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岡田正人のアレルギーLIVE

第1回 食物アレルギー第2回 臨床免疫第3回 アナフィラキシーショック第4回 鼻炎第5回 薬物アレルギー第6回 アトピー性皮膚炎第7回 蕁麻疹第8回 好酸球増加 岡田正人が帰ってきた!2007年にリリースされた名作『Dr.岡田のアレルギー疾患大原則』を最新の知見を踏まえて全面刷新。白熱教室さながらの熱いレクチャーをご体感ください。外来でよく遭遇するが悩ましい食物アレルギーや即座の対応を必要とするアナフィラキシーはもちろん、花粉症、蕁麻疹、喘息、薬剤アレルギーなど、アレルギー疾患の基本を世界標準の診療を知り尽くしたDr.岡田が圧倒的なわかりやすさでお届けします。第1回 食物アレルギーどの科の医師でも必ず知っておくべきアレルギー診療。その基本をわかりやすくレクチャーします。初回は外来で出会うことも多い食物アレルギーについて。症例ベースに詳しく解説します。第2回 臨床免疫自然免疫と獲得免疫、免疫系のそれぞれの細胞の働き、またそれに伴う疾患、薬剤についてなど‥。免疫についてこんなにわかりやすく解説した番組はこれまでになかったといっても過言ではありません!第3回 アナフィラキシーショックアナフィラキシーショックは、時間との勝負!わずかなためらいや判断の遅れが患者の命にかかわります。即座に判断、対応するための知識をわかりやすく解説します。なぜ、アナフィラキシーが起こるのか、なぜその対応が必要なのかまで、しっかりとカバー。アナフィラキシーに関する疑問や悩みを解決します。第4回 鼻炎今回はアレルギー性鼻炎についてです。アレルギー性鼻炎は、鼻漏、鼻閉、かゆみ、結膜炎などさまざまな症状があります。実は、出る症状(とくに鼻漏と鼻閉)によって、処方する薬が異なってきます。患者の症状に合わせた治療薬と処方方法についてそれぞれの薬の特徴も踏まえ、詳しくわかりやすく解説します。また、効果のある飲み方とその理由など、患者に説明することによって、より効果を高めることができます。次回の花粉症シーズン前に知識を整理してみませんか。第5回 薬物アレルギー今回は薬物アレルギーについて解説します。薬物アレルギーは、100%防ぐことは不可能です。発症したときにできるだけ早く、そして重症化しないように対処しなければなりません。医原性である薬物アレルギーの対処法は、すべての医療者にとって必要なことです。しっかりと理解しておきましょう。一方で、近年、抗菌薬アレルギーに対するオーバーダイアグノーシス(過剰診断)が問題となっています。それにより、本来使うべき薬剤を使用できず、薬剤の効果や耐性菌など、実際の治療への影響を及ぼしています。ならば、どうすればよいのか。岡田正人がわかりやすくお教えします。第6回 アトピー性皮膚炎「アトピー性皮膚炎」当然のように使われるこの言葉ですが、本来の意味だと、実はちょっとおかしいのでは?そう、アトピーで皮膚炎が起こるのではありません。なぜ皮膚炎が起こるのか、起こさないためにはどうすべきか、起こったときの治療方法は、そしてなぜその方法なのか。そのことを患者が理解することが、治療への近道となります。ステロイド・保湿剤の選択、患者への説明の仕方、ステロイドが嫌だという患者への対応など、実際の臨床で行われているDr.岡田のシンプルかつ詳細な治療方法をわかりやすくお教えします。第7回 蕁麻疹今回のテーマは蕁麻疹蕁麻疹には、抗ヒスタミン薬。それだけ処方すればいいと思っていませんか?確かに抗ヒスタミン薬は有効ですが、それが効かない患者さんもいます。なぜ効かないのかを知っておくと、その後の対応がぐっと楽になります。問診や検査はどうするか、かゆみの鑑別診断は?そして薬剤の処方のしかたや患者さんの納得する説明など、蕁麻疹の診療のノウハウを岡田正人がわかりやすくお教えします。第8回 好酸球増加好酸球が増加する原因はアレルギー、薬剤、寄生虫感染症、膠原病、HES、悪性腫瘍など多岐にわたります。現在では、好酸球の遺伝子異常の検査もできますが、医療経済的なことを考えると、最初から行うものではありません。診察、問診によって、まずは明らかな原因がないかどうかを確認し、そのうえで必要な検査を行うようにしましょう。好酸球の働きや特性を知っておけば、その症状を引き起こす原因と理由がはっきりと理解できるようになります。

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花粉症重症度の自己チェックに有用なツール公開

 ノバルティスファーマ株式会社は2020年2月、重症花粉症の情報に特化したWEBサイトを全面リニューアルし、自分に合った花粉マネジメント法の理解や治療選択の一助となることを目的とした『重症花粉症ドットコム』を開設した。今回のサイトリニューアルに際し、自らも症状に悩み、その辛さをSNSなどで訴える川口 春奈さん(女優・モデル)が「重症花粉症」の啓発アンバサダーに就任。重い症状に悩む患者に自らの重症度を考えるきっかけを提供する。自分の重症度が簡単にチェックできる 花粉症には症状の程度があるため、重症度ごとの対応が必要となる。ある調査によると、スギ花粉症患者の約7割が重症と報告され、重症花粉症の場合は鼻や眼の症状に加え、全身倦怠感や頭重感など全身症状を引き起こす場合がある。このような症状によるQOL低下は事故や欠勤につながる可能性があることから、花粉症に悩む方は『重症花粉症ドットコム』内にある「花粉症チェッカー」を用い、自身の花粉症の重症度や症状に応じた治療法を理解することが大切である。実際に花粉症チェッカーを用いて“重症花粉症かも”と判定された川口氏は「自身の重症度は理解していたが、どのようなタイプ(くしゃみで困る、鼻水で困るなど)なのかは知らなかった」とコメントした。  重症度がセルフチェックできるようになった今、 医師に求められるのは、患者に適切な治療法を提供する際に「あなたは◯◯タイプ」と伝えることかもしれない。WEBサイト「重症花粉症ドットコム」はこちら

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慢性炎症性皮膚疾患、帯状疱疹リスクと関連

 アトピー性皮膚炎や乾癬などの慢性炎症性皮膚疾患(CISD)と帯状疱疹の関連が示された。米国における横断研究の結果、帯状疱疹ワクチン接種が低年齢層で推奨されているにもかかわらず、多くのCISDで帯状疱疹による入院増大との関連が認められたという。米国・ノースウェスタン大学フェインバーグ医学院のRaj Chovatiya氏らが報告した。CISD患者は、帯状疱疹の潜在的リスク因子を有することが示されていたが、CISDの帯状疱疹リスクについては、ほとんど知られていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、CISDに特異的なワクチンガイドラインを確立する必要があるだろう」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年1月17日号掲載の報告。 研究グループは、CISDと帯状疱疹の関連を明らかにする目的で、2002~12年の全米入院患者サンプル(Nationwide Inpatient Sample)のデータを用いて、米国の入院患者の代表コホート(小児と成人6,808万8,221例)について解析を行った。 年齢、性別、人種/民族、保険状況、世帯収入、および長期の全身性コルチコステロイド使用を含む多変量ロジスティック回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・帯状疱疹による入院と、アトピー性皮膚炎(補正後オッズ比[OR]:1.38、95%信頼区間[CI]:1.14~1.68)、乾癬(4.78、2.83~8.08)、天疱瘡(1.77、1.01~3.12)、類天疱瘡(1.77、1.01~3.12)、菌状息肉症(3.79、2.55~5.65)、皮膚筋炎(7.31、5.27~10.12)、全身性強皮症(1.92、1.47~2.53)、皮膚エリテマトーデス(1.94、1.10~3.44)、白斑(2.00、1.04~3.85)、サルコイドーシス(1.52、1.22~1.90)との関連が認められた。・扁平苔癬(補正前OR:3.01、95%CI:1.36~6.67)、セザリー症候群(12.14、5.20~28.31)、限局性強皮症(2.74、1.36~5.51)、壊疽性膿皮症(2.44、1.16~5.13)は、二変量モデルにおいてのみオッズ比の上昇が示された。・60歳未満および50歳未満の感度解析でも、類似の結果が示された。・CISDにおける帯状疱疹の予測因子は、「女性」「慢性症状がより少ない」「長期にわたるコルチコステロイドの全身使用」などであった。

