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ステロイド外用薬を「短期使用薬」とするのは誤認、OTC薬給付見直しで声明/日本皮膚科学会ほか

 日本皮膚科学会、日本臨床皮膚科医会、日本アレルギー友の会は2026年9月3日、3団体共同で「OTC類似薬の保険給付見直し案に関する共同声明」を発表した。声明はステロイド外用薬を「急性増悪時の短期使用薬」とするのは誤認と指摘するなど、全9項目からなる。 「OTC類似薬の保険給付見直し案に関する共同声明」は以下のとおり。1. 声明の趣旨 政府が検討を進める「OTC類似薬の保険給付見直し案」について、皮膚科医療の専門性および患者の生活実態の観点から重大な懸念があるため、3団体は共同して本声明を公表する。 本見直し案は、単なる薬剤費負担の問題ではなく、我が国の皮膚科診療のあり方そのものに影響する制度であり、国民の健康に直結する重大な課題である。2. 制度趣旨との齟齬 見直し案には、アトピー性皮膚炎をはじめとする重症・慢性疾患が多数含まれている。これは「軽症疾患の自己治療を促す」という制度趣旨と整合せず、なし崩し的な対象拡大である。3 .医学的誤認に基づく制度設計 皮膚科治療の根幹であるステロイド外用薬が「急性増悪時の短期使用薬」と誤認されている。 診療ガイドラインは、寛解維持のための計画的外用を推奨しており、外用薬は「塗り薬」ではなく皮膚バリア治療という医療行為である。 医学的誤認に基づく負担増は、制度として成立しない。4. 皮膚科医療の基盤への影響 負担増により標準治療の継続が困難となれば、再燃・重症化が増加し、受診抑制・自己判断・誤用・経皮感作という連鎖が生じる。 皮膚科医療の基盤が揺らぎ、国民の安全性に直結する。5. 歴史的教訓と現在の誤情報 1990年代の「悪魔の薬」報道は科学的根拠のない恐怖を全国に拡散し、受診中断・重症化が続出した。 その後、臨床皮膚科医会と患者団体が協働し、誤情報を是正し標準治療を回復してきた。 しかし現在も「脱ステ」「民間療法」「高額サプリ」等の誤情報がSNSで拡散し、若年層の受診遅延・重症化が続いている。 外用薬の負担増は、誤情報に流される患者をさらに増やす。6. 公衆衛生上の重大な懸念 茶しずく石けん事件では、加水分解コムギ末による経皮感作により全国1,800人以上が食物アレルギーを新規発症した。 皮膚バリア破綻が公衆衛生事案を引き起こすことは明確である。 皮膚は免疫の入口であり、皮膚科医療は国民医療の基盤である。7. 患者・家族の生活実態 アトピー性皮膚炎は痛み、痒み、睡眠障害、皮膚裂傷、浸出液などにより生活を深刻に損なう疾患である。 外用薬は「生きるための薬」であり、寛解維持のための計画的外用が不可欠である。 負担増は治療中断・再燃・重症化を招き、誤情報に惑わされる危険性は今も続く。8. 3団体共同の要望 1. 軽症疾患と中等症・重症・慢性疾患を区別し、なし崩し的な対象拡大を行わないこと。 2. ステロイド外用薬を「短期使用薬」と誤認した負担増を撤回すること。 3. 皮膚科診療の根幹を損なわない制度設計を行うこと。 4. 検討過程に当事者の声を適切に反映すること。9. 総括 本見直し案は、皮膚科医療の基盤と国民の健康に直結する制度である。 3団体は、国民の安全を守る観点から、慎重な再検討を強く求める。

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アトピー性皮膚炎に、Tregを調節する新規IL-2受容体作動薬が有望/Lancet

 中等度~重度のアトピー性皮膚炎患者において、rezpegaldesleukinはプラセボと比較して、重症度評価指標のEczema Area and Severity Index(EASI)スコアの変化率を含む複数の臨床評価項目を有意に改善し、良好な有害事象プロファイルをもたらすことが示された。米国・ジョージ・ワシントン大学のJonathan I. Silverberg氏らREZOLVE-AD Study Investigatorsが「REZOLVE-AD試験」の結果を報告した。rezpegaldesleukinは、制御性T細胞(Treg)を選択的に増殖させ、その機能を強化するインターロイキン-2(IL-2)受容体作動薬であり、アトピー性皮膚炎などの自己免疫疾患や炎症性疾患に新たな治療アプローチを提供すると考えられている。研究の成果は、Lancet誌2026年8月29日号で報告された。3用量とプラセボを比較する無作為化第IIb相試験 REZOLVE-AD試験は、10ヵ国(北米、欧州、オーストラリア)の107施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照比較第IIb相試験であり、2023年11月~2025年1月に参加者を登録した(Nektar Therapeuticsの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、登録の少なくとも12ヵ月前に診断が確定した慢性アトピー性皮膚炎(米国皮膚科学会コンセンサス基準)で、EASIスコア(0~72点、高点数ほど病変の重症度が高く、より広範)が16.0点以上、validated Investigator Global Assessment for Atopic Dermatitis(vIGA-AD)スコア(0~4点、高点数ほど病変の全体的な外観が重度)が3点(中等度)以上であり、病変の体表面積(BSA)が全身の10%以上に及ぶ患者であった。 被験者393例(平均年齢37.1歳[SD 14.4]、女性203例[52%])を、rezpegaldesleukin 24μg/kg(2週ごと)投与群(104例)、18μg/kg(2週ごと)投与群(106例)、24μg/kg(4週ごと)投与群(110例)、プラセボ群(73例)に無作為に割り付けた。 本論では、導入期間(16週間)の結果が報告された。主要評価項目は、ベースラインから16週までのEASIスコアの平均変化率であった。24μg/kg(2週ごと)投与群で、副次評価項目がすべて改善 平均発症時年齢は15.9歳(SD 19.2)、平均罹患期間は21.5年(SD 14.9)であった。ベースラインのvIGA-ADスコアは3点が68%、平均総EASIスコアは26.0(SD 9.77)点、関連病変のBSAが全身に占める平均割合は40%(SD 20.00)であった。 ベースラインから16週までのEASIスコアの平均変化率は、rezpegaldesleukin 24μg/kg(2週ごと)投与群が-61%(SE 3.8)、18μg/kg(2週ごと)投与群が-58%(SE 3.8)、24μg/kg(4週ごと)投与群が-53%(SE 3.7)、プラセボ群は-31%(SE 4.5)であった。 16週時における平均EASIスコア変化率のプラセボ群との差は、rezpegaldesleukin 24μg/kg(2週ごと)投与群で-30%ポイント(95%信頼区間[CI]:-41.3~-18.0、p<0.0001)、18μg/kg(2週ごと)投与群で-27%ポイント(95%CI:-38.5~-15.7、p<0.0001)、24μg/kg(4週ごと)投与群で-22%ポイント(95%CI:-33.3~-10.3、p=0.0002)であり、いずれも有意に優れた。 rezpegaldesleukin 24μg/kg(2週ごと)投与群では、6項目の副次評価項目がすべて、プラセボ群に比べ有意に改善した。EASI-50達成率のプラセボ群との差は32%(p<0.0001)、EASI-75達成率の差は26%(p=0.0008)、EASI-90達成率の差は16%(p=0.011)、vIGA-AD奏効(0~1点の達成かつベースラインから2点以上の低下)の差は12%(p=0.047)、Numerical Rating Scale(NRS)奏効(ベースラインでスコアが4点以上の患者における4点以上の低下)の差は27%(p=0.0011)、BSAのベースラインからの変化率の差は-37%(p<0.0001)であった。70%で注射部位反応 投与期間中に発生した有害事象で、rezpegaldesleukin投与群(320例)の少なくとも5%に認め、かつプラセボ群(73例)よりも発生率が高かったイベントとして、注射部位反応(223例[70%]vs.3例[4%])、好酸球増多(25例[8%]vs.2例[3%])、発熱(20例[6%]vs.2例[3%])、頭痛(20例[6%]vs.3例[4%])、上気道感染症(19例[6%]vs.4例[5%])、関節痛(16例[5%]vs.1例[1%])を認めた。 注射部位反応のほぼすべて(>99%)は、重症度が軽度~中等度であり、最終的に消退した。重篤または重度の有害事象のリスク増加を示す証拠はなく、導入期間中に死亡例の報告はなかった。 著者は、「これらの知見は、Treg増強に基づく新たな生物学的製剤のさらなる開発を支持するものである」としている。また、「重要な点として、本研究はTregの調節が臨床的な有益性をもたらすことを示した初めての大規模臨床試験であり、アトピー性皮膚炎の治療パラダイムにおける主要な標的としてのTregの臨床的可能性を明らかにしたことが挙げられる」と指摘している。

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第329回 医師にバトンは渡された、OTC類似薬の保険給付の見直し

INDEX負担の対象となる医療用医薬品「別途の負担を求めない者」と「求めない療養」の範囲医師にも判断が委ねられる負担の対象となる医療用医薬品6月5日に公布された改正健康保険法などにより、これまで懸案だった一部の医療用OTC類似薬の処方に関し、2027年3月より一部保険外療養として別途の負担が求められることが決まっている。新たな制度で対象となるのはOTC医薬品と成分・投与経路が同一で、1日最大用量が同じ医療用医薬品77成分。主な対応症状は、「鼻炎、胃痛・胸やけ、便秘、解熱・痛み止め、風邪症状全般、腰痛・肩こり、みずむし、口内炎、皮膚のかゆみ・乾燥肌」などとされる。これらを使用する患者は、薬剤費の4分の1を保険外の別途負担として追加で支払うことになる1)。もっともこれを機械的に適用すると、一部の患者に不利益が生じる可能性がある。具体的には、がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えているような医学的観点からOTC類似薬の長期使用が必要となる患者である。このため厚生労働省は「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会」を設置し、6月から4回にわたって会合を開き、別途の負担を求めない患者や求めない療養の範囲について検討を行い、中間とりまとめを8月に公表した2)。まず前述のOTC類似薬77成分は、多くの場合、各成分とも医療用医薬品としての適応は複数ある。これと1日最大用量が同じ同一成分のOTC医薬品の適応を比較し、原則双方で適応が共通する場合は別途の負担の対象、医療用医薬品のみにある適応を別途の負担の対象外としている。この結果、77成分267適応のうち、184適応が対象、83適応が対象外となった。比較的わかりやすい事例を挙げると、抗アレルギー薬はOTC医薬品では花粉症に伴うアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎の適応で販売されているものが多く、この適応でのOTC類似薬側の処方は別途の負担の対象になるが、OTC医薬品が適応としていない気管支喘息、蕁麻疹アトピー性皮膚炎などは対象外となっている。また、酸化マグネシウムではOTCの適応である便秘症は支払い対象、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、尿路シュウ酸カルシウム結石の発生予防では対象外である。「別途の負担を求めない者」と「求めない療養」の範囲一方、別途の負担を求めない患者やその療養範囲に関しては、患者分類などに応じて分かれている。まず、がん患者では「がんの治療中に、がんやその治療に関連して生じた状態」に対するOTC類似薬の使用は対象外。がん治療中の定義については「がんおよびその治療に関連して生じた状態に対し、現に治療行為を伴う診療を継続的に受けている場合または治療開始に向けて具体的な治療計画の下で継続的な診療管理を受けている場合」としている。これらの表現はややわかりにくいため、理解を深めるために『がん治療中(別途の負担の対象外)』には該当しない(=別途の負担が課される)事例を列挙する。がんの診断歴はあるものの、現在は再発なく、定期受診のみ継続しているがん術後で定期的な画像検査などによる経過観察を受けているものの、がんに対する薬物療法などの治療行為は終了がんの疑い・再発疑いで精査中前がん病変の状態がんやその治療に関連して生じた症状以外また、指定難病やそれに付随して発生する症状、国の公費負担医療の対象者が対象症状に対して用いる場合、医師の管理下で集中的かつ継続的な治療を受けている入院患者、検査・処置・手術の管理目的での14日以内の処方も、別途の負担の対象外となる。医師にも判断が委ねられる以上は比較的わかりやすいが、かなり判断がグレーになるのが「医師が対象医薬品の長期使用などが医療上必要と考える患者」である。ここでは、症状が季節や環境要因によらず持続し、医師の管理下で継続的な治療が行われている状態を指し、必ずしもその時点までのOTC類似薬の処方期間の長短を問わない。ただし、内服薬に関しては比較的使用期間が把握しやすいことから、年間処方日数がおおむね50週を目安としている。ただし、負担対象を判断する時点で50週の継続処方に該当しなくとも、初診から6ヵ月間にわたり、症状の持続・反復と対象OTC類似薬の継続的・反復的な使用が確認され、通年使用することが医療上必要であると医師が認めている場合は対象外である。さらに長期使用で問題になるのが、内服薬と異なり、使用量や使用頻度に個人差が大きく、処方量のみで長期使用が判断しにくい外用薬である。これについては、以下を踏まえて総合的に判断するとした。明確なようでかなり曖昧である。(1)慢性または反復性の疾患として明確に診断されている(2)該当成分の継続的または反復的な使用が症状緩和にとどまらない有用性・必要性があることが診療ガイドラインなどで示されている(3)継続の必要性が患者の自覚症状や使用感に過度に依存せず客観的に判断できる(4)同一または類似薬効群との均衡やOTC医薬品で対応している患者との公平性を確保できるちなみにこれ以外でも薬の類型による目安も設けられ、抗真菌外用薬、消毒薬、ステロイド外用薬、消炎鎮痛外用薬は、一時的な治療や急性増悪時に用いられることが多いとして、別途の負担の対象とし、皮膚保湿剤・保護剤はアトピー性皮膚炎に対するヘパリン類似物質と尿素、通年性アレルギーに対する点眼薬は対象外となった。この内容は8月26日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)総会でも事務方から報告され、この日の総会の議論の中心となった1)。とくに診療側委員から出た意見の中心は医療機関側の業務負担の増大である。以下は各診療側委員からの主な意見だ。<日本医師会常任理事 江澤 和彦氏>「これらの複雑な仕組みについて医師が患者さんの診察の都度判断し、医療機関として対応しなければならないこととなり、日常診療へ支障をおよぼすことにもなる。一般診療所の45%、一般病院の35%は紙カルテを用いて診療を行っており、この場合はこれらの管理は極めて困難をきたし、日々の診療に多大なる支障をきたすことが想定される」「今後の導入に向け、医師や医療機関の事務負担が最小限となる簡略なチェックリストの活用、あるいは電子カルテ・レセコンのベンダーに対する必要な情報の迅速な提供をお願いしたい」「制度が実施されると、医療機関の窓口で患者さんへの説明業務など混乱が生じることは明白。会計計算の複雑化など事務負担も非常に大きくなる。国が国民に対してこの制度についてわかりやすく説明いただくことが必須」<日本医療法人協会副会長 太田 圭洋氏>「対象薬を処方する際に、効能・効果、がんや難病との関連、長期使用の医学的必要性などを確認して、対象外の場合にはその理由をレセプトに記載するとともに、処方箋にも必要な情報を記載する形。これらを個々の医師が処方の度に確認して判断・入力することになれば、外来診療で相当な負担が生じることは明らか。年齢、公費、対象薬剤、過去の処方歴など機械的に判定できる項目は、可能な限りシステムで自動判定して、医師による入力は医学的判断が必要な最小限の項目に限定することが必要」「今後も当然、スイッチOTC化が進めば新たな成分が対象に加わることが想定される。その都度、医療機関や薬局にシステム改修やマスター更新を求めることになれば、恒常的な負担となる。対象薬の見直しを年1回など一定の時期に集約するとともに、対象薬の決定から実施まで十分な準備期間を設ける必要がある」<日本歯科医師会常務理事 大杉 和司氏>「歯科の特徴は院内処方で対応する小規模な歯科診療所が多いこと。窓口での患者説明や会計事務が新たに発生することが確実」<日本薬剤師会副会長 渡邊 大記氏>「長期収載品の選定療養と違い、対象患者(自身)が選択できない状況で負担が発生する。薬局は説明するというより、納得してもらう必要が生じてくる。その分、大変な業務負担がかかると思っている」<全国自治体病院協議会副会長 小阪 真二氏>「対象外の理由をレセプトに記載し査定があった場合は、最終的に患者自己負担として払うことになる。2~3ヵ月後に査定があったら、患者にもう一回請求するのか? 請求するならば当然事前に伝えねばならない。処方箋を渡す時に査定があったら2~3ヵ月後に再徴収がありますと説明しなければならないのか」中医協の診療側委員の意見は、一般論として「医療機関側の都合ばかり」と厳しい指摘もあるが、今回は「医療機関の混乱」≒「患者の混乱」の部分が多い。正直、私個人もこの制度には個別細部ではかなりモノ申したいことはそれなりにある。そもそもOTC類似薬の保険給付のあり方については、過去から同様の議論が行われながら、医学的・制度的な困難さと当事者からの反発で具体的な進展はなかったものだ。それが今回は政治主導、より踏み込んで言うならば自民党が連立を組む日本維新の会の主張に寄り添う形で性急に決められたものである。いわば結論ありきで帳尻合わせが行われている。少なくとも制度スタートまで半年を切った今、順調にスタートできそうだとはとても思えないのだが…。参考1)厚生労働省:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について(令和8年8月26日)2)OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ

