サイト内検索|page:45

検索結果 合計:1056件 表示位置:881 - 900

882.

ハイリスクIgA腎症への免疫抑制療法の効果は?/NEJM

 ハイリスクIgA腎症の患者に対し、積極的支持療法に加え免疫抑制療法を併用しても、臨床的完全寛解率に有意差はみられなかった。また、推定糸球体濾過量(eGFR)の低下率についても有意差はみられず、一方で、併用群では有害事象の発生が多く観察された。ドイツ・アーヘン工科大学のThomas Rauen氏らが3年にわたる多施設共同の非盲検無作為化比較試験の結果、報告した。IgA腎症患者について、支持療法に免疫抑制療法を併用した場合のアウトカムについては、これまで明らかにされていなかった。NEJM誌2015年12月3日号掲載の報告。単独支持療法または免疫抑制療法併用で3年間治療 試験の対象は、1日の尿蛋白排泄量が0.75g以上の持続性蛋白尿の患者337例。当初6ヵ月は導入期間として、蛋白尿の程度に基づきレニン・アンジオテンシン系阻害薬の投与量などについて調整を行い、支持療法を行った。その後、被験者を無作為に2群に分け、一方には支持療法のみを(支持療法群)、もう一方には支持療法と免疫抑制療法を併用し(併用群)、いずれも3年間継続した。 主要エンドポイントは階層法で順序付けをした2つで、試験終了時の臨床的完全寛解(蛋白とクレアチニンをグラム測定した際の尿蛋白・クレアチニン比が0.2未満、eGFRのベースラインからの低下幅が5mL/分/1.73m2体表面積未満)と、eGFRの15mL/分/1.73m2体表面積以上の低下だった。臨床的完全寛解、eGFR低下率とも両群間の有意差はみられず 被験者のうち、導入期間を終了したのは309例。そのうち1日の尿蛋白排泄量が0.75g未満に減少したのは94例だった。 残る患者のうち、最終的に162例について無作為化を行い、80例を支持療法群、82例を併用群に割り付けた。 結果、試験終了後に臨床的完全寛解が認められたのは、支持療法群4/80例(5%)に対し、併用群は14/82例(17%)で、両群間の有意差は認められなかった(p=0.01)。 また、eGFRの15mL/分/1.73m2以上低下についても、達成患者は支持療法群22例(28%)、併用群21例(26%)で、両群間の有意差はみられなかった(p=0.75)。eGFRの年間低下率についても、有意差はみられなかった。 一方、有害事象は、重度感染症、糖代謝異常、当初1年間の5kg以上の体重増加が、いずれも併用群で支持療法群よりも高率に認められた。また併用群1例で敗血症による死亡が報告された。

883.

CKDリスクを予測する新たなバイオマーカーの可能性/NEJM

 可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータ受容体(suPAR)の上昇は、ベースライン時の腎機能正常者において、慢性腎臓病(CKD)の発症および推定糸球体濾過量(eGFR)の加速度的な低下と有意に関連することが、米国・エモリー大学医学部のSalim S Hayek氏らの検討で示された。血漿中のsuPARの高値は、多様な病態の患者集団において、不良な臨床転帰や巣状分節性糸球体硬化症、糖尿病性腎症と関連することが知られている。これらの知見はまだ検証中であるが、腎臓病におけるsuPARの広範な役割が示唆されている。NEJM誌2015年11月12日号(オンライン版2015年11月5日号)掲載の報告。血漿suPAR値とCKD発症の関連を前向きコホート試験で評価 研究グループは、「血漿suPAR値はCKDの新規発症と関連する」との仮説を検証するために、心血管疾患患者を対象に大規模な前向きコホート試験を実施した(Abraham J and Phyllis Katz Foundationなどの助成による)。 2003~09年に、アトランタ市の3施設で心臓カテーテルを施行され、エモリー心血管バイオバンクに登録された3,683例(平均年齢63±12歳、男性65%、suPAR中央値3,040pg/mL)の血漿suPAR値を測定した。このうち2,292例(62%)で、登録時とフォローアップ期間中の受診時に腎機能の評価を行った。 suPAR値とベースラインのeGFR、eGFRの経時的変化、CKDの発症との関連につき、人口統計学的変量および臨床的変量で補正後に、線形混合モデルとCox回帰を用いて解析を行った。suPAR値の四分位数(Q1~Q4)別に、eGFRの変化およびCKDの発症の比較を行った。CKDは、eGFR<60mL/分/1.73m2と定義した。 ベースラインのsuPAR値が≧3,040pg/mL(中央値)の患者は、<3,040pg/mLの患者に比べ、年齢が高く、女性が多く、喫煙歴、高血圧、糖尿病、蛋白尿、冠動脈疾患、心筋梗塞歴の頻度が高く、高感度CRPが高値で、eGFRは低値であった(いずれもp<0.001)。CKD発症率が、Q3はQ1の2倍、Q4は3倍以上に ベースラインのsuPAR値が高い患者ほど、フォローアップ期間を通じてeGFR低下の程度が大きく、suPAR値が最大四分位群(Q4)の患者のeGFRの年間の変化が-4.2mL/分/1.73m2であったのに対し、最小四分位群(Q1)では-0.9mL/分/1.73m2であった(p<0.001)。 Q4のeGFRの年間の低下は、Q1およびQ2よりも大きく(いずれも、p<0.001)、Q3もQ1およびQ2に比べ年間の低下が大きかった(いずれも、p<0.001)。Q1とQ2、Q3とQ4の間には有意な差はなかった。 suPAR値関連のeGFRの低下は、ベースラインのeGFRが<60mL/分/1.73m2の患者では有意ではなく(-0.1%、95%信頼区間[CI]:-0.9~0.7)、≧60mL/分/1.73m2の患者では有意であり(-1.2%、95%CI:-1.8~-0.6)、これらの間には有意な差が認められた(交互作用検定:p<0.001)。 また、ベースラインのeGFRが低い患者ほどsuPAR値に関連するeGFRの変動が小さく、ベースライン時に正常(90~120mL/分/1.73m2)であった921例のsuPAR値関連eGFRの低下が最も大きかった(交互作用検定:p<0.001)。 一方、ベースラインのeGFRが≧60mL/分/1.73m2の1,335例におけるCKDの発症率は、suPAR値の四分位がQ1からQ4へ1段階ずつ上がるに従って有意に増加し(ハザード比[HR]:1.40、95%CI:1.26~1.55、p<0.001)、≧3,040pg/mLの患者は<3,040pg/mLに比べて約2倍高かった(HR:1.97、95%CI:1.53~2.54、p<0.001)。 また、suPAR値がQ1の患者に比べて、Q3の患者のCKD発症率は2倍(HR:2.00、95%CI:1.38~2.89、p<0.001)、Q4は3倍以上(HR:3.13、95%CI:2.11~4.65、p<0.001)に達し、Q4はQ3の約1.5倍であった(HR:1.51、95%CI:1.11~2.06、p=0.01)。 著者は、「suPAR高値は、ベースライン時の腎機能正常者においてCKDの発症およびeGFRの加速度的な低下とそれぞれ独立の関連を示した」とまとめ、「これらの結果は、suPARが、CKDのバイオマーカーとして不可欠の要件を満たすことを示唆する」と指摘している。

885.

