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成人CAR-T療法の実際【Oncologyインタビュー】第46回

出演:京都大学医学部付属病院 血液内科 北脇 年雄氏CAR-T療法は今や造血器腫瘍治療に欠かせないものとなった。その一方、複雑な治療工程や有害事象の管理など照会元施設にとって押さえておくべき情報は多い。成人のCAR-T療法の基本について、京都大学附属病院の北脇年雄氏に解説いただいた。参考CAR-T細胞療法のトリセツ(中外医学社)血液内科治療のトリセツ(中外医学社)

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多発性骨髄腫の新規治療開発を加速するMRDに基づくエンドポイント/JCO

 多発性骨髄腫(MM)の新たな治療の早期承認を実現するためには、臨床試験を迅速化するための早期エンドポイントが必要である。今回、米国・メイヨークリニックのQian Shiらは、新規診断の移植適格患者・移植不適格患者、再発/難治性(RR)の多発性骨髄腫患者において、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の中間エンドポイントとして微小残存病変(MRD)陰性完全奏効(CR)の可能性を検討した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年2月12日号に掲載。 本解析では、20の多施設無作為化試験から個々の患者データを収集した。十分なデータを有する11試験(4,773 例)を解析し、9 ヵ月または 12 ヵ月における10-5を閾値としたMRD陰性CRがPFSとOSに関する臨床的有用性を予測できるかどうかを評価した。全体的なオッズ比(OR)は二変量Plackett Copulaモデルを用いて推定した。さらに、MRD陰性CRとPFS/OSにおける治療効果の相関を、線形回帰(R2加重最小二乗)モデルおよびCopula(R2Copula)モデルで評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析の結果、新規診断の移植適格患者、新規診断の移植不適格患者、再発/難治性MM患者において、9 ヵ月および 12 ヵ月におけるMRD陰性CRが、患者レベルでPFSと強い相関を示した。 ・全体的なORは3.06~16.24の範囲であり、95%CIはすべて1.0を含まなかった。・3つの集団の統合により、有望な試験レベルの相関(R2:0.61~0.70)がみられ、新規診断集団ではより強い相関(R2:0.67~0.78)がみられた。・OSについても同様の結果がみられた。 著者らは、「今回の結果は、新規診断の移植適格患者および移植不適格患者、再発/難治性MM患者を対象とした今後の臨床試験において、早期承認のための中間エンドポイントとして、治療開始後9ヵ月または12ヵ月に10-5を閾値としたMRD陰性CRを使用することを支持するもの」とした。

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第251回 “タカる”厚生労働省(前編) 「課税のような形で製薬企業に拠出義務」の創薬支援基金(仮称)構想、最終的に財源は国費と「任意」の寄付で決着

創薬と医師偏在の2つの施策で民間に資金拠出を求めるこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、神奈川県の丹沢山塊にある鍋割山に足慣らしに行ってきました。鍋割山と言えば、山頂にある小屋で出す「鍋」にちなんだ鍋焼きうどんが有名です。我々も売り切れ前に食そうと、午前9時前には麓の大倉に着いて歩き始めたのですが、登山道前の林道歩きが結構長く、登り始める前に少々飽きてしまいました。それでも、昼前には山頂に到着、名物の鍋焼きうどんと富士山の眺望を楽しむことができました。それにしてもこの山、鍋焼きうどんがなかったらその魅力は半減というか3分の1かもしれません。夏季はヤマビルがうようよいますし……。というわけで、登るのは春か晩秋がお薦めですが、春の週末は大混雑で鍋焼きうどんの売り切れ時間も早まるようです。登られる方はご注意を。さて今回は、厚生労働省の“タカり”とも取れる最近のいくつかの動きについて書いてみたいと思います。一つは、厚生労働省が創薬スタートアップ育成に向けて「創薬支援基金(仮称)」を作ろうと画策し、製薬企業に強制的に資金拠出を求めようとした”事件”です。そしてもう一つは、昨年末に厚労省が決定した「医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージ」の中の「経済的インセンティブ」の対策で、「重点医師偏在対策支援区域における支援のうち、当該区域の医師への手当増額の支援については、全ての被保険者に広く協力いただくよう保険者からの負担を求める」と、保険者(健保組合等)からの資金拠出を求める決定をしたことです。どちらも厚生労働省の医政局マターです。どうしてこんなタカり(ある経済誌は「国家的な”カツアゲ”」と表現)まがいの施策が続くのでしょうか?武見 敬三前厚生労働相が突然明かした「創薬力強化機構」構想「創薬支援基金(仮称)」の構想が表沙汰になったのは昨年末でした。2024年12月11日付の日刊薬業は、「創薬力強化機構、日本橋に設置へ 武見前厚労相、来年1〜2月にも」という記事を掲載、武見 敬三前厚生労働相が12月10日に都内で開かれたイベントで「創薬力強化機構」の構想を明かしたと報じました。同記事によれば武見氏はこの機構について「創薬に特化して、シーズに関わる研究開発力を強化するためのファイナンスの仕組み」と語ったとのことです。この機構の構想については、12月17日付の「日経バイオテク」が配信した「武見前厚生労働相、『創薬基盤の強化に向け、2025年1月下旬から2月に『創薬力強化機構』を設立する』」と題するインタビュー記事がもう少し詳しく報じています。同記事によれば、武見氏は、「官民が連携して、創薬の基盤を我が国に再構築することを目的」として「創薬力強化機構」を創設すると語り、「そのために必要な基金を設立することを目指して、2025年の通常国会に法案を提出するべく、現在検討の最終段階」で、「比較的自由度の高い組織体にするため、一般社団法人として設立する予定」と語っています。そして、「機構への出資企業は既に決まっているのか」という記者の質問に対して、「これからのことなのでまだ分からないが、日本の製薬企業はそれほど積極的に乗ってきているわけではないだろう。日本の製薬企業は、基本的に個社で対応しようとする傾向があるのと、1社当たりの資本が大きくはないからだ」と話していました。米国研究製薬工業協会と欧州製薬団体連合会が資金拠出を半ば強制的に求められていると明かすこの時点での武見氏の一見余裕ありそうな発言からは、厚労省担当者(医政局医薬産業振輿・医療情報企画課)が関係企業や関係団体を回って、機構設立に向けての資金集めを着々と進めていたと想像できます。しかし、世の中はそうは甘くなかったようです。12月25日に米国研究製薬工業協会(PhRMA)と欧州製薬団体連合会(EFPIA)が突然共同声明を出し、厚生労働省から「創薬支援基金(仮称)」への資金拠出を半ば強制的に求められていることに対し、強い反対を表明したのです。「2025年度(令和7年度)薬価中間年改定、費用対効果評価 及び義務的な創薬支援基金に関する共同声明」1)と題されたこの声明は、その前半で「岸田政権は、日本のエコシステムを回復し、ドラッグ・ロスを防止するための重要な第一歩を踏み出した」ものの、石破政権になってからの方針転換で2025年度中間年改定において革新的医薬品の薬価引下げのルールが拡大、「予期せぬ決定により、企業の中には、10年以上前から長らく策定してきた綿密な投資回収計画の見直しを迫られ、数百億円もの損失を被る可能性がある」と中間年改定の政策を強く批判しています。そして後半で、「私たちは、最近になって、政府が『創薬支援基金(仮称)』を創設」しようとしていることを知ったが、その仕組みが「新薬創出等加算品目(日本において臨床的に革新的な医薬品として厚生労働省が加算を付与したもの)を有する企業の収益に応じ、課税のような形で強制的に拠出義務を課すことで、開発初期段階のパイプラインを有するスタートアップ企業を支援する意向」であることから、「市場の魅力を更に低下させることになる当該『創薬支援基金(仮称)』への投資を企業に義務付けることに反対します。活力のある投資環境の創出は、義務・命令によって達成できるものではありません。今回の決定は、日本が創薬力の低下とドラッグ・ロスを生じさせた道に再び後退させるものです。(中略)私たちは、厚生労働省がこの度決定した誤った政策を撤回するまでの間、これらの取組みへの参加を留保することと致しました」と、この基金への参加の留保を表明したのです。AMEDだけでは不十分というのが武見氏、そして厚労省の考え「企業の収益に応じ、課税のような形で強制的に拠出義務を課す」というのは、どう考えても筋の悪い政策で、確かにいただけません。製薬会社から批判が出るのも頷けます。ところが、12月の時点で表立った批判がPhRMAとEFPIAからしか出てこなかったというのも、なかなか興味深いものがあります。日本の製薬企業も厚労省から同様の説明、要請を受けていたはずだからです。「お上(厚労省)の言うことには逆らえない」と考えていたのかもしれません。あるいは、この構想のそもそもの発案者の一人が中外製薬の永山 治名誉会長であることも、無碍に反対できないという忖度を招いたのかもしれません。ちなみに、1月7日付の日刊薬業は、日本製薬団体連合会の岡田 安史会長(エーザイ代表執行役)が同紙のインタビューで、「日本製薬工業協会が昨年11月末ごろに厚生労働省から『創薬支援基金(仮称)』に関する説明を受けたことを明らかにした」と報じています。同記事によれば、「岡田会長は、政府が日本の創薬エコシステム強化に向けた姿勢を示していることは評価しつつも、基金の具体的な運営方法や組織体制、拠出の在り方などについては、製薬業界と十分に議論し、合意を形成しながら進めてほしいと訴えた」と書いています。外資系企業とはまったく異なる厚労省寄りの発言と言えます。「創薬支援基金(仮称)」はスタートアップやベンチャーへの支援を目的としていますが、同様の役割を担う機関として内閣府所管の国立研究開発法人・日本医療研究開発機構(AMED)があります。AMEDだけでは不十分というのが武見氏、そして厚労省の考えだったようです。当初の「創薬力強化機構」構想は潰え、「革新的医薬品等実用化支援基金」で決着結局、この「創薬支援基金(仮称)」構想、最終的に「革新的医薬品等実用化支援基金」という名称で、10年間の基金を設立することになりました。同基金はスタートアップ向けのインキュベーションラボや動物実験施設などに資金を出すとのことです。財源は国費のほか、製薬会社からの「任意」の寄付を募るということで決着、当初検討していた製薬会社に強制的に拠出義務を課す案は見送られました。革新的医薬品等実用化支援基金は国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所に2026年度に設置予定で、関連法案(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案)が2月12日閣議決定され、今国会に提出されています。2月12日付の日経バイオテクは「白紙に戻った『創薬力強化機構』構想」と題する記事を配信、厚労省が義務的な拠出金は諦めたことや、2月4日の国民民主党の衆議院議員の質問主意書に対する政府答弁で創薬力強化機構構想について「『政府によって設立』することは検討していない」と否定的な見解が示されたことなどで、この構想は「事実上、白紙に戻ったと業界では受け止められています」と書くとともに、「インキュベーション施設や動物実験施設の整備に活用するといった計画が聞こえていますが、基金でないとできない事業なのかどうか、判然としない印象です。(中略)業界関係者は、『厚労省は、日本の創薬力強化に向けて機運を高めてきたのに、突然出てきた基金と機構の構想で全部ぶち壊しになった感じだ」と嘆いていました。今回の騒動は、今後の創薬力強化の取り組みに長く傷痕を残す可能性もあります』と今回の一連の流れを総括しています。創薬について疎い私などは、AMEDを単純にテコ入れするという施策ではダメだったのかと思うのですが、そうはならなかった(あるいはしたくなかった)ところに、本来の「創薬力アップ」という目的とは別の政治家、政党、省庁間の微妙な力関係が垣間見えます。次回は、厚労省のもう一つの”タカリ”政策とも言われている、医師偏在是正のための「経済的インセンティブ」の対策における、保険者からの資金拠出を求める決定について書いてみたいと思います。(この項続く)参考1)2025年度(令和7年度)薬価中間年改定、費用対効果評価 及び義務的な創薬支援基金に関する共同声明/米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)

