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気血水~四君子湯・四物湯・五苓散~【Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬】第8回

気血水~四君子湯・四物湯・五苓散~前回は急性熱性疾患の六病位を解説しました。太陽病、少陽病、陽明病、太陰病、少陰病、厥陰病(けっちんびょう)ですね(図1)。図1 六病位画像を拡大する病気が進行する場合には、このようなフレームワークを使えるのですが、病気の進行があまり目立たない慢性疾患の場合に、どのように漢方薬を選んでいくかという話はまだできていません。そのため、今回は気血水を扱いたいと思います。まずは、それぞれの概念から解説していきます。気血水気(き)というのは物質的な裏付けがありません。要するにエネルギーとお考えください。最近は武術だけじゃなくて、漫画やアニメでも「気」という言葉がたくさんでてきます。あのイメージでまったく問題ありません。血(けつ)というのは赤くて循環している液体を指すため、基本的には血液と考えて構いません。実際には血液だけでなく、血液が運んでくる栄養なども血の概念に含まれているため、あまり「血=血液」と考えすぎないほうがスムーズに理解できる事柄もあります。最後の水(すい)は血液以外の体液を指します。気、血、水は互いに独立した概念とまでは言い切れません。たとえば、気は血と水がうまく循環するのに大切なものです。そのため、気血水のどこかに問題が生じると、ほかの要素にも問題が波及するということはよくあります(図2)。図2 気血水画像を拡大する少し哲学的な雰囲気の話になってしまったところもあって、わかりにくい部分もあったかもしれません。そこで、実際の症候で解説しようと思います。気逆、気鬱、気虚まず、気の問題には気逆(きぎゃく)、気鬱(きうつ)、気虚(ききょ)があります(図3)図3 気逆、気鬱、気虚画像を拡大する気逆は、エネルギーが体の下から上に突き上げる現象で、たとえば、吐き気、のぼせがこれに該当します。感冒初期に頭痛がするのも気逆の一種で、葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)、桂枝湯(けいしとう)に含まれる桂皮(けいひ)がこれを治してくれます。げっぷ、しゃっくりも気逆の一種ですね。気鬱は、体のどこかでエネルギーが痞(つか)えることです。たとえば、胸が痞える感じ。女性のヒステリー球などとよく言いますが、恋の病もこれに該当します。あとは、便秘も「お通じが悪い」って言いますよね。エネルギーの通りが悪いのです。こういったものが気鬱です。最後に気虚。これは簡単で、エネルギー不足のことです。もっとも、この気虚、つまりエネルギー不足はさらに大きく2つに分けることができて、先天的な気の不足と後天的な気の不足に分けられます。RPGでも格闘ゲームでもなんでもいいのですが、体力ゲージ、HPゲージをイメージしてください。最大HPに相当するのが先天的な気で、現在のHPに相当するのが後天的な気です。そうすると、「おにぎり」のような体力回復アイテムで回復できるのは、後天的な気の方になります。先天的な気は、生まれながらにして持っているエネルギーですが、これは腎に宿っていると漢方では考えていて、加齢とともに衰えていきます。この衰えをゆっくりにする漢方薬としては、腎気丸(じんきがん)こと八味地黄丸(はちみじおうがん)というものがあります。一方で、後天的な気というのは、食事と呼吸を通じて日常的に補給していくもので、お腹の調子を整えることが大事になってきます。そのため、後天的な気を補って気虚を治す漢方薬には、腸管に優しい生薬が含まれているんですね。人参(にんじん)はその代表格です(図4)。図4 気虚に対する漢方薬画像を拡大するお血、血虚次に血の異常をみていきます。血の循環が滞っている状態をお血(おけつ)といいます。たとえば、動脈硬化症、血栓症、あとは多血症がこれに該当します。皮下出血もそうです。あと、「血=血液」で捉えるとわかりにくいのですが、肉ばかり食べている方は、顔のお肌がガサガサに荒れてシミや吹き出物が出てきたり、赤ら顔になったりするのです。これもお血に含みます。血が足りていない状態を血虚(けっきょ)といいます。単純に貧血と考えていただいて大丈夫ですが、貧血になると目が霞んできたり、鉄欠乏であれば爪が割れてきたりと、いろいろな症状が出てきます(図5)。また、顔が青白い。こういった症状に対しては、造血機能を高めたり、出血していればそれを止めたりするために、漢方薬が用いられるわけです。たとえば、桂枝湯の回で触れた当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)は血虚に対して使えます。図5 お血、血虚画像を拡大する水毒次は水の異常です。簡単に思い浮かぶのは浮腫ですね。もちろん、浮腫も水毒のひとつです。あとは、雨が降ると頭痛がしたり、めまいがしたりする方がいますよね。あれも水毒です。気象関連片頭痛とか、メニエール病の内リンパ水腫をイメージするとわかりやすいかもしれません。花粉症の時に鼻水が出るのも水毒で、関節液が貯留するのも水毒です。胃に水がたまってポチャポチャするのも水毒です(図6)。要は水が絡んでいて、その水が赤くない。つまり血でないのなら、水毒と考えておおむね差し支えありません。そう考えると、結構広い概念ですね。図6 水毒画像を拡大する四君子湯、四物湯、五苓散ここまで、気血水の異常を説明してきました。漢方診察では、目の前の患者が気血水の異常をそれぞれどのくらいの割合で持っているのか、症状や身体所見から考えます。それをもとに、漢方薬を選んでいくという話になってくるわけです。ここで、気血水の異常を治す漢方薬として、絶対に知っておきたい漢方薬を3種類だけ紹介しておきたいと思います。それは四君子湯(しくんしとう)、四物湯(しもつとう)、五苓散(ごれいさん)です。私がナンバーズ3兄弟と呼んでいるものです。四君子湯は気虚、四物湯は血虚、五苓散は水毒を治す漢方薬ですが(図7)、それぞれに含まれている生薬を覚えるだけで、この先に出てくる気血水向きの漢方薬を簡単に理解できるようになります。図7 ナンバーズ3兄弟画像を拡大するまとめ今回の内容をまとめていきます。急性熱性疾患の六病位というフレームワークとは別に、今回は慢性期疾患でも使える気血水を説明しました。気血水の異常には、気逆、気鬱、気虚、お血、血虚、水毒が挙げられます。診察時には、症状や所見からこれらのどれに当てはまるのかを観察してから漢方薬を選びます。本連載はここまでとなります。ここから先は、CareNeTVの「Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬」で、ナンバーズ3兄弟の助けを借りながら、気血水の異常を各論で学んでいきます。ぜひ入会してご覧ください。

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タイムアウトマーケットに行ってきた!【Dr. 中島の 新・徒然草】(633)

六百三十三の段 タイムアウトマーケットに行ってきた!良い季節になりましたね。最近は花粉に悩まされることもありません。もうすぐ梅雨の入りですが、大阪では6月上旬~中旬になるとのこと。雨の合間を縫って洗濯物を干す必要があります。さて、今回は梅田の「グラングリーン大阪」というビルの地下にある「タイムアウトマーケット」についてお話ししましょう。というのも、梅田北の再開発エリアで学会が開催されることが多くなったからです。タイムアウトマーケットは海外発のフードコート。アジアでは大阪店が最初にオープンしました。ところが、できたばかりなのに閑古鳥が鳴いているなどとYouTubeなどで揶揄されています。その理由は価格設定が強気すぎるからとのこと。オープンからまだそれほどたっていませんが、すでに撤退した店舗もあるようです。果たしてそんなに閑散としているのか?言われるほど無茶苦茶な値段なのか?平日の昼に梅田に行く用事があったので、その帰りに寄ってみました。時刻は14時30分ごろ。普通のフードコートでも客が少ない時間帯です。で、巨大な空間に自分1人かと思ったら、結構な人数が入っていました。少なめではありますが、まったく人がいないわけではありません。気になる値段のほうは、11~15時までのランチの最低が1,500円くらい。高めとはいえ、昨今の価格設定といったらこんなものでしょう。種類は、肉、メキシコ料理、英国料理、カレー、ハンバーガー、うどん、スイーツなど。なんでも、関西の有名レストランがフードコート形式で出店しているのだとか。さすがに1,500円のうどんはちょっと躊躇しますが、カツカレーなら試してみようかなと思います。フードコートのいいところは、席がいくらでも空いているということ。1人でも全然平気なこと。グループで行って、それぞれに好きな物を注文できること、などです。私は2回行って、それぞれカツカレーとハンバーガーを食べてみました。現金は使えないとのことで、使用したのは交通系ICカードです。確かに1,500円の味はしました。また行きたいとも思います。ただ、タイムアウトマーケットに行くのが難しいのは事実。もともと梅田駅周辺の地下は迷路でしたが、再開発で大変なことになっています。それを楽しもうというのであれば悪くありません。が、日差しや雨を避けて行こうとすると難しいです。正しい経路がわかっていれば、距離的には全然大したことはないのですが。また、このタイムアウトマーケットを取り巻くように、食べ物屋がたくさんありました。同じくらいの値段のする鮨とかお好み焼きとか焼き鳥屋とか。そちらのほうもカジュアルな店構えで結構にぎわっていました。これらの店も探検しなくてはいけませんね。そういえば、内科外来で隣の診察室にいる先生が学会を主催していましたが、その会場がグラングリーン大阪でした。ホームページの会長あいさつには「大阪の新名所を楽しんでください」とありましたが、そのとおりだと思います。学会場を探している先生方、この辺りも有力候補ですよ。ということで、大阪での学会に参加したら、ぜひ時間を見つけて再開発エリアに足を運んでみてください。最後に1句 梅雨入りの ダンジョン歩き 汗をかく

