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HIV初感染への48週間抗レトロウイルス療法の効果は?/NEJM

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)初感染(primary HIV infection)に対し、48週間の抗レトロウイルス療法(ART)は、従前より示唆されていたように疾患進行を遅らせることが明らかにされた。英国・Imperial College LondonのSarah Fidler氏らが、約370人の患者について行った無作為化試験「Short Pulse Anti-Retroviral Therapy at Seroconversion」(SPARTAC)の結果、報告した。これまで、HIV初感染に対する短期ART療法について疾患進行を遅延しうる可能性が言われていたが、十分な評価は行われていなかった。NEJM誌2013年1月17日号掲載より。HIV初感染初期の366人を平均4.2年追跡 SPARTAC研究グループは、HIV初感染の患者366人を無作為に3群に分け比較検討した。一群にはARTを48週間、別の群にはARTを12週間、もう一つの群には通常の治療を、いずれもセロコンバージョン後6ヵ月以内に開始した。 主要エンドポイントは、CD4+細胞数の350/mm3未満への低下、または長期ART療法の開始とした。 被験者の年齢中央値は31~33歳、男性は60%だった。48週間ART群は123人、12週間ART群は120人、通常治療群は123人だった。平均追跡期間は4.2年だった。48週間ART群、主要エンドポイント発生リスクは通常治療群の4割減 その結果、主要エンドポイントのイベント発生率は、12週間ART群と通常治療群ではそれぞれ61%だったのに対し、48週間ART群では50%と低率だった。48週間ART群の通常治療群に対する主要エンドポイントのイベント発生に関する平均ハザード比は、0.63(95%信頼区間:0.45~0.90、p=0.01)だった。一方、12週間ART群の同値は、0.93(同:0.67~1.29、p=0.67)と、有意差は認められなかった。 また、CD4+細胞数350/mm3未満に低下した人の割合は、12週間ART群と通常治療群は40%だったのに対し、48週間ART群では28%と低率だった。 主要エンドポイント発生までの期間中央値は、48週間ART群は通常治療群と比べ65週間(同:17~114)長かった。 事後解析により、ART開始と主要エンドポイントとの期間は、ART開始がセロコンバージョン時期に近いほど長期となる傾向があることが確認された。また、48週間ARTは、短期療法完了後36週時点のHIV RNA量を、0.44 log10コピー/mL(同:0.25~0.64)減少した。 なお、エイズ、死亡、重度有害イベントの発生率については、すべての群で同等だった。 結果を踏まえて著者は、「HIV初感染の患者に対する48週間ARTは、疾患の進行を遅らせることを発見した。しかしその期間は、治療期間の48週よりも有意に長くはなかった。またART中断が臨床転帰に有害な影響を及ぼす証拠は認められなかった」と結論している。

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不足している医療従事者のラテックスアレルギーへの知識、手袋の適正使用ができた人はわずか1%

 英国・Salford Royal NHS Foundation TrustのF. Al-Niaimi氏らは、医療従事者のラテックスアレルギーについての知識、手袋の適正使用および予防についての評価を行った。その結果、手袋の適正使用が可能であったのはわずか1%であったなど、教育の重要性が浮き彫りになったという。Clinical and Experimental Dermatology誌2013年1月号(オンライン版2012年10月1日号)の掲載報告。 英国では2008年に王立内科医協会(Royal College of Physicians)が、ラテックスアレルギーに関する労働衛生介入について初となるエビデンスに基づくガイドラインを発行した。その中で、医療従事者がラテックスアレルギーの知識を有することの重要性が強調されている。 医療従事者と患者は、手袋やさまざまな医療製品を介して天然ゴムラテックス(NRL)に曝される頻度が多く、幅広い重症度のアレルギー反応を引き起こす可能性がある。 本研究では、ラテックス手袋とNRLアレルギー、ルーチン予防、患者ケアにおける手袋の適正使用に関する医療従事者の認識を評価することを目的とした。 評価は、大規模教育病院の医療従事者を対象に、標準的な質問票を用いて行われた。 主な内容は以下のとおり。・評価の対象となった医療従事者は156人であった。・特異的な処置場面で適切な手袋を使用することができた医療従事者は、わずか1%であった。・半数以上(74.53%)が、NRLによるI型アレルギーの発現を認識できていなかった。・156人のうち131人(84%)は、NRLアレルギーおよび臨床治療における手袋のタイプ別使用についてトレーニングを受けることが有益であると考えていた。・以上の結果から著者は、「医療従事者における手袋の適正使用とNRLアレルギーについての教育の重要性が示唆された。教育の促進にあたっては、皮膚科医が重要な役割を担わなければならない」とまとめている。

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肥満は腰椎椎間板ヘルニアの治療効果に影響するか?

