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アトピー性皮膚炎治療薬のネモリズマブがかゆみを迅速に軽減

 最近承認された注射型のアトピー性皮膚炎(AD)治療薬ネモリズマブ(商品名Nemluvio)が、悩ましいこの疾患に苦しむ患者に迅速なかゆみの緩和をもたらすことが、新たな研究で示された。スイスの製薬会社であるガルデルマ社の研究者らの報告によると、治療開始からわずか2日でかゆみが軽減した患者の割合は、ネモリズマブを投与された群でプラセボを投与された群の3倍以上に上ることが示された。さらに、ネモリズマブ群では睡眠も改善した。ガルデルマ社治療用皮膚科学プログラム責任者であるChristophe Piketty氏らによるこの研究結果は、「Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology」に12月16日掲載された。 Piketty氏は、「今回の結果は、ネモリズマブがかゆみを迅速に軽減し、結果としてADや結節性痒疹(PN)患者の睡眠改善にもつながるという理解を強化するものだ」とニュースリリースで述べている。ガルデルマ社はネモリズマブの開発企業であり、本研究への資金提供も行っている。 米食品医薬品局(FDA)は2024年に、中等症〜重症のADおよびPNの治療薬としてネモリズマブを承認した。ADは、免疫系の異常によりアレルゲンや刺激物に対する皮膚の防御機能が低下することで発症する。モノクローナル抗体であるネモリズマブは、かゆみやその他のADの症状の原因となるサイトカインのIL-31が受容体に結合するのを阻害し、かゆみのシグナル伝達を遮断する。 この研究では、FDAが承認の根拠とした4件の臨床試験のデータの事後解析を実施し、投与初期(最初の14日間)のかゆみの改善について評価した。解析対象は、AD患者1,728人(ARCADIA1、2試験)とPN患者560人(OLYMPIA1、2試験)であった。対象者は毎日かゆみと睡眠障害の強さを自己報告した。かゆみはpeak pruritus numerical rating scale(PP-NRS)で、睡眠はsleep disturbance numerical rating scale(SD-NRS)で評価し、スコアがベースラインから4点以上低下した場合を改善と見なした。 その結果、投与2日目にPP-NRSに改善が認められたAD患者の割合は、ネモリズマブ群で10.7%であったのに対し、プラセボ群では2.9%にとどまっていた。同様に、投与2日目に改善が認められたPN患者の割合はそれぞれ17.2%と3.7%であった。SD-NRSに改善が認められた割合についても、AD患者ではネモリズマブ群9.9%、プラセボ群4.6%、PN患者ではそれぞれ13.4%と4.3%であり、ネモリズマブ群で有意な改善が見られた。さらに、投与14日目にPP-NRSに改善が認められたAD患者の割合は、ネモリズマブ群で25.5%、プラセボ群で8.9%、PN患者の割合は37.0%と10.2%であり、群間差は投与14日目まで拡大していた。 研究グループは、「かゆみは中等症〜重症のADおよびPN患者が最も苦痛に感じる症状であり、かゆみの迅速な改善は重要な治療目標だ」と指摘している。また、「かゆみを迅速に軽減し、疾患の重症度や患者の生活の質(QOL)に臨床的に有意な改善をもたらす治療法は、ADおよびPNの現在の治療選択肢において重要だ」と述べている。

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小児診療ガイドラインのダイジェスト解説&プログレス2025

ガイドライン50点、6,449ページ分の要点がわかる「小児科」66巻12号(2025年12月臨時増刊号)小児診療にかかわる重要なガイドラインについて、作成委員の先生方が、一般小児科医が知っておくべき部分をダイジェスト形式で解説。さらに使用上の注意やガイドライン発表後に得られた知見も併せて紹介します。この1冊で、各領域における最新版のガイドライン情報をアップデート!画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する小児診療ガイドラインのダイジェスト解説&プログレス2025定価9,350円(税込)判型B5判頁数316頁発行2025年12月編集「小児科」編集委員会ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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ムコ多糖症II型、新たな酵素補充療法が有望な可能性/NEJM

 ムコ多糖症II型(MPS II、ハンター症候群)は、イズロン酸-2-スルファターゼ活性の欠損によって発生する進行性のX染色体連鎖型のライソゾーム病で、神経系を含む臓器機能障害や早期死亡をもたらす。tividenofusp alfaは、イズロン酸-2-スルファターゼと改変トランスフェリン受容体(TfR)結合Fcドメインから成る、血液脳関門の通過が可能な融合タンパク質で、MPS IIの神経学的および末梢症状の治療を目的に開発が進められている新たな酵素補充療法(ERT)である。米国・University of North Carolina School of MedicineのJoseph Muenzer氏らは、小児男性患者を対象に行った、本薬のヒト初回投与の臨床試験の結果を報告した。NEJM誌2026年1月1日号掲載の報告。国際的な非盲検第I/II相試験 研究グループは、tividenofusp alfaの安全性および中枢神経系、末梢症状に対する効果の評価を目的に、国際的な非盲検第I/II相試験を実施した(Denali Therapeuticsの助成を受けた)。年齢18歳までのMPS IIの男性患者を対象とした。 tividenofusp alfa(週1回、静脈内投与)を24週間投与した後、80週間の安全性に関する延長試験と157週間の非盲検延長試験を行った(全261週)。 47例(用量設定コホート20例、15mg/kg投与コホート27例)を登録した。年齢中央値は5歳(四分位範囲:0.3~13)だった。44例(94%)が神経症状を伴うMPS IIで、3例(6%)は神経症状を伴わないMPS IIであり、15例(32%)がERTを受けた経験があった。注入反応の頻度が高いが管理可能 47例の全例で、3段階の試験期間中に少なくとも1件の有害事象を認め、最も高い重症度は、中等度が68%、重度が28%であった。死亡例の報告はなかった。治療関連の重篤な有害事象は3例(注入反応[infusion-related reaction]2例、貧血1例)に認めたが、これらの患者はすべて治療を継続した。 41例(87%)で、試験期間中に少なくとも1件の注入反応が発現し、最も頻度の高い有害事象であった。中等度が55%、重度が6%だった。注入反応の症状では、発熱、蕁麻疹、嘔吐の頻度が高く、ルーチンに前投薬を行ったにもかかわらず40%以上の参加者に発現した。 注入反応は全般に、担当医の判断による前投薬、注入速度の減速、減量によって管理可能であった。注入反応の発生は時間の経過とともに減少し、グルココルチコイドを含む前投薬も試験の進行に伴い減少した。ヘパラン硫酸値が低下、適応行動、肝臓容積も改善 その他の一般的な有害事象として、上気道感染症(60%)、発熱(55%)、咳嗽(47%)、嘔吐(43%)、下痢(40%)、発疹(40%)、貧血(38%)、新型コロナウイルス感染症(38%)、鼻漏(38%)を認めた。ベースライン時に19%(47例中9例)で貧血がみられたが、貧血を理由に試験を中止した参加者はいなかった。また、尿中総グリコサミノグリカン(GAG)値が悪化することはなく、改善の傾向を示した。 バイオマーカーについては、ベースラインと比較した24週時の脳脊髄液(CSF)中および尿中のヘパラン硫酸が、それぞれ91%および88%減少した。ヘパラン硫酸濃度の低下は153週目まで持続し、適応行動は安定化または改善した。ベースライン時に、24%(21例中5例)で肝臓容積に異常を認めたが、24週時には、これらを含む全例(18例中18例)で正常化または正常を維持していた。 著者は、「MPS II小児男性患者に対する週1回15mg/kgの静脈内投与によるtividenofusp alfa治療では、ERTの既知のリスクである注入反応を含む有害事象が高頻度に発現した」「中央値で2年間の治療により、基質の蓄積および神経細胞損傷の、中枢神経系および末梢のバイオマーカーが減少傾向を示し、臨床エンドポイント改善の可能性が示唆された」としている。

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オールラウンド外来診療ガイドブック

診療にすぐ活かせる知識と判断力を集約自身の専門外の疾患に遭遇した時、あるいは患者から専門外の愁訴を相談された際に、医師は、(1)何をすべきか? (2)何をすべきでないか? (3)どの段階で専門医に紹介すべきか? という視点で、500の疾患・症状を、24分野の診療科のスペシャリスト474名が見開き2ページで解説する。病態の理解から診療のエッセンス、患者さんへの説明の工夫に至るまで「明日からの診療にすぐに活かせる知識と判断」が集約されている。ジェネラリストの診療の迷いを解き、明日からの外来診療に差がつくスペシャリストからの珠玉の処方箋。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大するオールラウンド外来診療ガイドブック定価13,200円(税込)判型B5判(並製)頁数1,064頁発行2025年12月総編集宮地 良樹(京都大学名誉教授/静岡社会健康医学大学院大学学長)ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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デュピルマブ、6~11歳の気管支喘息の用法・用量追加/サノフィ

