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結腸がん補助化学療法におけるFOLFOXの有効性:Stage IIと高齢者におけるサブ解析

 オキサリプラチンをフッ化ピリミジンに追加した補助化学療法はStage IIIの結腸がん患者の生存率を改善するが、Stage IIおよび高齢患者における補助化学療法にオキサリプラチンを追加することの有用性については意見が分かれている。Christophe Tournigand氏らは、結腸がんの補助化学療法におけるオキサリプラチン/フルオロウラシル/LVの多施設国際共同試験において、フルオロウラシル+LV(FL)とFL+オキサリプラチン(FOLFOX4)に無作為に割り付けられた患者のうち、Stage IIおよび高齢(70~75歳)患者のサブグループ解析を実施。その結果、どちらの患者でも全生存率(OS)と無病生存率(DFS)にはオキサリプラチン追加による有意なベネフィットは認められなかったことを、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2012年8月20日号に報告した。 FL群とFOLFOX4群に無作為に割り付けられた2,246例のうち、Stage IIの患者が899例(低リスク330例、高リスク569例)、高齢(70~75歳)の患者が315例であった。主な結果は以下のとおり。・Stage IIの患者においてFLと比較したFOLFOX4のハザード比(HR)は、DFSでは0.84(95%CI:0.62~1.14)、再発までの期間(TTR)では0.70(95%CI:0.49~0.99)、OSでは1.00(95%CI:0.70〜1.41)であった。・低リスクStage IIの患者においては、オキサリプラチン追加による有意なベネフィットは認められなかった。・高リスクStage IIの患者におけるHRは、DFSでは0.72(95%CI:0.51~1.01)、TTRでは0.62(95%CI:0.41~0.92)、OSでは0.91(95%CI:0.61~1.36)であった。・高齢の患者におけるHRは、DFSでは0.93(95%CI:0.64~1.35)、TTRでは0.72(95%CI:0.47〜1.11)、OSでは1.10(95%CI:0.73〜1.65)であった。

