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内科治療に血管内治療を追加する有効性は示されなかったものの、周術期合併症率は低く抑制された(解説:高梨成彦氏)

 SAMMPRIS(Chimowitz MI, et al. N Engl J Med. 2011;365:993-1003.)、VISSIT(Zaidat OO, et al, JAMA. 2015;313:1240-1248.)において症候性頭蓋内動脈狭窄症に対する血管形成術・ステント留置術は、内科治療に対する有効性を示すことができなかった。 本研究もまた内科治療に対する血管内治療の有効性を示すことはできなかったものの、30日以内の脳卒中または死亡が5.2%であった。単純比較はできないもののSAMMPRISにおけるそれが14.7%であったことを考慮すれば、周術期合併症率を低く抑制することができたといえるだろう。 その要因は考察でも示されているように、発症から3週間以上経過した症例を選択し、症例数の多い施設・術者が参加したことが大きいだろう。 WEAVE trial(Alexander MJ, et al. Stroke. 2019;50:889-894.)もまた厳格な適応基準、経験豊富な術者、抗血小板薬の効果判定、緩徐な拡張などの条件を満たすことで、周術期合併症を2.6%と低く抑制できている。 内科治療だけでは脳梗塞の再発が抑制しきれない症候性頭蓋内動脈狭窄症患者において、どのような条件で血管形成術を適用すべきであるか、これら研究のプロトコールが参照されることになるだろう。

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虚血性脳卒中の2次予防、asundexian追加の有効性示せず/Lancet

 急性期非心原塞栓性虚血性脳卒中の2次予防治療において、抗血小板薬療法への血液凝固第XIa因子(FXIa)阻害薬asundexianの追加はプラセボと比較して、大出血または臨床的に重要な非大出血の複合の発生を増加させないものの、潜在性脳梗塞または虚血性脳卒中再発の複合の発生を抑制しないことが、カナダ・マックマスター大学のAshkan Shoamanesh氏らが実施した「PACIFIC-Stroke試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2022年9月2日号で報告された。23ヵ国の第IIb相試験 PACIFIC-Stroke試験は、脳卒中の2次予防におけるasundexianの有効性と安全性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第IIb相試験であり、2020年6月~2021年7月の期間に、日本を含む23ヵ国196施設で参加者のスクリーニングが行われた(ドイツBayerの助成による)。 対象は、年齢45歳以上、急性期(発症から48時間以内)の非心原塞栓性虚血性脳卒中と診断され、抗血小板療法による治療を受け、ベースラインで(無作為化の前または割り付け後72時間以内に)MRI検査を受けることが可能な患者とされた。 被験者は、抗血小板薬による通常治療に加え、3種の用量のasundexian(10mg、20mg、50mg)またはプラセボを1日1回経口投与する4つの群に無作為に割り付けられた。治療期間は26~52週だった。 有効性の主要アウトカムは、無作為化から26週の時点またはそれ以前のMRIで検出された初発の潜在性脳梗塞または症候性虚血性脳卒中の再発の複合に関する用量反応効果とされた。また、安全性の主要アウトカムは、国際血栓止血学会(ISTH)の判定基準で定義された大出血または臨床的に重要な非大出血の複合であった。事後解析で50mg群の有効性が示唆 1,808例が登録され、asundexian 10mg群に455例、同20mg群に450例、同50mg群に447例、プラセボ群に456例が割り付けられた。全体の平均年齢は67(SD 10)歳、615例(34%)が女性で、1,505例(83%)が白人、268例(15%)はアジア人だった。 脳卒中発症から無作為化までの平均時間は36(SD 10)時間、ベースラインの米国国立衛生研究所脳卒中尺度(NIHSS)のスコア中央値は2.0(四分位範囲[IQR]:1.0~4.0)で、7日目の修正Rankin尺度スコア中央値は1.0(IQR:1.0~2.0)だった。783例(43%)は無作為化後に平均70.1(SD 113.4)日間にわたり抗血小板薬2剤併用療法を受けていた。 26週の時点で、有効性の主要アウトカムは、プラセボ群が19%(87/456例)で発現したのに対し、asundexian 10mg群の発現率は19%(86/455例)(粗罹患比:0.99、90%信頼区間[CI]:0.79~1.24)、同20mg群は22%(99/450例)(1.15、0.93~1.43)、同50mg群は20%(90/447例)(1.06、0.85~1.32)であった。プラセボ群と3種の用量群にはいずれも有意な差はなく、有意な用量反応は観察されなかった(t statistic:-0.68、p=0.80)。 MRI上の初発潜在性脳梗塞と、症候性虚血性脳卒中の再発にも、プラセボ群とasundexianの3種の用量群に有意差はみられなかった。 安全性の主要アウトカムは、プラセボ群が2%(11/452例)で発現したのに対し、asundexian 10mg群の発現率は4%(19/445例)、同20mg群は3%(14/446例)、同50mg群は4%(19/443例)であり、3種の用量のasundexian群全体では4%(52/1,334例)であった。有意な用量反応関係は認められず、ISTHの大出血または臨床的に重要な非大出血の複合の発現に関して、プラセボ群に比べasundexian群で有意な増加はみられなかった(ハザード比[HR]:1.57、90%CI:0.91~2.71)。 大出血と臨床的に重要な非大出血はいずれも、プラセボ群と、asundexianの3種の用量群および3用量全体に有意な差はなかった。 一方、探索的な事後解析では、asundexian 50mg群はプラセボ群に比べ、大出血や臨床的に重要な非大出血のリスクを増加させずに、虚血性脳卒中再発または一過性脳虚血発作の複合の予防効果が優れ(HR:0.64、90%CI:0.41~0.98)、とくにアテローム性動脈硬化を伴う患者で良好であった。 著者は、「事後解析の結果は有望であり、十分な検出力を有する無作為化第III相試験で確認する必要がある」としている。

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ワルファリンは揺るぎない経口抗凝固薬の本流!(解説:後藤信哉氏)

 抗凝固薬の重篤な出血合併症は怖い。ワルファリンの有効性は確実であるが、重篤な出血合併症が怖いため血栓イベントリスクの高い症例に絞って使用してきた。経口のトロンビン、Xa阻害薬ではワルファリンに勝る有効性は期待できない。ワルファリンの至適PT-INRを2~3と高めに設定して、辛うじて非弁膜症性心房細動にて適応を取得した。リウマチ性の僧帽弁狭窄症など、血栓リスクの高い症例の血栓イベントは単一の凝固因子の選択的阻害薬ではとても予防できないと想定されていた。高齢社会にて非弁膜症性心房細動の数は多い。経口のトロンビン、Xa阻害薬をごっちゃにしてNOAC/DOACなどの軽い名前のイメージで特許期間内に売りまくった。血栓イベントリスクの高い機械弁では、NOAC/DOACがワルファリンにとても勝てないことはすでに解明されていた(Eikelboom JW, et al. N Engl J Med. 2013;369:1206-1214.)。今回は弁口面積2cm2以下の僧帽弁狭窄症を含むリウマチ性の心房細動の症例をNOAC/DOACのリバーロキサバンとワルファリンに割り付け、両者の有効性・安全性を検証した。 非弁膜症性の心房細動の各種ランダム化比較試験と本試験では、有効性エンドポイントが同一ではない。本試験では脳卒中・全身塞栓症に加え、心筋梗塞、心血管死亡、原因不明の死亡が有効性のエンドポイントとされた。症例は50歳前後と典型的な非弁膜症性心房細動よりも若い。観察期間内の有効性エンドポイントしては脳梗塞・全身塞栓症よりも死亡が圧倒的に多い。非弁膜症性心房細動におけるNOAC/DOAC開発試験でも、脳卒中・全身塞栓症よりも死亡が多かった。心房細動の症例をみたら、近未来の死亡こそ警戒されるべきである! 脳卒中・全身塞栓症、死亡ともに、リバーロキサバン群よりもワルファリン群が少なかった。試験がオープンラベルでPT-INRは2~3を目標とされたが、各施設に任された部分が多かった。重篤な出血、頭蓋内出血ともに数の上ではワルファリン群に多いように見えるが、若年のこともあり絶対数は少ない。 リウマチ性心疾患の心房細動など、血栓リスクの高い症例ではワルファリンが必要であることが改めて示された。ワルファリンは古典的で使い方はNOAC/DOACより難しい。しかし、本当に血栓が心配な症例ではワルファリンが必要である。難しいけど若手には頑張って勉強してほしい!