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NSAIDs使用中の血圧上昇【日常診療アップグレード】第63回

NSAIDs使用中の血圧上昇問題43歳女性。2週間前、腰痛を主訴に初診外来を受診した。その際、血圧の上昇が判明した。本日は経過観察のための再診で来院した。現在、腰痛に対してロキソプロフェンを毎日服用している。既往歴は花粉症のみであり、症状に応じてフェキソフェナジン塩酸塩を内服している。身体診察では、2回の血圧測定の平均値は139/84mmHg、脈拍数は52回/分であり、その他のバイタルサインは正常である。身長156cm、体重64kg、BMIは26である。明らかな苦痛は見られない。その他の診察所見は正常である。アムロジピンの投与を開始した。

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第309回 ベースアップ評価料の請求に疑義 施設基準の再確認を/厚労省

<先週の動き> 1.ベースアップ評価料の請求に疑義 施設基準の再確認を/厚労省 2.OTC類似薬で患者負担増を懸念 患者調査で見直し要求/保団連 3.熊本地震で医療機関の断水続く 介護保険手続きなど緩和/厚労省 4.自治体病院の赤字2,180億円 物価・人件費高騰で「経営努力に限界」/全自病 5.イヌ飼育で要介護認知症リスク48%減 公的支出5,920億円削減試算/国環研ほか 6.豪雨で医療・介護施設91ヵ所被災 透析転院や手術制限続く/千葉県 1.ベースアップ評価料の請求に疑義 施設基準の再確認を/厚労省厚生労働省は、医療従事者の処遇改善を支援するベースアップ評価料などについて、医療機関が届け出た施設基準と実際の診療報酬請求の内容に齟齬が生じているケースが散見されるとして、8月診療分以降の請求前に改めて施設基準を確認するよう求めた。対象は外来・在宅ベースアップ評価料I・II、入院ベースアップ評価料、訪問看護ベースアップ評価料I・II、調剤ベースアップ評価料、看護職員処遇改善評価料など。2026年度診療報酬改定では、医療スタッフのさらなる賃上げを目的に、ベースアップ評価料の対象職種拡大や点数引き上げが行われた。外来・在宅ベースアップ評価料Iでは継続的に賃上げに取り組む医療機関をより高く評価し、入院ベースアップ評価料でも従来から賃上げを実施してきた医療機関を手厚く評価する仕組みが導入された。これに伴い、改定前から評価料を算定していた医療機関でも、6月以降に継続算定する場合は6月1日までに改めて施設基準を届け出る必要があった。しかし、6・7月診療分の請求では、届け出で受理された評価項目と実際に請求した評価料の種類や点数が一致しない例が確認された。厚労省は、改定対応が多岐にわたったことを踏まえ、この2ヵ月分については審査支払機関で特段の調整を行っていた。その一方で、8月診療分以降については、4月24日付の事務連絡や施設基準の届け出早見表を参照し、適切に請求するよう強く要請している。病院では、過去の賃上げ実績や入院ベースアップ評価料の選択状況によって、算定点数、入院料減算の有無、提出すべき様式が異なる。厚労省は、特設サイトでも必要書類や手続きを示しており、医療機関に対し自院で受理された施設基準とレセプト請求内容が一致しているか、請求前に改めて確認するよう呼びかけている。 参考 1) ベースアップ評価料等に係る診療報酬請求について(厚労省) 2) 令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について(同) 3) ベア評価料、診療報酬請求の内容に疑義が散見 受理された施設基準「改めて確認を」厚労省(CB news) 4) ベースアップ評価料の施設基準届出と請求との齟齬が頻発、8月分以降の請求に備え改めて自院の施設基準確認し、適切な請求を(Gem Med) 2.OTC類似薬で患者負担増を懸念 患者調査で見直し要求/保団連全国保険医団体連合会(保団連)は、厚生労働省が進めるOTC類似薬の保険給付見直しについて、患者への配慮措置が限定的で、慢性疾患の治療継続を妨げる恐れがあるとして制度の撤回・見直しを求めた。8月6~13日に実施した緊急調査では9,641人が回答し、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性便秘症、高尿酸血症など慢性疾患で対象薬の処方を受ける患者が約85%を占めた。厚労省は、市販薬と成分などが類似する医療用医薬品77成分、約1,100品目について、通常の窓口負担とは別に追加料金を求める制度を検討している。がんや指定難病患者、長期使用が医学的に必要な場合などは配慮対象とする方針だが、原疾患と関連しない症状や季節性の花粉症などは対象外となるケースが多い。保団連調査では花粉症・アレルギー性鼻炎患者の42.1%がいずれの配慮類型にも該当しなかった。保団連は、アトピー性皮膚炎で症状に応じてステロイド外用薬を変更するケースや、喘息で抗アレルギー薬を断続的に併用する場合など、治療自体は継続していても個々の薬剤が「通年使用」とならず配慮対象から外れる点を問題視。慢性腰痛や関節リウマチなどで使用する湿布薬も長期使用であっても原則対象外となるため、患者負担が大きくなると訴えた。保団連の試算では、制度による医療費削減は年間約900億円、保険料軽減効果は加入者1人当たり年約400円にとどまる一方で、花粉症で内服薬、点眼薬、点鼻薬を併用すれば月約1,500円の負担増になる可能性がある。また、医師が過去の治療歴や処方期間を確認して配慮対象を判定する必要があり、診療・薬局業務の複雑化や患者とのトラブルも懸念される。保団連は「配慮する必要のない患者という線引きに医学的根拠はない」とし、必要な医療へのアクセスを損なわない制度設計を求めている。 参考 1) OTC類似薬の配慮措置に関する疾患、処方薬ごとの影響(保団連) 2) OTC類似薬の保険給付見直し、配慮措置の適用は限定的-保団連が9,641人の患者調査結果公表(日本医事新報) 3) 「働いて身を削り、次は健康を…」花粉症薬など“保険除外”で年数万円の負担増も?現役世代の家計圧迫に医師・患者ら撤回要望(弁護士JPニュース) 3.熊本地震で医療機関の断水続く 介護保険手続きなど緩和/厚労省最大震度7を記録した2026(令和8)年熊本地震の発生から3週間が経過したが、医療・介護施設への影響が続いている。厚生労働省によると、8月18日午前10時時点で熊本県内の18医療機関が断水しており、このうち14施設が八代市に集中している。被災医療機関はピーク時に92施設、断水は88施設に上った。県内ではDMAT15隊、DPAT12隊、災害支援ナース、JMAT、JRATなどが支援を継続している。高齢者施設でも960施設が建物被害や停電、断水、ガス停止などの影響を受けている。厚労省は、被災者への介護保険上の特例も相次いで示している。災害救助法が適用された10市10町1村の被保険者について、要介護・要支援認定の有効期間を市町村判断で最大12ヵ月延長でき、また、介護サービス事業者や介護施設などの指定更新についても、一定の権利の有効期限を2027年1月27日まで延長する特例を設けた。介護サービス利用料については、住宅の全半壊や床上浸水、主たる生計維持者の死亡・失職など一定の被害を受けた場合、市町村判断で自己負担1~3割を猶予・免除できる。すでに支払った利用料についても申請により還付が可能で、11月までの利用分などが対象となる。被保険者証を紛失した場合も氏名や生年月日などの確認でサービス利用を認める。さらに、公費負担医療の新規申請では、災害で申請が遅れた被災者について、医師の診断書に記載された日を受給開始日として取り扱える特例を設けた。厚労省は、被災者が医療・介護サービスや行政上の権利を失わないよう、柔軟な運用を自治体や関係機関に求めている。 参考 1) 熊本地震から3週間、18医療機関で断水(MEDIFAX) 2) 公費負担医療の新規申請、被災者は「診断日」を適用熊本地震で厚労省(同) 3) 令和8年熊本地震で被災した介護保険サービス利用者の利用料(1-3割負担)の猶予・免除、詳細な考え方提示-厚労省(Gem Med) 4) 令和8年熊本地震、要介護認定等の有効期間延長、介護サービス事業者等の指定更新の特例を認める-厚労省(同) 4.自治体病院の赤字2,180億円 物価・人件費高騰で「経営努力に限界」/全自病全国自治体病院協議会(全自病)がまとめた2025年度病院事業決算状況調査で、有効回答494病院の84%に当たる413病院が経常赤字となり、赤字額は計2,180億円に上った。前年度から赤字病院の割合は5ポイント改善したものの、依然として8割超が赤字で、自治体病院の厳しい経営環境が続いている。医業収益は前年度比3.3%増えた一方で、医業費用も3.0%増加。職員給与費は3.6%、材料費は5.3%増え、物価高と賃上げが収支を圧迫した。病床規模別では200床以上300床未満の病院がすべて経常赤字となった。大規模病院では改善がみられたが、500床以上でも8割超が赤字だった。経常収支の改善には、2025年度補正予算による1床当たり19万5,000円の賃上げ・物価高支援や救急受け入れ実績に応じた加算、国・都道府県の補助金、自治体からの繰入金増加が寄与した。その一方で、医業収支はなお大幅な赤字で、補助金がなければ経営はさらに厳しかったと全自病は推測している。全自病と全国自治体病院開設者協議会は8月19日、厚生労働省と総務省に緊急要望書を提出した。自治体病院は救急や不採算医療など地域医療の「最後の砦」を担う一方で、中東情勢悪化や円安を背景に医療用手袋、カテーテル、燃料などの価格上昇が続くとして、医療物資の安定確保や物価高対策、診療報酬の中間年改定を含む財政措置を要請。2026年度人事院勧告の月給3.51%引き上げが、ベースアップ評価料で想定した賃上げ水準を上回ることも経営悪化要因になると訴えた。地方交付税や特別交付税の拡充、公立病院の再編・統合、建て替え支援の強化も求めた。病院事業債の交付税措置対象となる建築単価上限は1平方メートル85万円に引き上げられたが、資材高騰でなお不足しているという。一方、四病院団体協議会は21日、2027年度税制改正に向け、社会保険診療報酬の消費税非課税制度を見直し、軽減税率やゼロ税率を含む課税取引へ転換するよう厚労省に要望した。仕入れや設備投資時に生じる控除対象外消費税が、病院建て替えや医療DX投資を妨げているとして、還付制度の創設を含む抜本的な制度見直しを要求。高額医療機器の特別償却制度の延長・対象拡大も求めており、病院団体は診療報酬、財政支援、税制の三面から経営基盤の立て直しを政府に迫っている。 参考 1) 自治体病院の8割が経常赤字 25年度、計2,000億円のマイナス続く(日経新聞) 2) 地域医療の砦となる自治体病院を守るため、物価高騰対応、期中の診療報酬改定含めた財政措置等の拡充等を要望-全自病(Gem Med) 3) 診療報酬の中間年改定含む対応を要望、2団体 物価高騰踏まえ 全自病など(CB news) 4) 控除対象外消費税の問題、抜本解決に向け重点要望病院を課税取引に 四病協(同) 5.イヌ飼育で要介護認知症リスク48%減 公的支出5,920億円削減試算/国環研ほかイヌを飼っている高齢者は、イヌを飼った経験がない高齢者に比べ、要介護認知症を発症するリスクが48%低い可能性があることが、国立環境研究所、東京都健康長寿医療センター、東京大学などの研究チームによる大規模疫学研究でわかった。研究成果は国際学術誌“International Journal of Environmental Research and Public Health”に掲載された。研究では、自宅で暮らす高齢者1万1,224人を「現在イヌを飼育」「過去に飼育」「飼育経験なし」の3群に分け、7.5年間追跡。要介護認知症の発症や死亡との関連を調べた。逆因果や把握できない交絡因子の影響を抑えるため操作変数解析を用いた結果、現在イヌを飼育している人の要介護認知症発症リスクは、飼育経験がない人と比べて48%低く、オッズ比は0.52だった。イヌとの暮らしには、散歩による身体活動の増加や外出機会の確保、地域住民との交流、精神的健康の維持などが伴うことから、研究チームはこうした健康行動が認知症発症の抑制に寄与している可能性があるとみている。さらに、高齢者のイヌ飼育率が13.4%まで増加すると仮定して予算への影響を試算したところ、イヌの飼育に伴う家計支出を含む社会全体の追加費用は4年間で約4兆6,300億円となる一方で、公的な医療・介護費は約5,920億円削減される可能性が示された。研究チームは今後、イヌそのものの効果に加え、散歩や地域交流などイヌとの生活を通じて生まれる行動に着目し、認知症予防や健康寿命延伸策への活用を検討する。ただし今回の結果は疫学研究に基づくもので、イヌを飼えば認知症を防げると直接証明したものではない。 参考 1) 「イヌを飼育している高齢者」は「飼育したことがない高齢者」に比べ認知症発症リスクが48%低い-長寿医療研究センター(Gem Med) 2) イヌと暮らす高齢者が増えると4年間で約5,920億円の公的支出削減-約1万1,200名の地域在住高齢者を対象とした7.5年間の大規模疫学研究-(東京都健康長寿医療センター) 6.豪雨で医療・介護施設91ヵ所被災 透析転院や手術制限続く/千葉県8月13日夜から14日にかけての記録的な千葉豪雨で、県内の病院や高齢者施設に浸水被害が相次ぎ、医療・介護提供体制への影響が長期化している。厚生労働省によると、25の医療施設と66の高齢者施設が被災し、発生から1週間以上経っても全面再開できない施設が残っている。八千代市のセントマーガレット病院では、地下機械室が浸水し、揚水ポンプやボイラーが故障。断水のため46人の透析患者が転院した。給水車を活用して18日から新規の長期入院患者の受け入れを再開したものの、透析センターの復旧は途上にあり、医療機器の滅菌にも通常より手間のかかる対応を強いられている。四街道市の介護老人保健施設でも給水ポンプや送迎車両が被災し、通所リハビリや入浴サービスを休止している。千葉大学医学部附属病院では地下の排水設備が冠水し、医療器具の洗浄装置が使用不能となった。19日には全手術を中止し、その後も手術件数を通常の半分程度に制限している。これを受け、東京科学大学病院は21日から院内の器材洗浄設備を提供。夜間の空き時間を利用してロボット支援手術器具などを洗浄し、1日約40件分の手術器材を処理できる体制を整えた。この支援は千葉大病院の設備復旧まで数週間続く見通し。今回の豪雨では、ハザードマップの浸水想定区域外にある医療機関でも被害が発生した。厚労省は「かつてなかった災害」とし、止水板の設置や地下設備の防水対策など、医療機関の水害対策強化が必要としている。 参考 1) 病院・高齢者施設 再開遠く 千葉豪雨 ボイラー故障透析患者転院(読売新聞) 2) 豪雨被災で手術制限中の千葉大病院へ、東京科学大病院が器材洗浄施設を提供…異例の国立大病院間支援(同) 3) 被害の千葉大病院支援 医療器具の洗浄設備貸し出し東京科学大(NHK)