 腰椎椎間板ヘルニアの治療効果に及ぼす肥満の影響について、米国・トーマスジェファーソン大学病院のJeffrey A. Rihn氏らによるThe Spine Patient Outcomes Research Trial(SPORT)の解析結果が発表された。肥満患者は、手術を行った場合でも保存的治療を行った場合でも、非肥満患者と比較すると臨床的な改善効果は低いことが明らかになった。一方で、手術的治療は肥満患者および非肥満患者のいずれに対しても同様に保存的治療を上回る恩恵をもたらすという。The Journal of Bone & Joint Surgery誌2013年1月2日号の掲載報告。 肥満が腰椎椎間板ヘルニアの治療効果に影響を及ぼすかどうかを評価するため、SPORT研究の被験者についてas-treated 解析(実際行われた治療に基づいた解析)を実施した。 BMI 30kg/m2未満を非肥満患者(854例)、BMI 30kg/m2以上を肥満患者(336例)として比較検討した。手術的治療群と保存的治療群とで、両患者別に主要評価項目および副次的評価項目の各評価時期におけるベースラインからの改善を算出した。 主な結果は以下のとおり。・主要評価項目の4年後におけるベースラインからの改善は、保存的治療群におけるSF-36 [身体の痛み]を除くすべてで、手術的治療群、保存的治療群のいずれにおいても肥満患者が非肥満患者より有意に低かった。 <手術的治療群>(肥満患者 vs. 非肥満患者)  SF-36 [身体機能]:37.3 vs. 47.7、p<0.001  SF-36 [身体の痛み]:44.2 vs. 50.0、p=0.005  Oswestry Disability Index:-33.7 vs. -40.1、p<0.001 <保存的治療群>(肥満患者 vs. 非肥満患者)  SF-36 [身体機能] :23.1 vs. 32.0、p<0.001  SF-36 [身体の痛み]:30.9 vs. 33.4、p=0.39  Oswestry Disability Index:-21.4 vs. -26.1、p<0.001・手術的治療群では、副次的評価項目である坐骨神経痛症状スコア(Sciatica Bothersomeness Index)および腰痛症状スコア(Low Back Pain Bothersomeness Index)の4年後におけるベースラインからの改善が、非肥満患者に比べ肥満患者で有意に低かった。しかし症状緩和に対する満足度および主観的改善率については、有意差を認めなかった。・4年後にフルタイムまたはパートタイムで仕事をしている患者の割合は、肥満患者77.5%、非肥満患者86.9%であった。・保存的治療群では、すべての副次的評価項目について肥満患者と非肥満患者とで有意差は観察されなかった。

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医療の価値とは何か、本当の競争とは何かを考える3時間!

11月10日(土)東京女子医科大学・河田町キャンパスにおいて山本雄士氏(株式会社ミナケア 代表取締役)主催による「山本雄士ゼミ」の第7回(後期第2回)が開催された。前半では、山本氏が邦訳を行った『医療戦略の本質』(日経BP社)を題材としてディスカッションを行い、後半ではケーススタディとして「西ドイツ頭痛センター」(『The West German Headache Center: Integrated Migraine Care』)のケースを題材にディスカッションを行った。山本雄士ゼミは、ハーバード・ビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得した山本氏をファシリテーターに迎え、ケーススタディを題材に医療の問題点や今後の取組みをディスカッションによって学んでいく毎月1回開催のゼミである。医療の価値とは何か?イントロダクションとして山本氏が、『医療の本質』の内容について概要を説明した。「現在は医療サービスが分断され、医療提供者側の論理だけで行われている。競争といっても同じ設備や同じ考え方では、競争が起ることは難しい」と説明した後、再度医療保険の三面構造(患者・支払側・提供者の関係)を詳しく解説、日本の国民皆保険だけでなく、海外の医療保険制度もレクチャーした上で、次の問題提起を行った。「あなたが、医療保険会社の社長だとして、収益を増やすために何をするか?」との山本氏からの問いかけに対し、ゼミ生からは次の様な回答が寄せられた。・近い将来疾病リスクのある人の除外(保険に加入させない)・支払いの項目の適正化(一定の上限や免責疾病事項を設ける)・病院の機能分化促進(病院へのアクセスの見直し)・医療サービスの単価の見直し(検査、手術の適正化)・保険料を上げる・加入者を増やすこれらの回答を踏まえた上で医療コストパフォーマンスの点に注目し、現在、医療経営や医療経済の世界に「HEOR(医療経済評価)」などの医療のアウトカムも含めた評価の実施しようという動きがある。アメリカでいうと、「現在は患者側と支払側で医療コストの押し付け合いの状況が続いていて、本当の意味での医療の価値を向上させる競争が起っていない(経済的な競争のみ)。本当の医療の価値すなわち、『コストあたりの健康上の成果』をきちんと訴求していくことが大事と本書では述べている」と解説した。「今後は、患者、提供側、支払い側の三者が意識変革をし、本当の意味での医療の価値での競争を考え、実行していくことが大切」と山本氏が述べ前半を終了した。ドイツ型改革を学ぶ!ケーススタディとして「西ドイツ頭痛センター」(『The West German Headache Center: Integrated Migraine Care』)を題材に、主に病院(提供者)と保険(支払い側)の関係について、ディスカッションを行った。「西ドイツ頭痛センター」(以下「WGHC」と略す)は、ドイツの医療保険制度改革を受けて、慢性疾患管理サービスを目的に生まれた医療施設である。WGHCは、エッセン大学付属病院の敷地内にあり、頭痛患者が必要とするサービス全般を提供している。頭痛に関する教育、入院、診療、慢性期のフォローなどの一連の流れを医師、看護師、理学療法士が診療チームとして提供する仕組みがあり、診療を受けた患者の約9割が診療に満足を示し、診療面では成功をしている。医療経営的には、当初1社のみの健康保険会社の保険料で採算割れだったが、後に複数の健康保険会社と契約を結ぶようになり改善傾向にある。はじめに山本氏より「WGHCの良い点・悪い点は何か?」という質問から始まり,現状を把握した上で,「頭痛診療は収益を生んでいるか?」と病院のシステムや収益に関しても,深く分析していった。次にドイツの大胆な医療保険改革について、被保険者、保険者、提供者の三面構造で考察。山本氏より「なぜ保険者や提供者は、他と差別化しないと生き残れないのか?」という問題に対し、ゼミ生からは、「良い競争が生れるから」や「被保険者より低コストで、良質なケアの提供が求められるから」などの回答がなされた。ここで山本氏のミニレクチャーとなり、「保険社間で競争が起これば(いい提供者を選ぶようになる)、被保険者は安くて良質なケアができる医療機関を選ぶようになり、医療の提供側も保険会社へのアピールのために、より質の高い医療を提供するようになる」という構造を押さえておく必要があると話した。ドイツでは、被保険者が自由に保険会社を選択できるようになった。その結果、被保険者がコストの低い医療ばかりを求め、保険者が支払いに疲弊し、これが原因で医療の質が低下しないように最小限の規制として保険料率の均てん化や保険会社への徴収強化や利益の再配分などの安全装置の施策が行われていると説明した。最後に、山本氏がまとめとして糖尿病患者を例にわが国の問題点を説明。日本の民間保険会社は、「病識のない患者予備軍」を将来の支払いコスト上昇を抑えるために、保険の加入には慎重な審査を課している。今後、「こうした患者群をどのように考え、公的私的保険を問わず加入させるのか、国民健康保険との開発も急がれる」と示唆を行い、ゼミを終えた。