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インフルエンザと新型コロナ:動脈血栓の視点ではどっちが怖い?(解説:後藤信哉氏)

 新型コロナウイルス感染症の特徴として、深部静脈血栓症・肺塞栓症などの静脈血栓症リスクの増加が注目された。静脈血栓症リスクは、新型コロナウイルス以外の感染症でもICU入院例では高かった。インフルエンザなど他のウイルス感染と比較して、新型コロナウイルスにはACE-2受容体を介して血管内皮細胞に感染するとの特徴があった。血管内皮細胞は血管内の血栓予防にて死活的に重要な役割を演じている。新型コロナウイルス感染により血管内皮細胞の機能が障害されれば、微小循環の過程にて血小板、白血球が活性化し全身循環する血液の血栓性は亢進する。静脈血栓症以外に、心筋梗塞・脳梗塞などの動脈血栓リスクも新型コロナウイルス感染後に増加すると想定された。また、新型コロナウイルス感染症例の心筋梗塞、脳梗塞リスクの増加を示唆する論文も多数出版されている。 本研究は米国の健康保険のデータベースの後ろ向き解析である。新型コロナウイルス感染症にて入院した症例の静脈血栓、動脈血栓リスクは高いが、われわれに十分な経験のあるインフルエンザの入院例との比較において動脈、静脈血栓リスクを評価したのが本研究の新規性である。また、新型コロナウイルスのワクチン接種のインパクトの評価も志向している。もっとも、本研究は重症の入院例に限局しているので、ワクチンの血栓イベントに及ぼす効果は評価できないことを理解する必要がある。 ワクチン普及後でも、新型コロナウイルス感染症による入院後90日以内の動脈血栓イベント発症率は16.3%(95%CI:16.0%~16.6%)と高い。新型コロナは恐ろしい。しかし、インフルエンザでも入院例では90日以内に14.4%(95%CI:13.6%~15.2%)が動脈血栓を発症している。新型コロナは恐ろしいが、インフルエンザも怖い。動脈血栓イベントリスクは年齢に依存している。高齢者であれば、新型コロナであろうとインフルエンザであろうと入院後の動脈血栓イベントには注意が必要である。本研究では血管内皮細胞への感染を特徴とする新型コロナウイルスの血栓性亢進は静脈血栓のみにて確認された。米国の保険医療データベースのラフな解析の結果である。英国などの精緻なデータが待たれる。 時に、現在まで日本は全数把握を行政が主導してきた。全数把握しながら、日本のデータベースから新型コロナウイルスに関する科学的情報の発表は乏しい。労力をかけて情報を収集するのであれば、科学的情報を発信できる情報にしなければならない。厚労省に論文出版課などができれば科学的情報解析に目が向くだろうか?

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アドヒアランス改善による意識障害が生じたため薬剤を徹底見直し【うまくいく!処方提案プラクティス】第50回

 今回は、服薬アドヒアランスが改善したら治療効果が過剰に現れて意識障害を起こした事例を紹介します。薬剤師のさまざまな工夫や手法によってアドヒアランスが改善することは喜ばしいことですが、急激な変化が生じることもあるため、あらかじめ変化を予測して治療計画を立てておくことが重要です。患者情報88歳、男性(自宅で妻と2人暮らし)基礎疾患陳旧性脳梗塞(発症様式不明)、認知症、糖尿病、高血圧症 服薬管理妻身体所見身長161.5cm、体重54.7kg介入前の検査所見HbA1c 7.0、HDL 47mg/dL、LDL 83mg/dL、AST 19、ALT 23、Scr 1.03mg/dL、推算CCr 38.5mL/min処方内容1.チクロピジン錠100mg 2錠 分2 朝夕食後2.アログリプチン錠25mg 1錠 分1 朝食後3.カンデサルタン錠12mg 1錠 分1 昼食後4.ニフェジピン徐放(24時間持続)錠20mg 2錠 分2 朝夕食後5.グリメピリド錠1mg 1錠 分1 朝食後6.ボグリボースOD錠0.2mg 3錠 分3 毎食直前本症例のポイントこの患者さんの服薬管理は奥様が行っていましたが、PTPシートのままの管理で、かつ、服薬タイミングが複数回あることから飲み忘れが多かったため、訪問医の紹介で薬局が在宅訪問することになりました。訪問介入前の血圧は140〜160/80〜100と高めを推移していました。初回訪問時に飲み忘れや残薬を確認したところ、食直前や昼・夜の薬がとくに服用できておらず、少なくとも3ヵ月分の余剰があることがわかりました。そこで、奥様と医師に一包化管理の承認を取り、その日から始めることになりました。訪問介入開始後のフォローアップでは、血圧が110~120/60~70、心拍数が70台となりました。しかし、1ヵ月が経過したころに奥様より「夫の話のつじつまが合わない。そわそわしていて顔色も悪い。食事は元気がないこともあって、これまでの30~40%程度しか食べない。昼以降はうとうと寝ていることが多い。最近怒りっぽくなって常にイライラしている」と相談がありました。その日のバイタルを確認すると、血圧が170/100と高く、心拍数も95と頻脈になっていました。上腕は汗ばんでいて、衣服も汗で湿っているような感じがしました。また、最近になって便秘が出現し、お腹が張って不機嫌なのではないかという話も聴取しました。これらの追加情報から、下記のことを考察しました。(1)低血糖出現の可能性症状やその発現タイミングから、服薬アドヒアランスが改善して、これまで飲めていなかった薬の治療効果よりも副作用が強く現れたのではないかと考えました。一番懸念したことは、元々腎機能も悪く、HbA1cが高齢者の目標値の下限である7.01)であったことから、SU薬のグリメピリド錠が過度に作用して低血糖に陥っている可能性です。低血糖によるカテコラミン分泌上昇から、頻呼吸はないものの血圧上昇や頻脈、焦燥感、興奮、日中活動低下(ブドウ糖低下)に至っている恐れもあります2)。(2)食事量低下とボグリボースによる便秘発現の可能性便秘の発現については、低血糖によって食事量が低下したことで腸管蠕動が低下した可能性と、α-グルコシダーゼ阻害薬のボグリボース錠の服薬徹底により代表的な副作用でもある便秘が生じた可能性を考えました。(3)現状の服薬管理に合わせた薬剤の選定・見直しの必要性一包化管理を開始してから服薬アドヒアランスが安定しているため、服薬タイミングをシンプルに整理して、治療負担となっている薬剤の中止・減量を提案する必要があると考えました。とくに1日3回の食直前薬であるボグリボース錠は本人の服薬負担だけでなく、奥様の介護負担増加にも繋ります。血圧推移も安定してきたことから、降圧薬を減らすことも可能と考えました。処方提案と経過医師に電話で状況を報告したところ、臨時往診することになりました。診療中に医師より「低血糖症状が出現しているため治療薬を調整しようと思うが、考えがあれば教えてください」と聞かれたため、上記1~2より、グリメピリド錠は低血糖を起こしてることから中止、また便秘に影響している懸念からボグリボース錠の中止も提案しました。医師からは、今回採血もしているので次回の訪問診療まで経口血糖降下薬はすべて中止する旨の返答がありました。また、今回のことをきっかけにチクロピジン錠はクロピドグレル錠50mg 1錠 朝食後に変更となりました。昼のカンデサルタン錠は中止となり、ニフェジピン24時間持続徐放錠は40mg 1錠 朝食後に変更となりました。1週間後のフォローアップでは、食事量は50%程度であるものの活気が出てきていて、血圧は120~130/70~80台で推移していました。血色不良やイライラしていた様子、日中の傾眠もなく、デイサービスの利用ができるところまで回復しました。臨時往診時の採血結果では、HbA1cは5.5、空腹時血糖は60台まで低下していましたが、その後のHbA1cは6.0台で留まっており、経口血糖降下薬は再開せずに生活しています。1)日本糖尿病学会編著. 糖尿病治療ガイド2022-2023.文光堂;2018.2)岸田直樹著・監修. 薬学管理に活かす臨床推論.日経BP;2019.

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急性期脳梗塞、遠隔虚血コンディショニングで機能予後改善/JAMA

 中等症の急性期脳梗塞成人患者において、症状発現後48時間以内に両側上肢を電子自動制御カフで圧迫・解除を繰り返す遠隔虚血コンディショニング(remote ischemic conditioning:RIC)治療を加えることで、通常の治療のみと比較し90日後の神経学的機能良好の可能性が有意に増加することを、中国・人民解放軍北部戦区総医院のHui-Sheng Chen氏らが、中国の55施設で実施した多施設共同無作為化非盲検試験「Remote Ischemic Conditioning for Acute Moderate Ischemic Stroke Study:RICAMIS試験」の結果、報告した。これまで、前臨床試験でRICが脳梗塞を抑制し神経学的アウトカムを改善することが示され、いくつかの臨床試験においてRICの安全性が報告されていたが、急性期脳梗塞患者におけるRICの有効性に関して明らかなエビデンスは得られていなかった。なお著者は、「RICの有効性を結論付ける前に、今回の結果を別の試験で再現する必要がある」とまとめている。JAMA誌2022年8月16日号掲載の報告。症状発現後48時間以内の中等症の脳梗塞患者約1,800例で検討 研究グループは、2018年12月26日~2021年1月19日の期間に、18歳以上で症状発現後48時間以内の中等症の急性期虚血性脳卒中患者(NIHSSスコアが6~16[スコア範囲:0~42、スコアが高いほど重度])1,893例を、RIC群(922例)または対照群(971例)に1対1の割合で無作為に割り付けた(最終追跡調査日2021年4月19日)。 RIC群では、ガイドラインで推奨されている治療(抗血小板薬、抗凝固薬、スタチンなど)に加え、RIC(両側上肢に電子自動制御のカフを装着し、200mmHgで5分間の圧迫と5分間の解除を1サイクルとして、5サイクル、計50分間繰り返す)を1日2回、10~14日間実施した。 対照群では、ガイドラインで推奨されている治療のみを行った。 主要評価項目は、90日時点の良好な機能アウトカム(mRSスコア:0~1)の患者割合とし、盲検下で評価された。90日後のmRS 0~1の割合は、RIC群67.4%、対照群62.0% 無作為化された1,893例(平均[±SD]年齢65±10.3歳、女性606例[34.1%])のうち、適格基準を満たさず臨床的判断により中止あるいは同意撤回などにより117例が除外され、1,776例(93.8%)が解析対象となった。 90日時点の機能予後良好の患者割合は、RIC群67.4%(582/863例)、対照群62.0%(566/913例)であり、群間リスク差は5.4%(95%信頼区間[CI]:1.0~9.9)、オッズ比は1.27(95%CI:1.05~1.54)と、両群間に有意差が認められた(p=0.02)。 有害事象の発現率は、RIC群6.8%(59/863例)、対照群5.6%(51/913例)であった。

