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わが国初のエムポックス治療薬「テポックスカプセル200mg」【最新!DI情報】第36回

わが国初のエムポックス治療薬「テポックスカプセル200mg」今回は、テコビリマト水和物「テコビリマト水和物(商品名:テポックスカプセル200mg、製造販売元:日本バイオテクノファーマ)」を紹介します。本剤は、エムポックスも適応とするわが国初の抗ウイルス薬で、公衆衛生上の危機に瀕した際の治療薬として期待されています。<効能・効果>痘そう、エムポックス、牛痘、痘そうワクチン接種後のワクチニアウイルスの増殖による合併症の適応で、2024年12月27日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人および小児には、以下の用法および用量で14日間、食後に経口投与します。体重13kg以上25kg未満:テコビリマトとして200mgを1日2回12時間ごと体重25kg以上40kg未満:テコビリマトとして400mgを1日2回12時間ごと体重40kg以上120kg未満:テコビリマトとして600mgを1日2回12時間ごと体重120kg以上:テコビリマトとして600mgを1日3回8時間ごと <安全性>副作用として、頭痛(10%以上)、浮動性めまい、上腹部痛、腹部不快感、下痢、悪心、嘔吐(1%以上)、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、白血球減少症、血小板減少症、食欲減退、肝機能検査値上昇、不安、うつ病、不快気分、易刺激性、パニック発作、注意力障害、味覚不全、脳波異常、不眠症、片頭痛、傾眠、錯感覚、心拍数増加、動悸、口腔咽頭痛、腹部膨満、アフタ性潰瘍、口唇のひび割れ、便秘、口内乾燥、消化不良、おくび、鼓腸、胃食道逆流性疾患、排便回数減少、口の錯感覚、触知可能紫斑病、全身性そう痒症、発疹、そう痒性皮疹、関節痛、変形性関節症、悪寒、疲労、びくびく感、倦怠感、疼痛、発熱、口渇(いずれも1%未満)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、天然痘、エムポックス、牛痘に対して使用されます。2.この薬は、痘そうワクチン接種後のワクチニアウイルスの増殖による合併症に使用されます。3.この薬は、症状が発現した後、速やかに使用します。<ここがポイント!>エムポックスは、1970年にザイール(現:コンゴ民主共和国)で初めてヒトへの感染が確認されたオルソポックスウイルス属のエムポックスウイルスによる感染症です。以前は「サル痘」と呼ばれていましたが、2023年に感染症法上の名称がエムポックスに変更されました。エムポックスウイルスには、コンゴ盆地型(クレードI)と西アフリカ型(クレードII)の2系統があります。クレードIはクレードIIに比べて死亡率が高く、それぞれ10%程度および1%程度の致死率が報告されています。最近では、アフリカを中心にクレードIの蔓延があり、WHOは2024年8月に国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言しました。日本国内では、2022年に国内1例目の患者が報告されて以降、2025年3月までに合計252例が報告されています。天然痘(痘そう)は、1980年5月にWHOによって世界根絶が宣言され、日本でも定期種痘が中止されています。そのため、多くの人々が天然痘に対して免疫を持っておらず、今後、生物テロなどによる天然痘ウイルスの再出現によるアウトブレイクが発生した場合には、その対策が重要な課題となる可能性があります。テコビリマトはオルソポックスウイルス属のエンベロープの形成および細胞外への放出に関与するVP37タンパク質と宿主細胞の輸送タンパク質(Rab9 GTPaseおよびTIP47)との相互作用を阻害することにより、感染細胞からのウイルス放出を阻害します。本剤は、痘そう、エムポックス、牛痘、痘そうワクチン接種後のワクチニアウイルスの増殖による合併症に対するヒトでの有効性を評価する試験は行われていませんが、非臨床試験において抗ウイルス作用が示されたことから、主に公衆衛生上の危機に瀕した際、または危機に瀕する見込みがある際に使用される薬剤として承認されました。なお、本剤は、欧州などでの承認申請において提出した資料に基づき、審査および調査を迅速に進めるよう厚生労働省より依頼があったものです。また、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」の支援を受けて開発されました。

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慢性消化不良【日常診療アップグレード】第25回

慢性消化不良問題27歳女性が6ヵ月前からの消化不良を主訴に来院した。時々、胃が焼けるような感じがし、食後に胃の膨満感がありげっぷがでるという。体重減少はない。バイタルサインを含め、診察所見に異常はない。血液検査を施行したが、貧血や肝機能障害はない。プロトンポンプ阻害薬(PPI)を処方した。

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第4世代統合失調症治療薬KarXT、その安全性は〜メタ解析

 既存の薬剤とは異なる作用機序、より高い有効性および忍容性を有する新しい抗精神病薬に対するニーズは大きい。2024年9月、米国FDAは、急性期精神症状を伴う成人統合失調症患者を対象とした3つの二重盲検ランダム化プラセボ対照試験に基づきxanomelineとtrospiumを配合したKarXTを、新たな統合失調症治療薬として承認した。xanomelineは、直接的なドーパミンD2受容体阻害作用を持たない、M1/M4ムスカリン受容体二重作動薬である。このxanomelineと末梢ムスカリン受容体拮抗薬であるtrospiumを組み合わせたKarXTは、xanomeline関連の末梢ムスカリン受容体活性化による有害事象を軽減することが示唆されている。藤田医科大学の岸 太郎氏らは、統合失調症患者に対するKarXTの安全性および忍容性アウトカムを明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2025年1月29日号の報告。 急性期精神症状を伴う成人統合失調症患者を対象とした3つの二重盲検ランダム化プラセボ対照試験のランダム効果モデルペアワイズメタ解析を実施した。 主な内容は以下のとおり。・KarXTは、プラセボと比較し、すべての原因による治療中止、有害事象による治療中止、シンプソンアンガス評価尺度(SAS)スコアの変化、薬原性アカシジア評価尺度(BAS)スコアの変化、体重の変化、BMI変化、血圧変化、血清総コレステロール変化、血糖値変化、QTc間隔の変化および頭痛、傾眠、不眠、めまい、アカシジア、興奮、頻脈、胃食道逆流症、下痢、体重増加、食欲減退の発生率が同等であった。・KarXTは、プラセボと比較し、1つ以上の有害事象、口渇、高血圧、嘔気・嘔吐、消化不良、便秘、血清トリグリセライド上昇の発生率が高かった。・とくにKarXTは有効性に関して、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)総スコア、PANSS陽性症状サブスケールスコア、PANSS陰性症状サブスケールスコアの改善において、プラセボよりも優れた有用性が認められた。

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尿路上皮がんの遺伝子異常に基づく治療薬「バルバーサ錠3mg/4mg/5mg」【最新!DI情報】第34回