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双極性障害とADHDは密接に関連している

 双極性障害は合併症を有する割合が高いことが報告されている。なかでもADHDでみられる多弁、注意欠陥、多動性などの症状が、双極性障害の症状と高率にオーバーラップしていることから、双極性障害とADHDの関連に注目が集まっている。トルコ・チャナッカレ・オンセキズ・マルト大学のElif Karaahmet氏らは、双極性障害における注意欠陥・多動性障害(ADHD)の合併頻度、ならびにADHD合併の有無による双極性障害の臨床的特徴の相違について検討した。その結果、双極性障害患者の約23%にADHDの合併が認められたこと、ADHD合併例では双極性障害の発症年齢が低く、躁病エピソードの回数が多くみられたことを報告した。Comprehensive Psychiatry誌オンライン版2013年1月7日号の掲載報告。双極性障害患者の23.3%に成人ADHD 本研究では、双極性障害におけるADHDの合併頻度、ならびにADHD合併患者の臨床的特徴を明らかにすることを目的に検討を行った。2008年8月1日から2009年6月30日までにゾングルダク・カラエルマス大学Research and Application病院の双極性障害ユニットを訪れ、DSM-IV 分類により双極性障害と診断された患者は142例であった。同意書にサインした118例のうち、試験を完了した90例を評価対象とした。試験に参加した全患者に、社会人口統計学評価票である「ウェンダー・ユタ評価尺度(Wender Utah Rating Scale;WURS)」、「成人ADD/ADHD Diagnostic and Evaluation Inventory」および「DSM-IV 第 I 軸障害構造化面接(Structural Clinical Interview for DSM-IV Axis I Disorders, Clinical Version;SCID-I)」を施行し、評価した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者の23.3%に成人ADHDが認められた。・成人ADHD合併の有無で、双極性障害患者の社会人口統計学的特性に相違はみられなかった。・成人ADHD合併患者は、成人ADHD非合併患者に比べて最低1年間留年している者が多く、その差は統計学的に有意であった。・成人ADHD合併群は、成人ADHD非合併群と比べて双極性障害発症年齢が有意に低く(p=0.044)、躁病エピソードの回数がより多かった(p=0.026)。・成人ADHD合併群ではパニック障害(p=0.019)が、小児ADHD合併群では強迫性障害(p=0.001)が最も高頻度にみられた。・双極性障害において成人ADHDは頻度の高い合併症であり、双極性障害の早期発症、多い躁病エピソード、Axis Iに分類されることなどと関連していた。

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ボツリヌス毒素の皮内注射、脂性肌改善に有用な可能性

 A型ボツリヌス毒素の額への皮内注射は、皮脂の過剰な分泌を有意に抑制し、患者の高い満足度を得られたことが、米国・ニューヨーク医科大学のAmy E. Rose氏らによる検討の結果、報告された。Dermatologic Surgery誌オンライン版2013年1月7日号の掲載報告。 本試験は、脂性肌治療のためのA型ボツリヌス毒素の皮内注射の有効性と安全性を評価することを目的に行われた。 脂性肌の患者の額にボツリヌス毒素を注射し、ベースラインと治療後の皮脂分泌(油分計にて測定)、写真、および患者満足度(治療による脂性肌改善に関する満足度の割合)を評価した。 主な内容は以下のとおり。・被験者は、25例であった。・ボツリヌス毒素の皮内注射後、1週および、1、2、3ヵ月時点に測定した油分計測定値は有意な低下が認められた(t検定p<0.001)。・患者満足度調査では、23例(91%)が、満足である(50~75%改善)と回答した。・以上の結果から、ボツリヌス毒素の皮内注射は、脂性肌の患者の皮脂分泌低下の治療として有効である可能性がある。この結論を裏付けるため、より大規模な試験、無作為化盲検プラセボ対照試験による検討が必要である。

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糖質制限食に警鐘?-20万人以上のメタアナリシスの結果がPLoS ONE誌に発表-

 血糖を上昇させる主たる栄養素は糖質であることから、糖質制限(低炭水化物)食が流行している。これまで糖質制限食が長期予後に及ぼす影響について不明であったが、糖質制限食が死亡リスクを上昇させる危険性を示唆するメタアナリシスの結果を国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科の能登洋氏らの研究グループがPLoS ONE誌に発表した。 能登氏らは2012年9月までに発表され、その中から該当した9件をメタアナリシスの対象とした。総死亡、心血管疾患死の解析対象例はそれぞれ227,216人、249,272人。総死亡者数は15,981人であり、糖質制限食により総死亡リスクは31%有意に増加した〔調整リスク比 1.31(95%信頼区間=1.08-1.59)、P=0.007〕心血管疾患死亡者数は3,214人であり、糖質制限群で10%増加したが、統計的有意差は認められなかった〔調整リスク比 1.10(95%信頼区間=0.98-1.24)、P=0.12〕。 世間では「糖質制限食」「糖質オフダイエット」など流行になっているが、本研究は長期的な視点で考えた場合、安易な糖質制限は死亡リスクを高める可能性があるという警鐘を鳴らしている。まずは患者さんの食事内容を把握することが肝要だ。 原著論文は下記よりPDFファイルでダウンロードできる。Low-Carbohydrate Diets and All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studieshttp://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0055030 論文が掲載される前に著者の能登氏に取材しているので、下記も合わせてご覧頂きたい。[関連コンテンツ]今、話題の糖質制限食は寿命を延ばすことができるのか?http://www.carenet.com/news/prognosis/carenet/33045

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難治性双極性障害患者への併用療法は?

