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花火による外傷はほとんどが男性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第10回

花火による外傷はほとんどが男性各国の花火事情はさまざまですが、日本では夏休みに河原でキャンプをしながら・・・・・・あるいは、地元の大きな花火大会に・・・なんてケースが多いでしょう。中国では爆竹が主流だとは思いますし、クラッカータイプのようにはじけるものを“花火”と定義する国もあるため、一概に私たちが描いている“花火”だけとは限りません。日本の場合、人に向けて他者が熱傷を負うパターンが多いと思いますが、それを報告した日本の研究は発見できませんでした。しかしながら、花火の外傷に関する大規模な研究がいくつかありましたのでそのうち2つを紹介させていただきます。Wang C, et al. Firework injuries at a major trauma and burn center: A five-year prospective study.Burns. 2013 Jul 6.この論文は、中国北京における5年間の春節(旧正月)の花火の外傷をまとめたものです。年ごとに、次第に家庭での春節による花火外傷が増えていると報告されています。この研究では、花火外傷の年齢、性別、原因、外傷部位、外傷の診断、外傷の質が記録されました。2007年から2011年までに734人の花火外傷の患者が北京の熱傷センターを受診しました。受診患者のほとんどが子供であり、87.9%が男性でした。花火外傷の原因の68.0%が不適切な手動操作によるものでした。外傷部位は手および指が32.0%、頭部あるいは顔が28.3%、体幹が22.4%でした。外傷のうち熱傷が65.7%と最も頻度の高い診断でした(当たり前ですが)。残りの34.3%は打撲や裂創でした(爆竹などが飛んできたのでしょうか)。治療を受けた患者のうち55人(7.5%)が治療のために入院を要したと報告されています。Witsaman RJ,Pediatric fireworks-related injuries in the United States: 1990-2003.Pediatrics. 2006;118:296-303.中国ではなくアメリカではどうでしょうか。この論文は14年におよぶ花火外傷のレトロスペクティブ試験です。花火による外傷で受診した8万5,800人の小児が登録され、平均年齢は10.8歳でした。上記の中国の研究や他の研究と同じく、ほとんどが男児でした。この試験では、受傷した5人に1人が本人ではなくそばにいた人(bystanders)でした。この試験では、20%ずつの頻度で眼球、顔面、手に外傷がみられ、外傷の種類は60.3%が熱傷でした。受傷した小児のうち、5.3%が入院を要しました。これまでの報告では、中国の場合は春節(旧正月)、アメリカの場合は独立記念日に最も花火外傷が多いとされています。もちろん日本においても、子供が花火をする場合はケガをしないように大人が監督する必要があります。もし万が一花火を飲み込んだりした場合、バリウム中毒に陥る可能性があります(Indian Pediatr. 2012 Sep;49:762.、J Med Toxicol. 2009 Dec;5:209-213.)。

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糖尿病は前立腺がんの死亡リスクを2割以上増加させる

 2型糖尿病が前立腺がんによる死亡と全死因死亡のリスク増加に関連していることが、カナダ・ジューイッシュ総合病院のLeah Bensimon氏らの大規模コホート研究で示唆された。著者らは、さらに「高インスリン血症などの糖尿病関連の代謝障害が、がんの悪性度と関連しているかもしれない」としている。Cancer causes & control誌オンライン版2014年1月3日号に掲載。 この研究は、英国における4つのデータベース(the National Cancer Data Repository、the Clinical Practice Research Datalink、the Hospital Episodes Statistics database、the Office for National Statistics database)を結合して実施した。1998年4月1日~2009年12月31日に新たに非転移性前立腺がんと診断された男性を2012年10月1日まで追跡した。2型糖尿病患者とそれ以外の患者を比較し、前立腺がんによる死亡および全死因死亡の調整ハザード比と95%信頼区間(CI)をCox比例ハザードモデルにて算出した。すべてのモデルを過度の飲酒、喫煙、合併症、前立腺がん関連変数を含む、多くの潜在的な交絡因子で調整した。 主な結果は以下のとおり。・コホートは1万1,920例で、そのうち当初から2型糖尿病であった患者は1,132例(9.5%)であった。・平均追跡期間4.7年(SD:3.0年)の間の死亡例は3,605例(6.4%/年)であり、そのうち前立腺がんによる死亡が1,792例(3.3%/年)であった。・2型糖尿病は、前立腺がんによる死亡リスクにおける23%の増加(HR:1.23、95%CI:1.04~1.46)、全死因死亡リスクにおける25%の増加(HR:1.25、95%CI:1.11~1.40)と関連していた。

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美白化粧品、大量水銀含有製品が世界に蔓延?

 米国・ロマリンダ大学のCarsten R. Hamann氏らは、美白化粧品549製品に含まれる水銀成分量について分析調査を行った。米国食品医薬品局(FDA)では、化粧品製品の含有水銀量は1ppmと制限しているが、調査の結果、その基準値の千倍超の商品が6.0%あり、水銀を含有していた全製品のうち基準値の1万倍超のものが45%を占めていることなどが判明したという。結果を踏まえて著者は「米国および世界中で、美白化粧品に水銀が含まれていることが確認された」と報告している。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2013年12月9日号の掲載報告。 美白化粧品は世界中で使用されているが、いくつかの製品には“melanotoxin”であることが実証されている水銀が加えられている。しかし水銀は、皮膚や腎臓、また神経学的に多くの問題を引き起こす可能性がある。 研究グループは、製品の水銀含有量を明らかにするため、米国の消費者が、オンラインショッピングまたは店頭で入手可能な製品に注目して、大規模な国際的サンプル評価を行った。 美白化粧品について、低コストのポータブルX線蛍光分光計を用いて、水銀含有量が200ppmを超えるものを選別した。 主な結果は以下のとおり。・合計549個の美白化粧品について分析調査が行われた。・それらは32ヵ国で製造されたもので、オンライン購入は米国、台湾、日本で、店頭購入は米国、中国、台湾、タイ、日本、スリランカでされていた。・549個のうち6.0%(33個)が、1,000ppm超の水銀が含まれていた。・水銀を含有していた全製品のうち45%が10,000ppm超の水銀を含んでいた。・米国で購入されている美白化粧品のうち、1,000ppm超の水銀含有製品は3.3%を占めていた。・本研究は、そのほかのメラニン生成抑制成分を含有するクリームは評価していないこと、調査は各製品1サンプルずつであった点で、結果は限定的であった。

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統合失調症患者への抗精神病薬追加投与、うまくいくポイントは

