示した。69.8%で関連アレルゲンが認められた。・感作ありの割合が最も高率であったのは0~5歳児(86例、女子64%)の76.7%であった。次いで、6~10歳児(70%、157例、女子47.8%)であり、11~15歳(106例、女子59.4%)では62.3%であった。・最もよくみられたアレルゲンは、ニッケル(16.3%)であり、コバルト(6.9%)、Kathon CG(5.4%)、重クロム酸カリウム(5.1%)、フレグランスミックス(4.3%)、ネオマイシン(4.3%)と続いた。・大半の発症は、上肢と手(31%)で認められた。・被験児の約3分の1には、アトピー性皮膚炎もあった。・アレルギー性接触皮膚炎は、アトピー性皮膚炎のある小児でより多く認められた。・パッチテスト陽性は、アトピー性皮膚炎のある子どもでは55.3%(関連アレルゲン50%)であり、アトピー性皮膚炎のない子どもでは76.9%(同77.5%)であった。・感作性物質は、アトピー性皮膚炎のない子どもでもみられるものであった。

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医療施設におけるインフルエンザの予防と治療

1 流行に備えた感染対策インフルエンザ対策は、本格的な流行が始まる前に開始する。平素の感染対策活動に加え、流行前に職員に対するインフルエンザ感染対策に関する啓発活動を強化する。また、施設内で患者発生を早期に探知できる体制を構築しておく。職員もインフルエンザ様症状を認めた場合はただちに当該部署に届けて欠勤するなどのルールを作っておく。その他重要な点を以下に示す。(1)ワクチン接種ワクチン接種はインフルエンザ感染対策の基本である。患者に対し、予防接種の意義、有効性、副反応の可能性を十分に説明して同意を得たうえで、禁忌者を除き積極的にワクチンを接種する。とくに65歳以上の者、および60歳以上65歳未満の者であって心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能またはHIV感染による免疫機能障害を有する者に対するワクチン接種は、予防接種法上定期接種と位置付けられている。医療施設の職員にも、禁忌者を除き積極的にワクチン接種を勧める。(2)ウイルスの持ち込みリスクの低減流行期間中、ウイルスは医療施設外からもたらされるため、ウイルス持ち込みのリスクを低減する工夫が必要となる。インフルエンザ様症状を呈する者が面会などの目的で施設内に入ることは、必要に応じて制限する。そのため施設の入口にポスターを掲示したり、家族等にはあらかじめ説明しておくなどして、事前に理解を得ておく。施設に入る前に擦り込み式アルコール消毒薬の使用を求めることも必要である。2 流行開始後の感染対策インフルエンザ患者に対しては、まず良質かつ適切な医療の提供が基本となる。治療については後述するので、ここでは医療施設内でインフルエンザが発生した後の対応について述べる。(1)速やかな患者の隔離施設内でインフルエンザ様患者が発生した場合は、迅速診断キットを活用して診断を行う。発症早期には偽陰性となる場合があるので、キットの結果が陰性であっても、臨床的に疑われる場合はインフルエンザとして扱う。患者はただちに個室に隔離し、できるだけ個室内で過ごすように指示する。個室が確保できない場合は、患者とその他の患者をカーテン等で遮蔽する、ベッド等の間隔を2メートル程度空ける、患者との同室者について、入居者の全身状態を考慮しつつサージカルマスクの着用を勧める、といった次善の策も提案されている。患者が複数いる場合は、同型のインフルエンザ患者を同室に集めることも検討する。(2)飛沫感染予防策とその他の予防策職員が患者の部屋に入る場合はサージカルマスクを着用する。インフルエンザ患者がやむを得ず部屋を出る場合は、サージカルマスクを着用させる。インフルエンザの感染対策では通常、空気予防対策は不要であるが、サクションチューブで喀痰を吸引する時や、緊急で心肺蘇生を行う場合などは、N95マスクなどの高性能マスクの着用も勧められる。飛沫予防策として、インフルエンザを発症してから7日間もしくは発熱や呼吸器症状が消散してから24時間のどちらか長い方が経過するまで継続することが推奨されている。(3)患者への抗ウイルス薬の予防投与CDCは、施設内で72時間以内に2名以上のインフルエンザ様患者が発生した場合や、1名のインフルエンザ確定患者が発生した場合は、入所者への抗ウイルス薬の予防投与を勧めている。日本感染症学会は、インフルエンザ患者に接触した患者には、承諾を得たうえで、ワクチン接種歴にかかわらずオセルタミビルかザナミビルによる予防投与を開始すべきであるとしている。予防投与の範囲は、原則的にはインフルエンザ発症者の同室者とする。なお、現時点でペラミビルとラニナミビルには予防投与の適応は無い。(4)職員への予防投与CDCは、医療施設の職員についても、ワクチン未接種者については抗ウイルス薬の予防投与を検討すべきであるとしている。日本感染症学会は、職員は本来健康なので抗ウイルス薬の予防投与は原則として必要ではなく、発症した場合の早期治療開始でよいとしている。しかし、施設内での流行伝搬に職員が関与していると考えられる場合、とくに職員の間でインフルエンザ発症が続く場合は、職員にも予防投与が必要であるとしている。3 インフルエンザの治療-抗インフルエンザウイルス薬-ここでは主に抗ウイルス薬について述べる。現在わが国で使用可能な抗インフルエンザウイルス薬は、アマンタジン、ザナミビル水和物、オセルタミビルリン酸塩、ペラミビル水和物、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の5種類である。そのうちアマンタジンはA型ウイルスにのみ有効であることと、ほとんどの流行株が耐性化していること、ならびに副作用の問題などから使用機会は少なく、現在は主としてノイラミニダーゼ阻害薬が使用される。以下に各薬の特徴をまとめた。ザナミビル水和物(商品名:リレンザ)は、吸入で用いるノイラミニダーゼ阻害薬である。通常インフルエンザウイルスは主に上気道~気管で増殖するため、非常に高濃度のザナミビルが感染局所に到達する。副作用として、まれではあるが吸入に伴い気道攣縮を誘発する可能性がある。これまでにザナミビルでは耐性ウイルスの出現はほとんど報告されていない。オセルタミビルリン酸塩(同:タミフル)は、内服のノイラミニダーゼ阻害薬である。消化管から吸収され、肝でエステラーゼにより加水分解され活性体に変換される。ペラミビル水和物(同:ラピアクタ点滴用)は、1回の点滴静注でA型およびB型インフルエンザウイルス感染症に対して有効性を示す。点滴静注であるため確実に血中に移行し長時間効果を表す。ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(同:イナビル吸入粉末剤)の特徴は、初回の吸入のみで完結する点で、服薬中断や服薬忘れの懸念が無い。以上の薬剤をどのように使い分けるかは、臨床的に大きな課題である。社団法人日本感染症学会の提言などが参考になる。文献(1)CDC. Prevention strategies for seasonal influenza in healthcare settings. http://www.cdc.gov/flu/professionals/infectioncontrol/healthcaresettings.htm(2)CDC. Interim guidance for influenza outbreak management in long-term care facilities. http://www.cdc.gov/flu/professionals/infectioncontrol/ltc-facility-guidance.htm(3)厚生労働省健康局結核感染症課、日本医師会感染症危機管理対策室.インフルエンザ施設内感染予防の手引き 平成23年11月改訂.http://dl.med.or.jp/dl-med/influenza/infl_tebiki23.pdf(4)社団法人日本感染症学会.社団法人日本感染症学会提言2012~インフルエンザ病院内感染対策の考え方について~(高齢者施設を含めて).http://www.kansensho.or.jp/influenza/pdf/1208_teigen.pdf(5)Fiore AE, et al. MMWR.Recomm Rep.2011;60 : 1-24.

