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高齢2型糖尿病、SGLT2阻害薬で死亡・透析リスク低く/統数研・横浜市大ほか

 高齢の糖尿病患者への薬物治療では、DPP-4阻害薬だけでなく、近年ではSGLT2阻害薬も使用されている。その一方で、SGLT2阻害薬の75歳以上の成人におけるエビデンス、とくにDPP-4阻害薬との比較データは限られている。このテーマについて野間 久史氏(統計数理研究所/総合研究大学院大学 教授)、後藤 温氏(横浜市立大学医学部 教授)らの研究グループは、レセプトデータなどを基に標的試験エミュレーションを実施した。その結果、SGLT2阻害薬は、DPP-4阻害薬と比較し、全死因死亡および腎臓関連リスクの低下と関連していることが示唆された。Age and Ageing誌2026年8月3日号に掲載。高齢糖尿病患者へのSGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬の使用で違いはあるか 研究グループは、わが国のレセプトデータと健康診断データを連結し、標的試験エミュレーションを実施。SGLT2阻害薬またはDPP-4阻害薬の投与を新たに開始した75歳以上の2型糖尿病患者を対象に、死亡、心血管および腎臓の転帰について、1ヵ月の導入期間を設けたうえで、逆確率重み付け法を用いてITT(治療意図)解析による効果を推定した。 主な結果は以下のとおり。・本研究では8,486例(SGLT2阻害薬群2,204例、DPP-4阻害薬群6,282例)が解析された。・1ヵ月の導入後、SGLT2阻害薬群では全死因死亡リスクの低下(ハザード比[HR]:0.677、95%信頼区間[CI]:0.500~0.916)および末期腎不全または透析導入リスクの低下(HR:0.374、95%CI:0.157~0.890)に関連していた。・ITT解析において、心不全による入院(HR:1.103、95%CI:0.854~1.426)や心筋梗塞(HR:1.015、95%CI:0.768~1.341)については、明確な差は認められなかった。・脳卒中の発生頻度はSGLT2阻害薬群で高かった(HR:1.420、95%CI:1.165~1.828)が、この結果の解釈には慎重な検討が必要である。 以上の結果から研究グループは、「75歳以上の2型糖尿病患者においては、SGLT2阻害薬は、DPP-4阻害薬と比較し、全死因死亡および腎臓関連リスクの低下と関連していることが示唆された。観察された脳卒中リスクの上昇については、残存交絡因子、競合する死亡要因、および脆弱な高齢者における異質性がこの傾向に寄与している可能性があるため、慎重な解釈が必要」と結論付けている。

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フィネレノンは非糖尿病CKDのeGFR低下を抑制する(解説:栗山哲氏)

本論文は何が新しい? 非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(non-steroidal mineralocorticoid receptor antagonist:nsMRA)であるフィネレノン(商品名:ケレンディア)の非糖尿病慢性腎臓病(CKD)の腎機能低下抑制効果について、最近、二重盲検無作為化比較試験(RCT)のFIND-CKD研究の2報が報告された。1報は非糖尿病CKD患者全体を対象とした解析(Heerspink HJL, et al. N Engl J Med. 2026;395:533-545.)であり、もう1報は、そのうち糸球体疾患を有する患者に限定した探索的サブ解析(CLEAR!ジャーナル四天王「フィネレノンは糸球体疾患由来のCKDに対しても腎保護的である可能性がある」)である。これらの解析から、フィネレノンには、非糖尿病CKD患者全体でeGFRスロープの低下を遅延化させる腎保護効果があることが示された。CKD腎保護薬としてのフィネレノンの位置付け 糖尿病を合併するCKDに対する腎保護療法としては、RAS阻害薬、SGLT2阻害薬、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(nsMRA)、およびGLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)の4剤が推奨されている。このうち、RAS阻害薬とSGLT2阻害薬は第1選択薬として推奨されている。一方、nsMRAおよびGLP-1 RAは、これらの薬剤に上乗せして使用する薬剤として推奨されている(KDIGOガイドライン:Levin A, et al. Kidney Int. 2024;105:684-701.)。これらの推奨の根拠となったエビデンスは、糖尿病CKD患者を対象としたFIGARO-DKD試験およびFIDELIO-DKD試験、ならびに両試験の統合解析であるFIDELITYの成績である。一方、非糖尿病CKDではフィネレノンに関するRCTは実施されていなかった。今回のFIND-CKD研究で得られた非糖尿病CKDにおける肯定的な結果と、これまでに蓄積されてきた糖尿病CKDにおけるエビデンスを合わせて考えると、フィネレノンの腎保護作用は糖尿病の有無にかかわらずCKD全般で期待される可能性が示唆された。本研究の主要結果 FIND-CKD研究は、世界24ヵ国で実施された国際共同第III相二重盲検RCTである。糖尿病を合併しないCKD患者1,584例を対象とし、フィネレノン群793例とプラセボ群791例を比較した。対象患者の腎機能はCKD G3bが中心で、UACRは大部分がA3に相当する中等度~高度アルブミン尿を呈していた。また、57.0%は糸球体疾患を原疾患とするCKDであり、99.8%が最大耐用量のRAS阻害薬による治療を受けていた。 主要評価項目は、ベースラインから32ヵ月時点までのeGFRの平均年間変化率である総eGFRスロープ。その結果、eGFRの平均年間変化率は、フィネレノン群で-3.3mL/分/1.73m2/年(95%信頼区間[CI]:-3.6~-3.1)、プラセボ群で-4.0mL/分/1.73m2/年(95%CI:-4.3~-3.8)であり、群間差は0.7mL/分/1.73m2/年(95%CI:0.3~1.1、p<0.001)であった。 副次評価項目には、腎・心血管複合イベント、腎複合イベント、心血管複合イベントなど。腎・心血管複合イベントの発生リスクは、フィネレノン群でプラセボ群と比較して有意に低かった(ハザード比[HR]:0.77、95%CI:0.60~0.99、p=0.04)。腎複合イベントのHRは0.78(95%CI:0.60~1.01)、心血管複合イベントのHRは0.60(95%CI:0.27~1.33)であった。 高カリウム血症の発現率は、フィネレノン群で17.0%(135例)、プラセボ群で13.3%(105例)であった。今後のCKD治療にどう影響する? CKDにおける腎保護の基本は、蛋白尿を減少させ、適切に降圧することである。加えて、糖尿病では血糖管理が重要であり、慢性糸球体腎炎・IgA腎症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎などでは、ステロイド、扁桃摘出術、免疫抑制薬などが病態に応じて選択される。フィネレノンによるCKDの腎保護作用は、「MRの過剰活性化→炎症・線維化」という共通の経路を抑制することによる。FIND-CKDは、非糖尿病CKDにおいても同剤が腎保護作用を有するという仮説を検証したRCTである。本研究の意義と展望については、Dr. Robert TotoのEditorial(Toto R. N Engl J Med. 2026;395:600-601.)のコメントは参考になる。Totoは、「フィネレノンは、CKDや高血圧の病態の根底にあるMRの過剰活性化を抑制する可能性がある。FIND-CKD研究の成果は、フィネレノンを『糖尿病CKDの腎保護薬』から、非糖尿病CKDにおいても『MRの過剰活性化による残余リスクを抑制する薬剤』へと位置付ける可能性がある」と展望している。言い換えると、FIND-CKDはフィネレノンを、「糖尿病CKDの薬」から「CKD全般の腎保護薬」へと適応を拡大する根拠を提供した初めての研究ともいえる。もっとも、eGFR低下の遅延抑制に加えて、腎ハードエンドポイント(腎不全や透析開始など)への効果、CKD疾患別の効果、SGLT2阻害薬との併用効果など、今後検討すべき課題は残されている。 現在、国内外のガイドラインにおいて、非糖尿病CKDに対するフィネレノンの使用についての言及はない。しかし、本研究により、今後のガイドライン改訂において、同剤がCKD全般で新たな腎保護の治療選択肢として位置付けられる可能性が高い。実臨床で非糖尿病CKD患者において、フィネレノン投与を考慮すべき患者として、(1)UACRが中等度から高度、(2)eGFRが25mL/分/1.73m2以上、(3)ARBやSGLT2阻害薬による先行治療を行ってもなお残余リスクがある患者、が想定される。また、フィネレノン投与時には、高カリウム血症のリスクを念頭に入れ、血清カリウム濃度を適切にモニターすべきである。

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第309回 ベースアップ評価料の請求に疑義 施設基準の再確認を/厚労省

<先週の動き> 1.ベースアップ評価料の請求に疑義 施設基準の再確認を/厚労省 2.OTC類似薬で患者負担増を懸念 患者調査で見直し要求/保団連 3.熊本地震で医療機関の断水続く 介護保険手続きなど緩和/厚労省 4.自治体病院の赤字2,180億円 物価・人件費高騰で「経営努力に限界」/全自病 5.イヌ飼育で要介護認知症リスク48%減 公的支出5,920億円削減試算/国環研ほか 6.豪雨で医療・介護施設91ヵ所被災 透析転院や手術制限続く/千葉県 1.ベースアップ評価料の請求に疑義 施設基準の再確認を/厚労省厚生労働省は、医療従事者の処遇改善を支援するベースアップ評価料などについて、医療機関が届け出た施設基準と実際の診療報酬請求の内容に齟齬が生じているケースが散見されるとして、8月診療分以降の請求前に改めて施設基準を確認するよう求めた。対象は外来・在宅ベースアップ評価料I・II、入院ベースアップ評価料、訪問看護ベースアップ評価料I・II、調剤ベースアップ評価料、看護職員処遇改善評価料など。2026年度診療報酬改定では、医療スタッフのさらなる賃上げを目的に、ベースアップ評価料の対象職種拡大や点数引き上げが行われた。外来・在宅ベースアップ評価料Iでは継続的に賃上げに取り組む医療機関をより高く評価し、入院ベースアップ評価料でも従来から賃上げを実施してきた医療機関を手厚く評価する仕組みが導入された。これに伴い、改定前から評価料を算定していた医療機関でも、6月以降に継続算定する場合は6月1日までに改めて施設基準を届け出る必要があった。しかし、6・7月診療分の請求では、届け出で受理された評価項目と実際に請求した評価料の種類や点数が一致しない例が確認された。厚労省は、改定対応が多岐にわたったことを踏まえ、この2ヵ月分については審査支払機関で特段の調整を行っていた。その一方で、8月診療分以降については、4月24日付の事務連絡や施設基準の届け出早見表を参照し、適切に請求するよう強く要請している。病院では、過去の賃上げ実績や入院ベースアップ評価料の選択状況によって、算定点数、入院料減算の有無、提出すべき様式が異なる。厚労省は、特設サイトでも必要書類や手続きを示しており、医療機関に対し自院で受理された施設基準とレセプト請求内容が一致しているか、請求前に改めて確認するよう呼びかけている。 参考 1) ベースアップ評価料等に係る診療報酬請求について(厚労省) 2) 令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について(同) 3) ベア評価料、診療報酬請求の内容に疑義が散見 受理された施設基準「改めて確認を」厚労省(CB news) 4) ベースアップ評価料の施設基準届出と請求との齟齬が頻発、8月分以降の請求に備え改めて自院の施設基準確認し、適切な請求を(Gem Med) 2.OTC類似薬で患者負担増を懸念 患者調査で見直し要求/保団連全国保険医団体連合会(保団連)は、厚生労働省が進めるOTC類似薬の保険給付見直しについて、患者への配慮措置が限定的で、慢性疾患の治療継続を妨げる恐れがあるとして制度の撤回・見直しを求めた。8月6~13日に実施した緊急調査では9,641人が回答し、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性便秘症、高尿酸血症など慢性疾患で対象薬の処方を受ける患者が約85%を占めた。厚労省は、市販薬と成分などが類似する医療用医薬品77成分、約1,100品目について、通常の窓口負担とは別に追加料金を求める制度を検討している。がんや指定難病患者、長期使用が医学的に必要な場合などは配慮対象とする方針だが、原疾患と関連しない症状や季節性の花粉症などは対象外となるケースが多い。保団連調査では花粉症・アレルギー性鼻炎患者の42.1%がいずれの配慮類型にも該当しなかった。保団連は、アトピー性皮膚炎で症状に応じてステロイド外用薬を変更するケースや、喘息で抗アレルギー薬を断続的に併用する場合など、治療自体は継続していても個々の薬剤が「通年使用」とならず配慮対象から外れる点を問題視。慢性腰痛や関節リウマチなどで使用する湿布薬も長期使用であっても原則対象外となるため、患者負担が大きくなると訴えた。保団連の試算では、制度による医療費削減は年間約900億円、保険料軽減効果は加入者1人当たり年約400円にとどまる一方で、花粉症で内服薬、点眼薬、点鼻薬を併用すれば月約1,500円の負担増になる可能性がある。また、医師が過去の治療歴や処方期間を確認して配慮対象を判定する必要があり、診療・薬局業務の複雑化や患者とのトラブルも懸念される。保団連は「配慮する必要のない患者という線引きに医学的根拠はない」とし、必要な医療へのアクセスを損なわない制度設計を求めている。 参考 1) OTC類似薬の配慮措置に関する疾患、処方薬ごとの影響(保団連) 2) OTC類似薬の保険給付見直し、配慮措置の適用は限定的-保団連が9,641人の患者調査結果公表(日本医事新報) 3) 「働いて身を削り、次は健康を…」花粉症薬など“保険除外”で年数万円の負担増も?現役世代の家計圧迫に医師・患者ら撤回要望(弁護士JPニュース) 3.熊本地震で医療機関の断水続く 介護保険手続きなど緩和/厚労省最大震度7を記録した2026(令和8)年熊本地震の発生から3週間が経過したが、医療・介護施設への影響が続いている。厚生労働省によると、8月18日午前10時時点で熊本県内の18医療機関が断水しており、このうち14施設が八代市に集中している。被災医療機関はピーク時に92施設、断水は88施設に上った。県内ではDMAT15隊、DPAT12隊、災害支援ナース、JMAT、JRATなどが支援を継続している。高齢者施設でも960施設が建物被害や停電、断水、ガス停止などの影響を受けている。厚労省は、被災者への介護保険上の特例も相次いで示している。災害救助法が適用された10市10町1村の被保険者について、要介護・要支援認定の有効期間を市町村判断で最大12ヵ月延長でき、また、介護サービス事業者や介護施設などの指定更新についても、一定の権利の有効期限を2027年1月27日まで延長する特例を設けた。介護サービス利用料については、住宅の全半壊や床上浸水、主たる生計維持者の死亡・失職など一定の被害を受けた場合、市町村判断で自己負担1~3割を猶予・免除できる。すでに支払った利用料についても申請により還付が可能で、11月までの利用分などが対象となる。被保険者証を紛失した場合も氏名や生年月日などの確認でサービス利用を認める。さらに、公費負担医療の新規申請では、災害で申請が遅れた被災者について、医師の診断書に記載された日を受給開始日として取り扱える特例を設けた。厚労省は、被災者が医療・介護サービスや行政上の権利を失わないよう、柔軟な運用を自治体や関係機関に求めている。 参考 1) 熊本地震から3週間、18医療機関で断水(MEDIFAX) 2) 公費負担医療の新規申請、被災者は「診断日」を適用熊本地震で厚労省(同) 3) 令和8年熊本地震で被災した介護保険サービス利用者の利用料(1-3割負担)の猶予・免除、詳細な考え方提示-厚労省(Gem Med) 4) 令和8年熊本地震、要介護認定等の有効期間延長、介護サービス事業者等の指定更新の特例を認める-厚労省(同) 4.自治体病院の赤字2,180億円 物価・人件費高騰で「経営努力に限界」/全自病全国自治体病院協議会(全自病)がまとめた2025年度病院事業決算状況調査で、有効回答494病院の84%に当たる413病院が経常赤字となり、赤字額は計2,180億円に上った。前年度から赤字病院の割合は5ポイント改善したものの、依然として8割超が赤字で、自治体病院の厳しい経営環境が続いている。医業収益は前年度比3.3%増えた一方で、医業費用も3.0%増加。職員給与費は3.6%、材料費は5.3%増え、物価高と賃上げが収支を圧迫した。病床規模別では200床以上300床未満の病院がすべて経常赤字となった。大規模病院では改善がみられたが、500床以上でも8割超が赤字だった。経常収支の改善には、2025年度補正予算による1床当たり19万5,000円の賃上げ・物価高支援や救急受け入れ実績に応じた加算、国・都道府県の補助金、自治体からの繰入金増加が寄与した。その一方で、医業収支はなお大幅な赤字で、補助金がなければ経営はさらに厳しかったと全自病は推測している。全自病と全国自治体病院開設者協議会は8月19日、厚生労働省と総務省に緊急要望書を提出した。自治体病院は救急や不採算医療など地域医療の「最後の砦」を担う一方で、中東情勢悪化や円安を背景に医療用手袋、カテーテル、燃料などの価格上昇が続くとして、医療物資の安定確保や物価高対策、診療報酬の中間年改定を含む財政措置を要請。2026年度人事院勧告の月給3.51%引き上げが、ベースアップ評価料で想定した賃上げ水準を上回ることも経営悪化要因になると訴えた。地方交付税や特別交付税の拡充、公立病院の再編・統合、建て替え支援の強化も求めた。病院事業債の交付税措置対象となる建築単価上限は1平方メートル85万円に引き上げられたが、資材高騰でなお不足しているという。一方、四病院団体協議会は21日、2027年度税制改正に向け、社会保険診療報酬の消費税非課税制度を見直し、軽減税率やゼロ税率を含む課税取引へ転換するよう厚労省に要望した。仕入れや設備投資時に生じる控除対象外消費税が、病院建て替えや医療DX投資を妨げているとして、還付制度の創設を含む抜本的な制度見直しを要求。高額医療機器の特別償却制度の延長・対象拡大も求めており、病院団体は診療報酬、財政支援、税制の三面から経営基盤の立て直しを政府に迫っている。 参考 1) 自治体病院の8割が経常赤字 25年度、計2,000億円のマイナス続く(日経新聞) 2) 地域医療の砦となる自治体病院を守るため、物価高騰対応、期中の診療報酬改定含めた財政措置等の拡充等を要望-全自病(Gem Med) 3) 診療報酬の中間年改定含む対応を要望、2団体 物価高騰踏まえ 全自病など(CB news) 4) 控除対象外消費税の問題、抜本解決に向け重点要望病院を課税取引に 四病協(同) 5.イヌ飼育で要介護認知症リスク48%減 公的支出5,920億円削減試算/国環研ほかイヌを飼っている高齢者は、イヌを飼った経験がない高齢者に比べ、要介護認知症を発症するリスクが48%低い可能性があることが、国立環境研究所、東京都健康長寿医療センター、東京大学などの研究チームによる大規模疫学研究でわかった。研究成果は国際学術誌“International Journal of Environmental Research and Public Health”に掲載された。研究では、自宅で暮らす高齢者1万1,224人を「現在イヌを飼育」「過去に飼育」「飼育経験なし」の3群に分け、7.5年間追跡。要介護認知症の発症や死亡との関連を調べた。逆因果や把握できない交絡因子の影響を抑えるため操作変数解析を用いた結果、現在イヌを飼育している人の要介護認知症発症リスクは、飼育経験がない人と比べて48%低く、オッズ比は0.52だった。イヌとの暮らしには、散歩による身体活動の増加や外出機会の確保、地域住民との交流、精神的健康の維持などが伴うことから、研究チームはこうした健康行動が認知症発症の抑制に寄与している可能性があるとみている。さらに、高齢者のイヌ飼育率が13.4%まで増加すると仮定して予算への影響を試算したところ、イヌの飼育に伴う家計支出を含む社会全体の追加費用は4年間で約4兆6,300億円となる一方で、公的な医療・介護費は約5,920億円削減される可能性が示された。研究チームは今後、イヌそのものの効果に加え、散歩や地域交流などイヌとの生活を通じて生まれる行動に着目し、認知症予防や健康寿命延伸策への活用を検討する。ただし今回の結果は疫学研究に基づくもので、イヌを飼えば認知症を防げると直接証明したものではない。 参考 1) 「イヌを飼育している高齢者」は「飼育したことがない高齢者」に比べ認知症発症リスクが48%低い-長寿医療研究センター(Gem Med) 2) イヌと暮らす高齢者が増えると4年間で約5,920億円の公的支出削減-約1万1,200名の地域在住高齢者を対象とした7.5年間の大規模疫学研究-(東京都健康長寿医療センター) 6.豪雨で医療・介護施設91ヵ所被災 透析転院や手術制限続く/千葉県8月13日夜から14日にかけての記録的な千葉豪雨で、県内の病院や高齢者施設に浸水被害が相次ぎ、医療・介護提供体制への影響が長期化している。厚生労働省によると、25の医療施設と66の高齢者施設が被災し、発生から1週間以上経っても全面再開できない施設が残っている。八千代市のセントマーガレット病院では、地下機械室が浸水し、揚水ポンプやボイラーが故障。断水のため46人の透析患者が転院した。給水車を活用して18日から新規の長期入院患者の受け入れを再開したものの、透析センターの復旧は途上にあり、医療機器の滅菌にも通常より手間のかかる対応を強いられている。四街道市の介護老人保健施設でも給水ポンプや送迎車両が被災し、通所リハビリや入浴サービスを休止している。千葉大学医学部附属病院では地下の排水設備が冠水し、医療器具の洗浄装置が使用不能となった。19日には全手術を中止し、その後も手術件数を通常の半分程度に制限している。これを受け、東京科学大学病院は21日から院内の器材洗浄設備を提供。夜間の空き時間を利用してロボット支援手術器具などを洗浄し、1日約40件分の手術器材を処理できる体制を整えた。この支援は千葉大病院の設備復旧まで数週間続く見通し。今回の豪雨では、ハザードマップの浸水想定区域外にある医療機関でも被害が発生した。厚労省は「かつてなかった災害」とし、止水板の設置や地下設備の防水対策など、医療機関の水害対策強化が必要としている。 参考 1) 病院・高齢者施設 再開遠く 千葉豪雨 ボイラー故障透析患者転院(読売新聞) 2) 豪雨被災で手術制限中の千葉大病院へ、東京科学大病院が器材洗浄施設を提供…異例の国立大病院間支援(同) 3) 被害の千葉大病院支援 医療器具の洗浄設備貸し出し東京科学大(NHK)