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有給休暇取得率の高い診療科は?/医師1,000人アンケート

 有給休暇は一定の条件を満たしたすべての労働者に付与されるもので、医師も例外ではない。しかし、緊急性の高い患者のケアや医師不足などにより、医師の労働環境は有給休暇が取得しやすい状況ではないケースも多いと考えられる。今回CareNet.comでは会員医師約1,000人を対象に、有給休暇の取得状況や2024年4月の働き方改革の影響などについてアンケートを実施した(2025年1月23~24日実施)。2024年度の平均有給休暇取得日数は7.6日 2024年度の有給休暇の取得日数(予定含む)は、平均で7.6日、最も多かったのは5~9日(40.7%)との回答で、7.5%の医師は0日と回答した。厚生労働省による「令和6年就労条件総合調査」1)では、調査対象の全産業における平均取得日数は11.0日と報告されており、医師の取得日数は全体平均と比較して少ないことがうかがえる。 平均取得日数を年代別にみると、20代(7.0日)と30代(6.9日)でやや少ない傾向がみられたものの、40~60代では8.0~8.2日で、年代による大きな差はみられなかった。診療科別にみると、10日以上と回答した医師がリハビリテーション科、精神科で50%以上を占めた一方、呼吸器外科、血液内科では20%以下に留まった。平均有給休暇取得率が最も高かったのは皮膚科で71.8% 全体の平均有給休暇取得率(取得日数/付与日数)は59.3%で、上述の厚生労働省調査では65.3%であり、医師の取得率は6%低い結果となった。年代別にみると40代が最も高く(61.3%)、60代が最も低かった(56.6%)。診療科別にみると、皮膚科(71.8%)、リハビリテーション科、精神科(ともに67.2%)などで高かった一方、総合診療科、救急科、呼吸器外科、血液内科では50%を下回った。 有給休暇の最長連続取得日数について聞いた結果、2~4日との回答が39.9%と最も多く、連続取得なしとの回答も36.0%を占めた。自由記述欄では、「土日に絡めて取得したがる者が増え、争奪戦になっている」「内科管理があるため、なかなか長期間とりにくい」「いまだに長期休暇を取得できない体制だし、雰囲気もある」などの声が寄せられた。医師の働き方改革による影響、半数が「変化なし」3割は「取得しやすくなった」 2024年4月の医師の働き方改革施行以降、有給休暇取得状況に変化はあったかどうかを聞いた結果(複数回答)、54.9%が「変化なし」と回答した一方、29.1%は「有給休暇が取得しやすくなった」と回答した。また、「勤務間インターバル確保や代償休息のための有給休暇消化が発生するようになった」(8.9%)、「有給休暇取得者が増加し希望日に取れない/取りにくくなった」(4.6%)、「実働のある有給休暇消化が発生するようになった」(3.9%)などの回答もみられた。 自由記述欄では、「気兼ねなく取得できる環境になってきた」など状況の改善を示唆するコメントがあった一方、「宿日直許可制度が始まってから、休めない当直なのに休んでいる扱いとなり、有給も取りづらい」「働き方改革の影響で給料が減るため、それを補うため有給休暇を利用して他院にパートに行かなければならなくなった」といった声も聞かれている。 このほか、地方別にみた平均有給休暇取得率、有給休暇の主な過ごし方などのアンケート結果の詳細を以下のページにて公開している。『医師の有給休暇取得事情』

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胃酸分泌抑制薬との併用が可能になった慢性リンパ性白血病治療薬「カルケンス錠100mg」【最新!DI情報】第33回

胃酸分泌抑制薬との併用が可能になった慢性リンパ性白血病治療薬「カルケンス錠100mg」今回は、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬「アカラブルチニブマレイン酸塩水和物(商品名:カルケンス錠100mg、製造販売元:アストラゼネカ)」を紹介します。本剤は、慢性リンパ性白血病治療薬としてすでに発売されているカプセル製剤とは異なり、胃酸分泌抑制薬を服用している患者にも使用しやすいフィルムコーティング錠です。<効能・効果>慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)を適応として、2024年12月27日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはアカラブルチニブとして1回100mgを1日2回経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量します。<安全性>重大な副作用として、出血(頭蓋内血腫[頻度不明]、胃腸出血、網膜出血[いずれも0.2%]など)、感染症(肺炎[3.2%]、アスペルギルス症[0.2%]など)、骨髄抑制(貧血[5.5%]、好中球減少症[17.5%]、白血球減少症[17.5%]、血小板減少症[7.7%]など)、不整脈(心房細動[1.5%]、心房粗動[頻度不明]など)、虚血性心疾患(急性冠動脈症候群[0.2%]など)、腫瘍崩壊症候群、間質性肺疾患(いずれも0.4%)が報告されています。その他の副作用は、頭痛、下痢、挫傷(いずれも10%以上)、悪心、発疹、筋骨格痛、関節痛、疲労(いずれも5~10%未満)、浮動性めまい、鼻出血、便秘、腹痛、嘔吐、無力症(いずれも5%未満)、皮膚有棘細胞がん、基底細胞がん(いずれも頻度不明)があります。本剤は主にCYP3Aにより代謝されるので、強~中程度のCYP3A阻害薬(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、ボリコナゾールなど)、強~中程度のCYP3A誘導薬(フェニトイン、リファンピシン、カルバマゼピンなど)との併用は可能な限り避け、代替の治療薬を考慮します。また、セイヨウオトギリソウ含有食品は摂取しないように指導する必要があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は慢性リンパ性白血病に用いられます。2.この薬は、自己判断して使用を中止したり、量を加減したりすると病気が悪化することがあります。指示どおりに飲み続けることが重要です。3.セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む食品は摂取しないでください。4.この薬を服用中に発熱、寒気、喉の痛み、鼻血、歯ぐきからの出血、青あざができるなどの症状が現れたら、速やかに主治医に相談してください。5.他の医師を受診する場合や薬局などで他の薬を購入する場合は、必ずこの薬を使用していることを医師または薬剤師に伝えてください。<ここがポイント!>慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia:CLL)は、Bリンパ球ががん化することで発症し、多くの場合は緩徐に進行します。CLLは初期段階では無症状であることが多いですが、進行すると脱力感、疲労感、体重減少、悪寒、発熱、寝汗、リンパ節の腫れ、腹痛などの症状が現れます。CLLの初回治療にはイブルニチブもしくはアカラブルニチブ±オビヌツズマブが推奨されています。アカラブルニチブは、経口投与可能なブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の阻害薬であり、BTKの酵素活性を選択的かつ不可逆的に阻害します。アカラブルチニブはBTKの活性部位のシステイン(Cys-481)残基と共有結合することで、B細胞性腫瘍の増殖および生存シグナルを阻害します。アカラブルニチブはカプセル製剤(商品名:カルケンスカプセル)として2021年に承認され、CLL治療薬として販売されていますが、胃内pHが4を超える条件下では溶解度が低下します。そのため、プロトンポンプ阻害薬との併用は可能な限り避け、制酸薬およびH2受容体拮抗薬と併用するときは投与間隔を2時間以上空けるなどの注意が必要です。しかし、血液がん患者の20~40%は、胃内pHを変化させる薬剤の投与を受けていると推定されているため、胃内pHの条件に左右されずに溶出する新しい薬剤の開発が望まれていました。今回承認されたカルケンス錠は、アカラブルチニブをマレイン酸水和物にすることでpH依存的溶解プロファイルを改善し、生理学的pHの範囲内で十分な溶解性を有することが確認されています。健康被験者を対象とした生物学的同等性試験(海外第I相試験であるD8223C00013試験)において、本剤およびカプセル剤を空腹時投与した結果、カプセル剤投与に対する本剤投与におけるアカラブルチニブのCmaxおよびAUC(0-last)の最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ1.00(90%信頼区間:0.91~1.11)および0.99(0.94~1.04)であり、いずれも生物学的同等性の判定基準範囲内(0.8~1.25)でした。これにより、生物学的同等性の基準を満たすことが確認できました。

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ダラツムマブ配合皮下注、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫に申請/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は2025年2月14 日、ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)(商品名:ダラキューロ配合皮下注)について、「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫」を効能又は効果として、製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。 今回の申請は、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫(SMM)を対象にダラツムマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ配合皮下注単剤療法の有効性と安全性を検証した国際共同第III相AQUILA試験に基づくもの。 AQUILA試験では上記患者390例を対象に、本剤群と経過観察群が比較された。結果、観察期間中央値 65.2ヵ月で、経過観察群に比べ本剤群は主要評価項目である無増悪生存期間を有意に改善した(ハザード比:0.49、95%信頼区間:0.36〜0.67、p<0.0001)。この解析結果は第66回米国血液学会年次総会(ASH2024)で発表され、NEJM誌オンライン版にも掲載されている。 SMMは多発性骨髄腫の前駆状態であり、異常な形質細胞が骨髄内で検出されるものの無症状である。SMMに対する標準的アプローチでは、病勢進行または臓器障害発現まで経過観察するが、最近は多発性骨髄腫への進行リスクが高い患者には早期治療介入の可能性が示唆されている。

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第230回 高額療養費制度見直し、長期患者の負担据え置き/政府

