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限定的エビデンスを基に承認された薬の市販後調査の傾向/BMJ

 米国食品医薬品(FDA)が限定的エビデンスに基づき承認した新薬の、市販後のエビデンスの質と量を調べた結果、当初のものとはエビデンスが大きく変化しており、FDAが最初に承認した適応について、臨床的アウトカムを用いて有効性を確認した市販後の対照試験報告はわずかであることが、米国・ニューヨーク州立大学のAlison M. Pease氏らによるシステマティックレビューの結果、明らかにされた。FDAはしばしば、主要エンドポイントが臨床的アウトカムではなく、疾患の代用マーカー(surrogate markers)を用いたpivotal試験(単一または複数)をエビデンスベースとした新薬についても承認を行っている。これらの新薬は、たとえ市販後臨床試験で有益性が期待できないと立証されても、その後も広く用いられている現実があるという。BMJ誌2017年5月3日号掲載の報告。2005~12年にFDAが承認した117種・123適応について調査 研究グループは、Drugs@FDA databaseとPubMedをソースに、2005~12年にFDAが疾患代用マーカーを用いたpivotal試験(単一または複数)をベースに承認した新薬の、市販後に発表された前向き対照臨床試験の全報告をレビューし、その特徴を明らかにした。 検索の結果、同期間中にpivotal試験に基づき117種の新薬が123の適応について承認されていた。 適応が、(1)単一pivotal試験に基づき承認されたもの、(2)代用マーカーに基づき承認されたもの、(3)代用マーカー評価による単一pivotal試験に基づき承認されたものに分類して市販後試験の特徴を調べた。試験未実施が35.0% 市販後中央値5.5年(四分位範囲:3.4~8.2)の間に、758件の対照試験が発表されていた。その大半(554/758件、73.1%)が、代用マーカーを基に承認された適応についての試験であった。 市販後に最も多く行われていたのは実薬対照試験で、(1)単一pivotal試験に基づき承認された適応に関しては67/77件(87.0%)、(2)代用マーカーに基づき承認された適応に関しては365/554件(65.9%)、(3)代用マーカー評価による単一pivotal試験に基づき承認された適応に関しては100/127件(78.7%)であった。 また、市販後試験の有効性の主要エンドポイントとして代用マーカーを評価していたのは、それぞれ(1)51/77件(66.2%)、(2)512/554件(92.4%)、(3)110/127件(86.6%)であった。 全体で承認された123のうち43の適応(35.0%)については、市販後試験が行われた形跡がみつからなかった。 総市販後試験数の中央値は、(1)単一pivotal試験に基づき承認された適応に関しては1件(四分位範囲:0~2)、(2)代用マーカー評価に基づき承認された適応に関しては3(1~8)で、(3)代用マーカー評価による単一pivotal試験に基づき承認された適応については1(0~2)であった。また、市販後試験の登録被験者数の中央値は、それぞれ(1)90例(0~509)、533例(122~3,633)、38例(0~666)であった。

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宇宙旅行は脂肪肝のリスク【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第91回

宇宙旅行は脂肪肝のリスク いらすとやより使用 宇宙旅行。誰しも一度は憧れたことがある夢。私も昔から「ニュートン」誌を読んでは宇宙に思いをはせていました。しかし、宇宙旅行は良いことばかりではありません。健康を害するリスクだってあるのです。 Jonscher KR, et al.Spaceflight Activates Lipotoxic Pathways in Mouse Liver.PLoS One. 2016;11:e0152877.私の好きなマンガの1つである「プラネテス」(幸村誠、講談社モーニングKC)では宇宙白血病という疾患が登場します。宇宙線の被曝によって起こる白血病のようですが、本当に宇宙線が血液悪性腫瘍のリスクになるのかは、まだまだ議論の余地があります。さて、宇宙への長期滞在は長期臥床しているようなもので、筋力が劇的に衰えます。宇宙飛行士が地球に帰還してきたときにヘロヘロになっているのは、長期滞在によって筋骨格系の廃用萎縮が進行するからです。そのため、宇宙滞在中は筋力トレーニングが欠かせません。宇宙旅行は、いろいろな代謝異常を引き起こすことが知られています。その1つに肝障害があります。この論文は、純系マウスを宇宙に連れていき、2週間ほど滞在させて、地球に帰還した後に肝臓に障害がないかどうか調べた研究です。今や数多くの宇宙飛行士が宇宙に行っているのに、マウスの研究に固執しているのが気になりましたが…。結果、著明な脂肪肝が観察されました。NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)ってヤツです。NAFLDの発現とともに肝臓内レチノイン酸の濃度が低下し、糖脂肪代謝に関わるPPARαの発現が大きく上昇することもわかりました。長期滞在でいろいろな疾患のリスクが上がるとわかれば、あまり地球の外に出たくないという人も増えそうですね。インデックスページへ戻る

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小児期に身体活動時間が長いと乳がんリスク低い

 成人期における身体活動は乳がんリスクの低下と関連するが、成人前の身体活動との関連を検討した研究は少ない。米国ノースカロライナ大学のNicole M. Niehoff氏らが5万人超の大規模女性コホートで5~19歳時の身体活動を調査したところ、乳がん発症リスクとの間に逆相関が示された。Breast cancer research and treatment誌オンライン版2017年5月12日号に掲載。 本研究は、35~74歳の5万884人の女性のコホートにおいて、小児期(5~12歳)と10代(13~19歳)におけるスポーツ/エクササイズの身体活動および10歳時・16歳時における非構造化身体活動(自由時間の身体活動)を調査した。乳がんとの関連を、乳がん全体で、またエストロゲン受容体(ER)および閉経状況別に、活動時間およびMET-時で検討した。また、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)をCox比例ハザードモデルで計算した。 主な結果は以下のとおり。・経過観察中に2,416例が乳がんと診断された(平均6.4年)。・5~19歳の間にスポーツ/エクササイズに週7時間以上参加していた群では、週1時間未満の群に比べて乳がんリスクが低かった(HR:0.75、95%CI:0.57~0.99)。・16歳時に非構造化身体活動を週7時間以上行っていた群では、週1時間未満の群に比べて乳がんリスクが低かった(HR:0.81、95%CI:0.70~0.95)。・この関連はER陽性乳がん、とくに小児期(5~12歳)の身体活動で、より顕著であった。・本研究では、小児/10代と成人での身体活動の相関が低いため(r=0.1)、最近の身体活動でこの結果を説明できる可能性は低い。

