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抗PD-L1抗体atezolizumab、肺がんに承認:FDA

 米国食品医薬品(FDA)は2016年10月18日、プラチナを含む化学療法中または後に進行した転移性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、atezolizumab(商品名:TECENTRIQ、Genetec Oncolog)を承認した。  atezolizumabは、抗PD-L1抗体であり、プラチナを含む化学療法後に進行した局所進行または転移性尿路上皮がんに対しFDAの迅速承認を得ている。 今回の承認は、2つの無作為化オープンラベル臨床試験(OAK試験、POPLAR試験)の合計1,137例のNSCLC患者において、一貫した有効性と安全性を示した結果に基づくもの。 OAK試験での全生存期間(OS)中央値はatezolizumab群13.8ヵ月(95%CI:11.8~15.7)、ドセタキセル群9.6ヵ月(95%CI:8.6~11.2)(HR:0.74、95%CI :0.63~0.87、p=0.0004)。 POPLAR試験でのOS中央値は、atezolizumab群12.6ヵ月(95%CI:9.7~16.0)、ドセタキセ群9.7ヵ月(95%CI:8.6~12.0)(HR:0.69、95%CI:0.52~0.92)。2つの試験において、ドセタキセルと比較したOSをそれぞれ4.2ヵ月、2.9ヵ月改善した。 POPLAR試験の主要安全性評価集団においてatezolizumab群で多く見られた(20%以上の)有害事象は、疲労、食欲不振、呼吸困難、咳、悪心、筋骨格系疼痛、便秘であった。Grade3~4の有害事象で多く見られた(2%以上)ものは、呼吸困難、肺炎、低酸素血症、低ナトリウム血症、疲労、貧血、筋骨格痛、AST増加、ALT増加、嚥下障害、および関節痛であった。 atezolizumabの免疫関連有害事象は肺炎、肝炎、大腸炎、および甲状腺疾患であった。FDAのリリースはこちら

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双極性障害女性、ライフサイクルで注意すべきポイント

 双極性障害女性において、生殖サイクルイベントは、気分エピソードと関連していることがエビデンスで明確に示されている。しかしながら、臨床的特徴との関連を調査した研究は少ない。オーストラリア・ウェスタンシドニー大学のTania A Perich氏らは、生殖サイクルイベントにおける気分症状と、生涯を通じて重大だと思われる障害の特徴との関係を検討した。The Australian and New Zealand journal of psychiatry誌オンライン版2016年9月28日号の報告。 対象は、18歳以上の女性158例。対象者は、オーストラリア・シドニーのBlack Dog Instituteの専門クリニックを通じ集められた。 主な結果は以下のとおり。・77%の女性は、月経周辺期、出産後または更年期期間中に気分症状の増加を報告した。・これらの女性は、生殖サイクル関連の気分変動を報告しなかった女性と比較し、うつ病、軽/躁病エピソードの発症歴を有しており、不安障害、ラピッドサイクラー、混合性気分障害併存の可能性が考えられた。・出産後エピソードを経験した女性では、月経周辺期、更年期の女性より、気分症状がより悪い可能性が高かった。関連医療ニュース 産後うつ病への抗うつ薬治療、その課題は 女子学生の摂食障害への有効な対処法 閉経後の女性統合失調症、陰性症状改善にSERM併用が有用

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冠動脈de novo病変に対する「ステントレスPCI」

 薬剤溶出ステント(以下、DES:Drug Eluting Stent)の再狭窄率は低い。しかし、ステント血栓症、ステントフラクチャー、neo-atherosclerosisなどいくつかの問題が残る。一方、バルーン単独の経皮的冠動脈インターベンション「ステントレスPCI」はいまだに根強く、薬物溶出バルーン(DCB:Drug Coated Balloon)の臨床応用により注目されており、その有効性を支持する臨床試験もある。獨協医科大学 循環器内科の西山直希氏らは、de novo冠状動脈狭窄病変の治療におけるDCBの有効性を評価することを目的とした研究を行っている。International Journal of Cardiology誌2016年11月1日号の報告。 2014年5月~15年6月に待機的な経皮的PCIを受けた慢性冠動脈疾患患者から透析患者、再狭窄患者、重度石灰化、左主幹部、慢性完全閉塞病変を除外した60例を登録し、無作為にステントレス群(n=30)とステント群(n=30)に割り付けた。ステントレス群では初期拡張で至適径に拡張できた患者にDCBを施行、拡張できなかった患者にはDESを用いた。ステントレス群の3例はステント留置となり、結果的に、ステントレス群27例、ステント群33例となった。評価項目は8ヵ月後の標的病変再血行再建(TLR:Target Lesion Revascularization)率および晩期内腔損失(Late Lumen Loss)である。 主な結果は以下のとおり。・TLR率は両群で同等であった(ステントレス群:0.0%、ステント群:6.1%、p =0.169)。・PCI直後の最小血管径(MLD:Minimal Lumen Diameter)と初期獲得径(Acute gain)はステントレス群で有意に小さかった(MDLはステントレス群:2.36mm±0.46、DES群:2.64mm±0.37、p=0.011、Acute Gainはステントレス群:1.63±0.41mm、DES群:2.08±0.37mm、p<0.0001)。・しかし、PCI後8ヵ月のMLDおよびLate Lumen Lossについては、両群で有意な差はなかった(MLDは2.12±0.42mm vs. 32±0.52mm、p=0.121、Late Lumen Loss は0.25±0.25mm vs. 0.37±0.40mm、p=0.185)。 ケアネットの取材に対し、西山氏と共著者の小松孝昭氏、田口功氏は以下のように述べた。現在の試験の状況は? 登録数は倍以上となっている。しかしながら、DCBによるステントレスPCI群での再狭窄例は依然としてゼロである。実臨床でステントレスPCIの適応となる割合はどの程度? 透析患者、重度石灰化、左主幹部、慢性完全閉塞病変、病変長30mm以上などの病変は除外しているが、現在ではde novo症例の4割を超えている。初期拡張に用いるバルーンは? NSEバルーンを用いている。スコアリングによりプラークに亀裂を入れることで、解離ができずきれいに拡張できる。また、炎症も少なく再狭窄の予防につながると考えている。ステントレスPCIのメリットはどのようなものか? ステントという異物を入れることで、ステント血栓症や長期的にはステントに起因するneo-atherosclerosis、またステントフラクチャーによるイベントの可能性もある。ステントを入れないで済む患者にはDCBを用いることで、このようなイベントを避けることができると考えられる。また、抗血小板薬の減量または中止が可能であることもステントレスPCIのメリットだと考えられる。 バルーンで拡張し、ステントを留置するというのが現在のPCIの一連の流れであるが、その中にステントを入れないで済む患者が存在する。DES時代の中、これからもステントレスPCIの有用性を評価して臨床応用につなげていくべきであろう。それは、患者さんのQOLおよび予後の改善につながると考えられる、と田口氏は言う。

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142)疾病リスクを血圧管理指導で安心させる【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師Aさん、気になる病気は何ですか? 患者やっぱり、認知症ですね。最近、物忘れが多くて…。 医師なるほど。普段、どんなことに気を付けておられますか? 患者特に、何もしていないんですが…。 医師それなら、認知症予防になるいい方法がありますよ? 患者それは何ですか?(興味津々) 医師当たり前のことなんですが、血圧をきちんと管理することです。血圧をきちんと管理することで、動脈硬化を防ぐことができます。その結果、血管性認知症になるリスクを下げることができますよ。 患者やっぱり血圧なんですね。もっと気を付けるようにします。●ポイント血管性認知症と血圧管理の関係をわかりやすく説明します1)Sharp SI, et al. Int J Geriatr Psychiatry. 2011;26:661-669.

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TCT 2016開催地、ワシントンD.C.のおすすめスポット

