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急性肝障害の発現率、194種類の薬剤で比較

 実臨床における重度の薬剤誘発性急性肝障害の発現率に関するデータは少ない。そこで、米国・ペンシルベニア大学のJessie Torgersen氏らの研究チームは、肝毒性が疑われる194種類の薬剤について、重度の急性肝障害の発現率を調査した。その結果、1万人年当たり10件以上の重度の急性肝障害が認められた薬剤は7種類であった。また、重度の急性肝障害の発現率が高い薬剤には、抗菌薬が多かった。本研究結果は、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年6月24日号で報告された。 研究チームは、米国退役軍人のデータを用いて後ろ向きコホート研究を実施した。本研究には、2000年10月1日~2021年9月30日の期間のデータを用いた。対象は、肝臓疾患や胆道疾患の既往歴がない患者789万9,888例とした。外来で処方される薬剤のうち、過去に薬剤誘発性肝障害が報告されている194種類について、1万人年当たりの重度の急性肝障害の発現率を調査した。主要評価項目は、薬物治療開始後に発現した入院を要する重度の急性肝障害の発現率とした。 主な結果は以下のとおり。・重度の急性肝障害が1万人年当たり10件以上発現した薬剤は7種類であった。薬剤の種類および1万人年当たりの発現率(95%信頼区間[CI])は以下のとおり。 スタブジン(販売中止):86.4件(27.7~269.7) エルロチニブ:19.7件(7.4~53.0) レナリドミド:13.7件(6.4~28.9) クロルプロマジン:12.0件(4.5~32.3) メトロニダゾール:11.8件(7.4~18.7) プロクロルペラジン:11.6件(7.4~18.2) イソニアジド:10.5件(5.8~19.2)・重度の急性肝障害が1万人年当たり5.0~9.9件以上発現した薬剤は10種類であった。薬剤の種類および1万人年当たりの発現率(95%CI)は以下のとおり。 モキシフロキサシン:9.3件(5.6~15.4) アザチオプリン:7.7件(3.7~16.4) レボフロキサシン:7.2件(4.6~11.1) クラリスロマイシン:6.7件(3.3~13.5) ケトコナゾール:6.1件(2.0~19.0) フルコナゾール:6.0件(3.4~10.4) カプトプリル:5.8件(2.7~12.2) アモキシシリン・クラブラン酸:5.4件(3.7~7.9) スルファメトキサゾール:5.1件(3.5~7.3) シプロフロキサシン:5.1件(3.5~7.4)・以上の17種類のうち11種類は、既存のケースレポートに基づく急性肝障害の発現リスク分類において、最上位に含まれていない薬剤であった。・17種類のうち11種類を抗菌薬・抗レトロウイルス薬が占めた。

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第104回  血培ボトル出荷制限が現場に与える影響

ベクトン・ディッキンソン(BD)の血液培養ボトルが出荷制限にわかに信じがたいニュースが飛び込んできました。毎日のように病院で提出される血液培養ボトルが、な、な、なんと出荷制限…!プラスチックボトルの供給が遅延し、少なくとも3ヵ月程度の納期がズレてしまい、しばらくは平時の50%程度になるとのことです(表)。「BD バクテックTM 血液培養ボトル」出荷調整のお知らせとお詫び(第一報)画像を拡大する表. 出荷制限対象製品対象商品は8種類ですが、BD社の血培ボトルを使っている病院も多く、この出荷制限は甚大な影響を与えるでしょう。他社の血培ボトルを採用している病院も、間接的に影響するかもしれないので楽観視はできません。対象を制限せざるを得ない日本感染症学会・日本臨床微生物学会から合同のステートメントが出ています。具体的には、菌血症・敗血症患者への2セット採取は必要とはしつつも、(1)菌血症の陰性化確認は対象を限定(2)1セットでの採取はやむを得ない(3)状態が比較的安定している患者や他の培養検査で原因菌の検索が可能と思われるような患者においては、血液培養の対象からはずすというのが具体案として提案されています。培養陰性化の確認はそこまで数自体が多くないので、現状焼け石に水になるかもしれません。なので、(2)を適用せざるを得ないのかもしれません。喀痰、尿、皮膚軟部組織の膿のように、直接検体が確保できる感染症かどうかも重要かと思います。深部感染症で何が菌血症を起こしているのか想定しにくい場合に、血液培養の優先度を上げていく必要があるでしょう。院内で早急に対応を強いられ、このコラムが出る頃にはある程度スタンスが決まっていると思いますが、今回の件で「どういった症例に血液培養を検査すべきか」「1セットでよいのか」「Candidaや黄色ブドウ球菌の菌血症の陰性確認は必要か」といった議論が進むとよいですね。

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VEXAS症候群の症状は皮膚病変が83%

 VEXAS(Vacuoles, E1 enzyme, X-linked, Autoinflammatory, Somatic)症候群は、近年定義された後天性自己炎症性疾患で、主に50歳以上の男性に発症する。VEXAS症候群は、全身性の炎症症状、進行性骨髄不全症、炎症性皮膚症状がみられるのが特徴である。米国・ラトガース大学のIsabella J. Tan氏らは、観察コホート研究においてVEXAS症候群では皮膚症状が一般的かつ早期からみられる症状であることを明らかにした。そのうえで「皮膚血管炎、好中球性皮膚症、または軟骨炎を患う高齢の男性患者では、VEXAS症候群についての遺伝的評価を検討する必要がある。早期診断を促進するために、皮膚科医の間でVEXAS症候群の認識を高めることが重要である」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年6月12日号掲載の報告。VEXAS症候群に特徴的な症状のなかで最もよくみられた症状が皮膚病変 研究グループは、VEXAS症候群における特徴的な皮膚症状を検討し、それらが疾患の臨床的、遺伝学的、組織学的側面とどのように関連しているのかを調べることを目的として、観察コホート研究を行った。 対象患者は2019~23年に、UBA1遺伝子変異が確認されVEXAS症候群と診断された112例。医療記録レビューから、あるいは米国・メリーランド州ベセスダの国立衛生研究所(NIH)で直接評価したVEXAS患者から収集したデータを用いて解析した。 主要アウトカムは、遺伝学的、組織学的およびその他の臨床的所見と関連するVEXAS症候群における皮膚症状の範囲。副次アウトカムは、VEXAS症候群に対する治療への反応とした。 VEXAS症候群における特徴的な皮膚症状を検討した主な結果は以下のとおり。・VEXAS症候群と診断された対象患者112例の年齢中央値は69歳(範囲:39~79)、男性は111例(99%)であった。・皮膚病変は一般的な症状であり(93例[83%])、VEXAS症候群に特徴的な症状のなかで最もよくみられた症状であった(68例[61%])。・VEXAS症候群患者60例から得られた64件の組織学的報告のうち、主な皮膚の組織病理学的所見は、白血球破砕性血管炎(23件[36%])、好中球性皮膚症(22件[34%])、血管周囲性皮膚炎(19件[30%])であった。・病原性遺伝子変異と皮膚症状には関連がみられた。p.M41L変異と関連が最も大きかったのは、好中球の皮膚浸潤(14/17例[82%])であった(Histiocytoid Sweet Syndromeと類似することが多い)。・一方、p.M41V変異と関連していたのは、血管損傷(11/20例[55%])、混合白血球の浸潤(17/20例[85%])であった。・経口prednisoneにより、67/73例(92%)のVEXAS症候群患者において皮膚症状の改善がみられた。・anakinraによるVEXAS症候群の治療を受けた患者において、潰瘍(2/12例[17%])や膿瘍(1/12例[8%])などを含む重度の注射部位反応(12/16例[75%])の発現頻度が高かった。

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何はさておき記述統計 その6【「実践的」臨床研究入門】第45回