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検証!結婚できない男性の精神的健康状態

 中国は100人の女性あたり118人の男児を出産する、世界中で最も男児の出生が過剰な国であり、現在、生殖年齢に達する男性は2,000万人も過剰となっている。そのため、結婚できない男性が少なくない。これらかなりの数の結婚できない男性の精神的健康(well-being)における影響は不明である。Xudong Zhou氏らは、30~40歳の未婚男性についてうつ病の発症リスク、自尊心、攻撃性に関する検証を行った。Social psychiatry and psychiatric epidemiology誌オンライン版2012年12月12日号の報告。 男性比率の高い農村部(雲南省と貴州省)で、自己記入式アンケートを用いた横断的調査を行った。評価には、ベックのうつ病調査票、Rosenbergの自尊心尺度、Bryant-Smithの攻撃性アンケートを用いた。 主な結果は以下のとおり。・30~40歳の未婚男性1,059名、既婚男性1,066名が調査を完了した。・未婚男性は既婚男性と比較して、経済的に劣っており、教育水準が低かった。・年齢、教育、所得を調整した結果、未婚男性は既婚男性と比較して、低い自尊心のスコア、高い抑うつスコア、高い攻撃性スコアを示す傾向が有意に高く、自殺念慮や自殺願望を有する傾向が高かった(各々p

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米国内科医の総合医キャリア志向、顕著に減少/JAMA

 米国では、慢性疾患増大に伴うゼネラリストとしての内科医不足への懸念から、1970年代に内科プライマリ・ケアプログラムが設けられた。当初は最高90%のプログラム履修者がいたが、最近の調査では、総合医キャリア(general medical careers)を積み上げている内科レジデント卒業生は20~25%にとどまっており、学生にいたっては希望者はさらに少ないことが報告されているという。その状況を明確にするため、米国・メイヨークリニックのColin P. West氏らは、内科研修プログラム別およびレジデントの性別や地域(学校所在地)別でみた総合内科(general internal medicine:GIM)キャリアプランの実態を調べた。JAMA誌2012年12月5日号掲載より。2009~2011年のレジデントのトレーニング履修状況とキャリア志向を調査 研究グループは、2009~2011年の各年10月に、Internal Medicine In-Training Examinationとリンクして入手した米国内科レジデントデータを基に、キャリアプランについて、研修プログラム、性、学校所在地による評価を行った。対象は、6万7,207人の内科各専門および内科プライマリ・ケアレジデント卒業生で、そのうち5万7,087人(84.9%)がサーベイ調査に参加・回答した。5万2,035人の人口統計学的データが入手でき(National Board of Medical Examiners)、全サーベイ項目に回答していたのは5万1,390人(76.5%)、最低1項目を回答していた645例(1.0%)を追加して対象とした。 これら対象サンプルから総計1万6,781人のレジデント卒業生の3年間のトレーニング中のデータを解析に組み込んだ。そのうち、プライマリ・ケアプログラムレジデント卒業生は1,420人(プライマリ・ケア群)、残る1万5,361人は各内科専門プログラム卒業生だった(その他群)。主要評価項目は、彼らが申告した最終キャリアプランとした。最終キャリアプランとしての申告は21.5% 全体では3,605例(21.5%)が、最終キャリアプランとしてGIMを申告した。カテゴリー別にみると、プライマリ・ケア群では39.6%、その他群は19.9%だった[補正後オッズ比(AOR);2.76、99%信頼区間(CI):2.35~3.23、p<0.001]。 一方で、内科各専門キャリアプランを申告したのは、プライマリ・ケア群52.5%、その他群65.3%だった(同:1.90、1.62~2.23、p<0.001)。 性別にみるとGIMキャリアプランを申告した人は、男性よりも女性のほうが多くみられた(26.7%vs. 17.3%、AOR:1.69、99%CI:1.53~1.87、p<0.001)。また、プライマリ・ケア群のほうが、GIMキャリアプランを申告している割合が多い傾向が認められた(57.3%vs. 27.3%、AOR:3.48、99%CI:2.58~4.70、p<0.001)。プライマリ・ケア群はトレーニング中の最初の年にGIMキャリアを積み始めた人がより多く(68.2%vs. 52.3%、AOR:1.81、99%CI:1.25~2.64、p<0.001)、女性が多く(62.4%vs. 47.2%、AOR:1.75、99%CI:1.34~2.29、p<0.001)、米国人の卒業生が多かった(60.9%vs. 49.2%、AOR:1.48、99%CI:1.13~1.93、p<0.001)。 以上を踏まえて著者は、「GIMキャリプランの申告は、内科レジデントでは、各専門キャリア申告の中で顕著に少なかった。また性別、学校所在地別、プログラム別による違いが認められた」とまとめている。

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プライマリ・ケアでのCOPD患者の自己管理・定期管理vs.通常ケア、長期ベネフィットは?/BMJ

 プライマリ・ケアでの慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者のマネジメントについて、総合的自己管理や定期管理と、通常ケア(患者の判断で受診)とを比較した無作為化試験の結果、総合的自己管理や定期管理は通常ケアと比べて、QOLや効果の実感に関して長期的なベネフィットが示されなかったことが、オランダ・Radboud大学のErik W M A Bischoff氏らにより報告された。プライマリ・ケアでは特に、COPDに対して周到で効果的なマネジメント戦略が必要とされる。しかし、著者らは、ガイドラインに即した定期管理の効果には疑問の声もあり、総合的自己管理プログラムのベネフィットは示されているが、プライマリ・ケアでの効果は明らかではないとして本検討を行った。BMJ誌2012年12月1日号(オンライン版2012年11月28日号)掲載より。自己管理、定期管理、通常ケアの3群に無作為化し検討 研究グループは、一般診療所におけるCOPD患者の2つの異なる疾病マネジメント方法(総合的自己管理と定期管理)について、QOL(主要目的)、増悪の頻度と自己管理、効果の実感(副次目的)に関する長期の効果を評価することを目的に、24ヵ月にわたる多施設共同での調査者盲検3群プラグマティック無作為化試験を行った。 被験者は、オランダ東部の15の一般開業医で、スパイロメトリーで確認され治療を受けているCOPD患者を対象とした。呼吸器専門医の治療を受けている重症のCOPD患者は除外された。 被験者は、総合的自己管理群と定期管理群、通常ケアの3群に割り付けられた。総合的自己管理群には、通常ケアの補助として、臨床看護師による4回の特別セッションを含む継続的な電話サポートプラグラムが提供された。定期管理群には、通常ケアの補助として、臨床看護師による年2~4回の体系的コンサルテーションによりモニタリングが行われた。通常ケア群は、患者主導の受診のみであった。 主要評価項目は、CRQ(Chronic Respiratory Questionnaire)の合計スコアで測定した24ヵ月時点のCOPD特異的QOLの変化とした。副次評価項目は、CRQの各領域スコア、Nijmegen telephonic exacerbation assessment systemで測定した増悪の頻度と患者管理、およびCOPD self-efficacy scaleで測定した効果の実感とした。自己管理は通常ケアよりも適切な増悪管理が可能 165例の患者が、自己管理群(n=55)、定期管理群(n=55)、通常ケア群(n=55)に割り付けられた。 24ヵ月時点の、平均CRQスコアについて、3群間の補正後治療格差に有意差は認められなかった。また、増悪に対する自己管理を除き、副次評価項目の結果でも差は認められなかった。 通常ケア群と比較して自己管理群では、増悪の管理を、気管支拡張薬(オッズ比:2.81、95%信頼区間:1.16~6.82)、プレドニゾロンあるいは抗菌薬またはその両方(同:3.98、1.10~15.58)で、より多く行っていることが認められた。 以上の結果を踏まえて研究グループは、「一般診療所のCOPD患者では、総合的自己管理や定期管理は、QOLや効果の実感に関して通常ケアよりも長期的ベネフィットを示さなかった。自己管理群では、通常ケア群よりも増悪を適切に管理することが可能のようである」とまとめている。