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マイコプラズマ市中肺炎児、皮膚粘膜疾患が有意に多い

 かつて、その流行周期から日本では「オリンピック肺炎」とも呼ばれたマイコプラズマ肺炎について、ほかの起炎菌による市中肺炎(CAP)児と比べた場合に、皮膚粘膜疾患が有意に多く認められることを、スイス・チューリッヒ大学小児病院のPatrick M. Meyer Sauteur氏らが明らかにした。現行の診断検査では、肺炎マイコプラズマ(M. pneumoniae)の感染と保菌を区別できないため、皮膚粘膜疾患の原因としてマイコプラズマ感染症を診断することは困難となっている。今回の検討では、M. pneumoniaeによる皮膚粘膜疾患は、全身性の炎症や罹患率および長期にわたる後遺症リスクの増大と関連していたことも示されたという。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年12月18日号掲載の報告。 研究グループはCAP児を対象に、改善した診断法を用いてM. pneumoniaeによる皮膚粘膜疾患の頻度と臨床的特性を調べる検討を行った。 2016年5月1日~2017年4月30日にチューリッヒ大学小児病院で登録されたCAP患者のうち、3~18歳の152例を対象に前向きコホート研究を実施。対象児は、英国胸部疾患学会(British Thoracic Society)のガイドラインに基づきCAPと臨床的に確認された、入院または外来患者であった。 データの解析は2017年7月10日~2018年6月29日に行われた。主要評価項目は、CAP児におけるM. pneumoniaeによる皮膚粘膜疾患の頻度と臨床特性とした。マイコプラズマ肺炎の診断は、口咽頭検体を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法で行い、ほかの病原菌によるCAPキャリアとM. pneumoniae感染患者を区別するため、酵素免疫測定法(ELISA)で特異的末梢血中IgM抗体分泌細胞の測定を行い、確認した。 皮膚粘膜疾患は、CAPのエピソード中に発生した、皮膚および/または粘膜に認められたあらゆる発疹と定義した。 主な結果は以下のとおり。・CAP児として登録された152例(年齢中央値5.7歳[四分位範囲:4.3~8.9]、84例[55.3%]が男子)において、PCR法でM. pneumoniae陽性が確認されたのは44例(28.9%)であった。・それら44例のうち、10例(22.7%)で皮膚粘膜病変が認められ、全例が特異的IgM抗体分泌細胞の検査結果で陽性であった。・一方、PCR法でM. pneumoniae陰性であったケースのうち、皮膚症状が認められたのは3例(2.8%)であった(p<0.001)。・M. pneumoniae誘発皮膚粘膜疾患は、発疹および粘膜炎(3例[6.8%])、蕁麻疹(2例[4.5%])、斑点状丘疹(5例[11.4%])であった。・2例に、眼粘膜症状(両側性前部ぶどう膜炎、非化膿性結膜炎)が認められた。・M. pneumoniaeによる皮膚粘膜疾患を有する患児は、M. pneumoniaeによるCAPを認めるが皮膚粘膜症状は認めない患児と比べ、前駆症状としての発熱期間が長く(中央値[四分位範囲]:10.5[8.3~11.8]vs.7.0[5.5~9.5]日、p=0.02)、CRP値が高かった(31[22~59]vs.16[7~23]mg/L、p=0.04)。また、より酸素吸入を必要とする傾向(5例[50%] vs.1例[5%]、p=0.007)、入院を必要とする傾向(7例[70%]vs.4例[19%]、p=0.01)、長期後遺症を発現する傾向(3例[30%]vs.0、p=0.03)も認められた。

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アトピー性皮膚炎患者の全がんリスクは?

 アトピー性皮膚炎(AD)とがんの関連性についてはさまざまな見解がある。カナダ・トロント大学のLily Wang氏らは、一般集団と比較したAD患者のがんリスクを明らかにするシステマティックレビューとメタ解析を行った。観察的エビデンスとして、ADはケラチノサイトがんおよび腎がんのリスク増大と関連する可能性がある一方、肺・呼吸器系がんとの関連性は低い可能性が示されたという。結果を踏まえて著者は「さらなる研究を行い、現行エビデンスの不均一性と限界に焦点を当て、ADとがんリスクの関連性の基礎を成すメカニズムを解明する必要がある」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年12月11日号掲載の報告。 研究グループは、一般集団と比較したAD患者の非皮膚・皮膚がんのリスクを評価した。MEDLINE(1946年~)、Embase(1980年~)を2019年1月3日時点で検索し、「NEOPLASMS」「neoplas」「tumo」「cancer」「malignanc」および「Dermatitis, Atopic」「dermatit」「neurodermatit」「eczema」「disseminated」「neurodermatit」などの単語を含む論文を特定。観察試験(コホートおよびケースコントロール)でAD患者のがん推定リスクを対照(一般市民または非AD患者)と比較して報告していた論文を適格とし、包含した。 2人のレビュアーがそれぞれデータを抽出し、ROBINS-I評価ツールを用いて観察曝露試験を修正し、バイアスリスクを評価した。抽出したデータはランダム効果モデルを用いてプールし、標準化罹患率比(SIR)またはオッズ比(OR)を95%信頼区間(CI)値とともに算出した。不均一性についてCochrane Q統計およびI2統計を用いて評価した。 本研究の主なアウトカムは、SIRまたはORで評価したがんリスクとした。 主な結果は以下のとおり。・システマティックレビューとメタ解析には、住民ベースコホート試験8(572万6,692例)とケースコントロール試験48(11万4,136例)が包含された。・コホート試験間で、ADとケラチノサイトがん(5試験、pooled SIR:1.46、95%CI:1.20~1.77)、腎がん(2試験、1.86、1.14~3.04)、中枢神経系がん(2試験、1.81、1.22~2.70)、膵がん(1試験、1.90、1.03~3.50)に統計的に有意な関連が認められた。・48のケースコントロール試験間において、AD患者の中枢神経系がん(15試験、pooled OR:0.76、95%CI:0.70~0.82)、膵がん(5試験、0.81、0.66~0.98)のORは、コホート試験で高い発生率が認められたにもかかわらず、統計的に有意に低かった。・ケースコントロール試験では、肺・呼吸器系がんのORも低いことが示された(4試験、pooled OR:0.61、95%CI:0.45~0.82)。・ADとその他のがん(メラノーマを含む)の関連性を認めるエビデンスは見いだせなかった。・なお、その他多くのがんの試験では、データのプールの妨げとなるかなりの不均一性があり、包含試験間には中等度~重度のバイアスリスクが存在した。

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市販類似薬の保険外しは中間報告で見送りへ【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第38回

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」の改正法の公布や、2020年度の診療報酬改定に向けた議論によって薬局や薬剤師の業務や役割が注目されている中、また1つ薬局に大きな変化が起きようとしていました。政府の全世代型社会保障検討会議(議長=安倍晋三首相)は19日にまとめた中間報告で、論点の1つだったOTC類似薬の保険上の取り扱いについて、具体的な記載を見送った。これまでの会議で活発に議論されていないことも影響したようだが、政府関係者によると検討課題として消えたわけではないという。来年夏の最終報告に向けた議論でテーマとして浮上するのか、もしくは主要な議論の場が別になるのか、本格的な対応は来年以降に持ち越しとなった。(2019年12月20日付 日刊薬業)この市販類似薬を保険適用から除外する議論を、以前も耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。2年に1度行われる診療報酬改定の議論の際に、主に保険者側からの要望によっていつも議題に挙げられていたものの、さまざまな理由により保険除外が実現することはありませんでした。そして、また報酬改定の足音が聞こえてきた2019年8月に、健康保険組合連合会(健保連)が花粉症の市販薬を保険適用から除外することと自己負担率を引き上げることを厚生労働省に提言し、再び議論が巻き起こりました。健保連は全国の健康保険組合の連合組織で保険者の筆頭といえる立場ですから、医療費増大に最も厳しい立場として提言したと考えられます。政府としても、医療費が2018年度の39兆円から2025年度には47兆円超になると推計していたり、最近では非常に高薬価な薬剤も登場していたりしますので、「大きなリスクは共助、小さなリスクは自助」という考え方の「大きなリスク」を支えるためには、もう「小さなリスク」は切り捨てなければならない切羽詰まった状態であるのでしょう。処方箋が減り売り上げは下がるが、新たな客層が薬局へでは、市販類似薬が本当に保険除外となった場合、どのようなことが起こるのでしょうか。たとえば、患者さんが「ちょっと風邪ひいたかな?」と思って気軽に病院を受診した場合、医師が市販の風邪薬で対処できると診断すると、医療用の総合感冒薬を全額自己負担で処方してもらうか、もしくは薬をもらわずに自ら市販の風邪薬を買うか選択することになると考えられます。保険適用除外の市販類似薬は一般メディアでも広く報道されると思うので、患者さんは自分や家族が軽症と判断すれば受診を控えるかもしれません。そして、この状態がしばらく続くと、市販の風邪薬で治療できた経験がある人が増え、「風邪をひいたら市販の風邪薬」と認識し、さらに風邪での受診が減る…ということは想像に難くないでしょう。もしそうなると、処方箋枚数が減るため、薬局の売り上げは下がると予想されます。また、市販薬独特の成分などもあるため、販売対応の面でも新たな取り組みが必要になるかもしれません。いずれにしても、処方箋調剤をメインに行ってきた薬局や薬剤師は危機感を募らせているのではないでしょうか。しかし、見方を変えれば、これまで慢性疾患などで定期的に診察を受けていた患者さん以外でも薬局に来る機会が増えるかもしれませんので、薬局や薬剤師が信頼を得る大きなチャンスだと捉えることもできそうです。12月19日の中間報告では、OTC類似薬の保険適用について具体的な記載は見送られましたが、来年夏の最終報告まで結論はわかりません。議論が継続される場合、医師側は必ず反対の考えを示すでしょう。「医師以外の誰が判断し、適切に対応できるのか」という主張に、患者さんと接して市販薬を販売する薬剤師側は何か異論、反論、提案するのでしょうか。もし保険除外の実現が政府や保険者の本懐で避けられないのであれば、いざというときに問題が生じないように、普段から薬剤師が市販薬の販売に関与している必要があるでしょう。今後の議論から目が離せません。

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デュピルマブ、中等症~重症の思春期アトピー性皮膚炎への第III相試験結果