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副院長 教授 加藤良二 先生の答え

がん化学療法は外科医が身につけるべき手技でしょうか?一地方病院の21年目の腫瘍内科医です。わが国には腫瘍内科医の養成システムがなく、すべての癌に自信を持って化学療法ができるようになったのは、ここ数年のことです。先日も分子標的薬関連の講演会があり出席しましたが、数人の外科医がスペシャリストとして講演していました。外科医の本分は手術であり、化学療法に手を出す前にたとえば消化管の専門にとらわれず尿路変向や子宮付属器切除など隣接臓器の外科的手技を身につける方が合理的ではないかと思っていました。私は血液腫瘍を含め全ての悪性腫瘍の治療をすぐに行えますが、薬物による治療という共通点があるからこそできることで、超人的なこととも思えません。むしろ人材の有効利用につながると思います。外科医が手術をやりながら(手術の技術を身につけながら)化学療法をやることなどは不器用な私などには到底出来そうもありません。私が外科医であれば(細かい手作業が得意で、卒業直後は外科医になるつもりでした)各領域の手術の技術の腕を上げることに邁進するだろうと常々思っています。現在は腫瘍内科医の不足があり外科の医師に手伝ってもらうのはやむを得ないと思いますが、今後も外科医は化学療法を必要な技術として身につけるべきでしょうか。あるいは外科系の診療科や教室に化学療法の専門家が必要なのでしょうか。現在、日本臨床腫瘍学会を中心として数多くの抗がん剤治療(化学療法)の治験が行われています。また日本癌治療学会と提携して癌治療専門医を認定しています。現実に多くの施設で外来化学療法室が設置されてきています。この中心は化学療法専門医であるべきと考えます。これからは術前・術後を問わずこれらの治療専門医に化学療法を任せる時代が来ると思ってはいますが、如何せん医師数の絶対的不足が時代の到来を阻んでいます。佐倉病院でも外来化学療法室の大半が外科系医師によって運営されています。我々が外科医となってから、つい最近まで血液腫瘍内科を除いて、術後の補助化学療法は外科医の手によってなされていました。一旦手術を受けた患者さんは外科医を信頼しており(腹の中まで見てもらったから何でも理解していると信じ込んでる?)外来を離れようとしません。他の内科医または放射線治療医を紹介すると放り出された(あるいは見放された)と感じていたようです。一方、外科医は施術した患者さんをなんとか最後まで面倒みようとした結果であると理解しています。今ほどエビデンスも有効な治療薬も無い頃で再発の可能性を肌で感じながら、ああでもないこうでもないと努力しました。勿論、化学療法は片手間にやるものでは無いと思いますが、癌を治療する上で手術や照射あるいは免疫治療等と同様に集学的治療のひとつであると位置づけています。自分の知らないことは専門医に任せておけばいいと思いますか?各分野がそれぞれの立場を主張し、理解した上で患者さんにとって最良の治療を勧めるべきであると考えます。それには外科医も化学療法、放射線治療に関して充分な知識を持つことが必要です。外科の手術修練は大変ですが、朝から晩まで糸を縛っているだけじゃありません(笑)。外来で患者さんと長く付き合うようになった時、適切なアドバイスをしてあげたいと思います。私は内科へ進む研修医にも暇があれば手術に誘います。自分が診断した結果を見て欲しいからです。手術の何たるかを知らずに患者さんに手術を勧められますか?興味あること全てにチャレンジして欲しいものです。何をやっても患者さんの役に立つと信じています。先生の方針は伝統になりますでしょうか?加藤先生が目指されているように、外科医なら外科領域全般を扱えるように指導することは大変重要だと考えます。ところで、主任教授が変わると方針も変わるかと思います。それでも佐倉病院としては、外科手術全般を学ぶ方針(育成方針?)は変わらず維持されるのでしょうか?大変良い方針なので、変わらず伝統としていただきたいものです。有り難うございます。応援に感謝します。これから育つ若手外科医に全領域を経験させることで、外科の領域全てで怖いものがなくなり何でもやるようになれば、彼らが指導する時に伝統となったということです。佐倉病院外科がひとつである限り、全領域を学ぶ姿勢は変わらないと信じていますし、外科医が溢れかえってもそうあるべきです。佐倉の若手は肺・乳腺や甲状腺同様に腸管や肝胆膵も扱います。いろんな経験をすることで、それぞれの違いが分かってきています。いろんな事をやれば自分は大変な思いをしますが、すべて役に立ちます。幸いなことに当科の若手は順調に育ってきていますし、この考えを踏襲してくれると信じています。 外科医の道現在医学部に通う者です。佐倉病院ではまず外科全般を学ぶとのことですが、何年くらい時間を費やすのでしょうか?また、途中で心臓や脳に興味がでてきた場合、その専門分野に特化する道もあるのでしょうか?拙い質問ですが、ご教示のほど宜しくお願いします。ひととおりの分野を経験し、理解できるのに4年はかかります。また自分で手術をできるようになるのに卒後7、8年を要します。心臓に関しては当科内のローテーションに入っていますが、心臓外科を志望する学生が少ないので希望してくれれば大助かりです。外科としては脳外のローテーションは組んでいませんが、興味が湧いてくればいつでも(1年の途中というわけにはいきませんが)、どこ(どの病院)からでも可能ではないでしょうか?勿論、佐倉病院の脳外科を志望してくれたら、大歓迎です(笑)。また外科的手術手技を学んだ婦人科や泌尿器科医がいても良いと思います。元々は脳外科、泌尿器科、婦人科などは外科から分化したものであり、外科的手技はどの外科系診療の基礎となり得るものであるはずです。日本でも珍しい育成システムについて記事拝見しました。「当外科の最大の特徴です。呼吸器でも消化器でも、外科手術全般においてまず学ぶ。つまり、外科手術の分野においてすべての症例に対応できる医師の育成という日本でも珍しいシステムを構築しています。」とありますが、差し支えなければ、もう少し詳しく教えていただけると幸いです。私が勉強不足なのかも知れないが、あまり聞いたことのないシステムですので、興味があります。宜しくお願いします。全国には数多くの外科学教室がありますが、残念ながら主催する教授の得意とする専門臓器分野に偏る傾向があります。例えば大腸を得意とする教室では食道・上部消化管あるいは肝胆膵が苦手とか、消化器外科医は肺の手術ができないとか、逆に肺癌を主に扱っている教室では消化管の手術経験が少ないというようにです。消化管主体の教室では外科専門医の資格を得るのに心臓専門の教室や呼吸器を扱っている教室に一時期留学あるいは研修に出なければなりません。当教室では外科専門医資格を得るために必要な手術症例はすべて指導でき、経験できるようになっており、他所にわざわざ出向く必要が無いということです。どのような研究を行っているのでしょうか?東邦大学医療センター佐倉病院さんでは、どのような研究を行っているのでしょうか?また、今一番力を入れている研究はどんなものでしょうか?ホームページには載っていなかったので、教えて頂ければと思います。内科その他の研究に関しては、東邦大学ホームページから閲覧が可能ですので参照して下さい。佐倉病院外科での研究についてご説明します。優しい手術をテーマに「外科侵襲と悪性腫瘍の進展」「外科侵襲・化学療法とストレス」「消化器(管)悪性腫瘍・呼吸器・乳腺・甲状腺の外科治療」「低侵襲手術法の開発」「がんの増殖・転移の抑制」「術前・術後の補助化学療法」「センチネルリンパ節生検による術式の選択」「腫瘍免疫」「分子生物学的手法による悪性腫瘍の診断と治療」「CT・MRI・PET等を用いた術前画像診断」「疼痛管理と遺伝子診断」など多岐にわたっています。残念ながら当施設では動物実験舎を備えていません(現在計画中)ので、基礎研究は東邦大学関連の習志野キャンパス、大森キャンパス(医学部)や筑波にある他機関の研究施設などを利用しています。臨床研究は、随時当施設で行っています。また全国的に実施されている多施設共同の治療研究にも参加しています。外科医になってよかったと思ったことは何ですか?単純な質問で失礼かと思いますが、外科医になってよかったと思ったことは何でしょうか?今臨床研修で色々とローテートしています。どの科も良いなと思っていますが、外科系だけは、短い研修期間の中では何が魅力なのか実感ができません。とはいえ、指導医の先生は、忙しそうですが、なんだか使命感に燃えているような印象があります(他の科の先生よりも特に。)。加藤先生が長年外科医をやってきて、その中で「外科医になってよかったな」と思ったことを教えて頂ければ幸いです。感動を瞬時に得られます。患者さんが治った時あるいは痛み・苦しみから解放されたと解った時の達成感です。外科の手術は、よく大工さんに例えられますが職人が後世に残る家を造り上げるような感じかもしれません。ひとつの作品を造り上げたような満足感に近いものかもしれません。これらは短期間で消えていくものですが、患者さんがいれば、また望まれればいつでも何処でも腕や知恵をフルに使って治療することに力を注ぎます。何度も押し寄せる大波小波を乗り越えることに楽しみを感じています。ですから夜中あるいは緊急の手術ほど燃えてきて、集まった仲間達はみんな生き生きしています。外科医は「鬼手仏心」と言い、仏の心を持ってメスを振るうことを基本としています。人を傷つけるのは嫌ですが、早く治したい、早く苦しみから救いたいという使命感は強いと思います。患者さんの笑顔と沢山会えるようにしたいものです。女性が外科医になることについてメディトウキングの記事を拝見しました。よく聞かれることかも知れませんが、女性が外科医になることについて如何お考えでしょうか?私は是非外科系に進みたいと考えていますが、将来的なことを考えると(出産や家庭の事情など)外科医よりも他の科を考えた方が良いと周囲から言われます。でも本当にそうなんでしょうか?運よく(?)外科医は不足するので、出産して育児をしても、復帰できる場はたくさんありそうですし。忌憚ないご意見いただけると幸いです。佐倉外科は今年、20周年を迎えます。最近になって2名の女性が入局してくれました。今後ますます増えることを期待しています。外科を目指す女性は頑張り屋さんが多いようです。体力的にも一生懸命やっていれば、多くの男性外科医は優しく、みんなでカバーしようとしますから、出産や家庭の事情などは、なんとかなると考えています。外科でもダイナミックな手術から腕力を必要としない手術まで様々な分野があります。乳腺や甲状腺などは力を必要としませんし、消化器や肺癌などでも鏡視下手術であれば力は要りません。実際、佐倉外科では全麻下腹部手術の約7割、胸腔鏡下手術の9割が鏡視下手術ですから女性外科医の活躍の場は沢山あり、安心して外科医になってください。必要なのは、素直さと情熱です。外科医不足の解消について田舎の総合病院で外科医しています。先生が提言されているように外科医は臓器別に専門化(細分化)され過ぎているように感じています。(大学病院が高度医療のみを提供するという前提であれば良いですが…)今の先生方は、専門化された中で外科医として教育されているので、私どもの病院に来てくれるのはありがたいのですが、最初は盲腸も切れないような先生もいます。逆にいうと、佐倉病院さんのように外科医全般を最初から叩き込んで教育していただくと、私どものような病院にとってはすぐに戦力になります。専門分野は本人の興味次第で後から身につきますし。こう考えると、外科医全般を叩き込んだ先生が増えれば増えるほど外科医の解消につながりそうなのですが。先生のご意見を頂きたいと思います。 専門に特化した外科医も必要です。中央と地方の必要性をバランス良く配分することが必要なのです。しかし学会中心だとどうしても専門性に偏ってしまいます。医学会総会や外科系連合学会など幅広い分野を網羅した学会が、あまり人気の無いのも憂うべきです。しかし、大学病院に盲腸が少ないのも現実ですし、最先端から第一線の診療など、何からなにまで網羅するのも困難です。専門性を追求するのも良いですが、少なくとも外科専門医を取得するまではできるだけ多くの専門分野をまわって多様な経験や勉強を積むべきであると考えます。外科全般にわたって一人前になるのにかなりの時間が必要で、鏡視下手術ができてもアッペも切れない外科医を指導するのも地方の先生方の役割でもあると考えます。自分が育ててもらったように、手間暇掛けてみんなで育てましょう。少しでも多くの若い人達に外科の醍醐味と感動を味わってもらいましょう。ご家族とのコミュニケーションについてプライベートなことで恐縮です。差し支えなければ教えていただきたいことがあります。外科医は患者さんを待たせることできないので、緊急オペが多く、なかなか家族との時間が持てません。先生も同じ状況だとは思いますが、何か家族とのコミュニケーションを円滑にするお知恵があればご教示お願いします。一番は家族の理解です。時間的には短いですが、濃い時間を過ごすことだと思っています。患者さんに使う時間は全知全霊を傾けて行動しているはずですが、家族とも同様に接しなければなりません。外科医に限ったことではありませんが、患者さんの話を良く聞き、状況を理解した上で、持てる力をフルに発揮して適切な治療を行うことは必要なことです。家族も同様に接することであると思います。ちょっと手を抜くとたちまち大変なことになってしまいます。簡単にできることではありませんが、つねに誰とでも真剣に接し、体力知力の続く限り頑張ることだと思います。専門診療科について外科の中の専門診療科に、「消化器」「呼吸器」「心臓血管」「乳腺」とあります。なぜこの4つなのでしょうか?特別な意図があれば是非ご教示いただきたく思います。(とんちんかんな質問でしたら申し訳ありません。)他にも甲状腺や副腎などを扱う「内分泌外科」や「小児外科」もありますが、佐倉外科では充分な診療経験の上で消化器、呼吸器、循環器、乳腺の専門医がおり、それぞれに教育・研究が行われていますので4つの分野を示しました。専門といっても指導する上級医の一人か二人だけで若い連中は特にグループ間の壁を意識していません。私自身が何でもやるので、若い連中はいろんな疾患を担当しても違和感がないようです。甲状腺や副甲状腺は主に呼吸器外科で扱いますが、副腎は消化器を含む腹部外科が担当しています。先天奇形などの小児外科は県の専門子供病院にお願いしておりますが、幽門狭窄、腸重積、鼠径ヘルニアなどは一般外科として消化器や呼吸器のグループでも担当しています。総括外科医は絶滅危惧種です。新入会員が減り続けており、今のままだとあと10年もすれば極端に少なくなります。何でもできる外科医になりましょう。今ならみんな必死になって育てようとしています。10年後、あなた達はスターです。副院長 教授 加藤良二 先生「人を助けるために何かをしたい。その動機が医師の原点となる」