ケアネットでは、TCT2016に参加される先生方に、開催地ワシントンD.C.を楽しんでいただけるよう、米国メリーランド州に留学経験のある矢作和之氏(三井記念病院 循環器内科)にもご協力いただき、おすすめの観光名所やレストランなどの情報を集めましたのでご紹介します。ワシントンD.C.はアメリカ合衆国の首都であり、ホワイトハウスをはじめとし、多くの観光スポットがあります。また、世界中から多くの人が訪れるため、本格的な各国料理を楽しめるのも特徴です。TCT 2016注目の演題はこちら矢作氏おすすめ観光スポット5選矢作氏おすすめレストラン、その他会場周辺レストラン一覧ショッピング情報矢作氏おすすめ観光スポット5選ホワイトハウス(White House)米国大統領の官邸。表からみることもできますが、裏からみたほうがホワイトハウスを近くにみることができます。大統領がいるときは、星条旗が掲げられているそうです。[住所] 1600 Pennsylvania Avenue NW, Washington, D.C. 20500ワシントン記念塔(Washington Monument)初代大統領 ジョージ・ワシントンの偉業を称える記念塔。ワシントンD.C.の景色・夜景が一望できます。展望台に登るには、予約が必須。[住所] 2 15th St. NW, Washington, D.C. 200024リンカ―ン記念堂(Lincoln Memorial)/国会議事堂(U.S. Capitol) ナショナルモールの西側にあるのがリンカーン記念堂で、東側にあるのが国会議事堂です。その間は約4kmあり、広大な緑地帯になっています。休日には多くの人が散歩やランニングをしたり、また家族でのんびり過ごしたりしています。[住所] 2 Lincoln Memorial Circle, NW, Washington, D.C. 20002/East Capitol St NE & First St SE, Washington, D.C. 20004タイダルベイスン(Tidal Basin)ポトマック川沿いにある池。春は池の周囲に植えられた桜並木でとても綺麗なスポット。実はこの桜は日本から贈られたもの。この時期は桜をみることはできませんが、池では手漕ぎボートなどにも乗れ、学会の途中の気分転換に行くのもいいかもしれません。[住所] 1501 Maine Ave, SW, Washington, D.C. 20024スミソニアンエリア おすすめ博物館・美術館(Smithsonian Museum)ナショナルギャラリー(National Gallery of Art)石油や鉄鋼などで財を成したアンドリューメロン氏が13~19世紀の絵画や彫刻、美術品を買い求め、彼の死後、今までのコレクションを国に寄付することから始まった美術館。運営、維持費は国家予算から支出されているものの、美術品の購入に関して、国は一切お金を出していないそうです。コレクション総数は11万6,000点にも達します。[住所] 6th and Constitution Avenue NW, Washington, D.C. 20565国立自然史博物館(National Museum of Natural History)スミソニアンで最も古い博物館で100年の歴史があります。博物館のコレクションは約1億2,650万点で、世界最大の博物館といえます。入り口を入ってすぐの巨大なアフリカ像は迫力があり圧巻です。[住所] 10th St. & Constitution Ave. NW, Washington, D.C. 20560国立航空宇宙博物館(National Air and Space Museum)世界各国の航空機が展示されています。最大の魅力は、展示物に燃料を補給すればすぐにでも稼働できる状態で陳列されていることです。また、この博物館にはあの有名な日本が生み出したゼロ戦(三菱零式艦上戦闘機52型A6M5)が展示されています。[住所] Independence Ave at 6th St, SW, Washington, D.C. 20560レストラン情報<ステーキ、ハンバーガー>(せっかくアメリカに来たのだから本場のステーキを!)BLT STEAK今はやりのTボーンステーキを味わえる人気店。[住所] 1625 I St. NW(bet. 16th & 17th Sts.), Washington, D.C. 20006[TEL] 202-689-8999Shake Shackニューヨークで大人気のハンバーガーショップ。日本でも表参道に開店するなど、とても有名。日本では行列必至ですが、ワシントンD.C.ならあまり行列がなく食べられるかもしれません。Five Guys Burgers and Fries日本未上陸のハンバーガー屋さん。とてもアメリカらしいハンバーガー。がっつりいきたいときは、パテはダブルで。<シーフード>Captain White's Seafood City (Fish market)生牡蠣など、とても新鮮なシーフードを味わえるお店。[住所] 1100 Maine Ave. SW, Washington, D.C. 20024[TEL] 202-484-2722<和食>(やっぱり、アメリカでも和食が食べたくなりますよね)寿司太郎オバマ大統領も来店したことのある、とても有名なお寿司屋さん。おいしいお寿司が味わえます。[住所] 1503 17th Street, NW, Washington, D.C. 20036[TEL] 202-462-8999寿司キャピトルキャピトルヒルにあるお寿司屋さん。周辺はとても賑わっています。[住所] 325 Pennsylvania Ave SE, Washington, D.C. 20003[TEL] 202-627-0325寿司幸中心部から北部に20分程度の所にありますが、おいしい和食が味わえます。雰囲気もいいです。[住所] 5455 Wisconsin Avenue, Chevy Chase, MD 20815[TEL] 301-961-1644居酒屋関日本の居酒屋をそのままアメリカで味わえる数少ないお店の中の1つ。[住所] 1117 V St. NW, D.C.[TEL] 202-588-5841(予約は5~8名の団体のみ可)Sakedokoro Makotoメニューはコース料理でこだわりの和食屋さん。ドレスコードあり。中心部からはタクシーで。[住所] 4822 MacArthur Blvd NW, Washington, D.C. 20007[TEL] 202-298-6866<ラーメン>DAIKAYA日本のラーメンが味わえます。とても混んでいるので、時間に余裕を持って行くといいと思います。[住所] 705 6th St NW, Washington, D.C. 20001[TEL] 202-589-1600<その他、会場周辺のレストラン一覧(編集部より)>画像を拡大する1.Morton’s The Steakhouse(ステーキ)2.McCormick & Schmick’s(シーフード) 3.The Oceanaire(シーフード)4.Kaz Sushi Bistro(寿司)5.The Capital Grille(ステーキ)6.Palm(ステーキ、シーフード)7.La Taberna del Alabardero(スペイン料理)8.Meiwah(中華)9.Bourbon Steak(ステーキ)10.Farmers Fishers Bakers(アメリカン)ショッピング情報<スーパーマーケット>Whole foodsオーガニック食材や調味料が置いてあり、アメリカで人気のスーパーマーケット。サラダバーや総菜のコーナーもあり、テイクアウトもできます。トレーダージョーズクオリティの高い商品を扱っているスーパーマーケット。オリジナルアイテムが人気で、値段もリーズナブル。お土産にも使えるアイテムが豊富。<ショッピング街>ジョージタウンエリア若者が集まる町。町全体もレンガづくりでできており、とても素敵な雰囲気を持っています。今人気のあるブランドショップが集結。<アウトレット>Tanger outlet中心部からすぐに行けるアウトレット。最大70%offの商品などもあり、日本で人気があるブランドも入っています。[住所] 6800 Oxon Hill Road, National Harbor, MD 20745

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非小細胞肺がん1次治療、ニボルマブ単剤と化学療法の比較:CheckMate-026

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY)は2016年10月9日、PD-L1発現レベルが1%以上の進行期非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)単剤療法を評価したCheckMate-026試験の主要解析の最終結果を発表した。本試験は、PD-L1発現レベルが5%以上の患者における無増悪生存期間(PFS)を評価することを目的に実施された。すでに公表された本試験のトップライン結果では、化学療法と比較し、主要評価項目であるPFSの優越性が示されなかったと公表されている。 PD-L1発現レベルが5%以上の患者におけるPFS中央値はニボルマブ群で4.2ヵ月、プラチナ・ダブレット群(以下、化学療法群)では5.9ヵ月であった(層別化HR:1.15、95%CI:0.91~1.45、p=0.25])。全生存期間(OS)は、ニボルマブ群で14.4ヵ月、化学療法群では13.2ヵ月であった(HR:1.02、95%CI:0.80~1.30)。化学療法群の60%が、PD後にニボルマブによる治療へ切り替えられた。ニボルマブの安全性プロファイルは、従来の報告と一貫していた。投与患者における全GradeおよびGrade3~4の有害事象(AE)発現率は、ニボルマブ群でそれぞれ71%と18%、化学療法群では92%と51%であった。これらの結果は、欧州臨床腫瘍学会総会(ESMO2016)にて発表された。 CheckMate026試験は、進行期非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、ニボルマブの単剤療法と治験担当医師が選択した化学療法薬とを比較した第III相の無作為化オープンラベル試験。進行期の病状に対する全身治療を受けておらず、PD-L1発現陽性(1%以上)患者541例が登録され、ニボルマブ3mg/kgを2週間ごとに投与か、治験担当医師が選択したプラチナ・ダブレット化学療法(扁平上皮がん患者ではゲムシタビン+シスプラチン、ゲムシタビン+カルボプラチン、パクリタキセル+カルボプラチンのいずれか、非扁平上皮がん患者ではペメトレキセド+シスプラチン、ペメトレキセド+カルボプラチンのいずれかの後に任意でペメトレキセド維持療法)に無作為に割り付けられ、病勢進行や忍容できない毒性が認められるまで、あるいは6サイクルが完了するまで投与された。主要評価項目はPD-L1発現レベル5%以上の患者におけるPFSで、独立放射線評価委員会により評価された。 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のプレスリリースはこちら

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ニボルマブ、既治療・再発頭頸部扁平上皮がんのOS延長/NEJM

 プラチナ製剤ベースの化学療法施行後に再発した頭頸部扁平上皮がんの治療において、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブは標準治療に比べ、全生存(OS)期間を有意に延長することが、米国・ピッツバーグ大学医療センターのRobert L Ferris氏らが行ったCheckMate 141試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年10月9日号に掲載された。頭頸部扁平上皮がんの原発または再発病変に対し、プラチナ製剤ベースの化学療法施行後6ヵ月以内に病勢が進行した症例の、OS期間中央値は6ヵ月に満たないが、これらの患者のOS期間を延長する治療選択肢はない。頭頸部扁平上皮がんの転移・再発病変は、T細胞抑制性の免疫チェックポイント受容体であるプログラム死1(PD-1)のリガンド(PD-L1、PD-L2)の発現によって部分的に誘導される免疫回避により、促進されることが知られている。標準的な単剤療法と比較する無作為化第III相試験 CheckMate 141は、プラチナ製剤不応の頭頸部扁平上皮がんにおいて、ニボルマブと標準治療を比較する非盲検無作為化第III相試験(Bristol-Myers Squibb社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、組織学的に口腔、咽頭、喉頭の扁平上皮がんが確証され、プラチナ製剤ベースの化学療法施行後6ヵ月以内に病勢進行または再発した患者であった。 被験者は、ニボルマブ(3mg/kg、2週ごと)を投与する群または標準的な単剤療法(メトトレキサート、ドセタキセル、セツキシマブのいずれか1剤)を行う群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目はOSであり、副次評価項目には無増悪生存(PFS)、客観的奏効率、安全性、患者報告QOLが含まれた。 2014年6月~2015年8月に、日本人を含む361例が登録され、ニボルマブ群に240例、標準治療群には121例が割り付けられた。OSが30%改善、1年OS率は2倍以上、有害事象、QOLも良好 全体の年齢中央値は60歳(範囲:28~83)、男性が83.1%を占め、腫瘍部位は口腔が48.5%、咽頭が35.5%、喉頭が13.6%、その他が2.5%であった。喫煙者(79.6 vs.70.2%、p=0.047)がニボルマブで有意に多かったが、これ以外の背景因子に有意な差はなかった。 全体の91.4%が放射線療法を受けていた。前治療レジメン数は、1が45.4%、2が34.6%、3以上が19.9%であった。約4分の1が、p16(ヒトパピローマウイルスの代替マーカー)陽性だった。 フォローアップ期間中央値5.1ヵ月におけるOS期間中央値は、ニボルマブ群が7.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.5~9.1)と、標準治療群の5.1ヵ月(95%CI:4.0~6.0)に比べ有意に長く、死亡リスクが30%低減した(ハザード比[HR]:0.70、97.73%CI:0.51~0.96、p=0.01)。推定1年OS率は、ニボルマブ群が標準治療群の2倍以上に達した(36.0 vs.16.6%)。 PFS期間中央値は、ニボルマブ群が2.0ヵ月、標準治療群は2.3ヵ月であり、両群に差を認めなかった(HR:0.89、95%CI:0.70~1.13、p=0.32)。一方、推定6ヵ月PFS率はニボルマブ群が高い傾向がみられた(19.7 vs.9.9%)。 腫瘍縮小効果はニボルマブ群が完全奏効(CR)6例、部分奏効(PR)26例で、客観的奏効率は13.3%であった。標準治療群はCR 1例、PR 6例で、客観的奏効率は5.8%だった。 Grade 3/4の治療関連有害事象は、ニボルマブ群が13.1%、標準治療群は35.1%に発現した。ニボルマブ群で頻度の高い全Gradeの有害事象は、疲労(14.0%)、悪心(8.5%)、皮疹(7.6%)、食欲減退(7.2%)、そう痒(7.2%)の順であった。 皮膚関連(15.7 vs.12.6%、主に皮疹)および内分泌系(7.6 vs.0.9%、主に甲状腺機能低下症)の有害事象は、ニボルマブ群のほうが頻度が高かった。ニボルマブ群では、肺臓炎が2.1%に発現し、治療関連死は2例(肺臓炎、高カルシウム血症)認められた。 15週時のEORTC QLQ-C30の身体機能、役割機能、社会的機能、QLQ-H&N35の疼痛、感覚異常、社会的接触障害は、ニボルマブ群がいずれも安定していたのに対し、標準治療は増悪しており、すべての項目で有意な差が認められた。 著者は、「探索的バイオマーカー解析では、PD-L1の発現状況、p16陽性/陰性にかかわらず、OS期間中央値はニボルマブ群が明らかに長かった」としている。

