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HHV6関与の小児薬物アレルギーは重症化

 ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)陽性の薬物アレルギー症候群(DHS)患者は、より重症化する傾向があることが明らかにされた。また、全身性コルチコステロイド治療が、統計的有意差は示されなかったが入院期間の短縮および発熱日数を減少し、統計的に有意に早期回復をもたらしていた。J. Ahluwalia氏らが小児29例の症例についてレトロスペクティブに評価し報告した。British Journal of Dermatology誌オンライン版2014年11月4日号の掲載報告。 研究グループは、DHSの重症度にはHHV6陽性が影響する可能性が示唆されており、また、HHV6陽性DHS患者への全身性コルチコステロイド治療は疾患を長期化することが推測されていたことから、次の2点について検討を行った。(1)小児患者におけるHHV6陽性(再活性を検出)DHS患者vs. HHV6陰性DHS患者の重症度の評価、(2)全身性コルチコステロイド治療に対する反応の評価である。 29例の患者を対象とし、HHV6陽性群vs.陰性群、全身性コルチコステロイド治療の有無で層別化し、入院期間、総発熱日数、疾患の進行停止(CTP)までの期間を調べた。 主な結果は以下のとおり。・HHV6陽性患者とHHV6陰性患者の人口統計学的特性は類似していた。・陽性患者のほうが陰性患者と比べて、入院期間(11.5日vs. 5日、p=0.0386)、総発熱日数(12.5日vs. 3日、p=0.0325)、CTP期間(4日vs. 2日、p=0.0141)が有意に長期であった。・HHV6陰性全患者と、大半の陽性患者(80%)が、全身性コルチコステロイド治療を受けた。・HHV6陰性患者でコルチコステロイド治療を受けた患者は、受けなかった患者よりも、CTP期間が有意に短縮した(3日vs. 2日、p=0.043)。・また、統計的に有意差は示されなかったが、入院期間と総発熱日数も短縮化の傾向がみられた。・DHS頻度が高かった薬物は、ST合剤(33%)、フェニトイン(10%)、アモキシシリン(10%)などであった。

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美容師の手袋、染毛剤に安心な材質は?

美容師が染毛剤を使用するときの一般的な保護手袋の多くは、アレルギー性接触性皮膚炎の予防に十分でないことが、スウェーデン・ルンド大学のAntelmi氏らにより報告された。Contact Dermatitis誌オンライン版2014年11月19日掲載報告。背景染毛剤の使用により、美容師はパラフェニレンジアミンなどのアレルゲンに触れることがある。しかし、それによる接触性皮膚炎などの予防は十分ではなかった。目的美容師が広く用いている保護手袋の、アレルゲンに対する予防効果をin vivoで検討する。方法●スウェーデン、イタリア、ドイツから集められた6種類の手袋を調査した。それらの材質は、ビニールとニトリルゴムがそれぞれ2種類ずつ、天然ゴムラテックスとポリエチレンがそれぞれ1種類ずつであった。●試験に用いられた染毛剤は、パラフェニレンジアミンを含有する暗い色合いのもので、過酸化水素と混合された。●パラフェニレンジアミンに感作している8名のボランティアが手袋を装着し、染毛剤に15分、30分、60分触れた時点の皮膚のパッチテストを行った。結果●湿疹は、天然ゴムラテックス、ポリエチレン、ビニールの手袋で発現した。●ニトリルゴムの手袋は60分後であっても保護効果は良好であった。●美容師が染毛剤を使用するときの一般的な保護手袋の多くは、アレルギー性接触性皮膚炎の予防に不適と考えられる。

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Low Dose AspirinにNet Clinical Benefitはない! ~Negativeな結果、しかし、わが国にとってはPositiveな試験(解説:平山 篤志 氏)-282

 先日、シカゴで行われたAHAにて日本発の大規模臨床試験がLate Clinical Braking Trialで取り上げられた。高血圧、脂質異常症、あるいは糖尿病を持つ65~85歳の高齢者1万4464人を対象に、平均5年間のアスピリンの1次予防効果を検討した試験であった。オープンラベル試験ではあったが、データ解析がブラインドで行われ、1次エンドポイントである心血管死、脳梗塞、心筋梗塞の発症には差がなかったという結果であった。 ただ、TIAや非致死性心筋梗塞の発症はアスピリンで有意に抑えられていたことが反映されなかったのは、平均5年間でのイベント発症率が両群それぞれ2.77%(アスピリン群)、2.96%(非投与群)ときわめて低いという背景があったことが考えられる。わが国では高齢のハイリスク群であっても低イベントであることから、効果よりアスピリンに伴う出血のリスクがより増加することによるデメリットが反映された結果だったと考えられる。非致死的ではないが頭蓋内出血やくも膜下出血がアスピリン群で増加しており、さらに胃潰瘍、消化管出血の副作用も有意にアスピリン群で多かった。このことから、わが国ではハイリスクであっても1次予防のLDAのNet Clinical Benefitはないとしたことは大きな意義がある。 ただ、この試験の持つ意味は結果より1万4000人という対象を5年間Follow Upしたこと、さらにイベントをブラインドで評価したこと、さらに現在のわが国での正確なイベント発生率を明らかにしたことが意義ある論文として、JAMA誌に掲載されたことである。 ただ、Lost to Follow-Upが各群で10%以上認めたことは低いイベント発症率からすると結果に影響が出る可能性もあり、今後わが国の臨床試験で精度を高めるためのシステムの構築が必要と考えられる。いずれにしろ、本研究を達成されたグループ(Japan Primary Prevention Project:JPPP)に敬意を表するとともに、今後さらなる解析が行われてアスピリンの有効な集団が明らかにされることを期待するものである。

