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高力価スタチンで糖尿病発症リスク2.6倍

 脂質降下薬が糖尿病発症に関連するかどうか調べるために、日本大学薬学部の大場 延浩氏らが、脂質異常症の日本人労働者約7万例を対象とした後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、糖尿病の臨床的危険因子の調整後も、スタチン使用により糖尿病発症リスクが1.9~2.6倍に増加したことが示された。BMJ open誌2017年6月30日号に掲載。 本研究は、大企業の日本人従業員とその扶養家族のうち、健康診断の臨床検査データから2005年1月1日~2011年3月31日に脂質異常症を発症した20~74歳が対象。脂質異常症の基準に当てはまった最初の日をindex dateと定義した。脂質降下薬を服用していた場合、またはindex date前6ヵ月間に糖尿病の診断や治療、糖尿病を示唆する検査結果(ヘモグロビンA1c≧6.5%もしくは空腹時血糖≧126mg/dL)が示されていた人は除外した。主要アウトカムは糖尿病の新規発症とした。 主な結果は以下のとおり。・脂質異常症6万8,620例が同定された。・平均追跡期間1.96年の間に、3,674例が脂質降下薬による治療を開始していた(低力価スタチン979例、高力価スタチン2,208例、フィブラート系薬487例)。・脂質降下薬の新規使用例3,674例のうち3,621例では、使用前にどの脂質降下薬も使用していない期間があった。・糖尿病の新規発症率は、スタチン非使用例の22.6例/1,000人年に対し、スタチン使用例では124.6例/1,000人年であった。・Cox比例ハザードモデルによる、交絡因子(健康診断での臨床データを含む)調整後のハザード比は、低力価スタチンで1.91(95%CI:1.38~2.64)、高力価スタチンで2.61(同:2.11~3.23)であった。

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第3世代ALK阻害薬lorlatinibの成績発表/ASCO2017

 lorlatinibは、強力な活性を持ち、中枢神経系(CNS)への良好な移行を示す次世代ALK-TKIである。また、ALK-TKI耐性変異に対する最も広いスペクトラムを有する。とくにクリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブなど、すべてのALK-TKIの耐性に関わるG1202R変異に対しても、唯一有効な薬剤である。米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)では、このlorlatinibの第I/II相試験の主要な結果について、University of California IrvineのSai-Hong Ignatius Ou氏が発表した。 同試験は、6つの拡大コホート(EXP1~6)で行われ、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)はEXP1~5で評価された(EXP6はROS1陽性)。第I相試験であるEXP1では、未治療患者において強固な臨床活性を示した。第II相試験は、EXP2~5で行われ、主要評価項目は、独立評価委員会(IRC)による客観的奏効率(ORR)と頭蓋内ORR(IC ORR)であった。 全体で199例の患者が登録され、有効性はEXP2~5の82例で、安全性は全患者で評価された。EXP2~6全体のORRは32.9%、病勢コントロール率(DCR)は56.1%であった。EXP2(前治療クリゾチニブの1ライン)のORRは57.1%、DCRは、71.4%であった。EXP3(前治療1ラインのALK-TKI:クリゾチニブ+化学療法またはクリゾチニブ以外のALK-TKI±化学療法)のORRは44.4%、DCRは61.1%であった(11.1%は奏効未決定)。EXP4(前治療2ラインのALK-TKI±化学療法)の25.0%、DCRは54.5%であった(13.6%は奏効未決定)。EXP5(前治療3ラインのALK-TKI±化学療法)のORRは30.8%、DCRは46.2%であった(23.1%は奏効未決定)。EXP4では80%以上、EXP5では90%以上の患者が化学療法を併用していた。また、ALK-TKI前治療の程度にかかわらず、ほとんどの患者で標的病変サイズが縮小した。8例ではPD後もlorlatinibの投与は継続され、最も長期にわたる患者は300日を超えている。頭蓋内病変は52例で評価され、IC ORRは48.1%、12週時のDCRは75.0%であった。標的病変のみのIC ORRは51.4%に達した。 全Gradeの治療関連有害事象(AE)発現率は、97.4%。Grade3/4のAEは46.6%の患者で発現した。AEによる投与遅延は29.3%、減量は19.8%、治療中止は4例(3.4%)、死亡例はなかった。発現頻度が高い項目は、高脂血症(89.7%)、高トリグリセライド血症(72.4%)で、これらは脂質低下薬でコントロール可能であった。 新たなALK-TKIであるlorlatinibは、重度な前治療歴のあるALK陽性NSCLCに対し臨床的に意義のある持続性の高い効果を示すとともに、頭蓋内病変に対しても高い効果を示した。この試験の結果から、lorlatinibは本年(2017年)4月26日、米国食品医薬品によるブレークスルー・セラピー指定を受けている。■参考http://meetinglibrary.asco.org/record/153943/abstract■関連記事次世代ALK/ROS1阻害剤lorlatinib、ALK陽性肺がんでFDAのブレークスルー・セラピー指定ASCO2016レポートDriver oncogeneに対する標的治療と耐性克服