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世界の平均寿命、35年で約10年延長:GBD2015/Lancet

 1980年から35年間に、世界の年齢別死亡率は着実に改善し、この進展パターンは過去10年間持続しており、多くの国では当初の予測よりも迅速であったが、期待余命が短縮し、いくつかの死因の年齢標準化死亡率が上昇した国もあることが、米国・ワシントン大学のChristopher J L Murray氏らが実施したGlobal Burden of Disease Study 2015(GBD 2015)で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌2016年10月8日号に掲載された。生存期間を改善し、寿命を延長するには、その時々の地域の死亡率や傾向に関する頑健なエビデンスが求められる。GBD 2015は、195の国と領地における1980~2015年の全死因死亡および249項目の原因別死亡を包括的に評価する世界的な調査である。新たな解析法による検討、GATHERに準拠 研究グループは、GBD 2013およびGBD 2010のために開発された解析法の改良版を用いて、年齢、性、地理、年代別の全死因死亡率を推算した(ビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成による)。 GBD 2015では、エボラウイルス病を含む8つの死因が新たに加えられた。ほとんどの死因の予測値を生成するCause of Death Ensemble Model(CODEm)のほか、6つのモデリング法を用いて、原因別死亡率の評価を行った。 「保健推計報告の正確性、透明性のためのガイドライン(Guidelines for Accurate and Transparent Health Estimates Reporting; GATHER)」に準拠し、データ源とともに、解析過程の各段階を記述した。出生時期待余命が61.7歳から71.8歳へ、死亡数が増加し年齢標準化死亡率は低下 世界的な出生時の期待余命(寿命)は、1980年の61.7歳から、2015年には71.8歳に延長した。サハラ以南のアフリカ諸国では、2005年から2015年に期待余命が大幅に延長した国があり、HIV/AIDSによる大規模な生命の喪失の時代からの回復が認められた。 同時に、とくに戦争や対人暴力により死亡率が上昇した国など、期待余命が停滞または短縮した地域も多かった。シリアでは、2005年から2015年に期待余命が11.3年短縮し、62.6歳にまで低下した。 2005年から2015年に、全死亡数は4%増加したが、年齢標準化死亡率は17.0%低下しており、この間の人口増加と年齢構成の転換が示された。この結果は、全死亡数が14.1%増加したのに対し年齢標準化死亡率が13.1%低下した非感染性疾患(NCD)と類似していた。このパターンは、いくつかのがん種、虚血性心疾患、肝硬変、アルツハイマー病、その他の認知症にみられた。 これに対し、感染性疾患、妊産婦、新生児、栄養障害による全死亡数および年齢標準化死亡率は、いずれも2005年から2015年に有意に低下しており、その主な要因はHIV/AIDS(年齢標準化死亡率の低下率:42.1%)、マラリア(同:43.1%)、早産による新生児合併症(同:29.8%)、妊産婦の疾患(同:29.1%)による死亡率の低下であった。また、外傷による年齢標準化死亡率は、この間に有意に低下したが、例外として、とくに中東地域では対人暴力や戦争による外傷で多くの人命が失われた。 2015年における5歳以下の下痢による死亡の主な原因はロタウイルス性腸炎であり、下気道感染症による死亡の主原因は肺炎球菌性肺炎であったが、病原体別死亡率は地域によってばらつきがみられた。 全体として、人口増加、高齢化、年齢標準化死亡率の変化の影響は、死因ごとに実質的に異なっていた。SDIによるYLLの予測値と実測値 原因別死亡率と社会人口学的指標(SDI:学歴、出生率、1人当たりの所得に基づくサマリー指標)の関連の解析では、SDIの上昇にともなって、死因や年齢の構成が規則的に変化することが示された。 若年死亡率(損失生存年数[YLL]の指標)の国別のパターンには、SDIのみに基づくYLLの予測値との間にずれがあり、国や地域によって高度に不均一なパターンが明確に認められた。ほとんどの地域では、YLL増加の主要な原因は虚血性心疾患、脳卒中、糖尿病であったが、多くの場合、地域内のSDIに基づくYLLの実測値と予測値の比には、顕著な不一致が認められた。 サハラ以南のアフリカのすべての国では、感染性疾患、妊産婦、新生児、栄養障害がほとんどのYLLの原因であり、依然としてマラリアやHIV/AIDSが早期死亡の主要原因の国では、YLLの実測値が予測値をはるかに超えていた。 著者は、「年齢標準化死亡率は改善したが、人口増加や高齢化が進んだため、多くの国でNCDによる死亡数が増加しており、これが保健システムへの需要の増加を招いている」とまとめ、「これらの知見は、SDIに基づく死亡のパターンを、より深く研究するための参考になるだろう」としている。