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非小細胞肺がん、術後補助化学療法の有効性を確認:2つのメタ解析から

切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)に対して切除術後あるいは切除術+放射線療法後に補助化学療法を行うと、これを施行しない場合に比べ放射線療法の有無にかかわらず5年生存率が改善されることが、イギリス医学研究評議会(MRC)臨床試験ユニットのSarah Burdett氏らNSCLCメタ解析共同研究グループの検討で示された。毎年約150万人が肺がんを発症し、その約85%がNSCLCだが、治癒切除が可能なのは20~25%にすぎない。同研究グループの以前の検討ではシスプラチンベースの術後補助化学療法が生存期間を延長する傾向が示された(ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.74~1.02、p=0.08)が、切除術+放射線療法後の補助化学療法の価値は明確ではないという。Lancet誌2010年4月10日号(オンライン版2010年3月24日号)掲載の報告。個々の患者データに基づく2つのアプローチに関するメタ解析研究グループは、早期NSCLCにおける手術後あるいは手術+放射線療法後の補助化学療法の有効性を確立するために、これら2つのアプローチについて包括的な系統的レビューとメタ解析を行った。解析の対象となったのは、1965年1月1日以降に開始された手術→化学療法と手術単独、あるいは手術+放射線療法→化学療法と手術+放射線療法を比較した試験で、2群間に追加治療による交絡がない無作為化試験とした。各試験に登録された個々の患者の最新のデータを収集して照合し、試験ごとに層別化したメタ解析を実施した。無作為割り付けから全原因による死亡までの期間を全生存期間と定義し、これを主要評価項目とした。両アプローチとも、化学療法追加で5年生存率が有意に改善手術→化学療法と手術単独のメタ解析の対象となったのは34試験(そのうち18試験が日本の研究)、8,447例(3,323例が死亡)であった。5年生存率は、手術単独群の60%から補助化学療法群では64%へ上昇し、絶対値で4%[95%信頼区間(CI):3~6%]、ハザード比(HR)で14%改善された(HR:0.86、95%CI:0.81~0.92、p<0.0001)。手術+放射線療法→化学療法と手術+放射線療法のメタ解析の対象は13試験(日本の研究は1試験)、2,660例(1,909例が死亡)であった。5年生存率は、手術+放射線療法群の29%から補助化学療法群では33%へ上昇し、絶対値で4%(95%CI:1~8%)、ハザード比で12%の改善が得られた(HR:0.88、95%CI:0.81~0.97、p=0.009)。いずれのメタ解析でも、化学療法のレジメンやタイミング、手術の範囲、患者背景、サブグループの違いによる効果の変動は認められなかった。著者は、「切除可能NSCLCに対する手術あるいは手術+放射線療法のいずれのアプローチでも、補助化学療法の追加によって生存率が改善される」と結論している。また、「化学療法の効果は毒性とのバランスを考慮する必要があるが、本試験では毒性の評価はできない。併存疾患についても、それがみられないか、または軽度の患者を対象としているため評価できない」とし、「以前のメタ解析では術後放射線療法はむしろ生存率を低下させることが示されているが、使用された治療技術は旧来のものであった。今回の試験は術後放射線療法を評価するようにはデザインされていない。今後、最新技術を用いた放射線療法の、術後補助化学療法としての有用性を評価する無作為化試験を行う必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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XELOX療法が早期結腸がんの術後補助化学療法として欧州で承認