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第307回 特定健診は初の6割台 メタボ該当・予備群は880万人で横ばい/厚労省

<先週の動き> 1.特定健診は初の6割台 メタボ該当・予備群は880万人で横ばい/厚労省 2.熊本地震で病院船が初出動 DMAT・JMATなど災害医療チームも活動/熊本県 3.OTC類似薬「薬剤費25%」が患者負担に、長期処方での配慮対象は限定的/厚労省 4.医療・介護AIに重点投資 AX・DX推進本部を設置/厚労省 5.国立大学の経営危機、東大にも波及 研究力低下への懸念強まる/東大ほか 6.正常な脳組織を誤って摘出 50代女性が自発呼吸不能の重篤状態/京大 1.特定健診は初の6割台 メタボ該当・予備群は880万人で横ばい/厚労省厚生労働省は、2024年度の特定健康診査・特定保健指導の実施状況を公表した。特定健診の対象者は約5,142万人、受診者は約3,161万人で、実施率は61.5%となり、前年度から1.6ポイント上昇した。2008年度の制度開始時は38.9%で、今回初めて6割を超えた。国は2029年度までに70%以上の実施を目標としている。性別では男性65.9%、女性57.0%で、男性が8.9ポイント高かった。年齢別では45~49歳が66.8%で最も高く、60歳未満ではおおむね6割台を維持した一方で、65~69歳は52.8%、70~74歳は47.5%まで低下した。保険者別では健康保険組合83.8%、共済組合83.3%に対し、全国健康保険協会60.6%、市町村国保38.8%と大きな差がみられた。特定保健指導は、対象者約524万人のうち約148万人が終了し、実施率は28.3%。前年度から0.7ポイント上昇し過去最高を更新したものの、2029年度目標の45%以上とはなお大きな開きがある。保険者別では単一健康保険組合が46.1%で最も高く、小規模市町村国保が45.3%で続いた。メタボリックシンドロームの該当者・予備群は約880万人で、2008年度比では17.2%減少しており、減少幅は前年度から横ばい推移となった。また、特定健診受診者の31.1%は高血圧症、糖尿病、脂質異常症の治療薬を1種類以上服用していた。受診率は着実に改善しているが、年齢や保険者による格差の縮小に加え、健診後の保健指導や必要な治療へ確実につなげることが今後の課題となる。 参考 1) 2024年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況(厚労省) 2) 特定健診、実施率は61.5%に上昇 24年度、保健指導は28.3%(MEDIFAX) 3) 特定健診実施率、初の6割超え24年度 29年度までに7割以上目標 厚労省(CB news) 2.熊本地震で病院船が初出動 DMAT・JMATなど災害医療チームも活動/熊本県政府は8月5日、7月28日に発生した令和8年熊本地震で多数の医療機関が被災した熊本県八代市の八代港で、防衛省による民間船舶(PFI船)を活用した医療提供(船舶活用医療)を初めて実施した。熊本県知事が8月1日に国へ要請したもので、2021年成立の「災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律」に基づく初の船舶活用医療となる。内閣府、防衛省、熊本県に加え、日本赤十字社、DMAT、JMATなどが連携。船内では発熱などの内科診療、熱中症や軽傷への対応、薬の処方などを行い、併せて被災者への入浴支援も実施した。8月5日午後2時から医療提供を開始し、初日の医療利用者は13人、活動した医療従事者は23人だった。その一方で、「はくおうII」への乗船者は187人、うち182人が入浴支援を利用した。台風13号の接近に伴い、同船は6日午前6時に八代港を出港し、医療提供も一時中断している。被災地ではDMAT、DPAT、日赤救護班、災害支援ナース、JMATなども活動を継続している。透析は一時13施設で実施が困難となったが、8月6日時点で実施困難な2施設についても他院での透析が手配済みとなった。船舶は陸上の医療機関やライフラインが被災した際にも、医療、衛生、生活支援を一体的に提供できる新たな災害医療拠点として期待される一方で、今回の台風による中断は、気象条件に左右される運用上の課題も示した。 参考 1) 令和8年熊本地震に係る被害状況等について(内閣府) 2) 令和8年熊本地震における船舶活用医療の実施について(同) 3) 熊本の被災地にあすから「病院船」、防衛省の船舶活用し初の取り組み…内科診療や熱中症治療・薬の処方も(読売新聞) 4) 防衛省チャーター舶「はくおうII」が入浴や医療提供 断水や猛暑に苦しむ熊本の被災者支援(産経新聞) 5) 避難者支援で医療チームが相次ぎ活動 熊本地震 DMAT・DPAT・災害支援ナースなど(CB news) 3.OTC類似薬「薬剤費25%」が患者負担に、長期処方での配慮対象は限定的/厚労省厚生労働省は8月5日、「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会」で中間とりまとめを了承した。2027年3月から、市販薬と成分・投与経路が同一で1日最大用量も異ならないOTC類似薬について、薬剤費の25%相当を保険給付の対象外とし、通常の1~3割の自己負担とは別に「特別料金」として患者が負担する。8月時点の対象は77成分1,042品目で、解熱鎮痛薬、抗アレルギー薬、湿布、保湿剤など日常診療で使用頻度の高い薬剤が含まれる。ただし、一定の患者や使用場面には配慮措置を設ける。がんや指定難病の患者、公費負担医療の対象者は、原疾患や治療に関連する症状への処方であれば追加負担の対象外とする一方で、花粉症など原疾患と無関係な症状への処方は対象となる。18歳未満の子供や入院中・退院時の処方も対象外。外来・在宅でも、生検、処置、手術など侵襲的医療行為に伴い新たに処方する薬は原則14日分まで対象外とする。長期使用の扱いも焦点となる。内服薬は年間おおむね50週の処方が目安で、診療情報提供書、お薬手帳、オンライン資格確認の薬剤情報などで処方歴を確認する。初診で過去の処方歴が確認できない場合は、少なくとも6ヵ月間の症状の持続・反復と薬剤使用を確認した上で、医師が通年使用を必要と判断する。外用薬はさらに条件が厳しく、湿布などの鎮痛消炎外用薬は長期使用でも原則追加負担となる。ただし2028年度末までは、画像検査で重度の変形性膝関節症などが確認され、医師が毎日の継続使用を必要と判断する場合に限り対象外とする。アトピー性皮膚炎に対するヘパリン類似物質や尿素の通年使用は対象外となる。また、医療用薬とOTC薬で効能・効果が一致しない場合は追加負担を求めない。たとえばフェキソフェナジンは、OTCにない蕁麻疹や皮膚疾患に伴うそう痒への使用では対象外となる一方で、アレルギー性鼻炎では原則対象となる。7月にOTC薬が発売された睡眠薬ラメルテオンも対象成分に追加された。今回の制度変更は現場にも大きく影響する。医療機関には対象外と判断した根拠を診療報酬請求書などに記載することが求められる方向で、処方箋様式の変更や電子カルテ、レセコン改修も見込まれる。検討会でも、医師や薬剤師の確認業務が過度に複雑にならない簡素な運用を求める声が相次いだ。厚労省は8月6日から中間とりまとめへのパブリック・コメントを実施しており、8月20日が締め切りとなっている。全国保険医団体連合会(保団連)は、慢性疾患でも配慮対象にならないケースが多いうえ、対象外か否かを判断する医療現場の負担が大きいとして、医療関係者らに厚労省のパブコメへ意見を提出するよう呼びかけている。意見はe-Govのパブリック・コメントから提出できる。厚労省は今後、さらに医療保険部会や中医協で議論し、今秋に省令・告示、関連通知などを取りまとめる予定。 参考 1) 第4回OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会(厚労省) 2) 「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ」について(同) 3) 入院患者は追加負担対象外 OTC類似薬で厚労省案 がんの主たる疾患や副作用の薬も(産経新聞) 4) OTC類似薬の技術的検討会が中間取りまとめ 湿布薬は慢性・重度の変形性膝関節症は除外 対象1042品目(ミクスオンライン) 5) OTC類似薬保険除外 厚労省が配慮措置(中間とりまとめ)のパブコメ募集開始 8月20日まで(保団連) 6) 湿布は長期使用でもOTC類似薬の追加負担に 厚労省検討会で了承(朝日新聞) 7) OTC類似薬の患者特別負担の詳細固まる、アトピーへの「ヘパリン類似物質・尿素」通年処方は特別負担対象外-厚労省技術的検討会(Gem Med) 8) OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ」に関する意見公募の実施について(パブリック・コメント) 4.医療・介護AIに重点投資 AX・DX推進本部を設置/厚労省厚生労働省は8月5日、医療・介護・福祉分野でAIやデジタル技術の活用を推進する「厚生労働省ヘルスケアAX・DX推進本部」の初会合を開いた。本部長を務める上野 賢一郎厚労相は、従来の医療DXに加え、AIトランスフォーメーション(AX)も省を挙げて戦略的、総合的に推進する方針を示し、各部局に2027年度予算の概算要求へ必要な事業や経費を盛り込むよう指示した。推進本部は、これまで各部局で進めてきたAI・DX関連施策を一元的に把握し、全省的に加速させる司令塔として4日に発足した。本部長に厚労相、副本部長に事務次官、厚生労働審議官、医務技監などを置き、関係部局長が参加するほか、「AI for ヘルスケア成長戦略室」を新設し、迫井 正深医務技監を室長として、具体的施策の検討や関係省庁との調整を行う。背景には、政府が日本成長戦略で「AI・半導体」を17の戦略分野の1つに位置付けたことがある。医療・介護ではAIロボットなどの「フィジカルAI」、医療・介護・福祉では領域特化型の「バーティカルAI」の開発・導入を進める。政府はフィジカルAIで2040年に世界シェア3割超、市場規模20兆円、バーティカルAIでは2030年までに世界で5兆円超の市場獲得を目標に掲げる。看護記録などの文書作成や福祉相談業務を支援するAIの普及、研究開発・実証、AI活用に必要なデータ基盤の整備などが想定される。