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AHAでJ-PCI registry解析結果を発表、セマグルチドも話題に【臨床留学通信 from NY】第54回

第54回:AHAでJ-PCI registry解析結果を発表、セマグルチドも話題に秋の学会シーズンということで、前回はTCT(Transcatheter Cardiovascular Therapeutics)についてでしたが、今回はフィラデルフィアで11月11~13日に開催されたAHA(American Heart Association)です。AHAは米国心臓病協会の学会で、ACC(American College of Cardiology)と2大循環器学会となります。TCTからわずか3週間後の開催です。カテーテル治療系の目玉となるトライアルは、多くがTCTで発表される傾向があります。一方、AHAはカテーテル治療も取り上げられるものの、どちらかというと予防医学などに重点を置いている傾向があります。今回のAHAでは、日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)の「J-PCI registry」というNational registryにおいて、透析患者に対する橈骨動脈アプローチに関して研究計画書を提出して採用されたことから、統計解析の結果をポスターセッションで発表しました1)。そしてほぼ同時に、European Heart Journal誌の姉妹誌であるEHJ Open誌に掲載されました2)。一般的にカテーテル治療は橈骨動脈から施行したほうが、大腿動脈より施行するよりリスクが低いとされます。しかし、シャントを有する透析患者は、出血リスクが高いにもかかわらず、橈骨動脈閉塞の危険性があることから、大腿動脈から施行することが通例です。それに関して、私が日本にいたときから、透析患者であっても橈骨からできないかというパイロット研究をしていました3)。症例は100人に満たない人数ですが、一般病院で倫理委員会を通し、腎臓内科の先生とも共同し、橈骨動脈が閉塞しているかどうかもきちんと調べて論文化したテーマです。これをNational registryを使って研究させていただいたのは貴重な経験でした。次のステップとして、米国のNational registryである「NCDR CathPCI registry」というデータベースが公募しているので、今回のEHJ Open誌のデータを示して挑戦したいと思います。ニューヨークからフィラデルフィアまでは近いこともあり、前もって購入すれば往復40ドルの電車賃だけで世界的な学会に参加できます。今回は週末のみの滞在で、日本人の方々とお話をしていたら学会が終わってしまったという印象です。ただその中でも、セマグルチドの肥満症に対する心血管イベント抑制効果を検討した「SELECT 試験」が最も話題になりました。日本でも11月22日に薬価収載され、はたして日本で適応となる人はどれくらいでしょうか。ここ肥満大国アメリカで本薬が適応となるのは人口の約5%に相当するとされ、製薬会社の争奪戦となっているようです。しかし、保険の縛りが強く、なかなか患者さんの手に入らないとも言われており、医療格差が広がる一方ではないかという危惧もあります。参考1)Kuno T, et al. Abstract 13387: Transradial Intervention in Dialysis Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention: A Japanese Nationwide Registry Study. Circulation. 2023;148:A13387.2)Kuno T, et al. Transradial Intervention in Dialysis Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention: A Japanese Nationwide Registry Study. Eur Heart J Open. 2023 Nov 14.3)Kuno T, et al. A Transradial Approach of Cardiac Catheterization for Patients on Dialysis. J Invasive Cardiol. 2018;30:212-217.Column私が指導している初期研修医、後期研修医相当(米国1年目)の先生方が、TCT やAHAで海外学会デビューされ、頼もしい限りです。私は学会発表が卒後6年目以降、海外学会は7年目以降、そして12年目にようやく渡米したこともあり、キャリアの早い段階で臨床留学を達成、またそれに挑戦している若手の刺激を受けて、まだまだ頑張らなければと思う日々です。【後輩の先生方の研究】Kiyohara Y, et al. J Am Coll Cardiol. 2023;82:B135–B136.Kiyohara Y, et al. J Am Coll Cardiol. 2023;82:B74.Watanabe A, et al. Circulation. 2023;148:A13383.Watanabe A, et al. J Med Virol. 2023;95:e28961.Shimoda T, et al. Circulation. 2023;148:A14832.

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IgA腎症の新たな治療薬sparsentanの長期臨床効果(解説:浦信行氏)

 エンドセリン受容体・アンジオテンシン受容体デュアル拮抗薬のsparsentanは慢性腎臓病(CKD)治療薬として、すでにIgA腎症で二重盲検無作為化実薬対照第III相試験(PROTECT試験)において、1次エンドポイントとして36週時のsparsentan投与群の尿蛋白変化量が-49.8%と、イルベサルタン群の-15.1%に比較して有意な低下を示したことが報告され、その解説が2023年4月14日公開のジャーナル四天王に掲載されている(「IgA腎症での尿蛋白減少、sparsentan vs.イルベサルタン/Lancet」)。今回は2次エンドポイントとして、110週までの尿蛋白低減効果とeGFRのスロープを両群で比較した。 110週にわたる試験で尿蛋白に関しては顕著な減少効果を持続し、0.3g/日未満の完全寛解率も31%と、イルベサルタン群の11%に比較して著明に高値で、1.0g/日未満の不完全寛解率も同様の結果であった。6週から110週までのeGFRのスロープは-2.7と、イルベサルタン群の-3.8に比較して有意な低値であった。1日目から110週までの全スロープでは、各々-2.9と-3.9でその差はp=0.058と傾向にとどまり、わずかながら有意差には届かなかったが、症例数がさほど多くないことなどを考えると意義のある成績といえる。有害事象は従来の報告と同様に、めまいと低血圧がsparsentan群で多かったが、これはエンドセリンの強力な血管収縮作用の抑制に基づくと考えられるであろう。また、エンドセリンは尿細管に対する作用としてバゾプレシンによるc-AMP産生の抑制を介した水利尿作用を呈するが、これを抑制するsparsentan群の末梢浮腫の発症は15%と、イルベサルタン群の12%と同程度にとどまった。 CLEAR!ジャーナル四天王-1752でFSGSの結果でも述べたが(「難治性ネフローゼ症候群を呈する巣状分節性糸球体硬化症の新たな治療薬sparsentanへの期待」)、対象の両群のeGFRがsparsentan群で56.8±24.3、イルベサルタン群で57.1±23.6であり、両群ともにeGFR60未満の症例が60%を超えている。eGFRが保たれている群同士の比較ではどうであったかが一層の評価につながる。 FSGSの稿でも述べたが、IgA腎症はステロイドによる治療効果は有意ではあるが完全に進行を阻止できるわけではなく、いまだに若年~中年期の末期腎不全は少なくない。ステロイドや免疫抑制薬に加えて一部のSGLT2阻害薬は糖尿病性腎症以外のCKDでも保険適用となり、いずれの薬剤とも作用機序は異なるので、近い将来sparsentanの併用療法も考慮されるのではないか。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その1【「実践的」臨床研究入門】第38回