スイス・ロシュ社は3月30日、Xeloda(capecitabine/国内販売名:ゼローダ)とoxaliplatin(国内販売名:エルプラット)の併用(XELOX)療法が早期結腸がん患者の術後補助化学療法として、欧州医薬品庁より承認されたことを発表した。グループ会社である中外製薬が5日に報告した。承認は、手術直後からXELOX療法を受けた患者の無病生存期間が5-fluorouracil/leucovorin(5-FU/LV)療法による治療を受けた患者よりも長いことを示した、ステージIII(早期)の結腸がん患者を対象とした主要な臨床試験の一つであるNO16968(XELOXA)試験の結果に基づいている。XELOX療法を受けた患者の3年無病生存率(DFS)は、5-FU/LV投与群よりも優れていたとのこと(XELOX群の71.0%に対し5-FU/LV群は67.0%、ハザード比0.80、p=0.0045)。欧州での承認に続き、XELOXは世界の他の地域での適応拡大が期待されている。Xelodaの単独療法は既に欧州、米国、日本ならびに世界各国で、結腸がん患者に対する術後補助化学療法として承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/hc/ss/news/detail/20100405110000.html

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ステージⅢ大腸がん、75歳以上高齢者への術後補助化学療法実施率は5割程度

外科的切除術を受けたステージⅢ大腸がん患者で、75歳以上の高齢者のうち、術後補助化学療法を受けている割合は5割と、75歳未満の約9割に比べ、有意に低率であることが明らかになった。75歳以上患者への術後補助化学療法のレジメンは、毒性の弱いものが使用される傾向が強く、有害事象の発生率も低かった。米国RAND CorporationのKatherine L. Kahn氏らが、約700人の外科的切除術を受けたステージⅢ大腸がん患者について行った観察研究の結果、報告したもので、JAMA誌2010年3月17日号で発表した。オキサリプラチンを含むレジメン、75歳以上は14%のみ同研究グループは、2003~2005年にかけて、外科的切除術を受けたステージⅢ大腸がん、合わせて675人について調査を行った。その結果、75歳以上の人で術後補助化学療法を受けていたのは、202人中101人(50%)と、75歳未満の87%に比べ、有意に低率だった(実施率の差:37%、95%信頼区間:30~45%)。術後補助化学療法を受けた人のうち、レジメンにオキサリプラチン(商品名:エルプラット)を含んでいたのは、75歳以上では14人(14%)と、75歳未満の178人(44%)に比べ、有意に低率だった(実施率の差:30%、同:21~38%)。治療開始後150日時点での中止は65歳以上が4割術後補助化学療法の継続についてみてみると、治療開始後150日時点で治療を中止していたのは、65歳未満が25%に対し、65歳以上では40%に上った。有害事象については、患者全体の162人(24%)に、最低1回の遅延性臨床的有害事象が認められた。術後補助化学療法を受けている人の同発生率は28%と、受けていない人の13%に比べ、2倍超だった。術後補助化学療法を受けている人のうち、遅延性臨床的有害事象の補正後発生数1人当たり平均は、18~54歳が0.35、55~64歳が0.52、65~74歳が0.45だったのに対し、75歳以上は0.28と、低い傾向がみられた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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抗悪性腫瘍剤「エルプラット」が進行・再発結腸・直腸がんに対する用法・用量の追加に関する承認取得

株式会社ヤクルト本社は24日、白金錯体系抗悪性腫瘍剤オキサリプラチン(販売名:エルプラット注射用50mg、同100mg、エルプラット点滴静注液50mg、同100mg)が、2009年9月18日に厚生労働省より進行・再発結腸・直腸がんに対する用法・用量の追加に関する承認を取得したと発表した。 今回、エルプラットにおける用法・用量の追加により、経口フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤カペシタビンとエルプラットの併用療法(XELOX療法)を日本でも患者に提供できるようになった。さらに、経口剤であるカペシタビンを用いることで、3週に1回の外来療法による治療も可能になった。エルプラットは、同社が1997年にDebiopharm社(スイス)から日本における開発・販売権を取得した白金錯体系抗悪性腫瘍剤。2005年3月に『エルプラット注射用100mg』が「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の効能・効果で承認され、同年4月より販売を開始した。また、2008年8月には『エルプラット注射用50mg』が同効能・効果で承認された。さらに、今年8月には『エルプラット注射用50mg、同100mg』が「結腸癌における術後補助化学療法」の効能・効果で承認され、同時に、『エルプラット点滴静注液50mg、同100mg』についても「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」および「結腸癌の術後補助化学療法」の効能・効果で承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.yakult.co.jp/cgi-bin/newsrel/prog/news.cgi?coview+00421

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抗悪性腫瘍剤ゼローダ、アバスチンが追加承認を取得 結腸・直腸がんに対する効能・効果、用法・用量

中外製薬株式会社は24日、経口フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤カペシタビン(販売名:ゼローダ錠300)とオキサリプラチンとの併用療法について、2009年9月18日に厚生労働省より「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」に対する効能・効果および用法・用量の追加に関する承認を取得したこと発表した。また、抗VEGFヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ〔遺伝子組換え〕(販売名:アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL)についても、同日、同省より用法・用量の追加に関する承認を取得した。「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」において今回新たに承認された、ゼローダとオキサリプラチンの併用療法(XELOX療法)およびXELOX療法とアバスチンの併用療法は世界的な標準治療となっている。経口剤であるゼローダを用いたXELOX療法は、患者や医療従事者にとって負担の少ない3週に1回の外来療法による治療が可能となるという。ゼローダは、2003年6月に「手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として販売を開始し、2007年12月12日に海外における用法・用量の承認、および「結腸癌における術後補助化学療法」の効能・効果の承認を取得している。アバスチンは、2004年2月に転移性の結腸・直腸がんの治療薬として米国で承認されて以来、国内外のガイドラインで標準治療薬として位置付けられている。国内では「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の治療薬として、2007年6月から販売されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp;jsessionid=5IRQHC1BI4RK4CSSUIHCFEQ?documentId=doc_15702&lang=ja

