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医療ビッグデータの活用と漢方薬による医療費削減

 2016年9月6日、都内で第135回漢方医学フォーラム(後援:株式会社ツムラ)が開催され、東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 臨床疫学・経済学教授の康永 秀生氏による講演「医療ビッグデータを用いた臨床疫学研究の最前線~漢方薬による医療費削減~」が行われた。 現存する医療ビッグデータの中でも、その研究利用を期待されているのがDPC(Diagnosis Procedure Combination)データである。DPCデータは、全国のDPC病院(大学病院を含む大・中規模の病院)で収集可能な入院診療データであり、記録される情報は主傷病名、手術術式から身長・体重、意識レベルといった臨床データまで多岐にわたる。その情報量の多さから、DPCデータは医療内容や医療機関の評価にも利用可能であり、医療の可視化や透明性の確保に応用されている。 では、今回のテーマである漢方薬とDPCデータの間にはどのような関係性があるのだろうか。 本講演では、漢方薬の一種である五苓散についてのDPCデータを用いた研究結果が紹介された。五苓散は、慢性硬膜下血腫に対する穿頭血腫洗浄術後、再発防止を目的として投与されるが、有効性に関するエビデンスは十分なものではなかった。 DPCデータ解析の結果、五苓散使用群で再手術率の有意な低下が認められた(五苓散非使用群:6.2%、五苓散使用群:4.8%、リスク差:−1.4%[95%信頼区間:−2.4%〜−0.38%])。また、平均総入院医療費に関しては、五苓散の薬価を含めた上でも五苓散使用群で有意に低い結果となった(五苓散非使用群:67.1万円/人、五苓散使用群:64.3万円/人、p=0.030)。康永氏は、「医療は少しでも治る確率の高いものを選択していくことの連続である」と、先の結果に対する見解を述べた。 このように、DPCデータを用いることにより、漢方薬の効果および医療費への影響を客観的に評価することが可能となる。漢方薬のように既に普及している薬剤にとって、医療の再検証を可能にする医療ビッグデータ解析はまさに適した研究手法といえよう。漢方薬全体としては、五苓散のようにエビデンスが存在する例はまだ限定的である。今後、より効率性と質の高い医療の実現に向けて、医療ビッグデータを活用したさらなるエビデンスの集積を心待ちにしたい。

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がん患者の損傷リスクは診断の全過程で予防対策を/BMJ

 がん患者では、医原性損傷(iatrogenic injuries)および非医原性損傷(non-iatrogenic injuries)のリスクが、診断後だけでなく、診断前から上昇しており、診断の全過程を通じて予防対策を講じる必要があることが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のQing Shen氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌オンライン版2016年8月31日号に掲載された。大腸がん、前立腺がん、乳がんの患者では、医原性損傷による死亡の増加を認め、がん患者における非医原性損傷のリスク上昇も知られている。これまでに、がんの診断後や治療後の損傷のリスクは検討されているが、診断前のリスクの評価は行われておらず、本試験はがんの診断的検査による医学的合併症の疾病負担を総合的に検討した初めての研究だという。診断期と前診断期の医原性・非医原性損傷の発生率を比較 研究グループは、がん診断の前後の期間における医原性・非医原性損傷の相対リスクの検討を行った(スウェーデンがん学会などの助成による)。 1991~2009年に、スウェーデンで新規にがんの診断を受けた72万901例のデータを解析した。剖検でがんと診断された症例は除外した。診断時の年齢中央値は69歳で、男性が51.7%であった。 医原性損傷は、医学的処置や薬物療法による合併症とし、非医原性損傷は、医学的介入や患者の健康追求行動に起因しない損傷とした。これらの分類は、退院時診断および損傷の外因に基づいて行った。 スウェーデンの患者登録から、1990~2010年に主要な退院時診断が医原性または非医原性の損傷であったがんの入院患者を同定した。 条件付きポアソン回帰モデルを用いて、診断期(診断の16週前~16週後)の損傷の発生率を、同じ患者の前診断期(診断の1年前の同様の32週)の損傷の発生率と比較した。非医原性損傷のリスクのピークは、診断の2週前に 診断期には、医原性損傷が7,306件(0.60/1,000人月)、非医原性損傷は8,331件(0.69/1,000人月)発生した。 すべてのがんの、診断期の前診断期に対する医原性損傷の発生率比(IRR)は7.0(95%信頼区間[CI]:6.6~7.4)であった。医原性損傷のリスク上昇は、がん診断の2週前に始まり、診断後2週目にピークに達していた(IRR:48.6、95%CI:37.3~63.5)。 すべてのがんの、診断期の前診断期に対する非医原性損傷のIRRは1.9(95%CI:1.8~2.0)であった。非医原性損傷のリスク上昇は、がん診断の4週前に始まり、診断の2週前にピークに達した(IRR:5.3、95%CI:4.6~6.1)。 診断期の医原性および非医原性損傷の双方のリスク上昇は、一般的ながん(前立腺、乳房、大腸、肺、リンパ節/造血器、中枢神経系など)のすべてで認められ、リスク上昇が最も小さかったのは、非メラノーマ性皮膚がんであった。 非医原性損傷のうち、非意図的損傷(unintentional injuries)のリスクの上昇は診断の前と後で同じであったのに対し、意図的損傷(intentional injuries)のリスク上昇は診断後のほうが顕著であり、それぞれ異なるメカニズムを基盤とする可能性が示唆された。 著者は、「がん患者は、診断前後の短い期間に、入院治療を要する医原性または非医原性損傷のリスクが高度に増大していた」とまとめ、「意図的および非意図的損傷の予防対策は、がんの診断後だけでなく、診断過程と初回治療の過程を通じて求められることが示唆される」と指摘している。