尿路上皮がんの遺伝子異常に基づく治療薬「バルバーサ錠3mg/4mg/5mg」今回は、経口FGFRチロシンキナーゼ阻害薬「エルダフィチニブ(商品名:バルバーサ錠3mg/4mg/5mg、製造販売元:ヤンセンファーマ)」を紹介します。本剤は、日本国内で初めてかつ唯一の遺伝子異常に基づく尿路上皮がん治療薬であり、FGFR遺伝子異常を有する患者の予後の改善が期待されています。<効能・効果>本剤は、がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異または融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がんの適応で、2024年12月27日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはエルダフィチニブとして1日1回8mgを2週間経口投与し、それ以降は1日1回9mgを経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量します。<安全性>重大な副作用として、網膜剥離(12.6%)、角膜障害(5.2%)、高リン血症(78.5%)、重度の爪障害(爪甲剥離症[23.0%]、爪囲炎[11.9%]、爪ジストロフィー[8.1%]など)、手足症候群(30.4%)、急性腎障害(3.0%)があります。その他の副作用は、下痢(54.8%)、口内炎(45.9%)、食欲減退、味覚不全、口内乾燥、脱毛症、皮膚乾燥、爪甲脱落症、ALT増加(いずれも20%以上)、貧血、低ナトリウム血症、ドライアイ、霧視、流涙増加、眼球乾燥症、鼻出血、悪心、便秘、嘔吐、口腔内潰瘍形成、爪変色、爪の障害、疲労、無力症、AST増加、体重減少(いずれも5%以上20%未満)、結膜炎、副甲状腺機能亢進症、高カルシウム血症、視力低下、視力障害、眼瞼炎、白内障、血管石灰化、鼻乾燥、肝細胞融解、高ビリルビン血症、肝機能異常、腹痛、消化不良、発疹、爪線状隆起、湿疹、乾皮症、そう痒症、皮膚亀裂、爪痛、爪破損、皮膚剥脱、皮膚病変、皮膚毒性、過角化、爪の不快感、皮膚萎縮、粘膜乾燥、血中クレアチニン増加(いずれも5%未満)、手掌紅斑、爪床出血(いずれも頻度不明)があります。本剤は、ラットを用いた胚・胎児発生に関する試験において、胚・胎児死亡、着床後胚損失率高値および催奇形性が報告されています。そのため、妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与されます。妊娠可能年齢にある女性には、服用中および服用中止後1ヵ月間は妊娠を避けるよう指導します。また、男性には、服用中および服用中止後1ヵ月間は避妊するよう指導します。<患者さんへの指導例>1.この薬は、遺伝子異常を持つ線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)というタンパク質の働きを阻害することにより、がん細胞の増殖を抑える抗悪性腫瘍薬です。2.がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異または融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がんに用いられます。3.PD-1/PD-L1阻害薬による治療が可能な場合には、これらの治療が優先されます。4.妊婦または妊娠している可能性のある人は、必ず医師または薬剤師に伝えてください。5.視力の低下など目の異常が現れた場合には、ただちに受診してください。<ここがポイント!>尿路上皮がんは、腎盂、尿管、膀胱、尿道などに発生するがんであり、とくに膀胱に多く認められます。根治的切除が不可能、もしくは転移を有する尿路上皮がんの治療は薬物療法が主体となり、化学療法や免疫チェックポイント阻害薬が用いられます。転移を有する尿路上皮がんと診断された患者の約20%は、FGFR遺伝子異常を有しています。エルダフィチニブは、1日1回経口投与されるFGFRチロシンキナーゼ阻害薬であり、尿路上皮がんに対する日本国内で初めてかつ唯一の遺伝子異常に基づく治療薬です。FGFR1~4のキナーゼ活性を阻害し、FGFR3融合遺伝子を有するヒト膀胱がん細胞株(RT-112およびRT-4)に対して増殖抑制作用を示します。PD-1/PD-L1阻害薬を含む治療歴のあるFGFR遺伝子異常を有する根治切除不能な尿路上皮がん患者を対象とした国際共同第III相試験(BLC3001試験コホート1)において、主要評価項目である全生存期間(OS)の中央値は、本剤群で12.06ヵ月(95%信頼区間[CI]:10.28~16.36)、化学療法群で7.79ヵ月(95%CI:6.54~11.07)であり、本剤群でOSが有意に延長し、死亡リスクが36%低下しました(ハザード比:0.64、95%CI:0.47~0.88、p=0.0050、非層別log-rank検定)。

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GIP/GLP-1受容体に作用する週1回の肥満症治療薬「ゼップバウンド皮下注」【最新!DI情報】第32回

GIP/GLP-1受容体に作用する週1回の肥満症治療薬「ゼップバウンド皮下注」今回は、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「チルゼパチド(商品名:ゼップバウンド皮下注2.5mg/5mg/7.5mg/10mg/12.5mg/15mgアテオス、製造販売元:日本イーライリリー)」を紹介します。本剤は、週1回投与の肥満症治療薬であり、食欲を調節すると同時に、脂質などの代謝を亢進させることによって体重を減少させることが期待されています。<効能・効果>肥満症を適応として、2024年12月27日に製造販売承認を取得しました。本剤は高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に使用されます。BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有するBMIが35kg/m2以上<用法・用量>通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgから開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回10mgを皮下注射します。患者の状態に応じて適宜増減し、週1回5mgまで減量、または4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量することができます。なお、本剤は週1回投与する薬剤であり、同一曜日に投与します。<安全性>重大な副作用として、低血糖、胆嚢炎、胆汁うっ滞性黄疸、アナフィラキシー、血管性浮腫(いずれも頻度不明)、急性膵炎、胆管炎(いずれも0.1%未満)が報告されています。胃腸障害が現れた場合は急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査などによる原因の精査が行われることがあります。また、下痢や嘔吐が続くことで脱水となり、急性腎障害を起こす恐れがあるため、適度な水分補給が必要です。その他の副作用は、悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退、注射部位反応(紅斑、そう痒感、疼痛、腫脹など)(いずれも5%以上)、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、おくび、鼓腸、疲労、浮動性めまい、脱毛症(いずれも1~5%未満)、心拍数増加、低血圧、血圧低下、胆石症、糖尿病網膜症、過敏症(湿疹、発疹、そう痒性皮疹など)、味覚不全、異常感覚、膵アミラーゼ増加、リパーゼ増加、体重減少(いずれも1%未満)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は肥満症の患者さんのうち、高血圧や脂質異常症、または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない人に用いられます。2.この薬は食欲を調節すると同時に、脂質などの代謝を亢進させることによって体重を減少させる作用があります。3.美容やダイエットの目的で使用しないでください。4.この薬の使用中も食事療法・運動療法を継続してください。5.週1回の投与で効果が持続するように製剤的な工夫をした注射薬です。毎週、同じ曜日に注射してください。6.のどの渇きや立ちくらみなどの脱水症状が現れた場合は、十分な水分摂取を行い、速やかに主治医に相談してください。<ここがポイント!>ゼップバウンドは、持続性のグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)およびグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の2つの受容体に作用する持続性GIP/GLP-1受容体作動薬です。本剤の成分であるチルゼパチドは、2023年4月より2型糖尿病の治療薬としてマンジャロの商品名で販売されていますが、今回新たに肥満症の治療薬として承認を取得しました。肥満症は個人の生活習慣のみによって引き起こされるという誤解がありますが、遺伝的、心理的、社会的なさまざまな要因が複合的に影響し発症する慢性疾患です。チルゼパチドは中枢神経系においてGIP/GLP-1受容体に作用して食欲を調節すると同時に、脂肪細胞のGIP受容体に作用して脂質などの代謝を亢進し、体重を減少させる効果があります。本剤は、食事療法や運動療法を行っても十分に効果が得られない高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有する患者を対象にしています。美容や痩身、ダイエットなど肥満症治療以外の目的で使用することはできません。投与には1回使い切りのオートインジェクター型注入器(商品名:アテオス)を使用し、週1回皮下注射します。適切な在宅自己注射教育を受けた患者または家族は自宅で自己注射が可能です。日本人肥満症患者を対象とした国内第III相試験(GPHZ試験:SURMOUNT-J)において、投与72週時の体重のベースラインからの平均変化率は、プラセボ群が-1.8%であったのに対し、チルゼパチド10mg群では-18.4%、チルゼパチド15mg群では-22.6%であり、チルゼパチド両群でプラセボ群に対する優越性が示されました。また、5%以上の体重減少を達成した試験参加者の割合は、プラセボ群が21.2%であったのに対し、チルゼパチド10mg群では94.9%、チルゼパチド15mg群では96.9%であり、チルゼパチド両群でプラセボ群に対する優越性を示しました。