 統合失調症に対する抗精神病薬の治療効果を妨げる要因として脂質代謝と酸化還元レギュレーションが関係する可能性が示唆されている。ノルウェー・Diakonhjemmet病院のH Bentsen氏らは、急性エピソード統合失調症患者に、抗精神病薬を追加投与する場合、ω-3脂肪酸とビタミンE+Cの両剤を追加することが安全であるという研究結果を報告した。どちらか単剤の追加からはベネフィットは得られず、血中多価不飽和脂肪酸(PUFA)値が低い患者では精神病性症状が誘発されることが示された。Translational Psychiatry誌オンライン版2013年12月17日号の掲載報告。 研究グループは、抗精神病薬にω-3脂肪酸おまたはビタミンE+C(あるいはその両方)を追加投与した場合の臨床効果について調べた。検討に当たっては、ベースライン時のPUFA値が低値の患者では、追加投与でより多くのベネフィットが得られると仮定した。 試験は、多施設共同の無作為化二重盲検プラセボ対照2×2要因配置にて、ノルウェーの精神医療施設に入院した統合失調症または関連する精神疾患を有する18~39歳の連続患者を対象に行われた。被験者には、抗精神病薬とは別に1日2回2剤ずつ、実薬またはプラセボの、EPAカプセル(2g/日)とビタミンE(364mg/日)+ビタミンC(1,000mg/日)が16週間にわたって与えられた。追加投与する薬剤により被験者は、EPAとビタミン剤いずれもプラセボ(グループ1)、EPAは実薬(グループ2)、ビタミン剤は実薬(グループ3)、両剤とも実薬(グループ4)に分類された。主要評価項目は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の総スコアとサブスケールスコアで、線形混合モデルにより分析した。 主な結果は以下のとおり。・被験者数は99例であった。そのうち97例が、ベースライン時の血中PUFA値が測定されていた。・EPAとビタミン剤が単剤追加投与されたグループ2とグループ3は、脱落者の割合が高かった。一方、両剤を追加投与したグループ4の脱落率は、両剤プラセボのグループ1と変わらなかった。・ベースライン時PUFAが低値の患者では、EPAのみ追加した場合に、PANSS総スコア(Cohen's d=0.29、p=0.03)、精神病性症状(d=0.40、p=0.003)、とくに被害妄想(d=0.48、p=0.0004)が悪化した。・また同じくPUFA低値の患者においてビタミン剤のみ追加した場合では、精神病性症状(d=0.37、p=0.005)、とくに被害妄想(d=0.47、p=0.0005)の悪化がみられた。・一方、ビタミン剤とEPAの両剤を追加した場合は、精神疾患への有害な影響の中和がみられた(相互作用のd=0.31、p=0.02)。・ベースライン時PUFAが高値の患者では、試験薬の有意な影響がPANSS尺度ではみられなかった。関連医療ニュース 日本の統合失調症入院患者は低栄養状態:新潟大学 うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 統合失調症患者の脳組織喪失に関わる脂肪酸、薬剤間でも違いが

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心臓マッサージは深度5cmで毎分100回:その自動化への課題(コメンテーター:香坂 俊 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(165)より-

【試験が行われた背景】 院外心肺停止症例の蘇生率は年々向上しているとはいえ、まだ低い域に留まっている。わが国からはUtsteinレジストリの報告があり、救急搬送された54万7,153例の解析結果より2.1%から4.3%の間という数値が挙げられている(目撃者がいた場合の1ヵ月後の生存退院率、Kitamura T et al. Circulation. 2012; 126: 2834-2843.)。 この蘇生率向上のために試みられていることはいくつかあり、具体的には下記がそれにあたる。(1) BLSやACLSの普及(ACLSは多くの学会で専門医取得のための必須条件となっている)(2) プロトコールの簡便化(エアウェイの確保よりも適切な心臓マッサージを重視する『ABCからCABへ』 Airway(気道確保)・Breathing(人工呼吸)・Compressions(胸骨圧迫))(3) AEDの設置(AEDの設置は心肺停止の電気相(心室細動期)の治療にきわめて有効である) しかし、依然として大きな問題になっているのは、蘇生の努力そのものの「質」が保たれているかということである。たとえば、心マの胸骨圧迫の適切な深度は5cmであるが、現場で実践されている心マの平均深度は3cm前後である。さらに、毎分100回というのが理想的な圧迫頻度であるが、DCショックの際などに心マはしばしば不必要に中断されることが分かっている。ACLSのCABプロトコールの導入により、心マの「質」はまさに生命予後に直結する位置を占めており、「絶え間ない心マ」は救急蘇生に関わる医療従事者の合言葉となっていおり、そして、その質の高い心マを外的に維持するために開発されたのが、下図のLUCAS自動心マシステムである。 LUCAS2自動心臓マッサージシステム(LUCAS社ウェブサイトより)【試験結果の解釈】 今回のLINC試験ではこのLUCAS自動心マッサージシステムのランダム化試験である。結果はすでに知られているとおり、「従来のヒトによる胸部圧迫と比較して差を認めず」ということであった。 私個人の解釈は以下のようなものである。 この試験ではCPRの最中にランダム化を行い、自動心マッサージシステム群に割り当てられたケースではapply the device with minimal interruptionsということになっている。自分の経験でも現場で使って、このapply the device with minimal interruptionsというのが非常な困難であり、このときのdelayが結果的にシステムの予後改善効果を打ち消すこととなってしまったのではなかろうかと推測している。 器械的な心マが効果を示さなかったのはこれが初めてのことではない。以前同様のランダム化試験で、load-distributing band(LDB;ベルトのようなスタイルの心マシステム)が予後を改善させるどころか、悪化させるという結果が出てしまったこともある(Hallstrom A et al. JAMA. 2006; 295: 2620-2628.)。 それとくらべれば、今回のLUCASシステムについては進歩したといえるかもしれない。が、やはり救急蘇生の現場では、最初の数分の質の高いACLSこそが鍵であり、そのためにはポータブルで簡便に装着できるデバイスの登場が待たれる。