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リウマチ専門医のうつ病診療はこれからどうすべきか

 カリフォルニア大学デービス校のErica Heiman氏らは、リウマチ専門医へアプローチし、日常診療におけるうつ病の認識を調査した。Journal of clinical rheumatology誌2016年9月号の報告。 カリフォルニア州のリウマチ診療医470人にアンケートを送付し、最終的に226件を分析した。回答者は、人口統計学的情報、診療特性、態度、認識、うつ病に関連する診療について回答した。リウマチ専門医の個人特性とうつ病関連診療特性を評価するため、ロジスティック回帰モデルを用いた。リウマチ診療でうつ病は一般的だが診断システムが未確立 リウマチ専門医のうつ病に関連する診療についての調査の主な結果は以下のとおり。・リウマチ専門医の患者の半分以上がうつ病であったと回答した医師は、51%であった。・ほぼすべてにおいて(99%)、いくつかの診察で精神衛生上の問題に対処したと報告した。・リウマチ専門医の対処として、抗うつ薬を処方する、精神科医に紹介する、プライマリケア医へ逆紹介するが同程度に高く、約60%は多くの場合3つの戦略を適応すると回答した。・リウマチ専門医の効果的なうつ病管理の主な障壁として、精神的健康診断へのアクセスと患者の抵抗が特定された。・ロジスティック回帰分析では、毎週通院の患者、線維筋痛症患者、個人開業医では、抗うつ薬の高処方と関連が認められた(p<0.05)。 結果を踏まえ、著者らは「うつ病は、リウマチ診療で一般的であるが、診断、治療、患者紹介システムが確立されていない。精神健康保険サービスに対するリウマチ専門医の意識は高いが、うつ病患者のために一貫した効果的なケアを提供するための自信、時間、紹介ネットワークが十分でない。リウマチ患者のうつ病ケアを改善するためには、臨床医レベルの介入(たとえば、行動ヘルスケア研修の強化)と診療レベルの改革(たとえば、協調的ケア)の組み合わせが必要とされる」としている。

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TwitterかFacebookのどちらで医学を学ぶ?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第75回

TwitterかFacebookのどちらで医学を学ぶ? >足成より使用 最近は、TwitterやFacebookで医学的な情報を流している医師が増えてきました。私はブログとFacebookページを運営しています。Twitterは医学とは関係のないアカウントを持っており、匿名でこっそりやっています。 Tunnecliff J, et al. Translating evidence to practice in the health professions: a randomized trial of Twitter vs Facebook. J Am Med Inform Assoc. 2016 Jun 29.[Epub ahead of print] この論文は、臨床家に対し腱障害のマネジメントに関する知見をTwitterあるいはFaceboookのどちらかで情報を提供し、その知識の向上について調べたランダム化比較試験です。登録されたのは494人で、回答のあった317人が解析の対象となりました。どちらの群に割り付けられた被験者も、その知識の向上と実臨床での有用性を評価していました。Twitter群とFacebook群を比較すると、知識の向上には差はみられず(p=0.728)、実臨床での有用性にも差はありませんでした(p=0.11)。そして、Twitterのほうが情報の拡散が速やかでシェアも多いという結果でした(p<0.001)。また、Facebookのほうが情報の消退が緩やかでした(p<0.001)。ただ現在、Twitterは140文字が上限とされており(部分的に撤廃が考慮されているようですが)、細かい医学的知見をシェアするには複数回の投稿が必要になります。そういった意味では、Facebookのほうが見やすいし理解しやすいと思います。確かにFacebookのレイアウトのほうが見やすいですが、大多数に拡散するのであればTwitterのほうが良いかなとも感じます。インデックスページへ戻る

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非ST上昇型急性冠症候群への早期侵襲的治療、15年追跡結果/Lancet

 非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)に対する早期侵襲的治療は、非侵襲的治療と比較して死亡または心筋梗塞の発生を平均18ヵ月、虚血性心疾患による再入院を37ヵ月延長させた。NSTE-ACSへの早期侵襲的治療は死亡または心筋梗塞の発生率を減少させることがFRISC-II試験で初めて示されたが、今回、スウェーデン・ウプサラ大学のLars Wallentin氏らは、早期侵襲的治療の長期的な有益性について評価すべく、残存寿命の観点からFRISC-II試験の15年間の追跡調査におけるすべての心血管イベントについて解析した。結果を踏まえて著者は、「ほとんどのNSTE-ACS患者において、早期侵襲的治療は優先すべき治療選択肢であることが裏付けられた」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年8月25日号掲載の報告。NSTE-ACS患者約2,400例で早期侵襲的治療と非侵襲的治療を比較 FRISC-II試験は、スウェーデン・デンマーク・ノルウェーの58施設で実施された多施設前向き無作為化試験である。1996年6月17日~1998年8月28日にNSTE-ACS患者2,457例が登録され、7日以内の冠動脈造影で70%以上狭窄を認めた場合は血行再建を行う早期侵襲的治療群(侵襲群)と、至適薬物療法を行うも不応性または症状再発あるいは退院前の症候限界性運動負荷試験で重度の虚血が確認された場合に冠動脈造影を行う非侵襲的治療群(非侵襲群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。割り付け時にバイオマーカー分析のため血漿を採取。長期転帰は全国医療登録のデータで確認した。 主要評価項目は、死亡または心筋梗塞の複合エンドポイントであった。追跡期間中の致死的イベント発生はKaplan-Meier法にて推算し、平均累積イベント曲線間の面積として算出した2次性イベント(再発を含む)延期期間を比較した(intention-to-treat解析)。15年間で、早期侵襲的治療は致死的イベントの発生を平均1年半延長 最低15年間追跡した2014年12月31日時点において、2,457例中2,421例(99%)で生存に関するデータが、2,182例(82%)で2年後の他のイベントに関するデータが得られた。 追跡期間中、非侵襲群と比較して侵襲群では死亡または2次性の心筋梗塞の発生が平均549日間遅延した(95%CI:204~888、p=0.0020)。この効果は、非喫煙患者(平均809日、95%CI:402~1,175、交互作用のp=0.0182)、トロポニンT値上昇を伴う患者(平均778日、95%CI:357~1,165、交互作用のp=0.0241)、増殖分化因子-15(GDF-15)濃度上昇を伴う患者(平均1,356日、95%CI:507~1,650、交互作用のp=0.0210)でより大きく、両群の差は主に新たな心筋梗塞の発生遅延によるものであった。 一方、死亡率のみでは最初の3~4年間に差がみられたものの、これは心臓死の差によるもので、時間とともに差は認められなくなった。侵襲群では、死亡または虚血性心疾患による2次性の再入院を平均1,128日(95%CI:830~1,366)遅らせ、これは全サブグループで一貫していた(p<0.0001)。