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高齢者糖尿病診療ガイドライン2017発刊

 「高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会」による「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について」(2016年5月)を受け、2017年5月開催の第60回 日本糖尿病学会年次学術集会において、『高齢者糖尿病診療ガイドライン 2017』(編・著 日本老年医学会・日本糖尿病学会)が書籍として発刊された。高齢者糖尿病診療ガイドライン2017はCQ方式で15項目に分けて記載 『高齢者糖尿病診療ガイドライン 2017』はクリニカルクエスチョン(以下「CQ」)方式でまとめられ、CQ一覧を冒頭に示し、これに対する要約、本文、引用文献(必要により参考資料)のフォーマットで記されている。そして、可能な場合はエビデンスレベル(レベル1+および1~4)、推奨グレード(AおよびB)を付している。 『高齢者糖尿病診療ガイドライン 2017』の具体的な内容としては、I.高齢者糖尿病の背景・特徴、II.高齢者糖尿病の診断・病態、III.高齢者糖尿病の総合機能評価、IV.高齢者糖尿病の合併症評価、V.血糖コントロールと認知症、VI.血糖コントロールと身体機能低下、VII.高齢者糖尿病の血糖コントロール目標、VIII.高齢者糖尿病の食事療法、IX.高齢者糖尿病の運動療法、X.高齢者糖尿病の経口血糖降下薬治療とGLP-1受容体作動薬治療、XI.高齢者糖尿病のインスリン療法、XII.高齢者糖尿病の低血糖対策とシックデイ対策、XIII.高齢者糖尿病の高血圧、脂質異常症、XIV.介護施設入所者の糖尿病、XV.高齢者糖尿病の終末期ケア、と大きく15項目に分けて記載されている。時間がないときは高齢者糖尿病診療ガイドラインの要約だけでも通読 高齢者糖尿病患者に特有の身体的特徴などを踏まえて、『高齢者糖尿病診療ガイドライン 2017』では次のように示されている。たとえば「低血糖」について、「高齢者糖尿病の低血糖にはどのような特徴があるか?」のCQに対し、要約では「高齢者の低血糖は、自律神経症状である発汗、動悸、手のふるえなどの症状が減弱し、無自覚低血糖や重症低血糖を起こしやすい。低血糖の悪影響が出やすい」と端的に示されている。また、食事療法の「高齢者における食事のナトリウム制限(減塩)は有効か?」では、「高齢者においても減塩は血圧を改善する(推奨グレードA)」と記されており、運動療法の「高齢者糖尿病において運動療法は血糖コントロール、認知機能、ADL、うつやQOLの改善に有効か?」では、「高齢者糖尿病でも定期的な身体活動、歩行などの運動療法は、代謝異常の是正だけでなく、生命予後、ADLの維持、認知機能低下の抑制にも有効である(推奨グレードA)」と記載されている。 今後、さらに増えると予測される高齢者糖尿病患者の診療に、『高齢者糖尿病診療ガイドライン 2017』をお役立ていただきたい。

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高齢者にスタチンの1次予防効果はあるか~ALLHAT-LLT事後解析

 心血管疾患の1次予防としてスタチン治療が心血管疾患発症を減少させることが示唆されているが、全死亡率については知見が一致していない。また、75歳以上の高齢者に1次予防でのスタチン使用に関するエビデンスはほとんどない。今回、ALLHAT-LLTの事後解析の結果、中等症の高脂血症と高血圧症を有する高齢者での心血管疾患の1次予防として、プラバスタチンのベネフィットは認められず、また75歳以上では、有意ではないがプラバスタチン群で全死亡率が高い傾向があったことが報告された。JAMA internal medicine誌オンライン版2017年5月22日号に掲載。 本研究は、ALLHAT-LLT(Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial)のLipid-Lowering Trial(LLT)における、65~74歳と75歳以上に対する心血管疾患の1次予防のためのスタチン使用に関する研究で、アテローム性冠動脈疾患を有さなかった65歳以上の参加者について事後解析を実施した。ベースライン時にアテローム性冠動脈疾患を有さない高血圧症の外来患者2,867例について、プラバスタチン(40mg/日)群と通常治療群に分けて比較した。なお、ALLHAT-LLTは1994年2月~2002年3月に513施設で実施された。ALLHAT-LLTの主要アウトカムは全死亡率、副次アウトカムは原因別死亡率、非致死性心筋梗塞と致死的冠動脈疾患の複合(冠動脈疾患イベント)であった。 主な結果は以下のとおり。・プラバスタチン群は1,467例で、平均年齢(SD)は71.3(5.2)歳、女性が704例(48.0%)、通常治療群は1,400例で平均年齢は71.2(5.2)歳、女性が711例(50.8%)であった。・ベースライン時の平均LDLコレステロール値(SD)は、プラバスタチン群では147.7(19.8)mg/dL、通常治療群で147.6(19.4)mg/dLであり、6年後はプラバスタチン群で109.1(35.4)mg/dL、通常治療群で128.8(27.5)mg/dLであった。・6年後、プラバスタチン群で253例中42例(16.6%)が、また通常治療群で71.0%がどのスタチンも服用していなかった。・通常治療群に対するプラバスタチン群の全死亡のハザード比は、全体(65歳以上)で1.18(95%CI:0.97~1.42、p=0.09)、65~74歳で1.08(同:0.85~1.37、p=0.55)、75歳以上で1.34(同:0.98~1.84、p=0.07)であった。・冠動脈疾患の発症率については2群間で有意差はなかった。多変量回帰分析でも有意ではなく、治療群と年齢との間に有意な交互作用はなかった。

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スタチンによる筋肉痛はnocebo effect?(解説:興梠 貴英 氏)-682

