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パーキンソン病患者でみられる衝動性にセロトニンが関与か

 パーキンソン病では、たとえ衝動制御障害を認めない場合でも、一般に衝動性がよくみられる。それは、ドパミン過剰遊離、運動制御にかかわる前頭葉-線条体回路における構造変化など、複数の因子が関与していると思われる。さらに、動物による前臨床試験およびヒトの研究から、パーキンソン病における応答阻害に前脳へのセロトニン作動性投射の変化も寄与している可能性が示唆されている。英国・ケンブリッジ大学のZheng Ye氏らは、パーキンソン病患者でみられる衝動性のメカニズムを探り、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の有用性を明らかにする検討を試みた。Brain誌オンライン版2014年2月27日号の掲載報告。 本研究では、SSRIシタロプラムが、行動および神経メカニズムという観点から応答阻害を改善するか否かについてマルチモーダル磁気共鳴イメージング(MRI)研究を行った。試験デザインは二重盲検無作為化プラセボ対照クロスオーバー試験とし、衝動性などの実行機能を測定する Stop-signal 課題や Go/NoGo 課題を用いて実施した。特発性パーキンソン病患者21例(46~76歳、男性11例、Hoehn & Yahr stage:1.5~3)を対象とし、2つの時期に分けて、通常使用しているドーパミン作動薬にシタロプラム30mgまたはプラセボを追加した。マッチさせた健常対照20例(54~74歳、男性12例)は薬物を投与せずに測定した。行動および局所脳活性に及ぼす疾患と薬物の影響について、一般線形モデルを用いて分析した。さらに、拡散テンソル画像法(DTI)とそれを用いたTract-Based Spatial Statistics(TBSS)法により解剖学的関連性を検討した。 主な結果は以下のとおり。・プラセボ追加群は健常対照群と比較して、Go reaction timeに影響を及ぼすことなくStop-Signal Reaction Timeが長く、NoGo errorsが大きかったことから、パーキンソン病では応答阻害障害が惹起されていることを確認した。・この現象は、右下前頭葉における運動の実行中止に特異的な活性の減弱と関連していたが、NoGoに関連する活性においてプラセボ追加群と健常対照群の間で差は認められなかった。・シタロプラムによる有益な効果は確認されなかったが、より重症例(Unified Parkinson's Disease Rating Scaleの運動スコア高値)においてStop-Signal Reaction Time とNoGo errorsの軽減がみられ、下前頭活性が増強されていた。・シタロプラムに誘発される前頭前野領域の脳賦活の促進と前頭葉-線条体回路における構造連関の保持増強が、行動に影響していた。・シタロプラムの応答阻害に対する行動性への影響は、個々の前頭前野領域の脳賦活および前頭葉-線条体回路連関の相違に依存することが示唆された。また、疾患の重症度とシタロプラムの効果との関連は、前脳へのセロトニン作動性投射の減弱による可能性があると思われた。・これらの結果を踏まえて著者は、「本研究の結果は、認知および行動制御におけるセロトニンの重要な役割に関する広い理解に寄与するとともに、パーキンソン病を対象としたセロトニン作動性薬の臨床試験において、患者を層別化する際の新たなストラテジーを提供しうるものとなる」とまとめている。関連医療ニュース 自閉症スペクトラム障害に対するSSRIの治療レビュー 早漏症にSSRI、NO濃度との関連を確認 閉経期ホットフラッシュにSSRIが有効

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薬剤溶出ステントの直接比較、1年と5年では異なる結果に/Lancet

 ゾタロリムス溶出ステントとシロリムス溶出ステントを直接比較した多施設共同オープン無作為化試験SORT OUT IIIの1年時点と5年時点の臨床転帰を検証した結果、1年時点ではシロリムスの優越性が有意であったが、5年時点ではシロリムスの優越性が失われていたことが判明した。薬剤溶出ステントの直接比較試験では、主要エンドポイントの評価は伝統的に9~12ヵ月時点で行われてきたが、この時期での評価が最適なのかについては不明なままであった。デンマーク・オーフス大学病院のMichael Maeng氏らによる報告で、Lancet誌オンライン版2014年3月13日号で発表された。ゾタロリムスvs. シロリムス試験、最長5年追跡 SORT OUT III試験は、2種類の異なる薬剤溶出ステントを留置した患者の臨床転帰について評価することを目的に、デンマーク国内5ヵ所の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)センターで行われた。18歳以上の症候性適格患者2,332例が無作為に2群に割り付けられ、ゾタロリムス溶出エンデバースプリントステント(米国メドトロニック社製)もしくはシロリムス溶出サイファーセレクトプラスステント(米国コーディス ジョンソン&ジョンソン社製)の留置を受けた。 同試験の主要エンドポイントは、9ヵ月時点の主要重大心イベント(心臓死、心筋梗塞、標的血管再血行再建術の複合)であった。 今回の検討では、最長5年間フォローアップし、エンドポイントとして主要重大心イベントとステント血栓症の発生を含め評価した。分析は、intention to treatにて行った。1年時点まではシロリムスが優位だが、1~5年に逆転 被験者は、ゾタロリムス溶出ステント群1,162例、シロリムス溶出ステント群1,170例だった。 結果、追跡5年時点の主要重大心イベントの発生率は、両群間で同程度であった。ゾタロリムス群17.0%(197/1,162例)、シロリムス群15.6%(182/1,170例)で、オッズ比(OR)1.10(95%信頼区間[CI]:0.88~1.37、p=0.40)だった。 この所見の背景には、1年時点ではゾタロリムス群が有意に高率であったが(OR:2.13、95%CI:1.48~3.07、p<0.0001)、1~5年の間の発生が逆転しシロリムス群で発生が有意に高率となっていたことがあった(OR:0.78、95%CI:0.59~1.02、p=0.071)。 ステント血栓症も1年時点では、ゾタロリムス群の発生頻度が有意に高かったが(OR:3.34、95%CI:1.08~10.3、p=0.036)、1~5年の間の発生が逆転していた(OR:0.05、95%CI:0.01~0.36、p=0.003)。標的血管再血行再建術は、1~5年の間に、ゾタロリムス群30%(26/88例)であったのに対しシロリムス群は77%(54/70例)となっていた。 これらの結果を踏まえて著者は、「薬剤溶出ステント留置患者の5年転帰を、伝統的に行われている1年時点の主要エンドポイント評価で予測するには不十分と思われる」とまとめている。

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認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは