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アトピーは学業成績に影響するか

 アトピー性皮膚炎(AD)は、睡眠障害や併存疾患、あるいは心理社会的影響により学業成績を低下させる可能性があるが、集団ベースの縦断的研究によるエビデンスは限られている。英国・London School of Hygiene & Tropical MedicineのRita J. Iskandar氏らは、デンマークおよび英国の小児約78万人を対象とした並行コホート研究において、ADは学業成績の低下と関連するか、またその関連は疾患表現型や社会経済的背景によって異なるかどうかを検討した。JAMA Dermatology誌オンライン版2026年4月8日号掲載の報告。 本研究は、デンマークおよび英国における、ADを有する小児および有さない小児を対象とした集団ベースの並行コホート研究。デンマークでは、全国的なレジストリから1986~2000年に出生した小児を抽出し、2018年まで追跡調査を行った。英国では、Avon親子縦断研究(ALSPAC)から得られた1991~92年に出生した小児データを、国立生徒データベース(National Pupil Database)と連携させ、2009年まで追跡調査を行った。データ解析は2022年10月~2024年4月に実施された。 ADは、13歳未満での診断(デンマーク)または11.5歳までの母親から2回以上のADの報告(イングランド)と定義した。デンマークの分析では、遺伝的因子を考慮するため、AD罹患状況が異なり両親を同じくする兄弟姉妹を対象とした反復解析を実施した。 主要評価項目は、16歳時の義務教育修了時の全国統一試験における不合格の成績(2値アウトカム;ポアソン回帰による割合比)および平均学業成績スコア(連続アウトカム;線形回帰による平均差)であった。 主な結果は以下のとおり。・両研究を合わせて、計78万2,837人の小児が対象となった。・デンマーク(n=77万6,214人、AD患者1万259人、女児38万6,408人[49.8%])では、AD患者と非AD患者の間で、不合格率(12.0%vs.11.2%、調整割合比[aPR]:1.06、95%信頼区間[CI]:1.01~1.12)および平均学業成績(調整平均差:-0.06ポイント、95%CI:-0.11~-0.01)に差は認められなかった。・活動性AD患者では、非AD患者と比較して不合格率の高さとの関連がみられた(aPR:1.19、95% CI:1.03~1.37)。・兄弟姉妹間における解析でも同様の結果が得られた。・イングランド(n=6,623人、AD患者2,967人、女児3,332人[50.3%])では、AD患者は非AD患者に比べて、不合格率がわずかに低く(37.7%vs.47.4%、aPR:0.88、95%CI:0.83~0.93)、平均学業成績が高かった(調整平均差:10.48ポイント、95%CI:6.49~13.86)。・表現型分析によると、中等度-寛解型(moderate-declining)および中等度-頻発型(moderate-frequent)AD患者の成績が優れることがこれらの結果を主に説明しており、軽度-間欠型(mild-intermittent)または重度-頻発型(severe-frequent)AD患者の成績は、非AD患者または症状のほとんどないAD患者と同程度であった。・全体として、学業成績について、表現型や社会経済的背景による一貫した差異はみられなかった。 著者らは、「2つの大規模コホートにおけるトライアンギュレーション(triangulation)アプローチによる検討と多重解析により、ADは義務教育修了時の全国統一試験における学業成績の著しい低下とは関連がない可能性が高いことが示された」とし、「本結果はADを有する小児やその家族、教員や臨床医にとって安心材料となるもの」とまとめている。

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小児のアトピー性皮膚炎、確実な予防方法はないが治療の選択肢は豊富

 小児のアトピー性皮膚炎の発症を予防するために親ができることは極めて少ないことが、新たなガイドラインで示された。特別な食事療法、入浴を控えること、母乳育児、プロバイオティクスのサプリメントといった広く知られている対策が小児のアトピー性皮膚炎の予防に有効であることを示すエビデンスは見つからなかったという。一方、既にアトピー性皮膚炎を発症している小児には、皮膚のかゆみを和らげるための効果的な治療法が多くあるとしている。米国皮膚科学会(AAD)が作成したこのガイドラインは、「Journal of the American Academy of Dermatology」に4月7日掲載された。 AADによると、これは同学会が発表した初めての小児のアトピー性皮膚炎に関するガイドラインであるという。AAD会長のMurad Alam氏は、「アトピー性皮膚炎に罹患している小児は極めて多いが、症状の現れ方や経過は必ずしも成人と同じではない。アトピー性皮膚炎は小児や家族の生活の質(QOL)を低下させる可能性があるため、最善の治療が確実に行われるようにするためには、小児に特化したガイドラインが必要である」とニュースリリースで述べている。 ガイドラインを作成した研究グループが既存の医学的エビデンスを検討した結果、小児のアトピー性皮膚炎の発症を予防できる真に有効な方法はないとの結論に至った。ただし、保湿剤のみは生後6カ月~3歳の小児のアトピー性皮膚炎の発症を減少させるという目的で「条件付き推奨」の治療法として位置付けられた。条件付き推奨は、その治療法のベネフィットとリスクが拮抗している場合に示される。一方、食事療法や入浴を控えること、ビタミンDやプロバイオティクスのサプリメント、離乳食の早期導入、母乳育児、硬水の軟化、ダニなどのアレルゲンへの曝露を減らすといった他の予防法に関しては、十分なエビデンスがないと結論付けられた。 一方で、小児のアトピー性皮膚炎の治療に関しては、多くの治療法が「強い推奨」として位置付けられた。有効性が明らかにされている治療法には以下が含まれる。・皮膚の乾燥やかゆみの軽減を目的とした保湿剤・再燃時の第一選択薬となるステロイド外用薬・再燃の管理を目的としたカルシニューリン阻害外用薬(pimecrolimus〔国内未承認〕またはタクロリムス軟膏)・かゆみ軽減と再燃頻度の抑制を目的としたホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(crisaborole軟膏、roflumilastクリーム〔いずれも国内未承認〕)・軽症~中等症の患者の乾燥やかゆみの重症度の軽減を目的とした外用ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬(ルキソリチニブクリーム〔日本ではアトピー性皮膚炎に対する適応は未承認〕、タピナロフクリーム)・軽症〜重症患者における炎症軽減、皮膚バリア機能の改善、乾燥やかゆみを伴う皮膚症状の軽減を目的とした局所用アリル炭化水素受容体(AhR)アゴニスト(タピナロフクリーム)・中等症~重症の患者の症状の重症度低下、再燃の減少、かゆみの軽減を目的としたモノクローナル抗体(デュピルマブ、トラロキヌマブ、レブリキズマブ、ネモリズマブ〔外用薬と併用〕)・中等症~重症の患者の症状の重症度低下、かゆみの軽減を目的としたJAK阻害薬(ウパダシチニブ、アブロシチニブ、バリシチニブ) ガイドラインではまた、入浴、ウェットラップ療法、光線療法についても小児のアトピー性皮膚炎の治療法として条件付きで推奨している。一方で、ステロイドの経口薬や注射薬の使用については急激で重度の再燃が見られた患者に限定すべきであり、長期的には使用しないことを強く推奨するとされている。さらに、外用抗菌薬の使用や薬剤と光線療法を組み合わせたPUVA療法についても実施しないことが条件付きで推奨された。 AADのアトピー性皮膚炎ガイドライン作業部会の共同委員長であるDawn Davis氏は、「このガイドラインは、患者やケア提供者、そして医学会を教育し、彼らを支援することで、アトピー性皮膚炎の小児ができる限り最善の治療を受けられるようにするために作成された。早期からの積極的な介入によって、患者やその家族は症状やQOLの改善が期待できる」と述べている。