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ロタウイルス胃腸炎の世界的な季節性パターンを明らかにするには?

 米国疾病管理予防センター(CDC)のManish M. Patel氏らは、ロタウイルス胃腸炎発生の世界的な季節性パターンの分布図作成を目的に、ワクチンが広く導入される以前の発生に関する報告論文をレビューした。しかし、統一的な説明が可能である季節性のパターンは認められず、国の所得レベルが多少ではあるが、他の因子よりも季節性疾患であることを示す予測因子であることが明らかになったという。Pediatric Infectious Disease Journalオンライン版2012年11月28日号の掲載報告。 研究グループは、1995年以降に発表された下痢症状を伴う小児におけるロタウイルス検出を報告した研究をレビューした。 季節性有病率と局地性(地理的、国の発展度、緯度別にみたロタウイルス陽性下痢症状の発生割合を月平均でプロットしたもの)との関連性を評価した。線形回帰分析にてロタウイルスの季節性を指し示す可能性のある変数を同定した。 主な結果は以下のとおり。・世界6大地域の状況を示す合計99件の研究報告をレビューした。・国の所得レベルが低レベルまたは低~中レベルの国では、高レベルの国よりも、ロタウイルス胃腸炎が年間を通して発生しているとのエビデンスが顕著であった。・所得が高レベルの国では、ロタウイルス胃腸炎は季節性である可能性が高かった。・国の発展レベルは、地理的な位置や気候よりも、季節性の強さを示す有意な予測因子であった(p=0.001)。・一方で、地理的、緯度、開発程度が同程度の国でも、ロタウイルス胃腸炎について明確に異なる季節性パターンがみられ、ロタウイルス胃腸炎の季節性のバリエーションについて、単一の統一された見解を示すことのできる可能性は低いと思われた。・以上の結果を踏まえて著者は、「さらに、異なる設定のもと、季節性パターンにおけるロタウイルスワクチン接種の効果について研究を進めることで、ロタウイルス胃腸炎の世界的な季節性を指し示す因子の解明に寄与する可能性がある」と結論した。

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第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析

 初回エピソードの統合失調症スペクトラム障害の治療では、早期治療の選択が重要である。米国・ザッカーヒルサイド病院のJian-Ping Zhang氏らは統合失調症スペクトラム障害患者における第一世代抗精神病薬(FGAs)と第二世代抗精神病薬(SGAs)の有効性および忍容性をメタアナリシスにより比較検討を行った。The international journal of neuropsychopharmacology / official scientific journal of the Collegium Internationale Neuropsychopharmacologicum (CINP)誌オンライン版2012年12月3日号の報告。 2010年12月12日までに報告された、「急性期、1剤以上のFGAとSGAを比較した無作為化試験、初回エピソードで精神疾患、統合失調症スペクトラム障害と診断された患者、精神病理学的変化(治療反応、治療中止、副作用、または認知機能)について得られたデータ」に関する系統的文献検索を行い、メタアナリシスを実施した。13試験、2,509例が該当した。 主な結果は以下のとおり。・有効性の評価においてFGAs(ハロペリドール9/13試験)を上回ったのは、オランザピン(7試験)で9/13試験、アミスルプリド(1試験)で8/13試験、リスペリドン(8試験)4/13試験、クエチアピン(1試験)3/13試験、クロザピン(2試験)1/13試験、ジプラシドン(1試験)1/13試験であった。・錐体外路症状(EPA)に関連する評価においてFGAsと比較したところ、オランザピン、リスペリドン、クロザピンは少なかったが、体重増加はクロザピン、オランザピン、リスペリドンで多かった。・総合精神病理学的変化、うつ症状、治療反応、代謝系の変化においてSGAsはFGAsと同等であった。・SGAsは体重増加を来す一方で、治療中止率(原因にかかわらず)、陰性症状、認知機能、EPS、アカシジアについて、FGAsと比較し有意に少なかった(p<0.05~0.01)。・結果はFGAsの用量や出版バイアスによる影響を受けなかったが、業界主催の研究の方が政府主導の研究よりもSGAsに好ましい結果が得られていた。初回エピソード統合失調症患者の治療においてFGAsと比較したところ、オランザピン、アミスルプリド、次いでリスペリドン、クエチアピンが優れた有効性、治療継続性、EPSの少なさを示した。しかしながら、オランザピン、リスペリドン、クロザピンは体重増加が多く、オランザピンは代謝系の変化に来す影響が大きかった。関連医療ニュース ・初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準! ・長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与 ・抗精神病薬の効果をどのタイミングで見極めるべきか?

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肺炎球菌ワクチン導入後10年、依然として高い小児科開業医の急性中耳炎負荷

 急性中耳炎(AOM)の発生率は、地域性や試験デザイン・報告・設定の違いにより、国によって異なる。たとえば、米国では肺炎球菌ワクチン(PCV)導入後10年で同発生率が低下したものの、依然として高いことが報告されている。イタリア・ミラノ大学のPaola Marchisio氏らは、欧州ではやや低いが研究報告自体が少なく、イタリアのデータがきわめて少ないことから、同国の小児科開業医が認めたAOMの発生率を評価した。また、小児科開業医によるAOMの診断法についても調べた。BMC Pediatricsオンライン版2012年11月29日号の掲載報告。 イタリアの6歳未満児は全員、国民健康保健サービスの一環として小児科開業医に登録される。研究グループは、その小児科データベースのデータを2次解析し、小児科開業医が認めたAOMの発生率について評価した(/100人・年で算出した全AOM、単発AOM、再発AOM発生率を評価)。また、AOMをどのように診断しているかについても調べた。 AMOエピソードは、患者の日記で確認した。 主な結果は以下のとおり。・2003年1月~2007年12月の間の0~6歳児9万2,373人(男児52.1%)、累計22万7,361人・年が追跡された。・AOMエピソードがみられたのは、2万3,039人(24.9%)で、全エピソードは3万8,241件(単発エピソード94.6%、再発エピソード5.4%)であった。・5年間の、AOM全発生率は16.8/100人・年(95%CI:16.7~16.9)、単発AOM発生率は15.9/100人・年(同:15.7~16.1)、再発AOM発生率は0.9/100人・年(同:0.9~0.9)であった。・年間発生率はわずかだが継続的に、減少の傾向が認められた(年率変化:-4.6%、95%CI:-5.3~-3.9)。・AOM発生率は年齢により異なり、3~4歳児での発生がピークであった(22.2/100人・年、95%CI:21.8~22.7)。・大多数のAOMエピソード(96.3%、3万6,842/3万8,241例)は、耳鏡(static otoscope)で診断していた。気密耳鏡(pneumatic otoscope)の利用は3.7%のみであった。・AOMは、イタリアの小児科開業医システムにとって相当な負担となっていることが示された。・AOMの診断について教育的なプログラムが必要である。また、PCV導入拡大と関連してAOM発生率をモニターするさらなる研究が求められる。