 スタチンに限らず、副作用が出現しうることを知らされたために患者がその副作用ではないかと訴えることは日常よく経験するところである。この現象は古くから知られており、nocebo effectと名付けられているそうである。 さて、本論文はASCOT-LLAの二重盲検期間中とオープンラベル期間中の副作用報告率を比較して本当にnocebo effectがあったのかを調べたものである。 ASCOT-LLA試験の背景を解説すると、最初にASCOT-BPLAという2つの降圧薬レジメン(アテノロール+サイアザイド vs.アムロジピン+ペリンドプリル)間で心血管系イベント発生に違いがあるかを評価した試験が計画された。さらに、その被験者群の中で心血管系リスクは高いが血清LDL-コレステロールが高くない(6.5mmol/L以下)患者に対してスタチンの投与が心血管系イベントを抑制するかを評価する試験ASCOT-LLAが計画された。ASCOT-BPLAがPROBEデザインであったのに対して、ASCOT-LLAにおけるアトルバスタチンおよびプラセボ服用については二重盲検であった。結局、ASCOT-BPLA全体の1万9,342人中、基準を満たした1万0,305人がASCOT-LLAに割り当てられた(アトルバスタチン群5,168人、プラセボ群5,137人)。さらにASCOT-LLAではアトルバスタチン投与群において早期に有意に心血管系イベントを抑制することが示されたために、追跡期間中央値3.3年で早期終了となったのに対して、ASCOT-BPLAは計画よりは早まったものの追跡期間中央値5.5年まで継続した。この差の期間中はアトルバスタチンの服用がオープンラベルになり、本論文の解析の元データとなった。 データを解析した結果、二重盲検期間中のプラセボ、アトルバスタチンの筋肉関連副作用報告率はそれぞれ2.00%、2.03%とほぼ同じで有意差がなかったのに対し、オープンラベル期間ではアトルバスタチン非服用者で1.00%、アトルバスタチン服用者で1.26%で有意差がつく、という差が認められた。つまり、nocebo effectがあり、スタチンは実際には筋肉関連の副作用をあまり増やさないのではないか、ということが示された。一方でランダム割付試験における副作用報告は患者選択によって低く出る傾向がある、もしくは導入期間を設けることで不耐性の患者が最初から取り除かれている、という批判がされることがあるが、本論文では盲検期間とオープンラベル期間は同じ患者群であり、導入期間も設けられていないため、そうした批判は当たらない。ほかに勃起障害、不眠、認知機能に関する副作用の検討も行っているが、それらについてもアトルバスタチンによる悪影響を認めない、という結果であった。 本論文の結果はスタチンによる筋肉関連副作用はその多くがnocebo effectによるものかもしれないということを客観的に示した点で興味深いが、ASCOTがAnglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trialの頭文字から成り立っていることから分かるように、これが日本人にも当てはまるかどうかは確実なことは言えず、またわが国では患者が筋肉関連の副作用を訴えたときにはCPKを測定して実際の筋肉障害の有無も確認しつつ中止するかどうかを決めることになるのではないだろうか。本論文でもCPKに関する報告があればより興味深い結果が得られたかもしれない。

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脳卒中リスク因子の年齢別パターン

 脳卒中の血管リスク因子について、ユトレヒト大学のAllard J. Hauer氏らが脳卒中サブタイプ別・年齢別に調査した結果、主な心血管リスク因子を有する割合の年齢別パターンがサブタイプにより異なることが示された。Journal of the American Heart Association誌2017年5月8日号に掲載。 本研究は、多施設共同の大学病院ベースでのコホート4,033例における研究である。大動脈アテローム性動脈硬化症または小血管疾患または心原性による虚血性脳卒中患者、自然発症脳出血患者、動脈瘤性くも膜下出血患者(計5サブタイプ)が有していた血管リスク因子(男性、非白人、肥満、高血圧症、高脂血症、糖尿病、喫煙、家族歴)を調査し、55歳未満、55~65歳、65~75歳、75歳以上の4群で各リスク因子を有する患者の割合を計算した。また基準年齢群(虚血性脳卒中および脳出血では65~75歳、動脈瘤性くも膜下出血では55~65歳)と比較した平均差と95%CIを計算した。 主な結果は以下のとおり。・55歳未満の患者は、非白人が有意に多く(とくに自然発症脳出血および動脈瘤性くも膜下出血患者)、喫煙頻度が最も高かった(動脈瘤性くも膜下出血患者で最も顕著)。・55歳未満の大動脈アテローム性動脈硬化症または小血管疾患による虚血性脳卒中患者は、心原性の虚血性脳卒中患者よりも、高血圧症、高脂血症、糖尿病の頻度が高かった。・全体として、高血圧症、高脂血症、糖尿病の頻度は、すべての脳卒中サブタイプで年齢とともに増加したが、喫煙は年齢とともに減少した。・年齢にかかわらず、大動脈アテローム性動脈硬化症/小血管疾患による虚血性脳卒中患者で、修正可能なリスク因子の累積が最も顕著であった。

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evacetrapib、早期中止の第III相試験の結果/NEJM

 ハイリスク血管疾患の患者に対するコレステリルエステル転送蛋白(CETP)阻害薬evacetrapibの投与は、プラセボ投与と比較して、LDLコレステロール値を低下しHDLコレステロール値を上昇させるという従来確認されている脂質バイオマーカーの変化は見られたが、心血管イベント発生の低下は認められなかった。米国・クリーブランドクリニックのA. Michael Lincoff氏らによる、約1万2,000例を対象とした第III相・多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、示された。evacetrapibについては第II相試験で、ベースラインからLDLコレステロール値を35%低下、HDLコレステロール値を130%上昇させた効果が確認されていた。NEJM誌2017年5月18日号掲載の報告。 evacetrapib 130mg vs.プラセボで心血管イベント発生率を比較を比較 研究グループは、evacetrapibがプラセボと比較して、心血管系の原因による死亡や疾患リスクを低下するとの仮説を検証するため、30~365日以内に発症した急性冠症候群、脳血管アテローム性動脈硬化疾患、末梢動脈疾患、冠動脈疾患を伴う糖尿病のうち1つ以上を持つ患者1万2,092例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはevacetrapib130mg/日を、もう一方にはプラセボを、標準薬物療法に加えてそれぞれ投与した。 有効性の主要エンドポイントは、心血管系の原因による死亡、心筋梗塞、脳卒中、冠血行再建、不安定狭心症による入院のいずれかの初回発生だった。主要評価項目の発生率は両群ともに約13%と同等 試験開始3ヵ月時点で、平均LDLコレステロール値は、プラセボ群で6.0%上昇したのに対し、evacetrapib群では31.1%低下した。また、平均HDLコレステロール値は、プラセボ群で1.6%上昇したのに対し、evacetrapib群では133.2%上昇した。 一方、主要エンドポイントについては、事前に設定していた発生件数は1,670件だったが、1,363件が発生した時点でデータ・安全性監視委員会によってevacetrapibの有効性が欠如していると判断され、試験の早期中止が勧告された。 中央値26ヵ月時点における主要エンドポイントの発生率は、プラセボ群12.8%、evacetrapib群12.9%と、両群で有意差は認められなかった(ハザード比:1.01、95%信頼区間:0.91~1.11、p=0.91)。