交絡因子とは前回お示しした統計解析ソフトEZR(Eazy R)の生存時間曲線の解析結果では、われわれの帰無仮説(下記)は棄却されませんでした(連載第44回参照)。「低たんぱく食厳格遵守と低たんぱく食非厳格遵守で、末期腎不全の発症率に差がない」したがって、生存時間の記述統計解析の結果からは、「末期腎不全の発症率に、低たんぱく食厳格遵守と低たんぱく食非厳格遵守で差があるとは言えない」ということになります。そこで今回は、われわれのResearch Question(RQ)のE(要因)「低たんぱく食厳格遵守」とO(アウトカム)である「末期腎不全」や「糸球体濾過量(GFR)低下速度」との関連を歪める可能性のある交絡因子について解説します。まずは、交絡因子の3条件を示します(図)。図交絡因子は、E(要因)とC(対照)との「理想的な」比較を歪める因子、と言い換えることもできます。それでは、われわれのRQで具体的に交絡因子の候補について考えてみましょう。たとえば、糖尿病合併の有無はどうでしょうか。糖尿病の合併はOの「末期腎不全発症」リスクを増加させる明らかな予後因子です(条件1)。条件2は要因群(E)と対照群(C)で分布が違う因子、とも言えます。これまでの先行研究レビューで、糖尿病性腎疾患は非糖尿病性腎疾患と比較して低たんぱく食事療法の効果が低いことが示されています(連載第5回参照)。それゆえ、糖尿病合併例では厳格な低たんぱく食事療法の指示を受けている(もしくは遵守できている)割合が低い可能性があり、条件2に該当しそうです。また、「低たんぱく食厳格遵守」した結果として糖尿病となり、「末期腎不全発症」に至るという因果関係は成立しないと思われ、条件3にも合致します。年齢はいかがでしょうか。年齢はわれわれのOでも重要な予後因子でしょう(条件1)。高齢CKD患者では、厳しいたんぱく質制限による低栄養などの懸念が診療ガイドラインで示されていることもあり(連載第5回参照)、要因群(E)と対照群(C)で年齢の分布には差がありそうです(条件2)。年齢はわれわれのRQでの中間変数にはあたらないでしょう(条件3)。性別は年齢と同様に基本的かつ重要な患者背景の違いとして、条件2に該当するか不明であっても交絡因子として慣習的に扱うことが一般的です。われわれのRQでも男性は女性と比較してOのリスク因子であることは先行研究からも自明であり、少なくとも条件1には合致しますし、中間因子ではないことは明らかです(条件3)。蛋白尿の程度や栄養状態・慢性炎症の代替指標としてよく用いられる血清アルブミン値はどうでしょうか。高度な蛋白尿や低い血清アルブミン値はわれわれのOの強い予後悪化因子です(条件1)。高度な蛋白尿や低い血清アルブミン値を呈する症例には、厳格な低たんぱく食事療法を導入しづらいかもしれず、蛋白尿の程度や血清アルブミン値にも要因群(E)と対照群(C)で分布の違いがありそうです(条件2)。蛋白尿の程度や血清アルブミン値は、われわれのRQのEである「厳格な低たんぱく食事療法遵守(vs.非遵守)」とOである「末期腎不全」や「糸球体濾過量(GFR)低下速度」の中間変数である可能性は完全には否めません。しかし、重要かつ強力なベースラインの予後因子であることを考慮し外せない交絡因子としました。同様にこれまでの先行研究の知見や医学的観点から、下記の要因を、われわれのRQの交絡因子として挙げ、データを収集することとしました。年齢、性別、糖尿病の有無、血圧、eGFR、蛋白尿定量、血清アルブミン値、ヘモグロビン値次回は収集したこれらの患者背景データを用いて、EZRで記述統計解析を行い、論文の表1の作成方法について解説します。

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日本BDが血培ボトル出荷調整、学会が対応を注意喚起

 日本ベクトン・ディッキンソンは7月3日のリリースにて、「BDバクテック血液培養ボトル」8製品を出荷調整することを発表した。米国本社より、供給元からの同製品の原材料であるプラスチックボトルの供給に3ヵ月程度の遅延が発生したため、今後の製造と出荷が通常時の50%程度に制限される見込みであるとの報告があり、当面の間、世界的にすべての需要を満たすことが困難な状況となった。本報告を受けて、日本臨床微生物学会と日本感染症学会は同日、医療機関側でも出荷調整の数ヵ月間を大きな混乱なく診療ができるように、対応について告知した。 両学会は、「特にこのような情報を受け取った場合、自分の病院だけはなんとか十分量を確保しようとする動きが出てきますが、それが病院間のアンバランスを生み、極端に血液培養ボトルが不足する医療機関が生じかねない状況を生んでしまいます。そのため、国内の医療機関が歩調を合わせて被害を少なくするため、下記の点について会員の皆様に徹底をお願いします」と注意を促している。 両学会による注意喚起は以下のとおり。1. 血液培養ボトルの発注量の適正化 これまで発注していたレベル以上の発注や在庫の確保を目的とした発注については、極力控えていただくようお願いします。2. 血液培養の対象の見直し 血液培養の対象となる優先順位から考えて、菌血症・敗血症患者への2セット採取は必要と考えます。ただし、その一方で、菌血症の陰性化確認は対象を限定するか1セットでの採取はやむを得ないと思われます。また、状態が比較的安定している患者や他の培養検査で原因菌の検索が可能と思われるような患者においては、血液培養の対象からはずすこともご検討ください。3. 院内ルールの設定と周知の徹底 各医療期間によって血液培養の実施状況は異なるため、各施設に応じた院内ルールを決めていただく必要があります。現在よりも半数程度に血液培養を抑えるために、どの部分を減らせるかについては微生物検査室やASTなどで相談していただき、妥当な院内ルールの案をご検討ください。そしてそのルールが守られるよう院内における周知徹底をお願いします。

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リブテンシティ、臓器移植における難治性のCMV感染症にて承認取得/武田

 武田薬品工業は2024年6月24日付のプレスリリースにて、「リブテンシティ錠200mg」(一般名:マリバビル)について、「臓器移植(造血幹細胞移植も含む)における既存の抗サイトメガロウイルス療法に難治性のサイトメガロウイルス(CMV)感染症」を効能または効果として、厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表した。 本承認は、SOLSTICE試験(海外第III相非盲検試験)および国内第III相非盲検試験の結果に基づくものである。SOLSTICE試験(リブテンシティ群235例、既存の抗CMV治療群117例)において、リブテンシティは、主要評価項目である投与開始後8週時点のCMV血症消失※1において既存の抗CMV治療群と比較して統計学的に有意な差が検証された1)。副作用発現頻度は60.3%(141/234例)であった1)。また、国内第III相非盲検試験においては、本剤が投与された41例のうち既存の抗CMV治療に難治性※2のCMV感染・感染症を有する3例において、主要評価項目である投与開始後8週時点のCMV血症消失※3の割合は33.3%(1/3例)で、本剤が投与された41例の全体の副作用発現頻度は36.6%(15/41例)であった2)。<製品概要>販売名:リブテンシティ錠200mg一般名:マリバビル効能又は効果:臓器移植(造血幹細胞移植も含む)における既存の抗サイトメガロウイルス療法に難治性のサイトメガロウイルス感染症用法及び用量:通常、成人にはマリバビルとして1回400mgを1日2回経口投与する製造販売承認年月日:2024年6月24日製造販売元:武田薬品工業株式会社※1 5日以上の間隔を空けて2回連続して採取した検体において、血漿中CMV DNA濃度が定量下限未満(137 IU/mL未満)であることが確認された場合と定義※2 既存治療に対して遺伝子型耐性を有するサブグループを含む※3 5日以上の間隔を空けて2回連続して採取した検体において、血漿中CMV DNA濃度が定量下限未満(34.5 IU/mL未満)であることが確認された場合と定義

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英語で「悔いはない」は?【1分★医療英語】第137回

第137回 英語で「悔いはない」は?《例文1》I have no regrets about the choices I have made.(私は自分の選択に後悔はありません)《例文2》Try everything you can and leave no regret behind.(やれることはすべてやって、悔いを残さないようにしなさい)《解説》「悔いを残さない」という表現は、日常会話、医療現場のさまざまな場面で使われます。私は終末期のがんの子供を持つ親と話すときに、往々にして“we left no stones unturned”という表現を使います。このような状況では、適切な声掛けというのは難しいのですが、「できることはすべてやりました(悔いはありません)」というメッセージは、残される家族の心的負担を少しでも減らせるのではと思います。この表現は古代ギリシャの逸話に由来し、「宝物を探すためにすべての石を引っくり返した」という意味から来ているそうです。類似表現としては、“have no regret”や“leave no regret”があります。文脈次第ですが、《例文1》《例文2》のように、前者は過去の事象に対して、後者は未来の事象に対して使用することが多い印象です。講師紹介