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心房細動の脳卒中予防に左心耳閉鎖術が有効/JAMA

 非弁膜症性心房細動(AF)への経皮的左心耳(LAA)閉鎖術は、脳卒中、全身性塞栓症、心血管死の複合エンドポイントについてワルファリン療法に対し非劣性であり、心血管死や全死因死亡を有意に抑制することが、米国・マウントサイナイ医科大学のVivek Y Reddy氏らが行ったPROTECT AF試験で示された。ワルファリンはAF患者の脳卒中予防に有効だが、狭い治療プロファイル、生涯にわたる凝固モニタリングの必要性、他剤や食事との相互作用という制限がある。LAAはAF患者における血栓の好発部位であり、これを機械的に閉鎖するアプローチ(WATCHMANデバイス)の開発が進められている。JAMA誌2014年11月19日号掲載の報告。機械的閉鎖術による局所療法の有用性を評価 PROTECT AF試験は、非弁膜症性AF患者の心血管イベントの予防における経皮的LAA閉鎖術による局所療法の、ワルファリンによる全身療法に対する非劣性および優越性を検証する非盲検無作為化試験。患者登録期間は2005年2月~2008年6月で、すでに平均フォローアップ期間18ヵ月および2.3年の結果が報告されており、今回は3.8年(2012年10月時点)の長期データの解析が行われた。 対象は、年齢18歳以上の非弁膜症性AFで、CHADS2スコア≧1、ワルファリンの長期投与を要する患者であった。被験者は、経食道的心エコーガイド下にLAA閉鎖術を施行後に45日間ワルファリン+アスピリンを投与する群またはワルファリン(目標国際標準比:2~3)を恒久的に投与する群(対照群)に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、脳卒中、全身性塞栓症、心血管死/原因不明死の複合エンドポイントとした。非劣性のベイズ事後確率を97.5%以上、優越性のベイズ事後確率を95%以上に設定した。 欧米の59施設に707例が登録され、LAA閉鎖術群に463例、ワルファリン群には244例が割り付けられた。平均年齢はLAA閉鎖術群が71.7歳、ワルファリン群は72.7歳、男性はそれぞれ70.4%、70.1%で、平均CHADS2スコアは2.2、2.3であった。ベースラインの脳卒中のリスク因子としては、高血圧がそれぞれ89.6%、90.2%、75歳以上が41.0%、47.1%、虚血性脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)の既往歴が17.7%、20.1%に認められた。複合エンドポイントが40%、心血管死が60%減少 複合エンドポイントの発生率は、LAA閉鎖術群が8.4%(39/463例、2.3/100人年)、ワルファリン群は13.9%(34/244例、3.8/100人年)であった(率比[RR]:0.60、95%確信区間[CI]:0.41~1.05)。非劣性の事後確率は>99.9%、優越性の事後確率は96.0%であり、いずれも事前に規定された判定基準を満たした。 全脳卒中の発生率は、LAA閉鎖術群が5.6%(26/463例、1.5/100人年)、ワルファリン群は8.2%(20/244例、2.2/100人年)であり(RR:0.68、95%CI:0.42~1.37)、非劣性(事後確率>99%)が確認された。このうち出血性脳卒中の発生率は、それぞれ0.6%(3/463例)、4.0%(10/244例)であり(0.15、0.03~0.49)、非劣性(>99%)および優越性(99%)が確認されたのに対し、虚血性脳卒中は5.2%(24/463例)、4.1%(10/244例)であり(1.26、0.72~3.28)、両群に差はみられなかった。 また、LAA閉鎖術群はワルファリン群に比べ、心血管死(3.7%[17/463例] vs. 9.0%[22/244例]、1.0/100人年 vs. 2.4/100人年、ハザード比[HR]:0.40、95%CI:0.21~0.75、p=0.005)および全死因死亡(12.3%[57/466例] vs. 18.0%[44/244例]、3.2/100人年 vs. 4.8/100人年、HR:0.66、95%CI:0.45~0.98、p=0.04)の発生率が有意に低い値を示した。 安全性の複合エンドポイント[頭蓋内出血、輸血を要する出血、LAA閉鎖術群では手技に関連するイベント(介入を要する心膜液浸出など)も含む]の発生率は、LAA閉鎖術群が3.6/100人年、ワルファリン群は3.1/100人年(RR:1.17、95%CI:0.78~1.95)で、事後確率は98.0%であり、非劣性基準を満たした。 LAA閉鎖術群で重篤な心膜液浸出が22例(4.8%)にみられたが、いずれも周術期(デバイス装着後7日間)に発生した。大出血はLAA閉鎖術群が22例(4.8%、7日以降が19例[4.1%])、ワルファリン群は18例(7.4%)に認められた。 著者は、絶対リスク減少率は、複合エンドポイントが1.5%、心血管死が1.4%、全死因死亡は5.7%であるが、死亡に関するエンドポイントには不確実性が残る。LAA閉鎖術群では早期の合併症の頻度が高かったが、長期的な安全性プロファイルは2つの治療群で類似していたとまとめている。

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ニボルマブ、未治療の悪性黒色腫に有効/NEJM

 BRAF遺伝子変異のない悪性黒色腫患者の1次治療において、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(商品名:オプジーボ)は、標準的化学療法薬ダカルバジン(同:ダカルバジン)に比べ1年生存率(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、フランス・Gustave Roussy研究所のCaroline Robert氏らの検討で示された。ニボルマブは、プログラム死1(PD-1)受容体と2つのリガンド(PD-L1、PD-L2)との相互作用を選択的に遮断する完全ヒト型抗PD-1モノクローナルIgG4抗体である。イピリムマブ抵抗性の悪性黒色腫を対象とした第III相試験において、ニボルマブは化学療法に比べ高い奏効率(32 vs. 11%)が確認されていた。NEJM誌オンライン版2014年11月16日号掲載の報告。1次治療での有用性を無作為化試験で評価 本研究は、BRAF遺伝子変異のない悪性黒色腫患者に対する1次治療におけるニボルマブの有用性を評価する二重盲検無作為化第III相試験。対象は、年齢18歳以上、全身状態(ECOG PS)が0~1で、BRAF遺伝子変異がなく、未治療のStage III/IVの悪性黒色腫患者であった。 被験者は、ニボルマブ(3mg/kg、2週ごと)+プラセボ(3週ごと)を投与する群またはダカルバジン(1,000mg/m2、3週ごと)+プラセボ(2週ごと)を投与する群に無作為に割り付けられた。治療は病勢進行または許容されない毒性が発現するまで継続された。 主要評価項目はOSとし、副次評価項目は治験担当医判定によるPFS、客観的奏効率(ORR)などであった。主要評価項目については99.79%信頼区間(CI)を算出し、p値(log-rank検定)が<0.0021の場合に統計学的有意差ありと判定した。 2013年1月~2014年2月までに、欧州、イスラエル、オーストラリア、カナダ、南アフリカの80施設に418例が登録され、ニボルマブ群に210例、ダカルバジン群には208例が割り付けられた。全体の年齢中央値は65歳、男性が58.9%、欧州・カナダの患者が69.4%で、PS 0が64.4%、遠隔転移Stage M1cが61.0%、PD-L1陽性は35.4%であった。1年OS:72.9 vs. 42.1%、PFS中央値:5.1 vs. 2.2ヵ月 OS中央値は、ニボルマブ群は未到達、ダカルバジン群は10.8ヵ月であった。1年OSはニボルマブ群が72.9%と、ダカルバジン群の42.1%に比べ有意に良好であった(死亡に関するハザード比[HR]:0.42、99.79%CI:0.25~0.73、p<0.001)。 PFS中央値はニボルマブ群が5.1ヵ月であり、ダカルバジン群の2.2ヵ月に比し有意に延長した(HR:0.43、95%CI:0.34~0.56、p<0.001)。また、ORRもニボルマブ群が40.0%(完全奏効率:7.6%、部分奏効率:32.4%)、ダカルバジン群は13.9%(同:1.0%、13.0%)であり、有意な差が認められた(オッズ比[OR]:4.06、p<0.001)。 ニボルマブのダカルバジンに対する生存ベネフィットは、事前に規定されたすべてのサブグループ(年齢、性別、遠隔転移Stage、PS、脳転移の既往、乳酸脱水素酵素[LDH]値、PD-L1など)に一貫して認められた。 ニボルマブ関連の頻度の高い有害事象として、疲労(19.9%)、そう痒(17.0%)、悪心(16.5%)などが認められた。Grade 3/4の治療関連有害事象の発現率はニボルマブ群が11.7%、ダカルバジン群は17.6%であった。治療中止の原因となった有害事象はそれぞれ6.8%、11.7%にみられた。 著者は、「ニボルマブは、ダカルバジンに比べ死亡のリスクを58%低減した。1年OSやORR、安全性プロファイルなどは既報の結果と一貫性が認められた」とまとめている。現在、未治療の患者を対象に、ニボルマブ単剤、ニボルマブ+イピリムマブ併用、イピリムマブ単剤を比較する第III相試験(CheckMate 067試験)が進行中だという。

