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医師が医師に薦める、今年買ってよかったモノ【CareNet.com会員アンケート結果発表】

歴史的な物価上昇が続いた2023年。こんなときだからこそ、良い商品にお金を使っていきたいものではないでしょうか。CareNet.comの会員医師1,000人に、「今年買ってよかったモノ」をお聞きしました。先生方のおススメコメントとともにご紹介します。1.掃除機、洗濯機、トースターなど家電のおススメは?【家電部門】2.パソコンやスマホ、イヤホンなど周辺機器のおススメは?【PC&ガジェット部門】3.電気自動車?ハイブリット車?それとも…?【自動車部門】4.寝具、キッチン用品など、さまざまなおススメ商品【その他】5.番外編:サブスクや宅配サービスのおススメ1.掃除機、洗濯機、トースターなど家電のおススメは?【家電部門】[掃除機]ルンバ「j9+はゴミの収集も自動(消化器外科、30代)」「勝手に掃除してくれてゴミも収集してくれて、時短になる(内科、60代)」「すごく性能が良く、いつもベッドの下まできれいになっている(消化器外科、30代)」ダイソン「あまり汚れてないと思ったところでもかなり埃が吸えている(内科、30代)」「モップがけもできて大変良い(消化器内科、60代)」「吸引力が違う(精神科、30代)」シャーク「ハンディクリーナー:ごみ捨てが簡単で細かいところまで掃除が行いやすい(整形外科、40代)」「スティック型掃除機:コードレスで置場所もとらない(その他、50代)」その他メーカー「シャープ コードレス掃除機(最上位機種):ダイソンを使っていたが、シャープは音も静かで軽くて、吸引力も変わらなかった(心臓血管外科、50代)」「パナソニック ルーロ:スマホから操作できる(消化器内科、30代)」「エコバックス DEEBOT T20 OMNI:毎日帰るときれいな床が保たれていて最高(神経内科、30代)」[ドラム式洗濯乾燥機/乾燥機]「パナソニック:仕上がりがフワフワと口コミで見て購入したが本当だった。乾燥機つき洗濯機は乾燥がしっかりできるかが問題だが、満足できるレベル(内科、40代)」「東芝:圧倒的に生活が楽になった(臨床研修医、20代)」「アクア:コスパが良い(内科、40代)」「リンナイ 乾太くん:ガス式乾燥機は時短!(整形外科、40代)」[空気清浄機]「Airdog mini portable:車内の換気がすばらしかった(その他、50代)」「シャープ 加湿空気清浄機プラズマクラスター:今年ぜんそくにかかったが空気清浄機で改善した気がする(脳神経外科、30代)」[調理家電]トースター「アラジン:表面がカリッとしてめちゃくちゃ美味しく温まる(耳鼻咽喉科、40代)/立ち上がりが早い(呼吸器内科、60代)」「バルミューダ:パンがおいしく焼ける(血液内科、30代)」オーブンレンジ「バルミューダ:日々楽しい(心臓血管外科、50代)」「パナソニックビストロ:賢すぎる(臨床研修医、20代)」その他「Toffy ホットサンドメーカー:簡単においしいホットサンドが作れる(内科、60代)」「ソーダストリーム:家で気軽に炭酸が飲める(内科、20代)」「デロンギ コーヒーメーカー:おいしい(放射線科、30代)/エスプレッソメーカー:自宅で手軽にカフェラテが飲め、買ってよかった(小児科、30代)」「シャープ ヘルシオホットクック:発酵食品から煮物、煮込み料理まで料理の幅が広がる(皮膚科、40代)」「パナソニック ホームベーカリーSDMDX4:自宅でおいしいパンが焼ける(産婦人科、30代)」[その他]「ソニー 有機ELテレビ(BRAVIA):画像がきれい(泌尿器科、50代)」「パナソニック15V型ハイビジョンポータブル液晶テレビ(プライベート・ビエラ):家じゅう持ち歩けて便利(呼吸器内科、50代)」「ブラウン 電動歯ブラシOral-B:強力に汚れを落としてくれる(内科、40代)」「フィリップス 電動歯ブラシ:時短になる(小児科、30代)」「パナソニック ヘアドライヤーナノケアEH-NA0J:コンパクトなのに速乾・大風量で、熱くなり過ぎず、潤いを保った毛質をkeepできるすぐれもの(脳神経外科、50代)」2.パソコンやスマホ、イヤホンなど周辺機器のおススメは?【PC&ガジェット部門】[パソコン]「MacBook Air:見た目がおしゃれで使い心地が良い(内科、50代)」「MacBook Pro:早い(消化器外科、40代)/おしゃれで高機能(精神科、40代)」「Mac mini:小型で性能が良く、価格も適切(血液内科、70代以上)」「マイクロソフト Surface Go 3:軽くて持ち運びしやすい。スライド作りにもweb講演聞くのにもネット見るのにも、wifi環境があれば使えてとても便利(リハビリテーション科、50代)」「パナソニック Let's note:壊れにくく優秀(小児科、60代)」「NEC LavieA23:Web会議に使用しやすいデスクトップを購入。オールインワン型で非常にコンパクトであり、かなりハイスペック(腎臓内科、40代)」「dynabook:毎日使用するものは高くても最新のものを買うと満足度がとても高い(外科、30代)」[スマートフォン]「iPhone15:写真がきれい(糖尿病・代謝・内分泌内科、30代)/快適(消化器内科、50代)」「iPhone15pro:カメラ、操作性が格段に向上(脳神経外科、60代)/散々な評判に反して、熱くならないし、電池持ちもよいし、ProMotionテクノロジーも想像以上に良い(放射線科、40代)/写真が誰でも超きれいにとれる(内科、60代)」「iPhone15ProMAX:カメラの5倍ズームで写真を撮る楽しみが倍増する(麻酔科、30代)」「iPhone SE3:コスパがよい(消化器内科、40代)」「Xperia:7年ぶりに機種変更したが、スピードも使い勝手も断然良い(精神科、50代」[タブレット]「iPad mini 6:携帯性と性能が良い(消化器内科、60代)」「iPad Pro:使い勝手がよく、作業がはかどる。モチベーションも上がる(小児科、30代)」「Amazon Fire:セールで買ったから安かったし、使い勝手も良い(整形外科、40代)」「Androidのタブレット:ほとんどの作業はこれですんでしまうので、最近Windowsはいらないかなと思うようになった(外科、50代)」[イヤホン・ヘッドホン]「AirPods Pro(第2世代):低音の出がすごい(眼科、70代以上)」「OpenComm骨伝導イヤホン:骨伝導なので耳が痛くならず、周囲の環境にも注意を払える(放射線科、30代)」「オーディオテクニカ 骨伝導イヤホンATHCC500BT:待合室のような静かな環境で聴くのに最適(その他、50代)」「Anker Bluetooth5.0ワイヤレスヘッドホンSoundcoreLifeQ20+:性能が良かった(神経内科、50代)」[その他]「Apple Watch:体を動かすこと、睡眠を取ることを意識するようになった(眼科、50代)/スマホからの離脱ができる(腎臓内科、20代)/生活が便利になった(内科、20代)」「Google Chromecast:テレビでのプレゼンに便利(精神科、40代)」「Amazon Alexa:声だけでライトの点灯消灯、テレビ・エアコン・扇風機のオンオフ、カーテンの開け閉めまでらくちんになった。リモコンがほとんど不要になりサイドテーブルが広く使えるようになった(放射線科、60代)」「GERCEO モバイルバッテリー(GERCEOHP8):複数の充電方法に対応しており、日常でも災害発生時でも役立つ(麻酔科、40代)」「エレコム パッド型iPhone充電器:iPhoneにわざわざケーブルを刺す必要がなく非常に重宝(整形外科、30代)」「EXARM ZETA モニターライト:買ってから目が疲れにくくなった(小児科、40代)」「ロジクールマウス:一度使うとやめられない(放射線科、40代)」「おもいでばこ:写真や動画の保管、整理に非常に便利。ふるさと納税の商品にある(膠原病・リウマチ科、30代)」「RayCue DisplayPortHDMI変換アダプタ:PCからモニタへ接続するDsubケーブルがごつくて邪魔でネジ止めが面倒。PCのモニタ出力からHDMIに変換して通常のHDMIケーブルで自在に接続できる(整形外科、70代以上)」3.電気自動車?ハイブリット車?それとも…?【自動車部門】[トヨタ]「シエンタ:多人数で乗ることができて燃費が良い(消化器外科、60代)」「ヤリス クロス:比較的安価で安全装備が充実(糖尿病・代謝・内分泌内科、60代)」「ノア:子連れには最適なファミリーカー(麻酔科、30代)」「プリウスの新車:安全装備が充実(消化器外科、60代)」[日産]「アリア:加速や走行性、静寂性が素晴らしい(内科、60代)」「サクラ:通勤の足に最高です(神経内科、50代)」「セレナ:運転が楽(糖尿病・代謝・内分泌内科、30代)」[他メーカー]「スバル レガシィアウトバック:いい車です(整形外科、50代)/とてもいい車です(内科、50代)」「スバル XV:オートクルーズ機能がとても良い。運転の負担が軽減された(臨床研修医、40代)」「マツダ CX8:6~7人乗りのSUV。国産車SUVの中で唯一まともに座れる3列目。インテリアの質感は国産SUVの中でも有数の出来。希少なディーゼルエンジンがある(循環器内科、40代)」「ホンダ フィット:エコカーでしっかりしていて満足(産婦人科、50代)」「メルセデス・ベンツ 新型Cセダン:ISGで電動化された(内科、60代)」「BMW X3:燃費良く静粛(小児科、60代)」「TESLA ModelX:多少値は張るものの優れた性能と唯一性がある(形成外科、30代)」「フォルクスワーゲン Golf GTI:加速の良さ、日常の走行の安定(脳神経外科、50代)」「ポルシェ 911:楽しい(糖尿病・代謝・内分泌内科、50代)」「ロータス エミーラ:ロータス最後の純ガソリンスポーツカー(脳神経外科、50代)」4.寝具、キッチン用品など、さまざまなおススメ商品【その他】[寝具など]「エマ・スリープ マットレス:睡眠の質が格段に上がった(糖尿病・代謝・内分泌内科、20代)」「コアラマットレス:寝心地がよい(内科、40代)」「トゥルースリーパー プレミアベッドマットレス:A社ポイントで入手したが、畳でも布団より快適(内科、60代)」「DryCool 高密凸凹ウレタンマットレス:反発性強いマットで、睡眠の質が上がった(糖尿病・代謝・内分泌内科、30代)」「西川 マットレス:大谷翔平も選んだ寝心地の良さ(循環器内科、40代)」「西川 オーダー枕:肩こりが解消され、毎晩眠ることが楽しみになった(精神科、30代)」「シルクの枕カバー:当直中も枕カバーを付け替えるだけで良い睡眠になる(内科、20代)」「リライブシャツ:途中で目が覚めることなく眠れる(皮膚科、30代)」[その他]「レンジメート:干物もギョーザもステーキも嘘みたいにうまくできる。片付けも楽。忙しい先生方にはうってつけと思う(整形外科、50代)」「ルピシア 茶こしマグモンポット:日々忙しい中でもおいしい紅茶を手軽に味わえる時間が今の癒し。食洗機も使える(精神科、20代)」「タイガー 真空断熱炭酸ボトル(MKB-T048):炭酸、食洗器対応ながらシンプルな構造で、炭酸以外の普段使いにも良い(整形外科、50代)」「松徳硝子 うすはりタンブラー:飲み物が美味しく飲める(皮膚科、20代)」「SHINfilter ステンレスコーヒーフィルター:コーヒーの味の変化に驚かされる(小児科、40代)」「ロールシュライファー 包丁研ぎ:自炊する必要に迫られた時の相棒(ナイフ)の手入れに最適!(総合診療科、60代)」「パナソニック LEDネックライト:薄暗いところでの書類の記載等、細かい作業の際手元だけを照らしてくれるため、周囲に影響が少なく非常に便利(総合診療科、50代)」「SUWADA クラシックつめ切り:ニッパー式だが、切れ味が全然違う(精神科、50代)」「リファ ファインバブル:よく落ちる(内科、50代)」5.番外編:サブスクや宅配サービスのおススメ「Kindle Unlimited:好きな漫画がかなり読める、当直の暇つぶしになる(耳鼻咽喉科、40代)」「nosh 冷凍宅配おかず:冷凍食品だが、バランスがいい(臨床研修医、20代)/手軽においしいご飯が食べられる(臨床研修医、20代)」「ワタミの宅食 あっとごはん:子育てを機にはじめたが、とても便利で楽!(眼科、30代)」アンケート概要アンケート名『2023年を総まとめ!今年の漢字と他の医師にも薦めたい今年の購入品をお聞かせください』実施日   2023年11月8日~15日調査方法  インターネット対象    CareNet.com医師会員有効回答数 1,029件