 認知症は患者の実体験に影響を及ぼす重大な疾患にもかかわらず、症状変動に関する研究報告はレビー小体型認知症を除けば少ない。カナダ・ダルハウジー大学のKenneth Rockwood氏らは、アルツハイマー病(AD)および混合型認知症患者における症状変動の特徴を明らかにするため質的検討を行った。International psychogeriatrics誌オンライン版2014年2月24日号の報告。 対象は地域住民患者52例(女性:30例、年齢:39~91歳、軽度認知症:26例、ADが主体の認知症患者:36例)。対象患者の調子のよい日、悪い日(good days/ bad days)を記載した情報を含む健康記録の定性分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・調子のよい日/ 悪い日は、ほとんどの場合、主な症状の変化(たとえば反復言語の少/多)と同様に観察された。・その他のケースでは、調子のよい日のみ、または悪い日のみで観察された。たとえば、ユーモアセンスは調子の悪い日はないが、良い日はユーモアセンスが良い。・概して、調子のよい日は、全体的な認知、機能、興味、イニシエーションの改善と関連していた。・調子の悪い日は、頻繁な反復言語、物忘れ、興奮症状や他の破壊的行動の増加と関連していた。 著者らは、「ADおよび混合型認知症患者では、臨床的に重要な症状変動が一般的に起こる。調子のよい日を増やすことは、悪い日の増減ほど簡単ではないが、よい日を促進・喚起し悪い日を減らす要因について、より詳細な調査することが、認知症患者や介護者のQOL改善に重要である」とまとめている。関連医療ニュース 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能

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メタ解析の新たな問題/BMJ

 ネットワークメタ解析からの所見報告は、記述方法が不均一であることが、フランス・オテル=デュー病院のAida Bafeta氏らによる系統的レビューの結果、報告された。著者は、背景には報告要項に関するコンセンサス不足があるのではないかとして、執筆者および読者がネットワークメタ解析の報告を批判的に検証できるよう、報告書に関するガイドライン整備の必要性を提言した。ネットワークメタ解析の所見については、臨床医および担当医がどう解釈をしたらよいのか困難な場合がある。また、報告書式の不備が解析に影響をもたらす可能性や、臨床研究者をミスリードする可能性もあることから本検討は行われた。BMJ誌オンライン版2014年3月11日号掲載の報告より。報告の記述方法がどのような状況かを系統的レビュー ネットワークメタ解析報告の方法論に関する系統的レビューは、Cochrane Database、Database of Abstracts of Reviews of Effects、Medline、Embaseをデータソースに、各ソースの提供開始~2012年7月12日を文献検索範囲として行われた。 無作為化試験で3つ以上の介入方法の臨床的効果を比較しているすべてのネットワークメタ解析を適格とし(オープンループ型で3つの介入をメタ解析しているものは除外)、報告方法と結果について評価した。具体的には、ネットワークに関する説明(介入数、直接比較、無作為化試験、各比較群の患者について)および効果サイズ(直接的エビデンス、間接的エビデンス、ネットワークメタ解析について)の複合アウトカムを評価した。ネットワークまたは効果サイズに関する説明、98%に不備 レビューには121本のネットワークメタ解析が包含された。うち55本は総合誌で発表されたものであり、また48本が1つ以上の民間事業体から資金提供を受けたものであった。 分析の結果、100本(83%)において、ネットワークおよびそのジオメトリー(ネットワーク図)に関する説明が報告されていなかった。また効果サイズは、直接的エビデンスについては48本(40%)、間接的エビデンスは108本(89%)、ネットワークメタ解析については43本(36%)で報告されていた。 介入に関するランク付けをしていたのは52本あったが、うち43本はランク付けの不確実性について報告がなかった。 全体として119本(98%)が、ネットワークまたは効果サイズ(直接的エビデンス、間接的エビデンス、ネットワークメタ解析)の説明が報告されていなかった。 以上の所見は、ジャーナルのタイプ、資金調達ソースを問わず認められたという。

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ACTH非依存性クッシング症候群の病因解明に大きく前進(コメンテーター:成瀬 光栄 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(188)より-

ACTH非依存性クッシング症候群は、副腎からのコルチゾールの自律性分泌により高血圧や糖尿病などをきたす疾患で、副腎腺腫と両側が結節性過形成になるACTH非依存性大結節性副腎過形成(AIMAH)が主な病型である。 通常、前者では腺腫側の副腎摘出で治癒するのに対して、後者では両側副腎摘出が必要なことが多く、副腎不全による永続的なホルモン補充が必要となる。いずれも成因は不明であったが、本論文により、顕性クッシング症候群の約1/3の例で、プロテインキナーゼA(PKA)の触媒サブユニットをコードするPRKACAのsomatic mutationを認めることが明らかにされた。この変異は、サブクリニカルクッシング症候群やその他の副腎腫瘍では見られず、顕性クッシング症候群に特異的であると考えられる。 さらに、AIMAHでは1/7例でPRKACAのある第19染色体のgermline duplicationを認めた。PRKACAの変異はPKA活性を増加することも示されたことから、PKAの触媒サブユニットの遺伝子変異が、ACTH非依存性クッシング症候群の成因と密接に関連することが示唆される。 これらの結果は、本病態の新たな分子標的薬の開発や、AIMAHの早期診断、および高血圧や糖尿病発症前の予防的治療に繋がることが期待され、大変興味深い。 一方、腺腫例の約2/3、AIMAHの6/7ではこれらの異常を認めず、昨年11月に発表された、16染色体にあるARMC5の変異(Assié G, et al. N Engl J Med. 2013; 369: 2105-2114.)など、その他の異常の関与が示唆される。 また、サブクリニカルクッシング症候群は顕性クッシング症候群の軽症例と考えられてきたが、今回の結果から成因が全く異なる可能性もあり、今後のさらなる研究が期待される。