 サノフィは2025年12月22日、デュピルマブ(商品名:デュピクセント)について、6~11歳の小児の気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症または難治の患者に限る)に関し、製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。 本承認は、既存治療でコントロール不良の中等症から重症の喘息を有する6~11歳の小児を対象とした海外第III相試験「LIBERTY ASTHMA VOYAGE(EFC14153試験)」、EFC14153試験を完了した患者を対象に実施した海外第III相試験「LTS14424試験(main study)」、国内第III相試験「LTS14424試験(Japan substudy)」の結果などに基づくものである。 EFC14153試験において、2型炎症性喘息(呼気中一酸化窒素濃度[FeNO]:20ppb以上または好酸球数150/μL以上)集団の年間増悪発現率(回/人年)は、デュピルマブ群0.305、プラセボ群0.748であり、デュピルマブ群で有意な改善が認められた(p<0.0001)。 電子化された添付文書の改訂後の「効能又は効果」「用法及び用量」の記載は、以下のとおり(下線部が変更箇所)。4. 効能又は効果300mgペン、300mgシリンジ既存治療で効果不十分な下記皮膚疾患 ○アトピー性皮膚炎注) ○結節性痒疹 ○特発性の慢性蕁麻疹○気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)注)○慢性閉塞性肺疾患(既存治療で効果不十分な患者に限る)注)○鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)注)200mgペン、200mgシリンジ既存治療で効果不十分な下記皮膚疾患 ○アトピー性皮膚炎注) ○特発性の慢性蕁麻疹○気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)注)注)最適使用推進ガイドライン対象6. 用法及び用量(一部抜粋)〈気管支喘息〉通常、成人及び12歳以上の小児にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する。通常、6歳以上12歳未満の小児にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として体重に応じて以下を皮下投与する。 15kg以上30kg未満:1回300mgを4週間隔 30kg以上:1回200mgを2週間隔

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「まずは金属除去」ではない? 金属アレルギー診療と管理の手引きを公開/日本アレルギー学会

 本邦では初となる金属アレルギーに特化した手引き『金属アレルギー診療と管理の手引き 2025』1)が、2025年9月26日に公開された。そこで、手引きの検討委員会の代表を務める矢上 晶子氏(藤田医科大学ばんたね病院 総合アレルギー科 教授)が、第74回日本アレルギー学会学術大会(10月24~26日)において、手引きの作成の背景と概要を紹介した。なお、手引きはアレルギーポータルの医療従事者向けページで公開されている。アレルギー疾患対策基本法の対象疾患に含まれない金属アレルギー 本邦では「アレルギー疾患対策基本法」が定められており、喘息やアトピー性皮膚炎などの6疾患が重点的な対象疾患となっている。しかし、現状では金属アレルギーは対象疾患に含まれていない。この理由について、矢上氏は「若年で発症し、後年に金属製材料を使用するときに苦慮する人がいる」「患者は複数の診療科を受診するが連携した診療体制が不十分」「患者数が未知」といった背景があったと述べる。そこで「厚生労働科学研究事業で、それらを補う情報をまとめたほうがよいのではないかということで研究が始まり、疫学調査結果や検査法などをまとめて、手引きを作成する方向となった」とのことだ。これらの研究成果を集約した『金属アレルギー診療と管理の手引き2025』には、診療の流れや検査・管理の要点、多診療科・多職種が連携した診療体制の構築の重要性などが記載されている。女性が多く、全身型の疑い例も少なくない 1章「総論」では、金属アレルギーの定義や本邦における金属アレルギーの実態調査結果、局所型・全身型金属アレルギーの概要が記されている。 「本邦の一般人を対象とした調査では、金属アレルギーの自覚者は女性が7割を占め、医療機関を受診しても検査を受けているのは3割にとどまっていた」と矢上氏は述べる。金属アレルギーは、局所型と全身型に分けられるが「全身型の疑いがある国民は少なくないのではないかということもわかってきた」とも指摘する。全身型では、食物、水、歯科金属などに含まれる金属が体内に入っていくことで、全身性の症状や手掌の症状、口唇炎などが発現するが、一般人を対象とした調査でも、局所型の症状の接触皮膚炎だけでなく、これらの症状が多く報告されていた。パッチテストとin vitro検査の現状 第2章「金属アレルギーの診断」では、問診で聞くべきことや各種検査の概要、金属負荷試験などの解説が記載されている。問診については、医科および歯科の問診票がそれぞれ掲載されているため、参考にされたい。 金属アレルギー診断のゴールドスタンダードはパッチテストであるが、現在保険収載されている試薬は「パッチテスト試薬金属:金属16種類(鳥居薬品)」と「パッチテストパネル:金属4種類(佐藤製薬)」に限られている。とくに臨床現場でのニーズが高い「チタン」の試薬は保険適用外であり、特定臨床研究などでしか実施できない現状がある。 研究班では、より範囲が広く精度の高いパッチテスト金属試薬シリーズの選定を目指し「新金属シリーズ」を作成した。その結果、保険適用外の金属についても陽性を示したが、チタンが陽性となったのは331例中1例であった。本検討の結果の詳細は、手引きに記載されている。なお、「新金属シリーズ」の試薬は保険適用外であるため、特定臨床研究などでのみ貼付可能であることを矢上氏は強調した。 血液検体を用いてアレルギー反応を評価するリンパ球刺激試験について、矢上氏は慎重な見解を示す。その理由として、検査会社によって実施件数に大きな差(年間数百件から数件)があり、使用される試薬も標準化されていないことを挙げた。手引きでは「現時点では、金属アレルギーの診断における日常診療で使用可能な十分な感度・特異度を備えた簡便で正確なin vitro検査はなく、今後の症例の集積と臨床的検討の継続が不可欠である」と結論付けている。薬剤の塗布方法やうがいの方法を記載 3章「金属アレルギーの治療」では、症状に対する具体的な治療方法が示されている。手引きの特徴として、矢上氏は薬剤の塗布方法やうがいの仕方まで具体的に記載していることを挙げ、医師・歯科医師のみならず、看護師や歯科衛生士にも活用してほしいと強調した。 全身型金属アレルギーとの関連が報告されている皮膚疾患の1つに掌蹠膿疱症がある。これについても、現在ではさまざまな治療薬が登場しており、手引きにも具体的な治療方法が記載されている。また、掌蹠膿疱症における歯科金属アレルギーの関与と金属除去の是非が議論されているが、これについて手引きの第1章では「歯性病巣の関与の可能性が否定された後に金属アレルギーを考慮する」と記載されている。これは『掌蹠膿疱症診療の手引き2022』2)において、歯性病巣の治療を優先することが推奨文として示されていることと一致する。また『掌蹠膿疱症性骨関節炎診療の手引き2022』3)でも歯科金属との関係が記載されているため、参考にされたい。金属を多く含む食品の一覧表も掲載 第4章「金属アレルギー患者に対する生活指導」では、パッチテストで陽性となった場合の対応について、具体的な指導内容が盛り込まれている。 金属アレルゲンとの経皮的な接触の回避のみで改善しない全身型金属アレルギーでは、食事の管理が重要となる場合もある。そこで、手引きではニッケル、コバルト、クロムといった主要なアレルゲンについて、これらを多く含む食品の一覧が掲載された。さらに、缶詰や調理器具の使用に関する注意点など、患者が日常生活で実践できるワンポイントアドバイスも記載されている。医科と歯科の連携がきわめて重要 第5章「金属アレルギーの診療の流れ」では、金属アレルギー診療・治療においてきわめて重要な「医科歯科連携」について解説されている。現状の課題として、矢上氏は「医師は歯科から患者の紹介を受けて歯科へと戻すが、その後の経過はフォローアップできていない」と指摘する。そのため、医科と歯科が連携したフォローアップ体制の構築が重要である。 その重要性について、矢上氏は実例を挙げて紹介した。皮膚科治療によって皮膚症状の改善が得られなかった掌蹠膿疱症の患者の例では、歯科で差し歯を交換したところ、皮膚症状が著明に軽快したという。この改善は金属除去によるものか、歯性病巣の治療によるものかは明らかではなかったとのことであるが、医科と歯科の連携の重要性が理解できる。 また、近年の研究では、パッチテストで金属試薬が陽性であっても、ただちに金属を除去するのではなく、まずは歯性病巣の治療を行うことで皮膚症状が改善する場合があることも報告されている4)。この知見に基づき、安易な金属除去を避けるためにも、医科と歯科が密に連携し、経過観察結果を共有する体制の構築が求められる。 手引きには、歯科金属アレルギーを疑う患者に対する診断・治療フローチャートが掲載されており、ここでも「パッチテストで金属試薬が陽性であっても、まずは歯性病巣への対応を基本とし、歯科金属の除去は可能な限り優先しない」と記載されている。まとめ 手引きの作成を通じて、これまでに見落とされてきた課題や、依然として解決されていない問題点が明らかになったという。それを踏まえ、矢上氏は「国民の多くの方が金属アレルギーに苦慮している一方で、受診しない人も多いと考えられる。そのため、関連学会や専門団体を通じて手引きの周知を行うことで、医療現場での活用を促進し、診療体制の発展に寄与することを期待している。そして、いずれはニッケルの使用などのさまざまな規制などに繋がっていくことを願っている」と講演を締めくくった。