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お看取り期、家族への上手な説明法は?【非専門医のための緩和ケアTips】第65回

第65回 お看取り期、家族への上手な説明法は?緩和ケアにおいて、患者本人はもちろん、家族への説明も非常に重要な要素です。その重要性は誰もが認めるところでしょうが、実際に取り組むのは難しいものです。何に注意するとよいのでしょうか?今日の質問在宅でお看取りが近い病状の患者さん。ご家族とのやりとりが増えてきました。つらい気持ちが少しでも和らぐようにお話ししたいのですが、どんな点に注意すればよいのでしょうか?お看取りが近くなると、ご家族と毎日のように病状や見通しについて話す必要が出てきます。患者さんの症状が変化するスピードが速いときには、「午前中に話をして、夕方にもう一度話す」と、目まぐるしいこともあります。こうした状況に対する、家族の反応はさまざまです。気が動転して説明があまり伝わらない家族もいれば、「あとどれくらいですか?」「ほかの親族にも連絡したほうがよいでしょうか?」といった具体的な質問をする家族もいます。個別性の高いケアを求められる、難しい場面です。個別の状況においては、好ましいと思われるコミュニケーションを調査した研究もあるのですが、総合的には、ケースごとに医療者が望ましいと考える対話をしているのが実情かと思います。私が看取りの近い家族への説明で、意識しているコツを共有します。最初は、「家族の気掛かりをしっかり聞く」ことを徹底します。先ほど述べたように個別性の高い対応が求められる状況なので、まずは、目の前の家族がどういった心理状況にあるかをしっかりアセスメントします。それらの情報を基に、どういった話をするかを考えます。話を聞いた後にお伝えするのは、「苦痛が和らぐよう、きちんと対応していく」「不安を感じたら、改めて相談してほしい」という点です。今後の見通しについて、「何があってもおかしくありません」といった抽象的な伝え方は、基本的にはしないようにしています。理由としては、あまりにも見通しが立たないと、かえって家族の不安が強まるからです。「医師としての見解をお伝えすると、もしかしたら、今晩にも亡くなるかもしれません。不安にさせたくはありませんが、ご家族の心構えも大切なのでお話しさせていただきました。こうした話を聞かれていかがですか? 不安に感じていることがあれば、一緒に考えたいので教えていただけないでしょうか?」といったように続けます。最後に、「ご家族にできること」をお伝えします。点滴をしている患者さんであれば、むくみが強くなっていないかをご家族にも確認してもらい、ケアに参加してもらうことを提案します。もちろん、強制はしませんが、こうした提案で「家族のおかげでよいケアを提供できている」と伝えやすくなり、家族もそれを実感しやすくなるのです。今回のTips今回のTips終末期の家族への説明、話の順番やケアへの参加を工夫しよう。

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第193回 米国のゲノム編集治療の幕開け~鎌状赤血球症の遺伝子編集治療を英国に次いで米国も承認

米国のゲノム編集治療の幕開け~鎌状赤血球症の遺伝子編集治療を英国に次いで米国も承認2008年の胎児ヘモグロビン(HbF)抑制遺伝子BCL11A同定の報告1)から15年の月日が過ぎ、そのBCL11A狙いの遺伝子(ゲノム)編集による鎌状赤血球症(SCD)治療Casgevy(exagamglogene autotemcel[exa-cel])を英国に次いで米国もこの週末8日に承認しました2,3)。米国ではおよそ10万例がSCDを患います。同国のアフリカ系アメリカ人(African Americans)に最も多く生じますが、より少ないながらヒスパニック系にも認められます。SCDは体の隅々に酸素を運ぶ赤血球のタンパク質ヘモグロビンを作る遺伝子の変異を根本原因とします。その変異のせいでいびつな「鎌状」に変形した赤血球が血流を滞らせ、体内の組織への酸素運搬を妨げます。鎌状赤血球で血管がいよいよ詰まると、体の自由を奪う激痛の血管閉塞発作(vaso-occlusive crisis:VOC)が発生します。VOCを何度も繰り返すことは致命的な体の障害や若くしての死をもたらします。米国のバイオテクノロジー企業Vertex Pharmaceuticals社がCRISPR Therapeutics社と組んで開発したCasgevyは、VOCを繰り返す12歳以上のSCD患者を対象に今回米国で承認されました。CasgevyはFDAが初めて承認したCRISPR遺伝子編集技術込み治療となりました。Casgevyは患者それぞれから採取した造血幹細胞(HSC)をゲノム編集技術CRISPR/Cas9を利用してHbFが作られるようにBCL11A封印加工したものであり、加工が済んだら急速静注によってそれぞれの患者に1回きり投与されます。HbFは胎児の体内で酸素を運ぶヘモグロビンの一種であり、SCD患者のHbFを増やすことは赤血球の鎌状化を防ぎます。CasgevyはそのHbF増加をもたらし、赤血球がより作られて機能するようにし、VOCをSCD患者が被らずに済むようになることを目指します。Casgevyが投与された31例の長期追跡でVOCの抑制効果が裏付けられています。31例は先立つ2年間に1年あたり4回近く重度のVOCを被っていましたが、Casgevy投与後2年間は2例を除く29例(93.5%)が少なくとも1年間を通してVOCなしで過ごすことができました4)。VOCを繰り返す患者の米国での生涯の医療費は400~600万ドルと推定されています。そのような経済的負担などを考慮して定価220万ドル5)のCasgevyの価値は判断されるでしょう。Casgevyの投与には幹細胞移植の専門的経験が必要です。ゆえにVertex社はCasgevyを投与できる治療拠点を米国全域に設けるべく経験豊富な病院に掛け合っています。すでに以下の病院は受け入れ可能となっています。マサチューセッツ州ボストンのBoston Medical CenterワシントンDCのChildren’s National Hospitalカリフォルニア州ロサンゼルスのCity of Hope Children’s Cancer Centerテキサス州ダラスのMedical City Children’s Hospitalテキサス州サンアントニオのMethodist Children’s Hospitalオハイオ州コロンバスのNationwide Children’s Hospitalテネシー州ナッシュビルのThe Children’s Hospital at TriStar Centennialオハイオ州コロンバスのThe Ohio State University Comprehensive Cancer Center - James Cancer Hospital and Solove Research Instituteイリノイ州シカゴのUniversity of Chicago/Comer Children’s Hospital今回のFDA承認によりVertex社は提携会社にしてCasgevyの生みの親であるCRISPR社に達成報奨金2億ドルを払います。主導権はVertex社にあり、同社がCasgevyの開発、製造、販売を行います。FDAはCasgevyに加えて別のSCD遺伝子治療Lyfgenia(lovotibeglogene autotemcel、lovo-cel)も時を同じくして承認しました2,6)。Lyfgeniaは鎌状化赤血球を生じ難くするヘモグロビン(HbAT87Q)が作られるようにする遺伝子入りのHSCを患者ごとに体外で作って体内に戻すことを治療の中身とし、Casgevyの用途と同様に血管閉塞発作の経験がある12歳以上のSCD患者への使用が承認されました。日本でSCDは少なくとも今のところ縁遠い病気だと思いますが、日本でも馴染みのある病気の遺伝子編集治療の臨床開発も進んでいます。たとえばVerve Therapeutics社は家族性高コレステロール血症の遺伝子編集治療を開発しており、LDLコレステロール低下作用を裏付ける第I相試験結果を先月発表しています7)。VERVE-101という名称のその遺伝子編集治療はCasgevyやLyfgeniaと違って体外に細胞を取り出す必要がなく、目当ての遺伝子編集を体内でやってのけます。VERVE-101もCRISPR社との提携の下で開発されています。参考1)Sankaran VG, et al. Science. 2008;322:1839-1842.2)FDA Approves First Gene Therapies to Treat Patients with Sickle Cell Disease / PRNewswire3)Vertex and CRISPR Therapeutics Announce US FDA Approval of CASGEVY (exagamglogene autotemcel) for the Treatment of Sickle Cell Disease / BUSINESS WIRE4)Casgevy添付文書5)US FDA approves two gene therapies for sickle cell disease / Reuters6)bluebird bio Announces FDA Approval of LYFGENIATM (lovotibeglogene autotemcel) for Patients Ages 12 and Older with Sickle Cell Disease and a History of Vaso-Occlusive Events / BusinessWire7)Verve Therapeutics Announces Interim Data for VERVE-101 Demonstrating First Human Proof-of-Concept for In Vivo Base Editing with Dose-Dependent Reductions in LDL-C and Blood PCSK9 Protein in Patients with Heterozygous Familial Hypercholesterolemia / GLOBE NEWSWIRE