 アトピー性皮膚炎(AD)に対する初の生物学的製剤であるデュピルマブについて、コントロール不良で中等症~重症の思春期(中央値14.5歳)AD患者に対する第III相の無作為化二重盲検並行群間比較試験の結果が報告された。米国・オレゴン健康科学大学のEric L. Simpson氏らによる検討で、16週間の治療により、プラセボと比較して症状やQOLの面で有意な改善がみられ、安全面でも忍容性が認められたという。著者は、「プラセボ調整後のデュピルマブの有効性と安全性は、思春期と成人で同等であった」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年11月6日号掲載の報告。 試験は2017年3月21日~2018年6月5日に、米国とカナダの45施設で行われ、局所療法によるコントロールが不十分または局所療法が不適当であった中等症~重症の思春期患者251例が参加した。 被験者は無作為に1対1対1の割合で3つの投与群に割り付けられ、16週間の治療を受けた(割り付けは双方向レスポンスシステムを利用し、疾患重症度と体重で層別化も実施)。(1)デュピルマブ200mgを2週間ごと投与(43例、ベースライン体重<60kg)または同300mgを2週間ごと投与(39例、60kg以上)、(2)デュピルマブ300mgを4週間ごと投与(84例)、(3)プラセボ投与(85例)。 主要評価項目は、16週時点の2つのエンドポイントの達成患者割合とした。1つは、EASIスコア(0~72、スコアが高いほど重症度が高い)がベースラインから75%以上改善(EASI-75)した患者の割合。もう1つは、Investigator's Global Assessment(IGA)スコア(0~4の5段階評価、スコアが高いほど重症度が高い)が0または1であった患者の割合であった。 主な結果は以下のとおり。・計251例(年齢中央値14.5歳[SD 1.7]、男性148例[59.0%])が、無作為化を受けた。データが入手できた250例の患者では、ほとんどがII型アレルギー性疾患を併存していた(喘息134例[53.6%]、食物アレルギー[60.8%]、アレルギー性鼻炎[65.6%])。・240例(95.6%)が試験を完遂し、デュピルマブの各投与群はいずれも16週時点で2つの主要エンドポイントを達成した。・EASI-75改善の達成患者割合は、2週間ごと投与群41.5%、4週間ごと投与群38.1%、プラセボ群8.2%で、投与群はプラセボ群よりベースラインから有意に増大した(対プラセボ群間差:2週間ごと投与群33.2%[95%信頼区間[CI]:21.1~45.4]、4週間ごと投与群29.9%[95%CI:17.9~41.8])(p<0.001)。・有効性は、2週間ごと投与群が4週間ごと投与群に対し、概して優れていた。・デュピルマブ投与群は、結膜炎(2週間ごと投与群9.8%、4週間ごと投与群10.8%、プラセボ群4.7%)、注射部位反応(8.5%、6.0%、3.5%)を呈した割合が高く、一方で非ヘルペスウイルス感染症(9.8%、9.6%、18.8%)を呈した割合は低かった。

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強直性脊椎炎に、選択的JAK1阻害薬upadacitinibが有効/Lancet

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)への反応が不十分またはNSAIDが禁忌の強直性脊椎炎患者の治療において、upadacitinibはプラセボに比べ、疾患活動性、腰背部痛、身体機能、炎症の統合指標(ASAS40)を改善し、忍容性も良好であることが、オランダ・ライデン大学医療センターのDesiree van der Heijde氏らが行ったSELECT-AXIS 1試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年11月12日号に掲載された。体軸性脊椎関節炎は、炎症性の腰背部痛、脊椎可動性の制限、付着部炎、末梢関節/関節外症状を特徴とする慢性進行性のリウマチ性疾患であり、X線所見で仙腸関節炎の十分な証拠がある場合に、強直性脊椎炎と呼ばれる。JAKシグナル伝達経路は、強直性脊椎炎の治療標的となる可能性が示唆されている。upadacitinibは選択的JAK1阻害薬であり、乾癬性関節炎や潰瘍性大腸炎、クローン病、アトピー性皮膚炎などの免疫性炎症性疾患の治療薬としても開発が進められている。14週時ASAS40達成を評価するプラセボ対照無作為化試験 本研究は、日本を含む20ヵ国62施設が参加した多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照第II/III相試験であり、2017年11月30日~2018年10月15日の期間に患者の割り付けが行われた(AbbVieの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、ニューヨーク改訂基準を満たす強直性脊椎炎で、生物学的疾患修飾抗リウマチ薬(bDMARD)による治療歴がなく、2剤以上のNSAIDの効果が不十分か、不耐または禁忌の患者であった。 被験者は、upadacitinib(15mg、1日1回)またはプラセボを経口投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、14週の治療が行われた。 主要エンドポイントは、14週時における国際脊椎関節炎評価学会(ASAS)アウトカム評価の40%改善基準(ASAS40)の達成とした。解析は、最大の解析対象集団(FAS、無作為割り付けの対象となり、試験薬の投与を1回以上受けた患者)で行われた。14週時ASAS40達成率:52% vs.26% 187例が登録され、upadacitinib群に93例、プラセボ群には94例が割り付けられ、178例(95%、各群89例ずつ)が治療を完遂した。 ベースラインの全体の平均年齢は45.4(SD 12.5)歳、男性が71%で、症状発現からの平均期間は14.4(10.8)年、診断からの平均期間は6.9(8.9)年であった。76%がHLA-B27陽性、81%がNSAIDの投与を受けていた。 14週時のASAS40達成率は、upadacitinib群が52%(48/93例)と、プラセボ群の26%(24/94例)と比較して有意に優れ(p=0.0003)、治療群間差は26%(95%信頼区間[CI]:13~40)であった。 upadacitinib群はプラセボ群に比べ、14週時に、以下の項目についても改善が認められた。ASAS20(p=0.0010)、ASAS部分寛解(p<0.0001)、強直性脊椎炎疾患活動性指標の50%以上(BASDAI50)の改善(p=0.0016)、カナダ脊椎関節炎研究コンソーシアム(SPARCC)のMRI脊椎スコア(p<0.0001)とMRI仙腸関節スコア(p<0.0001)、疾患活動性スコア(ASDAS、p<0.0001)、身体機能指標(BASFI、p=0.0013)、マーストリヒト強直性脊椎炎付着部炎スコア(MASES、p=0.0488)、強直性脊椎炎測定指数(BASMI、p=0.0296)、強直性脊椎炎QOL(ASQoL、p=0.0156)、ASAS健康指標(p=0.0073)。 有害事象は、upadacitinib群が62%(58/93例)、プラセボ群は55%(52/94例)で報告された。upadacitinib群で最も頻度の高い有害事象は、クレアチン・ホスホキナーゼ上昇(9%[8例])であり、次いで下痢、鼻咽頭炎、頭痛がそれぞれ5%(5例)に認められた。重篤な感染症、帯状疱疹、悪性腫瘍、静脈血栓塞栓イベントおよび死亡はみられず、重篤な有害事象は1例ずつ(upadacitinib群:変形性脊椎関節症、プラセボ群:心血管疾患)で発現した。 著者は、「これらのデータは、体軸性脊椎関節炎の治療におけるupadacitinibのさらなる検討を支持するもの」としている。現在、非盲検下での90週の継続試験が進行中だという。

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アトピー児の皮膚生検にテープストリッピング法が有用

 早発性アトピー性皮膚炎(AD)児の皮膚生検を低侵襲で行える再現性ある手法として、テープストリッピング法が有用であることが示された。米国・マウントサイナイ医科大学のEmma Guttman-Yassky氏らによる検討で、小児ADの病変もしくは非病変の皮膚バイオマーカーとなり、治療反応の追跡や将来的な経過、並存疾患の予測に有用である可能性が示された。AD表現型の評価には皮膚生検の分子プロファイリングが標準であるが、皮膚生検は小児にとって常に適しているとは限らない。縦断研究や臨床試験で皮膚疾患を追跡評価できる、再現性ある低侵襲のアプローチが不足していた。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年10月9日号掲載の報告。 研究グループは、テープストリッピング法により特定した皮膚バイオマーカーが、全組織生検によって特定したバイオマーカーの代替となり得るかを断面調査にて評価した。 2016年1月22日~2018年4月20日の間、シカゴのAnn & Robert H. Lurie小児病院の皮膚科外来で計51例の5歳未満児を登録。このうち21例は早期発症(罹病期間6ヵ月未満)の中等度~重度AD児であり(AD児群)、30例は非AD児または本人・家族のAD歴がない児であった(非AD児群)。 AD児においては、可能な限り、16枚のD-Squameテープストリップで連続的に肘前窩の病変皮膚を集めた。また、同じ腕の近接皮膚から非病変皮膚を集めた。非AD児の皮膚検体も同一期間に同一部位から集めた。 テープストリップは連続的にラベリングをし、最初の2枚は破棄。定量リアルタイムPCR法および免疫組織化学法で、遺伝子およびタンパク質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・AD児21例は、平均(SD)年齢1.7(1.7)歳で、大半が男児(15例、71.4%)・白人(15例、71.4%)であった。非AD児30例は、1.8(2.0)歳で、大半が女児(20例、66.7%)、白人(22例、73.3%)であった。・評価した79種の免疫およびバリア遺伝子産物のうち77種が検出された(遺伝子検出率97%)。・それらはテープストリップ71枚のうち70枚で検出された(サンプル検出率99%)。・79種のうち53種について、AD児の病変および/または非病変でマーカーとして識別ができ、また非AD児においても識別ができた。・T細胞(CD3)、AD関連の樹状細胞(FcεRIとOX40リガンド受容体)、炎症性のキー細胞(マトリックス金属ペプチダーゼ12)、自然免疫細胞(IL-8、IL-6)、ヘルパーT細胞2(TH2[IL-4、IL-13]、ケモカインCCL17とCCL26)、TH17/TH22(IL-19、IL-36G、S100Aタンパク質)といった多くの細胞マーカー遺伝子が、正常皮膚からのテープストリップ検体と比べて、AD児の病変および非病変では有意に増大していた。たとえば、IL-4は病変皮膚では平均(SE)-15.2(0.91)であり、正常皮膚では-19.5(0.48)であった(p<0.001)。・表皮性バリア遺伝子産物(FLG、CLDN23、FA2H)と負の免疫レギュレータ(IL-34、IL-37)では、平行して低下が発生していた。たとえば、FLGは皮膚病変では平均(SE)-2.9(0.42)と低下していたが、正常皮膚では2.2(0.45)であった(p<0.001)。・重症度や経表皮水分蒸散量と、AD病変および非病変皮膚(SCORing Atopic Dermatitis[SCORAD]、Eczema Area and Severity Index[EASI]、Pruritus Atopic Dermatitis Quickscore[ADQ]ツールで評価)のTH2(IL-33、IL-4R)やTH17/TH22(IL-36G、S100As)産生との間で、関連性が認められた。