創薬・先端医療でも、AIやデータ活用による研究開発プロセスの高度化・効率化を推進する。政府は成長戦略で新設した、予算要求上限を設けない「『強く豊かな日本』投資枠」も活用し、官民投資を促す方針。厚労省は今後、8月末の概算要求に向けて施策を具体化する。 医療DXが電子化や情報連携を中心としてきたのに対し、今後は診療・看護・介護など実務そのものをAIで変革するAXへ政策領域が広がることになる。 参考 1) 第1回厚生労働省ヘルスケアAX・DX推進本部 資料(厚労省) 2) 医療や介護のAI活用を支援 厚労省が推進本部設置(日経新聞) 3) 厚労省 ヘルスケアAX・DX推進本部が初会合 上野厚労相「日本成長戦略実現に向け概算要求へ」(ミクスオンライン) 4) 政府が医療・介護分野でAI活用推進へ「ヘルスケアAX・DX推進本部」初会合(CB news) 5.国立大学の経営危機、東大にも波及 研究力低下への懸念強まる/東大ほか東京大学が2026年度に2年連続の最終赤字となる見通しであることがわかった。国立大学法人化した2004年度以降、2年連続の赤字は初めて。25年度は数十億円、26年度は約40億円の赤字を見込み、大学の「貯金」に当たる繰越金も数年で枯渇する可能性がある。財務状況が改善しなければ、研究者数の削減など研究・教育体制の縮小も避けられないという。東大の年間収入は約3,000億円で国立大学最大規模。24年度は運営費交付金や補助金が約969億円、附属病院収入が約585億円、企業との共同研究や大型研究事業などの外部資金が約1,160億円だった。その一方で、実験機器・材料などの物件費は約1,794億円、人件費は約1,105億円に上る。人事院勧告に伴う給与上昇で人件費は5年間で約100億円増加し、物価高による研究機器や資材価格の上昇も経営を圧迫している。背景には国立大学法人全体の構造問題がある。国からの運営費交付金は26年度で1兆971億円と、法人化した04年度から1,445億円減少。科研費は増えたものの、その増加は649億円にとどまり、基盤的経費の減少を補えていない。わが国の大学の研究開発費も2000年から23年までに1.2倍にとどまり、米国の2.1倍、中国の16.5倍と大きな差がある。大学病院の経営難も大学本体に影響する。国立大学病院44施設のうち25年度は31病院が赤字となる見通しで、経常赤字は計244億円。高度医療や希少疾患診療では高額医薬品・資材の使用が避けられず、診療収入だけではコスト増を吸収しにくい。東大は国際卓越研究大学への認定を目指しているが、文部科学省による審査が継続中となっており、認定見送りとなれば財政改善はさらに厳しくなる。国立大学の研究力と高度医療を維持するため、安定した基盤財源の確保が改めて問われている。 参考 1) 東大が2年連続赤字へ 「貯金」数年で枯渇、研究者の削減不可避(日経新聞) 2) 国立大学法人モデル、岐路に 東大も自立運営困難 収入増、規制が足かせ 研究開発費は20年横ばい(日経新聞) 6.正常な脳組織を誤って摘出 50代女性が自発呼吸不能の重篤状態/京大京都大学医学部附属病院は8月7日、50代女性の脳腫瘍摘出手術で、腫瘍ではない正常な脳組織を誤って摘出し、脳幹などを損傷する医療事故があったと発表した。患者は術後、自発呼吸ができず人工呼吸器による管理が続き、手足も動かない重篤な状態となっている。病院によると、患者はめまいやふらつきはあったものの、手術前は生活に大きな支障はなく通常の生活を送っていた。検査により小脳橋角部に約3cmの良性腫瘍「髄膜腫」が疑われ、7月末に全身麻酔下で開頭手術を受けた。執刀したのは40代の脳神経外科医で、医師として20年以上の経験があり、同様の手術を約100例担当していた。手術中には、摘出した組織の一部を調べる術中病理診断が行われ、「腫瘍ではない」との結果が2度示された。それでも執刀医は、腫瘍の端の組織を採取したため腫瘍成分が含まれていなかった可能性があるなどと判断し、摘出を継続したという。約10時間の手術後も患者の意識や呼吸が十分に回復しなかったためMRI検査を実施したところ、本来摘出する予定だった腫瘍は残存しており、右小脳扁桃や呼吸機能に関わる脳幹の側面から背側にかけて大きな損傷があることが判明した。脳幹には呼吸など生命維持に不可欠な機能を担う神経中枢が集まっており、患者は現在も人工呼吸器を必要としている。京大病院は医療事故として患者と家族に謝罪し、厚生労働省や京都府警など関係機関にも報告した。高折 晃史病院長は「患者と家族に心よりおわび申し上げる」と陳謝。病院側は、執刀医の判断ミスや思い込みが影響した可能性にも言及しており、今後、外部有識者を含む事故調査委員会を設置し、手術中の判断過程や安全確認体制を検証し、原因究明と再発防止を進める方針だ。 参考 1) 脳腫瘍摘出術中の誤認による摘出部位誤り事例について(京大医学部附属病院) 2) 京都大病院、正常部位摘出し脳幹損傷 患者は重篤な状態(日経新聞) 3) 京大病院で医療事故 脳腫瘍の手術で誤って正常な脳の一部摘出(NHK) 4) 京都大病院が脳腫瘍手術で誤って正常な組織摘出、50代女性患者は呼吸に関わる脳幹損傷・人工呼吸器装着つづく(読売新聞)

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アトピー性皮膚炎への抗ヒスタミン薬、ルーチン使用を支持せず/BMJ

 アトピー性皮膚炎患者において、ヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)の追加投与は、重症度およびかゆみについて臨床的に意義のある改善には至らない可能性があり、睡眠障害やアトピー性皮膚炎の増悪も軽減しないことが示唆された。また、第1世代の同薬剤は認知機能障害の増加および有害事象による治療中断を増加させる可能性があり、第2世代の同薬剤では認知機能障害リスクに差異があることも示された。カナダ・マクマスター大学のAlexandro W.L. Chu氏らが無作為化試験のシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析の結果を報告した。著者は、「これらの知見は、アトピー性皮膚炎の治療における抗ヒスタミン薬のルーチンな使用を支持しないことの根拠となり、臨床ガイドラインの改訂に資するものである」と述べている。BMJ誌2026年7月29日号掲載の報告。システマティックレビューおよびネットワークメタ解析で評価 アトピー性皮膚炎(湿疹)患者の治療における経口抗ヒスタミン薬の使用は、近年の英国では5人に1人、米国では約半数に上ると推定されている。研究グループは、これらのOTC薬の有益性と有害性を調べ、アトピー性皮膚炎の患者にとって重要なアウトカムに対処するために包括的な解析が必要であり、最適な治療には経口抗ヒスタミン薬の科学的根拠に基づく評価が必要として本検討を行った。 開設から2025年5月5日までのMedline、Embase、CENTRALおよび米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)のデータベースを検索し、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を行った。 適格試験は、抗ヒスタミン薬、H2受容体拮抗薬、肥満細胞膜安定化薬(nedocromil sodium、クロモグリク酸ナトリウム)あるいはそれらの併用の追加投与を評価した無作為化試験とした。2人のレビュアーがそれぞれ、記録のスクリーニング、データの抽出および改訂Cochrane Risk of Bias 2ツールを用いたバイアスリスクの評価を行った。 ベイズ流ランダム効果ネットワークメタ解析により、アトピー性皮膚炎の重症度(oSCORAD、客観的スコア:0~83点、臨床的に意義のある最小差は8.2点、低スコアほど良好)、かゆみの重症度(数値評価スケール:0~10、臨床的に意義のある最小差は3、低値ほど良好)、睡眠障害、アトピー性皮膚炎に関連した生活の質(QOL)、および有害事象の統合解析を行った。エビデンスの確実性(質)の評価には、ネットワークメタ解析のためのGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)およびCore GRADEアプローチが用いられた。第1世代抗ヒスタミン薬は認知機能障害を増加 解析には、主に中等症~重症の小児および成人6,230例(報告された平均年齢の中央値20歳[平均値の範囲:1~43])が登録された47試験が組み入れられた。27試験(57%)が小児を対象に含んでおり、31試験(66%)はプラセボ対照試験で、37試験(79%)は並行群間比較試験であった。また、36試験(77%)が全被験者に基礎的な併用治療(保湿剤または外用コルチコステロイド)が行われていた。 中程度のエビデンスの確実性があるものとして、プラセボと比較し、第1世代または第2世代の抗ヒスタミン薬の追加投与は、アトピー性皮膚炎の重症度(平均群間差:-1.87、95%信用区間[CrI]:-3.47~-0.27)およびかゆみの重症度(平均群間差:-0.89、95%CrI:-1.41~-0.37)を、わずかに軽減したに過ぎない可能性が示唆された。統計的検出は可能であったが、これらの効果は、確立された意義のある最小差(患者が重要だとするアウトカムの最小変化量)を大きく下回るものであった。 エビデンスの確実性は低かったが、すべての試験で検討された介入は、睡眠障害の改善やアトピー性皮膚炎増悪の軽減にはつながらない可能性が示唆された。 第1世代の抗ヒスタミン薬の追加投与は、認知機能障害を増加させ(リスク差は被験者1,000人当たり66人増、95%CrI:0~231、エビデンスの確実性は中程度)、有害事象による治療中断も増加(リスク差は被験者1,000人当たり29人増、95%CrI:1~131、エビデンスの確実性は低い)させる可能性が示唆された。 第2世代の抗ヒスタミン薬の追加投与は、認知機能障害のリスクについて差が認められた。平均的な影響の範囲は、ロラタジンが1,000人当たり0人増、レボセチリジンが1,000人当たり16人増、セチリジンが1,000人当たり17人増であった。

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軽症~重症の成人アトピーへのデルゴシチニブクリーム、用量反応的な有効性を示す/BJD