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海水温泉浴+ナローバンドUVBが乾癬治療に有用

 乾癬治療として、アイスランド大学のJenna Huld Eysteinsdottir氏らは、海水温泉浴+ナローバンドUVB(NB-UVB)療法とNB-UVB単独療法を比較する無作為化試験を行った。同治療として、海水浴+NB-UVB療法はすでに知られている。今回の検討では、海水温泉浴併用について標準療法と強化療法を設定し、NB-UVB単独を含め3つのUVB療法について比較することが目的であった。Photodermatology Photoimmunology & Photomedicine誌2014年2月号(オンライン版2013年12月10日号)の掲載報告。 研究グループは、乾癬外来患者を、海水温泉浴+NB-UVB標準療法、海水温泉浴+NB-UVB強化療法、NB-UVB単独療法の3群に無作為化し、6週間にわたり治療を行い、その効果について比較する検討を行った。標準療法群は週3回、強化療法群は毎日、NB-UVB単独群は週3回治療を行った。 疾患重症度(PASI、Lattice System Physician's Global Assessmentスコア)、QOL(皮膚状態に関連する生活の質:DLQI)、治療前・中・後に評価した組織学的変化を評価した。主要エンドポイントは、6週時点のPASI 75達成患者の割合であった。 主な結果は以下のとおり。・被験者は68例であった。・6週時点のPASI 75およびPASI 90の達成患者の割合は、海水温泉浴併用療法の標準療法(週3回)群で68.1%と18.2%、強化療法(毎日)群で73.1%と42.3%と、いずれもNB-UVB単独群の16.7%と0%と比べて有意に多かった(すべての比較についてp<0.05)。・臨床的改善は、QOLの改善、組織学的スコア、NB-UVB用量の減少と連動していた。・これらの結果を踏まえて著者は、「乾癬患者について、NB-UVBと海水温泉浴の組み合わせは、速やかな臨床的および組織学的改善をもたらし、寛解期を長期に維持し、NB-UVB単独療法よりも低用量のNB-UVB治療を可能とする」とまとめている。

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欧米で普及するハロセラピー COPDに有効か

 ハロセラピーとは、岩塩の洞穴に似せた空洞の中で、塩のエアロゾル(空気中に浮遊する微粒子)を吸入する療法である。最近、この療法がCOPDの症状を改善させる可能性があるという医療報告がある。今回、オーストラリア・ウェスタンシドニー大学のRachael Rashleigh氏らはCOPD治療におけるハロセラピーのエビデンスを評価、要約することを目的に、レビューを行った。International journal of chronic obstructive pulmonary disease誌オンライン版2014年2月21日号の掲載報告。 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は慢性かつ進行性の疾患であり、現在、症状(とくに呼吸機能)の改善には吸入による薬物治療が行われている。著者らは、COPD治療におけるハロセラピーのエビデンスを評価、要約することを目的に、系統的なアプローチと叙述的総説によりレビューを行った。対象としたのは、コクラン比較臨床試験登録、PuBMed、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、Google Scholarのデータであった。2人のレビュアーが独立して、あらかじめ規定した選択基準を満たしたアブストラクトと研究のレビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・データベースやリファレンスから151報が選定され、1つの無作為化比較試験が組み入れ基準を満たしていた。・公表されている研究の数が少ないため、メタアナリシス解析はできなかった。・その後、組み入れ基準を拡大し、3つの症例対象研究が組み入れられたことにより、叙述的総説ができあがった。・4つの研究の蓄積データから、1,041例(661例:治療介入群、380例:対照群)が研究の対象となった。・方法論的な質の評価では、ランダム化と患者選定が問題点としてあげられた。・叙述的総説の結果により、呼吸機能、QOL、薬剤使用の3つのテーマが同定された。 叙述的総説により明らかになった3つのテーマは、COPD患者に対する薬剤介入研究において、定常的に用いられる評価基準でもあった。著者らは「現時点では、COPD治療にハロセラピーを含めるかどうかについては判断することができない。本療法の有効性を検証するために、より質の高い研究が必要である」としている。

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日本の小学6年生、2人に1人がスギ花粉に感作

 日本の小学1年生220例を6年間追跡し、スギ花粉感作の既往および新規発症について調べた結果、1年生時点で31.4%がスギ花粉への感作を有しており、卒業までに14.5%が発症、未感作であった児童は54.1%であったことが、大阪医科大学耳鼻咽喉科学教室の金沢 敦子氏らにより報告された。スギ花粉症有病率は15.8%で、スギ花粉感作はハウスダスト感作と強く関連していることなども明らかになったという。Allergology International誌2014年3月号の掲載報告。 日本では1980年代からスギ花粉症が増加している。これまで、小学生においてスギ花粉症IgEの陽性率が増えていること、1992~1994年において中学生の有病率が17.1%であったとの報告はあるが、小学生の有病率および発現率については明らかにされていなかった。 研究グループは、スギ花粉感作およびスギ花粉症発症の予防可能な因子を明らかにすることを目的に、小学生を対象とした6年間の追跡観察研究を行った。1994年~2007年にかけて、毎年5~6月に、血清スギ花粉IgEとハウスダストIgEを測定し、また鼻炎症状の有無について調べた。 主な結果は以下のとおり。・小学生220例(男児49.1%)が、1年生時から6年生時まで毎年、調査を受けた(途中脱落なし)。・1年生時に、69例(31.4%)がスギ花粉IgE陽性(0.70 IU/mL以上)であった。・6年間で、32例(14.5%)にスギ花粉感作が新たに認められ、未感作であったのは119例(54.1%)であった。・スギ花粉IgE値は、高学年になるほど増加したが、ハウスダストIgE値は学年と相関していなかった。・スギ花粉症状の有病率は、6年間で増加するとの傾向は認められなかった(1年生時30%、6年生時40%)。なお、本研究におけるスギ花粉症(症状と感作を有する)児は15.8%であった。・1年生時に、ハウスダストIgE陽性でスギ花粉IgE陰性であった児童(16例)は、6年生までに56%(9例)がスギ花粉感作を発症した。対照的に、1年生時にハウスダストIgE陰性であった児童(135例)では、発症は15%(23例)のみであった。ハウスダストIgE陽性は、2年生以降でのスギ花粉感作の発症に有意な影響を有していた(p=0.001)。・以上を踏まえて著者は、「ハウスダスト特異的感作は、スギ花粉IgE上昇に寄与する、スギ花粉症の主要なリスク因子である。ただし、ハウスダスト感作の発症時期は就学前で、この発症時期により、ハウスダスト感作とスギ花粉感作は見分けられた」とまとめている。

