サイト内検索|page:25

検索結果 合計:546件 表示位置:481 - 500

481.

花粉症の診療ガイドライン・検査に関するアンケート結果

対象ケアネット会員の医師 耳鼻咽喉科87名、内科541名方法インターネット調査実施期間2012年12月4日~12月11日Q1花粉症診療を行う際に「鼻アレルギー診療ガイドライン」を参考にしていますか?Q2花粉症診断の際、どの検査を実施していますか?(複数回答)2012年12月ケアネット調べ

482.

【寄稿】トピックス「舌下免疫療法」

概説花粉症を含むアレルギー性鼻炎はI型アレルギーであり、その治療の基本はアレルゲンの除去、回避である。しかし完全に行うことは不可能であり、エビデンスも少なくARIA(Allergic Rhinitis and its Impact on Asthma)ガイドラインでは推奨度Dである1)。このため、抗原特異的治療としてアレルゲン免疫療法(SCIT)が唯一、アレルギー疾患に対する根本的な治療法であり、治癒させうる治療法である。SCITは1911年にNoonが初めて行って以来2)、現在まで続いている。国際的にSCITはアレルギー専門医になくてはならない治療法であり、高い効果が示されている。しかし、アナフィラキシーをはじめとする種々の全身的副作用のため、本邦では一般的治療法にはなっていないのが現状である。このSCITの副作用を減少させるため、欧米では抗原投与ルートを変更させた代替免疫療法(局所アレルゲン免疫療法)がかなり以前より行われている。その中で最も注目を浴びているのが舌下免疫療法(SLIT)であり、1990年に初めてTariらによって報告された3)。日本では2000年より日本医科大学耳鼻咽喉科により臨床試験が行われ、2010年からスギ花粉症に対し、2012年からダニ通年性アレルギー性鼻炎、喘息に対して開発治験が始められた。理論・機序SLITの効果発現機序では局所の免疫誘導が最も考えやすいが、現在まで効果発現機序の検討は少ない。1999年のSLIT開始早期での末梢血単核細胞(PBMC)の活性化は、少なくとも舌下した抗原の免疫誘導が全身に生じたことを示している。またSCITでの報告と同じく、全身性の制御性T 細胞がその有効性を左右していると考えられている4)。現在まで千葉大学のグループのスギ花粉症に対する臨床効果もほぼ同等であるが、効果発現機序としてスギ特異的T細胞クローンの減少を報告している5)。また、日本医科大学と三重大学グループの試験では、SLITにおいても誘導性制御性T細胞Tr1が誘導され、SLITの効果発現機序の根幹であることが示唆された6)。今後、症例数を増加させた同様の検討あるいは局所リンパ節などの検討から、SLITの効果発現機序をさらに明らかにしなければならない。実際の方法・手技・対象1 SLITの方法国際的な報告を受け、日本特有のスギ花粉症に対してSLITを適応させるべく、2000年より日本医科大学倫理委員会の承認を受け、SLITをスギ花粉症患者に対して行った7)。2 投与スケジュール投与スケジュールは、1週目から4週目までは毎日、5週目では最高濃度20滴を1週間のうち2回、6週目以降は季節を通じて1週間に1回、抗原エキス2,000 JAU/mLを20滴舌下に投薬した(表1)。これは国際的に初めてSLITを開始したフランスのStallergenesの液剤プロトコールであり、当時としては標準的なものである。しかし、現在治験が行われているスギ花粉症に対するSLIT治験TO-194SLでは開始濃度は200JAU/mLであり、また投与は最後まで毎日行うスケジュールとなっている。表1 抗原エキス舌下投与スケジュール画像を拡大する成績および長期予後<スギ花粉症に対するSLITの効果>2005年には、スギ・ヒノキ花粉飛散は約12,000個/cm2/シーズンと大量飛散の年であった。今までのランダム化されていない比較研究ではなく、エビデンスの作成として56症例(実薬35症例、プラセボ21症例)でのプラセボ対照の二重盲検比較試験(RCT)を行った。今までの薬物療法との比較研究では、症状スコアではSLITは薬物療法と有意差がなかったが、症状薬物スコアではSLIT群が有意に低く、薬物療法より効果を示していた。2005年のRCTでは、国際的な評価を得ているSLITがスギ花粉症においてもプラセボより有意に症状スコア(図1)、QOLスコア(図2)を下げたことが示された8)。図1 症状スコアの推移画像を拡大する図2 QOLスコアの変化画像を拡大する長期予後はまだまだデータが少ないが、施行後3年の症状軽快を示すデータ、他の抗原感作を抑制するというSCITと同じようなデータが出つつある9)。今後、さらに長期予後のデータを収集しなければならない。注意事項副作用は少数であるが確認された。もちろん、重篤なアナフィラキシーや喘息発作はないが、抗原投与時の舌や口腔の痒み・しびれ感、鼻汁増加、皮膚の痒み、蕁麻疹が合わせて10%程度の頻度で認められた(図3)。また口腔底の腫脹は通常では認められない高度のものも存在し、その場合の施行継続/休止/停止などの決定にはアレルギー診療での対処が求められる。今回の症例数は少なく絶対的な安全性の根拠にはならないが、過去の国際的な報告も併せ、注射との実際的な関係を考えても高度な副作用は少ないことが示唆される。図3 口腔底の腫脹展望と今後の方向性欧米ではすでにこの舌下免疫療法が一般的な治療となっていて、フランスのStallergenes、デンマークのALK ABELLOなどすでに製剤としてのSLIT製品があり、その一般臨床への応用が各国で始まっている。日本における開発は、日本アレルギー学会の「アレルゲンと免疫療法専門部会」(部会長:増山敬祐)のもとで始まっている。日本での抗原製品の作成としては、先に述べたスギ花粉症に対する舌下用抗原エキスの開発が鳥居薬品により進められ、評価最終年が2012年であった。薬価収載は2013年秋以降になると予想されている(編集部注:2012年12月25日承認申請)。また、検討会でも海外での製材導入が検討されたが、StallergenesとALK ABELLOの舌下用ダニ抗原エキスが日本企業と連携し、開発を進めることが決定され、臨床試験が2012年秋から開始される予定である。日本ではまだまだ施行例が少なく、重篤な副作用はないが、施行にあたってはアレルギー学、免疫学の知識が不可欠であり、使用を試みる医師に対しての勉強会・講習会などの開催が必要だと考える。引用文献1) ARIA Workshop Group. A Allergy Clin Immunol. 2001;108:s147-s334.2)Noon L. Lancet. 1911;1:1572-1574.3)Tari MG, et al. Allergol Immunopathol (Madr). 1990;18:277-284.4)Ciprandi G, et al. Allergy Asthma Proc. 2007;28:574-577.5)Horiguchi S, et al. Int Arch Allergy Immunol. 2008;146:76-84.6)Yamanaka K, et al. J Allergy Clin Immunol. 2009;124:842-845.7)Gotoh M, et al. Allergol Int. 2005;54:167-171.8)Okubo K, et al. Allergol Int. 2008;57:265-275.9)Di Rienzo V, et al. Clin Exp Allergy. 2003;33:206-210.