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試験前の自信と試験後の落胆(解説:後藤 信哉 氏)-593

 クロピドグレルは、ランダム化比較試験の結果に基づいて世界にて広く使用された。使用の拡大後にクロピドグレルの作用メカニズムが解明された。メカニズムに基づいて個別最適化を目指した用量調節を行えば、クロピドグレルの有効性、安全性はさらに増加すると信じている人もいた。 本論文の責任著者であるフランスのMontalescot氏は、パリ市内のPCIをSteg氏と二分するカテーテル治療の専門家である。クロピドグレルを開発したサノフィ社がフランスの会社なので、抗血小板療法についても臨床的専門家の1人とされている。 筆者は「いわゆる血小板機能検査によるクロピドグレルの個別的薬効調節には意味がない。なぜなら、急性冠症候群の発症と直結する血小板の機能が未知であるからである」と話したところ、Montalescot氏が数年前に「ランダム化比較試験を行えば、個別用量調節を行ったほうが必ず結果がよい」と強い自信を持っておられた。EBMの論理体系を理解した論理的フランス人なので、今は「血小板機能検査の結果に基づいた個別的用量調節はできない」ことに同意されるようになった。 P2Y12 ADP受容体阻害薬の至適用量については、議論が継続している。筆者は、血小板凝集機能、VerifyNowなどの血小板機能検査ではP2Y12 ADP受容体の至適用量の探索はできないとのスタンスに一貫している。薬効は、P2Y12 ADP受容体阻害による。ならば、P2Y12 ADP受容体阻害率による用量調節を行うべきである。Montalescot氏の試験開始前の自信が強烈であったので、論文の結論として「Platelet function monitoring with treatment adjustment did not improve the clinical outcome of elderly patients treated with coronary stenting for an acute coronary syndrome.」と書くときの落胆は大きかったと想像する。 ランダム化比較試験は、臨床的仮説の検証には有用である。しかし、仮説の設定には専門家のアドバイスが役立つ。P2Y12 ADP受容体阻害薬の血小板機能検査による用量調節をめぐる壮大な無駄は、事前の仮説設定を慎重に行えば避けることができたと筆者は今でも思っている。

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双極性障害とうつ病の鑑別診断への試み:奈良県立医大

 躁状態歴が明確にわからない患者では、双極性障害とうつ病を区別することが困難である。鑑別診断のために、客観的なバイオマーカーが必要とされている。奈良県立医科大学の松岡 究氏らは、拡散テンソル画像を用いて、双極性障害患者とうつ病患者の脳白質の微細構造の違いを検討した。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2016年8月30日号の報告。 対象は、DSM-IV-TR基準に基づき抑うつまたは躁うつ寛解状態の双極性障害患者16例、大うつ病患者23例および健常対照者23例。双極性障害とうつ病患者における異方性比率の有意差を検出するために、全脳ボクセルベース・モルフォメトリー解析を用いた。本研究は、2011年8月~2015年7月に実施された。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者では、うつ病患者と比較し、脳梁前部の異方性比率値の有意な減少が認められ(p<0.001)、これは患者の感情状態に依存しなかった。・この減少は、放射拡散係数値の増加と関連が認められた(p<0.05)。また、健常対象者と比較した場合も有意な減少が認められた(p<0.05)。・異方性比率値を用いて双極性障害とうつ病のすべての患者を予測したところ、正確な分類率は76.9%であった。 著者らは「抑うつまたは躁うつ寛解状態の双極性障害患者は、脳梁における微細構造の異常が明らかであり、これは大脳半球間の感情的な情報交換を悪化させ、感情調節不全を来すと考えられる。そして、分類診断ツールとして、拡散テンソル画像使用の可能性が示唆された」としている。関連医療ニュース うつ病と双極性障害、脳の感情調節メカニズムが異なる うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 双極性障害I型とII型、その違いを分析

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男性医師は腰痛が多い?

 労働者における腰痛が、仕事と家庭のアンバランスや好ましくない職場環境、雇用不安、長時間労働、医療従事者など特定の職業と関連していることが、米国・カリフォルニア大学アーバイン校のHaiou Yang氏らの横断的研究で示された。Journal of manipulative and physiological therapeutics誌オンライン版2016年8月25日号に掲載。 この研究は、米国の一般人集団の健康状態とそれに関連する危険因子の情報収集を目的とした2010年National Health Interview Surveyのデータを用いて行われた。腰痛有病率の加重データ計算には分散推定法を用い、性別・年齢で層別化した多変量ロジスティック回帰分析により、腰痛のオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。仕事と家庭のアンバランス、好ましくない職場環境(脅かし、いじめ、嫌がらせなど)への曝露、雇用不安といった仕事関連の心理社会的な危険因子のほか、労働時間、職業、労働組織的因子(フリーランス・派遣などの標準以外の労働形態、夜間勤務・昼夜交替制などの労働スケジュール)についても検討した。 主な結果は以下のとおり。・米国の労働者において、自己申告による過去3ヵ月の腰痛有病率は25.7%であった。・女性および高齢の労働者の腰痛リスクが高かった。・人口統計学的特性や他の健康関連因子を制御した場合、仕事と家庭のアンバランス(OR:1.27、95%CI:1.15~1.41)、好ましくない仕事環境への曝露(OR:1.39、95%CI:1.25~1.55)、雇用不安(OR:1.44、95%CI:1.24~1.67)といった心理社会的因子と腰痛の間に有意な関連が認められた。・標準以外の労働形態の高齢労働者が腰痛を申告する傾向が強かった。・労働時間が週41~45時間の女性および週60時間超の若年労働者で腰痛リスクが高かった。・男性の医療従事者、女性や若年の医療支援従事者、女性の農業・漁業・林業従事者などで腰痛リスクが高かった。