 アトピー性皮膚炎(AD)患者において、デルゴシチニブ軟膏0.5%は基剤軟膏と比較して有効性の改善をもたらし、良好な安全性プロファイルを示している。今回、デルゴシチニブクリーム製剤の用量反応関係、有効性、および安全性を検討するため、米国・ジョージ・ワシントン大学のJonathan I Silverberg氏らは、軽症から重症の成人AD患者を対象に二重盲検基剤対照第IIb相試験を実施した。結果を、British Journal of Dermatology誌オンライン版2026年7月22日号に報告した。 本研究(NCT03725722)では、軽症~重症の成人AD患者を、1、3、8、20mg/gのデルゴシチニブクリームまたは基剤クリームの各群へ1:1:1:1:1の割合で無作為に割り付けた。参加者は、デルゴシチニブまたは基剤を、AD病変部に1日2回、8週間にわたり塗布した。 主要評価項目は、ベースラインから8週時の湿疹面積・重症度指数(EASI)の変化量とした。探索的主要副次評価項目には、8週時の試験担当医によるADの総合評価(vIGA-AD)における治療成功(ベースラインから2段階以上の改善を伴い、スコアが0[消失]または1[ほぼ消失]と定義)およびEASI-75(ベースラインからEASIが75%以上改善)が含まれた。安全性は試験期間を通じて評価された。  主な結果は以下のとおり。・251例が無作為化された(デルゴシチニブ群:201例、基剤群:50例)。ベースラインの患者特性は、平均年齢40.5(SD 17.0)歳、女性が68.5%を占め、EASIスコア平均値は10.0(SD 6.8)であった。・8週時において、EASIスコアのベースラインからの変化量は、デルゴシチニブ群では基剤群と比較して、用量反応的な差が示された(1mg/g:-5.0、3mg/g:-4.9、8mg/g:-5.8、20mg/g:-7.6、いずれも基剤[-1.9]に対しp<0.05)。・8週時において、vIGA-ADの治療成功を達成した患者の割合は、デルゴシチニブ群(1mg/g:18.4%、3mg/g:29.2%、8mg/g:30.0%、20mg/g:48.0%)で、基剤群(10.4%)よりも高かった。・8週時において、EASI-75達成率は、デルゴシチニブ群(1mg/g:40.8%、3mg/g:43.8%、8mg/g:56.0%、20mg/g:66.0%)で、基剤群(20.8%)よりも高かった。・有害事象の発現率はデルゴシチニブ群(44.5%)と基剤群(56.0%)で同程度であり、最も頻繁に報告された有害事象(いずれかの投与群で5.0%以上)は、上気道感染症、AD(アトピー性皮膚炎の悪化)、ざ瘡、頭痛、および塗布部位そう痒感であった。 著者らは、「デルゴシチニブクリームによる治療は、主要および副次評価項目において、用量反応的に基剤よりも高い有効性を示した」とし、「忍容性は良好であり、安全性に関する懸念は認められなかった」と結論付けている。

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新規作用機序の蕁麻疹経口薬「ラプシド錠25mg」【最新!DI情報】第66回

新規作用機序の蕁麻疹経口薬「ラプシド錠25mg」今回は、慢性蕁麻疹治療薬「レミブルチニブ(商品名:ラプシド錠25mg、製造販売元:ノバルティスファーマ)」を紹介します。本剤は慢性蕁麻疹の新規経口薬であり、既存治療で効果不十分な慢性蕁麻疹患者にとってより利便性の高い治療選択肢となると期待されています。<効能・効果>特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)の適応で、2026年6月19日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはレミブルチニブとして1回25mgを1日2回経口投与します。<安全性>副作用として、上気道感染、点状出血(いずれも1~5%未満)、紫斑、挫傷、斑状出血、鼻出血、歯肉出血(いずれも1%未満)、結膜出血(頻度不明)があります。<患者さんへの指導例> 1.この薬は、蕁麻疹の症状を誘発する原因が特定されない蕁麻疹に用いられる治療薬です。ブルトン型チロシンキナーゼを阻害することで、蕁麻疹の症状を引き起こす物質や炎症を起こす物質の放出を抑えて症状を緩和します。 2.抗ヒスタミン薬の増量など適切な治療を行っても、日常生活に支障を来すほどの症状を繰り返して継続的に認められる場合に追加で使用します。 3.妊娠する可能性がある人は、この薬を使用している間および最後に使用してから1週間は、適切な避妊をしてください。 4.この薬を使用している間は生ワクチン(麻しん、おたふくかぜ、風しん、水痘など)の接種はできません。 <ここがポイント!> 慢性特発性蕁麻疹(CSU)は、明確な原因や誘因が特定できない蕁麻疹が6週間以上持続する疾患です。蕁麻疹による紅斑やそう痒、膨疹などの症状は、肥満細胞からヒスタミンなどの炎症性ケミカルメディエーターが放出されることによって引き起こされます。蕁麻疹の治療には、原因や悪化因子の除去・回避が重要となりますが、これらが不明なCSUでは薬物療法が治療の中心となります。薬物療法では、主に第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬が用いられますが、一部の患者では症状が残存することがあります。第2世代抗ヒスタミン薬で効果不十分な場合には、生物学的製剤であるオマリズマブやデュピルマブが治療の選択肢となります。しかしながら、これらの薬剤はいずれも皮下投与製剤であり、自己注射や通院に伴う身体的・心理的負担が生じる場合があります。レミブルチニブは、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に対して高い選択性を示すBTK阻害薬です。本剤はIgEまたはIgG自己抗体によりFcイプシロン受容体Iの架橋が誘発されて生じるシグナル伝達を阻害することで、肥満細胞および好塩基球からのヒスタミンなどの炎症性メディエーターの放出を抑制します。本剤は1日2回服用の経口薬であるため、既存の生物学的製剤で必要となる自己注射や定期的な通院に伴う負担はなく、患者にとってより利便性の高い治療選択肢となり得ます。第2世代抗ヒスタミン薬で効果不十分な18歳以上のCSU患者を対象とした国際共同第III相試験(A2301試験、REMIX-1試験)において、主要評価項目である投与12週後の週間蕁麻疹活動性スコア(UAS7)のベースラインからの変化量は、本剤群で-20.02±0.716、プラセボ群で-13.79±0.980でした。本剤群とプラセボ群の群間差は-6.22(95%信頼区間:-8.45~-4.00)であり、本剤群はプラセボ群と比較して蕁麻疹症状(そう痒および膨疹)を統計学的に有意に低減しました(反復測定混合モデル、調整済みp<0.001)。

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病名や薬物治療手順を一部変更、「蕁麻疹診療ガイドライン」改訂/日本皮膚科学会

 国際ガイドラインの改訂や病態解明の進展、新たな生物学的製剤の登場などを背景に、8年ぶりの改訂版となる「蕁麻疹診療ガイドライン2026(第4版)」が2026年4月に公開された。病型分類および病名の一部変更や治療アルゴリズムのアップデートが行われた今回の改訂について、ガイドライン策定委員会の委員長を務めた福永 淳氏(大阪医科薬科大学)が第125回日本皮膚科学会総会で講演した。慢性蕁麻疹→慢性特発性蕁麻疹、アスピリン蕁麻疹→NSAID誘発蕁麻疹へ 蕁麻疹の病型について、特発性の蕁麻疹、刺激誘発型の蕁麻疹、血管性浮腫、蕁麻疹関連疾患という4つの大分類に変更はないが、その下の分類や病名がいくつか変更された。まず、特発性の蕁麻疹は「急性特発性蕁麻疹(発症後6週間以内)」と「慢性特発性蕁麻疹(発症後6週間超)」に、“特発性”という言葉を加える形に病名が変更された。 刺激誘発型の蕁麻疹は、食物依存性運動誘発アナフィラキシーがアレルギー性蕁麻疹の一部であるという考え方に基づき、別分類されていた2018年版から、アレルギー性の蕁麻疹(食物依存性運動誘発アナフィラキシーを含む)という表記に変更された。またアスピリン蕁麻疹は、アスピリンでのみ生じるという誤解を生む可能性があることから、NSAID誘発蕁麻疹と改めた。 血管性浮腫に関しては、「マスト細胞起因性」および「非マスト細胞起因性」という中分類を新たに設け、非マスト細胞起因性の病型の1つとして「メディエーター不明の血管性浮腫」が追加された。 さらに、病態に関する記述も最新の知見をもとに大きくアップデートされた。その中で最大の特徴といえるのが、すべての文言において「肥満細胞」という名称を削除し、「マスト細胞」に統一した点である。「脂肪細胞(肥満に関わる細胞)」と混同することを避けるための配慮であり、疾患の正しい理解を促進する狙いがあるという。日本独自の疫学データを追加、慢性特発性蕁麻疹患者のボリュームゾーンは40〜50代 これまでの日本のガイドラインでは、蕁麻疹に関する詳細な疫学データが不足していたが、今回の改訂では新たに医療情報データベースなどを用いた研究結果が追加された。日本人の慢性特発性蕁麻疹の推定有病率は1.2〜1.6%であり、全国でおよそ200万人の患者が存在すると推測される。新規発症率はおよそ0.7〜0.8%である。 福永氏は、「慢性特発性蕁麻疹の有病率はヨーロッパ諸国と比較して、東アジアでより高い傾向がある。年齢分布を見ると、実は0〜9歳の小児期に新規発症の大きなピークが存在する。しかし、この年代の多くは自然治癒に向かうため、実際に医療機関で継続的な治療を要する患者のボリュームゾーンは40~50代となる。また、男女比は2対3で女性に多いことも明らかになった」と語った。網羅的検査の実施は推奨されない 検査に関しては、2018年版から「原因検索のための網羅的な検査」を推奨しない方向性であることに変更はないが、今回その姿勢をより明確に打ち出している。I型アレルギーの検査実施については、1型アレルギーが疑われる詳細な問診・病歴がある場合にのみ、疑わしい抗原に対して個別の検査を選択的に行うべきとされた(CQ1)。急性特発性蕁麻疹(CQ2)および慢性特発性蕁麻疹(CQ3)に対する検査についても、全例でルーチンに実施する必要はないとしたうえで、推奨文では以下のように記載された。急性特発性蕁麻疹:発熱などの全身症状を伴い,細菌やウイルスの感染が疑われる場合には血算・血清・生化学検査などの一般的な検査を行ってもよい慢性特発性蕁麻疹:非定型的な症例、難治性の症例などで、背景因子、合併症の存在が疑われる場合は抗ヒスタミン薬やオマリズマブの反応性を予測できる可能性があり、それらに応じた検査(血清総IgE値,甲状腺自己抗体,CRPの測定)を行ってもよいPROMs活用を推奨し、治療の第1目標を変更 今回のガイドライン策定委員会で全員一致で推奨に強い合意が得られたのが、UAS7(Urticaria Activity Score over 7 days)や、UCT(Urticaria Control Test)などの患者報告アウトカム尺度(PROMs:Patient-Reported Outcomes Measures)を用いた疾患コントロール状態の客観的評価である。治療の第1目標は、2018年版での「治療により症状が現れない状態」から「治療により生活に支障がない状態」と変更された。またその目安をUCTのスコアで表しており、第1目標(治療により生活に支障がない状態)がUCT12点以上、第2目標(治療により症状が現れない状態)がUCT16点と明記された。福永氏は、「日常診療のアセスメントの際には、ぜひUCTを活用して客観的な評価を行っていただきたい」と呼びかけた。薬物治療はStep 2にオマリズマブまたはデュピルマブ、ステロイドは「急性増悪時のみ」 治療手順については、急性と慢性でアルゴリズムが明確に分けられた。急性は主に救急外来などでの短期間の対応を想定している。薬物治療手順は、慢性特発性蕁麻疹について以下が示された。Step 1:第2世代抗ヒスタミン薬Step 2:Step1に追加してオマリズマブまたはデュピルマブStep 3:Step1に追加してシクロスポリンまたは試行的治療 2018年版でStep 2とされていたH2-拮抗薬、抗ロイコトリエン薬、トラネキサム酸については、国際ガイドラインやエビデンスレベルの低さなどを背景に、Step1の補助的治療としての位置付けに変更された。 また、Step 3に含まれていた副腎皮質ステロイドに関しては、「急性増悪時のみ」とされて、プレドニゾロン換算量0.2mg/kg/日未満で2週間以内の使用に限定することが明記された。

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麻しん・おたふくかぜ・風しんの3種混合生ワクチン「ミムリット皮下注用」【最新!DI情報】第65回