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脳梗塞の血栓除去前のtirofiban投与、機能障害の改善認めず/JAMA

 脳主幹動脈閉塞による急性期虚血性脳卒中で血管内血栓除去術を受けた患者では、血栓除去術前の血小板糖蛋白IIb/IIIa受容体阻害薬tirofibanの投与はプラセボと比較して、90日時の機能障害の重症度に有意な差はなく、症候性頭蓋内出血の頻度にも差を認めないことが、中国・人民解放軍第三軍医大学のQingwu Yang氏らが実施した「RESCUE BT試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2022年8月9日号で報告された。中国の医師主導無作為化プラセボ対照比較試験 RESCUE BT試験は、脳主幹動脈閉塞による急性期虚血性脳卒中の治療における、血管内血栓除去術前のtirofiban静注の有効性と有害事象の評価を目的とする医師主導の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2018年10月~2021年10月の期間に、中国の55ヵ所の病院で参加者の登録が行われた(中国・Lunan Pharmaceutical Groupなどの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上(上限は設けず)、最終健常確認から24時間以内の急性期虚血性脳卒中で、NIHSS(0~42点、点数が高いほど神経障害が重度)スコアが30点以下、ASPECTS(0~10点、点数が高いほど梗塞巣が小さい可能性を示唆)が6点以上であり、CT血管造影またはMR血管造影、デジタル差分血管造影により頭蓋内内頸動脈または中大脳動脈(M1、M2)の閉塞が認められる患者であった。 被験者は、tirofibanまたはプラセボの静脈内投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。試験薬は、10μg/kgのボーラス投与後、0.15μg/kg/分で最長24時間持続的に静脈内注入された。全例が血管内治療を受けた。 主要アウトカムは、術後90日の時点における機能障害の程度とされ、修正Rankin尺度(0[まったく症候がない]~6[死亡]点)で評価された。安全性の主要アウトカムは、48時間以内の症候性頭蓋内出血の発生で、Heidelberg出血分類に準拠して評価が行われた。画像評価による症候性頭蓋内出血は有意に高率 948例(年齢中央値67歳[IQR:57~74]、女性391例[41.2%])が無作為化の対象となり、全例が試験を完了した。463例がtirofiban群、485例がプラセボ群に割り付けられた。 最終健常確認から無作為化までの時間中央値は、tirofiban群が405分、プラセボ群は397分で、病院到着から試験薬の静脈内投与開始までの時間中央値はそれぞれ121分および116分、動脈穿刺から再灌流の達成または手技終了までの時間中央値は67分および70分だった。 90日時のmRSスコア中央値は、tirofiban群が3点(IQR:1~4)、プラセボ群も3点(IQR:1~4)であり、補正後共通オッズ比(OR)は1.08(95%信頼区間[CI]:0.86~1.36)と、両群間に有意な差は認められなかった(p=0.50)。 また、臨床的有効性に関する6つの副次アウトカム(90日時のmRS 0~1点の達成または発病前のスコアへの回復、NIHSSスコアのベースラインからの変化、90日時のQOL[EQ-5D-5Lスコア]など)は、いずれも両群間に有意差はみられなかった。 48時間以内の症候性頭蓋内出血についても両群間に有意な差はなく、発生率はtirofiban群が9.7%(45/462例)、プラセボ群は6.4%(31/483例)であった(群間差:3.3%[95%CI:-0.2~6.8]、補正後OR:1.56[95%CI:0.97~2.56]、p=0.07)。 一方、画像評価による症候性頭蓋内出血は、tirofiban群で発生率が有意に高かった(34.9%[161/462例]vs.28.0%[135/483例]、群間差:6.9%[95%CI:1.0~12.8]、補正後OR:1.40[95%CI:1.06~1.86]、p=0.02)。90日死亡率には有意差がなかった(18.1% vs.16.9%、1.2%[-3.6~6.1]、1.09[0.77~1.55]、p=0.63)。 著者は、「tirofibanは、血管内治療のアウトカムを改善しないことが示された」とまとめ、「本試験におけるプラセボ群の実質的な再灌流達成率は90.5%(tirofiban群は92.2%、p=0.38)と高く、これはステント型血栓除去デバイスに関する5つの無作為化試験のメタ解析での達成率(71%)を上回る。この差は、この間の血管内治療技術の進歩を反映していると考えられ、結果として、tirofiban投与によるさらなる改善の余地は限られたものであった」と考察している。

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tPA静注+経皮的脳血栓回収術が今後も標準治療として選択されることになるだろう(解説:高梨成彦氏)

 現在標準治療として推奨されているtPA静注+経皮的脳血栓回収術のBridging Therapyに対して、血栓回収術を単独で施行するDirect Thrombectomyの非劣性は示されなかった。とくに患者の半数を占めた中国とベトナムのアジア圏においてBTの有効性が高いという結果であった。 BT vs.DTに関しては下表※に示したように本研究を含めて6つの試験が行われている。しかしDTの非劣性が示されたのはDIRECT-MTとDEVTの2つであり、これら2試験は非劣性マージンが広いこと、Door-to-IVT timeが長いことなどが指摘されている(Turc G, et al. J Neurointerv Surg. 2022;14:209.)。 これらの結果から今後もtPA静注が可能な症例に対してはBTが標準治療として選択されることになるだろう。 なお本研究ではBT群の17%にtenecteplaseが使用されている。アルテプラーゼに比べて再開通率、患者転帰が良好であると報告されており、ボーラス投与で迅速に治療を開始できるtenecteplaseはBTの効果をさらに高めることが期待され、本邦でも使用可能になることが切望される。※表:筆者作成

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痛風発作、心血管イベントの一過性の増加と関連/JAMA

 痛風患者では、心血管イベントの経験者は非経験者と比較して、イベント発生前の0~120日以内に痛風発作を発症する確率が有意に高く、痛風発作後の心血管イベントの一過性の増加と関連する可能性があることが、英国・ノッティンガム大学のEdoardo Cipolletta氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2022年8月2日号に掲載された。イングランドの後ろ向き観察研究 研究グループは、痛風発作が痛風患者における心血管イベントのリスクを一過性で増加させるとの仮説の検証を目的に、後ろ向き観察研究を行った(ノッティンガム大学などの助成を受けた)。 解析には、1997年1月1日~2020年12月31日の期間にイングランドのClinical Practice Research Datalinkに登録された電子健康記録(EHR)のデータが用いられた。 観察期間中に痛風を発症した患者を対象に多変量コホート内症例対照研究(nested case-control study)を行い、痛風発作と心血管イベントを有する患者において、季節と年齢を補正した自己対照ケースシリーズ(self-controlled case series)による解析を実施した。 痛風発作は、次の3つの要件のうち1つ以上を満たす場合と定義された。(1)総合診療医の記録で痛風発作の診断コードの記載、(2)退院時の診断で、痛風による入院の記述、(3)プライマリケア施設で痛風と診断され、その日に非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはグルココルチコイド、コルヒチンを処方されている。 主要アウトカムは、心血管イベント(急性心筋梗塞、脳卒中)とされた。痛風発作後0~60日に、心血管イベントリスクが最も高い 新規に痛風と診断された6万2,574例(平均年齢76.5歳、男性69.3%)がコホート内症例対照研究に含まれた。このうち1万475例が心血管イベントを発症し、残りの5万2,099例(マッチさせた対照)は心血管イベントを伴わない痛風患者であった。 心血管イベントを発症した痛風患者は、これを伴わない痛風患者に比べ、痛風発作の確率が、過去0~60日以内(204/1万475例[2.0%]vs.743/5万2,099例[1.4%]、補正後オッズ比[OR]:1.93、95%信頼区間[CI]:1.57~2.38)、過去61~120日以内(170/1万475例[1.6%]vs.628/5万2,099例[1.2%]、1.57、1.26~1.96)の双方で有意に高かった。 これに対し、過去121~180日以内の痛風発作の確率は、心血管イベント発症痛風患者と非発症痛風患者で有意な差はなかった(148例[1.4%]vs.662例[1.3%]、補正後OR:1.06、95%CI:0.84~1.34)。 一方、自己対照ケースシリーズ(1,421例)では、1,000人日当たりの心血管イベントの割合は、痛風発作前の150日以内または発作後181~540日が1.32(95%CI:1.23~1.41)であったのに比べ、痛風発作後0~60日は2.49(2.16~2.82)、61~120日は2.16(1.85~2.47)、121~180日は1.70(1.42~1.98)と、高い値を示した。 また、痛風発作前の150日以内または発作後181~540日と比較して、痛風発作後0~60日以内における1,000人日当たりの心血管イベントの罹患率の差は1.17(95%CI:0.83~1.52)で、補正後罹患率比(IRR)は1.89(95%CI:1.54~2.30)であり、痛風発作後61~120日では、それぞれ0.84(95%CI:0.52~1.17)/1,000人日および1.64(95%CI:1.45~1.86)、121~180日では0.38(0.09~0.67)/1,000人日および1.29(1.02~1.64)であった。 著者は、「痛風は、NLRP-3インフラマソームの活性化に起因する好中球が豊富な急性炎症で特徴づけられる。好中球性炎症は、動脈硬化性プラークの不安定性や破綻をもたらす。プラーク内の活性化した炎症細胞は、メタロプロテイナーゼやペプチダーゼなどの宿主応答タンパク質のアップレギュレーションを引き起こし、酸化ストレスを促進するが、これらはすべてプラークの不安定化に寄与する。これは、心血管イベントと直近の痛風発作との関連の説明となる可能性がある」と指摘している。