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NSAIDsとPPI併用で下部消化管出血リスク上昇か

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)使用者の上部消化管出血を予防し、消化性潰瘍や胃食道逆流症などの治療に広く使用されている。しかし複数の先行研究では、NSAIDs単独使用よりも、NSAIDsとPPIの併用のほうが下部消化管出血の発生率が高いことが指摘されていた。韓国・慶熙大学のMoonhyung Lee氏らは、実臨床での NSAIDs+PPI併用者とNSAIDs単独使用者間の下部消化管出血リスクを比較したところ、NSAIDs+PPI併用者のほうが下部消化管出血リスクが高いことが判明した。Gut and Liver誌オンライン版2025年1月3日号に掲載。 本研究は後ろ向き観察研究であり、5つの医療機関から得られたデータを、共通データモデルを用いて解析した。18歳以上のNSAIDs+PPI群またはNSAIDs+胃粘膜保護薬(MPA)群とNSAIDs単独群の間で、下部消化管出血のリスクを比較した。広範な傾向スコアマッチング後、Cox比例ハザードモデルおよびKaplan-Meier推定を使用した。リスク観察期間は、インデックス日翌日から観察終了日、または最大455日間(処方期間90日と観察期間365日)とした。MPAは、ほとんどがeupatilinまたはレバミピドが使用されていた。 主な結果は以下のとおり。【NSAIDs+PPI群vs.NSAIDs単独群】・NSAIDs+PPI群2万4,530 例、NSAIDs単独群5万7,264例のうち、8,728組の傾向スコアマッチングペアを解析した。・NSAIDs+PPI群では、NSAIDs単独群よりも下部消化管出血のリスクが有意に高かった(ハザード比[HR]:2.843、95%信頼区間[CI]:1.998~4.044、p<0.001)。・NSAIDs+PPI群での下部消化管出血リスク増加は、65歳以上の高齢者(HR:2.737)、男性(HR:2.963)、女性(HR:3.221)でも確認された。【NSAIDs+MPA群vs.NSAIDs単独群】・NSAIDs+MPA群1万6,975例、NSAIDs単独群2万1,788例のうち、5,638組の傾向スコアマッチングペアを解析した。・NSAIDs+MPA群とNSAIDs単独群の比較では、下部消化管出血リスクに有意差は認められなかった(HR:2.057、95%CI:0.714〜5.924、p=0.172)。 本結果について著者らは「下部消化管出血リスクは、NSAIDs単独群よりもNSAIDs+PPI 群のほうが高いことが示された。NSAIDs+PPI併用療法の代替候補として、NSAIDs+MPA併用は、下部消化管出血リスクを軽減できる実行可能な治療オプションであることを示唆しているかもしれない」と述べている。

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酸化Mg服用患者へのNSAIDs、相互作用を最小限に抑える消化管保護薬は?【うまくいく!処方提案プラクティス】第65回

 今回は、慢性腰痛に対するアセトアミノフェンをセレコキシブへ変更する際の消化管保護薬の選択について、既存の酸化マグネシウムとの相互作用を考慮して処方提案を行った事例を紹介します。患者情報80歳、男性(在宅)基礎疾患脊柱管狭窄症、前立腺肥大症、認知症、骨粗鬆症在宅環境訪問診療を2週間に1回訪問看護毎週金曜日通所介護毎週水・土曜日処方内容1.タムスロシン錠0.2mg 1錠 分1 朝食後2.ドネペジル錠5mg 1錠 分1 朝食後3.セレコキシブ100mg 2錠 分2 朝夕食後4.酸化マグネシウム錠500mg 2錠 分2 朝夕食後5.アルファカルシドール05μg 1錠 分1 夕食後本症例のポイントこの患者さんは、腰部脊柱管狭窄症による慢性腰痛でアセトアミノフェンを服用していましたが、効果不十分のためセレコキシブ200mg/日への変更が検討されました。NSAIDsへの変更に伴い、高齢者は消化性潰瘍リスクが高い1)ため消化管保護薬の追加が必要と考えましたが、それに加えて酸化マグネシウムへの影響2)が懸念されました。酸化マグネシウムは胃内で水和・溶解することで薬効を発揮するため、胃内pHの上昇は本剤の溶解性と吸収に影響を与え、作用の減弱につながります。そのため、従来のPPIでは胃内pHの上昇により便秘を悪化させる可能性があります。そこで、P-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)であるボノプラザンの併用を提案することにしました。ボノプラザンは、従来のPPIと比較して、(1)24時間を通じて安定した胃酸抑制効果がある、(2)食事の影響を受けにくい、(3)酸化マグネシウムの溶解性への影響が比較的少ない、などの特徴があります2)。酸化マグネシウムとの相互作用が最小限であるということは、本症例のような高齢者の便秘管理において重要なポイントとなります。医師への提案と経過訪問診療に同行した際、医師と直接話をする機会を得ました。その場で、ボノプラザンの併用を提案しました。提案の際は、以下の点を具体的に説明しました2)。従来のPPIと異なる作用機序により、24時間を通じて安定した胃酸抑制効果が期待できる。食事の影響を受けにくく、服用タイミングの自由度が高い。従来のPPIと比較して酸化マグネシウムの溶解性への影響が少なく、便秘への影響を最小限に抑えられる可能性がある。医師からは、「高齢者の便秘管理は生活の質に直結する重要な問題であり、薬剤の相互作用を考慮した提案は非常に有用」と評価いただき、ボノプラザンが追加となりました。その後、患者さんは胃部不快感などの症状変化もなく、疼痛増悪もなく経過しています。このように、訪問診療という場面を生かした直接的なディスカッションにより、より深い薬学的介入が可能となった症例でした。なお、医療経済的考察として、P-CABを選択することで薬剤費が増加(約8倍)することが懸念されますが、便秘悪化による追加処方の回避、消化性潰瘍発症リスクの低減、服薬アドヒアランス向上による治療効果の安定化が期待できることから、潜在的なコスト削減効果があると思っています。1)日本消化器病学会編. 消化性潰瘍診療ガイドライン2020(改訂第3版). 2020:BQ5-7.2)タケキャブ錠 インタビューフォーム

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12月11日 胃腸の日【今日は何の日?】

【12月11日 胃腸の日】〔由来〕「いに(12)いい(11)」(胃にいい)の語呂合わせから日本大衆薬工業協会(現:日本OTC医薬品協会)が2002年に制定。師走に1年間を振り返り、大切な胃腸に負担をかけてきたことを思い、胃腸へのいたわりの気持ちを持ってもらうのが目的。胃腸薬の正しい使い方や、胃腸の健康管理の大切さなどをアピールしている。関連コンテンツ慢性下痢症診療の最新知識【診療よろず相談TV】便通異常症 慢性便秘(1)便秘の定義【一目でわかる診療ビフォーアフター】食欲不振には六君子湯?【漢方カンファレンス】糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検査、胃がん予防に有効か/JAMAベンラリズマブ、好酸球性食道炎に有効か?/NEJM

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カルシニューリン阻害で免疫を抑制するループス腎炎治療薬「ルプキネス」【最新!DI情報】第27回

カルシニューリン阻害で免疫を抑制するループス腎炎治療薬「ルプキネス」今回は、カルシニューリン阻害薬「ボクロスポリン(商品名:ルプキネスカプセル7.9mg、製造販売元:大塚製薬)」を紹介します。本剤は、ループス腎炎に対する治療薬として承認された新規のカルシニューリン阻害薬であり、免疫抑制作用により予後が改善することが期待されています。<効能・効果>ループス腎炎の適応で、2024年9月24日に製造販売承認を取得しました。本剤投与により腎機能が悪化する恐れがあることから、eGFRが45mL/min/1.73m2以下の患者では投与の必要性を慎重に判断し、eGFRが30mL/min/1.73m2未満の患者では可能な限り投与を避けます。<用法・用量>通常、成人にはボクロスポリンとして1回23.7mgを1日2回経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量します。本剤の投与開始時は、原則として、副腎皮質ステロイド薬およびミコフェノール酸モフェチルを併用します。<安全性>重大な副作用には、肺炎(4.1%)、胃腸炎(1.5%)、尿路感染症(1.1%)を含む重篤な感染症(10.1%)があり、致死的な経過をたどることがあります。また、急性腎障害(3.4%)が生じることがあるため、重度の腎機能障害患者への投与は可能な限り避けるようにし、中等度の腎機能障害患者には投与量の減量を行います。その他の副作用は、糸球体濾過率減少(26.2%)、上気道感染(24.0%)、高血圧(20.6%)、貧血、頭痛、咳嗽、下痢、腹痛(いずれも10%以上)、インフルエンザ、帯状疱疹、高カリウム血症、食欲減退、痙攣発作、振戦、悪心、歯肉増殖、消化不良、脱毛症、多毛症(いずれも10%未満)があります。本剤は、主としてCYP3A4により代謝されるため、強いCYP3A4阻害作用を有する薬剤(アゾール系抗真菌薬やリトナビル含有製剤、クラリスロマイシン含有製剤など)との併用は禁忌です。また、P糖蛋白の基質であるとともに、P糖蛋白、有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1およびOATP1B3への阻害作用を有するので、ジゴキシンやシンバスタチンなどのHMG-CoA還元酵素阻害薬との併用には注意が必要です。<患者さんへの指導例>1.この薬は、ループス腎炎の治療薬であり、体内の免疫反応を抑制します。2.飲み始めは原則としてステロイド薬およびミコフェノール酸モフェチルと併用します。3.この薬は、体調が良くなったと自己判断して使用を中止したり、量を加減したりすると病気が悪化することがあります。4.この薬を使用中に、感染症の症状(発熱、寒気、体がだるいなど)が生じたときは、ただちに医師に連絡してください。<ここがポイント!>ループス腎炎は、自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)が原因で生じる腎機能障害です。この疾患は、尿蛋白や尿潜血を伴い、ネフローゼ症候群や急速進行性糸球体腎炎症候群を引き起こすことがあります。治療は、急性期の寛解導入療法と慢性期の寛解維持療法があり、急性期の寛解導入療法には強力な免疫抑制療法を実施し、尿蛋白や尿沈査、腎機能の正常化を目指します。治療薬はグルココルチコイド(GC)に加えてミコフェノール酸モフェチル(MMF)またはシクロホスファミド間欠静注療法(IVCY)の併用投与が推奨されています。ボクロスポリンは、ループス腎炎の治療薬として開発された新規の経口免疫抑制薬です。最近の研究では、MMFとの併用療法がMMF単独療法に比べて、より有効であることが示されています。ボクロスポリンはカルシニューリン阻害薬であり、T細胞の増殖・活性化に重要な酵素であるカルシニューリンを阻害することで免疫抑制作用を発揮します。ボクロスポリンの投与開始時は、原則として、GCおよびMMFを併用します。ループス腎炎患者を対象とした国際共同第III相試験(AURORA1試験)では、主要評価項目である投与開始52週時点の完全腎奏効患者の割合は、本剤群の40.8%に対してプラセボ群は22.5%と有意な差が認められました(p<0.001、ロジスティック回帰モデル)。なお、本剤群およびプラセボ群ともに、MMFとGCが併用されていました。