E(要因)およびC(比較対照)を測定可能で具体的かつ明確なものにする今回からは、Research Question(RQ)のE(要因)およびC(比較対照)を設定する際の要点と実際について解説します。これまでブラッシュアップしてきたわれわれのRQのEおよびCは、現時点では以下のとおりです(連載第34回参照)。E(曝露要因):食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の遵守C(比較対照):食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の非遵守量的な臨床研究では、この低たんぱく食事療法の遵守という「概念」を測定可能な「変数」に落とし込むことが必要です。「変数」にすることで「概念」を定量化し客観性を持たせることにより、比較が可能になるとともに再現性も担保されるようになります。具体的には、「変数」として測定するための「ものさし」とその基準(しきい値)を、それぞれ決めることが求められます。まずは「ものさし」です。低たんぱく食事療法の定量的評価のゴールドスタンダードとしては「食事記録法」が挙げられます。これは、患者が摂取した食事内容を詳細に記録し、その栄養成分を分析する手法です。しかし、「食事記録法」は非常に煩雑で熟練した栄養士も必要であるため、すべての患者で日常的に実施するのは現実的ではありません。そこで、一般に広く用いられているのが、24時間蓄尿中の尿素窒素排泄量から算出される「推定たんぱく質摂取量」です。先行関連研究1)でも、下記の記述のように、このMaroniの式2)と呼ばれる計算式が使用されています。”Dietary protein intake was estimated on the basis of three consecutive 24-hour urine samples completed before each visit, using the urinary excretion of urea nitrogen as follows:"「タンパク質摂取量は、尿素窒素の尿中排泄量を用いて、外来受診ごとに行った連続3回の24時間蓄尿検体を用いて、以下のように推定した(筆者による意訳)」次に、基準(しきい値)ですが、これまで、「厳格な」低たんぱく食事療法の遵守の程度のしきい値を仮に 0.5g/kg標準体重/日としています。このしきい値は、この架空の臨床シナリオの舞台となっている施設の診療方針に由来するものでした(連載第5回参照)。「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版(日本腎臓学会編)3)」では、慢性腎臓病(CKD)ステージ別のたんぱく質摂取量の基準を下記のとおりに示しています。CKDG3a:0.8~1.0 g/kg標準体重/日CKDG3b以降:0.6~0.8 g/kg標準体重/日また、重要な関連研究である近年アップデートされたコクラン・システマティック・レビュー論文4)もみてみましょう。この論文では、低たんぱく食(0.5~0.6g/kg/標準体重/日)に加えて超低たんぱく食(0.3~0.4g/kg/標準体重/日)のしきい値も追記されていました(連載第13回参照)。これまでのところ、「厳格な」低たんぱく食事療法の遵守の程度のしきい値は明確になってないようです。このように、既知のしきい値が定まっていない場合は、実際の解析データ・セットの「変数」の分布に基づいて、しきい値を設定することがよく行われます。今回のわれわれの解析データ・セットでは、「推定たんぱく質摂取量」が600例余りから取得できました。「推定たんぱく質摂取量」は連続変数(量を表す変数)ですので、その代表値である「中央値」を求めてみると、0.5g/kg標準体重/日と偶然? 架空の診療方針に合致していました(連載第5回参照)。 「中央値」は、データを大きさの順に並べたときに中央にある値です。連続変数の代表値としては、データ値の総和をデータ数で割った「平均値」も多く使われています。しかし、臨床研究で扱う多くのデータは外れ値が存在する歪んだ分布をとることが多く、連続変数の代表値としては「平均値」よりも「中央値」を用いることが推奨されています。そこで、われわれのRQのEとCを以下のように改訂することにします。E:推定たんぱく質摂取量 0.5g/kg標準体重/日未満C:推定たんぱく質摂取量 0.5g/kg標準体重/日以上*外来受診ごとに行った連続3回の24時間蓄尿検体を用いてMaroniの式より算出1)Hansen HP, et al. Kidney Int. 2002;62:220-228.2)Maroni BJ, et al. Kideny Int. 1985;27:58-65.3)日本腎臓学会編.慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版. 東京医学社;2014.4)Hahn D, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2020:CD001892.

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11月24日 いい尿の日【今日は何の日?】

【11月24日 いい尿の日】〔由来〕寒さが本格化してくる時期である11月の「いい(11)にょう(24)」(いい尿)と読む語呂合わせからクラシエ製薬株式会社が制定。寒さが増すと頻尿・夜間尿などの排尿トラブルが増えることから、その啓発や症状に合った治療を広く呼び掛けることが目的。関連コンテンツ女性の頻尿、どう尋ねるべき?【Dr.山中の攻める!問診3step】骨盤底筋トレーニングは排尿トラブルの快適生活術【使える!服薬指導箋】β3アドレナリン受容体に作用して膀胱容量を増大させる過活動膀胱治療薬「ベオーバ錠50mg」【下平博士のDIノート】新・夜間頻尿診療ガイドラインで何が変わるか/日本排尿機能学会尿失禁が生命予後に影響?OABに早期介入の必要性

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DOAC・ワルファリン、重大な副作用に「急性腎障害」追加/厚労省

 経口抗凝固薬の添付文書について、2023年11月21日に厚生労働省が改訂を指示。国内で販売されている直接経口抗凝固薬(DOAC)4剤(アピキサバン、エドキサバン、ダビガトラン、リバーロキサバン)とワルファリンカリウムの添付文書の「副作用」に重大な副作用として急性腎障害が追記された。DOAC4剤とワルファリンに急性腎障害との因果関係が否定できない症例 DOAC4剤とワルファリンカリウムの副作用についての添付文書の改訂は以下のとおり。<重大な副作用>急性腎障害 経口抗凝固薬の投与後に急性腎障害が現れることがある。本剤投与後の急性腎障害の中には、血尿や治療域を超えるINRを認めるもの、腎生検により尿細管内に赤血球円柱を多数認めるものが報告されている。 改訂理由については、抗凝固薬関連腎症を含む急性腎障害症例を評価した結果、経口抗凝固薬のうち、ワルファリンカリウムおよびDOAC4剤について、抗凝固薬関連腎症を含む急性腎障害との因果関係が否定できない症例が集積したことから、経口抗凝固薬の使用上の注意を改訂することが適切と判断された。なお、アピキサバンについては抗凝固薬関連腎症を含む急性腎障害との因果関係が否定できない症例はなかったものの、文献において1)、抗凝固薬関連腎症との因果関係が否定できない海外症例が報告されている。症例※の国内症例の集積状況 【転帰死亡症例】(1)アピキサバン:7例(うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例0例)【死亡3例(うち、医薬品と事象による死亡との因果関係が否定できない症例0例)】(2)エドキサバン: 6例(同4例)【死亡1例(同0例)】 (3)ダビガトラン:26例(同7例)【死亡3例(同0例)】 (4)リバーロキサバン:6例(同3例)【死亡1例(同0例)】(5)ワルファリンカリウム:7例(同4例)【死亡0例】※:医薬品医療機器総合機構における副作用等報告データベースに登録された症例から副作用(PT)「抗凝固薬関連腎症」または「急性腎障害」で抽出されたもののうち、以下のすべての条件に該当する症例を評価対象とした。1:「AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016」(AKI(急性腎障害)診療ガイドライン作成委員会編:日本腎臓学会、日本集中治療医学会、日本透析医学会、日本急性血液浄化学会、日本小児腎臓病学会)においてAKI診断に必要とされている腎機能値(ベースラインおよび発現時の血清クレアチニンなど)の情報があり、かつ、AKI診断基準を満たす。2:因果関係評価に必要な副作用発現後の転帰情報(経過欄、検査値欄の情報含む)がある。

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難治性ネフローゼ症候群を呈する巣状分節性糸球体硬化症の新たな治療薬sparsentanへの期待(解説:浦信行氏)

 エンドセリン受容体・アンジオテンシン受容体デュアル拮抗薬のsparsentanは慢性腎臓病(CKD)治療薬として、すでにIgA腎症などで臨床試験が先行しており、一部には良好な効果が認められている。また、糖尿病性腎症ではエンドセリン受容体拮抗薬が良好な治療効果を示している。 巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)は治療抵抗性であり、治療の主体はステロイドであるが臨床的にはステロイド抵抗性で進行性であり、10年で約半数が腎死に至る。そのようなFSGSに対する治療効果をイルベサルタンと対比した成績が公表された。2年間にわたる二重盲検第III相試験で尿蛋白に関しては顕著な減少効果を認め、完全寛解率も倍以上の18.5%であったが、eGFRのスロープに有意差はないとの残念な結果であった。6週から108週までのeGFRのスロープは有意ではないものの、イルベサルタン群で-5.7であったのに対してsparsentan群で-4.8にとどまっていた。対象の詳細は不明だが、原発性FSGSに限っての検討ではどうなのか。また、両群のeGFRが、sparsentan群で63.3±28.6、イルベサルタン群で64.1±31.7であり、両群ともにeGFR60未満の症例が半数以上である。eGFRが保たれている群同士の比較ではどうであったかが今後の課題といえよう。 先にも述べたが、FSGSは治療抵抗性でステロイドによる治療は効果に乏しく、免疫抑制薬との併用が行われるがそれでも満足な結果は得られていない。あくまでもsparsentanの有効性が確認されてからではあるが、いずれの薬剤とも作用機序は異なるので、ステロイドや免疫抑制薬の副作用低減の面からもsparsentanの併用療法も将来的には考慮されるのではないか。

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sparsentan、IgA腎症の蛋白尿を長期に低減/Lancet

