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新世代MRA、糖尿病性腎症のアルブミン尿を有意に抑制/JAMA

 ACE阻害薬またはARBを服用中の糖尿病性腎症患者に対する、新世代の非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)finerenoneは、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を用量依存的に抑制することが示された。米国・シカゴ大学医学部のGeorge L. Bakris氏らが、23ヵ国148施設共同で、患者821例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、報告した。これまで慢性腎臓病患者において、RA系阻害薬へのステロイド系MRA追加は、アルブミン尿を抑制するが、有害事象リスクが高く活用されていなかった。JAMA誌2015年9月1日号掲載の報告。90日後のUACRを比較 研究グループは、23ヵ国(148ヵ所)の医療機関を通じ、高値(UACRが30~300mg/g未満)または非常に高値(同300mg/g以上、本検討では被験者の75%以上)のアルブミン尿を呈し、RA系阻害薬(ACE阻害薬またはARB)を服用する糖尿病患者821例を対象に、finerenone併用の安全性と有効性を検討した。 研究グループは被験者を無作為に8群に分け、finerenoneを1日1回、1.25mg/日、2.5mg/日、5mg/日、7.5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、プラセボをそれぞれ90日間投与した。 主要評価項目は、90日後 vs.ベースラインのUACR比とした。90日UACRは7.5mg群で0.79倍、20mg群で0.62倍に 被験者は、2013年6月~2014年2月の間に集められ、試験は2014年8月に完了した。1,501例がスクリーニングを受け、823例が無作為化を受け、821例が試験薬を服用した(1.25mg/日群96例、2.5mg/日群92例、5mg/日群100例、7.5mg/日群97例、10mg/日群98例、15mg/日群125例、20mg/日群119例、プラセボ94例)。被験者の平均年齢は64.2歳で、78%が男性だった。 結果、finerenoneは、用量依存的にUACRを抑制した。 主要評価項目である、プラセボ補正後のベースラインに対する90日UACR比は、7.5mg群が0.79(90%信頼区間:0.68~0.91、p=0.004)、10mg群が0.76(同:0.65~0.88、p=0.001)、15mg群が0.67(同:0.58~0.77、p<0.001)、20mg群が0.62(同:0.54~0.72、p<0.001)だった。 副次アウトカムの高カリウム血症による服用中止率は、7.5mg群2.1%、15mg群3.2%、20mg群1.7%で認められ、プラセボ群と10mg群では認められなかった。 推算糸球体濾過量(eGFR)の30%以上減少の発生や、有害事象・重度有害事象発生頻度は、プラセボ群とfinerenone群で同等だった。 結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、その他の有用薬と比較をすべきであろう」とまとめている。

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糖尿病性腎症の治療薬としての非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬に期待(解説:浦 信行 氏)-413

 JAMA誌に、非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬であるfinerenoneの尿アルブミン低減効果が報告された。 現時点では、糖尿病性腎症に対しては、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)が第1選択薬であるが、ACE阻害薬やARB使用でも尿アルブミン低減が十分でない例が多く、より一層の腎保護効果、尿アルブミン低減効果を期待できる薬物療法が求められていた。ステロイド系MR拮抗薬であるスピロノラクトンやエプレレノンは、降圧効果だけでなく、ACE阻害薬やARBへの併用で一層の尿アルブミン低減効果を示したが、高K血症の誘発や推算糸球体濾過量(eGFR)の低下を引き起こすことが報告され、エプレレノンは糖尿病性腎症や中等度以上の腎機能障害では禁忌となっている。 ステロイド骨格を持たないMR拮抗薬finerenoneはバイエル薬品で開発されたが、すでにACE阻害薬かARBが使用されている糖尿病性腎症例へのfinerenoneの併用効果が、二重盲検試験で評価された。その結果は、有意な尿アルブミン低減効果が確認され、高K血症は2~3%程度にとどまり、eGFRの有意な変動はなかったというものである。 動物実験ではすでに、同等のNa利尿作用を示す量のエプレレノンに比較して、尿蛋白低減効果が有意に大で、臓器保護効果にも優れていたことが報告されていた。 本研究は多施設共同研究で、糖尿病性腎症においてACE阻害薬やARBとの併用効果をみた初めての試験である。尿アルブミンは最大で38%の減少効果の上乗せがあり、ACE阻害薬やARBは72.7%の例で最少使用量を超える量が使用されている。高K血症は、過去のステロイド系MR拮抗薬では8%や17%などと報告され、多いものでは52%という高い数字が示されている。高K血症が低率であった一因には、eGFRの低下がなかったことが挙げられる。ただし、ほぼ95%に高血圧が合併し、併用前の血圧値は138/77mmHg前後であったが、20mgの最大使用量でも収縮期血圧の低下作用が5mmHg程度にとどまっていた。尿アルブミン低減効果は降圧効果とは関連しないとも結論され、機序としては、ステロイド系MR拮抗薬のような脳内移行による中枢での降圧作用がないことが1つであるとしている。 この研究では、60%以上の例がeGFRで60mL/min/1.73m2以上のCKD1~2であり、もっと広い範囲で一層のデータの集積が必要ではあるが、わが国で新規透析導入の原因疾患の第1位である糖尿病性腎症の薬物療法において、大きな光明をもたらすことを期待する。