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第221回 年2回注射でHIV感染知らず

年2回注射でHIV感染知らずHIV感染の治療薬として承認済みのギリアド・サイエンシズのHIVカプシド阻害薬レナカパビルの予防効果を調べた第III相試験で、半年に1回の同剤注射は2千例強の女性のHIV感染を一切許さず、毎日の経口薬服用に比べてより手っ取り早い予防手段の確かな効果が裏付けられました1)。PURPOSE 1という名称の同試験には南アフリカとウガンダの28ヵ所の生まれながらの女性(cisgender women and adolescent)5,300例超が参加しました。HIVに感染していないそれらの若い(16~25歳)女性は半年に1回のレナカパビル注射群、経口薬エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド(F/TAF)1日1回服用群、経口薬エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシル(F/TDF)1日1回服用群のいずれかに2対2対1の割合で割り振られました。有効なHIV予防法はすでにいくつかあることから、HIV予防の臨床試験でプラセボ群を設けることは非倫理的とおおむねみなされています。ゆえに本試験PURPOSE 1でもプラセボ群はなく、試験に集まった選定前の女性集団(世間の女性)のHIV発生率(background HIV incidence)がプラセボに代わる主たる比較対象とされ、F/TDF投与群の感染率が第2の比較対象とされました。試験の結果レナカパビル注射群の女性2,134例にHIV感染は一切生じず、その感染率(0例/100人年)は世間の女性のHIV感染率(2.41例/100人年)や1,068例中16例が感染したF/TDF投与群のHIV感染率(1.69例/100人年)に比べて有意に低いことが示されました。2,136例中39例が感染したF/TAF服用群のHIV感染率(2.02例/100人年)はF/TDFと似たりよったりで、残念ながら世間の女性に比べて有意に低いことは示せませんでした。感染予防のための経口薬の連日服用はたいてい困難なことが先立つ試験で示されています。今回の試験でのF/TAFやF/TDFの服用遵守がどうだったかは現在解析中です。レナカパビルの予防効果判明によりPURPOSE 1試験は早仕舞いとなり、F/TAFやF/TDFを服用していた被験者もレナカパビルを使えるようになります。HIV感染の恐れが大きい人へのレナカパビル年2回注射の予防効果を調べているもう1つの第III相PURPOSE 2試験の結果が今年遅くか来年早々に判明します。PURPOSE 2は米国、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、ペルー、南アフリカ、タイで実施されており、男性として生まれた連れ合い(partner assigned male at birth)とのコンドームなしの肛門性交を受け入れている生まれながらの男性(cisgender man)、生まれたときは女性だった男性(transgender man)、生まれたときは男性だった女性(transgender woman)、無性(gender non-binary individual)の被験者3千例強(3,295例)が参加しています2)。もし成功裏となればそのPURPOSE 2の結果とPURPOSE 1の結果を使ってレナカパビルのHIV感染予防用途が承認申請されます。今回速報されたPURPOSE 1の結果の詳細は後に学会で発表されます。アナリストの調査によると、まだ感染していないがそうなる恐れが大きい人にレナカパビル年2回皮下注射は広く受け入れられそうです3)。感染予防のレナカパビル皮下注射は市場を大いに拡大し、数年のうちに年間売り上げ17億ドルを超えると同アナリストは予想しています。上述のとおりレナカパビルはHIVの治療薬として先立って承認されており、シュンレンカという製品名で販売されています。参考1)Gilead’s Twice-Yearly Lenacapavir Demonstrated 100% Efficacy and Superiority to Daily Truvada for HIV Prevention/Gilead Sciences2)PURPOSE 2試験(ClinicalTrials.gov)3)Gilead's twice-yearly HIV prevention shot hits bullseye, trial stopped early/FirstWord

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再発・難治性DLBCL、複数の分子標的薬を含む5剤併用療法が有効/NEJM

 再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療において、ベネトクラクス+イブルチニブ+prednisone+オビヌツズマブ+レナリドミド(ViPOR)の5剤併用療法は、特定の分子サブタイプのDLBCLに持続的な寛解をもたらし、有害事象の多くは可逆性であることが、米国・国立衛生研究所(NIH)のChristopher Melani氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年6月20日号に掲載された。米国の単一施設第Ib/II相試験 研究グループは、DLBCLの複数の発がん性遺伝子変異を標的とするレジメンであるViPOR療法の安全性と有効性の評価を目的に、単一施設において第Ib/II相試験を行った(米国国立がん研究所などの助成を受けた)。 2018年2月~2021年6月に、年齢18歳以上でECOG PSスコアが0~2点の再発または難治性B細胞リンパ腫患者60例を登録した。このうち20例(DLBCL 10例を含む)を第Ib相試験、40例(すべてDLBCL)を第II相試験の対象とした。 第Ib相試験では、第II相試験におけるベネトクラクスの推奨用量を確定するために4つの用量を評価し、他の4剤は固定用量とした。第II相試験の拡大コホートには、胚中心B細胞型(GCB)DLBCLと非GCB-DLBCLの患者を含めた。ViPOR療法は6サイクル(1サイクル21日)行った。患者の3分の2以上で血液毒性 DLBCL患者50例の年齢中央値は61歳(範囲:29~77)、92%が病期IIIまたはIV期、86%が乳酸脱水素酵素(LDH)高値、56%が2つ以上の節外病変を有し、68%が国際予後指標(IPI)3点以上で、17例(34%)は形質転換リンパ腫だった。全身療法による前治療数中央値は3(範囲:1~9)で、20例(40%)はCAR-T細胞療法による治療歴があった。 第Ib相試験では、用量制限毒性であるGrade3の頭蓋内出血が1件発生し、第II相試験でのベネトクラクスの推奨用量は800mgに決定した。 第II相試験(60例)では、患者の3分の2以上に何らかの血液毒性を認め、52%でGrade3または4の好中球減少(全サイクルの24%)、45%でGrade3または4の血小板減少(同23%)、25%でGrade3(Grade4は認めず)の貧血(同7%)が発現した。Grade3の発熱性好中球減少が発生した患者は3例(5%)のみで、Grade4はみられなかった。 Grade3以上の非血液毒性は、29%で低カリウム血症、8%で下痢、4%でALT値上昇、3%で倦怠感、2%で嘔吐が発現した。毒性により減量を要した患者の割合は17%、投与延期は25%であった。2年無増悪生存率34%、2年全生存率36% 評価が可能であったDLBCL患者48例における奏効の割合は54%(26例)で、38%(18例)が完全奏効であった。完全奏効を達成したのは、非GCB-DLBCL患者、およびMYC遺伝子の再構成を有するか、BCL2とBCL6遺伝子のいずれか、あるいは両方の再構成を有する高悪性度B細胞リンパ腫の患者のみであった。 奏効までの期間中央値は0.66ヵ月(範囲:0.59~4.34)で、完全奏効例の78%が地固め療法を受けずに完全奏効を持続していた。 ViPOR療法の終了時に、患者の33%で循環血中の腫瘍DNAが検出されなかった。また、追跡期間中央値40ヵ月の時点で、2年無増悪生存率は34%(95%信頼区間[CI]:21~47)、2年全生存率は36%(95%CI:23~49)であった。 著者は、「特定の分子サブタイプにおけるViPOR療法の有効性は、治癒可能な疾患を有するDLBCL患者のサブグループに限定されるが、これは今回の結果の一般化可能性にある程度の確証をもたらすものである。非GCB-DLBCLと、MYCおよびBCL2遺伝子の再構成を伴う高悪性度B細胞リンパ腫(HGBCL-DH-BCL2)におけるViPOR療法の抗腫瘍活性については、今後の研究課題である」としている。

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HIVと関連するがん【1分間で学べる感染症】第6回

画像を拡大するTake home messageHIVと関連するがんは「AIDS指標悪性腫瘍」と「非AIDS指標悪性腫瘍」の2つがあることを押さえよう。「AIDS指標悪性腫瘍」は、1)非ホジキンリンパ腫、2)カポジ肉腫、3)子宮頸がんの3つを覚える。HIV感染者ではがん罹患の頻度が高いため、積極的なスクリーニングにより早期発見が求められる。HIV感染者では非感染者と比較して、がん罹患の頻度が高いとされています。なかでも、とくに関連があるとされる「AIDS指標悪性腫瘍」は、HIV感染者がこれらのがんを発症した場合、AIDSを発症していることを意味します。「AIDS指標悪性腫瘍」には以下の3つが挙げられます。1)非ホジキンリンパ腫2)カポジ肉腫3)子宮頸がんまた、これらの3つには入らないものの、HIV感染者で非感染者と比較して発生頻度が高いがんを「非AIDS指標悪性腫瘍」と呼びます。「非AIDS指標悪性腫瘍」には以下が挙げられます。1)肺がん2)肛門がん3)ホジキンリンパ腫4)口腔がん・咽頭がん5)肝臓がん6)外陰部がん7)陰茎がん抗レトロウイルス療法(ART)により「AIDS指標悪性腫瘍」の発生頻度は低下しましたが、「非AIDS指標悪性腫瘍」に関しては年々増加してきていることが報告されています。積極的なスクリーニングにより早期発見が求められます。1)Yarchoan R, et al. N Engl J Med. 2018;378:1029-1041.2)Yuan T, et al. EClinicalMedicine. 2022;52:101613.3)Reid E, et al. J Natl Compr Canc Netw. 2018;16:986-1017.4)“アンケート結果 HIVの悪性腫瘍(非AIDS指標疾患)の動向−2022年症例分解析−”. 日本医療研究開発機構 エイズ対策実用化研究事業. 2024-05. , (参照2024-06-05)

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CAR-T療法、2次がん・T細胞リンパ腫のリスクは?/NEJM

 キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法では、2次がん、とくにウイルスベクターの組み込みに関連するT細胞腫瘍のリスクが新たな懸念事項となっているが、米国・スタンフォード大学のMark P. Hamilton氏らは、同大学医療センターで2016年以降にCAR-T細胞療法を行った症例について解析し、2次がんはまれであることを明らかにした。「クローンの関連を明確にし、ウイルスベクターのモニタリングに関する枠組みが必要と考えられる」とまとめている。NEJM誌2024年6月13日号掲載の報告。791件中25件に2次がんが発生、血液がんの3年累積発生率は6.5% 研究グループは、2016年2月4日~2024年1月15日に、スタンフォード大学医療センターでCAR-T細胞療法を実施した724例(791件)について、2次がんの発生率を調査した。 追跡期間中央値15ヵ月において、解析した724例、計791件の細胞注入後に、非黒色腫皮膚がんを除く25件の2次がんが特定された。内訳は、血液がん14件(骨髄異形成症候群または急性骨髄性白血病に関連したがん13件、T細胞リンパ腫1件)、固形腫瘍11件(黒色腫4件、前立腺がん2件、乳管がん2件、子宮内膜腺がん1件、肺腺がん1件、転移を有する中皮腫1件)であった。 2次血液がんの累積発生率は3年時で6.5%であり、これは既報と同様、CAR-T細胞療法後の2次がん発生がまれであることを示唆するものであった。CAR-T細胞療法後のT細胞リンパ腫は、ベクターと関連なし CAR-T細胞療法後にT細胞リンパ腫を発症した1例について詳細に検討した。本症例は、原疾患がStageIVのエプスタイン・バーウイルス陽性(EBV+)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)で、アキシカブタゲン シロルユーセルによるCD19標的CAR-T細胞療法を行った後、54日目にEBV+T細胞リンパ腫が確認され、62日目に病死した。EBV+DLBCL発症の3年前に乾癬および好酸球性筋膜炎の既往があった。 患者より採取した血液検体ならびに腫瘍細胞を用い、CAPP-seqアッセイ、全エクソームシーケンス、定量的PCR、シングルセルRNAシーケンス解析、シングルセルDNAシーケンス解析、フローサイトメトリー解析、ClonoSEQアッセイを行った結果、各リンパ腫は、分子的に免疫表現型およびゲノムプロファイルが異なっていたが、いずれもEBV陽性で、DNMT3A変異およびTET2変異クローン性造血と関連しており、CAR-T細胞の作製に用いられたレトロウイルスベクターがT細胞リンパ腫に直接関与しているエビデンスは認められなかった。

