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残業時間と高血圧は逆相関~日本の横断研究

 長時間労働は、心血管疾患リスクの増加と関連しているが高血圧との関係は不明である。J-ECOH(Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health)スタディグループの今井 鉄平氏らは、日本の大規模企業研究データを使用して、残業と高血圧の関係を横断研究により検討した。その結果、残業時間と高血圧は逆相関することが示唆された。Chronobiology International誌オンライン版2014年9月17日号に掲載。 参加者は、健康診断データと自己報告の残業データがある4社の労働者5万2,365人。収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上、または降圧薬服用者(もしくはその両方)を高血圧と定義した。ロジスティック回帰分析を用いて、残業時間によるカテゴリ(月間45時間未満、45~79時間、80~99時間、100時間以上)別に高血圧のオッズ比(年齢・性別・会社・喫煙状態・BMIを調整)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・高血圧の有病率は残業時間の増加に伴って減少する傾向があった(残業時間の少ないカテゴリから順に17.5%、12.0%、11.1%、9.1%)。・年齢、性別、会社の調整オッズ比(95%信頼区間)は、それぞれ1.00(基準)、0.81(0.75~0.86)、0.73(0.62~0.86)、0.58(0.44~0.76)であった(線形傾向のp<0.001)。・サブコホートにおいて、この逆相関は、他の潜在的な交絡因子を追加調整後も統計的に有意であった。

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統合失調症のQOLに及ぼす副作用の影響度は

 統合失調症における効用値(utility)に治療薬が及ぼす影響を検討した研究の大半は、疾患のさまざまな過程に焦点を当てたものであった。フランス・Creativ-Ceutical社のA Millier氏らは、観察研究のデータを用いて、統合失調症患者の効用値に及ぼす治療関連副作用の影響について評価、定量化した。その結果、統合失調症治療では、抗精神病薬に関連する主な副作用である、錐体外路症状(EPS)、鎮静、体重増加、性機能不全などが、効用値に有意な影響を及ぼしており、とくにEPSの影響が最も大きいことが明らかにされた。2年間にわたる、フランス、英国およびドイツの多施設コホート研究の結果、報告されたもの。Journal of medical economics誌オンライン版2014年9月11日号の掲載報告。 検討には2年間にわたる、フランス、英国およびドイツの多施設コホート研究であるEuropean Schizophrenia Cohort(EuroSC)のデータを使用した。被験者には、6ヵ月ごとにSubjective Side Effect Rating ScaleとEQ-5D質問票に記入してもらい、抗精神病薬の副作用としてEPS、体重増加、鎮静および性機能不全を評価した。解析は、最初に二変量解析を実施し、副作用の有無別に効用値を評価した。次に、効用値のランダム効果回帰解析を実施し、ランダム効果は同一人物の反復測定の結果を交絡因子で調整した。最後に、得られた結果を既報と比較した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者1,208例を対象に検討を行った。・ベースラインライン時、最も多く報告された副作用はEPS(患者の約60%)で、続いて鎮静、体重増加(それぞれ患者の50%)、性機能不全(患者の約30%)であった。・症状の重症度、機能的能力と効用値との間に、有意な関連がみられた。・副作用の訴えがなかった患者のEQ-5D indexスコアは0.81で、EPS(0.70)、性機能不全(0.67)、鎮静(0.70)または体重増加(0.72)を訴えた患者と比較して高値であった。・ランダム効果モデルにより、EPSでは効用値が0.042減少、体重増加では0.022、性機能不全では0.022、鎮静では0.019の減少がみられた。・今回得られた結果は、試験方法が多岐にわたることや、副作用の定義がさまざまであったこと、また体重増加、鎮静、性機能不全のデータが少なかったことから外的妥当性の検討は困難であったが、既報の結果と異なる点はほぼないと思われた。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状改善は何と相関するか 統合失調症の妄想低減へ、新たな介入方法 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大  担当者へのご意見箱はこちら

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デンマークの医療安全学会報告 その2【Dr. 中島の 新・徒然草】(035)