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うつ病治療、概念や診断方法の相違が課題

 うつ病患者に対し、精神科医とかかりつけ医(general practitioner)が協同してケアを実践していくべきという考えの下、日常臨床でうつ病の概念がどう位置付けられているか、また、うつ病の診断方法に対する精神科医とかかりつけ医の認識について、デンマーク・コペンハーゲン大学のAnnette S. Davidsen氏らは調査を行った。その結果、精神科医はうつ病の概念を実用的であると考え、診断方法の正当性に疑問を感じていなかったのに対し、かかりつけ医はうつ病を「グレーな領域」と考えており、うつ病診断の臨床的有用性に疑問を持っている状況を報告した。International Journal of Qualitative Studies on Health and Well-being誌オンライン版2014年11月6日号の掲載報告。 うつ病の診断は精神科医によって行われ、うつ病患者に対する治療ガイドラインは精神科領域にて作成される。しかしながら、うつ病患者の大半はもっぱら一般診療で治療を受けている。この現状を踏まえ、かかりつけ医による治療は十分とはいえず、これを打開するためには精神科医とかかりつけ医によるコラボレーションケア(CC)モデルの導入が必要である、と精神科医は指摘する。ただし、CCモデルを成功に導くためには、うつ病の概念と診断方法について、精神科医とかかりつけ医の間で統一した見解を築いておく必要性が指摘されていた。 研究グループは、精神科医とかかりつけ医のうつ病に対する認識を調査することを目的とし、精神科医11人、一般開業医12人を対象に、質的に詳細な(qualitative in-depth)インタビューを実施し、解釈学的現象学的分析(Interpretative Phenomenological Analysis)を用いて解析を行った。 分析から得られた主な所見は以下のとおり。・うつ病という概念の実用性に対する見解、およびうつ病患者について話すときに使う言葉や話し方において、2つの医師グループの間でかなりの相違が認められた。・この相違は、2つのグループにおける経験の範囲を表す3つの局面により確認された。・精神科医はうつ病の概念を実用的であると考え、診断方法に対しても満足しており、その正当性に疑問を感じていなかった。・かかりつけ医は、うつ病を「グレーな領域」と考えており、一般診療におけるうつ病診断の臨床的有用性に疑問を持っていた。・その一方でかかりつけ医は、精神科領域で考案された基準に基づいて診断を行うよう、精神科医から求められていると感じていた。・これに対し精神科医は、自らの臨床的印象に基づいて診断しており、考案された基準は重症度の評価に用いていた。・全体的にかかりつけ医は、診断基準が判断をミスリードする可能性があると感じており、懐疑的であった。 所見を踏まえて著者は、「このような理解の相違がある場合には、CCモデルが導入されても主張の衝突につながる可能性がある。今回得られた結果が、CCを実施しているセクター間において、相違に対しどのように対応しているのかを探るための、実際の連携事例を調査する組織研究の有益な材料となることを期待する」とまとめている。関連医療ニュース うつ病患者とかかりつけ医、認識のギャップが浮き彫りに うつ病診断は、DSM-5+リスク因子で精度向上 うつ病+認知障害への有効な治療介入は  担当者へのご意見箱はこちら

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エゼチミブ、冠動脈疾患リスクを低下?/NEJM

 米国・マサチューセッツ総合病院のSekar Kathiresan氏らMyocardial Infarction Genetics Consortium Investigatorsは、エゼチミブ(商品名:ゼチーア)のLDLコレステロール(LDL-C)値低下作用に関わるNiemann-Pick C1-like 1(NPC1L1)タンパク質に着目し、同タンパク質を不活化する突然変異遺伝子を有している人と有していない人を比較した。結果、前者のほうがLDL-C値および冠動脈疾患リスクとの関連が、いずれも有意に低かったことが判明したという。NEJM誌オンライン版2014年11月12日号掲載の報告より。NPC1L1不活化突然変異遺伝子キャリアの冠動脈疾患患者を特定して関連を分析 エゼチミブはNPC1L1活性を抑制することでLDL-C値を低下するが、そのような抑制作用が冠動脈疾患リスクの低下と関連しているのかについては明らかになっていない。研究グループはエゼチミブの潜在的作用を探索するため、遺伝子の突然変異により同様の抑制作用を有している人を特定し、LDL-C値低下や冠動脈疾患リスクとの関連を調べた。 検討は、ヨーロッパ、アフリカ、南アジア系の冠動脈疾患患者7,364例と、同疾患を有さない対照1万4,728例についてNPC1L1遺伝子のエクソン配列を規定し、突然変異遺伝子(ナンセンス突然変異、スプライス部位突然変異、フレームシフト突然変異)キャリアを特定。さらに、特定の突然変異遺伝子(p.Arg406X)を有する冠動脈疾患患者2万2,590例と対照6万8,412例についてジェノタイプを行い、突然変異遺伝子の発現とLDL-C値および冠動脈疾患リスク両者との関連を調べた。キャリアはLDL-C値、冠動脈疾患リスクの両者が有意に低下 シーケンシングにより、15のNPC1L1不活化突然変異遺伝子が特定された。各変異遺伝子についてのヘテロ接合キャリアは、およそ650人に1人の割合で存在していた。 突然変異遺伝子キャリアは、非キャリアと比べて、LDL-C値の平均値が12mg/dL有意に低かった(p=0.04)。 また、キャリアの冠動脈疾患リスクは非キャリアと比べて53%有意に低かった(キャリアのオッズ比:0.47、95%信頼区間[CI]:0.25~0.87、p=0.008)。 突然変異遺伝子キャリアの頻度は、冠動脈疾患患者2万9,954例のうち11例(0.04%)であったが、対照群は8万3,140例のうち71例(0.09%)であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「自然発生的な突然変異でNPC1L1機能がLDL-C値低下や冠動脈疾患リスクの低下と関連していることが明らかになった」と述べているが、一方で「NPC1L1機能抑制にターゲットを置いた薬物療法が、冠動脈疾患リスクを減じるかどうかについては未確定のままである」とまとめている。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第14回