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急性期脳梗塞、血栓回収術単独療法の非劣性は確認されず/Lancet(解説:中川原譲二氏)

 脳主幹動脈閉塞に起因する急性期脳梗塞に対する血栓回収術単独療法の有効性については、静脈内アルテプラーゼ+血栓回収術(併用療法)と比較して、その非劣性は確認されず、単独療法による再灌流の成功率が有意に低いことが、Urs Fischerらのthe SWIFT DIRECT Collaboratorsによる無作為化非劣性試験によって示された。研究の詳細は、Fischer U, et al. Lancet. 2022;400:104-115.で報告された。多施設無作為化非盲検評価者盲検試験で検証 欧州とカナダで行われたこの多施設無作為化非盲検評価者盲検試験では、血栓回収術のデバイスとして、ソリティア ステント レトリーバーが用いられ、有効性の主要エンドポイントは、治療後90日の時点での修正Rankin scale(mRS)スコア0~2点の達成とされ、血栓回収術単独治療の併用療法に対する非劣性が評価された(Mantel-Haenszel リスク差の片側95%信頼区間[CI]の下限12%を非劣性マージンとした)。主な安全性評価項目は、すべての症候性頭蓋内出血とされた。血栓回収術単独療法の非劣性は確認されず 2017年11月29日から2021年5月7日までの間に、5,215例の患者がスクリーニングされ、423例がランダムに割り当てられた。そのうち408例(201例は血栓回収術単独療法、207例は併用療法)が、主要な有効性の分析に含まれた。血栓回収術単独療法に割り当てられた201例のうち114例(57%)が、併用療法に割り当てられた207例のうち135例(65%)が、治療後90日の時点でのmRSスコア0~2に達した (調整リスク差-7.3%、95%CI:-16.6~2.1、片側95%CIの下限-15.1%、-12%の非劣性マージンを超える)。症候性頭蓋内出血は、血栓回収術単独療法201例のうち5例(2%)、併用療法202例のうち7例 (3%)に発生した(リスク差-1.0%、95%CI:-4.8~2.7)。再灌流の成功率は、血栓回収術単独療法で少なかった(単独療法201例のうち182例(91%)vs.併用療法207例のうち199例(96%)、リスク差-5.1%、95%CI:-10.2~0.0、p=0.047)。血栓回収術前の血栓溶解療法の除外に利益なし 著者らの無作為化非劣性試験によって、脳主幹動脈閉塞に起因する急性期脳梗塞に対する血栓回収術単独療法の有効性については、静脈内アルテプラーゼ+血栓回収術(併用療法)と比較して、その非劣性は確認されず、単独療法による再灌流の成功率が有意に低いことが明確となった。以上より、適格患者に対して血栓回収術前の血栓溶解療法を除外することは、再灌流の成功率の低下につながることから、推奨されないと結論付けられた。 本試験と同時に報告されたTrevoデバイスを用いた「DIRECT-SAFE試験」(Mitchell PJ, et al. Lancet. 2022;400:116-125.)のサブグルーブ解析(アジア地域の患者)においても、同様の結果が認められ、著者であるPeter J. Mitchell氏は、「この試験で得られた付加的エビデンスは、血栓回収術前の血栓溶解療法を除外することによる利益を示すエビデンスはない(とくにアジア地域の患者で)との結論を支持するものである」としている。 これらの新たな知見は、今後の脳梗塞治療ガイドラインの改訂に際して、併用療法を標準治療として推奨するための有益な根拠になると考えられる。

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コロナ禍で医療資源確保のために国民へのお願い/4学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波の流行拡大が深刻な様相を呈している。発熱外来には連日長蛇の受診者がならび診療予約の電話が鳴りやまない。また、救急搬送は大都市圏で稼働率9割を超え、受け入れ先医療機関の不足や長い待機時間などが大きな問題となっている。 こうした事態を鑑み、日本感染症学会(理事長:四柳 宏)、日本救急医学会(代表理事:坂本 哲也)、日本プライマリ・ケア連合学会(理事長:草場 鉄周)、日本臨床救急医学会(代表理事:溝端 康光)の4学会は連名で「限りある医療資源を有効活用するための医療機関受診及び救急車利用に関する4学会声明」を8月2日に急遽発表した。 声明では、COVID-19に罹患したと思われる際の個々人の行動について、軽症で重篤化リスクのない人については、自宅療養を勧めるとともに、救急車を利用する際の指針について示している。COVID-19かなと思ったら?【声明の4つのポイント】1)症状が軽い*場合は、65歳未満で基礎疾患や妊娠がなければ、あわてて検査や受診をする必要はありません。自宅療養を続けられます。この場合、新型コロナウイルス専用の特別な治療は行いません。医療機関での治療は、つらい発熱や痛みを和らげる薬が中心になり、こうした薬は薬局などで購入できます。限りある医療資源を有効活用するためにも、検査や薬のためにあわてて医療機関を受診することは避けてください。 *症状が軽いとは「飲んだり食べたりできる、呼吸が苦しくない、乳幼児で顔色が良い」2)症状が重い**場合や、37.5℃以上の発熱が4日以上続く場合、65歳以上の方や65歳未満でも基礎疾患がある方、妊娠中、ワクチン未接種の方などは、重症になる可能性があります。早めにかかりつけ医に相談してください。高熱が続くなど症状が長引いたり、重くなるようでしたら、かかりつけ医や近隣の医療機関へ必ず相談、受診(オンライン診療を含む)してください。 **症状が重いとは「水分が飲めない、ぐったりして動けない、呼吸が苦しい、呼吸が速い、乳幼児で顔色が悪い、乳幼児で機嫌が悪くあやしてもおさまらない」3)救急車を呼ぶ必要がある症状は、顔色が明らかに悪い、唇が紫色になっている、(表情や外見などが)いつもと違う、様子がおかしい、息が荒くなった、急に息苦しくなった、日常生活で少し動いただけで息苦しい、胸の痛みがある、横になれない、座らないと息ができない、肩で息をしている、意識がおかしい(意識がない)などがあります。このようなときには救急車を呼ぶことをためらわないでください。4)救急車の利用の目安については「救急車利用リーフレット(高齢者版、成人版、子供版)」をご活用ください。 判断に迷う場合には、普段からの体調を把握しているかかりつけ医への相談、各種相談窓口(行政などが設置している発熱相談窓口や♯7119などの救急安心センター・救急相談センター、♯8000)などの活用をしてください。7項目で診療集中の弊害を説明 上記の診療を受ける、救急車を利用する前のポイントを踏まえ、解説として7項目のCOVID-19のとくにオミクロン株に関する疾患情報やリスクの高い場合の対応を記している。以下に抜粋して示す。【オミクロン株にかかったときの自然経過】・オミクロン株への曝露があってから平均3日で急性期症状(発熱・喉の痛み・鼻水・咳・全身のだるさ)が出現するが、そのほとんどが2~4日で軽くなること。・COVID-19の検査を受けることは大切だが、検査を受けることができなくてもあわてないで療養(自宅での静養)することが大切。・重症化する人の割合は数千人に1人程度と推定(厚生労働省資料より)。【COVID-19を疑う症状が出た場合】・COVID-19の症状(発熱・のどの痛み・鼻水・咳・全身のだるさなど)が出た場合は、まず仕事や学校を休んで外出を避け、自宅療養を始める。【症状が軽く65歳未満で基礎疾患がない場合、妊娠中でない場合】・症状が軽く(飲んだり食べたりできて、呼吸が苦しくない、乳幼児で顔色が良い)、基礎疾患がない場合や妊娠がない場合は、検査や薬のためにあわてて医療機関を受診をする必要はない。・COVID-19専用の特別な治療は行わない。つらい発熱や痛みを和らげる薬(アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬)が治療の中心で、このような薬は薬局など(ドラッグストアやインターネット販売も含む)で購入できる。・限りある医療資源を有効活用するためにも、検査を目的とした医療機関の受診は避ける。・市販の医療用抗原検査キットを使い、症状が出た翌日以降に自分で検査することもできるが、症状が出た当日に検査をすると新型コロナウイルスに感染しているのに陰性になる可能性が高いため、翌日以降の検査をお勧めする。【症状が重い、発熱が4日以上、65歳以上、基礎疾患がある場合、妊娠中の場合】・症状が重い(水分が飲めない、ぐったりして動けない、呼吸が苦しい、呼吸が速い、乳幼児で顔色が悪い、乳幼児で機嫌が悪くあやしても治まらない)場合や、37.5℃以上の発熱が4日以上続いている場合は、医療機関への受診(オンライン診療を含む)が必要。・たとえ症状が軽くても、65歳以上の方、基礎疾患がある方や妊娠中の方、ワクチン未接種の方などは、重症になる可能性があるので、早めにかかりつけ医に相談。・熱が続くなど症状が長引いたり、重くなるようだったら、かかりつけ医や近隣の医療機関に必ず相談、受診(オンライン診療を含む)。・次の主な重症化のリスク因子がある方は受診が必要。〔主な重症化のリスク因子〕65歳以上の高齢者/悪性腫瘍(がん)/慢性呼吸器疾患(COPDなど)/慢性腎臓病/糖尿病/高血圧/脂質異常症/心臓や血管の病気/脳梗塞や脳出血など脳血管の病気/高度肥満(BMIが30以上)/喫煙(ヘビースモーカーの場合)/固形臓器移植後の免疫不全/妊娠後期/免疫抑制・調整薬の使用/HIV感染症(参考:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第8.0版を改変)【医療機関への受診について】・医療機関に受診が必要な場合は、通常診療中の時間帯(平日の日中など)に、かかりつけ医や近所の医療機関に電話相談してから受診。【救急車の利用の目安について】・COVID-19により救急車を呼ぶ必要がある症状としては、顔色が明らかに悪い、唇が紫色になっている、(表情や外見などが)いつもと違う、様子がおかしい、息が荒くなった、急に息苦しくなった、日常生活で少し動いただけで息苦しい、胸の痛みがある、横になれない、座らないと息ができない、肩で息をしている、意識がおかしい(意識がない)などがある。このようなときには救急車を呼ぶことをためらわない。 以上、国民向けの内容であるが、外来診療などの際に患者さんにお伝えすることで、現在の診療への集中化の緩和につながればと期待する。