三十五の段 デンマークの医療安全学会報告 その2出席者の半分は医師など病院関係者、あとの半分は産業安全の専門家でしたが、なかには市民活動家というか、単なる60代カナダ人のおばちゃんも入っていました。この方は所属を independent としており、口演だけでは足りないのか自作のポスターを持ってきて壁に貼っていました。何でも御主人が病院で手術を受けたときに、順調な術後経過の中で突然に亡くなってしまったということでした。あとで医療行為の1つ1つを調べてみたのですが、どの時点でも最善の診療が行われていたとしかいえなかったそうです。でも、このおばちゃんは、残りの人生をかけて「なぜ夫は死んだのか」ということを理解したいために、医療安全の分野を独学で勉強し、最終的に RHCN に辿り着いたのだとか。確かに1つ1つの医療行為は間違っていないのに理屈どおりにいかず、結果が悪く出てしまうことは現実にあります。私がかかわった医療事故調査の中でも似たような事案をいくつか経験しました。ちょうど株式の暴落とかバブルの崩壊のように予測困難であり、評論家の後知恵で関係者たちが色々批判されるところまでそっくりです。ともあれ、このおばちゃんの発表、ポスターとも scientific paper として遜色のないものでした。誰かが休憩時間に「あんた素人と違うやろ?」と尋ねたのですが、最後まで「私はただのおばちゃんよ」と口を割らなかったそうです。出席者に共通してみられる傾向として、因果関係をかなり否定的に考えていることがありました。たとえば、「ここの部分はすみません、出席者の多くが嫌っているであろう RCA (root cause analysis) を使ったのですが」という言い訳を聞かされたりしたので、RCA は旧い考え方、もしくは全体のごく一部を説明できるに過ぎない考え方、と皆が思っているのだろうな、と感じたわけです。また、リーン生産方式(いわゆるトヨタ方式)が世界中のかなり多くの医療機関に取り入れられたのだけれども、なかなか上手く行っていない、というのも出席者たちの印象でした。「なるべく在庫を減らして just in time でツインルーメンカテーテルが時刻通りに来るっていってもね、現場は時刻通りに動いていないんだから無意味よ! だから私たちは病棟にツインルーメンカテーテルを隠しておいて、いつでも使えるようにしてあるの」とアメリカ人の女性医師が発言していましたが、混乱ぶりが目に浮かぶようです。とはいえ、リーン生産方式がうまくいっているというデータも、うまくいっていないというデータも、双方ともに不足しているので、「こんなものはやめちまおう」とはなかなかならないそうです。他の日本人出席者と話をしてみると、その先生も私と同じように、「いつまでこんな原理原則の議論を続けとるねん。さっさとどうやって現場に応用するかに入らんかい」と感じる一方で、「いやいやここは西洋医学の本家本元。この禅問答のような議論にも何か深淵な意味あるはず」とも感じておられたようです。私なんかは4日間その2つの気持ちの間で揺れ動いていました。で、度胆を抜かれたのが途中の午後を費やして行われたデンマークの病院見学です。3つの病院のうちの1つを選んでバスに乗って見学に行ったのですが、これが驚くべきものでした。私が行ったのは500床ほどのがん専門病院で、そのうちICUが8床なのでほぼ大阪医療センターと同規模ということになります。ICUの平均在室期間が2日ちょっと、病院全体の平均在院日数が3日余りってアァタ、どうやったらそんな芸当ができるのか教えて欲しいです。ICU は2人1組の個室で、日本でも見たことのないハイテクの最新式のモニターが据え付けてありましたが、スタッフはさほど忙しそうにしているわけでもなさそうでした。むしろ「ICUまで北欧デザインかよ」とツッコミを入れたくなるほど美しい病室でした。「医療安全についての当院の取り組みを紹介します」ということで、15人ほどの見学者に対してICU担当医、検査担当医(臨床検査技師さんかもしれん)、外科部長の3人からプレゼンがありました。特に面白かったのが50歳前後の外科部長で、「どうも責任者になってから手術室にいるより、オフィスにいる時間が長くなってしまった。これからわれわれのやっている術後管理の試みを説明するが、私は決して医療安全の専門家ではないので、もし皆さんから何かあればぜひアドバイスをしてほしい」という挨拶から始まったプレゼンが圧巻でした。この病院では数年前に続けて術後合併症で患者さんが亡くなるということがあったそうです。それは患者側だけでなく、医療側にとっても受け入れがたい(unacceptable)な出来事だったので、何とかそのような事態を避けるために安全のための努力が始まったのだそうです。その1つは全入院患者について毎日アセスメントを行い、グリーン、イエロー、レッドの3つに分けるようにしたということです。たとえば予定通りに手術が終わればグリーンですが、予想以上に出血量が多かった場合、術直後に外科医と麻酔科医とで話し合ってイエローにしたりするそうです。この情報は全スタッフが共有しており、たとえば「一昨日手術したミスター〇〇だが、本日のアセスメントでイエローになった。再手術も考えているので、一度見に来てくれないか」と、麻酔科とも共通言語で話ができるということです。これに対していくつかの質問が見学者からありました。見学「そのアセスメントは毎日やるのか?」外科「原則として毎日だ」見学「アセスメントの結果は患者にも知らせるのか?」外科「そうだ」見学「グリーンからイエローになったりしたら、患者はいい気がしないだろう」外科「それは逆だ。『ミスター〇〇。本日のわれわれのアセスメントの結果、貴方のアラートレベルを上げることにした。申し訳ないが、これからは今までよりも頻繁な身体チェックをさせてもらう』と説明した場合、むしろ患者は『キチンとアセスメントしてくれてありがとう!』と感謝してくれるのが普通だ」といったやりとりでした。この辺の医師患者関係というものは世界中変わらないものだと感心しました。一連のプレゼンテーションのスライドの中にさりげなくでてきたのが、「VAP(ventilator associated pneumonia)なし期間更新中! 現在 278 日」とか、「祝 CV(central venous)line 感染なし期間1年半達成!」という文言で、「すごい!」としか言いようがありません。数字はいい加減な記憶に基づくものですが、大体そんなものでした。在院期間といい、感染対策といい、その結果を数字にされると説得力があります。日本も先進国であり、医学・医療の分野においても世界をリードしていると思っていましたが、実際には単に人口が多く経済力があるというだけのことであり、医療の質といった分野ではまだまだなのかもしれません。デンマークのような小国からも、謙虚に学ぶべきところがたくさんあると思わされました。

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統合失調症と強迫性障害の関連が明らかに

 統合失調症と強迫症/強迫性障害(OCD)が併存していることは少なくないが、これまで両障害の臨床的および病因学的な関連性はほとんど解明されていなかった。統合失調症と強迫性障害が共有する病因学的因子を調べることは、臨床医、研究者および患者に有用な情報の提供に結びつく可能性がある。デンマーク・オーフス大学のSandra M. Meier氏らは、統合失調症のリスク因子としての強迫性障害について、全国的な調査を行い、同国の強迫性障害の診断が統合失調症および統合失調症スペクトラム障害との関連性が高いことを報告した。著者は、「観察されたリスクの増大は、強迫性障害、統合失調症、統合失調症スペクトラム障害がおそらく共通の原因パスウェイ上に位置することを示すものである」と述べている。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年9月3日号の掲載報告。強迫性障害の既往歴が統合失調症のリスク増大と関連 著者らは、強迫性障害患者は統合失調症および統合失調症スペクトラム障害の発症リスクが強いのかを評価し、また、強迫性障害の家族歴が統合失調症と統合失調症スペクトラム障害のリスク因子であるかを調べた。デンマーク全国レジスターからの個人データを追跡し、総計4,500万人年を対象とした前向きコホート研究を行った。全生存解析は、性別、年齢、暦年、両親の年齢、出生地で補正して行った。主要アウトカムは、強迫性障害の既往歴、統合失調症および統合失調症スペクトラム障害の最初の診断(病院、外来クリニック、緊急医療部門での精神科による)のリスクで、発生率比(IRR)と95%信頼区間(CI)を算出して相対リスクを評価した。 統合失調症のリスク因子としての強迫性障害についての調査の主な結果は以下のとおり。・検討は、1955年1月1日~2006年11月30日に生まれた総計300万人を対象に行われ、1995年1月1日~2012年12月31日まで追跡した。・同期間中に、統合失調症または統合失調症スペクトラム障害の発症は、3万556例であった。・強迫性障害の既往歴は、後年の統合失調症(IRR:6.90、95%CI:6.25~7.60)、統合失調症スペクトラム障害(同:5.77、5.33~6.22)の発症リスク増大と関連していた。・同様に、両親に強迫性障害の診断歴があることは、統合失調症(同:4.31、2.72~6.43)、統合失調症スペクトラム障害(同:3.10、2.17~4.27)のリスク増大と関連していた。・これらの結果は、精神疾患の家族歴や本人の病歴で補正後も変わらなかった。

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結核へのモキシフロキサシンレジメン、非劣性示されず/NEJM

