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冠動脈石灰化スコア、密度スコアを加えることでリスク予測能上昇/JAMA

 冠動脈石灰化(CAC)容積スコアと冠動脈性心疾患・心血管疾患イベントリスクには正の関連が、またCAC密度スコアと同イベントリスクにはCAC容積値とは独立した有意な負の相関関係があることが明らかにされた。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のMichael H. Criqui氏らが、約3,400例の観察試験被験者データを分析し明らかにした。CT測定のCACは、心血管疾患発生予測について高い適中率を有する。標準的なAgatstonスコアでは、カルシウム密度と正の相関があるとしているが、いくつかのデータにおいて、プラークのカルシウム密度上昇は心血管疾患に保護的に寄与する可能性があることが示唆されていた。JAMA誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。CAC容積スコア、1SD増大で冠動脈性心疾患・心血管疾患リスクは1.68~1.81倍に 研究グループは、アテローム性動脈硬化症に関する、多施設共同前向き観察試験、「MESA」試験の被験者3,398例について、CACスコアと冠動脈性心疾患・心血管疾患リスクの関連を分析した。被験者は45~84歳で、ベースライン時には心血管疾患は認められなかった。 追跡期間の中央値は7.6年で、その間に発生した冠動脈性心疾患イベントは175件、心血管疾患イベントは265件だった。 多変量解析の結果、CAC容積スコアと冠動脈性心疾患イベントリスクとの間には正の相関関係があり、同スコアが1標準偏差(=1.6)増大することによるハザード比は1.81(95%信頼区間[CI]:1.47~2.23)であることが示された。絶対リスク増加は6.1/1,000人年だった。 また心血管疾患イベントについては、同スコア1標準偏差増大のハザード比は1.68(同:1.42~1.98)で、絶対リスク増加は7.9/1,000人年だった。CAC密度スコア、1SD増大で冠動脈性心疾患・心血管疾患リスクは0.7倍に 一方、CAC密度スコアと冠動脈性心疾患・心血管疾患イベントの間には負の相関関係が認められた。同スコアが1標準偏差(=0.7)増大することによる冠動脈性心疾患イベント発生のハザード比は0.73(同:0.58~0.91)であり、絶対リスク減少は5.5/1,000人年だった。 心血管疾患イベントについては、同スコア1標準偏差増大のハザード比は0.71(同:0.60~0.85)、絶対リスク減少は8.2/1,000人年だった。 ROC曲線下面積(AUC)分析の結果、冠動脈性心疾患と心血管疾患の両者について、容積スコアを含むモデルに密度スコアを加えることで、リスクの予測は有意に改善することが示された。中等度の心血管疾患リスク群において、イベントに対するAUCは0.53(95%CI:0.48~0.59)から0.59(同:0.54~0.64)に増大した(p=0.02)。 上記を踏まえて著者は、「CAC密度の役割を見直して、現在のCACスコアシステムの評価に盛り込むべきである」と提言している。

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統合失調症の実行機能障害に関与する遺伝子を発見:獨協医大

 統合失調症と関連していることが知られているHPS4遺伝子は、臨床症状にどのように関連しているのか。獨協医科大学の倉冨 剛氏らは、統合失調症の実行機能障害に、HPS4遺伝子が関与していることを初めて明らかにした。また同遺伝子は、健常対照では作業記憶に関与していた。結果を受けて著者は、「動物モデルを用いたさらなる研究により、高次脳機能におけるHPS4が果たす役割を明らかにする必要がある」と述べている。(HPS4遺伝子:Hermansky-Pudlak症候群type 4遺伝子)BMC Psychiatry誌オンライン版2013年10月30日号の掲載報告。 研究グループは本検討において、HPS4と統合失調症患者または健常対照の認知機能との関連、また統合失調症患者の臨床プロフィールとの関連について調べることを目的とした。HPS4遺伝子多型と日本人の統合失調症患者の臨床症状および認知機能との関連を、SNPやhaplotype-based線形回帰分析法を用いて調べた。健常対照についても同遺伝子との関連を調べた。具体的には、HPS4の5つのtagging SNP(rs4822724、rs61276843、rs9608491、rs713998、rs2014410)と、それらの2~5のhaplotype遺伝子座を調べた。認知機能は、統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)を用いて評価し、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた症状の評価も行われた。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、統合失調症患者240例(男性139例、平均年齢48±12歳)、適合健常対照者240例(同:143例、48±13.0歳)であった。・統合失調症患者において、rs713998が実行機能と有意に関連していた(dominant genetic modelにおいてp=0.0073)。・健常被験者において、ワーキングメモリと2つの個別SNP(rs9608491、rs713998)の有意な関連がみられた(recessive modelにおいてそれぞれp=0.001、p=0.0065)。また、2つのhaplotype遺伝子座(rs9608491-713998、rs61276843-9608491-713998)の有意な関連もみられた(それぞれp=0.0025、p=0.0064)。・HPS4遺伝子のSNPとPANSSスコアあるいは発病前IQ(日本版National Adult Reading Testで測定)との間に、有意な関連はみられなかった。関連医療ニュース 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定:理化学研究所 統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学 新知見!慢性期統合失調症患者では意志作用感が減退:慶応義塾大学

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セックスが苦痛に…分娩による肛門括約筋損傷

 分娩時の肛門括約筋損傷(OASI)により持続的な便失禁を認める女性は、大半が性機能障害を抱えていることがオランダ・VU 大学医療センターのA.P.Visscher氏らによる研究で明らかになった。また、内部・外部両方の肛門括約筋裂傷をもつ症例は、外部のみの例よりも便失禁の重症度が高く、肛門の圧力値も低かった。女性たちの今後の人生を考えると、これらの症状の緩和を念頭に置いて治療を行う必要がある。International Urogynecology Journal誌2013年11月7日号の報告。 本研究の目的は、分娩による重症度3のOASI患者における肛門括約筋形成術後の肛門機能の変化を評価することであった。 重症度3a、3b、3cのOASIのために持続的な便失禁(FI)を抱える女性を対象に、1998年から2008年まで記述式の後ろ向き横断的研究を実施した。肛門括約筋形成術から3ヵ月後に肛門内圧測定と超音波内視鏡検査を実施し、直腸肛門機能評価(AFE)を行った。2011年に、便失禁(Vaizey/Wexner)、尿失禁(尿失禁症状・QOL評価質問票:ICIQ-SF)、性機能(女性性機能指数:FSFI)、QOL(36項目健康調査:Rand-36)についてアンケートを行い、再度AFEを受けるか尋ねた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップは平均5.0年であった。・66例がAFEを受け、そのうち40例(61%)が便失禁と尿失禁に関するアンケートに回答した。・便失禁の有病率は、放屁63%、液状便50%、固形便20%であった。・40例中32例がQOLと性機能のアンケートにも回答した。性機能不全は回答した女性の大半が抱えており、OASIの重症度が高いほど顕著であった(カットオフ値26.55)。・40例中16例は、再度AFEを受けた。・内部・外部両方の肛門括約筋裂傷を抱える6例は、外部のみの10例より便失禁の重症度が高く(p<0.050)、肛門の圧力値も低かった(p=0.040)。