483.

聖路加GENERAL【Dr.衛藤の皮膚科疾患アーカイブ】(上巻)

第1回「蕁麻疹」第2回「アトピー性皮膚炎」第3回「痛い皮膚疾患①-感染症-」第4回「痛い皮膚疾患②-炎症-」 第1回「蕁麻疹」皮膚疾患は“痒い”“痛い”“症状がない”のどれかに分類されますが、「蕁麻疹」や「アトピー性皮膚炎」には日常診療でよく遭遇する反面、専門医でないと鑑別の難しい、一見症状が似ている重症疾患が隠れている場合があり、それらを見分けることが重要になります。豊富な症例をとおして、蕁麻疹アトピー性皮膚炎と重症疾患との見分け方、診断と治療、ステロイド等薬剤の使い方、専門医へ送る判断基準などを解説します。最初の症例は、仕事が忙しく、数ヶ月寝不足が続いている32歳の女性。全身に瘙痒性皮疹が出現。蕁麻疹の原因は、ストレス、疲労、物理的な刺激など、非アレルギー性の因子によるものが多いことがわかっています。蕁麻疹は、マスト細胞がなんらかの刺激によりヒスタミンを出すことで発症します。なにがその刺激の原因になるのか、またそのヒスタミンによってどのような症状として現れるかはさまざまです。急性のもの、皮膚描記症、薬剤性蕁麻疹蕁麻疹様血管炎などについて、具体的な症例を提示しながら紹介します。また、近年話題になった茶のしずく石鹸による小麦アレルギーについても解説します。第2回「アトピー性皮膚炎」アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下することで発症すると考えられています。近年、そのバリア機能に関係するタンパク質として、フィラグリンが注目されています。また、症状の程度を表す指標として、最近用いられるようになったTARC検査について紹介します。アトピー性皮膚炎の中には、バリア機能が正常なものもあります。また、治療に使うステロイド薬が原因で皮膚炎を起こすようなケースもあります。他に、類似した痒い疾患として、小児にみられる脂漏性皮膚炎、疥癬や、菌状息肉症などの怖い疾患との鑑別についても解説します。また、ステロイド軟膏の塗り方など基本的なことについても紹介します。第3回「痛い皮膚疾患①-感染症-」今回から「痛い」疾患について解説します。痛い皮膚疾患は、まず感染症を考えます。最初の症例は、38歳の男性。毎年夏になると趾間がじくじくして痒いという症状がありましたが、ずっと放置していました。ゴルフに行った翌日、足背が腫れて熱を持ち、痛くなってきたため受診しました。発熱もあることから感染症を疑い検査した結果、水虫から二次感染を起こした蜂巣炎であることがわかりました。足の水虫は万病の元と言われているように、水虫が原因でさまざまな疾患を発症することがあるので、要注意です。他にも、歯磨きから感染することなどもあります。更に、もっと重度な壊死性筋膜炎やうっ滞性皮膚炎などについて、具体的な症例を提示しながら詳しく解説します。第4回「痛い皮膚疾患②-炎症-」今回は炎症性のものを見ていきます。最初の症例は40歳女性。一週間前から誘因なく右腋窩に痛みと鶏卵大の紅班が出現し、受診しました。全身症状としては倦怠感と軽い発熱があり、病歴をとっていくと潰瘍性大腸炎にて治療中ということで、この方はSweet病と診断されました。最近では炎症性腸炎に伴うSweet病も増えています。痛い発疹で明らかな感染が見られなかったり結節性紅班にも当てはまらない場合に考えたい病気の一つであり、重い内臓疾患を合併する場合もあるので、注意が必要です。他にも見落としてはならない結節性紅班や血管炎の診断のポイントや、軽視してはならない重症薬疹について詳しく解説していきます。

484.

アレルギー性接触皮膚炎はアトピー性皮膚炎と併存しやすい可能性

 より低年齢(0~5歳)の子どもほど、パッチテストでよくあるハプテンに対して陽性反応を示す割合が高率であり、またアレルギー性接触皮膚炎はアトピー性皮膚炎と併存しやすい可能性があることが明らかにされた。イタリア・ヴェローナ大学のDonatella Schena氏らが、小児のアレルギー性接触皮膚炎について、アトピー性皮膚炎の有無別に調査を行い報告した。Dermatitis誌2012年11月号の掲載報告。 著者は、「小児のアレルギー性接触皮膚炎の有病率や原因は、時代や地域性により異なるものである」としたうえで、小児のアレルギー性接触皮膚炎のアレルゲンを調べ、アレルギー性接触皮膚炎とアトピー性皮膚炎との関連についても調べた。 7年間にわたって小児349例(0~15歳)にパッチテストを行うコホート研究を実施した。 主な結果は以下のとおり。・パッチテストの結果、69.3%が1つ以上のアレルゲンに対して陽性反応を示した。69.8%で関連アレルゲンが認められた。・感作ありの割合が最も高率であったのは0~5歳児(86例、女子64%)の76.7%であった。次いで、6~10歳児(70%、157例、女子47.8%)であり、11~15歳(106例、女子59.4%)では62.3%であった。・最もよくみられたアレルゲンは、ニッケル(16.3%)であり、コバルト(6.9%)、Kathon CG(5.4%)、重クロム酸カリウム(5.1%)、フレグランスミックス(4.3%)、ネオマイシン(4.3%)と続いた。・大半の発症は、上肢と手(31%)で認められた。・被験児の約3分の1には、アトピー性皮膚炎もあった。・アレルギー性接触皮膚炎は、アトピー性皮膚炎のある小児でより多く認められた。・パッチテスト陽性は、アトピー性皮膚炎のある子どもでは55.3%(関連アレルゲン50%)であり、アトピー性皮膚炎のない子どもでは76.9%(同77.5%)であった。・感作性物質は、アトピー性皮膚炎のない子どもでもみられるものであった。

485.