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米国でアルファガル症候群による初の死亡例を確認

 米国で、ダニが媒介するまれな肉アレルギーであるアルファガル(α-gal)症候群による死亡例が初めて確認されたことを、米バージニア大学医学部のアレルギー専門医であるThomas Platts-Mills氏らが報告した。この症例報告は、「The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice」に11月12日掲載された。 Platts-Mills氏らによると、アルファガル症候群で死亡したのは、米ニュージャージー州在住の健康な47歳の男性である。この男性は、2024年夏、キャンプ先で夕飯に牛肉を食べた4時間後の深夜2時に、腹部に不快感を感じて目を覚ました。不快感はもがき苦しむほどの強さになり、下痢と嘔吐も生じたが、2時間後に容態は改善し、再び眠りについたという。翌朝、男性の体調は良く、5マイル(8km)歩いた後に朝食を食べた。夫婦でこの出来事について話し合い、医師に診てもらうことも考えたが、結局、受診しなかった。ただ、男性は息子の1人に「死ぬかと思った」と話したという。 2週間後、男性は午後3時にハンバーガーを食べた。妻が外出した午後7時の時点で、男性に消化器症状はなかった。しかし、7時30分頃までに男性の子どもが母親に電話をかけ、父親の様子が再びおかしいことを告げた。その後、息子は男性がバスルームの床の上に意識不明で倒れているのを見つけた。周囲には吐瀉物が見られた。息子は7時37分に救急車を呼び、蘇生措置を開始した。男性は病院に搬送され、2時間にわたる蘇生措置が施されたが、午後10時22分に死亡が確認された。 剖検では、心臓、呼吸器、神経系、腹部に異常は認められず、心臓、右肺、肝臓の顕微鏡検査、心臓病理学検査でも異常はなかった。毒物検査の結果は、血中エタノール濃度は0.049%、ジフェンヒドラミン濃度は440ng/mLだった。剖検の結論は、「原因不明の突然死」とされた。しかし、妻は原因究明を求め、この男性を診察していた医師は、バージニア大学の研究者に連絡を取った。Platts-Mills氏らが行った血液検査から、アルファガル症候群が確認された。 アルファガル症候群は、マダニに噛まれた際に、ダニの唾液に含まれるアルファガルが体内に取り込まれ、それに対するIgE抗体が産生されることを原因として発症する。このようにして感作が成立した人が、牛、豚、羊、その他の哺乳類の肉を摂取すると、この抗体が肉に含まれるアルファガルと反応してアレルギー反応を引き起こすのだ。主な症状は、蕁麻疹、吐き気、胃の痛みだが、専門家は以前より重症化してアナフィラキシーにより死に至る可能性もあると懸念していた。 今回死亡した男性の場合、直近でダニに噛まれた経験はなかったものの、2024年の夏に、足首に12~13カ所、かゆみを伴うダニの刺し口が見られた。Platts-Mills氏は、これらは主にローンスターダニの幼虫によるものと指摘している。また研究グループは、男性のアレルギー反応を悪化させた可能性のある要因として、ハンバーガーとともにビールを飲んでいたことや運動、花粉などを挙げている。 Platts-Mills氏はこの症例を踏まえた注意喚起として、「一般の人にとって重要な情報は、第一に、牛、豚、羊の肉を食べてから3~5時間後に激しい腹痛が起こった場合は、アナフィラキシーショックの可能性があるため、検査が必要だということ。第二に、1週間以上かゆみが続くダニの刺し口がある場合も、哺乳類由来の肉に対する過敏症を誘発したり、悪化させたりする可能性があることだ。一方、軽度から中程度の蕁麻疹であれば、ほとんどの場合、食事管理で症状をコントロールすることができる」とニュースリリースで述べている。

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英語で「蕁麻疹」ってどう言う?【患者と医療者で!使い分け★英単語】第43回

医学用語紹介:蕁麻疹 urticaria「蕁麻疹」を患者さんに説明する際、専門用語であるurticariaでは通じないことが多いと思います。それでは、蕁麻疹と伝えたいとき、どのような一般用語で言い換えればよいでしょうか?講師紹介

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第273回 2025年度補正予算通過、診療所には1施設当たり32万円支給へ/政府