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グルタミン酸作動薬は難治性の強迫性障害の切り札になるか

 強迫性障害(OCD)の治療では、科学的根拠に基づいた薬理学的介入として、主にセロトニン作動性経路とドパミン作動性経路をターゲットとしているが、常に効果的であるわけではない。近年の動物実験や臨床研究(たとえば、脳イメージングや遺伝学)より、OCDとグルタミン酸作動系の役割が注目されている。オーストラリア・マルーン病院のCatherine Kariuki-Nyuthe氏らは、OCDとグルタミン酸系に関するレビューを行った。Current opinion in psychiatry誌2014年1月号の報告。 主な知見は以下のとおり。・動物モデルおよび臨床研究の両面から、OCDにおける薬物療法の潜在的なターゲットとして、グルタミン酸作動系との関連が示唆されている(脳イメージング、神経遺伝学を含む)。・これまで、比較的少数のランダム化比較試験ではあるものの、小児または成人OCD患者における各種グルタミン酸作動薬(リルゾール、メマンチン、ケタミン、トピラマート、ラモトリギン、N-アセチルシステイン、D-サイクロセリン)の研究が行われている。・OCDのより効果的な治療の必要性やOCDにおけるグルタミン作動系の役割に関する新たな知見を考えると、OCDに対するグルタミン酸作動薬に関してさらなる臨床研究が必要であることが示唆される。・また、そのような試験に適した研究デザインとして、単独療法のアプローチ、薬物増強療法、精神療法による増強が含まれる場合がある。関連医療ニュース SSRIで著効しない強迫性障害、次の一手は 難治性の強迫性障害治療「アリピプラゾール併用療法」 精神疾患のグルタミン酸仮説は支持されるか

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歩数を2,000歩/日増加させれば心血管リスク8%低下/Lancet

 耐糖能異常がある人は歩行活動を増すことにより、心血管リスクが低下することが、9,000例超を対象に行った前向きコホート試験の結果、明らかになった。ベースライン時の歩数が1日2,000歩増加することで、心血管イベントリスクは約1割減少するという。英国・レスター大学のThomas Yates氏らが行った「NAVIGATOR」試験からの報告で、Lancet誌オンライン版2013年12月19日号で発表された。心血管リスクが高い9,306例を平均6年間追跡 研究グループは2002年1月~2004年1月にかけて、40ヵ国の医療機関を通じ耐糖能異常患者9,306例について前向きコホート試験を行い、歩行活動と心血管イベントリスクとの関連を分析した。被験者には、心血管疾患(50歳以上の場合)または1つ以上の心血管リスク因子(55歳以上の場合)が認められた。 心血管イベントは、心血管死、非致死の脳卒中または心筋梗塞と定義した。追跡期間平均6年間で、歩数計によりベースライン時と12ヵ月後に歩行活動の測定を行った。ベースライン時から1年後に2,000歩/日増加で心血管リスクは8%減少 延べ追跡期間4万5,211人年の間に発生した心血管疾患イベントは531件だった。ベースライン時の歩行計による歩数と12ヵ月時の歩数変化には、いずれも心血管疾患イベントリスクと逆相関が認められた。 具体的には、ベースライン時の歩数が1日2,000歩増加することにより、心血管イベント発生リスクは約10%低下した(2,000歩/日増加によるハザード比:0.90、95%信頼区間:0.84~0.96)。また、ベースライン時から12ヵ月後に、歩行活動が1日2,000歩増加または減少することにより、同リスクはそれぞれ8%減少または増大した(2,000歩/日の変化によるハザード比:0.92、同:0.86~0.99)。

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超早産児のアトピー性皮膚炎発症リスクは?

 超早産児(在胎期間29週未満)は、後期(29~34週)および満期で生まれた子供と比べて、アトピー性皮膚炎(AD)発症リスクが低いことが、フランス・ナント大学病院のS.Barbarot氏らによるコホート調査の結果、明らかになった。これまで、AD発症リスクが早産によって影響を受けるかどうかは不明であった。また、AD発症リスクについて、超早産児の大規模サンプルでの検討は行われたことがなかった。British Journal of Dermatology誌2013年12月号の掲載報告。 研究グループは、AD発症リスクの早産による影響を明らかにすることを目的に、2つの独立した住民ベースコホート(Epipageコホート、LIFTコホート)のデータを用いて、在胎期間とADとの関連を調べた。コホートの早産児は計2,329例で、そのうち479例が超早産児であった。 主な結果は以下のとおり。・より後期に生まれた子供と比べて、超早産児群におけるAD発症の割合は低かった。・Epipageコホート(2年アウトカム)でのAD発症率は、24~28週:13.3%、29~32週:17.6%、33~34週:21.8%(p=0.02)であった。・LIFTコホート(5年アウトカム)でのAD発症率は、同11%、21.5%、19.6%であった(p=0.11)。・交絡変数で補正後、在胎期間が短い(29週未満)こととAD発症率が低いことが、有意に関連していることが認められた。Epipageコホートにおける補正オッズ比(aOR)は0.57(95%信頼区間[CI]:0.37~0.87、p=0.009)であり、LIFTコホートでは同0.41(同:0.18~0.90、p=0.03)であった。

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日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学

 わが国の政府やメディアは、若年性認知症(EOD)を問題視している。しかし、EODのための政策は確立されておらず、支援システムも不十分である。筑波大学の池嶋 千秋氏らは、EODに関する実用的なデータを収集するため2段階の郵便調査を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2013年12月29日号の報告。 EOD事例に関するアンケートは、日本国内5地域の診療圏の対象機関に発送された。機関からの回答により、国勢調査のデータを使用してEODの有病率を推定し、EODの原因疾患を特定した。対象症例は、四半期すべての診療記録および精神医学的記録や神経画像データより、診断を検討した。本研究は、2006年から2007年にかけて行われた。 主な結果は以下のとおり。・1万2,747機関から集積した2,469例の患者情報から、2,059例がEODと同定された。・日本におけるEODの推定有病率は10万人当たり47.6人であった(95%CI:47.1~48.1)。・EODの原因疾患は、脳血管性認知症(VaD)が最も多く(39.8%)、次にアルツハイマー病が多かった。・日本でのEOD有病率は欧米諸国と同様であると考えられる。しかし以前に行われた国際研究と異なり、日本ではEODの原因疾患としてVaDが最も多いことが示された。関連医療ニュース 新たなアルツハイマー病薬へ、天然アルカロイドに脚光 軽度認知障害に有効な介入法はあるのか たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能  担当者へのご意見箱はこちら