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統合失調症のLAI切替、症状はどの程度改善するのか

 経口抗精神病薬からアリピプラゾール月1回400mg(AOM400)へ切り替えた際の、臨床症状や全般改善に対する効果について、米国の大塚ファーマシューティカル D&CのTimothy Peters-Strickland氏らが評価を行った。CNS spectrums誌オンライン版2016年8月17日号の報告。 DSM-IV-TRで統合失調症と診断され1年以上の患者を対象に、多施設オープンラベル、ミラーイメージ、自然的研究を行い、標準ケアの経口抗精神病薬からAOM400へ切り替え後6ヵ月間のプロスペクティブ治療に対する有効性の変化を評価した。AOM400の24週オープンラベルの前に、経口アリピプラゾール単独療法1~4週のcross-titrationを行った。AOM400オープンラベル相のPANSS、平均CGI-S、CGI-Iスコアとレスポンス率(PANSSスコア30%以上減少、CGI-Iスコア1または2)のベースラインからの平均変化にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・PANSS、CGI-Sスコアはベースラインから改善し(p<0.0001)、CGI-Iはすべての時点で改善を示した。・研究終了までのPANSS、CGI-Iのレスポンダーは49.0%であった。・臨床において、ベースラインで安定化された統合失調症患者は、経口抗精神病薬からAOM400への切り替えにより、臨床症状の明らかな改善を示した。関連医療ニュース LAI切替時、ローディングでの副作用リスクは:山梨県立北病院 LAIを適切に使用するための5つのポイント アリピプラゾール持続性注射剤の評価は:東京女子医大

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各認知症の重症度とBPSD:大阪大

 認知症の中核症状と周辺症状(BPSD)は、認知症者の予後に負の影響を及ぼし、介護者の負担を増大させる。大阪大学の數井 裕光氏らは、4つの主要な認知症において疾患重症度別に12種類のBPSD経過の違いを明確化し、日本多施設研究(J-BIRD)のデータを用いBPSDの頻度、重症度、介護者の負担を示すグラフを開発した。PLOS ONE誌2016年8月18日号の報告。 日本の認知症センター7施設より、2013年7月31日までの5年間にわたり、アルツハイマー病(AD)1,091例、レビー小体型認知症(DLB)249例、血管性認知症(VaD)156例、前頭側頭葉変性症(FTLD)102例のNPI(Neuropsychiatric Inventory)データを収集した。12種類のNPI複合スコア(頻度×重症度)は、各認知症における主成分分析(PCA)を用いて分析した。臨床認知症評価法(CDR)を用いて測定したPCA因子スコアは、疾患の重症度により各認知症で比較した。 主な結果は以下のとおり。・下記について、高いCDRスコアの有意な増加が観察された。 1)ADにおいて、多幸感以外のすべての項目3因子中2因子スコア 2)DLBにおいて、無関心、異常な運動行動、睡眠障害、興奮、神経過敏、脱抑制、多幸感に関する4因子中2因子スコア 3)VaDにおいて、無関心、抑うつ、不安、睡眠障害に関する4因子中1因子スコア・FTLDにおいては、5因子スコアのいずれについても増加は観察されなかった。関連医療ニュース 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット BPSD治療にベンゾジアゼピン系薬物治療は支持されるか 日本人アルツハイマー病、BPSDと睡眠障害との関連は

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非STEMIの死亡率は10年間で改善、その要因とは/JAMA

 イングランドおよびウェールズにおいて、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)で入院した患者の全死亡率は2003年から2013年に改善していることが確認された。この改善は、冠動脈侵襲的治療の実施と有意に関連しており、ベースラインの臨床リスク減少や薬物療法の増加とはまったく関連していなかったという。英国・リーズ大学のMarlous Hall氏らが、Myocardial Ischaemia National Audit Project(MINAP)のデータを用いたコホート研究の結果、報告した。急性冠症候群後の死亡率は世界的に低下しているが、この低下がガイドラインで推奨されたNSTEMIの治療とどの程度関連しているかは不明であった。JAMA誌オンライン版2016年8月30日号掲載の報告。NSTEMI患者約40万人のデータを解析 研究グループは、MINAPデータのうち、2003年1月1日~2013年6月30日にイングランドおよびウェールズの247病院に入院した18歳以上のNSTEMI患者38万9,057例(年齢中央値72.7歳[四分位範囲:61.7~81.2]、男性63.1%)について解析した。データには、ベースラインのGRACEリスクスコア、患者背景、併存疾患、退院時の薬物療法(アスピリン、β-ブロッカーなど)、冠動脈侵襲的治療の使用などが含まれ、死亡データは国家統計局を介して得た。 主要評価項目は、退院後180日の補正後全死因死亡率の年次推移(パラメトリック生存分析を用いて推定)であった。10年間でNSTEMI患者の死亡率は低下、冠動脈侵襲的治療と関連 NSTEMI患者38万9,057例中、追跡期間中に11万3,586例(29.2%)が死亡した。 2003~2004年に比べ2012~2013年では、GRACEリスクスコアの中/高リスク(≧88)の患者の割合が減少し(87.2% vs.82.0%)、最低リスク(

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冠動脈疾患疑い、非侵襲的検査が不要な血管造影を減らす/JAMA