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若年成人期の過敏性腸症候群のリスク因子を特定

 16歳時に過敏性腸症候群(IBS)を有することは、24歳時にIBSを有することを予測する最も強いリスク因子であり、16歳時にIBSであった人の33.6%は24歳時でも診断基準を満たすとする研究結果が、「Gastroenterology」に1月30日掲載された。 ヨーテボリ大学(スウェーデン)サールグレンスカアカデミーのJessica Sjölund氏らは、1990年代半ばに出生した4,089人を若年成人期まで追跡したスウェーデンのBAMSE出生コホートのデータを用い、24歳時のIBSの有無に関連する思春期のリスク因子、および16歳から24歳にかけてのIBSの持続に関連する因子を検討した。曝露因子の大半は16歳時に評価されていた。 対象者2,539人のデータを解析した結果、24歳時のIBS有病率は10.0%であり、女性であること、知覚ストレスの高値、アトピー性皮膚炎、片頭痛またはうつ病の既往、健康関連QOLの低値がIBSと関連していた。16歳時のIBSは、24歳時のIBSに対する最も強いリスク因子であった。また、機能性腹痛、自己評価による心理的苦痛および全般的な健康状態不良、食物過敏、短い睡眠時間も、成人期のIBSのオッズ上昇と関連していた。16歳時にIBSであった人のうち33.6%が、24歳時においてもIBSの診断基準を満たしていた。IBSの持続と強く関連していた因子は親のIBS症状であり、それ以外の因子は統計学的に有意ではなかった。 Sjölund氏は、「思春期のIBSは固定した状態ではないことが示された」と述べている。 なお、複数の著者がバイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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診断エラーを防ぐ-小児科の落とし穴

迷いのない診断、日常診療に潜む誤診の回避体験を読んで積み上げる臨床は知識と経験に基づく連続したタスクであり、状況によって変化する。そのため正確な診断には常に誤診のリスクが付きまとう。本書は国立成育医療研究センターの医師60人が総力を挙げて執筆。診断エラーを回避するため、コミュニケーション技術に基づく問診、身体診察、検査、家族説明、鑑別疾患、診断のステップを通して、落とし穴の回避術をシステマティックに展開。収載された、教科書では得られないニアミス症例、ピットフォール症例が心に刻み込まれる。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する診断エラーを防ぐ-小児科の落とし穴定価4,400円(税込)判型A5判(並製)頁数296頁発行2026年3月編集窪田 満(国立成育医療研究センター)/永井 章(国立成育医療研究センター)ご購入はこちらご購入はこちら

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桂枝湯の派生処方 生薬の±で方剤を覚える【Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬】第5回

桂枝湯の派生処方 生薬の±で方剤を覚える前回 、桂枝湯(けいしとう)が麻黄湯(まおうとう)や葛根湯(かっこんとう)に比べて虚証向きの漢方薬で、お腹に優しいということを述べました。その理由としては、桂枝湯には麻黄(まおう)が含まれていないこと、代わりに芍薬(しゃくやく)、大棗(たいそう)、生姜(しょうきょう)といった胃腸の調子を整える生薬が含まれていることが関係しているのでした(図1)。今回は、この話を芍薬、あるいは芍薬と甘草(かんぞう)のコンビに着目して掘り下げていこうと思います。図1 桂枝湯の構成生薬画像を拡大する桂枝湯±芍薬芍薬が入っている桂枝湯がお腹に優しいということは、芍薬を「もっと」増やすとお腹にも「もっと」優しくなりそうですよね。では、桂枝湯を芍薬マシマシにしてみましょう。すると、桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)ができあがります。これは、過敏性腸症候群で腹痛と下痢に悩まされている患者に使うといい薬です。しかし、過敏性腸症候群は下痢型だけではありません。便秘型もありますよね。そうしたら、センノシドを含む生薬をブレンドすればいいのです。大黄(だいおう)という生薬がちょうどセンノシドを含むため、桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)を使えばいいという話になるわけです。逆に、桂枝湯から芍薬を抜いてくるとどうなるか。すると、桂枝去芍薬湯(けいしきょしゃくやくとう)という漢方薬になります。これは、お腹への優しさが減る代わりに、胸に優しくなります。感冒の患者の中には、肺炎や痰詰まりがなくても、胸が苦しいという方がたまにいらっしゃいますよね。そういった患者には、桂枝去芍薬湯が効いてきます。もっとも、桂枝去芍薬湯はエキス製剤がないので、実臨床で使うのにはハードルが高いという問題があります。桂枝去芍薬湯のニュアンスを丸ごと含む漢方薬としては、炙甘草湯(しゃかんぞうとう)という漢方薬があって、これはちょうど「東洋の抗不整脈薬」に相当するもので、動悸・息切れに効く漢方薬なんですね。やはり胸に優しいという話になってくるわけです。ここまでを図2にまとめます。図2 桂枝湯±芍薬に派生する漢方薬画像を拡大する建中湯シリーズの派生いったん話題を戻して、桂枝加芍薬湯まで戻ってきましょう。漢方薬の味が苦手だという患者もいると思います。そのような場合は、桂枝加芍薬湯に水飴を加えてやると、子供にも飲みやすい漢方薬ができると思いませんか。そこで、桂枝加芍薬湯に水飴、厳密には膠飴(こうい)という生薬ですが、これを入れてしまいます。そうすると、なんと小建中湯(しょうけんちゅうとう)ができあがります。これは、虚弱体質の小児が体調不良になった時に使う薬です。体調不良でエネルギー不足なので、お腹に優しい漢方薬と飴から得られるエネルギーで消化管から体調をたて直そうというコンセプトの漢方薬です(図3)。図3 小建中湯への派生画像を拡大するさらにさらに! 小建中湯からいわゆる「建中湯」シリーズを派生させることができます。たとえば、小建中湯から飴を抜いて、補血作用のある当帰(とうき)を加えると、当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)になって、消化管だけでなく女性器由来の腹痛にも対応しやすくなります(図4)。図4 当帰建中湯への派生画像を拡大するまた、小建中湯に黄耆(おうぎ)というお肌を引き締めてくれる生薬を加えると、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)になって、虚弱体質の小児で寝汗がひどい場合や、アトピー性皮膚炎に悩まされている場合に対応できる漢方薬になります(図5)。図5 黄耆建中湯への派生画像を拡大する大建中湯(だいけんちゅうとう)は小建中湯と生薬の組み合わせが大きく異なるため(図6)、そこだけ注意していただきたいのですが、このように、生薬に着目することで建中湯シリーズを一気にたくさんインプットすることができるのです。この勉強法は知っておいて損はないかと思います。図6 小建中湯と大建中湯の構成生薬画像を拡大するまとめ桂枝湯は芍薬など胃腸を整える生薬が複数含まれていて、この部分を強化すると漢方薬の派生形を生み出すことができます。たとえば、胃腸を整える生薬のひとつとして芍薬がありますが、芍薬を桂枝湯に加えることで、いわゆる建中湯と呼ばれる漢方薬のグループを生み出すことができます。生薬を足し引きすることで、漢方薬を芋づる式にインプットする。これも漢方上達の近道だと個人的には考えています。次回は、小柴胡湯を取り上げ、感冒の初期段階が終わった後の漢方治療のお話をします。お楽しみに!

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貧血を伴わない鉄欠乏は、中等度~重度のアトピー性皮膚炎で高頻度に認められる

 中等度~重度のアトピー性皮膚炎(AD)では、貧血を伴わない鉄欠乏が高頻度に認められるとする研究結果が、「Nutrients」に11月28日掲載された。 ヴロツワフ医科大学(ポーランド)のMalgorzata Ponikowska氏らは、AD患者における鉄代謝の状態を評価し、疾患重症度および生活の質(QOL)との関連を検討した。解析対象は、中等症~重症のAD成人患者86人であった。 解析の結果、ヘモグロビン値は概ね正常であるにもかかわらず、鉄欠乏を示す鉄バイオマーカーの異常が、AD患者に多く認められた。具体的には、患者の45%はトランスフェリン飽和度が低く(Tsat 20%未満)、37%はフェリチン値が低く、26%は血清鉄が低値であった。さらに、高感度C反応性蛋白5mg/L超で定義される炎症性活性化が認められる患者では、血清鉄およびTsatの低下、可溶性トランスフェリン受容体の上昇を特徴とするパターンが認められた。多変量解析において、血清鉄の低下は皮膚疾患に関連したQOL評価(Dermatology Life Quality Index;DLQI)のスコア悪化と独立して関連していた。また、トランスフェリン高値は、湿疹面積・重症度指数(Eczema Area and Severity Index;EASI)およびアトピー性皮膚炎重症度評価(SCORing Atopic Dermatitis;SCORAD)で測定した疾患重症度の増大と関連した。 著者らは、「本研究により、鉄代謝の調節異常すなわち鉄欠乏が、ADにおける全身性の特徴として高頻度に認められることが示された。これらの異常は疾患重症度やQOL低下と関連しており、鉄代謝の変化はADの臨床像に関連する修正可能な全身性因子である可能性がある。今後の研究では、鉄欠乏を標的とした介入が患者のアウトカムを改善し得るかどうか検討する必要がある」と述べている。

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ニセ警察からの電話【Dr. 中島の 新・徒然草】(624)