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第308回 手足口病、全国25都道県で警報レベル 東北でも感染拡大/JIHS

<先週の動き> 1.手足口病、全国25都道県で警報レベル 東北でも感染拡大/JIHS 2.千葉の豪雨で25市町に災害救助法、マイナ保険証なくても受診可能に/厚労省 3.地域ごとに「推奨薬」選定へ 地域フォーミュラリ普及を本格化/厚労省 4.チルゼパチドの薬価25%減 低価格化による不適正使用を懸念/リリー 5.MMR混合ワクチンを個別接種へ 接種率低下と感染拡大に懸念/米国 6.沢井製薬が46品目販売中止、低薬価・設備老朽化で安定供給が課題に/沢井 1.手足口病、全国25都道県で警報レベル 東北でも感染拡大/JIHS国立健康危機管理研究機構(JIHS)の感染症動向調査によると乳幼児を中心に流行する手足口病が、東北各県で高い水準となっている。青森県では8月3~9日の患者報告数が257人で、6週間ぶりに減少したものの、1定点医療機関当たり7.56人と警報基準の5人を上回った。県内6保健所管内のうち5管内が警報レベルで、青森市・東津軽では10.33人、八戸市・三戸では9.14人だった。その一方で、岩手県では同期間の患者数が415人と前週から69人増加。1定点当たり15.37人で10週連続の増加となり、警報基準の3倍を超えた。一関27.0人、中部26.5人、県央25.0人など、10管内中7管内が警報レベルとなっている。宮城県も1定点当たり10.45人と今季最多を更新し、4週連続で警報基準を超えた。同じく福島県でも9.71人と2週連続で今季最多となり、警報レベルが4週続いている。全国では7月27日~8月2日の定点当たり報告数は6.03人。2週連続で減少したものの、25都道県で警報基準を超えており、依然として広範な流行が続いている。手足口病はエンテロウイルスなどによる感染症で、多くは軽症だが、まれに脳炎などの中枢神経合併症を来す。飛沫や接触のほか便を介して感染し、症状消失後も数週間にわたり便中へウイルスが排泄されることがある。医療現場では乳幼児の発熱、口腔内病変、手足の発疹に加え、意識障害、けいれんなど重症化を示唆する症状に注意が必要である。家庭や保育施設では石けんと流水による手洗い、タオルの共用回避、おむつ交換時の排泄物処理の徹底が求められる。 参考 1) 手足口病の減少続くも、感染性胃腸炎やコロナは増転【感染症動向調査第31週:7月27日~8月2日】(Medical Tribune) 2) 青森「手足口病」感染者数減少も依然5保健所管内で警報レベル(NHK) 3) 岩手県内「手足口病」患者数さらに増加 警報基準の3倍余に(同) 4) 福島県内 「手足口病」今季最多に お盆休みの感染対策徹底を(同) 2.千葉の豪雨で25市町に災害救助法、マイナ保険証なくても受診可能に/厚労省8月13日に千葉県を中心に発生した記録的豪雨で、県内の医療機関にも浸水や停電などの被害が広がっている。厚生労働省によると、14日午前10時時点で大規模病院を含む22医療機関から被害報告があり、千葉市、柏市、八千代市などを中心に影響が確認された。内閣府は多数の住民が生命・身体に危害を受ける、またはその恐れがあるとして、千葉県の21市4町、計25市町に災害救助法を適用した。厚労省は14日、被災者の保険診療や診療報酬に関する特例措置を通知した。避難時にマイナンバーカードや資格確認書を紛失、または自宅に残した場合でも、氏名、生年月日、連絡先に加え、被用者保険では事業所名、国保・後期高齢者医療では住所などを申し立てれば保険診療を受けられる。医療機関は可能な限り保険者を確認した上でレセプト請求するが、特定できない場合も住所や事業所名、連絡先などを記載して請求できる。被災者受け入れに伴う診療報酬上の特例も適用される。許可病床数を超えて患者を受け入れても減額措置を適用せず、DPC病院も従来通り診断群分類点数表による算定が可能となる。患者急増や災害支援への職員派遣によって看護配置や夜勤時間などの施設基準が一時的に満たせなくなった場合も、一定範囲では変更届を不要とする。また、被災医療機関からの転院患者については、平均在院日数や重症度、医療・看護必要度などの算定から除外できる場合があり、ICU・HCUにやむを得ず本来の対象外患者を収容した場合も特例が設けられた。そのほか、避難所で継続的な診療が必要な通院困難患者には、条件を満たせば在宅患者訪問診療料の算定も認められる。その一方で、保団連は医療機関や介護施設、在宅人工呼吸器・酸素療法、人工透析患者への電力・水供給の早期確保、医薬品・医療材料の供給、被災者の医療費窓口負担免除などを政府に要望した。豪雨災害では直接的な外傷だけでなく、停電・断水による透析や在宅医療の継続困難、慢性疾患治療の中断も重要な課題となる。 参考 1) 令和8年8月13日からの大雨に伴う災害に係る災害救助法の適用について(内閣府) 2) 令和8年8月13日からの大雨に伴う災害の被災者に係るマイナ保険証又は資格確認書の提示等について(厚労省) 3) 千葉豪雨 県内の22の医療機関から被害報告 厚労省(テレビ朝日) 4) 千葉の大雨、死者8人に…被災者の“医療費免除”と“最大850万円の支給”を医師団体が国に緊急要望(弁護士JPニュース) 5) 2026年8月13日からの千葉県を中心とする大雨被害、保険診療受診や診療報酬算定に関する特例を適用-厚労省(Gem Med) 3.地域ごとに「推奨薬」選定へ 地域フォーミュラリ普及を本格化/厚労省厚生労働省は、地域ごとに使用を推奨する医薬品を定める「地域フォーミュラリ」の普及を本格化させる。今秋をめどに、医療関係者らを対象とした全国説明会を開き、制度への正確な理解を広げる方針。地域フォーミュラリは、高血圧、脂質異常症、胃潰瘍などの治療薬について、有効性、安全性、費用、供給状況などを踏まえ、地域で推奨する医薬品をリスト化する仕組み。院内フォーミュラリと異なり、病院だけでなく診療所や薬局も含む地域全体で運用する。医師の処方権を制限するものではなく、標準的な薬物療法の共有、後発医薬品の適正使用、医薬品の安定供給を目的とする。日本フォーミュラリ学会によると、2026年2月時点で18都道府県30地域に導入が済んでおり、31地域が準備中。大阪府八尾市ではスタチンなど10薬効群、茨城県つくば地域では14薬効群について策定している。学会も31薬効群の「モデルフォーミュラリ」を公開しており、各地域はこれを参考に独自の事情を加味して策定できる。2026年度診療報酬改定では、医科・調剤の施設基準に、地域の医療機関、薬局、関係団体と医薬品の品目情報を共有し、安定供給に向けた事前の取り決めを行うことが望ましいとの考え方が盛り込まれた。現時点では努力目標だが、国が地域フォーミュラリを政策的に後押しする姿勢が鮮明になった。厚労省は全都道府県に医師会や薬剤師会などが参画する検討会の設置を求める。普及の背景には医療費適正化に加え、後発薬の供給不安や災害対応がある。健保連は2019年、高血圧、脂質異常症、糖尿病で後発薬への切り替えが進めば、全国で年間3,100億円の薬剤費削減につながると試算している。また、地域で使用薬をある程度集約すれば、薬局の在庫負担軽減や供給途絶時の代替、災害時の備蓄・配送にも役立つ。今後は、地域の実情を反映しながら、医師の処方判断とどう両立させるかが普及の鍵となる。 参考 1) 地域フォーミュラリ、厚労省が「全国説明会」今秋、医療関係者ら向けも(MEDIFAX) 2) 高血圧・脂質異常症・胃潰瘍…地域ごとに異なる「使用が推奨される医薬品」、リスト作りを国が推進(読売新聞) 3) 報酬改定も策定を後押し、広がる地域フォーミュラリ(日経メディカル) 4.チルゼパチドの薬価25%減 低価格化による不適正使用を懸念/リリー日本イーライリリーは、2型糖尿病治療薬チルゼパチド(商品名:マンジャロ皮下注)の薬価が8月1日付で25%引き下げられたことを受け、「画期的な医薬品に対する不当に不利益な対応」とする声明を発表した。今回の引き下げは、販売額が想定を上回った医薬品の価格を調整する「持続可能性特例価格調整」の適用によるもの。厚生労働省によると、同薬の保険診療での年間販売額は1,000~1,500億円規模に達している。薬価は2.5mg製剤で1本1,443円、15mg製剤で8,658円となった。リリーは、日本の価格は従来からG7で最も低い水準にあり、今回の引き下げにより同規模の経済圏でも最低水準になるとしている。同社は低価格化により、適応外となる痩身目的での不適正使用、海外からの医療ツーリズム、利益目的の買い占めや海外転売が拡大し、本来治療を必要とする2型糖尿病患者への安定供給に影響する可能性があると警告。政府に海外転売を厳格に規制する措置を求めている。チルゼパチドは週1回投与のGIP/GLP-1受容体作動薬で、食欲を抑制する作用も有する。わが国では2023年に2型糖尿病治療薬として発売されたほか、2025年には肥満症治療薬として別製品が発売されている。その一方で、糖尿病治療用製剤を美容・ダイエット目的で自由診療に使用する例が広がっており、適応外使用に伴う健康被害や、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性も指摘される。リリーは、今回の薬価引き下げについて、研究開発や国内投資の予見可能性を損ない、将来的なドラッグラグ・ドラッグロスにつながる恐れもあると主張している。高額な革新的医薬品による医療費増大への対応と、適正使用、安定供給、創薬イノベーションをどう両立させるか、薬価政策のあり方が改めて問われている。 参考 1) マンジャロの大幅な薬価引き下げに対する声明を発表~国際競争下における日本への長期的投資の持続のために、そして患者さんがイノベーションを享受するためには、予見可能で透明性の高い政策環境が不可欠~(日本イーライリリー) 2) 糖尿病薬マンジャロ「インドより安い」 不適正使用の助長に懸念(日経新聞) 3) 英アストラゼネカCSO 革新医薬への支出「先進国で公平負担を」(同) 4) リリー、マンジャロ薬価引き下げは「不当に不利益な対応」(AnswersNews) 5.MMR混合ワクチンを個別接種へ 接種率低下と感染拡大に懸念/米国米国のトランプ大統領は8月10日、小児のワクチン接種方針を見直す大統領令に署名した。麻しん、おたふく風邪、風しんを予防するMMR混合ワクチンについて、それぞれを別の機会に接種することを推奨するとともに、すべての小児に一律で推奨するワクチンを従来の17種類から11種類に縮小する方針を示した。A型・B型肝炎、ロタウイルス、髄膜炎菌、インフルエンザ、新型コロナワクチンなどは、医師と保護者による個別判断に移行するとしている。トランプ氏はワクチン接種数の増加と自閉症との関連を示唆しているが、米国小児科学会は「数百万人を対象とした多くの研究で関連がないことが示されている」と反論し、今回の見直しを「危険で誤解を招く」と批判している。WHOも、ワクチンと自閉症との因果関係を示す証拠はなく、MMRを単独接種に分ける医学的利点を裏付ける根拠もないとしている。さらに、麻しん・風しん・おたふく風邪の単独ワクチンは現在米国内では入手ができず、分割接種には製造体制の整備が必要となる。接種回数や受診回数の増加により、接種完遂率が低下するとの懸念も強い。米国では今年、8月6日時点で麻疹患者が2,465人に達しており、専門家はワクチン忌避の拡大がさらなる流行につながる可能性を警告している。なお、接種義務の決定権は各州にあり、大統領令のみでただちに接種スケジュールや保険適用が変更されるわけではない。 参考 1) 米、混合ワクチンを個別接種に 推奨対象も削減(共同通信) 2) 「ワクチンと自閉症が関連」が持論のトランプ氏、混合ワクチンを別々に接種する方針打ち出す…感染リスク拡大の恐れ(読売新聞) 3) 米医師ら、トランプ氏の大統領令に懸念 家庭でのワクチン離れにつながるか(CNN) 6.沢井製薬が46品目販売中止、低薬価・設備老朽化で安定供給が課題に/沢井沢井製薬は、後発医薬品22成分46品目について、在庫がなくなり次第、順次販売を中止すると医療関係者に通知した。大半は安定供給体制の構築と生産効率改善を目的とした製品構成の見直しによるもので、一部は協業する日医工グループ製品などへ統合する。対象にはアテノロール、アマルエット配合錠、アルファカルシドール、エバスチン、クアゼパム、テルミサルタンOD錠、ドネペジル、ニフェジピン、フルボキサミン、ブロナンセリン、メマンチンなど、日常診療で処方される薬剤も多数含まれる。沢井製薬は各品目について代替品・代替候補品を提示している。たとえばアマルエット配合錠はアムロジピンとアトルバスタチンの単剤、セチリジンOD錠は通常錠、ドネペジル錠は同社OD錠への切り替えが候補とされている。在庫消尽時期は品目ごとに異なり、多くは2027年4月だが、プロブコールは2026年10月、ザルトプロフェンやプロピベリン20mgは同年11月、ニフェジピンカプセルは2028年3月とされる。その一方で、アテノロールやアルファカルシドール、クアゼパムなどはすでに供給停止中となっている。経過措置期間の満了は2028年3月の予定。背景には後発薬業界の構造的な供給問題がある。日本製薬団体連合会の調査では、医療上の必要性が高い2,882品目のうち255品目、約9%で将来の供給継続が困難と回答された。主因は薬価低下や製造設備の老朽化であり、なかには全身麻酔薬や注射用抗菌薬など重要薬も含まれている。臨床現場では今後、単なる銘柄変更だけでなく、剤形や規格、配合剤から単剤への変更が必要となるケースもあり、処方時には院内採用品や地域薬局の在庫状況を含めた確認が求められる。 参考 1) 販売中止品目のお知らせ(沢井製薬) 2) 沢井製薬、後発薬46品目を販売中止へ 供給安定へ製品構成見直し(日経新聞) 3) 沢井製薬が46品目、高田製薬が31品目を販売中止に(日経メディカル) 4) 重要度高い薬「供給継続できず」1割 低薬価や老朽化で、日薬連調査(日経新聞) 5) 医療用医薬品供給状況報告(厚労省)

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「ロケルマ」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第88回

第88回 「ロケルマ」の名称の由来は?販売名ロケルマ®懸濁用散分包5gロケルマ®懸濁用散分包10g一般名(和名[命名法])ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(JAN)効能又は効果高カリウム血症用法及び用量通常、成人には、開始用量として1回10gを水で懸濁して1日3回、2日間経口投与する。なお、血清カリウム値や患者の状態に応じて、最長3日間まで経口投与できる。以後は、1回5gを水で懸濁して1日1回経口投与する。なお、血清カリウム値や患者の状態に応じて適宜増減するが、最高用量は1日1回15gまでとする。血液透析施行中の場合には、通常、1回5gを水で懸濁して非透析日に1日1回経口投与する。なお、最大透析間隔後の透析前の血清カリウム値や患者の状態に応じて適宜増減するが、最高用量は1日1回15gまでとする。警告内容とその理由設定されていない禁忌内容とその理由設定されていない※本内容は2026年8月17日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2025年10月作成(第6版)医薬品インタビューフォーム「ロケルマ®懸濁用散分包5g、ロケルマ®懸濁用散分包10g」

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肝臓病には必ず肝不全用輸液製剤?【ケースで学ぶ輸液オーダー】第6回

肝臓病には必ず肝不全用輸液製剤?「アミノレバン」には経口薬のアミノレバンENと輸液製剤のアミノレバンがあり、ややこしいですね。研修医時代は経口薬をそっくり置き換えたのが輸液製剤だと思っていましたが、それは間違いです。今回は肝疾患の患者さんにおける栄養療法を再確認しましょう。栄養療法の原則は経口・経腸栄養ですが、静脈栄養が必要となることもあります。アミノ酸投与に関して、次の肝疾患の患者さんには、(1)〜(3)のどれが適切な選択でしょうか?(1)アミノレバンを使用する(2)標準的な組成のアミノ酸を含む一般用静脈栄養製剤を使用する(3)アミノ酸は投与しない症例症例1 代償性肝硬変68歳男性、C型肝炎後肝硬変(Child-Pugh A)。癒着性腸閉塞の手術予定で絶食中。AST42U/L、ALT 38U/L、T-Bil 1.0mg/dL、Alb 3.7g/dL、NH3 38μg/dL。意識清明。症例2 非代償性肝硬変72歳男性、アルコール性肝硬変(Child-Pugh C)。食道静脈瘤治療歴、腹水あり。誤嚥性肺炎で入院。数日間絶食予定。T-Bil 4.0mg/dL、Alb 2.3g/dL、PT 45%、NH3 55μg/dL。意識清明、羽ばたき振戦なし。症例2の続き入院3日目、便秘と感染を契機に傾眠傾向となり、NH3 165μg/dL。羽ばたき振戦あり。症例3 劇症肝炎(急性肝不全)35歳女性。3日前から発熱、全身倦怠感、黄疸が出現し、会話のつじつまが合わないことに家族が気付き救急搬送された。来院時は傾眠傾向、羽ばたき振戦を認める。AST 5,240U/L、ALT 4,980U/L、T-Bil 11.8mg/dL、PT 23%、NH3 172μg/dL、血糖 52mg/dL。集中治療室へ入室した。経口用と輸液用のアミノレバンの違い輸液製剤のアミノレバンは、分岐鎖アミノ酸(BCAA)を含む経口剤とは異なり、栄養補充を目的としたものではありません。肝性脳症を改善させるためのアミノ酸インバランスの是正が主な役目です1,2)。経口剤のように栄養療法として継続使用する想定ではなく、あくまでも肝性脳症に対する治療薬という位置づけです。ちなみに肝不全用アミノ酸輸液製剤は一般用静脈栄養製剤と同様、2020年より「透析又は血液ろ過を受けている患者」が禁忌対象から除外されました。現在は肝性脳症を来した透析患者さんにもアミノレバンは投与可能です3)。肝疾患における栄養療法の考えかた~タンパクの取り扱い通常、肝硬変患者では安静時エネルギー消費量が増加しており、エネルギー摂取量の目標は耐糖能異常がない場合は25~35kcal/kg(標準体重)/日とされ、飢餓状態を短くするために1日3〜5回の分割食と就寝前軽食が推奨されています。タンパク摂取量の目標は、タンパク不耐症がない肝硬変患者の場合は1.0~1.5g/kg/日(BCAA製剤を含む)、タンパク不耐症がある肝硬変患者の場合は0.5〜0.7g/kg/日+BCAA高含有肝不全用経腸栄養剤とされます。肝性脳症時であっても、タンパク制限は窒素平衡を負に傾け、体タンパクの分解を促進するため推奨されません1,2)。一方、劇症肝炎では、血漿中の全てのアミノ酸濃度が高くなっており、BCAAを含めてアミノ酸投与は回避しなくてはなりません2)。表1 肝疾患とタンパク必要量画像を拡大する各症例の考え方タンパク不耐性、すなわち肝性脳症がなければ通常の栄養管理を行うことが原則であり、アミノレバンは肝硬変の栄養輸液ではなく「肝性脳症の治療薬」であることを念頭に考えましょう。症例1、症例2はいずれも肝性脳症を伴わない肝硬変患者であり、静脈栄養に際しては(2)の一般用静脈栄養製剤を使用します。しかし症例2の続きでは肝性脳症を併発しており、このときに初めて(1)のアミノレバンを選択して治療します。症例3は劇症肝炎による急性肝不全であり、アミノ酸投与は禁忌のため(3)となります。この場合、輸液は糖電解質輸液を基本とし、血漿交換が行われることでしょう。アミノレバンは栄養輸液ではなく肝不全治療薬です。栄養療法におけるアミノ酸輸液とは切り離して考えましょう。肝不全用アミノ酸製剤を深堀りする肝硬変では、肝機能の低下や筋肉量の減少に伴って代謝に異常が生じます。とくに筋肉でのアンモニア処理にBCAAが消費されてBCAAが低下し、逆に芳香族アミノ酸(AAA)が増加することで、アミノ酸インバランス(フィッシャー比の低下)を引き起こします。Fischerらはこのフィッシャー比の低下に着目し、BCAA含有量を増加させ、含硫アミノ酸やAAAを減少させたFischer処方を考案しました。この特殊組成アミノ酸輸液(Fischer液)により血漿アミノ酸インバランスを是正し、肝性脳症における意識障害の改善に成功しました。このFischer液をそのまま製剤化したものがアミノレバンです4)。アミノレバンは、肝不全時のアルカローシスを増強しないようCl-を多く含んでおり、Na+との間に乖離(Na+:14mEq/L、Cl-:94mEq/L含有)があるため、高クロール性代謝性アシドーシスに注意が必要です。腎機能障害のない患者でもアシドーシスを引き起こす可能性があり、軽度~中等度の慢性腎臓病患者(eGFR:30~60mL/分/1.73m2)では発生率が有意に高いことが報告されています5)。投与開始直後からリスク上昇がみられるため、意識障害の改善が得られた時点で速やかに経口によるBCAA補充への変更を検討する必要があります。表2 アミノレバンと一般アミノ酸製剤(アミパレン)の比較画像を拡大する1)日本消化器病学会・日本肝臓学会編. 肝硬変診療ガイドライン2020(改訂第3版). 南江堂;2020.2)日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)編.JSPENコンセンサスブック2 肺疾患/肝疾患/腎疾患. 医学書院;2023.3)今回の「使用上の注意」改訂の経緯と課題について / 日本栄養治療学会4)高橋 善彌太ほか. 臨床医薬. 1982;31:175-185.5)Kaji K, et al. Biol Pharm Bull. 2025;48:46-50.