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咽頭痛に対するステロイドの症状軽減効果(解説:小金丸 博 氏)-679

 咽頭痛は、プライマリケアセッティングでみることの多い症候の1つである。咽頭炎の原因の多くはウイルス感染症であるものの、症状軽減効果や化膿性合併症の予防を期待して不必要な抗菌薬が投与されてしまうことも多い。あるsystematic reviewでは、咽頭痛に対してステロイドを単回投与することで24時間以内に症状を消失させることが示されたが、引用された試験はすべて抗菌薬とステロイドを併用したものであり、ステロイド単独の有効性を示した研究は存在しなかった。 本研究は、18歳以上の成人を対象に、急性の咽頭痛や嚥下痛に対するデキサメタゾン単回投与の有効性を検討した二重盲検プラセボ対象ランダム化比較試験である。即時に抗菌薬投与が必要ない症例のみを対象とした。24時間以内の症状消失率は、デキサメタゾン投与群で22.6%、プラセボ投与群で17.7%であり、両群間で有意差は認めなかった(P=0.14)。しかしながら、セカンダリアウトカムの1つである48時間以内の症状消失率は、デキサメタゾン投与群で有意に高かった(35.4% vs.27.1%、P=0.03)。 過去のいくつかの研究と異なり、本試験では小児例が除外されているため、ステロイドの有効性が低くなった可能性はある。また、デキサメタゾン投与群でも大きな有害事象がなかったことが結果として挙げられているが、糖尿病や心不全といった基礎疾患を持つ患者は試験から除外されていることに注意が必要である。 本試験に組み込まれた患者背景をみてみると、デキサメタゾン投与群のCentor score ≧3の割合は14.2%であり、多くの対象患者がウイルス性咽頭炎であったと推測できる。プライマリアウトカムではデキサメタゾンの有効性を示せていないため若干判断が難しいが、即時に抗菌薬投与が不要な咽頭痛に対するデキサメタゾン投与は、症状軽減を期待できる結果であった。 しかしながら、本試験の結果をもって、実臨床でもデキサメタゾンを投与するかどうかは一考の余地がある。1人の症状を48時間以内に軽減するために必要な治療人数(治療必要数:NNT)は12であり、咽頭炎という疾患の重症度、ステロイドの副作用や免疫抑制効果を考えると、この程度の効果では実臨床では使いづらいと考える。

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両眼白内障の手術、両眼同時 vs.片眼ずつ

 両眼白内障の手術において、両眼同時手術と片眼ずつ手術では予後に違いはあるのか。米国・カイザーパーマネンテ北カリフォルニア研究部門のLisa J. Herrinton氏らによる後ろ向き研究の結果、両眼同時手術が、片眼ずつの手術と比較して術後の最高矯正視力(BCVA)不良や屈折異常、あるいは合併症リスクを増大させるとのエビデンスはないことが示された。Ophthalmology誌オンライン版2017年4月21日号掲載の報告。白内障の片眼ずつ手術群1万3,711例と両眼同時手術群3,561例を比較 研究グループは、(1)片眼ずつ手術を受けた両眼白内障患者において、1眼目の予後と2眼目の予後に差はない、(2)各患者の左右の眼を平均すると、両眼同時手術を受けた患者群と片眼ずつ手術を受けた患者群とで予後に差はない、という2つの仮説を検証した。 2013年1月1日~2015年6月30日に、両眼の白内障手術を受けたカイザーパーマネンテ北カリフォルニアの医療保険加入者を対象に、後ろ向きにBCVAおよび屈折異常について調査した。 統計解析はintention-to-treat解析とし、条件付きロジスティック回帰分析を用いて眼科医および患者レベルの要因を調整し、両眼同時手術群と片眼ずつ手術群を比較した。 白内障の手術において両眼同時群と片眼ずつ群を比較した主な結果は以下のとおり。・白内障手術の解析対象は、片眼ずつ手術群1万3,711例、両眼同時手術群3,561例であった。・眼の合併症は、片眼ずつ手術群でわずかに高頻度であった。・術後BCVAが20/20以上の割合は、片眼ずつ手術の1眼目で48%、2眼目で49%、両眼同時手術の右眼で53%、左眼で51%であった。・術後BCVAの個人内差は、片眼ずつ手術の1眼目と2眼目、ならびに、両眼同時手術の右眼と左眼とで、平均0.00であった。・調整後の平均術後BCVAは、片眼ずつ手術群より両眼同時手術群のほうが良好であったが、統計学的な有意差は認められなかった(BCVA20/20以上に対する20/20未満のオッズ比:0.91、95%信頼区間[CI]:0.83~1.01)。・正視眼(等価球面度数-0.5~0D)の患者の割合は、片眼ずつ手術の1眼目61%、2眼目61%、両眼同時手術の右眼で63%、左眼で63%であった。・補正後の平均術後屈折異常は、両群で違いはなかった(正視眼に対する屈折異常のオッズ比:1.02、95%CI:0.92~1.12)。・術後眼内炎は、両眼同時手術群1万494眼中1眼(発生頻度1.0/1万眼)、片眼ずつ手術群3万8,736眼中2眼(同0.5/1万眼)(p=0.6)に発生したが、両眼眼内炎は認めなかった。