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有酸素運動が喘息における白血球を不活性化

 アレルギー性喘息のマウスモデルにおいて、有酸素運動が気管支周辺の白血球を不活性化し、気道炎症やTh2反応を抑制することが、ブラジル・サンパウロのNove de Julho大学のRicardo P. Vieira氏らにより報告された。International Journal of Sports Medicine誌オンライン版2013年11月20日の掲載報告。 白血球は喘息の生理病態学において中心的な役割を果たしており、有酸素運動が喘息により気道に集まる白血球を減少させることが知られている。しかしながら、喘息における白血球活性に対する有酸素運動の効果については、明らかになっていない部分もある。 そこで、気道炎症、肺や全身のTh2サイトカインレベル、炎症促進性・抗炎症性の白血球発現、線維化促進性のメディエーター、酸化体や抗酸化メディエーターに対する有酸素運動の効果を4週にわたり、喘息のマウスによる実験で調査した。 主な結果は以下のとおり。有酸素運動は・気管支肺胞洗浄液中のIL-4、IL-5、IL-13と血清中のIL-5を有意に減少させた(それぞれ、p<0.001)。・気管支肺胞洗浄液中と血清中のIL-10を有意に増加させた(p<0.001)。・白血球の活性化を抑制し、下記項目を有意に減少させた。  Th2サイトカイン(IL-4, IL-5, IL-13; p<0.001)  ケモカイン(CCL5, CCL10; p<0.001)  接着分子(VCAM-1, ICAM-1; p<0.05)  活性酸素種、活性窒素種(GP91phox and 3-nitrotyrosine; p<0.001)  誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS; p<0.001)  核内因子kB (NF-kB; p<0.001) ・抗炎症サイトカインであるIL-10の発現を有意に増加させた(p<0.001)。・増殖因子の発現を減少させた(TGF-beta, IGF-1, VEGF and EGFr; p<0.001)。

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乳酸桿菌やビフィズス菌による抗菌薬関連下痢症の予防効果―長い論争に結論は見えるのか―(コメンテーター:吉田 敦 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(152)より-

抗菌薬投与後に生じる抗菌薬関連下痢症(Antibiotic-associated diarrhea:AAD)、およびその多くを占めるクロストリジウム・ディフィシル感染症(Clostridium difficile infection:CDI)の予防や治療に、微生物製剤(整腸薬、プロバイオティクス)が有効であるかについては、長く研究が行われてきた。微生物製剤も、乳酸桿菌Lactobacillus、ビフィズス菌Bifidobacterium、腸球菌Enterococcus、非病原性酵母であるサッカロミセスSaccharomycesなど多菌種にわたっており、成績はさまざまで、有効性については意見が分かれていた。 今回英国でAADに対する乳酸桿菌とビフィズス菌の複合製剤の予防効果が、二重盲検プラセボ対照無作為化試験によって調査された(PLACIDE試験)。本研究は、参加5施設で経口または静注抗菌薬の投与を受けた65歳以上の入院患者を対象としている。抗菌薬を開始する際、あるいは抗菌薬の開始から7日以内に、複合製剤かプラセボを無作為に割り付け、投与を開始した。なお複合製剤中にはL. acidophilusの2種、B. bifidum、B. lactisが合計6×1010個含まれており、これを1日1回21日間続行した。また、すでに下痢を生じている患者や、先行する3ヵ月以内にCDIを発症した患者、炎症性腸疾患の患者などは除外し、8週以内のAADまたは12週以内のCDIの発症を主要評価項目とした。 結果として、2008年から2012年までに2,941例が登録され、微生物製剤群に1,470例[年齢中央値77.2歳、男性52.9%、過去8週以内の入院33.2%]が、プラセボ群に1,471例(77.0歳、46.2%、30.5%)が割り付けられた。使用された抗菌薬は、ペニシリン系が両群で約72%、セファロスポリン系が約24%であった。CDIを含むAADの発症率は、微生物製剤群が10.8%(159例)、プラセボ群が10.4%(153例)であり、両群に差は認めなかった(相対リスク:1.04、95%信頼区間:0.84~1.28、p=0.71)。なおCDIは、AADの原因としては頻度が低く、微生物製剤群で12例(全体の0.8%)、プラセボ群で17例(全体の1.2%)であった。微生物製剤投与に関連した重篤な有害事象はみられなかったが、経過観察中に呼吸器・胸部・縦隔疾患が両群の約5%、消化器疾患が約3%、心疾患が2~3%にみられた。 本研究で著者らは、乳酸桿菌とビフィズス菌の複合製剤によるAAD/CDIの予防効果のエビデンスは得られなかったとし、今後臨床試験を進めるには、AADの病態生理の理解を深めることが必須であると指摘している。AAD/CDIは、広域抗菌薬を処方されている高齢者で発生頻度が最も高いため、現実的に最も罹患しやすい集団で多数の患者を対象に盲検対照試験が実施でき、結果を得たという点で、今回のPLACIDE試験は大きな意義を持つものであるといえる。 ただし先行抗菌薬としてキノロン系が比較的少なく(約12%)、CDIが低率であったことは、両群でAADの発生率を低くした可能性がある。現在英国を含む海外では、キノロン耐性の高病原性株によるCDIの発症が多い状況にある。CDIに対する微生物製剤の効果についてまとめたメタアナリシスでは、微生物製剤群でCDIは66%まで減少した(相対危険度0.34)というが1)、65歳以上に絞った場合の効果については信頼できるデータはさらに少なくなってしまう。 広域抗菌薬の処方が多く、CDIの発生率が比較的高いと予想される本邦で、微生物製剤によるCDIの予防効果を本研究から結論づけることは難しいかもしれない。高齢者のCDIに対する予防効果の評価には改めて、(1) CDI罹患率を重視した母集団の選定、(2) 用いる微生物製剤の選択、(3) CDIを生じたC.difficile株の解析と明示、(4) 先行抗菌薬の内訳、が重要になると考える。