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低LDL-Cが認知症リスクを低減する可能性/BMJ

 PCSK9遺伝子およびHMGCR(HMG-CoA reductase)遺伝子のバリアントに起因するLDLコレステロール(LDL-C)の低下は、認知症やパーキンソン病の発症リスクを増加させず、LDL-C値の低下によりアルツハイマー型認知症のリスクが低減する可能性があることが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMarianne Benn氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年4月24日号に掲載された。コレステロールは脳のニューロンを取り囲むミエリンの主成分であるため、低LDL-C値はアルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの神経疾患のリスクを増大させる可能性が指摘されている。11万例以上のメンデル無作為化試験 本研究は、LDL-Cの代謝および生合成に関与する遺伝子(それぞれ、PCSK9遺伝子、HMGCR遺伝子)の遺伝的変異に起因するLDL-C値の低下が、一般人口におけるアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、全認知症およびパーキンソン病のリスクを高めるとの仮説を検証するメンデル無作為化試験である(Danish Council for Independent Researchなどの助成による)。 デンマークの一般人口を対象とした類似する2つの前向き試験(Copenhagen General Population Study:9万9,993例、Copenhagen City Heart Study:1万1,201例)の参加者11万1,194例について解析を行った。 全体の年齢中央値は56歳(IQR:46~66)、55%(6万1,310例)が女性であった。LDL-C値別の内訳は、<1.8mmol/L(≒69.66mg/dL)が3.7%(4,087例)、1.8~2.59mmol/L(≒69.66~100.233mg/dL)が18%(2万0,335例)、2.6~3.99mmol/L(≒100.62~154.413mg/dL)が52%(5万7,847例)、≧4.0mmol/L(≒154.8mg/dL)は26%(2万8,925例)であった。1mmol/L低下による発症リスクへの影響はない 観察的な解析では、フォローアップ期間中央値8.2年における<1.8mmol/Lの集団の≧4.0mmol/Lの集団に対するパーキンソン病の多因子で補正したハザード比(HR)は1.70(95%信頼区間[CI]:1.03~2.79、傾向検定:p=0.01)と有意であったのに対し、アルツハイマー型認知症(0.93、0.62~1.40、p=0.35)、脳血管性認知症(0.46、0.15~1.48、p=0.56)、全認知症(1.04、0.79~1.38、p=0.18)には有意な差を認めなかった。 PCSK9遺伝子とHMGCR遺伝子のバリアントを統合すると、LDL-C値が9.3%低下した(傾向検定:p<0.001)。 また、年齢、性別、出生年で補正した遺伝的な因果分析では、LDL-C値が1mmol/L(≒38.7mg/dL)低下した場合のリスク比は、アルツハイマー型認知症が0.57(95%CI:0.27~1.17、p=0.13)、脳血管性認知症が0.81(0.34~1.89、p=0.62)、全認知症が0.66(0.34~1.26、p=0.20)、パーキンソン病は1.02(0.26~4.00、p=0.97)であり、いずれもLDL-C値低下による発症リスクへの影響はみられなかった。 Egger Mendelian randomisation(MR Egger)解析を用いたInternational Genomics of Alzheimer’s Project(IGAP)の要約データでは、LDL-C値の1mmol/Lの低下による、PCSK9遺伝子とHMGCR遺伝子の26のバリアントを統合した場合のアルツハイマー型認知症のリスク比は0.24(95%CI:0.02~2.79、p=0.26)と有意な差はなかったが、低LDL-C値に関連する380の遺伝的バリアントのMR Egger解析によるリスク比は0.64(0.52~0.79、p<0.001)であり、低LDL-C値はアルツハイマー型認知症のリスクの抑制において因果効果を持つ可能性が示唆された。 著者は、「進行中のPCSK9阻害薬の無作為化臨床介入試験に加えて、今回のわれわれの研究よりも統計学的検出力を高めたメンデル無作為化試験を行う必要がある」と指摘している。

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164)「プラーク」って何ですか?【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者先生、この間の超音波検査でプラークがあるっていわれたんですけど…プラークって何ですか?医師歯垢のことをプラークっていいますよね。患者プラークっていいますね。医師あれは、食べかすじゃなくて、虫歯菌や歯周病菌も含まれているんですよ。患者それじゃ、この間の検査のプラークは?医師あれは、血管壁にできたコレステロールの塊で、動脈硬化のことなんです。プラークの元々の意味は「壁飾り」という意味だそうです。患者へぇー、そうなんですか。医師それで、プラークがある血管では、血管に傷がついたりして、血栓ができて、心筋梗塞や脳梗塞になるんです。患者そうなるのをどうやって予防したらいいですか?(予防の話に展開)●ポイントプラークの説明をしながら、動脈硬化予防の話につなげます

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163)海外旅行のお土産に気を付けろ!【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者先生、最近話題の「トランス脂肪酸」って、どんなものですか?医師今話題の脂肪酸だね。悪玉コレステロール(LDL-C)を増加させ、善玉コレステロール(HDL-C)を減少させるといわれています。患者そうなんですか。医師その結果、狭心症や心筋梗塞などのリスクが高まるともいわれています。患者どんなものに含まれているんですか?医師ケーキやビスケットなどで使われているショートニング、マーガリン、パイなどに含まれていますが、国内では食品メーカーの企業努力で、トランス脂肪酸の含有量はかなり減っています。食品の栄養成分表示に「トランス脂肪酸」と書いてあることがありますので確認してみてください。患者はい。ほかに気を付けたほうがいいのは何ですか?医師海外旅行のお土産のチョコやクッキーですね。トランス脂肪酸が多いものもあります。“Trans Fat”と書いてあるので、チェックをお願いします。患者はい、わかりました。●ポイント海外旅行のお土産を話題に、トランス脂肪酸について説明を行います1)Uneyama C, et al. Shokuhin Eiseigaku Zasshi. 2016;57:179-186.2)Wada Y, et al. J Mass Spectrom. 2017;52:139-143.