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利尿薬の処方カスケードを発見し、高尿酸血症薬の中止を提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第49回

 今回は、処方カスケードを起こしやすい薬剤の代表である利尿薬と高尿酸血症治療薬に関する提案です。処方カスケードを発見するには処方順序や経緯を知ることが重要です。薬歴に処方開始の理由やその後のフォロー内容をまとめておくことで、処方カスケードを食い止めるきっかけになります。患者情報90歳、男性(施設入居)基礎疾患左放線冠脳梗塞、認知症、高血圧服薬管理施設職員処方内容1.オルメサルタンメドキソミル・アゼルニジピン配合錠HD 1錠 朝食後2.クロピドグレル錠50mg 1錠 朝食後3.ラベプラゾール錠10mg 1錠 朝食後4.アトルバスタチン錠10mg 1錠 朝食後5.フェブキソスタット錠10mg 1錠 朝食後本症例のポイントこの患者さんは脳梗塞の既往があるものの、施設内独歩が可能で、排泄や食事も自立していて、ADLは良好でした。血圧の推移は130〜140/70〜80であり、現行の治療薬で安定していました。高尿酸血症治療薬を服用していますが、痛風発作の既往はありません。代理で訪問診療に同行することになったため、担当薬剤師の薬歴を確認したところ、「OP:尿酸値のフォロー、過去にアゾセミド服用」とありました。記録をさかのぼって確認すると、過去に下腿浮腫のためアゾセミド錠30mgを服用していたことがわかりました。その1ヵ月後の血液検査では尿酸値:11.3mg/dLと高値であったことから、フェブキソスタット10mgが追加されていました。その2週間後には下腿浮腫は消失したため、アゾセミドは中止となっていました。<薬歴から考察したこと>(1)アゾセミドによる尿酸値上昇→フェブキソスタット追加アゾセミドなどのループ利尿薬は、尿酸と同じトランスポーターを競合的に阻害するため、尿酸排泄が低下したと考えられる。利尿作用により腎糸球体ろ過量が減少し、尿酸排泄が低下した可能性もある1)。これらの作用により尿酸値が上昇し、フェブキソスタットが追加されたのではないか。(2)アゾセミド中止後の高尿酸血症の治療評価が必要今回の尿酸値上昇は、原発の高尿酸血症の可能性は低く、アゾセミドによる二次性の高尿酸血症と考察した。そのためアゾセミド中止後の尿酸値のフォローは重要であり、純粋なフェブキソスタットの治療評価とはせずに、継続の必要性を検討する必要がある。以上のことから、高尿酸血症の治療評価を医師に直接提案することとしました。処方提案と経過医師に、上記の(1)(2)の考察を共有し、都合のよいタイミングで採血を行って高尿酸血症の治療評価ができないか相談しました。ちょうど定期採血のタイミングであったことから、すぐに尿酸値や腎機能を評価することとなりました。2週間後の診療で共有された血液検査の結果は、尿酸値:3.6mg/dL、Scr:0.89mg/dL、BUN:17.5mg/dLであり、フェブキソスタットは中止となりました。その後の定期採血結果でも、尿酸値:6.7mg/dLと基準値内を推移していて、関節痛の症状や母趾の腫脹などの痛風症状もなく、無症状で経過しています。薬歴には、「OP:高尿酸血症治療管理 ●月●日〜フェブキソスタット中止(中止時の尿酸値:3.6mg/dL→中止後の尿酸値:6.7mg/dL)。再上昇に注意して要モニタリング」と変更の経緯とその後のフォロー内容を残しました。1)ダイアート錠 インタビューフォーム

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有害量のアルコール摂取、若年男性で多い:GBD2020/Lancet

 アルコール摂取に関する勧告は年齢および地域によって異なることを支持する強いエビデンスがあり、とくに若年者に向けた強力な介入が、アルコールに起因する世界的な健康損失を減少させるために必要であることが、米国・ワシントン大学のDana Bryazka氏らGBD 2020 Alcohol Collaboratorsの解析で明らかとなった。適度なアルコール摂取に関連する健康リスクについては議論が続いており、少量のアルコール摂取はいくつかの健康アウトカムのリスクを低下させるが他のリスクを増加させ、全体のリスクは地域・年齢・性別・年によって異なる疾患自然発生率に、部分的に依存することが示唆されていた。Lancet誌2022年7月16日号掲載の報告。年齢・男女・年別にTMRELとNDEを推定 解析には、204の国・地域における1990~2020年の死亡率と疾病負担を年齢別、性別に推計した世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)のデータを用いた。22の健康アウトカム(虚血性心疾患、脳梗塞、がん、2型糖尿病、結核、下気道感染症など)に関する疾患重み付け用量反応相対リスク曲線を構築し、21地域の15~95歳の個人について1990~2020年の期間で、5歳ごとの年齢階級別、男女別および年別に、アルコールの理論的最小リスク曝露量(theoretical minimum risk exposure level:TMREL、アルコールによる健康損失を最小化する摂取量)と非飲酒者等価量(non-drinker equivalence:NDE、飲酒者の健康リスクが非飲酒者の健康リスクと同等時点でのアルコール摂取量)を推定するとともに、NDEに基づき有害な量のアルコールを摂取している人口を定量化した。有害量のアルコール摂取は若年男性で多い アルコールに関する疾患重み付け相対リスク曲線は、地域および年齢で異なっていた。2020年の15~39歳では、TMREL(ドリンク/日:1ドリンクは純粋エタノール10g相当)は0(95%不確実性区間[UI]:0~0)から0.603(0.400~1.00)、NDEは0.002(0~0)から1.75(0.698~4.30)とさまざまであった。 40歳以上の疾患重み付け相対リスク曲線はすべての地域でJ字型であり、2020年のTMRELは0.114(95%UI:0~0.403)から1.87(0.500~3.30)、NDEは0.193(0~0.900)から6.94(3.40~8.30)の範囲であった。 2020年における有害量のアルコール摂取は、59.1%(95%UI:54.3~65.4)が15~39歳、76.9%(73.0~81.3)が男性であり、主にオーストララシア、西ヨーロッパ、中央ヨーロッパに集中していた。

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ゴルフ中に突然のめまい!VADに注意!!【知って得する!?医療略語】第16回