妊娠高血圧腎症と新生児の先天性心疾患リスク/JAMA

 妊娠高血圧腎症と新生児の先天性心疾患との関連について検証した結果、非重症の心疾患と顕著に関連していること、重症心疾患との関連は妊娠34週以前発症の場合にみられることなどが明らかにされた。カナダ・モントリオール大学のNathalie Auger氏らが、1989~2012年にケベック州の病院で誕生した新生児194万例超を対象とした住民ベースコホート研究の結果、報告した。妊娠高血圧腎症を呈した母親から生まれた新生児の先天性心疾患リスクは十分に解明されていない。今回の結果を踏まえて著者は、「先天性心疾患の絶対リスクは低かった」とまとめている。JAMA誌2015年10月20日号掲載の報告。有病率を、妊娠高血圧腎症曝露群と非曝露群で比較 検討は、1989~2012年のケベック州全住民を対象に行われた。同対象は、カナダの人口の4分の1を占める。分析には、心疾患の有無を問わず同期間にケベック州の病院で新生児を出産した全女性を包含、対象児は194万2,072例であった。 新生児誕生時の重症または非重症の先天性心疾患の有病率を、妊娠高血圧腎症曝露(妊娠34週未満または以後に発症)群と非曝露群で比較し評価した。全有病率比は1.57、重症例の有病率比は1.25、非重症例は1.56 先天性心疾患の絶対有病率は、妊娠高血圧腎症曝露新生児のほうが、非曝露新生児よりも高率であった。全有病率は、前者が16.7/1,000例、後者は8.6/1,000例で、有病率比は1.57(95%信頼区間[CI]:1.48~1.67)、有病率差(新生児10万例当たり)は577.1例(95%CI:483.0~671.1)であった。 重症先天性心疾患の有病率は、曝露群123.7/10万例、非曝露群75.6/10万例で、有病率比は1.25(95%CI:1.00~1.57)、有病率差は23.6例(同:-1.0~48.2)で、曝露群の増大は認められなかった。 一方、非重症の先天性心疾患有病率は、曝露群1,538.8/10万例、非曝露群789.2/10万例で、有病率比は1.56(95%CI:1.47~1.67)、有病率差は521.1例(同:431.1~611.0)で、曝露群の増大がみられた。 特異的疾患別にみた場合、有病率が最も高かったのは中隔欠損症で、曝露群の同有病率は1,090.9/10万例であった。 発症時期で比較した場合、後期(34週以後)発症と比べて早期(34週未満)発症群では、重症先天性心疾患の有病率比は2.78(95%CI:1.71~4.50)、有病率差は249.6例(同:89.7~409.6)であったが、非重症先天性心疾患については、有病率比5.55(同:4.98~6.19)、有病率差6,089.2例(同:5,350.0~6,828.3)であった。

886.

CLEAN試験:血管内カテーテル挿入時の皮膚消毒はクロルヘキシジン・アルコール(解説:小金丸 博 氏)-440

 カテーテル関連血流感染症(CRBSI)はありふれた医療関連感染であり、死亡率も高いことが知られている。カテーテル挿入時の皮膚消毒は感染予防に重要であり、今までも適切な皮膚消毒薬について議論されてきた。米国疾病予防管理センター(CDC)は、カテーテル挿入時の皮膚消毒に、0.5%を超えるクロルヘキシジンを含むクロルヘキシジン・アルコールを推奨しているが、クロルヘキシジン・アルコールとポビドンヨード・アルコールをhead-to-headで比較した大規模試験は存在しなかった。 本研究は、血管内カテーテル挿入時の皮膚消毒薬として、2%クロルヘキシジン・70%イソプロピルアルコールと5%ポビドンヨード・69%エタノールの有効性を比較した、ランダム化比較試験である。両群をさらに消毒前の皮膚洗浄(scrubbing)の有無で1:1:1:1の4群に割り付けした(2×2要因デザイン)。動脈カテーテル、血液透析カテーテル、中心静脈カテーテルの留置が48時間以上必要な18歳以上の成人2,546例を対象とし、カテーテル関連感染症の発生率を主要評価項目とした。カテーテル関連感染症の定義は、菌血症を伴わないカテーテル関連敗血症、あるいはCRBSI(血液培養が陽性)とした。 カテーテル関連感染症の発生率は、クロルヘキシジン・アルコール群で0.28/1,000カテーテル日、ポビドンヨード・アルコール群で1.77/1,000カテーテル日であり、クロルヘキシジン・アルコール群が有意に低率だった(ハザード比:0.15、95%信頼区間:0.05~0.41、p=0.0002)。CRBSIの発生率もクロルヘキシジン・アルコール群で低率だった(0.28 vs.1.32/1,000カテーテル日)。消毒前の皮膚洗浄の有無では、カテーテル関連感染症、CRBSIの発生率に差はなかった。 また、全身性の有害事象は認めなかったが、クロルヘキシジン・アルコール群で重篤な皮膚反応を多く認めた(3% vs.1%)。 カテーテル挿入部位や手術部位など皮膚の消毒には、クロルヘキシジンの有効性が報告されてきており、本研究でもポビドンヨードと比較してクロルヘキシジンの有効性が示された。過去の研究では、カテーテルコロニゼーション(カテーテルへの菌の定着)を主要評価項目としているものが多く、もともとCRBSIの発生率が低い集団において、カテーテル関連感染症の発生率を大きく低下させることを示した意義は大きい。今後さらに、クロルヘキシジン・アルコールを皮膚消毒に使用する流れが加速するだろう。 現時点で、日本では2%クロルヘキシジン製剤が発売されておらず、使用することはできない。多くの施設では、CDCガイドラインで推奨されている「0.5%を超える濃度のクロルヘキシジン」という文言を参考に、1%クロルヘキシジン・アルコール製剤を使用していると思われる。今後も1%クロルヘキシジン・アルコールを使用するのであれば、1%製剤はポビドンヨードより有効なのか、2%クロルヘキシジン・アルコールと効果は同等なのか、有害事象の発生率に差はないのか、といった疑問を解決してくれるような研究が必要と考える。

887.