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発症メカニズムから考える乾癬の治療戦略

 2017年4月10日、メディアセミナー「乾癬治療における生物学的製剤の最新エビデンスと今後の展望~乾癬の発症機序から考える最新治療戦略~」が開催された(主催:アッヴィ合同会社)。本セミナーでは、演者である佐藤 伸一氏(東京大学大学院 医学系研究科 皮膚科学 教授)が、「乾癬治療における生物学的製剤治療の意義」と題した講演を行った。 乾癬は、赤い発疹である「紅斑」、皮膚が盛り上がる「浸潤」、銀白色のカサブタのような「鱗屑」や皮膚がはがれ落ちる「落屑」を特徴とする疾患で、慢性・再発性の炎症性角化症として知られている。乾癬への罹患は、がん、高血圧、心筋梗塞などよりも患者の生活の質(QOL)を低下させるとの報告もあり1)、乾癬の治療法選択においては、疾患の重症度を改善させるだけでなく、患者のQOLを考慮することも重要となる。乾癬は皮膚だけの病気ではない 乾癬は、皮膚症状以外にも何らかの疾患を併発することが多く、発症頻度の高い併存疾患としては、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、糖尿病などが挙げられる。『世界乾癬レポート2016』には、乾癬マネジメントに高血圧などの関連疾患や心筋梗塞などの併存症のスクリーニングも含まれると記載されており2)、その重要性がうかがえる。乾癬と併存疾患との関係について佐藤氏は、重症乾癬患者の死因は心血管病変が最も多いとの報告3)を紹介したうえで、乾癬は「皮膚だけの病気ではなく、全身に影響を与える皮膚疾患」と解説した。乾癬とサイトカインの関係 乾癬の病態は、「腫瘍壊死因子(以下、TNF)-α」、「インターロイキン(以下、IL)-23」、「IL-17」といった炎症性サイトカインが連続的に働くことで生じると考えられている。 TNF-αは乾癬発症メカニズムの上流に位置しており、乾癬以外にもさまざまな炎症性疾患に関与している。本講演では、乾癬患者における心血管系イベント発生率をTNF-α阻害薬が低下させるとの報告4)も紹介された。一方、乾癬発症メカニズムの下流に位置するIL-17を標的とする治療は、乾癬に対してよりピンポイントに効果を発揮すると期待されており、近年、IL-17関連の生物学的製剤が相次いで発売された。佐藤氏は、乾癬とサイトカインの関係性を踏まえて、「乾癬の重症例では併存疾患が多いため、TNF-α阻害薬を用いることが望ましい」と自身の考えを述べた。 乾癬の病態理解が深まり、現在では乾癬に対していくつもの生物学的製剤が承認されている。佐藤氏は、これらの使い分けについて、「皮膚症状の重症度ではなく、併存疾患の有無などを考慮して製剤を使い分けることが合理的」との見解を示した。

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162)ダイエットは家の冷蔵庫から【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者中性脂肪が気になるんですが、なかなか、ダイエットができなくて…。医師それならいい方法がありますよ。患者それは何ですか? (興味津々)医師冷蔵庫の中を整理することです。患者冷蔵庫の中を整理する?医師そうです。太りやすい人は冷蔵庫の中が満杯で、中を見ないで買い物に出掛けるので余分なものを買う傾向にあるようです。患者それ、私です!医師その結果、賞味期限間近の食品を「もったいないから」といって食べ過ぎて太るみたいです。それと冷蔵庫内の8割以上に食品を詰めると冷えにくくなり、電気代も余計かかるみたいですよ。患者冷蔵庫も腹八分目が大切なんですね。家に帰って、すぐ冷蔵庫の整理をします(うれしそうな顔)。●ポイント冷蔵庫の整理が、減量と中性脂肪を減らすのに役立つことを上手に説明します

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1次予防のスタチン対象、ガイドラインによる差を比較/JAMA

 スタチンによる動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の1次予防が推奨される患者は、米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)ガイドライン2013年版よりも、米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)の2016年版勧告を順守するほうが少なくなることが、米国・デューク大学のNeha J. Pagidipati氏らの検討で示された。ACC/AHAガイドラインで対象だが、USPSTF勧告では対象外となる集団の約半数は、比較的若年で高度の心血管疾患(CVD)リスクが長期に及ぶ者であることもわかった。研究の成果は、JAMA誌2017年4月18日号に掲載された。1次予防におけるスタチンの使用は、ガイドラインによって大きな差があることが知られている。USPSTFによる2016年の新勧告は、1つ以上のCVDリスク因子を有し、10年間CVDリスク≧10%の患者へのスタチンの使用を重視している。年齢40~75歳の3,416例で2つの適格基準を比較 研究グループは、米国の成人におけるASCVDの1次予防でのスタチン治療の適格基準に関して、USPSTFの2016年勧告とACC/AHAの2013年ガイドラインの比較を行った(デューク臨床研究所の助成による)。 2009~14年の米国国民健康栄養調査(NHANES)から、年齢40~75歳、総コレステロール(TC)値、LDL-C値、HDL-C値、収縮期血圧値のデータが入手可能で、トリグリセライド値≦400mg/dL、CVD(症候性の冠動脈疾患または虚血性脳卒中)の既往歴のない3,416例のデータを収集し、解析を行った。USPSTF勧告で15.8%、ACC/AHAガイドラインで24.3%増加 対象の年齢中央値は53歳(IQR:46~61)、53%が女性であった。21.5%(747例)が脂質低下薬の投与を受けていた。 USPSTF勧告を完全に当てはめると、スタチン治療を受ける集団が15.8%(95%信頼区間[CI]:14.0~17.5)増加した。これに対し、ACC/AHAガイドラインを完全に適用すると、スタチン治療の対象者は24.3%(22.3~26.3)増加した。 8.9%(95%CI:7.7~10.2)が、ACC/AHAガイドラインではスタチン治療が推奨されるが、USPSTF勧告では推奨されなかった。このうち55%が年齢40~59歳であった。この集団は、CVDの10年リスクの平均値は7.0%(6.5~7.5)と相対的に低かったが、30年リスクの平均値は34.6%(32.7~36.5)と高く、28%が糖尿病であった。