 薬剤感受性結核に対し、モキシフロキサシン(商品名:アベロックス)ベースレジメンの短期4ヵ月投与について検討した試験の結果、対照レジメンと比較し治療効果の非劣性は示されなかったことが報告された。英国セント・アンドルーズ大学医学部のStephen H. Gillespie氏らが行った、第III相無作為化試験の結果、明らかにされた。これまでに行われた初期フェーズおよび前臨床試験の結果、モキシフロキサシンベースのレジメンは4ヵ月治療について検討可能であることが示唆されていた。NEJM誌オンライン版2014年9月7日号掲載の報告より。モキシフロキサシンベースのレジメン2種を従来レジメンと比較 Gillespie氏らは、先行試験で検討可能な対象として示唆されていた、合併症のない薬剤感受性塗抹陽性肺結核で未治療の18歳以上患者1,931例を対象に、第III相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。モキシフロキサシンベースのレジメン2種について対照レジメンに対する非劣性を評価した。 第1グループ(対照群)には、イソニアジド、リファンピン、ピラジナミド、エタンブトールを8週間投与し、その後イソニアジドとリファンピンを18週間投与した。第2グループ(イソニアジド群)には、対照群レジメンのエタンブトールの代わりにモキシフロキサシンとしたレジメンを17週間投与し、その後9週間はプラセボを投与した。第3グループ(エタンブトール群)には、対照群レジメンのイソニアジドをモキシフロキサシンに代えて17週間投与し、その後9週間はプラセボを投与した。 主要エンドポイントは、無作為化後18ヵ月以内の治療不成功または再発とした。モキシフロキサシンレジメン、従来レジメンより良好なアウトカムは低率 per-protocol解析の結果、良好な治療結果が得られたのは、イソニアジド群では85%、エタンブトール群では80%と、対照群の92%より低率だった。対照群との差は、イソニアジド群が6.1ポイント(97.5%信頼区間:1.7~10.5ポイント)、エタンブトール群が11.4ポイント(同:6.7~16.1ポイント)だった。 結果は、修正intention-to-treat解析、全感度解析でも一貫してみられた。 一方、培養陰性までの所要日数は、対照群に比べイソニアジド群とエタンブトール群で有意に短縮していた。 またグレード3または4の有害事象の発生率は、イソニアジド群19%、エタンブトール群17%、対照群19%であり、有意差はみられなかった。

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日本では認知症への抗精神病薬使用が増加

 日本の認知症高齢者に対する向精神薬の使用状況を、医療経済研究機構の奥村 泰之氏らが調査した。その結果、いくつかの国では、認知症高齢者への抗精神病薬使用に対し、安全上の警告が出されているにもかかわらず、日本では適応外の抗精神病薬使用がわずかではあるが増加していた。International psychogeriatrics誌オンライン版2014年9月12日号(2014年11月5日訂正公開)の報告。 2002~2010年の社会医療診療行為別調査(SMCA-PHI、毎年6月審査分の全国代表断面調査)データを利用した。コリンエステラーゼ阻害薬が処方された65歳以上の外来患者1万5,591例における調査月の向精神薬使用を調査した。 主な結果は以下のとおり。・2008~2010年における、認知症高齢者に対する向精神薬は、鎮静薬・睡眠薬(27.3%)、抗精神病薬(21.3%)、抗うつ薬(11.4%)、気分安定薬(2.8%)であった。・2002~2004年と2008~2010年を比較すると、第二世代抗精神病薬の使用が、4.9%から11.2%に増加し、第一世代抗精神病薬の使用は、17.4%から12.1%に減少していた。・全体の抗精神病薬使用の普及率で調整後、抗精神病薬の使用は1.1倍増加していた。・クエチアピンが4.8倍増加、リスペリドンが1.8倍増加していた一方で、ハロペリドールは2.3倍減少した。 本結果を踏まえ著者らは、「認知症に伴う重篤な興奮、攻撃性、精神症状に対する抗精神病薬の有効性について、緊急に評価する必要があることが示された。さらに、抗精神病薬全体の使用を減少させるために、心理社会的介入および抗精神病薬の離脱戦略が必要である」とまとめている。関連医療ニュース 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット 認知症への新規抗精神病薬、有害事象のモニタリングが不十分 脳血管性認知症患者に非定型抗精神病薬を使用すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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ピアスと金属アレルギーに男女差はあるか

 米国・ミネソタ大学のErin M. Warshaw氏らは、2007~2010年の北米における接触皮膚炎のデータを分析し、ボディピアスと金属アレルギー性の接触皮膚炎について調べた。結果、ニッケルアレルギーの有病率は女性が男性よりも高率だったが、男性のほうがピアスとの関連が有意に強く用量依存的に増大することなどを報告した。Dermatitis誌2014年9・10月号の掲載報告。 検討は、ピアスとパッチテストで調べた金属(ニッケル、コバルト、クロミウム)への感受との関連を調べることを目的とした。 対象は、2007~2010年の北米接触皮膚炎グループにより検査を受けた9,334例であった。 主な結果は以下のとおり。・1個以上のピアスとの関連において、ニッケルに対する感受性が統計的に有意であった(リスク比[RR]:2.52、95%信頼区間[CI]:2.26~2.81、p<0.0001)。・ニッケルアレルギーの割合は、ピアスの数が多いほど高率であった(ピアス1個で16%、5個以上で32%)。・ニッケルアレルギーの有病率は、女性(23.2%)が男性(7.1%)よりも高率だった。・一方で、ピアスとの関連では、男性(RR:2.38、95%CI:1.72~3.30、p<0.0001)のほうが、女性(同:1.30、1.13~1.49、p=0.0002)よりも強かった。・粗分析の結果、コバルトに対する感受性は統計的に有意であったが(RR:1.63、95%CI:1.40~1.91、p<0.0001)、層別化解析の結果、同関連はニッケルが交絡因子であることが示唆された。・ニッケルアレルギーで補正後、ピアスとコバルトの関連を示すリスク比は0.78で、有意ではなかった。・クロミウムへの感受性は、ピアスと逆相関を示した(RR:0.60、95%CI:0.48~0.75、p<0.0001)。