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ネガティブ試験の出版割合は低くない?/BMJ

 ポジティブな転帰の試験は、ネガティブな転帰の試験よりも初回投稿時の採択率は高い傾向があるが、投稿や出版期日までの出版の割合はネガティブ試験のほうが高く、試験期間を通じて研究段階バイアス(submission bias)や出版バイアス(publication bias)のエビデンスは認められないとの結果が、米国・グラクソ・スミスクライン社研究開発部のGary Evoniuk氏らの調査で示された。同氏らは、「出版率にのみ重点を置いた分析は、不成功に終わった出版に向けた取り組みを考慮していない」と指摘する。研究の成果は、BMJ誌2017年4月21日号に掲載された。2010年以降に実施された文献調査では、clinicaltrials.govや他の公的サイトに登録された試験の15~44%は医学誌に発表されていないという。統計学的に有意な転帰が得られなかった試験は出版の可能性が低く、出版された場合も試験終了から公表までの期間が長期に及ぶとされてきたが、今回の結果はこれらの知見とは相反するものであった。単一企業スポンサーの試験を転帰別に検討 研究グループは、薬物研究の転帰が、査読(peer review)に基づく医学誌での出版に向けた投稿や採択の割合に影響を及ぼすかを検証した(GlaxoSmithKline社の助成による)。 単一企業スポンサー(GlaxoSmithKline社)がヒトを対象に実施し、2009年1月1日~2014年6月30日に終了して18ヵ月(2015年12月31日)以内に医学誌に投稿予定のすべての薬物研究の転帰別の出版状況を後ろ向きにレビューした。2014年6月30日以降に終了した試験であっても、2015年12月31日までに投稿された場合は、転帰にかかわらず解析に含めた。2016年2月26日の時点でのすべての試験の出版状況を調査した。 すべての試験は、出版状況の盲検下に、主要評価項目の転帰に基づきポジティブ(試験薬の転帰が好ましいと解釈される)、ネガティブ(好ましくないと解釈される)、混合(主要評価項目が2つ以上で、統計学的に有意差ありとなしの項目がある)、非比較(前3項目の基準を満たさない研究など)に分類された。ネガティブ試験には、主要評価項目は達成したが有害と判定された安全性試験も含まれた。転帰別投稿率:79 vs.92%、出版率:66 vs.77% 1,064件の試験(第I~IV相、介入研究、非介入研究)のうち、321件(30%)がポジティブ、155件(15%)がネガティブ、52件(5%)が混合、536件(50%)は非比較と判定された。 出版期日(2016年2月26日)の時点で、904件(85%)が完全原稿として投稿済みで、751件(71%)が出版されるか受理されており、100件(9%)は審査中であった。また、77件(7%)はカンファレンスの抄録として公開されており、投稿率や出版率の解析には含めなかった。 転帰別の投稿率は、ポジティブ試験が79%、ネガティブ試験は92%であり(Fisher正確確率検定:p<0.001)、混合が94%、非比較は85%であった。出版期日時の出版率は、それぞれ66%、77%(p=0.019)、77%、71%だった。また、全体の試験終了から投稿までの期間中央値は537日(IQR:396~638)、出版までの期間中央値は823日(650~1,063)であり、ポジティブ試験よりもネガティブ試験がそれぞれ31日(504 vs.535日)、102日(774 vs.876日)長かった。 初回投稿時の採択率は、ポジティブ試験が56%、ネガティブ試験は48%であった(p=0.17)。全体の10%以上の試験が、出版に至るまでに3回以上の投稿を要した。解析時に、83件(8%)が未投稿であり、そのうち49件がポジティブな生物学的同等性試験、33件は非比較試験であった。 米国食品医薬品局改正法(FDAAA)でclinicaltrials.govへの登録が要件となるすべての試験を含むほとんどの試験(98%、1,041/1,064件)は、その結果が1つ以上の公的な登録機関に掲載されていた。 著者は、「出版率に関するこれまでの議論は、スポンサーの投稿や医学誌の不採択の割合を把握していないため、研究結果の出版に向けたスポンサーの取り組みを実質的に過小評価している可能性があり、ネガティブな転帰の試験における研究段階バイアスや出版バイアスは一般に想定されるほどには広まっていないのではないか」と指摘し、「完全な透明性に関わる諸問題や障壁のよりよい理解に寄与するために、他のスポンサーや編集者に働きかけて、投稿規定や採択基準などの情報の共有に努めたい」としている。

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うつ病患者、入浴がうつ症状を軽減

 うつ病治療は進歩しているにもかかわらず、3分の1のうつ病患者は、従来の抗うつ薬では対応できていない。副作用の少ない、より効果的な治療が求められている。ドイツ・フライブルク大学のJohannes Naumann氏らは、うつ病性障害を有する成人において温熱浴がうつ症状を軽減するかを検討した。BMC complementary and alternative medicine誌2017年3月28日号の報告。うつ病患者において温熱浴が一般的に有用であることが示唆された ランダム化2アームプラセボ対照8週間のパイロット試験として実施した。ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)17項目版のスコア18点以上の中等度のうつ病であった安定したうつ病性障害(ICD-10:F32、F33)の外来患者を対象に、週2回の温熱浴(40℃)群またはグリーンライトによる偽介入群に無作為に割り付け、4週間介入を行った後、さらに4週間フォローアップを行った。主要アウトカム指標は、ベースライン(T0)から2週間時点(T1)までのHAM-D総スコアの変化量とした。 うつ病患者の温熱浴効果の主な結果は以下のとおり。・うつ病患者36例が、温熱浴群17例、偽介入群19例に無作為に割り付けられた。・intention-to-treat分析では、T1における温熱浴群(温熱浴4回実施後)は、偽介入群と比較し、HAM-D総スコア3.14点の有意な差が認められた(p=0.037)。 著者らは「本パイロット試験で、温熱浴がうつ病患者において一般的に有用であることが示唆された」としている。

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抗うつ薬治療により誘発される躁病、リスクプロファイルは男女間で異なる

 抗うつ薬治療により誘発される躁病(antidepressant treatment-emergent mania:ATEM)を発症する男女の有病率および臨床プロファイルを、英国・ニューカッスル大学のJ Scott氏らが調査を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌2017年5月号の報告。 双極性障害患者754例の元サンプルから、厳密な基準を満たしたATEM症例75例とATEM対照群135例を抽出した。ATEM症例の男女を最もよく分類した臨床学的因子の組み合わせを特異的に検討した。主な結果は以下のとおり。・ATEM症例として分類された75例において、ATEMイベントの85%は、抗うつ薬単独療法中に発現した。・回帰分析では、男性の73%において、アルコールと物質使用障害の両方または一方(オッズ比[OR]:6.37)、1回以上の自殺企図歴(OR:4.19)、1年当たりのうつ病エピソード数の多さ(OR:1.71)が分類された。・対照的に、女性の84%は、甲状腺疾患の有病歴(OR:3.23)、双極I型障害の家族歴(OR:2.68)、極性発症抑うつ症状(OR:2.01)に基づいて分類された。 著者らは「ATEM状態の厳密な定義を使用し、偽陽性症例と偽陰性対照の包含の可能性を減少させることにより、ATEM症例のリスクプロファイルが性別により異なることを初めて確認した」としている。関連医療ニュース 双極性うつ病に対するドパミン作動薬の効果は 双極性障害に対する抗うつ薬使用の現状は うつ病、男女間で異なる特徴とは