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161)卵は食べてないと思っていたのに!【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者コレステロール値がなかなか下がらなくて…。医師どんなことに気を付けておられますか?患者卵をなるべく食べないようにしています。コレステロールが含まれているので…。医師なるほど。全然、卵は食べないんですか?患者そうなんです。「脂質異常症」と診断されてから、1個も食べていません。それでもなかなかコレステロール値が下がらなくて…。医師ちょっと、減らし過ぎな感じもしますけど。ちょっと、これを見てもらえますか?このチーズ蒸しパン、何でできていて、何が多く含まれていると思いますか?(チーズ蒸しパンを見せる)患者やっぱり、チーズですか? それとも小麦粉?医師正解は食品の裏の原材料名を見るとわかります。多く含まれている順番に書かれています。患者そうすると、一番多いのが砂糖で、次が卵なんですか! 知らなかった。これからは原材料名も見るようにします。●ポイント食品の原材料名の確認を勧めることで、患者さん自身が何をよく食べているか理解する助けとなります文献1)Nakamura Y, et al. Am J Clin Nutr. 2004;80:58-63.2)Kurotani K, et al. Br J Nutr. 2014;112:1636-1643.3)Kojima M, et al. Nutr Cancer. 2004;50:23-32.

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160)つい全部食べてしまう袋菓子への対策【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者コレステロール値がなかなか下がらなくて…。医師どんなことに気を付けていますか?患者お菓子を控えるようにしているんですが、食べ出すと止まらなくて…。医師どんなものが多いですか?患者スナック菓子ですね。なるべくたくさん買わないように、小袋の菓子を買ってはいるんですが…。医師なるほど。スナック菓子は飽和脂肪酸がいっぱいで、コレステロール値が上がりそうですね。患者やっぱり…。何か、いい方法はありませんか?医師それならいい方法がありますよ。まず、食べる分だけ出します。たとえば、スナック菓子を半分だけ皿に出しておきます。残りをしまってから、食べ始めるんです。患者ハハハ。なるほど! それは、厳重にしまっておかないといけませんね。●ポイント袋菓子を一気に食べてしまう患者さんの心理を理解し、食べる分だけ出して、残りはしまっておくことを提案してみます

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半数は目標値に達していなかったACS患者のLDL-C:EXPLORE-J試験

 2017年4月4日、サノフィ株式会社主催のメディアラウンドテーブルにて東邦大学 医療センター大橋病院 中村正人氏が、急性冠症候群(ACS)患者における脂質リスクとコントロールに関する前向き観察研究「EXPLORE-J試験」のベースラインデータについて紹介した。ACS患者の3割がスタチンを使用 EXPLORE-J試験は、2015年4月~2016年8月まで59施設から2,016例の登録が終了した。患者の平均年齢は66.0歳、男性が80.4%、BMIは24.2であった。ACSの病型はST上昇型心筋梗塞(STEMI)が61.8%、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)が16.1%、不安定狭心症が22.0%であった。危険因子は脂質異常症77.6%、高血圧72.9%、糖尿病34.7%、虚血性心疾患18.0%、現喫煙者37.8%、過去喫煙27.8%であった。26.9%がスタチンを服用(高力価スタチン服用は2.3%)していた。2次予防例の半数がLDL-C目標値100未満を達成できず ACS患者の入院時のLDL-C値(n=1,859)の分布をみると、対象者の平均値は121.7mg/dLであった。そのうち100未満は29.6%、FH診断の基準である180以上は7.9%であった。一方、虚血性心疾患の既往患者(n=333)のLDL-Cは103mg/dLであった。動脈硬化予防疾患ガイドラインの2次予防の管理目標値100未満の患者は52.0%であり、半数は目標値に達していなかった。 アキレス腱肥厚の測定結果(n=1,787)をみると、中央検定の中央値は6.7mm、基準値の9mm以上は6.4%であった。 家族歴を収集できた患者(n=1,412)から早発性冠動脈疾患の家族歴を調べた結果、家族歴はありは10%という結果だった。家族性高コレステロール血症(FH)の基準を満たす患者は3%、実臨床ではそれ以上か 本邦では、ヘテロ型FH が200~500人に1人、ホモ型FHは100万人に1人といわれているが、ASCを対象としたEXPLORE-Jでの結果はどうか、アキレス腱肥厚を利用した1,391例からの中間解析を行った。結果、成人FHの診断基準(1.未治療のLDL-C180以上、2.腱黄色腫、アキレス腱肥厚あるいは皮膚結節性黄色腫、3.FHまたは若年性冠動脈疾患の二親等以内の家族歴、のうち2項目以上該当)を満たす患者は全体で3.0%、55歳未満では5.9%であった。実際には、スタチンの服用で調査時すでにLDL-Cが低下している患者もあり、実臨床ではこれ以上のFH患者がいると推定される。ASC患者のLDL-C管理状況、病態は10年前と変わらず EXPLORE-Jでは、2008~09年に本邦で行ったPACIFIC試験と比較し、ASC患者のLDL-C管理状況、病態の変化を評価した。結果、LDL-C平均値120、6割というSTEMIの割合は、共にPACIFIC試験とほぼ同等で、10年前からほぼ変化していなかった。今後は絶対リスクの高い患者を明確にし、個別のLDL-C管理に LDL-C70でもイベントを起こす人がいる一方、110でもイベントを起こさない人がいる。年齢、喫煙、糖尿病など複合的な要因が関連してリスクは変わる。一律のLDL-C基準値を決めるにとどまらず、今後は絶対リスクが高い患者を明確にしていき、患者に個別化されていくべきだと、中村氏は述べた。

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PCSK9阻害薬bococizumab、抗薬物抗体発現で効果減/NEJM