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極薄タイプの新型溶出ステントの有用性/Lancet

 経皮的冠血行再建術に用いる薬剤溶出ステントについて、新型の極薄タイプの生分解性ポリマー・シロリムス溶出ステントの安全性、有効性の試験結果が報告された。スイス・ベルン大学病院のThomas Pilgrim氏らによる、耐久性ポリマー・エベロリムス溶出ステントとの比較で検討した無作為化単盲検非劣性試験BIOSCIENCEで、12ヵ月時点の安全性・有効性複合アウトカムは非劣性であることが示された。試験集団は、除外基準最小で、2剤併用抗血小板療法のアドヒアランスが高い(80%超)患者集団であった。また事前規定のサブグループ解析で、ST上昇型心筋梗塞患者における顕著な有益性がみられたが、著者はその点についてはさらなる検討が必要であるとしている。Lancet誌オンライン版2014年9月1日号掲載の報告より。12ヵ月時点の標的病変不全を評価 検討は2012年2月24日~2013年5月22日にスイスの9施設にて、18歳以上の慢性安定冠動脈疾患または急性冠症候群の患者を対象に行われた。被験者は1対1の割合で、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を新型の生分解性ポリマー・シロリムス溶出ステントまたは耐久性ポリマー・エベロリムス溶出ステントで受ける群に割り付けられた。試験に用いられた新型ステントは、「ORSIRO」(スイス、バイオトロニック社製)で、コバルトクロム合金製のストラット厚60μmという特徴を有する。 無作為化は、中央Webベースシステムで行われ、ST上昇型心筋梗塞の有無で層別化もされた。割り付けについて患者とアウトカム評価者には知らされなかったが、治療担当医にはマスキングはされなかった。 主要エンドポイントは、12ヵ月時点の標的病変不全で、心臓死・標的血管心筋梗塞・標的病変血行再建の複合とした。非劣性のマージンは3.5%と定義し、intention to treat分析にて評価した。ST上昇型心筋梗塞患者では有意なアウトカム改善 2,119例(治療病変3,139個)の患者が無作為に、生分解性ポリマー・シロリムス溶出ステント(1,063例、1,594病変)または耐久性ポリマー・エベロリムス溶出ステント(1,056例、1,545病変)に割り付けられた。ST上昇型心筋梗塞患者は407例(19%)であった(各群211例、196例)。 結果、12ヵ月時点の標的病変不全発生について、シロリムス溶出ステント群(69例、6.5%)は、エベロリムス溶出ステント群(70例、6.6%)に非劣性であることが示された(絶対リスク差:-0.14%、95%信頼区間[CI]上限値:1.97%、非劣性のp<0.0004)。 確認されたステント血栓の発生率については、有意差はみられなかった(9例[0.9%]対4例[0.4%]、発生率比[RR]:2.26、95%CI:0.70~7.33、p=0.16)。 事前規定の主要エンドポイントの層別化解析で、ST上昇型心筋梗塞患者のサブグループにおいて、シロリムス溶出ステント群はエベロリムス溶出ステント群よりもアウトカムの改善が認められた(7例[3.3%]対17例[8.7%]、RR:0.38、95%CI:0.16~0.91、p=0.024、相互作用のp=0.014)。

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糖尿病高齢者に多い皮膚病変とは

 65歳以上高齢者における糖尿病と関連した皮膚疾患の有病率を調べた結果、慢性の皮膚潰瘍、脚部の褐色斑、かゆみが多いことが示された。台湾・高雄退役軍人総合病院のH-W. Tseng氏らが、退役軍人施設に入所する313例について調査し報告した。著者は、「糖尿病にみられる皮膚の特徴を観察することで、糖尿病患者の状態をより完全に評価することが可能である。糖尿病に関連した皮膚の情報は、適切な治療と看護を提供するための基本である」とまとめている。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2014年9月1日号の掲載報告。 研究グループは、高齢の男性における皮膚疾患と糖尿病および糖尿病に関連した皮膚疾患の統計的な関連性を調べた。 台湾の退役軍人施設で断面調査を行い、入所者の皮膚の症状、主な全身性疾患を記録。年齢、BMI、顕著であった全身性疾患で補正後、単変量および多変量ロジスティック回帰分析を行い、オッズ比(OR)とp値を求めて統計的関連性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象は、65歳以上男性313例で、そのうち70例(22.4%)が糖尿病を有していた。・糖尿病被験者に最もよくみられた皮膚の症状は、真菌感染症(77%)、脚部の褐色斑(38.3%)であった。・補正後ORの評価により、糖尿病との有意な関連が認められたのは、慢性の皮膚潰瘍(AOR:4.90、95%CI:1.82~13.19、p=0.002)、脚部の褐色斑(同:6.82、3.60~12.89、p<0.001)、かゆみ(同:12.86、4.40~37.59、p<0.001)であった。・糖尿病被験者では、細菌感染症、疥癬、スキンタッグのリスクがわずかだが高かった。

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ASCOの妊孕性温存ガイドライン改訂

 妊孕性温存は、がんサバイバーのQOLにとって重要であり、がん治療に影響を及ぼす。この重要性を鑑み、2006年にASCOは委員会を招集しガイドラインを発行。その後の妊孕性温存の進歩に伴い、2013年に改訂が加えられた。2014年8月、横浜市で開催された日本癌治療学会学術集会にて、米国・ニューヨーク医科大学のKutluk H Oktay氏は「ASCO Guidelines for Fertility Preservation:2013 Updates」と題し、ASCOガイドラインの概要を紹介した。 妊孕性保護については、ほとんどの患者は紹介すらされておらず、実際に妊孕性保護の対策を受けている患者はほんの一握りしかいないという。この問題の原因の主たるものは、患者と臨床医のコミュニケーション不足にある。ASCO妊孕性保護委員会は、がん専門医が関与して、治療が不妊や早期閉経の問題を起こすことを早期に患者に知らせ、がんのタイプや年齢、治療法による個々人のリスクを議論しなければならないと強調している。 Oktay氏は例として、抗がん剤の卵胞毒性について触れた。卵胞は原始卵胞期から胞状卵胞期へと成長し排卵されるが、抗がん剤がどの段階に障害を与えるかは、その種類によって異なる。代謝拮抗剤は胞状卵胞期にのみ影響を与える。このグループの薬剤ではダメージで月経が停止しても、卵巣内で次の卵胞は成長しているため、新しい排卵が起こり月経も再開する。一方、アルキル化剤やトポイソメラーゼ阻害薬などは、原始卵胞期にも障害を与える。つまり、予備の卵にまでダメージを与えてしまい、卵胞形成に対する障害は非常に大きい。どちらのグループも無月経をもたらすが、ダメージは異なるのである。そのため、抗がん剤は卵巣毒性の程度で4段階に分類されている。 また、化学療法施行患者の卵巣における卵の予備量を非施行者と比較した試験では、化学療法施行により卵の予備数が約10歳分減少することが明らかになっている。乳がん患者で出産を望む場合などでは、たとえ治療開始時には若年でも妊孕性保護を考慮しなければならないこともある。 ASCO妊孕性保護委員会は、不妊の危険性がある場合、生殖年齢のすべての患者には妊孕性保護の紹介をすべきであり、たとえ明確な意見を持っていなくても、できるだけ早期に触れるべきである、としている。 成人男性に対する精子凍結保存、成人女性に対する胚凍結保存および卵母細胞凍結保存や保存的婦人科手術、小児に対する精液、卵母細胞低温保存などを確立された妊孕性保存方法として推奨している。さらに、BRCA変異陽性がん患者についても触れている。BRCA変異陽性患者は原始卵胞が少なく、卵胞刺激による採取卵も少ないこと、また閉経が早く40歳未満の早期閉経が数倍みられることが明らかとなっている。そのため、変異陰性者以上に化学療法後の妊孕性低下が大きいと考えられる。

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ミノサイクリンの投与は統合失調症に本当に有用か:藤田保健衛生大学