<先週の動き>1.高額療養費制度見直し、長期患者の負担据え置き/政府2.がん患者の10年生存率54.0% 進行がんでも長期生存の可能性/国立がん研究センター3.コンビニでの市販薬販売が可能に、薬機法改正案を閣議決定/政府4.診療所の後継者不足深刻化、診療所の承継・開業を支援/厚労省5.医療機関のセキュリティ対策に警鐘、サイバー攻撃で4万人の情報流出/岡山県6.八戸市の病院で発覚した殺人隠蔽事件、死亡診断書偽造で理事長・主治医逮捕/青森県1.高額療養費制度見直し、長期患者の負担据え置き/政府政府は、高額な医療費の自己負担を軽減する「高額療養費制度」の見直しを進めていたが、長期療養者の負担増を懸念する声を受け、一部の修正を決定した。具体的には、直近12ヵ月で3回以上制度を利用した場合、4回目以降の自己負担を軽減する「多数回該当」の負担上限額を据え置くこととした。これは、がん患者団体などからの反対意見や、少数与党となった政府が野党の批判を考慮した結果とみられる。政府は2024年末に、制度の持続性確保のため、患者負担の上限額を段階的に引き上げる案を発表。しかし、当事者の声を十分に聞かずに決定したことで批判を招き、修正を迫られた。修正案は、患者団体から一定の評価を得たものの、団体側は負担増を全面的に凍結するよう引き続き求めている。一方、政府は高齢化や医療技術の進展による医療費増大への対応として、負担増は不可避との立場を示している。社会保障費の抑制が少子化対策の財源確保にもかかわるため、今回の修正により他の分野での財源確保が求められる。今後、制度全体の見直しを巡り、さらなる議論が必要となる。参考1)高額療養費引き上げ案 長期患者の負担額を据え置き 厚労相提示(毎日新聞)2)高額療養費、患者・野党に配慮 歳出抑制は一部先送り(日経新聞)3)高額療養費 政府 長期療養の負担据え置き“修正で理解得たい”(NHK)2.がん患者の10年生存率54.0% 進行がんでも長期生存の可能性/国立がん研究センター国立がん研究センターは、2012年にがんと診断された約39~54万人の患者データを分析し、5年および10年の生存率を初めて集計した。全体の10年生存率は54.0%で、前回調査(2011年診断)とほぼ同じ水準だった。とくに進行がん(ステージ3、4)では、診断から1年を乗り切った患者の5年生存率が上昇する傾向が確認された。たとえば、ステージ4の胃がん患者の5年生存率は、診断時点では12.5%だったが、5年生存した場合には61.2%に向上した。一方、早期がん(ステージ1、2)は5年生存率がほぼ横ばいだった。乳がんについては、進行度や経過年数にかかわらず生存率に大きな変化はみられなかった。研究を主導した同センターの石井 太祐研究員は、「進行がんの患者にとって治療が奏功するケースが多いことや、合併症が少ない場合に生存率が高まる可能性を指摘。がん患者やその家族にとって希望となるデータだ」と述べている。この調査結果は、がん診療の向上や患者への前向きなメッセージとなることが期待される。参考1)院内がん登録2012年10年生存率集計 公表 サバイバー5年生存率を初集計(国立がん研究センター)2)進行期のがん、診断早期乗り切ると生存率上昇 39万人データを集計(朝日新聞)3)進行がんの5年生存率、診断から年数経つほど上昇「院内がん登録」のデータ基に初めて調査 国がん(CB news)3.コンビニでの市販薬販売が可能に、薬機法改正案を閣議決定/政府政府は2月12日、医薬品医療機器法(薬機法)の改正案を閣議決定した。この改正により、薬剤師や登録販売者がいないコンビニなどの店舗でも、市販薬(一般用医薬品)が購入できるようになる。ただし、薬剤師からオンラインで説明を受けることが条件。患者はスマートフォンなどで確認証を取得し、店舗で提示することで購入可能となる。薬局やドラッグストアと連携し、自動販売機での販売も検討されている。また、改正案では、新薬開発を支援するための基金創設や、医薬品の安定供給対策も盛り込まれた。わが国の創薬力低下が課題とされる中、スタートアップ企業の支援や研究施設の整備に国と製薬企業の資金を充てる。さらに、医薬品供給不足への対応として、製薬会社に供給管理責任者の設置を義務付け、電子処方箋を活用した需給モニタリングを進める。一方、日本医師会は、市販薬の販売拡大に伴う医療機関の受診控えや健康被害の懸念を表明。とくに「OTC類似薬の保険適用除外」には反対の立場を示し、医療費削減のみを目的としたセルフメディケーションの推進は、患者の負担増や重篤な疾患の見逃しにつながると指摘するとともに、経済的弱者や小児医療への影響が懸念されている。政府は、薬剤アクセスの利便性向上と医療費削減を狙うが、医療界からの慎重な対応を求める声も強く、今後の国会審議の行方が注目されている。参考1)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(厚労省)2)コンビニで薬剤師不在でも薬購入可能に…厚労省方針、オンライン説明が条件(読売新聞)3)コンビニで市販薬購入、薬機法改正案を閣議決定(日経新聞)4)市販薬購入、コンビニでも可能に 医薬品医療機器法などの改正案を閣議決定(産経新聞)5)日医 「社会保険料削減」目的のOTC類似薬の保険外し、OTC化に反対姿勢露わ 「重大な危険性伴う」(ミクスオンライン)4.診療所の後継者不足深刻化、診療所の承継・開業を支援/厚労省厚生労働省は、医師が不足する地域の医療提供体制を維持するため、診療所の承継や開業を支援する事業を開始する。2024年度の補正予算で102億円が計上され、施設・設備の整備や一定期間の定着支援が行われる予定。とくに、高齢医師の引退による診療所の閉鎖が進行しており、2040年には全国の自治体の約2割で診療所が消滅する可能性があるとの試算が示されている。この事業では、都道府県が「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」を指定し、全国の医師に対して地域診療所の承継や新規開業を呼びかける。応じた医師には、建物改修や医療機器更新費用の一部補助、診療が軌道に乗るまでの一定期間、医師・看護師の人件費や消耗品の購入費の支援が提供される。また、中堅・シニア世代の医師を対象に、医師不足地域への広域マッチング支援も行われる。これは、キャリアコンサルティングや教育を提供し、医療機関とのマッチングや定着を支援する取り組みであり、1.6億円の予算が割り当てられている。厚労省の試算によると、2022年時点で診療所がない市区町村は77にのぼり、2040年には342へと増加する見込み。また、診療所が1ヵ所しかない自治体も175から249へと増えるとされる。高齢化に伴い、2024年の診療所の休廃業・解散件数は587件と過去最多を記録し、日本医師会の調査では全国の診療所の半数が「後継者不在」と回答している。現場の医師からは、「地域住民を診る医師が不足する恐れがある」との声が上がっており、経済的支援による後継者確保への期待が寄せられている。厚労省は、補助事業とともに、重点区域で働く医師の手当増額や都市部の医師が地方に赴任しやすい環境の整備も進める方針だ。参考1)令和6年度補正予算について[報告](厚労省)2)診療所の半数「後継者いない」…医師不足地域の承継や開業に補助金、偏在対策で厚労省が補正予算(読売新聞)3)令和6年度補正予算/押さえておきたい施策 医療編(医療福祉業界ピックアップニュース)5.医療機関のセキュリティ対策に警鐘、サイバー攻撃で4万人の情報流出/岡山県岡山県精神科医療センター(岡山市)が、昨年5月に受けたサイバー攻撃による患者情報流出問題で、専門家委員会は「適切な対策を講じていれば防げた人災だった」との報告書を公表した。最大約4万人分の個人情報が流出し、原因は脆弱なパスワード管理やセキュリティ対策の不備にあったと報告書では指摘している。報告書によると、病院ではID・パスワードの使い回しが常態化し、管理者権限が一般ユーザーにも付与されていた。さらに、VPN装置の脆弱性が放置され、接続元IPの制限がなかったため、外部から容易に攻撃が可能だった。これらの不備が重なり、ランサムウェア感染によるシステム障害とデータの暗号化が発生した。また、厚生労働省の医療情報セキュリティガイドラインに従っていれば、適切なパスワード設定やアクセス管理の強化により被害は防げたと指摘している。病院側は、現時点で個人情報の悪用は確認されていないとし、今後、専門家の指導の下セキュリティ強化を進める方針を示している。報告書では「このようなサイバー攻撃は他の医療機関でも発生し得る」と警鐘を鳴らし、VPNの強化、多要素認証の導入、パスワードの適正化を推奨している。参考1)患者情報等の流出について(岡山県精神科医療センター)2)岡山県精神科医療センター患者情報流出は「人災」専門家委員会(NHK)3)ID・PW使い回しなどで個人情報最大4万人分流出 岡山県精神科医療センターがサイバー攻撃報告書(CB news)6.八戸市の病院で発覚した殺人隠蔽事件、死亡診断書偽造で理事長・主治医逮捕/青森県青森県八戸市の「みちのく記念病院」において、2023年3月に発生した患者間殺人事件を巡る隠蔽工作が明らかとなり、元院長の石山 隆(61)と被害者の主治医で弟の石山 哲(60)が犯人隠避の容疑で逮捕された。病院側は、遺族に虚偽の死亡診断書を渡し、死因を「肺炎」と偽装して事件を隠蔽しようとしたとされる。事件は、同病院の入院患者であった59歳の男が、相部屋の73歳男性の目を歯ブラシの柄で複数回突き刺し、翌日に死亡が確認されたもの。逮捕された2人は、この殺人を把握しながら、県警に通報せず、死因を偽った診断書を作成した疑いが持たれている。とくに問題視されているのは、死亡診断書の署名欄に、高齢で認知症の疑いがある医師の名前が記入されていたことだ。この医師は当時入院患者であり、病院側が死亡診断を任せる形で関与させたとみられる。病院内では死因を「肺炎」とする不自然な死亡診断書が多く発行されており、県警では虚偽の診断書作成が常態化していた可能性があるとみて捜査を進めている。さらに、看護師の証言によれば、元院長の石山 隆容疑者が死亡診断書の作成を指示していたことも判明。複数の看護師を介して、認知症の疑いがある入院患者の医師に診断を担わせるよう指示が出されていた。事件当時、夜間に医師が不在であったことも問題視されており、看護師が独断で医療行為を行う状況が常態化していたとの証言もある。この事件を受けて、専門家からは行政の監視体制の強化を求める声が上がっている。現在、医療機関に対する立ち入り検査は原則として事前通告の上で行われており、強制力がないため、不正の発覚が難しいという課題がある。抜き打ち検査の実施や医療機関の監査体制の見直しが求められている。青森県は医師不足が深刻な地域であり、とくに長期入院が必要な患者を受け入れる病院が限られている。その中で、みちのく記念病院は地域医療の重要な役割を担っていたが、今回の事件を受けて病院運営の在り方が厳しく問われている。県警は今後、虚偽の死亡診断書の作成が他にも行われていた可能性を含め、詳細な捜査を進める方針である。参考1)院内殺人事件 診断書の名義人の医師は入院中で認知症の疑い(NHK)2)院内殺人事件 隠蔽疑い 元院長ら うその診断書作成指示か(同)3)「転倒した」殺人被害者遺族に看護師うその説明 偽造死亡診断書事件(朝日新聞)4)患者間の殺人、犯人隠避容疑で逮捕状…みちのく記念病院の当時の院長と主治医(読売新聞)