第14回:乗り物酔い(動揺病)の予防監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 乗り物酔い(動揺病)の予防方法を、患者さんに聞かれることがあると思います。さまざまな予防法がありますが、基本的には、体調を整えて無理をしないことのようです。予防のための薬物使用としてGrade A1)として挙げられているスコポラミンの貼り薬は、日本では市販・処方箋処方ともに製品として販売していません。酔い止めとして市販されているトラベルミンなどにはスコポラミンが成分として入っていますが、医師が処方箋として処方するトラベルミン(ジフェンヒドラミンサリチル酸塩[第一世代抗ヒスタミン]、ジプロフィリン)には、スコポラミンは入っていません。市販薬を勧めてみることも選択肢の一つといえます。第一世代抗ヒスタミンでは、Cinnarizine(日本販売なし)、プロメタジン(商品名:ヒベルナ、ピレチア/動揺病として保険適用あり)がModerately Effectiveとして挙げられています1)。 以下、American Family Physician.  2014年7月1日号1) より1. 概論乗り物酔いは、ある種の揺れに体が巻き込まれて起こる症状である。前庭部や視覚、その他の感覚受容器での調整不全から起こると考えられている。嘔気が特徴であるが、胃の不快感や倦怠感、眠気、神経過敏がしばしば先に出現する。早くその症状に気づくことは大切であり、動揺病を防ぐための行動や薬での対策をすべきである。2. 非薬物療法乗り物酔いを引き起こしやすい状況を自覚して、天候不順時の移動を避けたり、起伏の激しい地形やカーブの多い路面を避ける。また、乗り物の最も安定した場所にいることにより不快な揺れを減らすべきである。具体的には、飛行機では翼上の座席、自動車では運転席あるいは前席、2階建てバスや電車では前の方の1階席の窓側、船では波の来る面に対して水面近くだが船首は避ける。ゆっくりした断続的な揺れは、症状を軽減する。水平線を眺めたり、自分で乗り物を運転する、動く方向に顔を向ける、目を閉じて横になる、視覚的な作業をしないなどがある(Grade C)。可能な限り、身体的(脱水や疲労、空腹など)、精神的、感情的に不快を及ぼしやすい要因を減らす。体を動かし続けることも試みるべきである。3. 薬物療法スコポラミンは予防の第一選択薬で、数時間前に経皮的に貼るか、1時間前に服用すべきである(Grade A 貼り薬:Most Effective、経口:Moderately Effective)。第一世代抗ヒスタミンは、鎮静的になるが、効果はある(Grade B)。第二世代以降の抗ヒスタミン薬やオンダンセトロン、根生姜などの有効性は乏しい。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Andrew Brainard, et al. Am Fam Physician. 2014 Jul 1;90(1):41-46.

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妊婦への3種混合ワクチン、早産リスクと関連せず/JAMA

 妊娠中に破傷風・弱毒化ジフテリア・無菌体百日咳3種混合ワクチン(Tdap)を接種しても、早産や在胎週数不当軽量児(SGA)、妊娠高血圧症の発生リスクは増大しないことが明らかにされた。一方で、絨毛羊膜炎リスクが、接種群で2割弱の増大が認められたという。米国・HealthPartners Institute for Education and ResearchのElyse O. Kharbanda氏らが、単胎生児を出産した12万超の女性について行った検討で明らかにした。米国では2011年、米国疾病管理予防センター(CDC)の予防接種の実施に関する諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices)が、Tdap未接種の妊婦に対し、妊娠20週以降の同接種を勧告している。JAMA誌2014年11月12日号掲載の報告より。単胎生児出産した試験対象のうちTdap接種をした21%について分析 検討は、後ろ向き観察研究にて行われ、単胎児を妊娠し、2010年1月1日~2012年11月15日の間に生児出産した女性12万3,494人を対象とした。カリフォルニア州の2つのワクチン接種に関するデータベースを基に、妊娠中のTdap接種と、妊娠中または出生後の有害アウトカムとの関連を分析した。 対象者のうち、Tdap接種を受けたのは2万6,229人(21%)、受けなかったのは9万7,265人だった。早産発生率は6~8%、SGAは8%と両群で同等 結果、妊娠中のTdap接種は有害な出生アウトカムとの関連は認められなかった。早産発生率は接種群で6.3%に対し非接種群では7.8%(補正後相対リスク:1.03、95%信頼区間:0.97~1.09)、SGA(在胎週数相当の10パーセンタイル未満)の発生率はそれぞれ8.4%と8.3%だった(同:1.00、同:0.96~1.06)。 妊娠20週までのTdap接種でも、妊娠高血圧症の発症リスクを増大しなかった(同:1.09、同:0.99~1.20)。一方で、絨毛羊膜炎については、接種群が6.1%に対し非接種群が5.5%と、接種群で2割弱の増大が認められた(同:1.19、同:1.13~1.26)。

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ウステキヌマブ、日本人高齢患者の長期治療に有用

 ウステキヌマブ(UST、商品名:ステラーラ)の長期1年間の治療は、日本人65歳以上の重症感染症を有していない乾癬患者について十分な効果が期待できるものであるようだ。東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座の林 光葉氏、同教授の中川 秀己氏らがレトロスペクティブな検討の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「所見は、USTが高齢乾癬患者にとって選択肢として望ましい治療薬であることを示すものであった」とまとめている。Journal of Dermatology誌2014年11月号の掲載報告。 乾癬患者は高齢患者の占める割合が増大している。しかし、高齢乾癬患者について満足のいく長期的な治療は、若い患者と比べて共存疾患の頻度が高く、また全身性の治療薬は有害事象リスクが高く困難なものとなっている。 研究グループは、USTは他の全身性治療薬よりも有害事象の頻度が少なく通院頻度もわずかで済むことから、長期治療としての有効性および安全性をレトロスペクティブに評価した。評価はPASIおよびDLQIにて行い、有効性についてはPASIスコア75以上(PASI 75)達成患者の割合で評価した。 主な結果は以下のとおり。・65歳以上の24例を検討対象に含んだ(年齢範囲:65~88歳、平均73.1歳)。乾癬の重症度は中等度~重症であり、QOLに障害を来していた。・PASI 75達成患者は、16週時点で56.5%、28週時点で59.1%、52週時点で60.0%であった。・1年間にあらゆる重症感染症を発生した患者は報告されていなかった。・DLQIスコアの平均値は、0週時点7.8±6.0、16週時点2.5±3.4、28週時点1.4±1.7、52週時点1.2±1.7であった。

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1型糖尿病治療における基礎インスリン(解説:住谷 哲 氏)-280