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TCT 2016注目の演題

2016年10月29日~11月2日、米国ワシントンD.C.でTCT 2016(心臓カテーテル学会)が開催されます。ケアネットでは、聴講スケジュールを立てる際の参考としていただくために、会員医師へ注目演題のアンケートを実施いたしました。その結果を、三井記念病院 循環器内科の矢作 和之氏のコメントとともにご紹介いたします。TCT 2016開催地、ワシントンD.C.のおすすめスポットはこちら※演題名および発表順は、10月14日時点でTCT 2016ウェブサイトに掲載されていたものです。当日までに発表順などが変更となる可能性がございますのでご注意ください。Sunday Oct. 30 9:00 - 10:00、Main Arena IPlenary Session II. Late-breaking Clinical Trials 1: Cosponsored by The LancetModerator: Gregg W. Stone1.ILUMIEN III (OPTIMIZE PCI): A Prospective, Randomized Trial of OCT-Guided vs. IVUS-Guided vs. Angio-Guided Stent Implantation in Patients with Coronary Artery Disease2.BIO-RESORT (TWENTE III): A Prospective, Randomized Three-Arm Trial Comparing Two Different Biodegradable Polymer-Based Drug-Eluting Stents and a Durable Polymer-Based Drug-Eluting Stent in an All-Comers Population of Patients with Coronary Artery Disease3.BIONICS: A Prospective, Randomized Trial of a Ridaforolimus-Eluting Coronary Stent vs. a Zotarolimus-Eluting Stent in a More-Comers Population of Patients with Coronary Artery DiseaseQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大するILUMIEN III:OCT ガイド vs. IVUSガイド vs. 血管造影ガイドILUMIEN III試験に注目が集まっているようです。イメージングが盛んな日本においてOCT ガイドPCI vs. IVUSガイドPCI vs. 血管造影ガイドPCIの比較は非常に関心の高いテーマです。BIO-RESORT試験はcircumferential biodegradable coating stentのORSIRO、abluminal biodegradable coating stentのSYNERGY、durable coating stentのRESOLUTEの1:1:1のランダム化比較試験です。biodegradable polymerとdurable polymerの違いについて何らかの結果は出るのでしょうか。Sunday Oct. 30 12:15- 13:00、Main Arena IPlenary Session VI. First Report Investigations 1: Cosponsored by The LancetModerator: David W.M. Muller1.ABSORB China: Two-Year Clinical Outcomes from a Prospective, Randomized Trial of an Everolimus-Eluting Bioresorbable Vascular Scaffold vs. an Everolimus-Eluting Metallic Stent in Patients with Coronary Artery Disease2.ABSORB II: Three-Year Clinical Outcomes from a Prospective, Randomized Trial of an Everolimus-Eluting Bioresorbable Vascular Scaffold vs. an Everolimus-Eluting Metallic Stent in Patients with Coronary Artery Disease3.LEADERS FREE: Two-Year Clinical and Subgroup Outcomes from a Prospective, Randomized Trial of a Polymer-Free Drug-Coated Stent and a Bare Metal Stent in Patients with Coronary Artery Disease at High Bleeding RiskQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大するABSORB IIの3年時とABSORB Chinaの2年時でのvery late scaffold thrombosisは?このセッションではABSORB試験のうちABSORB IIの3年時とABSORB Chinaの2年時の結果が発表されます。先日ローマで開催されたESC(欧州心臓病学会)ではABSORB Japanでvery late scaffold thrombosisの報告がありましたが、これら2つの試験ではどうかが注目です。Monday Oct. 31 9:00 - 9:45、Main Arena IIPlenary Session II. Late-Breaking Clinical Trials 2Moderator: Martin B. Leon1.EXCEL: A Prospective, Randomized Trial Comparing Everolimus-Eluting Stents and Bypass Graft Surgery in Selected Patients with Left Main Coronary Artery Disease2.NOBLE: A Prospective, Randomized Trial Comparing Biolimus-Eluting Stents and Bypass Graft Surgery in Selected Patients with Left Main Coronary Artery DiseaseQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大するXience、BioMatrix、新世代ステントの大規模臨床試験の成績は?従来、左冠動脈主幹部の病変に対する治療は冠動脈バイパス術が第1選択でしたが、近年の薬剤溶出性ステントの登場により、その有用性を示唆する報告がみられます。このセッションでは新世代ステントにおける左冠動脈主幹部の病変に対する治療成績の発表があります。EXCEL試験、NOBEL試験ともに1,000人を超える大規模な臨床試験で、EXCEL試験はXience、NOBEL試験はBioMatrixという、ともに実績十分のステントとの比較であり、結果が注目されます。Monday Oct. 31 12:00 - 13:00、Main Arena IIPlenary Session VI. First Report Investigations 2Moderator: Patrick W. Serruys1.REVELUTION: 9-Month Clinical, Angiographic, IVUS, and OCT Outcomes with a Polymer-Free Sirolimus-Eluting Drug-Filled Stent2.FANTOM II: 6-Month and 9-Month Clinical, Angiographic and OCT Results with a Radiopaque Desaminotyrosine Polycarbonate-Based Sirolimus-Eluting Bioresorbable Vascular Scaffold in Patients with Coronary Artery Disease3.MeRes-1: 6-Month Clinical, Angiographic, IVUS and OCT Results with a Thin-Strut PLLA-Based Sirolimus-Eluting Bioresorbable Vascular Scaffold in Patients with Coronary Artery Disease4.FORTITUDE: 9-Month Clinical, Angiographic, and OCT Results with an Amorphous PLLA-Based Sirolimus-Eluting Bioresorbable Vascular Scaffold in Patients with Coronary Artery Disease5.FUTURE-I: 6-Month Clinical, Angiographic, IVUS and OCT Results with a Thin-Strut PLLA-Based Sirolimus-Eluting Bioresorbable Vascular Scaffold in Patients with Coronary Artery DiseaseQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大する新世代デバイスのパフォーマンスをOCTで確認このセッションでは新世代の薬剤溶出ステント/スキャフォールドを用いた臨床試験の結果が報告されます。また、興味深いことにすべての試験において、6~9ヵ月のフォローアップをOCTを用いて行っています。新世代デバイスのパフォーマンスに注目です。Tuesday Nov. 1 9:00 - 10:00、Main Arena III,Plenary Session II. Late-breaking Clinical Trials 3: Cosponsored by the Journal of the American Medical AssociationModerator: Gregg W. Stone1.SENTINEL: A Prospective, Randomized Trial Evaluating Cerebral Protection in Patients with Severe Aortic Stenosis Undergoing Transcatheter Aortic Valve Replacement2.PARTNER II QUALITY OF LIFE: Health Status Benefits From a Prospective, Randomized Trial of Transcatheter and Surgical Aortic Valve Replacement in Intermediate Risk Patients with Severe Aortic Stenosis3.PARTNER I FIVE-YEAR ECHO: Long-Term Hemodynamic and Structural Outcomes After Transcatheter Aortic Valve Replacement in High-Risk and Inoperable Patients with Aortic StenosisQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大する今後のTAVRの方向性に示唆を与える研究報告このセッションは経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)関連の臨床試験の報告です。TAVR後の脳卒中は、デバイスの改良や手技の熟練により減少していますが、症例によっては重大な合併症となることがあります。SENTINEL試験ではClaret Medical社のプロテクションデバイスによる脳梗塞の発症予防に関しての報告を予定しています。PARTNER II試験では中等度手術リスク患者へのTAVRの短期の有効性が示されましたが、PARTNER II QUALITY OF LIFEでは中等度手術リスクの患者生活の質に関して、外科的大動脈弁置換術(AVR)と比較しています。今後のTAVRの行方に影響を与える可能性もあります。最後に、現在のTAVRの問題点として、外科的AVRと比較し長期成績のデータが不十分であることが挙げられます。PARTNER I FIVE-YEAR ECHOでは心エコーの指標から5年時点でのTAVRの有効性が報告される予定です。Tuesday Nov. 1 12:15 - 13:15、Main Arena IIIPlenary Session VI. First Report Investigations 3Moderator: Cindy L. Grines1.RESPECT: Final Long-Term Outcomes From a Prospective, Randomized Trial of PFO Closure in Patients with Cryptogenic Stroke2.COLOR: A Prospective, Multicenter Registry Evaluating the Relationship Between Lipid-Rich Plaque and Two-Year Outcomes after Stent Implantation in Patients with Coronary Artery Disease3.PLATINUM DIVERSITY: Outcomes from a Large-Scale, Prospective Registry of Coronary Artery Stent Implantation in Women and Minorities4.ReACT: A Prospective, Randomized Trial of Routine Angiographic Follow-up After Coronary Artery Stent ImplantationQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大する日本発! フォローアップCAGの長期転帰の影響を検討したReACT試験このセッションではRESPECT試験、COLOR試験、ReACT試験が注目されているようです。RESPECT試験は卵円孔開存(PFO)を有する原因不明の脳卒中患者において、Amplatzer PFO閉塞デバイスの有効性をみた研究ですが、今回はその長期の成績が発表されます。COLORレジストリはNIRS(近赤外線分光法)での脂質性プラークとPCI周術期の心筋梗塞発症の関係を調べた研究で、今回は2年フォローアップの報告です。ReACT試験は日本からの報告です。PCI成功例における、フォローアップCAGの長期転帰の影響を検討した試験です。フォローアップCAGをルーチンで行っている施設が多い日本で、今後、カテーテル検査のあり方の見直しにつながる発表です。Wednesday Nov 2 9:00 - 10:00、Main Arena IVPlenary Session VII. Late-breaking Clinical Trials 4Moderator: Martin B. Leon1.ILLUMENATE U.S.: A Prospective, Randomized Trial of a Paclitaxel-Coated Balloon vs. an Uncoated Balloon for Treatment of Diseased Superficial Femoral and Popliteal Arteries2.WATCHMAN US POST-APPROVAL STUDY: Multicenter, Prospective, Registry Results with a Left Atrial Appendage Closure Device for Stroke Prevention in Patients with Atrial Fibrillation3.AMULET OBSERVATIONAL STUDY: Multicenter, Prospective, Registry Results with a Left Atrial Appendage Closure Device for Stroke Prevention in Patients with Atrial FibrillationQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大する左心耳閉鎖の2大デバイス、リアルワールドでの成績は?このセッションは下肢動脈に対するインターベンションの1演題と左心耳閉鎖デバイス関連の2演題です。ILLUMENATE U.S.トライアルは大腿膝窩動脈病変に対するCovidien社のStellarex DCBと従来のバルーン治療のランダム化比較試験です。ILLUMENATE FIH試験において、Stellarex DCBの有効性、安全性が示されており、今回の結果は注目です。心房細動に伴う心原性脳梗塞の脳梗塞予防として左心耳閉鎖術が近年行われるようになっていますが、そのなかで、2大デバイスはBoston Scientific社のWATCHMANデバイスとSt. Jude Medical社のAmplatzerデバイスです。このセッションではこれらのデバイスによる多施設前向きレジストリ研究の結果が発表されます。実際の臨床での成績に注目です。Wednesday, Nov 2 12:15 - 13:15、Main Arena IVPlenary Session VII. First Report Investigations 4Moderator: Manel Sabate1.PRISON IV: A Prospective, Randomized Trial of a Bioresorbable Polymer-Based Sirolimus-Eluting Stent and a Durable Polymer-Based Everolimus-Eluting Stent in Patients with Coronary Artery Chronic Total Occlusions2.TOSCA-5: A Prospective, Randomized Trial Evaluating Collagenase Infusion in Patients with Coronary Artery Chronic Total Occlusions3.TRANSFORM-OCT: A Prospective, Randomized Trial Using OCT Imaging to Evaluate Strut Coverage at 3 Months and Neoatherosclerosis at 18 Months in Bioresorbable Polymer-Based and Durable Polymer-Based Drug-Eluting Stents4.RIBS VI: A Prospective, Multicenter Registry of Bioresorbable Vascular Scaffolds in Patients with Coronary Artery Bare Metal or Drug-Eluting In-Stent Restenosis – 6-9 Month Clinical and Angiographic Follow-up ResultssQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大するbioresorbable polymer DESとdurable polymer DES、アウトカムに違いはあるのか?現在、明らかにコンセプトの違う2種類のbioresorbable polymer DESとdurable polymer DESの差ははっきりしていません。このセッションでは、この点について2つの試験の発表があります。とくにTRANSFORM-OCT試験では3ヵ月のストラットの被覆化と18ヵ月でのneoatherosclerosisの発生率を調べています。両者に違いはあるのでしょうか?