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英語で「腋窩」、医療者or患者向けの2つの表現を解説【患者と医療者で!使い分け★英単語】第5回

医学用語紹介:腋窩 axilla「腋窩(えきか)」は医療の専門用語ではaxillaといいますが、腋窩について説明する際、患者さんにaxillaと言って通じなかった場合、何と言い換えればいいでしょうか?講師紹介

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sepsis(敗血症)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第20回

言葉の由来「敗血症」は英語で“sepsis”といいます。日本の臨床現場でもよく用いられるため、なじみのある人も多いかもしれません。この言葉は「腐敗、物質の分解」を意味する古代ギリシャ語の“sepsis(「e」はeにサーカムフレックス)”に由来するという説が一般的です。紀元前4世紀という大昔に、すでにヒポクラテスが“sepsis”を医学的な概念として用いていたことが記録に残っているといいます。ほかの医学用語と比べても、殊に歴史の深い言葉であることがわかります。それほどまでに歴史のある病名ですが、長年統一された定義があったわけではなく、地域や医師それぞれが思い思いの定義で使っている、という状況でした。ようやく1991年にロジャー・ボーンらがSCCM-ACCP(米国集中治療医学会-米国臨床薬学会)会議にて敗血症の統一的な定義をつくることを提唱し、「Sepsis」という国際的なガイドラインが策定されました。以降も改訂が繰り返されていますが、厳密な疾患の定義や診断基準が規定されています。併せて覚えよう! 周辺単語全身性炎症反応症候群systemic inflammatory response syndrome(SIRS)多臓器不全multiple organ failure抗菌薬antibiotics感染源管理source control敗血症性ショックseptic shockこの病気、英語で説明できますか?Sepsis is a life-threatening condition caused by the body's extreme immune response to an infection. It leads to systemic inflammation, organ dysfunction, and can progress to septic shock if not treated promptly.講師紹介

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未治療CLLへの固定期間のアカラブルチニブ併用療法、PFSを改善/NEJM

 未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者において、BTK阻害薬アカラブルチニブとBCL-2阻害薬ベネトクラクスの併用療法は、抗CD20抗体オビヌツズマブの追加有無にかかわらず、化学免疫療法と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のJennifer R. Brown氏らAMPLIFY investigatorsが27ヵ国133施設で実施した第III相無作為化非盲検試験「AMPLIFY試験」で示された。未治療CLL患者において、アカラブルチニブ+ベネトクラクスの固定期間併用投与が、化学免疫療法と比べてPFSが優れるかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2025年2月5日号掲載の報告。アカラブルチニブ+ベネトクラクス併用療法と医師選択化学免疫療法を比較 研究グループは、18歳以上、ECOG PS 0~2で、17p欠失またはTP53変異のない未治療CLL患者(>65歳はCumulative Illness Rating Scale for Geriatrics[CIRS-G]スコアが>6の場合は除外)を、アカラブルチニブ+ベネトクラクス(AV)群、アカラブルチニブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ(AVO)群、または化学免疫療法群に1対1対1の割合で、無作為に割り付けた。 AV群では、1サイクル28日として、アカラブルチニブ(100mgを1日2回)をサイクル1~14に、ベネトクラクス(20mgを1日1回から開始し5週間をかけて400mgを1日1回に増量)をサイクル3~14に投与した。 AVO群では、上記のAVに加えてオビヌツズマブ(1,000mg)をサイクル2~7の1日目に静脈内投与した。 化学免疫療法群では、医師選択によるフルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブまたはベンダムスチン+リツキシマブを標準投与プロトコールに従い、サイクル1~6に投与した。 主要評価項目は、盲検下独立中央判定によるPFSで、AV群と化学免疫療法群を比較した(ITT解析)。アカラブルチニブ+ベネトクラクスのPFSが有意に延長 2019年2月25日~2021年4月5日に、1,141例がスクリーニングを受け、867例が無作為化された(AV群291例、AVO群286例、化学免疫療法群290例[フルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ群143例、ベンダムスチン+リツキシマブ群147例])。患者背景は、年齢中央値61歳(範囲:26~86)、男性64.5%、IGHV(免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子)変異なし58.6%であった。 追跡期間中央値40.8ヵ月において、36ヵ月PFS率推定値はAV群76.5%(95%信頼区間[CI]:71.0~81.1)、AVO群83.1%(78.1~87.1)、化学免疫療法群66.5%(59.8~72.3)であり、化学免疫療法群に対するAV群の疾患進行または死亡のハザード比は0.65(95%CI:0.49~0.87、p=0.004)であった(AVO群と化学免疫療法群の比較のp<0.001)。 重要な副次評価項目である全生存期間(OS)については、36ヵ月OS率推定値がAV群94.1%、AVO群87.7%、化学免疫療法群85.9%であった。 主な臨床的に関心のある有害事象のうち、Grade3以上の好中球減少症はAV群、AVO群および化学免疫療法群でそれぞれ32.3%、46.1%、43.2%に報告された。また、新型コロナウイルス感染症による死亡はそれぞれ10例、25例、21例報告された。

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移植不適応/移植延期の新規診断多発性骨髄腫、D-VRdがVRdより深い持続的なMRD反応(CEPHEUS)

 移植不適応の新規診断多発性骨髄腫(NDMM)患者または初期治療として移植予定のない(移植延期)患者を対象に、ダラツムマブ皮下投与+ボルテゾミブ+レナリドミド+ デキサメタゾン(D-VRd)をボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(VRd)と比較した無作為化第III相CEPHEUS試験において、D-VRdがより深い持続的な微小残存病変(MRD)反応をもたらすことが示された。米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのSaad Z. Usmani氏らがNature Medicine誌オンライン版2025年2月5日号に報告した。 本試験では、移植不適応または移植延期となったNDMM患者395例を、D-VRdを 8サイクル投与後D-Rdを進行するまで投与する群(D-VRd群)とVRdを8サイクル投与後Rdを進行するまで投与する群(VRd群)に無作為に割り付けた。主要評価項目は、次世代シークエンシングによる全MRD陰性率(閾値10-5)、主な副次的評価項目は、完全奏効(CR)以上の割合、無増悪生存期間、MRD陰性持続率(閾値10-5)であった。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値58.7ヵ月で、MRD陰性率はD-VRd群が60.9%、VRd群が39.4%であった(オッズ比:2.37、95%信頼区間[CI]:1.58~3.55、p<0.0001)。・CR以上の割合(81.2% vs.61.6%、p<0.0001)およびMRD陰性持続率(12ヵ月以上、48.7% vs.26.3%、p<0.0001)は、D-VRd群がVRd群より有意に高かった。・進行または死亡のリスクは、D-VRd群がVRd群より43%低かった(ハザード比:0.57、95%CI:0.41~0.79、p=0.0005)。・有害事象はダラツムマブおよびVRdの既知の安全性プロファイルと同様であった。 著者らは「本研究は、移植不適応または移植延期NDMMに対する新たな標準治療として4剤併用D-VRd療法を支持するもの」としている。

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第229回 高額療養費制度の自己負担の引き上げ案、政府が修正を検討/政府