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より良好な喘息管理を目指し…スマホアプリを追加

グラクソ・スミスクライン(GSK)社は吸入ステロイド薬のパイオニアとして30年余にわたり世界の喘息治療に貢献している。同時に患者の啓発についても、永年にわたり力を注いでいる。近年は、インターネットでも積極的に情報配信しており、本邦でも喘息総合情報サイトZensoku.jp(http://zensoku.jp)で、一般大衆や患者に対する喘息の啓発に取り組んでいる。そのようななか、およそ1年前より、喘息患者を対象にした本邦オリジナルのスマートフォン(iPhone)アプリを公開している。今回提供しているそのアプリについて、グラクソ・スミスクライン株式会社 呼吸器事業本部 中島康一郎氏に聞いた。アプリ開発の背景には、喘息における服薬継続率の低さがある。これには、症状がないため服薬が滞る、症状の増悪に対する病識がなく受診しないなど多くの理由があるものの、喘息治療における治療アドヒアランスは喫緊の問題だといえる。このような状況のなか、日々の喘息管理に役立ツールが欲しいという、患者の声、医師の声は常にあったという。同社が開発した喘息アプリは2種。ひとつは成人患者向けアプリ「ぜんそくアプリ」、もう一つは小児患者の母親向けアプリ「ぜんそくよくな〜れ!」である。いずれも対象患者の特性を考慮し、使いやすく設計されている。豊富な情報を提供し、アドヒアランスをサポートする「ぜんそくアプリ」主なアプリ機能カレンダー(アラーム機能付き)喘息コントロールテスト日替りコンテンツ など毎日の喘息症状をチェックし、記録に残す事は長期管理にとって有用である。しかし、日々こまめにアナログで記録する事は容易ではない。当アプリの機能の一つ“カレンダー”は、毎日の症状を4段階のアイコンから選びタップするという、簡単な方法で喘息症状を記録できる。また、症状チェックとともに、毎日の服薬チェック機能もあり服薬継続をサポートしている。さらに、症状を記録するメモ機能、動画撮影機能がある。これは増悪や症状出現時、メモで記録したり、その状態をスマホのビデオで撮影できる。この機能を活用し、診察時に主治医に見せる事で客観的な情報を提供できる機能である。喘息のコントロール状況を客観的指標で評価することも重要なことである。当アプリの“喘息コントロールテスト”には、世界的な喘息評価指標であるACT(Asthma Control Test)の質問票が入っており、その指標を用いてコントロール状態を評価することができる。この評価は1ヵ月ごとに記録され12ヵ月分がグラフ化される。これにより中長期のコントロール状況が客観的に把握できる。さらに、日々の生活の中で治療アドヒアランスを向上させるために、服薬や受診日、コントロールテスト実施日のアラーム機能も付いている。服薬アラームについては、3薬剤まで登録でき、服薬時間を設定すると薬剤ごとにアラームで知らせてくれる。薬剤は製品名で登録でき、グラクソ・スミスクライン製品であれば自動的にその製品の指導書や指導ビデオが見られる機能もつく。高齢者など適正な吸入手技を完璧に覚えていることが容易ではない患者にとっても有用な機能である。ACTについてはこちら http://zensoku.jp/tools/tools_002.html「ぜんそくアプリ」のトップ画面、“カレンダー”には記録された喘息症状が表示される毎日の症状を4段階のアイコンから選びタップする。そのほか、日記メモ、動画撮影機能がある喘息コントロールテストACTを用いている服用時間のアラーム機能。そのほか、受診日、コントロールテスト実施日もアラーム設定できる飽きさせない小児喘息患者の母親向けツール「ぜんそくよくな~れ!」主なアプリ機能ぜんそく予報ぜんそくチェックぜんそく救急箱ポケットカルテ など「ぜんそくよくな〜れ!」は小児喘息患者の日常管理のサポートを考慮し、より良好な管理のために患者の母親が入力する設定となっている。同アプリのトップ画面は“ぜんそく予報”。気圧や気温の変化といった気象条件等をもとに、地域ごとの喘息発作危険度を出して毎日知らせている。“ぜんそくチェック”では、月ごとに注意すべき喘息のリスクを紹介するとともに、それぞれのリスクでの症状経験を記録できる。また、小児喘息のコントロール指標C-ACTを用いた小児喘息コントロールテストも可能である。さらに、喘息の急性発作や緊急時の対応を提供する“ぜんそく救急箱”コーナーもある。“ポケットカルテ”には、前述のぜんそくチェックやコントロールテストの結果が蓄積される。啓発のみならず、どのような時に症状がでたのかを記録できるため、毎日の管理に役立てることができる。「ぜんそくよくな~れ!」のトップ画面には毎日の“ぜんそく予報”が小児喘息コントロールテストC-ACTを用いている「ポケットぜんそくカルテ写真としてカメラロールに保存できるC-ACTについてはこちら http://zensoku.jp/child/child_002.html豊富な情報を有するウェブサイトとの連動で啓発これら2つのアプリからは、同社が運営する喘息総合情報サイトZenoku.jpへアクセスできる。これにより、アプリだけではカバーできない情報をウェブサイトでカバーしている。Zensoku.jpでは、喘息の疾患啓発、日常生活のヒント、評価ツールなど数多くの情報がある。なかでも、スポーツジャーナリスト二宮清純氏が、喘息を克服したアスリートにインタビューする「二宮清純のゼンソク人間学」(http://zensoku.jp/athlete/index.html)は、喘息を持ちながらも一流のアスリートとなった著名人の体験を通し、喘息をより深く理解するとともに、コントロールすれば通常の人と変わらない活動ができる疾患であることを伝えている。これは一般大衆にとっては、喘息という疾患を理解する情報ツールとなり、喘息患者にとっては大きなエールとなる。このようなスマホとの連携も鑑み、同サイトではスマホ対応ページも用意する予定だという。主なアプリ機能喘息総合情報サイトZensoku.jp将来の患者―医療者間の情報共有のために将来、こうしたアプリを通して患者と医療者が情報を共有することができれば、喘息の長期管理も大きく変化していくのであろう。患者と医療者がアプリを通してつながっていれば、調子が悪い患者や、服薬チェックを怠っている患者の情報を、かかりつけ医やかかりつけ薬局などの医療者に知らせることができる。そして、医療者側から患者にアクセスをとり、状態や服薬状況が確認できるようになるわけである。近年の疫学データでも未だコントロール不十分だったり、喘息症状を経験している患者は少なくない。喘息はきちんと管理すれば普通の人と変わらない生活が送れる疾患である。「患者さんへの疾患啓発、治療のサポートとして、ツール、ウェブサイトを役立てていただきたい」と最後に中島氏は述べた。グラクソ・スミスクライン株式会社 喘息アプリはこちらから http://zensoku.jp/app/index.html「ぜんそくアプリ」「ぜんそくよくな~れ!」無料カテゴリ:メディカル条件: iPhone、iPod touch およびiPad 互換iOS 4.3 以降が必要

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CPAPによって睡眠時無呼吸症候群の24時間血圧が低下/JAMA