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低ナトリウム血症、腎機能が高くても低くてもリスク上昇

 低ナトリウム血症は日常診療でよく遭遇する電解質異常だが、腎機能との関連は十分に明らかになっていなかった。今回、日本の外来患者13万人超を対象とした解析で、腎機能と低ナトリウム血症リスクにはU字型の関連が認められ、腎機能が高い場合と低い場合の双方でリスクが上昇することが報告された。研究は聖路加国際病院腎臓内科の長浜正彦氏らによるもので、詳細は6月25日付の「Clinical and Experimental Nephrology」に掲載された。 低ナトリウム血症は、血液中のナトリウム濃度が低下した状態で、体内の水分バランスを調節する仕組みの異常などによって生じる。腎機能が低下すると余分な水を排泄する能力が低下するため、低ナトリウム血症のリスクが高まると考えられている。一方、腎機能と低ナトリウム血症との関連については、これまで主に慢性腎臓病患者や入院患者を対象に検討されており、腎機能が保たれた外来患者を含めた大規模な検討は十分に行われていなかった。こうした背景から、著者らは成人外来患者を対象に、腎機能と低ナトリウム血症との関連を検討した。 著者らは、聖路加国際病院(東京)において、2010年4月~2020年3月に外来を受診した成人患者を対象とする後ろ向き横断研究を実施した。血清ナトリウム値、血清クレアチニン値、尿検査のデータが同一受診日にそろっている患者を抽出し、透析患者などを除外した13万194人を解析対象とした。血清ナトリウム値135mEq/L以下を低ナトリウム血症と定義し、推算糸球体濾過量(eGFR)と低ナトリウム血症との関連を、多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。解析では、年齢や性別に加え、併存疾患や薬剤使用、各種臨床因子の影響を調整した。また、低ナトリウム血症患者では、尿浸透圧/血漿浸透圧比を指標として、eGFRと尿濃縮能との関連も検討した。 低ナトリウム血症の有病率は4.3%だった。低ナトリウム血症患者は、低ナトリウム血症のない患者と比べて高齢で、併存疾患が多かった。 低ナトリウム血症の有病率は、eGFRが70~80mL/min/1.73m2の群で最も低く、それよりeGFRが低い場合と高い場合のいずれでも増加し、腎機能と低ナトリウム血症リスクにはU字型の関連が認められた。特に、高eGFR群では有病率の上昇が顕著だった。 多変量解析では、併存疾患や薬剤使用を調整後もこの関連は維持された。さらに、炎症やバソプレシンによる水分調節に関連する臨床・検査因子を調整すると、eGFRが低い群で認められたリスク上昇は大きく減弱した一方、高eGFR群ではリスク上昇が持続した。完全調整モデルでは、eGFR 150mL/min/1.73m2以上の群のオッズ比は4.63(95%信頼区間 3.73~5.75)、eGFR 10mL/min/1.73m2未満の群では1.56(95%信頼区間 1.02~2.39)だった。 また、低ナトリウム血症患者では、高eGFR群ほど尿浸透圧/血漿浸透圧比が高く、尿濃縮能が保たれていた。 著者らは、「低ナトリウム血症は腎機能低下例だけでなく、腎機能が比較的保たれた患者でもその可能性を考慮すべきである」としている。また、高eGFR群と低eGFR群では低ナトリウム血症の発症機序が異なる可能性があると考察しており、高eGFR群では保たれた尿濃縮能とバソプレシンの作用が、低eGFR群では腎機能低下そのものやネフロン機能の低下など複数の要因が発症に関与している可能性があるとしている。 なお、本研究は横断研究のため因果関係は不明であり、尿濃縮能やバソプレシンを直接評価していない点などが限界として挙げられた。 本研究は、外来患者13万人超を対象に、腎機能が保たれた患者も含めて低ナトリウム血症との関連を検討した大規模解析であり、腎機能の高低で背景機序が異なる可能性を示した点が注目される。

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第307回 特定健診は初の6割台 メタボ該当・予備群は880万人で横ばい/厚労省

<先週の動き> 1.特定健診は初の6割台 メタボ該当・予備群は880万人で横ばい/厚労省 2.熊本地震で病院船が初出動 DMAT・JMATなど災害医療チームも活動/熊本県 3.OTC類似薬「薬剤費25%」が患者負担に、長期処方での配慮対象は限定的/厚労省 4.医療・介護AIに重点投資 AX・DX推進本部を設置/厚労省 5.国立大学の経営危機、東大にも波及 研究力低下への懸念強まる/東大ほか 6.正常な脳組織を誤って摘出 50代女性が自発呼吸不能の重篤状態/京大 1.特定健診は初の6割台 メタボ該当・予備群は880万人で横ばい/厚労省厚生労働省は、2024年度の特定健康診査・特定保健指導の実施状況を公表した。特定健診の対象者は約5,142万人、受診者は約3,161万人で、実施率は61.5%となり、前年度から1.6ポイント上昇した。2008年度の制度開始時は38.9%で、今回初めて6割を超えた。国は2029年度までに70%以上の実施を目標としている。性別では男性65.9%、女性57.0%で、男性が8.9ポイント高かった。年齢別では45~49歳が66.8%で最も高く、60歳未満ではおおむね6割台を維持した一方で、65~69歳は52.8%、70~74歳は47.5%まで低下した。保険者別では健康保険組合83.8%、共済組合83.3%に対し、全国健康保険協会60.6%、市町村国保38.8%と大きな差がみられた。特定保健指導は、対象者約524万人のうち約148万人が終了し、実施率は28.3%。前年度から0.7ポイント上昇し過去最高を更新したものの、2029年度目標の45%以上とはなお大きな開きがある。保険者別では単一健康保険組合が46.1%で最も高く、小規模市町村国保が45.3%で続いた。メタボリックシンドロームの該当者・予備群は約880万人で、2008年度比では17.2%減少しており、減少幅は前年度から横ばい推移となった。また、特定健診受診者の31.1%は高血圧症、糖尿病、脂質異常症の治療薬を1種類以上服用していた。受診率は着実に改善しているが、年齢や保険者による格差の縮小に加え、健診後の保健指導や必要な治療へ確実につなげることが今後の課題となる。 参考 1) 2024年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況(厚労省) 2) 特定健診、実施率は61.5%に上昇 24年度、保健指導は28.3%(MEDIFAX) 3) 特定健診実施率、初の6割超え24年度 29年度までに7割以上目標 厚労省(CB news) 2.熊本地震で病院船が初出動 DMAT・JMATなど災害医療チームも活動/熊本県政府は8月5日、7月28日に発生した令和8年熊本地震で多数の医療機関が被災した熊本県八代市の八代港で、防衛省による民間船舶(PFI船)を活用した医療提供(船舶活用医療)を初めて実施した。熊本県知事が8月1日に国へ要請したもので、2021年成立の「災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律」に基づく初の船舶活用医療となる。内閣府、防衛省、熊本県に加え、日本赤十字社、DMAT、JMATなどが連携。船内では発熱などの内科診療、熱中症や軽傷への対応、薬の処方などを行い、併せて被災者への入浴支援も実施した。8月5日午後2時から医療提供を開始し、初日の医療利用者は13人、活動した医療従事者は23人だった。その一方で、「はくおうII」への乗船者は187人、うち182人が入浴支援を利用した。台風13号の接近に伴い、同船は6日午前6時に八代港を出港し、医療提供も一時中断している。被災地ではDMAT、DPAT、日赤救護班、災害支援ナース、JMATなども活動を継続している。透析は一時13施設で実施が困難となったが、8月6日時点で実施困難な2施設についても他院での透析が手配済みとなった。船舶は陸上の医療機関やライフラインが被災した際にも、医療、衛生、生活支援を一体的に提供できる新たな災害医療拠点として期待される一方で、今回の台風による中断は、気象条件に左右される運用上の課題も示した。 参考 1) 令和8年熊本地震に係る被害状況等について(内閣府) 2) 令和8年熊本地震における船舶活用医療の実施について(同) 3) 熊本の被災地にあすから「病院船」、防衛省の船舶活用し初の取り組み…内科診療や熱中症治療・薬の処方も(読売新聞) 4) 防衛省チャーター舶「はくおうII」が入浴や医療提供 断水や猛暑に苦しむ熊本の被災者支援(産経新聞) 5) 避難者支援で医療チームが相次ぎ活動 熊本地震 DMAT・DPAT・災害支援ナースなど(CB news) 3.OTC類似薬「薬剤費25%」が患者負担に、長期処方での配慮対象は限定的/厚労省厚生労働省は8月5日、「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会」で中間とりまとめを了承した。2027年3月から、市販薬と成分・投与経路が同一で1日最大用量も異ならないOTC類似薬について、薬剤費の25%相当を保険給付の対象外とし、通常の1~3割の自己負担とは別に「特別料金」として患者が負担する。8月時点の対象は77成分1,042品目で、解熱鎮痛薬、抗アレルギー薬、湿布、保湿剤など日常診療で使用頻度の高い薬剤が含まれる。ただし、一定の患者や使用場面には配慮措置を設ける。がんや指定難病の患者、公費負担医療の対象者は、原疾患や治療に関連する症状への処方であれば追加負担の対象外とする一方で、花粉症など原疾患と無関係な症状への処方は対象となる。18歳未満の子供や入院中・退院時の処方も対象外。外来・在宅でも、生検、処置、手術など侵襲的医療行為に伴い新たに処方する薬は原則14日分まで対象外とする。長期使用の扱いも焦点となる。内服薬は年間おおむね50週の処方が目安で、診療情報提供書、お薬手帳、オンライン資格確認の薬剤情報などで処方歴を確認する。初診で過去の処方歴が確認できない場合は、少なくとも6ヵ月間の症状の持続・反復と薬剤使用を確認した上で、医師が通年使用を必要と判断する。外用薬はさらに条件が厳しく、湿布などの鎮痛消炎外用薬は長期使用でも原則追加負担となる。ただし2028年度末までは、画像検査で重度の変形性膝関節症などが確認され、医師が毎日の継続使用を必要と判断する場合に限り対象外とする。アトピー性皮膚炎に対するヘパリン類似物質や尿素の通年使用は対象外となる。また、医療用薬とOTC薬で効能・効果が一致しない場合は追加負担を求めない。たとえばフェキソフェナジンは、OTCにない蕁麻疹や皮膚疾患に伴うそう痒への使用では対象外となる一方で、アレルギー性鼻炎では原則対象となる。7月にOTC薬が発売された睡眠薬ラメルテオンも対象成分に追加された。今回の制度変更は現場にも大きく影響する。医療機関には対象外と判断した根拠を診療報酬請求書などに記載することが求められる方向で、処方箋様式の変更や電子カルテ、レセコン改修も見込まれる。検討会でも、医師や薬剤師の確認業務が過度に複雑にならない簡素な運用を求める声が相次いだ。厚労省は8月6日から中間とりまとめへのパブリック・コメントを実施しており、8月20日が締め切りとなっている。全国保険医団体連合会(保団連)は、慢性疾患でも配慮対象にならないケースが多いうえ、対象外か否かを判断する医療現場の負担が大きいとして、医療関係者らに厚労省のパブコメへ意見を提出するよう呼びかけている。意見はe-Govのパブリック・コメントから提出できる。厚労省は今後、さらに医療保険部会や中医協で議論し、今秋に省令・告示、関連通知などを取りまとめる予定。 参考 1) 第4回OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会(厚労省) 2) 「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ」について(同) 3) 入院患者は追加負担対象外 OTC類似薬で厚労省案 がんの主たる疾患や副作用の薬も(産経新聞) 4) OTC類似薬の技術的検討会が中間取りまとめ 湿布薬は慢性・重度の変形性膝関節症は除外 対象1042品目(ミクスオンライン) 5) OTC類似薬保険除外 厚労省が配慮措置(中間とりまとめ)のパブコメ募集開始 8月20日まで(保団連) 6) 湿布は長期使用でもOTC類似薬の追加負担に 厚労省検討会で了承(朝日新聞) 7) OTC類似薬の患者特別負担の詳細固まる、アトピーへの「ヘパリン類似物質・尿素」通年処方は特別負担対象外-厚労省技術的検討会(Gem Med) 8) OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ」に関する意見公募の実施について(パブリック・コメント) 4.医療・介護AIに重点投資 AX・DX推進本部を設置/厚労省厚生労働省は8月5日、医療・介護・福祉分野でAIやデジタル技術の活用を推進する「厚生労働省ヘルスケアAX・DX推進本部」の初会合を開いた。本部長を務める上野 賢一郎厚労相は、従来の医療DXに加え、AIトランスフォーメーション(AX)も省を挙げて戦略的、総合的に推進する方針を示し、各部局に2027年度予算の概算要求へ必要な事業や経費を盛り込むよう指示した。推進本部は、これまで各部局で進めてきたAI・DX関連施策を一元的に把握し、全省的に加速させる司令塔として4日に発足した。本部長に厚労相、副本部長に事務次官、厚生労働審議官、医務技監などを置き、関係部局長が参加するほか、「AI for ヘルスケア成長戦略室」を新設し、迫井 正深医務技監を室長として、具体的施策の検討や関係省庁との調整を行う。背景には、政府が日本成長戦略で「AI・半導体」を17の戦略分野の1つに位置付けたことがある。医療・介護ではAIロボットなどの「フィジカルAI」、医療・介護・福祉では領域特化型の「バーティカルAI」の開発・導入を進める。政府はフィジカルAIで2040年に世界シェア3割超、市場規模20兆円、バーティカルAIでは2030年までに世界で5兆円超の市場獲得を目標に掲げる。看護記録などの文書作成や福祉相談業務を支援するAIの普及、研究開発・実証、AI活用に必要なデータ基盤の整備などが想定される。創薬・先端医療でも、AIやデータ活用による研究開発プロセスの高度化・効率化を推進する。政府は成長戦略で新設した、予算要求上限を設けない「『強く豊かな日本』投資枠」も活用し、官民投資を促す方針。厚労省は今後、8月末の概算要求に向けて施策を具体化する。 医療DXが電子化や情報連携を中心としてきたのに対し、今後は診療・看護・介護など実務そのものをAIで変革するAXへ政策領域が広がることになる。 参考 1) 第1回厚生労働省ヘルスケアAX・DX推進本部 資料(厚労省) 2) 医療や介護のAI活用を支援 厚労省が推進本部設置(日経新聞) 3) 厚労省 ヘルスケアAX・DX推進本部が初会合 上野厚労相「日本成長戦略実現に向け概算要求へ」(ミクスオンライン) 4) 政府が医療・介護分野でAI活用推進へ「ヘルスケアAX・DX推進本部」初会合(CB news) 5.国立大学の経営危機、東大にも波及 研究力低下への懸念強まる/東大ほか東京大学が2026年度に2年連続の最終赤字となる見通しであることがわかった。国立大学法人化した2004年度以降、2年連続の赤字は初めて。25年度は数十億円、26年度は約40億円の赤字を見込み、大学の「貯金」に当たる繰越金も数年で枯渇する可能性がある。財務状況が改善しなければ、研究者数の削減など研究・教育体制の縮小も避けられないという。東大の年間収入は約3,000億円で国立大学最大規模。24年度は運営費交付金や補助金が約969億円、附属病院収入が約585億円、企業との共同研究や大型研究事業などの外部資金が約1,160億円だった。その一方で、実験機器・材料などの物件費は約1,794億円、人件費は約1,105億円に上る。人事院勧告に伴う給与上昇で人件費は5年間で約100億円増加し、物価高による研究機器や資材価格の上昇も経営を圧迫している。背景には国立大学法人全体の構造問題がある。国からの運営費交付金は26年度で1兆971億円と、法人化した04年度から1,445億円減少。科研費は増えたものの、その増加は649億円にとどまり、基盤的経費の減少を補えていない。わが国の大学の研究開発費も2000年から23年までに1.2倍にとどまり、米国の2.1倍、中国の16.5倍と大きな差がある。大学病院の経営難も大学本体に影響する。国立大学病院44施設のうち25年度は31病院が赤字となる見通しで、経常赤字は計244億円。高度医療や希少疾患診療では高額医薬品・資材の使用が避けられず、診療収入だけではコスト増を吸収しにくい。東大は国際卓越研究大学への認定を目指しているが、文部科学省による審査が継続中となっており、認定見送りとなれば財政改善はさらに厳しくなる。国立大学の研究力と高度医療を維持するため、安定した基盤財源の確保が改めて問われている。 参考 1) 東大が2年連続赤字へ 「貯金」数年で枯渇、研究者の削減不可避(日経新聞) 2) 国立大学法人モデル、岐路に 東大も自立運営困難 収入増、規制が足かせ 研究開発費は20年横ばい(日経新聞) 6.正常な脳組織を誤って摘出 50代女性が自発呼吸不能の重篤状態/京大京都大学医学部附属病院は8月7日、50代女性の脳腫瘍摘出手術で、腫瘍ではない正常な脳組織を誤って摘出し、脳幹などを損傷する医療事故があったと発表した。患者は術後、自発呼吸ができず人工呼吸器による管理が続き、手足も動かない重篤な状態となっている。病院によると、患者はめまいやふらつきはあったものの、手術前は生活に大きな支障はなく通常の生活を送っていた。検査により小脳橋角部に約3cmの良性腫瘍「髄膜腫」が疑われ、7月末に全身麻酔下で開頭手術を受けた。執刀したのは40代の脳神経外科医で、医師として20年以上の経験があり、同様の手術を約100例担当していた。手術中には、摘出した組織の一部を調べる術中病理診断が行われ、「腫瘍ではない」との結果が2度示された。それでも執刀医は、腫瘍の端の組織を採取したため腫瘍成分が含まれていなかった可能性があるなどと判断し、摘出を継続したという。約10時間の手術後も患者の意識や呼吸が十分に回復しなかったためMRI検査を実施したところ、本来摘出する予定だった腫瘍は残存しており、右小脳扁桃や呼吸機能に関わる脳幹の側面から背側にかけて大きな損傷があることが判明した。脳幹には呼吸など生命維持に不可欠な機能を担う神経中枢が集まっており、患者は現在も人工呼吸器を必要としている。京大病院は医療事故として患者と家族に謝罪し、厚生労働省や京都府警など関係機関にも報告した。高折 晃史病院長は「患者と家族に心よりおわび申し上げる」と陳謝。病院側は、執刀医の判断ミスや思い込みが影響した可能性にも言及しており、今後、外部有識者を含む事故調査委員会を設置し、手術中の判断過程や安全確認体制を検証し、原因究明と再発防止を進める方針だ。 参考 1) 脳腫瘍摘出術中の誤認による摘出部位誤り事例について(京大医学部附属病院) 2) 京都大病院、正常部位摘出し脳幹損傷 患者は重篤な状態(日経新聞) 3) 京大病院で医療事故 脳腫瘍の手術で誤って正常な脳の一部摘出(NHK) 4) 京都大病院が脳腫瘍手術で誤って正常な組織摘出、50代女性患者は呼吸に関わる脳幹損傷・人工呼吸器装着つづく(読売新聞)