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新たなJAK阻害薬、中等症~重症の成人アトピー性皮膚炎に有効

 アトピー性皮膚炎(AD)に対するJAK阻害薬の開発が進んでいる。開発中の経口JAK1選択的阻害薬abrocitinib(PF-04965842)について、中等症~重症の成人ADに対する短期使用の有効性および忍容性が、第IIb相プラセボ対照無作為化試験で確認された。カナダ・SKiN Centre for DermatologyのMelinda J. Gooderham氏らが報告した。abrocitinibは、ADの病理生理学的特性に重要な役割を担うサイトカイン(IL-4、IL-13、IL-31、インターフェロンγなど)のシグナル伝達を阻害する。今回の第II相試験では、200mg、100mg、30mg、10mgの各用量を1日1回投与し、プラセボとの比較検証を行った。なお、本試験の結果を受けてabrocitinibの200mgと100mgの有効性と安全性を評価する第III相試験が行われている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年10月2日号掲載の報告。 試験は2016年4月15日~2017年4月4日に、オーストラリア、カナダ、ドイツ、ハンガリー、米国の58施設で行われた。試験デザインには二重盲検並行群間比較が用いられた。 被験者は、中等症~重症との診断を受けてから1年以上、局所療法の効果不十分または禁忌(12ヵ月間で4週間以上)の18~75歳の患者267例であった。 被験者を無作為に1対1対1対1対1の5群に割り付け、abrocitinib(200mg、100mg、30mg、10mg)またはプラセボを12週間投与した。 主要アウトカムは、医師による全般的評価(IGA:Investigator's Global Assessment)による改善度が、12週時にベースラインから2グレード以上改善し、消失(0)またはほぼ消失(1)に達した患者の割合とした。副次アウトカムは、EASIスコア(Eczema Area and Severity Index)のベースラインから12週時の変化率とした。 有効性はFAS(full analysis set)で評価した。試験薬を1投与以上受けた全患者を包含し、1試験地での4例を除く修正intention-to-treat集団(263例)を対象とした。 主な結果は以下のとおり。・267例のうち144例が女性であった(平均年齢40.8[SD 16.1]歳)。abrocitinib群(200mg群55例、100mg群56例、30mg群51例、10mg群49例)、プラセボ群56例であった。・12週時点で、主要アウトカムを達成した患者の割合は、abrocitinib 200mg群21/48例(43.8%、両側検定のp<0.001)、100mg群16/54例(29.6%、p<0.001)で、プラセボ群は3/52例(5.8%)であった。30mg群は4/45例(8.9%、p=0.56)、10mg群は5/46例(10.9%、p=0.36)であった。・上記の結果は、最大効果モデルベースの推定値では、200mg群44.5%(95%信頼区間[CI]:26.7~62.3)、100mg群27.8%(14.8~40.9)、プラセボ群6.3%(-0.2~12.9)に相当した。・EASIの低下率は、200mg群82.6%(90%CI:72.4~92.8、p<0.001)、100mg群59.0%(48.8~69.3、p=0.009)で、プラセボ群35.2%(24.4~46.1)であった。・治療関連有害事象(TEAE)は、184/267例(68.9%)、計402件報告されたが、そのほとんどが軽症であった。・TEAEはいずれの群でも3例以上報告があった。最も頻度が高かったのは、アトピー性皮膚炎の悪化、上気道感染症、頭痛、悪心、下痢であった。・abrocitinib群では用量依存の血小板数の減少が観察されたが、4週以降はベースライン値へと上昇に転じた。

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スティーブンス・ジョンソン症候群〔SJS : Stevens-Johnson Syndrome〕、中毒性表皮壊死症〔TEN : Toxic Epidermal Necrolysis〕