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最新の制吐療法、何が変わった?「制吐薬適正使用ガイドライン」改訂

 『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版』が発刊された。本書は2015年10月【第2版】(Web最新版ver.2.2)を全面改訂したもので、書籍としては8年ぶりの改訂となる。悪心・嘔吐治療の基本は“過不足ない適切な発現予防を目指す”ことであることから、制吐薬適正使用ガイドライン第3版では、がん薬物療法の催吐性リスクに応じた適切な最新の制吐療法を提示するのはもちろん、有用性が明確ではないまま行われている非薬物療法のエビデンスに基づいた評価、患者サポートとして医療現場で行うべき制吐対応などにも焦点が当てられている。今回、ガイドライン改訂ワーキンググループ委員長の青儀 健二郎氏(四国がんセンター乳腺外科 臨床研究推進部長)に主な制吐薬適正使用ガイドライン改訂ポイントについて話を聞いた。制吐薬適正使用ガイドライン改訂で用法・用量を図式化 まず、『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版』は8つの章で構成されている。第I章のガイドライン概要にはアルゴリズム、用法・用量を図式化したダイアグラムが明記され(p.18)、第II章の総論では各種抗がん薬の催吐性リスク分類を掲載(p.29~35)。これらを組み合わせれば、患者のレジメンに応じた制吐対策が誰でも確認可能なのが一つの特徴である。なお、悪心・嘔吐の発現時期や状態の定義は以下のとおり制吐薬適正使用ガイドライン前版からの変更はない。<悪心・嘔吐の定義>・急性期悪心・嘔吐:抗がん薬投与開始後24時間以内に発現する悪心・嘔吐・遅発期悪心・嘔吐:抗がん薬投与開始後24~120時間(2~5日目)程度持続する悪心・嘔吐・突出性悪心・嘔吐:制吐薬の予防的投与にもかかわらず発現する悪心・嘔吐・予期性悪心・嘔吐:抗がん薬のことを考えるだけで誘発される悪心・嘔吐*急性期と遅発期を合わせて全期間(抗がん薬投与開始から5日間程度)とする。*抗がん薬投与開始120時間後以降(6日目以降)も持続する超遅発期悪心・嘔吐(beyond delayed nausea and vomiting)も注目されている。制吐薬適正使用ガイドライン改訂にオランザピンの影響力強く 『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版』第III~VII章には推奨やステートメントが盛り込まれており、Clinical Question(CQ)全12項目、Future Research Question(FQ)全3項目、Background Question(BQ)全13項目が設けられている。とくに、適応外使用されていた非定型抗精神病薬オランザピン(商品名:ジプレキサ ほか)が2017年に本邦でのみ「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」に対して保険適用となり、急性期・遅発期ともに有効な新たな制吐薬として使用可能になった点、予防的制吐療法としてオランザピン処方が開発された点が制吐薬適正使用ガイドライン改訂に大きな影響を与えている(CQ1、4、5参照)。また、遅発期のデキサメタゾン投与省略のエビデンスが示されたこと(CQ2、6参照)、中等度催吐性リスク抗がん薬に対するNK1受容体拮抗薬の予防的投与について新たなエビデンスが示された(CQ3)。 同氏は「オランザピン投与に際し、傾眠などの副作用を考慮して国内では1日の投与量を5mg(1日量は最大10mg)に設定している。また、糖尿病への投与について、海外では禁忌ではないため糖尿病患者にも注意したうえで処方がなされているが、“国内では禁忌”のため、本書ではオランザピン投与の推奨を国内版にアレンジしている」とし、「この点が国内でのオランザピン処方拡大の足かせになっている」と処方におけるジレンマについても語った。制吐薬適正使用ガイドライン改訂で非薬物療法も記載 続いて『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版』第VI章では、第2版では取り上げなかった非薬物療法による制吐療法にも踏み込み、患者から希望を受けた際にどのような根拠を基に説明するべきか、文献のシステマティックレビューに基づいた具体的な内容が記載されている(CQ10、11参照)。非薬物療法に該当するものとして、以下が挙げられる。・ショウガ   ・鍼      ・経皮的電気刺激   ・指圧   ・運動    ・漸進的筋弛緩 ・ヨガ     ・アロマ       ・食事   ・音楽   ・呼吸     ・患者教育   ・オステオパシー   ・リフレクソロジー  ・マッサージ  ・セルフケア  ・ベッドサイドウェルネス 同氏は「悪心・嘔吐ならびに予期性悪心・嘔吐に対して非薬物療法を併施しないことを弱く推奨する、で合意に至った。これまでの治療の明確化のみならず手広く実臨床でニーズがあるものを拾い集めたうえで議論を重ねた」とコメントした。なお、技法全般を総括すると、鍼治療による悪心抑制(エビデンスの強さ:C[弱])、運動療法による悪心・嘔吐抑制(同:D[非常に弱い])、アロマ療法による悪心抑制(同D[非常に弱い])で有意な効果を認め、制吐薬適正使用ガイドラインにはランダム化比較試験が2編以上抽出された9つの技法について、システマティックレビューのまとめを記載している(p.120~141参照)。制吐薬適正使用ガイドラインの今後の課題は“超遅発期”対応 このほか『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版』第VII章では制吐療法の評価と患者サポート、第VIII章では医療経済評価に触れている。患者サポートの例としては、昨今、世界的にも注目を集めている超遅発期への対応が該当する。超遅発期の悪心・嘔吐は退院後も尾を引き、自宅生活を送るなかで生じるため医療者の目に触れにくく、在宅療養中のためにエビデンス収集できていないのが現状である。「患者の声を受け取りしっかりフォローできるかどうか、看護師を中心にエビデンスを収集し方針を固めた。そして、超遅発期にも応用できる制吐療法を提言していきたい」と同氏は今後の課題にも触れた。一方で、医療経済面においては「日本癌治療学会で行ったアンケート調査によると、制吐療法を手厚く行う施設も散見されるため、ぜひ本書の催吐性リスク分類を参照にしたり、1サイクル目に悪心がなかった患者には2サイクル目から制吐薬を一部減らせるかなどを検討したりしてもよいのではないか」と説明した。 今後の動向として、「ガイドライン発刊前後での診療動向の変化を調査するため、改訂ワーキンググループ主導で本書の普及率に関するWebアンケート調査を行った。来年も調査を行い学会などで報告することで制吐療法の適正使用の啓発に努めていく」と締めくくった。

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医師が選ぶ「2023年の漢字」TOP10を発表!【CareNet.com会員アンケート】