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岐阜大学医学部 泌尿器科【大学医局紹介~がん診療編】

古家 琢也 氏(教授)飯沼 光司 氏(講師)谷口 友規 氏(助教)富岡 奨幸 氏(助教)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴岐阜大学医学部附属病院泌尿器科・腎移植外科では、膀胱がん、前立腺がん、腎細胞がん、上部尿路上皮がんなどの、泌尿器科で扱う多くの悪性腫瘍に対する治療を行っています。進行がんや転移を有するがんであっても、薬物療法と手術療法を組み合わせることで、可能な限り、完治を目指した治療に取り組んでいます。手術に関しては、ロボット支援手術(後述)のみならず、腹腔鏡手術や開腹手術も行っており、さまざまな術式を学べる環境が整っています。とくにロボット手術に関しては症例数も多く、ロボット支援膀胱全摘除術の年間症例数は、3年連続で日本一を誇っています。当科の特徴として、若手教育が一番重要と位置付けており、関連病院と連携して、若手の教育、とくに手術教育に力を入れています。研修終了後に泌尿器科に入局後は、すぐに前立腺生検や、内視鏡を使用した膀胱腫瘍切除術、経尿道的尿管結石破砕術などを担当していただきます。技術の成長を見て、腹腔鏡手術やロボット手術の執刀を担当します。関連病院のほとんどに手術支援ロボットが導入されていますので、早ければ4年目からロボット手術の経験を積むことができます。また、若手教育をしない病院には医師を派遣しないことにしているため、どの関連病院でも、若手医師に対し熱心に指導していただいています。また、基礎研究や論文執筆も担当していただいており、その教育にも力を入れています。臨床・基礎の両面で、日本トップレベルの医師を育成し、世界でも活躍できるような医局にすることを目標に、日々全員で研鑽を積んでいます。力を入れている治療/研究テーマ腎がんを対象に、薬物療法や手術・放射線治療を組み合わせた集学的治療に関する臨床研究を行っています。多施設共同研究を推進し、その成果を国内外の学会や英文論文で発信しています。また、臨床検体を用いた基礎研究では、腎がんの診断・治療効果予測に有用なバイオマーカーの探索や、薬物療法の効果予測モデルの開発に取り組んでいます。同医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力腎がん診療では、手術・薬物療法・放射線治療を組み合わせ、個々の患者さんに最適な治療を考える力が求められます。当科では、豊富で多様な症例を経験できることが大きな魅力です。また、日常診療で生じた疑問を研究へ発展させ、診療と研究を両立できる環境が整っています。自ら得た知見を新たなエビデンスとして発信し、将来の腎がん診療の発展に貢献できることが、やりがいであり魅力です。力を入れている治療岐阜大学泌尿器科では、前立腺がん、膀胱がん、腎がんを中心とした泌尿器がん診療に力を入れており、とくにロボット支援手術を積極的に行っています。なかでもロボット支援膀胱全摘除術は全国有数の症例数を誇り、その手術手技を学ぶために全国の施設から多くの医師が見学に訪れています。また、周術期治療や薬物療法を含めた集学的治療に取り組むとともに、多施設共同研究やリアルワールドのデータ解析を行い、学会発表および論文執筆を通じて積極的に発信しています。医局の雰囲気、魅力当科の魅力は、出身大学の垣根を越えた風通しのよい医局文化です。岐阜大学出身者だけでなく他大学出身の医師も多数在籍し、互いに切磋琢磨しながら診療・研究に取り組んでいます。若手教育にも力を入れており、ハンズオントレーニングやカダバー実習を通じて手術手技を学べる環境を整えています。さらに若手のうちから執刀機会を積極的に提供し、段階を経ながら徐々に難易度の高い手術にステップアップできるように指導しています。近年は女性医師も増加しており、出産・育児などライフイベントに応じた柔軟な勤務体制のもと、多様なキャリア形成を支援しています。技術の習得、研究活動、働きやすさをバランスよく実現できることが当科の大きな強みです。これまでの経歴岐阜大学医学部を卒業後、市中病院で初期研修を修了し、岐阜大学泌尿器科へ入局しました。現在は医師10年目です。これまで県内の中核病院3ヵ所で勤務しながら、泌尿器科診療全般にわたって幅広く経験を積んできました。地域の中核病院での診療を通じて、さまざまな症例に触れられたことは大きな財産になっています。現在は同医局で助教を務めています。同医局を選んだ理由入局を決めた一番の理由は、若手の医師が多く、活気にあふれた雰囲気に魅力を感じたことです。見学や研修を通じて、上級医との距離が近く、何でも相談しやすい環境であることが伝わってきました。また、私は県の奨学金制度を利用しており、卒業後は県内の指定病院に一定期間従事する必要がありましたが、本医局では関連病院への配置を丁寧に調整していただき、義務年限を無理なく消化しながらキャリアを積むことができました。さらに、専門医や腹腔鏡技術認定医の取得に向けても、症例の経験やトレーニングの機会を計画的にサポートしていただきました。こうした柔軟で面倒見のよい体制も、安心して入局を決められた大きな要因だと感じています。岐阜大学医学部 泌尿器科住所〒501-1194 岐阜県岐阜市柳戸1-1問い合わせ先iinuma.koji.s0@f.gifu-u.ac.jp(飯沼 光司)医局ホームページ岐阜大学大学院医学系研究科泌尿器科専門医取得実績のある学会日本泌尿器科学会日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会日本内視鏡外科学会日本ロボット外科学会日本癌治療学会日本移植学会日本臨床腎移植学会日本透析医学会研修プログラムの特徴(1)当科の研修プログラムは、基幹施設である岐阜大学医学部附属病院と14の連携施設で構成されています。症例数の多い施設で、質・量ともに充実した研修が可能です。(2)ロボット支援手術、腹腔鏡手術、小児・女性泌尿器科、透析医療、生殖医療など、幅広い領域とサブスペシャリティを経験できます。(3)岐阜大学医学部附属病院では早期から臨床・基礎研究にも取り組むことができ、大学院進学や専門分野の研修にも対応しています。詳細はこちら

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損害賠償が高額となる場合って?【医療訴訟の争点】第23回

症例医療訴訟の損害賠償額はどのように決定付けられるのか。腰部脊柱管狭窄症に対する腰椎後方除圧術中に馬尾神経が切断され、患者に重篤な後遺障害が残存した事案についての神戸地裁姫路支部令和7年5月14日判決を紹介する。<登場人物>患者74歳・女性(令和2年当時)原告患者およびその長女被告市立病院を開設する市および執刀医事案の概要は以下の通りである。令和元年(2019年)12月20日腰痛を主訴として被告病院を受診。腰部脊柱管狭窄症が疑われた。令和2年(2020年)1月6~8日検査入院し、脊髄造影検査(ミエログラフィー)などを実施。重度の腰部脊柱管狭窄症と診断された。また、残尿も認められた。1月17日担当医(A医師)から、重度の腰部脊柱管狭窄症であり早期手術が望ましいこと、腎機能がさらに悪化すれば人工透析となる可能性があることなどの説明を受け、患者は手術に同意した。1月20日手術目的で入院。1月22日腰椎後方除圧術(本件手術)を施行。執刀医(A医師)は、第2・第3腰椎間の除圧操作中、視野が十分確保されていないにもかかわらずスチールバーによる骨切除を継続した。その結果、バーが硬膜を損傷し、逸脱した馬尾神経を巻き込んで複数本を切断した。助手医師(上級医である脳神経外科部長)が交代して馬尾神経の修復処置を行い、手術は終了した。手術後患者には、両下肢麻痺、自力での起立・歩行不能、重度の膀胱直腸障害、腰部から下肢にかけての強い神経障害性疼痛が残存した。5月頃主治医がA医師から脳神経外科部長に交代し、その後もリハビリや疼痛管理が継続された。6月病院は、本件医療事故を医療過誤と判断し、患者家族に謝罪した。10月23日神経障害は改善が見込めないとして症状固定と診断された。後遺障害は、自動車損害賠償保障法施行令別表第一1級1号(常時介護を要するもの)相当と評価された。令和3年(2021年)1月28日患者は入院継続中、病室内で転倒し、右脛骨・腓骨骨折などを受傷した。患者にはそれ以前から複数回の転倒歴があり、病院では離床センサー付きベッドなどの転倒防止策を講じていたが、この転倒事故についても病院の安全配慮義務違反があったかが争われた。3月病院は代理人弁護士を通じ、本件医療事故について適正な損害賠償を行う意向を通知した。8月執刀医は病院を退職した。令和4年(2022年)病院は院内事故調査を実施し、本件を含む複数の医療事故について検証を行った。また、記者会見を開き、一連の医療事故について公表・謝罪した。さらに、医療安全管理体制等について外部機関から改善を求められた。令和5年(2023年)患者は約3年間の入院生活を経て退院し、その後は転院、自宅療養及び特別養護老人ホームへの入所を経ながら療養を継続した。 実際の裁判結果本件では、本件手術(腰椎後方除圧術)中の馬尾神経損傷について執刀医に手技上の過失があることについては被告病院側も争っていないため、以下の2点が主な争点となった。(1)本件手術により本件患者に生じた後遺障害に対する損害額、とくに後遺障害慰謝料をどの程度認めるべきか(2)長期入院中に発生した転倒事故について病院に安全配慮義務違反があったか1)本件手術により患者に生じた損害について裁判所は、本件患者につき、以下(1)~(13)の合計約8,670万円を、本件患者の娘につき、固有の慰謝料として200万円を、それぞれ損害として認めた。(1)治療関係費詳細はこちら裁判所は、(ア)本件手術に係る入院日(令和2年1月20日)から本件症状固定日(同年10月23日)までの治療関係費のほか、(イ)本件症状固定日(令和2年10月23日)以降の治療関係費について、「本件症状固定日以降も、本件医療事故による神経障害性疼痛等の症状に対する投薬治療やリハビリ等がされており、主治医は、リハビリを中止した場合、症状が増悪する可能性が高いと診断したことが認められるから、本件症状固定日以降も本件患者に対するリハビリなどの必要性は高く、主治医の判断に基づき継続された治療やリハビリであると認められる」として、これらの合計約76万円を損害として認めた。(2)入院付添費詳細はこちら裁判所は、「本件病院は完全看護で医師による付添看護の指示が明確にあったとは認められない」としつつも、[1]本件患者が、馬尾神経を切断損傷されたことにより、本件手術終了直後から神経損傷により右足が動かず、自力での起立・歩行は不可能であり、その後も腰部から両下肢にかけての激しい疼痛としびれや、膀胱直腸障害が生じるという重篤な障害を負っていること、[2]本件患者が思い詰めやすい性格であり自殺未遂をした経験があること、[3]本件医療事故の直後から、本件患者に前向きにリハビリに取り組んでもらえるよう、本件患者の娘と本件病院の職員が協力し合う方針が確認され、定期的に面談を行っていることを指摘し、「本件医療事故を境に突如として重度の障害を負った本件患者を精神的に支え、さらなる状況の悪化を避けるべくリハビリを継続させるため、本件患者の娘が本件患者に付き添う必要性があり、本件病院も、本件患者の娘の付添を許容・依頼していたものというべき」として、症状固定日前日までの付添費として、その期間の1/3の92日に相当する期間の入院付添費約60万円を損害として認めた。(3)入院雑費詳細はこちら裁判所は、本件手術日から症状固定日前日までの入院期間(275日)の入院雑費約41万円を損害として認めた。(4)休業損害詳細はこちら裁判所は、本件患者が本件手術前から、要介護4の認定を受け、ヘルパーによる入浴介助を受けており、娘及びその夫と同居し、在宅で仕事をする娘が家事や買い物をしていたことを指摘し、「本件患者が一家の家事を担っていたとはいえず、休業損害は認められない」として、休業損害を否定した。(5)入通院慰謝料詳細はこちら本件症状固定日までの入院期間や症状を考慮して、入通院慰謝料として298万5,000円が認められた。(6)後遺障害慰謝料詳細はこちら裁判所は、主に以下の3点など、本件に現れた一切の事情を総合考慮し、慰謝料3,300万円(一般的な後遺障害1級事案における慰謝料2,800万円より高額の慰謝料)を認めた。ア本件手術における執刀医の手技上の過失の重大性(出血等により視認性の確保が十分ではないのに止血をこまめにしないままスチールバーによる骨切除を進め、本件医療事故を起こしたものであり、経験のある医師において危険を感じさせる手技であったこと、及び、執刀医が本件病院に入職してから約9ヵ月の間に手術に関与した11事例が医療事故として検証の対象とされたことなど)イ患者に残存した重篤な後遺障害及び強い神経障害性疼痛ウ病院の事故後の対応に十分でない点があったこと(執刀医が本件医療事故後に原告らに対し馬尾神経を切断損傷したことを明確に説明しなかったこと、本件病院は、令和2年4月、本件医療事故が医療過誤であると判断し、同年6月に原告ら家族に口頭で謝罪したほか、令和3年3月に代理人弁護士を通じて、損害賠償をする意向を通知しているが、A医師が関与した医療事故11例についての調査を終え、記者会見を開いて一連の医療事故を謝罪したのは令和4年6月であることに加え、調査内容の開示を求める原告らの要望への対応にも時間を要したことなど)(7)後遺障害逸失利益詳細はこちら裁判所は、休業損害と同様、本件患者が一家の家事を担っていたとはいえないことを指摘し、逸失利益の損害は認められないとした。(8)退院後の治療費、施設入所費詳細はこちら裁判所は、退院後に本件患者らが治療関係費などとして支払った退院後の治療費、施設入所費合計約103万円を損害として認定した。(9)症状固定日後の入院入所付添費詳細はこちら裁判所は、本件症状固定日(令和2年10月23日)から自宅介護開始日(令和5年8月1日)までの期間の入院入所付添費につき、本件患者が重篤な後遺障害を負い、リハビリや常時介護を要した上、強い痛みやしびれに苦しみ、精神的に不安定な状態が続いて転倒リスクのある危険行動や単独行動を起こしていたため、家族の付添いによる精神的な支えが必要な状態であったこと、令和4年6月頃までは、本件患者の娘がほぼ毎日のように面会し、相当程度頻繁に本件患者に付き添ったことを指摘し、本件症状固定日(令和2年10月23日)から令和4年6月末日までの616日間の約1/3である205日分の付添費約133万円を損害として認めた。(11)装具費、自宅改造費など詳細はこちら裁判所は、以下をそれぞれ損害として認めた。本件医療事故により両足が動かなくなったことに伴い、本件患者が両下腿原発性リンパ浮腫を来たし、医師より両下肢を常時圧迫する必要があるとの装着指示を受けて購入した装具費用2万2,000円本件症状固定日から入院先病院退院日(令和5年7月12日)まで(993日間)の入院雑費約149万円自宅介護開始後の物品のレンタル及び購入費6万3,000円自宅介護の開始にあたり購入した入浴時用車いす購入費7,100円自宅介護を開始するにあたり要した自家用車改造費47万円なお、特別養護老人ホーム短期入所期間中の介護雑費については、治療やリハビリがされた様子はなく、また、おむつ代は介護保険の範囲に含まれているとみられることを踏まえれば、別途、日常生活品として必要なものを超えた雑費の支出があったと認められないとして、損害とされなかった。(11)自宅介護費用詳細はこちら裁判所は、令和5年8月1日から令和6年2月29日までの213日間の自宅介護における近親者介護費用約170万円を損害として認めた。(12)将来介護費用詳細はこちら裁判所は、以下を損害として認めた。令和6年11月1日(特別養護老人ホームに正式入所した日より後の日)から口頭弁論終結日(令和7年2月12日)の期間に支出した費用33万3,840円(日額3,210円×104日)口頭弁論終結日(令和7年2月12日)以後の期間につき、日額約1万3,000円を症状固定時の平均余命までの期間について、中間利息(一括で支払いが受けられることによる運用益)を控除した金額である約3,460万円(13)弁護士費用詳細はこちら上記(1)~(12)の合計金額の1割の約788万円。2)転倒事故の安全配慮義務違反について病室内で発生した転倒事故については、患者は事故以前から危険行動や単独行動を繰り返していたものの、事故直前には看護師がその都度訪室して危険行動がないことを確認しており、当時の病棟の人員配置なども踏まえると、看護師が患者に付き添い続ける義務までは認められないとして、病院の責任を否定した。注意ポイント解説本件は、腰椎後方除圧術中の手技上の過失により馬尾神経が切断され、患者に重度の後遺障害が残存した事案である。手技上の過失自体については当事者間に争いがなく、裁判では主として損害額が争点となったものである。医療過誤訴訟の損害賠償は、(1)治療費、介護費などの積極的損害、(2)休業損害、逸失利益、入通院慰謝料、死亡慰謝料または後遺障害慰謝料などの消極的損害が賠償費目となる。そして、これらの損害は、交通事故と同様に算出されることとなり、積極的損害については実際の支出を踏まえた金額消極的損害については、入通院慰謝料については入通院期間をふまえた所定の計算式に基づいた金額死亡慰謝料や後遺障害慰謝料は、死亡の結果が生じた被害者が家庭の中で占めている役割に応じた所定の金額(2,000万円~3,000万円など)、後遺障害の場合には障害の程度に応じた金額(最も重い後遺障害等級1級の場合で2,800万円)消極的損害のうち、休業損害や逸失利益については、基礎収入に、障害の程度に応じた所定の労働能力喪失率と、就労可能期間を乗じる等して算出した金額が、それぞれ損害として認められる扱いとなっている。すなわち、医療過誤訴訟の損害は、交通事故の場合と同様に、所定の計算式に基づいての機械的計算ということとなるため、医療訴訟特有の事情により高額化するといったことはほとんどない。そしてまた、上記のような計算式により損害額が算定されるため、被害者に重度の障害が残り、介護費用が生じる場合被害者が若年者である場合(逸失利益算出にあたっての就労可能期間が長期となる場合)被害者が高額の収入を得ている場合(休業損害・逸失利益算出にあたっての基礎収入額が高額となる場合)などにより損害賠償額が高額化することとなる。本判決についても、(1)治療関係費、(2)入院付添費、(3)入院雑費、(5)入通院慰謝料、(8)退院後の治療費、施設入所費、(9)症状固定日後の入院入所付添費、(10)装具費、自宅改造費等、(11)自宅介護費用、(12)将来介護費用、(13)弁護士費用の算出は、損害賠償実務に沿った算出・認定となっている。また、本件では、(4)休業損害と(7)後遺障害逸失利益は認められていないが、事故前の就労の事実が認定されていないことからすれば、これもまた損害賠償実務の通例の判断である。このような中、本判決は、(ⅰ)患者が自力歩行不能となり、重度の膀胱直腸障害に加えて耐え難い神経障害性疼痛が残存したこと、(ⅱ)執刀医の手技上の過失が重大であったことに加え、(ⅲ)病院による事故後の説明や情報開示、院内調査などの対応が不十分な点があったことなど、本件に現れた一切の事情を総合考慮し、通常より高額の慰謝料を認定した点に特徴がある。とくに、病院は比較的早い段階で医療過誤を認めて謝罪し、適正な賠償を行う意思も表明していたにもかかわらず、裁判所は、院内調査や情報開示の進め方、医療安全体制の検証状況などを含めた事故後の一連の対応についても判断資料とし、マイナスの評価をしていることから、医療事故発生後の病院の対応全体が慰謝料額に影響し得ることを示唆した点は注目される。もちろん、本判決は、「事故後対応に問題があれば直ちに慰謝料が増額される」と判示したものではなく、事故後対応のみを独立した慰謝料増額事由としたものでもない。しかし本件のように、重大な後遺障害が残存した事案では、事故後の説明、情報提供、調査及び再発防止に向けた取組を含めた病院の対応が、患者や家族の精神的苦痛を評価する事情の1つとなり得ることが示されており、今後、事故後の対応において留意する必要がある。医療者の視点本件の判決では、手技上の重大な過失や重篤な後遺障害の残存に加え、事故後の病院側の対応(説明不足や情報開示・院内調査の遅れ)が、慰謝料増額の要因として考慮されました。実臨床の現場において、医療事故が発生した際、事実関係の正確な把握や院内事故調査委員会の開催、外部機関を交えた専門的な検証には、どうしても多大な時間がかかります。本件のように関連する複数事例の検証を併せて行う場合、年単位の時間を要することも決して珍しくありません。医療者側は「正確な原因究明を行ってから、責任をもって説明したい」と考えがちですが、患者やその家族からすれば、その空白の時間が「事実を隠蔽しようとしている」「対応が不誠実だ」と映ってしまいます。実際に裁判所も、この調査や開示に要した時間を「迅速に説明を尽くしたと評価するには不足」と判断しました。また、難易度やリスクの高い手術を多く手掛ける医師ほど合併症を経験する確率が高くなりますが、訴訟においては過去の事例が「技量不足」の根拠として扱われるリスクがある点にも注意が必要です。正確な調査には時間がかかるという実臨床ならではのジレンマはありますが、調査中であっても進捗状況をこまめに共有し、患者側との誠実なコミュニケーションを途絶えさせないことが、結果的に紛争の激化を防ぐ上で極めて重要であるといえます。Take home message医療事故の損害賠償額は、一般に交通事故実務に準じて算定されるため、医療事故であるという理由のみで慰謝料が増額されるものではない。本判決は、重大な結果が生じた事案(死亡事案、重大な後遺障害の残存事案)においては、過失の内容に加え、事故後の説明、情報開示、院内調査等を含めた病院の対応が、慰謝料額の判断事情として考慮され得る。キーワード馬尾神経損傷、後遺障害慰謝料、神経障害性疼痛、医療安全、医療事故後対応