 抗PCSK9(前駆蛋白変換酵素サブチリシン/ケキシン9型)モノクローナル抗体製剤bococizumabは、多くの患者で抗薬物抗体(ADA)の発現がみられ、そのためLDLコレステロール(LDL-C)の低下効果が経時的に減弱することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M Ridker氏らが行ったSPIREプログラムと呼ばれる6件の国際的な臨床試験の統合解析で明らかとなった。ADA陰性例にも、相対的なLDL-C低下効果に大きなばらつきを認めたという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年3月17日号に掲載された。完全ヒト型抗体であるアリロクマブやエボロクマブとは異なり、bococizumabはヒト型抗体であり、抗原と結合する相補性決定領域に約3%のネズミ由来のアミノ酸配列が残存するため、ADAの発現を誘導する可能性が指摘されている。bococizumabとプラセボを比較する6件の無作為化試験に登録された4,300例を対象 本研究は、bococizumab(150mgを2週ごとに皮下投与)とプラセボを比較する6件の無作為化試験に登録された脂質異常症患者4,300例を対象とした(Pfizer社の助成による)。6試験には、プラセボの代わりにアトルバスタチンを用いた試験が1件、bococizumabの用量が75mgの患者を含む試験が1件含まれた。 ベースラインの全体の平均年齢は61歳で、42%が女性であった。糖尿病が53%、喫煙者が18%、家族性高コレステロール血症が12%含まれた。99%がスタチン治療を受けていた。治療期間中に検出されたADAの有無別に、12週および52週時に脂質値の経時的な変化の評価を行った。1年時のbococizumab群はADA陽性率48%、16%を占めた高力価の患者は平均変化率が低かった 12週時に、bococizumab群のLDL-C値はベースラインに比べ54.2%低下、プラセボ群は1.0%増加し、群間の絶対差は-55.2%(95%信頼区間[CI]:-57.9~-52.6)と、bococizumab群が有意に優れた(p<0.001)。 12週時の総コレステロール(TC)値のベースラインからの変化の群間絶対差は-36.0%、非HDL-C値は-50.2%、トリグリセライド(TG)値は-14.2%、アポリポ蛋白B値は-49.5%、リポ蛋白(a)値は-28.9%と有意に低下し、HDL-C値は6.2%と有意に増加しており、いずれもbococizumab群が良好だった(すべてp<0.001)。 52週時のLDL-C値のベースラインからの変化の群間絶対差は-42.5%(95%CI:-47.3~-37.8)であり、bococizumab群が有意に優れた(p<0.001)が、12週時に比べるとLDL-C低下効果が減弱した。また、TC値(群間絶対差:-27.1%)、非HDL-C値(-37.7%)、TG値(-10.9%)、アポリポ蛋白B値(-37.3%)、リポ蛋白(a)値(-20.6%)、HDL-C値(4.6%)も、bococizumab群が有意に良好だった(すべてp<0.001)が、いずれも12週時に比し効果は減弱した。 一方、1年時にbococizumab群の48%にADAが検出され、そのほとんどが12週以降に発現していた。52週時のADAが低~中力価の患者のLDL-C値の平均変化率(-43.1%)は、ADA陰性例(-42.5%)とほぼ同じであった。これに対し、ADA陽性例の16%を占めた高力価の患者のLDL-C値の平均変化率(-30.7%)は低く、力価最高位10%の患者(-12.3%)では著明に低かった。また、ADA陽性例は力価が高い患者ほど、PCSK9値およびbococizumab濃度が経時的に減衰した。 12週時のbococizumab群のLDL-C値の低下効果は全体として大きかったが、まったく低下しなかった患者が4%、低下率50%未満が28%、50%以上は68%とばらつきが認められた。52週時には、ADA陽性例はそれぞれ10%、38%、ADA陽性例はそれぞれ10%、38%、52%であったが、ADA陰性例にも9%、31%、60%と同様のばらつきがみられた。 重大な心血管イベント(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心血管死、血行再建術)の発生率は、bococizumab群が2.5%(57例)、プラセボ群は2.7%(55例)であった(ハザード比[HR]:0.96、95%CI:0.66~1.39、p=0.83)。bococizumab群の最も頻度の高い有害事象は、注射部位反応(12.7/100人年)であり、次いで関節痛(4.4/100人年)、頭痛(3.0/100人年)であった。 著者は、「bococizumabの有害事象には免疫原性の影響があり、有効性に関する生物学的な反応は一定ではなく個々の患者での予測は困難である」としている。これらの知見に基づき、2016年11月1日、bococizumabの開発は中止となった。

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開発が中止されても抗PCSK9抗体によるLDL-コレステロール低下効果は有効性を示した!(解説:平山 篤志 氏)-663

 抗PCSK9モノクローナル抗体であるEvolocumabやAlirocumabは完全なヒト型であるが、Bococizumabはヒト型に90%類似した抗体であったために中和抗体が出現し、長期間の投与中に効果が減弱することから開発が中断された。 しかし、開発の中断が決定されるまでにLDL-コレステロール低下効果をみる6つの試験と有効性を検証する2つの臨床試験が進行しており、今回はそのLDL-コレステロール低下効果が発表された。150mgのBococizumabの投与により、12週間で54.2%の低下がみられたが、52週では低下効果は42.5%と減弱が認められた。これは、中和抗体が12週以後から認められるようになり、1年後には48%に認められるようになったためである。ただ、中和抗体の認めなかった患者においても、LDL-コレステロール低下効果に個々の患者でばらつきが認められることが報告された。 論文では触れられていないが、同時に発表された米国心臓病学会の会場では、ハイリスクの患者を対象にしたSPIRE 1とSPIRE 2試験の結果も報告された。スタチン投与下でもLDL-コレステロールが100mg/dL以上を対象としたSPIRE 2試験では、平均観察期間が12ヵ月と短い期間であったが、心血管イベントリスクのLDL-Cの低下が認められた群(おそらく中和抗体の出現の無かった群)で低下が有意に認められたことが報告され、直前の演題であったEvolocumabによるFOURIER試験と同様の結果を示した。LDL-コレステロールについては、この結果から“lower is better for longer”が証明されたことになり、ハイリスクの患者ではより厳格な脂質管理が要求されるであろう。

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PCSK9合成阻害薬、2回投与で半年後にLDL-C半減/NEJM