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うつ病から双極性障害へ転換するリスク因子は

 単極性精神病性うつ病(PD)は双極性障害(BD)に転換するリスクが高いとされるが、その転換は治療選択に関わる重要な事項である。そこで、デンマーク・オールボー大学病院のSoren Dinesen Ostergaard氏らは、PDがBDに転換するリスク因子を明らかにするため、住民ベースのヒストリカル前向きコホート研究を行った。その結果、有意な因子として、PDの早期発症、うつ再発、独居、障害年金受給、最高レベルの専門教育、短期高等教育、中期高等教育などがあり、なかでも学歴の関与が大きいことが示唆されたことを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2013年11月12日号の掲載報告。  1995年1月1日~2007年12月31日に、ICD-10によりPDと診断されDanish Central Psychiatric Research Registerに登録された患者について、BD発症または死亡、あるいは追跡不能となるまで、もしくは2007年12月31日まで追跡した。さまざまなDanish registersで明らかにされている、BDへ転換する可能性が高いリスク因子に関して多重ロジスティック回帰分析を用いて検討し、補正後オッズ比(AOR)を求めた。 主な結果は以下のとおり。・PD患者8,588例が特定され、そのうち609例(7.1%)が追跡期間中にBDを発症した。・PDからBDへの転換と有意に関連していた因子は以下のとおりであった。「PDの早期発症」AOR:0.99(/年齢増加)、p=0.044「うつ再発」AOR:1.02(/エピソード)、p=0.036「独居」AOR:1.29、p=0.007「障害年金受給」AOR:1.55、p<0.001「最高レベルの専門教育」AOR:1.55、p<0.001「短期高等教育」AOR:2.65、p<0.001「中期高等教育」AOR:1.75、p<0.001関連医療ニュース 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か 双極性障害の治療アドヒアランスを改善するには? うつ病患者の予後を予測するセロトニン関連遺伝子多型

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難治性にきびへのイソトレチノイン、やはり高用量がよい?

 難治性ざ瘡患者に対するイソトレチノイン(国内未承認)治療について、累積投与量(220mg/kg未満または以上)をベースとした高用量治療群と低用量治療群の患者について比較検討した結果、高用量のほうが有意に有効で、有害事象を増大することなく再発を抑制することが示された。米国・ノースカロライナ大学のRachel C. Blasiak氏らが、前向き観察介入試験の結果、報告した。JAMA Dermatology誌オンライン版2013年10月30日号の掲載報告。イソトレチノイン220mg/kg以上投与患者で再発リスクが有意に減少 イソトレチノインは、最も有効なざ瘡治療薬であるが、理想的な投薬方法は明らかではない。 研究グループは本試験において、累積投与量が高値の患者におけるざ瘡の再発およびイソトレチノイン再治療の発生割合と、副作用プロファイルの変化について調べることを目的とした。 試験は2008年8月1日~2010年8月31日まで、3次医療を提供する大学病院で複数の医療従事者の協力を得て行われた。 患者へのイソトレチノイン治療は、医師の判断に基づき行われ、評価は、累積投与量に基づき2群(220mg/kg未満群または以上群)に分類されて行われた。 主要評価項目は、12ヵ月時点のフォローアップにおける再発率(イソトレチノイン治療コース後の局所または経口のざ瘡治療薬による治療が行われていた割合)または再治療率(イソトレチノインによる再治療が行われていた割合)、および12ヵ月間の治療の間または治療後に患者が経験した副作用であった。 イソトレチノイン治療の累積投与量の主な評価は以下のとおり。・試験に登録されたのは、合計180例のほかの治療が無効のざ瘡患者であった。そのうち116例(64.4%)が12ヵ月時点のフォローアップを受けた。・12ヵ月時点で、患者の97.4%が「にきびが改善した」と報告した。・全体では12ヵ月時点の再発率は32.7%、再治療率は1.72%であった。・イソトレチノイン低用量治療群では、再発率は47.4%(95%信頼区間[CI]:32.3~63.0%)であったのに対し、イソトレチノイン高用量治療群は26.9%(同:18.3~37.8%)であった(p=0.03)。・両群におけるほぼ100%の患者が、治療期間中に口唇炎と乾皮症を呈した。・イソトレチノイン高用量治療群では皮膚炎が認められた患者の頻度が有意に高かった(53.8%対31.6%、p=0.02)。・そのほかの副作用は、両群間で有意差は認められなかった。・著者は、「本試験において投与されたイソトレチノイン量は、先行試験で使用されたものよりもかなり高値なものであった」と述べたうえで、イソトレチノイン治療完了後1年時点において、220mg/kg以上の投与を受けた患者のほうが、再発リスクが有意に減少したことが判明したことを報告した。また、高用量治療群で治療中にみられた唯一の副作用は発疹であったことも報告した。・以上を踏まえて著者は、「今回の試験の結果は、イソトレチノインによるざ瘡治療は、高用量のほうが有意な有効性を示し、副作用を増大することなく再発を抑制することを示すものである」と結論している。

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新規ソホスブビル+レジパスビル合剤、遺伝子1型HCV治療に有望/Lancet