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統合失調症治療、家族への介入に効果はあるか

 支援的でポジティブな家族がいることは、統合失調症患者のアウトカムを改善する。一方で、家族が批判的で敵対的あるいは関与が過剰な場合は、アウトカムが不良で再発頻度が高いことが示唆されている。そこで現在、ポジティブ環境を広め、家族間の感情レベルを低減するようデザインされた心理社会的介入が、広く導入されるようになっている。英国・ノッティンガム大学のUzuazomaro Okpokoro氏らは、統合失調症もしくは統合失調症様障害患者の短期的家族介入の効果を評価することを目的にレビューを行った。Cochrane Database Systematic Reviews誌オンライン版2014年3月5日号の掲載報告。 CINAHL、EMBASE、MEDLINE、PsycINFOをベースとするCochrane Schizophrenia Group Trials Registerを2012年7月時点で検索し、さらに選出した試験の参考文献も調べて試験を検索し、著者と連絡して追加情報も得た。適格とした試験は、統合失調症もしくは統合失調症様障害患者の家族に焦点が当てられ、短期的心理社会的介入と標準ケアとの比較に関連していたすべての無作為化試験であった。試験の選択、質的評価およびデータ抽出は厳格に行われた。バイナリアウトカムについて、標準推定リスク比(RR)とその95%信頼区間(CI)を算出。また連続アウトカムについて、グループ間の平均差(MD)とその95%CIを算出し、主要アウトカムやサマリーに記された所見のエビデンスの質をGRADEにて評価した。なお、包含試験のバイアスリスクについても評価した。 主な結果は以下のとおり。・レビューに組み込むことができたのは、4本の無作為化試験、被験者計163例のデータであった。・結果、短期的家族介入が、患者の医療サービスの利用を抑制するかどうかは不明であった。・結果の大半は長期的で不確かなものであり、主要アウトカムとして入院に関するデータを報告していたのは、1試験(30例)のみであった(RR:0.50、95%CI:0.22~1.11、質的エビデンス:非常に低い)。・また再発に関するデータも、中期的で不確かなものであった(1試験・40例、RR:0.50、95%CI:0.10~2.43、質的エビデンス:低い)。・一方で、家族アウトカムに関するデータのうち、家族メンバーの理解が短期的家族介入を有意に支持することを示した(1試験・70例、MD:14.90、95%CI:7.20~22.60、質的エビデンス:非常に低い)。・入院日数、有害事象、服薬コンプライアンス、QOLまたはケアへの満足感、あらゆる経済的アウトカムなどに関するその他のアウトカムデータを報告した試験はみられなかった。・著者は、「今回、データを抽出した試験の規模および質により、顕著なレビュー結果は得られなかった。分析したアウトカムも極小でメタ解析はできなかった。また、サマリー所見におけるすべてのアウトカムの質的エビデンスは、低い(もしくは非常に低い)ものであった」とした。そのうえで、「しかしながら、需要があり、役立つリソースであるとの現状から、短期的家族介入の重要性は完全に退けられるべきではない」と述べ、「短期介入のデザインは大規模試験でより効果的となるよう修正することが可能であり、同時に臨床現場に十分な影響力をもたらす可能性があるだろう」とまとめている。関連医療ニュース この25年間で統合失調症患者の治療や生活環境はどう変わったのか? 複雑な薬物療法レジメン、認知症介護者の負担増加 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始

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血圧長期変動性よりも若年時の血圧が、冠状動脈石灰化スコアに影響を及ぼすことが明らかになる(コメンテーター:石上 友章 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(186)より-

高血圧のもつリスクは、大きく二種類に分けることができる。固有の血圧値に由来するリスクと、変動する血圧値に由来するリスクの2つである1)。 近年、ABPMや家庭血圧計の普及により、高血圧治療の質を高めるために、日内変動や、日間変動といった血圧変動を評価することが勧められている2)。現時点では、それぞれの変動幅の抑制や、改善にどのクラスの降圧薬が有効なのかについては、探索的な研究の結果が報告されている程度にとどまっている3)。将来、降圧薬ではなく、変動性改善薬というような、新規の薬物が有効とされるかもしれないが、今後の研究成果を待たなければならないだろう。 Allenらによる本論文では、CARDIA研究のコホートを対象に、25年という長期間にわたるデータから、若年時の血圧値および、中年期にかけての血圧長期変動性の違いにより、対象が5種類のTrajectoryに分類(five discrete trajectory groups)されることを報告している。 さらに25年の時点での、マルチスライスCTによる冠状動脈石灰化スコアを指標にした解析の結果、観察開始時点で血圧が上昇している(Elevated)グループでは、その後の血圧が安定していても(Stable)、上昇(Increasing)しても、有意に冠状動脈石灰化スコアが高かった。開始時点で中等度の血圧を呈して、25年の間に高値安定群よりも血圧が高値になる、中等値-上昇(Moderate-increasing)群では、石灰化スコアに与える影響は有意ではなかった。このことは、血圧の長期変化よりも、起点となる血圧値が予後に影響を与えていることを示唆している。 冠動脈石灰化スコアという、静的なエンドポイントによる評価であり、プラーク破綻といった生命予後に直結する動的なエンドポイントに与える影響については、改めて検討しなくてはならないだろう。本研究では、交絡する複数のリスクについてModel 1~Model 3の3パターンで検討している。年齢、人種、教育歴、性別、降圧薬の使用、脂質、糖尿病、喫煙、BMI (以上Model 1)、さらには開始時血圧 (Model 2)、25年時血圧 (Model 3)で補正しても、この関係はかわらない。Model 2の解析による結果は、一見すると開始時血圧の重みについて一貫してないようにもみえるが、本論文では他の交絡因子についての詳細なデータの提示がないので、より深く検討することはできない。 今後は、本コホートに由来する続報や、他の報告による結果に期待したい。