 近年、統合失調症患者にミノサイクリンを投与することで精神症状が改善するといわれている。藤田保健衛生大学の大矢 一登氏らは、抗精神病薬による治療を受けている統合失調症患者に対するミノサイクリン増強療法に関する総合的なメタ解析を行った。Human psychopharmacology誌オンライン版2014年8月4日号の報告。ミノサイクリンは統合失調症の精神病理を改善 PubMed、PsycINFO、Google Scholar、Cochrane Library databasesから、2014年6月2日までに公表されたデータを抽出した。ミノサイクリンとプラセボを比較した無作為化比較試験(RCT)から得られた患者データを用い、系統的レビューおよびメタ解析を行った。相対リスク(RR)、標準化平均差(SMD)、95%信頼区間(95%CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・4件のRCT、330例の患者データが抽出された。・ミノサイクリンはプラセボと比較し、PANSS総スコア(SMD:-0.70)、陰性尺度(SMD:-0.86)、総合精神病理尺度(SMD:-0.50)の減少で優れていた。しかし、陽性尺度(SMD:-0.26)、うつ症状(SMD:-0.28)では差が認められなかった。・ミノサイクリンは、すべての原因による中止(RR:1.10)、効果不十分による中止(RR:0.42)、有害事象による中止(RR:1.56)、死亡による中止(RR:3.18)においてプラセボと同等であった。・ミノサイクリンは、錐体外路系副作用のスコアにおいてプラセボよりも優れていた(SMD:-0.32)。 今回の結果から、ミノサイクリンは統合失調症の精神病理(とくに陰性症状)を改善し、忍容性も良好であることが示唆された。■関連記事統合失調症治療に抗炎症薬は有用かテストステロンは統合失調症治療の標的となるか治療抵抗性統合失調症に対する漢方薬「抑肝散」の有用性:島根大学

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ベストマッチの合成薬とベストな試験デザインがもたらした心不全治療のパラダイムシフト(解説:原田 和昌 氏)-245

ここ10年間にFDAより認可された新規の経口心不全治療薬はない(ivabradineも認可せず)。アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬(ARNI)であるLCZ696は駆出率の低下した心不全(HFrEF)患者において、β遮断薬などの標準治療に上乗せして、ACE阻害薬エナラプリルよりも、死亡および入院リスクを20%有意に抑制した。 McMurray氏らのPARADIGM-HF研究グループは、47ヵ国1,043施設からの8,442例における二重盲検無作為化試験(第III相)の結果をNEJM誌に発表した。試験は、LCZ696の圧倒的な有益性により早期に中断された。 ACE阻害薬およびARBを中止し、run-in期間に忍容性を確認してLCZ696群200mg 2回/日(バルサルタン320mg/日に相当)かエナラプリル群10mg 2回/日にランダム化した。 LCZ696群で全死亡が16%、心血管系の死亡が20%減少した。また、エナラプリルと比較して心不全による入院リスクを21%抑制し、心不全の症状も緩和した。腎機能の低下や血清カリウム値の上昇はより少なく、症候性低血圧がより多かったが血管浮腫に差はなかった。LCZ696群で血圧は3.2mmHg多く低下したが心拍数に差はなかった。LCZ696群で尿中cGMP排泄が増加した(補遺)。 慢性心不全患者では、レニン・アンジオテンシン系(RAS)、交感神経系が活性化し悪循環が形成される。Na利尿ペプチド系(NPs)は、慢性心不全患者でむしろ活性化が不十分であり、NPsを分解するネプリライシンが亢進しているとされる。 ネプリライシンはNPs(とくにANPとCNP)、サブスタンスP、ブラジキニン、エンドセリン-1、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII、アドレノメデュリンなどを分解する中性エンドペプチダーゼであり、その阻害薬はNPsやブラジキニンなどを活性化する。しかし、基質の特性からネプリライシン阻害薬にはRAS阻害薬を併用する必要がある。 Packer氏、McMurray氏らが2002年に報告したOVERTURE試験では、HFrEF患者にACE、ネプリライシン、アミノペプチダーゼPを阻害するomapatrilatを用いたが、これは血管浮腫の副作用により開発が中止となった。 血管浮腫は主としてブラジキニンとサブスタンスPの過剰によるが、ブラジキニンはACE、ネプリライシン、アミノペプチダーゼPにより分解されるためomapatrilatで血管浮腫が増強したものと考えられる。これに対しLCZ696はACEやアミノペプチダーゼPを阻害しないためブラジキニンの過剰を来さない。また、本試験の結果は心不全におけるACE阻害薬の効果が“適度な”ブラジキニンの活性化で代用できる可能性を示唆している。 これまでLCZ696の高血圧症や駆出率保持の心不全(HFpEF)を有する患者を対象とした小規模試験(PARAMOUNT試験)において、ARB単剤よりも血行動態およびNT-proBNPに関する効果が大きいこと、1日2回投与が望ましいことが示唆されていた。また、run-in期間の設定、エントリー基準にBNPやNT-proBNPを用いる試験デザインもよい結果につながった可能性がある。 今話題のバルサルタンであること、症状の軽いNYHAのI、II度でより有効であること、血管浮腫の多いアジア人でどうか(高血圧患者では確認済み)、長期的に脳内アミロイドβペプチドに影響はないかなどの問題は残されているが、心不全治療においてLCZ696がACE阻害薬やARBに取って代わるかもしれないという本試験の結果の意義を毀損するものではないと考える。

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双極性障害に対する非定型抗精神病薬比較

 スペイン・Health Value社のCarlos Rubio-Terres氏らは、双極性障害の治療薬としてのアリピプラゾールとオランザピンについて、有害事象の側面から医療費比較の検討を行った。その結果、アリピプラゾールのほうが、有害事象に関連するコストが低いことを報告した。Actas Espanolas Psiquiatria誌2014年9月号(オンライン版2014年9月1日号)の掲載報告。 検討は、Markovモデルを用い、「有害事象なし(NAE)」「錐体外路症状(EPS)」「体重増加(WG)」「性機能障害(SD)」を考慮に入れたコスト解析を実施した。 双極性障害の病態変化の移行確率は、臨床試験のメタ解析およびスペインでのレトロスペクティブな研究から推定した。また、それぞれの病態に関連する医療費は、公表されているスペインの研究を参考にした。コスト比較には、病院薬局の効率性という観点から、1日平均用量における1mg当たりの最低取得コストを使用。解析適用の計画対象期間は12ヵ月とした。モンテカルロシミュレーションを用いて、解析に含まれるすべての変数に対し確率的感度分析を実施。なおSpanish Health System price indexを用い、2013年に更新されたコストを使用した。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾールを用いた治療はオランザピンに比べ、患者1人当たりの年平均コストを289ユーロ(95%信頼区間[CI]:271~308ユーロ)削減した。・アリピプラゾールによる性機能障害発現率が、クエチアピン(非定型経口抗精神病薬の中で最も低頻度)と同程度と仮定した場合、患者1人当たりの追加コストは323ユーロ(95%CI:317~330ユーロ)であった。・アリピプラゾールによる治療はオランザピンと比較して有害事象に関連するコストが低かった。この差は双極性障害患者の治療において、スペインの医療システムに大きなコスト節減をもたらす可能性が示された。・結果の頑健性は、確率論的解析により検証された。関連医療ニュース アリピプラゾールと気分安定薬の併用、双極性障害患者の体重増加はどの程度 双極性障害の症状把握へ、初の質問票が登場 双極性障害、退院後の自殺リスクが高いタイプは