 C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型の大半の患者は、治療歴や代償性肝硬変の有無にかかわらず、新規合剤[ヌクレオチドポリメラーゼ阻害薬ソホスブビル+HCV NS5A阻害薬レジパスビル(ledipasvir)]単独または+リバビリン併用による治療が有効である可能性が報告された。米国・テキサス大学のEric Lawitz氏らによる、非盲検無作為化第2相試験LONESTARの結果、示された。インターフェロンベースの治療は、精神疾患があったり有害イベントの負荷が高いため、HCV患者の多くについて適していない。研究グループは、インターフェロンを使わない新規開発の合剤の有効性と安全性について評価を行った。Lancet誌オンライン版2013年11月5日号掲載の報告より。患者100例について層別化のうえ、合剤単独、リバビリン併用の5レジメンについて検討 試験は、遺伝子型1型のHCVで未治療またはプロテアーゼ阻害薬レジメンによる治療歴のある患者について、ソホスブビル(400mg)+レジパスビル(90mg)の合剤単独療法およびリバビリン併用療法の有効性と安全性を評価することを目的とし、2012年11月2日~12月21日の間に米国の単施設にて、18歳以上患者100例を登録して行われた。 Aコホートでは、60例の患者(非硬化、未治療)をHCV遺伝子型で層別化したうえで(1a対1b)、合剤単独8週間治療群(第1グループ)、合剤+リバビリン併用8週間治療群(第2グループ)、または合剤単独12週間群(第3グループ)に無作為に割り付けた。 Bコホートでは、40例の患者(既治療失敗、22例[55%]が代償性肝硬変)を遺伝子型および肝硬変有無別に層別化したうえで、合剤単独12週間治療群(第4グループ)、合剤+リバビリン併用12週間治療群(第5グループ)に無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、intention to treat解析による、治療後12週時点の持続性ウイルス学的著効(SVR 12)だった。SVR 12達成率は95~100% Aコホートにおいて、SVR 12達成率は、第1グループ19/20例・95%(95%信頼区間[CI]:75~100)、第2グループ21/21例・100%(同:84~100)、第3グループ18/19例・95%(同:74~100)だった。 Bコホートでは、第4グループ18/19例・95%(同:74~100)、第5グループ21/21例・100%(同:84~100)だった。 ウイルス再燃を呈したのは2例だった。1例の患者は、治療後8週時点でSVR達成をしたのち追跡不能となった。 最も頻度の高い有害事象は、悪心、貧血、上気道感染症、頭痛であった。 第5グループのうち1例の患者が、重篤な有害イベントとして貧血を呈した。リバビリン治療と関連すると思われるものであった。 著者は、さらなる臨床試験にて、治療期間の検討を行うとともに、リバビリン併用の寄与について検討する必要があると述べている。

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軽~中等症アトピー治療にピメクロリムスの選択肢も

 ドイツ・ミュンスター大学のThomas Luger氏らは、アトピー性皮膚炎(AD)に対するピメクロリムス1%クリーム(国内未承認)の公表された臨床データのレビューを行った。その結果、小児および成人の軽症~中等症ADの治療において、とくに敏感肌の部分について、ピメクロリムスは治療選択薬の一つとなりうる可能性があることを報告した。European Journal of Dermatology誌オンライン版2013年11月4日号の掲載報告。 ピメクロリムス1%クリームは、ADに有効な非ステロイド局所抗炎症治療薬だが、研究グループは、AD患者の医療ニーズに、ピメクロリムスはどのように当てはまるのか、レコメンデーションを明らかにすることを目的にレビューを行った。 主な所見は以下のとおり。・臨床試験において、ピメクロリムスを早期に用いることが病状再燃への進行を抑制し、迅速にかゆみを改善し、QOLを有意に高めることが実証されていた。・患者は、塗布が容易な薬剤を求めていた。そしてそのことが治療アドヒアランスを改善することに結びついていた。・局所ステロイド薬とは対照的に、ピメクロリムスは皮膚萎縮や表皮バリア機能障害を引き起こさず、敏感肌のAD治療において高い有効性を示した。・また、ピメクロリムスは局所ステロイド薬と比べて皮膚感染症を抑制し、そのほかのステロイド関連の副作用(皮膚線条、末梢血管拡張、視床下部・下垂体・副腎系抑制など)がなかった。・さらに、ピメクロリムスには、相当量のステロイド用量減量効果があることが、付加的ベネフィットとして示された。・著者は、「これらのデータに基づき、軽症~中等症のAD患者(疾患徴候や症状が軽症ADと確認された患者)の新たな治療アルゴリズムとして、ピメクロリムスは第一選択薬として推奨される」、また「局所ステロイド薬の治療後の軽症~中等症ADに対してもピメクロリムスは推奨される」と提案した。・そのほかにも、病変消退後のピメクロリムスによる維持療法は、病状再燃予防に効果がある可能性も示唆されていた。・以上を踏まえ著者は、「ピメクロリムスの臨床プロファイルは、小児および成人の軽症~中等症AD(とくに敏感肌部分)の第一選択薬となりうる可能性を示唆していた」と結論している。

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統合失調症の再発予防プログラムを日本人で検証:千葉大学

 統合失調症の再発予防プログラムとして開発されたITAREPS(Information Technology Aided Relapse Prevention Programme in Schizophrenia)は、非常に効果的であると報告されている。しかし、その効果は利用者のプログラムに対するアドヒアランスの影響を受けており、正確な効果やITAREPSの貢献度に関しては不明確な部分があった。千葉大学の小松 英樹氏らは、このような影響因子を排除したうえで、ITAREPSの有用性評価を行った。Schizophrenia research誌2013年10月号の報告。 著者らは、訪問看護サービスによる方法を考案し、無作為化比較試験を行った。対象とした統合失調症外来患者を、ITAREPS群22例と対照群23例に無作為に割り付け、12ヵ月間観察を行った。 主な結果は以下のとおり。・ITAREPS群では再入院リスクが減少した(ITAREPS群2回[9.1%]vs. 対照群8回[34.8%]、ハザード比:0.21 [95%CI:0.04~0.99]、p=0.049、NNT=4 [95%CI:2.1~35.5])。・1回当たりの平均在院日数は、対照群(88.8日)と比較しITAREPS群(18.5日)で有意に少なかった(p=0.036)。・ITAREPS群では対照群と比較し、再発したうち入院に至った患者の比率は有意に低く(p=0.035)、再発時のBPRSスコアのベースラインからの平均変化量も有意に低かった(p=0.019)。・以上の結果より著者らは、「ITAREPSは再発予防効果が高く、再発の徴候を検出することができ、またその際には投薬を増量するなどの対処ができることから、再発の初期段階での有用な介入方法である」と結論付けた。関連医療ニュース 統合失調症患者の再発を予測することは可能か 統合失調症“再発”の危険因子は うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学

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腎除神経術の降圧効果は3年間持続、しかし降圧薬使用量の減少はみられず(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(148)より-