常染色体優性多発性嚢胞腎〔ADPKD : autosomal dominant polycystic kidney disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義PKD1またはPKD2遺伝子の変異により、両側の腎臓に多数の嚢胞が発生・増大する疾患。■ 診断基準ADPKD診断基準(厚生労働省進行性腎障害調査研究班「常染色体優性多発性嚢胞腎ガイドライン(第2版)」)1)家族内発生が確認されている場合(1)超音波断層像で両腎に各々3個以上確認されているもの(2)CT、MRIでは、両腎に嚢胞が各々5個以上確認されているもの2)家族内発生が確認されていない場合(1)15歳以下では、CT、MRIまたは超音波断層像で両腎に各々3個以上嚢胞が確認され、以下の疾患が除外される場合(2)16歳以上では、CT、MRIまたは超音波断層像で両腎に各々5個以上嚢胞が確認され、以下の疾患が除外される場合※除外すべき疾患多発性単純性腎嚢胞(multiple simple renal cyst)腎尿細管性アシドーシス(renal tubular acidosis)多嚢胞腎(multicystic kidney 〔多嚢胞性異形成腎 multicystic dysplastic kidney〕)多房性腎嚢胞(multilocular cysts of the kidney)髄質嚢胞性疾患(medullary cystic disease of the kidney〔若年性ネフロン癆 juvenile nephronophthisis〕)多嚢胞化萎縮腎(後天性嚢胞性腎疾患)(acquired cystic disease of the kidney)常染色体劣性多発性嚢胞腎(autosomal recessive polycystic kidney disease)【Ravineの診断基準】(表)(家族歴がある場合の画像診断基準)画像を拡大する■ 疫学一般人口中に占める多発性嚢胞腎患者数(有病率)は、病院受診者数を基に調査した結果では一般人口3,000~7,000人に1人である。病院患者数に占める多発性嚢胞腎患者数は3,500~5,000人に1人、病院での剖検結果では被剖検患者約400人に1人である。メイヨー病院があるオルムステッド郡(米国)で1年間に新たに診断された患者数(発症率)は、一般人口1,000~1,250人あたり1人である。調査方法、調査年代、調査場所などにより、結果に差異が認められる。今後、治療薬が利用可能になると受療する患者数が増加し、有病率も増える可能性がある。■ 病因(図を参照)画像を拡大するPKD1またはPKD2遺伝子の変異による。PKD1は16p13.3、PKD2は4q21-23に位置する。PKD1とPKD2の遺伝子産物 polycystin 1(PC 1)とPC2はtransient receptor potential channel for polycystin(TRPP)subfamilyで、Caチャネルである。PC1とPC2は腎臓、肝臓、膵臓、乳腺の管上皮細胞、平滑筋と血管内皮細胞、脳の星状細胞に存在する。PCは腎臓上皮細胞、血管内皮細胞、胆管細胞などの繊毛に存在する。尿細管腔の内側に存在する繊毛は、尿細管液の流れに反応して屈曲する。屈曲によるshear stressはPCや繊毛機能に関係する蛋白を活性化し、細胞外と小胞体からCaイオンを細胞質内へ流入させ、細胞質内Ca濃度を高める。繊毛機能に関係する蛋白をコードする遺伝子異常が嚢胞性腎疾患をもたらすことが明らかとなり、繊毛疾患(ciliopathy)として概括されている。PKD細胞ではPC機能異常により、尿細管上皮細胞のCa濃度は低値である。細胞内Ca濃度が低下すると、cyclicAMP(cAMP)分解酵素(PDE)活性が低下し、またcAMPを産生するadenyl cyclase(AC)活性が高まり、細胞内cAMP濃度が高まる。その結果、cAMP依存性protein kinase A(PKA)機能が高まり、種々のシグナル経路(EGF/EGFR、Wnt、Raf/MEK/ERK、JAK/STAT、mTORなど)が活性化され細胞増殖が起きる。繊毛は細胞極性(尿細管構造形成)に関与しており、細胞極性機能を失った細胞増殖が起きる結果、嚢胞が形成される。また、PKAはcystic fibrosis transmembrane conductance regulator(CFTR)を刺激し、嚢胞内へのCl分泌を高める。腎尿細管(集合管)に存在するバソプレシン(AVP)V2受容体は、AVPの作用を受け、ACおよびcAMP、PKAを介して水透過性を高める。この過程でcAMPは嚢胞を増大させる。ソマトスタチンはACを抑制するので、治療薬として期待される。■ 症状多くの患者は30~40代までは無症状で経過する。1)腎機能低下腎機能の低下と総腎容積は相関し、総腎容積が3,000mLを超えると腎不全になる確率が高い。しかし、3,000mLを超えない場合でも腎不全になる場合もある。腎不全による症状(疲労、貧血、食欲低下、皮膚搔痒など)は、他疾患による腎不全症状と同じである。透析導入平均年齢は55歳位であったが、最近では60歳近くになっている。患者全体では70歳で約50%が終末期腎不全になる。2)高血圧血管内皮機能の異常により高血圧を来すと考えられ、腎機能が低下する以前から発症する。60~80%の患者が高血圧に罹患している。高血圧になっている患者では腎臓腫大と腎機能低下の進行が速い。3)圧迫症状腎臓や肝臓の嚢胞(60~80%の患者に嚢胞肝が併存)が腫大するにつれて、腹部膨満感、少し食べるとお腹が張る、前屈が困難になる、背腰部痛、腹部痛などの圧迫症状が出現する。腎嚢胞は平均年5~6%の割合で増大するので、加齢とともに症状は進行する。4)脳血管障害脳出血、くも膜下出血、脳梗塞の発症頻度が高い。脳出血の原因として高血圧がある。脳動脈瘤の発生頻度(約8%)は一般より高い。5)血尿・尿路感染症血管の構築異常により血管が裂け、嚢胞内に出血し、疼痛を引き起こす。出血巣と尿路が交通すると血尿になる。また、変形した尿路のために尿路感染症を起こしやすい。嚢胞感染が起きると抗菌薬が嚢胞内に移行しにくいので難治性になることがある。6)その他尿路結石、鼠径ヘルニア、大腸憩室、心臓弁膜機能異常などの頻度が高い。■ 分類遺伝子の変異部位に応じて、PKD1とPKD2に分かれる。約85%はPKD1である。PKD1の方が症状は強く、腎不全になる平均年齢も若い。■ 予後生命予後に関するデータはない。腎機能に関しては症状の項参照。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断基準に準ずる。家族歴と画像検査(超音波、CT、MRIなど)で比較的正確に診断できるが、中には診断に迷う症例もあり、遺伝子診断が有用な場合もある。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)1)トルバプタン(商品名: サムスカ)による治療AVP V2受容体拮抗薬トルバプタンは、ナトリウム利尿をあまり伴わない水利尿作用があり、低ナトリウム血症、体液貯留の治療薬として開発され、わが国では、2010年に心不全による体液貯留、2013年に肝硬変による体液貯留への治療薬として承認を受けている。2003年にモザバプタン(トルバプタンの前段階の薬)が、多発性嚢胞腎モデル動物に有効であると発表され、2007年から多発性嚢胞腎患者1,445名を対象として、トルバプタンの有効性と安全性を検討する国際共同治験が行われた。腎臓容積増大速度を約50%、腎機能低下速度を約30%緩和する結果が2012年秋に発表され、わが国において2014年3月に多発性嚢胞腎治療薬として承認され、臨床使用が始まっている。わが国での投薬適応基準は、総腎容積≧750mL、総腎容積増大速度≧年5%、eGFR≧15 mL/min/1.73m2などである。服用開始時には入院が必要で、その後月1回の血液検査で肝機能(5%程度に肝機能障害が発生する)、血清Na値(飲水不足で高Na血症になる)、尿酸値(上昇する)などのモニターが必要である。また、トルバプタンの処方医はWeb講習を受講し、登録する必要がある。2)高血圧の治療ARBが第1選択薬として推奨される。標準的降圧目標(120/70~130/80)とより低い降圧目標(95/60~110/75)との2群を5年間追跡したところ、より低い降圧群での総腎容積増大速度が低かったことが報告されているので、可能なら収縮期血圧を110未満にコントロールすることが望ましい。3)Na摂取制限Na摂取と腎嚢胞増大速度は相関するので、Na摂取は制限したほうがよい。4)飲水動物実験では飲水によって嚢胞の増大抑制効果が認められているが、人で飲水を奨励した結果では、逆に嚢胞増大速度とeGFR低下速度が増大したことが報告されている。水道水では、消毒用塩素の副産物ジクロロ酢酸に嚢胞増大作用があることが報告されている。多発性嚢胞腎患者では、腎機能が低下するにしたがい血清浸透圧とAVPが高くなることが報告されている。人における飲水効果には疑問があるが、脱水によるAVP上昇は避けるべきである。5)カフェインや抗うつ薬カフェインはPDEを抑制しcAMP濃度を上昇させ、嚢胞増大を促進する可能性がある。SSRI、三環系抗うつ薬などはAVPの放出を促進するため、多発性嚢胞腎では嚢胞増大を促進することが考えられる。6)開発中の薬剤(1)トルバプタン〔AVP V2受容体阻害薬〕は、大規模な臨床試験で腎嚢胞増大と腎機能悪化を抑制する効果が示され1)、わが国では2014年3月、カナダ、ヨーロッパでは2015年3月に認可が下りている。(2)ソマトスタチンアナログは小規模な臨床試験で肝臓と腎臓の嚢胞増大に有効と報告されているが、当局への申請を目的とする大規模な臨床試験は行われていない。(3)mTOR阻害薬であるシロリムスとエベロリムスの臨床試験が行われたが、副作用が強く臨床効果が認められなかった。7)腎動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization: TAE)腎動脈を塞栓し、腎臓を縮小させることで症状の緩和をもたらす。すでに透析が導入され、尿量が1日500mL以下の患者が対象となる。8)腹腔鏡下腎嚢胞開創術、腎摘除術抗菌薬抵抗性または反復感染の原因になっている嚢胞が特定される場合、あるいは数個の嚢胞が特別に大きくなり圧迫症状が強い場合、腹腔鏡下に特定の嚢胞を開窓する手術が適応となる。出血が強い場合や、反復する嚢胞感染がある場合、患者に腎機能の予後をよく説明したうえで同意を前提として腎摘除術(腹腔鏡下腎摘除術も行われる)が選択肢となる。4 今後の展望1)最近の研究では、総腎容積増大速度が5%/年以下でも、腎不全に進行することが示されている。トルバプタン適応基準となった総腎容積増大速度≧5%/年の基準では、これら腎不全に進行する患者を除外することになる。2)トルバプタンの作用として利尿作用があるが、利尿作用を少なくする薬剤が望まれる。3)多発性嚢胞腎の進展機序は、cAMP-PKAを介する経路のみではないので、cAMP-PKA非依存性経路を抑制する薬剤開発が望まれる。4)肝臓嚢胞に有効なソマトスタチンアナログの臨床開発が望まれる。5 主たる診療科腎臓内科、泌尿器科、脳動脈瘤があれば脳外科(多発性嚢胞腎に関心の高い医師の存在)※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報多発性嚢胞腎啓発ウエブサイト(杏林大学多発性嚢胞腎研究講座)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 多発性嚢胞腎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)常染色体多発性嚢胞腎(順天堂大学医学部泌尿器科)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)ADPKD.JP (~多発性嚢胞腎についてよくわかるサイト~/大塚製薬株式会社)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報PKDの会(患者と患者家族の会)1)Torres VE,et al.N Engl J Med.2012;367:2407-2418.2)東原英二 編著.多発性嚢胞腎~進化する治療最前線~.医薬ジャーナル;2015.3)Irazabal MV, et al. J Am Soc Nephrol.2015;26:160-172.公開履歴初回2013年04月18日更新2015年10月27日