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治療薬の開発が進むアミロイドーシスの最新知見

 第3回日本アミロイドーシス研究会学術集会(大会長:安東 由喜雄氏[熊本大学大学院 生命科学研究部 神経内科学分野 教授])が、8月21日、東京都内にて開催された。今回は約60題に上る演題発表のほか、シンポジウム、特別講演が行われた。多様な症候を示すアミロイドーシス モーニングセミナーでは、山下 太郎 氏(熊本大学医学部附属病院 神経内科 アミロイドーシス診療体制構築事業 特任教授)が、「アミロイドーシスの早期診断と早期治療の重要性」と題し、レクチャーを行った。 セミナーでは、「本症は約60年前に発見されて以来、今日まで診断法と治療法の研究がされてきた」と疾患の歴史からひも解くとともに、主に家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)にフォーカスをあて解説が行われた。 アミロイドーシスは、特異なタンパクであるアミロイドがさまざまな臓器の細胞外に沈着することで、機能障害を引き起こす疾患群である。現在31種類のアミロイド前駆タンパク質が確認され、沈着する種々のタンパク質に応じて分類がされている(その1つにFAPに関連するトランスサイレチン〔TTR〕がある)。これら原因タンパクにより病型が異なり、病型により治療法も変わるために、確実な診断が重要となる。しかし、一般に全身性アミロイドーシスでは、多臓器に障害がみられ、多彩な症候を示すために、確定診断まで難渋される。 初発症状としては、全身倦怠感などの非特異的症状のほか、末梢神経障害による手足のしびれ、自律神経障害による起立性低血圧、消化管アミロイドーシスによる吐気、下痢、巨舌、心アミロイドーシスによる心肥大や不整脈、腎障害によるタンパク尿、浮腫、皮下出血などがみられる。 検査では、抗TTR抗体を用いた免疫染色などの組織診断、血清診断、遺伝子診断などが鑑別診断のため行われる。確定診断には、病理学的な検査が不可欠であり、組織の生検部位として障害臓器はもとより、消化管粘膜や腹壁脂肪での生検診断も可能である。また、近年では、レーザーマイクロダイセクションと液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析など検査機器の進歩により、沈着タンパクの同定が可能となってきた。現在、熊本大学や信州大学などの施設で病型診断が行われている。その他の所見として、心胸郭比の拡大、心エコーによる心筋肥厚や輝度上昇、BNP、NT-proBNPの上昇も参考となる。 本症では、早期診断による、迅速な治療が患者の生命予後を左右するので、専門医や専門医療機関への紹介をお願いしたい。開発が待たれる内科的治療 現在、アミロイドーシスの治療ではFAPで肝移植や内科的治療、ALアミロイドーシスに対する自家末梢血幹細胞移植、AAアミロイドーシスに対する生物学的製剤などが行われている。 とくにFAPでは、TTRが肝臓で産生されることから早期の患者には肝移植が行われている。確かに肝移植後の生命予後は改善され、病期の進行も抑制される一方で、移植後でも症候が残ること、一部の患者では症候の悪化があること、移植ドナーの不足の問題など多くの課題が残されている。こうしたこともあり、内科的治療が模索され、2013年からは、アミロイド形成に関わるTTR四量体を安定化させるタファミジス(商品名:ビンダケル)が保険適用となり、FAPの肝移植が困難な患者や移植抵抗性の患者に対し、使用されている。そして、病期の進行を抑制する有効な治療薬となっている。 その他にも、siRNAやASOによる肝臓でのTTR発現抑制を目的とした核酸医薬医療は、世界規模の臨床試験がスタートしており、治療への効果が期待されているほか、免疫療法として、沈着したアミロイドに対する治療の研究も現在進められている。 次回第4回学術集会は、2016年8月19日に山田 正仁 会長(金沢大学大学院 教授)のもと都内において開催される予定である。参考サイト日本アミロイドーシス研究会 熊本大学 アミロイドーシス診療体制構築事業ホームページ ケアネットの関連コンテンツ希少疾病ライブラリ 家族性アミロイドポリニューロパチー家族性アミロイドポリニューロパチー 早期診断のコツ画像を拡大する

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ASPECT-cUTI試験:複雑性尿路感染症におけるセフトロザン/タゾバクタムの治療効果~レボフロキサシンとの第III相比較試験(解説:吉田 敦 氏)-401

 腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症の治療は、薬剤耐性菌の増加と蔓延によって選択できる薬剤が限られ、困難な状況に直面している。セファロスポリン系の注射薬であるセフトロザンとタゾバクタムの合剤である、セフトロザン/タゾバクタムは、βラクタマーゼを産生するグラム陰性桿菌に効果を有するとされ、これまで腹腔内感染症や院内肺炎で評価が行われてきた。今回、複雑性尿路感染症例を対象とした第III相試験が行われ、その効果と副作用が検証され、Lancet誌に発表された。用いられたランダム化比較試験 成人に1.5 gを8時間ごとに投与を行った、ランダム化プラセボ対照二重盲検試験であり、欧州・北米・南米など25ヵ国で実施された。膿尿があり、複雑性下部尿路感染症ないし腎盂腎炎と診断された入院例を、ランダムにセフトロザン/タゾバクタム投与群と高用量レボフロキサシン投与群(750mg /日)に割り付けた。投与期間は7日間とし、微生物学的に菌が証明されなくなり、かつ、治療開始5~9日後に臨床的に治癒と判断できた状態をエンドポイントとした(Microbiological modified Intention-to-treat:MITT)。同時に、合併症・副作用の内容と出現頻度を比較した。レボフロキサシンに対して優れた成績 参加した1,083例のうち、800例(73.9%)で治療開始前の尿培養などの条件が満たされ、MITT解析を行った。うち656例(82.0%)が腎盂腎炎であり、2群間で年齢やBMI、腎機能、尿道カテーテル留置率、糖尿病・菌血症合併率に差はなかった。また776例は単一菌の感染であり、E. coliがほとんどを占め(629例)、K. pneumoniae(58例)、P. mirabilis(24例)、P. aeruginosa(23例)がこれに次いだ。なお、開始前(ベースライン)の感受性検査では、731例中、レボフロキサシン耐性は195例、セフトロザン/タゾバクタム耐性は20例に認めた。 結果として、セフトロザン/タゾバクタム群の治癒率は76.9%(398例中306例)、レボフロキサシン群のそれは68.4%(402例中275例)であり、さらに尿中の菌消失効果もセフトロザン/タゾバクタム群が優れていることが判明した。菌種別にみても、ESBL産生大腸菌の菌消失率はセフトロザン/タゾバクタムで75%、レボフロキサシンで50%であった。合併症と副作用に及ぼす影響 セフトロザン/タゾバクタム群では34.7%、レボフロキサシン群では34.4%で何らかの副作用が報告された。ほとんどは頭痛や消化器症状など軽症であり、重い合併症(腎盂腎炎や菌血症への進行、C. difficile感染症など)はそれぞれ2.8%、3.4%であった。副作用の内容を比べると、下痢や不眠はレボフロキサシン群で、嘔気や肝機能異常はセフトロザン/タゾバクタム群で多かった。今後のセフトロザン/タゾバクタムの位置付け セフトロザン/タゾバクタムは抗緑膿菌作用を含む幅広いスペクトラムを有し、耐性菌の関与が大きくなっている主要な感染症(複雑性尿路感染症、腹腔内感染症、人工呼吸器関連肺炎)で結果が得られつつある。今回の検討は、尿路感染症に最も多く用いられているフルオロキノロンを対照に置き、その臨床的・微生物効果を比較し、セフトロザン/タゾバクタム群の優位性と忍容性を示したものである。 しかしながら、ベースラインでの耐性菌の頻度からみれば、レボフロキサシン群の効果が劣るのは説明可能であるし、尿路の基礎疾患(尿路の狭窄・閉塞)による治療効果への影響についても本報告はあまり言及していない。そもそも緑膿菌も、さらにESBL産生菌も視野に入れた抗菌薬を当初から開始することの是非は、今回の検討では顧みられていない。また、腸管内の嫌気性菌抑制効果も想定され、これが常在菌叢の著しいかく乱と、カルバぺネム耐性腸内細菌科細菌のような耐性度の高いグラム陰性桿菌の選択に結び付くことは十分ありうる。実際に、治療開始後のC. difficile感染症はセフトロザン/タゾバクタム群でみられている。 セフトロザン/タゾバクタムをいずれの病態で使用する場合でも、その臨床応用前に、適応について十分な議論がなされることを期待する。販売し、いったん市場に委ねてしまうと、適応は不明確になってしまう。本剤のような抗菌薬は、適応の明確化のみならず、使用期間の制限が必要かもしれない。