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アトピー性皮膚炎、自家血療法の効果に迫る

 先行研究において、アトピー性皮膚炎(AD)患者における自家血療法(ABT)の臨床的有効性が無作為化二重盲検プラセボ対照試験によって示されているが、韓国・亜洲大学校のSu-Mi Cho 氏らによる検討の結果、同効果をもたらしている血液成分は、高分子量の血漿蛋白分画に存在する可能性が示唆された。Dermatology誌2014年2月号(オンライン版2013年12月10日号)の掲載報告。 研究グループは本検討において、先行研究で示されたADに対するABTの有効性をもたらした血液成分を明らかにすることを目的とした。また、自家血漿療法(APT)と自家高分子血漿蛋白分画療法(AHPT)の臨床的効果について評価した。 難治性のAD患者について、7週間で計8回の筋注によるAPTもしくはAHPTを行った。投与は、0~3週目の4回は2mL、4~7週目の4回は5mLであった。 主要有効性アウトカムは、ADの臨床的重症度の変化で、SCORAD測定により評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、APT群11例(男性8例、26.6±7.3歳)、AHPT群11例(男性8例、26.5±4.7歳)の計22例であった。SCORAD 50点超の重症AD患者は両群とも10例ずつであった。また、APT群の5例、AHPT群の3例が、試験登録より3ヵ月超前にシクロスポリン療法を受けていた。・結果、AHPT群の治療を完了した患者11例は、SCORADが有意に低下した。ベースライン時79.7±17.0点から、6週時点65.8±16.4点、7週時点60.1±16.0点であった(Wilcoxon signed-rank検定p<0.05)。・一方、APT群で治療を完了した10例は、SCORADの変化は有意ではなかった。ベースライン時74.2±19.6点から、6週時点66.3±23.6点、7週時点67.5±20.8点であった(p>0.05)。・治療反応(臨床的重症度スコアがベースライン時から30%以上減少した患者の割合)については、両群で有意差はみられなかった(p=0.08)。・以上を踏まえて著者は、「本検討において、難治性ADについてAHPTは有意な臨床的改善をもたらすことが示された。このことは、AD患者のABTにおける効果をもたらしている血液成分は高分子量血漿蛋白分画であることを示唆する。さらなる検討により、ABT治療の作用機序を明らかにする必要がある」とまとめている。

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早期前立腺がん、根治切除の長期生存ベネフィットが判明/NEJM

 根治的前立腺切除術は、前立腺がん患者の長期的な生存を実質的に改善することが、スウェーデン・ウプサラ大学のAnna Bill-Axelson氏らが進めるScandinavian Prostate Cancer Group Study Number 4(SPCG-4)の最長23年以上に及ぶ追跡調査で確認された。SPCG-4は前立腺特異抗原(PSA)の臨床導入以前に診断された患者を対象とし、すでに15年のフォローアップにおける根治的前立腺切除術の生存ベネフィットが示されている。一方、PSA検査導入初期に行われたProstate Cancer Intervention versus Observation Trial(PIVOT)では、手術による12年後の全死亡、前立腺がん死の改善効果は得られておらず、PSA検診の影響の大きさが示唆されている。NEJM誌2014年3月6日号掲載の報告。診断時年齢、腫瘍リスクで層別化した無作為化試験 SPCG-4は、早期前立腺がん患者に対する根治的前立腺切除術と待機療法(watchful waiting)の転帰を比較する無作為化試験である。1989~1999年に、年齢75歳未満、10年以上の余命が期待され、他のがんに罹患していない限局性前立腺がんの男性が登録された。 患者は根治的前立腺切除術または待機療法を行う群に無作為に割り付けられ、最初の2年間は6ヵ月ごとに、その後は1年ごとに、2012年までフォローアップが行われた。今回は、フォローアップ期間18年のデータの解析が行われた。 主要評価項目は全死因死亡、前立腺がん死および転移リスクであり、副次評価項目はアンドロゲン除去療法の導入などとした。診断時年齢(65歳未満、65歳以上)および腫瘍リスク(Gleasonスコア、PSA、WHO分類で低、中等度、高リスクに分けた)で層別化して解析を行った。全体および65歳未満では全主要評価項目が手術群で有意に良好 695例が登録され、根治的前立腺切除術群に347例が、待機療法群には348例が割り付けられた。ベースラインの患者背景は両群で同等であり、平均年齢はともに65歳、全体の平均PSA値は約13ng/mLであった。 2012年12月31日までに、根治的前立腺切除術群の294例が手術を受け、待機療法群の294例が根治的治療を受けなかった。フォローアップ期間中央値は13.4年(3週間~23.2年)。 フォローアップ期間中に447例(64%)が死亡し、そのうち200例が手術群、247例は待機療法群であり、フォローアップ期間18年時の累積死亡率はそれぞれ56.1%、68.9%と、手術群で全死因死亡率が有意に低かった(絶対リスク低下率:12.7%、95%信頼区間[CI]:5.1~20.3、相対リスク:0.71、95%CI:0.59~0.86、p<0.001)。1例の死亡を防ぐのに要する治療例数(NNT)は8例であった。手術群の1例が術後に死亡した。 前立腺がん死は手術群が63例(17.7%)、待機療法群は99例(28.7%)で、手術群の絶対リスク低下率は11.0%(95%CI:4.5~17.5)、相対リスクは0.56(95%CI:0.41~0.77)であり、有意な差が認められた(p=0.001)。 遠隔転移(26.1 vs 38.3%、絶対リスク低下率:12.2%、95%CI:5.1~19.3、相対リスク:0.57、95%CI:0.44~0.75、p<0.001)およびアンドロゲン除去療法導入(42.5 vs 67.4%、25.0、17.7~32.3、0.49、0.39~0.60、p<0.001)も、手術群で有意に少なかった。 前立腺がん死に関する手術のベネフィットには、診断時年齢65歳未満(相対リスク:0.45、p=0.002)および中等度リスクがん(0.38、p<0.001)では有意な差が認められた。65歳未満の患者の手術のNNTは4例であった。また、65歳以上の患者では、転移のリスクが手術群のほうが有意に低かった(0.68、p=0.04)。 著者は、「長期フォローアップにより、根治的前立腺切除術の実質的な死亡率抑制効果が確証された。また、年齢や腫瘍リスクで手術の治療効果に違いがみられ、NNTは経時的に低下した。65歳未満の患者では3つの主要評価項目はいずれも手術群で有意に良好であった。なお、待機療法群の長期生存例の大部分は緩和治療を必要としなかった」とし、「限局性前立腺がんのカウンセリングの際には、長期的な疾病負担として、生存以外に転移のリスクとそれに伴う緩和治療のQOLへの影響を考慮すべきであることがあらためて示唆された」と指摘している。

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気道感染症への抗菌薬治療 待機的処方 vs 即時処方/BMJ