ヒスタミンは皮膚バリア機能を障害する? 顆粒層や角質層が50%減少

 ヒスタミンは、表皮ケラチノサイト分化を抑制し、皮膚バリア機能を障害するという新たなメカニズムが、ドイツ・ハノーバー医科大学のM. Gschwandtner氏らが行ったヒト皮膚モデルを用いた検討により示唆された。ケラチノサイト分化や皮膚バリアの障害は、アトピー性皮膚炎のような炎症性皮膚疾患の重大な特徴である。研究グループは、マスト細胞とその主要なメディエーターであるヒスタミンが炎症を起こした皮膚細胞に豊富に認められることから、それらが病因に関与している可能性について検討した。Allergy誌2013年1月号(オンライン版2012年11月15日号)の掲載報告。 研究グループは、ヒトの主要ケラチノサイトを、ヒスタミンの有無別による分化の促進状態下で、またヒスタミン受容体作動薬と拮抗薬による分化の促進状態下で培養した。そのうえで、分化に関連する遺伝子および表皮接合タンパク質の発現を、リアルタイムPCR、ウエスタンブロット、免疫蛍光検査ラベリングにより定量化した。 ヒトの皮膚モデルのバリア機能については、ビオチンをトレーサー分子として調べた。 主な結果は以下のとおり。・ヒトケラチノサイト培養組織および器官型皮膚モデルへのヒスタミン追加により、分化関連タンパク質ケラチン1/10、フィラグリン、ロリクリンの発現が、80~95%低下した。・さらに、皮膚モデルへのヒスタミンの追加により、50%の顆粒層の減少、および表皮と角質層の希薄化がみられた。・ヒスタミン受容体H1R作動薬2-pyridylethylamineのケラチノサイト分化の抑制は、ヒスタミンと匹敵するものであった。・同様に、ヒスタミン受容体H1R拮抗薬セチリジンは、ヒスタミンの作用を実質的に排除した。・タイトジャンクションタンパク質(TJP)のzona occludens-1、occludin、claudin-1、claudin-4)、およびデスモソーム結合タンパク質のcorneodesmosin、desmoglein-1はともに、ヒスタミンによって減少した。・トレーサー分子のビオチンは、ヒスタミンの発現が大きかった培養皮膚バリアのタイトジャンクションを容易に通過した。しかし、無処置のコントロール部分では完全に遮断された。

486.

【アンケート】アトピー性皮膚炎患者さんの治療意欲は?その4

患者対象:軽症から重症のアトピー性皮膚炎で現在も治療中の患者100名方法:インターネット調査 実施時期:2012年8月【患者さんへのアンケート】Qなぜ、ステロイド外用薬をきちんと塗らないのですか。(いくつでも)(その他の理由)≪ケアネット編集後記≫今回は、医師の指示への遵守度が100% ではなく、さらにステロイド外用薬を使用していた患者さんに、なぜ、指示を守れなかったかの理由を聞いた結果をお示しします。約3割が『治ったと思ったから』『塗り薬の感触が気になる』と回答しています。ちなみに、『塗り薬への不信感』は13.0%でした。先生はこの結果に関してどう思われますか?

487.

明解!Dr.浅岡の楽しく漢方

乾燥肌には辛い季節そろそろ更年期かしら・・・鼻水が止まらない 乾燥肌には辛い季節「便秘が解消したらニキビも良くなった」「せっかく調子の良かったアトピー性皮膚炎が、不規則な生活で悪化してしまった」などは、よくあること。肌は内臓の鏡といわれるように、からだ全体の不調や気候が原因で皮膚症状が悪化する患者さんは多いものです。皮膚症状はとても治療の難しい分野であり、漢方の処方においても様々な処方が用意されています。木枯らしが吹いて空気が乾燥する季節。冬になって増えるのは皮膚の乾燥によるトラブル。お年寄りの掻痒症やアトピー性皮膚炎の悩みを、漢方ではどのように解決するのでしょう?そろそろ更年期かしら・・・のぼせ、イライラ、鬱傾向、月経不順、めまい…。中年女性にとってとても辛い更年期障害は、西洋医学的には「ホルモンの異常」としてとらえられています。「不定愁訴」といわれるこれらの症状はその名のとおり発現や症状が不定であり、治療がなかなか難しいところではないでしょうか。しかしこれまで学習してきた「東洋医学のものさし」、具体的には「気逆」「気鬱」などの「気」の異常、或いは「血」の異常、「水」の異常、といった「気・血・水」の概念を使って分析してみると、これらの症状はとてもわかりやすいのです。診断がつけば各々の症状に効く生薬から処方を選択することができます。鼻水が止まらない春の国民病とも言われるアレルギー性鼻炎、花粉症。漢方では小青竜湯がとても有名です。もしかすると「小青竜湯は花粉症の薬」と思われている先生方も多いかもしれません。ところが、それは間違いです。漢方は疾患名に対して薬を選択するのではなく「患者さんの状態」と「構成生薬の作用」で処方を選択することはこれまでの回でも出てきました。それでは、小青竜湯が効かない患者さんに対して一体どうすれば良い?ということになってしまいます。“この薬が花粉症にも用いられるの!?”と感じる意外で、目からウロコが落ちるような処方があるかもしれません。

488.