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腎臓病には必ず腎不全用静脈栄養製剤?【ケースで学ぶ輸液オーダー】第5回

腎臓病には必ず腎不全用静脈栄養製剤?四半世紀前の筆者の研修医時代は、「腎臓が悪い患者さんの静脈栄養といえば腎不全用静脈栄養製剤」と一問一答問題集のように機械的にオーダーが出されることが多かったです。今回は、現在の腎疾患患者における静脈栄養法を再確認していきましょう。次の3例の患者さんは、いずれも来院時に血清尿素窒素(BUN)、クレアチニン(Cr)が高値であり、数日間の輸液療法の後、静脈栄養が必要と判断しました。すべてにおいて腎不全用静脈栄養製剤が必要でしょうか?症例症例189歳女性。独居。室内で転倒して腰椎圧迫骨折を受傷したが動けず、約2日後に娘が発見して救急搬送された。来院時ショック、BUN 82mg/dL、Cr 6.0mg/dL(基礎Cr 0.8)、クレアチンキナーゼ1万8,000U/L、カリウム(K) 5.8mEq/L、無尿。外液急速輸液、持続的腎代替療法(CRRT)で循環動態は改善、CRRTを離脱したが経口摂取が進まず、静脈栄養を併用することとなった。症例282歳男性。糖尿病性腎症によるCKDステージG4で外来通院中(eGFR 18mL/分/1.73m2)。年齢や本人の希望から透析導入は行わない方針となっていた。急性胃腸炎による嘔吐・下痢で入院。静脈栄養を開始することとなった。来院時BUN 88mg/dL、Cr 3.6mg/dL、K 5.0mEq/L、アルブミン2.9g/dL。症例370歳男性。糖尿病性腎症で週3回維持血液透析を行っている。黒色便と高度貧血を主訴に搬送され、上部消化管出血と診断された。絶食管理となり静脈栄養を開始することとなった。来院時ヘモグロビン6.5g/dL、BUN 76mg/dL、Cr 9.1mg/dL、K 4.7mEq/L。翌日に維持透析予定。腎臓病で必要なタンパク質の量は?一言で「腎障害の患者さん」といっても、まずはどんな腎障害なのかを推測し、分類することが重要です。病態は主に(1)急性腎障害(AKI)、(2)保存期(透析導入前)慢性腎臓病(CKD)、(3)透析期CKDに大別されます。症例1はAKI、症例2は保存期CKD、症例3は透析期CKDに該当します。疾患によらず侵襲期やエネルギー摂取不足時には異化が起こり、タンパク質が代謝された後の老廃物はBUNなどの形で体外に排泄されます。しかし、腎機能低下時には老廃物を排泄しきれずに血清BUNなどが上昇します。保存期CKDでは、老廃物による代謝性の合併症を軽減するために、タンパク摂取を制限し、主なエネルギー源を糖質や脂質といった非タンパク質でまかなう栄養療法が推奨されます。一方、AKIの腎代替療法(RRT)中や透析期CKDは老廃物を透析で除去できますが、同時に透析液にタンパク質が漏出してしまうため、保存期CKDとは逆に積極的にタンパク質を摂取しなくてはなりません。4時間のRRT 1回で12gのアミノ酸が失われるとされています1)。表1 腎臓病の分類とタンパク必要量2,3)※文献2、3を元に作成。静脈栄養よりも経口・経腸栄養を優先する。※サルコペニアやフレイル合併のCKD患者は、下記基準よりもタンパク制限を緩和することがある。画像を拡大する腎不全用静脈栄養製剤はどんな輸液?静脈栄養用の輸液製剤の基本構成は、ブドウ糖液、アミノ酸液、電解質からなり、腎不全用静脈栄養製剤はアミノ酸、電解質の構成が一般用と異なり差別化されています。腎不全用は、BUNの上昇を抑える狙いから一般用よりも窒素含有量は少なめとし、必須アミノ酸を中心に最低限の非必須アミノ酸を配し、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の比率を高めています。また、体液過剰負荷や電解質異常の対策として、ナトリウム、K、リンを制限し、糖を高濃度(少ない水分で高エネルギー)とした構成になっています。図1 一般用静脈栄養製剤と腎不全用栄養輸液の構成比較(例)画像を拡大する腎不全用アミノ酸製剤を深掘りするアミノ酸の代謝過程において産生されるアンモニアは、毒性が強く生体に有害であるため、速やかに尿素へと変換されたのち排泄されます。この一連の反応を尿素サイクルといいます(図2)。尿素サイクルでは、アルギニン・シトルリン・オルニチンが基質アミノ酸として機能しており、これらのいずれが欠乏しても反応速度が低下します。 図2 尿素サイクル画像を拡大する腎不全用アミノ酸製剤は、尿素サイクルに必要なアルギニンの含有量を意図的に制限(表2)することで尿素サイクルの反応速度を低下させ、尿素産生を抑制します。腎不全患者では尿素の腎排泄障害に起因する高BUN血症を呈することが多く、本製剤による尿素サイクルの抑制はBUN上昇の緩和を主な目的としています。ここで、アルギニン含有量をゼロにすることでさらなる効果が期待できると考える向きもあるかもしれません。しかしながら、先行して開発されたアルギニン非配合アミノ酸製剤(アミユー)では、尿素サイクルが機能せずアンモニア代謝が障害されることに起因する高アンモニア血症の併発が報告4)され、販売中止に至った経緯があります。この臨床的問題点を教訓として改良・開発されたものが、キドミンおよびネオアミユーです。尿素サイクルはアンモニアの解毒に不可欠な代謝経路であり、その抑制はアンモニア代謝の遅延を意味することから、高アンモニア血症を来すリスクがある点に留意が必要です。表2 アミノ酸製剤の組成比較画像を拡大する腎不全用静脈栄養製剤の出番はいつ?AKI(RRT施行患者を含む)や透析期CKDにタンパク充足は常識! と知っていても、ひと昔前は添付文書上、重篤な腎障害のある患者に対する一般用静脈栄養製剤の投与は、アミノ酸の代謝産物である尿素などが滞留し症状が悪化する恐れがあるため「禁忌」とされており、透析患者への使用は査定の懸念がありました。しかし、日本臨床栄養代謝学会(現「日本栄養治療学会」)が厚生労働省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ働きかけて、2020年に「透析又は血液ろ過を受けている患者」は禁忌から除外され、透析患者にも一般用静脈栄養製剤の使用が認められるようになりました5)。というわけで、RRTにより腎機能が回復して老廃物除去が可能となったAKIの症例1や透析期CKDの症例3は、体液過剰や電解質異常がなければ、タンパク充足の目的でいずれも一般用静脈栄養製剤を使用し、ステージ4保存期CKDの症例2のみ、老廃物蓄積を抑える目的で腎不全用静脈栄養製剤を使用するのが適しています。BUNやCrの高さだけを見て一律に腎不全用静脈栄養製剤を選ぶことは勧められません。AKIなのか、保存期CKDなのか、透析期CKDなのかを整理し、その病態に応じたタンパク必要量を考えましょう。実地医家の本音<RRT不要のAKIはどうする?>現場ではRRTの有無に関わらず、AKIにはタンパクを制限せず十分に投与しているのが現状ではないでしょうか。栄養療法は経腸栄養を優先しますので、医薬品と違い禁忌の縛りがない食品の経腸栄養剤でタンパクを充足させている先生方が多いのではないかと思います。しかし、静脈栄養の場合は医薬品を使用しますので、添付文書からの逸脱はご法度です。一般用静脈栄養製剤の禁忌とされる「重篤な腎障害患者」から透析患者は外されましたが、「重篤な腎障害患者の中にRRTをしていないAKIが含まれるのか?」「保存期CKDだけが該当するのか?」という解釈の問題が残ります。個人的には、RRTの有無に関わらずAKIにはタンパクが必要!という立場でありますので、私は一般用静脈栄養製剤をAKI栄養輸液の第一選択にします。高カリウム血症がある場合は、標準的なアミノ酸組成(アミパレン)かつカリウムなしの当院薬局自作メニューがありますのでこちらを使用します。多少のBUN上昇があり得ますが、許容するBUN値の上限を施設で決めておくのがよいでしょう。参考1)Hendriks FK, et al. J Nutr. 2020;150:1160-1166.2)日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)編.JSPENコンセンサスブック2 肺疾患/肝疾患/腎疾患. 医学書院;2023.3)日本腎臓学会編. CKD診療ガイド2024. 東京医学社;2023.4)Nakasaki H, et al. JPEN J Parenter Enteral Nutr. 1993;17:86-90.5)今回の「使用上の注意」改訂の経緯と課題について / 日本栄養治療学会

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一般的な降圧薬、2型糖尿病患者の腎障害リスク上昇と関連

 高血圧に対して広く処方されている降圧薬が、2型糖尿病患者の腎障害リスクを高める可能性を示唆するデータが報告された。ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル拮抗薬(DCCB)が処方されている患者では、腎障害の発生リスクが、同薬が処方されていない患者に比べて33%高いという。ラビン医療センター(イスラエル)のTimna Agur氏らが、第63回欧州腎臓学会学術集会(63rd ERA Congress、6月3~6日、英・グラスゴー)で発表した。 DCCBに該当する具体的な薬剤名としては、アムロジピンやニフェジピンなどが挙げられる。研究者らによると、これらの薬剤は血管を弛緩させることで血圧を低下させるように作用し、糖尿病性腎臓病(DKD)患者に対する追加の降圧治療薬として広く処方されている。しかしAgur氏らの研究から、DCCBが処方されている患者では、腎臓保護作用のあるほかの薬剤を服用していても腎障害リスクが高まることが示唆された。同氏は、「われわれの研究結果は、最新の腎保護療法をすでに受けている患者にとって、DCCBの併用が常に最良の選択肢なのかという、重要な疑問を提起するものだ」と述べている。 今回、Agur氏らは、2016~2021年に収集された成人2型糖尿病患者3万1,031人のデータを解析した。全ての患者に、レニン・アンジオテンシン系阻害薬(RAS阻害薬)とナトリウム・グルコース共輸送体2阻害薬(SGLT2-i)という、DKDの治療を大きく進歩させた2種類の薬剤が処方されていた。1万2,172人(39.2%)にはさらにDCCBが処方され、1万8,859人(60.8%)にはDCCB以外の降圧薬が処方されていた。 約3年半(中央値)追跡し、主要腎イベント(推定糸球体濾過量〔eGFR〕が40%以上低下、または透析や移植を要する末期腎不全への進行)の発生リスクをDCCB処方の有無で比較した。結果に影響を及ぼし得る交絡因子を調整後、DCCBが処方されていた患者は主要腎イベントの発生リスクが33%高いことが明らかになった(ハザード比 1.33、95%信頼区間 1.03~1.73)。 研究者らによると、DCCBは腎臓に血液を送り込む血管を拡張させる一方、腎臓から血液を送り出す血管の拡張作用は弱く、その結果として糸球体内圧が上昇し、腎障害につながる可能性があるという。Agur氏は「データを解析する前は、SGLT2-iなどの腎保護効果がDCCBの潜在的な悪影響を相殺するのではないかと考えていた。しかし、そのような保護効果によってもリスク上昇は打ち消されないことが示された」と語っている。 ただし同氏らは、「今回の研究は観察研究であり、直接的な因果関係は検証できない」と解釈に注意を促しながらも、「DCCBがこの患者集団で非常に広く処方されていることを踏まえると、今回の結果は臨床的に重要な意味を持つ」としている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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実測GFRおよび推定GFRと、死亡・腎不全との関連/JAMA

 スウェーデンの成人において、実測糸球体濾過量(mGFR)が60mL/分/1.73m2の場合、90mL/分/1.73m2と比較して全死因死亡率および腎不全の発生率が高く、慢性腎臓病(CKD)の定義に用いられる現在の推定GFR(eGFR)の閾値60mL/分/1.73m2が支持されることが示された。また、mGFRと死亡との関連は、血清クレアチニン(cr)値と血清シスタチンC(cys)値に基づき算出したeGFR(すなわちeGFRcr-cys)で最もよく反映されていたが、cr値に基づくeGFRcrは死亡リスクを過小評価し、cys値に基づくeGFRcysは過大評価となることが示された。オランダ・ライデン大学医療センターのEdouard L. Fu氏らが、後ろ向き観察コホート研究の結果を報告した。eGFRの低下は死亡および腎・心血管イベントの発生増加と関連しているが、腎機能評価の精度はmGFRよりも低いとみなされている。一方でmGFRとアウトカムの関連も依然として明らかになっていない。JAMA誌オンライン版2026年6月4日号掲載の報告。死亡・腎不全との関連を、mGFRとeGFRcr・eGFRcys・eGFRcr-cysで比較 研究グループは、2011年1月1日~2021年12月31日に、スウェーデンのストックホルムにおいて専門医の判断によりmGFR検査が施行され、mGFR測定から30日以内に血清クレアチニン値および血清シスタチンC値の測定が行われた18歳以上の成人6,174例を対象とした。 一般的に、mGFR検査の適応となる患者は、薬剤投与量決定のために正確なGFRを必要とする患者(がん化学療法など)、肝硬変患者、腎移植のレシピエントまたは生体腎ドナー、およびeGFRcrとeGFRcysが不一致の患者などで、これらに該当する患者を適格とした。透析を受けている患者、またはmGFRが0mL/分/1.73m2未満もしくは150mL/分/1.73m2超の患者は除外された。 mGFRは、カロリンスカ大学病院臨床化学部門において、イオヘキソール静脈内投与後の単回採血検体を用い、Jacobsson式による血漿クリアランスに基づき算出された。eGFRについては、慢性腎臓病疫学共同研究(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration:CKD-EPI)の2021年式を用いてeGFRcrおよびeGFRcr-cysを、2012年式を用いてeGFRcysを算出した。 主要アウトカムは、全死因死亡および腎代替療法(透析開始または腎移植と定義)を要する腎不全とし、各種GFR値とアウトカムとの関連を、年齢、性別、BMI値、既往歴、治療薬、および尿中アルブミン/クレアチニン比で補正したハザード比(HR)を用いて評価した。mGFRは死亡・腎不全の発生と有意に関連、mGFR評価とほぼ一致したのはeGFRcr-cys 解析対象6,174例の患者背景は、年齢中央値59歳(四分位範囲[IQR]:43~69)、男性3,686例(60%)、女性2,488例(40%)で、主な併存疾患は高血圧2,765例(45%)、がん1,998例(32%)、糖尿病1,244例(20%)、心不全651例(11%)であった。 追跡期間中央値5.9年(IQR:3.0~8.8)において、1,977例(32%)が死亡し、426例(6.9%)が腎代替療法を要する腎不全に至った。 全死因死亡率(1,000人年当たり)はベースラインのmGFR(mL/分/1.73m2)が90で22.4件に対し、60、45、30および15mL/分/1.73m2ではそれぞれ27.6件、32.5件、37.4件および42.7件、補正後HRはそれぞれ1.21(95%信頼区間[CI]:1.14~1.28)、1.41(95%CI:1.30~1.52)、1.62(95%CI:1.49~1.76)、1.85(95%CI:1.62~2.11)であり、mGFRの低下は全死因死亡の発生率の増加と有意に関連していた。 腎代替療法を要する腎不全についても同様で、mGFRの低下はその発生率の増加と関連しており、発生率(1,000人年当たり)はベースラインのmGFR(mL/分/1.73m2)90の0.4件に対して、60、45、30および15ではそれぞれ1.2件、3.6件、14.9件、72.2件へ増加し、補正後HRはそれぞれ2.85(95%CI:2.06~3.94)、8.77(95%CI:5.81~13.24)、38.5(95%CI:24.69~59.90)、200.3(95%CI:129.1~310.9)であった。 実測・推定GFR値が90mL/分/1.73m2未満の患者において、eGFRcrはmGFRと比較し死亡率との関連性を有意に過小評価していたのに対し(例:実測・推定GFR値60での死亡のハザード比の比[RHR]:0.87、95%CI:0.79~0.95)、eGFRcysはmGFRより死亡率との関連性を有意に過大評価していた(例:実測・推定GFR値60での死亡のRHR:1.17、95%CI:1.08~1.27)が、eGFRcr-cysはmGFRと差がなかった(例:実測・推定GFR値60でのRHR:1.03、95%CI:0.96~1.10など)。

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香川大学医学部附属病院 泌尿器・副腎・腎移植外科【大学医局紹介~がん診療編】