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低LDL-Cが認知症リスクを低減する可能性/BMJ

 PCSK9遺伝子およびHMGCR(HMG-CoA reductase)遺伝子のバリアントに起因するLDLコレステロール(LDL-C)の低下は、認知症やパーキンソン病の発症リスクを増加させず、LDL-C値の低下によりアルツハイマー型認知症のリスクが低減する可能性があることが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMarianne Benn氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年4月24日号に掲載された。コレステロールは脳のニューロンを取り囲むミエリンの主成分であるため、低LDL-C値はアルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの神経疾患のリスクを増大させる可能性が指摘されている。11万例以上のメンデル無作為化試験 本研究は、LDL-Cの代謝および生合成に関与する遺伝子(それぞれ、PCSK9遺伝子、HMGCR遺伝子)の遺伝的変異に起因するLDL-C値の低下が、一般人口におけるアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、全認知症およびパーキンソン病のリスクを高めるとの仮説を検証するメンデル無作為化試験である(Danish Council for Independent Researchなどの助成による)。 デンマークの一般人口を対象とした類似する2つの前向き試験(Copenhagen General Population Study:9万9,993例、Copenhagen City Heart Study:1万1,201例)の参加者11万1,194例について解析を行った。 全体の年齢中央値は56歳(IQR:46~66)、55%(6万1,310例)が女性であった。LDL-C値別の内訳は、<1.8mmol/L(≒69.66mg/dL)が3.7%(4,087例)、1.8~2.59mmol/L(≒69.66~100.233mg/dL)が18%(2万0,335例)、2.6~3.99mmol/L(≒100.62~154.413mg/dL)が52%(5万7,847例)、≧4.0mmol/L(≒154.8mg/dL)は26%(2万8,925例)であった。1mmol/L低下による発症リスクへの影響はない 観察的な解析では、フォローアップ期間中央値8.2年における<1.8mmol/Lの集団の≧4.0mmol/Lの集団に対するパーキンソン病の多因子で補正したハザード比(HR)は1.70(95%信頼区間[CI]:1.03~2.79、傾向検定:p=0.01)と有意であったのに対し、アルツハイマー型認知症(0.93、0.62~1.40、p=0.35)、脳血管性認知症(0.46、0.15~1.48、p=0.56)、全認知症(1.04、0.79~1.38、p=0.18)には有意な差を認めなかった。 PCSK9遺伝子とHMGCR遺伝子のバリアントを統合すると、LDL-C値が9.3%低下した(傾向検定:p<0.001)。 また、年齢、性別、出生年で補正した遺伝的な因果分析では、LDL-C値が1mmol/L(≒38.7mg/dL)低下した場合のリスク比は、アルツハイマー型認知症が0.57(95%CI:0.27~1.17、p=0.13)、脳血管性認知症が0.81(0.34~1.89、p=0.62)、全認知症が0.66(0.34~1.26、p=0.20)、パーキンソン病は1.02(0.26~4.00、p=0.97)であり、いずれもLDL-C値低下による発症リスクへの影響はみられなかった。 Egger Mendelian randomisation(MR Egger)解析を用いたInternational Genomics of Alzheimer’s Project(IGAP)の要約データでは、LDL-C値の1mmol/Lの低下による、PCSK9遺伝子とHMGCR遺伝子の26のバリアントを統合した場合のアルツハイマー型認知症のリスク比は0.24(95%CI:0.02~2.79、p=0.26)と有意な差はなかったが、低LDL-C値に関連する380の遺伝的バリアントのMR Egger解析によるリスク比は0.64(0.52~0.79、p<0.001)であり、低LDL-C値はアルツハイマー型認知症のリスクの抑制において因果効果を持つ可能性が示唆された。 著者は、「進行中のPCSK9阻害薬の無作為化臨床介入試験に加えて、今回のわれわれの研究よりも統計学的検出力を高めたメンデル無作為化試験を行う必要がある」と指摘している。

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確定診断までの平均期間は13.8年

 2017年5月9日、シャイアー・ジャパン株式会社は都内において、5月16日の「遺伝性血管性浮腫 啓発の日」を前に、「腫れやむくみ、腹痛を繰り返す難病の実態」と題したプレスセミナーを開催した。 セミナーでは、本症の概要解説のほか、同社が開設した情報サイト(医療従事者向け、患者・家族・一般向け)の紹介などが行われた。なお、遺伝性血管性浮腫は指定難病(原発性免疫不全症候群に含まれる)に指定されており、患者は公的補助を受けることができる。遺伝性血管性浮腫の概要 セミナーでは秀 道広氏(広島大学 医歯薬保健学研究科 皮膚科学 教授)が、「遺伝性血管性浮腫(HAE)の具体的症例と治療の現状」と題して概要を解説した。 HAEは、第11染色体長腕のヘテロ欠損または変異によりC1エステラーゼ阻害因子(C1-INH)が低下し、ブラジキニンが亢進することで起きる血管浮腫とされている。患者は、欧米の統計では約5万人に1人とされ(人種差はない)、わが国では約450例が確認されている希少疾病である。 症状として、浮腫が発作的に皮膚、気道、腸管などに生じる(歯科診療や手術が原因のことも多い)。これらに痒みはなく、数日で自然に消退する。顔面、とくに口唇、眼瞼に好発し、咽頭や声帯に生じた場合、呼吸困難を呈することがあり、挿管などの処置が必要となる。また、腸管などに生じた場合は、重度の腹痛や下痢を伴い、急性腹症との鑑別が必要となる。 診断では、「遺伝性血管性浮腫(HAE)ガイドライン 2010(改訂2014年版)」(日本補体学会作成)があり、HAEを疑う症候やC4補体のスクリーニング検査、家族歴の問診などで診断する。実際、アレルギー発作の治療で使用するアドレナリンやステロイドなどが無効のため、鑑別は重要だという。 治療では、急性の発作時や予防治療に乾燥濃縮人C1インアクチベーター製剤(商品名:ベリナートP静注)が使用される。また、このほかにも現在icatibant(国内申請中)やC1エステラーゼ阻害薬などの臨床治験が進められている。発作から気道閉塞まで平均8.3時間 診断もでき、治療法もある本症の問題は、医療従事者の間でもなかなか覚知されていない点にあるという。 疾患についての医師の認知度アンケートによれば、皮膚科(約9割)、血液内科(約6割)、小児科(約5割)、歯科口腔外科、呼吸器内科、救命救急科(いずれも約4割)と、皮膚科を除いてあまり知られていない。そのため、初発症状出現から確定診断までの平均期間は13.8年という報告もある1)。また、患者が咽頭浮腫を起こした場合、浮腫が最大に達するまでの平均時間は8.3時間(最短では20分)という報告もある2)ことから、万が一の気道閉塞も考えて、臨床現場では見逃してはいけない疾患であると秀氏は訴える。 最後に秀氏は、「本症は希少疾病ではあるが、医学的に確立しつつある疾患であり、今後、新しい治療薬の開発・臨床試験が行われようとしている。問題は、いかに広く本症が認知され、使うことができる治療法が患者へとつながるかにある」と述べ、レクチャーを終えた。(ケアネット 稲川 進)関連サイト「腫れ・腹痛ナビPRO」(医療従事者向け)「腫れ・腹痛ナビ」(患者、家族、一般向け)参考サイトNPO法人 血管性浮腫情報センター(CREATE)一般社団法人 日本補体学会HAEサイト