Dr.岡田のアレルギー疾患大原則

第8回「喘息(前編)」第9回「喘息(後編)」第10回「アトピー性皮膚炎」第11回「じん麻疹・血管性浮腫・接触性皮膚炎」 第8回「喘息(前編)」喘息の基本は、慢性の気道炎症→気道過敏症→気道狭窄→喘息発作。長期コントロールは気道炎症を抑える抗炎症剤、発作が起こってしまったら炎症がおさまるまでとりあえず気管支拡張剤で呼吸を維持するのは常識ですが、炎症を抑えるためにステップアップすることばかりでなく、副作用も無視できません。そこで、もう一歩奥に踏み込んで、アレルギー、鼻炎、GERDなどを含めた慢性炎症の原因について考えていきます。 前編では、いつもの外来ですぐに役立つ、毎回聞く6つの質問、ピークフローがどうして必須なのか、GINA2006、JGL2006の具体的な利用法、ロイコトリエン抑制剤の効果が得られやすい患者群と吸入性ステロイドを使うべき患者の特徴などを解説します。第9回「喘息(後編)」喘息の長期コントロールには気道炎症を抑える抗炎症剤を用います。しかし、患者さんから「ステロイドはちょっと…」と言われたときはどうしていますか? また折角処方しても実際使ってもらえないのでは意味がありません。後編では、吸入ステロイドの副作用に関してデータを一つひとつ示しながら、医師も患者も納得して使えるように詳しく説明していきます。 さらに、抗ロイコトリエン剤が有効な症例の選び方、アスピリン喘息の解説、喘息治療の落とし穴=Vocal Cord Dysfunctionの症例呈示に加えて、ヨーロッパで常識になってきているシングルインヘーラー療法まで紹介します。第10回「アトピー性皮膚炎」ステロイドクリームの強さの分類が、アメリカと日本とフランスでは全く違うことをご存じでしょうか。日本では5段階中2番目のベリーストロングに分類されている「フルメタ」が、アメリカでは7段階中4番目と、真ん中より下になります。このような例からも分類に固執して部位ごとに外用薬を何種類も処方したり、症状によって毎回種類を変えるのではなく、塗り方と回数を調節してみる方が効果があることがわかります。 今回は簡単なステロイドの使い方はもちろん、ワセリンが加湿剤ではなく保湿剤であることを認識した上での使い方、また、注意が必要な感染症であるとびひ、ヘルペス、真菌症などについて解説します。 できてしまったアトピーは、先ずシンプルに一度治してしまいましょう!第11回「じん麻疹・血管性浮腫・接触性皮膚炎」大人の慢性じん麻疹は、食物アレルギーに因る確率はわずか1%未満で、原因としては自己免疫、ストレス、感染症など様々な因子に関連していることが多いです。しかし、いつ、どこまで検索すればよいのか迷うことはないでしょうか。今回は、すべての原因を一つの図にして、患者さんが納得できる説明方法と実践的な治療法を紹介します。また、複雑な病態を診断する上で無意識に行っているパターン認識、Aphorism(定石集)、分析の考え方も整理します。 接触性皮膚炎は、アレルギー性と刺激性の区別を発症時間、症状、病態でひとつの表にすると鑑別が容易になります。数少ない実地臨床で高頻度に出会う「非I型(IV型)アレルギー=接触性皮膚炎」をマスターすれば、大原則の総仕上げです!

489.

ワクワク ! 臨床英会話

19.胸痛 20.高血圧 21.高脂血症22.花粉症 23.喘息  24.湿疹 25.意識障害 26.めまい 27.不眠  28.不正出血 29.妊娠30.性感染症 31.バイタルサイン32.採血 33.尿検査  34.禁煙外来35.退院指示書 36.処方箋 外来ですぐに使える英語表現が満載のシリーズ第2弾。胸が痛いとき、胸を押さえて訴える人もいれば、胃のあたりを押さえながら異常を訴える人もいる。めまいには目が回る場合とふらっとする場合、風邪の咳と喘息様の咳など、それぞれ違う英語の表現方法を知っていれば余裕を持って対応できるようになります。パペットたちと一緒に練習するコーナーも更にパワーアップ!楽しみながら自然な表現が身につきます。婦人科に限らず知っておきたい女性患者向けの表現や「日本人が間違えやすい医学英語」のワンポイントも多数紹介します。収録タイトル19. 胸痛 Chest Pain ~胸が痛くて息切れが…~20. 高血圧 Hypertension ~ストレスだらけの毎日で…~21. 高脂血症 Hyperlipidemia ~善玉、悪玉コレステロールって?~22. 花粉症 Hay Fever ~ツライ季節がやって来た~23. 喘息 Asthma ~咳が止まりません~24. 湿疹 Eczema ~痒い、かゆい、カユイ!~25. 意識障害 Confusion ~あなたのお名前は?~26. めまい Dizziness ~そのめまい、どんなめまい?~27. 不眠 Insomnia ~羊が?匹~28. 不正出血 Vaginal Bleeding ~検査、受けてますか?~29. 妊娠 Pregnancy-first prenatal visit ~コウノトリがやって来た!~30. 性感染症 STI ~つけ忘れのないように~31. バイタルサイン Vital Signs ~少し熱がありますね~32. 採血 Blood Test ~じっとしていてくださいね~33. 尿検査 Urine Test ~紙コップの1/3まで…~34. 禁煙外来 Smoking Cessation ~一日に何箱吸いますか?~35. 退院指示書 Discharge Instructions ~おだいじに!~36. 処方箋 Prescription ~その薬、どんな薬?~

490.

Hanifin & Rajka診断基準はゴールドスタンダードだがWilliams診断基準も非常に有用

 ポーランド・ワルシャワ医科大学皮膚科のZbigniew Samochocki氏らは、小児アトピー性皮膚炎の診断について、Hanifin & Rajka診断基準とWilliamsらによって簡略化修正された診断基準との比較を行った。その結果、Hanifin & Rajka診断基準がゴールドスタンダードであるが、Williams診断基準も4歳児以上では非常に有用であると報告した。小児アトピー性皮膚炎の診断をめぐっては多くの問題があり、Hanifin & Rajka診断基準は一般的に用いられているが、小児科医が日常診療で用いるのは難しいとされる。著者は、Williams診断基準は有用で、小児アトピー性皮膚炎で頻度の高い臨床症状をよく表現しているとして、診断基準の有効性を検討した。World Journal of Pediatrics誌2012年11月号掲載の報告。 試験は、250例の小児が参加し行われた。被験者は全員が臨床検査と、Hanifin & Rajka診断基準による診断とWilliams診断基準による診断を受けた。 主な結果は以下のとおり。・Hanifin & Rajka診断基準による診断で小児アトピー性皮膚炎と診断されたのは173例であった。そのうち153例は、Williams診断基準による診断でも小児アトピー性皮膚炎陽性であると診断された。・Hanifin & Rajka診断基準によって小児アトピー性皮膚炎と診断されなかったのは77例であった。そのうち4例は、Williams診断基準によって陽性であることが検出された。・疥癬と脂漏性皮膚炎であった4例の小児は、Williams診断基準によって小児アトピー性皮膚炎であるとの誤った診断を受けた。非定型病変部位と喘息あるいは花粉症の既往、乾皮症が誤りの要因であった。・Hanifin & Rajka診断基準はゴールドスタンダードであるが、Williams診断基準も4歳以上の小児では非常に有用である。・Williams診断基準が最も有用なのは、既往の特定病変部位と乾皮症既往があるかゆみの診断であり、小児アトピー性皮膚炎の検出感度は2~5歳の初発皮膚病変に対して年齢が上がるほど有意に増大した。

491.