杉元 幹史 氏(教授)加藤 琢磨 氏(学内講師)中村 俊介 氏(専攻医)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴香川大学医学部泌尿器科学講座は、先代の筧 善行教授の時代から泌尿器科がん診療を中心に発展してきました。とくに前立腺がんに対する監視療法については、20年以上にわたり国際共同研究を通じてわが国の診療・研究を牽引してきた実績があります。地域のがん診療における医局の役割香川県唯一の大学泌尿器科教室として、研究・教育・医師派遣に加え、世界標準の医療を地域で実践することを重要な使命と考えています。そのため、MRI・超音波融合前立腺生検、HIFUによる前立腺がん局所療法、さらにはPSMAを用いた診断・治療システムなどの先進医療を積極的に導入し、県内のがん診療の発展に努めてきました。今後医局をどのように発展させていきたいか一方で、地方大学を取り巻く人材確保の課題は年々大きくなっています。そのような中でも、当教室には志を共有する若手医師が集まりつつあります。私たちは「適材適所」を基本方針とし、それぞれの長所を最大限に伸ばすことを重視しています。また、「Go for it!」を合言葉に、まず挑戦してみる姿勢を大切にしています。地域医療を守りながら世界に通用する研究を行う。その両立を実践できる医師を育てることが、私たちの目標です。力を入れている治療/研究テーマ香川大学医学部泌尿器科学講座では、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣腫瘍など幅広い泌尿器がん診療と腎移植医療に力を入れています。とくに前立腺がんでは、PRIAS-JAPAN事務局として監視療法研究を統括し、HIFUによる局所療法、PSMA-PET、PSMAリガンド療法など新しい診断・治療にも取り組んでいます。腎移植では、生体腎移植に加え、献腎移植や膵腎同時移植も実施しています。当科でのがん診療/研究のやりがい、魅力ロボット支援手術、放射線治療、薬物療法、治験診療まで、泌尿器がん診療を幅広く経験できます。また、各がん腫のエキスパートが在籍しており、世界標準の診療を学ぶことができます。さらに、多施設共同研究やJCOG研究にも参加しており、日常診療の疑問を研究につなげられることが大きな魅力です。医局の雰囲気、魅力若手からベテランまで相談しやすく、診療や研究について自由に議論できる雰囲気があります。新しい挑戦を歓迎する文化も当科の特徴です。医学生/初期研修医へのメッセージ世界標準の医療を地域で実践し、新たなエビデンスを発信する。そんな環境が香川大学泌尿器科にはあります。ぜひ一度見学にお越しください。「新たなエビデンスを香川から世界へ」 一緒に挑戦していきましょう!同医局を選んだ理由正直なところ、学生・研修医のころの自分にとって、泌尿器科領域は非常に難解な分野であり、当初から泌尿器科1本で考えていたわけではありませんでした。迷いに迷い、悩みに悩んだ進路でした。その中で、実習や学会、飲み会などを通して多くの先生方と接する機会をいただき、「香川大学泌尿器科」のスタッフのみなさんの人柄や雰囲気の良さに惹かれました。また、現在の指導医の先生からいただいた「最高の科を探すのではなく、自分が選んだ科を最高にせよ」という言葉が大きなきっかけとなり、泌尿器科への入局を決心しました。現在学んでいること入局後は、外来診療、病棟管理、手術助手など、日々の診療を通して泌尿器科医としての基礎を学んでいます。泌尿器科で扱う疾患は、良性疾患から悪性腫瘍まで幅広く、覚えることの多さに圧倒される毎日です。まだまだ未熟ではありますが、先輩方の指導のもと、日々の診療に何とか食らいつきながら、少しずつ経験を積んでいます。今後のキャリアプラン今後は、泌尿器科腫瘍学の分野に携わり、診療・研究の両面から患者さんに貢献できる医師を目指したいと考えています。一歩ずつ経験を積み重ね、将来的には患者さんや周囲の先生方から信頼される泌尿器科医になれるよう努力していきたいと思います。香川大学医学部附属病院 泌尿器・副腎・腎移植外科住所〒761-0793 香川県木田郡三木町池戸1750-1問い合わせ先uro-m@kagawa-u.ac.jp(泌尿器科医局 メールアドレス)医局ホームページ香川大学医学部附属病院 泌尿器・副腎・腎移植外科専門医取得実績のある学会日本泌尿器科学会日本がん治療認定医機構日本排尿機能学会日本透析医学会日本移植学会日本臨床腎移植学会日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会日本内視鏡外科学会研修プログラムの特徴(1)ロボット支援手術、腹腔鏡手術、内視鏡手術を中心に、泌尿器科手術を基礎から段階的に学ぶことができます。(2)泌尿器がん、腎移植、排尿機能診療など、幅広い専門領域をバランスよく経験できます。(3)大学病院と香川県内外の関連病院での研修を通じて、高度専門医療と地域医療の両方を学ぶことができます。

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CKD合併糖尿病へのセマグルチド、心血管疾患の既往を問わず腎予後を改善(FLOW)

 2型糖尿病と慢性腎臓病(CKD)を併発している患者を対象に、GLP-1受容体作動薬セマグルチドの腎機能への影響を評価したFLOW試験のサブグループ解析の結果、セマグルチドは既往の心血管疾患や将来的なリスクにかかわらず、腎予後および生存を一貫して改善したことが、米国・University of Washington School of MedicineのKatherine R. Tuttle氏らによって示された。Journal of the American College of Cardiology誌2026年6月2日号掲載の報告。 FLOW試験は、2型糖尿病とCKDを有する患者集団において、セマグルチドの腎機能障害進行への影響を検討した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験。参加者をSGLT2阻害薬などを含む標準治療に加えて、セマグルチド1.0mgを週1回皮下投与する群またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、主要腎疾患イベント(透析、移植、eGFR<15mL/分/1.73m2の発生、eGFRのベースラインから50%以上の低下、腎臓関連または心血管関連の死亡の複合)とした。全死因死亡は副次的評価項目の1つであった。 主な結果は以下のとおり。・合計3,533例を中央値3.4年間追跡した。ベースライン時の平均年齢は66.6±9.0歳、女性が30.3%、平均eGFRは47.0±15.1mL/分/1.73m2、尿中アルブミン/クレアチニン比の中央値は567.6mg/gであった。・ベースライン時点で、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有していた患者が33.9%、心不全を有していた患者が19.2%、ASCVDや心不全の既往がない患者のうち10年間の心血管疾患発症リスクが高い(PREVENT予測式≧20%)患者が66.5%であった。・セマグルチド群では、プラセボ群と比較して、全体集団において主要評価項目である主要腎疾患イベントのリスクが24%低かった(1,767例中331例vs.1,766例中410例、ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.66~0.88、p=0.0003)。・セマグルチド群では、ASCVDの有無、心不全の有無、心血管疾患発症リスクの高低にかかわらず、一貫して主要腎疾患イベントのリスクが低かった。各サブグループにおけるセマグルチド群vs.プラセボ群のHRは以下のとおり。 -ASCVDあり群0.80 vs.なし群0.74(交互作用のp=0.62) -心不全あり群0.67 vs.なし群0.79(交互作用のp=0.40) -心血管疾患高リスク群0.73 vs.低リスク群0.73(交互作用のp=0.99)・3年間で1件の主要腎疾患イベントを予防するための治療必要数(NNT)は、ASCVD群で22、心不全群で13、心血管疾患発症高リスク群で17であった。・セマグルチドは、全死因死亡のリスクについても同様に一貫した低下をもたらした。 -ASCVDあり群0.82 vs.なし群0.78(交互作用のp=0.79) -心不全あり群0.75 vs.なし群0.81(交互作用のp=0.74) -心血管疾患高リスク群0.71 vs.低リスク群0.82(交互作用のp=0.63)・いずれのサブグループにおいても、セマグルチド群はプラセボ群に比べ、eGFRの年間低下速度を有意に抑制し、高感度C反応性蛋白(hsCRP)を約30%低下させた。 これらの結果より、研究グループは「セマグルチドは、2型糖尿病およびCKDを有する患者にとって、腎機能・心血管機能・生存の総合的なベネフィットをもたらすため、重要な治療戦略となりうる」とまとめた。

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第299回 子供の軽症時、保護者の7割が「まず医療機関」 医療費構造の認知に課題/健保連

<先週の動き> 1.子供の軽症時、保護者の7割が「まず医療機関」 医療費構造の認知に課題/健保連 2.令和5年度病院立入検査、医師・看護師・薬剤師の人員適合率が低下/厚労省 3.高額療養費見直しでパブコメ開始、2026年8月から月額上限引き上げへ/厚労省 4.病院の情報管理に警鐘、研究用PC端末と廃棄媒体から患者データ流出か/九大ほか 5.チルゼパチド製剤の不適切使用に注意喚起、違法流通にも警鐘/リリー 6.髄腔内注射後に死亡、事故調が報告書概要 混入経路は特定できず/埼玉県 1.子供の軽症時、保護者の7割が「まず医療機関」 医療費構造の認知に課題/健保連健康保険組合連合会は6月3日、全国の20~80代3,000人を対象に2026年1月に実施した「医療・介護に関する国民意識調査」の速報版を公表した。医療費・介護費の増加と支え手の減少が進む中、保険料負担を「非常に重い」「やや重い」と感じる人は62.7%に上り、健保連は保険料のさらなる引き上げには限界感があるとみている。医療保険の給付と負担のあり方では、「給付を大幅に絞り込み、負担を軽減」が15.0%、「給付を絞り込み、負担の水準を維持」が25.0%で、給付範囲の見直しを求める回答が計40.0%となった。増加する医療費を賄う方法としては、「自己負担の増加(患者本人の窓口負担)」を選んだ人が30.2%に上り、税金の引き上げまたは新設(12.0%)や保険料の引き上げ(10.8%)を上回った。ただし「わからない」が44.1%と最多で、制度や財源構造への理解不足も示された。世代間負担では、「高齢者の負担増はやむを得ない」が37.1%で、「高齢者負担増は難しく、現役世代の負担増はやむを得ない」の18.1%を大きく上回った。75歳以上でも40.0%が高齢者自身の負担増を容認していた。高齢者医療では、70~74歳の原則2割負担の対象年齢を5歳引き上げる案に賛成35.7%、反対22.5%。将来的に高齢者の窓口負担を原則3割に見直す案も賛成34.2%が反対29.9%を上回ったが、60代以上では慎重姿勢が目立った。その一方で、軽度の体調不良時の受診行動では、大人で「まず医療機関を受診する」は30.6%にとどまるのに対し、18歳未満の子どもでは69.2%に達した。自治体の子供医療費助成について、自己負担が無料でも残りの多くは保険料で賄われることを「知らない」は全体で67.1%、子育て世帯でも54.4%だった。小児の軽症受診には不安軽減という側面がある一方で、時間外受診や小児科・救急外来の負荷にもつながる。健保連は、「無償化の下でも必要性に応じた適切な受診を考えて欲しい」としている。2026年度の健保組合収支は2,890億円の赤字見通しで、約7割の組合が赤字とされる。現役世代の保険料負担、高齢者医療への拠出、子供・子育て支援金の上乗せが重なる中、制度改革には国民への丁寧な説明が欠かせない。医療現場には、単なる受診抑制ではなく、救急性の見極め、家庭での観察、市販薬の活用、適正受診を患者・家族に伝える役割が一段と求められる。 参考 1) 医療・介護に関する国民意識調査-速報版-(健保連) 2) 医療費が増加する中で「患者の窓口負担増で対応すべき」「高齢者の負担増もやむなし」と考える国民が比較的多い-健保連(Gem Med) 3) 体調不良、子ども7割すぐ受診 「無償でも適切利用を」-健保連(時事通信) 4) 健康保険組合 2026年度は「2,890億円赤字」の見通し 加盟組合の約7割が赤字 高齢者医療費への拠出増などで 健保連が集計(TBSテレビ) 2.令和5年度病院立入検査、医師・看護師・薬剤師の人員適合率が低下/厚労省厚生労働省は、2023年度の「医療法第25条に基づく病院に対する立入検査結果」を公表した。対象は全国8,138病院で、7,587病院に検査を実施。実施率は93.2%と前年度から5.4ポイント上昇し、コロナ禍前に近い水準まで回復した。検査は、病院が医療法上の人員、構造設備、管理体制を満たしているかを確認するものだ。その一方で、医療法に基づく医療従事者の標準数への適合率は、主要職種でそろって低下した。医師数は97.9%で前年度比0.4ポイント減、看護師・准看護師数は99.4%で0.1ポイント減、薬剤師数は97.7%で0.4ポイント減だった。医師数では、北海道・東北が94.2%、北陸・甲信越が97.1%と低く、東海99.0%、近畿99.6%との差が目立った。病床規模別では、20~49床の一般病院で医師95.3%、看護師など98.1%、薬剤師93.9%と、小規模病院ほど人材確保の厳しさが示された。医師と看護師などの双方が標準数を満たした病院は全体の97.0%で、前年度の97.5%から低下。医師のみ不足する病院は155施設、看護師などのみ不足する病院は65施設、双方不足は5施設だった。薬剤師は中国地方95.2%、九州96.2%などで低く、病院薬剤師不足の地域差も浮き彫りとなった。管理面では、最も適合率が低かった項目が「サイバーセキュリティの確保」の91.1%だった。次いで職員の健康管理92.1%、医療法許可事項の変更92.7%が低かった。医療情報システムへの攻撃が診療継続を脅かす中、サイバー対策は医療安全上の重要課題として、立入検査でも確認が強まっている。人員不足と情報セキュリティの遅れは、地域医療提供体制と病院運営の持続性に直結する論点となる。人員適合率は医師の働き方改革、地域医療構想、薬剤師確保計画とも重なる課題として、各病院には自院だけでなく地域単位での人材配置と安全管理の再点検が求められる。 参考 1) 医療法第25条に基づく病院に対する立入検査結果について[令和5年度](厚労省) 2) 医療法に基づく人員の適合率、医師、看護職員、薬剤師とも低下-23年度病院立入検査(日本医事新報) 3) 病院の医師配置適合率は97.9%、看護師等は99.4%に低下、サイバーセキュリティ確保が遅れている-2023年度立入検査結果(Gem Med) 3.高額療養費見直しでパブコメ開始、2026年8月から月額上限引き上げへ/厚労省厚生労働省は6月6日、高額療養費制度の見直しに伴う健康保険法施行令等の改正案について、パブリック・コメントの募集を開始した。意見提出の期限は7月6日で、政令案と省令案の双方が対象となる。改正案は、2026年8月から月額負担上限額を1人当たり医療費の伸びに応じて見直し、2027年8月からは応能負担の観点で所得区分を細分化する内容で、公布は2026年7月、施行は同年8月1日を予定している。高額療養費制度は、重い疾病や高額な治療を受ける患者にとって、医療費負担を一定範囲に抑える公的医療保険の中核的なセーフティネットである。今回の見直しでは、低所得者や長期療養者への配慮として、多数回該当の限度額は原則維持し、年収約200万円未満の課税世帯では2027年8月から引き下げる。また、2026年8月から新たに年間上限を設け、長期にわたり継続治療を受ける患者への負担軽減を図るとしている。見直しを巡っては、2025年3月に当時の石破 茂首相がいったん実施見合わせを表明し、その後、社会保障審議会医療保険部会の専門委員会で患者団体、保険者、医療者、有識者へのヒアリングを重ねてきた経緯がある。その一方で、患者団体や保険医協会からは、月額上限の引き上げが治療継続や生活に与える影響を懸念する声が出ている。全国がん患者団体連合会と日本難病・疾病団体協議会の共同声明は、制度の一定の見直し自体には理解を示しつつ、月ごとの限度額については十分に抑制されていないと指摘している。例として、70歳未満で年収約650~770万円の区分では、現行の月額8万100円に医療費超過分の1%を加える水準から、見直し案では11万400円となり、37%増になるとしている。医療現場では、高額薬剤、がん治療、難病治療、透析、免疫疾患治療など、継続的に高額医療を必要とする患者への説明が重要になる。制度変更は、単なる「上限額の引き上げ」にとどまらず、月額負担、多数回該当、年間上限、所得区分の変更を組み合わせて患者ごとの実負担が変わる点に注意が必要となる。受診抑制や治療中断を避けるため、医療機関には、医療ソーシャルワーカーや医事課と連携し、限度額適用認定証、付加給付、自治体制度、分割払い相談などを含めた支援体制の再確認が求められる。 参考 1) 健康保険法施行令等の一部を改正する政令案に関するご意見の募集について(厚労省) 2) 健康保険法施行規則等の一部を改正する省令案に関するご意見の募集について(同) 3) 高額療養費見直し、厚労省が意見募集 7月5日まで(CB news) 4) 今年8月からの高額療養費「値上げ」 厚労省が意見募集開始(保団連) 5) 【募集】高額療養費制度の見直しについてのパブリック・コメント(日本難病・疾病団体協議会) 4.病院の情報管理に警鐘、研究用PC端末と廃棄媒体から患者データ流出か/九大ほか九州大学は6月10日、九州大学病院の患者43人分の氏名と手術動画データが外部に流出した可能性が否定できないと発表した。病院キャンパス内の研究室が管理する研究用端末1台が5月25日に不正アクセスを受け、ランサムウェアに感染したとみられる。教員が端末を起動した際、金銭を求める脅迫文が表示され、大学は直ちにネットワークから遮断した。端末は診療用ネットワークとは分離されており、電子カルテや診療業務への影響は確認されていない。情報の公開や悪用も現時点では確認されておらず、対象患者には個別に連絡し、謝罪している。大学では福岡県警とも連携し、侵入経路や被害範囲を調査する。その一方で、国立病院機構は6月8日、北海道医療センターと北海道がんセンターで廃棄処理を委託したハードディスクがインターネットオークションに転売され、患者や職員の個人情報が流出した可能性があると発表した。回収した90点のうち、31点が北海道医療センター、2点が北海道がんセンターで電子カルテシステムなどに使われていた。少なくとも約18万6,900人分、最大で約51万人分の氏名、住所、疾患名などが含まれる可能性がある。現時点で不正利用は確認されていないが、同機構は処分を受託した石狩市の産業廃棄物処理業者を廃棄物処理法違反の疑いで刑事告発した。2つの事案は、医療情報の漏えいリスクが電子カルテ本体へのサイバー攻撃だけではないことを示す。研究室端末に保存された手術動画、廃棄予定媒体に残った電子カルテ情報のいずれも、診療・研究・教育・廃棄の周辺工程で発生した。医療機関には、端末のアクセス管理、研究データの匿名化、ネットワーク分離、外部記録媒体の暗号化、廃棄時の物理破壊確認、委託先監査まで含めた情報管理体制の再点検が求められる。 参考 1) 九州大学 病院の患者データ 外部流出の可能性否定できない(NHK) 2) 手術動画流出の可能性、九大病院患者43人分 ランサムウェア感染か(朝日新聞) 3) 不正アクセスで手術動画データなど流出か 九州大病院 診療業務は通常通り(CB news) 4) 北海道がんセンターなどの患者情報が流出、最大51万人分…処分予定のHDDがネットオークションに転売(読売新聞) 5.チルゼパチド製剤の不適切使用に注意喚起、違法流通にも警鐘/リリー日本イーライリリーは6月10日、2型糖尿病治療薬チルゼパチド(商品名:マンジャロ)の不適切使用に関する声明を公表した。SNSや広告で、美容・痩身・ダイエット目的の使用を推奨していると受け取れる情報が拡散し、さらに許可なく同薬を売買した疑いで男女3人が書類送検されたことを受けた対応。上野 賢一郎厚生労働大臣も、個人間売買は違法であり、適応外使用では思わぬ副作用につながる可能性があるとして、適正使用を呼びかけている。同社は、「国内で承認されているチルゼパチドの効能・効果は『2型糖尿病』のみであり、医師の診断、管理、指導のもと、電子添付文書に則って使用される処方箋医薬品だ」と強調した。2型糖尿病以外の人が美容目的などで使用した場合の有効性・安全性は医学的に確認されていない。また、医薬品を許可なく個人間で売買・転売する行為は薬機法違反であり、管理されていない流通経路で入手した製品は品質や安全性が担保されず、本来の効果が得られないだけでなく、重篤な健康被害を招くリスクがあると警告した。その一方で、同一成分のチルゼパチド製剤には、肥満症治療薬「ゼップバウンド」もある。ただし、対象は高血圧、脂質異常症、耐糖能障害などを伴い、食事療法・運動療法で十分な効果が得られない肥満症患者などに限られ、単なる美容目的の減量とは異なる。医師による客観的診断と適切な処方プロセスが前提となる。報道では、使用済み注射針の不適切廃棄も問題化している。公共トイレなどへの投棄は清掃員らの針刺し事故や血液媒介感染のリスクにつながる。医療機関には、適応、禁忌、副作用説明に加え、入手経路や廃棄方法まで含めた患者教育が求められる。GIP/GLP-1受容体作動薬の需要が急拡大する中、適正使用、違法流通対策、供給管理は、糖尿病診療と肥満症治療の信頼性を守る医療安全上の課題となっている。 参考 1) 当社製品の適正使用に関する取り組み(日本イーライリリー) 2) 美容目的「マンジャロ」使用、製造元日本法人が警告 不適切使用や違法売買「容認できず」(J-CASTニュース) 3) 2型糖尿病治療薬「マンジャロ」の適正使用を推進 日本イーライリリーが不適切使用や違法転売に注意喚起(糖尿病ネットワーク) 4) 「マンジャロ注射針」不法投棄が横行で感染リスクへの懸念も…東京メトロが明かした“針刺し事故”の実例(女性自身) 6.髄腔内注射後に死亡、事故調が報告書概要 混入経路は特定できず/埼玉県埼玉県立小児医療センターは6月12日、白血病患者が抗がん剤の髄腔内注射後に神経症状を発症し、1人が死亡、2人が重体となった問題で、医療事故調査委員会の報告書概要を公表した。センターでは2025年1~10月、髄腔内化学療法を受けた患者5人に発熱、四肢疼痛、意識障害、呼吸障害などの神経症状が出現。死亡した10代男性を含む一部症例の保存髄液から、髄腔内に投与されるはずのない抗がん剤ビンクリスチンが検出された。委員会は、ビンクリスチンが通常の静脈内投与で中枢神経系へ移行する可能性は限定的であることなどから、「髄注薬に混入した状態で投与された可能性が極めて高い」と判断した。その一方で、混入経路を直接示す客観的証拠は確認されず、具体的な工程の特定には至らなかった。搬送、病棟保管、投与の各工程では、専用接続部品が注射筒に装着されていたことなどから、混入は極めて考えにくいと評価した。焦点となったのは無菌調製室での薬剤調製工程だ。報告書は、髄注薬とビンクリスチンが同じ空間に存在し得る運用で、空間的・時間的分離が十分とは言えなかったと指摘。調製完了時刻を客観的に確認できる記録や映像記録がなく、複数名によるリアルタイムの相互確認体制も整備されていなかったため、「調製時に混入した可能性を否定できない」と結論付けた。再発防止策として、髄注薬とビンカアルカロイド系抗がん剤の空間的・時間的分離、薬剤師2人によるダブルチェック、在庫・廃棄管理の強化、監視カメラ設置、マニュアル改定、投与前確認や廃棄工程の標準化、シリンジ払い出し廃止とミニバッグ化、定期監査、継続的な安全教育の9項目を提言した。センターは現在、髄腔内化学療法を中止しており、岡 明病院長は「まずは再発防止策を徹底して安全確保を図る」と述べ、再開時期は県や保健所と協議して検討する考えを示している。 参考 1) 使われるはずない薬「調製時混入の可能性」 埼玉・小児医療センター(朝日新聞) 2) 劇薬管理強化へ9項目 事故調報告書 小児医療センター(毎日新聞) 3) 埼玉の病院の医療死亡事故、調査報告「調剤時の混入否定できず」(日経新聞)