1 疾患概要■ 概念・定義薬疹(薬剤性皮膚障害)は軽度の紅斑から重症型までさまざまであるが、とくにスティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson Syndrome:SJS)型薬疹と中毒性表皮壊死症(Toxic epidermal necrolysis:TEN)型薬疹は重篤な経過をたどり、死に至ることもある。両疾患はウイルス感染症や細菌感染症に続発して生じることもあるが、原因の大半は薬剤であるため、本稿では両疾患をもっぱら重症型薬疹の病型として取り扱う。■ 疫学近年、薬剤による副作用がしばしばマスコミを賑わせているが、薬疹は目にみえる副作用であり、とくに重症型薬疹においては訴訟に及ぶこともまれではない。重症型薬疹の発生頻度は、人口100万人当たり、SJSが年間1~6人、TENが0.4~1.2人と推測されている。2009年8月~2012年1月までの2年半の間に製薬会社から厚生労働省に報告されたSJSおよびTENの副作用報告数は1,505例(全副作用報告数の1.8%)で、このうち一般用医薬品が被疑薬として報告されたのは95例であった。原因薬剤は多岐にわたり、上記期間にSJSやTENの被疑薬として報告があった医薬品は265成分にも及んでいる。カルバマゼピンなどの抗てんかん薬、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛消炎薬、セフェム系やニューキノロン系抗菌薬、アロプリノールなどの痛風治療薬、総合感冒薬、フェノバルビタールなどの抗不安薬による報告が多いが、それ以外の薬剤によることも多く、最近では一般用医薬品による報告が増加している。■ 病因薬疹は薬剤に対するアレルギー反応によって生じることが多く、I型(即時型)アレルギーとIV型(遅延型)アレルギーとに大別できる。I型アレルギーによる場合は、原因薬剤の投与後数分から2~3時間で蕁麻疹やアナフィラキシーを生じる。一方、大部分を占めるIV型アレルギーによる場合は、薬剤投与後半日から2~3日後に、湿疹様の皮疹が左右対側に生じることが多い。薬剤を初めて使用してから感作されるまでの期間は4日~2週間のことが多いが、場合によっては10年以上安全に使用していた薬剤でも、ある日突然薬疹を生じることがある。患者の多くは薬剤アレルギーの既往がなく突然発症するが、重症型薬疹の場合はウイルスなど感染症などが引き金になって発症することも多い。男女差はなく中高年に多いが、20~30代もまれではない。近年、免疫反応の異常が薬疹の重症化に関与していると考えられるようになった。すなわち、免疫やアレルギー反応は制御性T細胞とヘルパーT細胞とのバランスによって成り立っており、正常な場合は、1型ヘルパーT細胞による免疫反応を制御性T細胞が抑制している。通常の薬疹では(図1)、1型ヘルパーT細胞が薬剤によって感作されて薬剤特異的T細胞になり、同じ薬剤の再投与により活性化されると薬疹が発症する。画像を拡大するしばらく経つと制御性T細胞も増加・活性化するため、過剰な免疫反応が抑制され、薬疹は軽快・治癒する。ところが、重症型薬疹の場合(図2)は、ウイルス感染などにより制御性T細胞が抑制され続けているため、薬疹発症後も免疫活性化状態が続く。薬剤特異的T細胞がさらに増加・活性化しても、制御性T細胞が活性化しないため、薬剤を中止しても重症化し続ける。画像を拡大する細胞やサイトカインレベルからみた発症機序を示す(図3)。画像を拡大する医薬品と感染症によって過剰な免疫・アレルギー反応を生じ、活性化された細胞傷害性Tリンパ球(CD8 陽性T細胞)や単球、マクロファージが表皮細胞を傷害してネクロプトーシス(ネクローシスの形態をとる細胞死)を誘導し、表皮細胞のネクロプトーシスが拡大することによりSJSやTENに至る、と考えられている。■ 症状重症型薬疹に移行しやすい病型として、とくに注意が必要なのは多形滲出性紅斑で、蕁麻疹に似た標的(ターゲット)型の紅斑が全身に生じ、短時間では消退せず、重症例では皮膚粘膜移行部にびらんを生じ、SJSに移行する。SJSは、全身の皮膚に多形滲出性紅斑が多発し、口唇、眼結膜、外陰部などの皮膚粘膜移行部や口腔内の粘膜にびらんを生じる。しばしば水疱や表皮剥離などの表皮の壊死性障害を来すが、一般に体表面積の10%を超えることはない。38℃以上の発熱や全身症状を伴うことが多く、死亡もまれではない。TENは最重症型の薬疹で、全身の皮膚に広範な紅斑と、体表面積の30%を超える水疱、表皮剥離、びらんなど表皮の重篤な壊死性障害を生じる。眼瞼結膜や角膜、口腔内、外陰部に粘膜疹を生じ、38℃以上の高熱や激しい全身症状を伴い、死亡率は30%以上に及ぶ。救命ができても全身の皮膚に色素沈着や視力障害を残し、失明に至ることもある。また、皮膚症状が軽快した後も、肝機能や呼吸器などに障害を残すことがある。なお、表皮剥離が体表面積の10%以上30%未満の場合、SJSからTENへの移行型としている。■ 予後SJS、TENともに、薬剤を中止しても適切な治療が行われなければ非可逆的に増悪し、ステロイド薬の全身投与にも反応し難いことがある。皮疹の経過は多形滲出性紅斑 → SJS → TENと増悪していく場合と、最初からSJSやTENを生じる場合とがある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)薬疹は皮疹の分布や性状によってさまざまな病型に分類されるが、重症型薬疹は一般に、(1)急激に発症し、急速に増悪、(2)全身の皮膚に新鮮な発疹や発赤が多発する、(3)結膜、口腔、外陰などの粘膜面や皮膚粘膜移行部に発赤やびらんを生じる、(4)高熱を来す、(5)全身倦怠や食欲不振を訴える、などの徴候がみられることが多い。皮膚のみならず、肝腎機能障害、汎血球・顆粒球減少、呼吸器障害などを併発することも多いため、血算、白血球分画、生化学、非特異的IgE、CRP、血沈、尿検査、胸部X線撮影を行う。また、ステロイド薬の全身投与前に糖尿病の有無を調べる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 治療の実際長年安全に使用していた薬剤でも、ある日突然重症型薬疹を生じることもあるため、基本的に全薬剤を中止する。どうしても中止できない場合は、治療上不可欠な薬剤以外はすべて中止するか、系統(化学構造式)のまったく異なる、患者が使用した経験のない薬剤に変更する。急速に増悪することが多いため、入院させて全身管理のもとで治療を行う。最強クラスの副腎皮質ステロイド薬(クロベタゾールプロピオン酸など)を外用し、副腎皮質ステロイド薬の全身投与(プレドニゾロン 30~60mg/日)を行う。治療効果が乏しければ、ステロイドパルス(メチルプレドニゾロン 1,000mg/日×3日)およびγグロブリン(献血グロベニン 5g/日×3日)の投与を早急に開始する。反応が得られなければ、さらに血漿交換や免疫抑制薬(シクロスポリン 5mg/kg/日)の投与も検討する。■ 原因薬剤の検索治癒した場合でも再発予防が非常に重要である。原因薬剤の検索は、皮疹の軽快後に再投与試験を行うのが最も確実であるが、非常にリスクが大きい。入院させて通常処方量の1/100程度のごく少量から投与し、漸増しながら経過をみるが、薬疹に対する十分な知識や経験がないと、施行は困難である。再投与試験に対する患者の了解が得られない場合や、安全面で不安が残る場合は、皮疹消退後にパッチテストを行う。パッチテストは非常に安全な検査で、しかも陽性的中率が高いが、感度は低く60%程度しか陽性反応が得られない。また、ステロイド薬の内服中は陽性反応が出にくくなる。In vitroの検査では「薬剤によるリンパ球刺激試験」(drug induced lymphocyte stimulation test:DLST)が有用である。患者血清中のリンパ球と原因薬剤を反応させ、リンパ球の幼若化反応を測定するが、感度・陽性的中率ともにパッチテストよりも低い。DLSTは薬疹の最盛期にも行えるが、発症から1ヵ月以上経つと陽性率が低下する。したがって、再投与試験を行えない場合はパッチテストとDLSTの両方を行い、両者の結果を照合することにより原因薬剤を検討する。現在、健康保険では3薬剤まで算定できる。4 今後の展望近年、重症型薬疹の発症を予測するバイオマーカーとして、ヒト白血球抗原(Human leukocyte antigen:HLA)(主要組織適合遺伝子複合体〔MHC〕)の遺伝子多型が注目されている。すなわち、HLAは全身のほとんどの細胞の表面にあり免疫を制御しているが、特定の薬剤による重症型薬疹(SJS、TEN)の発症にHLAが関与しており、とくに抗痙攣薬(カルバマゼピンなど)、高尿酸血症治療薬(アロプリノール)による重症型薬疹と関連したHLAが相次いで発見されている。さらに、同じ薬剤でも人種・民族により関与するHLAが異なることが明らかになってきた(表)。画像を拡大するたとえば、日本人のHLA-A*3101保有者がカルバマゼピンを使用すると、8人に1人が薬疹を発症するが、もしこれらのHLA保有者にカルバマゼピン以外の薬剤を使用すると、薬疹の発症頻度が1/3になると推測されている。また、台湾では、カルバマゼピンによる重症型薬疹患者のほぼ全員がHLA-B*1502を保有しており、保有者の発症率は非保有者の2,500倍も高いといわれている。そのため台湾では、カルバマゼピンとアロプリノールの初回投与前には、健康保険によるHLA検査が義務付けられている。このようにあらかじめ遺伝子多型が判明していれば、使用が予定されている薬剤で重症型薬疹を起こしやすいか否かが予測できることになる。5 主たる診療科複数の常勤医のいる基幹病院の皮膚科、救命救急センター※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報医薬品・医療機器等安全性情報 No.290(医療従事者向けのまとまった情報)医薬品・医療機器等安全性情報 No.293(医療従事者向けのまとまった情報)医薬品・医療機器等安全性情報 No.285(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報SJS患者会(SJSの患者とその家族の会)1)藤本和久. 日医大医会誌. 2006; 2:103-107.2)藤本和久. 第5節 粘膜症状を伴う重症型薬疹(スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症). In:安保公介ほか編.希少疾患/難病の診断・治療と製品開発.技術情報協会;2012:1176-1181.3)重症多形滲出性紅斑ガイドライン作成委員会. 日皮会誌. 2016;126:1637-1685.公開履歴初回2014年01月23日更新2019年10月21日

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ピロリ除菌療法は慢性蕁麻疹患者に有益?

 ヘリコバクター・ピロリ菌(H. pylori:HP)が慢性特発性蕁麻疹(CSU)の発生および症状の持続と関連する可能性を示唆する知見が、韓国・高麗大学校医科大学のHyun Jung Kim氏らによるメタ解析の結果、示された。CSU症状を抑制するうえでHP除菌療法の影響が重要な意味を持つ一方、CSU寛解は除菌の成功とは関連しないことなどが明らかになったという。結果を踏まえて著者は「HPとCSUの関連メカニズムを評価するためには、さらなる研究が推奨される」とまとめている。これまでHP感染症がCSUの病因に関与していると考えられてはいたが、CSU症状改善に関するHP除菌療法の効果は明らかにされていなかった。Helicobacter誌オンライン版2019年9月15日号掲載の報告。 研究グループは、HP感染症とCSUの関連を明らかにし、HP除菌療法がCSU患者に有益であるかどうかを評価するため、メタ解析を行った。 2018年10月に、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Library、SCOPUS、Web of Scienceを検索し、CSU患者に対するHP除菌療法の効果を検討した研究を特定した。ランダム効果モデルを用い、プール解析でリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を求めた。 主な結果は以下のとおり。・22試験がメタ解析に包含された。CSU患者は計1,385例であった。・HP陽性患者とHP陰性患者の比較において、蕁麻疹様症状の自然寛解はHP陰性患者で有意に高率であった(RR:0.39、95%CI:0.19~0.81)。・HP陽性CSU患者において、HP除菌療法成功群は別として、HP除菌療法を受けた患者群では受けなかった患者群より、CSUの寛解が多い傾向があった(RR:2.10、95%CI:1.20~3.68)。・しかしながら、CSUの寛解に、抗菌薬によるHP除菌療法が成功したか否かにおいての有意な差はみられなかった(RR:1.00、95%CI:0.65~1.54)。

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(膿疱性)乾癬〔(pustular) psoriasis〕