<先週の動き>1.高額療養費制度の自己負担の引き上げ案、政府が修正を検討/政府2.医療存続のためJA県厚生連に19億円支援、経営改革が課題/新潟県3.東京女子医大元理事長を再逮捕 不正支出1.7億円、還流の疑い/警視庁4.若手医師の過労死、甲南医療センターの院長ら不起訴処分に/神戸地検5.維新の会、医療費4兆円削減と社保料6万円減を提案/国会6.28億円の診療報酬不正請求発覚、訪問看護で虚偽記録横行/サンウェルズ1.高額療養費制度の自己負担の引き上げ案、政府が修正を検討/政府政府は、高額な医療費の自己負担を軽減する「高額療養費制度」の見直し案について、修正を検討している。政府案では、2025年8月から3段階に分けて自己負担の上限額を引き上げる方針だったが、長期治療を必要とするがん患者などから「受診抑制につながる」との懸念が相次ぎ、負担軽減に向け、見直し案の修正が求められていた。高額療養費制度は、医療費が一定額を超えた場合に、患者の自己負担額に上限を設ける仕組み。政府の見直し案では、70歳未満の年収約370~770万円の層で、1ヵ月の自己負担限度額が現行の8万100円から最終的に13万8,600円に引き上げられる予定だった。さらに、12ヵ月以内に3回以上限度額を超えた場合、4回目以降は負担を軽減する「多数回該当」制度についても、上限額が4万4,400円から7万6,800円に引き上げられることになっていた。この見直し案に対し、全国がん患者団体連合会などの患者団体が強く反発し、12ヵ月以内に6回以上限度額を超えた場合、7回目以降の負担を現行水準に据え置く案を提案。政府はこれを参考に、長期治療を受ける患者の負担増を抑える方向で修正を検討している。また、患者団体からの意見聴取が行われなかったことも問題視され、国会では見直し案の凍結や再検討を求める声が上がった。これを受け、石破 茂首相は「患者の理解を得ることが必要」とし、福岡 資麿厚生労働大臣が患者団体との意見交換を行う方針を示した。野党側も見直し案に強く反対し、立憲民主党は高額療養費の負担引き上げを凍結する修正案を国会に提出予定。新型コロナウイルスワクチンの基金や予備費を財源に充当できると主張している。一方、政府は「制度の持続可能性を確保するために負担増は必要」との立場を維持しており、今後の調整が注目される。全国保険医団体連合会の調査では、がん患者の約半数が自己負担増による「治療の中断」を検討し、6割以上が「治療回数の削減を余儀なくされる」と回答。生活面では、8割以上が「食費や生活費を削る」とし、子供の教育への影響も懸念されている。政府は今後、長期治療を受ける患者の負担軽減を含めた修正案をまとめるが、財源確保の問題もあり、与野党の調整は難航する可能性が高い。高額療養費制度の持続性と患者負担のバランスをどう取るか、引き続き議論が続く見通し。参考1)「治療諦めろというのか」子育て中のがん患者 高額療養費見直し案に(毎日新聞)2)高額療養費引き上げ凍結を 立民、財源はコロナ基金(日経新聞)3)高額療養費の負担増なぜ見直し? 政府・与党、患者に配慮(同)4)高額療養費、負担引き上げで「治療断念」検討も がん患者ら調査(朝日新聞)5)子どもを持つがん患者さんに高額療養費アンケート 記者会見で中間報告(保団連)2.医療存続のためJA県厚生連に19億円支援、経営改革が課題/新潟県新潟県内で11病院を運営するJA県厚生連が経営危機に直面し、2025年度中にも運転資金が枯渇する恐れがあることを受け、県と病院所在の6市が総額19億円の財政支援を行う方針を決定した。6日に県庁で開かれた会合で、新潟県は国の交付金を活用しながら10億円程度を負担し、6市は約9億円を拠出することを表明。これにより、当面の資金不足は回避される見込みとなった。県厚生連は、人口減少に伴う患者数の減少が影響し、2023年度決算で35億9,000万円の赤字を計上。2024年度は職員の賞与削減など緊急対策を実施しているが、12月時点で45億6,000万円の赤字が見込まれている。病院運営に必要な運転資金は月額90億円に上るため、早急な財政支援が求められていた。会合では、県の花角 英世知事が「持続可能な経営には抜本的な改革が必要」と述べ、病院再編を含めた地域医療の効率化を求めた。6市を代表して糸魚川市の米田 徹市長は、「県として3ヵ年の財政支援を継続して欲しい」と要望し、国に対しても診療報酬制度の見直しを求める姿勢を示した。県厚生連の塚田 芳久理事長は「さらなる経営改革を進め、県民に安心できる医療を提供しながら安定経営の確保に努める」と表明。年度内に2025年度から3年間の経営計画を策定し、経営改善を図る方針という。しかし、長期的な経営安定には根本的な改革と継続的な財政支援が不可欠であり、今後の動向が注目されている。参考1)県厚生連へ19億円支援 県と6市方針 病院運営危機受け(読売新聞)2)JA県厚生連に19億円 25年度分 県と6市が支援表明(毎日新聞)3)新潟県、病院経営危機のJA県厚生連への支援を10億円規模で調整 2025年度の運転資金枯渇は回避できる見通し(新潟日報)3.東京女子医大元理事長を再逮捕 不正支出1.7億円、還流の疑い/警視庁東京女子医科大学の建設工事を巡る背任事件で、警視庁は3日、元理事長の岩本 絹子容疑者(78)を再逮捕した。岩本容疑者は2020年から翌年にかけて、足立区に新設された大学付属病院「足立医療センター」の建設工事に関連し、「建築アドバイザー報酬」名目で約1億7,000万円を大学から1級建築士の男性に支払わせ、損害を与えた疑いが持たれている。うち約5,000万円が岩本容疑者に還流されていたとみられる。岩本容疑者は1月、新校舎建設を巡る背任容疑で逮捕されていた。警視庁の調べによると、同様の手口で1億1,700万円の不正支出が行われ、そのうち約3,700万円が還流されたとされる。これにより、架空の「建築アドバイザー報酬」による大学の損害は総額3億円超に上る可能性がある。捜査関係者によると、建築士の男性は大学から受け取った資金の一部について元女子医大職員を通じて岩本容疑者に現金で渡していた。元職員の女性は岩本容疑者の直轄部署に所属しており、容疑者の指示の下、資金移動を担っていたとみられる。大学側が承認した建設に関係する稟議書によると、建築士への支払いは施工費(約264億円)の0.7%に相当し、理事会で承認されていた。しかし、実際には業務実態が乏しく、大学関係者からは「理事会での異議申し立てが困難な状況だった」との証言も出ている。さらに、内部文書の解析から、理事長自らが申請者兼承認者となっていたことも判明し、不正の組織的な側面が浮かび上がっている。警視庁は、還流資金がブランド品購入など私的な用途に充てられた可能性もあるとみており、資金の流れや関係者の役割について捜査を進めている。岩本容疑者の認否は明らかにされていないが、背任の疑いは一層強まっている。参考1)本日2/3(月)元理事長の再逮捕について(女子医大)2)東京女子医大元理事長、背任容疑で再逮捕…業務実態ない男性への報酬で1・7億円の損害与えた疑い(読売新聞)3)東京女子医大の女帝再逮捕 内部文書で明らかになった“デタラメやりたい放題”の仕組み「女子医大には元理事長の手足となって動いた人間たちがたくさんいる」(文春オンライン)4.若手医師の過労死、甲南医療センターの院長ら不起訴処分に/神戸地検2022年に神戸市の甲南医療センターで勤務していた専攻医・高島 晨伍さん(当時26歳)が長時間労働を苦に自殺した問題で、神戸地検は4日、労働基準法違反の疑いで書類送検されていた病院運営法人「甲南会」と院長ら2人を不起訴処分とした。検察は不起訴の理由を明らかにしていない。西宮労働基準監督署の調査では、高島さんの亡くなる直前の1ヵ月間の時間外労働が113時間を超えていたと認定されていた。高島さんの母は「非常に残念。この結果が若手医師の労働環境改善を阻むものであってはならない」とコメント。病院側は「事実に基づく捜査を経ての判断」と述べるにとどまった。この問題は、医師の働き方改革とも密接に関係し、2024年4月から医師の時間外労働に上限規制が導入され、基本的には年間960時間(月80時間)が上限とされた。しかし、研修医や特定の医療機関では、最大で年間1,860時間(月155時間)までの時間外労働が認められており、現場の実態との乖離が指摘されている。また、医療現場では「自己研鑽」として学会準備や研究活動が労働時間に含まれず、事実上の無償労働が横行しているとの批判もある。厚生労働省の通達では「上司の指示がある場合は労働」とされるが、実際には上司の関与が曖昧なケースも多く、勤務時間の過少申告につながる恐れがあると指摘されている。さらに、病院側は「宿日直許可制度」を利用し、夜間の長時間勤務を労働時間に含めない運用を行っている。この制度の適用件数は2020年の144件から2023年には5,000件を超え、病院経営の抜け道として使われているのが実情である。若手医師の過重労働は、医療の安全性や医師不足の深刻化にも影響を及ぼす。すでに「地域医療の維持よりも働きやすさを求め、美容医療などに転職する若手医師が増えている」との指摘もあり、医療界全体のモラルハザードが懸念さている。医師の長時間労働は、単なる労働問題ではなく、患者の安全にも直結する。自己犠牲を前提とした医療制度の見直しが急務となっている。参考1)甲南医療センター若手医師の過労自死 労基法違反疑いの院長ら不起訴処分 神戸地検(神戸新聞)2)若手医師の過労死、労基法違反疑いの病院運営法人や院長ら不起訴 神戸地検、理由明かさず(産経新聞)3)医師不足に拍車をかける「偽りの働き方改革」(東洋経済オンライン)5.維新の会、医療費4兆円削減と社保料6万円減を提案/国会日本維新の会は2月7日、政府の2025年度予算案への賛成条件として、医療費の年間約4兆円削減と国民1人当たりの社会保険料を約6万円引き下げる改革案を提示した。これにより、高校授業料無償化と並び、社会保障制度の見直しを求める構え。自民・公明両党は慎重な対応をみせており、今後の協議の行方が注目されている。維新の青柳 仁士政調会長は、自民・公明両党の政調会長との会談で、医療費削減策として「市販薬と類似する医薬品(OTC類似薬)の保険適用除外」「医療費窓口負担の見直し」「高額療養費の自己負担限度額の判定基準再検討」などを提案。さらに、社会保険加入が義務付けられる「年収106万円・130万円の壁」問題への対応も要請した。維新は、これらの改革を2025年度から実施すれば、年間4兆円の医療費削減が可能であり、国民の社会保険料負担を1人当たり年間6万円減らせると主張している。とくに、OTC類似薬の保険適用除外については、湿布や風邪薬など、処方薬として購入すれば1~3割の自己負担で済むが、全額自己負担とすることで約3,450億円の医療費削減が見込まれると試算。さらに、窓口負担割合の見直しでは、所得に加え、預貯金や株式などの金融資産を考慮する仕組みを導入し、資産の多い高齢者の負担を増やすことを提案した。また、電子カルテと個人の健康情報を統合する「パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)」の普及促進も掲げ、医療コストの効率化を狙う。一方、維新は医療費削減策だけでなく、社会保険料負担軽減のための年収の壁問題にも言及。現在、51人以上の企業に勤めるパート労働者は年収106万円を超えると社会保険加入が義務付けられ、130万円を超えると企業規模に関係なく加入が求められる。この制度が労働時間の抑制を生み、人手不足を助長しているとの指摘もあり、維新は政府に対策を求めた。自民党は、まずは高校授業料無償化の議論を優先し、維新の予算案への賛成を取り付けたい考えだが、維新は「高校無償化と社会保険料引き下げの両方が必要条件」と主張し、交渉は難航する可能性がある。自民・公明両党は改革案の具体的な影響を精査するとして回答を留保しており、維新の提案が実現するかは不透明だ。政府は社会保障費の増大に対応するため、医薬品の公定価格(薬価)引き下げによる財源捻出を続けている。しかし、薬価改定による削減効果は限界に達しつつあり、新たな医療費抑制策が求められる状況。維新の提案がこの課題にどう影響を与えるのか、今後の国会審議に注目が集まる。参考1)維新が医療費4兆円削減、社会保険料は6万円引き下げ提案 新年度予算案賛成の条件に(産経新聞)2)「市販品類似薬を保険外に」維新、社保改革で具体案 自公に提案、予算賛成の条件(日経新聞)3)高額療養費の「自己負担の上限引き上げ」見直しへ…政府・与党、がん患者らに反発広がり(読売新聞)4)少数与党国会、厚労省提出法案の「熟議」を注視(MEDIFAX)6.28億円の診療報酬不正請求発覚 訪問看護で虚偽記録横行/サンウェルズパーキンソン病専門の有料老人ホーム「PDハウス」を運営する東証プライム上場のサンウェルズ(金沢市)が、全国のほぼ全施設で診療報酬の不正請求を行っていたことが、7日に公表された特別調査委員会の報告書で明らかになった。調査の結果、不正請求額は総額28億4,700万円に上ると試算されている。報告書によると、サンウェルズは全国14都道府県で約40ヵ所の「PDハウス」を運営。訪問看護事業において、実際には数分しか訪問していないにもかかわらず、30分間訪問したと虚偽の記録を作成し、診療報酬を請求するなどの不正が横行していた。また、実際には1人で訪問しているにもかかわらず、2人で訪問したと装い、加算報酬を請求するケースも確認された。さらに、特定の入居者に対し、必要がないにもかかわらず毎日3回の訪問を行い、過剰な請求を行っていたことも判明。現場の職員の間では「訪問回数を減らせばペナルティーが科される」という認識が広まり、不正が慣例化していた可能性が高い。経営陣はこうした問題について複数回の内部通報を受けていたものの、実態把握に動かなかったとされる。サンウェルズは当初、不正の疑惑を全面否定していたが、昨年9月の報道を受けて特別調査委員会を設置。今回の調査結果を受け、「多大なご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます。再発防止策を速やかに策定し、信頼回復に努める」と謝罪のコメントを発表した。一方で、同社の経営陣にはインサイダー取引の疑惑も浮上している。昨年7月、サンウェルズは不正の指摘を受けながらも、東証プライム市場へ移行し、野村證券を主幹事とする株式の売り出しを実施。社長の苗代 亮達氏は個人で34億円の売却益を得ていた。市場関係者からは「不正を認識したまま株式を売却した可能性がある」として、金融商品取引法違反の疑いも指摘されている。今回の不正請求問題は、サンウェルズだけでなく、業界全体にも波紋を広げる可能性がある。ホスピス型老人ホームの需要が高まる中で、制度の見直しや行政のチェック体制の強化が求められている。参考1)特別調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ(サンウェルズ社)2)約28億4,700万円の不正請求と調査委が試算…金沢市に本社の「サンウェルズ」の訪問看護事業めぐり(石川テレビ)3)老人ホームのサンウェルズ、ほぼ全施設で不正請求 調査委が報告書(毎日新聞)4)ほぼ全施設で不正請求 PDハウス運営サンウェルズ 調査委報告書 過剰訪問看護で28億円(中日新聞)5)東証プライム上場サンウェルズが老人ホームほぼ全てで介護報酬不正請求!社長の「インサイダー取引」疑惑に発展か(ダイヤモンドオンライン)