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第298回 医学部地域枠「9年勤務」の運用緩和へ、留学・子育てに配慮/厚労省

<先週の動き> 1.医学部地域枠「9年勤務」の運用緩和へ、留学・子育てに配慮/厚労省 2.「やせ薬」目的で拡散するマンジャロ、個人売買の監視強化/厚労省 3.外来医師過多区域で新規開業対応を強化、9医療圏を候補に提示/厚労省 4.出生率1.14で過去最低、周産期・小児医療の集約化議論へ/厚労省 5.外科医への退職強要で大津市民病院側に100万円支払い命令/大津地裁 6.私物PCとクラウド利用に警鐘、患者情報1,365件漏えいの可能性/藤田医大 1.医学部地域枠「9年勤務」の運用緩和へ、留学・子育てに配慮/厚労省厚生労働省は、医学部入試の「地域枠」について、卒業後に特定地域で原則9年以上勤務する現在の運用を見直す検討に入った。地域枠は、一般入試とは別に定員を設け、奨学金の貸与と引き換えに、卒後一定期間、都道府県知事が指定する医療機関などで勤務する仕組み。2025年度は医学部定員9,393人のうち1,847人と約2割をこの地域枠の学生が占めた。医師偏在対策の柱の1つだが、若手医師の20~30歳代は、専門医取得、海外留学、結婚・出産・育児、家族介護などの時期と重なる。10~18年度に地域枠で入学した4,917人のうち、入学時の条件を満たさなかった人は301人。その理由としては「個人的な理由」が最多だった。厚労省は有識者検討会で議論を進め、留学や専門医資格取得のための猶予期間、一時中断の柔軟化などを検討し、年内の取りまとめを目指す。地域枠をめぐっては、都道府県ごとの運用差も課題となっている。育児休業による中断は全都道府県で認められている一方で、留学は35、介護は31都道府県にとどまる。高知大学のように、臨床研修後の残り7年間を15年間のうちに終えればよいとする柔軟な制度や、自治医科大学のように卒業生同士の結婚に配慮し、一定条件で配偶者の出身都道府県勤務を認める例もある。山梨県では、県内勤務を条件に修学資金返還を免除する制度について、条件を満たさない場合に最大約842万円を求める違約金条項を廃止する方針が示された。同条項をめぐっては、消費者機構日本が差し止めを求め、甲府地裁が今年1月に「平均的な損害を超え不当」として差し止めを命じていた。県は控訴していたが、制度を見直し、県による面接、在学中の地域医療実習、勤務年数に応じた段階的な返還免除、貸与額の引き上げなどを導入する。地域医療を支える制度の実効性を保ちつつ、18歳時点の選択で30代までのキャリアを過度に拘束しない制度設計が問われている。 参考 1) 医師の「地域枠9年」緩和 厚労省検討 医学部入試 留学・子育てに配慮(日経新聞) 2) 山梨県 医師確保のための「地域枠」制度 違約金条項を廃止へ(NHK) 3) 山梨県が医学部の修学資金制度を見直し、「違約金」を廃止(朝日新聞) 4) 山梨、医師修学資金貸与の違約金を廃止 裁判踏まえ見直し(毎日新聞) 2.「やせ薬」目的で拡散するマンジャロ、個人売買の監視強化/厚労省糖尿病治療薬チルゼパチド(商品名:マンジャロ)をダイエット目的で使用したり、SNSで個人間売買したりする動きが広がっているとして、厚生労働省が注意喚起と監視を強化する。上野 賢一郎厚生労働大臣は6月5日の閣議後の会見で、「マンジャロを個人間で売買することは違法」と明言。都道府県など関係機関と連携し、SNSを含むネットパトロールを強化し、法違反には厳正に対処する考えを示した。マンジャロは米・イーライリリーが開発したGIP/GLP-1受容体作動薬で、国内では2型糖尿病において効能・効果で承認され、医師の処方のもとで使用されている。その一方で、食欲を抑える作用が注目され、美容・ダイエット目的での使用を勧めるSNS投稿や美容クリニックの広告が拡散している。上野厚労相は「糖尿病治療以外で使用した場合の安全性、有効性は確認されていない。思わぬ副作用につながる可能性も否定できない」と述べ、適正使用を呼びかけた。6月2日には、大阪府警がマンジャロをSNS経由で無許可販売したなどとして、大阪府・奈良県の20~30代の男女3人を医薬品医療機器法(薬機法)違反の疑いで書類送検した。薬機法は、許可を受けていない者が業として医薬品を販売することを禁じており、違反すれば3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象となる。処方箋医薬品であるマンジャロは、許可業者であっても処方箋なしには販売できない。また、販売目的で保管する「貯蔵」も処罰対象となり得る。購入しただけの人を直接処罰する規定はないとされるが、余った薬を友人に有償で譲ったり、SNSで転売したりすれば無許可販売に問われる可能性がある。さらに、正規ルート外で入手した医薬品は偽造品や不適切な温度管理のリスクがあり、重い副作用が出ても医薬品副作用被害救済制度の対象外となる。医療者には、マンジャロが単なる「やせ薬」ではなく糖尿病治療薬であることを患者に説明し、安易な個人売買や自己判断での使用を避けるよう啓発する姿勢が求められる。 参考 1) マンジャロ個人間売買、厚労相「法違反は厳正に対処」 注意喚起強化(朝日新聞) 2) 糖尿病治療薬「マンジャロ」上野厚労相が適正な使用を呼びかけ(NHK) 3) 厚労相「法違反、厳正に対処」 マンジャロ個人売買の横行受け(毎日新聞) 4) 「やせ薬」危険な個人売買 糖尿病薬「マンジャロ」取引横行 許可なくSNSで販売疑い異例の立件(同) 5) マンジャロ無許可販売で書類送検、買う側には「罰則なし」? それでも弁護士が購入を勧めないワケ(弁護士ドットコム) 3.外来医師過多区域で新規開業対応を強化、9医療圏を候補に提示/厚労省厚生労働省は、2027年度から始まる第8次医療計画後期に向け、「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」を都道府県に通知した。今回の見直しは、都市部など診療所医師が集中する地域で新規開業への対応を強める一方で、医師不足地域では診療所の承継・開業支援を進めるもので、外来医療における偏在策が具体化しつつある。ガイドラインでは、外来医師偏在指標と可住地面積当たり診療所数を基に、とくに外来医師が多い「外来医師過多区域」の候補として、東京・区中央部、区西部、区西南部、区南部、区西北部、京都・乙訓、大阪市、福岡・糸島、神戸の9つの2次医療圏を提示した。外来医師過多区域では、無床診療所の新規開設希望者に対し、原則として開設6ヵ月前までの事前届出を求める。届出では、夜間・休日の初期救急、在宅医療、発熱外来、学校医・予防接種、警察医会への協力など、地域で不足する医療機能を担う意向の有無や内容を示す必要がある。要請や勧告に従わない場合には、内容の公表に加え、保険医療機関の指定期間を通常より短縮する対応も想定される。その一方で、制度は一律の開業抑制ではない。親の死亡に伴う急な診療所承継や、自治体の求めに応じて地域外来医療を担う場合などは、事前届出の猶予・免除の対象となり得る。また、診療所の全医師が育児や介護で夜間・休日対応ができない場合など、地域で不足する医療機能を担えない「やむを得ない事情」も例示された。医師不足地域では、国と都道府県による診療所の承継・開業支援が始まっている。2024年度補正予算で102億円、2026年度当初予算で20億円が措置され、施設整備、医療機器購入、職員給与や材料費などの運営経費を支援する。青森県では県内全6つの2次医療圏を重点医師偏在対策支援区域に定め、2025年度に19診療所が交付対象となった。承継10施設、新規開業9施設で、内科に加え産科や小児科の開業も含まれた。県内診療所数の減少幅は緩やかになっており、県や医師会からは支援事業を評価する声が出ている。外来医療の偏在対策は、開業の自由と地域に必要な医療機能の確保をどう両立させるかが焦点となる。都市部では新規開業医に地域で不足する医療機能への協力を求め、医師不足地域では経済的支援で承継・開業を後押しする「要請と支援」の両輪が動き出した。今後は、地域医療構想、かかりつけ医機能報告、外来機能報告のデータを活用しつつ、長期的な財源確保と、地域ごとの実効性ある協議が問われる。 参考 1) 外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン~第8次(後期)~」について(厚労省) 2) 開業規制の医師過多区域、5都府県の9圏域候補 国がガイドラインで示す(CB news) 3) 第8次後期外来医療計画のGLを通知、外来医師過多区域の取り組みを記載-厚労省(日本医事新報) 4) 第8次後期の外来計画でGL 過多区域の「特例」示す(MEDIFAX) 5) 重点区域の診療所支援、偏在是正に一定の効果 「長期的な財源確保」を(同) 4.出生率1.14で過去最低、周産期・小児医療の集約化議論へ/厚労省厚生労働省が公表した2025年人口動態統計(概数)で、わが国の出生数は前年比1万4,937人減の67万1,236人となり、10年連続で過去最少を更新した。合計特殊出生率は1.14で、3年連続の過去最低となった。出生数の減少率は2.2%と、近年の5%台からは縮小したが、死亡数158万9,489人との差である自然減は91万8,253人に達し、19年連続の人口減少となった。婚姻件数は48万9,119組で2年連続増加したが、この10年では14万組余り減っており、少子化の基調は変わっていない。都道府県別の出生率は、沖縄1.52、宮崎1.46、福井1.45が高く、東京0.96、北海道・宮城1.00と低かった。関東以北で低く、西日本で高い「西高東低」の傾向がみられた。この背景には、所得・雇用の不安定さ、出会いの少なさ、子育て費用、仕事と育児の両立困難、固定的な性別役割分担意識の地域差など、複数の要因が絡むとされる。政府は児童手当の拡充、子供誰でも通園制度、育児休業給付の充実、出産費用無償化などを進めるが、尾崎 正直官房副長官は「少子化に歯止めがかかっていない」との認識を示している。医療現場への影響はすでに顕在化している。国内の分娩取扱施設は2006年の3,098施設から2025年には1,856施設へ約4割減少し、診療所は初めて1,000施設を下回った。埼玉県本庄市では地域最後の分娩施設が少子化による経営難などを理由に分娩を休止し、妊婦健診は地域診療所、分娩は近隣施設で担うセミオープン型へ移行した。小児医療でも、低出生体重児や小児外科症例の減少により、NICU・GCUの空床、専門医・指導医育成の症例確保、こども病院の赤字が課題となっている。NICUは出生1万人当たり46.2床と、かつての整備目標を大きく上回る一方で、GCUの病床利用率が50%未満の地域周産期母子医療センターも多い。第9次医療計画に向けて、国は周産期・小児医療の病床数見直し、集約化、都道府県を越えた広域連携の検討を始める。少子化は単なる人口政策ではなく、分娩、小児救急、NICU、小児外科、思春期医療まで含む医療提供体制の再編問題である。安全性を維持しながら、患者・家族の移動負担や地域アクセスをどう支えるかが、今後の医療政策の焦点となる。 参考 1) 人口動態統計月報(概数)(令和7(2025)年12月分(年計を含む))(厚労省) 2) 13県で出生率上昇も…少子化に歯止めかからず 対策の拡充不可避 令和7年人口動態統計(産経新聞) 3) 出生率1・14、過去最低を更新 出生数は最少の67万人 令和7年人口動態統計(同) 4) 閉じる分娩施設、減る小児の症例数 世界最高水準を誇る医療の未来は(朝日新聞) 5) 少子化で経営成り立たず 地域最後のお産休止、空床増えるこども病院(同) 6) 去年の出生数67万人 過去最少 少子化対策ポイントは(NHK) 5.外科医への退職強要で大津市民病院側に100万円支払い命令/大津地裁大津市立大津市民病院に勤務していた外科医3人が、業績不振を理由に退職を強要され、パワーハラスメントを受けたとして、病院を運営する地方独立行政法人や前理事長、前院長に慰謝料や未払い退職金など計約2,900万円の支払いを求めた訴訟で、大津地裁は6月5日、原告のうち1人に対する退職強要を認め、病院側に慰謝料100万円の支払いを命じた。パワハラについては3人とも認めず、残る2人への退職強要も否定した。判決によると、前理事長らは2021年4~9月、外科などの業績不振を理由に「改善の兆しが見えないということで決断せざるを得ない」などと発言。同年9月の面談では、元副院長に対し、「外科の医師には退職してもらい、別の大学のチームに来てもらうよう頼む」趣旨の発言をした。田野倉 真也裁判官は、外科の経営低迷が元副院長らの責任とは認められないにもかかわらず、退職を求めた言動は「社会通念上相当と認められる退職勧奨の範囲を超えた」と判断。自由な退職意思の形成を妨げる退職強要に当たるとして、精神的苦痛と退職を余儀なくされたことへの慰謝料を認めた。その一方で、残る2人の医師については、問題となった面談に出席しておらず、前理事長らの意向を元副院長から伝えられたに過ぎないとして、退職を強要されたとは評価できないとした。また、原告側が主張したパワハラについても、3人いずれについても認定しなかった。前理事長が元副院長に対して名誉毀損を理由に550万円を求めた反訴も棄却された。今回の判決は、病院経営の改善や診療科再編を理由とする人事対応であっても、特定医師に退職を既定方針として繰り返し伝える行為は、適法な退職勧奨の範囲を超え得ることを示した。医師不足や経営悪化を背景に診療体制の見直しを迫られる医療機関では、業績評価の根拠、面談記録、本人の自由意思の確保、配置転換や業務改善の選択肢提示など、手続きの透明性が一層問われる。 参考 1) 大津市民病院の損賠訴訟 退職強要認め100万円支払命令 地裁判決(産経新聞) 2) 「退職の決定」何度も通知するパワハラ…市立病院側に医師1人に100万円の支払い命じる判決(読売新聞) 3) 大津市民病院の前理事長ら、医師に退職強要 100万円の損害賠償支払い命令、大津地裁(中日新聞) 6.私物PCとクラウド利用に警鐘、患者情報1,365件漏えいの可能性/藤田医大藤田医科大学病院は、6月3日に看護師の私物パソコン(PC)に保存されていた患者情報1,365件が外部に漏えいした可能性があると発表した。対象は、末期腎不全、腹膜透析、腎代替療法指導を受けた一部患者で、氏名、性別、生年月日、患者ID、病名、転帰、入退院日、検査データなどが含まれる。現時点で不正利用は確認されていないが、病院は対象患者への謝罪と経過報告、相談窓口の設置、全職員研修、個人情報の取扱実態調査を進める。今回の事案で注目すべきは、病院本体の電子カルテが直接侵害されたのではなく、職員が規定に反して患者情報を私物PCに保存し、自宅でサポート詐欺型の不正侵入を受けた点である。看護師は学会発表資料の作成などを目的に、2020年ごろからクラウドを介して患者情報を私物PCと共有していた。5月25日、自宅でウェブサイトを閲覧中に偽の警告画面が表示され、表示された連絡先やURLに応じた結果、第三者による遠隔操作を受けたとみられる。その後、ウイルス駆除名目の金銭請求、身に覚えのないクレジット請求、携帯電話アカウント変更通知などがあり、専門業者からサポート詐欺と情報漏えいの可能性を指摘された。医療機関のサイバー対策は、ランサムウェア対策のみを想定すれば足りる段階ではなくなっている。偽警告、遠隔操作、クラウド同期、私物端末、学会・研究用データの持ち出しが組み合わされば、重大な個人情報漏えいにつながる。とくに、匿名化が不十分な症例リストや検査データ、紹介状、退院サマリーを、発表準備や在宅作業のために個人端末へ移す運用は、診療所でも起こり得る。厚生労働省は5月29日に開かれた「医療等情報利活用ワーキンググループ」で示した「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版(案)」は、病院だけでなく、一般診療所、歯科診療所、薬局、訪問看護ステーション、介護事業者も対象とする。医療情報を保存するシステムに限らず、医療情報を扱う情報システム全般が対象であり、私物PCやクラウド利用も管理外ではなくなっている。さらに令和8年度版チェックリスト案では、二要素認証、パスワード要件、端末・サーバ・ネットワーク機器の台帳管理、アクセス権限管理、USBなど外部記録媒体の制限、不要ソフトの停止、インシデント時の連絡体制、サイバー攻撃を想定した事業継続計画(BCP)の策定が重視されている。まず、クリニックなどでも「患者情報をどの端末、クラウド、USB、メールに置いているか」を確認し、私物PC端末への保存禁止、学会・研究用データの匿名化手順、クラウド共有の承認制、偽警告が出た際に電話しない・URLを開かないなどのセキュリティ教育が必要となる。サイバー対策はもはや医療情報システム部門だけの課題ではなく、診療情報の持ち出しルールと緊急時対応を明文化するなど、医療機関の経営者にとって重要な課題になっている。 参考 1) 個人情報漏洩に関するご報告とお詫び(藤田医科大病院) 2) 第32回 健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループ(厚労省) 3) 患者情報1,365件漏えいか 藤田医科大病院 相談窓口設置へ(読売新聞) 4) 藤田医科大病院で1,300件超の患者情報漏えい 私物PCでサポート詐欺被害(CB news) 5) 藤田医大病院 私用パソコンに保存 患者の個人情報流出か(NHK)

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つなぐべきか、つながざるべきか、それが問題だ(解説:山地杏平氏)