 免疫グロブリンA(IgA)腎症の治療において、非免疫抑制性・単分子・エンドセリン受容体とアンジオテンシン受容体二重拮抗薬であるsparsentanはイルベサルタンと比較して、36週時に達成された蛋白尿の有意な減少を110週後も持続し、腎機能の維持に有効であることが、米国・オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターのBrad H. Rovin氏らが実施した「PROTECT試験」の2年間の追跡調査で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年11月3日号で報告された。国際的な第III相試験、すでにIgA腎症の治療薬として迅速承認 PROTECT試験は、18ヵ国134施設が参加した二重盲検無作為化実薬対照第III相試験であり、2018年12月~2021年5月に患者の登録を行った(Travere Therapeuticsの助成を受けた)。 主要エンドポイントは、36週の時点における治療群間の蛋白尿の変化量の差であった。中間解析により、イルベサルタン群に比べsparsentan群で相対的に41%の蛋白尿の有意な減少を認め、これに基づきsparsentanはIgA腎症の治療薬として迅速承認を受けている。今回は、110週の追跡データを報告した。 本試験では、年齢18歳以上、生検で原発性IgA腎症が確認され、12週間以上レニン・アンジオテンシン系を最大限に抑制しているにもかかわらず、1.0g/日以上の蛋白尿を認める患者を、sparsentan(目標用量400mg、1日1回、経口)またはイルベサルタン(目標用量300mg、1日1回、経口)の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 404例を解析の対象とした。sparsentan群に202例(平均年齢46.6[SD 12.8]歳、男性69%、白人64%)、イルベサルタン群に202例(45.4[12.1]歳、71%、70%)を割り付けた。eGFRの低下速度を有意に抑制 110週時における推算糸球体濾過量(eGFR)の低下速度は、イルベサルタン群に比べsparsentan群で抑制された。2年間のeGFRのchronic slope(勾配)(6~110週)は、イルベサルタン群が-3.8mL/分/1.73m2/年であったのに対し、sparsentan群は-2.7mL/分/1.73m2/年と有意に良好であった(群間差:1.1mL/分/1.73m2/年、95%信頼区間[CI]:0.1~2.1、p=0.037)。 また、2年間のeGFRのtotal slope(1日目~110週)は、イルベサルタン群(-3.9mL/分/1.73 m2/年)に比べsparsentan群(-2.9mL/分/1.73 m2/年)で抑制されていたが、有意差は認めなかった(群間差:1.0mL/分/1.73 m2/年、95%CI:-0.03~1.94、p=0.058)。 一方、36週時に認めたsparsentan群での蛋白尿の有意な減少は、試験期間を通じて維持されており、110週時の蛋白尿(尿蛋白/クレアチニン比のベースラインからの変化量で評価)はイルベサルタン群(-4.4%[95%CI:-15.8~8.7])よりもsparsentan群(-42.8%[-49.8~-35.0])で相対的に40%低かった(幾何最小二乗平均比:0.60、95%CI:0.50~0.72)。 腎不全の複合エンドポイント(eGFRの40%の低下、末期腎不全、全死因死亡)は、sparsentan群の202例中18例(9%)、イルベサルタン群の202例中26例(13%)で発生した(相対リスク:0.7、95%CI:0.4~1.2)。 試験薬投与期間中の有害事象(TEAE)は、sparsentan群が187例(93%)、イルベサルタン群は177例(88%)で発現した。sparsentan群で頻度の高いTEAEとして、めまい(15% vs.6%)と低血圧(13% vs.4%)を認めた。急性腎障害はそれぞれ6%および2%で発生し、重篤なTEAEはsparsentan群が37%、イルベサルタン群は35%、投与中止の原因となったTEAEはそれぞれ10%および9%であった。新たな安全性シグナルは認めなかった。 著者は、「重要な点は、これら2つの薬剤は異なる経路で作用するため、併用することで蛋白尿の減少および腎機能の維持において相加的な作用をもたらす可能性が示唆されることである。また、sparsentanは免疫抑制薬ではないことから、IgA腎症の治療パラダイムにおいては、腎機能を維持するための最大限の蛋白尿の抑制の達成に向け、必要に応じて免疫抑制薬を断続的に使用することが可能な長期的な基礎治療として、本薬を位置付けるよう提案する」としている。

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CKD治療、ダパグリフロジンにzibotentan併用の有用性/Lancet

 現行の推奨治療を受けている慢性腎臓病(CKD)患者において、エンドセリンA受容体拮抗薬(ERA)zibotentanとSGLT2阻害薬ダパグリフロジンの併用治療は、許容可能な忍容性と安全性プロファイルを示し、アルブミン尿を減少させ、CKDの進行を抑制する選択肢となることが示された。オランダ・フローニンゲン大学のHiddo J. L. Heerspink氏らが「ZENITH-CKD試験」の結果を報告した。先行研究で、SGLT2阻害薬およびERAは、CKD患者においてアルブミン尿を減少させ、糸球体濾過量(GFR)低下を抑制することが報告されていた。今回、研究グループはzibotentan+ダパグリフロジンの有効性と安全性を評価した。Lancet誌オンライン版2023年11月3日号掲載の報告。zibotentan+ダパグリフロジン併用vs.ダパグリフロジン単独を評価、第IIb相試験 ZENITH-CKD試験は、18ヵ国の診療施設170ヵ所で行われた第IIb相の国際多施設共同無作為化二重盲検実薬対照試験。被験者は、推定GFR(eGFR)が20mL/分/1.73m2以上、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)が150~5,000mg/gの成人(18歳以上90歳以下)を適格とした。 研究グループは被験者を無作為に2対1対2の割合で、(1)zibotentan 1.5mg+ダパグリフロジン10mg、(2)zibotentan 0.25mg+ダパグリフロジン10mg、(3)ダパグリフロジン10mg+プラセボの3群に割り付けた。全被験者にスクリーニング前の少なくとも4週間、安定用量のACE阻害薬またはARBを投与し、忍容性が認められた場合に(1)~(3)の割り付け治療薬が1日1回12週間投与された。 主要エンドポイントは、12週時点のUACR(zibotentan 1.5mg+ダパグリフロジン10mg群vs.ダパグリフロジン10mg+プラセボ群)の、ベースラインからの変化量であった。着目したイベントは体液貯留で、ベースラインからの体重増が3%以上(体内総水分量が2.5%以上であること)、または無作為化後のBNP値上昇が>100%、かつBNP値が>200pg/mL(心房細動が非併存)または>400pg/mL(同併存)と定義した。12週時点のUACR、併用群で有意に低下 2021年4月28日~2023年1月17日に1,492例が適格とされた。主要解析では449例(30%)が無作為化され、そのうち447例(99%)が解析に含まれた。平均年齢62.8歳(SD 12.1)、138例(31%)が女性、305例(68%)が白人、平均eGFRは46.7mL/分/1.73m2(SD 22.4)、UACR中央値は565.5mg/g(四分位範囲[IQR]:243.0~1,212.6)であった。447例の割り付けは、zibotentan 1.5mg+ダパグリフロジン群179例(40%)、zibotentan 0.25mg+ダパグリフロジン10mg群91例(20%)、ダパグリフロジン+プラセボ群177例(40%)。 試験期間を通して、zibotentan 1.5mg+ダパグリフロジン群とzibotentan 0.25mg+ダパグリフロジン群は、ダパグリフロジン+プラセボ群と比較して、UACRの低下が認められた。 12週時点でダパグリフロジン+プラセボ群と比較したUACRの差は、zibotentan 1.5mg+ダパグリフロジン群は-33.7%(90%信頼区間[CI]:-42.5~-23.5、p<0.0001)、zibotentan 0.25mg+ダパグリフロジン群は-27.0%(-38.4~-13.6、p=0.0022)であった。 体液貯留は、zibotentan 1.5mg+ダパグリフロジン群で33/179例(18%)、zibotentan 0.25mg+ダパグリフロジン群で8/91例(9%)、ダパグリフロジン+プラセボ群14/177例(8%)で観察された。

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巣状分節性糸球体硬化症のeGFR変化、sparsentan vs.イルベサルタン/NEJM

 巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)患者において、エンドセリン受容体・アンジオテンシン受容体デュアル拮抗薬のsparsentanは、イルベサルタンと比較し尿蛋白の減少が大きかったにもかかわらず、108週時の推算糸球体濾過量(eGFR)スロープ(eGFR変化率の年率換算)に有意差は認められなかった。米国・ミネソタ大学のMichelle N. Rheault氏らが、多施設共同無作為化二重盲検第III相試験「DUPLEX試験」の結果を報告した。FSGSの治療にはアンメットニーズが存在する。sparsentanは、8週間の第II相試験ではFSGS患者の尿蛋白を減少させたが、FSGSに対する長期投与の有効性と安全性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2023年11月3日号掲載の報告。最終解析はeGFRスロープ(eGFR変化率の年率換算)で有効性を検証 研究グループは、生検でFSGSと確定診断された、またはFSGSに関連するポドサイト蛋白変異が確認された8~75歳の患者を、sparsentan群またはイルベサルタン群に、1対1の割合で無作為に割り付け、最大108週間投与した。 事前に規定した36週時点の中間解析では、代替エンドポイントをFSGS部分寛解の蛋白尿(尿蛋白[g]/クレアチニン[g]比が≦1.5、かつベースラインから>40%減少と定義)とした。 108週時の最終解析では、有効性のエンドポイントを全eGFRスロープ(1日目から108週時までのeGFR変化率の年率換算[米国では主要エンドポイント、米国以外では副次エンドポイント])、および慢性期eGFRスロープ(6週時から108週時までのスロープ[米国では副次エンドポイント、米国以外では主要エンドポイント])とし、追加の副次エンドポイトをベースラインから112週時(最終投与から4週間後)までのeGFR変化量とした。108週時のeGFRスロープ、sparsentan群とイルベサルタン群で有意差なし 2018年4月17日~2021年1月5日に、計371例がsparsentan群(184例)またはイルベサルタン群(187例)に無作為化された。 36週時の中間解析において、蛋白尿部分寛解率推定値はsparsentan群42.0%、イルベサルタン群26.0%で、両群間に有意差が認められた(群間差:16.0ポイント[95%信頼区間[CI]:4.0~28.0]、相対リスク:1.55[95%CI:1.10~2.18]、p=0.009)。 108週時の最終解析では、eGFRスロープに両群で有意差は確認されなかった。全eGFRスロープの群間差は0.3mL/分/1.73m2/年(95%CI:-1.7~2.4)、慢性期eGFRスロープの群間差は0.9mL/分/1.73m2/年(-1.3~3.0)であった。 二重盲検投与期を完了した患者において、ベースラインから112週時までのeGFR平均変化量は、sparsentan群-10.4mL/分/1.73m2、イルベサルタン群-12.1mL/分/1.73m2であった(群間差:1.8mL/分/1.73m2、95%CI:-1.4~4.9)。 安全性プロファイルはsparsentan群とイルベサルタン群で類似しており、有害事象の発現率もそれぞれ93.5%および93.0%で同等であった。

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11月14日 世界糖尿病デー【今日は何の日?】

【11月14日 世界糖尿病デー】〔由来〕糖尿病の治療に欠かせない「インスリン」を発見したカナダの医師フレデリック・バンティングの誕生日にちなみ、2006年に国際連合は11月14日を「世界糖尿病デー」に認定。世界各地で糖尿病の予防、治療、療養について啓発活動を行っている。わが国でも全国で糖尿病啓発などに関するイベントが開催されるほか、東京タワーや大阪城などの有名建築物が糖尿病のシンボルカラーのブルーでライトアップされている。関連コンテンツ高齢者糖尿病診療のコツDr.坂根の糖尿病外来NGワードDr.坂根のすぐ使える患者指導画集 Part2日本人2型糖尿病でのチルゼパチドの効果、GLP-1RAと比較/横浜市立大チルゼパチド追加の「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」改訂版/日本糖尿病学会

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日本人2型糖尿病でのチルゼパチドの効果、GLP-1RAと比較/横浜市立大

 横浜市立大学 循環器・腎臓・高血圧内科学教室の塚本 俊一郎氏らの研究グループは、日本人の2型糖尿病患者を対象に、新規GLP-1RAであるセマグルチドやGLP-1/GIPデュアルアゴニストであるチルゼパチドについて、従来の薬剤との比較や用量毎の治療効果の違いをネットワークメタ解析手法で解析した。その結果、チルゼパチドは比較した薬剤の中で最も体重減少とHbA1cの低下効果が高く、目標HbA1c(7%未満)の達成はチルゼパチドとセマグルチドで同等だった。Diabetes, Obesity and Metabolism誌2023年10月12日号の報告。日本人2型糖尿病患者3,875例を解析 研究方法として2023年7月までのPubMed、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Libraryを系統的に検索。日本人の2型糖尿病患者においてGLP-1RAまたはGIP/GLP-1RAを比較した無作為化対照試験(RCT)を選択した。HbA1c値および体重減少における有効性に焦点を当て、間接的に治療法を比較するためにネットワークメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・合計18のRCT、3,875例の日本人2型糖尿病患者が解析対象となった。・チルゼパチド15mgは、セマグルチド1.0mg皮下投与およびセマグルチド14mg経口投与と比較して、HbA1c値および体重を最も有意に減少させた。 HbA1c:平均差(95%信頼区間[CI])-0.52(-0.96~-0.08)および-1.23(-1.64~-0.81) 体重:平均差(95%CI)-5.07(-8.28~-1.86)および-6.84(-8.97~-4.71)・セマグルチド皮下投与は、経口投与と比較してHbA1cの優れた低下を示した。・皮下セマグルチド、経口セマグルチドともにデュラグルチド、リラグルチド、リキシセナチドなどの従来のGLP-1RAよりも有効だった。

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バート・ホッグ・デュベ症候群〔BHDS:Birt-Hogg-Dube syndrome〕