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ASCO2024 レポート 血液腫瘍

レポーター紹介はじめにASCO2024の年次総会(5月31日~6月4日)は、今年も現地参加に加えWEBでの参加(視聴)も可能であり、私は昨年までと同様に現地参加はパスして(円安と米国のインフレ問題があり、現地参加は費用的に無理があります)、オンデマンドで注目演題を聴講したり発表スライドを閲覧したりしました。それらの演題の中から、今年は14演題を選んで、発表内容をレポートしたいと思います。以下に、悪性リンパ腫関連4演題、多発性骨髄腫関連6演題、白血病/骨髄増殖性腫瘍(MPN)関連4演題を紹介します。悪性リンパ腫関連Upfront allo-HSCT after intensive chemotherapy for untreated aggressive ATL: JCOG0907, a single-arm, phase 3 trial. (Abstract #7001)本演題は日本のJCOGからの発表で、ATLに対するアップフロントの同種移植の前向き試験の成績をまとめたものである。研究開始当初は、55歳以下で骨髄破壊的前処置(MAST)を行う患者のみをエントリー基準としたが、2014年9月以降は56~65歳の患者に対し骨髄非破壊的前処置(RIST)も許容された。2010年9月~2020年6月に110例の患者(72例:急性型、27例:リンパ腫型、10例:予後不良慢性型、1例:その他)がエントリーされ、92例が移植を受けた。41例がプロトコルどおりの治療を受け、51例はプロトコル治療外での移植であった(アップフロント同種移植は76例となった)。主要評価項目の3年OS(110例)は44.0%(90%CI:36.0~51.6)であり、仮説にメットした。プロトコル治療を受けた41例のうち、治療関連死(TRD)は血縁ドナー16.7%、非血縁ドナー20.7%であった。また、死亡した70例の死亡原因は、ATL 34例、TRD 30例、その他6例であった。結論として、ATLに対するアップフロント同種移植はアグレッシブATLに対し1つの治療オプションとなりうるが、生存期間の延長に関しては不明とされた。以下の3題はマントル細胞リンパ腫(MCL)に関する演題です。MCLは、悪性リンパ腫の中では比較的まれな疾患で、中悪性度に分類されますが、インドレントな経過を示す症例もあります。また、従来の免疫化学療法だけでは治癒が難しく、最近では、分子標的薬のBTK阻害薬やBCL-2阻害薬の有用性が示されています。Benefit of rituximab maintenance after first-line bendamustine-rituximab in mantle cell lymphoma. (Abstract #7006)初発MCLに対し、BR(ベンダムスチン-リツキシマブ)療法の後のR維持療法(RM)の意義については、PFS・OSを延長しない(Rummel, et al. ASCO 2016)、PFS・OSを延長する(Martin, et al. JCO 2023)という異なるデータが示されてきた。本研究では、米国で大規模な観察研究が実施され、RMの意義が検証された。BR療法(自家移植なし)後3ヵ月時点でPRあるいはCRの患者がエントリーされ、RM実施の有無で、無イベント(再発、次治療開始、死亡)率(EFS)が比較された。さらに、次治療開始例の無イベント率(EFS2)も比較された。613例がエントリーされ、318例がRMを受け、295例がRMを受けなかった。RM群では年齢が若く(69歳vs.71歳)、男性の割合が高く(78% vs.69%)、進展期の割合が高かった(95.2% vs.89.0%)が、リスク因子(MIPI)、組織型、Ki-67、TP53変異、複雑型染色体異常、BR療法の実施年代、BR療法の効果には差を認めなかった。追跡期間中央値が61.3ヵ月の時点で、RM群で有意にEFS(47.1ヵ月vs.29.7ヵ月)、EFS2(89.1ヵ月vs.48.3ヵ月)、OS(136.1ヵ月vs.74.3ヵ月)の延長を認めた。BR療法によりCRが得られた患者においても、RMにより有意にEFS、EFS2、OSの延長が示された。以上より、初発MCLに対するBR療法後のRMの有用性が明らかとなった。Efficacy and safety of ibrutinib plus venetoclax in patients with mantle cell lymphoma (MCL) and TP53 mutations in the SYMPATICO study. (Abstract #7007)SYMPATICO試験はMCL患者に対するイブルチニブ+ベネトクラクス(I-V)の効果を検証した試験であり、再発・難治(R/R)MCLに対しイブルチニブ+プラセボと比較した第III相試験では、有意にI-VのPFSがI単剤よりも延長することが報告されている(Wang M, et al. ASH 2023)。本発表では、R/R MCLに対するI-V療法の第I相試験、上記の第III相試験、また、初発MCLに対する第II相試験にエントリーされたTP53変異を有するMCL患者に対するI-V療法の効果が報告された。合計74例の患者(初発:29例、R/R:45例)が解析対象となり、年齢中央値67歳、HighリスクMIPI 43%、bulky 36%、骨髄浸潤64%、脾腫39%であった。治療期間中央値が40.1ヵ月時点で、PFS中央値20.9ヵ月、全奏効率84%、CR率57%、OS中央値47.1ヵ月であった。PFSは初発とR/Rにて差を認めなかった。I-V併用療法は、TP53変異陽性のHighリスクMCL患者にも有用であることが示された。Glofitamab monotherapy in patients with heavily pretreated relapsed/refractory (R/R) mantle cell lymphoma (MCL): Updated analysis from a phase I/II study. (Abstract #7008)CD20XCD3の二重特異性抗体であるglofitamab(Glof)単剤でのR/R MCLに対する臨床試験のフォローアップ(中央値:19.6ヵ月)のデータが報告された。Glofは固定期間(約8.5ヵ月間)の治療である。Glof治療を受けた60例のR/R MCL患者が解析された。前治療のライン数は2(1~5)、73.3%が最終治療に抵抗性、前治療にBTK阻害薬の投与を受けた31例中29例がBTK阻害薬に抵抗性であった。Glofは、中央値12サイクル投与され、全奏効率85.0%、CR率78.3%であり、CRが得られた患者の治療奏効期間(DOCR)の中央値は15.4ヵ月であった。とくに、BTK阻害薬の前治療歴のある患者の全奏効率は74.2%、CR率71.0%であり、DOCRは12.6ヵ月であった。R/R MCLの治療、とくにBTK阻害薬に抵抗性の患者に対し、Glofは有望な治療薬であることが示された。多発性骨髄腫関連今年の多発性骨髄腫(MM)の演題は、初発MMに対する4剤併用の試験の3演題とR/R MMに対するCAR-T細胞治療の3演題を紹介します。Phase 3 study results of isatuximab, bortezomib, lenalidomide, and dexamethasone (Isa-VRd) versus VRd for transplant-ineligible patients with newly diagnosed multiple myeloma (IMROZ). (Abstract #7500)移植非適応初発MM患者に対するVRd-Rd療法とIsaVRd-IsaRd療法を比較した第III相試験(IMROZ試験)の結果が報告された。80歳以上は除外され、VRd-Rd療法に181例、IsaVRd-IsaRd療法に265例が割り当てられた。主要評価項目はPFS、主な副次評価項目はCR率、MRD陰性率、VGPR以上率、OSであった。追跡期間中央値59.7ヵ月時点でのPFSは、54.3ヵ月vs.未達(HR:0.596)、CR率は64.1% vs.74.7%、MRD陰性CR率は40.9% vs.55.5%と、いずれもIsaVRd-IsaRd療法の有効性が優れた。Isa併用によりVRdのRDIの低下は認めず、安全性も問題とはならなかった。Phase 3 randomized study of isatuximab (Isa) plus lenalidomide and dexamethasone (Rd) with bortezomib versus IsaRd in patients with newly diagnosed transplant ineligible multiple myeloma (NDMM TI). (Abstract #7501)移植非適応初発MM患者に対するIsaRd(12サイクル)-IsaR療法とIsaVRd(12サイクル)-IsaVR(6サイクル)-IsaR療法を比較した第III相試験(BENEFIT/IFM2020-05試験)の結果が報告された。対象患者は65~79歳のnon-frail患者であった。両群135例ずつの患者が割り当てられた。主要評価項目は18ヵ月時点のMRD陰性率(NGS:10-5)であった。結果、MRD陰性率は26% vs.53%と、有意にボルテゾミブを追加した治療の効果が優れた。ただし、24ヵ月時点のPFS、OSは差を認めなかった。また、治療継続率には差を認めず安全性には問題がなかった。本研究では、主要評価項目でIsaVRd-IsaVR-IsaR療法が優れたため、対象の患者には本治療法が新たな標準療法となる可能性が示された。Daratumumab (DARA) + bortezomib/lenalidomide/dexamethasone (VRd) in transplant-eligible (TE) patients (pts) with newly diagnosed multiple myeloma (NDMM): Analysis of minimal residual disease (MRD) in the PERSEUS trial. (Abstract #7502)移植適応初発MM患者に対するDVRd療法とVRd療法、その後、DRとRによる維持療法を比較したPERSEUS試験の維持療法期のMRD陰性率についての結果が報告された。DVRd-DR群に355例、VRd-R群に354例が割り付けられた。治療開始後、12ヵ月、24ヵ月、36ヵ月時点のMRD陰性率(10-5)は、それぞれ65.1% vs.38.7%、72.1% vs.44.9%、74.6% vs.46.9%とDara併用群で有意に高い割合であり、また、経時的に陰性率の上昇を認めた。移植適応MM患者に対するDRによる維持療法の意義が示された。MRD陰性を持続できた患者のPFS、OSがどうなるか本試験の長期フォローアップの結果が注目される。Efficacy and safety of ciltacabtagene autoleucel±lenalidomide maintenance in newly diagnosed multiple myeloma with suboptimal response to frontline autologous stem cell transplant: CARTITUDE-2 cohort D. (Abstract #7505)自家移植治療(±地固め)を受けた後CRに到達しなかったMM患者を対象に、Cilta-Cel治療単独(最初の5例)とCilta-Cel治療21日以降から最長2年間レナリドミドを併用した12例の安全性、有効性が検証された。主要評価項目はMRD陰性率(10-5)であった。MRD評価が行えた15例中12例(80%)でMRD陰性が達成され、MRD陰性達成までの期間の中央値は1ヵ月であった。追跡期間の中央値が22ヵ月時点で、奏効期間の中央値は未到達、18ヵ月時点のPFSは94%(17例中16例)であった。CRSは14例でみられたが、すべてG1/2であった。ICANSは1例(G1)でみられた。また、レナリドミド併用による遷延する血球減少の有害事象の増加はみられていない。自家移植後にCRが得られない患者へのCilta-Celの投与は深い奏効が望める治療法である。Ciltacabtagene autoleucel vs standard of care in patients with functional high-risk multiple myeloma: CARTITUDE-4 subgroup analysis. (Abstract #7504)1~3ラインの前治療歴のあるR/R MM患者に対するCilta-Celと標準治療を比較したCARTITUDE-4試験に参加した患者(初期治療開始後18ヵ月以内に再発を認めたFunctional Highリスク患者を含む)の中で、セカンドラインでの治療効果を post hoc解析し、PFS、CR率、MRD陰性率を比較している。全体では、未到達vs.17ヵ月、71% vs.35%、63% vs.19%であり、Functional Highリスク患者では、未到達vs.12ヵ月、68% vs.39%、65% vs.10%であった。標準治療と比較し、Cilta-Celの有意な有効性が示された。R/R MM患者(とくにFunctional Highリスク患者)に対する早いラインでのCilta-Celの有用性が認められた。Impact of extramedullary multiple myeloma on outcomes with idecabtagene vicleucel. (Abstract #7508)髄外腫瘤(EMD)を有するMM患者に対するIde-Celの効果は不明である。Ide-Cel治療を受けた351例のR/R MM患者のうち、84例(24%)にEMDを認めた。EMD患者とEMDを有さない(Non-EMD)患者での患者背景で差を認めた因子は、年齢(62歳 vs.66歳)、PS 0-1(78% vs.89%)、ペンタドラッグ抵抗性(46% vs.32%)、リンパ球除去前の血清フェリチン値(591 vs.242)、CRP(2.1 vs.1.0)であった。治療効果は、全奏効率(@Day30)58% vs.69%(p=0.1)、全奏効率(@Day90)52% vs.82%(p<0.001)、PFS 5.3ヵ月vs.11.1ヵ月(p<0.0001)、OS 14.8ヵ月 vs.26.9ヵ月(p=0.0064)であった。また、EMD患者では、血球減少が多く認められた。EMDはIde-Cel治療の効果がNon-EMD患者と比較し、明らかに不良であることが示された。白血病/MPN関連Ponatinib (PON) in patients (pts) with chronic-phase chronic myeloid leukemia (CP-CML) and the T315I mutation (mut): 4-year results from OPTIC. (Abstract #6501)OPTIC試験の4年のフォローアップが報告された。OPTIC試験は、2剤以上のTKI治療抵抗性を有するか、T315I変異を有するCP-CML患者をポナチニブ45/30/15mgで開始し、IS-PCRが1%以下で45/30mg開始群は15mgに減量する治療法の有効性、安全性を検討した試験である。23.8%の患者がT315I変異を有していた。4年時点でのIS-PCRが1%以下率、PFS、OSを比較した。45mg→15mgの投与法で、T315I変異を有する患者で最も、IS-PCRの低下、PFSの延長がみられた。動脈閉塞の合併症率は同等であり、本試験の対象となった患者(とくにT315I変異を有する患者)に対しては、有効性、安全性の面から45mg→15mgのポナチニブの投与法が推奨される。A retrospective comparison of abbreviated course “7+7” vs standard hypomethylating agent plus venetoclax doublets in older/unfit patients with newly diagnosed acute myeloid leukemia. (Abstract #6507)メチル化阻害薬+ベネトクラクス(VEN)の併用治療は、通常の化学療法の実施が難しいfrail AML患者の標準療法となっている。VENの投与期間を28日/サイクルから短縮することで骨髄抑制は軽減されるが、有効性が失われないかどうかは不明である。VENの投与期間を7日間に短縮した7+7を実施したフランスの患者82例と通常の21~28日で投与したMDACC(USA)の患者166例をレトロスペクティブに比較した。CR+CRi率、CR率は両治療法で差を認めなかったが、CRに到達するためのサイクル数は7+7治療で、1サイクル多かった(2 vs.1サイクル)。OS中央値は11.2ヵ月 vs.10.3ヵ月、2年OSは28% vs.34%で差を認めなかった。8週時点での死亡率は6%と16%で有意に7+7で少なく、また、血小板輸血も少なかった。以上より、7+7の投与期間は、有効性、安全性の面でも十分に許容されると思われた。Updated safety and efficacy data from the phase 3 MANIFEST-2 study of pelabresib in combination with ruxolitinib for JAK inhibitor treatment-naive patients with myelofibrosis. (Abstract #6502)pelabresib(PELA)は新規のBET阻害薬であり、骨髄線維症(MF)の遺伝子発現を抑制する。MANIFEST-2試験はJAK阻害薬治療を受けたことがないMF患者に対するルキソリチニブ(Rux)+PELA(214例)とRux+プラセボ(216例)を比較した第III相比較試験である。DIPSSスコアがInt-1以上のMF患者が対象であり、主要評価項目は24週時点での脾臓体積の35%減少(SVR35)率であり、副次評価項目として症状スコア(TSS)の改善を検討している。結果、Rux+PELA群でSVR35率が65.9%(vs.35.2%)と、有意に多くの患者で脾腫の縮小が認められた。また、Rux+PELA群で、脾腫の縮小は早くみられ、その効果は長く維持された。TSSの改善も、Rux+PELA群で良い傾向が示された。また、貧血、骨髄線維化の改善がRux+PELA群で有意に多くみられた。有害事象としては、血小板減少と下痢がやや多かったが、総じてRux単独と変わりなかった。MFに対し、Rux単独と比較し、Rux+PELA併用が有効であることが示されている。ASC4FIRST, a pivotal phase 3 study of asciminib (ASC) vs investigator-selected tyrosine kinase inhibitors (IS TKIs) in newly diagnosed patients (pts) with chronic myeloid leukemia (CML): Primary results. (Abstract #LBA6500)初発CML患者に対し、既存のTKIとアシミニブ(ASC)を比較した第III相試験(ASC4FIRST試験)の最初の解析結果がLBAにて報告された。TKIの種類はランダム化前に主治医と患者の判断で選択された(IS-TKI)。また、ランダム化前に2週間以内であれば、TKIの服用が許容された。本試験の目的は、48週時点でのASC群のMMR達成率がIS-TKI群と比較して優れていることを示すことであった。ASC群に201例、IS-TKI群に204例(IM:102、第2世代[2G]:102[NI:48%、DA:41%、BO:11%])がエントリーされた。結果、48週時点のMMR達成率はASC群67.7%、IS-TKI群49.0%であり、有意にASC群で優れた。データカットオフ時点での治療薬の継続率は、ASC群86%、IM群62%、2G群75%であり、中止理由として、効果不十分が6%、21%、10%、有害事象が5%、11%、10%であった。以上の結果より、ASCは既存のTKIと比較し、初発CML患者に対する有効性、安全性に優れていることが示された。おわりに以上、ASCO2024で発表された血液腫瘍領域の演題の中から14演題を紹介しました。過去3年間のASCO2021、2022、2023では10演題ずつを紹介しましたが、今年発表された演題もこれまでと同様に、今後の治療を変えていくような結果であるように思いました。来年以降も現地開催に加えてWEB開催を継続してもらえるならば、ASCO2025にオンライン参加をしたいと考えています(1年前にも書きましたが、もう少しWEBでの参加費を安くしてほしい、さらに円安が続く今日この頃[笑])。