 冠動脈疾患が疑われる患者において、英国立医療技術評価機構(NICE)ガイドラインに基づく治療方針より心血管磁気共鳴(CMR)検査を用いた治療のほうが、12ヵ月以内の不必要な血管造影を減らせることが明らかとなった。CMR検査と心筋血流シンチグラフィ(MPS)検査とで統計的有意差はなく、主要有害心血管イベント(MACE)の発生率も差はなかった。英国・リーズ大学のJohn P. Greenwood氏らが、Clinical Evaluation of Magnetic Resonance Imaging in Coronary Heart Disease 2(CE-MARC2)試験の結果、報告した。冠動脈疾患が疑われる患者に対しては、非侵襲的画像診断の利用や推奨が拡大しているにもかかわらず、診断初期には侵襲的血管造影が一般的に用いられている。現在のガイドラインで推奨されている異なる画像診断の有効性を比較する大規模試験はこれまでなかった。JAMA誌オンライン版2016年8月29日号掲載の報告。冠動脈疾患疑い患者約1,200例を、異なる検査に基づく治療を行う3群に無作為化 CE-MARC 2試験は、英国6病院で実施された多施設共同無作為化並行3群比較臨床試験。2012年11月23日~2015年3月13日に、検査前確率10~90%の症状を有する30歳以上の冠動脈疾患疑い患者1,202例を、NICEガイドラインに基づいた検査と治療を行う群(NICEガイドライン群、240例)、CMRに基づく治療を行う群(CMR群、481例)、またはMPSに基づく治療を行う群(MPS群、481例)に無作為に割り付け、2016年3月12日まで追跡調査を行った。 主要評価項目は、12ヵ月以内の事前に定義された不要血管造影(正常血流予備量比>0.8、または定量的冠動脈造影[QCA]:直径2.5mm以上の全冠動脈血管、1面図で70%以上または2直交図で50%以上の狭窄なし)であった。NICEガイドラインに基づくより、心血管MRのほうが不要血管造影の減少に有用 1,202例の患者背景は、平均年齢56.3(SD 9.0)歳、女性564例(46.9%)、冠動脈疾患検査前確率平均49.5(SD 23.8)%であった。このうち12ヵ月後に侵襲的冠動脈血管造影を受けた患者は、NICEガイドライン群102例(42.5%、95%CI:36.2~49.0)、CMR群85例(17.7%、14.4~21.4)、MPS群78例(16.2%、13.0~19.8)で、事前に定義された不要血管造影はそれぞれ69例(28.8%)、36例(7.5%)、34例(7.1%)で確認された。 不要血管造影の調整オッズ比は、CMR群vs.NICEガイドライン群で0.21(95%CI:0.12~0.34、p<0.001)、CMR群vs.MPS群で1.27(0.79~2.03、p=0.32)であった。 副次的評価項目である血管造影陽性率は、NICEガイドライン群12.1%(95%CI:8.2~16.9、29/240例)、CMR群9.8%(7.3~12.8、47/481例)、MPS群8.7%(6.4~11.6、42/481例)であった。また、12ヵ月後までに報告されたMACE発生率はそれぞれ1.7%、2.5%、2.5%。補正後ハザード比は、CMR群vs.NICEガイドライン群が1.37(95%CI:0.52~3.57)、CMR群vs.MPS群は0.95(0.46~1.95)であった。

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転ばぬ先の杖:TAVIに対する脳血管保護デバイス(解説:香坂 俊 氏)-590

脳血管系の合併症は、だいたい1.5~2.0%の心臓外科手術に起こるとされていて、頻度はそれほど高くないのだが、個人的には避けたい合併症No.1である。実は、頻度からすると「心不全」のほうが術後合併症として起こる確率は高いのだが、こちらはなんとか対応できるイメージなのに対して、脳血管系の合併症は起こってしまうと「本当にどうにもならない」という拭い難いネガティブなイメージが付いてまわる。心臓外科手術の脳血管系の合併症は、だいたい大動脈にクランプをかけたり外したりしたときにおこる。余談だが、筆者は頸動脈ドップラーでクランプを外したときにデブリ(破片)が飛び散るさまを【音】で聞かせてもらったことがあり、背筋か凍った記憶がある。何しろ、それまで静かだったところに、クランプを外した途端ポツポツと雑音が入るようになり、数秒でテレビの砂嵐のような(ほぼ)連続的な音に進展する。いまは、中大脳動脈の血流を実際に見ることも可能となっており(https://www.youtube.com/watch?v=oOW-B-AeDyI)、こうしたイメージでは心臓外科手術の際には肉眼的に30~40のデブリを確認できるとされている。前置きがだいぶ長くなったが、カテーテルで大動脈を留置する際にも、同様に脳血管系の合併症2~5%の症例に起きることが知られている(カテーテル操作や新しい弁を拡張して古い弁に押し付ける際にデブリが飛ぶことによる)。今回のCLEAN-TAVI試験は、このTAVIを行う際に【両側の頸動脈へのフィルターの留置】による効果を検証した試験である(下図)。なお、人工弁はメドトロニック社のCoreValveを使用している。 図1 CLEAN TAVI試験で使用された血管フィルター(Sentinel cerebral protection device: claret medical社ホームページより)その結果は下図から明らかなのだが、Lesion Volume(術後7日目に行ったDiffusion Weighted MRIでの病変の合計体積)がFilter保護を行った群では半分以下になっていた(242 vs.527 mm3)。図2 Diffusion Weighted MRIの3次元構築像。左がコントロール群で右がフィルター保護を行った群の代表例この研究はパイロット研究にすぎないが(何しろ実際のイベント発症率は2%程度なので、わずか100名では圧倒的にパワー不足)、今後さらにこのFilter保護に関する研究は進められていくものと思われる。冒頭で申し上げた通り、脳血管系の合併症は1回起こってしまうと手の付けようがない(ことが多い)。そのためのこうした「転ばぬ先の杖」的な予防法への理解は、大いに歓迎すべきだろう。