利尿薬を含む3剤以上の降圧薬を使用しているにも関わらず収縮期血圧が160mmHg以上の、いわゆる“治療抵抗性高血圧”に対する、腎除神経術(RND)3年間の追跡結果である。 RNDの効果は一過性であるとの見方もあったが、結果的には降圧効果は3年後にも持続することが確認されたという点で意義のある論文といえる。また、経年的に降圧効果が増強していく傾向も認められている点や、腎機能、年齢に関わりなく降圧効果が持続することも確認されている。さらに手技にともなう有害事象も少ないことも証明されたと報告している。 本報告は、試験可能であった150例のうち、途中で試験完遂した35例、データ欠落や脱落の27例などは当然除かれており、3年間追跡しえた88例のみでの分析であることは、留意しておく必要がある。 また、降圧薬の使用量がRND後経年的に増えているのも気になる。術前に適切な治療が行われていたのか否かも問題となる。とくに本研究は、スポンサーであるMedtronic社がデータ収集と解析を行っている点も気になる点である。 しかし、これらのlimitationを考慮しても、RNDが治療抵抗性高血圧患者に対して福音であることはまちがいないであろうが、わが国ではなかなか治験が進行していないようである。その理由として、わが国のような家庭血圧や24時間血圧の臨床応用が進んでいる国では、本当の意味での治療抵抗性患者がそれほど多くないか、あるいはいたとしてもすでに腎機能が悪化しており、RND適応基準を満たさなくなっている症例が多いのではないかと推測される。※コメントの一部に誤りがありましたので訂正します。関係者にお詫び申し上げます。

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やはり女の子にとってアトピーは大問題:健康関連QOLに及ぼす影響

 アトピー性皮膚炎を有する思春期前(9~12歳)の女児では、主観的健康感が損なわれている一方、男児ではその影響が見られなかったことが、スウェーデン・カロリンスカ環境医学研究所のNatalia Ballardini氏らにより調査、報告された。Acta dermato-venereologica誌オンライン版2013年10月24日掲載の報告。 試験の目的は、アトピー性皮膚炎が健康関連QOLに及ぼす影響を調査することであった。対象は、住民ベースの出生コホート研究「BAMSE」に登録された、思春期前の小児2,756人であった。すべての小児が主観的健康感に関する3つの質問に回答した。質問内容は、(1)気分はどうか、(2)自分自身をどのくらい健康だと思っているか、(3)今の自分の生活にどのくらい満足しているか、であった。また、アトピー性皮膚炎を有する小児は、小児皮膚疾患QOL評価尺度(CDLQI)にも回答した。 主な結果は以下のとおり。・アトピー性皮膚炎を有する小児は350例(12.7%)で、平均CDLQI値は3.98(95%信頼区間:3.37~4.58)であった。・アトピー性皮膚炎を有する女児では、主観的健康感が損なわれていた。3つの質問の補正後オッズ比はそれぞれ、(1)1.72(95%CI:1.16~2.55)、(2)1.89(95%CI:1.29~2.76)、(3)1.69(95%CI:1.18~2.42)であった。・一方で、アトピー性皮膚炎を有する男児では、主観的健康感への影響が見られなかった。 著者は、「思春期前の女児の20%近くがアトピー性皮膚炎に罹患するため、これらの結果は、医療提供者および社会全体にとっても意味がある」と述べている。

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クローン病と歯周炎のカンケイ

 炎症性腸疾患(IBD)、とくにクローン病における肛門部病変は、歯周炎と関連があることがスイス・チューリッヒ大学病院のStephan R Vavricka氏らによる症例対照研究で明らかになった。IBDの治療においては、口腔の炎症にも焦点を当てた治療戦略を立てるべきであると考えられる。Inflammatory bowel diseases誌オンライン版2013年11月7日号の報告。 IBD、とくにクローン病の患者においては、しばしば口腔に悪影響が及ぶ。歯周炎は、全身性の自己免疫疾患や炎症性疾患に影響を与えると考えられている。本研究では、歯周炎/歯肉炎マーカーとIBDの関連について分析した。 IBD患者113例(クローン病69例、潰瘍性大腸炎44例)に対し歯科検診を行い、患者背景についても記録した。歯周炎マーカーは、プロービング※1時の出血、アタッチメントロス※2、歯周ポケットの深さ※3から評価した。歯肉炎マーカーは、乳頭部出血指数(PBI)から評価した。目に見える口腔内の病変についても、カルテに記載した。健常人113人を対照群とし、8ヵ月間前向きに比較検討した。 主な結果は以下のとおり。・歯肉炎マーカー、歯周炎マーカーを認めた症例数は、対照群よりもIBD群で多かった。・単変量解析とロジスティック回帰分析の結果、クローン病の肛門部病変は歯周炎のリスク因子であった。・禁煙は、歯周炎のリスクを減少させた。・歯周炎と患者の重症度(血便や腹痛の程度)に明確な関連は認められなかった。・クローン病のみのサブグループでは、患者の症状が重いほど(Harvey-Bradshaw index > 10)、歯周炎マーカーのひとつである、歯周ポケット最深部位におけるアタッチメントロスと関連していた。・歯周炎・歯肉炎以外の口腔病変は、IBD患者の約10%で認められた。※1:歯周病の検査に使われるプローブ(探針)で歯肉辺縁からポケット底までの深さを測定すること※2:歯の頭と根の境目の部分からポケット底までの距離が深くなっていること(歯肉上皮とセメント質の付着喪失)※3:歯肉辺縁から接合上皮の最根尖側端の深さ

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うつ病患者啓発ビデオ、うつ病患者以外に薬剤処方のリスク/JAMA