※なお、タイトル、本文中の“Dube”の“e”にはアクサン・テギュが付くが正しい表記となる。(web上では、一部の異体字などは正確に示すことができないためご理解ください)1 疾患概要■ 疾患概念・定義バート・ホッグ・デュベ症候群(Birt-Hogg-Dube syndrome:BHDS)は17番染色体にあるFLCN遺伝子(以下「FLCN」)の生殖細胞系列遺伝子変異によって生じるまれな常染色体顕性(優性)遺伝性疾患である(OMIM#135150)。臨床症状は、皮膚、肺、腎臓に年齢依存性に病変が発症する。皮膚病変は、顔面から上半身にかけて、皮膚良性腫瘍である線維毛包腫(fibrofolliculoma)あるいは毛盤腫(trichodiscoma)が多発する。肺には多発肺嚢胞を生じ自然気胸を繰り返す。腎臓では、腎嚢胞や特徴的な組織型の腎腫瘍を両側に多発性に生じる。■ BHDSの疾患概念の歴史1977年にカナダ人の皮膚科医のBirt、病理医のHogg、内科医のDubeらは、25歳以降から頭頸部~胸背部にかけて数mm大の皮疹が出現する1家系を発見し、4世代70人の詳細な検討を行った。皮疹は、病理組織学的に線維毛包腫(fibrofolliculoma)を主体に毛盤腫(trichodiscoma)や軟性線維腫(acrochordon)からなり、常染色体顕性(優性)遺伝形式であった。甲状腺髄様がんの家系内多発も認めたが皮疹と分離して遺伝しており、皮疹は別個の遺伝性皮膚疾患と考えられた。一方、Birtらの報告より2年前の1975年に、ドイツ人皮膚科医のHornsteinとKnickenbergは、顔面・頸部・体幹の毛包周囲線維腫(perifollicular fibromas)を生じた同胞2人を発見した。うち1人は大腸ポリープと大腸がんを合併しており、また、父親にも同様の皮疹および多発肺嚢胞と両側腎嚢胞を認めたことから腫瘍発生を伴う遺伝性疾患であると報告した。現在では両論文に報告された皮膚腫瘍は同一と認識されており、HornsteinとKnickenberg は皮膚以外の内臓腫瘍のリスクを含めた疾患概念を提唱したが、Birtらは言及していなかった。そのため、現在広く用いられている疾患名は誤解であり、Hornstein-Birt-Hogg-Dube syndromeと呼称すべきであるとの意見がある。■ 疫学まれな常染色体顕性(優性)疾患で、罹患頻度に性差はないと考えられている。代表的な臨床症状すべてを呈することはまれであり(不完全浸透)、未診断症例も数多く存在する可能性が指摘されている。そのため人口当たりの有病率ははっきりとはわかっていない。自施設では、2006年頃から、気胸や肺嚢胞を契機にBHDSが疑われFLCN検査で診断確定した家系は500家系近くとなり、比較的よく遭遇する可能性のある遺伝性疾患と感じている。■ 病因と病態2002年にBHDS患者において17p11.2.領域にあるFLCNの生殖細胞系列遺伝子変異が同定された。FLCN遺伝子は14個のexonから構成され、579アミノ酸からなる64kDaのタンパク質であるフォリクリン(folliculin)をコードする。日本人を中心とした298家系のBHDSコホート研究では71種類の病的バリアントが同定され、重複(46.3%)、欠失(28.9%)、置換(7.0%)、挿入(0.7%)、欠失挿入(0.3%)、large genomic deletion (4.4%)、スプライシング異常(12.4%)であった1)。全体の80%の患者の遺伝子バリアントは、exon7・9・11・12・13に集中していた。特定の遺伝子型が臨床症状に影響するかについて、明らかな相関関係は認められていない。フォリクリンの機能は十分解明されたわけではないが、細胞周囲環境からのエネルギーや増殖シグナルを伝えるAkt-mTOR経路で機能している。腎腫瘍においては生殖細胞系列FLCN変異(first hit)に加え、もう一方の野生型FLCNに機能喪失型のsecond-hitが起こり、フォリクリンの機能が完全に失われることが腎腫瘍の形成に関与している (Knudsonの2-hit理論)。しかし、良性皮膚腫瘍である線維毛包腫や肺病変においてはsecond-hitの報告例はなく、ハプロ不全(haploinsufficiency)の状態が病変形成に関わると推測されている。一方、細胞接着を介したWnt/βカテニン経路、一次線毛の形成や機能、ミトコンドリア代謝、など多彩な細胞機能に関与することが報告されている。■ 臨床症状1)皮膚病変顔面(鼻翼・頬部)、頸部、耳、体幹上部を中心に、皮膚色と同じ~やや白色で痛みや発赤を伴わない数ミリ大のドーム状小丘疹が25歳以降に出現する(図1A)。病理所見は、毛包周囲を取り囲む良性腫瘍である線維毛包腫(fibrofolliculoma)を認める(図1B)。皮膚病変の有病率は検討したコホートにより異なり、欧米人では有病率70~80%、アジア人では18~49%低いとの指摘もある。日本人BHDS患者31人についてダーモスコピーを用いて観察し、必要に応じて皮膚生検を行った研究では、83.9%の症例で皮疹を診断できたと報告している2)。また、皮膚病変の平均発症年齢は42.5歳であり、欧米人より発症年齢が遅く、若年者では皮疹が未発症である可能性に留意する必要があると報告している2)。図1 Birt-Hogg-Dube症候群(BHDS)の皮膚病変画像を拡大するABHDSの皮膚所見。鼻部にドーム状の丘疹を多数認める。B線維毛包腫(fibrofolliculoma)の病理組織像。毛包漏斗部が拡張し、毛包上皮が索状・網状に増殖し(矢印)、それを取り囲むように膠原線維が増生している。2)腎病変BHDSの患者は、FLCN変異バリアントを持たない血縁者と比較して腎腫瘍を発症するリスクが約7倍高く、40歳以降に好発することが報告されている3)。BHDS患者の12~34%が、48~52歳でさまざまな組織型の腎がんを発症するとされる。組織型としてはHybrid oncocytic/chromophobe tumor(HOCT)または嫌色素性腎がんが多く(図2)、まれに淡明細胞型腎がんや乳頭状腎がんなどもみられ、両側多発性にさまざまな組織型が出現する。腫瘍は緩徐発育型が多いとされるが、悪性度が高く遠隔転移を伴う症例の報告もある。図2 Birt-Hogg-Dube症候群(BHDS)の腎病変画像を拡大するA腹部造影CT。右腎に2個の腎腫瘍を認める(矢印部)。B嫌色素性腎細胞がんの組織像(細胞質が染色されにくく、核周囲にハローを認める特徴に注目)3)肺病変両肺に肺嚢胞が多発し、気胸を繰り返すことが特徴である(図3)。BHDS患者はFLCN変異バリアントを持たない血縁者と比較して50倍の気胸リスクを有することが報告された3)。肺嚢胞はBHDS患者の85%前後に認められ、気胸は25%前後に認めるとされるが、BHDSの皮膚、肺、腎臓のどの病変に注目して集積したコホート研究なのかにより異なる。肺嚢胞は自然経過で数が増え、嚢胞も大きくなることが報告されている4)。嚢胞の数が増えると気胸の発症リスクが上がることが指摘されている。嚢胞数が少ない頃は、一般的に呼吸機能は正常範囲内であるが、嚢胞数が増えるにつれ閉塞性換気障害が出現する。図3  Birt-Hogg-Dube症候群(BHDS)の肺病変画像を拡大するA、B:胸部CT画像下葉、縦隔側優位や葉間部に接して、薄くスムースな壁を有する不整形の嚢胞が多数存在する。血管を取り囲む嚢胞を認める。C、D:胸腔鏡所見肺底部や縦隔面に、広基性で内部が透けてみえるような薄壁嚢胞が突出している。炎症所見はほとんどなく、大きな嚢胞では嚢胞表面に血管を含む索状の結合組織が豊富に認められる。E、F:病理組織像(HE染色とEVG染色)嚢胞は小葉間間質に接して形成されるため、腔内に静脈の突出がみられる。小葉間隔壁に接していない嚢胞壁は肺胞組織からなり、嚢胞には炎症細胞の浸潤や線維化はみられない。4)その他の臨床像大腸ポリープおよび大腸がんとの関連を示唆する報告が複数あったが、オランダの399人のBHDS患者と健常血縁者を比較したコホート研究では、ポリープの数および大腸がんの発生に有意差はみられなかった。その他、耳下腺腫瘍、甲状腺腫瘍、メラノーマ、副腎腫瘍、血液腫瘍、などを合併した症例報告があるが、関連性は明らかではない。■ 予後生命予後に最も影響するのは腎腫瘍であるが、治療後の予後についてのデータは乏しい。BHDSに特徴的なオンコサイトーマや嫌色素性腫瘍の増殖は比較的遅く、遠隔転移もしにくいが、aggressiveな経過を示す組織型の腎腫瘍の合併もある。一方、皮膚病変は美容上の問題、肺病変は気胸で入院加療を繰り返すと経済的あるいは就業上の問題などで生活の質に影響が大きい。BHDSは、「特定の疾病に罹患しやすい体質」であり、診断後は定期的な健診による健康管理に務めることが重要である。適切な健診間隔についてエビデンスはないが、各病変の好発年齢を参照し、必要な検査を受けるよう指導する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)European BHD consortiumによる診断基準(表1)5)と、米国NIH(NCI)のSchmidtらの診断基準(表2)6)が発表されている。前者では皮疹の診断価値に重きが置かれている。一方、後者では診断確定には生殖細胞系列のFLCN変異の同定が必須、という立場である。国内ではFLCN検査は保険適用外のままである。そのため、BHDSを疑って皮膚生検を行ったが病理組織診断で線維毛包腫あるいは毛盤腫の診断が得られなければ、診断確定するすべがなくなる。FLCNの遺伝子検査を希望する場合には、非保険で公益財団法人かずさDNA研究所に検査の依頼をすることが可能である。また、遺伝性疾患であることから検査に際しては遺伝カウンセリング提供体制を構築することも重要である。画像を拡大する画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)1)皮膚病変線維毛包腫や毛盤腫は生命および機能予後に影響しないため基本的には経過観察されることが多いが、整容上の観点から切除されることがある。線維毛包腫に対するラパマイシン外用剤のPhaseIII試験が行われたが、プラセボと比較して有意な整容上の改善を認めなかった。2)腎病変異時・同時を含めて多発することから定期的な画像所見でフォローを行う。治療介入の目安として“3cmルール”があり、3cmに達する頃には腎機能温存のために腫瘍核出術(nephron-sparing surgery)が推奨されている6)。発見時にすでに3cmを超えていた場合には腎腫瘍のステージに応じた標準的治療を選択する。3)肺病変筆者らのグループは、気胸の既往歴がある314人のBHDS患者の解析を行った1)。初回の気胸発症年齢は中央値32歳(14~78歳)で、男性の方が女性よりも初回気胸年齢が若かった。25歳未満の発症は24.2%で認めた。特徴的と考えられたのが両側同時気胸を初発時と再発時合わせて11.8%の患者が経験していた。気胸が起こりやすい年齢分布としては、男女合わせて30代にピークがきているが、女性の方が男性と比較をして中年以降も気胸発症が続く傾向を認めた。気胸発症時の対応は、“British Thoracic Society”誌の発表している“pleural disease guideline 2010”に示される治療アルゴリズムなどを参考に治療の個別化が求められる。気胸の程度、肺機能障害の程度により慎重な外来経過観察、あるいは外来管理可能な簡易型ドレナージキットを用いた治療を行う。胸腔ドレーン挿入後にエアリークが停止しない場合には、外科治療が考慮される。標準的外科治療は胸腔鏡手術(video-assisted thoracoscopic surgery:VATS)であるが、エアリーク部の処置のみならず気胸再発を予防することを目的として、全肺胸膜カバリング術(total pleural covering:TPC)が専門施設では実施され、良好な再発防止効果が報告されている7)。TPCでは壁側胸膜との癒着を生じにくい吸収性素材である再生酸化セルロース(ORC)を使用し、葉間も含めた臓側胸膜全体を胸腔鏡下にORCで被覆し、フィブリン糊を滴下して手術を終了する。日常生活の注意点として気圧変化による気胸発症のリスクが挙げられる。研究対象としたコホートの大きさや対象者により違いがありうるが、フライトに関連した気胸のリスクは、患者当たり7.4%、1フライト当たり0.27%とする報告もある。肺嚢胞のある患者ではスキューバダイビングは禁忌である。4 今後の展望現時点でBHDSの病変に対して有効な薬剤は存在しないが、BHDS関連の腎腫瘍に対して散発性腎がんで適用のあるエベロリムスの有効性を検証する臨床試験がアメリカを中心に行われているなど薬剤開発が期待される。未診断例も数多くあることから、呼吸器内科医、皮膚科医、泌尿器科医を中心に疾患を認識し、レジストリ制度の構築により生涯にわたっての疾患表現型を追跡する必要があると考える。5 主たる診療科呼吸器内科、呼吸器外科、皮膚科、泌尿器科。肺病変は皮膚・腎臓病変より若年で発生するため気胸を契機にBHDSの診断に至る可能性が高い。呼吸器内科・外科では気胸や多発肺嚢胞を契機に的確に診断し、その後の健康管理を指導するうえで役割が大きい。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報気胸・肺のう胞スタディグループ(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)バート・ホッグ・デュベ症候群情報ネット(BHD-net)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報BHD Foundation(患者団体とMyrovlytis Trustにより設立された英国の団体)1)Namba Y et al. PLoS One. 2023;18:e0289175.2)Iwabuchi C, et al. J Dermatol Sci. 2018;89:77-84.3)Zbar B, et al. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2002;11:393-400.4)Hoppe BPC, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2022;205:1474-1475.5)Menko FH, et al. Lancet Oncol. 2009;10:1199-1206.6)Schmidt LS, et al. Nat Rev Urol. 2015;12:558-569.7)Mizobuchi T, et al. Orphanet J Rare Dis. 2018;13:78.公開履歴初回2023年10月31日