<先週の動き> 1.2025年度補正予算通過、診療所には1施設当たり32万円支給へ/政府 2.医師臨床研修制度、都市集中は緩和も大学病院が減少/厚労省 3.OTC類似薬、保険外し見送り 患者に追加負担で医療費抑制へ/厚労省 4.医学部女子41%時代へ、「医学部=男子優位」は過去の話に/文科省 5.医療DXで人手不足に挑む「働きやすい病院」の認定制度創設を検討/厚労省 6.電子カルテ情報共有、全国運用は26年冬へ モデル課題で工程見直し/厚労省 1.2025年度補正予算通過、診療所には1施設当たり32万円支給へ/政府政府の総合経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案(一般会計18兆3,034億円)は12月11日、衆議院本会議で可決され参議院に送付された。与党に加え国民民主党、公明党などが賛成に回り、会期内成立が確実視される。補正予算は物価高対策(電気・ガス代支援、子供1人当たり2万円給付など)を柱とするが、医療分野では「医療・介護等支援パッケージ」を中心に、病院・診療所の経営を下支えする補助が盛り込まれた。厚生労働省関係は2兆3,252億円で、このうち医療・介護等支援パッケージは1兆3,649億円。医療機関・薬局の「賃上げ・物価上昇」への緊急支援として5,341億円を計上し、診療体制の維持と人材確保を狙う。具体的には、病院に対し1床当たり「賃金分8.4万円+物価分11.1万円」の計19.5万円を基礎的に支給する。さらに救急医療を担う病院には、救急車の受入件数に応じ、1施設当たり500万円から最大1億5,000万円を加算し、3次救急病院には件数にかかわらず1億円を加算する仕組みも設けた。有床診療所は1床当たり8.5万円、無床の診療所(医科・歯科)は1施設当たり32万円を支援する。薬局も店舗数に応じた傾斜配分とし、訪問看護ステーションも対象に含める。また、病床再編を促す「病床数適正化緊急支援基金」として3,490億円を計上し、病院(一般・療養・精神)や有床診療所が病床削減などを行う場合、1床当たり410.4万円(休床は205.2万円)を補助する。さらに、施設整備の資材高騰分などを支援する事業(462億円)や、ICT機器導入など生産性向上を後押しする支援(200億円、1病院当たり上限1億円)も盛り込み、物価高・人件費高騰局面での経営悪化に歯止めをかける構成となっている。予算成立後は交付要綱で要件が示され、現場では申請実務と資金繰りへの速効性が焦点となる。なお、病院向け支援額については下記参考中の計算ツール(東日本税理士法人 長 英一郎氏作成)で概算が試算できる。 参考 1) 医療分野における賃上げ・物価上昇に対する支援 病院向け支援額計算ツール【交付額】 2) 令和7年度厚生労働省補正予算案の主要施策集(厚労省) 3) 18兆円の25年度補正予算案、午後の衆院本会議で可決へ…国民民主・公明も賛成の方針(読売新聞) 4) 政府25年度補正予算案を閣議決定 医療機関の賃上げ・物価上昇に5,341億円計上 後発品基金は844億円(ミクスオンライン) 5) 病院経営の危機踏まえ、1床当たり「賃金分8万4,000円、物価分11万1,000円」の緊急補助、救急病院では加算も-2025年度補正予算案(Gem Med) 2.医師臨床研修制度、都市集中は緩和も大学病院が減少/厚労省厚生労働省は2025年12月5日に、医道審議会医師分科会医師臨床研修部会で、2027年度臨床研修医の募集定員上限案を了承した。募集定員倍率は前年度と同じ1.05倍とし、定員上限は約1万1,000人規模となる。地域枠学生の増加などで算出上の乖離が生じたため、上限総数を超過した分(約100人規模)を各都道府県の「基本となる数」に応じて按分する仕組みを初めて導入する。また、前年度比で減少率が1%を超える都道府県への追加配分や、離島人口に加えて離島数も考慮する新たな加算を設け、地域の実情をより反映させる。制度導入以降、研修医の都市部集中は緩和され、大都市6都府県の採用割合は約4割まで低下した。その一方で、募集定員に占める大学病院の割合は減少傾向が続き、教育・研究機能の低下や医局を通じた地域医師派遣への影響を懸念する声が相次いだ。委員からは、大学病院の経営悪化が研修環境を損ねているとして、国による財政的支援やインセンティブの必要性を訴える意見が出された。あわせて、2026年度から開始された医師少数県と多数県を結ぶ「広域連携プログラム」は、初年度からマッチ率約8割と順調な滑り出しをみせた。基礎研究医プログラムも一定の成果を上げており、今後は定員や設置要件の柔軟化が検討されている。反面、医師働き方改革の本格実施から1年超が経過し、地域医療への影響は限定的とされるものの、若手医師の症例経験や研究意欲が制限され、将来の医療の質低下を懸念する声が強まっている。時間規制と人材育成・研究機能の両立が、今後の臨床研修制度と医療政策の大きな課題となっている。 参考 1) 令和9年度の各都道府県の募集定員上限について(厚労省) 2) 27年度臨床研修、定員上限総数を調整 厚労省部会、109人分(MEDIFAX) 3) 臨床研修病院の2027年度募集定員倍率も「1.05倍」、離島数に応じた係数などを新たに設置(日経メディカル) 4) 若手医師等の「もっと症例経験したい、手術に入りたい」等の意欲を阻害しない医師働き方改革の仕組みが必要-全自病・望月会長(Gem Med) 3.OTC類似薬、保険外し見送り 患者に追加負担で医療費抑制へ/厚労省市販薬と成分・効能が類似している「OTC類似薬」をめぐり、政府・与党と日本維新の会は、公的医療保険の適用を維持した上で、患者に追加負担を求める新たな仕組みを導入する方向で調整に入った。維新が主張してきた「保険適用からの原則除外」は見送られることになった。OTC類似薬は、湿布薬や風邪薬、花粉症治療薬など、市販薬でも対応可能とされる一方、医師の処方が必要な医療用医薬品として保険適用され、患者は1~3割の自己負担で入手できる。維新は現役世代の保険料負担軽減を目的に、保険外しによる医療費削減を訴えてきたが、急激な患者負担増への懸念が強く、方針転換に至った。今後は、薬剤費の4分の1や3分の1などを「特別料金」として患者に追加で負担してもらう案が検討されている。対象薬や負担割合は、成分や用量、症状の重さなどで線引きする方向で、子供や慢性疾患患者への配慮も盛り込まれる見通し。この見直しは、医療現場にも影響を及ぼす。軽症患者が自己判断で受診を控え、市販薬へ移行すれば、外来受診の減少につながる可能性がある一方、追加負担を避けるために処方を求める患者との調整が医師の負担になる懸念もある。とくに慢性疾患の患者では、治療継続への影響や薬剤選択をめぐる説明責任が増す可能性が指摘されている。また、立憲民主党などからは、患者への影響を十分に検証しないまま結論を急ぐべきではないとの声が上がっており、負担増による受診控えや治療中断への懸念も根強い。医療費適正化と患者・医療現場への影響をどう両立させるのか、制度設計の丁寧さが今後の焦点となる。 参考 1) OTC類似薬の保険外し見送りへ 政府・与党、利用者に追加負担を要求(日経新聞) 2) 維新、OTC類似薬の保険適用除外を断念 追加負担求める方向で調整(毎日新聞) 3) OTC類似薬、患者に追加負担導入へ 保険適用維持に維新が同調(朝日新聞) 4) OTC類似薬、「患者への影響」検証を 立民、厚労相に要請(MEDIFAX) 4.医学部女子41%時代へ、「医学部=男子優位」は過去の話に/文科省文部科学省は、2025年度の医学部医学科入試において、入学者に占める女性の割合が41.0%となり、過去10年で最高を更新したと発表した。前年度の39.8%から1.2ポイント上昇し、2年ぶりに4割を超えた。入学者数は男性5,438人、女性3,780人で、男性が59.0%、女性が41.0%だった。女性の受験者数は5万3,917人と3年連続で増加し、調査開始以来最多となった。男性の受験者数6万7,480人の約8割に迫っている。合格者数は男性8,286人、女性5,593人で、合格率は男性12.3%、女性10.4%と女性が1.9ポイント低かった。全体の受験者数は12万1,397人、合格率は11.4%だった。大学別にみると、女性入学者の割合が5割を超えたのは女子医大を除いて10大学に上った。北里大(58.5%)をはじめ、埼玉医大、弘前大、聖マリアンナ医大、川崎医大、香川大、杏林大、秋田大、島根大、昭和医大で女性が過半数を占めた。一方、京都大は18.8%にとどまり、東大と阪大はいずれも21.0%と低水準だった。東大などでは女性受験者数自体が少なく、合格率に大きな男女差はなかったとされる。医学部入試をめぐっては、2018年に一部の大学で女性受験者を一律に減点するなどの不適切な運用が社会問題化した。これを受け、文科省は2019年度以降、全国81大学を対象に男女別の受験者数や合格率、入学者数を毎年公表している。今回の結果は、入試の透明化が定着する中で、女性の医学部志向が着実に高まっている現状を示す一方、大学間のばらつきや合格率格差といった課題も浮き彫りにした。医師養成の担い手が多様化する中、入試の公平性に加え、卒後のキャリア形成や就労環境の整備が改めて問われている。 参考 1) 医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る調査について(文科省) 2) 医学部の女性入学者41% 過去10年で最高 25年度(CB news) 3) 医学科の女子受験者、3年連続で増加…文科省調査(Rese Mom) 5.医療DXで人手不足に挑む「働きやすい病院」の認定制度創設を検討/厚労省少子高齢化で医療人材の確保が難しくなる中、政府は医療DXを「人手不足対策」と「職場環境改善」の柱として制度的に後押しする方針が明らかとなった。厚生労働省は、12月8日に社会保障審議会・医療部会を開催し、すでにDXを導入して業務効率化を進めてきた医療機関の取り組みを提示するとともに、未導入・遅れがちな医療機関にも裾野を広げる支援について検討した。2025年度補正予算案では、試行的な取り組みだけでなく幅広い医療機関を対象にDX化を支援する枠として200億円を計上し、効果が出るまで時間を要する点を踏まえ継続的支援のあり方も論点となった。効果検証では、労働時間の変化、医療の質・安全、経営への影響などを統一基準で収集・分析し、医療情報の標準化や医療機関の負担軽減にも配慮する。さらに、業務効率化に資する機器・サービスの価格や機能、効果を透明に把握できる仕組みや新技術開発の推進、都道府県の勤務環境改善支援センターによる伴走支援強化も盛り込んでいる。さらに注目されるのは「業務効率化・職場環境改善に計画的に取り組む病院」を公的に認定し公表する制度案で、医療者の職場選択に影響し、認定病院が人材確保で有利になる可能性がある。その一方で、非認定病院が相対的に不利となり地域格差や医師偏在を助長しないか、財政的に厳しい中小医療機関への支援をどう担保するか慎重論も出た。改正医療法では2030年末までの電子カルテ普及目標が明記されたが、現場では「普及率100%」より、データ利活用の価値提示が重要との指摘が強い。自治体と医療機関が連携し、予防や地域単位の健康施策に活用するモデル事業を示すこと、サイバーセキュリティや制度整備を含め、DXを「負担」ではなく、「定着と質向上」につなげる設計が問われている。 参考 1) 令和7年度補正予算案(保険局関係)の主な事項について(厚生省) 2) 「働きやすい病院」国が認定 AI活用で効率化、生産性も向上(日経新聞) 3) 「業務効率化・職場環境改善に積極的な病院」を国が認定、医療人材確保等で非常に有利となる支援充実も検討-社保審・医療部会(Gem Med) 4) 改正医療法でも強調された医療DX、「電カル普及100%」より大事な議論は(日経メディカル) 6.電子カルテ情報共有、全国運用は26年冬へ モデル課題で工程見直し/厚労省厚生労働省は、12月10日に開かれた「健康・医療・介護情報利活用検討会」の医療等情報利活用ワーキンググループで、医療機関間で診療情報を共有する「電子カルテ情報共有サービス」について、全国での本格運用開始時期を当初想定していた2025年度内から見直し、2026年度の冬ごろを目標とする方針を示した。同サービスは、診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書の「3文書」と、傷病名、アレルギー、感染症、薬剤禁忌、検査、処方など「6情報」を標準化し、必要時に医療機関や患者が閲覧できる仕組み。2025年2月から各地でモデル事業が進み、現在は複数地域・医療機関で運用しているが、臨床情報の登録段階で、医療機関や電子カルテベンダーごとに状況が異なる複数の課題が確認されたという。厚労省は原因の特定と解決を優先し、サービス側と電子カルテ側の双方を改修した上で再検証を行い、支障なく運用できる文書・情報から順次、全国で利用可能にする考え。また、処方情報の取り扱いは方針を転換し、電子カルテ情報共有サービスでは抽出を行わず、電子処方箋管理サービスに1本化する案を示した。医薬品コードの違いにより処方の一部しか抽出できない場合、情報が欠落したまま「すべての処方」と誤認される恐れがあるためとしている。その一方で電子処方箋は院内処方を含む登録が進み、網羅性と即時性の点で活用が見込めるとしている。構成員からは、全国展開時に医療機関の負担が再発しないようメーカーとの連携を求める声や、患者説明が医療機関任せになっている点への懸念、電子処方箋未導入施設では処方情報が拾えない課題が指摘され、今後の検討事項となった。 参考 1) 電子カルテ情報共有サービスに関する検討事項について(厚労省) 2) 電子カルテの普及について(同) 3) 電子カルテ情報共有、全国運用は26年冬に 処方情報は電子処方箋に1本化 情報利活用WG(CB news) 4) 電子カルテ情報共有サービス、モデル事業での検証・改修経て「2026年度冬頃の本格運用」目指す-医療等情報利活用ワーキング(Gem Med)

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アトピー性皮膚炎患者に最適な入浴の頻度は?