第16回 ゴルフ中に突然のめまい!VADに注意!!ゴルフがきっかけで脳梗塞になるなんてことがあるのですか?そうなんです。水泳のクロールやテニス、カイロプラクティスなども若年性脳梗塞を引き起こすことがありますよ。いずれも椎骨動脈解離(VAD:vertebral artery dissection)が原因です。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】VAD【日本語】椎骨動脈解離【英字】vertebral artery dissection【分野】脳神経【診療科】脳神経外科・救急【関連】椎骨動脈解離性動脈瘤 VADA:vertebral artery dissecting aneurysm実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。めまいの鑑別診断で見逃せない疾患の1つに椎骨動脈解離(VAD)があります。見逃すと脳幹梗塞や小脳梗塞、くも膜下出血に至ることもあります。そんなVADは、筆者の経験上、研修医の先生に質問しても、あまり認知されていない疾患ですが、救急外来でめまいの診療をしていると、VADは決して稀な疾患ではありません。しかし、VADという疾患の存在を知らなければ疑うこともできません。また、必ずしも一般的な頭部画像検査ではVADが診断出来るとは限らず、きちんと疑うことができなければ、それに応じたMRオーダーが出来ず、末梢性めまいと誤診してしまう可能性もあります。そこで、今回はVADについて、診断の観点からフォーカスしたいと思います。VADとはVADは脳動脈解離の1つです。脳動脈解離の発症頻度は、椎骨脳底動脈系:頸動脈系=3:1と椎骨脳底動脈系が高く、さらに椎骨脳底動脈系の解離の90%が椎骨動脈です。発症様式は、解離に伴う椎骨動脈内の狭窄で虚血を来す場合と、椎骨動脈の解離部分が瘤状化し椎骨動脈瘤を発症(椎骨動脈解離性動脈瘤)、それが破裂する出血性のものがあります。初期症状は後頸部痛や肩こりで、多くは片側ですが、解離が脳底動脈に及び、脳底動脈の解離であれば頸部痛が両側性になる可能性も十分あります。また、筆者の経験上は頸部痛や肩こりの程度はさまざまで頭重感程度の方もいます。ただ、普段は肩こりや頸部痛が無い人が、めまいで来院し、普段は経験していない肩こりや頸部痛、頭重感を呈している際には、VADの可能性を十分に想定します。VADの主な原因VADの病因は、特発性から外傷性(交通事故・頸椎骨折等)、スポーツ、血管炎、マルファン症候群の結合組織病などさまざまですが、頸部の捻転を伴う動作が発症契機として指摘されています。とくに頸部を急に捻る動きや過伸展を伴うスポーツ、たとえばゴルフや水泳のクロールやサーフィン、テニスやカイロプラクティスなどで症例報告があります。2020年にはくしゃみ直後の発症も報告されています。これは筆者の推測ですが、頸椎の横突孔を通過する椎骨動脈は、頸部の過伸展や捻転動作により、横突孔周囲の骨と強く接触し、ずり応力により血管壁が損傷し解離を来しやすいのではないかと推測しています。頸動脈系よりもVADが圧倒的に多いのは、椎骨動脈の解剖的な構造に由来するのではないかと考えています。VAD診断にはMRのVRFAやBPASが役立つVADの画像診断の上で留意したいのは、虚血発症のVADが必ずしも脳梗塞まで至っていないことがある点です。このため、発症して間もないVADを頭部単純CTでは診断できないのはもちろんですが、頭部MRIでも拡散強調画像で急性期脳梗塞病変を指摘できないことがあります。これは梗塞まで至っていない虚血状態の病態があることによります。そこで頭頸部MRAも併用しますが、椎骨動脈は先天的な左右差も多く、MRAで椎骨動脈が狭窄や途絶しかけているように見えても、椎骨動脈の低形成という場合も少なくありません。このときに参考になるのが、BPAS(basi-parallel anatomical scanning)です。BPASはMRAの撮影法の1つです。MRAが血管内の血流信号(≒血管内腔)を反映するのに対し、BPASは椎骨脳底動脈の外観を表示します。BPASとMRAで示される血管径に明らかな乖離があるとすれば、椎骨動脈に解離腔の存在を疑う、あるいは解離部分の瘤状化を疑う手がかりとして有用です。ただし、BPASで有用な情報を得られない症例も存在し、近年は新たな撮像方法として、可変フリップ角 (VRFA:variable refocusing flip angle)を利用したVRFA-3D-TSE法も登場し、より診断精度の向上が期待されます。しかし、どれほど診断機器が発達しても、まずは疾患を疑わなければ始まりません。VADの診断には病歴聴取がとても重要だと思います。急性のめまいの患者さんの診療においては、症状出現前に頸部の過伸展や捻転イベントがなかったか詳しく問診します。また、これまで経験のない片側の肩こりや頸部痛の有無も確認します。ただし、VADの全例に誘因や頸部痛・後頭部痛があるとは限りませんのでその点は注意が必要です。ですが、少なくとも問診や症状からVADを否定できず、検査前確率が高いと考える場合は、放射線技師と相談し、MRI撮影の依頼時にBPASやVRFAを検討いただくことをお薦めします。最後に筆者がヒヤッとした症例をご報告します。その患者さんはバレリーナで、バレエ中に首を過度に反らしたときに突然のめまいが出現しました。初期対応した医師の診断は、アナムネとCTで異常がないことを理由に良性発作性頭位めまい症(BPPV)と診断したようでしたが、帰宅後も症状持続に改善がなく、患者さんは翌日の内科外来を受診しました。発症状況からVADを否定できないと判断し、BPASも含めた頭部MRを実施したところ、椎骨動脈解離が見つかり緊急入院しました。VADは、受診後にくも膜下出血を来し心機能停止で再搬送されたケースも報告されています。めまいを訴える患者を末梢性めまいと結論付ける前に、中枢性めまいの可能性を慎重に否定する必要があります。なお、近年は脳動脈解離として頸動脈解離とVADが一括りに語られる傾向があり、筆者は少々違和感を持っています。同じ脳動脈解離でも、VADと頸動脈系では臨床像が異なるのがその理由で、現場の実務ではそれぞれの臨床像を知っておく必要があると考えています。1)戌亥 章平ほか. 臨床神経. 2020;60:573-580.2)沖山 幸一ほか. 脳卒中の外科. 2014;42:196-202.3)徳元 一樹ほか. 臨床神経. 2014;54:151-157.4)寺崎 修司ほか. 脳卒中. 1996;18巻:70-73.

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急性期脳梗塞、血栓回収前の血栓溶解療法は必要か/Lancet

 発症から4.5時間以内の脳主幹動脈閉塞に起因する急性期虚血性脳卒中の治療において、直接的な機械的血栓回収術は経静脈的血栓溶解療法を施行後に機械的血栓回収術を行う標準治療(ブリッジング療法)と比較して、有効性(機能的自立)に関して非劣性は達成されず、症候性脳出血や死亡のリスクには差がないことが、オーストラリア・メルボルン大学のPeter J. Mitchell氏らが実施した「DIRECT-SAFE試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌2022年7月9日号で報告された。4ヵ国の無作為化非劣性試験 DIRECT-SAFEは、エンドポイント盲検下に行われた非盲検無作為化非劣性試験であり、2018年6月~2021年7月の期間に、4ヵ国(オーストラリア、ニュージーランド、中国、ベトナム)の25ヵ所の急性期病院で参加者の登録が行われた(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]と米国Strykerの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、発症から4.5時間以内で、非造影CTで小~中程度の大きさの早期の虚血性変化が認められ、CTまたはMR血管造影で頭蓋内内頸動脈、中大脳動脈(M1またはM2)、脳底動脈の閉塞が確認された患者であった。 被験者は、病院到着から90分以内に、機械的血栓回収術単独または標準的なブリッジング療法(経静脈的血栓溶解療法+機械的血栓回収術)を受ける群に無作為に割り付けられた。ブリッジング療法群では、各施設の標準的な経静脈的血栓溶解療法(アルテプラーゼまたはtenecteplase)を受けたのち、Trevoデバイス(米国Stryker Neurovascular製)を用いた標準的な機械的血栓回収術が行われた。 アウトカムの評価者は治療割り付け情報を知らされず、治療医と患者には知らされた。 有効性の主要エンドポイントは機能的自立とされ、治療後90日の時点での修正Rankin尺度(mRS)スコア0~2点の達成またはベースライン時の機能への回復と定義された。非劣性マージンは-0.1とされ、主要エンドポイント達成率の群間差の両側95%信頼区間(CI)下限値が-0.1より大きい場合に非劣性と判定された。アジア人ではブリッジング療法が有意に優れる 293例が登録され、機械的血栓回収術群に146例、ブリッジング療法群に147例が割り付けられた。全体の年齢中央値は68歳(IQR:61~78)で、166例(57%)が男性であった。NIHSSスコア中央値は両群とも15点で、ブリッジング療法群の入院から血栓溶解療法開始までの時間中央値は64分(IQR:47~87)だった。 また、無作為化から動脈穿刺までの時間中央値は、機械的血栓回収術群が29分(IQR:19~47)、ブリッジング療法群は42分(29~59)であり、動脈穿刺から再灌流達成までの時間中央値は両群とも60分以内(機械的血栓回収術群55.5分[IQR:26.0~88.5]、ブリッジング療法群44.5分[27.0~70.0])だった。 90日時の機能的自立は、intention-to-treat集団では機械的血栓回収術群が146例中80例(55%)、ブリッジング療法群は147例中89例(61%)で達成され(群間リスク差:-0.051、両側95%CI:-0.160~0.059)、per-protocol集団ではそれぞれ145例中79例(54%)および143例中88例(62%)で達成された(群間リスク差:-0.062、両側95%CI:-0.173~0.049)。したがって、機能的自立に関して、機械的血栓回収術群のブリッジング療法群に対する非劣性は確認されなかった。 安全性のアウトカムの発現は両群で同程度であり、症候性脳出血は機械的血栓回収術群が146例中2例(1%)、ブリッジング療法群は147例中1例(1%)でみられ(補正後オッズ比[OR]:1.70、95%CI:0.22~13.04)、死亡はそれぞれ146例中22例(15%)および147例中24例(16%)で認められた(補正後OR:0.92、95%CI:0.46~1.84)。また、再灌流成功率(mTICI分類2b~3)およびmRS 0~1点の達成率にも、両群間に差はなかった。 事前に規定されたサブグループ解析では、アジア地域(中国、ベトナム)の患者で、主要エンドポイントの達成率がブリッジング療法群で有意に優れた(機械的血栓回収術群34%[67例中23例]vs.ブリッジング療法群57%[69例中39例]、補正後OR:0.42、95%CI:0.21~0.86、p=0.017)。このような効果は、非アジア地域では認められず(1.35、0.65~2.8)、交互作用が確認された(pinteraction=0.024)。 著者は、「この試験で得られた付加的エビデンスは、血栓回収術前の血栓溶解療法を除外することによる利益を示すエビデンスはない(とくにアジア地域の患者で)との結論を支持するものである」とし、「これらの知見は、標準治療としてのブリッジング療法の推奨に関して、ガイドライン策定の際に有益な情報をもたらすと考えられる」と指摘している。