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重症好酸球性喘息に新規抗IL-5抗体が有効/NEJM

 重篤な好酸球性喘息の治療において、メポリズマブ(国内未承認)は病態の増悪を有意に低減することが、グラクソ・スミスクライン社・米国Research Triangle ParkのHector G Ortega氏らが行ったMENSA試験で示された。重症喘息患者は、高用量吸入グルココルチコイドの継続治療を行っても、経口グルココルチコイドの併用の有無にかかわらず、持続性の好酸球性炎症によって頻繁に増悪を来す場合がある。メポリズマブはインターロイキン(IL)-5に対するヒト化モノクローナル抗体で、好酸球性炎症を選択的に阻害し、喀痰や血中の好酸球数を減少させることで、増悪の頻度を低下させるとともにグルココルチコイド全身投与の必要性を低減するという。NEJM誌オンライン版2014年9月8日号掲載の報告。増悪の抑制効果を無作為化試験で評価 MENSA試験は、重症好酸球性喘息に対するメポリズマブの有用性を評価する二重盲検ダブルダミー・プラセボ対照無作為化試験。対象は、年齢12~82歳、高用量吸入グルココルチコイド治療でも喘息の増悪を繰り返し、好酸球性炎症が確認された患者であった。 被験者は、メポリズマブ75mg(静脈内投与)、同100mg(皮下投与)またはプラセボを4週に1回投与する群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は増悪の頻度で、増悪の定義は担当医がグルココルチコイド全身投与を3日以上行った場合や、患者が救急診療部を受診または入院した場合とした。 試験は、1~6週間の導入期間後に割り付けを行い、32週の治療期間後に主要評価項目を評価し、さらに8週のフォローアップを実施した。両投与法とも増悪の頻度がほぼ半減 2012年10月~2014年1月までに576例が登録され、静脈内投与群に191例(平均年齢50歳、女性55%)、皮下投与群に194例(51歳、60%)、プラセボ群には191例(49歳、56%)が割り付けられた。539例(94%、それぞれ175例、185例、179例)が治療を完遂した。 患者1例当たりの臨床的に重篤な増悪の年間発生率は、静脈内投与群が0.93、皮下投与群が0.81、プラセボ群は1.75であり、プラセボ群に比べ静脈内投与群は47%(95%信頼区間[CI]:29~61%)、皮下投与群は53%(37~65%)減少した(いずれも、p<0.001)。 入院または救急診療部の受診を要する増悪は、プラセボ群に比し静脈内投与群が32%(95%CI:-41~67%、p=0.30)、皮下投与群は61%(17~82%、p=0.02)低下し、入院を要する増悪はそれぞれ39%(-66~77%、p=0.33)、69%(9~89%、p=0.03)低下しており、いずれも皮下投与群で有意な改善効果が認められた。 1秒量(FEV1)のベースラインからの増加は、プラセボ群よりも静脈内投与群が100mL(p=0.02)、皮下投与群は98mL(p=0.03)高く、いずれも有意に改善した。 健康関連QOLの指標であるSt. George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)スコア(0~100点、高いほど不良)のベースラインからの低下は、プラセボ群よりも静脈内投与群が6.4点(p<0.001)、皮下投与群は7.0点(p<0.001)大きく、いずれも有意に改善した。 また、喘息コントロールの指標である5-item Asthma Control Questionnaire(ACQ-5)スコア(0~6点、高いほど不良)のベースラインからの低下は、プラセボ群よりも静脈内投与群が0.42点(p<0.001)、皮下投与群は0.44点(p<0.001)大きく、いずれも有意な改善を示した。 治療期間中の有害事象は、静脈内投与群が84%、皮下投与群が78%、プラセボ群は83%に発現し、鼻咽頭炎(17~24%)と頭痛(17~24%)の頻度が最も高かった。このうち、担当医判定による治療関連有害事象は、それぞれ17%、20%、16%だった。 注射部位反応の発現率は、皮下投与群が9%であり、静脈内投与群の3%、プラセボ群の3%に比べ高かった。喘息関連イベントを含む重篤な有害事象は、静脈内投与群が7%、皮下投与群が8%、プラセボ群は14%に認められた。 著者は、「重症好酸球性という喘息のサブグループにおいて、メポリズマブは静脈内投与と皮下投与の双方で増悪の頻度を抑制するとともに、QOLや喘息コントロールを改善した」とまとめている。

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効果不十分なうつ病患者、次の一手のタイミングは

 既存治療で十分な効果が得られないうつ病患者に対し使用される、アリピプラゾール。その使用にあたり、どのタイミングで既存治療の効果判定を行い、使用を検討すべきなのかは定められていない。米国・オレゴン健康科学大学のD E Casey氏らは、8週間の抗うつ薬単剤療法で効果不十分な大うつ病性障害(MDD)患者を対象に、アリピプラゾール補助療法の有用性を検討した。International journal of clinical practice誌オンライン版2014年9月6日号の報告。 3つの同様に設計された第III相試験(無作為化二重盲検プラセボ対照試験)の事後解析により、1~3剤の抗うつ薬治療(ADT)で効果不十分なMDD患者におけるアリピプラゾールの補助療法の有効性、安全性の調査を実施した。抗うつ薬単剤療法6週時および8週時における「わずかな改善」は臨床全般改善度(CGI-I)スコア3 、「非改善」はCGI-Iスコア4で定義した。 主な結果は以下のとおり。・ADTで「わずかな改善」がみられた患者におけるエンドポイントの奏効率は、アリピプラゾール補助療法群38.8%、プラゼボ群26.6%であった(p<0.05、NNT=9 [95%CI:4.8~27.7])。また、ADTで「非改善」であった患者では、それぞれ24.0%、10.3%であった(p<0.05、NNT=8 [95%CI:4.4~21.5])。・ADTで「わずかに改善」または「非改善」の患者に対するアリピプラゾール補助療法は、単独治療と比較して、それぞれ早くとも1週間後、2週間後に有意な改善がみられた。・ADTで「わずかな改善」がみられた患者におけるエンドポイントの寛解率は、アリピプラゾール補助療法群34.2%、プラゼボ群21.0%であった(p<0.05、NNT=8)。また、ADTで「非改善」であった患者では、それぞれ16.0%、5.9%であった(p<0.05、NNT=10)。・アリピプラゾール補助療法による最も一般的な有害事象は、アカシジア、焦燥感、不眠であった。 8週間の抗うつ薬単剤療法で「わずかな改善」または「非改善」のMDD患者に対する、アリピプラゾール補助療法は有効であることが示された。関連医療ニュース 日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か 抗うつ薬+アリピプラゾール、長期忍容性は  担当者へのご意見箱はこちら