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再発難治性多発性骨髄腫、belantamab mafodotin上乗せの有用性/NEJM

 レナリドミド治療歴のある再発または難治性の多発性骨髄腫患者において、belantamab mafodotin+ポマリドミド+デキサメタゾン(BPd)併用療法はポマリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(PVd)併用療法と比較し、無増悪生存期間(PFS)の有意な改善と、より深く持続的な奏効が得られることが示された。眼関連有害事象の発現率は高かったが、belantamab mafodotinの用量変更によって管理可能であった。ギリシャ・アテネ大学のMeletios Athanasios Dimopoulos氏らDREAMM-8 Investigatorsが、18ヵ国95施設で実施された無作為化非盲検第III相試験「DREAMM-8試験」の結果を報告した。プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗CD38抗体を組み合わせた3剤または4剤併用療法により、未治療多発性骨髄腫患者の生存期間は延長したが、初回治療におけるレナリドミドの使用により初回再発時にレナリドミド耐性患者が増加していた。NEJM誌オンライン版2024年6月2日号掲載の報告。主要評価項目はPFS 研究グループは、レナリドミドを含む少なくとも1種類以上の治療歴があり、直近の治療中または治療後に病勢進行が確認された再発または難治性の多発性骨髄腫患者を、BPd併用療法群およびPVd併用療法群に1対1の割合に無作為に割り付けた。 BPd併用療法群では28日間を1サイクルとしてポマリドミドおよびデキサメタゾンとの併用で、belantamab mafodotinをサイクル1のDay1に2.5mg/kgを、サイクル2以降は各サイクルのDay1に1.9 mg/kgを静脈内投与した。PVd併用療法群では21日間を1サイクルとしてポマリドミドおよびデキサメタゾンとの併用で、ボルテゾミブ1.3mg/m2をサイクル1~8はDay1、Day4、Day8、Day11に、サイクル9以降はDay1およびDay8に皮下投与した。 主要評価項目はPFSで、無作為化した日からInternational Myeloma Working Group 2016に基づく独立評価委員会による評価で、最初に病勢の進行が確認された日または全死因死亡までの期間と定義した。重要な副次評価項目は全生存期間(OS)、微小残存病変(MRD)陰性率、奏効期間、その他の副次評価項目は患者報告の健康関連QOL、安全性などであった。12ヵ月PFS推定率BPd併用療法群71% vs.PVd併用療法群51% 2020年10月~2022年12月に302例が無作為に割り付けられた(BPd併用療法群155例、PVd併用療法群147例)。 追跡期間中央値21.8ヵ月(範囲:<0.1~39.2)において、BPd併用療法群はPVd併用療法群と比較しPFSの有意な延長が認められた(ハザード比[HR]:0.52、95%信頼区間[CI]:0.37~0.73、両側p<0.001)。PFS中央値はBPd併用療法群では未到達、PVd併用療法群では12.7ヵ月(95%CI:9.1~18.5)であり、12ヵ月PFS率推定値はBPd併用療法群71%(95%CI:63~78)、PVd併用療法群51%(42~60)であった。 OSのデータは未成熟であった。全奏効率(部分奏効[PR]以上)はBPd併用療法群77%(95%CI:70~84)、PVd併用療法群72%(64~79)であり、完全奏効(CR)以上はそれぞれ40%(95%CI:32~48)、16%(11~23)で認められた。CR以上の患者におけるMRD陰性化率はBPd併用療法群24%(95%CI:17~31)に対し、PVd併用療法群は5%(95%CI:2~10)であった。 Grade3以上の有害事象はBPd併用療法群94%、PVd併用療法群76%に発現した。眼関連有害事象の発現率はそれぞれ89%(Grade3/4は43%)、30%(同2%)であった。BPd併用療法群の眼関連有害事象はbelantamab mafodotinの用量変更により管理可能であったが、9%の患者が眼関連有害事象により治療を中止した。

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令和日本の悲劇【Dr. 中島の 新・徒然草】(534)

五百三十四の段 令和日本の悲劇梅雨が来ない一方、気温はどんどん上がってきました。気が付けば少しでも涼しい場所を求めて移動している自分がいます。出先の駐車場が暑かったら、建物の中とかに避難ですね。さて先日、現代の日本でこんなことが起こるのか、ということに出くわしました。その患者さんは総合診療科で前の医師から引き継いだ70代の男性。3ヵ月に1回、降圧薬やら漢方薬やらを取りに来ています。この人の問題はお金がないということ……らしい。患者「先生、年金生活で苦しいんですわ。ちょっと薬を減らすことはできませんか?」そう言われたら、私も俄然ヤル気が出てきます。そもそも普段から、ポリファーマシーを何とかしたいと思っていたところ。なので「わかりました。ぜひとも薬を減らしましょう!」ということで、まずは何に効いているかわからない漢方を中止することを提案しました。すると……患者「先生、この漢方はぜひ続けたいんです。他の薬でお願いします」そうかな。じゃあ胃薬を止めたらどうですか?そう提案したのですが。患者「胃薬も続けたいんです」そう抵抗されました。仕方ないので、降圧薬を工夫して終わりました。まあ折に触れて少しずつ減らすよう提案するといたしましょう。ところがその後に、思いがけないことを言われたわけです。患者「実は○○科で調べてもらっていた病気がありましてね」聞けば、悪性腫瘍の疑いでフォローされていたものがあったそうです。患者「3年前に自分で勝手に行くのをやめていたんで、また調べてもらえないかと思いまして」中島「何で行くのをやめたんですか?」患者「お金の問題で」すでに○○科の担当医は異動でいなくなっています。で、即座に画像検査をしてみました。すると私のような素人がみても進行しています!当然のことながら、画像検査の結果を踏まえて○○科に紹介しました。後日、○○科のカルテを見てみると……ちゃんと受診はしてくれたのですが、なんとこの方、お金がないからといってそれ以上の検査も治療も拒否して帰ってしまっていたのです。いやいやお金を掛けるべきは漢方や胃薬ではなくて悪性腫瘍の治療でしょう、と誰もが考えるはず。でも、ご本人はそうは思わなかったみたいですね。で、○○科は終診となり、私の外来には通院し続けることになりました。診察のたびに「今ならまだ間に合いますよ」とか「お金のことなら医療相談室に行ってみてはどうですか」とかアドバイスはしようと思っています。でも、お金がないからといって治療を諦めるというのも悲しい話です。そんなものはテレビドラマの架空の話だと思っていました。実際に行くかどうかはご本人の意思になりますが、先に医療相談室に声だけは掛けておこうと考えています。そうそう。英会話練習の時にこの患者さんの役になりきってロールプレイをやってみると、医師役をしていたChatGPTに「治療が優先じゃないか。病院には経済的な問題を担当する専門家がいるから余計な心配はするな」と叱られてしまいました。まあ、普通はそう言われますよね。ということで、何かと考えさせられた外来診療でした。また新たな展開があったら報告させていただきます。最後に1句梅雨来たる 金はなくとも 治療先

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再発難治多発性骨髄腫のBVd療法、DVd療法より有意にPFS延長/NEJM