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晩年期治療抵抗性うつ病の治療戦略に必要なものとは

 治療抵抗性うつ病(TRD)に対する経験的および主観的な治療戦略に関する情報は、相対的に不足しており、とくに晩年期については顕著である。オーストラリア・ディーキン大学のKatarina Arandjelovic氏らは、2016年に米国精神医学会の精神科タイムズの調査、米国老年精神医学会議(AAGP)によるメンバー調査からの知見レビューを行った。The American journal of geriatric psychiatry誌2016年10月号の報告。 著者らは、2つの調査から老年期TRDのさまざまなアプローチの記載率、パーセント、強みと弱みの議論を検討した。 主な結果は以下のとおり。・精神科タイムズより468件、AAGPより117件、全体として585件の回答が得られた。・両群の回答者の過半数(76.3%)は、60歳以上のTRD患者に対する増強や切り替え戦略のリスクとベネフィットを比較した大規模ランダム化試験が参考になるとし、臨床医の80%は、このような研究結果からベネフィットを得られると考えていた。・有効性のエビデンスが必要である治療戦略として、増強/併用戦略が最もポピュラーであり、とくにアリピプラゾール(58.7%)、bupropion(55.0%)、リチウム(50.9%)が多かった。 著者らは「晩年期TRDは、大部分がとくに老年精神医学の臨床実践で行われており、多くの治療戦略の有効性に関するエビデンスが不足している。本調査より、増強/切り替え戦略のリスクとベネフィットを比較する大規模ランダム化試験の必要性が明確化された」としている。関連医療ニュース 治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのか 治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較 難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か

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ニボルマブ、頭頸部扁平上皮がんにおける患者報告アウトカムを安定化:CheckMate-141

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY)は2016年10月9日、プラチナ製剤による治療歴を有する再発または転移性頭頸部扁平上皮がん患者を対象に、ニボルマブと治験担当医師が選択した治療法(メトトレキサート、ドセタキセルまたはセツキシマブの1つ)を比較評価したピボタル第III相 CheckMate-141 試験の評価項目から、患者報告による生活の質に関する新たなデータを発表した。アウトカムの評価では、ニボルマブによる患者の症状と、異なる3種類の評価方法による身体機能、役割機能および社会的機能を含む機能評価に安定化が認められた。PD-L1 発現および非発現の両患者群において、治験担当医師が選択した治療法群では、ニボルマブ群と比較して、ベースライン時から15週目までの患者報告アウトカムに、統計学的に有意な悪化が認められた。さらに、ニボルマブは、治験担当医師が選択した治療法と比較して、大半の機能評価において悪化までの期間を2倍以上延長し、また、疲労、呼吸困難および不眠症の症状悪化までの期間を有意に遅延させた。これらは、欧州臨床腫瘍学会総会(ESMO2016)にて発表された。また、New England Journal of Medicine誌にも掲載された。 患者報告アウトカム(PRO:Patient Reported Outcome)に関するデータは、欧州がん研究治療機関のクオリティ・オブ・ライフ質問票(EORTC QLQ-C30)、EORTC 頭頸部がん用モジュール(EORTC QLQ-H&N35)および3段階のEQ-5D質問票(EQ-5D)を用いて集計された。質問票による調査は、患者の投与期間中、ベースライン時(1サイクル目の初日)と9週目、それ以降は6週間ごとに実施された。 EORTC QLQ-C30およびEORTC QLQ-H&N35の両方の質問票で、ニボルマブの投与を受けた患者と治験担当医師が選択した治療法群間で、15週時点でPROに有意な差が認められた。 EORTC QLQ-C30では、ニボルマブの投与を受けた患者ではベースライン時と比較してPROが安定していたのに対し、治験担当医師が選択した治療法群では身体機能、役割機能および社会的機能(p<0.001 vs.ニボルマブ群)、疲労(p<0.001 vs.ニボルマブ群)、呼吸困難(p<0.001 vs.ニボルマブ群)および食欲不振(p=0.004 vs.ニボルマブ群)で有意かつ臨床的に意義のある悪化が認められた。ニボルマブは、治験担当医師が選択した治療法と比較して、全般的な健康状態(ニボルマブ群7.7ヵ月 vs.治験担当医師が選択した治療法群3.0ヵ月)、身体機能(同7.8 vs. 3.6ヵ月)、役割機能(同8.6 vs. 3.8ヵ月)、認知機能(同7.8 vs. 3.3ヵ月)、社会的機能(同7.7 vs. 3.0ヵ月)において、悪化までの期間の中央値を2 倍以上延長した。心理的機能において、ニボルマブ群では悪化までの期間の中央値は6.7ヵ月で、治験担当医師が選択した治療法群では4.7ヵ月であった。また、ニボルマブは疲労、不眠症および呼吸困難において臨床的に意義のある悪化を50%低減した(p=0.008)。 QLQ-H&N35質問票への回答では、ニボルマブの投与を受けた患者でベースライン時と比較して安定したPRO が認められたのに対し、治験担当医師が選択した治療法群では、疼痛(p=0.022 vs.ニボルマブ群)、感覚障害(p<0.001 vs.同群)および社会的接触障害(p=0.001 vs.同群)で有意かつ臨床的に意義のある悪化が認められた。ニボルマブは、治験担当医師が選択した治療法と比較して、臨床的に意義のある悪化の割合を、疼痛で74%(p<0.001 vs.治験担当医師が選択した治療法群)、感覚障害では62%(p=0.002 vs.同群)、開口障害では51%(p=0.029 vs.同群)低減した。 EQ-5D VASで測定されたように、ニボルマブ群では健康状態が安定したのに対し、治験担当医師が選択した治療法群では、健康状態が低下し、15週時点で統計的に有意差が認められた(p=0.037)。健康状態の悪化までの期間の中央値は、治験担当医師が選択した治療法群で3.3ヵ月であったのに対し、ニボルマブ群では9.1ヵ月と3倍近くとなった。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のプレスリリースはこちら

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関節症性乾癬の診療で大切なのはコラボ

 10月29日の「世界乾癬デー」を前に、日本乾癬学会、日本乾癬患者連合会ならびに製薬企業7社は合同で、「皮膚症状と関節症状を併せ持つ疾患『関節症性乾癬』」と題するメディアセミナーを都内で開催した。セミナーでは、皮膚科専門医、リウマチ科専門医、患者の3つの視点から本症の診療概要や現在の課題などが講演された。診断に有効な武器がない関節症性乾癬 はじめに皮膚科専門医の視点から奥山隆平氏(信州大学医学部皮膚科学教室 教授)が「関節症性乾癬とはどのような疾患か」と題し、早期診療の重要性と生物学的製剤の可能性について講演を行った。 乾癬は、全身に皮疹が散在する慢性的かつ難治性の皮膚疾患であり、わが国の乾癬患者は約56万人と推定されている。治療では、ファーストラインに外用療法が、セカンドラインでは紫外線療法が行われ、治療薬としてエトレチナート、シクロスポリン、メトトレキサート(保険適用外)、生物学的製剤などが処方される。 なかでも今回のテーマである関節症性乾癬は、乾癬に関節炎が足された病型として知られ、乾癬患者の中でも年々患者数が増えている疾患である。その発症パターンの多くは発疹が先行し、10年近く経過した後に関節炎症状が表れる1)など、罹病期間も長いという。 問題となるのは、現在、本症には診断に有用なバイオマーカーがないため、早期診断が難しいことである。また、患者さんも関節痛の診療の際、皮膚科ではなく、整形外科やリウマチ科を受診するために、疾患の本態がわからないまま診療が続けられ、治療の開始が遅れることであるという。 本症では、指が好発部位であり、また、脊柱が侵害されることもあり、早期診療が重要だが、病態初期はX線では発見できない。骨シンチグラフィーなどが有用とされているが、検査できる医療機関が限られているためになかなか普及しないのが現状である。 治療では生物学的製剤が、2010年から使えるようになり効果を上げているが、副作用とのバランスを見極めながらの治療が必要であり、再発もしやすいという。 おわりに奥山氏は、「今後、さらにリウマチ科や整形外科の先生に本症を知ってもらうことで、速やかな診療ができる体制の構築と乾癬患者さんへは、あらかじめ本症の特徴や病態を伝えておくことで、すぐに専門医へ診療がつながるような仕組みづくりが大事」と課題を提起し、レクチャーを終えた。関節症性乾癬の診断は他診療科とのコラボが大事 続いて、岸本暢将氏(聖路加国際病院リウマチ膠原病センター 医長)が、「リウマチ医から見たPsA(関節症性乾癬)」をテーマに、他診療科間での連携の重要性と本症の治療を解説した。 関節症性乾癬は、特徴的な所見をリウマチ専門医だけでみつけ、鑑別することは容易ではない。だからこそ、皮膚科専門医とのコラボレーションが重要であり、乾癬患者さんが痛みを訴える場合、リウマチ専門医の診療を受診することは大事だと強調する。 大都市における本症の患者数調査では、乾癬患者全体(n=3,021)の約15%(n=431)に患者が報告され2)、男性に多く、本症の患者さんの多くは皮膚科に通院し、関節痛があっても医師に伝えていないケースも多いという。 本症と関節リウマチとの鑑別診断では、足のかかとや足の裏にケブネル現象がないか、爪に炎症所見がないかの観察とともにCASPAR分類基準3)による診断が行われる。また、関節リウマチでは骨破壊だけが観察されるが、本症では骨新生もある点が鑑別で役に立つという。その他、鑑別疾患として、変形性関節症、肥満者であれば関節破壊や痛風も考えられるほか、感染症ではクラジミア、梅毒などにも注意が必要になる。 治療では、GRAPPA治療推奨4)が使われているが、MDA(中疾患活動性)基準5)も併用されている。最近では、2015年にGRAPPA治療推奨の最新版が提唱された6)。 たとえば末梢関節炎であれば、NSAIDsおよびステロイド関節内注射と併行して第1フェーズでは免疫調整薬(メトトレキサート、スルファサラジンなど)、生物学的製剤TNF阻害薬、PDE-4阻害薬(未承認薬)が推奨され、第2フェーズで生物学的製剤TNF阻害薬、IL-17阻害薬、IL-12/23阻害薬またはPDE-4阻害薬が推奨され、第3フェーズでは別の生物学的製剤への変更が推奨されているなど、体軸関節炎、腱付着部炎など病変に応じて、異なった治療推奨がなされている。 また、本症の治療戦略としては治療薬の他に、減量・運動・禁煙などの生活指導、整形外科と連携した身体器具の装着、関節へのピンポイント注射治療のほか、高脂血症、脂肪肝、うつ、線維筋痛症など併発症の治療も重要となる。 最後に岸本氏は「他科連携による的確な診断とタイミングのよい治療が患者さんの機能障害を防ぐ」と述べ、レクチャーを終えた。もっと知って欲しい関節症性乾癬 続いて30年以上乾癬に悩む患者さんが、患者視点から本症の悩みや課題を述べた。当初、乾癬の確定診断がつかず、身体的、精神的につらい時期を送ったこと。その後、本症が発症し、ベストな治療が受けられなかったときに、生物学的製剤の治療のおかげで関節の痛みが軽減、皮膚症状も落ち着いたことなどを述べた。 最後に目前の課題として、「本症では介護保険が使えないことや指定難病への未登録があり、今後も患者会などを通じ、厚生労働省へ働きかけていきたい」と展望を語った。(ケアネット 稲川 進)参考文献 1) Gottlieb AB, et al. J Dermatolog Treat. 2006;17:343-352. 2) Ohara Y, et al. J Rheumatol. 2015;42:1439-1442. 3) Taylor W, et al. Arthritis Rheum. 2006;54:2665-2673. 4) Ritchlin CT, et al. Ann Rheum Dis. 2009;68:1387-1394. 5) Coates LC, et al. Ann Rheum Dis. 2010;69:48-53. 6) Coates LC, et al. Arthritis Rheumatol. 2016;68:1060-1071.参考サイト 日本乾癬学会 日本乾癬学患者連合会