六百二十四の段 ニセ警察からの電話だんだん暖かくなってきましたね。花粉さえなければ最高の季節なんですけど。ChatGPTの厳しい指導のもと、私は毎日6,000歩のウォーキングを続けています。花粉の多い日でも何とかノルマを達成しなくてはなりません。なので、家の中をグルグルと歩いて辻褄を合わせております。さて、先日は外来で患者さん(50代、女性)に驚くべき録音を聞かされました。なんと、ニセ警察からスマホにかかってきた詐欺電話です。早速、診察室で再生してもらいました。 ニセ 「大阪府警ですが静岡県警から捜査協力の要請を受けて○田○子さんにご連絡しております」 患者 「はいはい」 ニセ 「現在静岡県警と合同捜査中の事件に関する内容で、○田さんにお伝えしなくてはならない重要な事項がありますので」 患者 「はい、は~い」 このニセ警察、妙に爽やかです。好青年すぎて逆に違和感しかありません。ホンモノの大阪府警って、もっと馴れ馴れしいオッチャンたちばっかりな気がします。まあ、関西人というのは、私も含めて全体に爽やかさが足りないわけですが。 ニセ 「本人確認書類となる身分証明書をお持ちのうえで、本日ですね、大阪府警の警察本部にお越しいただくことは可能でしょうか」 患者 「はい」 ここでニセ警察にちょっとした戸惑いが感じられました。電話をかけた相手が、まさか大阪に住んでいるとは思っていなかったのかもしれません。詐欺の場合は「そんな遠くは行けません」と言わせておいて、「それではビデオ通話で取り調べを行います」と提案し、ニセの警察手帳や逮捕状を見せて本物と信じ込ませるのが通常の手口なのだとか。さらにやり取りは続きます。 ニセ 「お越しいただくことは可能ですか」 患者 「行きますよ」 ニセ 「何時頃来られますか」 患者 「何時でも」 ニセ 「すぐに来られる、と」 ここで急に患者さんの声が大きくなります。 患者 「どういったご用件ですか」 ニセ 「すぐに来られるということですか」 患者 「どういうご用件ですか。静岡県警の誰ですか!」 「ブチッ」という音とともに電話は切れてしまいました。あまりにも面白いやり取り、そのまま聞き流すのももったいない。そこで診察室でもう一度再生してもらって、自分のスマホで録音しました。自分も詐欺に遭わないためには、何回も聴く必要があります。家に持って帰って、女房にもこの録音を聞かせたところ…… 女房 「この人、何をいきなりキレているわけ?」 中島 「キレてるのかなあ。このくらい平常運転でしょう」 女房 「こんなに怒鳴られたら、ニセ警察もビックリしたと思うわ。いったい何の病気なの?」 中島 「高次脳機能障害やけど」 女房は「やっぱり!」という表情になりました。この患者さんはいつもこんな感じなので、私もすっかり慣れてしまっていました。確かにご本人は「私、腹が立ったら自分でも止められへんねん」と普段から言っています。たまたまこの患者さん、詐欺電話を受けた日にお姉さんが自宅に来ていたとのこと。このお姉さんは以前に警察に勤めていたこともあって、詐欺の手口もよく知っていました。横から「スピーカーにしろ」とか「録音しろ」とか紙に書いて指示されたそうです。さらに、警察からの連絡の場合は電話番号の下4桁が「1234」になるのだとか。言われてみれば、警察署の代表番号は常に「1234」です。詐欺を見破る有力な方法ですが、気が付きませんでした。ただ、最近は詐欺師のやり方も手が込んできて、こちらのディスプレイに表示される番号の下4桁が「1234」となることもあるとのこと。そうなると何が正しいのか、わからなくなってしまいます。が、少なくとも「1234」以外の番号から警察を名乗る電話がかかってきたら、疑ってかかったほうがよさそうですね。詐欺を巡っては、ほかにもいろいろな報道がされています。ニュースによると、最近の警察は「仮想身分捜査」なるものを行っているのだとか。これは捜査員が架空の身分で闇バイトに応募・潜入するもので、2025年には13件実施し、5人を摘発し、7件を未然防止したそうです。「ひょっとして捜査員が紛れ込んでいるかも」と犯罪組織に思わせたら、抑止効果のほうも期待できるかもしれません。ともあれ、読者の皆さんも、ニセ警察からの詐欺電話に引っ掛からないようご注意ください。最後に1句 彼岸過ぎ 詐欺師相手に ブチ切れる

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デュピルマブ、水疱性類天疱瘡の適応追加/サノフィ

 サノフィは2026年3月23日、水疱性類天疱瘡に対するデュピルマブ(商品名:デュピクセント)の製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。水疱性類天疱瘡は、自己免疫性の表皮下水疱を生じるまれな疾患で、本邦では指定難病とされている。全身に強い痒みや水疱、紅斑、びらん、痛みを伴い、再発を繰り返すため、日常生活に深刻な影響を及ぼす。主に高齢者に発症し、標準治療にはステロイド薬や免疫抑制薬が使用されるが、長期使用による合併症や副作用への影響が指摘されている。 今回の承認は、中等症~重症の成人水疱性類天疱瘡患者106例を対象とした第II/III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(ADEPT試験)の結果に基づいている。被験者はプラセボ群とデュピルマブ群に1:1で割り付けられ、治療開始時より経口ステロイド薬(OCS)を基礎治療として投与された。治療期間中は、すべての被験者について治験実施計画書で定義したOCS減量レジメンに従い、デュピクセント投与開始後6~16週にかけて疾患活動性が2週間コントロールされていればOCSの漸減を進めた。 主要評価項目である36週時に寛解持続を達成した患者の割合は、デュピルマブ群は18.2%、プラセボ群は4.0%であった(p=0.0250)。寛解持続の達成は、16週までに完全寛解かつOCS漸減を完了し、36週までの投与期間中に再燃が生じることなく、レスキュー療法を必要としないことと定義された。安全性データは、これまでデュピルマブで確立されている安全性プロファイルと同様であった。なお、水疱性類天疱瘡の適応症について、2025年3月にデュピルマブは希少疾病用医薬品に指定されている。<製品概要> ※下線は変更箇所商品名:デュピクセント皮下注300mgペン/同300mgシリンジ、デュピクセント皮下注200mgペン/同200mgシリンジ一般名:デュピルマブ(遺伝子組換え)効能又は効果:<300mgペン、300mgシリンジ>既存治療で効果不十分な下記皮膚疾患・アトピー性皮膚炎注)・結節性痒疹・特発性の慢性蕁麻疹・中等症から重症の水疱性類天疱瘡・気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)注)・慢性閉塞性肺疾患(既存治療で効果不十分な患者に限る)注)・鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)注)<200mgペン、200mgシリンジ>既存治療で効果不十分な下記皮膚疾患・アトピー性皮膚炎注)・特発性の慢性蕁麻疹・気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)注)注)適使用推進ガイドライン対象用法及び用量(抜粋):〈水疱性類天疱瘡〉通常、成人にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する。

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忍耐の市役所【Dr. 中島の 新・徒然草】(623)

六百二十三の段 忍耐の市役所花粉がきついです。外来中でも容赦がありません。今日は調子が良いぞと思っても、新たな患者さんが診察室に入ってくると、途端にクシャミが出たりします。「体調のほうはどうで……フ、フ、フ、ブワークショーン!」みたいな感じですね。たぶん、患者さんの服に付いた花粉にやられるのでしょう。クシャミに続いて鼻水と目の痒みも始まって、どうにもなりません。かくして、鼻をかむ合間に話をするという悲惨なことになってしまいます。話は変わって、先日のこと。マイナンバーカード更新の受け取りのために市役所に行ってきました。最近は何でも予約です。だからカードの受け取りも、あらかじめパソコンで予約しておかなくてはなりません。確か午後2時半か、そんなもんだったかな、私の予約は。実際に市役所に行ってみると、ものすごい数の人。予約を取っていても並ばなくてはなりませんでした。たぶんマイナンバーカードだけじゃなく、戸籍とか住民票とかの申請や受け取りも同じ部署が担当していたのでしょう。そのせいか、呼び出し用の受付番号も2000番台とか5000番台とか6000番台とか、いろいろなものが表示されていました。で、言われたとおりに並びます。しばらくして呼ばれて受け付けを済ませ、また別のところで自分の番号が表示されるのを待っていました。椅子も足りないので立ったままです。すると目の前で80代くらいの高齢女性が、職員を捕まえて文句を言っていました。予約を取っているのに、何でこんなに待たされるのか、と。そろいの赤いユニホームを着た職員は、そのお婆さんに謝りながら説明していました。「すみません、皆さんお待ちいただいていますので」「順番にお呼びしています」いくら説明しても、このお婆さんには通じません。私なんか、この人数を見たら待たされるのは仕方がない、と思ってしまうのですが。もっと言うと、こういった文句を言う人がいるから、職員が手を取られて余計に遅くなってしまうわけです。よほど横から言ってやろうかと思ったのですが、高齢者というのはそんなもんだ、と思って黙っていました。まあ、病院の状況も似たり寄ったりではあります。と、後ろからチラッとお婆さんの持っている番号札が見えました。私の2つ前。だったら、そんなに待っていないじゃん!で、そのうちお婆さんの番号が表示されました。でも、彼女は気が付いていません。だから、後ろからトントンと肩を叩いて「呼ばれてますよ」と言ってあげました。とくに私に礼を言うこともなく、お婆さんはヨロヨロとブースのほうに……そのうち私の番号も呼ばれましたが、そのお婆さんの隣のブースでした。担当職員による確認作業がいろいろありましたが、基本的には単純で退屈なものです。なので、隣のブースのやりとりに耳を澄ませてみました。どうやらお婆さんは、持ってくるべきものをいろいろと忘れてきたみたいです。それで一生懸命言い訳をしていました。思わず「それやったら、職員に文句を言ったりしたらアカンがな」と心の中で呟いてしまいます。いやいや、そんな余計なことより「人の振り見てわが振り直せ」と自らに言い聞かせるべきだったのかもしれません。家に帰ってこの話をしたところ、女房が大きくうなずきました。「あそこの市役所の職員は、日本一忍耐強い人たちよ」と。何でそんなことを知っているのか?女房も数ヵ月前にマイナンバーカードを取りに行ったからです。あの人混みと一生懸命に働いてる職員を見ていたので、そんな感想を持ったのでしょう。それにしても大変ですね、市役所職員も。私もその忍耐を見習わなくては、と思った次第です。最後に1句 市役所は 花粉と人で 地獄ぞな