 弁膜症の外科手術を行う際には、左主幹部病変であれば50%以上、その他の主要冠動脈であれば70%以上の狭窄を合併している場合、冠動脈バイパス術(CABG)を同時に施行することが推奨されます。また、中等度大動脈弁狭窄症など、本来であれば単独では手術適応とならない弁膜症であっても、CABGが必要な症例では同時手術が検討されることもあります。 開胸するのであれば、冠血行再建も同時に行うという考え方はリーズナブルだと思います。とくに内胸動脈グラフトや、近年良好な成績が報告されている静脈グラフトを用いることで、将来的な冠動脈イベントの抑制が期待されます。 一方で、せっかく作成したグラフトも長期的には閉塞することがあります。グラフトを冠動脈遠位部へ吻合すると、ネイティブ冠動脈近位部の病変が進行し、完全閉塞へ至ることも少なくありません。そのような状況でグラフトが閉塞すると、慢性完全閉塞病変に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が必要になったり、場合によってはグラフトそのものへの治療が必要になったりすることもあります。そのため、「どの病変にグラフトをつなぐべきか」という問題は、長期予後を考えるうえできわめて重要です。 このような背景の下、弁膜症手術時に冠動脈病変を認めた場合、冠動脈造影による解剖学的狭窄度に基づいてバイパスを行うべきか、それともangiography-derived fractional flow reserve(FFR)による生理学的評価に基づいてバイパスを行うべきかを検討したFAVOR IV-QVAS試験が、2026年にLancet誌に報告されました。 本試験では、angiography-derived FFRを用いた群において、作成されるグラフト数が減少し、人工心肺時間および大動脈遮断時間が短縮されました。さらに、30日以内の死亡、心筋梗塞、脳卒中、予定外血行再建、透析導入を含む主要複合エンドポイントは、FFR群で7.8%、冠動脈造影群で13.4%と有意に低下しました。 この結果はどちらかというと当たり前かとは感じます。CABGは周術期リスクを伴う一方で、遠隔期の冠動脈イベントを抑制することを目的とした治療です。そのため、短期成績のみを評価した場合には、介入を減らした群のほうが有利な結果を示す可能性があります。本試験の意義を正しく評価するためには、グラフト開存率や5年以上の遠隔期成績に関する今後の解析を待つ必要があります。 PCI領域ではFFRをはじめとする生理学的評価が広く普及しており、FAME試験やFAME 2試験をはじめとする多くの研究によって、解剖学的評価のみに基づく治療戦略よりも優れた臨床成績が示されてきました。現在の日本の保険診療においても、PCI施行前には何らかの虚血評価を行うことが求められています。しかし、重症三枝病変に対してCABGを行う際、「どの冠動脈にグラフトを吻合するべきか」という問題については、依然として議論の余地があります。たとえ病変がFFR陽性であっても、ネイティブ冠動脈の血流が比較的保たれている場合には、グラフト閉塞のリスクが高くなる可能性があります。実際、経験豊富な心臓外科医の中には、「FFR陽性であっても、この程度の狭窄であればグラフトは長期的に開存しにくい」と判断する場合があります。 PCIにおいては「その病変を治療すべきか」が主な論点であるのに対し、CABGでは「その病変にグラフトをつないだ際に長期的に機能するか」という別の視点が加わります。そのため、PCIの適応判断に有用であるFFRを、そのままCABGの吻合部位選択に応用できるかどうかについては、まだわかっていないように思います。FFRは虚血の有無を評価する指標としてきわめて優れていますが、グラフトの長期開存性を規定するのは、むしろ実際の血流需要かもしれません。その意味では、将来的にはFFRだけでなく、冠血流予備能(CFR)や冠血流量そのもの、さらには術中のエコーでのグラフト血流評価など、より「流量」に着目した指標の重要性が明らかになる可能性があるかもしれません。 FAVOR IV-QVAS試験の、長期予後やグラフト開存率に関する追加データ次第では、冠動脈バイパス術においても「狭窄があるからバイパスする」のではなく、「実際に虚血や血流障害を生じている血管のみを治療する」ということになるかもしれません。

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糖尿病患者の将来リスクをAI活用で予測/福島医大・日本糖尿病学会ほか

 福島県立医科大学と千葉大学、国立健康危機管理研究機構(JIHS)らの研究グループは、株式会社エフコムとの共同研究により、AIを活用して糖尿病を5つのサブタイプに分類し、将来の合併症・併存症リスク(糖尿病関連腎臓病、透析導入、心血管障害など)を推計するウェブプラットフォーム「福島医大 糖尿病未来予測ナビ」を研究・開発した。このウェブプラットフォームは、2026年5月20日に福島県立医科大学附属病院、日本糖尿病学会、てだこ浦西駅循環器・糖尿病クリニックの各ホームページ上で公開された。 糖尿病患者では、合併症の進行に大きな個人差がある。この研究は、国内最大級のデータベース「J-DREAMS」(日本糖尿病学会運営)を活用し、日本人の病態に最適化された予測モデルの構築を目的に開発され、患者の将来リスクを推計する。 ウェブプラットフォームの主なポイントは以下の3点。1)AIが糖尿病を5つのタイプに分類 日常診療で得られるデータ(年齢、BMI、血糖値など)を解析し、患者を5つのサブタイプ(クラスター)に分類、合併症リスクを可視化する。2)診断時点で将来の「透析リスク」を推計 早期段階のデータから将来の透析導入リスクを推計できる。とくに「重症インスリン抵抗性(SIRD)」は、8年間で透析導入リスクが約4%に達することを特定している。3)日常診療ですぐに活用可能な「ゼロセットアップ」設計 特別な検査を必要とせず、一部データが不足していてもAIが補完する独自技術を搭載。幅広い医療現場での活用が期待される。 研究・開発者の1人である島袋 充⽣氏(福島県立医科大学医学部糖尿病内分泌代謝内科学講座 教授)は、「患者と医療者が同じ未来を共有し、ともに歩んでいく。そんな新しい糖尿病医療のスタンダードを、福島から全国へ広げていきたい」と期待を寄せている。

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第296回 ナフサ不足で医療資材逼迫、医療用手袋5,000万枚を放出/政府

<先週の動き> 1.ナフサ不足で医療資材逼迫、医療用手袋5,000万枚を放出/政府 2.血管炎薬アバコパンで死亡20例、添付文書に「警告」新設/厚労省・キッセイ薬品 3.AIを悪用したサイバー攻撃に備え、医師会や病院団体と対策を協議/厚労省 4.マイナカード「任意」から義務化検討へ、全員保有を提言/自民党 5.禁忌の抗菌薬処方でSJS発症か、患者死亡で遺族に補償へ/三重県 6.東大医学系研究科の贈収賄事件、元特任准教授に有罪判決/東京地裁 1.ナフサ不足で医療資材逼迫、医療用手袋5,000万枚を放出/政府中東情勢の悪化を背景に、石油由来原料を使う医療資材の供給不安が医療現場に広がっている。政府は5月23日、感染症などの流行に備え国が備蓄していた医療用手袋のうち、まず5,000万枚の放出を開始した。都内の歯科診療所には同日、第1弾が到着。受け取った院長は「診療所は在庫を抱えられない。購入できて安心した」と語った。放出対象は、病院、診療所、訪問看護事業所、薬局、助産所など。在庫量が「今後1週間の想定消費量から購入見込み量を差し引いた数」の4週間分を下回る場合、医療機関等情報支援システム(G-MIS)を通じて申請できる。販売は1,000枚単位で、価格は1セット5,980円、1枚当たり約6円。購入可能数は想定消費量の2週間分を基準に決まり、条件を満たせば複数回の申請も可能とされる。21日時点で2,000を超える医療機関が対象となっており、茨城県でも第1弾として63医療機関から27万1,000枚の購入申し込みがあった。ただ、逼迫しているのは手袋だけではない。ナフサ価格の上昇を受け、廃液回収容器、投薬瓶、軟こう容器、点眼瓶、松葉杖、透析回路、医薬品包装用フィルムなどでも値上げや納期遅延、受注制限が相次いでいる。調剤薬局では小児用シロップ容器が不足し、粉薬での処方を依頼する例も出ている。医療資材卸では4月以降、平均2~3割の値上げが行われ、製品によっては1.5~2倍の値上げ要請もあるという。診療報酬や薬価は公定価格であり、医療機関や製薬企業は一般産業のようにコスト上昇分を価格転嫁しにくい。物価高、人件費高、光熱費高に加え、資材不足が中小医療機関の経営をさらに圧迫している。政府は追加放出も検討するとしているが、手袋の使用量は月9,000万枚規模ともされ、備蓄放出だけで不安を払拭するのは難しい。医療提供体制を維持するには、資材供給の安定化に加え、物価変動を診療報酬や薬価に反映する仕組みの検討が求められる。 参考 1) 医療用手袋の政府備蓄品が到着 厚労省、都内歯科で公開(日経新聞) 2) 国が備蓄している医療用手袋 購入要請があった医療機関にきょうから配送開始 中東情勢の影響を受けて放出(TBS NEWS) 3) ナフサ不足で医療資材逼迫 軟こう容器・松葉杖・手袋…中小医院資材逼迫で苦境(日経新聞) 4) 中東情勢悪化に伴う医療用グローブの国家備蓄放出、「医療機関在庫が不足する」場合に購入可能-厚労省(Gem Med) 2.血管炎薬アバコパンで死亡20例、添付文書に「警告」新設/厚労省・キッセイ薬品厚生労働省は5月21日、選択的C5a受容体拮抗薬アバコパン(商品名:タブネオスカプセル10mg)について、製造販売元のキッセイ薬品に対し、添付文書に「警告」欄を新設し、医療関係者へ安全性速報(ブルーレター)を発出するよう指示した。同薬の服用後、肝臓の胆管がなくなる「胆管消失症候群」を含む重篤な肝機能障害が報告され、国内で20例の死亡があったことを受けた措置。ブルーレターの発出は5年ぶりで、迅速な安全対策が必要と判断された。アバコパンは、顕微鏡的多発血管炎と多発血管炎性肉芽腫症を対象とする飲み薬で、いずれも国の指定難病。ステロイド使用量を減らせる薬として期待され、国内では2022年6月に発売され、直近1年間で推定約8,500例に使用された。死亡した20例は60~90代で、19例は投与開始から3ヵ月以内に肝機能障害を発症。胆管消失症候群は22例報告され、このうち13例が死亡しており、とくに深刻な副作用とみられている。改訂後の添付文書では、投与開始前と投与中の定期的な肝機能検査を求める。投与開始後3ヵ月間は少なくとも2週間に1回、その後3ヵ月間は少なくとも4週間に1回、6ヵ月以降も定期的に検査する。ALTまたはASTが基準値上限の3倍を超えた場合は投与を中断し、8倍超、5倍超が2週間以上続く場合、総ビリルビンやALPの上昇、黄疸やかゆみなどがあれば中止する。胆管消失症候群が疑われる場合も速やかに中止することを求めている。キッセイ薬品は、新規患者への投与を控えるよう注意喚起していたが、その後は頻回の検査を前提に新規投与も可能とされた。すでに服用中の患者には、自己判断で中止せず、体調変化があれば医師や薬剤師に相談するよう呼びかけている。その一方で、米国食品医薬品局(FDA)は有効性や承認申請資料を巡る疑義から米国での承認撤回を提案しており、厚労省も海外当局と連携し、有効性や安全性の確認を進める。 参考 1) タブネオスの安全性確保のための注意喚起について(キッセイ薬品) 2) タブネオスにブルーレター発出、添付文書の「警告」欄を新設(日経ドラッグインフォメーション) 3) 血管炎治療剤タブネオス 安全性速報を発出-添付文書に「警告」新設 キッセイ薬品(CB news) 4) キッセイ薬品工業が「ブルーレター」発出 タブネオス服用後の死亡患者20人報告で(中日新聞) 5) 投与患者20人死亡の血管炎治療薬、添付文書に「警告」欄を新設・頻繁な肝機能検査を要請…厚労省(読売新聞) 6) キッセイ薬品の血管炎薬、添付文書に「警告」欄 有効性に疑義も(朝日新聞) 7) キッセイ薬品、血管炎治療薬で安全性速報 死亡報告で厚労省指示(日経新聞) 3.AIを悪用したサイバー攻撃に備え、医師会や病院団体と対策を協議/厚労省厚生労働省は5月22日に、AIを悪用したサイバー攻撃への懸念が高まっているとして、医療機関や病院団体とサイバーセキュリティ対策に関する意見交換会を開いた。背景にあるのは、米アンソロピックが4月に発表した高性能AI“Claude Mythos”(クロード・ミュトス)で、ソフトウエアの脆弱性を自律的に検出し、攻撃プログラムの生成にもつながり得るとされる。国家サイバー統括室は18日、AIの急速な進展により攻撃の規模が拡大する恐れがあるとして、医療や金融など重要インフラ15分野に注意を呼びかけていた。意見交換には上野 賢一郎厚労相、厚労省や国家サイバー統括室の担当者、全国自治体病院協議会、全日本病院協会、日本病院会、日本医療法人協会などの関係者が出席した。上野厚労相は、医療現場では日々の診療や運営に追われ、サイバー対策が後回しになりがちだと指摘し、「現場任せではなく経営層の主体的な関与が不可欠」と強調。「サイバー攻撃の脅威はさらに増大する。必要な対応を速やかに進める」と述べた。医療機関ではこれまでも電子カルテが使えなくなり、診療を一時中断する被害が発生している。出席した医療機関側からは、「対策に充てる財源が乏しい」や「専門人材を確保できないこと」への不安が示され、国による財政的・技術的支援を求める声が上がった。厚労省は、医療情報システムの安全管理ガイドラインに基づく基本対策の徹底、攻撃を受けた場合の事業継続計画作り、補助金や経営層向け研修の活用を呼びかけた。政府は重要インフラ15分野ごとに安全基準を整備する方針で、厚労省も医療分野の実情に応じた対策を具体化する。今後、関係機関に事務連絡を出し、医療機関の機能停止が国民生活に重大な影響を及ぼさないよう、医療現場と連携して実効性ある体制作りを進める。診療継続を支える経営課題として、各病院の備えが問われる。 参考 1) ミュトス対応 医療機関と意見交換、厚労省 セキュリティー対策具体化へ(CB news) 2) 医療機関にサイバー攻撃対策を要請 厚労省、AI「ミュトス」念頭(日経新聞) 3) 新型AI「ミュトス」 厚生労働省と医療機関が意見交換 上野大臣「必要な対応を速やかに進める」 サイバー攻撃で診療一時中断も 「財源ない」「専門人材いない」の声も(TBS NEWS) 4) 「医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策に関する厚生労働省との意見交換」を開催します(厚労省) 4.マイナカード「任意」から義務化検討へ、全員保有を提言/自民党自由民主党は5月19日、マイナンバーカードの取得義務化の検討を政府に求める政策提言「デジタル・ニッポン2026」を公表した。国民全員がカードを保有することを前提に、行政サービスの拡充や民間利用を進める狙いで、早ければ来年の通常国会で関連法改正を目指す。現在、マイナンバーカードの取得は任意で、4月末時点の保有率は82.7%。提言では、取得を法的に義務付ける必要性や実効性を検討すべきとするが、罰則は設けない方針。背景には、中低所得の現役世代支援として検討される「給付付き税額控除」や迅速な現金給付への活用がある。提言では、給付に必要な公金受取口座の登録義務化の検討も盛り込み、マイナカードを「デジタル社会のパスポート」と位置付けている。党デジタル社会推進本部長の平井 卓也衆院議員は、交付開始当初に比べ肯定的に受け止める人が増えたとして、「持っていることを前提に政策を組み上げる」と説明した。その一方で、個人情報の漏えいや目的外利用、プライバシー侵害への懸念はいまだに根強い。マイナ保険証の原則化を巡っては、医療機関の受付負担や高齢者の利用困難、資格確認書の併存などから「事実上の義務化」との批判もある。会計検査院の調査では、2025年7月末までに本人希望で廃止されたカードが累計93万枚に上り、トラブルへの不安や利便性を実感できないことが背景にあるとの見方も出ている。コンビニ交付や本人確認で「期待通りの使い勝手になっていない」との指摘もあり、普及策の妥当性が問われている。松本 尚デジタル相は22日の会見で、義務化について「法的に縛り付けることは議論が必要だ」と述べ、必要性への明言を避けた。カードを持ちたくない人が納得できる根拠や、どの政策と一体で進めるのかを検討する必要があるとの認識を示した。利便性向上と行政効率化を掲げる政府・与党に対し、制度への信頼回復と不安払拭が課題となる。 参考 1) デジタル・ニッポン2026ー責任あるアジャイル・ガバナンスー(自民党) 2) マイナカード、取得義務化を提言 自民「来年国会で法改正めざす」(朝日新聞) 3) マイナカード義務化「必要性もう少し議論」 松本デジタル相(日経新聞) 4) 任意だったのに…「マイナカード義務化」自民が提言へ 給付付き税額控除の議論が「絶好のラストチャンス」(東京新聞) 5) 「93万枚」が廃止されていたマイナンバーカード このままでは“第2の住基カード”に? 「多くの人が“便利さ”を感じていない」(デイリー新潮) 5.禁忌の抗菌薬処方でSJS発症か、患者死亡で遺族に補償へ/三重県三重県桑名市の地方独立行政法人 桑名市総合医療センターは5月21日、気管支喘息で入院した60代男性に禁忌薬を誤って処方し、男性が重い薬剤アレルギーとみられる症状を発症後、3月23日に死亡したと発表した。病院側は薬剤投与ミスを認め、遺族に謝罪するとともに補償する方針を示している。男性は2月中旬、喘息発作で同センターに入院し、ステロイド治療に伴う感染症予防のため、担当医が抗菌薬トリメトプリム スルファメトキサゾール(商品名:バクトラミン)を処方した。男性は退院後に服用したが、高熱や全身の発疹、皮膚や口腔内のただれなどを起こし、愛知県内の病院に搬送された。その後、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)を発症したとみられ、より重篤な中毒性表皮壊死症(TEN)の可能性も指摘されている。最終的には腸閉塞を伴う敗血症性ショックなどで死亡した。バクトラミンは、スルファメトキサゾール・トリメトプリムを成分とするST合剤で、男性は過去に同じ成分を含む別の商品名の抗菌薬でアレルギー症状を起こしていた。電子カルテには投与禁忌の記載があったが、担当医は商品名の違いから同一成分だと認識せず、成分確認を十分に行わなかったという。一部報道では、医師がアレルギー歴を別系統の薬剤と誤認していたともされる。病院は、誤投薬とアレルギー反応との関連性は極めて高いと説明する一方で、死亡との直接の因果関係については病理解剖の結果や外部専門家を含む調査で検証する方針。県医師会には医療事故として報告しており、院内事故調査委員会や第三者委員会で原因究明と再発防止策を検討する。山田 典一病院長は記者会見で「痛切に責任を感じている」と謝罪し、「全職員がリスクを感じたら拾い上げる体制に変えなければならない」と述べた。 参考 1) 桑名市総合医療センターで男性に禁忌薬処方、難病発症 別の病院に転院後死亡(中日新聞) 2) 禁忌薬誤投与後に患者男性が死亡 三重の医療センター 因果関係調査(産経新聞) 3) 抗菌薬誤投与で難病発症、患者死亡 医師が成分確認せず-三重・桑名市総合医療センター(時事通信) 4) 桑名市総合医療センターの患者死亡 薬剤の投与ミス認める(NHK) 6.東大医学系研究科の贈収賄事件、元特任准教授に有罪判決/東京地裁東京大学大学院医学系研究科の共同研究を巡る贈収賄事件で、収賄罪に問われた元特任准教授の吉崎 歩被告(46)に対し、東京地裁は5月22日、懲役1年、執行猶予2年、追徴金約196万円の有罪判決を言い渡した。求刑は懲役1年2ヵ月、追徴金約196万円で、吉崎被告は公判で起訴内容を認めていた。判決によると、吉崎被告は2023年3月から2024年8月にかけて、東京大学大学院医学系研究科皮膚科学分野の元教授、佐藤 伸一被告(62)とともに、一般社団法人日本化粧品協会の代表理事だった引地 功一被告(52)から、都内の高級クラブや性風俗店などで30回にわたり、計約196万円相当の接待を受けた。接待は、皮膚疾患に対する大麻草由来成分カンナビジオール(CBD)の有効性などを調べる「臨床カンナビノイド学社会連携講座」の設置や共同研究の推進で便宜を図る見返りだったとされた。吉崎被告は同講座の講座長として、佐藤被告と日本化粧品協会との間に入り、研究実務や接待の段取りを調整していた。弁護側は、吉崎被告が佐藤被告を師と仰ぎ、強い影響下にあったため異を唱えることは難しかったと主張。判決も、上司である佐藤被告の意向に反することが困難だった点は認めた。その一方で、吉崎被告が接待の調整役を担い、単独で接待を受けたこともあり、自ら積極的に接待を受けたい意向があったとして、「刑事責任は軽視できない」と指摘した。遊興接待の内容についても、職務の廉潔性を害したことは明らかだとした。判決はさらに、東大の社会連携講座についても言及。大学の看板を営利目的で利用しようとする企業に悪用されかねない側面があり、公益的な研究として適切に運用されるかどうかが、講座を統括する担当教授のモラルに大きく依存していたと指摘した。産学連携を進める上で、研究費の受け入れや企業との距離感を個人の倫理観に委ねる危うさが改めて浮き彫りになった形。しかしながら、吉崎被告が事件後に東大を退職し、犯行を認めて反省していること、再び公職に就く可能性が低く再犯の可能性も低いことなどから、執行猶予付き判決が相当と判断された。事件では、佐藤被告も収賄罪で起訴されているほか、贈賄罪に問われた引地被告の判決は5月26日に予定されている。東大では別件でも医療機器選定を巡る収賄事件が起きており、大学病院における企業連携と利益相反管理のあり方が厳しく問われている。 参考 1) 東大病院汚職、元特任准教授に有罪判決 風俗店やクラブで接待受ける(朝日新聞) 2) 東大院汚職で元特任准教授に有罪判決 東京地裁(日経新聞) 3) 懲役1年執行猶予2年、性接待などを受け 東大病院の収賄事件、「教授の強い影響下にあった」元特任准教授に有罪判決(日経メディカル)

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