【アンケート】アトピー性皮膚炎患者さんの治療意欲は?その3

医師対象:株式会社ケアネットの運営するwebサイトCareNet.com会員の皮膚科標榜医師方法:インターネット調査 実施時期:2012年6月~8月患者対象:軽症から重症のアトピー性皮膚炎で現在も治療中の患者100名方法:インターネット調査 実施時期:2012年8月【患者さんへのアンケート】Q処方された塗り薬を担当の医師の指示通りに塗っていますか。Qなぜ、指示通りに塗れなかったのでしょうか。(いくつでも)【皮膚科医師へのアンケート】Q先生が診ているアトピー性皮膚炎の患者さん(16歳以上)は、どの程度、先生の指示を守って薬剤を塗布していますか?Q患者さん(16歳以上)がステロイド外用剤やタクロリムス軟膏などの外用剤を自己判断で中止したり、塗る回数を減らしたりする理由で、今までに先生がご経験されたものについて、下記よりお選びください。≪ケアネット編集後記≫今回は、薬剤塗布に関する指示の遵守度と自己中断・減量の理由について示しました。患者さんは『100%守っている』と回答した人が16%だったのに対し、医師が『100%守ってくれている』と考えている割合は1.7%と、大きな認識の差があるようです。自己中断・減量の理由として、63.1%の患者さんが『症状が改善したと感じたため』と回答しています。一方で、医師に患者さんが自己中断する理由のうち、経験したことがあるものを聞いたところ、87.6%が『外用薬への不信感』を挙げました。ある程度見た目で症状が改善してもしばらくは薬剤の塗布が必要であることを患者さんに理解してもらうのは一筋縄ではいかないようです。先生はこの“ギャップ”に関してどう思われますか?

492.

平本式 皮膚科虎の巻

第1回「まずは、皮膚科診療の流れ」第2回「ステロイド外用剤で“湿疹”成敗 !」第3回「湿疹に擬する曲者を見破る ! その1」第4回「湿疹に擬する曲者を見破る ! その2」 第1回「まずは、皮膚科診療の流れ」まずは、内科における皮膚科診療の流れを振り返ります。皮膚疾患の患者さんにまずどうやって対応するか? 放置観察か、紹介か、治療か ? …治療するならステロイドを使う ? まずは診療所でするべきこと、してはいけないことを確認してください。第2回「ステロイド外用剤で“湿疹”成敗 !」「よくわからないけど、たぶん湿疹だろう。とりあえずステロイドと抗生剤の合剤を出しておこう」… こんな診断・治療をした経験はありませんか? あるいは「なんとなくステロイドを処方することをためらってしまう」という先生も多いのでは?ステロイド外用剤によってかえって症状が悪くなる疾患もありますが、皮膚炎症の多くに対して有効な武器となるのがこの薬剤。「本当に処方してよかったのだろうか、どうも自信がない」、こんな不安は今日からなくなります。尚、ステロイド外用剤が禁忌となる疾患については第3、4回で詳しくご紹介します。第3回「湿疹に擬する曲者を見破る! その1」 第4回「湿疹に擬する曲者を見破る! その2」前回までのお話で、表皮の炎症である湿疹には、ステロイドの使い分けで、診療所でも十分に対応できることがお分かりいただけたと思います。しかし、皮膚疾患の中にはステロイドを塗ってしまっては症状を悪化させてしまう、湿疹と紛らわしい症例も沢山あります。そこで今回から2回に渡り、ステロイドを禁忌とする疾患の見分け方を詳しく解説していきます。第3回では「ウィルスと細菌による疾患の見分け方」、第4回では「ムシとカビ」について解説します。平本先生が数十年かけて培った、現場での臨床技術。ほかのどんな教科書にも載っていない秘伝の技術を是非ご覧下さい !

494.

【アンケート】アトピー性皮膚炎患者さんの治療意欲は?その2

医師対象:株式会社ケアネットの運営するwebサイトCareNet.com会員の皮膚科標榜医師方法:インターネット調査 実施時期:2012年6月~8月患者対象:軽症から重症のアトピー性皮膚炎で現在も治療中の患者100名方法:インターネット調査 実施時期:2012年8月【患者さんへのアンケート】Q医師から、塗り薬の塗り方についてどのような説明を受けましたか。(いくつでも)【皮膚科医師へのアンケート】Q先生は、アトピー性皮膚炎の患者さん(16歳以上)に、薬剤の塗り方に関してどのような指導をしていますか?≪ケアネット編集後記≫今回は、薬剤の塗り方について患者さんと先生方にお伺いしたアンケート結果です。『口頭で、塗布量、回数、タイミング、塗り方などを説明し、その後スタッフが実践してみせる』という項目に対し、患者さんの受け止め方と先生方の受け止め方のギャップが伺えます。また、患者さんの回答を見てみると、「」何も説明されなかった』が7%でした。先生はこの“ギャップ”に関してどう思われますか?

495.

アトピー患児の急性副鼻腔炎に対する鼻洗浄の有効性

 鼻洗浄は副鼻腔疾患で補助治療として用いられているが、小児においては調査が十分ではなかった。台湾のWang氏らはアトピー患児の急性副鼻腔炎治療に対する鼻洗浄の有用性を検討し、副鼻腔炎のアトピー患児への鼻洗浄は効果的な補助療法であると結論づけた。J Microbiol Immunol Infect誌2012年9月30日号の報告。 60例の急性副鼻腔炎のアトピー患児が登録され、そのうち29例が生理食塩水による鼻洗浄を実施し、31例が実施しなかった。すべての参加者は鼻の最大呼気流量(nPEFR)テスト、鼻汁検査、X線検査、小児鼻結膜炎QOLのアンケート(PRQLQ)を実施し、症状を日誌で記録した。フォローアップは1週間ごとで、身体検査、鼻汁検査、nPEFRテストを実施、日誌を収集した。 主な結果は以下のとおり。・最終フォローアップ時(3週間後)、鼻洗浄実施グループでは、非実施グループに比べて平均PRQLQとnPEFRで顕著な改善がみられた。・X線所見では両グループで有意な差はみられなかった。・鼻洗浄実施グループでは、非実施グループに比べて眼の充血、鼻漏、鼻のかゆみ、くしゃみと咳症状で著明な改善がみられた。

496.