 気道感染症に対する抗菌薬治療では、即時的処方に比べ待機的処方で抗菌薬服用率が顕著に低いが、症状の重症度や持続期間に差はないことが、英国・サウサンプトン大学のPaul Little氏らの検討で示された。同国のプライマリ・ケアでは、気道感染症の治療の際、抗菌薬の不必要な使用を抑制するために非処方または待機的処方という戦略が一般に行われている。一方、文献の系統的レビューでは、待機的処方は即時的処方に比べ症状の管理が不良であり、非処方よりも抗菌薬の服用率が増加する可能性が示唆されている。待機的処方には、服用に関する指示書を付して処方薬を渡したり、再受診時に渡すなどいくつかの方法があるが、これらの戦略を直接に比較した試験は、これまでなかったという。BMJ誌オンライン版2014年3月5日号掲載の報告。個々の待機的処方戦略の有効性を無作為化試験で評価 研究グループは、急性気道感染症に対する待機的抗菌薬処方の個々の戦略の有効性を比較する無作為化対照比較試験を実施した。2010年3月3日~2012年3月28日までに、イギリスの25のプライマリ・ケア施設(医師53人)に3歳以上の急性気道感染症患者889例が登録された。 即時的抗菌薬処方が不要と判定された患者が、次の4つの待機的処方群に無作為に割り付けられた。1)処方薬を再受診時に渡す群、2)処方薬を後日に受け取る先日付処方群、3)処方薬は出さないが患者が自分で入手してもよいとする群、4)すぐには服用しないなどの指示書と共に処方薬を渡す群(患者主導群)。2011年1月に、さらに抗菌薬非処方群を加え、5群の比較を行った。 主要評価項目は2~4日目の症状の重症度(0~6点、点数が高いほど重症)とし、抗菌薬の服用状況、患者の抗菌薬の効果への信頼、即時的抗菌薬処方との比較なども行った。個々の待機的処方戦略には大きな差はない 333例(37%)が即時的抗菌薬処方の適応とされ、残りの556例(63%)が無作為化の対象となった(非処方群:123例、再受診群:108例、先日付群:114例、入手群:105例、患者主導群:106例)。即時的処方群でベースラインの症状の重症度がわずかに高く、下気道感染症が多く上気道感染症が少ない傾向がみられたが、非処方群と個々の待機的抗菌薬療法群の患者背景に差は認めなかった。 非処方群と個々の待機的処方群で症状の重症度に大きな差は認めなかった。重症度スコアの粗平均値は、非処方群が1.62、再受診群は1.60、先日付群は1.82、入手群は1.68、患者主導群は1.75であった(尤度比χ2検定:2.61、p=0.625)。 やや悪い(moderately bad)またはより悪い(worse)症状の持続期間にも、非処方群(中央値3日)と待機的処方群(中央値4日)で差はみられなかった(尤度比χ2検定:4.29、p=0.368)。 診察に「たいへん満足」と答えた患者は非処方群が79%、再受診群は74%、先日付群は80%、入手群は88%、患者主導群は89%(尤度比χ2検定:2.38、p=0.667)、「抗菌薬の効果を信用する」と答えた患者はそれぞれ71%、74%、73%、72%、66%(同:1.62、p=0.805)であり、抗菌薬服用率は26%、37%、37%、33%、39%(同:4.96、p=0.292)であった。 これに対し、即時的処方群の大部分(97%)が抗菌薬を服用しており、効果を信用する患者の割合も高かった(93%)が、症状の重症度(粗平均値1.76)や持続期間(中央値4日)は、待機的処方群に比べて高いベネフィットはみられなかった。 著者は、「非処方や待機的処方では抗菌薬服用率が40%以下であり、即時的処方に比べ抗菌薬の効果を信頼する患者は少なかったが、症状の転帰は同等であった」とまとめ、「患者に明確なアドバイスをする場合、待機的処方戦略のうちいずれの方法を選択しても差はほとんどないとしてよいだろう」としている。

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注射治療で二重顎を解消、いよいよ現実味

 ドイツ・シャリテ大学病院のB. Rzany氏らは、363例を対象とした第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、新たに開発したATX-101の注入治療が、顎の下の不要な脂肪(SMF)解消に有効であり忍容性も良好であったことを報告した。ATX-101は、デオキシコール酸を含み、脂肪細胞を溶解する注射剤である。これまで二重顎の解消には、侵襲的であるかエビデンスの不足した解消法しか存在しておらず、新たな治療アプローチとしてATX-101の注入治療の検討が進められていた。British Journal of Dermatology誌2014年2月号の掲載報告。 ATX-101の二重顎解消の有効性および安全性を評価した試験は、SMFが中等度/重度であった363例を対象に行われた。被験者を無作為に、ATX-101(1あるいは2mg cm-2)またはプラセボ注射群に割り付けて、28日間隔で最大4回の治療を行い、12週間フォローアップした。 主要有効性エンドポイントは、治療反応者の割合(5点評価のClinician-Reported Submental Fat Rating Scale[CR-SMFRS]でSMFが1点以上改善した患者)と、Subject Self-Rating Scale(SSRS)で評価した顔と顎の外見に対し満足している患者の割合の2つであった。副次エンドポイントには、皮膚のたるみ、キャリパー測定値、患者報告のアウトカムなどが含まれた。 主な開発に関する報告は以下のとおり。・ATX-101群のほうがプラセボ群と比べて、より多くの患者が主要エンドポイントを達成した。・治療者評価スケールのCR-SMFRSに関する達成者は、ATX-101の1 mg cm-2治療群59.2%、同2mg cm-2治療群65.3%に対し、プラセボ群は23.0%であった(p<0.001)。・患者評価スケールのSSRS(顔/顎の外見に満足)についても、それぞれ53.3%、66.1%、28.7%であった(p<0.001)。・その他、ATX-101群はプラセボ群と比較して、SMFのキャリパー測定値が有意に減少し(p<0.001)、皮膚のたるみの悪化もみられなかった。また、ATX-101群の患者は、SMFの重症度および心理的影響についての改善を報告した。・有害イベントは治療部位と関係していたが、大半が一過性のものであった。

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治療抵抗性うつ病に対し抗精神病薬をどう使う

 治療抵抗性の大うつ病性障害(MDD)患者に対して非定型抗精神病薬による増強療法を行う場合、どのような投与パターンが適切なのだろうか。韓国・カトリック大学校のChi-Un Pae氏らは、MDDに対する増強療法におけるアリピプラゾールの投与パターンについて、過去の使用経験をもとに検討を行った。International clinical psychopharmacology誌2014年3月号の報告。 2009年1月1日から2012年3月31までの間に抗うつ薬とともにアリピプラゾールの増強療法を施行したMDD患者276例を対象に、電子カルテや臨床データをレビューした。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾール増強療法の平均期間:約5ヵ月・初回投与から増量するまでの平均期間:約3週間・平均初回投与量:3.4mg/日・平均初回タイトレーション用量:4.2mg/日・平均最大投与量:4.7mg/日・平均維持用量:4.4mg/日・主な有害事象:不眠、不安、鎮静 これらの結果から、著者らは「治療抵抗性のMDD患者に対しアリピプラゾール増強療法を行う場合には、プラセボ対照臨床試験や米国FDAが推奨する投与量よりも低用量で効果が期待できる」としたうえで、「とくに実臨床におけるルーチンのMDD治療において、低用量アリピプラゾールの増強療法をより正確に理解するために、十分な検出力を備え、適切な対照を置いた前向き研究が必要である」と述べている。■関連記事難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用かうつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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COPD増悪入院患者の約半数で無呼吸症候群