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糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検査、胃がん予防に有効か/JAMA

 国立台湾大学のYi-Chia Lee氏らは、糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検査(HPSA)の勧奨が胃がんの罹患率および死亡率に与える影響を評価する目的でプラグマティックな無作為化臨床試験を行い、免疫学的便潜血検査(FIT)単独との比較において、HPSA+FITの勧奨は胃がんの罹患率や死亡率を低減しなかったことを報告した。ただし、検査への参加率と追跡期間の違いを考慮すると、HSPA+FIT群ではFIT単独群と比較し、胃がん死亡率に差はなかったが、罹患率低下との関連が示されたという。これまでHPSAが胃がんの罹患率と死亡率に及ぼす影響は不明であった。JAMA誌オンライン版2024年9月30日号掲載の報告。HPSA+FIT vs.FIT単独、胃がんの罹患率と死亡率を比較 研究グループは、2014年1月1日~2018年9月27日に、台湾の彰化県に在住し、大腸がん検診プログラム(2年ごとのFIT)の対象となる50~69歳の住民26万9,870例から24万例を無作為に抽出し、HPSA+FIT群またはFIT単独群に1対1の割合で無作為に割り付け、各検査への参加を募った(最終追跡調査は2020年12月31日)。 HPSA+FIT群でHPSAの結果が陽性の場合は、標準的な10日間の除菌療法(1~5日目:エソメプラゾール[40mg]1日1回+アモキシシリン[1g]1日2回、6~10日目:エソメプラゾール[40mg]1日1回+クラリスロマイシン[500mg]1日2回+メトロニダゾール[500mg]1日2回)を行い、終了後6~8週時のHPSAでも陽性だった場合は、さらに10日間の3剤併用療法(エソメプラゾール[40mg]1日1回+アモキシシリン[1g]1日2回+レボフロキサシン[500mg]1日1回)を行った。 主要アウトカムは、胃がんの罹患率および死亡率、副次アウトカムは大腸がんの罹患率および死亡率とし、ポアソン回帰モデルを用いて群間差を解析した。胃がんの罹患率と死亡率に有意差なし 無作為に抽出した24万例(平均年齢58.1歳[SD 5.6]、女性46.8%)のうち、3万8,792例は電話による連絡が取れず、4万8,705例には必要例数に達したため電話招待を行わなかった。参加率(電話による連絡が取れ招待された人のうち検査を受けた人の割合)は、HPSA+FIT群で49.6%(3万1,497/6万3,508例)、FIT単独群で35.7%(3万1,777/8万8,995例)であった。 HPSAを受けた3万1,497例中1万2,142例(38.5%)が陽性で、このうち8,664例(71.4%)が治療を完了し、91.9%で除菌が達成された。 胃がん罹患率(/100人年)は、HPSA+FIT群0.032%、FIT単独群0.037%、平均群間差は-0.005%(95%信頼区間[CI]:-0.013~0.003、p=0.23)、胃がん死亡率はそれぞれ0.015%と0.013%で、平均群間差は0.002%(95%CI:-0.004~0.007、p=0.57)であった。 事後解析において、検査への参加率、追跡期間、患者背景を補正後、HPSA+FIT群ではFIT単独群と比較し、胃がん罹患率の低下と関連していたが(補正後相対リスク[RR]:0.79、95%CI:0.63~0.98)、胃がん死亡率に差はなかった(1.02、0.73~1.40)。 抗菌薬を投与された参加者における主な副作用は、腹痛または下痢(2.1%)、消化不良または食欲不振(0.8%)であった。 なお、著者は研究の限界として、参加率が41.5%であったこと、HPSAの結果が陽性の参加者のうち治療を受けたのは71.4%であったこと、追跡期間が相対的に短かったことなどを挙げている。

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「周期性嘔吐症候群」とはどのような病気?治療法はある?

 あまり知られていないが、悪夢のような症状をもたらす疾患がある。周期的に突然、強い吐き気や嘔吐が繰り返される、周期性嘔吐症候群(CVS)と呼ばれる疾患だ。米国消化器病学会(AGA)はこのほど、CVSの診断と管理に関する新たな臨床ガイダンス「臨床診療の改訂版(Clinical Practice Update)」を発表。CVSの症状があると思う人は、症状についてメモを取り、声を上げるよう呼び掛けている。 同ガイダンスによると、全人口の約2%がCVSを経験しているが、診断に至るまで何年もかかる場合もあるという。同ガイダンスの著者の1人で米ピッツバーグ大学医療センターのDavid Levinthal氏は、「診断は強力なツールになる。診断されることで患者は衰弱性の症状の正体が分かるだけでなく、医療提供者も効果的な治療計画を立てることができるようになる」と説明している。 CVSの主な症状は、数日間にわたって続く吐き気や嘔吐である。次の発作が現れるまでの期間は長い。軽度のCVSの場合、発作の持続期間は2日未満で、発作の回数も年に4回に満たない。一方、重度のCVSでは発作の持続期間がより長く、1年間に起こる発作の回数も多く、患者の中には入院や救急外来の受診が必要になる人もいるという。現在、CVS患者の約半数が少なくとも年に一度は救急外来を受診し、3分の1がCVSの症状による機能障害を抱えているという。また、発作と発作の間に嘔吐を繰り返すことはなくても、吐き気や消化不良といった症状が現れる場合もあるという。 CVSは誰にでも起こり得るが、女性や若年成人に多い。また、片頭痛の既往歴や家族歴がある人にも多いという。CVSの診断を受けるには、過去の嘔吐発作の詳細な記録を残しておく必要があると医師らは説明している。CVSは、胃腸炎や食中毒と誤診されることが多い。これらの症状が一定のパターンの一部であることを示すことで、自分がCVSである可能性を疑えるようになると研究グループは述べている。 Levinthal氏は、「臨床診療改訂の目的は、CVSの認知度を高め、診断が遅れるケースを減らし、患者の治療へのアクセスを向上させることだ」とAGAのニュースリリースの中で説明。その上で、「プライマリケアや救急医療、緊急医療の提供者、特に発作時に治療を求めるCVS患者と接する最前線にいる人たちに届くことをわれわれは願っている」としている。同ガイダンスでは、睡眠やストレスの管理、また薬物療法はCVS患者の助けになり得るとされている。 米国立衛生研究所(NIH)によると、専門家の間でもCVSの原因は明確になっていない。ただ、脳と消化管の間の神経信号の問題や、ストレスに対する脳と体内のホルモンシステムの反応に問題があることなどが原因となる可能性が指摘されている。また、遺伝子もリスクに影響している可能性があるという。