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麻黄湯~麻黄と杏仁の鎮咳去痰作用【Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬】第3回

麻黄湯~麻黄と杏仁の鎮咳去痰作用麻黄湯(まおうとう)は、葛根湯(かっこんとう)と同じく感冒初期に使う漢方薬ですが、あくまで体の頑丈な人に使ってほしい薬です。その構成生薬は、麻黄(まおう)、杏仁(きょうにん)、桂皮(けいひ)、甘草(かんぞう)の4種類です。杏仁と聞くと、杏仁豆腐の甘味をイメージされる方が多いのですが、ここでいう杏仁というのは苦い種類のもので、甘いものとは少し種類が異なります。桂皮もシナモンの仲間ですが、これも厳密に言えば別物です。いきなり脇道に逸れてしまいましたが、麻黄湯は構成生薬がたったの4種類というのが重要なポイントです。つまり、効きが早いのです。飲んでから15分もあれば効果が出て、じんわりと汗が出てきます。また、守備範囲が狭いため、葛根湯のように誰にでも使える、どんな症状にでも使えるということはありません。葛根湯医者はいるけれど、麻黄湯医者はいないということで、あくまで体の頑丈な人に使うべき薬です。麻黄とは?今回は、そんな麻黄湯を構成生薬から読み解いていくのですが、まずは名前にも使われている麻黄に注目していきましょう。麻黄の代表的な成分はエフェドリンです。幕末生まれの日本人である長井 長義先生が発見した物質です。どんな物質かというと、α1、β1、β2受容体に作用してアドレナリンに類似した働きをします。麻酔科の先生方のほうがよくご存じかもしれませんが、エフェドリンはいわば「東洋のアドレナリン」と呼べる存在です。エフェドリンを使うと、当然ながら動悸が起こります。これが虚弱体質の人には結構こたえるため、やはり麻黄湯は体の頑丈な人に使いたいのです。もちろん、交感神経刺激作用があるということで、心疾患や排尿障害を有する患者に使うのは避けたほうが無難です。また、スポーツであればドーピングに引っ掛かる可能性があるため要注意です。逆に、麻黄は何の役に立つのか考えてみましょう。鼻閉の患者に対し、耳鼻科では局所血管収縮薬としてアドレナリンを鼻粘膜に吹き掛けますよね。じつはエフェドリンにも同じような効能があって、上気道の粘膜浮腫を和らげる作用があるのです。気管支も拡張するので、鎮咳去痰作用を発揮できるという理屈があります。ここで少し雑談を。いまの心肺蘇生、ACLS(二次救命処置)ではアドレナリンを使いますよね。古代中国の人も心肺停止を当然ながら起こしていたわけですが、じつは蘇生のために彼らはエフェドリンを使っていたのです。「いや、そんな馬鹿な」と思われる方もいると思いますが、じつは「還魂湯(かんこんとう)」という薬があって、麻黄湯から桂皮を抜いただけの漢方薬です。これを使っていたのです。どうやって飲ませていたのかという謎は残りますが、古典を紐解いているとこういった面白い知識に出くわすため、やはり「随証治療」で漢方を勉強するというのはお勧めです。杏仁とは?ここまで麻黄の話ばかりしていましたが、杏仁も麻黄湯には欠かせない生薬です。麻黄とは異なり、西洋医学的な裏付けが得にくいところは許してほしいのですが、杏仁には下気道や胃のまわりの浮腫を軽減する薬能があるとされています。そういうわけで、麻黄と杏仁を組み合わせると、上気道と下気道の浮腫を治すことができるのです。それが鎮咳去痰作用として働いてくると考えてください。麻黄と杏仁の組み合わせは麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)という漢方薬にも含まれていて、これは湿性咳嗽に対する定番薬です。また、花粉症で有名な小青竜湯(しょうせいりゅうとう)にも、杏仁は入っていないですが、麻黄が入っています。麦門冬湯(ばくもんどうとう)も咳止めとして有名ですが、麻黄と杏仁が入っておらず、湿性咳嗽に使う薬ではない点に注意してください。あくまで乾性咳嗽に使う薬です(表1)。表1 咳嗽に対する漢方薬画像を拡大する古典に学ぶ麻黄湯と葛根湯の違いここまでの内容をまとめると、麻黄湯は感冒初期に使う漢方薬で麻黄が入っている関係上、虚弱体質の人には使いにくい、湿性咳嗽に一定の効果があるとご理解いただければと思います。理解をより深めるために、古典の条文も読んでみましょう(図1)。図1 麻黄湯の古典条文画像を拡大する頭痛、発熱、咳だけじゃなくて、節々が痛いんですよ。これは、西洋医学だとどんな病気でしょう。インフルエンザですよね。とくに免疫がしっかりしている若者のインフルエンザだとこういった派手な症状が出てくるわけで、そういった患者さんに麻黄湯が好んで使われます。前回出てきた葛根湯の条文と並べてみるとやはり少し違いますよね(図2)。図2 麻黄湯と葛根湯の古典条文画像を拡大する麻黄湯は節々の痛みが強烈に出ていて、咳もする。葛根湯は首の後ろが凝っている。節々の痛みや咳はあってもいいけれど、そこまで目立たない。その背景として、麻黄湯は構成生薬数が少なくて、麻黄や杏仁が主力として働いている。葛根湯は構成生薬が少し多めで、麻黄の薬能が少し緩和されているという違いがあるわけです。ちなみに、共通点としては、感冒初期であることと、汗がないことの2点です。汗がないというのは体が丈夫であることと関係しているのですが、このあたりは次回触れる予定です。まとめ麻黄湯は体が丈夫な人の感冒初期に使いますが、体の節々の痛みが使用の目安になっているところがあって、結論としてはインフルエンザに使いやすい漢方薬となっています。麻黄湯は湿性咳嗽にもある程度は有効ですが、これは気道の浮腫をやわらげてくれる麻黄と杏仁の組み合わせのおかげです。余裕がある方は、麻黄と杏仁に着目しながら、麻杏甘石湯、小青竜湯、麦門冬湯の違いもインプットしてみるといいかもしれません。麻黄湯にはエフェドリンが含まれていて、その副作用やドーピングには注意する必要があります。次回は、残りの1つである桂枝湯のお話です。楽しみにしていてください!