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ゴキブリのせいで多剤耐性菌が院内アウトブレイク【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第275回

ゴキブリのせいで多剤耐性菌が院内アウトブレイク院内感染対策において、私たちは常に新たな課題に直面しています。コロナ禍で注目されたテーマなので、いろいろな研究やエビデンスが出てきました。今回ご紹介する事例は、都市部の病院のICUで発生した、20ヵ月に及ぶ奇妙な多剤耐性エンテロバクターのアウトブレイクです。この事例がとくに注目に値するのは、標準対策では制御できなかった感染拡大が、まさかのアイツによって引き起こされていたことです。タイトルに書いちゃってますが…。っていうか、この連載、ゴキブリ論文多くない?Hanrahan J, et al. Invasion of superbugs: Cockroach-driven outbreak of multidrug-resistant Enterobacter in an ICU.Antimicrob Steward Healthc Epidemiol. 2024 Oct 1;4(1):e155.アウトブレイクは、隣接する病室の2人の患者から多剤耐性エンテロバクターが検出されたことから始まりました。医療スタッフはただちに接触予防策、手指衛生の強化、個々の医療機器の使用徹底など、標準的な感染対策プロトコールを適用しました。しかし、これらの対策にもかかわらず、新たな感染例が次々と確認されていきました。環境調査では、ベッドサイドキャビネット、マットレス、ベッド柵、ゴミ箱の蓋、人工呼吸器、吸引装置など、多くの環境表面から多剤耐性エンテロバクターが検出されました。徹底的な消毒清掃を実施しましたが、一部の病室では繰り返し清掃が必要な状況が続きました。このアウトブレイクの謎を解く重要な手がかりとなったのは、現場の看護師の観察眼! 看護師の1人が病室でゴキブリを目撃していたという報告を受け、捕獲したゴキブリを用いた培養検査を実施しました。その結果、多剤耐性エンテロバクターに加えて、多剤耐性緑膿菌、MRSA、MSSA、アスペルギルス、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌など、複数の院内感染の原因となる微生物が検出されたのです。耐性菌ゴキブリや!最終的に、このアウトブレイクでは入院患者131名中25名(19.5%)が多剤耐性エンテロバクターに感染または保菌していました。感染までの平均期間は14.5日(±10.7日)で、最短でわずか3日というありさまでした。害虫駆除の専門家による対策強化後、一時的に新規感染例は抑制されましたが、13ヵ月後に再びゴキブリが発見され、その1週間後に新たな感染例が確認されました。いや、この害虫ほんまに何やねん…。この論文が声高に書いているのは、病院環境における害虫の存在を決して軽視してはならないということです。とくにゴキブリはさまざまな病原体の媒介者となる可能性があり、比較的清潔な病院が多い日本の医療機関でも注意が必要です。

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ワクチン接種後の免疫抑制療法患者のリスクを抗体の有無で評価(解説:栗原宏氏)

本研究のまとめ・免疫抑制療法患者において、抗SARS-CoV-2スパイク抗体(抗S Ab)陽性者は感染・入院リスクが低い・感染リスク要因:年齢が若い(18~64歳)、子供との同居、感染対策の実施・入院リスク要因:併存疾患の存在強み(Strong Points)・3つの異なる免疫抑制患者群におけるCOVID-19リスクを大規模データで解析・抗S Abの有無と感染・重症化リスクの関連を明確化・実臨床データとリンクし、健康アウトカムに関する実証的な証拠を提供限界(Limitations)・因果関係ではなく相関関係の分析に留まる・治療介入(抗ウイルス薬、モノクローナル抗体)の影響が不明確・ワクチンの種類や接種時期の詳細な分析が不足・行動要因(マスク着用、社会的距離)の影響が考慮されていない可能性 本研究は、免疫抑制患者におけるSARS-CoV-2スパイク抗体の有無が、感染および入院率にどのような影響を与えるかを評価する約2万人規模のコホート研究である。 免疫抑制療法では、ワクチン接種後の免疫応答が低下する可能性があり、COVID-19感染リスクが高いと考えられる。 英国の全国疾病登録データを用い、以下の3つの免疫抑制患者群において抗体の影響を評価した。1)固形臓器移植(SOT)2)まれな自己免疫性リウマチ疾患(RAIRD)3)リンパ系悪性腫瘍(lymphoid malignancies)主な結果と臨床的意義 いずれの群でも、抗体陽性者のCOVID-19感染率・入院率は、年齢・人種・既存疾患などを調整しても有意に低かった。より具体的には、抗体陰性者の感染リスクは1.5〜1.8倍、入院リスクは2.5〜3.5倍高かった。 これらの結果から、免疫抑制患者に対し抗体検査を活用することで、高リスク群を特定し、追加ワクチン接種や早期治療などの対応を提供できる可能性が示唆された。 しかし、本研究は相関関係の分析に留まるため、・「抗体ができやすい人=健康状態が良く感染リスクが低い」・「抗体ができにくい人=強力な免疫抑制療法を受けており感染・重症化リスクが高い」といった因果関係の逆転の可能性も考慮する必要がある。 また、本研究では、ワクチンの種類・接種回数の影響、抗体価の高低、行動習慣(通勤・外出頻度)の影響は評価されていない。感染リスク要因の考察 感染リスク要因として、年齢が若いこと、子供との同居、感染対策の実施が挙げられた。「感染対策をしている人の感染リスクが高い」という結果は直感的に意外だが、これは 「感染リスクが高い人ほど対策をしているが、免疫が弱いため、それでも感染しやすい」という背景を反映しているという可能性がある。 本研究は、免疫抑制患者における抗S Abの有無とCOVID-19感染・入院リスクの相関を示し、免疫抑制患者のCOVID-19管理戦略を考えるうえで重要な知見を提供していると考えられる。

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コロナワクチン、免疫抑制患者への接種継続は必要か?/Lancet

 英国・NHS Blood and TransplantのLisa Mumford氏らは、英国の全国疾病登録を用いた前向きコホート研究において、免疫抑制状態にあるすべての人は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防戦略を継続的に受ける必要があることを示した。英国では、免疫が脆弱と考えられる人々に対し、年2回のCOVID-19ワクチンブースター接種が推奨されている。著者らは、3回以上のワクチン接種を受けた免疫抑制状態にある患者において、抗SARS-CoV-2スパイク蛋白IgG抗体(抗S抗体)と感染リスクおよび感染の重症度との関連を集団レベルで調査した。結果を踏まえて著者は、「大規模に実施可能な抗S抗体の評価は、免疫抑制状態にある人々のうち最もリスクの高い人々を特定可能で、さらなる個別化予防戦略のメカニズムを提供するものである」とまとめている。Lancet誌2025年1月25日号掲載の報告。固形臓器移植、希少自己免疫性リウマチ性疾患、リンパ系悪性腫瘍患者を対象に評価 研究グループは、英国の全国疾病登録を用いて固形臓器移植(SOT)患者、希少自己免疫性リウマチ性疾患(RAIRD)患者、リンパ系悪性腫瘍患者を特定して研究への参加者を募集した。抗S抗体のラテラルフロー検査を行うとともに社会人口学的および臨床的特性に関するアンケート調査を実施した後、英国国民保健サービス(NHS)のデータを用いて6ヵ月の追跡調査を行った。 アウトカムは、SARS-CoV-2感染およびCOVID-19関連入院とした。SARS-CoV-2感染は主に英国健康安全保障庁(UKHSA)のデータを用いて特定し、COVID-19による入院および治療に関する記録で補完した。COVID-19関連入院は、検査陽性から14日以内の入院と定義した。抗S抗体陽性、COVID-19の感染や入院のリスク低下と関連 2021年12月7日~2022年6月26日に登録された適格患者2万1,575例を解析対象とした(SOT患者8,466例、RAIRD患者6,516例、リンパ系悪性腫瘍患者6,593例)。 抗S抗体陽性率は、SOT患者77.0%(6,519/8,466例)、RAIRD患者85.9%(5,594/6,516例)、リンパ系悪性腫瘍患者79.3%(5,227/6,593例)であった。 抗S抗体検査後6ヵ月間のSARS-CoV-2感染は、全体で3,907例(18.1%)に認められ、COVID-19関連入院は556例(2.6%)に発生した。そのうち17例(<0.1%)が感染後28日以内に死亡した。 感染率は社会人口学的および臨床的特性によって異なるが、多変量補正解析の結果、抗S抗体の検出は感染発生率の低下と独立して関連しており、発生率比(IRR)はSOT患者集団で0.69(95%信頼区間[CI]:0.65~0.73)、RAIRD患者集団で0.57(0.49~0.67)、リンパ系悪性腫瘍患者集団で0.62(0.54~0.71)であった。 また、抗S抗体陽性はCOVID-19関連入院のリスク低下とも関連しており、IRRはSOT患者集団で0.40(95%CI:0.35~0.46)、RAIRD患者集団で0.32(0.22~0.46)、リンパ系悪性腫瘍患者集団で0.41(0.29~0.58)であった。