 インスリン分泌の枯渇している1型糖尿病患者においては基礎インスリンと追加インスリンとの両者を補充する生理的インスリン補充法(physiological insulin replacement)が必須である。とりわけ必要十分量の基礎インスリンを補充することが良好な血糖管理のカギとなる。この点で、基礎インスリン補充量を自在に調節できるインスリンポンプはインスリン頻回注射法(multiple daily injection: MDI)に一日の長がある。持効型インスリンアナログ(デテミル、グラルギン)登場前は中間型インスリン(NPH、レンテ)のほかに選択肢はなく(ウルトラレンテもあったが薬効が安定せず、ほとんど使用した経験がない)、1日数回の注射を必要とした。筆者自身は中間型インスリン投与時には不可避であった重症低血糖が、持効型インスリンアナログ、とりわけグラルギンの登場により大幅に減少したように感じているが、本研究はこの点も含めて、中間型インスリンと持効型インスリンアナログとの有用性をメタ解析およびネットワークメタ解析を用いて比較検討したものである。 「ネットワークメタ解析」は聞き慣れない用語であるが、単純にいえば、介入Aと介入Bとを比較した研究と、介入Aと介入Cとを比較した研究とを統合して、介入Bと介入Cとを比較する統計手法である。メタ解析は「他人のふんどしで相撲を取る」と揶揄されることが多いが、それの進化形であるネットワークメタ解析もその点は同様である。しかし今後は本論文のように、単なる薬剤の有効性(efficacy)ではなく、実臨床における有用性(effectiveness)を比較する研究(Comparative effectiveness research: CER)が主流となっていくと考えられる。その点で、本論文のlast authorがSharon E Straus(Sackett の弟子で、EBMのバイブルであるEvidence-Based Medicine: How to Practice and Teach It. Churchill Livingstone; 4th ed. 2010の筆頭著者)である点は注意しておいてよい。 論文の結論は、持効型インスリンアナログは中間型インスリンに比較して、よりHbA1cを低下させ、体重増加が少なく、重症低血糖が少ない、とするものであった。これらの点はわれわれの日常診療での経験と一致していると思われる。2型糖尿病患者においてはHbA1c 1%の低下により糖尿病関連エンドポイントが21%減少することが報告されているが1)、本論文で明らかにされたHbA1c 0.3%低下の成人1型糖尿病患者における臨床的意義については明らかではない。1型糖尿病患者においては、過去に重症低血糖を経験した場合、心血管イベント後の死亡率が増加することが明らかにされている2)。したがって、HbA1cの低下よりも重症低血糖の減少を評価すべきかもしれない。さらに両者の費用対効果も検討されているが、欧米と日本とでは1型糖尿病患者の有病率も、インスリン療法にかかる費用も異なるため、参考程度に留まる。 1型糖尿病患者の血糖管理は難しい。裏を返せば、それだけ医師としての職人技(art)が必要な領域であろう。しかし本論文に記されたような客観的事実(science)を基礎にしてこそ、医師としての職人技だと思われる。

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精神科病棟への長期入院の予測因子は

 老年精神科の病床数は限られている。カナダ・カルガリー大学のZahinoor Ismail氏らは、高齢者の精神科病院の入院期間の予測因子を明らかにするため検討を行った。その結果、入院期間は概して入院時の臨床特性により予測されることが明らかになった。長期入院の予測因子は、無能力、陽性症状が認められることであり、認知症は長期入院の予測因子ではなかったという。International Psychogeriatrics誌オンライン版2014年10月21日号の掲載報告。 研究グループは、2005~2010年における大都市の精神科病院の入院および退院データをレトロスペクティブに分析した。人口統計学的および臨床情報(入院72時間以内)を集約し、resident assessment instrument - mental health(RAI-MH)を用いて評価し、認知症と非認知症の高齢患者の比較を行った。なお入院期間の予測因子は、一連の一般線形モデルを用いて確認した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、認知症高齢患者169例、非認知症高齢患者308例であった。・本検討集団において、認知症の診断は長期入院の予測因子ではなかった。・内科併存疾患が複数あることは、入院期間と逆相関の関連性を示した。すなわち、併存疾患が多いほど入院期間は短く、また非認知症高齢者よりも認知症高齢者のほうが短かった。・認知症の有無にかかわらず、無能力および陽性症状は、長期入院の予測因子であった。・一方、入院時の疼痛は、短期入院の予測因子であった。関連医療ニュース 入院期間の長い認知症患者の特徴は?:大阪大学 日本の統合失調症入院患者は低栄養状態:新潟大学 統合失調症入院高齢患者、アジアでの多剤併用率は50%以上  担当者へのご意見箱はこちら

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統合失調症の治療目標、急性期と維持期で変更を:京都大学

 抗精神病薬は、統合失調症の治療の柱であり、その効果は数百件の無作為化臨床試験によって確立されたものである。しかしながら、ベースライン時の症状の重症度を問わず有効なのか、どれぐらい効果があるのかは解明されていない。京都大学の古川 壽亮氏らは、統合失調症の初期重症度と抗精神病薬の有効性についてメタ解析にて検討した。その結果、抗精神病薬の効果は、急性期およびより陰性症状が主体となっている統合失調症の、全スペクトラムにおいて期待できるとの示唆が得られたことを報告した。所見を踏まえて著者は、「医師は、スペクトラムで軽症に向かっている患者については、症状改善の効果が減少している一方で有害作用のリスクが高まっていることに気付かなくてはならない。同時に、寛解期の患者の再発予防を見据えた抗精神病薬の使用に配慮する必要があり、この点が本検討の主眼であった」と述べている。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年11月5日号掲載の報告より。 研究グループは、統合失調症のベースライン時の重症度の違いにより抗精神病薬の効果が異なるのかを調べた。検討は、3件の急性期統合失調症患者が参加した試験(611例)と3件の陰性症状が主体となっている統合失調症患者が参加した試験(475例)の患者データをメタ解析し行われた。治療介入は、オランザピンまたはリスペリドンvs.プラセボ、アミスルピリドvs.プラセボであった。主要評価項目は、試験開始から6週時点までの、陽性陰性症状評価尺度(PANSS、スコア範囲:30~210)と、陰性症状評価尺度(SANS、スコア範囲:0~125)のスコアの変化であった。試験薬群およびプラセボ群の、ベースライン時からのスコア変化の関連性を8つの競合ミックス効果モデルで反復評価した。 主な結果は以下のとおり。・最適モデルでは、両タイプの患者において、ベースライン時の症状重症度と治療の相互作用は統計的に有意であった(p<0.01)。・ベースライン時の症状が重症であるほど、実薬群とプラセボ群の群間差は大きかった。・急性期の治療において、PANSSスコア変化の差の平均値は、ベースライン時の精神疾患が軽度の患者では9.5ポイント(ベースライン時のPANSSスコア58)、中等度では13.7ポイント(同75)、顕著では18.8ポイント(同95)、重度では24.0ポイント(同116)であった。・陰性症状が主体となっている患者の治療では、SANSスコア変化の差の平均値は、ベースライン時の精神疾患が中等度の患者では1.7(ベースライン時のSANSスコア55)、中等度では5.7(同70)、重度では9.7(同85)であった。関連医療ニュース 統合失調症の再発予防、ω-3脂肪酸+α-LAは有用か 急性期統合失調症、2剤目は併用か 切り換えか:順天堂大学 アリピプラゾール経口剤⇒注射剤への切り替え、その安全性は  担当者へのご意見箱はこちら