12月12日は漢字の日。毎年年末に1年の世相を表す漢字1字が募集され、最も応募数の多かった漢字が「今年の漢字」として発表されます(主催:日本漢字能力検定協会)。本家の発表に先立ち、CareNet.com医師会員の皆さんに選ばれた「2023年の漢字」TOP10を発表します。2023年を表す漢字として、どのような漢字をイメージしましたか?第1位「戦」(155票)第1位は、昨年に引き続き「戦」が選ばれました。2022年に始まったロシアのウクライナへの軍事侵攻に加え、2023年10月7日にはイスラム組織ハマスによるイスラエル急襲が発生し、戦争状態となっています。戦争に関するニュースを目にすることも多く、戦争に関するコメントが多く寄せられました。一方、野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表「侍ジャパン」が優勝したことなど、ポジティブな「戦」に関するコメントもみられました。「戦」を選んだ理由(コメント抜粋)ウクライナ‐ロシア間の戦争、パレスチナでのイスラエルの無差別攻撃、中国の海洋進出、北朝鮮の弾道ミサイルなど戦争につながる事態が多かった。(60代 外科/群馬)コロナとの戦い、ガザ地区やウクライナの戦争などがあるから。(50代 耳鼻咽喉科/北海道)争いが絶えない。(70代以上 内科/宮城)良い戦いから悪い戦いまで、いろいろな戦いがあった。(70代以上 内科/大阪)WBC優勝。(20代 整形外科/長野)第2位「税」(62票)第2位には、「税」がランクイン。物価上昇や増税、減税に関する報道が多く、票を集めました。税負担の大きさを感じているというコメントもみられました。岸田 文雄総理大臣がインターネット上などで「増税メガネ」と揶揄され、話題となったことも理由に挙げられました。2023年10月にインボイス制度が始まったことも記憶に新しいのではないでしょうか。 「税」を選んだ理由(コメント抜粋)税金が増える話ばかりで嫌になった1年だった。(30代 神経内科/福岡)今年は税負担の大きさを強く感じたため。(50代 小児科/群馬)増税、減税など税に関わる報道が多く、値上げなどにも関連しているため。(30代 小児科/宮城)「増税メガネ」の言葉が話題になった。(30代 内科/北海道)政府の税金対策、インボイスなど。(40代 内科/東京)■第3位「争」(46票)第3位は「争」。第1位の「戦」と同様に戦争に関するコメントが多く寄せられました。ロサンゼルス・エンジェルスの大谷 翔平選手についての話題など、スポーツの「争い」に言及するコメント、個人的な「争い」に関するコメントもみられました。 「争」を選んだ理由(コメント抜粋)ウクライナに続いてパレスチナでも戦争が始まり、争いが絶えなくなり今後が不安な世の中になってきた。(50代 その他/茨城)世界的な紛争。スポーツ界でも良い意味での争い(大谷選手のホームラン王、MVPなど)がみられたように思う。(40代 小児科/鹿児島)世界のあちこちで紛争があり、さまざまなスポーツで勝利を目指して争われ、メジャーリーグでは大谷選手の争奪戦が始まりそう。(50代 放射線科/福岡)争いが絶えない1年であった。(60代 小児科/福島)第4位「高」(43票)第4位は「高」。今年は、物価や気温など「高い」ものが多く、話題となった1年でした。生活に直結するものが多かったため、票を集めたのではないでしょうか。皆さんは「高」といえばどのようなものを思い浮かべますか? 「高」を選んだ理由(コメント抜粋)物価が高い、株価が高い、気温が高い。(50代 内科/滋賀)商品の値段が次々値上げ。価格を見て「高っ」と何度つぶやいたか。(50代 眼科/福岡)物価高、賃金上昇、金高騰など、なにかと高くなる出来事が多い1年でした。(40代 整形外科/徳島)高齢化、高税率など。(40代 小児科/静岡)医療費高騰のため。(30代 血液内科/東京)第5位「暑」(42票)第5位は「暑」。気象庁は、2023年の夏(6~8月)の全国の平均気温が、1898年の統計開始以来最高となったことを発表しています。この記録的な暑さは、印象的だったのではないでしょうか。また、アンケートを実施した11月上旬も季節外れの暑さとなり、夏日を記録した地域があったことに言及するコメントも複数寄せられました。 「暑」を選んだ理由(コメント抜粋)記録的な夏の暑さだったから。(60代 内科/三重)夏自体も暑かったが、東京では11月に夏日が3日もあってなかなか暑さがおさまらないから。(40代 消化器内科/東京)歴史的な猛暑の夏と暖冬。(40代 内科/奈良)第6~10位惜しくも第5位と1票差で第6位となった漢字は「虎」。阪神タイガースが1985年以来38年ぶりとなる日本一を達成したことで票が集まりました。第6~10位は以下のとおりでした。第6位:「虎」(41票)「言うまでもなく、阪神タイガースの38年ぶりの日本一!」など第7位:「乱」(40票)「混乱、戦乱、乱暴、騒乱、落ち着きの無い年だった。」など第8位:「明」(21票)「コロナが明けて、生活スタイルがもとに戻ったから。」など第9位:「変」(18票)「いろいろな価値観、常識、観念の変化が見え出した。」など第10位:「貧」(16票)「物価上昇が著しく、国民生活は苦しくなるばかり。」など アンケート概要アンケート名『2023年を総まとめ!今年の漢字と他の医師にも薦めたい今年の購入品をお聞かせください』実施日   2023年11月8日~15日調査方法  インターネット対象    CareNet.com医師会員有効回答数 1,029件

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英語で「そこからどうするか決めましょう」は?【1分★医療英語】第108回

第108回 英語で「そこからどうするか決めましょう」は?《例文1》Let’s have a meeting next week and we will take it from there.(来週ミーティングをして、そこからどうするか決めましょう)《例文2》Let’s cut down drinking and take it from there. One thing at a time, all right?(まずは飲酒量を減らして、そこからどうするか決めましょう。一度に1つずつやりましょう、いいですね?)《解説》現段階では十分に見通しが立たず、まだ具体的に物事を決められないときに使えるのが“We’ll take it from there.”という表現です。直訳すると「そこからそれを取りましょう」という意味ですが、現時点では判断材料が少ないため、「まず第一歩として何かを行って、そこからどうするか決めましょう」という文脈で使われます。医療現場では、まず侵襲性の低い検査や治療を行い、そこから得られた情報を基に追加の検査や治療を行うかどうか判断する場面が多いため、患者との会話や上司・同僚との会話で頻用される表現です。また、不安が強く、一度に多くのことを求める患者には“one thing at a time.”(一度に1つずつやりましょう)という表現も有効で、併せて覚えておくとよいと思います。講師紹介

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12月1日 世界エイズ・デー【今日は何の日?】

【12月1日 世界エイズ・デー】〔由来〕世界レベルのエイズのまん延防止と患者・感染者に対する差別・偏見の解消を目的に、WHO(世界保健機関)が1988年に制定。毎年12月1日を中心に、世界各国でエイズに関する啓発活動を実施。関連コンテンツYahoo!の見出しで勘違い続出?「HIV感染報告、過去20年で最少に」【バズった金曜日】ヒト免疫不全ウイルス検査ってなあに?【患者説明用スライド】HIVの流行終結を目指す取り組みとはHIV陽性者の結核性髄膜炎、デキサメタゾン追加は有用か/NEJM米国・HIV感染者へのART、人種・民族差は?/JAMA

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再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫治療薬エプコリタマブ販売開始/ジェンマブ

 ジェンマブは2023年11月22日、再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)のうち、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、高悪性度B細胞リンパ腫(HGBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、および再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(FL)を効能又は効果とする治療薬として二重特異性抗体エプコリタマブ(商品名:エプキンリ皮下注4mg、同48mg)を販売開始したと発表した。 エプコリタマブは、ジェンマブとアッヴィのがん領域におけるグローバルな提携関係の下、両社が共同開発中の薬剤である。日本では、ジェンマブが製造販売を行い、アッヴィとのコ・プロモーションにより、両社が情報提供活動を行う。 LBCLはリンパ系に発生するがんである非ホジキンリンパ腫(NHL)の1つである。日本において悪性リンパ腫の90%以上を占めるNHLの総患者数は約12.4万人と推定されており、NHLのうち約30〜40%をDLBCLが占めると報告されている。 エプコリタマブは、再発・難治LBCLを対象とする海外第I/II相臨床試験(EPCORE NHL-1/GCT3013-01試験)および国内第I/II相臨床試験(EPCORE NHL-3/GCT3013-04試験)等の結果に基づき、2023年9月25日に承認されている。

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税負担が重過ぎる!どんな節税対策している?/医師1,000人アンケート

 年末調整に確定申告…。年末から春にかけては税金を意識する機会が増える。さらに、最近では定額減税や新NISAスタートなど、税金に関する話題が増加している。ケアネットでは、会員の勤務医(勤務先病床数:20床以上)1,021人を対象に、「今年行った、来年やりたい節税対策」についてアンケートを実施した(調査日:10/6~8)。 「Q1.今年(2023年)の所得について、確定申告をする予定ですか?」という設問には、9割以上の医師が「はい」と答えた。確定申告の条件である「年収2,000万円超」「年間20万円以上の副収入」にほとんどの回答者が当てはまっているようだ。 「Q2.個人の節税目的で、今年利用した・する予定のものは?(複数回答)」という設問では「ふるさと納税」が842票となり、次点の「(年末調整や確定申告で申告する)生命保険料控除」に大きく差を付けて1位となった。「ふるさと納税」は30、40、50、60代すべてにおいて最も利用者の多い節税策だった(70代以上は「生命保険料控除」が最多)。30代では「ふるさと納税」の次に多く人が行っている節税策は「NISA」、続いて「iDeCo」だったが、ほかの年代では「生命保険料控除」が続いた。若い世代ほど民間の生命保険には加入せず、その分を自分で投資・運用するという傾向があるようだ。 「Q3.個人の節税目的で、来年利用予定・利用したいものは?(複数回答)」の設問では「ふるさと納税」が変わらずトップを占めたものの、来年から始まる「新NISA」のが話題の「NISA」を選択する人が各年代とも大幅に増加した。「今年利用した」の設問では回答者がゼロだった「法人設立」「不動産投資」の項目にも、少数ながら選択者がいた。 「Q4. 節税の知識を得るために、これまでにしたことは?(複数回答)」との設問では、「節税・税金をテーマにしたWeb記事・雑誌・書籍を読む」が最多で、約半数の回答者が選択した。「節税・税金に詳しい知人・友人に話を聞く」が29%、「節税・税金をテーマにしたセミナーに出席する」は6%が選択した。「税理士に相談する・税理士を雇う」という本格的な対策を行う人も8%いる一方で、「とくになにもしていない」という人が30%いるなど、医師の節税への関心は二極化しているようだ。 最後に「節税対策をはじめ、税金への思いや意見」を聞いたところ、「勤務医にとっては、税負担が多過ぎる」(60代・内科)、「頑張って働くほど損をする、と思わせる現行制度をどうにかしてほしい」(40代・皮膚科)という声が目立った。一方で、「納税は、国民の義務」(50代・形成外科)、「社会に対する義務、度を過ぎた節税はすべきではない」(60代・血液内科)といった、節税に批判的な意見も寄せられた。 総じて、回答者からは税負担そのものよりも「所得税、住民税の割合が大きい。収入に応じた特典を増やしてほしい」(40代・精神科)、「高所得者は税負担が大きいのに、所得制限のために利用できない制度が多いことが不満」(40代・呼吸器外科)といった、多くの税金を払っているのに再配分が不公平という意見や「ふるさと納税は企業に手数料が入るので、直接自治体に寄付する仕組みがほしい」 (60代・内科)といった、制度の不備を訴える声が目立った。 さらに「信頼できる節税対策情報を、どこから得ればいいのかがわからない」(40代・消化器外科)、「仕組みからよくわからないので、体系的に学びたい」(40代・内科)といった「税金制度が複雑でよくわからない」「税金・節税について学びたい」という声も多く寄せられた。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。https://www.carenet.com/enquete/drsvoice/cg004468_index.html さらに、ケアネットの連載「医師のためのお金の話」の執筆者による「医師が取り組むべき節税対策」をテーマにした特別寄稿も公開中。https://www.carenet.com/useful/okane/cg004466_index.html