麻しん・おたふくかぜ・風しんの3種混合生ワクチン「ミムリット皮下注用」今回は、「乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン(商品名:ミムリット皮下注用、製造販売元:第一三共)」を紹介します。乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンに、おたふくかぜワクチンを混合することで、接種回数が減少して非接種者の負担軽減につながることが期待されています。<効能・効果>麻しん、おたふくかぜおよび風しんの予防の適応で、2026年5月11日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>本剤を添付の溶剤(日本薬局方注射用水)0.7mLで溶解し、その0.5mLを1回皮下に注射します。生後12月以上の者であれば性、年齢に関係なく接種できます。接種年齢は、学会などの最新の情報を考慮して総合的に判断します。<安全性>重大な副反応として、ショック、アナフィラキシー、免疫性血小板減少症、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳炎・脳症、けいれん(熱性けいれんを含む)、無菌性髄膜炎、難聴、精巣炎、急性膵炎(いずれも頻度不明)があります。その他の副反応として、発熱(33.6%)、注射部位の紅斑(22.5%)、腫脹、疼痛(いずれも注射部位、5%以上)、内出血、硬結(いずれも注射部位)、嘔吐、湿疹、発疹、上咽頭炎(いずれも0.5~5%未満)、注射部位のそう痒感、下痢、鼻漏、上気道の炎症、紅斑、丘疹、斑状丘疹状皮疹、蕁麻疹(いずれも0.5%未満)があります。<患者さんへの指導例> 1.このワクチンは、麻しん、おたふくかぜ、風しんの混合ワクチンです。麻しんウイルスとムンプスウイルス、風しんウイルスを弱毒化した生ワクチンで、接種後に体の中でワクチンウイルスが増え、それぞれの抗体ができます。 2.生後12月以上の者であれば性別、年齢に関係なく接種できます。 3.ワクチン接種に伴う副反応として、接種部位が接種直後から数日中に赤くなる、硬くなる、腫れることがありますが、通常、一過性で消失します。 4.妊婦は接種できません。 5.妊娠可能な女性は、あらかじめ約1ヵ月間避妊した後に接種します。また、ワクチン接種後約2ヵ月間は妊娠しないように注意してください。 <ここがポイント!>麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる感染症で、「はしか」とも呼ばれています。感染後、10〜12日の潜伏期間を経て、38℃前後の発熱、発疹、咳、鼻汁などの症状が現れます。重症化した場合には、肺炎や脳炎を引き起こすこともあります。流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスによって引き起こされる感染症で、「おたふくかぜ」とも呼ばれています。感染後、2〜3週間の潜伏期間を経て、片側または両側の耳下腺部に炎症や疼痛が生じ、発熱、頭痛、倦怠感などの症状が現れます。通常は1~2週間で軽快しますが、合併症として無菌性髄膜炎、精巣炎、卵巣炎、膵炎、難聴などを引き起こすことがあります。とくに難聴は高度となることが多く、発症すると不可逆的な聴覚障害が残ることがあります。従来はまれな合併症とされていましたが、近年では0.1〜0.25%程度の発症率という報告があります。風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる感染症です。感染後、2~3週間の潜伏期間を経て、発熱、発疹、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。風しんに対する免疫力が不十分な妊婦が感染すると、出生児に心疾患、白内障、感音性難聴、精神運動発達遅延などの先天性異常が認められることがあります。妊娠中は弱毒生ワクチンを接種できないため、抗体を持たない、あるいは抗体価の低い妊婦は、風しん流行時における感染に十分注意することが重要です。ミムリットは、麻しん/おたふくかぜ/風しん(measles/mumps/rubella:MMR)ワクチンであり、麻しん、おたふくかぜおよび風しんの各原因ウイルスを弱毒化した生ウイルスを含む3種混合ワクチンです。本邦では、1989年から4年間にわたってMMRワクチンが小児の予防接種に使用されていましたが、当時のおたふくかぜワクチンの副反応として発熱、嘔吐、けいれんなどを伴う無菌性髄膜炎が高頻度に発生し、大きな社会問題となりました。そのため、MMRワクチンは使用が中止され、以降は麻しんおよび風しんの予防には単独ワクチンまたはMRワクチンの定期接種が、おたふくかぜの予防には単独ワクチンの任意接種が行われてきました。しかし、その結果、国内のおたふくかぜワクチンの接種率は30〜40%程度にとどまり、数年ごとにおたふくかぜの流行が繰り返されてきました。こうした状況を受け、2013年12月に厚生労働省から一般社団法人日本ワクチン産業協会に対して安全性の高いMMRワクチンの開発要請が出されました(健感発1216第1号)。さらに2018年5月には、予防接種推進専門協議会から「おたふくかぜワクチンの定期接種化に関する要望」が厚生労働省健康局(現健康・生活衛生局)に提出されました。このような背景から、MMRワクチンの開発が進められ、弱毒生麻しんウイルス(AIK-C株)、弱毒生風しんウイルス(高橋株)および弱毒生ムンプスウイルス(RIT4385株)を混合した本剤が承認されました。なお、RIT4385株は、無菌性髄膜炎の発現頻度が低いムンプスウイルス株として、海外では小児の定期接種に用いられるMMRワクチンに広く使用されています。 日本人健康小児を対象とした国内第III相臨床試験(VN0102-A-J301試験)において、主要評価項目である治験薬接種42日後の麻しんウイルスに対する抗体保有率は、本剤群99.8%(95%信頼区間[CI]:98.7~100.0)および対照群100.0%(95%CI:99.1~100.0)で、群間差は−0.2%(95%CI:−1.3~0.7)でした。また、風しんウイルスに対する抗体保有率は、本剤群99.5%(95%CI:98.3~99.9)および対照群99.5%(95%CI:98.3~99.9)で、群間差は0.0%(95%CI:−1.3~1.3)でした。麻しんウイルスおよび風しんウイルスに対する抗体保有率は、群間差の95%CIの下限値(いずれも−1.3%)が非劣性マージンである−10%を上回ったことから、本剤の対照薬に対する非劣性が検証されました。一方、ムンプスウイルス(Genotype D)に対する抗体保有率は、本剤群80.6%(95%CI:76.5~84.4)および対照群88.1%(95%CI:84.6~91.0)で、群間差は−7.5%(95%CI:−12.5~−1.9)でした。群間差の95%CIの下限値(−12.5%)が非劣性マージンである−10%を下回ったことから、本剤の対照薬に対する非劣性は検証されませんでした。しかしながら、本剤のムンプスウイルスに対する抗体保有率は80.6%であり、おたふくかぜの発症予防効果が確認されている海外MMRワクチンの試験成績と比較しても遜色のない結果でした。また、J302試験(低力価および高力価製剤の国内第III相臨床試験)およびJ303試験(ワクチンを1回接種したことが明らかな小児を対象とした国内第III相臨床試験)におけるムンプスウイルスに対する抗体保有率はいずれもおおむね95%以上でした。

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遺伝性血管性浮腫の疾患認知はまだ不十分/CSLベーリング

 CSLベーリングは、5月16日の「HAE Day」によせて都内でメディアセミナーを開催した。 遺伝性血管性浮腫(HAE)は、生まれつき血液中にあるタンパク質C1インヒビター(C1-INH)の不足・機能低下が原因で浮腫を生じる疾患。指定難病に認定され、皮膚や腹部(腸)など、全身に浮腫が生じ、とくに咽喉で腫れると呼吸困難に陥り、命に関わるケースもある。わが国には、診断・治療中の患者は430人前後であり、未診療の患者も相当数がいると推定されている。また、海外のデータでは、人口5万人に1人の割合で患者がいるとされる。なお、同社ではHAEの急性発作の発症抑制薬として、ヒト抗活性化第XII因子モノクローナル抗体製剤ガラダシマブ(商品名:アナエブリ)を発売している。 セミナーでは、専門医によるHAEの病態、診療の現状や医療者と患者のコミュニケーションの在り方、患者・患者家族からの声として社会生活上の課題、患者会の活動などが講演された。HAEと診断されても続く患者の苦しみ 「医療者の視点から見た『HAE Dayの意義』と『HAEの現状』」をテーマに秀 道広氏(広島市立病院機構 理事長/広島大学名誉教授)がHAEの病態と診療の概要、患者が抱える課題について講演を行った。 HAEは限局性に浮腫が突然現れ、一定時間(数時間~数日)後に跡形もなく消失する疾患である。似た病態に蕁麻疹があるが、蕁麻疹は皮膚の表層で起こるのに対し、HAEでは血管が拡張することから皮膚の深部で起こる。一見すると鑑別が難しいが、HAEでは蕁麻疹治療薬が無効なケースがほとんどであるために鑑別診断の一助となる。浮腫は、皮膚、粘膜のさまざまな部位に出現し、部位、時間などの規則性はない(ただ夜間、早朝に多いとされている)。皮膚症状のほかには頭痛や倦怠感、悪心・嘔吐、腹痛などの消化器症状、咽喉の浮腫による呼吸困難など生命の危険もある。また、直接的な誘因は不明であり、時間経過とともに自然消失する。 HAEの発症はC1-INH(タンパク分解酵素阻害因子)が欠損することで起こり、確定診断ではC1-INHの活性測定、C4の測定などが行われる。しかし、症状が多様な粘膜症状であり、自然消失する疾患のため医師でも見逃しやすく、誤診しやすい疾患である。また、患者自身も診療を放置しているケースもあり、診療への障壁が高いという。そのためにHAEの診断率は20%(欧米では70%)、医師の認知率は45%であり、確定診断までの期間も平均16年と言われている1)。 HAEの治療では、このC1-INHを補う治療薬での治療が主体となり、発作治療(発作出現後)、短期発作抑制治療(発作リスク前)、長期発作抑制治療(継続的)が行われている。しかし、すべての治療薬が保険適用というわけではない。また、HAE発作ではC1-INH以外の分子によるブラジキニン誘導や修飾もあり、どの治療薬の効果が高いのかは病型・病態により異なる。同時に治療薬への反応性も患者ごとに時期により変化するため、個々の治療計画の立案、調整が必要となる。 秀氏は自験例として33歳・女性の患者を提示。HAE患者では、確定診断後もいつ起こるかわからない発作への不安や頻繁な発作、緊急受診で仕事など社会生活に支障があること、また、専門医療機関以外での診療フォローでも課題があると指摘する。 現在、HAEの治療目標とコンセンサスステートメントがいくつか公表され、そのいずれにも「患者の生活の健全化」や「疾病負荷のない日常生活」と文言が記載されている。診療もこれらを目指し、「医師・医療者も臨床知見の積み上げやデータの蓄積、患者は日常生活での注意点の確認などを双方で情報交換することが重要」と秀氏は提言する。そのために、現在、医師や患者会、製薬企業も加えたコンソーシアムの設立や研究的な組織を立ち上げて活動しているという。 最後に秀氏は「HAEは、診断が始まってからが大切であり、5月16日の全国のライトアップなど大きな取り組みを含めて社会に啓発することで、疾患の理解が進むことを望む」と期待を語り、講演を終えた。医療者と患者がお互いの視点をすり合わせる対話の重要性 「医療社会学者の視点から見た『社会生活における医療者を含めた関係者と患者さんのコミュニケーションの課題とあり方』」をテーマに松繁 卓哉氏(追手門学院大学社会学部 教授)が、医師と患者の対話の重要性や不安の言語化の大切さなどを講演した。松繁氏は、主に医療におけるコミュニケーションを研究し、医療社会学の視点から講演を進めた。 医療社会学における「患者の仕事」は、「病と向き合う仕事」「日常生活の仕事」「自分史の仕事」の3つがあり、これらの仕事は医療者にあまり理解されてこなかったという。 患者は、病により「生きづらさ」や「不安」を抱えているが、これらは容易に言語化することが難しく、医療者や周囲に伝えることができなかった。そこで、「問題解決型」と「対話」でのアプローチが重要となる。 「問題解決型アプローチ」は、患者の問題を特定し、解決へ導く、科学的根拠に基づいた医療の提供によるアプローチである。「対話アプローチ」は、対話そのものが目的であり、一定の結論を導き出すものではない。対話を持続することで多様な声に耳を傾け続けることを目指すものである。患者は対話で語ることで、不安感などの内面の感情などが整理され、医療者と内面の感情を共有することができる。 患者と医療従事者の対話では、着眼点が異なる。医療者は「治癒」「寛解」などに着眼するのに対し、患者は「日々の生活」「仕事」などに着眼する。両者の視点にはずれが生じているため、このずれを融合させるため、対話を行う際に患者は4つのプロセスが必要と松繁氏は提言する。(1)心に余裕のある状態で臨む(2)そのうえで医師の説明を聞く(3)自分が理解したかどうかを確かめる(4)ちゃんと迷って、決断する 最後に松繁氏は、「自己理解とコミュニケーションは、言語化してみることから」と述べ、患者への勧めとして「『わからないこと』『不安なこと』『知りたいこと』『したくないこと』をメモにして、医療者と対話してみることを提案する」とまとめ、講演を終えた。疾患啓発活動で疾患の認知を拡大 「当事者と家族の視点:日々の現状、課題と解決策」をテーマにHAE患者会の代表である松山 真樹子氏(NPO法人HAEJ 理事長)が、自身の経験と患者の状況、患者会の活動を講演した。松山氏自身は、夫をHAEの急性発作による気道閉塞で亡くし、また、子供も同じ疾患だという。 先の講演でもあったようにHAEは確定診断まで時間がかかり、最悪の場合、誤診され不要な手術を受けるケースもあるという。患者会に参加することで、患者や患者家族の孤独感の解消や治療改善への寄与などのメリットがある。患者会の主な活動としては、疾患について社会や医療者への認知拡大に向けた活動、診療率向上に向けた取り組み、国際連携などの活動が行われている。 近年は治療環境が変化し、HAE発作への予防的な治療薬も自宅で投与できるようになり、患者の治療環境が変わる一方で、現在も患者や疾患への偏見などが存在するという。また、疾患への正確な知識の欠如、確定診断までの時間、多面的な疾患情報提供などの課題もあり、今後の対応が急がれている。こうした課題の中で「製薬企業の資材である疾患のハンドブックなどは有用であり、医師とのコミュニケーション不足や診療での地域差解消、正確な疾患知識の啓発に利用できるものとして活用していきたい」と語る。 最後に松山氏は「患者がポジティブな気持ちを持ってしっかりと病気を受け入れ、病気は自分の個性だというふうに思えるように活動していきたい」と抱負を述べ、講演を終えた。 まとめとして同社代表取締役社長の吉田 いづみ氏が「CSLベーリングの取り組み」をテーマに今後の展望を説明した。同社は45年以上HAEに取り組み、ハンドブックなどの作成で疾患啓発と患者の診療利便性向上に貢献してきた。「今後も『HAE Day』などで疾患啓発を社会に行うとともに、患者さんの声や思いを届ける活動を実施することで、孤独な患者さん、ご家族、医療関係者をつなぎ、希少疾患を巡る環境改善に貢献していきたい」と抱負を語った。