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循環器内科 米国臨床留学記 第1回

第1回:米国における専門医教育事情今回、ケアネットから寄稿をする貴重な機会をいただきました河田 宏と申します。私は2003年に大学を卒業後、日本で循環器専門医を取得し、不整脈のトレーニングを経た後、卒後7年目の2010年より米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校(UC San Diego)で、不整脈(Cardiac Electrophysiology:EP)の臨床留学(クリニカルフェロー)を開始しました。当初は不整脈のトレーニングを修了後に帰国する予定でしたが、米国に残り臨床医としてのトレーニングを続けることに決めました。カリフォルニア大学 アーバイン校米国で不整脈専門医となるには、内科、循環器の専門医の取得が条件となっており、2013年からはオハイオ州シンシナティーに移り、内科のレジデンシーを開始しました。内科レジデンシーを修了し、本年度からカリフォルニア大学アーバイン校(UC Irvine)に移り循環器のフェローを開始しました。米国の循環器フェローシップを経験された日本人医師の多くは、日本での循環器のトレーニングを経ずに米国に渡り、内科のレジデンシーから開始しておられます。ご存じのように日本で循環器専門医を取得するのも卒後6~7年かかります。同じ科目の研修を日本と米国で2回繰り返すということは時間の無駄になりますし、臨床留学を卒後6~7年からやり直すという人もあまりいませんので、私のように日本で循環器専門医を取得した後、米国に渡るというのはまれなケースだと思われます。米国で臨床留学していると聞くと「米国の臨床医学よりに偏向した意見の持ち主か」と思われるかもしれません。私は今でも日本の医療システムのほうが優れている点が多いと思っていますし、成果主義、金儲け主義的な米国の医療には渡米5年経った今でも違和感を覚えます。ただ、医学教育に関しては米国に一日の長があるように感じます。日本の研修医制度が始まって10年が経過し、ようやく専門医制度の改革が動き出したところで、日本の専門医教育(フェローシップ)はこれから大きく変わっていくと思います。米国の専門医教育は自分の学びたいことに集中できる環境が整っており、そこが米国臨床留学の醍醐味だと思いますし、日本が見習うべき点もあると思います。日本の専門医教育も日本の良さを残しつつ、米国の良いところのみを取り込んで、素晴らしいものになってほしいと思っております。今回のコラムでは、循環器を中心に、日本と米国の医療、専門医、教育の違いについて、できるだけ客観的に比較しながら伝えていきたいと思います。循環器医になるまでに何年かかる?最初に米国で循環器内科医となる過程をみてみたいと思います。米国で循環器専門医となるには医学部卒業後、最低6年間が必要です。3年間の内科のレジデンシーを修了後、3年間の循環器のフェローシップを修了して、専門医試験への資格を得ることができます。さらに、冠動脈インターベンション、EP、心不全などのサブ-スペシャルティートレーニングを1~2年間行うことも可能です。画像を拡大するたとえば、EPの場合、すべてのトレーニングを終えるのに内科レジデンシー終了後最低5年はかかります。他の内科のトレーニングは2年か3年で終わるものが多いので、循環器のトレーニングは他の内科のトレーニングより時間がかかります。EPや冠動脈インターベンションの専門医になるのは順調にいっても34歳ごろとなってしまいます。内科レジデンシー終了後、借金を返すために内科医として数年間働いたり、リサーチやチーフレジデントを行ってからフェローに応募することも多いため、トレーニング修了時で40歳ぐらいになってしまう人も珍しくはありません。狭き門? 循環器フェローへのマッチング内科の3年目の夏に循環器、消化器など内科のサブスペシャルティーのマッチングへの応募が始まります。12月のマッチデイ(マッチングの発表)まで、全米各地にインタビューに回ります。マッチする人で平均8個前後のインタビューを受けますし、飛行機を使うことも多いですから、5,000ドル程度の出費は覚悟しなければなりません。マッチングに関しては詳しいデータが公にされています。循環器は最近、給料が下がっている影響か少し人気が下がっています。ポジションに対する応募者の割合は、2011年から2013年までは倍率が1.5倍でしたが2014年~2015年は1.4倍に下がりました。具体的に、今年は835のポジションに対して1,142の応募があり、マッチ率が73%、つまり27%はマッチできなかったということになります。人口を考えると米国の循環器専門医の認定数は日本より少ないと思います。米国ではトレーニングの質を保つため、ACGMEというトレーニングを管轄する団体が病院の規模、ベッド数、手技の数、指導教官数、外来・入院患者数、カンファレンスの数などに応じてフェローの定員を決めています。このため、各病院の自由裁量では人数を増やせず、結果として上限が決まってきます。UC San DiegoやUC Irvineと言った大学病院ですら1学年の定員は5人です。米国人に有利なマッチング米国の医学部を卒業した米国人にとって、循環器のフェローシップを得ること自体はそれほど難しくなく、2011年のデータによると86%がマッチしています。一方、外国の医学部を卒業した外国人には狭き門であり、47%、半分以上が循環器フェローになれなかったということになります。優秀な候補者はどこでもいいというわけではありません。MayoやClevelandのような有名プログラムは競争も激しく、一つのポジションに対して50人を超える応募がくるようです。米国は学歴社会です。卒業した医学部に加えてどこで研修をしているかが非常に重要視されます。ホームページなどで確認できますが、有名プログラムの循環器フェローは殆どが有名なレジデントプログラムの出身です。また、住みやすいと言われる大きな都市のプログラムも倍率が高くなります。内科のレジデンシーを行った病院に循環器フェローシップがあれば、評価の高いレジデントは内部進学ができます。内部といっても競争が激しく、同期のレジデントに競り勝つ必要があります。内科を3年終えた後にチーフレジデントをやると、ほぼ確実に希望するフェローシップにいくことができるプログラムが多いため、最初からそれを目的としてチーフレジデントになる人もいます。日本のチーフレジデントとは違って実利があるのです。最近、一番人気の高いサブスペシャリティーは消化器内科でマッチ率は64%、それに呼吸器・集中治療、循環器、血液/腫瘍が続いています。逆に老年科、腎臓内科、感染症科は人気が低く、倍率は1倍以下になっています。科別の平均年収と人気の科には相関があるようで、この辺りがアメリカっぽいところでしょう。次回以降、具体的に日米のトレーニングの差についても触れていきたいと思います。