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子どもの食物アレルギー、原因は遺伝だけではない

 子どもが食物アレルギーを発症するかどうかを決める要因は、遺伝子だけではないようだ。新たな研究で、抗菌薬の使用や他の免疫疾患の存在、アレルゲンとなる食品の導入が遅れることも、子どもの食物アレルギーの発症に関与している可能性のあることが示された。マクマスター大学(カナダ)のDerek Chu氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Pediatrics」に2月9日掲載された。Chu氏は、「われわれの研究結果は、食物アレルギーの傾向を遺伝だけで完全に説明することはできず、遺伝子、皮膚の健康、マイクロバイオーム、環境要因が重なり合って食物アレルギーの発症に関与していることを示している」とニュースリリースで述べている。 この研究では、6歳未満の子どもを対象にした世界40カ国の190件の研究データ(対象者は総計280万人)が分析された。食物経口負荷試験を用いた16件の研究を統合して解析した結果、IgE媒介性アレルギーの6歳までの平均発症率は4.7%と推定された。176件の研究で342種類のリスク因子が特定されていたが、エビデンスの確実性が高く、IgE媒介性アレルギーとの関連が最も強いと判断されたのは、乳児期のアレルギー性疾患の既往であった。具体的には、生後1年以内のアトピー性皮膚炎(オッズ比3.88)、アレルギー性鼻炎(同3.39)、喘鳴(同2.11)が、いずれも大幅なリスク上昇と関連していた。 また、食物アレルギーの家族歴もリスク因子であり、特に、両親(同2.07)やきょうだい(同2.36)にアレルギーがある場合にはリスクが2倍以上に上昇した。さらに、ピーナッツ、ナッツ類、卵などのアレルゲン食品の導入が遅いことも関連因子であり、例えば、1歳を過ぎてからピーナッツを食べた場合にピーナッツアレルギーになるオッズは2倍以上であった(同2.55)。このほか、妊娠中の母親の抗菌薬使用(同1.32)や、生後1カ月以内(4.11)、または1年以内(1.39)の乳児の抗菌薬使用でもリスク上昇が見られた。 一方で、食物アレルギーに関与すると疑われていた多くの要因、例えば低出生体重や予定日超過の出産、母乳育児をしていないこと、母親の妊娠中の食事やストレスとIgE媒介性アレルギーとの間に有意な関連は認められなかった。 研究グループは、「これらの結果は、食物アレルギーのリスクがある乳児を特定し、早期予防に役立つ可能性がある」と述べている。また、Chu氏は、「この結果は、食物アレルギーに対するわれわれの理解を広げるものだ。今後の研究では、同じ主要因子を測定・調整し、より多様な集団を対象とし、食物経口負荷試験をもっと活用すべきだ」と述べている。さらに同氏は、「今回の発見を実際に活かすためには、新たなランダム化臨床試験とガイドラインを早急に更新することが必要だ」と付け加えている。

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鮨が食いてえ!【Dr. 中島の 新・徒然草】(622)

六百二十二の段 鮨が食いてえ!今年の花粉症は例年より早く始まっているみたいです。外来中に何度もクシャミが出て、患者さんにまで「先生も花粉症ですか?」と心配される始末。私の職場でもお互いに薬を処方し合っています。ひどい花粉症に一番効くのは手術室。なんせ手術室の空調には0.3μm以上の微粒子をキャッチするHEPAフィルターが用いられています。一方、スギ花粉のサイズは約20~40μmなので、除去するのは簡単!なので、医療従事者にとっても手術室は「避難所」とか「安息の地」と呼ばれているのだとか。ん?ここまでAIで調べてきて、いきなり不思議な表現が出てきてしまいました。「誰かな、こんなことを言っているのは?」と思ってリンクをたどってみると……なんと、「CareNet.com」経由で「手術室あるある【Dr. 中島の 新・徒然草】(423)」が出てきたではありませんか。この文学的表現、まさか4年前の自分自身が使っていたとは!ということで苦難の外来診療ですが、今回登場するのは70代の高齢女性。抗痙攣薬を処方して終わり、だったはずなのですが…… 患者 「先生、ちょっと相談したいことがありまして」 中島 「何でしょうか?」 患者 「実は事故で顔を打って以来、顎の具合が悪いのです。それで近所の病院の口腔外科で治療してもらって、その後は歯医者さんに診てもらっているのです」 なるほど。 患者 「でも顎の噛み合わせがおかしくて、うまく噛めないんです」 まあ、そういうこともあるでしょう。 患者 「こちらの病院にも口腔外科があると聞いたので、中島先生のほうから紹介してもらえないかと」 ようやく話の全体が見えてきました。 中島 「まず、最初に診てもらった病院の名前を教えてくれますか」 患者 「○○病院です。治療の後に歯医者さんに紹介されたんです」 中島 「なんという名前の歯医者さんですか?」 患者 「△△歯科クリニックです」 なるほど、なるほど。 中島 「その場合はですね、まず△△歯科クリニックの先生に言って紹介状を書いてもらってください。元の○○病院の口腔外科宛てにしてもいいし、当院の口腔外科に宛ててもいいですから。それが正式なルートですよ」 私が院内紹介してもいいですが、必ず今かかっている医療機関のデータを持ってくるように言われるので二度手間です。 患者 「△△先生に失礼なことはないでしょうか」 中島 「ないない。『先生のおかげで歯のほうは快調なのですが、顎のほうの具合が悪くて』と言ったら『顎は俺の専門じゃないしな』という顔をされるので、すかさず『別件でかかっている大阪医療センターの口腔外科に紹介状を書いてもらえませんか?』と言ったらいいですよ」 これこそ受診のノウハウというもの。 患者 「でもお。もう顎がおかしいので、死にたいくらいなんです」 死にたい……って? 中島 「ちょっと何を言っているんですか。死ぬのはまだ早いですよ!」 患者 「ええっ?」 中島 「キチンと言うべきことを言わないと駄目じゃないですか」 患者さんは黙ってしまいましたが、ここは念を押しておきましょう。 中島 「いいですか、自分が何を困ってどうしてほしいのか、それをちゃんと△△先生に伝えてください。モジモジしていてもどうにもなりませんから」 私はいつも患者さんを対等な大人として扱っています。なので「黙っていても察してほしい」というのは通じません。 中島 「人と喋るのは苦手だというのもやめておきましょう。人間、一生勉強、何事も練習です」 ついつい力が入ってしまいました。 中島 「口が開かなくて握り鮨を食べられなったら悲しいし、ひょっとしたら死にたくなるかもしれません。でも、その前にご自分のできる努力はしましょうよ」 患者 「またお鮨を食べることができるでしょうか」 中島 「できます、できます。今の季節だったら鰆(さわら)ですよ。鰆がね、『食ってくれー!』と言って待っていますから」 あまり確信はありませんが、字の中に「春」が入っているくらいだから鰆は旬のはず。 中島 「もし△△先生に頼んだのに『俺は絶対に紹介状を書かんぞ!』と言われてしまったら、その時は私が口腔外科に院内紹介してあげますから」 患者 「ありがとうございます」 中島 「まずは踏むべき手順を踏んでくださいね」 それにしてもいきなり「死ぬ」は無いんじゃないかな。論理の飛躍ってものですよ、そいつは。最後に1句 死ぬよりも 鰆を食べる 算段だ

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怒鳴ってしまって大失敗!【Dr. 中島の 新・徒然草】(621)

六百二十一の段 怒鳴ってしまって大失敗!ようやく確定申告が終わったと思ったら花粉の季節。ティッシュの箱をキーボードの横に置き、鼻をかみながら外来をしています。さて、今回のお話は60代の男性患者さんについてです。10年ほど前に交通事故で頭部を打撲しながらも職場復帰し、見事に定年まで勤め上げました。定年後は障害者雇用で働いています。が、頭部外傷のせいで高次脳機能障害が残っており、時々ボロが出てしまうのが困ったところ。今回の外来では冒頭からその話でした。 患者 「先生、大変なことが起こったんですよ」 椅子に座る間もなく話が始まります。 患者 「今は役所で働いているんですけどね、主任さんと大喧嘩してしまったんです」 いつも早い目に出勤して段取りをするのだけど、その日は何かパソコンを打っていても違和感があったそうです。で、「おかしいな」と思って主任さん(女性)のところに行くと、彼女から「急ぐ書類があったので、私が先にやらせてもらいました」と。ついカッとなって「なんでひとこと言ってくれへんかったのですか!」と怒鳴ってしまったそうです。すると主任さんも反論して大きな声で言い合いになったのだとか。 患者 「後で課長さんに呼ばれてですね、『市民の前で何をやっているんですか』と注意されてしまって」 中島 「ちょっとまずかったですね、それは」 患者 「年度末に契約更改があるんですけど、『これはちょっと考えないといけませんね』と言われたんですよ」 中島 「こちらが先に怒鳴ってしまったんですよね」 患者 「でも、私は障害者雇用ですよ。そのくらい理解してくれてもいいじゃないですか」 中島 「それ、ちょっと難しいでしょう」 障害者雇用だからといって、何でも許されるわけではありません。仕事が遅いことに対しては周囲の理解を期待できるかもしれませんが、いきなり怒鳴ったりしたら相手もびっくり仰天です。 患者 「今年が2回目の契約更改だったんですけど、駄目かもしれないと思って先にハロワに行ってきました」 ハロワでは何と別の役所関係の書類選考が通って、面接試験にまで漕ぎつけたとのこと。 患者 「かなりたくさん採用するみたいなんで、受かるかもしれない、と期待しているんです」 中島 「うまく就職できたらですね、とにかく感情的にならないようにしてください」 患者 「そいつが難しいんですよ。これまで何とか自分を抑えてきたんやけどな」 中島 「まさかライオンに向かって怒鳴ったりしないでしょ」 患者 「そんなん怖いですやん」 中島 「お孫さんに向かって怒鳴ったりしないですよね」 患者 「嫌われたら困りますがな」 中島 「それなら少しは理性が残っているんだから、怒らないように頑張りましょうよ」 患者 「わかりました」 この人、毎回、同じパターンで失敗しています。 中島 「主任さんには謝ったんですか?」 患者 「あれ以来、話をしてくれないんです」 中島 「そりゃそうでしょうね。だったら手紙を書いたらどうですか?」 患者 「手紙ですか」 中島 「きっと手紙だったら読んでくれるでしょう。契約更改してもらおうとか、許してもらおうとか、そういう邪念は無しですよ」 患者 「人として謝るってことですね。わかりました、そうします」 ということでこの患者さん。診察に来たときには暗い顔でしたが、最後は明るい表情で帰って行きました。後でChatGPTに聞いてみると、頭部外傷による高次脳機能障害の人は感情を抑えるブレーキが完全に壊れているわけではない、とのことです。確かに感情のブレーキが壊れていたら、ライオンに対しても怒鳴ってしまうでしょうけど、そこまで極端なことはありません。単に感情を抑えるブレーキの発動が遅くて利きが悪いというだけなのだそうです。しかもこのブレーキ、疲れたりするとますます利かなくなるのだとか。まずは何事も余裕を持って取り組むのが大切なのですが、それに加えて感情のブレーキが利くようになるための薬をいくつか提案されました。場合によってはこういった薬を試してみるのも良いかもしれません。うまくいったら、改めて本欄で報告させていただきたいと思います。最後に1句 花粉舞い 鼻水たらせ 怒鳴るより