 アトピー性皮膚炎患者にとって入浴は判断の難しい問題であり、毎日の入浴が症状の悪化を引き起こすのではないかと心配する人もいる。こうした中、新たなランダム化比較試験で、入浴の頻度が毎日でも週に1~2回でも、入浴がアトピー性皮膚炎の症状に与える影響に違いはないことが明らかになった。 この試験を実施した英ノッティンガム大学臨床試験ユニットのLucy Bradshaw氏は、「アトピー性皮膚炎の人でも自分に合った入浴頻度を選べることを意味するこの結果は、アトピー性皮膚炎の症状に苦しむ人にとって素晴らしい知らせだ」と述べている。この臨床試験の詳細は、「British Journal of Dermatology」に11月10日掲載された。 アトピー性皮膚炎は、皮膚の水分保持力の低下や外的刺激や病原体から体を守る力(バリア機能)の低下により、皮膚の乾燥、かゆみ、凹凸などが生じる疾患である。今回の試験では、438人のアトピー性皮膚炎患者(16歳未満108人)を対象に、入浴の頻度が症状に与える影響が検討された。入浴は、シャワーだけを浴びる場合とバスタブに身体を浸す場合の双方を含めた。対象者は、4週間にわたり、週に1〜2回入浴する群(220人)と毎日(週に6回以上)入浴する群(218人)にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、週に1回、POEM(patient oriented eczema measure)を使って患者が報告したアトピー性皮膚炎の症状であった。 その結果、ベースライン、および1、2、3、4週目の平均POEMスコアは、毎日入浴した群でそれぞれ14.5点、11.7点、12.2点、11.7点、11.6点、週1〜2回入浴した群ではそれぞれ14.9点、12.1点、11.3点、10.5点、10.6点であった。両群間の4週間の平均POEMスコアの調整差は−0.4(95%信頼区間−1.3~0.4、P=0.30)であり、有意な差は認められなかった。 共著者の1人であり、自身もアトピー性皮膚炎に罹患しているノッティンガム大学Centre of Evidence Based Dermatology(CEBD)のAmanda Roberts氏は、「この研究結果には非常に安心した」と話す。同氏は、「日常生活の中にはアトピー性皮膚炎の症状に影響する可能性があるものがたくさんある。そのため、入浴やシャワーの頻度はそこに含まれないと知っておくのは、心配事が一つ減って喜ばしいことだ」と話している。 研究グループは次の研究で、アトピー性皮膚炎の再発の治療において、ステロイド薬をどのくらいの期間使用すべきかを調べる予定だという。Bradshaw氏は、「アトピー性皮膚炎患者と緊密に協力しながらこの研究を共同設計できたことは素晴らしい経験だった。われわれは、これまでの研究では十分に注目されてこなかった、アトピー性皮膚炎患者の生活にまつわる疑問に答えを見つけ始めたところだ」と述べている。

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アトピー性皮膚炎へのウパダシチニブ、増量および減量の有効性と安全性/BJD

 成人の中等症〜重症のアトピー性皮膚炎に対する、JAK1阻害薬ウパダシチニブのこれまでの主要な臨床試験では、15mg(UPA15)および30mg(UPA30)の固定用量1日1回投与による有効性と安全性が評価されてきた。カナダ・クイーンズ大学のMelinda Gooderham氏らは、日本を含む第IIIb/IV相無作為化国際多施設共同盲検treat-to-target試験を実施し、12週間の治療後の臨床反応に基づくUPA30への増量およびUPA15への減量の有効性と安全性を検討した。British Journal of Dermatology誌2025年12月号掲載の報告より。 18歳以上65歳未満の中等症〜重症のアトピー性皮膚炎患者461例が1:1の割合でUPA15群またはUPA30群に無作為に割り付けられ、12週間の二重盲検期間中1日1回経口投与された。UPA15群では、12週時点でEczema Area and Severity Index(EASI)-90未達成の患者は30mgに増量し(UPA15/30群)、EASI-90を達成した患者は15mgの投与を継続した(UPA15/15群)。UPA30群では、12週時点でEASI-90未達成の患者は30mgの投与を継続し(UPA30/30群)、EASI-90を達成した患者は15mgに減量した(UPA30/15群)。 主要有効性評価項目は、24週時点におけるEASI-90達成率で、安全性についても評価された。 主な結果は以下のとおり。・UPA15群に229例、UPA30群に232例が割り付けられた。・24週時点で、UPA15/30群の48.1%(64/133例、95%信頼区間[CI]:39.6~56.6)がEASI-90を達成し、UPA30/15群の68.5%(89/130例、95%CI:60.5~76.4)がEASI-90を維持していた。・24週時点で、UPA15/15群では74.6%(53/71例、95%CI:64.5~84.8)、UPA30/30群では29.3%(24/82例、95%CI:19.4~39.1)がEASI-90を維持していた。・24週時点で、UPA15/30群の32.5%(27/83例、95%CI:22.5~42.6)およびUPA30/15群の38.0%(38/100例、95%CI:28.5~47.5)が最悪のかゆみの数値評価尺度(WP-NRS)0または1を達成し、それぞれ20.7%(17/82例、95%CI:12.0~29.5)および35.0%(35/100例、95%CI:25.7~44.3)がEASI-90かつWP-NRS 0/1を達成した。・24週時点における試験治療下での有害事象の発現率は、UPA15/15群では43.1%(31/72例)、UPA15/30群では54.2%(78/144例)、UPA30/30群では61.5%(56/91例)、UPA30/15群では48.9%(65/133例)であった。悪性腫瘍、中央判定された静脈血栓塞栓症イベント、死亡は報告されていない。 著者らは、「12週時点のEASI-90達成状況に応じたウパダシチニブの用量漸増/減量戦略により、24週時点でのEASI-90達成および維持が可能であることが示された」とし、安全性についても既知のウパダシチニブの安全性プロファイルと一致し、新たな安全性上の懸念は確認されなかったとまとめている。

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雷雨の日には喘息関連の救急外来受診が増える

 雷雨の最中や直後に喘息症状が急増する現象は、雷雨喘息と呼ばれている。この現象について検討した新たな研究で、雷雨の日には、実際に喘息関連の救急外来(ED)受診が大幅に増加することが示された。米カンザス大学医療センターのDiala Merheb氏らによるこの研究結果は、米国アレルギー・喘息・免疫学会年次学術会議(ACAAI 2025、11月6〜10日、米オーランド)で発表された。Merheb氏は、「これらの結果は、米国においても、雷雨が喘息患者に深刻な健康リスクをもたらす可能性があることを裏付けている」と述べている。 Merheb氏らによると、雷雨喘息は世界的に広く報告されている現象であり、世界アレルギー機構も認めていると研究者らは背景説明の中で述べている。しかし、米国の花粉が多い地域における雷雨喘息に関する研究は限定的であり、米国人に対する脅威は十分に理解されていないという。 この研究では、2020年1月1日から2024年12月31日の間にカンザス州ウィチタの3カ所の病院で発生した4,439件の喘息関連のED症例を分析し、雷雨との関連を検討した。雷雨日は、米国立環境情報センターの気象データを用いて調べた。 研究対象期間中に発生した雷雨日は38日で、試験対象期間のわずか2%を占めるに過ぎなかったが、雷雨日には喘息関連ED受診の14.1%(627/4,439件)が発生していた。ED受診件数の平均は、雷雨の日で17.91件であり、雷雨ではない日(3.09件)と比較して有意に多かった。 Merheb氏は、「嵐は予測不可能なので、患者と医療提供者は、喘息の行動計画に雷雨に特化した予防措置を含める必要がある」とACAAIのニュースリリースで述べている。 米ハーバード大学医学大学院によると、気象現象の展開次第で雷雨によって喘息発作が起きやすくなる可能性があるという。そのメカニズムは次のように説明されている。まず、冷たい下降気流によって花粉やカビなどのアレルゲンが濃縮され、それが湿気を帯びた厚い雲の中に巻き上げられる。雷雨の際には、風、湿気、雷によりそれらの粒子が分解され、肺の奥深くまで簡単に吸い込まれるようになる。さらに、嵐の際に突風により小さな粒子が集められることで、大量吸入の可能性が高まる。 共同研究者であるカンザス大学医療システムのアレルギー専門医であるSelina Gierer氏は、「自分の子どもが喘息持ちである人は、花粉の飛散量が多い日や寒い天候に備えるのと同じように、雷雨にも注意を払うべきだろう。誘因を理解し、明確な行動計画を立てることで、ED受診を回避することができる」と話している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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統計が苦手でも大丈夫!ChatGPTで研究デザインと統計解析を相談する方法【誰でも使えるChatGPT】第6回