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐O(アウトカム)設定の要点と実際 その2【「実践的」臨床研究入門】第37回

O(アウトカム)をより具体的で明確なものにする今回も前回に引き続き、O(アウトカム)を設定する際の要点と実際について解説します。Oの設定においても、P(対象)の設定と同様に具体的で明確(連載第35回参照)かつ測定可能なものにする必要があります。現状のOである1)末期腎不全(透析導入)は充分具体的で明確でしょうか。以前、筆者らが出版した、慢性腎臓病(CKD)患者をPとした末期腎不全(ESKF:end-stage kidney failure)発症予測モデル研究論文1)を紹介しました(連載第9回参照)。この論文は、わが国のCKD診療中核17施設から構成される、日本CKDコホート(Chronic Kidney Disease Japan Cohort:CKD-JAC)研究の解析結果を示したものです。CKD-JAC研究のプロトコル論文2)では、ESKFとは慢性(維持)透析導入もしくは腎臓移植と定義されています。透析療法への導入は慢性(永続的)だけでなく、急性腎障害などに対して一時的に行うこともあります。そのため、永続的な施行が必要とされる維持透析への導入、と定義を明確にしているのです。また、維持透析を経ることのない先行的腎移植もESKFに対して行われることがあります。ESKF発症予測モデル研究論文1)での、実際のアウトカムについての記述を見てみましょう。この論文の”Materials and methods"セクションの小見出し"Primary outcome"に、以下のように記されています。"The main outcome measure in this study was ESKF onset, defined as the need for dialysis or preemptive kidney transplantation."「本研究の主要なアウトカム指標は、ESKFの発症であり、これは透析または先行的腎移植の必要性として定義された(筆者による意訳)。」さらに以下の記述が続きます。"Time at risk was defined as the period from study enrollment to ESKF onset, departure from the study (as a result of death prior to ESKF onset, transfer to a non-CKD-JAC facility, or con-sent withdrawal), or the end of study follow-up."「リスク時間は研究への登録からESKF発症、研究からの離脱(ESKF発症前の死亡、CKD-JAC非参加施設への異動、研究参加同意の撤回)、または研究追跡期間終了まで、と定義された(筆者による意訳)。」この記述の意味を解説するために、「発生率(incident rate)」と「打ち切り(censoring)」の定義について説明します。われわれが今回、計画しているのは(後ろ向き)コホート研究です(連載第8回、第36回参照)。コホート研究は縦断研究ですので、あるat risk集団(連載第35回参照)におけるアウトカム発生のスピード(率)を計算することができます。発生率の計算式は以下のとおりです。発生率=一定の観察期間内のアウトカム発生数÷at risk集団の観察期間の合計この式の分子は、前回600例余りの症例のうち約30%でプライマリのアウトカムが観察されたことを確認しており、容易に計測できそうです。一方、この式の分母を計算するためには、「打ち切り」という概念の理解が必要となります。「打ち切り」とは、1)研究終了時点までに着目したアウトカム(われわれのRQではESKF発症)を発生しないで観察を終えること、2)何らかの事由による観察期間中での追跡不能、に大別されます。前述したESKF発症予測モデル研究論文1)の文例では、「研究からの離脱」に関する記述が「打ち切り」に該当します。また、この文例の主語である「リスク時間」が、先に示した発生率の分母(at risk集団の観察期間の合計)と同義となります。したがって、われわれのRQのOでは「打ち切り」についても定義を明確にし、以下のように改訂することにします。O:1)末期腎不全(慢性透析療法への導入もしくは先行的腎移植)*打ち切り(末期腎不全発症前の死亡、転院、研究参加同意撤回などによる研究からの離脱)、2)糸球体濾過量(GFR)低下速度1)Hasegawa T et al. Clin Exp Nephrol. 2019;23:189-198.2)Imai E et al. Hypertens Res. 2008;31:1101-1107.