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抗悪性腫瘍剤エルプラット 結腸がんにおける術後補助化学療法に関する効能・効果を取得

株式会社ヤクルト本社は20日、白金錯体系抗悪性腫瘍剤オキサリプラチン(販売名:エルプラット注射用100mg/50mg)に関して、「結腸がんの術後補助化学療法」の効能・効果を取得したと発表した。同社は、2008年8月29日に、海外で実施されたMOSAIC試験などのデータを使用し、エルプラットに関して「結腸がんの術後補助化学療法」の効能追加申請をしていた。MOSAIC試験では、手術後の結腸がん(ステージIIとIII)の患者を対象とし、従来の術後補助化学療法(ホリナートと5FUの併用療法)を受けた患者よりも、従来の術後補助化学療法にエルプラットを追加したFOLFOX療法を受けた患者の方で、3年無病生存期間が統計学的に有意に長いことが明らかにされたとのこと。海外では既にこの結果を基にエルプラットを使用するFOLFOX療法が結腸がんの術後補助化学療法の標準療法となっている。また、6年全生存期間においても、FOLFOX療法は統計学的に有意に長いという。今回の効能・効果の取得によって、日本でも、手術後の結腸がん患者に対してエルプラットを使用するFOLFOX療法の保険適用が可能になった。詳細はプレスリリースへhttp://www.yakult.co.jp/cgi-bin/newsrel/prog/news.cgi?coview+00407

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抗悪性腫瘍剤エルプラットに剤型追加

株式会社ヤクルト本社は20日、白金錯体系抗悪性腫瘍剤オキサリプラチンに関して、新たに水溶性製剤(販売名:エルプラット点滴静注液100mg/50mg)の剤型追加を取得したと発表した。現在、同社が販売している「エルプラット注射用100mg/50mg」は、凍結乾燥製剤であるため患者に投与する時に溶解する必要があり、医療関係者にとって煩雑であると同時に、複数回バイアル瓶のゴム栓を注射針で刺すことにより起こるゴム栓微小片の瓶内への落下の危険性をわずかではあるが伴っている。そのため、海外においては凍結乾燥製剤から水溶性製剤への切り替えが進んでいる。日本においても、水溶性製剤に対する要望があったことから、同社は2008年8月29日に剤型追加を申請していた。エルプラットは、2005年3月に「エルプラット注射用100mg」が「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の効能・効果で承認され、同年4月より同社が販売している。また、2009年1月には容量の異なる「エルプラット注射用50mg」が発売された。2009年8月20日には「結腸がんの術後補助化学療法」の効能・効果を取得している。詳細はプレスリリースへhttp://www.yakult.co.jp/cgi-bin/newsrel/prog/news.cgi?coview+00408

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シンガポールにおいてTS-1の販売承認取得

大鵬薬品工業株式会社は、7月13日シンガポールにおいて、経口フッ化ピリミジン系抗癌剤「ティーエスワンカプセル 20・25」の販売承認を取得したことを発表した。同剤は、大鵬薬品工業が創製し、現在アジアでは、日本、韓国、中国において販売されている。シンガポールでは「胃癌の術後補助化学療法」を適応症として承認を受け、導出先である現地のPharmaforte社が、「TS-ONE」の商品名で本年8月より販売を開始する予定。詳細はプレスリリースへhttp://www.taiho.co.jp/corporation/news/2009/20090721.html

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大腸がん治療における国際標準と日本の現状・・・米国のOptimized chemotherapyと今後の展望

 2009年6月11日、コンラッド東京にて「大腸がん治療における国際標準と日本の現状」と題して開催された、株式会社ヤクルト本社によるプレスセミナーの第2報をお届けする。 臨床の第一線で活躍する腫瘍内科医である米国メイヨークリニック腫瘍学部内科腫瘍学科教授のA.Grothey氏(写真)は、今後の治療戦略として分子標的薬の現状について述べた。また、肝転移時の集学的治療、米国における標準的な術後補助化学療法について紹介した。 Grothey氏はまず、進行大腸がんに対する化学療法やさらに分子標的薬を上乗せした治療のエビデンスが蓄積されてきていると述べ、新たな分子標的薬であるセツキシマブやパニツムマブを併用した臨床試験結果やKRASとの関連にも言及した。 続いて、大腸がん肝転移の集学的管理として、ネオアジュバント化学療法、Conversion chemotherapy(転換化学療法)、術後補助化学療法について紹介した。 まず、切除可能な肝転移が対象となるネオアジュバント化学療法の有用性について、EORTC 40983試験において術前/術後にFOLFOXを実施した群の3年無病生存率(DFS)が、術後にのみFOLFOXを実施したMOSAIC試験のStageIII群と比較して7.2%高かったことを紹介した。また、切除不可能な肝転移例が対象となるConversion chemotherapyでは、その臨床上の管理について、(1)あくまで切除を可能にするための治療なので療法期間は短く、肝毒性を低くするべきである、(2)分子標的薬ではベバシズマブは術前6週間で投与中止とする、(3)KRAS野生型ではセツキシマブ併用が最善かもしれない、と考察した。 最後にGrothey氏は、米国における結腸がんにおける標準的な術後補助化学療法について、FOLFOXはStageIIIおよび高リスクStageII結腸がんの標準であるが、オキサリプラチン療法の候補でない、またはミスマッチ修復遺伝子欠損患者にはカペシタビンまたは5FU/LVが適しているとまとめた。なお、現在、XELOXや分子標的薬の臨床試験が実施されておりその結果が待たれるが、ベバシズマブについては、mFOLFOX6への上乗せ効果を検討したNSABP C-08試験で、3年DFSに有意な延長が認められなかったことが、今年のASCOで発表されたことも紹介し、講演を締めくくった。 講演後に行われた質疑応答では、Grothey氏から紹介されたFOLFOXとベバシズマブの併用に関する結果を受け、この併用による術後補助化学療法の臨床試験の継続について質問が出された。これに対して大津氏は、ベバシズマブは微小転移には効果がないかもしれないこと、2010年に結果が出る予定であること、さらにStageII結腸がんにおけるこのレジメン実施の是非が議論となっていることを述べた。