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毎日5杯の緑茶で認知症予防:東北大

 生物学的研究では、緑茶の特定の構成要素が、認知神経の保護効果を有することが示唆されている。しかし、ヒトを対象とした疫学研究が十分でないため、認知症発症率に対する緑茶消費量の影響は確認されていない。東北大学の遠又 靖丈氏らは、緑茶消費量と認知症発症との関連を明らかにするため、コホート研究を行った。The American journal of geriatric psychiatry誌2016年10月号の報告。 65歳以上の日本人高齢者を対象とした5.7年間の前向きコホート研究。日々の緑茶消費量やほかの生活習慣要因に関連する情報は、質問票を用いて収集した。認知症発症に関するデータは、公的介護保険データベースより取得した。 主な結果は以下のとおり。・対象者1万3,645人のうち、5.7年間の認知症発症率は8.7%であった。・頻繁な緑茶消費は、認知症発症リスクの低さと関連していた(5杯以上/日 vs.1杯未満/日のハザード比:0.73、95%CI:0.61~0.87)。・ベースライン時に主観的な認知機能の問題を持っていなかった対象者においても、認知症発症リスクの低さは一貫していた。・緑茶消費量は、認知症発症リスクの低さと有意に関連していた。関連医療ニュース 日本食は認知症予防によい:東北大 家庭の味が認知症ケアには必要 地中海ダイエットは認知症予防に効果があるのか

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緑内障発症に関連するリスクアレルを特定

 原発開放隅角緑内障(POAG)は失明や視覚障害の主な原因で、POAGと視神経機能に関連するいくつかの遺伝的リスク因子が確認されている。米国・アイオワ大学のTodd E. Scheetz氏らは、Ocular Hypertension Treatment Study(OHTS)の参加者を対象に、それら遺伝的リスク因子が緑内障発症に及ぼす影響について検討した。その結果、非ヒスパニック系白人集団においてはTMCO1遺伝子型が、既知の臨床的な予測因子と同程度に緑内障と関連していることを明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2016年10月1日号の掲載の報告。 研究グループは、OHTS試験の参加者1,636例のうち1,057例(65%)を登録し、DNAの検体を入手した。1994~2009年の間に、POAGを発症した209例を患者群、緑内障を呈しなかった848例を対照群として、他のコホートにおいてPOAGまたは視神経乳頭機能との関連が示された13のリスクアレルの頻度を調べ、比較した。主要評価項目は、既知の遺伝要因とPOAGとの関連とした。 なお、1,057例のうち非ヒスパニック系白人752例(70.7%)と黒人249例(23.7%)について、サブグループ解析も行った。 主な結果は以下のとおり。・OHTSコホート全体(1,057例)としては、既知のPOAGリスクアレルとの関連は検出されなかった。・しかし非ヒスパニック系白人集団において、TMCO1遺伝子座でアレル頻度が患者群と対照群で有意な差が認められた(p=0.00028)。・13年間でTMCO1リスクアレルを有する非ヒスパニック系白人は、リスクを有していない人より緑内障の累積発症頻度が12%増加した。・Cox比例ハザード分析の結果、TMCO1アレルはすでに知られている臨床的因子(眼圧)と同程度の相対リスク増大が認められた。

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GLP-1受容体作動薬は心血管イベントを抑止しうるか(解説:吉岡 成人 氏)-603

はじめに  いくつもの大規模臨床試験により、糖尿病治患者の心血管イベントを抑制するためには、発症早期からの集約的な代謝管理が有用であることが確認されている。一方、罹病期間が長く、心血管イベントを発症するリスクが高い患者やすでに心血管疾患の既往がある患者では、インスリンを中心とした薬剤で厳格な血糖管理を目指すことは、低血糖のリスクが高まり、心血管イベントを抑止しえないことも広く知られている。このような背景を基に、インクレチン製剤はGLP-1やGLP-1の代謝産物を介して心保護作用が期待され、心血管イベントに対する有用性を臨床的にも示すデータが待ち望まれていた。しかし、DPP-4阻害薬であるサキサグリプチン、アログリプチン、シタグリプチンを用いたSAVOR-TIMI53、EXAMINE、TECOSの各試験においては、プラセボと比較して心血管イベントに対する非劣性を示すにとどまった。一方、SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンがEMPA-REG試験で心不全の減少を介すると思われる心血管イベント抑制の効果を証明し、その後の解析によって腎保護作用を持つことも示唆されている。GLP-1受容体作動薬と心血管イベント 2016年の米国糖尿病会議において、リラグルチドによって2型糖尿病患者の心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死的脳卒中)が一定の割合で抑制される(ハザード比0.87、95%信頼区間、0.87~0.97)ことを示したLEADER試験(Liraglutide Effect and Action in Diabetes: Evaluation of Cardiovascular Outcome Results)は大きな話題となったが、有意差はないもののリラグリチド投与群で13例、プラセボ群で5例の膵臓癌の発生(p値0.06)というデータが気にかかった。さらに、急性心不全で入院した患者を対象としてリラグルチドを投与したFIGHT 試験(Functional Impact of GLP-1 for Heart Failure Treatment1))では、リラグルチドによって心不全の予後は改善せず、糖尿病患者に限定すると、予後を悪化しかねないことも示された。リキシセナチドを用いたELIXA試験(Evaluation of Lixisenatide in Acute Coronary Syndrome)でも心血管疾患に対する保護効果はなく、GLP-1受容体作動薬の心血管イベントに対する臨床効果に懸念が持たれた。GLP-1受容体作動薬、週1回製剤の場合 現在、日本において週1回投与が可能なGLP-1受容体作動薬はビデュリオン(エキセナチドをマイクロスフェアに包埋し持続的に放出する製剤)とトルリシティ(デュラグルチド、アミノ酸を置換したヒトGLP-1アナログ2分子にIgG4のFc領域を融合し、吸収速度と腎排泄を低下させ作用時間を延長させる製剤)が発売され、毎日の自己注射が難しい高齢者などを中心に使用が広まっている。 このような背景のもと2016年9月15日号のNEJM誌にノボノルディスクファーマで開発中のGLP-1受容体作動薬、週1回投与製剤であるセマグルチドの心血管イベントに対する影響を検討した研究(SUSUTAIN-6:Trial to Evaluate Cardiovascular and other Long-Term Outcomes with Semaglutide in Subjects with Type2 Diabetes)の報告が掲載された。 20か国230施設にて、50歳以上で心血管疾患の既往がある慢性心不全または慢性腎臓病(CKD)ステージ3以上、または60歳以上で心血管リスク因子(心血管疾患の既往、50%以上の冠動脈病変、運動負荷試験で陽性など)を有するHbA1c7.0%以上の糖尿病患者3,297例を対象としている。対象患者の糖尿病の平均罹病期間は13.9年、平均HbA1cは8.7%、平均体重は87.2kgで、観察期間(中央値2.1年)中に、セマグルチド投与群で6.6%、プラセボ群で8.9%に心血管複合イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)が認められ、ハザード比は0.74(95%信頼区間:0.58~0.95、非劣性p<0.001)であった。セマグルチド0.5mg、1.0mg投与群でHbA1cはそれぞれ1.1%、1.4%低下し、体重も3.6kg、4.9kg低下した。膵癌の発生はセマグルチド群1例、プラセボ群4例と報告されている。 個々のイベントでは、心血管死についてはセマグルチド群2.7%、プラセボ群2.8%と差はなかったが、非致死性心筋梗塞と非致死性脳梗塞の発症はそれぞれ2.9% vs.3.9%(ハザード比0.74、95%信頼区間:0.51~1.08、p=0.12)、1.6% vs.2.7%(ハザード比0.61、95%信頼区間:0.38~0.99、p=0.04)と、セマグルチド群での低下傾向が認められた。細小血管障害についてはセマグルチド群の3.0%に網膜症の悪化(硝子体出血、光凝固、硝子体内注射など)が認められプラセボ群では1.8%であった(ハザード比1.76、95%信頼区間:1.11~2.78、p=0.02)。おわりに セマグルチド群では嘔気、嘔吐などの消化管の副作用が多いものの、より良好な代謝管理が得られ、心血管リスクが高い患者では心血管イベントに対する有用性も示唆される成績と考えられる。しかし、GLP-1受容体作動薬で今まで指摘されていなかった網膜症の増悪が示唆される点は不気味な印象を覚える。 いずれにしても、諸手を挙げて「GLP-1受容体作動薬は心血管イベントの抑制に有用」と結論付けるには難しい状況が続いている。【お知らせ】本文内の表記を一部変更いたしました(2016年11月7日)。

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統合失調症患者の性機能障害、ミルタザピンで改善

 統合失調症における性的機能不全は、抗精神病薬(とくに第1世代抗精神病薬)やSSRIなどの抗うつ薬により悪化する。ミルタザピンは、他の多くの抗うつ薬と比較し、異なる作用機序を有する抗うつ薬であり、うつ病患者のSSRI誘発性性機能障害を改善することが期待される。しかし、ミルタザピンが統合失調症患者の性機能を改善させるかは不明である。フィンランド・ヘルシンキ大学のViacheslav Terevnikov氏らは、この疑問に対し、検討を行った。Nordic journal of psychiatry誌オンライン版2016年10月5日号の報告。 第1世代抗精神病薬治療を受けた統合失調症患者を、ミルタザピン追加群(20例)、プラセボ追加群(19例)のいずれかにランダムに割り付け、6週間投与した。性機能は、Udvalg for Kliniske Undersogelser side-effect rating scale(UKU-SERS)から関連5項目を用いて測定した。 主な結果は以下のとおり。・オルガスム機能は、ミルタザピン追加群において有意に改善した(p=0.03)。両群とも、他の性機能に変化はなかった。・ミルタザピン追加投与は、第1世代抗精神病薬治療を受けた統合失調症患者におけるオルガスム機能障害を軽減させることが示唆された。関連医療ニュース リスペリドン誘発性高プロラクチン血症への補助療法 プロラクチン上昇リスクの低い第二世代抗精神病薬はどれか 統合失調症の治療に伴う性機能障害、カベルゴリンにより改善