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ステロイド処方医は知っておきたい、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症のガイドライン改訂

 『グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023』が8月に発刊。本書は、ステロイド薬処方医が服用患者の骨折前/骨密度低下前の管理を担う際に役立ててもらう目的で作成された。また、ステロイド性骨粗鬆症の表現にはエストロゲン由来の病態も含まれ、海外ではステロイド性骨粗鬆症と表現しなくなったこともあり、“合成グルココルチコイド(GC)服用による骨粗鬆症”を明確にするため、本改訂からグルココルチコイド誘発性骨粗鬆症(GIOP)と表記が変更されたのも重要なポイントだ。9年の時を経て治療薬に関する膨大なエビデンスが蓄積された今回、ガイドライン作成委員会の委員長を務めた田中 良哉氏(産業医科大学第一内科学講座 教授)に、GIOPにおける治療薬の処方タイミングや薬剤選択の方法などについて話を聞いた。ステロイド薬処方時にグルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の予防策 自己免疫疾患や移植拒絶反応をはじめ、多くの疾患治療に用いられるステロイド薬。この薬効成分は合成GCであるため、ホメオスタシスを維持する内在性ホルモンと共通の核内受容体に結合し、糖、脂質、骨などの代謝に異常を来すことは有名な話である。他方で、ステロイド薬の処方医は、GCを処方することで代謝異常を必然的に引き起こしていることも忘れてはいけない話である。 つまり、ステロイド薬を処方する際には、必ずこれらの代謝異常が出現することを念頭に置き、必要に応じた予防対策を講じることが求められる。その1つが“骨粗鬆症治療薬を処方すること”なのだが、実際には「骨粗鬆症の予防的処方に対する理解は進んでいない」と田中氏は話した。この理由について、「GIOPには明確な診断基準がなく、本ガイドラインに記載されていることも、あくまで“治療介入のための基準”である。診断基準がないということは診断されている患者数もわからない。骨粗鬆症患者1,600万人のうち、GCが3ヵ月継続処方されている患者をDPCから推算すると約100~150万人が該当すると言われているが、あくまで推定値に過ぎない。そのような背景から、GIOPに対する管理・治療が世界中で問題になっている」と同氏は警鐘を鳴らした。グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症のガイドラインで治療や予防のための基準このような問題が生じてしまうには、5つの誤解もあると同氏は以下のように示し、それらの解決の糸口になるよう、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023ではGIOPの予防的管理や治療に該当する患者を見極めるための基準を設けている(p.xiii 図2:診療アルゴリズムを参照)。1)GC骨粗鬆症の管理にはDXA法などの骨密度検査が必要?→スコアリングシステムで計算すれば、薬物療法の必要性が判断できる。2)ステロイド5mg/dayなら安全と考えがち→人体から2.0~2.5mg/dayが分泌されており、GC投与は1mgでも過剰。安全域がないことも周知されていない。3)骨を臓器の一種とみなしていない→「骨粗鬆症は骨代謝異常症であり代謝疾患の一種」という認識が乏しい。4)命に直結しない!?→「骨が脆弱になっても死なない」と思われる傾向にある。実際には、大腿骨や腰椎などの骨折が原因で姿勢が悪くなり、その結果、内臓・血管を圧迫して循環障害を起こし、死亡リスク上昇につながった報告もある1)。5)GIOP治療が難しいと思われている→スコアリングに基づき薬物介入すれば問題ない。GCを3ヵ月以上使用中あるいは使用予定患者で、危険因子(既存骨折あり/なし、年齢[50歳未満、50~65歳未満、65歳以上]、GC投与量[PLS換算 mg/日:5未満、5~7.5未満、7.5以上]、骨密度[%YAM:80以上、70~80未満、70未満])をスコアリングし、3点以上であれば薬物療法が推奨される。ステロイド性骨粗鬆症のガイドラインから第一選択薬の明記をなくす スコアリングシステムは、ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療 ガイドライン2014年改訂版からの変更はないものの、治療薬の選択肢が増えたことからシステマティックレビューなどを行った結果、5つの薬剤(ビスホスホネート[内服、注射剤]、抗RANKL抗体、テリパラチド、エルデカルシトール、またはSERM)が推奨され、抗スクレロスチン抗体はFuture Questionになった。なお、前回まではアレンドロネートとビスホスホネートを第一選択薬として明記していたが、本改訂では第一選択薬の明記がなくなった。これについて同氏は「厳密に各薬剤を直接比較している試験がなかった」と補足した 。 また、新たな薬剤の推奨の位置付けやエビデンスについても「抗RANKL抗体は大腿骨頸部や橈骨の構成要素である皮質骨、椎体の構成要素の半分を占める海綿骨、いずれの骨密度にも好影響を及ぼすが、海外では悪性腫瘍の適応と同一薬価で販売されていることも推奨度に影響した。一方、抗スクレロスチン抗体は現状ではエビデンス不足のため本書での推奨が付かなかった。推奨するにはエビデンスに加えて、医療経済やアドヒアランスの観点も踏まえて決定した」と説明した。グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症のガイドライン準拠は10%未満 最後に同氏は、「GIOPは腰椎と同時に“胸椎”にも高頻度に影響しやすいため、原疾患の治療にてレントゲン撮影をする際にはGIOPの治療効果・経過観察のためにも、ぜひ骨にも目を向けてほしい。そして、本ガイドラインを準拠している内科医は10%にも満たないと言われているので、すべての医師がこれを理解してくれることを期待する。骨代謝異常症に対するビスホスホネートの作用点は、脂質代謝異常薬の作用点であるメバロン酸経由の下流であることからも、骨と脂質異常症の相同性が示唆される。ハートアタックならぬボーンアタックを予防するためにも、3ヵ月以上にわたってステロイドを処方する場合には骨粗鬆症予防の介入を考慮し、GIOPの予防・管理につなげてもらえるように学会としても啓発していきたい」と語った。

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第189回 ChatGPTの論文作文はその探偵がお見通し/70年来の念願、腎毒性のないアムホテリシンB合成

ChatGPTの論文作文はその探偵がお見通し生成AI(人工知能)・ChatGPTで書かれた論文の序論(introduction)部分をその発見プログラム(AI探偵)が検査でほぼ間違いなく見つけ出しました1,2)。ChatGPTが序論を書くことは背景情報があれば実に簡単なことです1)。それゆえ検査では序論が使われました。米国化学会(ACS)が発行する10の雑誌のそれぞれから10報ずつ選んだ論文の人の手による合計100の序論でAI探偵はまず訓練され、続いてChatGPT-3.5が書いた200の序論を同定する検査に望みました。ChatGPT-3.5が書いた200の序論のうち半分の100の序論は論文のタイトル、残りの100の序論はアブストラクトの入力によって作られました。タイトルからChatGPT-3.5が作成した序論と人が書いた序論をAI探偵にいよいよ委ねたところChatGPT-3.5による序論がなんと間違いなく100%の正確さで検出されました。アブストラクトからChatGPT-3.5が作成した序論の検出精度は少し劣りましたが、間違いは2%のみで98%が正解でした。最新のChatGPTなら目を盗めるかというとそういうわけには行かず、ChatGPT-4の作文もAI探偵は同様に正確に見つけ出しました1)。70年来の念願、腎毒性のないアムホテリシンB合成南米ベネズエラのオリノコ川渓谷の土壌細菌Streptomyces nodosusの産物として1950年代にその発見が報告されたアムホテリシンB(AmB)は今でも最も強力な抗真菌薬の一画を占め3)、耐性菌を生じ難いことも手伝って50年超の長きにわたり全身性真菌感染症の定番治療であり続けています4)。しかし真菌を殺す能力に長ける一方で人体に有毒で、とくに腎臓を害します。ゆえに最後の切り札として温存されることが多く、その出番は他に打つ手なしになったときにもっぱら限定されます5)。もしAmBを無毒化できればいわば鬼に金棒であり、そういう取り組みが実に70年を超えて続けられてきました6)。その取り組みはAmBの抗真菌作用の仕組みを明らかにした10年ほど前のNature姉妹誌掲載報告で大きく前進します。イリノイ大学化学科のMartin Burke氏らの2014年のNature Chemical Biology誌報告によるとAmBは真菌細胞膜の外側でスポンジのように凝集して真菌細胞膜の脂質二重層からエルゴステロールを抜き取ることで真菌を死なせます7)。Burke氏らはさらに研究を進めてAmBがヒト腎臓細胞を死なせる仕組みを解明し、腎臓に無害で真菌のエルゴステロールに限って素早く抜き去る抗真菌薬へとAmBを加工することにとうとう成功しました。先週8日(水)に本家Nature誌に掲載されたその成果によると、AmBが腎臓細胞を死なせるのはエルゴステロールと同じくステロールの一種であるコレステロールを腎臓細胞から抜き取ることによります8)。AmBがエルゴステロールとコレステロールに結合している様子も悉に調べられ、AmBとそれらの相互作用の違いも明らかになりました。それらの成果のかいあってコレステロールには結合しないようにAmBを細工でき、続いてエルゴステロール抜き取りが早まるようにする加工が施されました。そうして仕上がった化合物いくつかが細胞培養やマウスへの投与などで検討され、他とは一線を画して秀でる化合物に行き着きます。その化合物はAM-2-19と呼ばれ、マウスの腎臓やヒト腎臓細胞に手出しせず、500を超える酵母やカビなどの病原性真菌には既存の抗真菌薬と同等かそれ以上の効果を示しました9)。医療で使えるようにするための第一歩としてAM-2-19はBurke氏らが2019年に設立したバイオテクノロジー企業Sfunga Therapeutics社に委ねられており、SF001と呼ばれる製剤となって第I相試験が進行中です。単回漸増投与の段階が済み、来年2024年には反復漸増投与が始まります。参考1)‘ChatGPT detector’ catches AI-generated papers with unprecedented accuracy / Nature2)Desaire H, et al. Cell Rep Phys Sci.2023 Nov 6. [Epub ahead of print]3)Carolus H, et al. J Fungi(Basel). 2020;6:321.4)Mora-Duarte J, et al. N Engl J Med. 2002;347:2020-2029.5)New antifungal molecule kills fungi without toxicity in human cells, mice / Eurekalert6)Antifungal analog offers reduced toxicity / C&EN7)Anderson TM, et al. Nat Chem Biol. 2014;10:400-406.8)Maji A, et al. Nature. 2023 Nov 8. [Epub ahead of print]9)Sfunga Therapeutics and Deerfield Management Announce Publication on Novel Antifungal SF001 in Nature / PRNewswire