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統合失調症の短期治療、2つのLAIでみられる違い

 統合失調症に対するアリピプラゾール月1回投与(AOM)とパリペリドンパルミチン酸エステル(PP)の相対的な有効性および忍容性を比較するため、韓国・カトリック大学校のChi-Un Pae氏らが検討を行った。International clinical psychopharmacology誌オンライン版2017年4月20日号の報告。 AOMおよびPPを使用した短期プラセボ対照ランダム化研究を、広範なデータベースより検索した。2つの長時間作用型抗精神病薬注射剤(LAIA)の間接的な治療比較を行った。有効性の主要エンドポイントは、LAIAとプラセボのPANSS総スコアの平均変化量とした。エフェクトサイズは、2つのLAIA間の有効性の主要エンドポイントと安全性、忍容性についての平均差、オッズ比(OR)、95%CIとした。 主な結果は以下のとおり。・有効性の主要エンドポイントにおける平均差は有意に異なっており、PPよりもAOMで良好であった(OR:-6.4、95%CI:-11.402~-1.358)。感度分析と非劣性テスト(AOM vs.PP)が主要な結果であることを確認した。・全体の早期脱落率は、両群間で有意な差は認められなかった(OR:1.223、95%CI:0.737~2.03)。・しかし、有効性の欠如による早期脱落率について、PPよりもAOMで有意に良好であった(OR:0.394、95%CI:0.185~0.841)。 著者らは「本分析には限界があるものの、統合失調症の短期治療において、PPよりもAOMに相対的な利点があることが示唆された」としている。関連医療ニュース 急性期統合失調症に対するアリピプラゾール持効性注射剤の効果を解析 統合失調症に対する短期治療、アリピプラゾール vs.リスペリドン 2つの抗精神病薬持効性注射剤、その違いを分析

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染色体不安定性、NSCLC再発・死亡リスクを増大/NEJM

 染色体不安定性(chromosome instability)を介して誘導される腫瘍内不均一性(intratumor heterogeneity)は、非小細胞肺がん(NSCLC)の再発や死亡のリスクを高めることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMariam Jamal-Hanjani氏らTRACERxコンソーシアムの検討で示された。この知見は、肺がんの予後予測因子としての染色体不安定性の可能性を支持するものだという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年4月26日号に掲載された。NSCLCの腫瘍内不均一性やゲノム進化(genome evolution)の詳細な探索については、小規模な後ろ向きコホート研究しか行われておらず、治療戦略の指針となる腫瘍内不均一性の臨床的重要性や、ドライバー・イベントのクローン性は不明とされている。100例の327の腫瘍領域をシーケンシング 本研究は、早期NSCLCにおける腫瘍内不均一性と臨床転帰の関連を調査し、ドライバー・イベントのクローン性およびゲノム進化の過程の解明を目的とする前向きコホート試験である(Cancer Research UKなどの助成による)。患者登録は2014年4月に開始され、最終的に842例の登録を目標としており、今回は100例の解析結果が報告された。 全身療法を受けていない早期NSCLC患者100例(Stage IA~IIIA)から切除された検体を用いて、多領域全エクソームシーケンシングを行った。腫瘍の進化の過程を明らかにし、クローン(すべてのがん細胞に発現)およびサブクローン(一部のがん細胞に発現)のイベントを調査し、腫瘍内不均一性と無再発生存の関連を評価するために、327の腫瘍領域のシーケンシングを行い解析した。 腫瘍内不均一性については、変異(mutation、一塩基置換/ジヌクレオチド塩基置換、小挿入・欠失)または体細胞性コピー数変化(somatic copy-number alteration、染色体セグメントの獲得または喪失を反映)の評価を行った。コピー数不均一性の増加で再発・死亡リスクが上昇 対象の内訳は、男性が62例、女性が38例で、喫煙者が40例、元喫煙者が48例、非喫煙者が12例であり、組織型は腺がんが61例、扁平上皮がんが32例、その他が7例であった。 変異、体細胞性コピー数変化の双方で、広範な腫瘍内不均一性が観察され、サブクローンとして同定された体細胞変異の中央値は30%(範囲:0.5~93)、サブクローンとして同定された体細胞性コピー数変化の中央値は48%(範囲:0.3~88)であった。これは、腫瘍の発育過程で、変異および染色体レベルでのゲノム不安定性が進行していることを示唆する。 EGFR、MET、BRAF、TP53遺伝子のドライバー変異は、ゲノム重複(genome duplication)の発現前も、ほぼ常にクローン性であり、発がんへの関与が示唆された。一方、進化の後期に発現する不均一性ドライバー変化が腫瘍の75%以上に認められ、この変化はPIK3CA遺伝子やNF1遺伝子のほか、クロマチン修飾やDNA損傷応答・修復に関与する遺伝子に一般的にみられた。 ゲノム倍化(genome doubling)および進行する動的染色体不安定性は、腫瘍内不均一性と関連し、結果としてCDK4、FOXA1、BCL11A遺伝子の増幅を含む体細胞性コピー数のドライバー変化の平行進化(parallel evolution)が認められた。 また、変異の割合の増加は再発および死亡のリスク上昇と関連しなかったが、コピー数不均一性が増加すると再発および死亡のリスクが有意に上昇し(ハザード比[HR]:4.9、p=4.4×10-4)、多変量解析を行っても有意な差が保持されていた(HR:3.70、p=0.01)。 著者は、「現在進められている単一の遺伝子変異を標的とする取り組みに加え、同時に多数の遺伝子のコピー数を変化させる可能性のある染色体不安定性をよりよく理解する必要があり、このプロセスを抑制する治療は、無再発生存の低下を促進する不均一性や、腫瘍の進化を防止する可能性がある」としている。