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AMLへのベネトクラクス、ex vivoの感受性が奏効と生存延長を予測/Blood

 急性骨髄性白血病(AML)、とくに再発/難治性AMLにおいて、ベネトクラクスが奏効する可能性が高い患者を特定することは難しい。今回、フィンランド・ヘルシンキ大学のSari Kytola氏らによる前向き多施設共同第II相試験(VenEx)において、ex vivoベネトクラクス感受性は治療反応性と強く相関し、生存期間延長を予測することが示され、再発/難治性AMLや2次性AMLでベネトクラクス+アザシチジン併用療法の対象となる患者選択に有益であることが示唆された。Blood誌2025年1月23日号に掲載。 本試験では、未治療例(48例)、再発/難治性例(39例)、既治療の2次性AML例(17例)の計104例を対象とした。主要評価項目は、最初の3サイクルの間のex vivo感受性試験実施患者の完全寛解(CR)または不完全な血液学的回復を伴うCR(CRi)の割合、主な副次的評価項目はex vivo薬剤感受性、反応、生存率における関連とした。 主な結果は以下のとおり。・ベネトクラクスの感受性は104例中102例で評価され、結果はサンプル採取から3日(中央値)以内に得られた。・未治療例では、ex vivo感受性例のCR/CRi割合は85%、全生存期間(OS)中央値は28.7ヵ月であったのに対し、ex vivo抵抗性例では5.5ヵ月であった(p=0.002)。・再発/難治性例では、ex vivo感受性例のCR/CRi割合は62%、OS中央値9.7ヵ月であったのに対し、ex vivo抵抗性例では3.3ヵ月だった(p<0.001)。・単変量および多変量解析において、ex vivoベネトクラクス感受性は良好な治療反応および生存の最も強い予測因子であった。

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“医者”になりたいです【Dr. 中島の 新・徒然草】(565)

五百六十五の段 “医者”になりたいです2025年になったばかりというのに、もう1月も終わろうとしています。何とまあ月日の経つのは早いですね。さて、私はよくYouTubeで評論家の岡田 斗司夫氏のしゃべっているのを聴いています。その岡田氏が先日「おたくの王様論」というチャンネルで面白いことを言っていました。動画のタイトルは「【岡田斗司夫と医者】※患者を救いたいと思えない..昔いじめてたやつが急患で運ばれてきた..医者の僕と高卒の彼女..【切り抜き】」という長いもの。YouTubeのタイトル画面には「患者に言えない医者の本音」とあったのでドキッとしつつ、つい聴いてしまいました。その動画の中で岡田 斗司夫氏に質問してきたのは卒後10年弱の内科医。質問者は「医学に対する知的好奇心から医学部を志し、今でも医学の勉強が楽しくて仕方がない」という立派な先生です。ところが「患者にはまったく興味がなく『患者を救いたい』という気持ちになったことがありません」というのがこの先生の悩み。とはいえ、診療に手を抜くことはなく、転勤に伴って追いかけてくる患者さんやお手紙を送ってくる人が何人もいるというくらい患者満足度の高い人です。しかし、いくら患者さんに感謝されても、やりがいや幸福感はないのだとか。そして周囲の熱意あふれるお医者さんたちをうらやましく思い、「『患者を救いたい』という、医師として当たり前の感情を抱くのに、なにか方法はありますでしょうか。“医者”になりたいです」という悩みを持っているとのことでした。これに対して岡田 斗司夫氏はいろいろと回答しているわけですが、複雑過ぎて何を言っているのか、私にはよく理解できませんでした。さて、もし私がこの先生にアドバイスするなら……今さら「患者を救いたい」という感情を持つ必要なんかない、というのが回答になりますね。自分が患者だったら、むしろこういう医師に診てもらいたいです。この先生の医学や診療に対する熱意というのは、たとえてみれば精巧なプラモデルを作るみたいなものではないでしょうか。「救いたい」という動機でも「精巧なプラモデルを完成させたい」という動機でも、患者さんにとっては同じことです。むしろ「救いたい」よりも「完璧に遂行したい」という動機のほうが、仕事に没頭できるはず。この先生、せっかく一生懸命にやって結果も良く、患者さんにも感謝されているのですから、それで十分です。「救いたい」などという邪心が入ってしまったら、むしろ結果が悪くなったりしないかな。ただ、僭越ながら一つだけアドバイスさせていただくなら……目の前の疾患にベストの治療を行うのは1つの目標ではありますが、その患者さんの人生を可能なかぎり満足感のあるものにする、というのも、もう1つの目標だと思います。この第1の目標と第2の目標に対する診療はほぼ一致するわけですが、いつも一致するわけではありません。われわれ医師が悩まされるのは、そういう時ですね。「“医者”になりたいです」などという邪念にとらわれる暇があったら、そのエネルギーをこういった悩みの解決に使ったほうがいいのでは?読者の皆さまもそれぞれに思うところがあることでしょう。私自身もいろいろと考えさせられた悩み相談でした。最後に1句若者の 邪心を払う 睦月かな

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“添付文書に従わない経過観察”の責任は?【医療訴訟の争点】第8回