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喫煙でCKD患者の死亡リスクが大幅に上昇

 慢性腎臓病(CKD)と喫煙が心血管疾患に及ぼす複合的な影響度や性質については、ほとんど知られていない。これらを日本人集団で検討するために、北海道大学の中村 幸志氏らは、8コホート研究に登録された40~89歳の男性1万5,468人および女性1万9,154人のプール分析を行った。その結果、CKDと喫煙が重なると、全死因および心血管疾患による死亡リスクが大幅に上昇する可能性が示唆された。Kidney International誌オンライン版2015年7月22日号に掲載。 全死因および心血管疾患による死亡リスクは、ベースライン時点におけるCKDの有無(非CKDまたはCKD)と喫煙習慣(非喫煙、元喫煙、現在喫煙)で、6つの性別特異的カテゴリーで比較した。CKDは推定糸球体濾過量が60mL/分/1.73m2未満あるいはdipstickで蛋白尿の場合と定義し、それぞれのカテゴリーで非CKDかつ非喫煙者と比べたハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間(平均14.8年)の間に6,771人が死亡し、そのうち心血管疾患によるものが1,975人であった。・全死因および心血管疾患による粗死亡率は、男女とも、「CKDかつ現喫煙者」が最も高く、「CKDかつ元喫煙者」が2番目に高かった。・年齢や他の主要心血管リスク因子について調整後、CKDかつ現喫煙者のハザード比は、全死因死亡では男性2.26(95%信頼区間:1.95~2.63)、女性1.78(同:1.36~2.32)、心血管疾患による死亡では男性2.66(同:2.04~3.47)、女性1.71(同:1.10~2.67)であった。

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糖尿病性腎症に合併する高K血症、patiromerが有効/JAMA

 糖尿病性腎症で高カリウム血症の合併がありRAAS阻害薬を服用している患者に対し、patiromerを4.2~16.8g、1日2回投与することで、血中カリウム値は有意に低下し、52週にわたり維持されたことが報告された。米国・シカゴ大学のGeorge L. Bakris氏らが、306例の患者を対象に行った、patiromerの用量範囲探索、無作為化非盲検第II相試験「AMETHYST-DN」の結果、報告した。JAMA誌2015年7月14日号で発表した。軽度/中程度群ごとに3通りの投与量について、4週間後の変化を比較 試験は2011年6月~2013年6月にかけて、ヨーロッパ48ヵ所の医療機関を通じて、2型糖尿病患者306例を対象に行われた。被験者のeGFRは15~60mL/分/1.73m2で、血中カリウム値は5.0mEq/L超であり、治験開始前からRAAS阻害薬を服用していた。 ベースライン時の血中カリウム値に応じて、被験者を軽度または中程度高カリウム血症に分類。patiromerの投与量について各群の被験者を無作為に3群に分け、軽度群では4.2g、8.4g、12.6gを、中程度群では8.4g、12.6g、16.8gを、いずれも1日2回投与した。 主要有効性エンドポイントは、ベースラインから4週時(または初回patiromer滴定)の平均血中カリウム値の変化だった。また副次有効性エンドポイントは、52週間の平均血中カリウム値の変化などとした。主要安全性エンドポイントは、52週間の有害事象であった。いずれの投与量でも血中カリウム値が有意に低下 結果、主要エンドポイントの平均血中カリウム値(最小二乗平均減少幅)は、軽度群の4.2g群が0.35(95%信頼区間[CI]:0.22~0.48)mEq/L、8.4g群が0.51(0.38~0.64)mEq/L、12.6g群が0.55(0.42~0.68)mEq/Lだった。 中程度群では、8.4g群が0.87(0.60~1.14)mEq/L、12.6g群が0.97(0.70~1.23)mEq/L、16.8g群が0.92(0.67~1.17)mEq/Lだった(ベースライン時からの変化に関するp<0.001)。 4~52週にかけて、毎月の血中カリウム値の有意な低下は維持された。 治療に関連する最も多く認められた有害事象は、低マグネシウム血症(7.2%)、消化管関連では便秘(6.3%)だった。低カリウム血症(<3.5mEq/L)は5.6%だった。