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先端巨大症〔acromegaly〕

1 疾患概要■ 概念・定義手足の末端や顔貌の変化など特有な容姿から名付けられた疾患名であるが、成長ホルモン(GH)の過剰分泌により生じる。骨端線閉鎖以前では巨人症(gigantism)を、骨端線閉鎖以降では骨の末端の肥大を示す先端巨大症(acromegaly)を呈する。また、GH過剰状態が長期に持続すると、QOLは低下し、心・脳血管障害、悪性腫瘍、呼吸器疾患などを合併し、生命予後は不良となる。■ 疫学欧米の最近の報告によると、発生頻度(罹患率)は、年間3.5~6.5人/100万人、有病率は125~137人と報告されている。わが国の報告では、片上氏らの宮崎県での調査の結果、罹患率は5.3人/100万人、有病率85人と報告されている。本症に性差はみられず、40~60歳を好発年齢とし各年齢層に広く分布している。■ 病因先端巨大症の99%以上は、下垂体のGH産生腫瘍が原因であるが、ごくまれに気管支や膵、十二指腸などに発生する内分泌腫瘍から、異所性にGH放出ホルモンが過剰に産生される異所性GHRH産生腫瘍や、膵臓がんや悪性リンパ腫での異所性GH産生などが原因となる先端巨大症の報告例がある。■ 病態生理GH産生腫瘍もほかの下垂体腫瘍同様、モノクローナルな腫瘍で、体細胞レベルでの突然変異(somatic mutation)が腫瘍化の原因と考えられてきた。約半数の症例ではGHRH受容体と共役しているGタンパク質のαsubunitであるGsαの活性化変異(gsp変異)が認められる。その結果アデニル酸シクラーゼの活性化が持続し、細胞内のcAMPの増加が維持され、細胞増殖が促進する。一方、家族性にGH産生腺腫を合併する疾患にCarney complex、家族性GH腺腫(isolated familial somatotropinoma:IFS)、多発性内分泌腺腫症(MEN1および4)があるが、弧発性GH腺腫でもこれらの遺伝性疾患の原因遺伝子が検討されたが、不活化を伴う体細胞変異は認められていない。■ 臨床症状症状はGH過剰分泌に基づく症候が主体で、時に下垂体腫瘍が大きな場合には下垂体機能低下、視機能障害、頭痛など占拠性症候が同時に認められる。GHの過剰分泌により、肝臓でインスリン様成長因子-1(insulin-like growth factor 1: IGF-1)が過剰に産生され、これらGH、IGF-1の過剰分泌が長期に続くと、骨、軟部組織、内臓の肥大や変形が生じる。臨床症状としては顔貌の変化、手足の肥大はほぼ全例で認められ、耐糖能の低下、巨大舌、発汗過多も70%以上でみられる。また、先端巨大症では約25%(自験例で13%)の症例でプロラクチン(PRL)の同時産生を認めるため、月経異常(無月経、乳汁漏出)が主訴となることがある(図1、図2、表)。画像を拡大するA:先端巨大症の主な症状B:先端巨大症男性例の顔貌。骨の変形に伴う眉弓部・頬骨部の隆起、下顎の突出がみられ、鼻、口唇の肥大も認める特徴的な先端巨大症顔貌C:左は手指の腫大、皮膚の肥厚、多毛など典型的な先端巨大症の手(右は成人男性健常者)画像を拡大する画像を拡大する1)顔貌の変化眉弓部や頬骨部の隆起、下顎の突出、咬合不全、歯間の開大などが認められ、軟骨、軟部組織、皮膚も影響され、鼻、口唇も肥大し、いわゆる先端巨大症様顔貌を呈する(図1B)。2)骨、関節、結合組織手足の骨は伸び、手足の末端は肥大し、指は厚ぼったく太く丸みをおび、時に手指で小さな物をつまみ上げることが困難となる(図1C)。多角的にはX線検査における手指末節骨先端の花キャベツ様変化また結合組織も肥大によるheel pad(踵骨と足底の間の軟部組織)の肥厚が認められる。時に骨、結合組織の肥厚に伴い、手根管症候群や座骨神経痛、股関節、顎関節、膝関節の変形に伴う痛みも認められる。体型も椎骨の肥大変形により、胸部は後彎、腰部は前彎という独特な体型を呈する。これら骨に生じた変形は通常進行性で不可逆的である。3)皮膚肥厚し、色素沈着や発汗過多により、手掌、足底は常にべたつき、しばしば異臭を伴う。4)臓器肥大肝臓、腎臓、甲状腺などが肥大する。舌の肥大は巨大舌と呼ばれ、声帯の肥大などとともに特徴的な低い声となる(deepening of the voice)。5)循環器高率に高血圧を合併する。これは進行する動脈硬化と細胞外液量の増加が関与すると考えられている。心肥大も多く、最終的には拡張性の心不全を生じ、生命予後を左右する大きな一因となっている。6)呼吸器胸郭、肺の弾性が低下し、換気低下が進行すると慢性気管支炎、肺気腫など器質性変化が生じ、時に呼吸不全となる。また、近年本症は閉塞性の睡眠時無呼吸症候群の一因としても注目されている。7)代謝GHのインスリン拮抗作用が原因で耐糖能の低下、糖尿病が高頻度にみられる。8)占拠性症候下垂体腫瘍の70%以上は、腫瘍径1cm以上のmacroadenomaであるが、視野異常など視機能低下を合併する頻度はそれほど多くはない(自験例で5%)。同様に腫瘍の圧迫による続発性下垂体機能低下症もまれである。■ 予後放置した場合の生命予後は、一般人口と比較すると不良で、標準化死亡率は1.72倍高いと報告される一方、治療によりGH、IGF-1値が正常化すると、その後の生命予後は一般人と変わらなくなると報告されている。また、合併する高血圧、糖尿病、心疾患などの合併症のコントロールも生命予後の改善に寄与する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 臨床所見とGH、IGF-1基礎値診断の基本はまず臨床的所見から先端巨大症を疑うことが重要である。しかし、通常患者が直接専門医を受診することは少なく、早期発見のためにも、合併疾患の治療科である整形外科、呼吸器科、一般内科医などへの本疾患の啓発が重要である。近年、新聞・雑誌や下垂体患者会などからの啓発活動の結果、患者自らがこの疾患を疑い、専門機関を受診するケースも増加している。本疾患が疑われる患者では、まずGH、IGF-1値を含めた下垂体ホルモン基礎値を測定し、GH過剰分泌の有無、他のホルモンの過剰あるいは低下の有無を検討する。重要なことは、GH基礎値は変動が大きく、単回の血中GH基礎値のみでのGH過剰状態の判定は不可能で、同時に必ずGHの総分泌量を反映するIGF-1値を測定することが重要である。臨床所見を認め、IGF-1値が年齢、性別の基準値より明らかに高値を示す場合には、通常先端巨大症と考えてよい(図2)。■ 経口ブドウ糖負荷試験など先端巨大症患者では、GHの抑制がないか、逆説的な増加を示し、0.4ng/mL未満には抑制されない。感度の高い検査で、本疾患が疑われる場合には必須の検査である。この検査は、先端巨大症の診断のみならず耐糖能の評価、治療後の耐糖能低下改善の予測などにも重要な検査である。以上で診断が確実となれば、他の前葉ホルモンの機能評価を兼ねたTRH、CRH、GnRH 3者負荷試験、薬物の効果を予測するドパミン作動薬(ブロモクリプチン)やオクトレオチド負荷試験を施行する。■ 画像検査次に重要なことは腫瘍の状況の把握で、このためには下垂体の精検MRIが最も重要である。通常1cm以下の微小腺腫が2~3割程度を占める。また、下垂体腫瘍が認められない場合には、異所性GHRH産生腫瘍なども考慮する必要がある(図2)。■ その他の検査合併症の評価のため、心機能、呼吸機能、動脈硬化の程度の評価、大腸がんの有無の評価なども重要な検査である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)先端巨大症を呈する下垂体腫瘍の治療の目的は、過剰に産生されているGHの早期の正常化と、腫瘍が大きく圧迫症候を伴っているときには、それらの改善にある。本疾患の治療の原則は、外科的切除が第1選択であるが、手術不能例や患者の同意が得られない特殊な場合、手術で治癒が不可能と考えられる一部の症例、外科的治療でも治癒が得られない場合には薬物療法、放射線療法などの補助療法を追加する。同時に合併症のコントロールも予後の改善からも重要である。先端巨大症の治療の流れを示すフローチャートを図3に示した。画像を拡大する■ 手術療法手術は通常経鼻的アプローチで行われ、これを「経蝶形骨洞手術」と呼び、手術用顕微鏡や内視鏡下に施行されるが、大きな腫瘍や浸潤性腫瘍では、患者の全身状態の改善による周術期のリスクの減少と腫瘍の縮小を目的として、術前短期(1~3回程度)のオクトレオチドLAR(商品名: サンドスタチンLAR)、ランレオチド(同:ソマチュリン)を使用する場合がある。現在のところ下垂体外科を専門とする施設での治癒率は、60~70%と報告されている(図4)。手術での治療成績不良な因子としては、腫瘍の大きさ、海綿静脈洞浸潤の有無などが挙げられる。画像を拡大する■ 薬物療法腫瘍からのGH分泌を抑制し、抗腫瘍効果のあるドパミン作動薬(ブロモクリプチン[商品名: パーロデル]やカベルゴリン[同:カバサール])、ソマトスタチンアナログ製剤が主に使用されている。それでも効果が不十分な場合には、GHの作用をブロックするペグビソマント(同:ソマバート)が使用される。ただし、ソマトスタチンアナログ製剤やペグビソマントは、有効率は高いものの、きわめて高価であること、ペグビソマントは毎日自己注射が必要なこと、カベルゴリンは保険適用ではないことが欠点である。また、これらの薬剤の効果をより高めるために、多剤薬物療法(combined therapy)も適時試みられている。■ 放射線照射海綿静脈洞内など外科切除困難な部位に腫瘍が残存し、薬物効果が不十分な場合などが適応となる。現在ではγナイフやサイバーナイフなどの定位放射線療法が主体で、従来の放射線療法に比較し、いずれも短時間でより選択的な照射が腫瘍へ可能であり、かつ治療効果発現までの時間も短く(通常1~2年)、正常下垂体、神経組織への障害も少ない。■ フォローアップ通常治療後、治癒基準を満たす症例が再発を呈することはきわめてまれであるが、半年~1年に1度GH、IGF-1検査のフォローが必要である。また、術前の症状の有無により、適時に大腸内視鏡、心エコーなどの定期的フォローも必要となるし、薬物療法施行例では、それぞれの副作用のチェック、さらに放射線療法が行われた症例ではGH、IGF-1はもちろん、下垂体機能低下症の長期にわたるフォローも重要となる。4 今後の展望本疾患の早期発見、早期治療のためには、関連診療科医師へのさらなる啓発活動が重要である。薬物治療法については、オクトレオチドLAR、ランレオチドなどの標準的なソマトスタチンアナログ製剤と比較して、より優れたGHおよびIGF-1の治療目標値への達成が期待されるSOM230(一般名: パシレオチド)が、2016年末にわが国で発売される予定である。また、ソマトスタチンアナログ製剤は、現在1ヵ月に1度の割合で病院での注射が必要となるが、アドヒアランスのより高い経口薬(oral octreotide)がすでに開発されており、近い将来広く臨床応用されることが期待される。5 主たる診療科下垂体疾患・腫瘍を取り扱う内分泌内科、脳神経外科、小児科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 先端巨大症、下垂体性巨人症(下垂体性成長ホルモン分泌亢進症)平成27年施行の指定難病。先端巨大症は、下垂体性成長ホルモン分泌亢進症(告示番号77)に分類されている。本サイトは「厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究 先端巨大症および下垂体性巨人症の診断と治療の手引き」にリンクされている。アクロメガリー広報センター(ノバルティスファーマ株式会社)先端巨大症ねっと(帝人ファーマ株式会社)いずれも製薬メーカーが運営するサイトであるが、患者向け、医療者向けの両サイトがあり、先端巨大症についての知識や治療法がわかりやすく解説されている。患者会情報下垂体患者の会(下垂会)2005年に下垂体疾患の患者有志が集まり、自分達の病気の難病指定を目標に結成され、現在全国規模で医療講演会や患者会を定期的に開催・活動している。1)Katznelson L, et al. J Clin Endocrinol Metab.2014;99:3933-3951.2)特集 先端巨大症の診療最前線. ホルモンと臨床.2009.3)平田結喜緒 編. 下垂体疾患診療マニュアル 改訂第2版.診断と治療社;2016.4)千原和夫 監修. 改訂版 Acromegaly Handbook.メディカルレビュー社;2013.公開履歴初回2016年10月18日