【アンケート】アトピー性皮膚炎患者さんの治療意欲は?その1

医師対象:株式会社ケアネットの運営するwebサイトCareNet.com会員の皮膚科標榜医師方法:インターネット調査 実施時期:2012年6月~8月患者対象:軽症から重症のアトピー性皮膚炎で現在も治療中の患者100名方法:インターネット調査 実施時期:2012年8月【患者さんへのアンケート】Q塗り薬を処方されるとき、医師またはスタッフから薬剤に関してどのような説明を受けましたか。(いくつでも)【医師へのアンケート】Q先生はアトピー性皮膚炎患者さん(16歳以上)にステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などの外用剤を処方する際、どのような点について説明されますか?≪ケアネット編集後記≫アンケートの結果から、『今後の治療の予定、または治療方針』『外用剤を使用する期間の目安、または辞め時の目安』『塗りにくい部位への塗り方』『塗り忘れた時の対処法』などについては、患者さんの「医師から説明を受けた」という認識が低いようです。反対に『保湿の重要性』については説明を受けた印象を強くお持ちのようです。外来における指導に関して、「伝える」ことと「伝わっている」ことは同じではないことがうかがえます。先生はこの"ギャップ"に関してどう思われますか?

497.

危機管理としての原発問題~原発はすべてを止めれば済む問題か~

つくば市 坂根Mクリニック坂根 みち子 2012年7月9日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。  話は震災直後にさかのぼる。2011年3月15日、子供の通う高校から一通のメールが保護者に一斉配信された。「念のためですがご連絡します。ただしパニックにならない様に注意しましょう。北風が吹いていますので、できるだけ早く家に戻り室内で待機し、外出を避けた方がいいと思います。特にこれから降る初期降雨を受けないように注意して下さい。外出時に雨に遇ったならば鼻と口をハンカチなどで覆って下さい。髪や皮膚が濡れた場合はお湯などで洗い流し、もし衣服が濡れた場合は入室時に脱いでビニール袋などに入れておいた方がいいと思います。」パソコンの隣のTVでは繰り返し原発は大丈夫だと放送していた。不安定な状態だが何とかなっているというのが、大方の世間のとらえ方だった。いくらなんでも枝野さんがこんなに堂々と嘘をつくはずがない、このメールの内容は杞憂に過ぎない、その時はそうとらえた。もうひとつ、最初は医師である私でも全く放射能についての知識がなかった。原発からはどのような核種が出る可能性があるのか、半減期はどのくらいでどう対処すればいいのか全く分からなかった。花粉症のようなもので、降り注いだものは払えばいいということも、しばらくして知った。 今改めて読んでみると、あの時起こっていたことを的確に把握し、何をすべきかきちんと伝えていた。このメールの配信を促したのは、学校の父母会長で放射線の専門家である医師だった。すでにつくばの空気中に放射性物質が異常に検出されていることを知っていたのである。パニックにならないように配慮して伝えたがために、当時は深刻に受け取らなかった保護者が多かったと思う。その時はまだ、今の時代に大本営発表があるとは思っていなかったのである。たった数日の自宅待機を指示してくれれば、もっとも飛散量が多いときに多くの人が移動することもなかったであろうに。しばらくして高エネルギー研究所のHPで放射性物質の空気中の濃度がわかるようになって事実を知った時、どれだけの親が子供たちがその時どこで何をして過ごしていたか必死に思い出し自責の念に駆られたことだろう。 あれから1年、世間では原発再稼働反対の運動が盛り上がっている。政府は広域災害と大津波を全く想定していなかった。従って、3月11日14時46分から日没までに、水と毛布と燃料を空から届けるという発想がなかった。それがため、どれほどの人が低体温で死に至ったか。また、マスコミは人々が津波に飲み込まれる様子や遺体をただの一度も一体も放映しなかった。外国のメディアが伝えていることが国内ではマスコミの似非人道主義のために、この世の地獄を味わっていた人たちの悲劇がリアルタイムで伝わらなかった。 放射性物質が放出されてから、なにがどこにどれだけ飛んでいるか正しい情報を伝えなかったために、今でも多くの親が多少なりとも被ばくした子供の健康問題を心配している。日本政府のガバナンスの欠如、マスコミの幼稚さ。(東電の組織としての欠陥は監督官庁と一心同体である。)今回の震災では、多くの国民の意識に政府とマスコミに対する深い絶望感と不信感が植え付けられた。政府のやることは全く信用できない、こんな恐ろしい原発を保持するなんて絶対許せないと考えるのも無理もない。でもちょっと待って欲しい。だからといって原発を止めれば済む問題だろうか。西日本は中国から飛んでくる黄砂でさえ問題となっているのに、北朝鮮と中国が原発を持つことのリスクはどう考えるのだろうか。日本で原発を止めるということは、コンパクトで高性能の原発の開発もなくなる。国内の原発は古くて危険なもののみとなる。外国に、より安全な原発を売り込むこともできない。技術の継承もなくなる。いざというときの対処法も相手任せとなる。今回の原発もアメリカの古いタイプのもので、コンセントの形も違ったため対応が遅れたというではないか。しかも国内の原発を止めても大量の使用済み核燃料は残る。問題はむしろこっちである。使用済み核燃料を持っている限り地震大国の日本で放射能に汚染されるリスクは全く減っていない。国内の原発停止にこだわって思考停止状態になると、沖縄の米軍基地を最低でも県外移転と言ったために、逆に最も危険な普天間固定となってしまっている現状と同じ構造となる。 国内の原発を止めるだけなら最悪の事態を想定して備えるという危機管理の基本を放棄することになる。今回の震災での対応がお粗末だったからと言って、日本人より中国や北朝鮮の原発管理の方が信用できるだろうか。「人類のためにすべての核利用を廃絶しよう」という運動が、隣国に通用すると思っているのだろうか。そんな絵空事は考えてはいけない。世界中を見渡しても損得勘定なく最も真摯に原発に向き合えるのは日本人しかいない。交渉が苦手で、征服欲がなく勤勉、心配性。日本人の美徳を認めるより、自らを責め、世界に向けてネガティブな発信しかしない。こんな民族が他にいるだろうか。数年前に宮崎駿監督が「借り暮らしのアリエッティ」という映画で、日本を舞台に「君たちは滅びゆく種族なんだ」を言っていたが、まさしく今の日本人は滅びゆく民族となりつつある。 こういう危機にこそ、原子力関連の分野には理系のトップの学生が進んで欲しい。優秀な人材を集め、日本人が得意とする細かいところまで行き届いた最新鋭のより安全な原発を作り、古いものと順次置き換えて欲しい。使用済み核燃料の処理について英知を集めて欲しい。加えて日本人全員が、個々のレベルで核についての知識を高め、何かあった時自立して動けるようにならなくてはいけない。