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循環器内科でも血栓溶解療法に期待が集まった時代がありました!(解説:後藤信哉氏)

 心臓でも脳でも、臓器灌流血管が血栓閉塞すると臓器に不可逆的な虚血性障害が起こる。筆者が循環器内科を始めた1980年代には血栓溶解療法に期待が集まった。フィブリン選択性のないストレプトキナーゼによる急性期の生命予後改善効果が大規模ランダム化比較試験(Second International Study of Infarct Survival:ISIS-2試験)にて示され、心筋梗塞急性期の標準治療となると期待された。ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼはフィブリン選択性がない。すなわち、血液中にて線溶が起こりフィブリノーゲンも消費してしまう。血栓を作るフィブリンに選択的に作用する線溶薬を開発できれば標準治療になると期待された。線溶研究は盛り上がった。血管内皮細胞が産生するフィブリン選択的線溶薬tissue type plasminogen activator(t-PA)は期待された。分子生物学の勃興期でもあり、フィブリン選択性の高い製剤、単回静注にて効果の持続する製剤などが多数作られた。 しかし、循環器領域における血栓溶解療法は短期の流行の後に廃れてしまった。廃れた理由の1つは再灌流障害であった。米国では大きな病院への搬送途中に救急車にてt-PAが静注され、再灌流と同時に心室細動になる症例が多発した。t-PAを静注しても全例速やかに再灌流するわけではない。胸痛消失まで不整脈ウオッチしながら観察するのはむしろ苦痛であった。さらに、頭蓋内出血を含む重篤な出血合併症にも難渋した。経皮的冠動脈形成術(Percutaneous Coronary Intervention:PCI)が普及すると、血栓溶解療法を行わず直接PCIするほうが合併症も少なかった。 本研究では1回静注可能なtenecteplaseと既存のt-PAが比較された。有効性、安全性には大きな差異がなかった。脳梗塞の病態の一部は心筋梗塞と類似する。脳血管疾患の領域が循環器領域の後追いをするのであれば、分子を修飾したt-PAよりカテーテルインターベンションの時代になるのではないだろうか? 今後の急性虚血性脳血管疾患の標準治療の変化に注目したい。

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急性期脳梗塞の血栓回収、アルテプラーゼ併用で良好な再開通率/Lancet

 ステント型血栓回収デバイスを用いた血栓除去術単独療法は、アルテプラーゼ静注+血栓除去術併用療法に対して非劣性は認められず、再開通率は低いことが、スイス・ベルン大学のUrs Fischer氏らが実施した「SWIFT DIRECT試験」の結果、示された。血栓除去術単独療法が静脈内血栓溶解+血栓除去術併用療法と同等の効果があるかどうかは議論が続いていたが、著者は、今回の結果を受け「適格患者における、血栓除去術前のアルテプラーゼ静注の割愛は支持されない」とまとめている。Lancet誌2022年7月9日号掲載の報告。ステント型血栓除去デバイスによる血栓除去術、90日後の機能的自立を比較 「SWIFT DIRECT試験」は、欧州およびカナダの48施設で実施された、医師主導の前向き無作為化非盲検評価者盲検試験。研究グループは、CTAまたはMRAで頭蓋内内頸動脈、中大脳動脈第1セグメントまたはその両方に閉塞が確認され、発症から4時間30分以内にアルテプラーゼ静注が可能で、無作為化後75分以内に血栓除去術が施行可能な患者を、血栓除去術単独群とアルテプラーゼ静注+血栓除去術群(併用群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 血栓除去術は両群とも市販のステント型血栓除去デバイスSolitaire(米国Medtronic製)を用い、可能な限り早期に施行された。併用群では無作為化後、可能な限り早期にアルテプラーゼ(0.9mg/kg、最大90mg)を60分間静脈内投与(投与開始時に総量の10%を急速投与)した。 有効性の主要評価項目は、90日後の修正Rankinスケール(mRS)スコアが2点以下(機能的自立)の患者の割合で、評価者盲検とした。単独群の併用群に対する非劣性は、Mantel-Haenszelリスク差の片側95%信頼区間(CI)下限値で評価し、非劣性マージンを12%と事前に規定した。安全性の主要評価項目は、症候性頭蓋内出血であった。主要評価項目の非劣性を認めず、治療後の再開通率は91% vs.96%と併用群が良好 2017年11月29日~2021年5月7日に5,215例がスクリーニングされ、423例が無作為化された。このうち、同意辞退等の15例を除く408例が主要解析対象集団となった(単独群201例、併用群207例)。 90日後のmRSスコア2点以下の患者の割合は、単独群57%(114/201例)、併用群65%(135/207例)で、補正後群間リスク差は-7.3%(95%CI:-16.6~2.1%)、片側95%CI下限値は-15.1%で事前規定のマージン-12%を超えており、単独群の併用群に対する非劣性は示されなかった。 症候性頭蓋内出血は、単独群で201例中5例(2%)、併用群で202例中7例(3%)に認められた(群間リスク差:-1.0%、95%CI:-4.8~2.7)。 血管内治療後の再開通成功は、単独群のほうが観察された割合が低かった(91%[182/201例]vs.96%[199/207例]、群間リスク差:-5.1%[95%CI:-10.2~0.0]、p=0.047)。

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同時懸濁による配合変化が生じたため最適処方を提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第48回

 今回は、経管投与のトラブルを解決した処方提案を紹介します。薬剤を経管投薬する際は簡易懸濁法がとても便利ですが、崩壊・懸濁の可否に加えて、同時懸濁による配合変化も事前に確認しましょう。患者情報80歳、男性(施設入居)基礎疾患アテローム血栓性脳梗塞、右内頚動脈狭窄症、認知症、膀胱がん術後服薬管理施設職員処方内容1.クロピドグレル錠75mg 1錠 朝食後2.アスピリン腸溶錠100mg 1錠 朝食後3.イルソグラジン口腔内崩壊錠4mg 1錠 朝食後4.ロスバスタチン口腔内崩壊錠2.5mg 1錠 朝食後5.酸化マグネシウム錠330mg 4錠 朝夕食後6.センナ・センナ実顆粒 1g 朝夕食後本症例のポイントこの患者さんは、直近で脳梗塞を急性発症して入院し、内服調整ののち退院しました。退院処方では抗血小板薬が2剤追加されていました。大脳が広範囲にわたって梗塞していたことから意識障害があり、むせこみも強いことから、経鼻胃管を挿入して経管投薬を継続する指示となっていました。退院してまもなく、施設看護師より経鼻チューブが詰まりやすいのでどうにかならないかという相談がありました。施設を訪問し、退院処方の内容を確認していると、簡易懸濁法による薬剤投与にいくつか問題があることに気付きました。<簡易懸濁法での薬剤投与の問題1)>(1)簡易懸濁法に適していない薬剤があるセンナ・センナ実顆粒(商品名:アローゼン顆粒)は簡易懸濁法で崩壊・懸濁しづらく、通過困難から経鼻チューブを詰まらせていた可能性がある。(2)複数薬の同時懸濁で配合変化の問題がある酸化マグネシウムは崩壊・懸濁後の液性が強アルカリ(pHが約10)となり、配合変化において問題となる薬剤の代表格である。本事例においては、クロピドグレルが酸化マグネシウムとの同時懸濁によりクロピドグレル(イオン形)から水に難溶性で粘性のあるクロピドグレル(分子形)に変化したことで、チューブを閉塞させた可能性がある。また、経管投与量自体が減少している可能性もある。2)そこで、簡易懸濁法による投与を最適化するための提案をトレーシングレポートと電話で実施することにしました。処方提案と経過医師に、上記の問題(1)(2)より、現行の処方薬では簡易懸濁法による投与が困難であること説明しました。改善策として、(1)簡易懸濁が困難なセンナ・センナ実顆粒を、簡易懸濁可能なピコスルファートナトリウム錠2.5mgに変更することを提案しました。また、(2)クロピドグレル錠と酸化マグネシウム錠に関しては、同時懸濁による配合変化を避けるため、酸化マグネシウム錠の処方コメントとして、別包にして同時に懸濁しない旨を処方箋に追記するよう依頼しました。医師より、その場で承認が得られたため、当日中に変更内容を反映した対応を開始しました。その後は、経鼻チューブの閉塞もなく、排便コントロールも安定していることを確認し、現在もモニタリングしています。1)藤島一郎監修, 倉田なおみ編集. 内服薬 経管投与ハンドブック 〜簡易懸濁法可能医薬品一覧〜 第3版. じほう;2015.2)Aoki M, et al. J Pharm Health Care Sci. 7;18: 2021.