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治療できるライソゾーム病 ―ポンペ病を見逃さないために―

ポンペ病(糖原病II型/酸性マルターゼ欠損症[AMD])ポンペ病は、ライソゾーム酵素である酸性α-グルコシダーゼの欠損・活性低下を原因とする常染色体劣性遺伝疾患で、多くの組織のライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積し、主に骨格筋や心筋、平滑筋が障害される。発症率は約4万人に1人と報告されており1-3)、国内では100人程度の患者が確認されている。治療としては、各症状に対する対症療法に加え、酸性α-グルコシダーゼを補充する酵素補充療法が行われる。ポンペ病を疑う特徴的な症状臨床症状はきわめて多岐にわたるが、発症する年齢により、乳児型と小児型・成人型(遅発型)の3つに分けられる。乳児型は生後6ヵ月までに発症し、心肥大などの重度の心機能障害、筋力低下・筋緊張低下(フロッピーインファント※)、呼吸障害、哺乳不良、発達障害などがみられるが、とくに心肥大と筋力低下・筋緊張低下はポンペ病を疑う。小児型は生後6~12ヵ月以降、成人型は10~60歳代に発症し、いずれも重度の心機能障害は来さないが、小児型では進行性ミオパチー、成人型では緩徐進行性ミオパチーを特徴とする。小児型・成人型では、近位筋の筋力低下、呼吸機能障害、早朝の頭痛、高CK血症などからポンペ病を疑う。最重症である乳児型は約3分の1の頻度を占め2)、心肺不全により生後1年以内に死亡する急速進行性の経過をたどるため4,5)、とくに早期診断・治療が求められる。※筋肉が柔らかくなり、正常な子供にみられない特異な姿勢になる。首の座りやお座り、はいはいや歩行といった発達が遅れる。ポンペ病の早期診断のためにポンペ病を疑う症状や所見が認められたら、「新生児マス・スクリーニング用ろ紙※」を用いた酸性α-グルコシダーゼ酵素活性測定による簡便なスクリーニング検査の実施が推奨される(図1)。本スクリーニング検査は、検体に乾燥ろ紙血を用いるため、侵襲が少なく、常温で郵送可能などの利点があり、国立成育医療研究センター臨床検査をはじめとした幾つかの医療機関で原則無料で実施されている。酵素活性測定の結果は、2~4週間程度で報告され、酵素活性低下が確認できれば、確定診断として遺伝子検査や筋生検が必要となることがある。ポンペ病は、患者数が少なく、疾患の認知があまりされていないうえに、他の疾患と類似した症状や所見を示すことがあるため、診断がつかないまま適切な治療を受けられないでいる患者さんが存在している可能性がある。ポンペ病の患者さんの予後を考えるうえでは、早期診断・治療がきわめて重要である。図1 ろ紙血検体作業・依頼方法(国立成育医療研究センターの場合)(1)1~2mL採血後、新生児マス・スクリーニング用ろ紙に血液を2、3滴滴下する。◇点線丸印からはみ出るように滴下する◇ろ紙の裏側にしみるまで滴下する拡大する(2)ろ紙に患者さんの名前(もしくはイニシャル、匿名化番号)、生年月日、採取日、性別を記入する。(3)吊り下げずにそのまま水平に置き、室温で5時間以上乾燥させる(2~3日の室温放置も可)。(4)完全に乾燥させた後、ビニール袋に入れ、郵送までの間、冷蔵で保存する。(5)「検査申込書(酵素活性検査用)」に必要事項を記入し、ろ紙血(ビニールに入れた状態)とともに常温で検査実施機関に郵送する。1)Hirschhorn R & Reuser AJJ. Glycogen storage disease type II: acid alpha-glucosidase (acid maltase) deficiency. In: Scriver CR, et al. eds. The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease. 8th ed. NewYork: McGraw-Hill; 2001.p.3389-3420.2)Martiniuk F. et al. Am J Med Genet. 1998;79:69-72.3)Ausems MG et al. Eur J Hum Genet. 1999;7:713-716.4)van den Hout HM. et al. Pediatrics. 2003;112:332-340.5)Kishnani PS. et al. J Pediatr 2006;148:671-676.

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統合失調症は進化の過程でどう生まれたのか

 なぜ統合失調症は、適応能力に対し負の影響を有しているにもかかわらず、人類の歴史を通じて淘汰されずにいるのかは、進化の謎のままである。統合失調症は、人間の脳の複雑な進化における副産物であり、言語や創造的思考、認知能力の融合物と考えられる。ノルウェー・オスロ大学のSaurabh Srinivasan氏らは、統合失調症に関する大規模ゲノムワイド研究などを分析した。Biological psychiatry誌2016年8月15日号の報告。 著者らは、遺伝子構造や遺伝的変異に関する補助的な情報を利用した統計的フレームワークを使用して、最近の統合失調症の大規模ゲノムワイド関連研究とその他ヒト表現型(人体計測、心血管疾患の危険因子、免疫介在性疾患)の範囲を分析した。ネアンデルタール選択的一掃(NSS:Neanderthal Selective Sweep)スコアと呼ばれる進化の代理指標からの情報を使用した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症と関連する遺伝子座は、最近のヒトにおけるポジティブ選択(低NSSスコア)を受けた可能性の高いゲノム領域において有意に広く存在していた(p=7.30x10-9)。・低NSSスコアの脳関連遺伝子内の変異体は、他の脳関連遺伝子における変異体よりも、有意に高い感受性を示した。・エンリッチメントは、統合失調症において最も強かったが、他の表現型でのエンリッチメントを排除することはできなかった。・27候補の統合失調症感受性遺伝子座への進化プロキシポイントの偽発見率条件のうち、統合失調症および他の精神疾患に関連または脳の発達にリンクしたのは12件であった。関連医療ニュース 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定 統合失調症患者の脳ゲノムを解析:新潟大学 統合失調症の病因に関連する新たな候補遺伝子を示唆:名古屋大学