888.

収縮期血圧20mmHg上昇でPADリスク63%増大/BMJ

 収縮期血圧値が標準よりも20mmHg高いと末梢動脈疾患(PAD)リスクは63%上昇することが、英国・オックスフォード大学のConnor A Emdin氏らによる大規模コホート研究の結果、示された。これまで、血圧上昇とPADリスク増大の関連に関するエビデンスは限定的なものであった。今回、研究グループは、23年間約420万人分の英国プライマリケアの電子カルテ記録を基に分析した。結果を踏まえて著者は、「血圧上昇は幅広い患者群の強いリスク因子である」と結論し、「臨床医は、PADは慢性腎臓病、虚血性心疾患、心不全、心房細動、脳卒中などその他の血管イベントのリスクを増大することを認識しなければならない」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年9月29日号掲載の報告。英国プライマリケアデータ420万人分を分析 研究グループは、英国の1990~2013年の電子カルテ記録を基に、標準血圧値とPADリスクの特異的サブグループの関連性、またPADとその他血管疾患の関連性を調べた。 被験者は、30~90歳で、過去1年以内にプライマリケア診療所の受診記録があり、血圧測定を行っていた422万2,459例であった。 主要評価項目は、PAD新規発症を初回診断されたまでの期間、12の異なる血管イベントの初回診断までの期間であった。PAD患者ではCKDが多い 結果、収縮期血圧値が標準よりも20mmHgと、PADリスクは63%上昇することが確認された(ハザード比[HR]:1.63、95%信頼区間[CI]:1.59~1.66)。 この関連の強さは、年齢、BMIの上昇とともに低減する(相互作用のp<0.001)が、性別や喫煙状態による影響はみられなかった。 PADは、虚血性心疾患(HR:1.68、95%CI:1.58~1.79)、心不全(1.63、1.52~1.75)、大動脈瘤(2.10、1.79~2.45)、慢性腎臓病(1.31、1.25~1.38)など11の血管イベントのリスク増大と関連していた。出血性脳卒中については関連していなかった。 PAD患者で最も頻度の高い初発の血管イベントは、慢性腎臓病(初発血管イベントの24.4%)であった。次いで、虚血性心疾患(同18.5%)、心不全(14.7%)、心房細動(13.2%)であった。 今回の検討コホートにおける全推算値は、2件のメタ解析所見をプールした、従来研究の所見と一致していた。

889.

中高年高血圧症例では足関節上腕血圧比測定を考慮する必要はあるか?(解説:冨山 博史 氏)-429

概要とコメント 本研究は、英国において1990年から2013年までプライマリケアで電子媒体に登録された、30~90歳の成人422万例の医療記録データを、前向き研究(平均観察期間7年)として解析した。前向き研究開始時に、末梢動脈疾患(PAD)非合併例は420万4,190例であり、PAD合併例は1万8,296例であった。前者では、経過中に4万4,239例(1.1%)でPADを発症し、収縮期血圧20mmHg上昇に伴い、PAD発症リスクは63%高まることが示された。 これまで血圧とPADの関係は、断面研究で検討した報告が多く1)、大規模な前向き研究が少ないため、PAD発症に対する血圧上昇のリスクとしての重要性は十分明らかでなかった。422万例を対象とした本前向き研究にて、血圧上昇がPAD発症の独立したリスクであることが示された。高血圧のPAD発症リスクとしての重要性を示す結果である。 一方、PAD合併例(1万8,296例)では、7年の経過観察中に7,760例(42.5%)で心血管イベント発症を認めた。その内訳では、従来の冠動脈疾患、脳卒中に加え、慢性腎臓病(24.4%)、心不全(14.7%)、心房細動(13.2%)の発症が多いことが新たに示された。PADでは、わが国の検討も含め20~40%の症例に腎動脈狭窄を合併することが報告されている2)。今後、こうした腎動脈狭窄のCKD発症への影響を検証する必要がある。また、PADでは血管床全体が硬化しており、中心血行動態異常が生じていると推察される。中心血行動態異常は心不全発症のリスクであり3)、今後、PADで心不全が発症する機序を明確にする必要がある。研究成果の臨床応用と限界 2007年に発表されたTASC IIでは、PAD発症リスクとしての高血圧の相対危険度(オッズ比:1.5~2)は、DM/喫煙(オッズ比:3前後)より弱いと述べている4)。本研究における重要な知見は、血圧上昇に伴うPAD発症のハザード比は70歳以上では1.4であるのに対し、40~69歳では1.8前後と上昇することである。さらに、本研究ではオッズ比は算出していないが、考察においてサブグループ解析の結果より、収縮期血圧20mmHg上昇によるPAD発症のリスクは、喫煙と同等と推察している。 一般に、PAD合併を考慮する(足関節上腕血圧比測定を考慮する)症例として、70歳以上、50~69歳でかつ喫煙または糖尿病を合併する症例が挙げられる4)。2013年、日本循環器学会「血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン」では、高血圧症例において足関節上腕血圧比測定を考慮する症例として、65歳以上、またはJSH2009脳心血管リスク層別化で高リスクの症例を推奨している5)。しかし、最近のガイドラインを踏まえても6)、どのような病態の高血圧症例で足関節上腕血圧比測定を考慮すべきか、十分に明確ではなかった。本研究の結果は、50~69歳で未治療高血圧例および血圧コントロール不良の症例においてもPAD合併を考慮し、適切な問診、下肢動脈触診を実施し、可能であれば足関節上腕血圧比を測定することの有用性を示唆する。 TASC IIでは、PAD症例は40~50%に冠動脈疾患、20~40%に脳卒中を合併すると報告している4)。本研究では7年の経過観察中に1万8,296例中3,415例(19%)で冠動脈疾患、脳卒中または心不全の発症を認めた。本結果は、PAD診断時にほかの心血管疾患合併のない症例でも、慎重な経過観察が重要であることを支持する。 本研究の限界として以下が挙げられる。 (1)PADの診断は間欠跛行で実施されているが、無症候性PAD(足関節上腕血圧比0.90未満だが無症状)の頻度は間欠跛行を有する症例の3~4倍とされる。近年、わが国を中心に、オシロメトリック法を用いて足関節上腕血圧比が簡便に測定されるようになり、無症候性PADを診断する機会が多くなってきた7)。本研究の結果をこうした無症候性PADに応用できるかは不明であり、また、疾患診断が電子記録媒体での評価であることも研究の限界である。 (2)本研究では、収縮期血圧・拡張期血圧上昇とPAD発症の関連は、正常血圧域から認められた。本研究の著者らは、血圧低下がPAD発症を予防すると推論を述べている。しかし、研究対象症例で降圧薬服用は観察開始時9.9%、終了時28.7%であり、積極的な血圧治療がPAD発症予防に有用であるかは検証できない。参考文献はこちら1)Meijer WT, et al. Arch Intern Med. 2000;160:2934-2938.2)Endo M, et al. Hypertens Res. 2010;33:911-915.3)Chirinos JA, et al. J Am Coll Cardiol. 2012;60:2170-2177.4)Norgren L, et al. Eur J Vasc Endovasc Surg. 2007;33 Suppl 1:S1-75.5)日本循環器学会ほか.循環器病の診断と治療に関するガイドライン2013(2011-2012年度合同研究班報告)血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン(JCS 2013).6)Vlachopoulos C, et al. Atherosclerosis. 2015;241:507-532.7)Koji Y, et al. Am J Cardiol. 2004;94:868-872.