皆さん、こんにちは。近畿大学皮膚科の大塚です。さて、今回は多くの臨床医が苦手意識を持つ「統計解析」にChatGPTを活用する方法についてお話しします。「統計の教科書を読んでも難しくてわからない」「どの統計手法を使えばいいのか判断できない」「サンプルサイズが小さいけど、どう対処すればいいのか」こうした悩みを抱えている先生方は多いのではないでしょうか。今回ご紹介するのは、ChatGPTを「統計の家庭教師」として活用する方法です。ただし重要なのは、ChatGPTに実際の計算をさせるのではなく、研究デザインの相談や統計手法の選択といった「方針決定」の段階で活用するということです。実際のデータ解析は統計ソフトで行い、ChatGPTはその前段階での相談相手として使う。この使い分けが成功のカギとなります。関連サイトChatGPTINDEX臨床研究における統計相談の3つの段階この相談から得られること統計手法選択での重要なポイント論文記載での活用ChatGPTに「させてはいけないこと」統計相談の5つのルールTake-Home Message臨床研究における統計相談の3つの段階ChatGPTを統計相談で活用する場面は、大きく3つに分けられます。段階1:研究デザインの検討データを集める前の段階で、どのような研究デザインが適切か、どんな評価項目を設定すべきかを相談します。この段階での相談が最も効果的で、後からの修正は困難なため、研究の成否を左右します。段階2:統計手法の選択データを収集した後、どの統計手法を使うべきかを相談します。データの性質(連続変数かカテゴリカル変数か、正規分布するか、対応があるかなど)に応じて、適切な検定方法を提案してもらいます。段階3:結果の解釈支援統計ソフトで解析した結果をどう解釈し、論文にどう記載するかを相談します。p値の意味、効果サイズの解釈、適切な図表の選び方などをアドバイスしてもらえます。それでは、それぞれの段階での具体的な活用例を見ていきましょう。実践例1:研究デザインの相談【研究を始める前】シナリオ「当院のアトピー性皮膚炎患者さんに新しい治療を始めたが、その効果を客観的に評価して学会発表したい。でも、どんな研究デザインが適切なのか、わからない…」多くの先生が、日常診療の中で「この治療効果を論文にできないだろうか」と考えることがあるでしょう。しかし、研究デザインをどう組み立てるか、評価項目をどう設定するか、サンプルサイズはどのくらい必要かなど、わからないことだらけです。こうした初期段階での疑問に、ChatGPTは具体的な提案をしてくれます。研究計画の立案支援あなたは臨床研究の方法論に詳しい統計の専門家です。以下の研究課題について、適切な研究デザインを提案してください。【研究課題】「当院皮膚科外来のアトピー性皮膚炎患者に対するデュピルマブ導入後の治療効果と患者QOLの変化を評価したい」【現状】- 対象過去1年間にデュピルマブを開始した患者、約30例- 評価項目EASI、DLQI、VAS(かゆみ)- データカルテから後方視的に収集可能- 比較対照なし(単群での評価)以下の項目について具体的に提案してください:1.適切な研究デザイン(後ろ向きvs.前向き、など)2.主要評価項目と副次評価項目の設定3.評価時点の設定(ベースライン、フォローアップ)4.除外基準の設定5.必要なサンプルサイズの考え方6.この研究の限界と対処法ChatGPTからの回答例 【提案する研究デザイン】後ろ向きコホート研究(Single-arm observational study)【詳細な設計】1.研究デザイン- 後ろ向き観察研究(Retrospective cohort study)- 単群での治療前後比較- 理由:すでにデータが蓄積されており、介入を加えない観察研究として実施可能2.評価項目主要評価項目:EASI(Eczema Area and Severity Index)- 投与開始時と16週後の変化量- 50%以上の改善率(EASI-50)副次評価項目:- DLQI(生活の質)の変化- VAS(かゆみ)の変化- 治療継続率- 有害事象の発現率3.評価時点の設定- ベースライン(投与開始時)- 4週後- 16週後(主要評価時点)- 52週後(長期効果の評価)※データがあれば4.除外基準- 他の生物学的製剤の使用歴がある患者- 重症な併存疾患がある患者- 評価時点でのデータ欠損が多い患者5.サンプルサイズ30例は小規模だが、記述統計と効果サイズの報告としては妥当- 検出力計算は困難だが、探索的研究として位置付ける- 可能であれば40~50例まで増やすことを推奨6.研究の限界と対処法限界:- 対照群がない- 後ろ向き研究のため、データ欠損の可能性- 選択バイアス(デュピルマブを選択した患者特性)対処法:- ベースライン特性を詳細に記述- 欠損データの扱いを明記- 既報告の他施設データとの比較を考察で言及この相談から得られることこのように、ChatGPTに相談することで、研究の全体像が見えてきます。とくに重要なのは「研究の限界」を先に把握できることです。後ろ向き研究であること、対照群がないこと、サンプルサイズが小さいことなど、あらかじめ限界を理解したうえで研究を進めれば、論文執筆時の考察でも適切に言及することができます。また、倫理審査を申請する際にも、この提案内容は非常に参考になります。評価項目や評価時点が明確になっていれば、倫理審査委員会での質問にも的確に答えられるでしょう。ただし、注意すべきは、ChatGPTの提案はあくまで「たたき台」であるということです。実際には、自施設の状況や利用可能なリソースに応じて調整が必要ですし、可能であれば生物統計の専門家に相談することをお勧めします。実践例2:統計手法の選択相談【データ収集後】シナリオ「データは集まったけど、どの統計手法を使えばいいのかがわからない…」研究計画どおりにデータを収集したものの、いざ統計解析をしようとすると、どの検定方法を使えばいいのかわからなくなることはよくあります。対応のあるt検定か、対応のないt検定か。正規分布しない場合はどうするのか。多重比較の補正は必要なのか。こうした具体的な疑問に、ChatGPTは明確な答えを提示してくれます。統計手法の選択あなたは医学統計の専門家です。以下のデータに対して、適切な統計解析手法を提案してください。【研究内容】アトピー性皮膚炎患者30例のデュピルマブ治療前後の比較【データの種類】- EASIスコア(連続変数、正規分布を仮定) - 治療前:平均28.5±標準偏差10.2 - 16週後:平均12.3±標準偏差8.5- DLQIスコア(連続変数、やや右に偏った分布) - 治療前:中央値15(四分位範囲12~20) - 16週後:中央値6(四分位範囲3~10)- 治療効果(カテゴリカル変数) - 著効:12例 - 有効:15例 - 無効:3例【質問】1.治療前後のEASIスコアの比較に適した検定方法2.DLQIスコアの比較に適した検定方法3.治療効果の割合を示す適切な方法4.多重比較の補正が必要か5.効果サイズ(Effect Size)の計算方法ChatGPTからの回答例 【統計解析の提案】1.EASIスコアの比較推奨:対応のあるt検定(Paired t-test)理由:- 同一患者の治療前後比較- 連続変数- 正規分布を仮定できる- サンプルサイズが30で中心極限定理が適用可能代替法:- 正規性が怪しい場合はWilcoxon符号順位検定2.DLQIスコアの比較推奨:Wilcoxon符号順位検定(Wilcoxon signed-rank test)理由:- 分布が偏っている(ノンパラメトリック検定が適切)- 対応のあるデータ- 中央値と四分位範囲で記述されている3.治療効果の割合推奨:記述統計として割合と95%信頼区間を提示- 著効率:40.0%(95%CI:22.7~59.4%)- 有効以上の割合:90.0%(95%CI:73.5~97.9%)検定は不要(単群での評価のため)4.多重比較の補正今回は不要理由:- 主要評価項目はEASI(1つ)- 副次評価項目は探索的な位置付け- ただし、考察では多重性の問題に言及すべき5.効果サイズの計算推奨:Cohen's d計算式:d=(平均の差)/(標準偏差のプール値)d=(28.5~12.3)/ √[(10.22+8.52)/2]d ≒1.73(非常に大きな効果サイズ)解釈:- d>0.8:大きな効果- あなたの研究:d=1.73(非常に強い治療効果を示唆)統計手法選択での重要なポイントこの例で注目すべきは、ChatGPTが「なぜその検定方法を選ぶのか」という理由も説明してくれる点です。単に「対応のあるt検定を使いなさい」と言われるより、「同一患者の前後比較だから対応のあるt検定」という理由がわかれば、次回以降の研究でも応用できます。また、効果サイズ(Cohen's d)の計算式まで提示してくれるのも便利です。統計学的有意差だけでなく、効果サイズを報告することは、最近の医学雑誌では標準的になってきています。p値だけでは臨床的な意義はわかりませんが、効果サイズを見れば「どのくらい強い効果なのか」がわかります。ただし、ここでも注意が必要です。ChatGPTが提案する計算式や数値は、必ず統計ソフトで再計算して確認してください。手計算での誤りやバージョンによる違いがある可能性があるためです。実践例3:結果の解釈とグラフ作成の相談シナリオ「統計ソフトで解析したけど、p値の解釈や図表のつくり方で悩んでいる」統計ソフトを使って検定を実行すると、p値やt値などの数値が出力されます。しかし、これをどう解釈し、論文にどう記載すればいいのかがわからないという声をよく聞きます。また、結果を図表で示す際に、どの種類のグラフが適切かも悩ましい問題です。結果の解釈支援あなたは統計結果をわかりやすく説明する専門家です。以下の解析結果について、論文に記載すべき内容と適切な図表の形式を提案してください。【解析結果】対応のあるt検定(EASIスコア)- 治療前:28.5±10.2- 16週後:12.3±8.5- 平均差:16.2(95%CI:12.5~19.9)- t値=8.95、p<0.001- Cohen's d=1.73【質問】1.この結果を論文に記載する際の文例2.適切な図表の形式(グラフの種類)3.p値の解釈で注意すべき点4.臨床的意義の考察ポイントChatGPTからの回答例 【論文記載の文例】Results部分:「デュピルマブ投与開始から16週後、EASIスコアは治療前の28.5±10.2から12.3±8.5へ有意に改善した(平均差:16.2点、95%CI:12.5~19.9、p<0.001)。効果サイズはCohen's d=1.73であり、非常に大きな治療効果が認められた」【推奨する図表】図1:Box plot(箱ひげ図)+Individual data points- X軸:治療前、16週後- Y軸:EASIスコア- 個別症例の変化を線で結ぶ- 理由:個々の患者の変化が視覚的にわかる図2:Bar graph(棒グラフ)with error bars- 平均値と標準誤差を表示- マーク(p<0.001)を追加- シンプルでわかりやすい【p値の解釈での注意点】適切な解釈:「治療前後で統計学的に有意な差が認められた(p<0.001)」避けるべき表現:「治療前後で有意差があったため、治療効果が証明された」理由:統計学的有意差と臨床的重要性は別物【臨床的意義の考察ポイント】1.MCID(臨床的に意味のある最小変化量)との比較- EASIのMCIDは一般的に6~7点- 今回の改善幅16.2点はMCIDを大きく上回る2.EASI-50、EASI-75の達成率- 50%以上改善した患者の割合を計算- 他の研究との比較が可能3.効果サイズ(d=1.73)の解釈- 非常に大きな効果- 単群研究でもこの効果サイズは臨床的に重要論文記載での活用この例でとくに役立つのは、具体的な文例を提示してくれる点です。統計の専門用語を適切に使いながら、医学論文として自然な表現で記載する方法がわかります。また、「避けるべき表現」も示してくれるので、よくある誤りを防ぐことができます。グラフの種類についても、単に「箱ひげ図がいい」と言うだけでなく、「個別症例の変化を線で結ぶ」という具体的な提案があるため、実際に作図する際のイメージが湧きやすくなります。ChatGPTに「させてはいけないこと」ここまで、ChatGPTの有効な活用法を見てきましたが、逆に「させてはいけないこと」も明確にしておく必要があります。実際のデータ解析をさせないChatGPTに患者データを入力して、「この30例のデータを解析してください」と依頼することは避けてください。その理由は3つあります。1)個人情報保護の問題です。たとえ氏名を伏せても、年齢、性別、検査値などの組み合わせで個人が特定される可能性があります。2)計算の正確性が保証されません。ChatGPTは統計ソフトではなく、計算ミスのリスクがあります。3)再現性の担保が困難です。同じデータで同じ質問をしても、異なる結果が返ってくる可能性があります。統計ソフトの代わりにしないChatGPTはあくまで「アドバイザー」であり、実際の計算は必ずR、SPSS、JMP、Excelなどの統計ソフトで行ってください。「どの統計手法を使うべきか」はChatGPTに相談し、「実際の計算」は統計ソフトで行う、という役割分担が重要です。p-hackingの相談をしない「有意差が出る方法を教えて」「p値を0.05未満にする方法は?」といった質問は、研究不正につながります。統計手法は研究デザインの段階で決めるべきであり、結果を見てから手法を変えることは許されません。統計相談の5つのルールChatGPTを統計相談で活用する際は、以下の5つのルールを守ってください。ルール1:実データは入力しない患者の個人情報保護のため、実際のデータは入力せず、サマリー統計(平均値、標準偏差など)や仮想データのみを使用してください。ルール2:提案は必ず検証するChatGPTの提案内容は、必ず統計の教科書や専門家に確認してください。複数の情報源でクロスチェックすることが重要です。ルール3:計算は専用ソフトでChatGPTは方針決定まで。実際の解析は必ず統計ソフトで行ってください。ルール4:研究デザインは早めに相談データ収集前の研究デザイン段階で相談するのが最も効果的です。後から修正するのは困難です。ルール5:限界を明記するサンプルサイズの制約、研究デザインの限界、AIで相談したことなどは、研究ノートに記録しておきましょう。Take-Home Message今回ご紹介した統計相談でのChatGPT活用法は、統計が苦手な臨床医にとって心強い味方となるはずです。しかし、重要なのは「使い方を間違えない」ことです。ChatGPTを統計の家庭教師として活用する3原則を、もう一度確認しておきましょう。原則1:相談相手として使う計算機ではなく、考え方を学ぶツールとして使いましょう。「どんな統計手法が適切か」の方針決定に活用してください。原則2:研究の早い段階からデータ収集前の研究デザイン相談が最も効果的です。後からの修正は困難ですから、計画段階でしっかり相談しましょう。原則3:必ず専門家の確認を統計の専門書で裏付けを取り、可能なら生物統計家への相談も検討してください。重要な判断はAIだけに頼らないでください。統計が苦手でも、AIを使えば一歩を踏み出すことができます。統計の専門家に相談する前の「予習」として、ChatGPTで基本的な方向性をつかむことで、より実りある議論が可能になります。研究の質を高めながら、効率的に進めるために、ChatGPTを「あなたの理解度に合わせて解説してくれる優しい統計の先生」として活用してみてください。