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美容皮膚科、有害事象発生は1%未満

 米国・ノースウェスタン大学のMurad Alam氏らによる多施設共同前向きコホート研究の結果、レーザーや毒素、皮膚充填剤を用いた処置などの非侵襲性~微小侵襲性の美容皮膚科的な処置は、経験豊かな認定皮膚科医が行う限り安全であることを報告した。「有害事象が起きるのは患者の1%未満であり、発生例も大半は軽症または一過性のものであった」とまとめている。これまでも同手技については広く安全であると信じられており、有害事象の発生率は低いと報告されていた。しかし、信頼性の高い有害事象発生率のデータはほとんどないという。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年11月5日号の掲載報告。 本調査研究は、2011年3月28日~12月30日に、レーザーおよびエネルギーデバイスを用いた処置、毒素注射療法、皮膚軟部組織を用いたシミ・しわとり再生医療処置を行った外来・美容皮膚科専門のクリニック8施設で行われた。施設は全米各地に点在する民間医療機関で、計23人の皮膚科医から調査の協力を得られた(2万399手技)。 データの収集は、施設ごとに3ヵ月(13週)間にわたり、季節変動を考慮して施設ごとの開始日をずらして行われた。データの収集は各施設で毎日Webベースに入力する形で行われ、実施した処置についてカテゴリー別・サブタイプ別に記録がされた。 有害事象は次のように検出された。(1)関与している医師またはスタッフによる初期の観察で検出、(2)術後に自己報告することを奨励されていた患者からのアクティブな申告で検出、(3)スタッフから患者に行われた術後フォローアップの電話により検出、であった。有害事象は医師により観察されなかったが疑われた場合は、フォローアップ訪問が24時間以内になされ、その特徴付けが行われた。各有害事象に関する詳細な情報は、オンラインフォームに記録された。 主要アウトカムは、手技関連有害事象の全発生率(全実施手技÷全有害事象)。有害事象の発生は臨床検査と照合して確認が行われた。 主な結果は以下のとおり。・有害事象は48件、発生率は0.24%(95%信頼区間[CI]:0.18~0.31%)であった。・概して、手技36件で1件の有害事象が起き、発生率にして0.18%(95%CI:0.13~0.25%)であった。・重篤な有害事象は報告されなかった。・有害事象と既知のリスク因子との関連はまれなものであった。

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肺炎球菌ワクチン導入で直接および間接的な効果/NEJM

 南アフリカ共和国では、2009年に小児への7価肺炎球菌ワクチン(PCV7)定期接種が導入され、2011年からはPCV7に代わりPCV13の定期接種が行われている。同国National Health Laboratory Service(NHLS)のAnne von Gottberg氏らは、ワクチン定期接種導入前後の侵襲性肺炎球菌感染症発症の変化を調べた。その結果、2歳未満児と22~45歳の年齢群での効果が最も大きく、それぞれPCV7タイプの肺炎球菌髄膜炎の減少は89%、57%であったことなどを報告した。NEJM誌2014年11月13日号(オンライン版2014年11月11日号)掲載の報告より。ワクチン導入前と導入後の侵襲性肺炎球菌感染症の発生の変化を調査 2009年に導入された同国PCV7、PCV13の接種スケジュールは3回タイプのもの(生後6週、14週、36週時)で、2012年において1歳児の接種率(3回接種を完了)は推定81%であったという。 研究グループは、全国規模の検査施設ベースのサーベイランスを行い、ワクチン定期接種導入前(2005~2008年、ベースライン)から導入後2011年および2012年への疾患発生の変化を、同国ハイリスク年齢群(2歳未満、25~44歳)に焦点を当てて調べた。全年齢の侵襲性肺炎球菌感染症の発生は40%減少 8年間(2005~2012年)のサーベイランスで、3万5,192例の侵襲性肺炎球菌感染症症例を特定した。このうち70%で分離株を入手できた。年齢が不明な症例は5%であった。 全年齢における侵襲性肺炎球菌感染症の発生は10万人年当たり、ベースライン9.4例から2012年は5.7例へと相対比で40%減少していた。 減少率が最も大きかったのは2歳未満児群と25~44歳群であった。 2歳未満児群の発生は、54.8例から17.0例へと69%減少していた。このうちPCV7に含まれる血清型の発生例だけをみると32.1例から3.4例へと89%(95%信頼区間[CI]:-92~-86%)減少していた。 HIV非感染小児におけるPCV7血清型疾患の発生は、85%(95%CI:-89~-79%)の減少であった。一方で、同群ではワクチンに含まれていない血清型の発症例が33%(同:15~48%)増大していた。 25~44歳の成人では、疾患発生は3.7例から1.6例へと57%(同:-63~-50%)減少していた。 結果を踏まえて著者は、「小児と成人においてみられたPCV7血清型の侵襲性肺炎球菌感染症発生の減少は、ワクチン接種の直接的効果と間接的効果が反映された結果だと思われる」とまとめている。

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2つのNMDA受容体拮抗薬、臨床像はなぜ異なるのか

 メマンチンとケタミンは、いずれも臨床的にNMDA受容体のオープンチャンネル阻害により著明な薬理学的効果を示すが、臨床像は明確に異なる。米国・ワシントン大学のChristine M. Emnett氏らは、NMDA受容体チャンネル阻害と陽性アロステリック修飾物質(positive allosteric modulators:PAM)の相互作用について検討した。著者らは、以前の検討においてこの両者の違いを明らかにしNMDAの重要性を明確にしたが、PAMが薬理学的な阻害活性や阻害の違いに影響を与えているのかどうかについては不明なままであった。British Journal of Pharmacology誌オンライン版2014年11月6日号の掲載報告。 研究グループは、2つの異なるPAMであるSGE-201(内因性オキシステロール24S-hydroxycholesterol)とPS(pregnenolone sulfate)について検討した。チャンネル機能の陽性修飾により、単細胞内またはネットワーク内のメマンチンおよびケタミン下の行動が変わるのかどうかを調べた。 主な所見は以下のとおり。・SGE-201とPSは、チャンネルブロッカーの定常状態阻害や電位依存性に影響していなかった。・一方でPAMは、メマンチンとケタミンのphasic EPSCへの活性をいずれも増大した。薬理学的な差は現れなかった。・SGE-201は、電圧上昇の間に、遮断薬の再平衡化を加速した。・また、SGE-201は、神経ネットワークにおける阻害効果の違いも明らかにした。多電極アレイによる活性抑制の測定、および、軽度の興奮毒性発作に対する神経保護作用の測定によって明らかにできた。・NMDA受容体を強化する一方で、基礎活性レベルの維持またはNMDAR機能を強化しない活性/脱分極の増大は、ネットワーク機能抑制や神経保護における薬理学的な阻害効果の違いを明らかにするのに十分であった。関連医療ニュース 抗グルタミン酸受容体抗体が神経疾患に重大関与か マグネシウム摂取と脳内NMDA受容体の関与が明らかに 精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所  担当者へのご意見箱はこちら

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アトピー、鼻炎は未熟児・死産リスクを低下

 アトピー性皮膚炎およびアレルギー性鼻炎を有している妊婦では、予想に反して未熟児出産や死産のリスクが低下することが、ノルウェー・ベルゲン大学のHavard Tronnes氏らによる全国コホート研究の結果、明らかにされた。これまでの検討で、喘息を有する妊婦では未熟児出産リスクが増大することが知られていたが、他のアトピー性疾患の影響については明らかにされていなかったという。今回の結果について著者は、「リスクを低下した保護メカニズムは不明であり、所見についてさらなる検討における確認が求められる」とまとめている。Paediatric and Perinatal Epidemiology誌11月号(オンライン版2014年10月30日号)の掲載報告。 研究グループは、母体のさまざまなアトピー性疾患に関し、未熟児出産、死産、新生児死亡に影響があるかについて調べた。 ノルウェーの全国レジストリから1967~2003年の全出産に関する、母体の健康、社会人口統計学的要因、妊娠、出産、新生児アウトカムの情報を集約して分析した。 主な結果は以下のとおり。・分析には、計197万4,226件の出産が組み込まれた。・そのうち母体について、喘息の記録があったのは1.8%、アトピー性皮膚炎は3.4%、アレルギー性鼻炎は0.4%であった。・それぞれの、未熟児出産・死産・新生児死亡を合わせた発生率は、6.0%、0.6%、0.5%であった。・考えられた交絡要因で補正後、母体の喘息は、未熟児出産リスクの増大と関連していたことが確認された(相対リスク[RR]:1.15、95%信頼区間[CI]:1.10~1.21)。・一方、母体のアトピー性皮膚炎は、未熟児出産リスクの減少(同:0.90、0.86~0.93)、死産リスクの減少(同:0.70、0.62~0.79)、新生児死亡リスクの減少(同:0.76、0.65~0.90)との関連が認められた。・同様に、母体のアレルギー性鼻炎は、未熟児出産リスクの減少(同:0.84、0.76~0.94)、死産リスクの減少(同:0.40、0.25~0.66)との関連が認められた。・今回の検討で、先行研究で示された母体の喘息は未熟児出産リスクを増大するという関連を確認した。一方で、母体のアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎は、未熟児出産および死産の減少と関連していたことを確認した。