 少なくとも1レジメン以上の治療歴のある再発または難治性の多発性骨髄腫(RRMM)の患者において、belantamab mafodotin+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(BVd)併用療法はダラツムマブ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(DVd)併用療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)に関して有意なベネフィットをもたらすことが示された。一方で、BVd併用療法群のほとんどの患者(95%)でGrade3以上の有害事象が認められた。ブラジル・Clinica Sao GermanoのVania Hungria氏らDREAMM-7 Investigatorsが「DREAMM-7試験」の結果を報告した。多様な抗腫瘍活性機序を有するB細胞成熟抗原(BCMA)標的抗体薬物複合体であるbelantamab mafodotinは、RRMM患者に対して単剤療法での有効性が示され、その知見に基づき標準治療と併用した場合のさらなる評価が検討された。NEJM誌オンライン版2024年6月1日号掲載の報告。主要評価項目はPFS、追跡期間中央値28.2ヵ月時点で36.6ヵ月vs.13.4ヵ月 DREAMM-7試験は、BVd併用療法の有効性と安全性をDVd併用療法との直接比較で評価した第III相国際非盲検無作為化試験。少なくとも1レジメン以上の治療後に病勢が進行した多発性骨髄腫患者を対象とした。 主要評価項目はPFSとし、重要な副次評価項目は全生存率(OS)、奏効期間、微小残存病変(MRD)陰性化であった。 2020年5月7日~2021年6月28日に、計494例がBVd併用療法群(243例)またはDVd併用療法群(251例)に無作為化された。 追跡期間中央値28.2ヵ月(範囲:0.1~40.0)において、PFS中央値はBVd併用療法群36.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:28.4~NR)、DVd併用療法群13.4ヵ月(11.1~17.5)であった(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.41、95%CI:0.31~0.53、p<0.001)。 18ヵ月時点のOSは、BVd併用療法群84%、DVd併用療法群73%。データカットオフ時点でOSに関する結果は有意基準を満たしておらず、フォローアップが続けられている。CR以上+MRD陰性化の達成患者、25% vs.10% 治療効果(部分奏効[PR]以上)が認められた患者は、BVd併用療法群83%(95%CI:77~87)、DVd併用療法群71%(65~77)であった。より深い奏効(完全奏効[CR]以上)が得られた患者はBVd併用療法群(35%)がDVd併用療法群(17%)より多かった。またCR以上+MRD陰性化が得られた患者は、BVd併用療法群25%、DVd併用療法群10%で確認された。 奏効期間の中央値はBVd併用療法群35.6ヵ月(95%CI:30.5~NR)、DVd併用療法群17.8ヵ月(13.8~23.6)。中間解析時点でBVd併用療法群の半数以上が継続中であり、奏効期間の中央値に関するデータは未成熟であった。境界内平均奏効期間の解析では、BVd併用療法がDVd併用療法よりも優れることが確認された(p<0.001)。 全患者に少なくとも1つ以上の有害事象が発現し、Grade3以上の有害事象の発現率はBVd併用療法群95%、DVd併用療法群で78%であった。また、重篤な有害事象の発現率はそれぞれ50%、37%であった。 belantamab mafodotinには眼毒性作用があることが知られており、BVd併用療法群のほうがDVd併用療法群よりも眼イベントが多くみられた(全Gradeのイベント:79% vs.29%、Grade3/4のイベント34% vs.3%)。BVd併用療法群の主なGrade3/4の眼イベントは霧視、ドライアイ、白内障であった。これらの発現イベントは用量変更によって管理され、視力悪化のイベントは大部分が回復した。 これらの結果を踏まえて著者は、「BVd併用療法を受けた患者の50%で重篤な有害事象が認められたが、PFSに関する結果と照らし合わせるとBVd併用療法のより深く持続的な効果は、初回再発時または再発後の多発性骨髄腫の患者にとって治療選択肢となりうることを支持するものである」とまとめている。

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適正年収、実年収プラス200万円が妥当!?/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2月20日(火)に会員医師1,004人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その中で、自身の業務内容や仕事量に見合った適正年収について尋ねたところ、最も回答数が多かったのは2,000~2,500万円(15.2%)、次いで3,000万円以上(12.7%)、1,800~2,000万円(12.6%)、1,400~1,600万円(10.9%)と続いた。また、実際の年収が600~1,800万円の範囲において、各年収層の半数以上が実際の年収より高い金額を希望しており、1,600~1,800円層を除く600~1,600万円の層では実年収に200万円程度上乗せした金額を希望していることが明らかになった。年代別の適正年収 各年代が適正と考える年収は、35歳以下は1,200~1,400万円、それ以降の年代はいずれも2,000~2,500万円との回答数が多かった。これをさらに男女別で見ると男性の場合は上記の全体の回答に合致していた。一方で女性の場合、35歳以下では800~1,000万円と男性より低い金額を回答したのに対し、36~55歳では1,200~1,400万円を境に適正年収が二極化、56歳以上では1,600万円未満の回答者が半数以上を占めていた。20床未満3,000万、20床以上2,000~2,500万円が最多 続いて、適正と考える年収を勤務する病床数が20床未満と20床以上で区分した結果では、20床未満の回答者が3,000万円以上(22%)、2,000~2,500万円(10%)、1,400~1,600万円(10%)と続いた。これに対し20床以上では、2,000~2,500万円(17%)、1,800~2,000万円(15%)、3,000万円以上(10%)、1,600~1,800万円(10%)となった。なお、3,000万円以上を最も希望したのは20床以上に勤務する46~55歳(43%)であった。この年代は医局員の指導的立場でありながら所属施設の管理を任されるなど、責任が重くなる時期でもある。その責任に見合う報酬などを求めているのではないだろうか。診療科別の適正年収 以下には、中央値より高い適正年収(1,800万円以上)を希望した上位3診療科を挙げる。・1,800~2,000万円:血液内科(33%)、産婦人科(21%)、泌尿器科(20%)・2,000~2,500万円:血液内科(33%)、循環器内科(25%)、消化器外科(24%)・2,500~3,000万円:消化器外科(20%)、心臓血管外科(18%)、脳神経外科(16%)、循環器内科(16%)・3,000万円以上:腎臓内科(33%)、耳鼻咽喉科(24%)、消化器外科(20%) そのほか、年代ごとの男女別、病床数別、勤務先別などの詳細な年収分布については、以下のページで結果を発表している。医師の年収に関するアンケート2024【第4回】適正年収

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asciminib、新規診断の慢性期CMLに有効/NEJM

 新規に慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)と診断された患者の治療において、ABLミリストイルポケットを標的とするBCR::ABL1阻害薬asciminibは、担当医が選択した第2世代チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)やイマチニブと比較して、分子遺伝学的大奏効(MMR)の達成割合が有意に高く、安全性プロファイルも良好であることが、ドイツ・イエナ大学病院のAndreas Hochhaus氏らASC4FIRST Investigatorsが実施した「ASC4FIRST試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年5月31日号に掲載された。第1/2世代TKIと比較する国際的な無作為化第III相試験 ASC4FIRST試験は日本を含む国際的な多施設共同非盲検無作為化第III相試験であり、2021年11月~2022年12月に参加者の無作為化を行った(Novartisの助成を受けた)。 年齢18歳以上、登録前3ヵ月以内に新規の慢性期CMLと診断された患者405例を登録した。これらの患者を、asciminibの投与を受ける群に201例、担当医が選択したTKI(第1世代TKIイマチニブまたは第2世代TKI[ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ])の投与を受ける群に204例(イマチニブ群102例、第2世代TKI群102例)を無作為に割り付けた。 主要評価項目は、48週時点でのMMR(BCR::ABL1IS≦0.1%)とし、asciminibと担当医選択TKI、asciminibとイマチニブの比較を行った。第2世代TKIとの比較では差がない 追跡期間中央値は、asciminib群が16.3ヵ月、担当医選択TKI群は15.7ヵ月であった。 48週時のMMRの達成割合は、asciminib群が67.7%、担当医選択TKI群は49.0%であり、イマチニブ群との比較ではasciminib群が69.3%、イマチニブ群は40.2%であった。 これらMMR達成割合のasciminib群と担当医選択TKI群の群間差は18.9ポイント(95%信頼区間[CI]:9.6~28.2、補正後両側p値<0.001)、asciminib群とイマチニブ群の群間差は29.6ポイント(16.9~42.2、p<0.001)であり、いずれもasciminib群で有意に優れた。 一方、asciminib群と第2世代TKI群の比較では、48週時のMMR達成割合はそれぞれ66.0%および57.8%と、両群間に有意な差を認めなかった(群間差:8.2ポイント、95%CI:-5.1~21.5)が、この比較は主要評価項目ではなかった。Grade3以上、投与中止に至った有害事象の頻度は低い 安全性プロファイルは、イマチニブや第2世代TKIに比べasciminib群で良好であった。Grade3以上の有害事象および試験薬の投与中止の原因となった有害事象の頻度は、イマチニブ(それぞれ44.4%、11.1%)、第2世代TKI(54.9%、9.8%)と比較してasciminib群(38.0%、4.5%)で低かった。また、試験薬に関連した死亡例は認めなかった。 著者は、「慢性期CMLの1次治療の選択は微妙であり、患者の目標やその他の患者固有の要因によって異なる。本試験では、無作為化前のTKIの選択は患者の希望を考慮して担当医が行ったため、共有意思決定が可能であった」とまとめ、「asciminibの有益性をさらに明らかにするには、長期の追跡調査を要する」としている。

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造血幹細胞移植後GVHDにROCK2阻害薬ベルモスジル発売開始/Meiji Seikaファルマ