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英文の表現を豊かに!自動書き換えツールが超絶便利【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第26回

英文の表現を豊かに!自動書き換えツールが超絶便利1)英文書き換えで文章をブラッシュアップする2)「QuillBot」を有効活用する3)書き換えた後の文章を自分で確認する学会発表のプレゼンテーションを準備する際には、多くの英文を書く必要があります。しかし、自分で書いていると、つい単調な表現の繰り返しになってしまうことはないでしょうか。非ネイティブの日本人にとっては、多彩な英語表現を操るのは至難の技です。そんなときに役立つのが「QuillBot(クイルボット)」というウェブツールです。「QuillBot」は英文法のチェックや文章の要約などを行ってくれるツールで、とくに役に立つのが「英文の書き換え(パラフレーズ)」の機能です。このパラフレーズをうまく使いこなすことで、同じ表現の繰り返しを避けたり、他の論文から引用する際の「剽窃」を防いだりすることができます。使い方は非常にシンプルです。まずQuillBotのページにアクセスし、左のページに書き換えたい英文を入力します〈図1〉。「Paraphrase」のボタンをクリックすると、右側に書き換えられた英文が表示され、書き換えられた箇所はオレンジ色や青色になっていることがわかります。〈図1〉画像を拡大する〈図2〉に示すように、上部の左からFluency、Formalなど、場面別のモードを選ぶことができるため、抄録やスライド・ポスターに使用する場合は「Formal」を、伝わりやすい英語で発表用原稿を作成したいという場合は「Fluency」を選ぶ、といった工夫をすることができます。また、書き換えた後の文章が自分の意図にそぐわない場合、単語をクリックすると他の候補単語が表示されるため、好みの表現を選ぶことができます。〈図2〉画像を拡大する注意点としては、医学的な専門用語を入力すると、一般向けにわかりやすいフレーズに書き換えてしまい、本来の意図と異なる文章になってしまう場合があることです。そのため、結果を過信せず、書き換えた後の表現は必ず自分自身で確認することをお勧めします。基本的な機能は無料で利用可能で、課金してアップグレード(年間約100ドル、2023年9月時点)すると、FormalやSimpleといった場面別のモードも選べるようになります。また、「Google Chrome」や「Word」にも機能拡張が可能となっており、用途に応じて追加するとよいでしょう。講師紹介

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アスパラギナーゼ過敏症でも使用可能なALL治療薬「オンキャスパー点滴静注用3750」【最新!DI情報】第3回

アスパラギナーゼ過敏症でも使用可能なALL治療薬「オンキャスパー点滴静注用3750」今回は、抗悪性腫瘍酵素製剤「ペグアスパルガーゼ(商品名:オンキャスパー点滴静注用3750、製造販売元:日本セルヴィエ)」を紹介します。本剤はアスパラギナーゼ製剤に過敏症を示す患者でも使用可能な急性リンパ性白血病および悪性リンパ腫治療薬であり、2週間間隔の投与によって利便性の向上につながることが期待されています。<効能・効果>本剤は、急性リンパ性白血病および悪性リンパ腫の適応で、2023年6月26日に製造販売承認を取得し、10月2日より販売されています。<用法・用量>ほかの抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、ペグアスパルガーゼとして、22歳以上の患者では1回2,000国際単位/m2(体表面積)を2週間間隔で点滴静脈内投与します。21歳以下の患者では、体表面積0.6m2以上の場合は1回2,500国際単位/m2(体表面積)を、体表面積0.6m2未満の場合は1回82.5国際単位/kg(体重)を2週間間隔で点滴静脈内投与します。なお、投与の際は、調製後の希釈液を1~2時間かけて投与します。<安全性>国内第II相SHP674-201試験の第1パートおよび第2パートにおいて、26例中26例(100%)に副作用が認められ、主なものは血中フィブリノゲン減少19例(73.1%)、白血球数減少およびアンチトロンビンIII減少が各15例(57.7%)、血小板数減少14例(53.8%)、発熱性好中球減少症および貧血が各11例(42.3%)、嘔吐、低蛋白血症および脱毛症が各10例(38.5%)などでした。重大な副作用として、過敏症、膵炎、出血、血栓塞栓症、肝機能障害、骨髄抑制、感染症、脂質異常症、高血糖、中枢神経障害が設定されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、がん細胞の増殖に必要なアミノ酸を分解し、がん細胞のタンパク合成を阻害して増殖を抑えます。2.副作用を確認するため、使用前および使用中に血液検査を実施します。3.けいれん発作、失神などの中枢神経障害が現れることがあるので、この薬の使用中は、自動車の運転など危険を伴う機械を操作する際には注意してください。<ここがポイント!>急性リンパ性白血病(ALL)を含む一部の腫瘍細胞では、アスパラギンを合成できないため細胞外からの取り込みを必要とします。わが国でALL治療に使用されるL-アスパラギナーゼ(L-Asp)製剤は、細胞外のL-アスパラギンを分解し、アスパラギン要求性腫瘍細胞を栄養欠乏状態にして効果を発揮します。しかし、過敏症の発生頻度が高く、治療上の重要な問題になることがあります。本剤は、大腸菌由来L-Aspをポリエチレングリコール(PEG)で化学修飾して免疫原性を弱めた薬剤です。L-Asp製剤に過敏症を示す患者を救済することなどを背景に、厚生労働省による「未承認薬・適応外薬検討会議」で開発が必要な薬剤と判断されました。PEG化による半減期延長製剤で、2週間間隔の投与が可能です。2023年2月末時点で、世界70ヵ国で承認されており、多くの国でALLの標準治療薬として使用されています。未治療のB前駆細胞性急性リンパ性白血病患者23例(1~21歳)を対象としたSHP674-201試験第2パートにおいて、主要評価項目である初回投与14日後における血中アスパラギナーゼ活性値≧0.1 IU/mL達成率は100%でした。副次評価項目である1年無イベント生存率は100%で、1年全生存率も100%でした。探索的評価項目である寛解導入療法期終了後の完全寛解率は30.0%(6/20例)、奏効率は100%で、早期強化療法期終了後ではそれぞれ47.6%(10/21例)、100%でした。本剤により、アナフィラキシーを含む過敏症が現れることがあるので、過敏症を軽減するために、本剤の使用開始30~60分前に解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、副腎皮質ホルモン剤などを使用することがあります。

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小児がんの薬剤開発、何が進んだか、次に何をすべきか/日本小児血液・がん学会

 2022年11月に開催された前回の学術集会で、小児がんの薬剤開発に関する課題の共有や抜本的な制度改革への必要性が提言されて以降、さまざまな場で具体的な方策についての検討が行われてきた。その進捗について、第65回日本小児血液・がん学会学術集会の学会特別企画「『小児がんの薬剤開発を考える』何が進んだか、次に何をすべきか」にて、小川 千登世氏(国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科)と鹿野 真弓氏(東京理科大学 薬学部)から、それぞれ報告があった。国内における小児がんの薬剤開発のためには抜本的な制度改革が必要 日本における小児がんを対象とした臨床試験数は欧米と比較して圧倒的に少なく、その背景には小児に対する薬剤開発の義務化の有無が影響していると考えられている。小児がんの薬剤開発が進まない理由としては、1)市場規模が小さく、開発コストや法的義務の負担が大きいこと、2)小児治験を実施する環境が不十分であること、3)医師主導治験で開発を試みるも公的予算・研究費の確保が困難であること、4)対象患者が少なく被験者の確保も難しいといった問題等が挙げられる。 小川氏は、これらの問題解決のために「企業開発を可能とするための効果的なインセンティブや、医師主導治験に対する公的予算・研究費の十分な提供、継続的に実施できる体制強化といった抜本的な制度改革が必要である」と述べた。ゲノム医療における、小児がんドラッグラグ解消に向けた取り組み がん遺伝子パネル検査で治療候補薬が見つかった患児やその家族から、薬剤アクセス確保の要望が高まっている一方で、ゲノム医療において「小児がんドラッグラグ」の問題が「がん対策推進基本計画(第3期)」の課題として挙がっていた。この薬剤アクセス改善に向けて、治験の実施を促進する方策について検討するとともに、小児がん中央機関や拠点病院、関係学会だけでなく企業等と連携して研究開発を推進することが、第4期に取り組むべき施策として、がん対策推進基本計画(2023年3月28日に閣議決定)に明記されている。 これらの課題解決には、「小児がん治療開発コンソーシアム」を構築し、患児や家族、国内外の企業、海外アカデミアとの連携による治療薬開発促進や、小児がん患者の薬剤アクセス改善に向けた活動を目指すとしている。小川氏からは、国際共同企業治験の呼び込みとして、国際学会やACCELERATE Platformへの参加による情報収集や海外企業へのコンタクトの実施、薬剤アクセスの改善では、マスタープロトコルを用いた患者申出療養制度に基づく特定臨床試験(PARTNER試験)の実施などの紹介があった。ほかにもさまざまな検討会が立ち上げられ、小児がんのドラッグラグ解消に向けた施策が進行中である。小児がんの薬剤開発の推進には制度改革だけでなく、実施にむけた環境整備も必要 小児がんや小児の希少難治性疾患に対する薬剤開発の推進に向けて、鹿野氏から「小児がん及び小児稀少難治性疾患に係る医薬品開発の推進制度に資する調査研究」について報告があった。 欧米では、成人の医薬品開発過程における小児開発の検討が法律で義務化されて以降、小児臨床試験の割合は増加。その一方で、小児開発が免除(Waiver)または延期(Deferral)となる割合も2017年以降増加していた。米国におけるWaiverの適用理由として、小児患者が少なく治験の実施困難が全体の8割程度、Deferralの適用理由は非開示が多いものの、安全性・有効性に対する懸念、小児用製剤開発の必要性を理由とする事例が確認された。 製薬企業等を対象としたアンケート調査の結果では、欧米で小児適応を取得済み、または開発中の医薬品に対して、日本国内で小児適応に向けた具体的な開発計画がない品目があると回答した企業が半数近く存在した。その理由として、収益性や治験実施体制の整備、PMDAの審査・相談、欧米のような義務化といった問題が挙がっていた。医療機関を対象としたアンケート調査の結果でも、国内で開発が進まない理由として製薬企業の調査結果と同様の課題が挙がっていた。 この課題解決に向けて鹿野氏は、「解決に向けた取り組みは、いろいろなところで始まっている。これらが統合されて、小児がんの薬剤開発の推進を皆で盛り上げていくことが大切である」と述べた。小児がんの薬剤開発として、次に何をすべきか? 講演の後半では、今後の小児がんの薬剤開発についてパネルディスカッションが行われた。課題解決に向けて、「患者・家族の立場として、課題をもっと周知してもらうために、いろいろな場所で情報発信していく必要がある。そのためには患者リテラシーも向上していきたい」「薬剤開発の推進にはスピード・コスト・クオリティの3つのバランスが必要。日本はスピード・コストに課題があるため、この点をカバーするために現在行われている取り組み等に企業としても貢献していきたい」「インセンティブや治験の実施体制などの環境整備の問題等、課題を複合的に検討していく必要がある」など、さまざまな意見が出された。 最後に小川氏は、「昨年からの進捗状況として、いろいろなことが前進したと実感している。小児がんの薬剤開発を盛り上げていくために、患者さんの会、企業、行政と連携して、また1年後に進捗状況を共有していきたい」と締めくくった。