 双極性障害に適応を有する薬剤はいくつか承認されているが、薬物治療に奏功しないケースも少なくない。A González Isasi氏らは、難治性双極性障害患者に対し、標準的薬物治療に心理療法や認知行動療法を併用することの有用性に関して、5年間の追跡調査を行い評価した。European psychiatry : the journal of the Association of European Psychiatrists誌オンライン版2012年12月28日号の報告。 対象は薬物治療を実施している双極性障害患者40例。対象患者を心理教育や認知行動療法を併用した併用群と薬物療法のみの対照群のいずれかに無作為に割り付けた。評価は、複数の時点で行った。分析には分散分析(ANOVA)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・治療後、すべての評価時点で両群間に有意な差が認められた。・12ヵ月後の評価時点において、併用群は対照群よりも入院イベントが少なかった(p=0.015)。・6ヵ月後、12ヵ月後、5年後の評価時点において、併用群は対照群よりも抑うつ症状、不安が少なかった〔各々、6ヵ月(p=0.006、p=0.019)、12ヵ月後(p=0.001、p

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降圧薬2剤併用にNSAIDsを追加併用、30日間は急性腎不全に注意が必要/BMJ

 利尿薬、ACE阻害薬あるいはARB、NSAIDsの組み合わせによる3剤併用制法は、急性腎不全リスクを増大することが、カナダ・Jewish General HospitalのFrancesco Lapi氏らによるコホート内症例対照研究の結果、報告された。リスクは、治療開始から30日間が最も強かったという。著者は、「降圧薬は心血管系にベネフィットをもたらすが、NSAIDsを同時併用する場合は十分に注意をしなければならない」と結論している。BMJ誌2013年1月12日号(オンライン版2012年12月18日号)掲載報告より。2剤併用とNSAIDsを追加した3剤併用療法の、急性腎不全リスク増大との関連を調査 研究グループは、降圧薬の利尿薬、ACE阻害薬あるいはARBの2剤併用療法に、NSAIDsを追加し3剤併用療法とした場合の、急性腎不全リスク増大との関連について調べた。 コホート内症例対照研究の手法を用いた後ろ向きコホート研究で、UK Clinical Practice Research DatalinkとHospital Episodes Statisticsデータベースから一般診療関連のデータを抽出して行われた。 主要評価項目は、直近の2剤または3剤併用療法との関連でみた急性腎不全の発生率[95%信頼区間(CI)]だった。3剤併用療法、開始後30日間の急性腎不全の補正後発生率比1.82 対象は、降圧薬を服用する48万7,372人であった。 平均追跡期間5.9年(SD 3.4)の間に、急性腎不全の発生が特定されたのは2,215件であった(発生率:7/1万人・年)。 全体として、利尿薬、ACE阻害薬、ARBのいずれかと、NSAIDsとの組み合わせによる2剤併用療法の利用者では、急性腎不全発生の増大はみられなかった。補正後発生率比は、利尿薬+NSAIDsは1.02(95%CI:0.81~1.28)、ACE阻害薬またはARB+NSAIDsは0.89(同:0.69~1.15)だった。 一方で、3剤併用療法の利用者では急性腎不全発生の増大がみられた。補正後発生率比は1.31(95%CI:1.12~1.53)だった。 また2次解析の結果、3剤併用療法で最も高率のリスクがみられたのは、使用開始後30日間だった。同期間の補正後発生率比は1.82(95%CI:1.35~2.46)だった(31~60日:1.63、61~90日:1.56、≧90日:1.01。またNSAIDs半減期別では、<12時間:1.29、≧12時間:1.77)。

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メディケアプランの5つ星評価、加入動機に反映されているのか?/JAMA

 米国のメディケア・メディケイドサービスセンターは、Medicare Advantage(民間保険会社がサービスを代行運営するプラン、通称:メディケアパートC)加入の判断指標とするために、5つ星評価プログラムを実施している。これまで同評価が加入者の判断指標として反映されているのかは調べられていなかったことから、同センターのRachel O. Reid氏らが調査を行った。JAMA誌2013年1月16日号掲載より。2011年の5つ星評価と加入者動向との関連を調査 Reid氏らが調査したのは、2011年にMAPD(Medicare Advantageと処方給付保険のメディケアパートDの統合)に関して行った5つ星評価の結果と加入との関連についてであった。 5つ星評価は、Healthcare Effectiveness Data、Information Set quality measures、Consumer Assessment of Healthcare Providers、Systems surveys、the Health of Seniors surveyなどのデータを組み込んで行われており、2011年のMAPD評価は2.5~5星にわたったという。 本研究では、それら5つ星評価と加入者(新規加入95万2,352人とプラン切り換え加入者32万2,699人)との関連について検討された。分析は、条件付き(加入者・プラン特性を調整)ロジット回帰モデルで分析にて行われた。星が上がることに、また最高評価が付いているものを選択している傾向がみられる 結果、新規加入者では、星が1ランクあがることに、加入傾向は9.5ポイント(95%信頼区間:9.3~9.6)上昇する傾向が認められた。最高評価が付いているサービスについては、1.9ポイント(同:1.8~2.1)上昇する傾向がみられた。 プラン切り換え加入者では、星が1ランクあがることに、加入傾向は4.4ポイント(同:4.2~4.7)上昇する傾向が認められた。以前の加入プランよりも高い評価が付いているプランへの加入の傾向は6.3ポイント(同:6.0~6.6)の上昇がみられた。 星の評価との関連は、黒人、地方在住、低収入、年齢階層で最も若いという加入者特性では、それほど強くなかった。 これらの結果を踏まえて著者は、「5つ星評価と加入決定との関連はポジティブであることが認められた」と結論している。

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アリピプラゾールの聴覚認知機能改善に対する影響は?