原子力を一部の人にしかわからない「原子力村」に閉じ込めてしまったことが、災害時のリスクを高めてしまった。多様な専門家集団を育て、地球上のどこのトラブルにもすぐ駆け付け対応できるようにして欲しい。今回政府は「ストレステストで安全性を再確認後再稼働」というパフォーマンスを行っているが、知りたいのはそんなことではない。1992年、時の原子力安全委員会は東電に対して「長時間電源喪失を想定しなくていい理由を作文せよ」という信じられない要求をした。これと同じことが日本中の原発で行われたはずである。私たちが知りたいのは、各地の原発にそのような瑕疵が隠されていないかということである。医療の世界では「人は必ず死ぬ」ということ以外100%確実なことはない。すべての医療行為には必ずリスクが伴う。従って患者さんに100%安全です、と説明することはあり得ない。原発についても同じである。ストレステストをやって、「絶対安全です」といった時点で嘘である。そんなおためごかしをするようでは話にならない。国民も100%の安全を保障しろという要求自体がおかしいと思うべきである。大事なのは何かあった時の対処法である。どんな過酷事故をも想定して対策が練ってあるかである。 今大地震が起きたら、原発のみならず使用済み核燃料が入っているプールの耐震性は大丈夫なのか、万が一水が漏れたらどう対処するのか、北朝鮮のミサイルが打ち上げに失敗してプールが被弾したらどう対応するのか。テロの対象になって、ハイジャックされた航空機が原発に突っ込むことは「想定範囲外」なのか。こういった待ったなしの課題に対して、政府はきちんと説明して欲しいし、大至急予防措置を講じてほしい。 人類はすでに禁断の実に手を出してしまった。どこで何があっても放射能は地球全体に影響を及ぼす。福島の問題があるまで私たちが一番浴びていた環境からの放射線は、ソ連とアメリカが核実験を繰り返してばらまいたものである。ホーキング博士は、20年前の講演で、この宇宙には高度文明を持つ生命体が生まれては、環境を破壊しつくして惑星ごと自滅していると言っていたそうだ。(石原慎太郎「新・堕落論」より)恐ろしいことに、今地球はホーキング博士の予想通りの道を歩んでいる。すでに日本国内の問題ではないのである。日本人が最後の一つの核の後始末が付くまで伴走していくことも責任の取り方の一つである。 願わくば、ヒステリックにならずに良く考え議論を深めてほしい。一人の母親として、次の世代に命をつないでいくという大命題を考えた時、核に反対するだけの選択は、日本のみならず地球全体のリスクを高めてしまうと思う。筆者は政府とマスコミは一切信用しなくなったが、個々の日本人が持つ特質は世界で一番信用できると思っている。 もうひとつ、低量放射線についても少し触れておきたい。今、環境でも作物でも、わずかな放射性物質が検出されるのを一切許さないという風潮があるが、これも日本人が自らの首を絞めている典型である。放射性物質は毒にも薬にもなる。今まで人々はラドン温泉等低量の放射線を有効利用していたはずなのに、今では一切認めないという。自然界にはもともと放射線が存在し、人類も放射線と共存してきた。人間の体には優れた適応能力があり、傷ついたDNAは絶えず修復されている。少量の放射性物質を人類が有効利用してきたことは科学的に認められた事実であるにも拘らず、すべての放射線を悪として扱い、逆にそこで暮らさざるを得ない人々に大きなストレスを与えている。 話は最初に戻る。子供が被曝したかもしれないと思った時、当初筆者も動揺した。自分自身は医療放射線をかなり浴びているので仕方ないが、子供についてはほんの少しでもリスクは避けたいと思った。福島の原発がかなり危ないといううわさになった時、我が家では子供だけ一時東京の祖父母宅に避難させた。その時長女が本当に原発が爆発したら、パパとママはどうするのかと問うた。答えて、私達は医師としてこの地を離れることは出来ない、万が一の時はもう3人で生きていけるでしょうと話した。こう言われた彼女の衝撃は大きかったらしい。しばらくして無事当地に戻ってきたとき、何も知らない妹たちと違って大きな責任と恐怖を背負わされた長女は疲労困憊していた。そして、今後もし原発が爆発しても今度はつくばに残ると宣言した。その時長女は大学受験生で、さらに免疫系の病気で自宅療養中だったが、明らかに放射線そのものより精神的なストレスのほうが全身状態を悪化させていた。 昨年の11/1に「バランス感覚を持とう~放射能とともに生きていくために~」という拙文が配信されたことがきっかけで、元ICRP(国際放射線防護委員会)委員だった中村仁信医師から「低量放射線は怖くない」という本をいただいた。読了後、正直親としてはすこしホッとした。広島、長崎の被ばくで次世代に奇形が増えたというデータは一切ないということ、少量の放射線でがん抑制遺伝子のスイッチが入り、癌の発生そのものが抑えられる可能性があることなど、ICRPの見解も含め過去に世界中で集められたデータが素人にも理解しやすくまとめられていた。 そもそも震災の前から、今の子供たちは小さいころから甘いもの漬けであり、トライ&エラーの体験に乏しく、このままいくと糖尿病やストレスに対する耐性のなさから子供たちが大変なことになるととても危惧していた。世間ではそこに対する反応は今一つだったが、放射能に関しては親たちの恐怖心があっという間に膨れ上がってしまった。 今共存している放射線は毒にも薬にも成り得る。要は量の問題である。ほとんどの地域では放射線より生活習慣病から健康を害する可能性の方がよほど大きいと前回書いたところ、それでは今の福島ではどうなのかと問われた。その頃福島の汚染がどの程度なのかわからず、答えようがなかったが、最近の福島からの内部被曝量の測定結果をみると、幸いにも少ない被曝で済んでいる。食物からの内部被曝を少なくする努力もホットスポットの除去も地道に進めてくれている人たちがいる。やはり福島であっても、子供たちをどう育てればいいのか結論は変わらない。良く寝て良く笑い免疫力を高めること、大人になってもたばこは吸わないこと、子供の頃から甘いものを摂り過ぎると糖尿病になって血管を傷めるので、小さいころから食生活をコントロールすること、人とぶつかることを怖がらないこと。ご飯を作ることや片すことなど人間として生きていくために必要なことは自立して出来るようにすること。これが基本である。 放射線の「低量」がどこからどこまでをいうのか結論が出るのは数十年後である。だが、私たちは今この環境下で子供たちを育てていかなければならない。それならばその中で薬になるよう育てるだけである。少量の放射性物質が体にいいこともあるというデータがあるのなら、そこで生きていかなければいけない人々にとってそれは福音になる。周囲から大音量でヒステリックに否定しないで欲しい。ネガティブにとらえてストレスにさらされるのと、ポジティブにとらえて前向きに生きるのとどちらが体に良いかは解りきったことである。子供たちが健康に生き延びるヒントはそこにある。