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日本のプライマリケア受診の蕁麻疹患者、約3分の1が罹患期間3年以上

 日本の9つの皮膚科プライマリケアクリニックを受診した蕁麻疹患者約千例において、36.1%が罹患期間3年以上であることが明らかになった。罹患期間は、高齢患者、皮膚描記症(dermographism)およびコリン性蕁麻疹患者でより長い傾向がみられた。広島大学の齋藤 怜氏らによる、The Journal of Dermatology誌オンライン版2025年10月31日号への報告より。 本研究では、蕁麻疹の予後に関連する因子を検討するため、2020年10月1日~11月11日に9つの皮膚科プライマリケアクリニックを受診した蕁麻疹患者1,061例を対象に、罹患期間についての横断的解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・216例(20.4%)は急性蕁麻疹であり、蕁麻疹の罹患期間3年以上が383例(36.1%)、10年以上が125例(11.8%)であった。・罹患期間について、男女間で有意差は認められなかった。・20歳未満の患者では75例(38.9%)が急性蕁麻疹であった一方、50歳超の患者では20%超が罹患期間10年以上であった。・皮膚描記症およびコリン性蕁麻疹患者における罹患期間3年以上の患者の割合は、それぞれ42%および45.3%であった。

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注射薬のデュピルマブが喘息患者の気道閉塞を改善

 抗炎症作用のある注射薬のデュピルマブ(商品名デュピクセント)が、喘息患者の粘液の蓄積を減らし、喘息発作時の気道の閉塞を改善するのに有効であることが、新たな臨床試験で示された。この試験の結果によると、デュピルマブを使用した患者では、粘液による気道閉塞が見られる割合が半減したという。ビスペビアウ病院(デンマーク)のCeleste Porsbjerg氏らによるこの臨床試験の詳細は、「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」に10月27日掲載された。 Porsbjerg氏は、「中等症から重症の喘息では、肺の中にたまった粘液により気道が塞がれて呼吸が制限され、重度の喘息発作が生じたり、死に至ることもある」とニュースリリースの中で述べている。同氏らによると、体内に少量の粘液があるのは普通のことであり、風邪やインフルエンザに罹患したときを除けば、それが問題になることはない。しかし、喘息患者の場合、炎症によって気道が狭まり、粘液が気道を塞ぐと命に関わる恐れがあるという。 今回の臨床試験には関与していない専門家の1人で、アレルギー&喘息ネットワークのチーフ・リサーチ・オフィサーのDe De Gardner氏は、「喘息発作時に粘液の分泌量が増える患者にとっては、それが強いストレスや不安の原因になる。粘液が喉に詰まり、うまく咳で出せなかったりすると、吐き気を催すこともある」とニュースリリースの中でコメントしている。 Drugs.comによると、デュピルマブはもともと免疫に関連した疾患であるアトピー性皮膚炎の治療薬として2017年に承認され、その後、喘息、副鼻腔炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの治療にも用いられるようになった。デュピルマブは、炎症に関わるサイトカイン(インターロイキン〔IL〕-4、IL-13)の働きを直接抑えることで作用する。 今回報告された臨床試験では、109人の中等症から重症の喘息患者を24週間にわたって、2週間ごとにデュピルマブ(300mg)を注射投与する群(72人)とプラセボを注射投与する群(37人)にランダムに割り付けた。 その結果、デュピルマブ群では重度の粘液による気道の閉塞が認められる患者の割合が治療開始前の67.2%から試験終了時には32.8%に低下し、大幅な改善が見られた。一方、プラセボ群での割合は試験開始前(76.7%)と試験終了時(73.3%)で、ほとんど変化が認められなかった。また、呼気の分析でも、デュピルマブ群ではプラセボ群と比べて、炎症の指標である呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)が25ppb未満まで減少した患者の割合が有意に多く、さらに、肺機能も有意に改善したことが示された。 Porsbjerg氏らは、「これらの結果は、デュピルマブが中等症から重症の喘息患者において、治療開始からわずか4週間で粘液による気道の閉塞と炎症を軽減することを示している」と結論付けている。ただし、デュピルマブは安価な薬ではない。Drugs.comによると、同薬の1カ月分(300mgの注射を2回分)の価格は約3,900ドル(1ドル154円換算で約60万円)に上るという。 なお、今回報告された臨床試験は、デュピルマブを製造するSanofi/Regeneron Pharmaceuticals社の資金提供を受けて実施された。

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小児のアトピー性皮膚炎、特発性慢性蕁麻疹の在宅治療に期待(デュピルマブ皮下注200mgペン発売)/サノフィ