 これまでに、認知障害は統合失調症の中心的な症状とみなされ、認知機能は症状レベルよりも機能性アウトカムの、より良好な予測因子であることは明らかであった。また、聴覚認知機能の早期異常には、ミスマッチ陰性電位(MMN)が関連することがわかっていた。中国・南京医科大学のZhenhe Zhou氏らは、これまで明らかになっていなかった統合失調症患者におけるMMNへのアリピプラゾールの効果について検討した。PLoS Oneオンライン版2013年1月号の掲載報告。 対象は、統合失調症患者26例と対照群26例。ベースラインおよびアリピプラゾール治療開始後4週、8週時点における精神病理学的評価をPANSSを用いて行った。事象関連電位(ERP)の評価は、聴覚刺激100ミリ秒/1,000Hzを標準刺激とし、100ミリ秒/1,500Hzを頻度逸脱(frequency)刺激、250ミリ秒/1,000Hzを持続期間逸脱(duration)刺激として行われた。脳波(EGG)は正中前頭部(Fz)で記録し、データ解析にはBESA 5.1.8が用いられた。MMN波形の評価は、frequencyあるいはduration刺激波形から標準波形を減算し行われた。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾール治療は、すべてのPANSSスコアを改善させた。・ベースラインにおいて患者群は対照群よりも、frequencyおよびduration MMNの平均振幅が小さかった。・セッション(ベースライン、4週、8週時点など)およびMMNタイプ(frequency対duration)を被験者内要因として行ったrepeated measure ANOVAの結果、MMN振幅に対するMMNタイプまたはMMNタイプ×セッション効果の有意性は示されなかった。一方で、セッション効果のみでは有意性が認められた。・またLSD検定にて、8週時点とベースラインおよび4週時点とのMMN振幅の有意差を調べた。・ベースラインおよび各評価時点において、frequencyおよびduration MMN振幅の変化とPANSS総スコアの変化との間に、有意な逆相関の関連が認められた。・以上の結果から、アリピプラゾールはMMN振幅を改善する。またMMNは、アリピプラゾール治療が統合失調症における前注意障害(preattentive deficits)を改善するという客観的なエビデンスを提供する。関連医療ニュース ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か? ・認知機能への影響は抗精神病薬間で差があるか? ・PETでみるアリピプラゾール薬理作用「なぜ、EPSが少ないのか」

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ベーチェット病、治療薬開発に光 ―横浜市立大学―

 横浜市立大学の石ヶ坪良明氏の研究グループは、ベーチェット病の疾患関連遺伝子と発症機序を発見したとして、2013年1月6日付のNature Genetics誌オンライン版に発表した。 ベーチェット病はぶどう膜炎、皮疹、口腔・陰部潰瘍など全身に発作的な炎症を繰り返す難治性疾患である。本邦における患者数は2010年3月末時点で、17,290人。発症には遺伝素因と環境因子の両方が重要と考えられており、最も強力な遺伝素因としてヒト白血球抗原HLA-B*51(HLA-Class Iの1つ)が知られているが、詳細な発症機序は不明であった。 研究グループは、米国国立衛生研究所とイスタンブール大学(トルコ)と共同で、患者2,650人を含む日本人・トルコ人約5千人のゲノムワイド関連解析を実施。その結果、CCR1、STAT4、KLRC4、ERAP1の4つの関連遺伝子を同定した。 通常は異なる染色体上に存在する遺伝子間に相関は認められないが、ERAP1とHLA-B*51両者の素因を持つと発症リスクが相乗的に上昇していた。ERAP1は小胞体に存在し、HLA-Class Iに乗せるためにペプチドを短くする働きがあることから、ペプチドのヒト白血球抗原への提示過程がベーチェット病ではきわめて重要であるとしている。 研究グループは、今回発見された遺伝子やERAP1を介したヒト白血球抗原への提示プロセスを標的とした、より副作用の少ない疾患特異的治療薬の開発につながると期待を寄せている。

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【CASE REPORT】非器質的疼痛とオピオイド治療 症例経過

運動器慢性疼痛の分類通常、器質的な「痛み」は侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛に分類され、それ以外のものはしばしば心因性疼痛と分類される。心因性疼痛の定義は明確でなく、器質的疼痛でないものの中に機能性疼痛症候群、中枢機能障害性疼痛と心因性疼痛などが存在するという考え方を提唱するものもある(図1)。機能性疼痛症候群は、King's College LondonのSimon Wesselyが提唱した機能性身体症候群(Functional Somatic Syndrome :FSS)という概念に含まれるものである。FSSは諸検査で器質的あるいは特異的な病理所見を明らかにできない持続的で特徴的な身体愁訴を呈する症候群で、それを苦痛と感じて日常生活に支障を来しているために、さまざまな診療科を受診する。愁訴としては「さまざまな部位の痛み」「種々の臓器系の症状」「倦怠感や疲労感」が多く、代表例として過敏性腸症候群、慢性疲労症候群、線維筋痛症、脳脊髄液減少症、間質性膀胱炎、慢性骨盤痛などがある。FSSの病態のうち、不安、痛み、睡眠、食欲などの症状に脳内の神経伝達物質が関与していると考えられている。これらの中で中枢機能障害性疼痛(central dysfunctional pain)は痛みを主訴とするものであり、線維筋痛症はその代表例である。また整形外科で時々遭遇する術後疼痛症候群は、「痛み」の原因を特定することが難しい。痛みの機序には「侵害受容性疼痛」「神経障害性疼痛」「中枢機能障害性疼痛(機能性疼痛症候群)」のように分類されるが、ヒトの「痛み」はあくまで主観的なものであり、完全に分類することができるわけではない。さらに、ほとんどの痛みはこれらが複雑に絡み合った混合性疼痛であると考えられる。痛みに含まれるこれらの構成要素のバランスを考えることは、痛みの治療選択の大きな助けになる1)。画像を拡大する不適切なオピオイド処方例症例経過37歳女性 肩腱板断裂手術後難治性疼痛転倒し発症した肩腱板断裂に対して肩関節鏡視下に腱板縫合術が行われた。術後肩関節周囲部痛が出現し、肩の可動域訓練が行えなかった。再度、肩関節の手術が行われたが、疼痛は変わらなかった。その後CRPS(複合性局所疼痛症候群)を疑い、術後難治性疼痛と診断され、NSAIDsにて効果が無かったことからオピオイドであるププレノルフィン貼付薬(商品名:ノルスパンテープ)5mgの投与が開始された。しかし、効果が無かったことから同剤が20mgまで増量された。その後も鎮痛効果が認められないため、当科を紹介受診した。肩関節の専門医の診察でも肩関節周囲部痛を説明できる器質的疾患は認められなかった。また、本人の申告では患側の上肢はまったく使用できず、常に三角巾にて固定が必要ということであったが、筋萎縮、骨萎縮は認められず、交感神経の異常を示唆する皮膚温・発汗・皮膚のツルゴール・皮膚色の異常を認めなかった。骨シンチでも異常を認めなかった。厚生労働省CRPS判定指標2)では、CRPSの診断には至らなかった。当院では、「痛み」の原因が器質的疼痛(侵害受容性疼痛および神経障害性疼痛)ではなく、心因性疼痛、機能性疼痛、中枢機能障害性疼痛を含めた非器質的疼痛と判断した。よって、ププレノルフィン貼付薬は不適切と判断し、1週間毎に15mg、10mg、5mg、0mgと減量した。さらに、「痛み」を受容しながら運動療法を行うための認知行動療法的アプローチを行った。当院での診察の経過中に精神疾患罹患があることが判明した。ププレノルフィン貼付薬を減量しても疼痛は変化しなかったが、認知行動療法的アプローチを導入したことで運動療法、可動域訓練が行えるようになり、患側上肢が日常生活動作で使用できるようになり、肩関節の可動域もほぼ正常化した。参考文献1)三木健司ほか.Practice of Pain Management.2012;3: 240-247. 2)住谷昌彦ほか.Anesthesia 21 Century.2008;10: 1935-1940.症例解説へ >>