1 疾患概要■ 概念・定義表皮角化細胞の増殖あるいは角質の剥離障害によって、角質肥厚を主な病態とする疾患群を角化症という。なかでも炎症所見の顕著な角化症、つまり潮紅(赤くなること)と角化の両者を併せ持つ角化症を炎症性角化症と称するが、乾癬はその代表的疾患である1)。乾癬は、遺伝的要因と環境要因を背景として免疫系が活性化され、その活性化された免疫系によって刺激された表皮角化細胞が、創傷治癒過程に起こるのと同様な過増殖(regenerative hyperplasia)を示すことによって引き起こされる慢性炎症性疾患である2)。■ 分類1)尋常性(局面型)乾癬最も一般的な病型で、単に「乾癬」といえば通常この尋常性(局面型)乾癬を意味する(本稿でも同様)。わが国では尋常性乾癬と呼称するのが一般的であるが、欧米では局面型乾癬と呼称されることが多い。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の75.9%を占める3)。2)関節症性乾癬尋常性(局面型)乾癬患者に乾癬特有の関節炎(乾癬性関節炎)が合併した場合、わが国では関節症性乾癬と呼称する。しかし、この病名はわかりにくいとの指摘があり、今後は皮疹としての病名と関節炎としての病名を別個に使い分けていく方向になると考えられるが、保険病名としては現在でも「関節症性乾癬」が使用されている。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の14.6%を占める3)。3)滴状乾癬溶連菌性上気道炎などをきっかけとして、急性の経過で全身に1cm程度までの角化性紅斑が播種状に生じる。このため、急性滴状乾癬と呼ぶこともある。小児や若年者に多く、数ヵ月程度で軽快する一過性の経過であることが多い。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の3.7%を占める3)。4)乾癬性紅皮症全身の皮膚(体表面積の90%以上)にわたり潮紅と鱗屑がみられる状態を紅皮症と呼称するが、乾癬の皮疹が全身に拡大し紅皮症を呈した状態である。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の1.7%を占める3)。5)膿疱性乾癬わが国では単に「膿疱性乾癬」といえば汎発性膿疱性乾癬(膿疱性乾癬[汎発型])を意味する(本稿でも同様)。希少疾患であり、厚生労働省が定める指定難病に含まれる。急激な発熱とともに全身の皮膚が潮紅し、無菌性膿疱が多発する重症型である。尋常性(局面型)乾癬患者が発症することもあれば、本病型のみの発症のこともある。妊娠時に発症する尋常性(局面型)乾癬を伴わない本症を、とくに疱疹状膿痂疹と呼ぶ。2016年の日本乾癬学会による調査では全体の2.2%を占める3)。■ 疫学世界的にみると乾癬の罹患率は人口の約3%で、世界全体で約1億2,500万人の患者がいると推計されている4)。人種別ではアジア・アフリカ系統よりも、ヨーロッパ系統に多い疾患であることが知られている4)。わが国での罹患率は、必ずしも明確ではないが、0.1%程度とされている5)。その一方で、健康保険のデータベースを用いた研究では0.34%と推計されている。よって、日本人ではヨーロッパ系統の10分の1程度の頻度であり、それゆえ、国内での一般的な疾患認知度が低くなっている。世界的にみると男女差はほとんどないとされるが、日本乾癬学会の調査ではわが国での男女比は2:16)、健康保険のデータベースを用いた研究では1.44:15)と報告されており、男性に多い傾向がある。わが国における平均発症年齢は38.5歳であり、男女別では男性39.5歳、女性36.4歳と報告されている6)。発症年齢のピークは男性が50歳代で、女性では20歳代と50歳代にピークがみられる6)。家族歴はわが国では5%程度みられる6,7)。乾癬は、心血管疾患、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、肥満、メタボリックシンドローム、非アルコール性脂肪肝、うつ病の合併が多いことが知られており、乾癬とこれらの併存疾患がお互いに影響を及ぼし合っていると考えられている。膿疱性乾癬に関しては、現在2,000人強の指定難病の登録患者が存在し、毎年約80人が新しく登録されている。尋常性(局面型)乾癬とは異なり男女差はなく、発症年齢のピークは男性では30~39歳と50~69歳の2つ、女性も25~34歳と50~64歳の2つのピークがある8)。■ 病因乾癬は基本的にはT細胞依存性の免疫疾患である。とくに、細胞外寄生菌や真菌に対する防御に重要な役割を果たすとされるTh17系反応の過剰な活性化が起こり、IL-17をはじめとするさまざまなサイトカインにより表皮角化細胞が活性化されて、特徴的な臨床像を形成すると考えられている。臓器特異的自己免疫疾患との考え方が根強くあるが、明確な証明はされておらず、遺伝的要因と環境要因の両者が関与して発症すると考えられている。遺伝的要因としてはHLA-C*06:02(HLA-Cw6)と尋常性(局面型)乾癬発症リスク上昇との関連が有名であるが、日本人では保有者が非常に少ないとされる。また、特定の薬剤(βブロッカー、リチウム、抗マラリア薬など)が、乾癬の誘発あるいは悪化因子となることが知られている。膿疱性乾癬に関しては長らく原因不明の疾患であったが、近年特定の遺伝子変異と本疾患発症の関係が注目されている。とくに尋常性(局面型)乾癬を伴わない膿疱性乾癬の多くはIL-36受容体拮抗因子をコードするIL36RN遺伝子の機能喪失変異によるIL-36の過剰な作用が原因であることがわかってきた9)。また、尋常性(局面型)乾癬を伴う膿疱性乾癬の一部では、ケラチノサイト特異的NF-κB促進因子であるCaspase recruitment domain family、member 14(CARD14)をコードするCARD14遺伝子の機能獲得変異が発症に関わっていることがわかってきた9)。その他、AP1S3、SERPINA3、MPOなどの遺伝子変異と膿疱性乾癬発症とのかかわりが報告されている。■ 症状乾癬では銀白色の厚い鱗屑を付着する境界明瞭な類円形の紅斑局面が四肢(とくに伸側)・体幹・頭部を中心に出現する(図1)。皮疹のない部分に物理的刺激を加えることで新たに皮疹が誘発されることをKoebner現象といい、乾癬でしばしばみられる。肘頭部、膝蓋部などが皮疹の好発部位であるのは、このためと考えられている。また、3分の1程度の頻度で爪病変を生じる。図1 尋常性乾癬の臨床像画像を拡大する乾癬性関節炎を合併すると、末梢関節炎(関節リウマチと異なりDIP関節が好発部位)、指趾炎(1つあるいは複数の指趾全体の腫脹)、体軸関節炎、付着部炎(アキレス腱付着部、足底筋膜部、膝蓋腱部、上腕骨外側上顆部)、腱滑膜炎などが起こる。放置すると不可逆的な関節破壊が生じる可能性がある。膿疱性乾癬では、急激な発熱とともに全身の皮膚が潮紅し、無菌性膿疱が多発する8)(図2)。膿疱が融合して環状・連環状配列をとり、時に膿海を形成する。爪病変、頬粘膜病変や地図状舌などの口腔内病変がみられる。しばしば全身の浮腫、関節痛を伴い、時に結膜炎、虹彩炎、ぶどう膜炎などの眼症状、まれに呼吸不全、循環不全や腎不全を併発することがある10)。図2 膿疱性乾癬の臨床像画像を拡大する■ 予後乾癬自体は、通常生命予後には影響を及ぼさないと考えられている。しかし、海外の研究では重症乾癬患者は寿命が約6年短いとの報告がある11)。これは、乾癬という皮膚疾患そのものではなく、前述の心血管疾患などの併存症が原因と考えられている。乾癬性関節炎を合併すると、前述のとおり不可逆的な関節変形を来すことがあり、患者QOLを大きく損なう。膿疱性乾癬は、前述のとおり呼吸不全、循環不全や腎不全を併発することがあり、生命の危険を伴うことのある病型である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)多くの場合、先に述べた臨床症状から診断可能である。症状が典型的でなかったり、下記の鑑別診断と迷う際は、生検による病理組織学的な検索や血液検査などが必要となる。乾癬の臨床的鑑別診断としては、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、亜鉛欠乏性皮膚炎、ジベルばら色粃糠疹、扁平苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、類乾癬、菌状息肉症(皮膚T細胞リンパ腫)、ボーエン病、乳房外パジェット病、亜急性皮膚エリテマトーデス、皮膚サルコイド、白癬、梅毒、尋常性狼瘡、皮膚疣状結核が挙げられる。膿疱性乾癬に関しては、わが国では診断基準が定められており、それに従って診断を行う8)。病理組織学的にKogoj海綿状膿疱を特徴とする好中球性角層下膿疱を証明することが診断基準の1つにあり、診断上は生検が必須検査になる。また、とくに急性期に検査上、白血球増多、CRP上昇、低蛋白血症、低カルシウム血症などがしばしばみられるため、適宜血液検査や画像検査を行う。膿疱性乾癬の鑑別診断としては、掌蹠膿疱症、角層下膿疱症、膿疱型薬疹(acute generalized exanthematous pustulosisを含む)などがある。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)1)外用療法副腎皮質ステロイド、活性型ビタミンD3製剤が主に使用される。両者を混合した配合剤も発売されている。2)光線療法(内服、外用、Bath)PUVA療法、311~312nmナローバンドUVB療法、ターゲット型308nmエキシマライトなどが使用される。3)内服療法エトレチナート(ビタミンA類似物質)、シクロスポリン、アプレミラスト(PDE4阻害薬)、メトトレキサート、ウパダシチニブ(JAK1阻害薬)、デュークラバシチニブ(TYK2阻害薬)が乾癬に対し保険適用を有する。ただし、ウパダシチニブは関節症性乾癬のみに承認されている。4)生物学的製剤抗TNF-α抗体(インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル)、抗IL-12/23p40抗体(ウステキヌマブ)、抗IL-17A抗体(セクキヌマブ、イキセキズマブ)、抗IL-17A/F抗体(ビメキズマブ)、抗IL-17受容体A抗体(ブロダルマブ)、抗IL-23p19抗体(グセルクマブ、リサンキズマブ、チルドラキズマブ)、抗IL-36受容体抗体(スペソリマブ)が乾癬領域で保険適用を有する。中でも、スペソリマブは「膿疱性乾癬における急性症状の改善」のみを効能・効果としている膿疱性乾癬に特化した薬剤である。また、多数の生物学的製剤が承認されているが、小児適応(6歳以上)を有するのはセクキヌマブのみである。5)顆粒球単球吸着除去療法膿疱性乾癬および関節症性乾癬に対して保険適用を有する。4 今後の展望抗IL-17A/F抗体であるビメキズマブは、現時点では尋常性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬に承認されているが、関節症性乾癬に対する治験が進行中(2022年11月現在)である。将来的には関節症性乾癬にもビメキズマブが使用できるようになる可能性がある。膿疱性乾癬に特化した薬剤であるスペソリマブ(抗IL-36受容体抗体)は静注製剤であり、現時点では「膿疱性乾癬における急性症状の改善」のみを効能・効果としている。しかし、フレア(急性増悪)の予防を目的とした皮下注製剤の開発が行われており、その治験が進行中(2022年11月現在)である。将来的には急性期および維持期の治療をスペソリマブで一貫して行えるようになる可能性がある。乾癬は慢性炎症性疾患であり、近年は生物学的製剤を中心に非常に効果の高い薬剤が多数出てきたものの、治癒は難しいと考えられてきた。しかし、最近では生物学的製剤使用後にtreatment freeの状態で長期寛解が得られる例もあることが注目されており、単に皮疹を改善するだけでなく、疾患の長期寛解あるいは治癒について議論されるようになっている。将来的にはそれらが可能になることが期待される。5 主たる診療科皮膚科、膠原病・リウマチ内科、整形外科(基本的にはすべての病型を皮膚科で診療するが、関節症状がある場合は膠原病・リウマチ内科や整形外科との連携が必要になることがある)※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 膿疱性乾癬(汎発型)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本皮膚科学会作成「膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン2014年度版」(現在、日本皮膚科学会が新しい乾癬性関節炎の診療ガイドラインを作成中であり、近い将来に公表されるものと思われる。一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報日本乾癬患者連合会(疾患啓発活動、勉強会、交流会をはじめとしてさまざまな活動を行っている。都道府県単位の患者会も多数存在し、本会のwebサイトから検索できる。また、都道府県単位の患者会では、専門医師を招いての勉強会や相談会を実施しているところもある)1)藤田英樹. 日大医誌. 2017;76:31-35.2)Krueger JG, et al. Ann Rheum Dis. 2005;64:ii30-36.3)藤田英樹. 乾癬患者統計.第32回日本乾癬学会学術大会. 2017;東京.4)Gupta R, et al. Curr Dermatol Rep. 2014;3:61-78.5)Kubota K, et al. BMJ Open. 2015;5:e006450.6)Takahashi H, et al. J Dermatol. 2011;38:1125-1129.7)Kawada A, et al. J Dermatol Sci. 2003;31:59-64.8)照井正ほか. 日皮会誌. 2015;125:2211-2257.9)杉浦一充. Pharma Medica. 2015;33:19-22.10)難病情報センターwebサイト.11)Abuabara K, et al. Br J Dermatol. 2010;163:586-592.公開履歴初回2019年9月24日更新2022年12月22日