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側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに

 てんかん重積状態(SE)およびその後のてんかん発作を誘発するため、ラットの全身または脳内(海馬や扁桃体など)へのカイニン酸投与が広く行われている。しかし脳内投与では、特発性再発性てんかん発作が認められるラットの割合は低く、再発頻度も比較的低い。ドイツ・ハノーバー獣医科大学のMarta Rattka氏らは、ラットモデルにおける再発側頭葉てんかん発作時の、海馬内のカイニン酸の作用機序について明らかにした。Epilepsy Research誌2012年11月26日号の掲載報告。 特発性再発性てんかん発作の発現や頻度が低いという問題について、最近、カイニン酸を覚醒ラットの背側海馬に投与することで解決できるのはないかということが示唆されており、先行研究が報告されていた。Rattka氏らは、さらにこのモデルの特徴を詳述するため、覚醒ラットの片側の後側海馬のCA3にカイニン酸(0.4μg)を投与した。 主な内容は以下のとおり。・すべてのラットで、死亡例なく、辺縁系SE(範囲:4~20時間)が発生した。・SE後1~8ヵ月の1~2.5週の期間において、再発てんかんビデオ脳波モニタ(24時間/日、7日/週)を行った結果、91%のラットでてんかんが発症し、発作の頻度も有意に増大した。・てんかん発作は、興奮性を増し水迷路試験における学習記憶害を増大することが認められた。海馬の病理学的影響(同側海馬のCA3、歯状回門の広範囲のニューロン欠損や顆粒細胞の拡散によって特徴づけられる)によるものと思われた。・本試験のラットを用いたフェノバルビタールの試験では、すべてのラットが、特発性再発性てんかん発作の抑制に対する治療に反応を示した。・以上の結果より、覚醒ラットの脳内へのカイニン酸投与は、ヒト側頭葉てんかんの優れたモデルを提供するものであり、とくに抗てんかん薬や抗てんかん発作治療のターゲットとしての外傷性てんかんや共存症のメカニズムを検討するモデルとして優れている可能性があることが示された。関連医療ニュース ・てんかん患者のうつ病有病率は高い ・てんかん発作時の脳炎がPET画像診断活用で明らかに ・てんかんを持つ人のうつ病発症を理解することが急務

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ステロイド抵抗性の重症潰瘍性大腸炎、シクロスポリンかインフリキシマブか/Lancet

 ステロイド抵抗性の急性重症潰瘍性大腸炎(UC)患者の治療について、シクロスポリンとインフリキシマブの有効性と安全性を比較したオープンラベル無作為化対照試験が、フランス・Haut-Leveque病院のDavid Laharie氏らにより行われた。両薬剤は、ステロイド静注療法が効かない急性重症UCに対して、大腸切除の回避を可能とする救急治療法である。しかし、どちらが有効または安全であるのか無作為化試験は行われておらず、ガイドラインにもステータスは明記されていなかった。Lancet誌2012年12月1日号(オンライン版2012年10月10日号)の掲載報告。115例を対象にオープンラベル無作為化試験 試験は、2007年6月1日~2010年8月31日の間、欧州27施設で、高用量のステロイド静注に反応しない急性重症UC(Lichtigerスコア>10)の18歳以上患者(シクロスポリン、インフリキシマブ未治療)を対象に行われた。 被験者は115例で、無作為に、シクロスポリン群(58例、2mg/kg/日を1週間、その後は98日まで経口投与)、またはインフリシキマブ群(57例、5mg/kgを0、14、42日に静注)に割り付けられた。両群患者は、7日時点で治療反応が認められた場合は全員にアザチオプリン投与(2.0~2.5mg/kg/日)が開始された。 主要有効性アウトカムは、7日時点での治療無効、7~98日の間の再発、98日時点でステロイドから離脱できていない、また治療中断となった重症有害イベント、大腸切除術の施行、および死亡とした。解析はintention to treatにて行われた。臨床での治療選択は、医師と各医療センターの経験に基づき判断すべき 結果、98日時点での治療無効は、シクロスポリン群35例(60%)、インフリキシマブ群31例(54%)だった[絶対リスク差:6%、95%信頼区間(CI):-7~19、p=0.52]。 7日時点では、治療反応がシクロスポリン群50例(86%)、インフリキシマブ群48例(84%)で認められたが、有意差はなかった(p=0.76)。なお、0~7日間のLichtigerスコアは、インフリキシマブ群のほうが速やかに低下した(5日目vs. 4日目)。 98日時点での腸粘膜治癒達成は、シクロスポリン群47%、インフリキシマブ群45%だった(p=0.85)。また、QOL尺度のIBDQの得点はシクロスポリン群が中央値78ポイント上昇、インフリキシマブ群は同100ポイント上昇であったが、有意差はなかった(p=0.19)。手術施行は、シクロスポリン群10例(7%)、インフリキシマブ群12例(21%)であったが、有意差はなかった(p=0.60)。 多変量解析で、治療無効の独立予測因子は、「40歳以上[オッズ比(OR):2.7]」「ヘモグロビン濃度95~125g/L(同:2.5)」「同125g/L超(同:8.5)」だった。これらの変数で補正後の治療無効のORは、シクロスポリン群1.4(p=0.36)、インフリキシマブ群1.3(p=0.52)だった。 一方、重要有害イベントの発生患者数は、シクロスポリン群9例(16%)、インフリキシマブ群14例(25%)だった。 以上の結果から著者は、「シクロスポリンはインフリキシマブよりも有効ではなかった」としたが、「臨床での治療選択は、医師と各医療センターの経験に基づき判断すべきであろう」と結論している。

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インフルエンザ流行の立ち上がりをSHARE…MLインフルエンザ流行前線情報DB