 治療抵抗性高血圧と睡眠時無呼吸症候群(OSA)を有する患者について、12週間の持続的気道陽圧(CPAP)療法は、薬物療法のみの場合と比較して、24時間平均血圧や拡張期血圧が低下し、夜間血圧パターンを改善することが示された。スペイン・Hospital Universitario y Politecnico La FeのMiguel-Angel Martinez-Garcia氏らによる無作為化試験HIPARCOの結果、報告された。治療抵抗性高血圧患者では70%以上がOSAを有している。しかしこれまで、血圧へのCPAP療法の効果に関するエビデンスは、ほとんど示されていなかった。JAMA誌2013年12月11日号掲載の報告より。194例の患者を無作為化し12週間後に評価 HIPARCO試験は、OSAを有する治療抵抗性高血圧患者の血圧値と夜間血圧パターンについて、CPAP療法の効果を評価することを目的とした、オープンラベル無作為化多施設共同試験(スペイン国内の教育病院24施設)であった。エンドポイントはマスクされたパラレル群によるデザイン設定で行われた。 被験者は、無呼吸・低呼吸指数(AHI)15以上の治療抵抗性高血圧患者194例で、薬物療法で標準血圧コントロールを維持しながら、CPAPの介入または非介入を受けた。 2009年6月~2011年10月のデータが集められintention-to-treat(ITT)にて分析された。主要エンドポイントは、12週間後の24時間平均血圧の変化であった。副次エンドポイントには、その他血圧値の変化、夜間血圧パターンの変化などが含まれた。夜間血圧が10%低下するdipper型患者が、CPAP群は非CPAP群の2.4倍に 194例は、CPAP介入群98例、非介入(対照)群96例に無作為化された。平均AHIは40.4(SD 18.9)、1人当たりが服用していた降圧薬数は平均3.8剤だった。ベースライン時の24時間平均血圧は103.4mmHg、収縮期血圧(SBP)144.2mmHg、拡張期血圧(DBP)83mmHgだった。また、ベースライン時にdipper型(平均日中血圧と比べて平均夜間血圧が10%以上低下)を示していた患者は25.8%だった。 介入群で、CPAPを1日4時間以上使用した患者の割合は72.4%だった。 結果、試験期間全体における血圧の変化(ITT解析)は、24時間血圧[3.1mmHg、95%信頼区間[CI]:0.6~5.6、p=0.02]、24時間DBP[3.2mmHg、同:1.0~5.4、p=0.005]については、CPAP群のほうが有意に大きかった。24時間SBPについては、変化は有意ではなかった[3.1mmHg、同:-0.6~6.7、p=0.10]。 さらに、追跡12週間時点でdipper型を示した患者の割合は、CPAP群が有意に多かった(35.9%対21.6%、補正後オッズ比[OR]:2.4、95%CI:1.2~5.1、p=0.02)。 CPAP使用時間と、24時間平均血圧の低下(r=0.29、p=0.006)、SBPの低下(r=0.25、p=0.02)、DBPの低下(r=0.30、p=0.005)には、有意な正の相関関係が認められた。 これらの結果について著者は、さらなる研究により長期の健康アウトカムを評価していく必要があるとまとめている。

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乳児血管腫再発に高リスクなのは?

 フランス・ペルグラン小児病院のC.K. Ahogo氏らは、乳児血管腫(IH)の再発リスク因子について検討を行った。IH治療では、経口プロプラノロール(商品名:インデラルほか、本疾患には国内未承認)が第一選択薬となったが、治療後の再発リスクの因子については調査がされていなかった。British Journal of Dermatology誌2013年12月号の掲載報告。 検討は、単一施設の後ろ向き観察研究にて行われた。2008年6月1日~2011年12月31日の間に、特定皮膚疾患を診療するボルドーのNational Reference Centerで、IH治療開始が5ヵ月未満であった患児を対象とし、診療記録および画像診断データをすべて後ろ向きにレビューした。 主な結果は以下のとおり。・対象患児は、総計158例であった。男児が52例、女児が106例であった(男女比1対2)。・19例(12%)は、分節型IHであった。・再発は、40例でみられた。・多変量解析の結果、深在性かつ分節型のIHである場合のみ、再発との独立した関連が認められた。・著者は、「今回の試験により、分節型と深在性の血管腫はいずれも、再発のリスクが高いことが示唆された。また、治療中止後、および/あるいは治療後長期にわたり、緊密なフォローアップが必要であることが示唆された」と結論している。

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アロマターゼ阻害薬、高リスクの閉経後女性の乳がんを予防/Lancet

 乳がんのリスクが高いと判定された閉経後の女性では、アロマターゼ阻害薬(AI)アナストロゾール(商品名:アリミデックスほか)の予防投与により、乳がんの発症が大幅に抑制され、有害事象の発現も十分に許容できるものであることが、英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のJack Cuzick氏らが実施したIBIS-II試験で示された。乳がんは女性のがんの中で最も頻度が高く、2008年には世界で約1,400万人の女性が新たに乳がんと診断されている。AIは、閉経後女性において乳がんの再発および対側乳房の新規腫瘍の発生を予防することが報告されている。本報告は、サンアントニオ乳がんシンポジウム(12月10~14日、米国、サンアントニオ市)で発表され、Lancet誌オンライン版2013年12月12日号に掲載された。5年投与の予防効果を無作為化試験で評価 IBIS-II試験は、乳がん高リスクの閉経後女性に対するアナストロゾールの乳がん予防効果およびその安全性の評価を目的とする国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化試験。対象は、年齢40~70歳の閉経後女性で、45~60歳の場合は相対的な乳がんリスクが一般人口の2倍以上、60~70歳は1.5倍以上、40~44歳は4倍以上とした。 被験者は、アナストロゾール1mg/日またはプラセボを5年間投与する群に無作為に割り付けられた。被験者や担当医には治療割り付け情報がマスクされたが、統計解析者にはマスクされなかった。 主要評価項目は組織学的に確証された乳がん(浸潤性乳がんまたは非浸潤性乳管がん)の発症とし、intention to treat解析が行われた。乳がんの発症が53%低下 2003年2月2日~2012年1月31日までに、18ヵ国153施設から3,864例の女性が登録され、アナストロゾール群に1,920例(年齢中央値59.5歳、閉経時年齢中央値50.0歳、経産婦83%)、プラセボ群には1,944例(59.4歳、49.0歳、84%)が割り付けられた。 フォローアップ期間中央値5.0年時における乳がん発症数は、アナストロゾール群が40例(2%)、プラセボ群は85例(4%)であり、アナストロゾールによる有意な予防効果が確認された(ハザード比[HR]:0.47、95%信頼区間[CI]:0.32~0.68、p<0.0001)。 7年後の乳がんの予測累積発症率はアナストロゾール群が2.8%、プラセボ群は5.6%であり、エストロゲン受容体(ER)陽性浸潤性乳がんの予測累積発症率はそれぞれ1.4%、3.3%だった。 死亡は、アナストロゾール群が18例(1%)、プラセボ群は17例(1%)認められた。乳がん死はアナストロゾール群の2例(<1%)のみで、他がん死がそれぞれ7例(<1%)、10例(1%)であり、いずれかの群に特異的に多い死因はみられなかった(p=0.836)。 有害事象は、アナストロゾール群が1,709例(89%)、プラセボ群は1,723例(89%)に認められた(リスク比[RR]:1.11、95%CI:0.90~1.38)。総骨折数[164例(9%)vs. 149例(8%)、RR:1.00、95%CI:0.98~1.03]や特定部位の骨折数には、両群間に差はみられなかったが、関節の痛みやこわばり、手足の疼痛などの筋骨格系の有害事象[1,226例(64%)vs. 1,124例(58%)、RR:1.10、95%CI:1.05~1.16]およびホットフラッシュや寝汗[1,090例(57%)vs. 961例(49%)、RR:1.15、95%CI:1.08~1.22]は、アナストロゾール群で多かった。 著者は、「アナストロゾールは、乳がんのリスクが高いと判定された閉経後女性において乳がんの発症を抑制した」とまとめ、「エストロゲン枯渇療法に伴う有害事象のほとんどは治療とは関連しないことが示されている。この知見と今回の結果を合わせると、乳がんリスクが高い閉経後女性に対するアナストロゾールの投与は支持されると考えられる」と指摘する。