 サノフィは、小児のアトピー性皮膚炎および特発性の慢性蕁麻疹の治療薬デュピルマブ(商品名:デュピクセント)の皮下注200mgペンを11月17日に発売した。 デュピルマブは、2型炎症において中心的な役割を果たすタンパク質であるIL-4およびIL-13の作用を阻害する、完全ヒト型モノクローナル抗体製剤。気管支喘息などのすでに承認された適応症に加え、原因不明の慢性そう痒症、慢性単純性苔癬などの開発も行っている。わが国では2025年2月に小児の気管支喘息、2025年4月に水疱性類天疱瘡に対して適応追加申請を行っている。 今回発売された「200mgペン」は、「デュピルマブ製剤」として在宅自己注射指導管理料の対象薬剤として指定されている。「あてる、押す」の2ステップによる簡便な操作で、200mgシリンジ製剤と同一組成の薬液を自動的に注入するペン型の注射剤。同社では、小児患者の在宅自己注射時の利便性向上が期待でき、新たな治療選択肢になると期待を寄せている。<製品概要>※今回の発売製品の情報のみ記載一般名:デュピルマブ(遺伝子組換え)商品名:デュピクセント皮下注200mgペン効能または効果:・既存治療で効果不十分な下記皮膚疾患 アトピー性皮膚炎 特発性の慢性蕁麻疹※最適使用推進ガイドライン対象用法および用量:〔アトピー性皮膚炎〕通常、生後6ヵ月以上の小児にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として体重に応じて以下を皮下投与する。5kg以上15kg未満:1回200mgを4週間隔15kg以上30kg未満:1回300mgを4週間隔30kg以上60kg未満:初回に400mg、その後は1回200mgを2週間隔60kg以上:初回に600mg、その後は1回300mgを2週間隔〔特発性の慢性蕁麻疹〕通常、12歳以上の小児にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として体重に応じて以下を皮下投与する。30kg以上60kg未満:初回に400mg、その後は1回200mgを2週間隔60kg以上:初回に600mg、その後は1回300mgを2週間隔薬価:デュピクセント皮下注200mgペン:3万9,706円(キット)製造販売承認日:2023年9月25日薬価基準収載日:2025年11月12日発売日:2025年11月17日製造販売元:サノフィ株式会社

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高市早苗内閣が発足、社会保障政策の行方は?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第160回

自民党の高市 早苗氏が10月の臨時国会で第104代首相に指名されました。女性初の総理大臣誕生ということで、物価高やら円安やらの暗い日常に少し新しい時代の光が差し込んだかなという気がします。普段あまり政治に興味がなくても、決選投票や所信表明演説などを見た人は多いのではないでしょうか。自民党が与党であることに変わりはありませんが、公明党が連立から離脱し、自民党と日本維新の会による新しい連立政権が誕生し、その合意文書が発表されました。その中に、社会保障に関連するワードがいくつかあったりするなど、じわじわと医療にも変化の足音が聞こえています。合意文書の中の、社会保障政策の項に記載されたのは以下の文書です。「OTC類似薬」を含む薬剤自己負担の見直し、金融所得の反映などの応能負担の徹底など、25年通常国会で締結したいわゆる「医療法に関する3党合意書」および「骨太方針に関する3党合意書」に記載されている医療制度改革の具体的な制度設計を25年度中に実現しつつ、社会保障全体の改革を推進することで、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指す。社会保障関係費の急激な増加に対する危機感と、現役世代を中心とした過度な負担上昇に対する問題意識を共有し、この現状を打破するための抜本的な改革を目指して、25年通常国会より実施されている社会保障改革に関する合意を引き継ぎ、社会保障改革に関する両党の協議体を定期開催するものとする。OTC類似薬の保険給付見直しについては、維新との合意も踏まえ、「骨太方針2025」で年末の予算編成に向けた議論を行うことが確定済みと言われています。自民・維新の連立協議の中でも、2025年度中に「骨太方針2025」を軸にした「具体的な制度設計」を実現するように動いていきそうです。維新が「現役世代の負担軽減を目的とした社会保障改革」を連立交渉で強く主張したと報じられており、OTC類似薬の保険給付見直しはその柱と言われています。維新は、市販薬とほぼ同様の効果の湿布薬や花粉症薬などの処方薬を保険給付から外すことで、医療費を年間数千億~1兆円規模で削減できるとしています。確かに、非常にわかりやすいですよね。OTC類似薬見直しは確実に進んでいくと思われます。また、「赤字に苦しむ医療機関や介護施設への対応は待ったなし」として、報酬改定の時期とは関係なく、これらの施設に補助金を支給する方針を示しました。しかしながら、一般的な話として、医療費増額につながる施策(医療機関や介護施設への補助など)と削減する施策(OTC類似薬の保険給付見直しなど)をどう両立させるのでしょうか。また、OTC類似薬の保険給付見直しの反対勢力である日本医師会は選挙で自民党を長年支えてきた組織です。この相反する事象をどうさばいていくのか、今後の政権運営に目が離せません。

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11月12日 皮膚の日【今日は何の日?】

【11月12日 皮膚の日】 〔由来〕 日本臨床皮膚科医会が、11月12日(いい・ひふ)の語呂合わせから1989年に制定。日本皮膚科学会と協力し、皮膚についての正しい知識の普及や皮膚科専門医療に対する理解を深めるための啓発活動を実施している。毎年この日の前後の時期に一般の方々を対象に、講演会や皮膚検診、相談会などの行事を全国的に展開している。関連コンテンツ お久しぶり受診の患者さんとの静かな戦い【Dr.デルぽんの診察室観察日記】 急に湿疹が出たときの症状チェック【患者説明用スライド】 中等症~重症の尋常性乾癬、経口IL-23受容体阻害薬icotrokinraが有望/Lancet 乳児期の保湿剤使用でアトピー性皮膚炎の発症率低下、非高リスク集団ほど 「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」新薬5剤を含む治療アルゴリズムの考え方は

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英語で「花粉症」は?【患者と医療者で!使い分け★英単語】第38回

アレルギー性鼻炎 allergic rhinitis春先や秋になると、くしゃみや鼻水、目のかゆみが止まらなくなる…、多くの人が悩まされるこの症状は、日本では「花粉症」として広く知られています。この症状の医学的な英語名はallergic rhinitis(アレルギー性鼻炎)ですが、日常会話でこの言葉が使われることはあまりないでしょう。より自然に、そして誰にでも伝わる一般的な表現は何でしょうか?講師紹介

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花粉の飛散量が増えると自殺者が増える?

 季節性アレルギーは多くの人にとって厄介なものだが、それが命に関わる可能性があると考える人はほとんどいないだろう。しかし新たな研究で、花粉の飛散量の増加に伴い自殺者数が増加し、特に精神疾患患者への影響は大きいことが明らかにされた。米ミシガン大学社会調査研究所のJoelle Abramowitz氏らによるこの研究結果は、「Journal of Health Economics」12月号に掲載予定。Abramowitz氏らは、季節性アレルギーを原因とする身体的苦痛は睡眠を妨げ、精神的苦痛を増大させ、それが自殺増加の一因となっている可能性が高いと推測している。 Abramowitz氏は、「本研究期間中に、米国では約50万人が自殺した。この研究で新たに得られたデータに基づくと、この期間に花粉が最大1万2,000人の死亡の一因となった可能性があると推定された。これは、年間で約900人から1,200人の死亡に相当する」とミシガン大学のニュースリリースの中で述べている。 この研究でAbramowitz氏らは、米国の34の大都市圏に含まれる186の郡で、2006年から2018年の間に集計された自殺件数と毎日の花粉飛散量のデータを用いて、両者の関連を検討した。花粉の飛散レベルを4段階に分けて検討した結果、飛散レベルが上がるにつれて自殺者数も増加することが明らかになった。具体的には、飛散レベルが最も低い場合と比較して、2番目のレベルでは自殺者数は4.5%、3番目のレベルでは5.5%、4番目の最も高いレベルでは7.4%増加していた。精神疾患やその治療歴のある人では、花粉レベルが最も高い日には自殺者数が8.6%増加していた。さらに、花粉の飛散量が多い日には、Googleでの「アレルギー」「うつ症状」に関する検索が増加することも示された。 こうした結果を受けて研究グループは、「この結果は、季節性アレルギーを単なる厄介物として扱うのではなく、もっと真剣に受け止めるべきであることを示している」と述べている。また、Abramowitz氏は、「すでに脆弱な状態にある人では、小さな刺激でも大きな影響を及ぼす可能性がある」と話している。 Abramowitz氏らは、「花粉の飛散予測をより正確にし、季節性アレルギーがメンタルヘルスに与える影響について広く周知することで、人々が自身を守る手段を取れるようになり、命が救われる可能性がある」と述べている。同氏らは、気候変動が進み花粉の季節が長期化して激しくなるにつれて、このことはさらに重要になるだろうと指摘している。 Abramowitz氏は、「花粉などの小さな環境変化に対する反応やメンタルヘルス全般について、われわれは意識を高めるべきだ。本研究結果を踏まえると、医療従事者は患者のアレルギー歴を把握しておくべきだろう。アレルギーと自殺リスクの上昇との関連は、他の研究でも示されている。この研究がより個別化されたケアにつながり、最終的には命を救うことにつながることを願っている」と話している。

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