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スルホニル尿素(SU)薬は過去の薬か?(解説:住谷 哲 氏)-243

2型糖尿病(T2DM)患者の全死因死亡を減らすことが明らかにされているのは現時点においてはメトホルミンのみである1)。したがってほとんどのガイドラインではメトホルミンが第一選択薬とされている。しかしT2DMは進行性の疾患であるため、多くの患者は治療の継続とともに他の薬剤の追加投与を必要とする。本論文はメトホルミンの次の一手としてのインスリンとスルホニル尿素(SU)薬が予後に及ぼす影響を比較検討したものであり、興味深い。 試験デザインは最近よく用いられる、薬剤処方データベース研究であり、交絡因子の影響は傾向スコアマッチング法を用いて補正されている。 著者らはインスリン投与群がSU薬投与群に比較して良好な予後をもたらすと仮定したが、結果はそれに反してインスリン投与群で全死因死亡が増加していた。この結果からメトホルミンに追加する薬剤としてはインスリンに比較してSU薬が優れている、と単純に考えてよいだろうか? 日常臨床では注射薬であるインスリンを導入するのは容易ではない。ではインスリン投与群となった2,436人の患者はなぜインスリンが選択されたのだろうか。これはこの種の試験デザインで常に問題となる「処方理由による交絡 confounding by indication」であるが、少し考えてみよう。 SU薬ではなくインスリンが選択される場合として、SU薬が適切でない病態、たとえば肝硬変や腎不全の合併がある。しかしこれらの病態はメトホルミンの禁忌に該当するので、すでにメトホルミンが投与されている患者群においては考えにくい。次に考えられるのは血糖コントロールが極めて不良な場合である。これはSU薬投与群またはインスリン投与群のHbA1cの中央値がそれぞれ7.6%、8.5%であることから、可能性は十分ありそうである。傾向スコアマッチング法による補正では当然HbA1cも補正されているので解釈としては問題なさそうであるが、論文著者らもDiscussionで述べているように、HbA1cのみでは表されない糖尿病としての重症度(disease severity)が適切に補正されていない可能性が十分ある。つまりインスリンが選択された患者群は、はじめからイベントを起こしやすい予後不良群であったことになる。 やはり治療法の優劣を判断するには、ランダム化比較試験の結果を参考にする必要がある。SU薬とインスリンとの優劣を比較した試験としてはUKPDS332) があり、早期インスリン導入の従来療法に対する優越性を検討した試験としてはORIGIN3) がある。UKPDS33では、食事療法群、SU薬投与群、インスリン投与群(すでにBasal-bolus療法が用いられている)が比較されたが、その結果は1)SU薬とインスリンはイベント発症予防効果において同等である、2)膵β細胞機能の低下速度は、食事療法群、SU群、インスリン投与群において差はない、というものであった。つまり「早期インスリン導入による膵β細胞機能の温存」は幻想にすぎないことが明らかにされている。ORIGINでは、prediabetesを含む糖尿病患者においてグラルギンを用いた厳格血糖管理のイベント抑制効果を検討したが、グラルギン投与によるイベント抑制効果は認められなかった。 それではメトホルミンの次にはどの薬剤を選択すればよいのだろうか?インスリンおよびSU薬は糖尿病関連合併症を減らすことがUKPDS33で明らかにされているので、メトホルミンへの追加薬剤としていずれかを選択することは十分に合理的である。これまでのすべての報告はインスリン投与により、SU薬に比較して低血糖が増加することを示している。低血糖を回避して血糖を管理することの重要性が次第に明らかになりつつあることから、SU薬が使用できる状況であえてインスリン投与を選択する必要はないと考えられる。早期インスリン導入による膵β細胞保護作用を主張する一部の議論もあるが、その根拠はUKPDS33で明確に否定されている。膵β細胞機能を維持するために重要なのは良好な血糖コントロールを持続することであり、インスリンを投与することではない。インスリンは必要なときに、必要最少量を投与することがコツである。この点で英国のNICEのガイドライン4) では、インスリン投与はメトホルミンおよびSU薬の併用にてコントロール不良であるときに開始すべし、と明確に記載されている。

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糖尿病患者のCOPD増悪、ステロイドで血糖値は?

 COPD増悪を起こした2型糖尿病患者にステロイドを投与しても、血糖値の有意な上昇は認められなかったことを、イスラエル・Nazareth病院のGeorge Habib氏らが明らかにした。Respiratory Medicine誌2014年8月22日号の掲載報告。 ステロイドの投与によって、血糖値の上昇が起こることは知られている。しかし、これまで、COPD増悪を起こした2型糖尿病患者のHbA1cに対するステロイドの影響を検討した研究はなかった。 本研究ではCOPD増悪により入院した2型糖尿病患者をグループ1、対照群として増悪以外の理由で入院したCOPDを有する2型糖尿病患者(年齢・性別により調整)をグループ2とした。両グループとも入院時とその3ヵ月後にHbA1cを評価し、人口統計学的および臨床検査項目の変化、ステロイド総投与量を検討した。 両グループのパラメーターの比較には、Mann-WhitneyのU検定と、カイ二乗検定/Fisherの正確確率検定を用い、入院時と3ヵ月後のHbA1cの比較には、Wilcoxonの符号順位検定を用いた。また、多変量線形回帰分析により、グループ1におけるHbA1cの変化の予測因子を検討した。 主な結果は以下のとおり。・グループ1は23例、グループ2は21例であり、全44例中39例が男性であった。・平均年齢は66.2±8.2歳で、両グループとも糖尿病の治療が強化されていた。・グループ1ではHbA1cに有意な変化は認められなかったが(p=0.416)、グループ2では有意な減少が認められた(p=0.032)。・ステロイド総投与量は、グループ1におけるHbA1c増加の予測因子であった(p=0.026)。■「COPD増悪」関連記事COPD増悪抑制、3剤併用と2剤併用を比較/Lancet