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大腸がん治療における国際標準と日本の現状・・・日本における術後補助化学療法のcontroversy

 2009年6月11日、コンラッド東京にて「大腸がん治療における国際標準と日本の現状」と題して開催された株式会社ヤクルト本社によるプレスセミナーについて、2回に分けてお届けする。 国立がんセンター東病院臨床開発センターの大津敦氏(写真)は、StageIII大腸がんに対するFOLFOXによる術後補助化学療法(わが国では申請中)について、主に内科医と外科医の間で議論のあるところと述べる一方、自施設ではStageIIIbとStageIV(肝または肺切除後)については、ほとんどの症例でFOLFOXによる術後補助化学療法を実施していることを紹介した。 大津氏は、まず、切除不能進行大腸がんに対する薬物療法について、有効薬剤の増加により生存期間が大幅に延長され、かつては0~1%程度であった5年生存率(OS)がFOLFOX4では9.8%になっていることや、初回治療としてはFOLFOX/FOLFIRI+ベバシズマブが一般的であること、さらにドラッグラグは消失しつつあることを述べた。また、最も多く実施されているFOLFOXレジメンについて、自施設の消化器内科においてFOLFOXとFOLFOX+ベバシズマブで2,198件と約4割を占めていること、さらにSAE(副作用による緊急入院)の発生が1件もないことを紹介した。 次に、大腸がん術後補助化学療法の現状について、欧米ではFOLFOXによる術後補助化学療法がStageIIIおよび高リスクのStageII結腸がんに対し一般的になっているのに対し、日本では、StageIII大腸がん補助化学療法の実施について、2つの考えに分かれて議論されていると述べた。 大津氏は、その議論の背景として、日本では結腸がんにおける術後補助化学療法におけるFOLFOXの位置付けを示した試験がなく、ヨーロッパで実施されたMOSAIC試験(FOLFOX vs 5FU/LV 、StageII/IIIを対象)での6年OSの4%の差をどう考えるか、また、欧米に比べて日本の手術成績のほうが10%程度良好であるが、その理由には様々な要素があることから一概に手術成績が良いかどうかは不明であり、また、国内でも全がん協加盟施設のなかでさえ施設間にバラつきがあることを紹介した。 これらの背景から、主に外科医による「日本の手術成績は欧米より良好であり、海外の術後補助化学療法の試験結果は受け入れられない、4%のOS延長のベネフィットより約10%のGrade2の神経毒性を重視する」という意見と、主に内科医による「10%程度の手術成績の差は国別成績を出せば存在する範囲であり、海外の試験結果を積極的に受け入れるべきである、約10%のGrade2の神経毒性より4%のOSのベネフィットのほうを優先すべき」という意見に分かれて議論されているとのことである。 なお、約10%というFOLFOXの神経毒性については、アジア人での耐容性を確認するために実施された多施設共同オープン試験(MASCOT試験、StageII/III結腸がんを対象)において、Grade3以上の末梢神経障害はMOSAIC試験の12.4%に比べ0.8%と低く、欧米人に比較してアジア人では軽度であることが報告されている。 最後に、自施設のFOLFOXによる術後補助化学療法の適応における基本コンセンサスについて、「当院では術後補助化学療法をすべて内科で実施しているということもあるが、手術成績が70%以下であるStageIIIbとStageIV(肝または肺切除後)については、あくまで患者さんに毒性と効果を伝えて希望に沿って決定することを前提として、ほとんどの症例で実施している」と紹介し、講演を終えた。

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早期乳がん術後補助化学療法におけるドセタキセル逐次投与の検討

早期乳がんの術後補助化学療法では、アンスラサイクリン系抗がん剤を含む標準治療にドセタキセルを逐次的に追加投与しても、標準治療のみに比べて生存ベネフィットの改善効果は得られないことが、イギリスGuy’s and St Thomas’ NHS TrustのPaul Ellis氏らが行った第III相試験(TACT)で明らかとなった。アンスラサイクリン系抗がん剤による術後補助化学療法は、1990年代に早期乳がんの切除術後の標準的化学療法として確立されたが、タキサン系抗がん剤の併用によってさらなる改善効果が得られるものと期待されていた。Lancet誌2009年5月16日掲載の報告。FEC→D群と標準治療(FEC群、E→CMF群)を比較TACTの研究グループは、18歳以上のリンパ節転移陽性あるいは高リスクのリンパ節転移陰性の切除可能早期乳がんを対象に、イギリスの103施設とベルギーの1施設の参加のもとで無作為化対照比較第III相試験を実施した。登録された4,162例のうち2,073例が、FEC(フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミド)を4コース施行後にドセタキセル単剤を4コース施行する群(FEC→D群)に割り付けられた。対照群としては、FECを8コース施行する群(FEC群)に1,265例が、またエピルビシン単剤を4コース施行後にCMF(シクロホスファミド+メトトレキサート+フルオロウラシル)を4コース施行する群(E→CMF群)に824例が割り付けられた。主要評価項目は無病生存率(DFS)であった。生存ベネフィットは同等、重篤な有害事象はFEC→D群で高頻度フォローアップ期間中央値62週の時点で無病生存が得られていなかった症例数は、FEC→D群が2,073例中517例、標準治療群は2,089例中539例であり(ハザード比:0.95、95%信頼区間:0.85~1.08、p=0.44)、5年DFSはそれぞれ75.6%、74.3%と同等であった。 5年生存率はFEC→D群82.5%、標準治療群83.0%であり、やはり差を認めなかった(ハザード比:0.99、95%信頼区間:0.86~1.14、p=0.91)。乳がんの再発以外の原因で51例が死亡した(FEC→D群:29例、標準治療群:22例)。grade 3/4の急性の有害事象の発現率は、FEC→D群が標準治療群よりも有意に高かった(FEC群との比較でp<0.0001、E→CMF群との比較でp<0.0001)。最も高頻度に見られたのは好中球減少(FEC→D群:937例、標準治療群:797例)、白血球減少(507例、362例)、倦怠感(456例、272例)であった。著者は、「早期乳がんの術後補助化学療法では、アンスラサイクリン系抗がん剤を含む標準治療にドセタキセルを逐次的に追加投与しても、生存ベネフィットの改善効果はない」と結論し、「予後予測因子としてバイオマーカーを使用して探索的なサブグループ解析を行えば、タキサン系抗がん剤ベースの治療法が有効な症例を見いだすことが可能かもしれない」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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【医師・薬剤師限定】乳がんにおける術前・術後補助化学療法ではACよりもECを選択?