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高齢者は血圧低下が腎機能低下のリスクに

 ベルギー・ルーヴァンカトリック大学のBert Vaes氏らは、高齢者における静的および動的な血圧と腎機能の変化の関係について検討した。その結果、チャールソン併存疾患指数(mCCI)およびベースライン時の腎機能・血圧を調整すると、すべての年齢層において、血圧の経年的低下が腎機能低下における強力な危険因子であることが示された。BMJ open誌2015年6月30日号に掲載。 著者らは、60歳以上の患者を3つの年齢層で分け、10年間(2002~2012年)の後ろ向きコホート研究を実施した。この研究は、定期的に患者データを提出している55医院の一般開業医97名によるプライマリケア登録ネットワークにより実施された。 すべての患者(8,636例)において、2002年中に少なくとも1回血圧を測定し、その後少なくとも4回の血清クレアチニン測定を行った。ベースライン時にmCCIを登録し、2002年以降、収縮期血圧(SBP)・拡張期血圧(DBP)・脈圧の変化を算出した。腎機能の変化とベースライン時血圧および血圧変化との関係については、線形およびロジスティック回帰分析を用いて検討した。主要アウトカムである推算糸球体濾過量(eGFR、MDRD:Modification of Diet in Renal Disease equation)の傾きは最小二乗法により算出した。また、急速な腎機能低下は3mL/分/1.73m2/年以上と定義した。 主な結果は以下のとおり。・1,130例(13.1%)で急速な腎機能低下が認められた。・60~79歳の参加者では、ベースライン時のSBPと脈圧の高さが腎機能低下と関連した。・80歳以上の参加者では、ベースライン時の血圧と腎機能低下に相関関係はみられなかった。・SBPおよび脈圧の年間1mmHg以上の減少は、ベースライン時の血圧とmCCIに関係なく、すべての年齢層で急速な腎機能低下の強力な危険因子であった。・60~79歳の参加者では、DBPの低下も強力な独立予測因子であった。

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フェブキソスタット、欧州で化学療法に伴う高尿酸血症への適応拡大

 帝人ファーマ株式会社は7月1日、同社が創製し欧州に導出している高尿酸血症・痛風治療剤「ADENURICR」(欧州販売名:アデニュリク、一般名:フェブキソスタット)について、欧州におけるサブライセンス先であるイタリアのメナリーニ社が、「腫瘍崩壊症候群の中間リスク及び高リスクを有する造血器腫瘍患者における化学療法に伴う高尿酸血症」に対する適応拡大の承認取得を発表したことを報告した。 今回の適応拡大は、腫瘍崩壊症候群の中間リスク及び高リスクを有する造血器腫瘍患者346名を対象に行われた第III相臨床試験の成績に基づくもの。 本試験によってフェブキソスタットが既存療法と比較して臨床的意義のある画期的な治療選択肢となり得ることが認められたことにより、販売保護期間(※)が2019年4月20日まで1年間延長されたという。 日本国内においては、帝人ファーマが2014年よりがん化学療法に伴う高尿酸血症を対象疾患とした第III相臨床試験を実施している。※欧州では、先発医薬品承認後の10年間、後発医薬品の販売が禁止されている。詳細は帝人ファーマ株式会社のプレスリリースへ

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CKD合併糖尿病患者では降圧治療は生命予後を改善しない?(解説:浦 信行 氏)-366

 高血圧の降圧治療は、少なくとも糖尿病合併例では予後改善と臓器合併症抑制効果を示すことが、多くの治療介入試験で証明され、JAMA誌2015年2月10日号1)に大変素晴らしいメタ解析と総説が報告され、少なくとも高血圧例では降圧治療の多大な有用性が明らかにされている。しかし、CKD合併糖尿病を対象としたこのメタ解析研究の結果では、ACE阻害薬とARB、あるいはその併用は末期腎不全発症抑制には有用だが、それ以外の降圧薬も含めてすべての降圧戦略が生命予後を改善しなかったと報告された。先ほどのJAMA誌との結果と対比して考えると、CKDが合併すると結局は生命予後に何もメリットはないのだろうか? しかし、このメタ解析にはいくつかの問題点があると思われる。 157試験4万3,256例を対象としており、血圧に関してはすべてプラセボより低下しているが、DBPでは一部有意ではあるものの、SBPはすべてが有意な降圧ではない。 個々の試験の内容をみると、対象が高血圧の例は1万2,656例、正常血圧例は2,193例、両者を含むものが2万8,407例であり、おそらく4割方が正常血圧例と推定される。 このメタ解析の1次エンドポイントは全死亡と末期腎不全であるが、33試験2万9,782例で全死亡を評価しており、末期腎不全は13試験2万4,477例で解析している。 原著では、1次エンドポイントを心血管疾患や生命予後にしたものは半数以下であり、そのほとんどがHTとNT両者を含むが、これを区別して解析していない。降圧戦略の効果を評価するのであれば、少なくともHTとNTの区別、層別解析も考慮すべきではなかったか? また、そのなかでも最大の試験は8,606例のALTITUDE試験であるが、平均血圧は137/74 mmHgと高くなく、しかも追跡期間は32ヵ月と短い。これでは腎作用は評価できても、生命予後を評価するには不十分と考える。全体に追跡期間が短く、9試験1万7,258例は短期で終了している。著者も結果の部分で、一部の試験ではデータが不十分であり、明確な結論を引き出すのは困難、としている。であるのにこの結論を下すのは理解に苦しむ。 2次エンドポイントは腎イベントで、Crの倍化とアルブミン尿の減少はRA系阻害薬が良い。それとは別にAKIも評価しているが、その定義が試験ごとに違い、何といってもAKIはRA系阻害薬に多い傾向はあるものの有意ではなく、高K血症も同じ傾向で有意ではなかったのに、有害の可能性として考察にも結論にも強調されて記載されている。同じく2次エンドポイントの、ARBの心筋梗塞のリスク低減効果(18試験2万1,471例)は有意であるのに、結論にまったく記載されていない。メタ解析のあり方にも疑問を感じるが、著者らの結果の解釈にも疑問を感じざるを得ない。