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【GET!ザ・トレンド】食物アレルギー

定義・病態1)2)食物アレルギーは「原因食物を摂取した後に、免疫学的機序を介して生体に不利益な症状(皮膚、粘膜、消化器、呼吸器、アナフィラキシーなど)が惹起される現象」を指し、食中毒や自然毒、免疫機序を介さない食物不耐症(仮性アレルゲンに伴う不耐症や乳糖不耐症など)は食物アレルギーと分けて区別する。疫学乳幼児期で5~10%、学童期で2~5%と考えられている。発症はそのほとんどが0~1歳であり、病型は即時型がほとんどである。主要原因食物は鶏卵、牛乳、小麦であり、全体の2/3を占める。また、これらの原因食物はほとんどが乳幼児期発症であり、そのうち3歳までにおよそ50%、6歳までに80~90%が耐性を獲得(食べられるようになること)する。原因食物は年齢ごとに異なり、学童期以降になると、甲殻類、果物類、小麦、ソバ、落花生、木の実などの発症が多い。表1を拡大する臨床病型1)新生児乳児消化管アレルギー7)早期新生児期に消化器症状(嘔吐、下痢、血便)を主に発症してくる。ほとんどは牛乳が抗原であるが、まれであるが大豆や米が原因のこともある。表2を拡大する2)食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎乳児期に顔面から前胸部にはじまり2ヵ月以上の慢性の経過を辿る。乳児の慢性湿疹のすべてが本疾患ではない。環境抗原が原因の古典的アトピー性皮膚炎であったり、乳児湿疹のコントロール不良例であったりするので慎重な鑑別が必要である。3)即時型8)誘発症状は蕁麻疹に代表される皮膚症状が90%程度の症例に認められる。以下、呼吸器、粘膜、消化器、全身症状の順に多い。アナフィラキシー症状も少なくなく、ショックの頻度は、7~10%と考えられている(図1)。図1を拡大する4)口腔アレルギー症候群果物や野菜に頻度が多く、症状は口腔喉頭症状のみであり、具体的には口腔内違和感(舌が腫れた感じ、口蓋のひりひり感など)、口唇周囲の症状が中心である。食品抗原と一部花粉やラテックス抗原との間に交叉性があり、合併しやすい傾向がある。5)食物依存性運動誘発アナフィラキシー9)原因食物(小麦、甲殻類、木の実類など)を摂取して、およそ4時間以内に運動を行ったときに誘発される。再現性は必ずしも高くない。診断されても、運動する前に原因食物を食べなければ良く、また食べたらおよそ4時間は運動をしなければ、除去の必要はない。診断1)2)診断のためのフローチャートを、乳児期に発症の多い、「食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎」と全年齢層に幅広く分布する「即時型」の2通り示す(図2-1、2-2)。いずれにしても十分な問診の情報を元に、他覚的検査を補助診断材料として用い、最終的には食物経口負荷試験の結果を基本に診断を進める。図2-1を拡大する図2-2を拡大する1)特異的IgE抗体検査(ImmunoCAP®、Skin Prick Test)特異的IgE抗体価の結果のみで、食物アレルギーの診断を行うことはできない。しかし、経口食物負荷試験実施は敷居が高く、検査結果で除去指導が行われている臨床の実態があるのも事実であり、食物アレルギー診療の1つの問題点である。主に行われる検査手法はImmunoCAP®法(Thermo Scientific社)であり、同結果を用いて負荷試験を実施したときの95%以上の陽性的中率となる抗体価の報告がある。とくにわが国からはprobability curveの報告があり(図3)、因子(年齢、原因食物)を考慮しながら本指標を利用することで、食物負荷試験の陽性リスクの確率的な高低を知ることができる10)。Skin Prick Test(皮膚プリックテスト)も同様に感度、特異度とも高いが、陽性的中率が低く、臨床的有用性は特異的IgE抗体検査に劣る11)。一般的には食べられる(耐性獲得)状況になっても、陽性になる傾向があり、耐性獲得の判断には向かない。図3を拡大する2)食物経口負荷試験食物アレルギーの診断は食物負荷試験がgold standardである。経口食物負荷試験は9歳未満の患児に対して、2006年に入院負荷試験、2008年に外来負荷試験に対して診療報酬が認められるようになった。実施には、小児科を標榜している保険医療機関、小児食物アレルギーの診断および治療の経験を10年以上有する小児科を担当する常勤医師が1名以上、急変時などの緊急事態に対応するための体制その他当該検査を行うための体制が整備されている必要がある。食物負荷試験を行うにあたって施行方法、適応、症状出現時の対応、検査結果の見方、その後の経過の追い方を詳しく理解する必要がある。その詳細は、「食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン2009(日本小児アレルギー学会刊行)」に詳しい12)。食物アレルギーの治療1)必要最小限の除去と栄養指導食物アレルギーの診療の基本は“正しい診断に基づく必要最小限の除去”と“栄養指導”であり、積極的に治癒を誘導する治療方法や薬物は現状ではない。医師は定期的に特異的IgE値をチェックしながら、時期がきたら経口食物負荷試験を実施し耐性獲得の有無を確認するだけである。食物アレルギー児は、必要最小限ではあるが除去食をしながら耐性の獲得を待つことになる。除去食は、成長発達著しい乳幼児期に栄養学的リスクを取らせることになるため、医師は常に栄養評価を念頭に置き、管理栄養士とともに栄養指導を行いながら経過を追う必要がある。食物アレルギーの栄養指導には、厚生労働科学研究(研究分担者 今井孝成)で作成された「食物アレルギーの栄養指導の手引き2011」が参考になる13)。食物アレルギー研究会のホームページ(www.foodallergy.jp)などで無償ダウンロードできる。2)薬物療法クロモグリク酸ナトリウムは、食物アレルギーに伴う皮膚症状に保険適応があるのであって、耐性を誘導したり、内服することで原因食物が食べられるようになったりするような効果は持たない。第2世代以降のヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬なども、継続投与することで耐性を誘導するものではない。3)経口免疫療法(減感作療法)14)その効果は一目置くに値するが、治療中のアナフィラキシー症状(時にはショック症状)の誘発リスクがあるため、保護者および患児に対して十分なインフォームドコンセントを得て、かつ食物アレルギーおよびアナフィラキシー症状に十分な経験がある医師の監督下で慎重に行われる必要がある。安易に食物アレルギー患者に本法を導入することは、厳に慎むべきである。減感作のメカニズムは不明な点が多く、今後の研究の進展が期待される。アナフィラキシー15)アナフィラキシー症状は、アレルギー反応が原因で複数の臓器症状が急速に全身性にあらわれる状況を指す。小児における原因は食物が多いが、薬物や昆虫なども原因となる。アナフィラキシーショックは、アナフィラキシー症状のうち血圧低下、それに起因する意識障害などを伴う最重症の状態を指し、生命の危機的状況にある。症状の進行が速く、秒~分単位で進展していく。このため発症早期の発見と対処が重要である。アナフィラキシーの治療は、ショックおよびプレショック状態の場合には、できるだけ迅速にアドレナリン0.01mg/kg(最大0.3mg)を筋肉注射するべきである。アナフィラキシーショックに陥った場合には、発症30分以内のアドレナリン投与が予後を左右する。アドレナリンには自己注射薬(エピペン®)があり、0.3mgと0.15mgの2剤形がある。2009年には救急救命士は、自己注射薬の処方を受けている患者がアナフィラキシーに陥り、アドレナリンを注射すべき状況にあるとき、メディカルコントロールが無くても患者に自己注射薬を注射することが認められている。参考文献1)日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会.食物アレルギー診療ガイドライン2012.協和企画;2011.2)「食物アレルギーの診療の手引き2011」検討委員会編.厚生労働科学研究班による食物アレルギーの診療の手引き2011.3)今井孝成. アレルギー.2004;53:689-695.4)海老澤元宏ほか. アレルギー.2004;53:844.5)長谷川実穂ほか. 日小児アレルギー会誌.2007;21:560.6)今井孝成、板橋家頭夫. 日小児会誌.2005;109:1117-1122.7)Miyazawa T, et al. Pediatr Int. 2009; 51: 544-547.8)今井 孝成.アレルギー.2004;53:689-695.9)相原雄幸. 日小児アレルギー会誌.2004;18:59-67.10)Komata T, et al. J Allergy Clin Immunol. 2007; 119: 1272-1274.11)緒方 美佳ほか.アレルギー.2010;59: 839-846.12)宇理須厚雄ほか監修.日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会 経口負荷試験標準化WG.食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン2009.協和企画;2009.13)厚生労働科学研究班(研究分担者:今井孝成).食物アレルギーの栄養指導の手引き2011.14)海老澤 元宏ほか.日小児アレルギー会誌.2012;26:158-166.15)今井 孝成ほか.アレルギー.2008;57:722-727.