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NSAIDの“有害な処方”、とくに注意すべき患者群とは/BMJ

 イングランドでは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の処方は5つの高リスク集団において、回避可能な害(avoidable harm)と医療費増加の継続的な原因であり、とくに慢性疾患を有する集団や経口抗凝固薬を使用している集団において急性イベント誘発の原因となっていることが、英国・マンチェスター大学のElizabeth M. Camacho氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2024年7月24日号で報告された。高リスク集団を対象とするイングランドのコホート研究 研究グループは、イングランドの高リスク集団における問題のある経口NSAID処方に関して、発生率、有害性、英国国民保健サービス(NHS)の費用の定量化を目的に、住民ベースのコホート研究を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]の助成を受けた)。 対象は、経口NSAIDを処方された5つの高リスク集団(胃腸保護薬を使用していない高齢者[65歳以上]、経口抗凝固薬の併用者、心不全患者、慢性腎臓病患者、消化性潰瘍の既往歴を有する者)であった。有害な処方によりQALYが失われ、医療費が増加 NSAID処方が有害でなかった場合と比較して、有害な処方により質調整生存年(QALY)の損失と費用の増加を認めた。1例当たりのQALY損失の平均値は、「消化性潰瘍の既往歴」の0.01(95%信用区間[CrI]:0.01~0.02)から「慢性腎障害患者」の0.11(0.04~0.19)までの範囲であった。また、医療費増加の平均値は、「心不全」の14ポンド(=17ユーロ、18ドル)(95%CrI:-71~98、有意差なし)から「経口抗凝固薬の併用者」の1,097ポンド(236~2,542、有意差あり)までの範囲だった。 また、1,000例当たりの有害な処方の発生は、「消化性潰瘍の既往歴を有する者」の0.11から「胃腸保護薬を使用していない高齢者」の1.70までの範囲であった。害を及ぼす可能性が最も高いのは「経口抗凝固薬の併用者」 全体として、有害な処方の頻度が最も高かったのは「胃腸保護薬を使用していない高齢者」であり、1,929(95%CrI:1,416~2,452)QALYが失われ、246万ポンド(95%CrI:65万~468万)の費用を要した。また、有害な処方の影響が最も大きかったのは「経口抗凝固薬の併用者」で、2,143(95%CrI:894~4,073)QALYが失われ、費用は2,541万ポンド(95%CrI:525万~6,001万)であった。 10年間で総計6,335(95%CrI:4,471~8,658)QALYが失われ、イングランドのNHSは3,143万ポンド(95%CrI:928万~6,711万)の費用を要したと推定された。 著者は、「イングランドでは、高リスク集団において問題のあるNSAID処方が蔓延しており、65歳以上の高齢者では、年間10万7,000例が胃腸保護薬なしにNSAIDを処方されている。NSAIDは、経口抗凝固薬を使用している者に処方された場合に、最も害を及ぼす可能性がある」としている。

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第194回 能登半島地震、被災地の医療現場でこれから起こること、求められることとは~東日本大震災の取材経験から~

木造家屋の倒壊の多く死因は圧死や窒息死こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。元日に起きた、最大震度7を観測した能登半島地震から9日が経過しました。最も被害が大きかった石川県では、1月9日現在、死者202人、負傷者565人、安否不明者102人と発表されています。1月8日現在の避難者数は2万8,160人とのことです。テレビや新聞などの報道をみていると、木造家屋の倒壊の多いことがわかります。その結果、死因は圧死や窒息死が大半を占めているようです。道路の寸断などによって孤立している集落がまだ数多く、避難所の中にも停電や断水が続いているところもあります。さらには、避難所が満員で入所できない人も多いようです(NHKニュースではビニールハウスに避難している人の姿を伝えていました)。本格的な冬が訪れる前に、被災した方々が、まずは一刻でも早く、ライフラインや食料が整った避難所やみなし避難所(宿泊施設等)への避難できることを願っています。東日本大震災との大きな違い1995年に起きた阪神・淡路大震災では、約80%が建物倒壊による圧死や窒息死でした。このときの教訓をもとに組織されたのがDMATです。しかし、2011年に起きた東日本大震災では津波の被害が甚大で、死亡者の8〜9割が溺死でした。震災直後、私は被災地の医療提供体制を取材するため宮城県の気仙沼市や石巻市に入りましたが、阪神・淡路と同じような状況を想定して現地入りしたDMATの医師たちが、「数多くの溺死者の前でなすすべもなかった」と話していたのを覚えています。今回の地震は、津波の被害より建物倒壊の被害が圧倒的に多く、その意味で震災直後のDMATなどの医療支援チームのニーズは大きいと考えられます。ただ、道路の寸断などで、物資や医療の支援が行き届くまでに相当な時間が掛かりそうなのが気掛かりです。これから重要となってくるのは“急性期”後、“慢性期”の医療支援震災医療は、ともすれば被災直後のDMATなどによる“急性期”の医療支援に注目が集まりますが、むしろ重要となってくるのは、その後に続く、“慢性期”の医療支援だということは、今では日本における震災医療の常識となっています。外傷や低体温症といった直接被害に対する医療提供に加え、避難所等での感染症(呼吸器、消化器)や血栓塞栓症などにも気を付けていかなければなりません。その後、数週間、数ヵ月と経過するにつれて、ストレスによる不眠や交感神経の緊張等が高血圧や血栓傾向の亢進につながり、高血圧関連の循環器疾患(脳梗塞、心筋梗塞、大動脈解離、心不全など)が増えてくるとされています。そのほか、消化性潰瘍や消化管穿孔、肺炎も震災直後に増えるとのデータもあります。DMAT後の医療支援は、東日本大震災の時のように、日本医師会(JMAT)、各病院団体や、日本プライマリ・ケア連合学会などの学会関連団体が組織する医療支援チームなどが担っていくことになると思われますが、過去の大震災時と同様、単発的ではなく、長く継続的な医療支援が必要となるでしょう。ちなみに厚生労働省調べでは、1月8日現在、石川県で活動する主な医療支援チームはDMAT195隊、JMAT8隊、AMAT(全日本病院医療支援班)9隊、DPAT(災害派遣精神医療チーム)14隊とのことです。避難所や自宅で暮らす高齢者に対する在宅医療のニーズが高まる医療・保健面では、高血圧や糖尿病、その他のさまざまな慢性疾患を抱えて避難所や地域で暮らす多くの高齢者の医療や健康管理を今後どう行っていくかが大きな課題となります。そして、避難所や自宅で暮らす住民に対する在宅医療の提供も必要になってきます。東日本大震災では、病院や介護施設への入院・入所を中心としてきたそれまでの医療提供体制の問題点が浮き彫りになりました。震災被害によって被災者が病院・診療所に通えなくなり、在宅医療のニーズが急拡大したのです。この時、気仙沼市では、JMATの医療支援チームとして入っていた医師を中心に気仙沼巡回療養支援隊が組織され、突発的な在宅医療のニーズに対応。その支援は約半年間続き、その時にできた在宅医療の体制が地域に普及・定着していきました。奥能登はそもそも医療機関のリソースが少なかった上に、道路が寸断されてしまったこと、地域の高齢化率が50%近いという状況から、地域住民の医療機関への「通院」は東日本大震災の時と同様、相当困難になるのではないでしょうか。東日本大震災が起こった時、気仙沼市の高齢化率は30%でした。今回、被害が大きかった奥能登の市町村の高齢化率は45%を超えています(珠洲市50%、輪島市46% 、いずれも2020年)。「気仙沼は日本の10年先の姿だ」と当時は思ったのですが、奥能登は20年、30年先の日本の姿と言えるかもしれません。テレビ報道を見ていても、本当に高齢者ばかりなのが気になります。東日本大震災では、被災直後からさまざまな活動に取り組み始めた若者たちがいたのが印象的でした。しかし、これまでの報道を見る限り、被災者たちは多くが高齢で“受け身”です。東日本大震災や熊本地震のときよりも、個々の被災者に対する支援の度合いは大きなものにならざるを得ないでしょう。プライマリ・ケア、医療と介護をシームレスにつなぐ「かかりつけ医」機能、多職種による医療・介護の連携これからの医療提供で求められるのは、プライマリ・ケアの診療技術であり、医療と介護をシームレスにつなぐ「かかりつけ医」機能、そしてさまざまな多職種による医療・介護の連携ということになるでしょう。東日本大震災、熊本地震、そして新型コロナウイルス感染症によるパンデミックで日本の医療関係者たちは多くのことを学んできたはずです。日本医師会をはじめとする医療関係団体の真の“力”が試される時だと言えます。ところで、被災した市町村の一つである七尾市には、私も幾度か取材したことがある、社会医療法人財団董仙会・恵寿総合病院(426床)があります。同病院は関連法人が運営する約30の施設と共に医療・介護・福祉の複合体、けいじゅヘルスケアシステムを構築し、シームレスなサービスを展開してきました。同病院も大きな被害を被ったとの報道がありますが、これまで構築してきたけいじゅヘルスケアシステムという社会インフラは、これからの被災地医療の“核”ともなり得るでしょう。頑張ってほしいと思います。耐震化率の低さは政治家や行政による不作為にも責任それにしても、なぜあれほど多くの木造住宅が倒壊してしまったのでしょうか。1月6日付の日本経済新聞は、その原因は奥能登地方の住宅の低い耐震化率にある、と書いています。全国では9割近くの住宅が耐震化しているのに対して、たとえば珠洲市では2018年末時点で基準をクリアしたのは51%に留まっていたそうです。ちなみに輪島市は2022年度末時点で46%でした。耐震化は都市部で進んでいる一方、過疎地では大きく遅れているのです。その耐震基準ですが、建築基準法改正で「震度5強程度で損壊しない」から「震度6強〜7でも倒壊しない」に引き上げられたのは1981年、実に40年以上も前のことです。きっかけは1978年の宮城県沖地震(当時の基準で震度は5、約7,500棟の建物が全半壊)でした。仙台で学生生活を送っていた私は、市内で地震に遭遇、ブロック塀があちこち倒れまくった住宅街の道路を自転車で下宿まで帰ってきた記憶があります。各地域(家の建て替えがないなど)や個人の事情はあるとは思いますが、法改正後40年経っても耐震化が進んでおらず、被害が大きくなってしまった理由として、政治家(石川県選出の国会議員)や行政による不作為もあるのではないでしょうか。もう引退しましたが、あの大物政治家は石川県にいったい何の貢献をしてきたのでしょうか。お金をかけてオリンピックを開催しても、過疎地の住民の命は守れません。いずれにせよ、全国各地の過疎地の住宅の耐震化をしっかり進めておかないと、また同じような震災被害が起こります。政府にはそのあたりの検証もしっかりと行ってもらいたいと思います。