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喫煙による潜在性動脈硬化リスク、禁煙で減るのか

 滋賀動脈硬化疫学研究(SESSA:Shiga Epidemiological Study of Subclinical Atherosclerosis)において、喫煙が複数の血管床での潜在性動脈硬化と強く関連する一方、その関連性は禁煙後の期間が長くなるに連れて減衰することがわかった。Journal of the American Heart Association誌2016年8月29日号に掲載。 喫煙は、心血管疾患の圧倒的な危険因子であるが、予防可能な因子でもある。本研究では、心血管疾患のない40~79歳の日本人男性1,019例の集団ベースのサンプルにおいて、喫煙状況・累積喫煙歴(pack-years)・1日消費量・禁煙後期間と、冠動脈石灰化・頸動脈内膜中膜複合体厚(CIMT)・頸動脈プラーク・大動脈石灰化・上腕足関節血圧比を含め、解剖学的に異なる4つの血管床での潜在性動脈硬化の関連を横断的に検討した。 主な結果は以下のとおり。・現在喫煙者、元喫煙者、非喫煙者の割合は、それぞれ32.3%、50.0%、17.7%であった。・現在喫煙者は、4循環すべてにおいて、非喫煙者と比べて潜在性動脈硬化リスクが有意に高かった(冠動脈石灰化>0のオッズ比[OR]:1.79[95%CI:1.16~2.79]、CIMT>1.0mmのOR:1.88 [同:1.02~3.47]、大動脈石灰化>0のOR:4.29 [同:2.30~7.97]、足関節上腕血圧比<1.1のOR:1.78 [同:1.16~2.74])。・元喫煙者は、頸動脈と大動脈で、非喫煙者と比べて潜在性動脈硬化リスクが有意に高かった(CIMT>1.0mmのOR:1.94 [同:1.13~3.34]、大動脈石灰化>0のOR:2.55 [同:1.45~4.49])。・現在喫煙者および元喫煙者で、pack-yearsや1日消費量との用量反応関係が、とくにCIMT、頸動脈プラーク、大動脈石灰化、上腕足関節血圧比との間に認められた。現喫煙者では、pack-yearsや1日消費量が少なくても、冠動脈石灰化や大動脈石灰化と関連していた。一方、元喫煙者では、禁煙後期間が動脈硬化指標すべてにおける低負荷と直線的に相関していた。

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ステント留置後のプラスグレル投与、血小板機能検査は必要か/Lancet

 急性冠症候群(ACS)で冠動脈ステント留置術後の75歳以上ハイリスク患者に対してP2Y受容体拮抗薬プラスグレル(商品名:エフィエント)を投与する際、5mg/日投与後に血小板機能検査によるモニタリングを実施し用量調整を行っても、同検査をせずに5mg/日を投与し続ける場合と比べ、1年後までの心血管イベント発生率は変わらないことが明らかにされた。フランス・モンペリエ大学のGuillaume Cayla氏らが、877例を対象に行ったエンドポイント盲検化による非盲検無作為化比較試験「ANTARCTIC」試験の結果、明らかにしLancet誌オンライン版2016年8月28日号で発表した。心血管死、心筋梗塞、脳卒中などの複合エンドポイント発生率を比較 研究グループは、2012年3月27日~2015年5月19日にかけて、フランス35ヵ所の医療機関を通じて、ACSの治療で冠動脈ステント留置術を受けた75歳以上の患者877例を対象に、無作為化比較試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはプラスグレル5mg/日を投与し、14日後に血小板機能検査を行い、その結果に応じて用量を調整し、さらに14日後に再度検査を行った(モニタリング群)。もう一方の群には、プラスグレル5mg/日を投与し、血小板機能検査や用量の調整は行わなかった(対照群)。 主要エンドポイントは、12ヵ月後の心血管死、心筋梗塞、脳卒中、ステント血栓症、緊急血行再建術、BARC(Bleeding Academic Research Consortium)定義の出血性合併症(分類タイプ2、3、5)の複合だった。出血性合併症リスクも両群で同等 877例は、モニタリング群442例、対照群435例に無作為に割り付けられた。 Intention-to-treatによる解析の結果、主要複合エンドポイントの発生は、モニタリング群120例(28%)、対照群123例(28%)と、両群で同等だった(ハザード比[HR]:1.003、95%信頼区間[CI]:0.78~1.29、p=0.98)。キー複合エンドポイント(心血管死、心筋梗塞、ステント血栓症、緊急血行再建術)の発生(モニタリング群10% vs.対照群9%、HR:1.06、95%CI:0.69~1.62、p=0.80)、およびその他の虚血性エンドポイントについても有意差はみられなかった。結果は、項目別にみたエンドポイントすべてにおいて一貫していた。 主要エンドポイントの発生は、主として出血イベントが占めていた。その出血イベントの発生も両群間で有意差はなかった。主要安全性エンドポイント(BARC分類タイプ2、3、5)の発生は、両群ともに約20%(モニタリング群21%、対照群20%)だった(HR:1.04、95%CI:0.78~1.40、p=0.77)。 結果を踏まえて著者は、「投与調整のための血小板機能モニタリングは、ACSでステント留置を受けた高齢患者の臨床的アウトカムの改善には結び付かなかった。血小板機能検査は、多くの施設で行われており、各国ガイドラインでハイリスク患者への使用が推奨されている。しかし、今回の結果はそれらの適用を支持しないものであった」とまとめている。

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ピオグリタゾンと膀胱がんの関連はいかに…(解説:吉岡 成人 氏)-589