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気血水~四君子湯・四物湯・五苓散~【Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬】第8回

気血水~四君子湯・四物湯・五苓散~前回は急性熱性疾患の六病位を解説しました。太陽病、少陽病、陽明病、太陰病、少陰病、厥陰病(けっちんびょう)ですね(図1)。図1 六病位画像を拡大する病気が進行する場合には、このようなフレームワークを使えるのですが、病気の進行があまり目立たない慢性疾患の場合に、どのように漢方薬を選んでいくかという話はまだできていません。そのため、今回は気血水を扱いたいと思います。まずは、それぞれの概念から解説していきます。気血水気(き)というのは物質的な裏付けがありません。要するにエネルギーとお考えください。最近は武術だけじゃなくて、漫画やアニメでも「気」という言葉がたくさんでてきます。あのイメージでまったく問題ありません。血(けつ)というのは赤くて循環している液体を指すため、基本的には血液と考えて構いません。実際には血液だけでなく、血液が運んでくる栄養なども血の概念に含まれているため、あまり「血=血液」と考えすぎないほうがスムーズに理解できる事柄もあります。最後の水(すい)は血液以外の体液を指します。気、血、水は互いに独立した概念とまでは言い切れません。たとえば、気は血と水がうまく循環するのに大切なものです。そのため、気血水のどこかに問題が生じると、ほかの要素にも問題が波及するということはよくあります(図2)。図2 気血水画像を拡大する少し哲学的な雰囲気の話になってしまったところもあって、わかりにくい部分もあったかもしれません。そこで、実際の症候で解説しようと思います。気逆、気鬱、気虚まず、気の問題には気逆(きぎゃく)、気鬱(きうつ)、気虚(ききょ)があります(図3)図3 気逆、気鬱、気虚画像を拡大する気逆は、エネルギーが体の下から上に突き上げる現象で、たとえば、吐き気、のぼせがこれに該当します。感冒初期に頭痛がするのも気逆の一種で、葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)、桂枝湯(けいしとう)に含まれる桂皮(けいひ)がこれを治してくれます。げっぷ、しゃっくりも気逆の一種ですね。気鬱は、体のどこかでエネルギーが痞(つか)えることです。たとえば、胸が痞える感じ。女性のヒステリー球などとよく言いますが、恋の病もこれに該当します。あとは、便秘も「お通じが悪い」って言いますよね。エネルギーの通りが悪いのです。こういったものが気鬱です。最後に気虚。これは簡単で、エネルギー不足のことです。もっとも、この気虚、つまりエネルギー不足はさらに大きく2つに分けることができて、先天的な気の不足と後天的な気の不足に分けられます。RPGでも格闘ゲームでもなんでもいいのですが、体力ゲージ、HPゲージをイメージしてください。最大HPに相当するのが先天的な気で、現在のHPに相当するのが後天的な気です。そうすると、「おにぎり」のような体力回復アイテムで回復できるのは、後天的な気の方になります。先天的な気は、生まれながらにして持っているエネルギーですが、これは腎に宿っていると漢方では考えていて、加齢とともに衰えていきます。この衰えをゆっくりにする漢方薬としては、腎気丸(じんきがん)こと八味地黄丸(はちみじおうがん)というものがあります。一方で、後天的な気というのは、食事と呼吸を通じて日常的に補給していくもので、お腹の調子を整えることが大事になってきます。そのため、後天的な気を補って気虚を治す漢方薬には、腸管に優しい生薬が含まれているんですね。人参(にんじん)はその代表格です(図4)。図4 気虚に対する漢方薬画像を拡大するお血、血虚次に血の異常をみていきます。血の循環が滞っている状態をお血(おけつ)といいます。たとえば、動脈硬化症、血栓症、あとは多血症がこれに該当します。皮下出血もそうです。あと、「血=血液」で捉えるとわかりにくいのですが、肉ばかり食べている方は、顔のお肌がガサガサに荒れてシミや吹き出物が出てきたり、赤ら顔になったりするのです。これもお血に含みます。血が足りていない状態を血虚(けっきょ)といいます。単純に貧血と考えていただいて大丈夫ですが、貧血になると目が霞んできたり、鉄欠乏であれば爪が割れてきたりと、いろいろな症状が出てきます(図5)。また、顔が青白い。こういった症状に対しては、造血機能を高めたり、出血していればそれを止めたりするために、漢方薬が用いられるわけです。たとえば、桂枝湯の回で触れた当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)は血虚に対して使えます。図5 お血、血虚画像を拡大する水毒次は水の異常です。簡単に思い浮かぶのは浮腫ですね。もちろん、浮腫も水毒のひとつです。あとは、雨が降ると頭痛がしたり、めまいがしたりする方がいますよね。あれも水毒です。気象関連片頭痛とか、メニエール病の内リンパ水腫をイメージするとわかりやすいかもしれません。花粉症の時に鼻水が出るのも水毒で、関節液が貯留するのも水毒です。胃に水がたまってポチャポチャするのも水毒です(図6)。要は水が絡んでいて、その水が赤くない。つまり血でないのなら、水毒と考えておおむね差し支えありません。そう考えると、結構広い概念ですね。図6 水毒画像を拡大する四君子湯、四物湯、五苓散ここまで、気血水の異常を説明してきました。漢方診察では、目の前の患者が気血水の異常をそれぞれどのくらいの割合で持っているのか、症状や身体所見から考えます。それをもとに、漢方薬を選んでいくという話になってくるわけです。ここで、気血水の異常を治す漢方薬として、絶対に知っておきたい漢方薬を3種類だけ紹介しておきたいと思います。それは四君子湯(しくんしとう)、四物湯(しもつとう)、五苓散(ごれいさん)です。私がナンバーズ3兄弟と呼んでいるものです。四君子湯は気虚、四物湯は血虚、五苓散は水毒を治す漢方薬ですが(図7)、それぞれに含まれている生薬を覚えるだけで、この先に出てくる気血水向きの漢方薬を簡単に理解できるようになります。図7 ナンバーズ3兄弟画像を拡大するまとめ今回の内容をまとめていきます。急性熱性疾患の六病位というフレームワークとは別に、今回は慢性期疾患でも使える気血水を説明しました。気血水の異常には、気逆、気鬱、気虚、お血、血虚、水毒が挙げられます。診察時には、症状や所見からこれらのどれに当てはまるのかを観察してから漢方薬を選びます。本連載はここまでとなります。ここから先は、CareNeTVの「Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬」で、ナンバーズ3兄弟の助けを借りながら、気血水の異常を各論で学んでいきます。ぜひ入会してご覧ください。

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タイムアウトマーケットに行ってきた!【Dr. 中島の 新・徒然草】(633)

六百三十三の段 タイムアウトマーケットに行ってきた!良い季節になりましたね。最近は花粉に悩まされることもありません。もうすぐ梅雨の入りですが、大阪では6月上旬~中旬になるとのこと。雨の合間を縫って洗濯物を干す必要があります。さて、今回は梅田の「グラングリーン大阪」というビルの地下にある「タイムアウトマーケット」についてお話ししましょう。というのも、梅田北の再開発エリアで学会が開催されることが多くなったからです。タイムアウトマーケットは海外発のフードコート。アジアでは大阪店が最初にオープンしました。ところが、できたばかりなのに閑古鳥が鳴いているなどとYouTubeなどで揶揄されています。その理由は価格設定が強気すぎるからとのこと。オープンからまだそれほどたっていませんが、すでに撤退した店舗もあるようです。果たしてそんなに閑散としているのか?言われるほど無茶苦茶な値段なのか?平日の昼に梅田に行く用事があったので、その帰りに寄ってみました。時刻は14時30分ごろ。普通のフードコートでも客が少ない時間帯です。で、巨大な空間に自分1人かと思ったら、結構な人数が入っていました。少なめではありますが、まったく人がいないわけではありません。気になる値段のほうは、11~15時までのランチの最低が1,500円くらい。高めとはいえ、昨今の価格設定といったらこんなものでしょう。種類は、肉、メキシコ料理、英国料理、カレー、ハンバーガー、うどん、スイーツなど。なんでも、関西の有名レストランがフードコート形式で出店しているのだとか。さすがに1,500円のうどんはちょっと躊躇しますが、カツカレーなら試してみようかなと思います。フードコートのいいところは、席がいくらでも空いているということ。1人でも全然平気なこと。グループで行って、それぞれに好きな物を注文できること、などです。私は2回行って、それぞれカツカレーとハンバーガーを食べてみました。現金は使えないとのことで、使用したのは交通系ICカードです。確かに1,500円の味はしました。また行きたいとも思います。ただ、タイムアウトマーケットに行くのが難しいのは事実。もともと梅田駅周辺の地下は迷路でしたが、再開発で大変なことになっています。それを楽しもうというのであれば悪くありません。が、日差しや雨を避けて行こうとすると難しいです。正しい経路がわかっていれば、距離的には全然大したことはないのですが。また、このタイムアウトマーケットを取り巻くように、食べ物屋がたくさんありました。同じくらいの値段のする鮨とかお好み焼きとか焼き鳥屋とか。そちらのほうもカジュアルな店構えで結構にぎわっていました。これらの店も探検しなくてはいけませんね。そういえば、内科外来で隣の診察室にいる先生が学会を主催していましたが、その会場がグラングリーン大阪でした。ホームページの会長あいさつには「大阪の新名所を楽しんでください」とありましたが、そのとおりだと思います。学会場を探している先生方、この辺りも有力候補ですよ。ということで、大阪での学会に参加したら、ぜひ時間を見つけて再開発エリアに足を運んでみてください。最後に1句 梅雨入りの ダンジョン歩き 汗をかく

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アトピーは学業成績に影響するか

 アトピー性皮膚炎(AD)は、睡眠障害や併存疾患、あるいは心理社会的影響により学業成績を低下させる可能性があるが、集団ベースの縦断的研究によるエビデンスは限られている。英国・London School of Hygiene & Tropical MedicineのRita J. Iskandar氏らは、デンマークおよび英国の小児約78万人を対象とした並行コホート研究において、ADは学業成績の低下と関連するか、またその関連は疾患表現型や社会経済的背景によって異なるかどうかを検討した。JAMA Dermatology誌オンライン版2026年4月8日号掲載の報告。 本研究は、デンマークおよび英国における、ADを有する小児および有さない小児を対象とした集団ベースの並行コホート研究。デンマークでは、全国的なレジストリから1986~2000年に出生した小児を抽出し、2018年まで追跡調査を行った。英国では、Avon親子縦断研究(ALSPAC)から得られた1991~92年に出生した小児データを、国立生徒データベース(National Pupil Database)と連携させ、2009年まで追跡調査を行った。データ解析は2022年10月~2024年4月に実施された。 ADは、13歳未満での診断(デンマーク)または11.5歳までの母親から2回以上のADの報告(イングランド)と定義した。デンマークの分析では、遺伝的因子を考慮するため、AD罹患状況が異なり両親を同じくする兄弟姉妹を対象とした反復解析を実施した。 主要評価項目は、16歳時の義務教育修了時の全国統一試験における不合格の成績(2値アウトカム;ポアソン回帰による割合比)および平均学業成績スコア(連続アウトカム;線形回帰による平均差)であった。 主な結果は以下のとおり。・両研究を合わせて、計78万2,837人の小児が対象となった。・デンマーク(n=77万6,214人、AD患者1万259人、女児38万6,408人[49.8%])では、AD患者と非AD患者の間で、不合格率(12.0%vs.11.2%、調整割合比[aPR]:1.06、95%信頼区間[CI]:1.01~1.12)および平均学業成績(調整平均差:-0.06ポイント、95%CI:-0.11~-0.01)に差は認められなかった。・活動性AD患者では、非AD患者と比較して不合格率の高さとの関連がみられた(aPR:1.19、95% CI:1.03~1.37)。・兄弟姉妹間における解析でも同様の結果が得られた。・イングランド(n=6,623人、AD患者2,967人、女児3,332人[50.3%])では、AD患者は非AD患者に比べて、不合格率がわずかに低く(37.7%vs.47.4%、aPR:0.88、95%CI:0.83~0.93)、平均学業成績が高かった(調整平均差:10.48ポイント、95%CI:6.49~13.86)。・表現型分析によると、中等度-寛解型(moderate-declining)および中等度-頻発型(moderate-frequent)AD患者の成績が優れることがこれらの結果を主に説明しており、軽度-間欠型(mild-intermittent)または重度-頻発型(severe-frequent)AD患者の成績は、非AD患者または症状のほとんどないAD患者と同程度であった。・全体として、学業成績について、表現型や社会経済的背景による一貫した差異はみられなかった。 著者らは、「2つの大規模コホートにおけるトライアンギュレーション(triangulation)アプローチによる検討と多重解析により、ADは義務教育修了時の全国統一試験における学業成績の著しい低下とは関連がない可能性が高いことが示された」とし、「本結果はADを有する小児やその家族、教員や臨床医にとって安心材料となるもの」とまとめている。

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小児のアトピー性皮膚炎、確実な予防方法はないが治療の選択肢は豊富