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アトピー性皮膚炎患者の長期心房細動リスク、絶対リスクは低いものの1.2倍に

 アトピー性皮膚炎(AD)患者と心血管リスクの関連を示唆する報告が相次いでいる。デンマーク・オーフス大学病院のSigrun A. J. Schmidt氏らは、ADと心房細動の関連について35年の長期フォローアップ研究を行い、AD(中等症~重症)患者において、心房細動リスクが20%高いことを見いだしたという。ただし、絶対リスクは低いままであった。その背景要因として、著者は「患者は早期にADを発症することが多く、担当医は心疾患リスク低減に向けた健康的なライフスタイルを推奨する機会があるためと考えられる」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2019年8月20日号掲載の報告。 研究グループは、病院でADと診断された患者と心房細動の関連を明らかにするフォローアップ研究を行った。住民ベースのデンマークレジストリ(Danish National Patient Registry)を用いて、1977~2013年に入院または外来でADと診断された患者と、個別マッチングさせた比較コホートを特定。死亡、国外移住、心房細動と診断、もしくは2013年まで追跡した。 出生年と性別で補正後、Cox回帰法にて心房細動35年リスクを比較し、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。なお、検証試験として、同院皮膚科部門からADと診断された100例を無作為に選出し、研究者1人が患者カルテの精査を行った。 主な結果は以下のとおり。・AD患者群1万3,126例、対照群12万4,211例が解析に包含された。男性が43%、年齢中央値は19歳(四分位範囲:6~29)であった。・フォローアップ中央値19.3年において、心房細動35年リスクは、AD患者群は0.81%、対照群は0.67%であった。・AD診断の陽性反応適中度は99%であった。・AD患者群の対照群に対する補正前HRは1.2(95%CI:1.0~1.6)であった。同値は、さまざまな心房細動のリスク因子で補正後も、AD患者群のリスクは高いままであった(同:1.2、95%CI:0.9~1.5)。・35年リスクについて、性別(HR:女性1.6 vs.男性1.0)、診断時年齢(同:0~19歳1.6 vs. 20~63歳1.0~1.1)、喘息/関節リウマチ併存の診断(同:あり群1.7 vs.なし群1.0)、など、いくつか違いのあるエビデンスも見いだされた。・AD中等症群はHR:1.1(95%CI:0.8~1.6)、重症群はHR:1.3(95%CI:0.9~1.8)であった。・著者らは、本研究は、単一施設で行われた、中等症~重症のAD患者のみ、生活習慣のデータがない、という点で結果は限定的だとしている。

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アトピー性皮膚炎、FLG変異に人種差

 アトピー性皮膚炎(AD)とフィラグリン遺伝子(FLG)変異との関連について、米国・ペンシルベニア大学のDavid J. Margolis氏らは、軽症~中等症アトピー性皮膚炎児のコホートにおいて、FLG機能欠損(LoF)変異は人種による顕著な違いがみられること、そしてそれがADの持続と関連していることを明らかにした。ADとFLG変異の関連に関しては4つの変異が最もよく評価に使われている。今回の結果を踏まえて著者は、「従来の4つの変異を調べるだけでは不十分である。ADについてFLG LoF変異に基づく遺伝子診断テストを計画する場合は包括的に行うべきであり、最もよく試験されている変異に依存すべきではない」と指摘している。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年7月31日号掲載の報告。 研究グループは、アフリカ系とヨーロッパ系の小児におけるFLG LoF変異を包括的に詳述し、ターゲットシーケンスの結果を比較するとともに、それらの変異とADの持続との関連を調べる前向きコホート試験を行った。Pediatric Eczema Elective Registry(PEER)を用いてサブコホートの遺伝子を評価し、軽症~中等症のAD児が解析に包含された。Massively parallel sequencing(MPS)を用いて、白人種およびアフリカ系アメリカンの小児のFLG LoF変異に着目した。2005年6月~2017年7月に患者登録し、データは2019年1月25日~5月10日に解析された。主要評価項目は、FLG LoF変異と白人種およびアフリカ系アメリカンとの関連性、有するリスク、ADの持続とした。 主な結果は以下のとおり。・計741例の小児が解析に包含された。女児394例(53.2%)、男児347例(46.8%)、発症時の平均(SD)年齢は1.97(2.72)歳であった。・包含対象のうち、白人種394例(53.2%)、アフリカ系アメリカン326例(44.0%)、その他21例(2.8%)であった。・MPSにより、AD児と関連する23個のFLG LoF変異が見つかった。・全コホートにおいて、FLG LoF変異の保有児は177例(23.9%)であり、124例が白人種(白人種に占める割合31.5%)、50例がアフリカ系アメリカン(同15.3%)であった。・アフリカ系アメリカン小児と比較した白人種小児におけるあらゆるFLG LoF変異の保有オッズ比(OR)は、2.44(95%信頼区間[CI]:1.76~3.39)であった。・数種のFLG LoF変異が人種に特有のものとして見つかった(たとえば、p.S3316*とp.R826*は、白人種では認められなかった)。・FLG LoF変異保有児は、持続するADを有する傾向が認められた(OR:0.67、95%CI:0.56~0.80)。

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Dr.安部の皮膚科クイズ 初級編

第1回 皮膚は”こまかく”見るのが鉄則第2回 アトピーってどう判断するの?第3回 そのデキモノは青春の象徴?第4回 タコ・イボ・ウオノメ違いは何だ?第5回 皮膚のデキモノ、だから自己診断は危ない!第6回 赤くなるのはなぜ? 皮膚疾患はどう見たらいいのでしょうか?内科でも皮膚症状を見ることはありますが、どんなときに皮膚科に紹介すべきなのか。Dr.安部とデルマ先生が、クイズ形式でお教えします。初級編は誰もが遭遇する、メジャーな症例12問。最も疑われる疾患を挙げるクイズに挑戦してください!第1回 皮膚は”こまかく”見るのが鉄則皮膚科クイズのスタートです。内科とはまったく別の論理で診断をしなくてはいけないのが皮膚科疾患。このクイズでは、専門医がどこをどうみて診断をしているのか、その判断を内科でも使える形で紹介します。クイズ形式で観察のポイント、診断と治療、どんなときは皮膚科に紹介すべきか学んでいきましょう!第2回 アトピーってどう判断するの?皮膚疾患の診断は、一つひとつの皮疹を詳細に確認することが基本。全体の印象だけで決めることはできません。この原則はアトピー性皮膚炎の判断にも共通します。といっても皮疹って何?どんな種類があるの?クイズを解きながら勉強していきます。第3回 そのデキモノは青春の象徴?第5問は高齢女性でよくみる、顔にできた大きなデキモノ。患者さんは皮膚がんを心配しているけど、どう判断しますか?第6問は25歳の女性、パッと見でニキビにみえますが、実際は?クイズを通して皮膚を見る目を養いましょう。第4回 タコ・イボ・ウオノメ違いは何だ?第8問は足裏にできたボッコリと盛り上がったデキモノ。鑑別に挙がるのはタコ・イボ・ウオノメ。俗称で呼ばれるこれらは、できるメカニズムと特徴を知っていると、患者説明もスムーズです。症例クイズと解説でポイントを押さえましょう。第5回 皮膚のデキモノ、だから自己診断は危ない!第10問は内科でも必ず出合う”あの疾患”。患者が自己判断でステロイドを使ったらこんなことに…。まさかこの疾患だなんて、知っていないと思いもつかないんです。ぜひ番組で確認してください!第6回 赤くなるのはなぜ?第11問は、きれいな四角に発赤した症例。第12問は高齢女性の顔に出現した痛みを伴う発赤。いずれも”赤く”なっていますが、疾患は全く別。それぞれクイズに挑戦してください!