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統合失調症、ムスカリン受容体作動薬KarXTは有効か?/Lancet

 xanomeline-trospium(KarXT)は統合失調症の陽性症状および陰性症状の改善に有効であり、概して忍容性は良好であった。米国・Karuna TherapeuticsのInder Kaul氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「EMERGENT-2試験」の結果を報告した。著者は、「今回の結果は、KarXTがD2ドパミン受容体遮断のメカニズムを有する現在のすべての抗精神病薬とは異なる、ムスカリン受容体の活性化に基づく有効かつ忍容性の高い、新たなクラスの抗精神病薬となる可能性を裏付けるものであった」とまとめている。KarXTは、現在承認されているすべての抗精神病薬とは異なり、D2ドパミン受容体を遮断しないムスカリンM1およびM4受容体選択的アゴニストであり、末梢性ムスカリン受容体に関連する有害事象を改善する目的で、xanomelineと末梢性ムスカリン性受容体拮抗薬であるtrospium chlorideを組み合わせたものである。統合失調症患者には新しいメカニズムを有する新たな治療法が緊急に必要とされていた。Lancet誌オンライン版2023年12月14日号掲載の報告。KarXTの有効性および安全性をプラセボと比較検証 研究グループは米国の22施設において、精神病が最近悪化して入院を必要としており、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)スコア80以上、臨床全般印象度の重症度(CGI-S)スコア4以上の18~65歳の統合失調症患者を、KarXTまたはプラセボを投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 KarXT群では、最初の2日間はxanomeline 50mgとtrospium 20mgを、3~7日目にはxanomeline 100mgとtrospium 20mgを1日2回投与し、8日目からは用量変更可としてxanomeline 125mgおよびtrospium 30mgを1日2回に増量、あるいは忍容性に応じてxanomeline 100mgとtrospium 20mgに戻すことも可能とした。 主要エンドポイントは、5週時のPANSS合計スコアのベースラインからの変化量とし、修正ITT集団(無作為化された患者のうち、少なくとも1回試験薬を服用し、ベースライン以外でPANSS評価を少なくとも1回受けた患者)を有効性解析対象集団とした。5週間でKarXTは陽性症状と陰性症状を有意に軽減 2020年12月16日~2022年4月13日に407例がスクリーニングを受け、適格基準を満たした252例がKarXT群(126例)またはプラセボ群(126例)に無作為化された。ベースラインのPANSS合計スコアは、それぞれ98.3、97.9であった。 PANSS合計スコアのベースラインから5週時の変化量の平均値は、KarXT群-21.2ポイント(SE 1.7)、プラセボ群-11.6ポイント(1.6)であった(最小二乗平均群間差:-9.6、95%信頼区間[CI]:-13.9~-5.2、p<0.0001、Cohen’s d効果量=0.61)。 副次エンドポイントもすべて、プラセボ群よりKarXT群で有意に良好であった(p<0.05)。 主な有害事象(KarXT群vs.プラセボ群)は、便秘(27例[21%]vs.13例[10%])、消化不良(24例[19%]vs.10例[8%])、頭痛(17例[14%]vs.15例[12%])、悪心(24例[19%]vs.7例[6%])、嘔吐(18例[14%]vs.1例[1%])、高血圧(12例[10%]vs.1例[1%])、浮動性めまい(11例[9%]vs.4例[3%])、胃食道逆流症(8例[6%]vs.0[0%])、下痢(7例[6%]vs.4例[3%])であった。 治療中に発現した有害事象は、錐体外路症状(KarXT群0[0%]vs.プラセボ群0[0%])、アカシジア(1例[1%]vs.1例[1%])、体重増加(0[0%]vs.1例[1%])、傾眠(6例[5%]vs.5例[4%])であり、投与中止に至った有害事象(9例[7%]vs.7例[6%])と同様に、KarXT群とプラセボ群で同程度であった。 なお、同一のEMERGENT-3試験、52週間の非盲検試験であるEMERGENT-4およびEMERGENT-5試験を含む追加の試験により、統合失調症患者におけるKarXTの有効性および安全性に関する追加情報が提供される予定だという。

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12月11日 胃腸の日【今日は何の日?】

【12月11日 胃腸の日】〔由来〕「いに(12)いい(11)」(胃にいい)の語呂合わせから日本大衆薬工業協会(現:日本OTC医薬品協会)が2002年に制定。師走に1年間を振り返り、大切な胃腸に負担をかけてきたことを思い、胃腸へのいたわりの気持ちを持ってもらうのが目的。胃腸薬の正しい使い方や、胃腸の健康管理の大切さなどをアピールしている。関連コンテンツ最新の便秘診療の知識【診療よろず相談TV】運動意欲を腸内細菌が支える【バイオの火曜日】短腸症候群【希少疾病ライブラリ】ESMO2023 レポート 消化器がんベジタリアン食で、胃がん罹患リスク6割減

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アセトアミノフェンの禁忌解除で添付文書改訂、処方拡大へ/厚労省