890.

カテーテル関連感染症、クロルヘキシジン消毒で大幅減/Lancet

 カテーテル挿入前に、皮膚消毒をクロルヘキシジン・アルコールで行うと、ポビドンヨード・アルコールを使った場合に比べて、カテーテル関連感染症リスクは85%低下することが示された。フランス・CHU de PoitiersのOlivier Mimoz氏らが、2,546例を対象とした無作為化比較試験の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「血管内カテーテル関連感染症予防のためにも全例について、皮膚消毒はクロルヘキシジン・アルコールを用いるべきである」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年9月17日号掲載の報告より。皮膚消毒前の洗剤による皮膚洗浄の有無についても比較 研究グループは、2012年10月~14年2月にかけて、フランス国内11ヵ所のICU入室となり、中心静脈カテーテル、血液透析、動脈カテーテルのいずれかを行った18歳以上の患者2,546例を対象に試験を行った。クロルヘキシジン・アルコールまたはポビドンヨード・アルコールによる皮膚消毒の、カテーテル関連の感染症予防効果について比較を行った。 被験者を無作為に4群に分け、2%クロルヘキシジン・70%イソプロピルアルコールまたは5%ポビドンヨード・69%エタノールのいずれかによる皮膚消毒群、および同実施前の洗剤による皮膚洗浄の有無別に割り付けた。 医師、看護師は、割り付けについてマスキングされなかったが、細菌学者およびアウトカム評価者には割り付けをマスキングされた。 主要アウトカムは、カテーテル関連感染症の発生率だった。皮膚洗浄の有無は感染率に有意差みられず クロルヘキシジン・アルコール群は1,181例、そのうち洗剤による皮膚洗浄を行ったのは594例だった。ポビドンヨード・アルコール群は1,168例、うち皮膚洗浄群は580例だった。 カテーテル関連感染症の発生率は、ポビドンヨード・アルコール群が1.77/1,000カテーテル日に対し、クロルヘキシジン・アルコール群は0.28/1,000カテーテル日と有意に低率だった(ハザード比:0.15、95%信頼区間:0.05~0.41、p=0.0002)。 洗剤による皮膚洗浄の有無では、同発生率に有意差はなかった(p=0.3877)。 また、全身性有害事象は認められなかったが、重篤皮膚反応の発生が、ポビドンヨード・アルコール群で1%(7人)に対しクロルヘキシジン・アルコール群では3%(27人)と有意に高率にみられた(p=0.0017)。2例はクロルヘキシジン・アルコール中断となった。

891.

新世代MRA、糖尿病性腎症のアルブミン尿を有意に抑制/JAMA

 ACE阻害薬またはARBを服用中の糖尿病性腎症患者に対する、新世代の非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)finerenoneは、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を用量依存的に抑制することが示された。米国・シカゴ大学医学部のGeorge L. Bakris氏らが、23ヵ国148施設共同で、患者821例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、報告した。これまで慢性腎臓病患者において、RA系阻害薬へのステロイド系MRA追加は、アルブミン尿を抑制するが、有害事象リスクが高く活用されていなかった。JAMA誌2015年9月1日号掲載の報告。90日後のUACRを比較 研究グループは、23ヵ国(148ヵ所)の医療機関を通じ、高値(UACRが30~300mg/g未満)または非常に高値(同300mg/g以上、本検討では被験者の75%以上)のアルブミン尿を呈し、RA系阻害薬(ACE阻害薬またはARB)を服用する糖尿病患者821例を対象に、finerenone併用の安全性と有効性を検討した。 研究グループは被験者を無作為に8群に分け、finerenoneを1日1回、1.25mg/日、2.5mg/日、5mg/日、7.5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、プラセボをそれぞれ90日間投与した。 主要評価項目は、90日後 vs.ベースラインのUACR比とした。90日UACRは7.5mg群で0.79倍、20mg群で0.62倍に 被験者は、2013年6月~2014年2月の間に集められ、試験は2014年8月に完了した。1,501例がスクリーニングを受け、823例が無作為化を受け、821例が試験薬を服用した(1.25mg/日群96例、2.5mg/日群92例、5mg/日群100例、7.5mg/日群97例、10mg/日群98例、15mg/日群125例、20mg/日群119例、プラセボ94例)。被験者の平均年齢は64.2歳で、78%が男性だった。 結果、finerenoneは、用量依存的にUACRを抑制した。 主要評価項目である、プラセボ補正後のベースラインに対する90日UACR比は、7.5mg群が0.79(90%信頼区間:0.68~0.91、p=0.004)、10mg群が0.76(同:0.65~0.88、p=0.001)、15mg群が0.67(同:0.58~0.77、p<0.001)、20mg群が0.62(同:0.54~0.72、p<0.001)だった。 副次アウトカムの高カリウム血症による服用中止率は、7.5mg群2.1%、15mg群3.2%、20mg群1.7%で認められ、プラセボ群と10mg群では認められなかった。 推算糸球体濾過量(eGFR)の30%以上減少の発生や、有害事象・重度有害事象発生頻度は、プラセボ群とfinerenone群で同等だった。 結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、その他の有用薬と比較をすべきであろう」とまとめている。

892.

糖尿病性腎症の治療薬としての非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬に期待(解説:浦 信行 氏)-413

 JAMA誌に、非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬であるfinerenoneの尿アルブミン低減効果が報告された。 現時点では、糖尿病性腎症に対しては、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)が第1選択薬であるが、ACE阻害薬やARB使用でも尿アルブミン低減が十分でない例が多く、より一層の腎保護効果、尿アルブミン低減効果を期待できる薬物療法が求められていた。ステロイド系MR拮抗薬であるスピロノラクトンやエプレレノンは、降圧効果だけでなく、ACE阻害薬やARBへの併用で一層の尿アルブミン低減効果を示したが、高K血症の誘発や推算糸球体濾過量(eGFR)の低下を引き起こすことが報告され、エプレレノンは糖尿病性腎症や中等度以上の腎機能障害では禁忌となっている。 ステロイド骨格を持たないMR拮抗薬finerenoneはバイエル薬品で開発されたが、すでにACE阻害薬かARBが使用されている糖尿病性腎症例へのfinerenoneの併用効果が、二重盲検試験で評価された。その結果は、有意な尿アルブミン低減効果が確認され、高K血症は2~3%程度にとどまり、eGFRの有意な変動はなかったというものである。 動物実験ではすでに、同等のNa利尿作用を示す量のエプレレノンに比較して、尿蛋白低減効果が有意に大で、臓器保護効果にも優れていたことが報告されていた。 本研究は多施設共同研究で、糖尿病性腎症においてACE阻害薬やARBとの併用効果をみた初めての試験である。尿アルブミンは最大で38%の減少効果の上乗せがあり、ACE阻害薬やARBは72.7%の例で最少使用量を超える量が使用されている。高K血症は、過去のステロイド系MR拮抗薬では8%や17%などと報告され、多いものでは52%という高い数字が示されている。高K血症が低率であった一因には、eGFRの低下がなかったことが挙げられる。ただし、ほぼ95%に高血圧が合併し、併用前の血圧値は138/77mmHg前後であったが、20mgの最大使用量でも収縮期血圧の低下作用が5mmHg程度にとどまっていた。尿アルブミン低減効果は降圧効果とは関連しないとも結論され、機序としては、ステロイド系MR拮抗薬のような脳内移行による中枢での降圧作用がないことが1つであるとしている。 この研究では、60%以上の例がeGFRで60mL/min/1.73m2以上のCKD1~2であり、もっと広い範囲で一層のデータの集積が必要ではあるが、わが国で新規透析導入の原因疾患の第1位である糖尿病性腎症の薬物療法において、大きな光明をもたらすことを期待する。