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アセトアミノフェンの乳児への処方は安全

 乳児期にアセトアミノフェン(パラセタモール)を使うと、湿疹や喘鳴のリスクが上昇することが、これまでの観察研究で報告されている。こうした中、新たな臨床試験により、アセトアミノフェンとイブプロフェンはいずれも、生後1年以内の乳児にも安全に使えることが示された。これらの市販の鎮痛薬と湿疹や細気管支炎との間に関連は認められなかったという。オークランド大学(ニュージーランド)のStuart Dalziel氏らによるこの研究の詳細は、「The Lancet Child & Adolescent Health」に1月27日掲載された。 アセトアミノフェンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は主要な鎮痛薬の一部であり、世界中で小児の発熱や痛みに対して最も頻繁に処方され、市販薬としても広く購入されている。NSAIDsは強い抗炎症作用を持つが胃腸障害を起こしやすい。イブプロフェンはNSAIDsの一種である。一方、アセトアミノフェンには抗炎症作用はほとんどないが、胃腸への負担が少ないという特徴がある。なお、アセトアミノフェンとパラセタモールは、いずれも同じ成分の薬剤だが、国によって呼び名が異なる。 Dalziel氏らは今回、アセトアミノフェンの使用と湿疹や喘鳴のリスク上昇との関連を示した研究結果を踏まえ、ニュージーランドで出生した生後8週間未満の乳児3,908人(女児49.0%)を対象に、アセトアミノフェンとイブプロフェンのどちらを使用した場合に、湿疹や細気管支炎リスクがより高くなるのかを評価した。児は、1歳になるまで必要に応じてアセトアミノフェンのみを使用する群(1,985人)と、イブプロフェンのみを使用する群(1,923人)にランダムに割り付けられた。 その結果、湿疹の発生率は、アセトアミノフェン群で16.2%(322人)、イブプロフェン群で15.4%(296人)であり、両群間に統計学的に有意な差は認められなかった(差0.8%、95%信頼区間−1.5〜3.1)。一方、細気管支炎による入院の発生率は、アセトアミノフェン群で4.9%(98人)、イブプロフェン群で4.3%(82人)であり、同様に有意な差は認められなかった。17人に19件の有害事象が確認されたが(アセトアミノフェン群8人、イブプロフェン群9人)、処方薬剤に関連した事象は認められなかった。 Dalziel氏は、「この結果によって、親も医療従事者も、これらの重要な薬を引き続き安心して使えるようになるだろう」と述べている。 研究グループは、対象とした児童が6歳になるまで追跡し、アセトアミノフェンやイブプロフェンが原因とされてきた他の健康問題が現れないかを確認する予定だとしている。Dalziel氏は、「3歳で喘鳴を呈する小児の3分の2は、6歳時点で喘息を発症していないことが分かっている。そのため、生後1年間におけるアセトアミノフェン使用が喘息を引き起こすかどうかを最終的に判断するには、学齢期まで待つ必要がある」と説明している。さらに、この追跡調査では、自閉症や注意欠如・多動症(ADHD)の発症率についても調べる予定だという。これらの疾患は、ある程度成長してからの方が正確に診断されるためだ。 論文の筆頭著者であるオークランド大学のEunicia Tan氏は、「最終的には、アセトアミノフェンの使用と喘息、湿疹、花粉症、さらには自閉症やADHDといった発達障害との関連について、重要な証拠を提供できるはずだ」とニュースリリースで述べている。

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第303回 病院と診療所で「メリハリ」に違いが出た2026年度診療報酬改定、病院は急性期病院一般入院基本料新設、地域包括医療病棟入院料大幅見直しなどで地域医療構想後押しへ