 アセトアミノフェン含有製剤の添付文書について、2023年10月12日、厚生労働省が改訂を指示し、「重篤な腎障害のある患者」「重篤な心機能不全のある患者」「消化性潰瘍のある患者」「重篤な血液の異常のある患者」及び「アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者」の5集団に対する禁忌解除を行った。添付文書における禁忌への記載が、成書やガイドラインで推奨される適切な薬物治療の妨げになっていたことから、今年3月に日本運動器疼痛学会が禁忌解除の要望を厚生労働省に提出していた。禁忌解除の対象に含まれていないアセトアミノフェンを含有する配合剤に注意 アセトアミノフェンの禁忌解除対象製剤は以下のとおり。・アセトアミノフェン[経口剤、商品名:カロナール原末ほか]・アセトアミノフェン[坐剤、同:カロナール坐剤小児用50ほか]・アセトアミノフェン[注射剤、同:アセリオ静注液1000mgバッグ]・トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤[同:トラムセット配合錠ほか]・ジプロフィリン・アセトアミノフェン等配合剤[同:カフコデN配合錠] 具体的な変更点として、アセトアミノフェン含有製剤の添付文書について、5集団のうち「重篤な心機能不全」「消化性潰瘍」「重篤な血液異常」の3集団を禁忌の項から削除し、『特定の背景を有する患者に関する注意』(慎重投与)の項で注意喚起する。「重篤な腎障害のある患者」は禁忌解除に伴い、投与量・投与間隔の調節を考慮する旨を追記した。「アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者」については、1回あたりの最大用量はアセトアミノフェンとして300mg以下とすることが注意喚起として追記された。 また、トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤については、添付文書の用法・用量に関連する使用上の注意の項に、慢性疼痛患者で、アスピリン喘息又はその既往歴のある患者に対して本剤を投与する場合は、1回1錠とすることという記載が加わった。鎮咳薬ジプロフィリン・アセトアミノフェン等配合剤については、アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者/アスピリン喘息の発症にプロスタグランジン合成阻害作用が関与していると考えられ、症状が悪化又は再発を促すおそれがあると記された。 なお、今回の検討はアセトアミノフェン単剤に加え、アセトアミノフェンを含有する配合剤も併せて行われたが、以下の配合剤はNSAIDsを含有することから今般の禁忌解除の対象品目には含まれていないので、注意が必要である。・サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩配合剤(商品名:PL配合顆粒)・サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・クロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤(同:ペレックス配合顆粒)・イソプロピルアンチピリン・アセトアミノフェン・アリルイソプロピルアセチル尿素・無水カフェイン配合剤(同:SG配合顆粒)

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第180回 今度は去痰薬が品薄!GE企業の不正連鎖が医療逼迫に追い打ちか

2020年に福井県のジェネリック医薬品(GE)企業・小林化工の製造不正に端を発したGE不足から間もなく3年が経過しようとしているが、まったく収束の兆しはないようだ。先日、複数の薬局薬剤師と顔を合わせたが、今も在庫の確保に苦労していると皆が口を揃えた。そこに追い打ちをかけているのが、一足早いインフルエンザの流行。クリニックを経営する知り合いの内科医は「コロナ禍の影響もあるのか、以前にも増して風邪様症状を訴える患者が受診するようになった。結局、『コロナなのか? インフルなのか? それともただの風邪か?』と疑心暗鬼になっているのだろう」と語る。その結果、薬局では対症療法に使われる去痰薬などが極端な品薄になっているとも聞く。代表的な去痰薬といえばカルボシステイン(商品名:ムコダインなど)、アンブロキソール(商品名:ムコソルバンなど)、ブロムヘキシン(商品名:ビソルボンなど)だが、実際に調べてみると、供給状況はかなり苦しい状況だ。カルボシステインは、汎用の250mg錠、500mg錠をGE企業7社が供給しているが、このうち通常出荷状態は250mg錠の1社のみで、残る各社はすべて限定出荷。500mg錠では供給停止が1社あり、残る各社はすべて限定出荷である。アンブロキソールは汎用の15mg錠をGE企業15社が供給しており、5社が通常出荷、1社が供給停止、残る各社は限定出荷。ブロムヘキシンは4mg錠をGE企業3社が供給し、2社が通常出荷で1社が供給停止だ。アンブロキソールとブロムヘキシンは、カルボシステインに比べればマシにも見えるが、あくまで見かけである。まず、両薬とも供給停止の1社は、つい数年前まで国内トップのGE企業だった日医工である。ご存じのように日医工は、製造不正による薬機法違反で行政処分を受けたGE企業の1社でもあり、それによる出荷量減少と米国事業の不振で経営が悪化。私的整理の1種である事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)が成立し、目下経営再建中である。厚生労働省のNDBオープンデータで公開されているコロナ禍前の2019年の国内外来処方量から概算すると、アンブロキソール15mg錠は流通量の約80%、ブロムヘキシン4mg錠は60%強がGE。これらのGE処方量のうち日医工はそれぞれ16%強、30%強を占めていた。「その程度なら…」と思う人もいるかもしれないが、GE企業の場合、中小企業が多く、全国津々浦々まで十分に自社品を流通させることが不可能な企業もある。このため全国流通網を持つシェアトップクラスの日医工の供給停止は見た目の数字以上に影響が大きい。とはいえ、日医工も経営再建に入ったのだから、そろそろ医薬品供給不足も底を打って回復の兆しが見えてくるのではないかと誰もが期待したいところだが、ここに来てむしろ“底割れ”の恐れさえ見え始めている。まず、日医工を主要取引先とする医薬品原薬製造企業であるアクティブファーマ(本社:東京都千代田区)が、薬機法違反に該当する製造手順書と異なる原薬製造を行っていた疑いがあり、富山県が同社の富山八尾工場に立ち入り調査を行っていたことが報じられた。もしこれが薬機法違反と認定されて行政処分となれば、同社の製造原薬が供給不安定になり、経営再建中である日医工の製造計画にも暗い影を落とすことになる。次いでGE企業中堅の共和薬品工業(本社:大阪市)が事業再生ADRを利用する見込みであることが報じられている件だ。同社は日医工と同じく製造不正が発覚し、2022年3月に行政処分を受け、これを契機に経営が悪化していた。同社は精神神経系薬に強く、この領域では上場GE企業の沢井製薬、東和薬品、日医工(今年3月上場廃止)と肩を並べると言っても良い。もし事業再生ADRが成立すれば、経営再建のために不採算品目や収益性の低い品目の整理、人員削減などが行われる可能性が高まることから、精神神経系薬のGE供給に少なからぬ影響を与えることになる。そして何よりも大きな問題となり得るのが、現時点で国内トップGE企業の沢井製薬でも薬機法違反に当たる製造不正の疑いが浮上していることだ。同社は今年7月、胃炎・消化性潰瘍治療薬のテプレノンについて「使用期限内の品質保証は難しいと判断」し、全品回収を行った。この件に関連して各種報道では、同社九州工場でのテプレノンの安定性試験のうちの溶出試験において、薬剤成分とカプセルが反応して薬剤溶出が不適だったことが約10年前に発覚。そこで九州工場では、安定性試験の溶出試験時だけ、承認書に定められていない新しいカプセルに詰め替えて試験を行い、クリアしていた疑いがあるという。一部報道ではこうした事実を九州工場の工場長も認識していたという。これが事実ならばかなり悪質と言わざるを得ない。通常ならば業務停止命令などの行政処分が下されることになる。これら3件の由々しき事態は、おそらく年末までに白黒がはっきりするだろう。このうち1つが黒になっただけでもGE供給の不安定要素になり得る。それが3つもとなると、どういうことになるのか… 。あまり考えたくないシナリオが展開されることになるかもしれない。

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NHK「やさしい日本語」【英語が話せないのは日本語が難しいから???実は「語学障害」だったの!?(文化結合症候群)】Part 3