893.

治療薬の開発が進むアミロイドーシスの最新知見

 第3回日本アミロイドーシス研究会学術集会(大会長:安東 由喜雄氏[熊本大学大学院 生命科学研究部 神経内科学分野 教授])が、8月21日、東京都内にて開催された。今回は約60題に上る演題発表のほか、シンポジウム、特別講演が行われた。多様な症候を示すアミロイドーシス モーニングセミナーでは、山下 太郎 氏(熊本大学医学部附属病院 神経内科 アミロイドーシス診療体制構築事業 特任教授)が、「アミロイドーシスの早期診断と早期治療の重要性」と題し、レクチャーを行った。 セミナーでは、「本症は約60年前に発見されて以来、今日まで診断法と治療法の研究がされてきた」と疾患の歴史からひも解くとともに、主に家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)にフォーカスをあて解説が行われた。 アミロイドーシスは、特異なタンパクであるアミロイドがさまざまな臓器の細胞外に沈着することで、機能障害を引き起こす疾患群である。現在31種類のアミロイド前駆タンパク質が確認され、沈着する種々のタンパク質に応じて分類がされている(その1つにFAPに関連するトランスサイレチン〔TTR〕がある)。これら原因タンパクにより病型が異なり、病型により治療法も変わるために、確実な診断が重要となる。しかし、一般に全身性アミロイドーシスでは、多臓器に障害がみられ、多彩な症候を示すために、確定診断まで難渋される。 初発症状としては、全身倦怠感などの非特異的症状のほか、末梢神経障害による手足のしびれ、自律神経障害による起立性低血圧、消化管アミロイドーシスによる吐気、下痢、巨舌、心アミロイドーシスによる心肥大や不整脈、腎障害によるタンパク尿、浮腫、皮下出血などがみられる。 検査では、抗TTR抗体を用いた免疫染色などの組織診断、血清診断、遺伝子診断などが鑑別診断のため行われる。確定診断には、病理学的な検査が不可欠であり、組織の生検部位として障害臓器はもとより、消化管粘膜や腹壁脂肪での生検診断も可能である。また、近年では、レーザーマイクロダイセクションと液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析など検査機器の進歩により、沈着タンパクの同定が可能となってきた。現在、熊本大学や信州大学などの施設で病型診断が行われている。その他の所見として、心胸郭比の拡大、心エコーによる心筋肥厚や輝度上昇、BNP、NT-proBNPの上昇も参考となる。 本症では、早期診断による、迅速な治療が患者の生命予後を左右するので、専門医や専門医療機関への紹介をお願いしたい。開発が待たれる内科的治療 現在、アミロイドーシスの治療ではFAPで肝移植や内科的治療、ALアミロイドーシスに対する自家末梢血幹細胞移植、AAアミロイドーシスに対する生物学的製剤などが行われている。 とくにFAPでは、TTRが肝臓で産生されることから早期の患者には肝移植が行われている。確かに肝移植後の生命予後は改善され、病期の進行も抑制される一方で、移植後でも症候が残ること、一部の患者では症候の悪化があること、移植ドナーの不足の問題など多くの課題が残されている。こうしたこともあり、内科的治療が模索され、2013年からは、アミロイド形成に関わるTTR四量体を安定化させるタファミジス(商品名:ビンダケル)が保険適用となり、FAPの肝移植が困難な患者や移植抵抗性の患者に対し、使用されている。そして、病期の進行を抑制する有効な治療薬となっている。 その他にも、siRNAやASOによる肝臓でのTTR発現抑制を目的とした核酸医薬医療は、世界規模の臨床試験がスタートしており、治療への効果が期待されているほか、免疫療法として、沈着したアミロイドに対する治療の研究も現在進められている。 次回第4回学術集会は、2016年8月19日に山田 正仁 会長(金沢大学大学院 教授)のもと都内において開催される予定である。ケアネットの関連コンテンツ希少疾病ライブラリ 家族性アミロイドポリニューロパチー家族性アミロイドポリニューロパチー 早期診断のコツ画像を拡大する

894.

ASPECT-cUTI試験:複雑性尿路感染症におけるセフトロザン/タゾバクタムの治療効果~レボフロキサシンとの第III相比較試験(解説:吉田 敦 氏)-401

 腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症の治療は、薬剤耐性菌の増加と蔓延によって選択できる薬剤が限られ、困難な状況に直面している。セファロスポリン系の注射薬であるセフトロザンとタゾバクタムの合剤である、セフトロザン/タゾバクタムは、βラクタマーゼを産生するグラム陰性桿菌に効果を有するとされ、これまで腹腔内感染症や院内肺炎で評価が行われてきた。今回、複雑性尿路感染症例を対象とした第III相試験が行われ、その効果と副作用が検証され、Lancet誌に発表された。用いられたランダム化比較試験 成人に1.5 gを8時間ごとに投与を行った、ランダム化プラセボ対照二重盲検試験であり、欧州・北米・南米など25ヵ国で実施された。膿尿があり、複雑性下部尿路感染症ないし腎盂腎炎と診断された入院例を、ランダムにセフトロザン/タゾバクタム投与群と高用量レボフロキサシン投与群(750mg /日)に割り付けた。投与期間は7日間とし、微生物学的に菌が証明されなくなり、かつ、治療開始5~9日後に臨床的に治癒と判断できた状態をエンドポイントとした(Microbiological modified Intention-to-treat:MITT)。同時に、合併症・副作用の内容と出現頻度を比較した。レボフロキサシンに対して優れた成績 参加した1,083例のうち、800例(73.9%)で治療開始前の尿培養などの条件が満たされ、MITT解析を行った。うち656例(82.0%)が腎盂腎炎であり、2群間で年齢やBMI、腎機能、尿道カテーテル留置率、糖尿病・菌血症合併率に差はなかった。また776例は単一菌の感染であり、E. coliがほとんどを占め(629例)、K. pneumoniae(58例)、P. mirabilis(24例)、P. aeruginosa(23例)がこれに次いだ。なお、開始前(ベースライン)の感受性検査では、731例中、レボフロキサシン耐性は195例、セフトロザン/タゾバクタム耐性は20例に認めた。 結果として、セフトロザン/タゾバクタム群の治癒率は76.9%(398例中306例)、レボフロキサシン群のそれは68.4%(402例中275例)であり、さらに尿中の菌消失効果もセフトロザン/タゾバクタム群が優れていることが判明した。菌種別にみても、ESBL産生大腸菌の菌消失率はセフトロザン/タゾバクタムで75%、レボフロキサシンで50%であった。合併症と副作用に及ぼす影響 セフトロザン/タゾバクタム群では34.7%、レボフロキサシン群では34.4%で何らかの副作用が報告された。ほとんどは頭痛や消化器症状など軽症であり、重い合併症(腎盂腎炎や菌血症への進行、C. difficile感染症など)はそれぞれ2.8%、3.4%であった。副作用の内容を比べると、下痢や不眠はレボフロキサシン群で、嘔気や肝機能異常はセフトロザン/タゾバクタム群で多かった。今後のセフトロザン/タゾバクタムの位置付け セフトロザン/タゾバクタムは抗緑膿菌作用を含む幅広いスペクトラムを有し、耐性菌の関与が大きくなっている主要な感染症(複雑性尿路感染症、腹腔内感染症、人工呼吸器関連肺炎)で結果が得られつつある。今回の検討は、尿路感染症に最も多く用いられているフルオロキノロンを対照に置き、その臨床的・微生物効果を比較し、セフトロザン/タゾバクタム群の優位性と忍容性を示したものである。 しかしながら、ベースラインでの耐性菌の頻度からみれば、レボフロキサシン群の効果が劣るのは説明可能であるし、尿路の基礎疾患(尿路の狭窄・閉塞)による治療効果への影響についても本報告はあまり言及していない。そもそも緑膿菌も、さらにESBL産生菌も視野に入れた抗菌薬を当初から開始することの是非は、今回の検討では顧みられていない。また、腸管内の嫌気性菌抑制効果も想定され、これが常在菌叢の著しいかく乱と、カルバぺネム耐性腸内細菌科細菌のような耐性度の高いグラム陰性桿菌の選択に結び付くことは十分ありうる。実際に、治療開始後のC. difficile感染症はセフトロザン/タゾバクタム群でみられている。 セフトロザン/タゾバクタムをいずれの病態で使用する場合でも、その臨床応用前に、適応について十分な議論がなされることを期待する。販売し、いったん市場に委ねてしまうと、適応は不明確になってしまう。本剤のような抗菌薬は、適応の明確化のみならず、使用期間の制限が必要かもしれない。