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アプレミラスト、156週以上投与の安全性を確認

 中等症~重症の尋常性乾癬および関節症性乾癬に対する経口PDE4阻害薬アプレミラスト(商品名:オテズラ)は、156週以上の長期投与においても安全性プロファイルは良好であり、忍容性も概して良好であることが示された。米国・Bakersfield DermatologyのJeffrey Crowley氏らが、アプレミラストの有効性および安全性を検証する海外第III相無作為化比較試験のESTEEM-1および2のプール解析を行い明らかにした。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年4月14日号掲載の報告。 研究グループは、アプレミラストのESTEEM-1および2の長期継続試験から、0~156週以上の投与における安全性について解析した。 解析対象は、アプレミラスト30mg1日2回を0~156週以上投与の1,184例であった(曝露量1,902.2患者年)。 主な結果は以下のとおり。・0~52週における発現率5%以上の主な有害事象は、下痢、悪心、上気道感染症、鼻咽腔炎、緊張性頭痛および頭痛であった。・0~156週以上において、新しい有害事象(発現率5%以上)は報告されなかった。・有害事象、重篤な有害事象、および有害事象による投与中止の頻度は、長期投与で増加しなかった。・0~156週以上において、0~52週と比較し、主要心イベント(曝露期間で調整した発現率[EAIR]:0.5/100患者年)、悪性腫瘍(EAIR:1.2/100患者年)、うつ病(EAIR:1.8/100患者年)、および自殺企図(EAIR:0.1/100患者年)の増加は認められなかった。・重篤な日和見感染、結核の再活性化または臨床的に意味がある臨床検査異常は報告されなかった。・本試験は脱落率が高かったが(156週以上投与された患者1,184例中249例[21%])、ほとんどは安全性の問題とは関連がなかった。

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冠動脈カルシウムが認知症に関連

 米国の疫学研究であるMESA(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)で、ベースライン時の冠動脈カルシウム(CAC)スコアが高いと、血管性危険因子、アポリポ蛋白E(APOE)-ε4、脳卒中発症に関係なく認知症リスクが有意に高かったことを、滋賀医科大学の藤吉 朗氏らが報告した。この結果は、血管損傷が認知症発症に関与するという仮説と一致する。Circulation: Cardiovascular Imaging誌2017年5月号に掲載。 著者らは、ベースライン時(2000~02年)に45~84歳で心血管疾患および著しい認知障害のなかった6,293人を調査した。認知症の同定には、入院および死亡証明書の「疾病および関連保健問題の国際統計分類」コードを用いた。また、Coxモデルを用いて、CAC分類またはlog2(CAC+1)の1SD当たりのハザード比を、一時的な脳卒中/心血管疾患を除外する/しないの両方において、血管性危険因子、APOE-ε4を調整して算出した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値12.2年の間に271例が認知症を発症した。・ベースライン時のCACと認知症リスクの間に段階的関連性が認められた。・認知症リスクは、CACがない場合と比べ、CACスコア1~400で23%、401~1,000で35%、1,001以上で71%増加した(傾向のp=0.026)。・log2(CAC+1)が1SD高いと、認知症リスクが24%(95%信頼区間:8~41%、p=0.002)増加した。・この関連は、一時的な脳卒中/心血管疾患で部分的に説明されたが、イベント除外後も、ベースライン時の年齢に関係なく有意に関連していた。

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職業性ストレス対策、自身の気質認識がポイント:大阪市立大

 就労者の不眠症は、QOLを低下させ、健康管理費の経済的負担やワークパフォーマンスの損失を引き起こす。これまでの研究では、職業性ストレスと不眠症との関連は報告されていたが、労働安全衛生研究における気質には、あまり注目されていなかった。大阪市立大学の出口 裕彦氏らは、気質、職業性ストレス、不眠症との関連について検討を行った。PLOS ONE誌2017年4月13日号の報告。 対象は、日中勤務の日本の地方公務員133例。気質の評価には、Temperament Evaluation of Memphis, Pisa, Paris, and San Diego-Auto questionnaire(TEMPS-A)を用いた。職業性ストレスの評価には、Generic Job Stress Questionnaire(GJSQ)を用いた。不眠症の評価には、アテネ不眠尺度(AIS)を用いた。ステップワイズ多変量ロジスティック回帰分析を行った。主な結果は以下のとおり。・ステップワイズ多変量ロジスティック回帰分析において、「役割葛藤」(OR:5.29、95%CI:1.61~17.32)と不安気質スコア(OR:1.33、95%CI:1.19~1.49)により細分化された高ストレスグループは、不眠症の有症と関連していた(他の要因を除外し調整されたモデルを使用)。・調査の限界は、本研究はサンプルサイズが小さく、日本の地方公務員のみが対象であった点である。 著者らは「本検討により、就労者の不安気質、役割葛藤と不眠症との関連を明らかにした。自分自身の不安気質を認識することは、自己洞察につながる。不安気質の認識と、上司や同僚による役割葛藤の軽減が、職場における就労者の不眠症有症率を低下させるであろう」としている。関連医療ニュース 不眠症になりやすい食事の傾向 仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学 認知症になりやすい職業は