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動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版、主な改訂点5つ/日本動脈硬化学会

 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版が5年ぶりに改訂、7月4日に発刊された。本ガイドライン委員長の岡村 智教氏(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学 教授)が5日に開催されたプレスセミナーにおいて動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の変更点を紹介した(主催:日本動脈硬化学会)。 今回の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の改訂でキーワードとなるのが、「トリグリセライド」「アテローム血栓性脳梗塞」「糖尿病」である。これを踏まえて2017年版からの変更点がまとめられている動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の序章(p.11)に目を通すと、改訂点が一目瞭然である。なお、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版のPDFは動脈硬化学会のホームページより誰でもダウンロードできる。<動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の主な改訂点>1)随時(非空腹時)のトリグリセライド(TG)の基準値を設定した。2)脂質管理目標値設定のための動脈硬化性疾患の絶対リスク評価手法として、冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞を合わせた動脈硬化性疾患をエンドポイントとした久山町研究のスコアが採用された。3)糖尿病がある場合のLDLコレステロール(LDL-C)の管理目標値について、末梢動脈疾患、細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)合併時、または喫煙ありの場合は100mg/dL未満とし、これらを伴わない場合は従前どおり120mg/dL未満とした。4)二次予防の対象として冠動脈疾患に加えてアテローム血栓症脳梗塞も追加し、LDL-Cの目標値は100mg/dL未満とした。さらに二次予防の中で、「急性冠症候群」「家族性高コレステロール血症」「糖尿病」「冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞の合併」の場合は、LDL-Cの管理目標値は70mg/dL未満とした。5)近年の研究成果や臨床現場からの要望を踏まえて、新たに下記の項目を掲載した。 (1)脂質異常症の検査 (2)潜在性動脈硬化(頸動脈超音波検査の内膜中膜複合体や脈波伝播速度、CAVI:Cardio Ankle Vascular Indexなどの現状での意義付) (3)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH) (4)生活習慣の改善に飲酒の項を追加 (5)健康行動倫理に基づく保健指導 (6)慢性腎臓病(CKD)のリスク管理 (7)続発性脂質異常症動脈硬化性疾患予防ガイドライン改訂に至った主な理由 1)について、「TGは食事の摂取後は値が上昇するなど変動が大きい。また空腹時でも非空腹時でも値が高いと将来の冠動脈疾患や脳梗塞の発症や死亡を予測することが国内の疫学調査で示されている。国内の疫学研究の結果およびESC/EASガイドラインとの整合性も考慮して、空腹時採血:150mg/dL以上または随時採血:175mg/dL以上を高TG血症と診断する」とコメントした(参照:BQ5)。 2)については、吹田スコアに代わり今回の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では久山町研究のスコアを採用している。その理由として、同氏は「吹田スコアの場合、研究アウトカムが心筋梗塞を含む冠動脈疾患発症で脳卒中が含まれていなかった。久山町研究のスコアは、虚血性心疾患と、脳梗塞の中でとくにLDL-Cとの関連が強いアテローム血栓性脳梗塞の発症にフォーカスされていた点が大きい」と説明(参照:BQ16)。 3)については、ESC/EASガイドラインでの目標値、国内のEMPATHY試験やJ-DOIT3試験の報告を踏まえ、心血管イベントリスクを有する糖尿病患者の一次予防において、十分な根拠が整っている(参照:FQ24)。 4)については、国内でのアテローム血栓性脳梗塞が増加傾向であり、再発予防が重要になるためである。また二次予防の場合、糖尿病の合併がプラーク退縮の阻害要因となることなどから「これまで厳格なコントロールは合併症などがあるハイリスクの糖尿病のみが対象だったが、今回の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版より糖尿病全般においてLDL-C 70mg/dL未満となった」と解説した。 5)の(7)続発性脂質異常症は新たに追加され(第6章)、他疾患などが原因で起こる続発性なものへの注意喚起として「続発性(二次性)脂質異常症に対しては、原疾患の治療を十分に行う」とし、甲状腺機能低下症など、続発性脂質異常症の鑑別を行わずに、安易にスタチンなどによる脂質異常症の治療を開始すると横紋筋融解症などの重大な有害事象につながることもあるので注意が必要、と記載されている。<続発性脂質異常症の原因>1.甲状腺機能低下症 2.ネフローゼ症候群 3慢性腎臓病(CKD)4.原発性胆汁性胆嚢炎(PBC) 5.閉塞性黄疸 6.糖尿病 7.肥満8.クッシング症候群 9.褐色細胞腫 10.薬剤 11.アルコール多飲 12.喫煙――― このほか同氏は、「LDL-Cのコントロールにおいて飽和脂肪酸の割合を減らすことが重要(参照:FQ3)」「薬物開始後のフォローアップのエビデンスレベルはコンセンサスレベルだが、患者さんの状態を丁寧に見ていくことは重要(参照:BQ21)」などの点を補足した。 2007年版よりタイトルを“診療”から“予防”に変更したように、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版は動脈硬化性疾患の予防に焦点を当てて作成されている。同氏は「すぐに薬物治療を実行するのではなく、高リスク病態や他疾患の有無を見極めることが重要。治療開始基準と診断基準は異なるので、あくまでスクリーニング基準であることは忘れないでほしい」と締めくくった。

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オンデキサの臨床的意義とDOAC投与中の患者に伝えておくべきこと/AZ

 アストラゼネカは国内初の直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤オンデキサ静注用200mg(一般名:アンデキサネット アルファ[遺伝子組み換え]、以下:オンデキサ)を発売したことをうけ、2022年6月28日にメディアセミナーを開催した。 セミナーでは、はじめに緒方 史子氏(アストラゼネカ 執行役員 循環器・腎・代謝/消化器 事業本部長)により同部門の新領域拡大と今後の展望について語られた。 AstraZeneca(英国)とアレクシオン・ファーマシューティカルズが統合したことで、今後多くのシナジーが期待されるが、今回発売されたオンデキサはその象徴的なものであると考えている。同部門では、あらゆる診療科に情報提供を行っているため、オンデキサの処方が想定される診療科だけでなく、直接作用型第Xa因子阻害剤を処方している診療科にも幅広く情報提供が可能である。オンデキサが必要な患者さんに届けられるよう、認知拡大や医療機関での採用活動に注力していきたいと述べた。オンデキサは国内初の直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤 続いて、国立病院機構 九州医療センター 脳血管・神経内科 臨床研究センター 臨床研究推進部長 矢坂 正弘氏による国内初の直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤における臨床的意義と今後の展望が語られた。 心房細動などにより心臓内でできた血栓が脳に詰まることで生じる脳卒中を心原性脳塞栓症という。心原性脳塞栓症は再発率が高いことから、発症リスクの高いCHADS2スコア1点以上の患者では、直接経口抗凝固薬(DOAC)の投与による予防治療が推奨されている1)。DOACは従来の抗凝固薬であるワルファリンに比べ脳梗塞予防効果は同等かそれ以上、大出血発症リスクは同等かそれ以下とされるが、時には生命を脅かす出血あるいは止血困難な出血に至ることもあるため、投与中は出血時の止血対応が重要となる。出血時の対応として中和剤が使用されるが、これまでDOACのうち中和剤があるのはダビガトランのみで、直接作用型第Xa因子に対する中和剤はなかった。今回発売されたオンデキサは、国内初の直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤である。オンデキサ投与の有効性と安全性 オンデキサはヒト第Xa因子の遺伝子組換え改変デコイタンパク質で第Xa因子のデコイとして作用し、第Xa因子阻害剤に結合してこれらの抗凝固作用を中和する作用をもつ。 第Xa因子阻害剤(アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバン、エノキサパリン)投与中の第Xa因子活性抑制下で急性大出血を発現した患者を対象にした試験では、評価可能であった有効性解析集団のうちエノキサパリン投与例を除く全体集団324例において79.6%(95%信頼区間[CI]:74.8~83.9%)の患者でオンデキサによる有効な止血効果が得られた。正確な95%CIの下限値が50%を上回ったため、オンデキサによる止血効果が認められた2)。副作用の発現割合は11.9%(57/477例)であり、主な副作用は虚血性脳卒中1.5%(7例)、頭痛1.0%(5例)、脳血管発作、心筋梗塞、発熱、肺塞栓症が各0.8%(各4例)であった2)。DOAC投与中の患者に伝えておくべきこと 止血を適切に行うためには、患者さんが服薬中のDOACを特定しそれに対する中和剤を投与することが重要である。そのため、医療機関と調剤薬局が協力して、DOAC服薬の患者さんに対して、最新のお薬手帳や抗凝固薬のカードを持ち歩いてもらうことや、自身の病名や服薬中の薬剤を家族と共有してもらうことの重要性を伝えていく必要がある、と締めくくった。

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