MLインフルエンザ流行前線情報DB http://ml-flu.children.jp(以下ML-flu)は医師が参加するメーリングリスト(以下ML)で有志を募り、インフルエンザ症例をインターネット上のデータベースに自主的に報告し、日本全国および各地のインフルエンザの流行を迅速に周知するプロジェクトであり、2000-01シーズンから13シーズン運用している。多忙な臨床の傍ら、プロジェクトを発足させ、現在も運営業務を行っている西藤成雄氏にプロジェクト発足の経緯と現状を聞いた。MLインフルエンザ流行前線情報DB開始の経緯従来から国立感染症研究所では流行状況を把握するため各地域の医療機関の定点観測による感染症発生動向調査週報(以下IDWR)を配信していますが、その集計結果が診療現場に届くには10日から2週間ほど要しています。感染症の流行阻止には早期の対策が重要であり、インフルエンザのような立ち上がりの早い感染症では課題を残していました。そのような中、2000年に国立感染症研究所感染症情報センターの砂川富正先生はML上でインフルエンザ症例を報告して流行情報を共有しようと呼びかけられました。時代はWeb拡大の折、MLを通じて診療の情報交換を行うようになっていました。インフルエンザ診療においては、迅速診断キットや最初の抗インフルエンザ薬アマンタジン(シンメトレル)が発売され、大きな転換期を迎えていました。当時は、国立感染症研究所のサーベイランスも臨床的診断であり、砂川先生のインフルエンザ迅速診断を用いた症例報告の提案は確実なインフルエンザの検出状況を共有できる素晴らしいものでした。砂川先生の呼びかけに対し小児科医が報告しだしましたが、当初は毎日報告された症例を、砂川先生が夜間に集計して公開するというものでした。そのやり取りをみていて、報告数が増え数百件というレベルになると対応できなくなるので、それに特化したwebデータベースを作りませんかと私から提案させていただきました。当時開発していたオンライン喘息日誌を応用してインフルエンザの広がりがわかるよう日本地図に表示し、喘息日誌のゾーン分けに習い流行数に応じた色分けを盛り込み、岐阜県医師会で運用されていたインフルエンザWebサイトを参考にして、直接webページに入力し自動的に集計されるシステムを作りました。画像を拡大するML-fluのトップページ日本地図に色分けされた流行情報が表示されるhttp://ml-flu.children.jp/こうしたユニークさのためか、提案はすぐに受け入れられました。そして、データベースが完成したのち、砂川先生を通し有志医師に登録を呼びかけていただきました。呼びかけは日本小児科電子メールカンファレンス(JPMLC) (代表:日本大学医学部社会医学系医療管理学分野 根東義明 先生)、小児科フリートークML (Ped-ft)(代表:たからぎ医院・東京都渋谷区 宝樹真理 先生)、さらに私が行っている内科医主体のFlu-DBのMLに対して行いました。小児科医MLの2つの会員数は計5,000名を超え、小児科専門医なら1/3をカバーする大きなネットワークです。2004年までは私だけでシステム開発をしていましたが、それ以降は谷口清洲先生(元 国立感染症研究所感染症情報センター第一室長)の研究班に参加させていただき、現在まで研究と開発・運営を続けてきました。ML-flu参加者・報告数の推移有志医師数はスタートから280~400名程度で運営しています、2009年が最も多く、その後は、300名程度の先生に情報提供いただいています。近年、報告件数が増えており2011-12シーズンは7万5千例以上の症例が登録されました。これは報告者一人当たりにすると年間260例以上の報告件数となります。運営を重ねていくにつれ感染症に関心が高い医師に数多く参加いただいているようです。 ML-fluはリアルタイムで流行の立ち上がりを知らせる事を大切な目的としていますので、必ずしも感染者数の定量性は、正しいとは考えておりませんでした。しかし、自主的に報告するML-fluが実際の流行をどの程度正しく反映するのか調査してみました。ML-fluの報告推移とIDWRの報告を重ね合わせてみたところ、非常に強い相関を示すことがわかりました。ML-fluとIDWRとの報告数推移の決定係数(R2)は運用開始した2000-01シーズンから1シーズンを除き0.9以上であり、最近2シーズンは0.99以上となっています。画像を拡大するML-fluとIDWRのデータの相関は高いML-fluの機能・特徴まず日本の全国集計がリアルタイムで見られることが大きな特徴です。これは短い期間で感染が拡大するインフルエンザにとっては非常に有効です。また、集められたデータを様々な断面で分析できることも特徴だといえます。報告数推移、タイプ(A/B)別割合、男女比、年齢分布、薬剤の使用割合などがわかります。報告数推移については直近3ヵ月、1ヵ月、2週間のデータが得られ、リアルタイムで流行の傾向を把握することができます。また、全国集計だけではなく、地域別集計地域も行っており、47都道府県のすべてが集計・分析されているとともに、各都道府県の市町村レベルの情報も地図とグラフで表されます。上記はML-fluに参加しなくても得られる機能ですが、参加登録する事によって有志医師には、より多くのメリットが得られます。参加登録するには、前述のJPMLC、 Ped-ft、Flu-DBのMLに参加します。参加いただくと報告用のURLやパスワードが送られて、ウイルス分離状況、ワクチン接種状況に加え、登録されたすべての症例の詳細が閲覧できます。また、ユニークなサービスとしてMyData機能があります。これは症例報告した有志医師ごとにアカウントを設けて、ご自身が登録した症例がすべてご覧になれるというもので、自施設のインフルエンザの報告数推移やタイプ別の分析など全国集計と同じ分析が可能です。つまり、自施設のインフルエンザ診療が統計処理されたデータとして得られる訳で、診療における強力なツールとなると思います。データはExcel形式でダウンロードできるので、臨床の分析や研究に利用できます。自施設の検出状況をランダムパスを発生させたURLに表示も可能で、自施設のホームページからリンクを張り、インフルエンザの検出状況として通院される患者さんに周知する、といった利用も可能です。また、メールによる集計結果の配信が日・週単位で届きます。ここには報告例数の他に、感染症関連のトピックスが配信されています。このように、私自身が臨床を行っているなかで、欲しいと思う機能はすべてMyDataという機能に実装しました。画像を拡大するML-fluのデータはXMLで書き出すことが可能である今までの活動の中で役に立ったエピソード09-10シーズンはGW明けから、ML-fluでA型の割合が急増していました。新型インフルエンザの早期察知かと思ったのですが、調べてみるとA/香港型による学級閉鎖など季節性インフルエンザの報告によるものでした。早期察知はできなかったももの、新型インフルエンザを本邦で最初に報告した医師は、プロジェクトの有志であり、その症例はML-fluに登録されていました。手軽に報告できる機能や1年を通したリマインドが、発見後すぐの報告をもたらしたエピソードだと思います。また、ML-fluによって未知のインフルエンザの振る舞いが把握できました。未知の感染症では、臨床症状、重症度なども分かりません。これらに対応するためには、定型の入力フォームを事前に準備することはできません。そこでML-fluでは症例入力ページを通常症例(軽症例)と特異症例(重症例)に分け、重症例を文章で書き込むというシステムにしていました。ML-fluには感染症に関心が高い臨床医が多く、その先生方の重症例報告とそこに書き込む文章は多くの情報を提示してくれます。H1N1pdm09感染が主だった09-10シーズンは重症例数をみると、過去のシーズンに比べ重症例の報告が圧倒的に多いことがわかりました。インフルエンザ1000件当たりの重症例の件数は1.82件、前年は 0.22件だったので約9倍重症例が多かったことになります。ちなみに、翌年は0.82件と平年通りになっています。つまり、H1N1pdm09は重症度が高かったということが把握できたのです。とはいえ、一人の臨床医にすると、重症例の印象は年間1例入院が出たかな?という小さなものです。それが数万という症例情報が入る事で違いが分かるのです。また、症状について重症例報告の書き込みからキーワードを分析してみると、09-10シーズンでは呼吸器症状に関する記載が他シーズンよりも特異的に高いということもわかりました。このように重症度や臨床症状といった新型インフルエンザの振る舞いを捉えていくことができたのも一つのエピソードです。ML-fluの今後の上手な活用方法ML-fluでは各都道府県のデータも市町村単位で集計表示されます。地域単位で参加していただければ、すぐにでもその地域の流行状況を共有することができます。都道府県・市町村にインフルエンザのローカルサーベイランスがない場合など、ご活用いただたくのもよい方法だと思います。ML-fluにはXMLによる生データ書き出し機能も備えておりますので、流行状況をご自身のwebサイトに表示していただくこともできます。また、前述のようにMyDataを活用し自分のサイトに自院のデータを掲示するのもよいでしょう。ご自身の医療機関におけるインフルエンザの検出情報は、患者さんにとって最も身近で確かなインフルエンザの流行情報となります。とはいえ、日集計を読んで流行情報を臨床に役立てていただくだけでも立派な活用だと考えております。視聴者の先生へメッセージ有志の先生が多いほど、より流行を正確に提供できます。また地域の偏りを無くすためにも、一人でも多くの有志の先生を募集しております。インフルエンザの流行の立ち上がりを知らせ合う事はもちろんですが、「これはもしかすると」ということを知らせあう事もとても大事です。専門外の先生方にも気軽に参加していただければと思います。現在、オンラインサーベイは乱立の状態です。各ローカルサーベイもにXMLを盛り込んでいただければ、データ連携が実現し、各都道府県の生データを集めて一晩で全国集計を出すことも可能です。実際、石川県のローカルサーベイランスと連携しており、石川県のローカルサーベイに入力すると同時にML-fluに記録される仕組みが成立しています。将来的には、感染症情報交換規約を作って各都道府県のローカルサーベイと連携をしていければと考えています。オンラインサーベイランスの展望ML-fluのシステムはさらに、RSウイルスオンラインサーベイや百日咳発生データベースなどに転用されている。そのような中、西藤氏はITによる感染症サーベイランスの「症候群サーベイランス」としての可能性を期待している。そして、Ml-fluで文字の情報からインフルエンザ情報が把握できることが明らかになったことから、新たなインフルエンザサーベイランスとしてツイッター「tweetflu」http://tweetflu.jpを立ち上げた。これは、twitter機能を利用して"インフルエンザ"が含まれるツイートを取り出すものである。患者さんがそのまま入力するため、医師の入力というタイムラグがない。まさにリアルタイム集計といえる。このサイトでは、ツイートを全国集計し、日本地図上で流行の分布を、そしてツイート数に応じた色分けで流行の度合いを表わしている。さらに、時系列グラフで流行の傾向をも把握できる。ツイート数の集計データも、厚生省の報告と相関のあるML-fluと相関しているという分析データもある。この新しい試みの展開に期待したい。「tweetflu」http://tweetflu.jp