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統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学

 寛解期の統合失調症患者は、そうでない患者と比較し、神経認知機能レベルが有意に高いことが知られている。しかし、これまでの研究では、寛解の時間的要素を考慮することなく、横断研究にて検討されていた。大阪大学の福本 素由己氏らは、時間的要素を考慮に入れたうえで、寛解と3つの認知機能(知力、記憶、注意)との関係について、縦断的な研究により検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2013年12月8日号の報告。 対象は、登録した337例の統合失調症患者のうち、追跡および評価可能であった63例。寛解状態は、同じ対象患者に対して登録時と6ヵ月後の2回、PANSSを用いて評価した。認知機能テストは、登録後3ヵ月以内に実施した。 主な結果は以下のとおり。・寛解基準を満たした患者は33例、満たさなかった患者は30例であった。・寛解患者はそうでない患者と比較し、Continuous Performance Testで2ケタレベル、3ケタレベルともに有意に高かった(各々 p=0.020、p=0.015)。また、ウェクスラー記憶検査改訂版の注意/集中(p=0.034)、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)-IIIの処理速度(p=0.047)も有意に高かった。・さらに、これらの認知スコアは互いに正の相関を示した(p<0.05)。関連医療ニュース 統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能/a> 青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学

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冠動脈CT:カルシウム容積スコアと密度スコア(コメンテーター:近森 大志郎 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(164)より-

冠動脈カルシウム・スコアは従来の冠危険因子に加えて、心血管疾患イベント(心臓死・心筋梗塞・脳梗塞など)の独立したリスク因子として確立している。しかしながら、冠動脈石灰化は中膜に出現し、スタチンによる治療過程にて密度が亢進するとの基礎的報告もあることから、冠動脈プラーク病変の治癒過程を反映しているとの意見もある。このことは、冠動脈石灰化の容積と密度を合わせて評価している、従来のカルシウム・スコア(Agatston)の弱点となる可能性がある。 Criquiらは45~84歳の約3,400例を対象とした観察研究であるMESA(Multi-Ethinic Study of Atherosclerosis)試験の冠動脈石灰化のデータを再評価した。すなわち、従来のカルシウム・スコアを、カルシウム容積スコアと、4ポイントに半定量化したカルシウム密度スコアに分別して、心血管イベントとの関連性について検討した。 7.6年の追跡期間中に、175例の冠動脈イベントと90例のその他の心臓イベント、合わせて計265例の心血管イベントが発生した。多変量解析では、カルシウム容積スコアと冠動脈イベントおよび心血管イベントとの間には正の相関を認め、スコアが1標準偏差増大すれば、ハザード比はそれぞれ1.81および1.68へと増大することが判明した。これに対して、カルシウム密度スコアは冠動脈イベントおよび心血管イベントに対して負の相関を示し、スコアが1標準偏差増大すれば、ハザード比は0.73および0.71へと減少することが示された。さらに、これらのイベント予測は、従来のカルシウム・スコアと比較してカルシウム容積スコアとカルシウム密度スコアを別々に評価した予測モデルの方が優れていることが示された。 本研究は、基礎データおよび病態生理の見地から批判されていた、従来のカルシウム・スコアの弱点を臨床的に初めて実証したという点で重要である。心血管疾患イベントを予測する他の臨床病態因子として、負荷誘発性心筋虚血が挙げられるが、本指標は虚血の深さと広さが相乗的にリスクを増大する方向で作用することが知られている。これに対して、カルシウム・スコアは相反する方向に作用する因子を内在しており、このことが本指標の有用性を低下させている可能性がある。例えばNayaらはPET検査により負荷誘発性心筋虚血が認められない約900例を経過観察したところ、PETで評価した冠血流予備能はリスク層別化に有用であるが、従来のカルシウム・スコアは無効であったと報告している(Naya M et al. J Am Coll Cardiol. 2013; 61: 2098-2106.)。 Criquiらの報告は、密度の高い冠動脈の石灰化は心血管イベントに対して保護的に作用する、という興味深い概念を支持する研究結果である。しかしながら、肝心のカルシウム密度スコアについては、初期のMESA試験における冠動脈CTの再検討であり、半定量化されたデータに過ぎない。 今後、臨床の現場で有効となるためには、カルシウム密度測定の洗練化および標準化が必須である。次に、冠動脈イベントを保護するカルシウム密度スコアのカットオフ・ポイントを明らかにする必要がある。以上が確立すれば、冠動脈CTによって評価されるカルシウム密度スコアの臨床的有用性が高まると推測される。