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糖尿病合併CKD、降圧薬治療は有益か/Lancet

 糖尿病合併慢性腎臓病(CKD)患者に対する降圧薬治療について、生存を延長するとのエビデンスがあるレジメンはないことが、ニュージーランド・オタゴ大学のSuetonia C Palmer氏らによるネットワークメタ解析の結果、明らかにされた。また、ACE阻害薬とARBの単独または2剤併用療法は、末期腎不全に対して最も効果的な治療戦略であること、一方でACE阻害薬とARBの併用療法は、レジメンの中で高カリウム血症や急性腎不全を増大する傾向が最も高いことも示され、著者は「リスクベネフィットを考慮して用いる必要がある」と報告している。糖尿病合併CKD患者への、降圧薬治療の有効性と安全性については議論の余地が残されたままで、研究グループは、同患者への降圧薬治療の有益性と有害性を明らかにするため本検討を行った。Lancet誌2015年5月23日号掲載の報告より。すべての降圧薬治療戦略とプラセボをSUCRAでランク付け 解析は、世界各地で行われた18歳以上の糖尿病とCKDを有する患者が参加した経口降圧薬治療に関する無作為化試験を対象に、2014年1月時点で電子データベース(Cochrane Collaboration、Medline、Embase)を系統的に検索して行われた。 主要アウトカムは、全死因死亡および末期腎不全。副次アウトカムとして安全性および心血管アウトカムについても評価した。 主要および副次アウトカムに関する推定値を入手し、ランダム効果ネットワークメタ解析を行い、オッズ比または標準化平均差を95%信頼区間[CI]値と共に算出した。surface under the cumulative ranking(SUCRA)を用いて、すべての降圧薬治療戦略とプラセボの効果を比較し、ランク付けした。ACE+ARB併用は、末期腎不全を減少するがリスク増大も ネットワークメタ解析には、157試験、4万3,256例のデータが組み込まれた。被験者の大半は、2型糖尿病合併CKD患者で、平均年齢は52.5歳(SD 12.0)であった。 結果、各レジメンの全死因死亡のオッズ比は、0.36(ACE阻害薬+Ca拮抗薬)から5.13(βブロッカー)にわたってランク付けされたが、抑制効果についてプラセボより有意に良好なレジメンはなかった。 しかしながら末期腎不全については、ARB+ACE阻害薬の併用療法(オッズ比:0.62、95%信頼区間[CI]:0.43~0.90)と、ARB単独療法(同:0.77、0.65~0.92)において、プラセボと比較した有意な抑制効果が認められた。 高カリウム血症または急性腎不全を有意に増大したレジメンはなかったが、その中でランク付けにおいて、ARB+ACE阻害薬併用の推定リスクが最も高かった。(高カリウム血症のオッズ比:2.69、95%CI:0.97~7.47、急性腎不全:2.69、0.98~7.38)。

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リチウムの腎臓・内分泌系の有害作用/Lancet

 リチウムは気分障害の治療に広く用いられ、優れた有効性が示されているが、腎臓や内分泌系への有害作用の特性はよくわかっていないという。英国・John Radcliffe病院のBrian Shine氏らは、今回、リチウムは腎機能を低下させ、甲状腺機能低下症や高カルシウム血症を引き起こすことを報告した。Lancet誌オンライン版2015年5月21日号掲載の報告より。腎臓、甲状腺への有害作用を後ろ向きに検討 研究グループは、オックスフォード大学病院NHSトラストに集積されたデータをレトロスペクティブに解析した。対象は、1982年10月1日~2014年3月31日に、年齢18歳以上で、血清クレアチニン、甲状腺刺激ホルモン、カルシウム、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、リチウムを2回以上測定された患者であった。リチウムの投与を受けていない患者を対照とした。 以下の5つの有害作用の評価を行った。Stage 3の慢性腎臓病(推定糸球体濾過量<60mL/分/1.73m2)、甲状腺機能低下症(甲状腺刺激ホルモン>5.5mU/L)、甲状腺機能亢進症(同<0.2mU/L)、総血清カルシウム濃度および補正血清カルシウム濃度の異常高値(>2.6mmol/L[≒46.8mg/dL])。 全体で、4,678例(2回以上の投与は2,795例[60%])のリチウム投与例と68万9,228例の対照のデータが得られた。リチウムの投与回数は2~162回であり、初回から最後のリチウム投与までの期間中央値は3.0年(四分位範囲:0.7~8.7年、最長28年)であった。60歳未満の女性でリスク大、治療早期に発現 年齢、性別、糖尿病で補正すると、血清リチウム濃度は、Stage 3の慢性腎臓病(ハザード比[HR]:1.93、95%信頼区間[CI]:1.76~2.12、p<0.0001)、甲状腺機能低下症(2.31、2.05~2.60、p<0.0001)、総血清カルシウム濃度の上昇(1.43、1.21~1.69、p<0.0001)と有意な関連が認められた。 一方、血清リチウム濃度は、甲状腺機能亢進症(HR:1.22、95%CI:0.96~1.55、p=0.1010)および補正血清カルシウム濃度の上昇(1.08、0.88~1.34、p=0.4602)とは関連がなかった。 女性は男性に比べリチウムによる腎臓や甲状腺の障害のリスクが高かった。また、60歳未満の女性は、60歳以上の女性よりも高リスクであった。 初回から最後のリチウム投与の期間が中央値より長い患者は、5つの有害作用のリスクがいずれも有意に低く、これはリチウムによる有害作用はいずれも治療早期に発現することを示す。また、5つの有害作用のリスクは、いずれも血清リチウム濃度が中央値よりも高値の患者で高かった。 糖尿病の有無で、リチウムによる有害作用のリスクに差はみられなかった。 著者は、「リチウムは、双極性障害患者の自殺リスクを低減するなど、現在も標準的な気分安定薬であることから、ベースライン時に腎臓および甲状腺、副甲状腺の機能の評価を行い、定期的なモニタリングを長期に継続する必要がある」と指摘している。

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多発性骨髄腫に新薬 ポマリドミドの位置付け

 多発性骨髄腫に、日本では5年ぶりとなる新薬が登場した。現在の標準的治療薬であるレナリドミドおよびボルテゾミブの治療歴がある再発または難治性多発性骨髄腫に適応がある免疫調節薬・ポマリドミド(商品名:ポマリスト)が発売となった。これを受けて、セルジーン株式会社は2015年5月25日、都内にて新製品記者発表会を開催した。 多発性骨髄腫は2006年以降、ボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドミドの登場により、寛解率が高まり、生存期間が延長した。しかし、上記薬剤によって治療しても再発する例も多く、他の治療薬の効果が低いため、新たな治療薬が求められていた。 ポマリドミドはレナリドミド同様の免疫調節薬の1つであるが、レナリドミドに効果不十分の患者に対して効果が示されている。本薬剤は現在「3次治療」の位置付けであり、既存薬であるレナリドミド、ボルテゾミブに効果不十分な際の選択肢とすることができる。第III相試験では、レナリドミドを使用しても効果が得られなかった患者の無増悪生存期間を延長することが示されている。安全性の面では、既存薬で問題となっていた眠気・消化器症状の軽減も認められているが、本薬剤には血液毒性や催奇形性があるため、血液内科専門医の厳重な管理の下で慎重に使用していくことが求められる。 多発性骨髄腫治療は、レナリドミドの未治療例への適応拡大をはじめ、カルフィルゾミブ、イグザゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブが開発後期にあり、治療が大きく進歩する領域として注目が集まりつつある。安全性を考慮しつつ、多くの選択肢の中から患者さんにとって最適な治療法を選択できる時代がまもなくやって来るかもしれない。