 前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)遺伝子のメッセンジャーRNAを標的とする低分子干渉RNA(small interfering RNA:siRNA)であり、肝細胞でのPCSK9の合成を阻害するInclisiranの第II相試験(ORION-1)の中間解析の結果が、NEJM誌オンライン版2017年3月17日号に掲載された。LDLコレステロール(LDL-C)高値の心血管リスクが高い患者において、6種の投与法をプラセボと比較したところ、すべての投与法でPCSK9値とLDL-C値(180日時、240日時)がベースラインに比べ有意に低下したという。報告を行った英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのKausik K Ray氏らは、「肝でのPCSK9 mRNA合成の阻害は、PCSK9を標的とするモノクローナル抗体に代わる治療薬となる可能性があり、注射負担はほぼ確実に軽減されるだろう」と指摘している。6つの投与法と2つのプラセボを比較 本研究は、Inclisiranの異なる用量および投与回数による投与法の有効性を比較する二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験(Medicines Company社の助成による)。対象は、最大用量のスタチンの投与によっても、LDL-C値70mg/dL以上のアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)およびLDL-C値100mg/dL以上のASCVD高リスクの患者497例であった。 被験者は、3つのInclisiran単回皮下投与群(200mg[60例]、300mg[61例]、500mg[65例])またはプラセボ群(65例)、および3つのInclisiranの2回(初回、90日後)皮下投与群(100mg[61例]、200mg[62例]、300mg[61例])またはプラセボ群(62例)にランダムに割り付けられた。 主要評価項目は、180日時のLDL-C値のベースラインからの変化であった。安全性の評価は210日時のデータを用いて行った。副次評価項目には180日時のPCSK9値の変化などが含まれた。LDL-C値が27.9~52.6%低下、300mg×2回の効果が最大 ベースラインの8群の平均年齢は62.0~65.2歳、男性が53~74%を占め、平均LDL-C値は117.8~138.8mg/dL、平均PCSK9値は394.2~460.3ng/mLであった。全体の73%がスタチン、31%がエゼチミブの投与を受けていた。 Inclisiranの投与を受けた患者は、LDL-C値とPCSK9値が用量依存性に低下した。180日時のLDL-C値の最小二乗平均値は、単回投与の200mg群が-27.9%、300mg群が-38.4%、500mg群が-41.9%であり、プラセボ群の2.1%に比べ、いずれも有意に低下した(すべてp<0.001)。また、2回投与の100mg群は-35.5%、200mg群は-44.9%、300mg群は-52.6%であり、プラセボ群の1.8%に比し、いずれも有意に低かった(すべてp<0.001)。180日時のLDL-C値が最も低下した300mg×2回投与群(52.6%低下)のLDL-C値50mg/dL未満の達成率は48%だった。 LDL-C値は、第1日の投与から30日後には、投与前に比べ6群で44.5~50.5%低下し、単回投与群はおおよそ60日まで、2回投与群は150日まで最低値が持続した。また、PCSK9値は、14日後には単回投与群で59.6~68.7%、30日後には66.2~74.0%低下し、60日、90日時もこの値がほぼ維持されており、180日には47.9~59.3%低下していた(プラセボ群との比較ですべてp<0.001)。 240日時のLDL-C値は、投与前に比べ単回投与群で28.2~36.6%、2回投与群で26.7~47.2%低下しており、PCSK9値は6群とも40%以上低下していた。また、6つのInclisiran群は、180日時の総コレステロール(TC)、非HDL-C、アポリポ蛋白Bが、プラセボ群に比べ有意に低下した(すべてp<0.001)。 有害事象は、Inclisiran群、プラセボ群とも76%に発現したが、そのうち95%が軽度~中等度(Grade 1/2)であった。重篤な有害事象の発現率は、Inclisiran群が11%、プラセボ群は8%であった。全体で最も頻度の高い有害事象は、筋肉痛、頭痛、疲労、鼻咽頭炎、背部痛、高血圧、下痢、めまいであり、Inclisiran群とプラセボ群に有意な差はなかった。注射部位反応は、単回投与群の4%、2回投与群の7%(6群で5%)にみられたが、プラセボ群には発現しなかった。 著者は、「患者のほとんどが欧州系の人種であり、今後、他の人種で同様の効果が得られるかを検討する必要がある」としている。

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PCSK9活性を長期的に低下させる夢のような薬が現実に!(解説:平山 篤志 氏)-662

 スタチンを服用していても十分なLDL-コレステロール低下効果がみられない一因として、PCSK9活性の亢進が原因であることが明らかにされ、PCSK9阻害薬としてモノクローナル抗体が薬剤として使用されるようになった。 この薬剤の1つであるエボロクマブを用いたFOURIER試験が発表され、心血管イベントを有意に低下させることと、安全性が担保されたことで、一気にLDL-コレステロール値の70mg/dLを超えることが求められるようになった。これらの薬剤は抗体であることで、2週あるいは4週に1回の投与での治療が可能になった。しかし、InclisiranはPCSK9の合成を抑制するRNA製剤で、投与後180日間のPCSK9活性の低下とLDL-コレステロール低下作用が明らかにされた薬剤である。今回は、このInclisiranの投与量と投与法の有効性を検討した試験である。 300mg、500mgのInclisiranの1回投与で、180日後のLDL-コレステロールはそれぞれ平均38.4%、41.9%の低下を認めた。さらに、300mgを初回と90日後に投与することで、LDL-コレステロールが180日後で52.6%の低下(平均LDL-Cレベル64.2mg/dLの低下)、240日後でもその低下効果(平均LDL-Cレベル58.9mg/dLの低下)が維持されることが明らかになった。また、対照群と比較しても重大な副作用は認められなかった。 わずか2回の注射で長期的なLDL-コレステロール低下効果がみられた。今回発表されたFOURIER試験の結果を考えても、Inclisiranによって長期間持続的にLDL-コレステロールを低下させることができれば、心血管イベント低下をリアルワールドでも実現できるようになるであろう。まさしく、夢のような薬剤が現実になった思いがする一方で、核酸医薬品が承認されるのか? 価格は? など、多くのことを考えていかねばならないだろう。

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