 2024年5月、Meiji Seikaファルマは造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(GVHD)に対する新薬、選択的ROCK2阻害薬ベルモスジル(商品名:レズロック)を発売開始した。本薬剤はKadmon(現サノフィ)が開発したもので米国では2021年に発売されており、今回国内治験が終了し、保険承認、販売開始に至った。6月6日には慢性GVHDと本薬剤についてのプレスセミナーが行われ、北海道大学大学院 血液内科の豊嶋 崇徳氏が「造血幹細胞移植の最新動向と移植後の健康問題」と題した講演を行った。 「造血幹細胞移植には、患者自身の細胞を使う自家移植と、血縁者や白血球の型が合う他人の細胞を使う同種移植があり、近年では自家移植が年間約2,000件超の一方で、同種移植は4,000件弱と倍近く行われている。この背景には、骨髄バンク・さい帯血バンクなどが充実したことや、以前は移植不適とされたHLA(ヒト白血球抗原)が半合致の人からも新たなGVHD予防法の開発によって移植できるようになったことがある。 造血幹細胞移植は化学療法不応の造血器腫瘍、とくに急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病の患者にとって「最後の砦」といえるもので、実際に約30~40%の患者が移植後に治癒に至るという強力な治療法だ。しかし、同種移植後の患者にとってしばしば問題になるのが、ドナー由来の免疫細胞が患者の体を非自己と認識して攻撃することで発症するGVHDだ。移植後数ヵ月内に生じる急性GVHDと3ヵ月~2年程度で発症する慢性GVHDがあり、全身に炎症や組織の線維化など膠原病と同様の症状が出て、患者のQOLを著しく落とす。GVHD予防のため移植後に免疫抑制剤を投与するが、完全に防ぐことはできず、移植後患者の約3分の1が発症する。全身症状に苦しみ、社会復帰も叶わず、「移植などしなければよかった」と訴える患者さんに、対峙するわれわれもつらい状況だった。 慢性GVHDの第1選択は副腎皮質ステロイドによる治療だが、効果があるのは半数程度で、長年ステロイド耐性の慢性GVHD患者には承認された薬剤がない状況だった。しかし、ここ数年で状況が変わった。2021年にBTK/ITK阻害薬イブルチニブ(商品名:イムブルビカ)、2023年にはJAK1/2阻害薬ルキソリチニブ(商品名:ジャカビ)が慢性GVHD薬として承認された。いずれも他疾患の治療薬として開発されたものの転用だ。そして今回ROCK2阻害薬ベルモスジルが加わった。3剤はそれぞれ作用機序が異なり、1剤で効果がなくても他剤を試すことができる。患者にとって選択肢が増えたことは喜ばしい。 ベルモスジルの承認根拠となった国内試験ME3208-2は慢性GVHD 患者21例を対象としたもので、全奏効率85.7%(すべて部分奏効)と高い効果を示した。慢性GVHDは全身に症状が出るため完全奏効例はなかったものの、臓器別では口腔症状や皮膚症状に高い有効性を認めた。重篤な副作用がほとんどなく、とくにほかの免疫抑制剤で頻繁にみられる血球減少、感染症が少ないことが評価できる」。 講演後の質疑応答では、ベルモスジルの1次治療からの投与や小児への適用、先行する2剤との使い分けや併用効果などについて質問が出た。豊嶋氏は「どれもあり得る選択だろうが、まずは臨床現場で使いながら患者ごとの最適な治療法をディスカッションし、今後の開発や承認につなげたい」とした。

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発熱性好中球減少症に対するグラム陽性菌をカバーする抗菌薬の追加の適応【1分間で学べる感染症】第5回

画像を拡大するTake home message発熱性好中球減少症に対するグラム陽性菌をカバーする抗菌薬の追加の適応を7つ覚えよう。発熱性好中球減少症は対応が遅れると致死率が高いため、迅速な対応が求められます。入院中の患者の場合、基本的には緑膿菌のカバーを含めた広域抗菌薬の投与が初期治療として推奨されていますが、それに加えてグラム陽性菌に対するカバーを追加するかどうかは悩みどころです。そこで、今回はガイドラインで推奨されている以下の7つの適応を理解するようにしましょう。1)血行力学的不安定または重症敗血症の場合2)血液培養からグラム陽性菌が陽性の場合3)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌 (VRE)、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)の保菌がある場合4)重症粘膜障害(フルオロキノロン系抗菌薬予防内服)の場合5)皮膚軟部組織感染症を有する場合6)カテーテル関連感染症を臨床的に疑う場合7)画像上、肺炎が存在する場合上記のうち、1)2)に関してはとくに疑問なく理解できると思います。3)に関しては、患者のこれまでの記録をカルテで確認することで、そのリスクを判断します。4)5)6)に関しては、身体診察でこれらを疑う場合には、すぐに追加を検討します。6)はカテーテル局所の発赤や腫脹、疼痛などがあれば容易に判断できますが、血液培養が陽性となるまでわからないこともあるため注意が必要です。7)に関してはMRSAによる肺炎を懸念しての推奨です。グラム陽性菌をカバーする抗菌薬の追加の適応に関しては、上記7つをまずは理解したうえで、その後のde-escalationを行うタイミングや継続の有無に関しては、その後の臨床経過や検査結果から総合的に判断しましょう。1)Freifeld AG, et al. Clin Infect Dis. 2011;52:e56-e93.

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イサツキシマブ+VRd、移植非適応多発性骨髄腫の1次治療に有効/NEJM

 移植が非適応の多発性骨髄腫患者の1次治療において、標準治療であるボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメサゾン(VRd)と比較して抗CD38モノクローナル抗体イサツキシマブ+VRdは、60ヵ月の時点での無増悪生存(PFS)を有意に改善し、イサツキシマブを加えても新たな安全性シグナルの発現は観察されないことが、フランス・リール大学のThierry Facon氏らIMROZ Study Groupが実施した「IMROZ試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年6月3日号で報告された。標準治療への上乗せ効果を評価する無作為化第III相試験 IMROZ試験は、日本を含む21ヵ国93施設で実施した非盲検無作為化第III相試験であり、2017年12月~2019年3月に参加者を募集した(Sanofiなどの助成を受けた)。 年齢18~80歳、新規に診断された未治療の多発性骨髄腫で、移植の適応がない患者446例を登録し、イサツキシマブ+VRd群に265例(年齢中央値72歳[範囲:60~80]、女性46.0%)、VRd単独群に181例(72歳[55~80]、48.1%)を登録した。イサツキシマブは、1サイクル目に10mg/kg体重を週1回、その後は同量を2週ごとに静脈内投与した。 有効性の主要評価項目は、独立審査委員会の評価によるPFS(無作為化から病勢進行または死亡までのtime-to-event解析)とした。CR以上の割合、CR達成例のMRD陰性も良好 全患者の16.6%に高リスクの細胞遺伝学的特性を、37.0%に染色体異常として1q21+を認め、28.7%が推算糸球体濾過量(eGFR)<60mL/分/1.73m2であった。 追跡期間中央値59.7ヵ月の時点における60ヵ月推定PFS率は、VRd単独群が45.2%であったのに対し、イサツキシマブ+VRd群は63.2%と有意に優れた(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.60、98.5%信頼区間[CI]:0.41~0.88、p<0.001)。 全奏効(部分奏効以上)の割合は両群とも高かったが(イサツキシマブ+VRd群91.3% vs.VRd単独群92.3%)、完全奏効(CR)以上(CRまたは厳密なCR[stringent CR])の割合はイサツキシマブ+VRd群で有意に良好であった(74.7% vs.64.1%、p=0.01)。 また、CR達成例における微小残存病変(MRD)陰性の割合は、イサツキシマブ+VRd群で有意に優れた(55.5% vs.40.9%、p=0.003)。全体のMRD陰性割合(58.1% vs.43.6%)および12ヵ月以上持続するMRD陰性割合(46.8% vs.24.3%)ともイサツキシマブ+VRd群で高かった。OSは追跡を継続中 60ヵ月時の推定全生存率(OS)は、イサツキシマブ+VRd群が72.3%、VRd単独群は66.3%であり(死亡のHR:0.78、99.97%CI:0.41~1.48)、CIの上限値が事前に規定された無益性の閾値(1.1)を超えており、現在も追跡を継続している。 一方、イサツキシマブ+VRd群では、新たな安全性シグナルの発現を認めなかった。投与期間中に発現した重篤な有害事象(70.7% vs.67.4%)、および試験薬の投与中止の原因となった有害事象(22.8% vs.26.0%)の頻度は両群で同程度だった。 著者は、「この第III相試験では、移植非適応の多発性骨髄腫の1次治療において、標準的なVRd療法に比べ、イサツキシマブ+VRdはPFSについて優れた有益性を示すとともに深い奏効をもたらした」とまとめ、「本試験では、高リスクの細胞遺伝学的特性を有する患者におけるイサツキシマブ+VRdによるPFSの改善は確認できなかったが、他の複数の試験でこれらの患者に対する1次治療および再発病変の治療におけるイサツキシマブをベースとする併用療法の有益性が観察されたことを踏まえ、さらなる解析と長期の追跡が正当化される」としている。

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