 プライマリ・ケアでうつ病との付き合い方を紹介する患者啓発ビデオ(depression engagement video:DEV)や、個別双方向マルチメディアコンピュータプログラム(tailored interactive multimedia computer program:IMCP)を用いることは、非うつ病患者への抗うつ薬処方増大の要因になっている可能性が排除できないことが、米国・カリフォルニア大学デービス校のRichard L. Kravitz氏らによる無作為化試験の結果、報告された。プライマリ・ケア患者にうつ病との付き合い方を示唆することは、アウトカムを改善する可能性があると同時に、不要な治療にも結びつく可能性が指摘されていた。JAMA誌2013年11月6日号掲載の報告より。プライマリ・ケア7施設で、ビデオ、個別プログラム、対照を提供する無作為化試験 研究グループは、DEVや個別IMCPが、対照(睡眠衛生ビデオ視聴)と比較して、不必要な抗うつ薬処方を増大することなく、初期うつ病ケアを改善するかを確認することを目的とした無作為化試験を行った。 試験は、2010年6月~2012年7月にカリフォルニア州にあるプライマリ・ケア7施設において行われた。被験者は、135人のプライマリ・ケア医が治療にあたっていた成人患者925例で、そのうちPatient Health Questionnaire-9(PHQ-9)スコアで定義されたうつ病患者は603例、非うつ病患者は322例だった。 DEVは、マーケティング会社と協力して製作されたもので、性別と収入で異なる4パターンが作られた。IMCPは、試験研究者によって開発され、たとえば「PHQ-9スコアが5以上の人はうつ病の可能性があるので医師に相談することを勧めます」など、患者個々の特性に答えるよう設計されたプログラムであった。 主要アウトカムは、うつ病患者については、患者の報告に基づく抗うつ薬処方または精神科医受診、あるいは両方の複合とした。副次アウトカムは、フォローアップ12週時点のPHQ-8を用いたうつ病の程度であった。一方、非うつ病患者については、医師および患者の報告に基づく抗うつ薬処方に関する非劣性(マージン3.5%)を主要アウトカムとして評価した。解析は、集団を補正して行われた。抗うつ薬処方は増大、12週時点のメンタルヘルスへの影響はみられず 925例のうち、主要解析には867例(うつ病559例、非うつ病308例)が組み込まれた。 結果、うつ病患者において、主要アウトカムを報告した患者はDEV群17.5%、IMCP群26%、対照群16.3%だった。平均ポイント格差(PPD)はDEV群 vs. 対照群は1.1(95%信頼区間[CI]:-6.7~8.9、p=0.79)、IMCP群 vs. 対照群は9.9(同:1.6~18.2、p=0.02)だった。 12週時点のPHQ-8測定によるうつ病スコアに、影響はみられなかった(DEV群 vs. 対照群のPPD:-0.2、95%CI:-1.2~0.8/同IMCP群 vs. 対照群:0.9、-0.1~1.9)。 非うつ病患者について、抗うつ薬を処方したというDEV群およびIMCP群の医師の報告は、対照群と比べていずれも非劣性が認められた(DEV群 vs. 対照群のPPD:-2.2、90%CI:-8.0~3.49、非劣性のp=0.0499/同IMCP群 vs. 対照群:-3.3、-9.1~2.4、p=0.02)。しかし、患者報告では非劣性が認められなかった(DEV群 vs. 対照群のPPD:0.9、90%CI:-4.9~6.7、非劣性のp=0.23/同IMCP群 vs. 対照群:0.3、-5.1~5.7、p=0.16)。 著者は、「個別IMCPは、うつ病患者における、抗うつ薬処方または精神科医受診あるいは両方を増大するが、12週時点のメンタルヘルスに効果は認められなかった。また、IMCPとDEVは、患者報告に基づく解析の結果では、非うつ病患者における抗うつ薬処方を増大する可能性が排除できなかった」と結論している。

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出生後1年間の抗菌薬暴露が小児期~若年成人期の湿疹に影響

 出生後1年の間に抗菌薬に曝露された小児は、0~25歳時に湿疹を有するリスクが1.4倍高く、出生前の胎児期の曝露よりも湿疹を呈する頻度が高いことが明らかにされた。英国・Guy's and St Thomas' Hospital NHS財団トラストのT. Tsakok氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。これまで先行研究の多くで、誕生後間もない時期に抗菌薬に曝露されると、湿疹を呈するリスクが高まることが示唆されていた。British Journal of Dermatology誌2013年11月号の掲載報告。 研究グループは、先行研究で示唆された、抗菌薬曝露と湿疹リスクの増大について、胎児期の曝露または生後12ヵ月間での曝露について調べることを目的に、本検討を行った。 レビューは、両期間の曝露が、0~25歳の小児期~若年成人期にもたらす影響について評価していた観察研究を対象に行った。 主な結果は以下のとおり。・検索にて選定した20試験について、抗菌薬の出生前および出生後曝露と、湿疹発生との関連を調べた。・出生後の抗菌薬治療と湿疹発生との関連を評価していた試験は17件あった。それらのプールオッズ比(OR)は、1.41(95%信頼区間[CI]:1.30~1.53)であった。・追跡調査にて検討していた10試験のプールORは、1.40(95%CI:1.19~1.64)であった。それに対して、断面調査にて検討していた7件のプールORは、1.43(同:1.36~1.51)であった。・出生後の曝露には、有意な用量反応関係が認められた。・出生後1年の間に抗菌薬投与を受けるたびに、湿疹リスクは7%上昇することが示された(プールOR:1.07、95%CI:1.02~1.11)。・出産前の抗菌薬曝露と湿疹発生との関連を評価していた試験は4件で、プールORは1.30(95%CI:0.86~1.95)であった。・上記の結果を踏まえて著者は、「抗菌薬の曝露が、出生前ではなく出生後の1年間にあるほうが、湿疹を有する小児の頻度は高いと結論する」とまとめている。

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CKDでも、RA系阻害薬にBeyond Blood Pressure Lowering効果は認められない。(コメンテーター:石上 友章 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(146)より-