癌情報のスペシャルサイト「実践!化学療法」において開催中のアンケート「手術可能乳がんにおけるACおよびEC療法の選択ついて」の途中経過によると、AC(ドキソルビシンADM+シクロフォスファミドCPA)よりもEC(エピルビシンEPI+シクロフォスファミドCPA)をメインに使うとの回答が多くなっている。現状の投票状況は、ACが3割弱なのに対して、ECが6割に及んでいる。また、ACとECを選択する場合、もっとも重視する項目としては慣れ(経験の多さ)」「副作用の少なさ」が多く選ばれている。先生のご意見はどうでしょうか?アンケートはこちらhttp://www.carenet.com/oncology/chemo/cngpage/c_bc090319.html

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家族歴のある大腸癌患者の再発と死亡リスクは低い

一親等親族に大腸癌患者がいた場合、大腸癌発症リスクは増大するが、癌再発と生存に家族歴がどう影響するか明らかではない。米国・ハーバード大学医学部ダナ・ファーバー癌研究所のJennifer A. Chan氏らは、「ステージIIIの大腸癌患者に大腸癌の家族歴がある場合は、再発と死亡は有意に減少する」と報告した。JAMA誌2008年6月4日号より。術後補助治療を受けた患者1,087例を5年間追跡調査1999年4月~2001年5月に行われた無作為補助的化学療法治験「CALGB 89803」に参加したステージIIIの大腸癌患者1,087例を対象に、前向き観察研究を行った。患者はベースラインで家族歴に関するデータを提供しており、2007年3月までの間、疾患再発と死亡を追跡調査した(追跡期間中央値:5.6年)。主要評価項目は、大腸癌の既往歴の有無に従う、疾患のない生存、再発のない生存および全生存とした。一親等親族に既往歴がある人数が多いほどリスク低下1,087例のうち195例(17.9%)は、一親等親族に大腸癌の家族歴があった。癌再発または死亡は、家族歴のある群195例では57例(29%、95%信頼区間:23~36%)だが、家族歴のない群892例では343人(38%、35~42%)だった。家族歴のない群と比べて、家族歴のある群(一親等親族1人以上)の補正ハザード比は、疾患のない生存0.72(95%信頼区間:0.54~0.96)、再発のない生存0.74(0.55~0.99)、全生存0.75(0.54~1.05)だった。家族歴と、癌再発および死亡のリスク減少の関連は、一親等親族の発症経験者が多いほど強い。家族歴のない群に比べ、既往歴のある親族が1人いた群の、疾患のない生存の多変量ハザード比は0.77(95%CI:0.57~1.04)。既往歴のある親族が2人以上の群では、同0.49(0.23~1.04、家族歴のある親族数の増加傾向P=0.01)で、より大幅なリスク低下が見られた。Chan氏は「補助化学療法を受けているステージIIIの大腸癌患者で、家族に大腸癌の既往歴がある場合は、癌再発と死亡が有意に減少する」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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乳癌予後予測の精度アップと治療戦略改善にゲノム情報統合が有効

デューク大学(米国)ゲノム研究所のChaitanya R. Acharya氏らは、「遺伝子発現プロファイルの活用が乳癌の予後予測と治療戦略に有益をもたらす」として、ゲノム情報と臨床像および病理学的危険因子(米国で「Adjuvant! Online」と呼ばれている乳癌再発リスクのオンラインシミュレーションシステムの集約情報)を統合し、初期乳癌の予後予測の精度アップと治療戦略改善が図れるかどうかを検討した。JAMA誌2008年4月2日号より。補助化学療法の初期乳癌患者964例対象の後ろ向き研究本研究は、補助化学療法対象となった初期乳癌患者を対象とした後ろ向き研究。マイクロアレイ・データに対応した964例(最初の解析患者群として573例をセット、検証群として391例をセット)の乳房腫瘍サンプルが用いられた。患者は全員、臨床病理学的所見に基づき再発危険スコアに割り付けられ、再発危険スコアとの一致パターン入手と、臨床病理学的予後モデルでの予後予測の精度を高めるため、発癌経路と腫瘍生物学/微小環境状態を現す署名付け(signature)が行われた。化学療法反応の予測因子も、初期乳癌での臨床特異性との関連を特徴づけるため実施された。主要評価項目は、無再発生存と薬物療法への感受性予測を洗練する初期乳癌の遺伝子発現シグネチャーと臨床病理学的変数。再発リスク予測の精度を高める予備的証拠が得られた573例のデータセットで、発癌経路と腫瘍生物学/微小環境状態のパターンを示す予後に有意なクラスタが同定された。乳癌の下位表現型を示す低リスク(ログランク検定P=0.004)、中リスク(ログランク検定P=0.01)と高リスク(ログランク検定P=0.003)の各クラスタ。例えば低リスク群(6つの予後的に有意なクラスタのうち)クラスタ4の患者は、クラスタ1(ログランク検定P=0.004)、クラスタ5(ログランク検定P=0.03)の患者に比べて無再発生存が下位だった。クラスタ4の患者の無再発生存の中央値は、クラスタ5の16ヵ月(95%信頼区間:10.5~27.5ヵ月)よりも、クラスタ1の19ヵ月(7.5~24.5ヵ月)よりも少なかった。 多変量解析の結果からは、ゲノムクラスタの独立した予後的価値が確認された[低リスク(P=0.05)、ハイリスク(P=0.02)]。これら再発リスクパターンの再現性と有効性は検証群でも、クラスタは同一ではなかったが確証された。また予後臨床ゲノムクラスタは、一般的に用いられる細胞毒性治療にユニークな感受性パターンを持つことも明らかとなった。Acharya氏らは、「これらの結果は、臨床リスク階層化に遺伝子発現シグネチャーを組み入れることで予後予測の精度を高めることができるという予備的証拠となる。治療戦略の細分化のためこのアプローチの価値を前向き研究で検証する必要がある」と結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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胃癌術後患者の補助化学療法に関する日本発エビデンス:ACTS-GC