498.

乾癬とアトピー性皮膚炎患者に対する教育プログラムは治療に影響を与えるのか?

標準治療に加えて、治療に何らかの影響を与えるような患者教育の実施は、皮膚科領域では比較的新しい概念である。ベルギーのゲント大学病院のBostoen氏らは、乾癬またはアトピー性皮膚炎患者の重症度やQOLに対して12週間の教育プログラムがどのような影響を与えるかを調べるため、無作為化試験(RCT)を実施した。単独施設におけるRCTではあるが、今回実施したような教育プログラムは長期にわたる乾癬治療において付加価値をもたらすことが示唆された。British Journal of Dermatology誌オンライン版2012年6月18日号の報告。本試験では、ゲント大学病院で治療中の乾癬患者(n=29)およびアトピー性皮膚炎患者(n=21)の計50例を治療介入群またはコントロール群に1:1の割合で無作為に割り付け、乾癬の面積と重症度の指標であるPASI(Psoriasis Area and Severity Index)スコア、またはアトピー性皮膚炎の重症度の指標であるSCORAD(Scoring Atopic Dermatitis)やEASI(Eczema Area and Severity Index)を用いて盲検化された観察者によって重症度を測定した。QOLに関しては、皮膚科領域に特化したQOL指標 であるDLQI(Dermatology Life Quality Index)やPDI(Psoriasis Disability Index)などを用いて測定した。フォローアップ期間は9ヵ月間であった。主な結果は以下の通り。 ・試験開始3ヵ月の時点で、乾癬患者には重症度とQOLの有意な改善が見られたが、アトピー性皮膚炎患者には見られなかった。・試験開始3ヵ月の時点で、PASI平均値、DLQI平均値、PDI平均値は、治療介入群においてコントロール群と比較して有意に改善した。(各p=0.036、 p=0.019、 p=0.015)・この改善は、少なくとも6ヶ月間は持続した。(教育プログラム終了後3ヵ月間は改善が継続していたが、試験開始から9ヵ月後には見られなかった)(ケアネット 藤井 美佳) ========================================関連コンテンツ【レポート】第111回皮膚科学会総会

499.

株式会社ファンケル

製品情報【無添加FDRのこだわり】創業以来、敏感肌のケアに取り組んできたファンケルは、「アトピー肌をはじめとした乾燥敏感肌の方たちの不安や不満を少しでも取り除きたい」という想いから、皮膚科専門医と共同で研究を進めました。そして、乾燥敏感肌の方も、毎日心地よく肌のお手入れができるフェイス&ボディケアのブランドとして「無添加FDR」が完成しました。「FDR」とは、ファンケルの「F」と、ドクターの「Dr」。皮膚科専門のドクターとの共同研究から生まれたことを表現したネーミングです。【無添加FDRスキンケア効果のこだわり】【無添加FDRのスキンケア効果を支える特長成分】【無添加FDRのお肌のためのこだわり】無添加に加え、全商品アルコール(エタノール)不使用。また、敏感肌によるパッチテスト・敏感肌への2週間連用テスト・アレルギーテスト・皮膚科医監修による使用テスト済みです。※すべての方にアレルギーや皮膚刺激が起きないというわけではありません。肌に必要な成分だけでできています。FDRシリーズは、肌に必要な成分のみを厳選してつくられています。防腐剤(パラベンなど)・殺菌剤・石油系界面活性剤・香料・鉱物油など、肌にとって不要な成分は一切不使用。全商品製造年月日入りです。【患者様用サンプルについて】ファンケルの商品は、通常、通信(インターネット、電話、ハガキ、FAX)・直営店舗にて販売を行っておりますが、無添加FDRは、医療機関に対し特別に半製品での無料サンプルをご用意しております。患者様用サンプルのご要望につきましては、ファンケル学術研究室 濵田/田畑、電話:045(226)1292 , FAX:045(226)1496またはe-mail: hamada_kazuto@fancl.co.jp, yuko0608@fancl.co.jpまでご連絡下さい。

500.

株式会社ケイセイ

医療機関を対象に化粧品・医薬部外品の企画・開発・販売を行っています。平成7年7月の創業以来、安全性を重視した医療機関専用化粧品として多くの先生方のご支持をいただいております。主な商品【低刺激性化粧品】ダーマメディコセブンシリーズ:低刺激性トイレタリー製品、基礎化粧品ダーマメディコADシリーズ:アトピー肌用洗浄剤、保湿剤ダーマメディコシリーズ:低刺激性ファンデーション、UVケア製品【制汗・デオドラントシリーズ】D-bar・D-tube【ケミカルピーリング】ジョルビシリーズ:グリコール酸ピーリング製剤・ホームケア商品【クリニックプライベート商品】ハイドロキノン・レチノイン酸・高濃度ビタミンC誘導体・CoQ10・アスタキサンチン・過酸化ベンゾイル製剤などクリニックオリジナル製剤のご相談を承ります。爪白癬用アプリケーター(東レメディカル製)画像を拡大する商品お問い合せ、サンプル等のご請求はinfo@e-keisei.co.jpまたは0120-888-913にて承ります。

検索結果 合計:546件 表示位置:481 - 500