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統合失調症患者の再発を予測することは可能か?

 統合失調症は再発を繰り返すことで重症化する。もし、再発を予期することができれば、重症化を防ぐことが可能かもしれない。フランス・エクス=マルセイユ大学のLaurent Boyer氏らは、自己報告式健康状態調査票(SF36)やQOLI(Quality of Life Interview)により評価したQOLで統合失調症患者の再発を予測できるかどうかを検討した。BMC psychiatry誌2013年1月9日号の報告。 フランス、ドイツ、イギリス(European Schizophrenia Cohort:EuroSC)で実施した多施設コホート研究のデータを利用した。Cox比例ハザードモデルを実施し、ベースラインのQOLと24ヵ月間の再発との関連を推定した(年齢、性別、PANSS、GAF、薬物治療、副作用、コンプライアンスの程度で調整)。 主な結果は以下のとおり。・1,024例中、期間中に少なくとも1回の再発が認められた患者は540例(53%)、再発が認められなかった患者484例(47%)であった。・QOLレベルは再発を予測する最も重要な特徴であった。・QOLレベルが高いと24ヵ月後の再発率が低下することが予測できた。SF36身体関連スコア:HR=0.82(0.74~0.91)、p

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子どもの母斑をダーモスコピーで見分けるコツ

 米国・ニュージャージー医科歯科大学のElena C. Haliasos氏らは、小児皮膚科医のためのダーモスコピー上のメラノサイト系病変所見の特徴に関するレビュー論文を発表した。小児のメラノサイト系病変は、本人および両親、医師に不安を喚起することがある。Haliasos氏らは、小児の母斑についてダーモスコープでみられる良性パターンと、メラノーマのダーモスコピー上の10の最も頻度の高い構造について考察した。Pediatr Dermatology誌オンライン版2012年12月18日号の掲載報告。 メラノサイト系母斑は、青色母斑、Spitz母斑、先天性および後天性母斑など種々の病変を含む。これらの母斑は、時にメラノーマ様の臨床形態学的特徴を呈している可能性があり、小児におけるそのような母斑の存在は、本人および両親、医師に不安を引き起こす。 ダーモスコピーは、メラノーマの高い診断精度を有し、母斑との区別に有用であることが示されており、生検を行うべきかの意思決定プロセスの最終的な判断材料となる。またダーモスコピーは、小児のメラノサイト系病変の評価において、無痛性であること、また適正な治療判断をもたらす重大情報を医師に提供するという点で、パーフェクトな器具である。 本レビューでは、母斑で認められる最も頻度の高いダーモスコピー上の良性母斑パターンを明確にするとともに、10の最も頻度の高いメラノーマ構造について考察した。 主な内容は以下のとおり。・ダーモスコピー上で良性パターンを呈し、メラノーマに特異的な構造を有していなければ、その母斑は切除する必要はなく、安全に経過観察が可能である。・対照的に、メラノーマなら、良性母斑パターンがみられることが常になく、メラノーマに特異的な次の10の構造のうち少なくとも1つを呈する所見が認められる。「非対称性の網目状組織(atypical network)」「暗褐色の網目状組織(negative network)」「線条(streaks)」「結晶構造(crystalline structures)」「均一でない小点・小球(atypical dots and globules)」「不揃いの斑点(irregular blotch)」「青白色ベール(blue-white veil)」「自然消褪構造(regression structures)」「辺縁のブラウン色構造領域(peripheral brown structureless areas)」「非定型の血管構造(atypical vessels)」。・幼児期のメラノーマは通常、臨床的ABCD特色を呈しないという事実を認識していることが重要である。それよりも、多くの場合は、対称性で、メラニン色素がなく、結節状の病変である。・臨床的印象は警告されない可能性があるが、ダーモスコピーによって、メラノーマには常に少なくとも1つの特異的な構造が認められる可能性があり、その最も頻度の高い所見は、非定型の血管構造と結晶構造である。

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うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」