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抗精神病薬の皮質線条体系への影響を検証

 統合失調症初回エピソード患者における、第二世代抗精神病薬による治療と大脳にある線条体の機能的結合性との関連について、米国・ジャッカー・ヒルサイド病院のDeepak K. Sarpal氏らが検討を行った。その結果、治療による精神症状改善に伴い、前頭葉部位との機能的結合性が増大する正の関連性や、頭頂葉内での機能的結合性が低下するといった負の関連性を明らかにした。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年11月5日号の掲載報告。 研究グループは、前向き無作為化試験の手法にて、統合失調症の初回エピソード患者24例と健常対照(年齢、性別、教育、利き手で適合)24例を対象に検討を行った。治療薬(リスペリドンまたはアリピプラゾール)は二重盲検無作為化の手法を用いて投与した。患者群について、ベースライン時と治療12週間投与後に画像検査を行い、また症状について、簡易精神症状評価尺度(BPRS)を用いた評価が行われた。健常対照群には、12週間間隔で2回の画像検査が行われた。主要評価項目は、機能的MRIで評価した線条体の機能的結合性で、その変化についてBPRS評価の低下と比較し検討した。 主な結果は以下のとおり。・患者群24例は、画像検査前に抗精神病薬治療を中央値1日(平均4.5[SD 6.1]日)受けていた。・患者群のうち11例がアリピプラゾールを、13例がリスペリドンによる治療を受けた。・症状の改善に伴い、線条体と前帯状束、背外側前頭前皮質、また海馬や前島などの辺縁系部位との機能的結合性の増大が観察された(多重比較調整後p<0.05)。・一方で、負の関連性として、精神症状の改善に伴い、頭頂葉内での線条体の機能的結合性の低下が観察された(多重比較調整後p<0.05)。・以上のように、精神疾患における皮質線条体系の機能的結合性の異常は、症状依存性であることが示された。 結果を踏まえて、著者らは「前頭葉前部や辺縁系部位との、線条体の機能的結合性の増大は、抗精神病薬治療に関連した症状改善のバイオマーカーとなりうる」とまとめている。関連医療ニュース 遅発型統合失調症、脳の変化に違い:産業医大 抗精神病薬が脳容積の減少に関与か 統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学  担当者へのご意見箱はこちら

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低線量CT肺がん検診の費用対効果/NEJM

 低線量CTによる肺がん検診の増分費用対効果(ICER)について調べたところ、獲得生存年1年当たり5万2,000ドル、1QALY当たり8万1,000ドルと推定されることが示された。一方で、サブグループ分析や感度分析では、そのICERに大幅なばらつきが認められたという。米国・Geisel School of Medicine at DartmouthのWilliam C. Black氏らが、全米肺スクリーニング試験(NLST)のデータを基に検討し明らかにした。NLSTの結果からは、低線量CTによる肺がん検診は、胸部X線検診に比べて、肺がん死亡率を低下することが示されている。NEJM誌2014年11月6日号掲載の報告より。低線量CT肺がん検診、胸部X線肺がん検診、検診なしを比較 Black氏らはNLSTのデータから、低線量CTによる肺がん検診、胸部X線による肺がん検診、肺がん検診なしの3群について、生存年数、質調整生存年(QALY)、1人当たり費用、ICERのそれぞれについて、予測平均値を算定し評価を行った。 QALYについては、生存年は試験期間中の死亡数と試験終了時生存者の予測生存年を基に推定した。質調整値は、サブグループに対しQOL調査を行い推定した。費用は、医療サービス利用率やメディケアの償還額から割り出した。 また得られた結果については、年齢や性別、喫煙歴、肺がんリスクによるサブグループ分析や、数種類の仮定別の感度分析を行った。低線量CT肺がん検診、検診なしと比べ追加費用は1人1,631ドル 分析の結果、肺がん検診をしない場合と比べて低線量CT肺がん検診の、1人当たり追加費用は1,631ドル(95%信頼区間:1,557~1,709)であった。また、生存年を1人当たり0.0316年(同:0.0154~0.0478)、1人当たりQALYは0.0201年(同:0.0088~0.0314)それぞれ延長した。 ICERについては、獲得生存年1年当たり5万2,000ドル(同:3万4,000~10万6,000)、1QALY当たり8万1,000ドル(同:5万2,000~18万6,000)だった。ただしICERは、サブグループ分析や感度分析により、大幅なばらつきが認められた。

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