895.

循環器内科 米国臨床留学記 第1回

第1回:米国における専門医教育事情今回、ケアネットから寄稿をする貴重な機会をいただきました河田 宏と申します。私は2003年に大学を卒業後、日本で循環器専門医を取得し、不整脈のトレーニングを経た後、卒後7年目の2010年より米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校(UC San Diego)で、不整脈(Cardiac Electrophysiology:EP)の臨床留学(クリニカルフェロー)を開始しました。当初は不整脈のトレーニングを修了後に帰国する予定でしたが、米国に残り臨床医としてのトレーニングを続けることに決めました。カリフォルニア大学 アーバイン校米国で不整脈専門医となるには、内科、循環器の専門医の取得が条件となっており、2013年からはオハイオ州シンシナティーに移り、内科のレジデンシーを開始しました。内科レジデンシーを修了し、本年度からカリフォルニア大学アーバイン校(UC Irvine)に移り循環器のフェローを開始しました。米国の循環器フェローシップを経験された日本人医師の多くは、日本での循環器のトレーニングを経ずに米国に渡り、内科のレジデンシーから開始しておられます。ご存じのように日本で循環器専門医を取得するのも卒後6~7年かかります。同じ科目の研修を日本と米国で2回繰り返すということは時間の無駄になりますし、臨床留学を卒後6~7年からやり直すという人もあまりいませんので、私のように日本で循環器専門医を取得した後、米国に渡るというのはまれなケースだと思われます。米国で臨床留学していると聞くと「米国の臨床医学よりに偏向した意見の持ち主か」と思われるかもしれません。私は今でも日本の医療システムのほうが優れている点が多いと思っていますし、成果主義、金儲け主義的な米国の医療には渡米5年経った今でも違和感を覚えます。ただ、医学教育に関しては米国に一日の長があるように感じます。日本の研修医制度が始まって10年が経過し、ようやく専門医制度の改革が動き出したところで、日本の専門医教育(フェローシップ)はこれから大きく変わっていくと思います。米国の専門医教育は自分の学びたいことに集中できる環境が整っており、そこが米国臨床留学の醍醐味だと思いますし、日本が見習うべき点もあると思います。日本の専門医教育も日本の良さを残しつつ、米国の良いところのみを取り込んで、素晴らしいものになってほしいと思っております。今回のコラムでは、循環器を中心に、日本と米国の医療、専門医、教育の違いについて、できるだけ客観的に比較しながら伝えていきたいと思います。循環器医になるまでに何年かかる?最初に米国で循環器内科医となる過程をみてみたいと思います。米国で循環器専門医となるには医学部卒業後、最低6年間が必要です。3年間の内科のレジデンシーを修了後、3年間の循環器のフェローシップを修了して、専門医試験への資格を得ることができます。さらに、冠動脈インターベンション、EP、心不全などのサブ-スペシャルティートレーニングを1~2年間行うことも可能です。画像を拡大するたとえば、EPの場合、すべてのトレーニングを終えるのに内科レジデンシー終了後最低5年はかかります。他の内科のトレーニングは2年か3年で終わるものが多いので、循環器のトレーニングは他の内科のトレーニングより時間がかかります。EPや冠動脈インターベンションの専門医になるのは順調にいっても34歳ごろとなってしまいます。内科レジデンシー終了後、借金を返すために内科医として数年間働いたり、リサーチやチーフレジデントを行ってからフェローに応募することも多いため、トレーニング修了時で40歳ぐらいになってしまう人も珍しくはありません。狭き門? 循環器フェローへのマッチング内科の3年目の夏に循環器、消化器など内科のサブスペシャルティーのマッチングへの応募が始まります。12月のマッチデイ(マッチングの発表)まで、全米各地にインタビューに回ります。マッチする人で平均8個前後のインタビューを受けますし、飛行機を使うことも多いですから、5,000ドル程度の出費は覚悟しなければなりません。マッチングに関しては詳しいデータが公にされています。循環器は最近、給料が下がっている影響か少し人気が下がっています。ポジションに対する応募者の割合は、2011年から2013年までは倍率が1.5倍でしたが2014年~2015年は1.4倍に下がりました。具体的に、今年は835のポジションに対して1,142の応募があり、マッチ率が73%、つまり27%はマッチできなかったということになります。人口を考えると米国の循環器専門医の認定数は日本より少ないと思います。米国ではトレーニングの質を保つため、ACGMEというトレーニングを管轄する団体が病院の規模、ベッド数、手技の数、指導教官数、外来・入院患者数、カンファレンスの数などに応じてフェローの定員を決めています。このため、各病院の自由裁量では人数を増やせず、結果として上限が決まってきます。UC San DiegoやUC Irvineと言った大学病院ですら1学年の定員は5人です。米国人に有利なマッチング米国の医学部を卒業した米国人にとって、循環器のフェローシップを得ること自体はそれほど難しくなく、2011年のデータによると86%がマッチしています。一方、外国の医学部を卒業した外国人には狭き門であり、47%、半分以上が循環器フェローになれなかったということになります。優秀な候補者はどこでもいいというわけではありません。MayoやClevelandのような有名プログラムは競争も激しく、一つのポジションに対して50人を超える応募がくるようです。米国は学歴社会です。卒業した医学部に加えてどこで研修をしているかが非常に重要視されます。ホームページなどで確認できますが、有名プログラムの循環器フェローは殆どが有名なレジデントプログラムの出身です。また、住みやすいと言われる大きな都市のプログラムも倍率が高くなります。内科のレジデンシーを行った病院に循環器フェローシップがあれば、評価の高いレジデントは内部進学ができます。内部といっても競争が激しく、同期のレジデントに競り勝つ必要があります。内科を3年終えた後にチーフレジデントをやると、ほぼ確実に希望するフェローシップにいくことができるプログラムが多いため、最初からそれを目的としてチーフレジデントになる人もいます。日本のチーフレジデントとは違って実利があるのです。最近、一番人気の高いサブスペシャリティーは消化器内科でマッチ率は64%、それに呼吸器・集中治療、循環器、血液/腫瘍が続いています。逆に老年科、腎臓内科、感染症科は人気が低く、倍率は1倍以下になっています。科別の平均年収と人気の科には相関があるようで、この辺りがアメリカっぽいところでしょう。次回以降、具体的に日米のトレーニングの差についても触れていきたいと思います。

896.