 COPD増悪入院患者では、一般集団や安定期COPD患者と比べて、睡眠時無呼吸症候群(OSA)の有病率が高いことが、チェコ共和国・St. Anne's大学病院のPavel Turcani氏らによる検討の結果、明らかにされた。COPDとOSAの併存は、オーバーラップ症候群として広く認識されている。しかし、安定期COPD患者のOSA有病率に関するエビデンスは限定的なものしかなく、COPD増悪入院患者のOSA有病率のデータはなかった。Biomedical Papers of the Medical Faculty of the University Palacky誌オンライン版2014年2月25日号の掲載報告。 先行研究において、COPD有病率はEUでは4~6%、米国成人集団では5%超と報告されており、またOSAについては一般集団で5~15%との報告がある。一方、COPDとOSAの併存については、最大29%との研究報告がある一方で、両者の結びつきを否定する報告もあった。 研究グループは、COPD増悪入院患者におけるOSA併存者の割合を明らかにすること、また、COPD被験者に認められるOSAの交絡因子を明らかにすることを目的に、2013年2月から5月の4ヵ月間に、St. Anne's大学病院の呼吸器科部門にCOPD増悪で入院した101例の患者を対象に検討を行った。 試験には79例の連続患者が登録され、そのうち35例にポリグラフィを実施。記述統計、マン-ホイットニー検定、クラスカル-ウォリス検定、スピアマン相関分析、フィッシャー検定にて結果を要約・評価した。 主な結果は以下のとおり。・ポリグラフィを実施した35例のうち、無呼吸低呼吸指数(AHI)5以上のOSAを有することが示唆されたのは18例(51.4%)であった。AHI 5~15が9例、同15超が9例であった。・AHIは睡眠障害の重症度分類指標であると同時に、「Mallampatiスコア分類」「いびき」「無呼吸」「冠動脈疾患」「糖尿病既往」「身長」「BMI」「頸囲」「ウエスト周囲径」「ヒップ周囲径」「エプワース眠気尺度」とそれぞれ有意な相関関係を示した。■「COPD増悪」関連記事COPD増悪抑制、3剤併用と2剤併用を比較/Lancet

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統合失調症と双極性障害の違い、脳内の炎症/ストレスに派生

 統合失調症と双極性障害は、発症の前兆や生物学的側面にいくつかの共通した特徴を有している。また先行研究において、両疾患を有する患者の脳において、神経免疫とストレスのシグナル経路に異常が認められることが確認されている。しかし、これまで両者の関連性については明らかにされていなかった。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のS G Fillman氏らは、脳内のストレス反応により生じた変質と神経免疫/炎症状態が疾患を特徴づけていると仮定し検証を行った。Translational Psychiatry誌2014年2月25日号の掲載報告。 本検討では、次の3点を評価することが目的であった。(1)ストレスと炎症性システム応答の鍵となるメディエーターの変化の発生が、統合失調症と双極性障害患者のサブセットでどの程度共通しているかを調べること、(2)統合失調症と双極性障害の診断患者別に、前頭皮質における炎症およびストレスシグナルシステムについて分子病理学的に共有していた割合を調べること、(3)同様のサブセットにおけるその他の分子的変化の特徴を調べること。これらについてStanley Array Cohortを対象に、遺伝子発現を調べ評価した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者35例、双極性障害患者34例、対照被験者35例について評価した。・8つの炎症に関連する転写遺伝子を用いて調べた結果、統合失調症患者において、そのうちの1つであるSERPINA3発現の有意な増大がみられた(F(2,88)=4.137、p<0.05)。・また、以前に調査したことのある12の糖質コルチコイドレセプター(ストレス)シグナル経路転写遺伝子を用いて、被験者を2つの炎症/ストレス集団(高値群と低値群)に分類した。・その結果、高炎症/ストレス群(32例)は統合失調症患者が有意に多く(15例)、双極性障害患者が多い(11例)傾向が、対照群(6例)と比べて認められた。・また、同サブグループ患者において、ingenuity解析法により、マイクロアレイ評価による転写変化が高炎症/ストレス群と関連している可能性を調べた。その結果、免疫系、成長因子、シグナル抑制を含む遺伝子発現変化のネットワーク拡大、および細胞死がこれらのグループを特徴づけることが明らかになった。・以上を踏まえて著者は、「統合失調症と双極性障害におけるいくつかの異なる点は、一部の炎症性/ストレスの相互作用によるものであると説明できること、この生物学的サブタイプは、診断カテゴリーのDSM全体にわたっていることが、今回の検討によって示唆された」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症と双極性障害、脳の違いはどこか 統合失調症の認知機能改善に、神経ステロイド追加 双極性障害の診断、DSM-IV-TRでは不十分

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MMR生ワクチンは不活化混合ワクチンより全感染症入院を減少/JAMA