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少量、安全接種が可能な貼付パッチ式のロタウイルスワクチンの可能性

 米国疾病予防管理センター(CDC)のSungsil Moon氏らは、極微針パッチ(microneedle patch)を用いた皮下注射による、ロタウイルスワクチン予防接種の可能性についてマウスを用いた試験で検討を行った。皮下注予防接種(skin immunization)は天然痘や結核など多数の感染症で効果が認められているが、接種が難しい。一方、極微針パッチは、貼付式で接種が容易であり、その点で有望視されている。Vaccine誌オンライン版2012年11月19日号の掲載報告。 研究グループは、不活化ロタウイルス・ワクチン(IRV)の皮下ワクチン接種において、接種容易な極微針(MN)パッチの活用についてマウス試験で評価(接種効果と投与量)を行った。 6グループのメスの純系BALB/cマウスを対象に、5μgまたは0.5μgのIRVをコーティングしたMNパッチ、または各量IRVを筋肉内注射によりそれぞれ1回接種を行った。その後、0日、10日、28日時点で採血を行った。 主な結果は以下のとおり。・ロタウイルス特異的IgGは、MNパッチ群、筋肉内注射群いずれも、時間の経過とともに血清内レベルが上昇した。・IgG値と中和活性は、筋肉内注射群よりもMNパッチ群で概してより高かった。0.5μg MNパッチ群は、5μg筋肉内注射群とIgG上昇についてはほぼ匹敵、またはより高く、投与量が節約できることを示した。・陰性対照である無抗原のMNパッチを貼り付けたマウスでは、いかなるIgGをも有していなかった。・MNパッチによる予防接種は、筋肉内注射によるものと同程度以上の効果があり、脾臓由来樹状細胞の免疫誘導が示された。・試験によって、MNパッチでは筋肉内注射よりも少ない量のIRVで免疫を得られる可能性が示された。MNパッチは、世界中の子どもが、より安全で効果的なロタウイルスワクチンを受けるための開発戦略として有望視される。

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難治性白血病に対するポナチニブ、高い治療反応を認める/NEJM

 変異型を含むBCR-ABLを阻害するポナチニブ(ponatinib、AP24534)を、チロシンキナーゼ阻害薬耐性のフィラデルフィア染色体陽性(Ph陽性)の白血病患者に投与すると、高い治療反応が認められることが示された。慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)患者のうち、血液学的完全寛解が認められたのは98%に上った。米国・M.D.アンダーソンがんセンターのJorge E. Cortes氏らが、80例超のチロシンキナーゼ阻害薬耐性の血液腫瘍患者について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2012年11月29日号で発表した。ポナチニブを2~60mg/日投与、中央値56週間で追跡 研究グループは2008~2010年にかけて、チロシンキナーゼ阻害薬耐性の血液腫瘍患者、81例に対し、ポナチニブを2~60mg/日投与した。被験者のうち、60例はCML、5例はPh陽性急性リンパ芽球性白血病(ALL)だった。追跡期間の中央値は、56週間だった。 Ph陽性患者のうち、2種以上のチロシンキナーゼ阻害薬の投与歴があったのは91%、3種すべての投与を受けていたのは51%だった。CML患者の血液学的完全寛解は98%、細胞遺伝学的寛解は72% 結果、慢性期CML患者43例のうち、血液学的完全寛解が認められたのは98%、細胞遺伝学的完全寛解が認められたのは72%、分子生物学的寛解が認められたのは44%だった。 T315I変異を伴う慢性期CML患者12例のうち、血液学的完全寛解が認められたのは100%、細胞遺伝学的寛解は92%で得られた。 また、変異の認められない慢性期CML患者13例のうち、血液学的完全寛解が認められたのは100%、細胞遺伝学的寛解は62%で得られた。 さらに、移行期または急性転化期のCMLおよびPh陽性ALLの22例では、血液学的完全寛解が認められたのは36%、細胞遺伝学的寛解は32%で得られた。