症例薬剤の添付文書には、使用上の注意や重大な副作用に関する記載があり、副作用にたりうる特定の症状が疑われた場合の処置についての記載がされている。今回は、添付文書に記載の症状が「疑われた」といえるか、添付文書に記載の対応がなされなかった場合の責任等が争われた京都地裁令和3年2月17日判決を紹介する。<登場人物>患者29歳・女性妊娠中、発作性夜間ヘモグロビン尿症(発作性夜間血色素尿症:PNH)の治療のためにエクリズマブ(商品名:ソリリス)投与中。原告患者の夫と子被告総合病院(大学病院)事案の概要は以下の通りである。平成28年(2016年)1月妊娠時にPNHが増悪する可能性を指摘されていたため、被告病院での周産期管理を希望し、被告病院産科を受診。4月4日被告病院血液内科にて、PNHの治療(溶血抑制等)のため、エクリズマブの投与開始(8月22日まで、薬剤による副作用はみられず)7月31日出産のため、被告病院に入院(~8月6日)8月22日午前被告病院血液内科でエクリズマブの投与を受け、帰宅昼過ぎ悪寒、頭痛が発生16時55分本件患者は、被告病院産科に電話し、午前中にエクリズマブの投与を受け、その後、急激な悪寒があり、39.5℃の高熱があること、風邪の症状はないこと等を伝えた。電話対応した助産師は、感冒症状もなく、乳房由来の熱発が考えられるとし、本件患者に対し、乳腺炎と考えられるので、今晩しっかりと授乳をし、明日の朝になっても解熱せず乳房トラブルが出現しているようであれば、電話連絡をするよう指示した。21時18分本件患者の母は、被告病院産科に電話し、熱が40℃から少し下がったものの、悪寒があり、発汗が著明で、起き上がれないため水分摂取ができず脱水であること、手のしびれがあること、体がつらいため授乳ができないこと等を伝えた。21時55分被告病院産科の救急外来を受診し、A医師が診察。診察時、血圧は95/62 mmHgであり、SpO2は98%、脈拍は115回/分、体温は36.3℃(17時に解熱鎮痛剤服用)、項部硬直及びjolt accentuation(頭を左右に振った際の頭痛増悪)はいずれも陰性であった。22時45分乳腺炎は否定的であること、エクリズマブの副作用の可能性があること等から、被告病院血液内科に引き継がれ、B医師が診察した。診察時、本件患者の意識状態に問題はなく、意思疎通可能、移動には介助が必要であるものの短い距離であれば介助なしで歩行可能であった。血液検査(22時15分採血分)上、白血球、好中球、血小板はいずれも基準値内であった。23時30分頃経過観察のため入院となった。8月23日4時25分本件患者の全身に紫斑が出現、血圧67/46mmHg、血小板数3,000/μLとなり、敗血症性ショックと播種性血管内凝固症候群(DIC)の病態に陥った。抗菌薬(タゾバクタム・ピペラシリン[商品名:ゾシンほか])が開始された。10時43分敗血症性ショックとDICからの多臓器不全により、死亡。8月24日本件患者の細菌培養検査の結果が判明し、血液培養から髄膜炎菌が同定された。8月29日薬剤感受性検査の結果、ペニシリン系薬剤に感受性あることが判明した。実際の裁判結果本件では、(1)エクリズマブの副作用につき血液内科の医師が産科の医師に周知すべき義務違反、(2)8月22日夕方に電話対応した助産師の受診指示義務違反、(3)8月22日夜の救急外来受診時の投薬義務違反等が争われた。本稿では、このうちの(3)救急外来受診時の投薬義務違反について取り上げる。本件で問題となったエクリズマブの添付文書には、以下のように記載されている。※注:以下の内容は本件事故当時のものであり、2024年9月に第7版へ改訂されている。「重大な副作用」「髄膜炎菌感染症を誘発することがあるので、投与に際しては同感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直、羞明、精神状態の変化、痙攣、悪心・嘔吐、紫斑、点状出血等)の観察を十分に行い、髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌薬の投与等の適切な処置を行う(海外において、死亡に至った重篤な髄膜炎菌感染症が認められている。)。」「使用上の注意」「投与により髄膜炎菌感染症を発症することがあり、海外では死亡例も認められているため、投与に際しては、髄膜炎菌感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直等)に注意して観察を十分に行い、髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行う。髄膜炎菌感染症は、致命的な経過をたどることがある」この「疑われた場合」の解釈につき、患者側は、「疑われた場合」は「否定できない場合」とほぼ同義であり、症状からみて髄膜炎菌感染症の可能性がある場合には「疑われた場合」に当たる旨主張した。対して、被告病院側は、「疑われた場合」に当たると言えるためには、「否定できない場合」との対比において、「積極的に疑われた場合」あるいは「強く疑われた場合」であることが必要である旨を主張した。このため、添付文書に記載の「疑われた場合」がどのような場合を指すのかが問題となった。裁判所は、添付文書の上記記載の趣旨が、エクリズマブは髄膜炎菌を始めとする感染症を発症しやすくなるという副作用を有し、髄膜炎菌感染症には急速に悪化し致死的な経過をたどる重篤な例が発生しているため、死亡の結果を回避するためのものであることを指摘し、以下の判断を示した(=患者側の主張を積極的に採用するものではないが、被告病院側の主張を排斥した)。積極的に疑われた場合または強く疑われる場合に限定して理解することは、その趣旨に整合するものではない少なくとも、強くはないが相応に疑われる場合(相応の可能性がある場合。他の鑑別すべき複数の疾患とともに検討の俎上にあがり、鑑別診断の対象となり得る場合)を含めて理解する必要がある添付文書の警告の趣旨・理由を強調すると、可能性が低い場合かほとんどゼロに近い場合(単なる除外診断の対象となるにすぎない場合)を含めて理解する余地があるその上で、裁判所は、以下の点を指摘し、本件は添付文書にいう「疑われた場合」にあたるとした。『入院診療計画書』には、「細菌感染や髄膜炎が強く疑われる状況となれば、速やかに抗生剤を投与する」ために入院措置をとった旨が記載されており、担当医は、髄膜炎菌感染症を含む細菌感染の可能性について積極的に疑っていなくとも、相応の疑いないし懸念をもっていたと解されること(CRPや白血球の数値が低い点はウイルス感染の可能性と整合する部分があるものの)ウイルス感染であれば上気道や気管の炎症を伴うことが多いのに、本件でその症状がなかった点は、これを否定する方向に働く事情であり、ウイルス感染の可能性が高いと判断できる状況ではなかったといえること(CRPや白血球の数値が低いことは細菌感染の可能性を否定する方向に働き得る事情ではあるものの)細菌感染の場合、CRPは発症から6~8時間後に反応が現れるといわれており、それまではその値が低いからといって細菌感染の可能性がないとは判断できず、疑いを否定する根拠になるものではないこと。同様に、白血球の数値も重度感染症の場合には減少することもあるとされており、同じく細菌感染の疑いを否定する根拠になるものではないことそして、裁判所は「細菌感染の可能性を疑いながら速やかに抗菌薬を投与せず、また、(省略)…細菌感染の可能性について疑いを抱かなかったために速やかに抗菌薬を投与しなかったといえるから、いずれにしても速やかに抗菌薬を投与すべき注意義務に違反する過失があったというべき」として、被告病院担当医の過失を認めた。この点、被告病院は「すぐに抗菌薬を投与するか経過観察をするかは、いずれもあり得る選択であり、いずれかが正しいというものではない」として医師の裁量である旨を主張したが、裁判所は、以下のとおり判示し、添付文書に従わないことを正当化する合理的根拠とならないとした。「あえて添付文書と異なる経過観察という選択が裁量として許容されるというためには、それを基礎づける合理的根拠がなければならないところ、細菌感染症でない場合に抗菌薬を投与するリスクとして、抗菌薬投与が無駄な治療になるおそれ、アレルギー反応のリスク、肝臓及び腎臓の障害を生じるリスク、炎症の原因判断が困難になるリスクが考えられるが、これらのリスクは、髄膜炎菌感染症を発症していた場合に抗菌薬を投与しなければ致死的な経過をたどるリスクと比較すると、はるかに小さいといえるから、添付文書に従わないことを正当化する合理的根拠となるものではない」注意ポイント解説本件では、添付文書において「髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌薬の投与等の適切な処置を行う」となっているところ、抗菌薬の投与等がなされないまま経過観察となっていた。そのため、「疑われた場合」にあたるのか、あたるとして経過観察としたことが医師の裁量として許容されるのかが問題となった。添付文書の記載の解釈について判断が示された比較的新しい裁判例である上、添付文書でもよく目にする「疑われた場合」に関する解釈を示した裁判例として注目される。「疑われた場合」の判断において本判決は、その記載の趣旨が、エクリズマブは髄膜炎菌を始めとする感染症を発症しやすくなる副作用を有し、髄膜炎菌感染症は急速に悪化し致死的な経過をたどる例があり、そのような結果を避けるためであることを理由とする。そのため、本判決の判断が、他の薬剤の添付文書の解釈でも同様に妥当するとは限らない。とくに、可能性が低い場合かほとんどゼロに近い場合(単なる除外診断の対象となるに過ぎない場合)を含めて理解する余地があるかについては、生じうる事態の軽重によりケースバイケースで判断されることとなると考えられる。しかしながら、一定の悪しき事態が生じうることを念頭に添付文書の記載がなされていることからすると、添付文書に「疑われた場合」とある場合は、強くはないが相応に疑われる場合(相応の可能性がある場合。他の鑑別すべき複数の疾患とともに検討の俎上にあがり、鑑別診断の対象となり得る場合)を含めるものとされる可能性が高いと認識しておくことが無難である。また、本判決は、添付文書と異なる対応をすることが医師の裁量として許容されるかについて、生じうるリスクの重大性を比較しており、生じ得るリスクの重大性の比較が考慮要素の一つとして斟酌されることが示されており参考になる。もっとも、添付文書の記載に従ったほうが重大な結果が生じるリスクが高い、という事態はそれほど多くはないと思われるうえ、そのような重大な事態が生じるリスクが高いことを立証することは容易ではないと考えられる。このため、前回(第7回:造影剤アナフィラキシーの責任は?)にコメントしたように、添付文書の記載と異なる使用による責任が回避できるとすれば、それは必要性とリスク等を患者にきちんと説明して同意を得ている場合がほとんどと考えられる(ただし、医師の行ったリスク説明が誤っている場合には、患者の同意があったとして免責されない可能性がある)。なお、本件薬剤の投与にあたり、患者に「患者安全性カード」(感染症に対する抵抗力が弱くなっている可能性があり、感染症が疑われる場合は緊急に診療し必要に応じて抗菌剤治療を行う必要がある旨が記載されたもの)が交付されており、診療にあたりすべての医師に示すように伝えられていたものの、このカードが示されなかったという事情がある。しかし、裁判所は、患者からは本件薬剤の投与を受けている旨の申告がされており、このカードの記載内容は添付文書にも記載されているとして、患者からカードの提示がなかったことが医師の判断を誤らせたという関係にはないとしている。医療者の視点本判決の焦点は、添付文書の記載の解釈でした。しかし、一臨床医としてより重要と考えた点は、「普段使用することが少ない薬剤であっても、しっかりと添付文書を確認し、副作用や留意点に目を通しておく必要がある」ということです。本件においても、関係した医療者がエクリズマブという比較的新しい薬剤の副作用を熟知していれば、あるいは処方した医師や薬剤師から情報共有がなされていれば、このような事態は回避できたかもしれません。エクリズマブの適応疾患は非常に限られており、使用経験のある医師は少ないと考えられます。たとえそのような稀にしか使用されることがない薬剤であっても、その副作用を熟知しておかなければならない、という教訓を示した案件と考えました。昨今は目まぐるしい速度で新薬が発表されています。常に知識・情報をアップデートしていないと、本件のようなトラブルを引き起こしかねません。多忙な勤務の中、各科の学会誌やガイドラインを熟読することは困難です。医療系のウェブサイトやSNSなどを有効的に活用し、効率よく情報を刷新していくことも重要と考えます。Take home message普段使用することが少ない薬剤であっても、その副作用や留意点を熟知しておく必要がある。添付文書に「疑われた場合」とある場合は、強くはないが相応に疑われる場合(相応の可能性がある場合。他の鑑別すべき複数の疾患とともに検討の俎上にあがり、鑑別診断の対象となり得る場合)を含めるものとされる可能性が高い。副作用と疑われる症状が発症した場合、副作用であることを念頭に添付文書の推奨に従って対応することが望ましく、もし添付文書と異なる対応をする場合、患者や家族に十分な説明を行う必要がある。キーワード添付文書(能書)の記載事項と過失との関係最高裁平成8年1月23日判決が、以下のように判断しており、これが裁判上の確立した判断枠組みとなっているため、添付文書の記載と異なる対応の正当化には医学的な裏付けの立証が必要であり、それができない場合には過失があるものとされる。「医薬品の添付文書(能書)の記載事項は、当該医薬品の危険性(副作用等)につき最も高度な情報を有している製造業者又は輸入販売業者が、投与を受ける患者の安全を確保するために、これを使用する医師等に対して必要な情報を提供する目的で記載するものであるから、医師が医薬品を使用するに当たって右文書に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定されるものというべきである」

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骨髄線維症、移植後30日目の変異消失が予後に関連/NEJM

 骨髄線維症患者において、移植後30日目におけるドライバー遺伝子変異の消失は、その種類に関係なく再発および生存に良好な影響を及ぼすことを、ドイツ・ハンブルグ・ エッペンドルフ大学医療センターのNico Gagelmann氏らが明らかにした。同種造血幹細胞移植は骨髄線維症に対する唯一の治癒的治療法である。この疾患の病態生理学的特徴はドライバー遺伝子変異であるが、移植後の変異の消失の影響は不明であった。NEJM誌2025年1月9日号掲載の報告。ドライバー遺伝子変異をモニタリング、予後との関連を評価 研究グループは、2000~23年にハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターにて初回移植を受けた原発性骨髄線維症または二次性骨髄線維症(真性多血症または本態性血小板血症に続発)の患者324例を対象に、移植前および移植後30日目、100日目、180日目にドライバー遺伝子変異をモニタリングし、変異の消失と再発および生存に及ぼす影響を検討した。 全例、移植の前処置には低強度ブスルファン+フルダラビンを用い、移植片対宿主病の予防は移植前に抗Tリンパ球グロブリン、移植後にカルシニューリン阻害薬(シクロスポリンAまたはタクロリムス)とミコフェノール酸モフェチルまたはメトトレキサートの併用投与を行った。 主要エンドポイントは、再発および無病生存期間(DFS)の2つとした。副次エンドポイントは全生存期間(OS)であった。移植後30日目の変異消失が予後に関連 患者背景は、年齢中央値が60歳、62%が原発性骨髄線維症であった。また、ドライバー遺伝子変異は、JAK2変異238例(73%)、CALR変異73例(23%)、MPL変異13例(4%)に認められ、58%の患者が移植前にJAK阻害薬による治療を受けていた。 移植後30日目には、JAK2変異の42%(101/238例)、CALR変異の73%(53/73例)、MPL変異の54%(7/13例)が遺伝子変異の消失を認めた。移植後100日目の変異消失はそれぞれ63%(117/185例)、82%(60/73例)、100%(13/13例)であり、移植後180日目はJAK2変異が79%(134/169例)、CALR変異が90%(62/69例)であった。 再発の1年累積発生率は、移植後30日目に変異が消失した患者で6%(95%信頼区間[CI]:2~10)、消失しなかった患者で21%(15~27)であった。 6年DFS率および6年OS率は、移植後30日目に変異が消失した患者でそれぞれ61%および74%、消失しなかった患者で41%および60%であった。 移植後30日目の変異消失は従来のドナーキメリズムよりも奏効の指標として優れ、再発や進行のリスク低下と独立して関連していることが示唆された(ハザード比:0.36、95%CI:0.21~0.61)。多変量解析の結果、移植後30日目の変異消失の影響は、ドライバー遺伝子変異の種類(JAK2、CALR、MPL)よりも大きいことが示唆された。

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