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新たなアルツハイマー病薬へ、天然アルカロイドに脚光

 現在、アルツハイマー病(AD)に適用される主な薬理学的ストラテジーは、アセチルコリンの主要な分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)の阻害である。このような観点から、フィゾスチグミンのような天然アルカロイドが多数分離され、AChEおよびブチリルコリンエステラーゼ(BChE)阻害薬として従来から知られてきた。そして、AD患者の治療薬としてガランタミンが認可されて以降、抗コリンエステラーゼ作用をもつ新たなアルカロイドの探索が進み、huperzine Aなどの有望な候補物質の発見につながっている。ブラジルのリオ・グランデ・ド・スール連邦大学のEduardo Luis Konrath氏らは、ADの治療薬として抗コリンエステラーゼ作用を有する新たなアルカロイドの探索状況を報告した。構造活性相関ならびに物理化学的特性の面から、天然アルカロイドが良い候補物質へつながる可能性があることを示唆している。Journal of Pharmacy and Pharmacology誌2013年12月号の掲載報告。  本レビューは、AChE阻害薬およびBChE阻害薬としてのアルカロイドについて、構造活性相関(SAR)とコンピュータ上で仮想的に行われるドッキングスタディに着目した最近の進歩を概観している。 主な知見は以下のとおり。・ステロイド/トリテルペノイド、キノリジジン、イソキノリンおよびインドール類に属する天然アルカロイドは、主にツゲ科、ヒガンバナ科、ヒカゲノカズラ科に分布しており、酵素阻害作用を有する重要なアルカロイド源だと考えられた。・分子モデルを用いて数種の活性化合物について構造活性相関の可能性を検討したところ、酵素の活性化部位におけるアミノ酸残基と分子との相互作用を予測できた。・新しいコリンエステラーゼ阻害薬の開発において、アルカロイドに化学的に優れた性質を与え、強力で効果的な誘導体を得ることに関心が高まっている。・アルカロイドの抗コリンエステラーゼ活性は、その構造の多様性ならびに物理化学的特性とともに、AD治療薬の良い候補物質へとつながる可能性が示唆された。関連医療ニュース これからのアルツハイマー病治療薬はこう変わる アルツハイマー病、アミロイドβ蛋白による“炎症反応”が関与 統合失調症、双極性障害で新たに注目される「アデノシン作用」  担当者へのご意見箱はこちら

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Vol. 2 No. 1 MEDICAL BRIEF OCTによる遅発性薬剤溶出性ステント血栓症の発生機序に関する検討

久保 隆史 氏和歌山県立医科大学循環器内科Examination of the in vivo mechanisms of late drug-eluting stent thrombosis.Findings from optical coherence tomography and intravascular ultrasound imaging.Guagliumi G et al. J Am Coll Cardiol Intv. 2012; 5: 12-20.Summary薬物溶出性ステント(drug-eluting stent:DES)は冠動脈インターベンション後の再狭窄を劇的に減少させたが、ステント血栓症は今もなお解決できない重要な課題として残されている。これまでの病理学的研究によると、DES留置後の治癒遅延や炎症反応の誘導、内皮化の欠落が、遅発性ステント血栓症の原因となる可能性があるといわれてきた。本研究では、光干渉断層法(opticalcoherence tomography:OCT)と血管内超音波(intravascular ultrasound:IVUS)を用いて、DESの遅発性ステント血栓症に関わる因子について調査した。著者らは、DES留置後に遅発性ステント血栓症(DES植え込み後172~1,836日)をきたした18例と、DES植え込みから無症状に3年以上経過した症例でステントの種類やサイズを一致させた36例のコントロール群を対象に、OCTとIVUSの所見を比較した。OCTによると、新生内膜の厚さは両群間で差はなかったが、遅発性ステント血栓症をきたした症例では、コントロール群に比べて新生内膜により被覆されていないステントストラット(12% vs. 4%, p=0.001)やステントマルアポジション(5% vs. 2%, p=0.001)が高頻度に検出された。一方、IVUSによると、最小ステント断面積はそれぞれ5.7mm2と5.9mm2であり、ステントの拡張は両群間で差がなかった。しかし、ステント留置部の血管断面積は遅発性ステント血栓症をきたした症例で大きく、リモデリングインデックスは有意に高値であった(1.2 vs. 1.0, p<0.001)。多変量解析の結果、新生内膜により被覆されていないステントストラットの長軸方向への広がり(オッズ比2.45, 95%信頼区間 1.27-4.73, p=0.007)と、リモデリングインデックス(オッズ比1.05, 95%信頼区間 1.01-1.11, p=0.019)が遅発性ステント血栓症の独立した関連因子であった。DiscussionDES留置後の遅発性ステント血栓症は、単一の原因によるものではなく、いくつかの因子が複雑に絡み合って発症する。Virmaniらは、剖検例による病理学的検討により、ステントの新生内膜による被覆不全がDESの遅発性ステント血栓症に関連し、30%以上のステントストラットが新生内膜により被覆されていない場合、遅発性ステント血栓症の危険性が高まることを報告した。また、Katoらは、DESは留置後12か月まで新生内膜による被覆化が進むが、ステントが完全に被覆されるのはむしろ稀であるとしている。標的病変のプラーク性状も遅発性ステント血栓症の発症に関与する。Lüscherらは、壊死性コアに富んだアテローマ病変にDESを植え込んだ場合に、治癒遅延や内皮化不全が起こりやすいことを明らかにした。Cookらは、IVUSを用いた検討において、遅発性ステント血栓症ではステントマルアポジションや陽性リモデリングの頻度が高いことを報告した。DESでは、留置直後からのステントマルアポジションが修復されず持続するばかりでなく、継時的に血管が陽性リモデリングをきたし、2次的にステントマルアポジションが生じることも知られている。これには、DESによる炎症や血管毒性、過敏反応が関与しており、病変部では血管拡張を伴う中膜壊死や過剰なフィブリンの沈着が観察されることが多い。またHigoらは、血管内視鏡により、DESの新生内膜はアテローマと同様の黄色調を呈すことが多く、新生内膜に新たな動脈硬化性変化が生じていることを報告した。DESは、炎症や過敏反応を介して、このneoatherosclerosisを加速させる可能性がある。本研究においても、2症例でDES内の新生内膜もしくはDESに近接したプラークの破綻による遅発性ステント血栓症が観察されている。さらに、本研究では少なくとも1例で高度な再狭窄病変における遅発性ステント血栓症が観察されている。再狭窄もまたステント内血栓形成と関連するが、DESの新生内膜では抗血栓作用が減弱している可能性がある。このように、ステント血栓症の原因は多元的であるが、近年のOCTをはじめとした血管内画像診断技術の発展は目覚ましく、冠動脈の微細な病理組織学的所見を日常臨床の場で得ることを可能にした。今後さらなるエビデンスの積み重ねが必要ではあるが、OCTは冠動脈インターベンションの適正化やステント血栓症のリスク評価、抗血小板薬中止時期の決定において重要な情報を提供し得ると期待される。

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道路や鉄道の騒音は乳がんリスクを増大させる?