病院には相当なメリハリが付けられたものの、診療所のメリハリは今ふたつ、みっつこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。急に春めいてきましたね。この週末は久しぶりの足慣らしに高尾山に行ってきました。高尾山口駅から登り始める通常ルートではなく、高尾山の南側、草戸山から大洞山、大垂水峠へと縦走し、城山側から高尾山を目指すという約18キロの周回コースです。天気も良く快適に歩けたのですが、早くも飛散し始めた花粉で目がしょぼしょぼになってしまいました。また、途中には「クマ出没注意」の看板も。エサも少なさそうなこんな低山にもツキノワグマが出ているようです。今シーズンも各地でクマ被害は増えるのでしょうか?改めて心配になってきました。さて、厚生労働省の中央社会保険医療協議会は2月13日の総会で2026年度診療報酬改定案を了承し、上野 賢一郎厚生労働相に答申しました。診療報酬本体の改定率が30年振りに3%を超え3.09%となりましたが、その半分以上は賃上げと物価高への対応に充てられることになります。改定率が決まる前、本連載「第293回 佳境迎える診療報酬改定議論、『本体』引き上げはほぼ既定路線も、最大の焦点は病院と診療所間の『メリハリ』」で、「次期改定で本当の意味での『メリハリ』が付けられるかどうか、今後の議論の行方に注目したい」と書きましたが、病院の診療報酬については相当なメリハリが付けられたものの、日本医師会を意識してか診療所のメリハリは今ひとつどころか今ふたつ、みっつの結果となりました。ということで、今回は個人的に注目した診療報酬改定でのいくつかの項目について書いてみたいと思います。「急性期病院A一般入院料」は「急性期拠点機能」の病院を想定した点数病院に関しては、2027年度からの新たな地域医療構想を見据えて、急性期を担う病院機能の明確化を推し進める内容となったのが注目点です。ポイントは地域ごとの病院単位の急性期機能を確保するため、2区分の急性期病院一般入院基本料(急性期病院Aは看護配置7対1病棟で1日につき1,930点、同Bは看護配置10対1病棟で1日につき1,643点)が新設されたことです。2040年を見据えた新たな地域医療構想では、医療機関機能が「急性期拠点機能」「高齢者救急・地域急性期機能」「在宅医療等連携機能」「専門等機能」の4つに分類されます。このうち、「急性期拠点機能」を有する病院は「人口20万~30万人ごとに1拠点」が目安とされています。新設される2区分の急性期病院一般入院基本料のうち、「急性期病院A一般入院料」はまさにそうした「急性期拠点機能」の病院を想定した点数です。また、入院料の加算である「急性期総合体制加算」と「地域医療体制確保加算2」、手術料の加算である「外科医療確保特別加算」も同趣旨の点数と言えます。「急性期病院A一般入院料」の主な要件は、「救急搬送件数:年2,000件以上」「全身麻酔手術件数:年1,200件以上」などで、入院患者数の10%以上の数の常勤医師の配置が求められます。病院全体として急性期医療への特化が必要で、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟入院料などとのケアミックスは認められません。該当する手術を行うたびに医師に手当が出来高で上乗せされる画期的な「外科医療確保特別加算」関連する加算のうち「急性期総合体制加算」は、現行の「総合入院体制加算」と「急性期充実体制加算」を再編統合した点数で5区分からなり、入院期間14日(7日以内、8~11日以内、12~14日以内の3段階の点数)までの加算です。このうち「急性期総合体制加算1〜4」は、「急性期病院A一般入院料」を算定する病棟を持つ病院に限定されます。ちなみに、「急性期総合体制加算1」の「7日以内の期間」の点数は530点です。「地域医療体制確保加算2」(720点)は入院料への加算で、若手医師が減少する外科系診療科(消化器、心血管、小児、循環器)の医師の勤務環境改善と処遇向上を評価する点数です。そして、「外科医療確保特別加算」は「地域医療体制確保加算2」の届出施設を対象に、胸部(食道)から腹部(胃、腸、肝胆膵)にかけての鏡視下手術を中心に、長時間かつ高難度な手術料への加算です。「当該手術の所定点数の100分の15を加算、当該診療科の医師が行った対象手術件数に応じ、休日手当、時間外手当、深夜手当、当直手当等とは別に、当該加算額の100分の30以上に相当する額を総額とする手当を当該診療科の医師に支給、当該支給額の8割以上を当該診療科に配置されている常勤医師に支給」――などが要件となっており、該当する手術を行うたびに医師に手当が出来高で上乗せされる画期的な仕組みになっています。これらは、いずれも「急性期総合体制加算」または「特定機能病院入院基本料」届出が要件となっており、「急性期拠点機能」の病院の医師(とくに外科医)確保も含めた体制維持を目的とした点数です。「高齢者救急・地域急性期機能」も評価、地域包括医療病棟入院料は大幅見直しこうした将来的に「急性期拠点機能」を担う病院の評価と並行して、「拠点機能」を持った病院が軽度な高齢者救急への対応に煩わされないよう、地域の高齢者救急を受け入れる病院の評価も2024年度改定に続いて行われました。前述の新たな地域医療構想の医療機関機能の中の「高齢者救急・地域急性期機能」の評価です。とくに高齢者救急の主要な受け入れ先となる地域包括医療病棟は、急性期病棟を併設しない場合の「地域包括医療病棟入院料1」(3,117~3,367点)と併設する場合の「同入院料2」(3,066~3,316点)の2類型に分けられます。さらに医療資源投入量に基づいて手術や緊急入院の有無に応じて入院料を3つに細分化して、点数に差を付けられます。改定後は現行の点数より最大317点アップすることになります。加えて施設基準も大きく見直されて緩和されます。改定前は「在院日数」「ADL低下割合」などの基準が高齢患者比率にかかわらず求められ、高齢者救急を多く受け入れる病棟にはハードルが高い面がありましたが、今改定では、急性期病棟併設の有無や緊急入院・手術対応などに応じて6区分に細分化され、85歳以上が多い病棟では在院日数・ADL低下割合の基準が緩和されます。一方、地域包括ケア病棟入院料も、在宅医療や協力対象施設への後方支援機能が高く評価されました。具体的には在宅患者支援病床初期加算の対象患者を緊急入院した患者にまで拡大して報酬が一部引き上げられます。このほか、在宅医療・介護保険施設の後方支援等に一定の体制と実績がある医療機関を評価する「包括期充実体制加算」(80点、14日まで)が新設されます。地域包括医療病棟または地域包括ケア病棟を持つ主に許可病床数200床未満が対象となります。かかりつけ医関連の項目はメリハリ不足、「かかりつけ医機能報告制度」との連動は持ち越しこうした、急性期病院一般入院基本料の新設、中でも「急性期病院A一般入院料」の高評価、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟入院料の施設基準見直しや高評価は、「新たな地域医療構想」を見越して病院の機能分化を一層推し進めるためのもので、まさにメリハリの効いた改定だと言えるでしょう。地域医療構想における調整会議が開かれる前に、地域において役割分担、機能分化を事前に進めてもらいたいという国の意向が透けて見えます。その一方で、かかりつけ医関連の項目はメリハリ不足の感が拭えません。中医協の議論の中で、支払側は2025年4月に始まった「かかりつけ医機能報告制度」と連動させ、かかりつけ医の診療機能に応じた評価体系を導入するよう求めていました。財務省も「秋の建議」においてかかりつけ医機能報告制度上、基本的な機能を有していない診療所の初診料・再診料の減算措置導入や、外来管理加算や特定疾患管理料、生活習慣病管理料などの適正化を求めていました。しかし、今回の改定では、制度開始から間もなく報告が十分集まっていないとの理由から、かかりつけ医機能報告制度のデータを踏まえた評価は導入されず、機能強化加算、生活習慣病管理料、特定疾患療養管理料、地域包括診療料(加算)、時間外対応加算などの施設基準・算定要件の小幅の改正に留まりました。ちょうど3年前、「かかりつけ医機能報告制度」を盛り込んだ法案(通称、全世代型社会保障制度関連法案)が提出された時に、本連載「第150回 かかりつけ医機能の確認めぐりひと悶着、制度化の芽も摘んだ日本医師会の執念」で、「何の強制力も、発展性も、拡張性もない、ただ『制度を作った』という事実を作るためだけの制度」と書きましたが、仮に次回、2028年度の診療報酬改定で、「かかりつけ医機能報告制度」と密に連動した、かかりつけ医関連の報酬体系が導入されないとしたら、現状、患者、地域住民にほとんど役に立たない同制度は形骸化に向かうに違いありません。

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「ビラノア」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第84回

第84回 「ビラノア」の名称の由来は?販売名ビラノア®錠20mg、ビラノア®OD錠20mg一般名(和名[命名法])ビラスチン(JAN)効能又は効果◯アレルギー性鼻炎◯蕁麻疹◯皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒用法及び用量通常、成人にはビラスチンとして1回20mgを1日1回空腹時に経口投与する。警告内容とその理由設定されていない禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2026年2月16日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2024年7月改訂(第11版)医薬品インタビューフォーム「ビラノア®錠20mg/ビラノア®OD錠20mg」

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医師会員の57%が花粉症と回答、オススメの予防法は

 全国的にスギ花粉の飛散が始まろうとしている。厚生労働省の統計によると、花粉症の有病率は2019年に42.5%となり、年々有病者数は増加しているという。国民病となった花粉症について、医師における有病率の違い、医師ならではの予防や対策などはあるのであろうか。 CareNet.comでは、2026年1月19~25日にかけて、会員医師1,000人(うち耳鼻咽喉科の医師100人を含む)に「医師の花粉症とその実態」についてアンケートを行った。花粉症へのアレルゲン免疫療法、生物学的製剤などの治療数は少ない 質問1で「花粉症かどうか」(単回答)を聞いたところ、「花粉症ではない」が40%と一番回答率高く、(診断を受け)「花粉症である」が33%、(診断を受けず)「花粉症である」が24%、「わからない」が3%の順で多かった。しかしながら、診断の有無を考慮しない場合、全体の57%が「花粉症である」を回答していた。 質問2で「花粉症で困る症状について」(複数回答)を聞いたところ、全体では「鼻汁」が81%、「くしゃみ」が59%、「目、皮膚、喉のかゆみ」が58%の順で多かった。耳鼻咽喉科とそれ以外の診療科の医師との比較では、両方で「鼻汁」が一番多かったが、「くしゃみ」、「目、皮膚、喉のかゆみ」、「鼻閉」などで若干の差がみられた。また、「集中力の低下」と「倦怠感・頭痛」は、それ以外の診療科の医師からの回答数が耳鼻咽喉科の医師の回答の2倍以上だった。 質問3で「花粉症の治療としてどのようなことをしているか」(複数回答)を聞いたところ、全体では「医療用医薬品の内服薬」が72%、「OTC薬の内服薬や外用薬」が29%、「医療用医薬品の外用薬」が26%の順で多かった。耳鼻咽喉科とそれ以外の診療科の医師との比較では、両方で「医療用医薬品の内服薬」が一番多かったが、「OTC薬の内服薬や外用薬」と「医療用医薬品の外用薬」で順位が逆転していた。また、それ以外の診療科の医師では「アレルゲン免疫療法」、「生物学的製剤」、「手術」の治療を行っていたが、耳鼻咽喉科の医師は行っていないという回答結果だった。 質問4で「お勧めの花粉症予防法・対策」(自由記載)について聞いたところ、全体では「マスクの着用」が19%で多く、「専用眼鏡・ゴーグルの着用」と「鼻洗浄・鼻うがい」は4%と同じ回答率だった。耳鼻咽喉科とそれ以外の診療科の医師との比較では、耳鼻咽喉科の医師では「専用眼鏡・ゴーグルの着用」の回答率が多く、「鼻洗浄・鼻うがい」はほぼ同じ回答率だった。 質問5で「花粉症にまつわるエピソード」を聞いたところ、下記のようなコメントが寄せられた。【花粉症の症状のエピソード】・くしゃみが止まらなくて、風邪と判断されることが多々ある(30代/膠原病・リウマチ科)・花粉症の活動期は喘息発作も起きやすくなるので注意している(60代/麻酔科)【治療薬に関するエピソード】・ワセリンの鼻への塗布が有効(40代/麻酔科)・花粉の飛散の日内変動は朝と夕方にあるので、作用時間の長い薬剤の方が効果的(60代/糖尿病・代謝・内分泌内科)【患者への助言などのエピソード】・患者に自分が使っている薬を教えると喜ばれる(50代/耳鼻咽喉科)・処方に合わせて鼻うがいを指導している(30代/耳鼻咽喉科)【花粉症予防に関するエピソード】・だいたいバレンタインデーの頃から花粉症の問診と処方を開始する(50代/心療内科)・花粉に曝露しないことが一番大事。曝露したときは鼻うがいで洗い流すが、真水ではだめ(60代/耳鼻咽喉科)■参考医師の花粉症とその実態について/医師1,000人アンケート

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