これまでの多くの基礎研究の成果から、RA系阻害薬には、他のクラスの降圧薬にはないextraordinaryな効果があるとされてきた。 ARBを対象にしたKyoto Heart Studyや、Jikei Heart Studyなどの日本発臨床研究は、このような基礎研究の成果によって導かれたConceptを証明する、いわばProof Of Conceptとなる研究であり、その意味で画期的であったが、データ改ざんによる不正によって論文撤回という事態を招いてしまった。 臨床研究であっても、基礎研究であっても、『RA系阻害薬に降圧を超えた効果があるか?』というClinical Questionに対する答えが複数存在するわけではない。基礎研究であるならば、対象となる実験動物特有のヒトと異なる生物学的背景(マウスには、レニンが複数存在するものもあり、I型アンジオテンシン受容体は2種類あるなど、必ずしもヒトと同一のRA系ではない)であったり、人為的な実験条件による結果のバイアスがもたらした誤った結論である可能性も無視はできない。 EBMでは、エビデンスのピラミッドとして一次文献、二次文献に階層的な地位を与えている。ランダム化比較試験の結果はEBMの最も重要な一次文献であるが、一次文献を集めたメタ解析、システマチック・レビューの結果が、より上位のエビデンスと考えられている。 BPLTTC(Blood Pressure Lowering Treatment Trialist Collaboration)は、WHOとISHという公的な団体が、降圧薬の薬効に関して、中立な立場から研究・解析を行ったメタ解析である1)。これまでに、ACE阻害薬とARBについて、虚血性心疾患をエンドポイントにして、降圧効果と心血管イベント抑制効果の違いを明らかにする成果を上げている2)。BPLTTCによる解析の精度を示すエピソードとして、ONTARGET研究の結果が両薬剤の回帰直線上にプロットされることがあげられ、BPLTTCによる解析がランダム化比較試験の結果を予測しうる精度をもっていると考えられる。 今回の研究は、BPLTTCグループのオーストラリア・シドニー大学のV Perkovic氏らによる、CKDに対する降圧薬の効果についてのメタ解析である。結果は、降圧による心血管イベント抑制効果を支持したが、降圧薬のクラスエフェクトは認められなかった。 CKD診療のミッションは、『心血管イベント抑制』と『腎保護』の両立にある。『腎保護』について、直近のVA NEPHRON-D研究の結果だけでなく、多くの研究がRA系阻害薬の限界を明らかにしている3)。降圧だけが治療の選択肢ではないが、『腎保護』に対する降圧の有効性について、BPLTTCによる質の高いメタ解析が待たれる。

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薬剤溶出ステント:ステントによる差はあるか?/Lancet

 第三世代の薬剤溶出ステントである、ゾタロリムス溶出ステントとエベロリムス溶出ステントについて検討した非劣性試験の結果、両ステントの有効性および安全性は同程度であることが明らかにされた。オランダ・Medisch Spectrum TwenteのClemens von Birgelen氏らによる無作為化単盲検多施設共同非劣性試験「DUTCH PEERS」の結果、示されたもので、著者は「いずれも優れた臨床アウトカムをもたらすものである」と結論している。Lancet誌オンライン版2013年10月31日号掲載の報告より。オランダ4施設で被験者を募り非劣性試験を実施 第三世代の新しい永久ポリマーの薬剤溶出ステントは、前世代ステントよりも柔軟である点が複雑冠動脈病変への薬剤溶出を容易とする可能性があるが、耐久性について懸念されていた。 DUTCH PEERSは、臨床で使用される頻度が高い2つの第三世代ステントの留置を受けた全患者を対象に、安全性と有効性を評価することを目的とした試験であった。検討の対象となったステントはこれまでに比較検討されたことがなく、無作為化試験での評価が行われていなかった。 試験は、薬剤溶出ステント留置を有する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を必要とした18歳以上の患者で、オランダ国内4施設で被験者を募り行われた。 試験に用いられたステントは、コバルトクロム製のゾタロリムス溶出ステント(米国メドトロニック社製「リゾリュートインテグリティ」)と、プラチナクロム製のエベロリムス溶出ステント(米国ボストン・サイエンティフィック社製「プロマス・エレメント」)であった。 被験者は無作為に1対1の割合でいずれかのステント留置を受けるよう割り付けられた。その際、患者と試験結果の分析者は割り付け情報をマスキングされたが、治療の担当医には割り付け情報が知らされていた。 主要エンドポイントは、標的血管障害の12ヵ月時点の安全性(心臓死または標的血管関連の心筋梗塞)と有効性(標的血管再血行術)の複合とした。解析は、intention-to-treatにて行い、非劣性マージンは3.6%だった。ステントの長期変形はエベロリムス群のみで発生 2010年11月25日~2012年5月24日の間に、適格患者1,811例・標的病変2,371個が試験に登録された。試験期間中に、ST上昇型心筋梗塞を呈した患者は370例(20%)、非ST上昇型心筋梗塞例は447例(25%)であった。 ゾタロリムス群(906例)、エベロリムス群(905例)いずれの患者も、割り付けられた試験薬以外の治療が必要となった患者が非常に少なく(ゾタロリムス群6例[1%]vs. エベロリムス群5例[1%]、p=0.22)、ステントデリバリーが良好であることが示された。 12ヵ月のフォローアップのデータは、ゾタロリムス群で割り付け治療の同意を翻した1例分を除く1.810例から入手できた。 主要エンドポイントを呈したのは、ゾタロリムス群55/905例(6%)、エベロリムス群47/905例(5%)で、ゾタロリムス溶出ステントはエベロリムス溶出ステントに非劣性であることが示された(絶対リスク差:0.88%、95%信頼区間:-1.24~3.01%、95%CIの一方の上限値:2.69%、非劣性のp=0.006)。 主要エンドポイントの各要素について、両群間で有意差はみられなかった。また、確認されたステント血栓症は、ゾタロリムス群3例(0.3%)、エベロリムス群6例(0.7%)で有意差はなかった(p=0.34)。 ステントの長期変形は、エベロリムス群でのみ認められ、9/905例(1.0%)、これに対しゾタロリムス群は0/906例で有意差がみられた(p=0.002)。埋込件数でみるとエベロリムス群の発生は9/1,591例(0.6%)だった。ただし、関連するいかなる有害事象も認められなかった。 以上の結果から著者は、「とりわけ急性心筋梗塞の患者数の多さを鑑みると、両ステントは同程度に有効で安全であり、優れた臨床アウトカムをもたらすものであった」と結論している。