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長期血圧変動性とCKD発症リスク~日本人5万人の調査

 非糖尿病者における長期血圧変動性が、他の血圧パラメータ(平均血圧、血圧への累積曝露など)と代謝プロファイルの変化に関係なく、慢性腎臓病(CKD)の新規発症リスクと関連しているかどうかは、いまだ不明である。今回、米国・ノースウェスタン大学の矢野裕一朗氏らは、糖尿病およびCKDではない中高年の日本人約5万人の調査データから、3年間の長期血圧変動性が、追跡期間中の血圧の曝露(平均もしくは累積)や代謝プロファイルの変化に関係なく、CKDの新規発症リスクと関連していたことを報告した。Hypertension誌オンライン版2015年5月18日号に掲載。 対象は、ベースライン時に糖尿病およびCKD(eGFR 60mL/分/1.73m2未満または尿試験紙で蛋白尿)ではなかった日本人4万8,587人。年齢は40~74歳(平均61.7歳)、男性の割合は39%であった。血圧測定は、ベースライン時ならびに年1回(3年間)の計4回実施した。この4回の血圧の標準偏差(SD)と平均変動幅を血圧変動性と定義した。 主な結果は以下のとおり。・3年目の血圧測定時に、全体の6.3%がCKDを発症していた。・多変量調整ロジスティック回帰モデルでは、臨床的特徴の調整後、収縮期血圧のSD(5mmHgごと)、拡張期血圧のSD(3mmHgごと)、収縮期血圧の平均変動幅(6mmHgごと)、拡張期血圧の平均変動幅(4mmHgごと)における1SDの増加が、CKDの新規発症と関連していた(それぞれのオッズ比[95%CI]は順に、1.15[1.11~1.20]、1.08[1.04~1.12]、1.13[1.09~1.17]、1.06[1.02~1.10]、すべてp<0.01)。また、測定した4回の血圧の平均とも関連していた。・血圧のSDおよび平均変動幅とCKDとの関連は、追跡期間中の代謝パラメータの変化について追加調整後も有意であった(各オッズ比:1.06~1.15、すべてp<0.01)。・性別、降圧薬の使用、高血圧の存在による感度分析でも、同様の結論を示した。

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耐性菌が増加する尿路感染症に有望な抗菌薬/Lancet

 複雑性下部尿路感染症や腎盂腎炎に対し、新規抗菌薬セフトロザン/タゾバクタム配合薬は、高用量レボフロキサシンに比べ高い細菌学的効果をもたらすことが、ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学のFlorian M Wagenlehner氏らが実施したASPECT-cUTI試験で示された。尿路感染症は生命を脅かす感染症の発生源となり、入院患者における敗血症の重要な原因であるが、抗菌薬耐性の増加が治療上の大きな課題となっている。本薬は、新規セファロスポリン系抗菌薬セフトロザンと、βラクタマーゼ阻害薬タゾバクタムの配合薬で、多剤耐性緑膿菌のほか、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌などのグラム陰性菌に対する効果がin vitroで確認されている。Lancet誌オンライン版2015年4月27日号掲載の報告。セフトロザン/タゾバクタム配合薬の有効性を非劣性試験で評価 ASPECT-cUTI試験は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬の高用量レボフロキサシンに対する非劣性を検証する二重盲検ダブルダミー無作為化試験。対象は、年齢18歳以上、膿尿を認め、複雑性下部尿路感染症または腎盂腎炎と診断され、治療開始前に尿培養検体が採取された入院患者であった。 被験者は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬(1.5g、8時間ごと、静脈内投与)または高用量レボフロキサシン(750mg、1日1回、静脈内投与)を7日間投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、治療終了後5~9日における細菌学的菌消失と臨床的治癒の複合エンドポイントであった。細菌学的菌消失は、治癒判定時の尿培養検査におけるベースラインの尿路病原菌の104コロニー形成単位(CFU)/mL以上の減少と定義した。また、臨床的治癒は、複雑性下部尿路感染症または腎盂腎炎の完全消失、著明改善、感染前の徴候、症状への回復であり、それ以上の抗菌薬治療を必要としない場合とした。 非劣性マージンは10%とし、両側検定による群間差の95%信頼区間(CI)の下限値が-10%より大きい場合に非劣性と判定した。また、95%CIの下限値が0を超える場合は優位性があるとした。セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の優位性を確認 2011年7月~2013年9月に、25ヵ国209施設に1,083例が登録され、800例(73.9%)が解析の対象となった(セフトロザン/タゾバクタム配合薬群:398例、レボフロキサシン群:402例)。 656例(82.0%)が腎盂腎炎で、274例(34.3%)が軽度~中等度の腎機能障害を有し、199例(24.9%)が65歳以上であった。菌血症の62例(7.8%)の原因菌のほとんどは大腸菌で、多くが腎盂腎炎患者であった。また、776例(97.0%)が単一菌感染で、629例(78.6%)が大腸菌、58例(7.3%)が肺炎桿菌、24例(3.0%)がプロテウス・ミラビリス、23例(2.9%)が緑膿菌だった。 複合エンドポイントの達成率は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群が76.9%(306/398例)、レボフロキサシン群は68.4%(275/402例)であった(群間差:8.5%、95%CI:2.3~14.6)。95%CIの下限値が>0であったことから、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の優位性が確証された。 副次的評価項目であるper-protocol集団における複合エンドポイントの達成率にも、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の優位性が認められた(83.3% vs. 75.4%、群間差:8.0%、95%CI:2.0~14.0)。セフトロザン/タゾバクタム配合薬の優位性は複雑性尿路感染症でも セフトロザン/タゾバクタム配合薬群で治癒判定時の複合エンドポイントの優位性がみられたサブグループとして、65歳以上、複雑性尿路感染症、レボフロキサシン耐性菌、ESBL産生菌、非菌血症が挙げられ、他のサブグループもレボフロキサシン群に比べ良好な傾向にあり、いずれも非劣性であった。 有害事象の発現率は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群が34.7%、レボフロキサシン群は34.4%であった。最も頻度の高い有害事象は、両群とも頭痛(5.8%、4.9%)および便秘(3.9%、3.2%)、悪心(2.8%、1.7%)、下痢(1.9%、4.3%)などの消化管症状であった。 重篤な有害事象はそれぞれ15例(2.8%)、18例(3.4%)に認められた。セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の2例(クロストリジウム・ディフィシル感染)は治療関連と判定されたが、いずれも回復した。同群の1例が膀胱がんで死亡したが治療とは関連がなかった。 著者は、「この新規配合薬は、複雑性尿路感染症や腎盂腎炎の薬物療法の有用な手段に加えられるだろう。とくに、治療が困難なレボフロキサシン耐性菌やESBL産生菌の治療に有望と考えられる」としている。