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英語で「理論的には同意、現実には反対」は?【1分★医療英語】第103回

第103回 英語で「理論的には同意、現実には反対」は?《例文1》It is not practical to do both surgeries at the same time.(両方の手術を同時にやることは現実的ではありません)《例文2》Logistically, it is impossible to use both drugs at the same time.(現実的には、両方の薬を併用することは不可能です)《解説》インターネット、SNSで情報が氾濫する昨今では、患者さんの側からさまざまな治療を提案されることも多く、その中には現実的でない案もあります。そんなときには、このフレーズが便利です。「理論的には=“in theory”」と「現実的には=“in reality”」を対比させることで、相手の意見を認めつつ、自分の意見を述べるための導入になります。類似表現として、“practical/practically”、“logistic/logistically”も、「現実的には」という意味合いで頻用します。“logistic”という単語は、英和辞書では「物流的な」という訳語が出てきますが、私の経験上では「(主に時間的・物理的な制限において)現実的な」という意味合いで頻用される単語です。講師紹介

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多がん早期検出血液検査は、がんスクリーニングで実行可能か/Lancet

 多がん早期検出(multicancer early detection:MCED)血液検査は、腫瘍から循環血中に排出された遊離DNA(cell-free DNA:cfDNA)のがん特異的DNAメチル化パターンを検出し、がんシグナルが確認された場合はその起源(cancer signal origin:CSO)を予測することから、1回の採血で50以上のがん種の検出が可能とされる。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのDeb Schrag氏らは、「PATHFINDER研究」にてMCED血液検査を用いたがんスクリーニングは実行可能であることを確認し、今後、臨床的有用性を検証する研究を進める必要があることを示した。研究の成果は、Lancet誌2023年10月7日号で報告された。米国の前向きコホート研究 PATHFINDER研究は、がんスクリーニングにおけるMCED検査の実行可能性(feasibility)を調査する前向きコホート研究であり、米国の7つの医療ネットワークに属する腫瘍科およびプライマリケア外来施設が参加した(米国・GRAILの助成を受けた)。 対象は、年齢50歳以上、がんの徴候や症状がなく、MCED検査と1年間の電子健康記録の追跡調査に同意した集団であった。 参加者の血液を採取してcfDNAの解析を行い、結果を参加施設の医師に伝えた。がんを示唆するメチル化シグネチャーを検出した場合は、予測されるCSOを知らせた。 主要アウトカムは、MCED検査で陽性となった後、がんの有無を確定するのに要した時間と、確定診断までに行った検査の範囲であった。検査から確定診断までの期間は79日 2019年12月12日~2020年12月4日に6,621人を登録した。年齢中央値63.0歳(四分位範囲[IQR]:56.0~70.0)、女性63.5%、白人91.7%で、がん既往参加者は24.5%であった。 がんシグナルは6,621人のうち92人(1.4%)の参加者で検出した。このうち、がんと診断された真陽性は35人(38%)で、残りの57人(62%)はがんと診断されず偽陽性であった。 MCED検査の結果が出る前に診断のための評価が開始された2人を除くと、診断が確定するまでの期間中央値は79日(IQR:37~219)であった。偽陽性者の診断までの期間中央値は162日(44~248)である一方、真陽性者では57日(33~143)と短かった。 がんシグナルを検出した90人(上記の2人を除く)の多くが、診断が確定するまでに臨床検査(真陽性者79%[26/33人]、偽陽性者88%[50/57人])と画像検査(真陽性者91%[30/33人]、偽陽性者93%[53/57人])を受けていた。 また、処置(非外科的または外科的)を受けた参加者の割合は、真陽性者(82%[27/33人])に比べ偽陽性者(30%[17/57人])で低く、外科的処置を受けた参加者はほとんどいなかった(真陽性者3人、偽陽性者1人)。 著者は、「これらの知見は、がんスクリーニング戦略としてのMCED検査の安全性、有用性、臨床的有効性を調査するための大規模研究の基礎を築くものである」としている。

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英語で「注意を払う」は?【1分★医療英語】第102回

第102回 英語で「注意を払う」は?《例文1》医師ACan you put this patient on your radar?(この患者さんに注意を払ってもらえますか?)医師BSure, I can.(いいですよ)《例文2》医師I am sorry but this patient was not on my radar.(申し訳ないが、この患者のことは知りませんでした)看護師No worries, Dr.(大丈夫ですよ)《解説》“put(be) on one's radar”という表現は、医療現場以外でも使われる、知っておくと有用な表現の1つです。イメージとしては、直訳した「誰かのレーダーに映す」という表現から、「“何か”を“誰か”の意識下におく」といった意味になります。日本語としては「(誰かの)耳に入れる」「注意を払う」「知っておく」といった意味になります。医療現場では、気になる患者さんや情報を誰かと共有したい場合に、主に医師同士の会話で使うことが多いです。日本で学習する表現の中にはまず出てこないと思いますので、ぜひ覚えて使ってみてください。逆に、「意識下から外れている」、つまり「把握していない」と言いたいときには、“under the radar”という表現を使います。講師紹介

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金の話をする人間は卑しいのか?猫と暮らすQALYを考える【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第65回

費用対効果分析の意義世界的なインフレの波が日本にも押し寄せています。日本で物価が上がっていることを実感する機会が増えてきました。しかし、世界の先進国と比べると上昇率はまだ緩やかなのかもしれません。私は2023年8月末にオランダ・アムステルダムで開催された欧州心臓病学会(ESC2023)に参加しました。会場のキオスクで昼食を購入して驚きました。おいしくもないハンバーガーが、14.5ユーロでした。1ユーロが158円でしたので、日本円に換算すると2,291円となります。日本では500円ほど、絶対に1,000円を超えることはない質感でした。円安と日本の国力の低下を痛感しました。出費には、それに見合う対価が求められます。費用対効果、いわゆるコスパです。費用対効果分析は医療の現場でも意義を増し、この分野に特化した学問領域が進化しています。治療に掛かる費用は、安ければ良いというわけではありません。安価でも効かない薬や質の悪い医療では、「安物買いの銭失い」となります。一方で、効果が高くとも、法外に高額な治療では手が届かず、公的医療の枠組みを超えてしまいます。費用に見合う効果のバランスが取れていることが鍵となります。あらゆる疾患に共通する治療効果指標「QALY」医療における費用対効果を分析する場合に、効果をどのように測定するかが問題です。風邪を引いた場合には解熱することが求められ、がんの治療ならば再発せずに長生きすることが求められ、変形性膝関節症では痛みなく日常生活が可能となることが効果として求められます。風邪・がん・変形性膝関節症と、疾患ごとにバラバラの効果指標で費用対効果を算出すると、その解釈も疾患ごとにバラバラとなります。あらゆる疾患に共通する効果指標としてQALYが考案され国際的に活用されています。これは、Quality-Adjusted Life Yearの略語で、「クオリー」と呼ばれ日本語では「質調整生存年」と訳されます。瀕死の病の状態から、医療により同じ1年間を長生きすることができたとしても、思うままにできる元気な1年間と、寝たきりで身動きがとれない1年間では、多くの人は前者のほうが望ましいと考えます。生存期間で見ればどちらも1年ですが、前者は後者よりも質の高い状態なので、治療により得られる1年間の価値も大きくなります。このように、生存している期間に加えて質も同時に反映する評価指標がQALYです。QALYの値は、1(完全な健康)から0(死亡)までの値を取ります。完全な健康状態で過ごした1年間は1QALYであり、人がその年の価値の100%を得ることができたと解釈します。完全な健康状態ではない状態で生きた1年間は、価値の量が低下します。たとえば、効用が0.5の状態で1年間生きた場合、0.5QALYが得られます。この人は、その年に得られる最高の価値の量の50%しか得ていないという意味です。言い換えれば、0.5の健康状態で1年間を生きる価値の量は、完全な健康状態で半年間を生きることと同程度の価値の量があることを意味します。QALYは1QALY、2QALYと数えることができ、0.8の状態で10年間生存すれば0.8×10=8QALYとなります。ICER:1QALY延ばすために要するコスト従来からある標準的な治療と効果が高いと期待される新規治療と比べた場合に、QALYを1単位獲得するのにいくらコストが掛かるかを表す指標をICER(Incremental Cost-Effectiveness Ratio)と呼びます。要は、1QALYを延ばすために要するコストで、この値が医療行為を社会に導入する是非の基準となります。たとえば、新たな治療により比較対照と比べて500万円余分に掛かるけれども、2年間の延命が期待できれば、ICERは500万円/2年=250万円/年となります。これは、追加的に1年間生きるのにあと250万円のコストが掛かるということになります。イギリスでは、1QALY当たりに認めるコストの目安として2万~3万ポンドと設定しています。日本円に換算すると、1QALYを得るのに必要なコストは500万円程度までは容認されるという考えです。ICERが500万円/QALYを超える医薬品は、薬価の引き下げが検討されるなど医療政策に活用されています。今、議論に向き合わなければならないこのように医療の経済的な側面について考えることは、「金の話なんて、卑しいからするな」と感じる方もいるかもしれません。「人の命は地球よりも重い」という言葉がありますが、本当にそうでしょうか。医療費はだれかが負担しなければならないことは間違いありません。今を生きる私たちが費用を負担していないのであれば、いつか誰かがツケを支払わねばなりません。おそらく子や孫の世代です。一般の社会でも、支払い能力を考えずにただ金を使いまくる人間は愚か者と考えられています。国がなんとかしてくれると思考を放棄するのは「ドラ息子」の所業です。あえて目を背けたい事柄だからこそ、歯を食いしばって向き合う必要があります。今を生きる世代の人間は、次の世代や次の次の世代を巻き込むことは避けるべきであり、そのための議論を放棄してはならないと考えます。この困難な話題について原稿を書いていると、わが家の「ドラ息子」ともいえる愛猫の「レオ」が遊んでくれとやってきました。ゴロゴロいってスリスリしてきます。猫と暮らすことの費用対効果を考えてみます。猫の飼育コストには、食事、猫用品(トイレ、ベッド、おもちゃなど)、健康ケア(ワクチン、予防医療、獣医さんへの診療費)などが含まれます。遊んだり、トイレの世話をしたり、愛情を注いだりするために時間とエネルギーを費やすことも経費です。効果については、猫は癒しや楽しみを提供してくれます。彼らの愛らしい行動や一緒に過ごす時間は、ストレス軽減や幸福感向上に寄与します。猫と遊ぶことは、同居する人間にとってもアクティビティの機会になります。猫を飼うことは責任感を養う機会でもあります。猫と暮らす1年は2QALY、いや5QALY以上の価値があります。今回も結局は猫自慢の話になってしまいました。