BMJ誌に2つの相反する解析データが掲載 2016年3月末、英国のプライマリケアのデータベースを利用して、14万5,806例の新たに治療を開始した2型糖尿病患者を解析したデータにおいて、ピオグリタゾン投与群ではそれ以外の薬剤治療群と比較してハザード比で1.63(95%信頼区間:1.22~2.19)倍、膀胱がんの発症が多いことがBritish Medical Journal誌に報告された1)。ピオグリタゾンの使用期間が2年以上、累積使用量が2万8,000mgを超えるとリスクが高まるとされている。そして、5ヵ月後の同誌には、ピオグリタゾンと膀胱がんのリスクは関連がないという報告が掲載されている2)。欧州4ヵ国の37万人の解析 フィンランド、オランダ、スウェーデン、英国の欧州4ヵ国の医療データベースを用いた後ろ向きコホート研究で、ピオグリタゾンが投与された5万6,337例とピオグリタゾン以外の薬剤を投与された同一国の2型糖尿病患者31万7,109例を対象として、1対1(nearest match cohort)および1対10(multiple match cohort)でマッチングした2つのコホートを設定し、Cox比例ハザードモデルを用いて解析を行っている。 平均追跡期間2.9年において、ピオグリタゾン群では130例の膀胱がんが認められ、対照群では1対1コホートで153例、1対10コホートで970例であった。膀胱がん発症のリスクについて、ピオグリタゾンの対照群に対するハザード比は1対1コホートで0.99(95%信頼区間:0.75~1.30)、1対10コホートで1.00(95%信頼区間:0.83~1.21)であった。また、ピオグリタゾンの投与期間や累積使用量と膀胱がんのリスクは関連せず、1対1コホートでピオグリタゾンの使用期間が48ヵ月を超えている群の補正後ハザード比は0.86(95%信頼区間:0.44~1.66)、累積使用量が4万mgを超えている群では0.65(95%信頼区間:0.33~1.26)であったと報告されている。いくつもの報告があるが… ピオグリタゾンは承認前の動物実験において、雄ラットにおける膀胱腫瘍の増加が確認されており、米国の医療保険組織であるKNPC(Kaiser Permanente North California)の医療保険加入者データベースを用いた前向きの観察研究が2004年から行われ、2011年に公表された5年時の中間報告で、ピオグリタゾンを2年間以上使用した患者において膀胱がんのリスクが1.40倍(95%信頼区間:1.03~2.00)と有意に上昇することが報告された。さらに、フランスでの保険データベースによる糖尿病患者約150万例を対象とした後ろ向きコホート研究でも膀胱がんのリスクが1.22倍(95%信頼区間:1.05~1.43)であることが報告され、フランスとドイツではピオグリタゾンが販売停止となっている。 その後、欧州と北米の6つのコホート研究を対象に、100万例以上の糖尿病患者を対象として、割り付けバイアス(allocation bias)を最小化したモデルを用いた検討が2015年3月に報告され、年齢、糖尿病の罹患期間、喫煙、ピオグリタゾンの使用歴で調整した後の100日間の累積使用当たりの発症率比は、男性で1.01(95%信頼区間:0.97~1.06)、女性で1.04(95%信頼区間:0.97~1.11)であり、ピオグリタゾンと膀胱がんのリスクは関連が認められないと結論付けられた3)。 KNPCの10年時における最終解析でも、ピオグリタゾンは、膀胱がんのリスクの増加とは関連しない(調整後ハザード比1.06:95%信頼区間:0.89~1.26)と報告されている4)。薬の安全性が確立されるには… 日本においては、ピオグリタゾンは1999年9月に製造が承認され、同年の12月に発売された。心血管イベントの発生抑制、冠動脈疾患におけるインターベンション後の再狭窄抑制などに対する有効性が喧伝され、一時期、多くの患者に使用された。しかし、副作用としての膀胱がん発症リスク、骨折のリスクなどに対する懸念が広まり、DPP-4阻害薬の発売とあいまってその使用量は減少している。ピオグリタゾンと膀胱がんの関連が示唆されてから5年以上経ってもこの問題には決着がついていない。 優れた臨床研究には長い期間と研究に対する情熱、膨大な基金が必要になるが、薬剤の安全性を担保するのに20年という期間が十分ではないということを私たちに教えてくれるのが、ピオグリタゾンという薬剤である。

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滅菌手袋 vs.非滅菌手袋、外来での皮膚外科手術後の創部感染発症率は?

 外来での皮膚外科手術後の創部感染発症率に、使用した手袋が滅菌か非滅菌かにより影響を及ぼすかどうかは結論が得られていない。米国・メイヨークリニックのJerry D. Brewer氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、滅菌手袋と非滅菌手袋とで術後創部感染の頻度に差はないことを報告した。JAMA Dermatology誌オンライン版2016年8月3日号掲載の報告。滅菌手袋使用群は6,040例中121例(2.0%) 研究グループは、外来での皮膚外科手術における滅菌手袋使用時と非滅菌手袋使用時の術後創部感染発症について調査する目的で、MEDLINE(1946年~)、Cochrane Central Register of Controlled Trials (1991年~)、EMBASE(1988年~)、EBSCO Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature(1980年~)、Scopus(1996年~)、およびWeb of Science(1975年~)を用いて研究を検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。 解析対象は無作為化試験および比較試験で、試験デザイン、手術背景および結果に関するデータを、論文および未発表データから独立して抽出した。無作為化、割り付け方法、盲検化および追跡率から研究の質を評価するとともに、術後創部感染の相対リスクおよび95%信頼区間を算出した。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たした14件の研究(計1万2,275例)が本レビューに組み込まれた。・このうち、単一群観察研究1件を除いた13件、1万1,071例がメタ解析の対象となった。・術後創部感染症は、1万1,071例中228例(2.1%)にみられた。非滅菌手袋使用群では5,031例中107例(2.1%)、滅菌手袋使用群で6,040例中121例(2.0%)であった。・非滅菌手袋使用による術後創部感染の相対リスクは、1.06(95%CI:0.81~1.39)であった。

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