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患者が油断しがちな健診結果の項目とは

 日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーは、各領域の専門医と連携し、健康診断で「要精密検査」や「要治療」といった異常所見があった際の二次検査の受診促進の取り組みとして、2023年10月17日に『ニジケンProject』を発足した。また、本プロジェクトの一環として二次検査に関する調査を実施したところ、3人に1人が健康診断の二次検査を「既読スルー」している現状であることが明らかになった。 本プロジェクトは、近年の心不全、腎臓病、糖尿病の患者の増加とそれに伴う医療費への影響を踏まえ、健康診断後に「要精密検査」や「要治療」といった異常所見がみられた人に対し二次検査(ニジケン)の受診を促進することで、とくに慢性的な疾患の早期発見・早期治療への貢献を目指す。今回、その活動の1つとして、日本ベーリンガーインゲルハイム、日本イーライリリーは調査監修者として寺内 康夫氏(横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学)らを置き、二次検査実態調査の一次調査(スクリーニング)*1ならびに二次調査(本調査)*2を実施した。*1:全国の40~69歳の男女6万857人が対象。設問は居住都道府県別や職業、検診経験の有無や異常所見の有無など。*2:一次調査において、「糖代謝検査(血糖値)」「腎尿路系検査(腎機能、尿検査)」「心電図検査」「呼吸器系検査(胸部X線)」で異常所見があった40〜69歳の男女4,700人を対象とした。心電図検査に緊急性/必要性を感じない!? この二次調査の結果によると、健康診断または人間ドックにおいて、心臓病・腎臓病・糖尿病に関わる検査項目の中で1つでも異常所見*3が指摘された人のうち、約3人に1人(38.2%)は「二次検査」を受診していない項目あり、その理由には「現時点での緊急性/必要性を感じないから(35.8%)」が最も多く、次いで「自覚症状がないから(24.0%)」が挙がった。とくに心電図検査でこれらの回答がやや多かった。ただし、今回の調査対象者の二次検査非受診者(1,348例)のうち約40%は「心腎代謝関連による合併症リスクを知っていれば二次検査を受診する」と回答し、再検査や精密検査を受けたほうがよいと思う検査項目として、心臓病・腎臓病・糖尿病に関わる検査項目を選んでいた。なお、二次検査非受診者は、再検査や精密検査の案内の際、異常所見から考えられる疾病やリスクに対する説明を希望する声が多かった(43.8%)。*3:異常所見とは、各項目で正常所見以外のチェックが入っている、または総合評価で「要再検査」「要精密検査」「要治療」「要医療」などが記載されていること。都道府県別の受診率上位と下位は… 都道府県別の傾向として、二次検査の受診率の上位は宮崎県と岡山県で、3つの検査項目(糖代謝検査、腎尿路系検査[腎機能、尿検査]、心電図検査)においてランクイン。一方、受診率下位は徳島県(糖代謝検査、腎尿路系検査、呼吸器系検査[胸部X線])、福岡県(腎尿路系検査、心電図検査、呼吸器系検査)だった。

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CKDの腎と心血管疾患への悪影響はさらに広い範囲(解説:浦信行氏)

 JAMA誌において、2,750万人余りを対象としたメタ解析の結果、CKDの悪影響は従来報告されている全死因死亡、心血管死、腎代替療法を要する腎不全、脳卒中、心筋梗塞、心不全、急性腎障害にとどまらず、あらゆる入院、心房細動、末梢動脈疾患にまで及ぶことが報告された。結果の詳細はジャーナル四天王のニュース記事をご覧いただきたいが、本研究はそれ以外にもいくつかの重要な成績が示されている。 尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)とeGFRをクレアチニンのみで評価したものと、クレアチニンとシスタチンCで評価したものの各々の有害事象のリスクを対比すると、全体の傾向はヒートマップ上では同様であるが、クレアチニンのみで評価したeGFRでの結果は少し感度が悪い印象を受ける。eGFR各階層での有害事象のハザード比を表した図3においても、確かにクレアチニンのみで評価したeGFRでのハザード比の変化の傾きは緩徐であり、各有害事象に対する感度が対比上は低いと考えられる。かつ、各有害事象のハザード比は、クレアチニンでのeGFRは90~105を底値としてU字型を描いている。シスタチンCを加えたものではこのような結果を示していない。これはおそらく高齢者主体のサルコペニア・フレイル症例のリスク上昇を表すものと考えられる。したがって、症例によってはシスタチンCによるeGFRの評価を加えることが必須である。 UACRは30未満が正常範囲であるが、10未満の正常と10~29の正常高値で比較すると、正常高値ですでにリスクが高くなっている。すなわち、正常と考えられる範囲でもすでに有害事象に対する認識を持つ必要があるのかもしれない。わが国では保険診療上、尿アルブミンの評価は糖尿病症例に限られ、それ以外は尿蛋白で評価しなければならない。尿蛋白は尿細管由来のものも含むので同様の評価が可能かは不明であるが、注目すべき結果と考える。

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医師の英語学習、どのくらいお金と時間をかけている?/1,000人アンケート

 英語で学会発表を行ったり、外国人患者を診療したりするために、英語は医師にとって欠かせないスキルとなっている。英語を学ぶ主な目的や学習方法といった医師の英語学習状況を把握するため、会員医師1,021人を対象に『医師の英語学習に関するアンケート』を9月21日に実施した。年代別の傾向をみるため、20~60代以上の各年代を約200人ずつ調査した。その結果、英語学習に最も費用と時間をかけているのは30代であることなどが明らかとなった。海外学会への参加頻度から、おすすめの英語系YouTubeチャンネルや語学学習アプリなど、学習に役立つツールまで、英語学習に関するさまざまな意見が寄せられた。医師全体の18%が海外学会に参加 「Q1. 2022~23年、どれくらい海外学会に参加しましたか?(参加形式は発表・聴講を問わない、オンラインでの参加も含む)」という設問では、年代別に海外学会への参加の実態を聞いた。全体で18%が1回以上参加していた。 年代別で1回以上の参加率が高い順に、30代(24%)、40代(23%)、20代(17%)、50代(14%)、60代以上(12%)であった。一方、20~50代では、期間中1回の参加の割合が最も多くを占めていたが、60代以上は、3回以上参加した割合が最も多かった(7%)。診療科別の海外学会参加率(1回以上)では、参加率が高い順に、皮膚科(39%)、血液内科(36%)、放射線科(30%)、腎臓内科(29%)、リハビリテーション科(27%)であった。医師が英語を学ぶ目的、年代が低いほど研究、高いほど臨床を重視 「Q2. 医療業務やキャリアアップに関わるもので、英語を学ぶ目的は?(当てはまるものを3つ選択)」の設問では9つの選択肢を設け、多い順に「医学論文を投稿するため」(39%)、僅差で「外国人患者を診療するため」(39%)、続いて「英語の学会発表を聴くため」(31%)、「外国人医療者とコミュニケーションを取るため」(26%)、「英語で学会発表を行うため」(26%)であった。 医師が英語を学ぶ目的については、年代別で傾向が分かれた。目的別で最も多い年代は、「医学論文を投稿するため」は20代、「英語で学会発表を行うため」は30代、「外国人患者を診療するため」は60代、「外国人医療者とコミュニケーションを取るため」は50代となり、年代が低いほど研究に関わる目的の割合が高く、年齢が高いほど臨床に関わる目的が高くなった。英語学習に最も時間とコストをかけている医師は30代 「Q3. 現在行っている英語学習法は?(当てはまるものすべて選択)」では、選択肢を12個設け、多い順に「英語論文を読む」(47%)、「YouTube、Podcast」(21%)、「勤務先の抄読会」(14%)、「市販のテキストやラジオ」(13%)、「英語のドラマや映画、小説」(12%)、「英語学習アプリ」(10%)となった。30代と40代では、「YouTube、Podcast」、「英語学習アプリ」の割合が多く、60代以上では、「市販のテキストやラジオ」、「英語の映画やドラマ、小説」が多かった。 「Q4. 英語学習に月間かける費用は?」の設問では、費用をかけていない医師の割合が71%と大半を占め、次いで「1円以上、5,000円未満」が20%であった。「Q5. 英語を学習する頻度は?」の設問では、英語を学習する習慣のある医師が60%であった。学習の頻度は、多い順に「週に1日」(26%)、「週に2、3日」(15%)、「毎日」(10%)、「週に4~6日」(9%)であった。30代が英語学習に費用をかけている割合が最も多く(33%)、学習する習慣のある医師も最も多かった(67%)。医師がおすすめする英語学習法 Q6では、自由回答として、おすすめの英語学習法やサービス名、そのほか英語学習に関する意見を聞いた。回答者から寄せられた意見、おすすめの学習法、英語系YouTubeチャンネル、語学学習アプリなどは以下のとおり。【YouTube】・あいうえおフォニックスは発音や英語表現を簡単にテンポよく解説してくれる。(総合診療科・30代)・英語学習系YouTuberのタロサック。(総合診療科・30代)・もりてつという塾講師のYouTubeが参考になる。(総合診療科・40代)・フレンズ英会話はおすすめです。(腫瘍科・50代)・Kevin's Englishは楽しいです。(産婦人科・60代)【アプリ・オンラインツール】・ChatGPTは活用している。(小児科・40代)・スピーク、ELSA、mikanというアプリがおすすめ。(放射線科・20代)・スタディサプリ。(消化器内科・30代)・NHKの語学講座アプリ。無料で複数回復習ができる。(小児科・40代)・Duolingo。(皮膚科・40代)・HiNative(ネイティブにチャットで質問できるアプリ)。(呼吸器内科・40代)・DMM英会話で毎日外国の人と話し、振り返りをしている。あとはアプリで単語を覚えたり、発音の練習などしている。(循環器内科・30代)【ニュース】・ワシントンポストやニューヨークタイムズの動画ニュースを聞く。(小児科・40代)・CNN English Express。(消化器外科・50代)・BBCのPodcast。(腎臓内科・30代)【論文・学会】・ひたすら論文を書いています。(総合診療科・30代)・英文抄録を読む。(内科・60代)・好きなジャンルの講演を聴く。(血液内科・40代)・NEJMやJAMAのPodcast。(循環器内科・60代)【その他、独自の工夫】・IELTSを受けている。(臨床研修医・20代)・駅で電車を待っている間や、外を歩いているときに英語で独り言を呟いてみる。(消化器内科・40代)・歌詞を覚えて歌う。(消化器外科・50代)・子供用アニメは英語がそれほど難しくなくとっつきやすい。(泌尿器科・50代)・医療系の英語ドラマで、英語の字幕を見ながら英語で聞いて、言葉を復唱する。海外留学の経験からも、これが一番の勉強法だと思います。(内科・50代)【英語が使えてよかったこと】・突然海外からの患者が来た時に、対応できるので信頼度が上がる。(小児科・20代)・英語論文を書く時間がかからない。(整形外科・30代)・外資系の産業医活動ができた。海外出張に参加できた。(精神科・50代)・日々の絶え間ない学習が有効とわかったのが良かった。(その他・60代)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。医師の英語学習、おすすめの学習ツールは?/医師1,000人アンケート