 交通騒音への曝露はストレスや睡眠障害につながる。一方、自己申告による睡眠時間と乳がんリスクに関する研究の結果には一貫性がない。デンマークがん協会研究センターのMette Sorensen氏らは、デンマークの人口ベースのコホートにおいて、居住地における道路や鉄道の交通騒音と乳がんリスクの関連を検討した。その結果、交通騒音によりエストロゲン受容体陰性乳がんのリスクが増大する可能性が示唆された。ただし著者らは「本研究は交通騒音と乳がんに関する最初の研究であり、これらの結果は慎重に扱われるべき」としている。International Journal of Cancer誌オンライン版2013年11月8日号に掲載。 著者らは、1993~1997年の登録時に50~64歳であった女性2万9,875人の人口ベースのコホートにおいて、2010年までの追跡期間に、閉経後乳がん1,219例を同定した。平均追跡時間は12.3年であった。道路や鉄道の交通騒音は、1987~2010年に居住していたすべての場所において計算した。解析にはCox比例ハザードモデルを使用し、ホルモン補充療法、出産歴、飲酒量、その他潜在的な交絡因子について調整した。 主な結果は以下のとおり。・居住地における道路や鉄道の交通騒音と乳がんリスクとの間には、全体として関連性は認められなかった。・すべての交絡因子で調整後、過去1、5、10年間における道路交通の騒音(連続スケール)が10 dB増加すると、エストロゲン受容体陰性乳がんのリスクは、それぞれ、28%(95%CI:1.04~1.56)、23%(95%CI:1.00~1.51)、20%(95%CI:0.97~1.48)増加した。・同様に、鉄道による騒音が10 dB増加(1年平均値)すると、エストロゲン受容体陰性乳がんのリスクが38%(95%CI:1.01~1.89)増加した。・道路や鉄道の交通騒音とエストロゲン受容体陽性乳がんとの間には関連がなかった。

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うつ病診断は、DSM-5+リスク因子で精度向上

 DSM-5分類の大うつ病性障害(MDD)の診断に用いる9つの症状は、背景にある障害の指標と置き換えることが可能であり、すべて同様のリスク因子をもっていると推測されている。ドイツ・ベルリン自由大学のE. I. Fried氏らは、低~高レベルのうつ病を有する母集団コホートを用いて、MDDの診断に用いる9つの症状と、うつに関する7つのリスク因子との関連を評価した。その結果、うつのリスク因子が症状に多彩な影響を及ぼすことが明らかとなり、MDDの診断に際して“うつ”のリスク因子も加味することの重要性を示唆した。Psychological Medicine誌オンライン版2013年12月号の掲載報告。 医学生1,289例を対象とし、DSM-5分類のMDDの診断に用いる9つの症状を、Patient Health Questionnaire(PHQ-9)を用いて評価するとともに、うつに関する7つのリスク因子(MDDの既往、家族歴、性行為、小児時代のストレス、神経症傾向、就労時間、ストレスの多い生活)を、インターンシップ前からインターンシップ期間を通した長期研究で評価した。そして、症状によってリスク因子が異なるかどうか、また症状間の不均一性と潜在的なうつ要素との関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・MDDのすべての症状は、レジデント研修中に有意に悪化した。・「うつの既往」「小児時代のストレス」「性行為」および「ストレスの多い生活」の4つのリスク因子は、PHQ-9の特定の下位項目悪化の予測因子であった。・一方、「神経症傾向」と「就労時間」は、程度はさまざまであるが、すべての症状において悪化の予測因子であった。・MDDの家族歴は、いずれの症状に関しても悪化の予測因子ではなかった。・潜在的なうつ要素で調整した後も、症状間の強い不均一性がみられた。・リスク因子は、DSMによるうつ病の症状にさまざまな影響を及ぼすことが示された。著者は、「病因学的に症状は不均一であることから、うつの診断に加えて個々の状況を考慮することは、症状総スコアの後ろに隠されている重要な知見提供に結びつく可能性がある」と述べている。関連医療ニュース 2つの質問でがん患者のうつ病を診断 うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能

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てんかん治療で新たな展開、患者評価にクラウド活用

 多様な電気生理学的シグナルのデータが急速に増えており、てんかんや睡眠障害など多岐にわたる疾患の患者ケアおよび臨床研究に重要な役割を果たしている。これらデータの2次利用を促進するため、多施設共同研究のontology(概念体系)と同様、新しいアルゴリズムの開発ならびにクラウドコンピューティング技術を用いた新たな情報科学的なアプローチが急務とされている。米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学のSatya S Sahoo氏らは、クラウドコンピューティング技術を用いた新たな情報科学的アプローチの有用性を明らかにするため、てんかん患者のデータに基づく心臓パラメータの算出を、従来デスクトップ上で行っていたアプローチと「Cloudwave」を活用したアプローチを比較した。その結果、後者は、大規模な電気生理学的データを活用しうる新しいアプローチであることを報告した。Journal of the American Informatics Association誌オンライン版2013年12月10日号の掲載報告。 「Cloudwave」は現在、てんかん患者における突然死のリスク因子を特定するための「National Institute of Neurological Diseases and Stroke(NINDS)-funded Prevention and Risk Identification of SUDEP(sudden unexplained death in epilepsy)Mortality(PRISM)」プロジェクトにおいて使用されている。本稿では、(a)MapReduce parallel programming frameworkによる心臓パラメータ算出のための並列化されたアルゴリズムの明確化、(b)大量の電気生理学的シグナルとの相互作用のリアルタイムでのサポート、(c)シグナルの視覚化、およびontology下のWebベースのインターフェースを用いた処理要求を文字列として表す機能などを実現したCloudwave platformを紹介している。研究グループは、てんかん患者のデータに基づく心臓パラメータ(QRS波、RR間隔、瞬時心拍数など)の算出にあたり、Cloudwaveと従来デスクトップで行っていたアプローチを比較評価した。 主な結果は以下のとおり。・評価の結果、Cloudwaveは従来のデスクトップで行っていたアプローチに比べ、1チャネルECGデータについては一桁の改善(向上)、4チャネルECGデータについては20倍の改善(向上)が認められた。・これにより、Cloudwaveはユーザーのシグナルデータとの相互作用(てんかんと発作の新しいontology)について、リアルタイムでサポートが可能となることが示唆された。・一方で著者は「Amazon Web Services などのcloud infrastructureおよびcloud platformsの使用にあたり、データのプライバシーは重要な課題である」と指摘し、「Health Insurance Portability and Accountability Act(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)の標準を認識しておくべきである」と提言している。そのうえで「Cloudwave platformは、多施設臨床研究の推進にあたり大規模な電気生理学的データを活用しうる新しいアプローチである」とまとめている。関連医療ニュース これからのうつ病治療はWebベース介入で変わるのか 世界初!「WEB版」気分変動アンケート、その後の臨床に有益 重度精神障害の機能評価ツール、その信頼性は

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