 うつ病では悲哀感、希望喪失、易刺激性、身体機能障害などの特徴がみられ、数週間にわたり重症の症状を呈する。また、気分変調症は軽度の抑うつ気分が漫然と続いた状態である。うつ病の治療には、精神療法、薬物療法、光線療法などがあるが、これまでの臨床的および経験的エビデンスから、適切な食事が抑うつ症状を軽減しうることが示唆されている。オランダ領アンティル・Saint James School of MedicineのFaisal Shabbir氏らは、食事が抑うつに及ぼす影響について考察した。神経伝達物質であるセロトニンの低下はうつ病の一因であるが、セロトニンの前駆体であるトリプトファンを多く含む食事の摂取が抑うつ症状の軽減に有用であることを示唆した。Neurochemistry international誌オンライン版2013年1月7日号の報告。トリプトファンの含有量が少ない食事を摂取しているとうつに陥る可能性 トリプトファンを多く含む食事が抑うつ症状の軽減に有用であることを示唆した主な知見は以下のとおり。・脳内で合成される神経伝達物質のセロトニン(5-HT)は、気分緩和、満足感、睡眠の調節などに重要な役割を果たしている。5-HTを多く含む果物や野菜があるが、血液脳関門の存在により5-HTは中枢神経系に容易に到達できない。しかしながら、5-HTの前駆体であるトリプトファンは容易に血液脳関門を通過できる。・トリプトファンは、ビタミンB6誘導体であるピリドキサールリン酸存在下で、トリプトファンハイドロキシダーゼおよび5-HTPデカルボキシラーゼにより5-HTに変換される。・タンパク質の多い食品であっても、必須アミノ酸は体内でつくることができないため、トリプトファンの含有量が少ない食事を摂取しているとうつに陥る可能性がある。・たとえば月経前後の女性、心的外傷後ストレス障害、慢性疼痛、がん、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存など、うつに陥りやすい状況にある患者ではトリプトファンを多く含む食事の摂取が重要である。・中枢神経におけるトリプトファンのバイオアベイラビリティは炭水化物の欲求に関連するが、炭水化物を多く含む食事はインスリン反応の引き金となりトリプトファンのバイオアベイラビリティを高める。・セロトニン再取り込み阻害薬は(SSRI)は、抑うつ症状を呈する肥満患者に処方されるが、これらの患者ではセロトニン濃度が厳格に調節されず、モノアミンオキシダーゼ阻害薬と併用した際には生命を脅かす有害事象が発現する可能性がある。しかし、トリプトファンを多く含む適切な食事を摂取することでセロトニン合成が調節されうる。・以上より、さまざまな神経変性疾患で観察される抑うつ症状に対し、セロトニン神経伝達を助ける上でトリプトファンを多く含む食事とビタミンB6は臨床的に重要と言える。ただし、うつに対するセロトニン神経伝達を修飾する薬理学的介入は、従来と変わらず臨床的に重要な事項である。また、うつの病態にはその他にもいくつかの分子メカニズムが関わっている可能性がある。関連医療ニュース ・うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効? ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 ・認知症の進行予防に有効か?「ビタミンE」

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高齢者介護ロボット、認知症対応でも効果を発揮できる?

ニュージーランド・オークランド大学のHayley Robinson氏らは、新たに開発されている高齢者介護ロボット「Guide robot」について、すでに介護ロボットとして成功しているアザラシ型「パロ」との比較で、認知症高齢者および介護スタッフへの適合性について調査した。その結果、認知症高齢者介護ロボットはシンプルかつ刺激的で楽しさをもたらしてくれるものでなければならないなど、改善のための示唆が得られたことを報告した。また本検討では、「パロ」の改善すべき点も明らかになったという。Journal of American Medical Directors Association誌2013年1月14日号の掲載報告。 断面調査の手法にて行われた本検討は、オークランドの認定認知症介護施設で、入居者と、その家族介護者、施設スタッフを対象として行われた。「Guide robot」と「パロ」とのふれあいについてビデオテープで録画し、入居者が両ロボットを見た回数、微笑んだ回数、触れた回数、話しかけた回数、および話題にした回数を調べた。また自由回答による定性分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・調査対象者は、認知症入居者10人、家族介護者11人、スタッフ5人であった。・入居者は、「Guide robot」よりも「パロ」のほうに微笑み、触れ、話しかけた回数が有意に多かった。・「パロ」は、家族介護者、スタッフそして入居者の認容性(acceptable)が高かった。一方で「Guide robot」については、多くの人が、認知症集団に対応するための人間工学的要素、および単純さを備えていれば有用な可能性はあると認識していることが判明した。・以上のように調査の結果、認知症対応のヘルスケアロボットは、刺激に富み楽しいものであると同時に、単純かつ使いやすいものでなければならないことが明らかとなった。・本研究により、高齢者介護ロボットが認知症対応で最も効果を発揮できる仕様が明確になった。・「パロ」については、認知症集団の受け入れを高めるために、音声の修正が必要であると結論される。・「Guide robot」については人間工学的設計を見直し、ソフトウエアアプリケーションを簡便化し認知症を有する人向けのものにしなければならないことが明らかとなった。関連医療ニュース ・認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は? ・認知症患者へタブレットPC導入、その影響は? ・重度の認知障害を有する高齢者、視力検査は行うべき?

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睡眠障害と皮膚疾患、夜間のひっかき行動は睡眠ステージと関連

 カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のMadhulika A. Gupta氏らは、Clinics in Dermatology誌2013年1月号特集「Psychodermatology」に、「睡眠障害と皮膚疾患」と題するレビュー論文を寄稿した。睡眠は、人の一生のうち約3分の1を占める生命活動だが、睡眠中の皮膚疾患に関する研究はほとんど発表されていない。しかし皮膚疾患による睡眠の乱れが、患者のQOLやメンタルヘルスに有意な影響を及ぼす可能性があり、また場合によっては症状の増悪に通じる可能性があると、本主題の重要性を提起している。 Gupta氏は、臨床における睡眠と皮膚疾患の関連について、次の5つを示し、これらは皮膚疾患治療に重大な影響を及ぼすと述べている。(1)正常な睡眠生理(体温調節、中心体温調節、睡眠の開始など)における皮膚の役割(2)内因性サーカディアンリズムと末梢性サーカディアン“振動子”の皮膚症状への影響(たとえば、炎症性皮膚症患者の夕刻時に最低血中濃度となるコルチゾールレベルにより、夕刻と夜間にかゆみが増大する傾向がみられることなど)(3)かゆみ、多汗症、体温調節の異常といった症状による、本人および家族の睡眠や睡眠関連QOLへの影響(4)不眠症や睡眠時無呼吸、睡眠妨害、サーカディアン障害といった主要な睡眠障害の、皮膚疾患への考えられる影響(たとえば、睡眠時無呼吸での睡眠からの中枢神経系の覚醒は交感神経を活性化し、炎症に結びつくなど)(5)ストレスや精神的障害を伴う一部の皮膚疾患の共存症[たとえば、睡眠関連の主訴と関連している大うつ病や注意欠陥多動性障害(ADHD)] その上で、アトピー性皮膚炎患者の睡眠障害について次のような考察を行っている。・不眠が、アトピー性皮膚炎におけるADHD様症状の病因に関与している可能性がある。・睡眠中のひっかき行動は、各睡眠ステージの間の交感神経活動と関連している可能性があり、通常、ノンレム睡眠ステージ1および2(より深い睡眠ステージであるステージ3、4と比べて)で、最も頻繁に起きている。また、レム睡眠でも頻繁に起きている(ひっかき行動の重症度はステージ2と同程度)。・アトピー性皮膚炎の患者および両親の、夜間のかゆみやひっかき行動の自己申告は概して、ひっかき行動の客観的尺度と関連しない。

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統合失調症の重症度・社会性の低下は、海馬体積の減少と関連

 統合失調症において海馬体積の減少は高い頻度で報告されているが、疾患への影響(とくに臨床面、心理社会面にどれほど影響するのか)については依然として十分に明らかとなっていなかった。イタリア・ウーディネ大学のP. Brambilla氏らは、統合失調症患者における症状重症度と社会性の低下は、海馬体積の減少と関連している可能性があることを、三次元マッピング研究の結果より、報告した。British Journal of Psychiatry誌2013年1月号の掲載報告。 研究グループは海馬の神経解剖学的差異を、3次元(3D)コンピュータ画像解析を用いて調べることを目的とした。高解像度MRIと表面モデリングによる3Dマッピングにて、成人の統合失調症患者群と健常者対照群の海馬プロファイルの違いを調べた。海馬の3Dパラメトリック・メッシュモデルを手動トレースにて作成し、回帰モデルにてラジアル距離にみる診断尺度を、また色分布図を作成し関連プロファイルを評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、統合失調症群67例、健常者対照群72例であった。・海馬のラジアル距離について、両群間の差異は検出できなかった。・しかし統合失調症群において、両側性にみられた体積減少が症状重症度(期間、陽性または陰性の症状について)の増大、および社会性の低下(教育レベル、QOL、健康状態)と関連していることが示された(Bonferroni補正後)。・以上の結果から、統合失調症における症状重症度および社会性の低下が、海馬体積の減少と関連している可能性が認められた。・画像診断尺度はアウトカム不良の構造的サインとして、サブグループ(海馬体積の減少を食い止める特異的治療を要する可能性がある患者)を特定するのに役立つ可能性がある。関連医療ニュース ・グルタミン酸ドパミンD3受容体遮断による統合失調症の新たな創薬の可能性 ・統合失調症患者におけるフィルター障害のメカニズムを解明 ・検証!統合失調症患者の体重増加と遺伝子との関連

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双極性障害患者の長期健康状態の独立予測因子は肥満!

 双極性障害において、肥満が内科的、精神科的負担を増大させるというエビデンスが横断的研究で多く示されている。しかし、双極性障害と肥満の関係を検証する縦断的研究はほとんど行われていなかった。カナダ・トロント大学のBenjamin I Goldstein氏らは、肥満と双極性障害との関連を3年間にわたり検討した。その結果、肥満は双極性障害患者の長期的な健康状態を予測する独立した因子であり、肥満の治療は双極性障害患者の内科的、精神科的負担の軽減につながる可能性が示唆されたことを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2013年1月3日号の掲載報告。 研究は、アルコールおよび関連障害全国疫学調査(National Epidemiologic Survey on Alcohol and Related Conditions)の第1期および第2期の調査を完了した双極性障害患者1,600例を対象に、3年間にわたる肥満と双極性障害との関連を調べた。第1期の調査データを基に双極性障害と肥満との関連を検討したほか、第1期と第2期の間における双極性障害、精神科合併症、内科合併症の経過を検討した。 主な結果は以下のとおり。・肥満のある双極性障害患者(506例、29.43%)は、肥満のない双極性障害患者(1,094例、70.57%)と比べ、1)大うつ病エピソードの発現、2)うつ病に対するカウンセリング、3)自殺企図の報告、が有意に多かった。・肥満のある双極性障害患者は肥満のない双極性障害患者と比べ、アルコール使用障害の新規発症が有意に少なかった。・ベースラインの患者特性で調整した後、肥満の有無によるこれらの差は有意でなくなった。・新たなエピソードの発症、躁病/軽躁病の治療において有意な差はみられなかった。・患者特性で調整した後でも、内科合併症の新規発症[オッズ比(OR):2.32、95%信頼区間(CI):1.63~3.30]、高血圧の新規発症(OR:1.81、95%CI:1.16~2.82)、関節炎の発症(OR:1.64、95%CI:1.07~2.52)に関しては、肥満患者で有意に多かった。・肥満患者では、糖尿病(OR:6.98、95%CI:4.27~11.40)、脂質異常症(同:2.32、1.63~3.30)(第2期のみにおいて評価)と診断・報告された者が有意に多かった。・統計学的に有意ではなかったが、肥満患者では心臓発作の発生頻度が2倍であった。・肥満と将来的なうつ増加との関連は、ベースラインの患者特性に左右されると考えられた。関連医療ニュース ・抗精神病薬誘発性の体重増加に「NRI+ベタヒスチン」 ・双極性障害の再発予防に対し、認知療法は有効か? ・第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は・・・

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