 麻疹・流行性耳下腺炎・風疹(MMR)生ワクチン接種は、最新のワクチンである不活化混合ワクチン(DTaP-IPV-Hib)接種と比べて、全感染症入院の減少と関連することが示された。デンマーク・Statens Serum Institute社のSigne Sphirup氏らがデンマークの小児コホートを対象とした分析の結果、報告した。これまで、低所得国において、生ワクチンMMR接種が麻疹以外の感染症死亡率を低下したことが報告されている。研究グループは、「そのような非特異的なワクチン効果が、高所得国における小児の健康についても重要な意味をもたらす可能性がある」として検討を行った。JAMA誌2014年2月26日号掲載の報告より。デンマーク小児集団についてDTaP-IPV-Hib接種との感染症入院発生率比を検討 生ワクチンMMR接種と感染症入院率減少との関連を調べる検討は、1997~2006年に生まれたデンマーク小児集団を対象とする住民ベースコホート研究にて、11ヵ月齢~2歳時までフォローアップ(最終2008年8月31日)して行われた。デンマーク全国レジスターに記録されているワクチン接種日、入院データを入手し分析に用いた。 主要評価項目は、MMRと最新のワクチンであるDTaP-IPV-Hibとの比較による、あらゆる感染症の入院発生率比(IRR)だった。また、MMR接種後のリスク、リスク差、感染症入院1例予防に必要なMMR接種例数(NNV)を算出した。 対象小児は計49万5,987人だった。MMR接種群、非接種群との発生率比は0.86~0.87 あらゆる感染症タイプで入院した小児は、50万9,427人年中5万6,889人だった(100人年当たり11.2例)。 推奨スケジュール(DTaP-IPV-Hibは3、5、12ヵ月齢時に3回、MMRは15ヵ月齢時に1回)どおりにワクチン接種を受けた小児は45万6,043人で、このうちDTaP-IPV-Hib 3回接種後にMMRを接種した群のほうが、DTaP-IPV-Hib 3回接種のみ群よりも、全感染症入院の発生率が低かった。発生率は100人年当たり8.9例vs. 12.4例、補正後IRRは0.86(95%信頼区間[CI]:0.84~0.88)だった。 接種スケジュールが前後していた小児(DTaP-IPV-Hib 2回後にMMR、MMR後にDTaP-IPV-Hib 3回)は1万9,219人いた。このうち、DTaP-IPV-Hib 2回接種後にMMRを接種した群は、MMR非接種(DTaP-IPV-Hib 2回のみ)群と比較して、全感染症入院の発生率は低かった(発生率9.9 vs. 15.1、補正後IRR:0.87、95%CI:0.80~0.95)。しかし、MMR後にDTaP-IPV-Hib 3回接種を受けた小児(1,981人)は、全感染症入院が有意に増大した(DTaP-IPV-Hib 2回後にMMR接種群と比較した補正後IRR:1.62、95%CI:1.28~2.05)。 16~24ヵ月齢での感染症入院のリスクは、MMR接種群は4.6%、同非接種群は5.1%だった。リスク差は、0.5ポイント(95%CI:0.4~0.6)、16ヵ月齢前におけるNNVは201例(95%CI:159~272)であった。 結果を踏まえて著者は、「デンマーク小児集団において、生ワクチンMMR接種は最新のワクチンDTaP-IPV-Hib接種と比べて、全感染症入院の減少と関連していた。他の高所得国集団でも同様の所見が認められるかを検討する必要がある」とまとめている。

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米国で試行のメディカルホーム、その効果は?/JAMA

 米国では、チーム医療でより質の高いプライマリ・ケアを、効果的に実施することを目的とした「メディカルホーム」が試験的に行われている。米国・RAND CorporationのMark W. Friedberg氏らによる検討の結果、従来型のプライマリ・ケアに比べ、その効果は限定的であることが報告された。結果を踏まえて著者は、「メディカルホームの仕組みについて、改善する必要があるようだ」と述べている。JAMA誌2014年2月26日号で発表した。メディカルホームと従来型プライマリ・ケアの患者、それぞれ約6万人を比較 Friedberg氏らは、2008年6月~2011年5月にかけて、メディカルホームのパイロット試験「Southeastern Pennsylvania Chronic Care Initiative」に初期から参加する、32のプライマリ・ケア診療所の患者6万4,243人について検討を行った。保険請求データを基に、医療の質、医療サービスの利用率、医療費などを求め、対照群としてパイロット試験に非参加の29ヵ所のプライマリ・ケア診療所の患者5万5,959人と比較し、差分の差(difference-in-differences;DID)分析を行った。 パイロット試験に参加する診療所は、疾病登録と技術的協力を受け、全米品質保証委員会(NCQA)により患者中心のメディカルホームを達成したことに対するボーナスを得ることが可能であった。 主要アウトカムは、糖尿病、喘息、予防医療、入院率、救急室や外来の利用率、医療ケアの標準化コストに関する11項目の質評価に関する指標だった。メディカルホームで改善は11項目中1つのみ その結果、11項目のうち改善が認められたのは、糖尿病患者に対する腎障害スクリーニングの1項目についてのみであった。対照群では3年補正後実施率が71.7%だったのに対し、メディカルホーム群では82.7%と有意に改善した(p<0.001)。 その他の医療サービスの利用率やコストについて、メディカルホーム群は対照群に比べ、有意な改善が認められなかった。 なお3年間の試験期間中に、メディカルホームに参加した診療所は、プライマリ・ケア医1人当たり平均9万2,000ドルのボーナスを得た。 これらの結果を踏まえて著者は、「3年間についてみたメディカルホームは、入院、救急室、外来サービスの利用や総コストの低減に関連していなかった。メディカルホームの仕組みについて、さらなる改善の必要があるようだ」とまとめている。

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バルプロ酸の増毛効果を確認、AGA治療の選択肢に?

 韓国・ソウル大学校医科大学のSeong Jin Jo氏らは無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行い、バルプロ酸の局所投与(スプレータイプ)の有意な増毛効果を確認し、男性型脱毛症(AGA)の選択肢となりうることを報告した。有害事象も認められたが、プラセボとの有意差はみられず、なかには心室頻拍を呈した被験者もいたが試験薬との関連は認められなかったという。Journal of Dermatology誌オンライン版2014年2月18日号の掲載報告。 抗てんかん薬として広く用いられているバルプロ酸は、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βを阻害し、Wnt/β-カテニン経路を起動する作用を有する。研究グループは、この作用機序が毛髪の発育サイクルおよび成長期への誘導と関連していることに着目し、AGA治療におけるバルプロ酸(VPA)スプレー投与の有効性を評価する検討を行った。 中等度のAGA男性患者を被験者に、VPAスプレー(バルプロ酸ナトリウム8.3%含有)またはプラセボスプレーを24週間にわたり投与し比較した。主要有効性エンドポイントは、フォトトリコグラム分析評価による毛髪数の変化であった。 主な結果は以下のとおり。・中等度AGA男性患者40例が登録され、27例が良好なコンプライアンスでプロトコルを完了した。・VPA群(15例)とプラセボ群(12例)には、ベースライン時の年齢、脱毛症罹病期間、総毛髪数に統計的有意差はなかった。・結果、総毛髪数の変化は、VPA群がプラセボ群よりも有意に大きかった(p=0.047)。・有害事象は両群においてみられた。大半は軽度で自然治癒し、発現率は同程度であった(p=0.72)。・VPA群で心室頻拍を呈した被験者がいたが、VPAスプレーに関連したものとは思われなかった。・以上を踏まえて著者は、「VPAの局所投与は、われわれの被験者の総毛髪数を増加させた。したがってAGA治療の選択肢となりうるものである」とまとめている。

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