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今シーズンのハチ毒被害に備える方策

 第68回 日本アレルギー学会学術大会(会長:相良 博典氏[昭和大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門])が、6月13~15日まで都内で開催された。大会期間中、喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎など多彩なセッションが開催された。 これからのシーズン、ハチ刺されによるアナフィラキシーショックの事例も増えることから、本稿では教育講演で行われた「ハチアレルギーの現状」の概要をお届けする。アドレナリン注射はなるべく早く打つ 講演では、平田 博国氏(獨協医科大学埼玉医療センター 准教授)を講師に迎え、ハチ毒による症状、治療、アレルゲン免疫療法(予防)について説明が行われた。 アナフィラキシーショック(全身性アレルギー反応)による死亡者数は、年間50~70名程度発生し、うちハチ毒に関係する死亡は、薬剤に次いで多く第2位となっている。 被害をもたらすハチは、ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチの3種で、とくにアシナガバチによる被害が多い。患者では、林業、農業や養蜂業従事者に被害が多く、そのほか、ゴルフ場、建築関係、造園業などの職種も多いという。 症状として、ハチに刺されたことで蕁麻疹、紅斑、嘔吐・嘔気、呼吸器症状などが現れる。心停止の中央値は15分という報告もある。小児と成人では、成人の方が重症化する傾向がある。 治療ではアナフィラキシー症状が出現した場合、アドレナリン注射(商品名:エピペン)が第一選択薬である。とくに症状が軽症と思われる場合でも、急変が予想され、アドレナリン注射は、副作用も軽微なことからまず「打つ」ことが求められる。30分以上経過しての注射では死亡率も増加することが報告されており、「なるべく早く打つことが重要」と指摘する。ハチ被害が多い職業従事者でも低い危機意識 ハチに刺されるリスクの高い職種では、アドレナリン自己注射を携帯してもらい、緊急の場合、自己注射してもらう対策が広く行われている。 ところが平田氏らによる2015年の研究調査では、林業従事者で特異的IgE抗体陽性者のアドレナリン注射処方率は全体の約3割であり、うち常時携帯している者は約5割だったという。また、2016年にはハチ刺されによる全身症状を経験したアドレナリン注射処方者でも約4割弱しか実際に注射しなかったという結果を報告した。 今後の課題としては、アドレナリン注射の事前処方の重要性の啓発、軽症でも注射する必要がある病識の知識の向上と適切な使用法の指導など医療者からの介入や教育も必要と提案した。 最後にハチ毒アレルギーのアレルゲン免疫療法について、過去に実施した128例を示し、うち56例で再度ハチに刺されたものの、54例で重篤なアナフィラキシー症状は認められず、その有効性を報告した。同療法については、最低5年の継続が必要であるが、現在学会で保険適応化に向けて準備していると展望を語り、講演を終えた。■関連記事特集 アナフィラキシー

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アレルギー総合ガイドライン2019が発行、アレルギーとアナフィラキシーを網羅

 アレルギー疾患罹患率はとくに先進国で増加し、いまや日本人の約50%が何らかのアレルギー症状を有しているといわれる。代表的なアレルギー疾患に関する12の最新ガイドラインの内容を1冊にまとめた「アレルギー総合ガイドライン」の改訂版が、3年ぶりに発行された。アレルギー総合ガイドライン2019は診療科を超えて横断的に出現し、急性増悪のリスクもはらむアレルギー疾患に対して、標準的な臨床的対応を円滑に行うことができるよう、実用性を重視した構成となっている。「喘息予防・管理ガイドライン2018」「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017」「鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版(改訂第8版)」「アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第2版)」「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2018」「重症薬疹の診断基準」「接触皮膚炎診療ガイドライン」「蕁麻疹診療ガイドライン 2018」「食物アレルギー診療ガイドライン2016《2018年改訂版》」「ラテックスアレルギー安全対策ガイドライン2018」「職業性アレルギー疾患診療ガイドライン2016」「アナフィラキシーガイドライン」 ここでは、とくに2018年に改訂されたばかりの下記5冊のガイドラインについて、主な改訂内容を紹介する。 「喘息予防・管理ガイドライン2018」では、問診・聴診・身体所見の項目が新たに追加されたほか、治療においては長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の使用推奨範囲が拡大され、抗IL-5抗体、抗IL-5Rα抗体、気管支熱形成術が追加されている。さらに、2019年3月には、12歳以上の難治性喘息に抗IL-4Rα抗体製剤デュピルマブが保険適用になっている。これを受けてアレルギー総合ガイドライン2019では、成人喘息の治療ステップの中に追加され、小児喘息における位置づけについても、解説が追加されている。 「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2018」は、日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドラインと、厚生労働省研究班および日本アレルギー学会の診療ガイドラインの初の統合版。ステロイド外用薬の使い方などに関して、新たな知見(原則として2015年12月末まで)が反映されている。 「蕁麻疹診療ガイドライン 2018」は2011年以来7年ぶりの改訂版。2018年に発表された国際ガイドラインと、病型分類や重症度評価などで整合性をとる形に改訂されている。 「食物アレルギー診療ガイドライン2016《2018年改訂版》」は、「栄養食事指導」「経口免疫療法」について新たに章立てする形で詳細な記述が追加された。また、ヒスタミン遊離試験のキットの発売中止、牛乳アレルゲン除去調製粉乳の微量元素添加の終了、アナフィラキシー治療の際のアドレナリンの併用禁忌の解除などが反映されている。 「ラテックスアレルギー安全対策ガイドライン2018」では、加硫促進剤が主要なアレルゲンで、非ラテックス製手袋でも報告されている「化学物質による遅発型アレルギーである接触皮膚炎」についての記述を追加。最新のラテックスフリーの製品や加硫促進剤フリーゴム手袋の一覧が収載された。 そのほか、「職業性アレルギー疾患診療ガイドライン2016」については、刊行後に判明した最新エビデンスを加えた内容が、アレルギー総合ガイドライン2019に掲載されている。■「食物アレルギー」関連記事メロンアレルギーの主要アレルゲンを確認非専門医向け喘息ガイドライン改訂-喘息死ゼロへ

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犬との暮らし、乳幼児の食物アレルギーを予防か

 わが国ではペットの飼育方法が変化し、近年、室内での飼育が進んでいる。それに伴いペット飼育と健康について高い関心が集まっているなかで、犬を飼うことが乳幼児にメリットを与えるという新たな知見が報告された。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのThomas Marrs氏らは、食物アレルギー予防の無作為化試験「Enquiring About Tolerance(EAT)試験」に登録された生後3ヵ月の児1,303人について、犬猫飼育の有無とアレルギー発症との関連を調査。その結果、犬の飼育が食物アレルギー予防と関連する可能性が示されたという。Allergy誌オンライン版2019年5月11日号掲載の報告。 アレルギー疾患の負荷を軽減する鍵として、食物アレルギーの予防が挙げられる。食物アレルギーの発現リスクは環境曝露によって左右され、一部は、乳幼児期のマイクロバイオームの発達による可能性がある。しかし、これまでペット飼育など、潜在的に保護的な環境曝露が食物アレルギーにもたらす影響については、大規模調査が行われていなかった。そこで、研究グループはEAT試験の被験者のサブ解析を行った。 試験登録時、被験者のペット所有とアトピー性皮膚炎(AD)について、それぞれの有無を調査。3、12、36ヵ月時に経皮および血清での試験にて、食物およびエアロアレルゲン感作を調べ、1~3歳時に二重盲検プラセボ対照食物負荷試験(DBPCFC)を行い、食物アレルギーの状態を確認した。 主な結果は以下のとおり。・食物アレルギーと確認されたのは、完全データが得られた参加者のうち6.1%(68/1,124人)であった。・食物アレルギーと帝王切開、生後間もない時期の感染症または抗菌薬曝露との間に、有意な関連は認められなかった。・アトピー性疾患の家族歴、母親の犬/猫感作、および参加者のADを補正後、犬と暮らすことによって乳幼児期の食物アレルギー発症率が90%低下するという関連が認められた(補正後オッズ比[aOR]:0.10、信頼区間[CI]:0.01~0.71、p=0.02)。・2匹以上の犬と暮らしていた乳幼児49人では、食物アレルギー発症者が1人もみられず、用量反応関係があることが示唆された(飼育する犬が増えるごとのaOR:0.12、CI:0.02~0.81、p=0.03)。・犬または猫を飼うこととAD発症との間に関連性は認められなかった。

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