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重症市中肺炎における肺炎球菌性の菌血症を予測できるか

 菌血症を伴う肺炎球菌性肺炎(BPP)患者では、プロカルシトニン(PCT)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、乳酸、CRPが有意に高くなることが示され、なかでも、PCTは肺炎球菌性の菌血症を同定するのに最も優れていることが、ポルトガル・セントロ病院集中治療部のJose Manuel Pereira氏らにより報告された。  とくに血清PCT値が17ng/mLより低ければ、重症市中肺炎であっても、肺炎球菌性の菌血症ではない可能性が高いことにも言及している。Journal of critical care誌2013年12月号の掲載報告。 本研究は、重症市中肺炎(Severe Community-Acquired Pneumonia:SCAP)患者における肺炎球菌性の菌血症のバイオマーカーの役割を評価することを目的とした、単施設前向き観察コホート研究である。 対象は、ポルトガル・セントロ病院の集中治療部に搬送された重症市中肺炎患者108例。白血球、CRP、乳酸、PCT、D-dimer、BNP、コルチゾールを抗菌薬の初回投与後、12時間以内に測定した。 主な結果は以下のとおり。・15例(14%)が菌血症を伴う肺炎球菌性肺炎(BPP)であった。BPPの患者は、それ以外の患者と比べて・CRPの中央値が有意に高い水準にあった(301 [四分位範囲IQR:230~350] mg/L vs 201 [IQR:103~299] mg/L;p=0.023)・PCTの中央値が有意に高い水準にあった(40 [IQR:25~102] ng/mL vs 8 [IQR:2~26] ng/mL;p<0.001)・BNPの中央値が有意に高い水準にあった(568 [IQR:478~2841] pg/mL vs 407 [IQR:175~989] pg/mL;p=0.027)・乳酸の中央値が有意に高い水準にあった(5.5 [IQR:4.5~9.8] mmol/L vs 3.1 [IQR:1.9~6.2] mmol/L;p=0.009)・ROC曲線下面積(the area under the receiver operating characteristic curve:aROC)より評価した識別力でみると、PCT [aROC, 0.79] が他のマーカーと比べて優れていた(乳酸 [aROC, 0.71] 、BNP [aROC, 0.67]、CRP [aROC, 0.70])。・PCTの17ng/mLのカットオフ値における感度は87%で特異度は67%であった。・PCTの肺炎球菌性の菌血症のバイオマーカーとしての陽性的中率は30%で陰性的中率は97%であった。

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日本発、統合失調症大規模臨床試験スタート:東京女子医大

 わが国において第二世代抗精神病薬(SGA)が臨床応用されるようになって17年、現在の統合失調症治療ではSGAを中心とした薬物治療が行われている。海外では各種SGAの長期的な有用性や転帰、社会的機能などに関して報告されているが、日本では大規模な研究は行われていない。東京女子医科大学の石郷岡 純氏らは、日本の医療環境下におけるSGAの治療中止率などを評価するため、JUMPs(Japan useful medication program for schizophrenia)試験を開始した。BMC Psychiatry誌2013年10月3日号の報告。 新規抗精神病薬の開発臨床試験(有効性試験)では、多くの場合、対象患者が限定される傾向にある。さらに、有効性試験では、短期間の精神症状スコアの変化と副作用が独立して評価される。このような試験結果を日常診療で一般化することは難しい。だが、統合失調症の長期的治療目標は、患者の社会活動を含むQOLの改善である。こうした中、長期転帰に関する有効性の検証がますます重要になってきている。 欧米諸国では、オランザピンやリスペリドン、他のSGA、第一世代抗精神病薬(FGA)と比較した研究が蓄積されている。しかし、日本においては、まだ大規模な有効性試験は行われていない。また、近年発売されたアリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドンによる長期転帰に関するデータは十分でない。そこで、著者らはこれら3剤の長期的な有効性を検討するため、JUMPs試験を実施することとした。 主な試験概要は以下のとおり。・本研究は、日本の医療環境下における、SGAの長期的な有用性を検討するためのオープンラベル多施設共同無作為化比較試験。・対象は、3剤の経口薬(アリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドン)のうちいずれかで104週間治療を実施した20歳以上の統合失調症患者(他剤からの切り替え症例を含む)。・目標症例数300例。・一次エンドポイントは、任意の原因による治療中止率。二次エンドポイントは寛解率、社会活動の改善、緩和、精神症状の悪化や再発、安全性。関連医療ニュース 新規抗精神病薬は患者にどう評価されているか? 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始

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うつ病患者の予後を予測するセロトニン関連遺伝子多型

 セロトニン経路は、抗うつ薬が効果を発揮する際にきわめて重要な役割を担っており、セロトニン受容体およびトランスポーター遺伝子の多型が重要な因子として特定されてきた。ドイツ・ミュンヘン工科大学のJulia Staeker氏らは、うつ病患者の臨床アウトカムの予測に有用な遺伝子多型を明らかにするため、自然的臨床試験のデータを用いて検討を行った。その結果、セロトニン経路の受容体およびトランスポーター多型が、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の効果ならびに副作用と関連していることを報告した。Genetic Testing and Molecular Biomarkers誌オンライン版2013年11月5日号の掲載報告。 研究グループは、臨床アウトカムの予測に有用な遺伝子多型を明らかにするため、自然的臨床試験において検討を行った。精神科入院患者273例の効果と副作用に関して、5-hydroxytryptamine transporter(5-HTT)の縦列反復変数(variable number of tandem repeats:VNTR)、5-HTTLPR/rs25531、5-HTR2A intron 2 SNPの影響を調べた。Clinical Global Impression(CGI)、Paranoid-Depression Scale (PD-S)、自己評価尺度およびDosage Record, and Treatment Emergent Symptoms(DOTES)Scaleなどの尺度を用いて評価した。  主な結果は以下のとおり。・SSRIによる治療を受けている患者100例において、5-HTTLPR/rs25531 S/LGアレルと効果および副作用との間に有意な関連が認められた(CGI-I≦2:0%vs. 19%、p=0.037/DOTES cluster c:0.76 vs. 0.19、p=0.0005)。・5-HTT VNTRおよび5-HTR2A intron 2 多型は、選択的および非選択的SRIの治療を受けている患者の副作用と有意に関連していた(5-HTT VNTR 12/12:170例、副作用発現率:51% vs. 19%、p=0.0001/rs7997012[A/A]:50例、副作用発現率:43% vs. 11%、p=0.020)。・ミルタザピン治療に関しては、遺伝子多型の影響はみられなかった。・セロトニン経路の受容体およびトランスポーターの遺伝子多型が、SSRIの効果と副作用に影響を及ぼすことが確認された。今回の結果は、さまざまな試験デザインで実施されたこれまでの試験の結果を支持するものであった。今回のような自然的研究でも明確な結果が臨床的に確認されたが、遺伝子多型の状況を治療前にスクリーニングすることの臨床的有用性に関しては、無作為化対照試験により明らかにする必要があると、著者は最後にまとめている。関連医療ニュース 各抗うつ薬のセロトニン再取り込み阻害作用の違いは:京都大学 うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 抗うつ薬の効果発現を加速するポイントは

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