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脱毛症治療薬による男性機能への影響と利き手の関係

 壮年性脱毛症の治療薬に含まれる抗男性ホルモン物質フィナステリドの性機能への副作用について、利き手との関連を検討するパイロットスタディが、ルーマニア・St Pantelimon HospitalのIon G. Motofei氏らによって行われた。フィナステリドの性機能への影響を検討している研究は他にもあるが、本研究は、フィナステリドの薬理学的作用によるジヒドロテストステロン抑制反応について、大脳側性化/専門化の影響との関連で検討している点で、それらと異なる。大脳側性化/専門化は、身体的・精神的・性的機能は脳内で役割分担して司っているという神経生理学の考え方で、利き手や認知型、生殖ホルモンの影響や性的好みも含め、それらの違いは大脳側性化で明らかにできると目されている。そこで研究グループは、フィナステリドによる性的反応と、利き手との関連に着目して検討した。BJU International誌オンライン版2012年11月16日号の掲載報告。 フィナステリドの薬理学的作用による、ジヒドロテストステロン抑制、性的興奮、リビドーと、利き手との関連を調査することを目的に、壮年性脱毛症の治療を受けている男性の自己申告による性的反応を、治療前と治療中(壮年性脱毛症のためのフィナステリド1mg治療開始前後)で比較した。 試験に参加したのは、計33例の性的に健常なルーマニア男性で、前向きに4週間、性的機能に関する情報[国際勃起機能指標(IIEF)で測定]が提供された。利き手によりグループ分けし、個別に影響を評価した。 主な結果は以下のとおり。・IIEFはトータルスコア、および勃起機能、オルガスム機能、性的欲望とも治療前後、治療効果によるグループ間で同程度の得点であった。全体的満足度のサブスケールも同様であった。性交満足感のサブスケールは、グループ間、治療効果によるグループ間で同程度であった。・大半のサブスケールについて、右利きの男性は、影響なしあるいは性機能低下を報告した。一方で、左利きの男性は主として、影響なしあるいは性機能改善を報告した。・これらの結果は、ジヒドロテストステロン抑制の性機能への影響が利き手に依存していることを示す。すなわち、認知型に依存している可能性を示すものであり、また、2つの異なる神経内分泌系の性心理軸(neuroendocrine psychosexual axes)があるとの考え方を支持するものである。・さらには、そうした性機能への影響は、方法論的検討によって十分検出可能であるとともに、患者の性機能への影響に気を配るコミュニケーションによって、より明らかになると示唆される。

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がんによる疾病負担、全世界で重く:IARC調査/Lancet

 がんによる疾病負担は世界のどの地域でも重く、深刻なものであることが、国際がん研究機関(IARC、フランス・リヨン市)のIsabelle Soerjomataram氏らの調査で明らかとなった。2008年、世界で760万人ががんで死亡した。保健医療計画の立案には、致死的および非致死的ながんのアウトカムを考慮した国別の比較を要するが、これには障害調整生命年(disability-adjusted life-years:DALY)が有用な指標になるという。Lancet誌2012年11月24日号(オンライン版2012年10月16日号)掲載の報告。DALYに基づく疾病負担を国別、地域別に比較 研究グループは、2008年のがんによるDALYを算定することで、その疾病負担の評価を行った。 DALYは、疾病、障害、早世によって失われた健康的な生活の年数を表し、総合的な疾病負担の指標として有用とされる。DALYは、損失生存年数(years of life lost:YLL、死亡が早まることで失われた年数)と、障害生存年数(years lived with disability:YLD、障害によって失われた健康的な生活の年数)の和で表される。 主にがん登録から得た地域住民ベースのデータ(罹患率、死亡率、余命、罹患期間、発症時および死亡時の年齢、治療率、合併症発生率、治癒率など)を用いてYLLおよびYLDを算出した。 世界12地域、184ヵ国について、27のがん種のYLLとYLDからDALYを推算した。国連開発計画の定義による人間開発指数[human development index:HDI、人間開発の3つの因子(余命、教育、国内総生産)による複合指標]に基づいて各国を4つのカテゴリー(超高、高、中、低)に分け、各カテゴリー別のDALYを解析し、国別、地域別の比較を行った。全疾病負担の90%以上がYLLで、HDIが低い国でYLLが高い 2008年に全世界で、1億6,930万年の健康的な生活が、がんによって失われたと推算された。全DALYに最も寄与した主ながん種は、大腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がんで、この傾向は世界のほとんどの地域で同様であり、それぞれががんによる全疾病負担の18〜50%を占めた。 感染関連がん(肝、胃、子宮頸部)による疾病負担のさらなる増大が、サハラ砂漠以南のアフリカで25%、東アジアでは27%に及ぶと推計された。 国や地域で、DALYに占めるがん種の割合などには大きな違いがみられたが、どの国でも全がん種についてYLLが重要な要素であり、全疾病負担の90%以上に達していた。一方、人的資源が乏しい国は、豊富な国に比べDALYに占めるYLLの割合が高かった。 著者は、「世界のどの地域でも、がんによって失われた年齢調整DALYは大きなものであった」と結論づけ、「YLLはHDIが高い国よりも低い国で大きかったことから、診断後の予後の大きな隔差は、人間開発の程度と関連することが示唆される。それゆえ、人的資源の少ない国では、がん診療の根本的な改善が必要である」と指摘する。

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呼称変更から10年、統合失調症患者へのスティグマを減らすためには:日本医科大学

 日本医科大学精神神経科の大森 中氏らは、臨床研修医の統合失調症患者に対する潜在的な態度と患者と接する上での影響について調べた。また、精神科での臨床トレーニング前後の態度と接し方の変化についても評価した。統合失調症患者とその家族は、スティグマに非常に苦しんできた。名称変更など偏見やスティグマを根絶するためのさまざまな努力にもかかわらず、いまだ医療従事者においてすら偏見にとらわれている者がいる。また、臨床研修医が患者とどのように向き合っているのかについてはほとんど知られていなかった。BioMed Central Psychiatry誌オンライン版2012年11月22日号の掲載報告。 研究グループは、臨床研修医について、統合失調症に関する日本語の名称変更の影響を評価した。また、精神科での1ヵ月間の臨床トレーニング前後の統合失調症に対する態度を比較し、それらの統合失調症患者と接する上での影響を評価した。評価は、IAT(Implicit Association Test)とLinkスティグマ尺度にて行った。主な内容は以下のとおり。・51人の臨床研修医が参加した。・トレーニング前、旧名称である「精神分裂病」は新名称「統合失調症」よりも、犯罪と結び付く傾向が強かった。・ところがトレーニング後、まったく予想に反して、旧名称よりも新名称についてより強く犯罪と結び付ける傾向が強まった。・Linkスティグマ尺度とIATとには有意な相関性は認められなかった。・統合失調症への名称変更は、臨床研修医における統合失調症の負のイメージを減少したが、統合失調症患者とのコンタクトが、予想に反してネガティブな態度への変化を増長した。・これらの結果は、統合失調症に関するネガティブな態度の形成を理解することに寄与し、懸念される偏見やスティグマを減らすための精神科での適切なトレーニングを開発する一助となるだろう。関連医療ニュース ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ ・検証!非定型抗精神病薬の神経保護作用 ・抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大

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グルタミン酸作動性システムは大うつ病の効果的な治療ターゲット