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せん妄管理における各抗精神病薬の違いは

 せん妄の管理において、定型抗精神病薬と各非定型抗精神病薬ではどのような違いがあるのか。スイス・チューリッヒ大学病院のSoenke Boettger氏らは、せん妄に対する定型抗精神病薬(ハロペリドール)と非定型抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、アリピプラゾール)の有効性と副作用プロファイルを比較検討した。その結果、有効性は同程度であったが、副作用プロファイルに関しては相違がみられ、ハロペリドールでは錐体外路症状(EPS)、オランザピンでは鎮静の発現頻度が高いことを報告した。Palliative and Supportive Care誌オンライン版2014年9月5日号の掲載報告。 研究グループは、せん妄の管理において、定型抗精神病薬のハロペリドールと非定型抗精神病薬のリスペリドン、オランザピンおよびアリピプラゾールの有効性ならびに副作用プロファイルを比較検討した。ベースライン時(T1)、2~3日後(T2)、4~7日後(T3)に、The Memorial Delirium Assessment Scale(MDAS)、the Karnofsky Performance Status(KPS)scaleおよび副作用の程度を評価した。解析対象症例は、年齢、認知症の既往、ベースラインのMDASスコアをマッチさせた21例とした。 主な結果は以下のとおり。・各薬剤群でベースライン特性に差はなかった。・平均年齢は64.0~69.6歳の範囲であり、認知症を23.8~28.6%に認め、ベースラインのMDASスコアはハロペリドール19.9、リスペリドン18.6、オランザピン19.4、アリピプラゾール18.0であった。・T3時の投与量はハロペリドール5.5mg、リスペリドン1.3mg、オランザピン7.1mg、アリピプラゾール18.3mgであった。・1週間を通して、各薬剤とも同程度のMDASスコア低下を示し、T2またはT3時点でMDASスコア間に差はみられなかった。・1週間後のMDASスコアはハロペリドール6.8、リスペリドン7.1、オランザピン11.7、アリピプラゾール8.3であった。・T2時点においてせん妄の回復が42.9~52.4%に、T3時点では61.9~85.7%の症例に認められ、薬剤間で評価の差はみられなかった。・副作用としてEPSがハロペリドールで19%、リスペリドンで4.8%に、また、鎮静がオランザピンで28.6%に報告された。・せん妄の管理において、ハロペリドール、リスペリドン、オランザピンおよびアリピプラゾールの有効性は同程度であった。ただし、副作用プロファイルは異なり、ハロペリドールではEPSが、オランザピンでは鎮静が、それぞれ最も高頻度に発現した。関連医療ニュース 定型vs.非定型、せん妄治療における抗精神病薬 高齢者のせん妄に対する抗精神病薬のリスクは? 高力価vs低力価、有効性の違いは

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一般市民に皮膚科医はどう思われている?

 米国市民の約半数は、皮膚科医は皮膚がんの治療に大半の時間を費やしており、プライマリ・ケア医よりも職業的重要性は低いと認識していることなどが、米国・カリフォルニア大学デービス校のElizabeth A. Brezinski氏らによる調査の結果、明らかにされた。収入についてはプライマリ・ケア医よりも多いが心臓外科医や形成外科医よりは少ないと思っていることなども示された。著者は、「皮膚科医の専門性についてよりきちんと知らしめる必要がある」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年8月27日号の掲載報告。 皮膚科医とその他専門医に対する一般市民の認識を比較することを目的とした調査は、全米市民を対象に、RDD(random digit dialing)方式での電話調査で行われた。  主な結果は以下のとおり。・10個の市外局番から無作為に選択した2,353件に電話をかけ、計800人(34%)の成人から回答を得られた。・全体的に回答者の46%が、皮膚科医は皮膚がんの治療に大半の時間を費やしていると認識していた。・皮膚科医が審美的な処置を行うことに大半の時間を費やしていると認識していた回答者は27%であった。・プライマリ・ケア医のほうが皮膚科医と比較して、重大な職業であると回答したのは63%(より難しい仕事であるとの回答は54%)、また92%がより長時間働いていると認識していることが示された。・心臓専門医との比較においても、同様の結果がみられた。・また市民は、皮膚科医はプライマリ・ケア医よりも収入が多いが、心臓専門医や形成外科医よりは少ないと認識していた。・なお本調査結果について著者は、回答者と非回答者の間にpotential differencesが存在する可能性を指摘している。

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DES後のDAPT継続期間は短期間をベースに、高リスクの患者では症例ごとのオーダーメイド医療か(解説:中川 義久 氏)-241

 薬剤溶出ステント(DES)留置後の2剤併用抗血小板療法(DAPT)を継続する期間については、いまだ明確な基準はない。今回、この問題に1つエビデンスが加えられた。 フランスのJean-Philippe Colletらが、ARCTIC-Interruptionという無作為化比較試験の結果をLancet誌に報告した。2010年1月から2012年3月の間に、中断群624例と継続群635例に割り付けた。DES留置後1年間にイベントが起きなかった場合に割り付けが行われ、中断群はチエノピリジン系薬剤(クロピドグレル)が中断されアスピリンを継続している。継続群は、アスピリン+チエノピリジン系薬剤の2剤投与である。割り付け後の追跡期間の中央値は17ヵ月である。 その結果では、全死亡、心筋梗塞、脳梗塞や一過性脳虚血性発作、再血行再建術、ステント血栓症で定義される主要エンドポイント発生は、ITTで評価すると中断群4%、継続群4%と差は無かった。 一方、STEEPLE大出血イベントで定義される安全性エンドポイントは、中断群<0.5%、継続群1%と有意差はないものの継続群で頻度が高かった。大出血または小出血イベントでは、中断群1%、継続群2%と継続群で有意に頻度が高かった(p=0.04)。 要約すれば、留置後1年間でイベントが起きなかった場合、その後も継続して行うことに明白な有益性はなく、むしろ出血イベントのリスクが増し有害であることが示された。 この試験だけでなく、PRODIGY、REAL-LATE/ZEST-LATE、DES LATE、EXCELLENT、RESET、OPTIMIZEなどの試験でも、長期間のDAPTは心血管イベントを減らすことはなく、出血性合併症を増加させるという結果が一貫性を持って示されている。 このようなエビデンスがあるものの、日本における日常臨床の現場においては、1年を超えてDAPTが継続されている症例も少なくないのが現状であろう。これらの無作為化試験においては、試験除外基準によりステント血栓症の高リスク症例は解析に加えられていないことに注意が必要である。 また、DESの進化、新規の抗血小板薬剤の登場など現場の変化もある。日常臨床において各担当医が悩むのは、複雑な病変背景や植込み手技の症例、PSSやステント・フラクチャを持つことが既知の症例などである。標準的な症例については、DAPT期間についてガイドラインが今後改訂される可能性はあるが、高リスク症例については明確な基準を提示することは困難であろう。 ステント血栓症の危険因子を解析した報告は多い。これらの因子の集積度について症例毎に配慮して各個人に最適な医療を提供するオーダーメイド医療が求められる分野なのであろう。

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