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カフェイン摂取で認知症リスク低下か

 認知機能に対するカフェインの保護効果は、ヒト以外の報告で認められている。ヒトに対する研究では一貫性は示されていないが、レビューによると、カフェインの摂取と認知障害や認知症との間に良好な関係がある可能性が示唆されている。米国・ウィスコンシン大学ミルウォーキー校のIra Driscoll氏らは、65歳以上の女性を対象としたThe Women's Health Initiative Memory Studyより、カフェイン摂取と認知障害または認知症疑いの発生率との関連を調査した。The journals of gerontology誌オンライン版2016年9月27日号の報告。 対象は、カフェイン摂取量の自己申告データを有する女性6,467人。認知機能の年次評価のあるフォローアップ10年以下の女性388人は、主要判断を含むIV相プロトコルに基づき、認知症疑いの診断を受けた。カフェイン摂取量のベースラインレベルによりグループ化し、危険因子(ホルモン療法、年齢、人種、教育、BMI、睡眠の質、うつ病、高血圧、心血管疾患の既往、糖尿病、喫煙、アルコール摂取量)で調整した後、認知症疑いまたは複合認知障害発生までの時間分布の違いを評価するため、比例ハザード回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・中央値以上のカフェインを摂取した女性群(平均:261mg)では、中央値以下の群(平均:64mg)と比較し、認知症(HR:0.74、95%CI:0.56~0.99、p=0.04)、任意の認知障害(HR:0.74、95%CI:0.60~0.91、p=0.005)発生の可能性が低かった。・本調査結果より、中央値を上回るカフェイン摂取をしている高齢女性では、認知症疑いや認知障害の低オッズが示唆された。これは、カフェイン摂取と加齢性認知障害との逆相関を示した既知の文献と一致していた。関連医療ニュース 日本食は認知症予防によい:東北大 家庭の味が認知症ケアには必要 長生きしても認知症にならないためにできること

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低体温療法、院内心停止例に有用か/JAMA

 院内心停止蘇生後患者に対する低体温療法の施行は、通常ケアと比較して生存退院率および良好な神経学的予後について、いずれも低い可能性が、米国・Saint Luke's Mid America Heart InstituteのPaul S. Chan氏らによるコホート研究の結果、示唆された。低体温療法は、院外および院内の心停止蘇生後患者に対して施行されるが、院内心停止患者に関する無作為化試験は行われておらず、有効性に関するデータは限定的である。JAMA誌2016年10月4日号掲載の報告。全米355病院2万6,183例の院内心停止後蘇生例について適合傾向スコア分析 コホート試験は、2002年3月1日~2014年12月31日に全米Get With the Guidelines-Resuscitationレジストリに登録された、院内心停止後に蘇生に成功した患者2万6,183例を対象に行われた。患者の入院先は全米355病院、低体温治療の有無は問わず特定され、2015年2月4日時点まで追跡を受けた。 主要アウトカムは生存退院率。副次アウトカムは、良好な神経学的予後で、脳機能カテゴリー(Cerebral Performance Category)スコア1または2(重症の神経障害なし)で定義した。比較は、適合傾向スコア分析を用い、すべての心停止および非ショック性(心静止[asystole]、無脈性電気活動[PEA])またはショック性(心室細動[VF]、無脈性心室頻拍[VT])に分けての評価を行った。非施行例と比べて、生存退院率、良好な神経学的予後例の割合は低い 院内心停止患者全体2万6,183例のうち、1,568例(6.0%)が低体温療法を受けていた。このうち1,524例について(平均年齢61.6[SD 16.2]歳、男性58.5%)、傾向スコアで適合した低体温療法を受けなかった3,714例(62.2[17.5]歳、57.1%)と比較検討した。 補正後、低体温療法は生存退院率との関連が低く(27.4 vs.29.2%/相対リスク[RR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.80~0.97/リスク差:-3.6%、95%CI:-6.3~-0.9、p=0.01)、同関連について非ショック性、ショック性で違いはみられなかった(交互作用p=0.74)。生存退院率は非ショック性症例では22.2 vs.24.5%(RR:0.87、95%CI:0.76~0.99/リスク差:-3.2%、95%CI:-6.2~-0.3)、ショック性症例では41.3 vs.44.1%(RR:0.90、0.77~1.05/リスク差:-4.6%、-10.9~1.7)であった。 また、低体温療法は、良好な神経学的予後との関連も低かった。神経学的予後が良好であったのは、低体温療法群17.0%(246/1,443例) vs.非低体温療法群20.5%(725/3,529例)であった(RR:0.79、95%CI:0.69~0.90/リスク差:-4.4%、95%CI:-6.8~-2.0、p<0.001)。非ショック性、ショック性で違いがみられなかった(交互作用p=0.88)。 著者は、「今回観察された所見は、無作為化試験実施の根拠となるものであった」と述べている。

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双極性障害や統合失調症のバイオマーカー検出の試み:理研BSI

 双極性障害と統合失調症の診断マーカーは必要とされている。バイオマーカーの発見の遅れは、薬物治療の効果を混乱させる。理化学研究所 脳科学総合研究センターの影山 祐紀氏らは、薬物治療を行っていない双極性障害と統合失調症患者における血清バイオマーカーを同定するため、メタボローム解析を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2016年9月27日号の報告。 2週間以上向精神薬による薬物治療を受けていない統合失調症患者17例、双極性障害患者9例、うつ病患者9例および健常対照者19例を対象に、キャピラリー電気泳動—飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)を用いて血漿代謝物を分析した。結果について、以前の報告と比較し、代替分析的アプローチを使用し、独立したサンプルセットで検証を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者において、健常対照者と比較し、低クレアチニンレベル(未補正p=0.016)と高2-ヒドロキシ酪酸レベル(未補正p=0.043)が観察された。これは、以前報告されたデータセットでは変化がみられなかった。・双極性障害患者において健常対照者と比較し、シトルリンの有意な減少が認められた(未補正p=0.043)。この知見は、薬物治療中の双極性障害患者の独立したサンプルセットにおいて、複製されなかった。・ドパミン代謝物であるN-methyl-norsalsolinolは、双極性障害の候補バイオマーカーとして示唆されたが、他の分析法では検出されなかった。・以前、統合失調症のバイオマーカーとして報告されたベタインは、現在のデータセットでも変化はなかった。 著者らは「本予備調査結果は、疾患や薬剤の持続時間のような交絡因子の影響を示唆しているため、プラズマバイオマーカーを検出する際には、慎重にコントロールする必要がある。精神疾患の強力なバイオマーカーを確立するために、さらなる研究が必要である」としている。関連医療ニュース 統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学 統合失調症のバイオマーカーとなりうる低メチル化率:愛媛大 統合失調症の診断・治療に期待!新たなバイオマーカー

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