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末期腎臓病への腎代替療法が急増中/Lancet

 2010年に、末期腎臓病(end-stage kidney disease)で腎代替療法(renal replacement therapy:RRT)を受けていた患者は世界で260万人以上に上り、2030年にはこれが倍以上に増加する可能性があることが、オーストラリア・シドニー大学のThaminda Liyanage氏らの検討で示された。末期腎臓病は世界的に発症率が高く、主要な死亡原因であり、今後、数十年で有病率およびRRTの施行数が急激に増加すると予測されている。患者へのサービス供給戦略を確立するには、疾病負担やRRTの施行状況を知り、将来のRRTの需要を予測する必要がある。Lancet誌オンライン版2015年3月13日号掲載の報告より。末期腎臓病の疾病負担やRRT施行状況を推定して将来の傾向を予測 研究グループは、末期腎臓病の疾病負担やRRTの施行状況を定量的に推定し、将来の傾向の予測を目的に、文献の系統的レビューを行った(Australian National Health and Medical Research Councilの助成による)。末期腎臓病は、維持透析の継続または腎移植を要する腎不全と定義した。RRTは、短期的透析を除く血液または腹膜透析による維持透析および腎移植とした。 医療文献データベース(Medline)で観察研究や腎臓レジストリを検索し、さらに各地域の専門家と連絡を取り、未発表データを含む末期腎臓病のRRT施行データを収集した。ポアソン回帰モデルを用いて国別のRRTの施行数を算出した。RRTを必要とする腎臓病患者数と実際の施行数の乖離を推算し、2030年までの必要例数を予測した。アジアで末期腎臓病のRTT非施行による死亡が多く急激に増加の予測 18編の論文などから、123ヵ国と台湾、香港のデータが得られた。これは世界の人口の93%に相当した。2010年の末期腎臓病のRRT施行例数は世界で261万8,000人であり、このうち205万人(78%)は透析を、残りは腎移植を受けていた。 同年のRRTを要する腎臓病患者数は、最低でも490万2,000人、最高では970万1,000人と推算された。RRTを受けられないことが原因で死亡した可能性がある腎臓病患者数は、少なくとも228万4,000人、多い場合は708万3,000人と推定された。 この予防可能な死亡の負担のほとんどを、低所得国と中所得国が負っていた。すなわち、RRTを要するが受療していない腎臓病患者の数は低所得国で多く、とくにアジアは190万7,000人にも上り、次いでアフリカが43万2,000人であった。 2030年までに、末期腎臓病のRRT施行例数は543万9,000人に達し、2010年の2倍以上になると予測された。なかでもアジアは2010年の96万8,000人から2030年には216万2,000人へと最も増加すると推定された。 著者は、「多数の末期腎臓病患者がRRTを受けており、受療できずにいる患者も相当数に上ることがわかった。低コストの治療法の開発とともに、効果的な地域住民ベースの予防戦略を実行に移す必要があることが示された」と結論している。

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高血圧治療を再考する ~L/N型Ca拮抗薬/ARB配合錠の選択~

高血圧治療ガイドライン2014でも示すとおり、各種降圧薬には各々の積極的適応が存在し、高血圧治療においては、それに対応した単剤/併用療法を考慮します。また、配合剤の登場により、患者の負担もより少なくなっています。本コンテンツでは、 N型Caチャネル阻害により交感神経亢進を抑制するシルニジピンと、ARBとの合剤であるシルニジピン/バルサルタン配合錠にスポットをあて、有用性とそのメカニズムを動画で詳しく解説します。

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ゴーシェ病初の経口薬 サデルガへの期待

 ジェンザイム・ジャパン株式会社は2015年3月26日、ゴーシェ病経口治療薬であるグルコシルセラミド合成酵素阻害薬「サデルガカプセル100mg」(一般名:エリグルスタット酒石酸塩、以下サデルガ)の製造販売承認を取得した。ゴーシェ病とは ゴーシェ病は世界でも患者数が1万人にも満たない先天性脂質代謝異常症である。糖脂質を分解するライソゾームの酵素(グルコセレブロシダーゼ)が生まれつき少ないため、糖脂質が体内の細胞に蓄積し、肝脾腫、貧血、出血傾向、進行性の骨疾患など重篤な全身性の症状を引き起こす。治療として、これまでに酵素補充療法(点滴)や骨髄移植が行われてきた。しかし、2週間ごとに行う点滴のための頻回な通院や、移植の侵襲性・危険性が問題となっていた。サデルガの特徴 サデルガは、ゴーシェ病に対する日本で初めての経口治療薬である。本剤は、肝臓、脾臓、骨髄などに蓄積する糖脂質(グルコシルセラミド)の合成を抑制する。その結果、ゴーシェ病患者の体内に蓄積するグルコシルセラミドの産生が減少し、貧血、肝脾腫、血小板減少症および骨症状などのゴーシェ病の諸症状を改善する作用を持つ。また、第III相試験「EDGE試験」では165例中137例で有効性複合評価項目を達成した。本試験には日本人10例が含まれていたが、その全例が有効性複合評価項目を達成しており、高い効果が示されている。新薬に対する期待 前述したように、サデルガは日本初のゴーシェ病経口治療薬であり、その利便性により患者のQOL向上が期待される。また、この新薬登場により日本のゴーシェ病患者に新たな治療選択肢が提示されることとなる。 本剤は米国食品医薬品局(FDA)と欧州委員会(EC)ですでに承認されているが、日本では臨床試験における投与経験しかない。したがって、適正使用の推進とエビデンスの蓄積により、安全に使用していくことが望まれる。詳細はプレスリリースへ参考サイト:希少疾患ライブラリ ゴーシェ病

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