 グルタミン酸作動性システムについては、とくにグルタミン酸とNMDA受容体の異常が大うつ病の病態生理に関与していることを示すエビデンスが数多く報告され、グルタミン酸作動性神経伝達の不均衡がNMDAアゴニズムの活性に寄与し、大うつ病に関連する脳内の興奮活性を亢進する可能性が示唆されていた。しかし、NMDA受容体阻害薬が抗うつ病薬のような活性を備えていることが示されたにもかかわらず、依然として異常なグルタミン酸作動性シグナル伝達の基底にある分子的な変化は十分に解明されていなかった。そのような中、グルタミン酸作動性システムが、大うつ病に対する効果的な治療介入ターゲットであることが、イタリア・ローマ大学サピエンツァ校のGianluca Serafini氏らによる最新のレビュー研究によって明らかにされた。Current Pharmaceutical Design誌オンライン版2012年11月19日号の掲載報告。 研究グループは、大うつ病でNMDA受容体をターゲットとしているグルタミン酸作動薬の主要な薬理学的特性と影響に焦点を合わせ、最新文献のレビューを行った。文献の検索は、PubMed/Medline、ScienceDirect databasesにて、グルタミン酸、うつ病、大うつ病性障害をキーワードに行った。 主な内容は以下のとおり。・大半のグルタミン酸受容体作動薬は、臨床および前臨床研究いずれにおいても、抗うつ作用の活性を示す生化学的な影響を示した。また、最新の神経画像診断や遺伝学により、これら薬物の抗うつ作用性が確認されていた。・NMDA受容体阻害薬などヒトを対象とした試験が、結果に混乱を生じさせていた。・全体的には、グルタミン酸作動性受容体の調節機能は、ヒトのうつ病に対する治療反応と関連している神経伝達物質の放出と同じように、ニューロン幹細胞の増殖(ニューロン形成)を容易にする可能性がある。ただし、認知機能に対する副作用と精神障害の発現性があり、臨床への適用および有用な薬剤開発を難しくしている。・NMDA受容体をターゲットするグルタミン酸作動薬(神経伝達物質の放出を阻害したり、シナプス後部反応を調節する)は、特異的な抗うつ作用を持つ分子モジュレーターとして役立つ可能性がある。関連医療ニュース ・検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム ・難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」 ・SPECT画像診断による前頭部脳血流評価で、大うつ病高齢者のSSRI有効性を予測

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軽度でも注意!糖尿病性網膜症はCHD発症リスクと関連

 2型糖尿病患者の糖尿病性網膜症はたとえ軽度(点状出血など)であっても、冠動脈疾患(CHD)や脳卒中のリスクと関連することが、山形大学 川崎 良氏らの研究で明らかになった。著者らによると、2型糖尿病患者における糖尿病性網膜症は、従来の心血管リスク因子とは独立したCHDおよび脳卒中リスク因子であるという。Ophthalmology誌オンライン版2012年11月19日付の報告。 糖尿病性網膜症は、心血管疾患リスクと関連があるといわれている。今回、前向きコホート研究であるThe Japan Diabetes Complications Study (JDCS)において、2型糖尿病患者における軽度の糖尿病性網膜症とCHDおよび脳卒中リスクとの関連について検討された。 対象は、ベースライン時に心血管疾患既往のない日本人の2型糖尿病患者2,033例。糖尿病性網膜症は、糖尿病性網膜症および黄斑症の国際重症度分類に基づき、臨床所見や撮影検査から診断された。CHDと脳卒中の発症を8年間にわたり追跡調査し、糖尿病性網膜症発症群と未発症群におけるCHDと脳卒中発生率を主要アウトカムとし、それぞれを比較した。 主な結果は以下のとおり。・従来の心血管リスク因子による調整後、軽度から中等度の非増殖性糖尿病性網膜症患者はCHD(ハザード比[HR]:1.69、95%CI:1.17~2.97)と脳卒中(HR: 2.69、95%CI:1.03~4.86)の発症リスクが高かった。・網膜出血や毛細血管瘤の存在はCHD発症リスク(HR:1.63、95%CI:1.04~2.56)と関連していたが、脳卒中発症リスク(p = 0.06)とは関連していなかった。・綿花様白斑の存在は脳卒中発症リスク(HR:2.39、95%CI:1.35~4.24)と関連していたが、CHD発症リスク(p =0.66)とは関連していなかった。・従来の心血管リスク因子による調整後も、糖尿病性網膜症をCHD予測モデル因子に追加することで、ROC曲線下面積(AUC)は0.682から0.692に上昇した。また、脳卒中予測モデル因子に追加した場合、AUCは0.640から0.677に上昇した。・糖尿病性網膜症を予測モデル因子に追加したことにより、対象者のうち9%にCKD発症リスク、13%に脳卒中発症リスクがあると再判定された。

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統合失調症患者における「多飲」その影響は?:奈良県立医大

 統合失調症において多飲傾向を認める患者は多い。多飲による過度な水分摂取は、低ナトリウム状態を誘発したり、水中毒につながることもある。奈良県立医科大学 永嶌 朋久氏らは、統合失調症患者の多飲と神経心理学的障害や脳の構造的変化との相関を検討した。BMC psychiatry誌オンライン版2012年11月26日号の報告。 対象は多飲を認める統合失調症患者、多飲を認めない統合失調症患者、健常対象者の各々8例。すべての被験者はMRIと神経心理学的テストを施行した。構造異常は、ボクセルベース形態計測(VBM)を用いて分析した。患者の神経心理学的機能は、統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・両患者間で臨床的特徴の有意な差は認められなかった。・多飲を認める統合失調症患者は、健常者と比較して、広範囲な脳容積の減少と神経心理学的障害を示した。・多飲を認める統合失調症患者は、多飲を認めない患者と比較し、左側島皮質の有意な減少を示した。・多飲を認めない統合失調症患者における神経心理機能テストの結果は、他の2つのグループの中間であった。・統合失調症患者における多飲は、左側島皮質の減少により、深刻な神経心理学的障害を誘発する可能性があることが示唆された。関連医療ニュース ・日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証! ・性的強迫観念は、統合失調症患者で頻度が高く、自殺行動と独立して関連 ・日本人統合失調症患者の認知機能に影響を与える処方パターンとは

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慢性腰痛治療のエビデンス、高周波神経切離術は良、神経ブロックは可~良

 腰椎椎間関節への治療介入の効果に関する最新知見について、米国・Mid Atlantic Spine & Pain PhysiciansのFrank J.E. Falco氏らによるシステマティックレビューの結果が発表された。従来法の高周波神経切離術の使用に関するエビデンスは良(good)、腰椎椎間関節の慢性疼痛治療のための神経ブロックのエビデンスは可~良(fair to good)であり、短期または長期に鎮静が得られ身体的機能の改善が認められたことが明らかになったという。一方で、関節内注射やパルス高周波サーモ神経切離術(Pulsed radiofrequency thermoneurolysis)のエビデンスは十分ではなかったとまとめている。Pain Physician誌2012年11月15日号の掲載報告。 研究グループは、慢性腰痛マネジメントにおける腰椎椎間関節介入の影響について評価・更新を目的としたシステマティックレビューを行った。 エビデンスは、米国予防医療作業部会(USPSTF)によって開発された質的評価に基づき、良(good)、可(fair)、限定的あるいは不十分(limitedかpoor)にレベル分類した。 解析に組み込んだのは、1966年~2012年6月までのPubMed、EMBASEと、先行主要レビューの参考文献調査で同定された関連文献などであった。 主要評価アウトカム尺度は、短期軽減(最長6ヵ月)と長期軽減(12ヵ月)とした。副次アウトカム尺度には、身体的機能状態の改善、精神状態、職場復帰、オピオイドの減量などを含んだ。 主な結果は以下のとおり。・システマティックレビューには、122研究が組み込まれた。・試験・研究の方法論が良質であった(評価の包含基準を満たした)のは、11の無作為試験と14の観察研究であった。・短期および長期の改善について、高周波神経切離術のエビデンスは良であった。腰椎椎間関節神経ブロックについては可~良であった。・一方で、関節内注射とパルス高周波法神経切離術のエビデンスは限定的であった。・このレビューには、エビデンスが不十分なデータも組み込まれている(とくに、関節内注射療法について)という点に留意が必要である。

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