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新ALK阻害薬brigatinib、ALK陽性肺がんに承認:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年4月28日、クリゾチニブ無効あるいは不耐のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、brigatinibを迅速承認した。 承認はオープンラベル多施設共同比較試験ALTAの結果に基づいており、クリゾチニブで進行した局所進行または転移性ALK陽性NSCLC患者において、臨床的意義のある持続性の奏効率(ORR)を示した。 222例の患者が、brigatinib 90mg/日の7日間の導入後、90mg/日(n=112)または180mg/日(n=110)に無作為に割り付けられた。 独立審査委員会によるORRは、90mg群では48%(95%CI:39%~58%)、180mg群では53%(95%CI:43%~62%)であった。奏効期間中央値(DOR)は両群ともに13.8ヵ月であった。ベースラインで測定可能な脳転移を有する患者の頭蓋内ORRは、90mg群(n=26)では42%(95%CI:23%~63%)、180mg群(n=18)では67%(95%CI:41%~87%)であった。頭蓋内DOR中央値は、90mg群では推定できず、180mg群では5.6ヵ月であった。頭蓋内奏効患者においては、90mg群の78%、180mg群の68%の患者が、少なくとも4ヵ月間頭蓋内奏効を持続した。 安全性は219例の患者で評価され、brigatinib服用患者の一般的有害事象は、吐き気、下痢、疲労、咳、頭痛。頻度の高い重篤な有害事象は、肺炎および間質性肺炎であった。致死的な有害事象は3.7%で発生し、肺炎(2例)、突然死、呼吸困難、呼吸不全、肺塞栓症、細菌性髄膜炎および尿路性敗血症(各1例)であった。brigatinibの投与中止につながる有害事象は90mgの2.8%、180mgの8.2%で発現した。(ケアネット 細田 雅之)参考FDAリリースALTA試験(Clinical Trials.gov)

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冠動脈疾患発症および死亡の転帰に影響する独立危険因子としての体重変動(連続体重測定)の意義(解説:島田 俊夫 氏)-675

 過体重、肥満がさまざまな病気の危険因子になることはよく知られた事実である。しかし、その一方で肥満パラドックス1)に関する報告もあり、肥満が病気の発症、死亡に対して保護的に働く可能性を示唆する論文も散見されるが、最近では選択バイアスと交絡因子とで説明可能であるとの考えが主流である。また、健常人では体重変動が独立した心血管疾患危険因子になることはすでに報告されているが、これまでの対象とは異なり本研究においては心血管疾患を有し、LDLコレステロールが130mg/dL未満の患者を対象にしたTNT試験2,3)の事後解析に基づく臨床研究の成果として、NEJM誌2017年4月6日号に掲載された米国・ニューヨーク大学医学部Sripal Bangalore氏らの論文を取りあげコメントする。方法:アトルバスタチンを使った低比重リポタンパク(LDL)コレステロール低下の有効性と安全性を評価する新規標的治療(TNT)試験の事後解析が行われた。ベースライン時と追跡調査時に測定された体重から、個人内変動を計算した。主要エンドポイントは、全冠動脈イベント(冠動脈心疾患による死亡、非致死的心筋梗塞、心停止からの蘇生、血行再建、狭心症の複合)とし、副次的エンドポイントは、全心血管イベント(全冠動脈イベント、脳血管イベント、末梢血管疾患、心不全の複合)、死亡、心筋梗塞、脳卒中とした。結果:9,509例を対象として、危険因子、ベースライン脂質値、平均体重、体重変化で補正すると、体重変動(連続した変動測定値の平均とし、時間依存性の共変量として用いた)が1標準偏差(SD)増加するごとに、全冠動脈イベント(2,091件、ハザード比[HR]:1.04、95%信頼区間[CI]:1.01~1.07、p=0.01)、全心血管イベント(2,727件、HR:1.04、95%CI:1.02~1.07、p<0.001)、死亡(487件、HR:1.09、95%CI:1.07~1.12、p<0.001)のリスク上昇に関係していた。調整後モデルでは、体重変動の最高五分位群は、最低五分位群と比較して、冠動脈イベントのリスクが64%、心血管イベントのリスクが85%、死亡リスクが124%増加し、心筋梗塞リスクも117%、脳卒中リスクも136%、新規糖尿病リスクも78%、有意に増加した。コメント:本研究は冠動脈疾患を有する患者においても、これまでの危険因子と独立して、体重変動が大きくなると死亡率および心血管疾患イベントの発生率がさらに増加することを明らかにした。心血管疾患を有する場合にベースラインからの体重変動に大きな影響を与える恐れのある心不全に起因する体液貯留が体重変動にどれほど関与しているか気になるところであるが、今回の解析対象からNYHA class IIIおよびIVの心不全症例が前もって除外されているために体液貯留の関与は無視できると考えられた。体重変動をこれまでの冠動脈疾患や死亡の危険因子とは独立したリスクファクターとして受け止め、日常の体重測定の持つ意義を真摯に受け入れ、日々の体重測定を欠かさないよう生活の中での自己健康管理法の重点測定項目として心がけることが重要である。この論文は体重継続測定の臨床意義に新しい見方を加えた意義深い論文とみることもできるのではないか。参考文献1)Uretsky S, et al. Am J Med. 2007;120:863-70.2)LaRosa JC, et al. Am J Cardiol. 2007;100:747-52.3)Waters DD, et al. Am J Cardiol. 2004;93:154-158.

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トラコーマによる逆まつげ、術後予後の改善には?