 小児のアトピー性皮膚炎の発症を予防するために親ができることは極めて少ないことが、新たなガイドラインで示された。特別な食事療法、入浴を控えること、母乳育児、プロバイオティクスのサプリメントといった広く知られている対策が小児のアトピー性皮膚炎の予防に有効であることを示すエビデンスは見つからなかったという。一方、既にアトピー性皮膚炎を発症している小児には、皮膚のかゆみを和らげるための効果的な治療法が多くあるとしている。米国皮膚科学会(AAD)が作成したこのガイドラインは、「Journal of the American Academy of Dermatology」に4月7日掲載された。 AADによると、これは同学会が発表した初めての小児のアトピー性皮膚炎に関するガイドラインであるという。AAD会長のMurad Alam氏は、「アトピー性皮膚炎に罹患している小児は極めて多いが、症状の現れ方や経過は必ずしも成人と同じではない。アトピー性皮膚炎は小児や家族の生活の質(QOL)を低下させる可能性があるため、最善の治療が確実に行われるようにするためには、小児に特化したガイドラインが必要である」とニュースリリースで述べている。 ガイドラインを作成した研究グループが既存の医学的エビデンスを検討した結果、小児のアトピー性皮膚炎の発症を予防できる真に有効な方法はないとの結論に至った。ただし、保湿剤のみは生後6カ月~3歳の小児のアトピー性皮膚炎の発症を減少させるという目的で「条件付き推奨」の治療法として位置付けられた。条件付き推奨は、その治療法のベネフィットとリスクが拮抗している場合に示される。一方、食事療法や入浴を控えること、ビタミンDやプロバイオティクスのサプリメント、離乳食の早期導入、母乳育児、硬水の軟化、ダニなどのアレルゲンへの曝露を減らすといった他の予防法に関しては、十分なエビデンスがないと結論付けられた。 一方で、小児のアトピー性皮膚炎の治療に関しては、多くの治療法が「強い推奨」として位置付けられた。有効性が明らかにされている治療法には以下が含まれる。・皮膚の乾燥やかゆみの軽減を目的とした保湿剤・再燃時の第一選択薬となるステロイド外用薬・再燃の管理を目的としたカルシニューリン阻害外用薬(pimecrolimus〔国内未承認〕またはタクロリムス軟膏)・かゆみ軽減と再燃頻度の抑制を目的としたホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(crisaborole軟膏、roflumilastクリーム〔いずれも国内未承認〕)・軽症~中等症の患者の乾燥やかゆみの重症度の軽減を目的とした外用ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬(ルキソリチニブクリーム〔日本ではアトピー性皮膚炎に対する適応は未承認〕、タピナロフクリーム)・軽症〜重症患者における炎症軽減、皮膚バリア機能の改善、乾燥やかゆみを伴う皮膚症状の軽減を目的とした局所用アリル炭化水素受容体(AhR)アゴニスト(タピナロフクリーム)・中等症~重症の患者の症状の重症度低下、再燃の減少、かゆみの軽減を目的としたモノクローナル抗体(デュピルマブ、トラロキヌマブ、レブリキズマブ、ネモリズマブ〔外用薬と併用〕)・中等症~重症の患者の症状の重症度低下、かゆみの軽減を目的としたJAK阻害薬(ウパダシチニブ、アブロシチニブ、バリシチニブ) ガイドラインではまた、入浴、ウェットラップ療法、光線療法についても小児のアトピー性皮膚炎の治療法として条件付きで推奨している。一方で、ステロイドの経口薬や注射薬の使用については急激で重度の再燃が見られた患者に限定すべきであり、長期的には使用しないことを強く推奨するとされている。さらに、外用抗菌薬の使用や薬剤と光線療法を組み合わせたPUVA療法についても実施しないことが条件付きで推奨された。 AADのアトピー性皮膚炎ガイドライン作業部会の共同委員長であるDawn Davis氏は、「このガイドラインは、患者やケア提供者、そして医学会を教育し、彼らを支援することで、アトピー性皮膚炎の小児ができる限り最善の治療を受けられるようにするために作成された。早期からの積極的な介入によって、患者やその家族は症状やQOLの改善が期待できる」と述べている。

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若年成人期の過敏性腸症候群のリスク因子を特定

 16歳時に過敏性腸症候群(IBS)を有することは、24歳時にIBSを有することを予測する最も強いリスク因子であり、16歳時にIBSであった人の33.6%は24歳時でも診断基準を満たすとする研究結果が、「Gastroenterology」に1月30日掲載された。 ヨーテボリ大学(スウェーデン)サールグレンスカアカデミーのJessica Sjölund氏らは、1990年代半ばに出生した4,089人を若年成人期まで追跡したスウェーデンのBAMSE出生コホートのデータを用い、24歳時のIBSの有無に関連する思春期のリスク因子、および16歳から24歳にかけてのIBSの持続に関連する因子を検討した。曝露因子の大半は16歳時に評価されていた。 対象者2,539人のデータを解析した結果、24歳時のIBS有病率は10.0%であり、女性であること、知覚ストレスの高値、アトピー性皮膚炎、片頭痛またはうつ病の既往、健康関連QOLの低値がIBSと関連していた。16歳時のIBSは、24歳時のIBSに対する最も強いリスク因子であった。また、機能性腹痛、自己評価による心理的苦痛および全般的な健康状態不良、食物過敏、短い睡眠時間も、成人期のIBSのオッズ上昇と関連していた。16歳時にIBSであった人のうち33.6%が、24歳時においてもIBSの診断基準を満たしていた。IBSの持続と強く関連していた因子は親のIBS症状であり、それ以外の因子は統計学的に有意ではなかった。 Sjölund氏は、「思春期のIBSは固定した状態ではないことが示された」と述べている。 なお、複数の著者がバイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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診断エラーを防ぐ-小児科の落とし穴

迷いのない診断、日常診療に潜む誤診の回避体験を読んで積み上げる臨床は知識と経験に基づく連続したタスクであり、状況によって変化する。そのため正確な診断には常に誤診のリスクが付きまとう。本書は国立成育医療研究センターの医師60人が総力を挙げて執筆。診断エラーを回避するため、コミュニケーション技術に基づく問診、身体診察、検査、家族説明、鑑別疾患、診断のステップを通して、落とし穴の回避術をシステマティックに展開。収載された、教科書では得られないニアミス症例、ピットフォール症例が心に刻み込まれる。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する診断エラーを防ぐ-小児科の落とし穴定価4,400円(税込)判型A5判(並製)頁数296頁発行2026年3月編集窪田 満(国立成育医療研究センター)/永井 章(国立成育医療研究センター)ご購入はこちらご購入はこちら

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桂枝湯の派生処方 生薬の±で方剤を覚える【Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬】第5回

桂枝湯の派生処方 生薬の±で方剤を覚える前回 、桂枝湯(けいしとう)が麻黄湯(まおうとう)や葛根湯(かっこんとう)に比べて虚証向きの漢方薬で、お腹に優しいということを述べました。その理由としては、桂枝湯には麻黄(まおう)が含まれていないこと、代わりに芍薬(しゃくやく)、大棗(たいそう)、生姜(しょうきょう)といった胃腸の調子を整える生薬が含まれていることが関係しているのでした(図1)。今回は、この話を芍薬、あるいは芍薬と甘草(かんぞう)のコンビに着目して掘り下げていこうと思います。図1 桂枝湯の構成生薬画像を拡大する桂枝湯±芍薬芍薬が入っている桂枝湯がお腹に優しいということは、芍薬を「もっと」増やすとお腹にも「もっと」優しくなりそうですよね。では、桂枝湯を芍薬マシマシにしてみましょう。すると、桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)ができあがります。これは、過敏性腸症候群で腹痛と下痢に悩まされている患者に使うといい薬です。しかし、過敏性腸症候群は下痢型だけではありません。便秘型もありますよね。そうしたら、センノシドを含む生薬をブレンドすればいいのです。大黄(だいおう)という生薬がちょうどセンノシドを含むため、桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)を使えばいいという話になるわけです。逆に、桂枝湯から芍薬を抜いてくるとどうなるか。すると、桂枝去芍薬湯(けいしきょしゃくやくとう)という漢方薬になります。これは、お腹への優しさが減る代わりに、胸に優しくなります。感冒の患者の中には、肺炎や痰詰まりがなくても、胸が苦しいという方がたまにいらっしゃいますよね。そういった患者には、桂枝去芍薬湯が効いてきます。もっとも、桂枝去芍薬湯はエキス製剤がないので、実臨床で使うのにはハードルが高いという問題があります。桂枝去芍薬湯のニュアンスを丸ごと含む漢方薬としては、炙甘草湯(しゃかんぞうとう)という漢方薬があって、これはちょうど「東洋の抗不整脈薬」に相当するもので、動悸・息切れに効く漢方薬なんですね。やはり胸に優しいという話になってくるわけです。ここまでを図2にまとめます。図2 桂枝湯±芍薬に派生する漢方薬画像を拡大する建中湯シリーズの派生いったん話題を戻して、桂枝加芍薬湯まで戻ってきましょう。漢方薬の味が苦手だという患者もいると思います。そのような場合は、桂枝加芍薬湯に水飴を加えてやると、子供にも飲みやすい漢方薬ができると思いませんか。そこで、桂枝加芍薬湯に水飴、厳密には膠飴(こうい)という生薬ですが、これを入れてしまいます。そうすると、なんと小建中湯(しょうけんちゅうとう)ができあがります。これは、虚弱体質の小児が体調不良になった時に使う薬です。体調不良でエネルギー不足なので、お腹に優しい漢方薬と飴から得られるエネルギーで消化管から体調をたて直そうというコンセプトの漢方薬です(図3)。図3 小建中湯への派生画像を拡大するさらにさらに! 小建中湯からいわゆる「建中湯」シリーズを派生させることができます。たとえば、小建中湯から飴を抜いて、補血作用のある当帰(とうき)を加えると、当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)になって、消化管だけでなく女性器由来の腹痛にも対応しやすくなります(図4)。図4 当帰建中湯への派生画像を拡大するまた、小建中湯に黄耆(おうぎ)というお肌を引き締めてくれる生薬を加えると、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)になって、虚弱体質の小児で寝汗がひどい場合や、アトピー性皮膚炎に悩まされている場合に対応できる漢方薬になります(図5)。図5 黄耆建中湯への派生画像を拡大する大建中湯(だいけんちゅうとう)は小建中湯と生薬の組み合わせが大きく異なるため(図6)、そこだけ注意していただきたいのですが、このように、生薬に着目することで建中湯シリーズを一気にたくさんインプットすることができるのです。この勉強法は知っておいて損はないかと思います。図6 小建中湯と大建中湯の構成生薬画像を拡大するまとめ桂枝湯は芍薬など胃腸を整える生薬が複数含まれていて、この部分を強化すると漢方薬の派生形を生み出すことができます。たとえば、胃腸を整える生薬のひとつとして芍薬がありますが、芍薬を桂枝湯に加えることで、いわゆる建中湯と呼ばれる漢方薬のグループを生み出すことができます。生薬を足し引きすることで、漢方薬を芋づる式にインプットする。これも漢方上達の近道だと個人的には考えています。次回は、小柴胡湯を取り上げ、感冒の初期段階が終わった後の漢方治療のお話をします。お楽しみに!

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貧血を伴わない鉄欠乏は、中等度~重度のアトピー性皮膚炎で高頻度に認められる

 中等度~重度のアトピー性皮膚炎(AD)では、貧血を伴わない鉄欠乏が高頻度に認められるとする研究結果が、「Nutrients」に11月28日掲載された。 ヴロツワフ医科大学(ポーランド)のMalgorzata Ponikowska氏らは、AD患者における鉄代謝の状態を評価し、疾患重症度および生活の質(QOL)との関連を検討した。解析対象は、中等症~重症のAD成人患者86人であった。 解析の結果、ヘモグロビン値は概ね正常であるにもかかわらず、鉄欠乏を示す鉄バイオマーカーの異常が、AD患者に多く認められた。具体的には、患者の45%はトランスフェリン飽和度が低く(Tsat 20%未満)、37%はフェリチン値が低く、26%は血清鉄が低値であった。さらに、高感度C反応性蛋白5mg/L超で定義される炎症性活性化が認められる患者では、血清鉄およびTsatの低下、可溶性トランスフェリン受容体の上昇を特徴とするパターンが認められた。多変量解析において、血清鉄の低下は皮膚疾患に関連したQOL評価(Dermatology Life Quality Index;DLQI)のスコア悪化と独立して関連していた。また、トランスフェリン高値は、湿疹面積・重症度指数(Eczema Area and Severity Index;EASI)およびアトピー性皮膚炎重症度評価(SCORing Atopic Dermatitis;SCORAD)で測定した疾患重症度の増大と関連した。 著者らは、「本研究により、鉄代謝の調節異常すなわち鉄欠乏が、ADにおける全身性の特徴として高頻度に認められることが示された。これらの異常は疾患重症度やQOL低下と関連しており、鉄代謝の変化はADの臨床像に関連する修正可能な全身性因子である可能性がある。今後の研究では、鉄欠乏を標的とした介入が患者のアウトカムを改善し得るかどうか検討する必要がある」と述べている。

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