経口フッ化ピリミジン系薬剤(S-1)に関して、日本国内の109医療機関、患者1,059人が参加して行われたACTS-GC試験(Adjuvant Chemotherapy Trial of TS-1 for Gastric CancerTS-1:胃癌術後補助化学療法比較試験 http://acts-gc.jp/index.html)の結果が、NEJM誌11月1日号に掲載された。筆頭執筆者は北里大学の桜本信一氏。治癒的切除術が施行された胃癌患者に対するS-1を用いた補助化学療法の有用性を評価したもの。ステージIIまたはIIIの胃切除術後患者に経口S-1錠投与ACTS-GCは2001年10月から2004年12月にかけて、D2リンパ節郭清を伴う胃切除術を受けたステージIIまたはIIIの日本人の胃癌患者を、術後にS-1投与による補助化学療法を受けた(投与群)529例と、手術療法のみの(手術単独群)530例にランダムに割り付け行われた。投与群は術後6週間以内に投与を開始し、1年間継続。処方計画は原則として、経口S-1錠80mg/m2/日を4週間投与した後2週間休薬する6週間周期で構成された。主要エンドポイントは全生存率。3年全生存率は投与群80.1%、手術単独群70.1%患者登録終了後1年時点の最初の中間解析で、S-1投与群が手術単独群よりも高い全生存率を示した(P=0.002)。そのため効果・安全性評価委員会の勧告に基づき試験は中止されている。追跡調査データの解析によって、3年全生存率は、S-1投与群が80.1%、手術単独群が70.1%で、S-1投与群の対手術単独群死亡ハザード比は0.68だった(95%信頼区間:0.52-0.87、P=0.003)。S-1投与群で比較的よくみられたグレードIIIまたはIVの有害事象は、食欲不振(6.0%)、悪心(3.7%)、下痢(3.1%)だった。これらから研究グループは、「東アジア人でD2郭清を施行した局所進行性胃癌患者に対するS-1を用いた補助化学療法は効果的である」と結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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食習慣は大腸癌発病に加え再発にも深く関与

大腸癌発病と食事の因果関係については知られているが、患者の予後における食事の影響については明らかにされていない。アメリカ・ボストンのダナ・ファーバー癌研究所のJeffrey A. Meyerhardt氏らは、食パターンと大腸癌生存者の再発率および死亡率との関連に着目して、前向き観察研究を実施した。JAMA誌8月15日号の報告から。III期大腸癌患者1,009例を追跡調査対象患者は1999年4月~2001年5月の間に、無作為化補助化学療法試験(CALGB 89803)に登録されたIII期の大腸癌患者1,009例。補助化学療法中および治療後6ヵ月間の食習慣についてアンケートを行い、確認された慎重食パターン(prudent pattern)と西洋食パターン(Western pattern)の2つの食パターンと、癌再発および死亡について分析した。慎重食パターンは果物、野菜、鶏肉、魚をよく摂取することが、一方の西洋食パターンは肉、油脂、精製された穀物、デザート類の摂取率が高い。西洋食パターンと再発率、死亡率との関連を確認追跡期間5.3年(中央値)の間に、集団全体として324例の患者が癌再発、223例が癌再発で死亡、28例が癌再発以外の要因で死亡しており、西洋食が大腸癌再発や死亡と関連していることが明らかとなった。五分位比較による西洋食パターンの最小摂取群と最大摂取群の患者の、無疾患生存の補正ハザード比(AHR)は3.25(95%信頼区間2.04- 5.19)、無再発生存AHRは2.85(同1.75-4.63)、全生存AHRは2.32(同1.36-3.96)だった(いずれもP<0.001)。西洋食パターンに偏ったことによる無疾患生存の低下は、性、年齢、ステージ、BMI、身体活動レベル、基線PSあるいは治療による差異はなかった。対照的に慎重食パターンは、癌再発および死亡率との関連は認められなかった。以上の結果を踏まえMeyerhardt氏らは、「手術および補助化学療法を受けたIII期大腸癌患者が西洋食をより多く摂取することは、再発と死亡率を高める可能性がある。そのような食事のどの構成要素が最も強く関連しているのか、さらなる研究によって明らかにする必要がある」と結論づけた。(武藤まき:医療ライター)

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術前化学療法で非小細胞肺癌の5年生存率が5%上昇

1990年代半ばに2つの小規模な試験が有望な成績を報告して以来、非小細胞肺癌(NSCLC)に対する術前補助化学療法(neo-adjuvant chemotherapy; NAC)の検討が活発に進められている。6月9日付Lancet誌に掲載されたヨーロッパのIntergroupによる多施設共同無作為化試験の結果は、NACは手術単独に比べ全生存率を改善したものの有意差はなかった。しかし、この最新データを加えたNACの無作為化試験全体の解析によれば、今回の成績は5年生存率を5%引き上げるものだという。英国Addenbrooke’s HospitalのDavid Gilligan氏の報告。NAC完遂率75%、奏効率49%、病変のdown-stagingは 31%切除可能なNSCLCが、手術単独群とプラチナ製剤ベースの化学療法を3コース施行後に手術を受けるNAC群に無作為に割り付けられた。NACは、無作為化の前に6つのレジメンの中から主治医が選択した。1997年7月~2005年7月の間に、ヨーロッパの70施設から519例が登録され、そのうち261例が手術単独群に、258例がNAC群に割り付けられた。stageは Iが61%、IIが31%、IIIが7%であった。NACの完遂率は75%であり、feasibleとみなされた。また、奏効率は49%と良好であり、病変進行は2%にすぎなかった。31%の症例で病変のdown-stagingが得られた。全生存率の差はないが、最新のエビデンスに強い影響を及ぼす成果完全切除率は手術単独群80%、NAC群82%と両群間に差はみられなかった。NAC群で術後の合併症が増加することはなく、QOLの低下も認めなかった。また、両群間に全生存率の差はなかった(ハザード比:1.02、95%信頼区間: 0.80-1.31、p=0.86)。生存期間中央値(MST)および5年生存率の推計値は、手術群がそれぞれ55か月、45%、NAC群が54か月、44%であった。Gilligan氏は、「今回の成績をこれまでのNACの無作為化試験のデータに統合して解析したところ、NACにより12%の相対的な生存ベネフィットが得られ、これは5年生存率の5%の上昇に相当する」と考察を加え、「全生存率に有意差はなかったとはいえ、本試験の成績は最新のエビデンスに強い影響を及ぼすものと思われる」としている。(菅野 守:医学ライター)

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