 トラコーマ性睫毛乱生症(TT)の術後の好ましくない予後が、世界的なトラコーマ撲滅への努力を妨げているという。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のEsmael Habtamu氏らは、無作為化単盲検比較試験の二次データを用い、TTの最も頻度が高い2つの手術法(posterior lamellar tarsal rotation:PLTR、bilamellar tarsal rotation:BLTR)における、術後TT(PTT)、眼瞼輪郭異常(ECA)および肉芽腫の予測因子を解析した。その結果、TTにおける術後の予後不良は、不適切な周辺部切開、不規則な切開、非対称の縫合位置と減張、不十分な矯正および睫毛位置と関連していることを明らかにした。著者は、「これらに対処することでTT手術の予後が改善するだろう」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年4月21日号掲載の報告。 研究グループは、瞼板結膜瘢痕に関連して眼に睫毛が接触している、または抜去のエビデンスを有するTT患者1,000例を、BLTR群(501例)またはPLTR群(499例)に無作為に割り付け、手術を行った。 ベースラインの重症度、外科的切開、縫合および矯正について、手術中および手術直後にグレード分類した後、術後6ヵ月と12ヵ月時に、盲検化された担当者によって評価した。主要評価項目は、PTT、ECAおよび肉芽腫の予測因子であった。主な結果は以下のとおり。・データは992例(99.2%)の試験参加者(各群496例)で利用可能であった。・剪刀によるより多くの周辺部切開の実施が、PTTを予防する独立した因子であるという強いエビデンスが示された。PLTR群のオッズ比(OR):0.70(95%信頼区間[CI]:0.54~0.91、p=0.008)、BLTR群のOR:0.83(95%CI:0.72~0.96、p=0.01)。・ベースラインでの重症睫毛乱生症、睫毛位置の不規則さ、手術直後の中心部矯正不足は、両群においてPTTの予測因子であった。・PLTR群における周辺部睫毛(OR:5.91、95%CI:1.48~23.5、p=0.01)およびBLTR群における外側中心切開高≧4mm(OR:2.89、95%CI:1.55~5.41、p=0.001)は、それぞれPTTと関連していた。・PLTR群における>2mmの縫合間隔非対称(OR:3.18、95%CI:1.31~7.70、p=0.01)およびBLTR群におけるベースラインの結膜瘢痕(OR:1.72、95%CI:1.06~2.81、p=0.03)は、それぞれECAと関連していた。・高齢は、PLTR群(傾向のp<0.0001)およびBLTR群(傾向のp=0.03)において、それぞれECAと関連していた。・ECA発生率について、施術医間による大きなばらつきが認められた。ばらつきの範囲は、PLTR群が19.0~36.2%、BLTR群が6.1~28.7%にわたっていた。・PLTR術では、眼瞼の中心での不規則な後方層状切開(OR:6.72、95%CI:1.55~29.04、p=0.01)とECA(OR:3.08、95%CI:1.37~6.94、p=0.007)が肉芽腫形成に関与した。

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うつ病になりやすいのは、太っている人、痩せている人?

 ボディサイズや体重変化とうつ病との関連(とくに低体重)は、システマティックにサマライズされていない。韓国・ソウル大学校のSun Jae Jung氏らは、ボディサイズ、体重変化とうつ病との関連を調査するため、システマティックレビューとメタ解析を行った。The British journal of psychiatry誌オンライン版2017年4月20日号の報告。 183件の研究より、完全に調整されたハザード比(HR)またはオッズ比(OR)が抽出された。76件の研究より、ランダム効果モデルによるデータ合成を行い、潜在的なモデレーターの影響を評価するためサブグループ分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時に低体重の人は、その後のうつ病リスクが高かった(OR:1.16、95%CI:1.08~1.24)。・過体重の人(BMI:25~29.9kg/m2)は、うつ病との間に統計学的に有意な関連は認められなかったが、サブグループ分析では男性(OR:0.84、95%信頼区間[CI]:0.72~0.97)と女性(OR:1.16、95%CI:1.07~1.25)で性差が認められた。・横断的デザインでは、BMI 40kg/m2超は、30kg/m2超よりも統合ORが大きかった。 著者らは「低体重の人と肥満の人の両方でうつ病リスクが高い。また、肥満とうつ病との関連は、性別により異なる」としている。関連医療ニュース たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能 認知症になりやすい職業は 産後うつ病になりやすい女性の特徴:高知大

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ワルファリン服用者の骨は脆い?(解説:後藤 信哉 氏)-676

 ワルファリンは、ビタミンK依存性の凝固因子の機能的完成を阻害する抗凝固薬である。ワルファリン服用者にはビタミンKの摂取制限を指導する。ビタミンKは「ビタミン」であるため、摂取制限により「ビタミン」不足の症状が起こる場合がある。ビタミンKを必要とする生体反応として骨代謝は重要である。ワルファリンはビタミンK依存性の凝固蛋白の機能的完成を阻害して、血液凝固を阻害する。骨の石灰化に必須のオステオカルシンの活性化にもビタミンKが必要である。ビタミンK摂取制限、ワルファリンの服用により、出血以外に骨粗鬆症も懸念される。もともと高齢で骨が弱い症例が、ワルファリン治療の対象となる。臨床的仮説として「ワルファリンの服用者では非服用者よりも骨粗鬆症性骨折が増える」とするのは妥当である。 本研究は香港の無名化臨床データベースを用いた。ワルファリンとダビガトランの服用はランダム化されていない。リスク因子などをそろえるpropensity matchを行っているが、臨床医がワルファリンまたはダビガトランを選択した個別の理由があると考えると、リスク因子がそろってワルファリン群とダビガトラン群がランダムに割り付けられていないことが本研究の限界である。2年程度の観察にて、骨粗鬆症性骨折はダビガトラン群の1.0%、ワルファリン群の1.5%に起こった。ランダム化比較試験が示した年間3%以上の重篤な出血の半分以下ではあるが、ワルファリン使用例では骨折にも注意が必要である。 50年の経験を有するワルファリンの欠点を、臨床医は十分に理解している。心房細動症例に起こる心原性脳塞栓症は予防したい。しかし、抗凝固薬には欠点がある。ワルファリンの欠点のうち、一部はNOACsにより改善できた。しかし、重篤な出血を起こすNOACsは安心して長期服用できる薬ではない。ブームに乗ってNOACsの使用推奨をするよりも、NOACsの出血の問題を克服できる次世代の薬剤開発に、時間とエネルギーを割くべきである。 本研究では香港の無名化(annotated)臨床データを用いている。電子カルテから個人を特定できる情報をすべて抜き取って院内のサーバーに蓄積する。そのannotatedな臨床データを日本中から集めて解析すれば、日本のデータを使って多くのclinical questionに関する回答を不完全ながら得ることができる。これはアカデミアの研究というよりも、コンピューターによる自動化で可能な事務仕事といえるレベルでできる。オープンソースにして誰もが解析可能とすれば、日本の臨床研究の質を楽に、一気に引き上げることができる。法整備ができれば、電子カルテ業界は競ってpopulation scienceのデータ化を容易にできるシステムを作ると思う。多くの人が自分でデータベースを操作してみれば、臨床医も「エビデンス」の限界を直感できるであろう。技術的には十分可能と思うので、あとは国民のコンセンサスの問題である。

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