喫煙でCKD患者の死亡リスクが大幅に上昇

 慢性腎臓病(CKD)と喫煙が心血管疾患に及ぼす複合的な影響度や性質については、ほとんど知られていない。これらを日本人集団で検討するために、北海道大学の中村 幸志氏らは、8コホート研究に登録された40~89歳の男性1万5,468人および女性1万9,154人のプール分析を行った。その結果、CKDと喫煙が重なると、全死因および心血管疾患による死亡リスクが大幅に上昇する可能性が示唆された。Kidney International誌オンライン版2015年7月22日号に掲載。 全死因および心血管疾患による死亡リスクは、ベースライン時点におけるCKDの有無(非CKDまたはCKD)と喫煙習慣(非喫煙、元喫煙、現在喫煙)で、6つの性別特異的カテゴリーで比較した。CKDは推定糸球体濾過量が60mL/分/1.73m2未満あるいはdipstickで蛋白尿の場合と定義し、それぞれのカテゴリーで非CKDかつ非喫煙者と比べたハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間(平均14.8年)の間に6,771人が死亡し、そのうち心血管疾患によるものが1,975人であった。・全死因および心血管疾患による粗死亡率は、男女とも、「CKDかつ現喫煙者」が最も高く、「CKDかつ元喫煙者」が2番目に高かった。・年齢や他の主要心血管リスク因子について調整後、CKDかつ現喫煙者のハザード比は、全死因死亡では男性2.26(95%信頼区間:1.95~2.63)、女性1.78(同:1.36~2.32)、心血管疾患による死亡では男性2.66(同:2.04~3.47)、女性1.71(同:1.10~2.67)であった。

897.

糖尿病性腎症に合併する高K血症、patiromerが有効/JAMA

 糖尿病性腎症で高カリウム血症の合併がありRAAS阻害薬を服用している患者に対し、patiromerを4.2~16.8g、1日2回投与することで、血中カリウム値は有意に低下し、52週にわたり維持されたことが報告された。米国・シカゴ大学のGeorge L. Bakris氏らが、306例の患者を対象に行った、patiromerの用量範囲探索、無作為化非盲検第II相試験「AMETHYST-DN」の結果、報告した。JAMA誌2015年7月14日号で発表した。軽度/中程度群ごとに3通りの投与量について、4週間後の変化を比較 試験は2011年6月~2013年6月にかけて、ヨーロッパ48ヵ所の医療機関を通じて、2型糖尿病患者306例を対象に行われた。被験者のeGFRは15~60mL/分/1.73m2で、血中カリウム値は5.0mEq/L超であり、治験開始前からRAAS阻害薬を服用していた。 ベースライン時の血中カリウム値に応じて、被験者を軽度または中程度高カリウム血症に分類。patiromerの投与量について各群の被験者を無作為に3群に分け、軽度群では4.2g、8.4g、12.6gを、中程度群では8.4g、12.6g、16.8gを、いずれも1日2回投与した。 主要有効性エンドポイントは、ベースラインから4週時(または初回patiromer滴定)の平均血中カリウム値の変化だった。また副次有効性エンドポイントは、52週間の平均血中カリウム値の変化などとした。主要安全性エンドポイントは、52週間の有害事象であった。いずれの投与量でも血中カリウム値が有意に低下 結果、主要エンドポイントの平均血中カリウム値(最小二乗平均減少幅)は、軽度群の4.2g群が0.35(95%信頼区間[CI]:0.22~0.48)mEq/L、8.4g群が0.51(0.38~0.64)mEq/L、12.6g群が0.55(0.42~0.68)mEq/Lだった。 中程度群では、8.4g群が0.87(0.60~1.14)mEq/L、12.6g群が0.97(0.70~1.23)mEq/L、16.8g群が0.92(0.67~1.17)mEq/Lだった(ベースライン時からの変化に関するp<0.001)。 4~52週にかけて、毎月の血中カリウム値の有意な低下は維持された。 治療に関連する最も多く認められた有害事象は、低マグネシウム血症(7.2%)、消化管関連では便秘(6.3%)だった。低カリウム血症(<3.5mEq/L)は5.6%だった。

898.

高齢者は血圧低下が腎機能低下のリスクに

 ベルギー・ルーヴァンカトリック大学のBert Vaes氏らは、高齢者における静的および動的な血圧と腎機能の変化の関係について検討した。その結果、チャールソン併存疾患指数(mCCI)およびベースライン時の腎機能・血圧を調整すると、すべての年齢層において、血圧の経年的低下が腎機能低下における強力な危険因子であることが示された。BMJ open誌2015年6月30日号に掲載。 著者らは、60歳以上の患者を3つの年齢層で分け、10年間(2002~2012年)の後ろ向きコホート研究を実施した。この研究は、定期的に患者データを提出している55医院の一般開業医97名によるプライマリケア登録ネットワークにより実施された。 すべての患者(8,636例)において、2002年中に少なくとも1回血圧を測定し、その後少なくとも4回の血清クレアチニン測定を行った。ベースライン時にmCCIを登録し、2002年以降、収縮期血圧(SBP)・拡張期血圧(DBP)・脈圧の変化を算出した。腎機能の変化とベースライン時血圧および血圧変化との関係については、線形およびロジスティック回帰分析を用いて検討した。主要アウトカムである推算糸球体濾過量(eGFR、MDRD:Modification of Diet in Renal Disease equation)の傾きは最小二乗法により算出した。また、急速な腎機能低下は3mL/分/1.73m2/年以上と定義した。 主な結果は以下のとおり。・1,130例(13.1%)で急速な腎機能低下が認められた。・60~79歳の参加者では、ベースライン時のSBPと脈圧の高さが腎機能低下と関連した。・80歳以上の参加者では、ベースライン時の血圧と腎機能低下に相関関係はみられなかった。・SBPおよび脈圧の年間1mmHg以上の減少は、ベースライン時の血圧とmCCIに関係なく、すべての年齢層で急速な腎機能低下の強力な危険因子であった。・60~79歳の参加者では、DBPの低下も強力な独立予測因子であった。

899.

フェブキソスタット、欧州で化学療法に伴う高尿酸血症への適応拡大

 帝人ファーマ株式会社は7月1日、同社が創製し欧州に導出している高尿酸血症・痛風治療剤「ADENURICR」(欧州販売名:アデニュリク、一般名:フェブキソスタット)について、欧州におけるサブライセンス先であるイタリアのメナリーニ社が、「腫瘍崩壊症候群の中間リスク及び高リスクを有する造血器腫瘍患者における化学療法に伴う高尿酸血症」に対する適応拡大の承認取得を発表したことを報告した。 今回の適応拡大は、腫瘍崩壊症候群の中間リスク及び高リスクを有する造血器腫瘍患者346名を対象に行われた第III相臨床試験の成績に基づくもの。 本試験によってフェブキソスタットが既存療法と比較して臨床的意義のある画期的な治療選択肢となり得ることが認められたことにより、販売保護期間(※)が2019年4月20日まで1年間延長されたという。 日本国内においては、帝人ファーマが2014年よりがん化学療法に伴う高尿酸血症を対象疾患とした第III相臨床試験を実施している。※欧州では、先発医薬品承認後の10年間、後発医薬品の販売が禁止されている。詳細は帝人ファーマ株式会社のプレスリリースへ

検索結果 合計:1056件 表示位置:881 - 900