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アセトアミノフェンの禁忌解除で添付文書改訂、処方拡大へ/厚労省

 アセトアミノフェン含有製剤の添付文書について、2023年10月12日、厚生労働省が改訂を指示し、「重篤な腎障害のある患者」「重篤な心機能不全のある患者」「消化性潰瘍のある患者」「重篤な血液の異常のある患者」及び「アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者」の5集団に対する禁忌解除を行った。添付文書における禁忌への記載が、成書やガイドラインで推奨される適切な薬物治療の妨げになっていたことから、今年3月に日本運動器疼痛学会が禁忌解除の要望を厚生労働省に提出していた。禁忌解除の対象に含まれていないアセトアミノフェンを含有する配合剤に注意 アセトアミノフェンの禁忌解除対象製剤は以下のとおり。・アセトアミノフェン[経口剤、商品名:カロナール原末ほか]・アセトアミノフェン[坐剤、同:カロナール坐剤小児用50ほか]・アセトアミノフェン[注射剤、同:アセリオ静注液1000mgバッグ]・トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤[同:トラムセット配合錠ほか]・ジプロフィリン・アセトアミノフェン等配合剤[同:カフコデN配合錠] 具体的な変更点として、アセトアミノフェン含有製剤の添付文書について、5集団のうち「重篤な心機能不全」「消化性潰瘍」「重篤な血液異常」の3集団を禁忌の項から削除し、『特定の背景を有する患者に関する注意』(慎重投与)の項で注意喚起する。「重篤な腎障害のある患者」は禁忌解除に伴い、投与量・投与間隔の調節を考慮する旨を追記した。「アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者」については、1回あたりの最大用量はアセトアミノフェンとして300mg以下とすることが注意喚起として追記された。 また、トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤については、添付文書の用法・用量に関連する使用上の注意の項に、慢性疼痛患者で、アスピリン喘息又はその既往歴のある患者に対して本剤を投与する場合は、1回1錠とすることという記載が加わった。鎮咳薬ジプロフィリン・アセトアミノフェン等配合剤については、アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者/アスピリン喘息の発症にプロスタグランジン合成阻害作用が関与していると考えられ、症状が悪化又は再発を促すおそれがあると記された。 なお、今回の検討はアセトアミノフェン単剤に加え、アセトアミノフェンを含有する配合剤も併せて行われたが、以下の配合剤はNSAIDsを含有することから今般の禁忌解除の対象品目には含まれていないので、注意が必要である。・サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩配合剤(商品名:PL配合顆粒)・サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・クロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤(同:ペレックス配合顆粒)・イソプロピルアンチピリン・アセトアミノフェン・アリルイソプロピルアセチル尿素・無水カフェイン配合剤(同:SG配合顆粒)

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eGFR低下とアルブミン尿、腎不全や心血管疾患と関連/JAMA

 CKD Prognosis Consortiumの114コホートからの個人データを対象としたメタ解析において、血清クレアチニン(Cr)値に基づく推定糸球体濾過量(eGFRcr)あるいは血清Cr値と血清シスタチンC値に基づくeGFR(eGFRcr-cys)の低下、および尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)の上昇は、腎不全や心血管疾患、入院などを含む10の有害アウトカムの発生率上昇と関連していることが示された。米国・ニューヨーク大学のMorgan E. Grams氏らCKD Prognosis Consortiumの執筆グループが報告した。米国では成人の約14%が慢性腎臓病(CKD)(eGFR低下またはアルブミン尿)に罹患しているという。しかしながらeGFRの低さやアルブミン尿の重症度と有害アウトカムとの関連性については不明であった。JAMA誌2023年10月3日号掲載の報告。CKD Prognosis Consortiumのコホートから約2,750万人のデータをメタ解析 解析には、CKD Prognosis Consortiumの参加コホート(1980~2021年)から、2021 CKD Epidemiology Collaboration(CKD-EPI)式を用いたeGFRcrのデータがある114コホート2,750万3,140例、2021 CKD-EPI式によるeGFRcr-cysのデータがある20コホート72万736例、およびUACRのデータがある114コホート906万7,753例の個人データが集められ包含された。 有害アウトカムの発生は、米国の診療報酬請求データベースであるOptumLabs Data Warehouse(OLDW)のデータを用いた。 主要アウトカムは、全死因死亡、心血管死、腎代替療法を要する腎不全(慢性透析または腎移植)、あらゆる入院、脳卒中、心筋梗塞、心不全、急性腎障害、心房細動あるいは末梢動脈疾患とし、Cox比例ハザードモデルを用いて腎臓の測定値と有害アウトカムとの関連を各コホート内で解析し、ランダム効果メタ解析を用いて統合した。eGFRcrまたはeGFRcr-cys低値、UACR高値で、10の有害アウトカムのリスクが上昇 eGFRcr集団(平均[±SD]年齢54±17歳、女性51%、平均追跡期間4.8±3.3年)では、平均(±SD)eGFRは90±22mL/分/1.73m2、UACR中央値は11mg/g(四分位範囲[IQR]:8~16)であった。eGFRcr-cys集団(59±12歳、53%、10.8±4.1年)では、平均eGFRは88±22mL/分/1.73m2、UACR中央値は9mg/g(6~18)であった。 eGFR(eGFRcrまたはeGFRcr-cys)の低さとUACRの高さは、CKDの最も低い重症度分類に属するものを含め、10項目の有害アウトカムの各リスク上昇とそれぞれ有意に関連していた。たとえば、UACR 10mg/g未満の患者では、eGFRcr 45~59mL/分/1.73m2の場合、eGFR 90~104mL/分/1.73m2と比較し入院率が有意に高かった(補正後ハザード比:1.3、95%信頼区間[CI]:1.2~1.3、1,000人年当たりのイベント件数161件vs.79件、過剰絶対リスク:22件/1,000人年[95%CI:19~25])。 著者は研究の限界として、GFRのほかの推定式は包括的にテストされていないこと、組み込まれたコホート試験は異なる試験デザインやプロトコールを使用していることなどを挙げている。

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