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ICIによる心筋炎、現時点でわかっていること/日本腫瘍循環器学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は抗PD-1抗体のニボルマブが2014年に本邦で上市されて以来、抗PD-L1抗体や抗CTLA-4抗体も登場し、現在では臓器横断的に幅広いがん種に対し、単独投与のみならず併用投与も行われるようになった。しかし、その一方でさまざまな免疫関連有害事象(irAE)が報告されており、とくに循環器医も腫瘍医も恐れているirAEの1つに心筋炎がある。これは通常の心筋炎とは何が違い、どのように対処するべきなのだろうか―。9月30日~10月1日に開催された第6回日本腫瘍循環器学会学術集会のシンポジウム『免疫チェックポイント阻害薬関連有害事象として心筋炎の最新の理解と対応』において、3名の医師が心筋炎のメカニズムや病態、実臨床での事例やその対応について発表した。irAE心筋炎でわかっていること、わかっていないこと Onco-Cardiology教育に力を入れる田尻 和子氏(国立がん研究センター東病院 循環器科長)によると、あいにく現時点ではこの病態の解明には至っていないが、心筋炎を起こす免疫細胞の種類とその働き、免疫細胞を制御している分子・シグナル・液性因子、心臓のT細胞は何を敵だと思って攻撃しているのか、などの疑問が沸いている状況だという。同氏はこれらの疑問点を詳細に解説したうえで、「なぜICI投与患者の約1%だけが心筋炎を発症するのか、そして従来の心筋炎よりなぜ予後が悪いのか」と2つの疑問を挙げた。 前者については「ICI治療前に存在する患者固有の特徴によるのか、またはICI投与によって生じた何らかの事象に関連するのか」と問題提起。また、「心筋に特異的なタンパクであるαミオシンを免疫細胞が敵だと思いこみ自己免疫性心筋炎が発症することは明らかになっている1-4)ものの、心筋炎にならなかったICI投与患者の心筋にもαミオシン反応性T細胞が存在することから、なんらかのウイルス感染が引き起こしている可能性、根底にある遺伝的感受性や腸内細菌の関与も考えられる」とコメントした。 さらに後者の疑問に対しては「いわゆる一般的な心筋炎というのは治療介入しなくとも自然軽快していくが、irAE心筋炎はステロイド抵抗性であったり、免疫応答がより強力(マクロファージの比率が多い、より高密度のリンパ球浸潤)であったりするのではないか。T細胞がICIにより永久的にリプログラムされて抑制シグナルに耐性を持ち、ICI投与終了後数年にわたる可能性も否めない。さらに、ウイルス感染が原因であればそのウイルスを除去すれば終わりだが、irAE心筋炎のT細胞が認識する抗原が腫瘍や心筋だった場合はそれらが除去されないために炎症が収束しないのではないか」と、仮説を挙げた。心筋炎の発症頻度は1%超、致死率は25~40%の可能性 続いて発表した清田 尚臣氏(神戸大学医学部附属病院 腫瘍センター)はirAEの特徴と実際の発症頻度について解説。「当初の発症頻度は0.09%程度と言われていたが、現在のRCTメタ解析などによると最大で5.8%に上り、近年の報告の多くは1%を超えている。つまり、想定していたよりも頻度や致死率が非常に高く、発症までの期間中央値は30日前後であることが各種論文から明らかになってきた」と述べた。同氏の施設では年間290例(ICI延べ処方件数3,341件)がICI治療を行っているが、「irAEの発症頻度を3%、致死率を30%と想定した場合、当院では年間9人が発症し、約3人が死亡することになる」と、いかに発症を抑えることが重要かを示した。 同氏はオンコロジストとしてできることについて、JAVELIN Renal 101試験5)でのMACEの定義や頻度を示し、「ICIを使用する前には脂質異常症などの既往、ベースライン時点での心電図とトロポニン測定などを実施して評価をしておくことが必要。検査所見のみで無症状の場合もあるが、心筋炎を疑う症状(息切れ、胸痛、浮腫、動悸、ショック症状など)がみられたら躊躇せずに、心電図、トロポニンやBNPの測定、心エコーを実施してほしい」と述べ、「irAE心筋炎はCCU管理が必要になる場合もあるため、疑った時点で早期に循環器医にコンサルテーションすることも必要」と連携の重要性も説明した。心筋炎に遭遇、実臨床での適切な対応策 循環器医の立場で登壇した及川 雅啓氏(福島県立医科大学 循環器内科学講座)は、実際にirAE心筋炎に遭遇しており、その際の対処法としてのステロイドの有用性、irAE後のICI再投与について言及した。 同氏の施設ではICI外来を設置し、患者・医療者の双方に負担がない取り組みを行っている。概要は以下のとおり。<福島県立医科大学附属病院のICI外来>・ICI治療が予定される場合、がん治療を行う各科にてトロポニンI、心電図、心エコーのオーダーを行い、循環器内科ICI外来(カルテ診)へ紹介する。・検査結果をカルテにて確認し、ICI開始後約1ヵ月、3ヵ月、以後3ヵ月ごとにトロポニンI測定ならびに心電図検査を実施する。・問題が生じた場合には、各科主治医に連絡を取り、今後の方針を検討する。 上記のフォローアップを受けた全271例のうち、トロポニンIの上昇(>0.05ng/mL)を認めたのは15例(5.5%)で、そのうちirAE心筋炎と診断されたのは4例(1.4%)だったという。この4例に対しては「ESCガイドライン6)に基づく治療として、ICIを中止し、心電図モニターを行った後、メチルプレドニゾロン500~1,000mg/dayを最低3日間実施した。これで改善すれば経口プレドニゾロン1mg/kg/dayに切り替え、ステロイド抵抗性がみられた場合には2ndラインとして免疫抑制薬の投与に切り替えが必要となる。本症例ではステロイド治療が奏効したが、重篤化前の治療介入が非常に重要であることが明らかであった」。 また、irAE心筋炎を診断する際の検査値について、「トロポニンIの持続上昇は臨床的な心筋炎に至る可能性が高いため、綿密なフォローアップが必要である」と説明し、さらに「肝機能異常やCPK上昇を伴っていることも報告7)されているが、実際に当院の症例でも同様の傾向が見られた。このような検査値にも注意を払うことが診断精度向上につながる」と補足した。 ICI再投与についてはJAMA誌での報告8)を示し、「irAE発症者6,123例のうち452例(7.4%)に行われ、再投与により28.8%でirAEが再発している。irAE心筋炎を発症した3例に再投与が行われ再発は0例であったが、例数が少なく判断が難しい。この結果を見る限りでは、現時点で再投与を積極的に行うことは難しいのではないか」と個人的見解を示した。 なお、本シンポジウムでは発表後に症例検討のパネルディスカッションが行われ、会場からの質問や相談が尽きず、盛況に終わった。■参考文献日本腫瘍循環器学会1)Munz C, et al. Nat Rev Immunol. 2009;9:246-258.2)Tajiri K, et al. Int J Mol Sci. 2021;22:794.3)Won T, et al. Cell Rep. 2022;41:1116114)Axelrod ML, et al. Nature. 2022;611:818-826.5)Rini BI, et al. J Clin Oncol. 2022;40:1929-1938.6)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022;44:4229-4361.7)Vasbinder A, et al. JACC CardioOncol. 2022;4:689-700.8)Dolladille C, et al. JAMA Oncol. 2020;6:865-871.

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