なんで日本人はなかなかバイリンガルになれないの?バイリンガルになるためには、言語能力(生活言語能力)の予備能と学習言語能力を流用していることがわかりました。それにしても、なぜ外国の人と比べて、日本人はなかなかバイリンガルになれないのでしょうか? 冒頭では、もともと外国語の習得に困難がある状態を「語学障害」と名付けました。これは、日本の国民病(文化結合症候群)とも言えます。文化結合症候群とは、ある文化と強く結び付いて出てくる精神障害です。たとえば、日本人ならではの「対人恐怖」(社交不安症)が挙げられます。昨今の精神障害は発達障害も含むことから、語学力の発達の困難さとしての「語学障害」は、文化結合症候群に含まれると考えることができます。それでは、ここから、この「語学障害」の原因を主に3つに分けて説明しましょう。(1)モノリンガルにとらわれている前回、生活言語能力の予備能が約40%あることを推定しました。しかし、これは、スペイン語が母語である場合においての話です。スペイン語は、英語と並んで生活言語の語彙が少なく、格変化も少ないなど文法も単純で、比較的に習得が簡単な言語です。一方、日本語は、「私」「おれ」「ぼく」など1人称のバリエーションの数の多さからもわかるように、生活言語の語彙が世界的に見てもずば抜けて多いです。また、他の言語にあまり見られない尊敬語・謙譲語・丁寧語、擬音語・擬態語、助数詞なども含めると、膨大になります。「語学障害」に陥る1つ目の原因は、日本語(母語)に予備能をすでにかなり使ってしまっている、つまりモノリンガル(単一の話し言葉)にとらわれていることです。実際に、生活言語の習得は、世界的にはおおむね8歳ですが、日本語については遅れて10歳までかかると指摘されています。その分、必然的に、英語(第2言語)に使える予備能が減ってしまいます。この状況をたとえるなら、スペイン語は胃にやさしい料理であるのに対して、日本語という料理はかなり癖があり消化酵素を余分に使う(予備能を使う)必要があり、その分、次の英語という料理で消化不良を起こしやすいというわけです。ちなみに、この予備能は、母語と第2言語の組み合わせ(言語の距離)によっても変わってきます。先ほどのスペイン語とスウェーデン語に加えて英語は同じ言語圏(インド・ヨーロッパ語族)として、発音、語彙、文法が似ており、言語の距離が近いです。一方、日本語とこれらの言語は発音、語彙、文法がまったく違い、言語の距離がかなり遠いです。その分、日本人が英語を習得する場合、必然的に予備能をより多く使わざるを得なくなります。逆に、日本語と言語の距離が近い韓国語は、予備能を多く使わなくて済みます。この状況をたとえるなら、スペイン語とスウェーデン語(または英語)、日本語と韓国語は食べ合わせが良く(言語距離が近く)、一緒に消化しやすいのに対して、日本語と英語は食べ合わせが悪く(言語距離が遠く)、やはり一緒では消化不良を起こしやすいというわけです。(2)モノリテラルにもとらわれている英語のアルファベットが26文字であるように、多くの言語で文字の種類は限られています。一方で、漢字はかなりの数がありますが、本家の中国では簡略化された漢字表記が広まっています。韓国では漢字自体をすでに廃止しています。一方、日本語では、ひらがなとカタカナのそれぞれ46文字に加え、常用漢字は約2,000文字で、簡略化はほとんどされていません。さらに、たとえば「生」の漢字の読み方のバリエーションの数の多さからもわかるように、漢字の読み方の違いも含めると、やはり膨大です。「語学障害」に陥る2つ目の原因は、日本語(母語)の書き言葉に学習言語能力をかなり使ってしまっている、つまりモノリテラル(単一の書き言葉)にもとらわれていることです。その分、必然的に英語(第2言語)に使う学習言語能力の時間や労力が減ってしまいます。(3)モノカルチュラルにもとらわれている世界のほとんどの国で、語学を学習する目的は、その言語を使って生活したり仕事をすることです。一方、日本人は英語を学習してもそれを生活や仕事に生かす人は限られています。欧米への憧れはありますが、実際に海外に出ていく人は少なく、異文化に入っていくことに消極的です。また、移民の受け入れは極めて少なく、異文化を受け入れることにもかなり消極的です。基本的に私たちは日本人だけで固まることに居心地の良さを感じています。「語学障害」に陥る3つ目の原因は、日本文化(母国文化)から抜けきれない、つまりモノカルチュラル(単一の文化)にもとらわれていることです。その分、必然的に英語を異文化として理解しようとする気持ちが弱まってしまいます。実際に、私たちは英語を長年勉強していることになっているのですが、その実体は日本文化によって色濃くアレンジされた受験英語です。これは、英文を読んで日本語で書く設問と日本語の文章を読んで英文を書く設問がほとんどです。逆に、英語を聞いて英語で話す、または英文を読んで英文で書く設問がまず見当たりません。点数化して優劣を付けやすいからこのような設問ばかり出題せざるを得なかったという事情もあるでしょうが、これでは英語の全般的な語学力を測っているのではなく、単に翻訳に限定した日本語の能力を測っていることになります。教育論者の中には、日本語の表現力を高めるために、むしろこれが望ましいと主張する人もいます2)。確かに一理あります。しかし、だとしたら最も効率的なのは、英語ではなく国語の勉強に専念することです。つまり、英語によって日本語の能力を高めると主張すること自体、モノカルチュラルにとらわれていることがわかります。この点で、日本の英語教師の多くが英語を流暢に話せないのも納得がいきます。彼らの実体は翻訳の教師であり、英会話の教師ではないのです。この状況は、海外の人からはとても驚かれます。日本語の読み書きはできるけど会話はできない自称「日本語教師」に日本語を教えてもらいたいと外国の人は思わないのは容易に想像できるでしょう。逆に言えば、英語を流暢に話せない英語教師が大多数だからこそ、生徒に英語の全般的な語学力を高めるという教育方針を打ち立てられないとも言えるでしょう。なお、モノカルチュラルにとらわれていることは、異文化による文化の淘汰圧がかからず、外国語による言語の淘汰圧もかかりにくくなります。そのため、結果的には日本語の話し言葉も書き言葉も、よく言えば多様で豊かなまま、悪く言えば中国語や韓国語のように洗練されずに難解なままになってしまっているというわけです。このようにして、モノリンガルやモノリテラルにとらわれるという悪循環が起きているのです。なお、そもそも日本人がモノカルチュラルにとらわれている原因は、不安を感じやすく受け身になりやすいという独特のメンタリティが考えられます。この起源の詳細は、関連記事5でご覧ください。1)英語学習は早いほど良いのかP101、P116:バトラー後藤裕子、岩波新書、20152)その「英語」が子どもをダメにするP69:榎本博明、青春出版社、2017<< 前のページへ■関連記事海外番組「セサミストリート」【子供をバイリンガルにさせようとして落ちる「落とし穴」とは?(言語障害)】Part 1NHK「おかあさんといっしょ」(前編)【歌うと話しやすくなるの?(発声学習)】Part 1映画「RRR」【なんで歌やダンスがうまいとモテるの?(ラブソング・ラブダンス仮説)】Part 1映画「スプリット」(続編)【なんで記憶喪失になっても一般常識は忘れないの?なんで多重人格になっても人格が入り交じることはないの?(記憶機能)】Part 1苦情殺到!桃太郎(後編)【なんでバッシングするの?どうすれば?(正義中毒)】Part 1

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海外番組「セサミストリート」【子供をバイリンガルにさせようとして落ちる「落とし穴」とは?(言語障害)】Part 3

なんでダブルリミテッドバイリンガルになるの?それでは、なぜダブルリミテッドバイリンガルになるのでしょうか? 現時点で、ダブルリミテッドバイリンガルに関する個別のケースは、国際結婚で生まれた子供でよく見かけますが、大規模な調査研究は見当たりません。ただ、語学力を含む言語能力の本質を捉えると、やはりその原因は、もともとその子の言語能力が高くない場合です。この言語能力を、知能検査(WPPSI-IIIやWISC-V)における言語理解IQ(VCI)から、2つの場合に分けて考えてみましょう。(1)言語能力がとても低い場合1つ目は、言語能力がとても低い場合です。この目安は、言語理解IQが85以下です。このような子供は、統計上約15%います。彼らのほとんどが日本語だけの学習でも問題を抱えています。この状況で、英語の学習を掛け持ちすると、ほぼ確実にダブルリミテッドバイリンガルになるのは容易に想像できるでしょう。先ほどの胃の栄養吸収に例えるなら、消化酵素の量が少ない(もともとの言語能力が低い)ため、メインディッシュが1つ(日本語だけ)でも消化不良を起こしているのに、メインディッシュが2つ(日本語と英語の両方)になることで、2つともますます吸収できなくなってしまうというわけです。なお、もともと全般的な知的能力は保たれている(トータルIQ[FSIQ]は低くない)のに、母語の語彙が少なく文法がおかしい(言語理解IQが極端に低い)場合は、言語障害(言語症)と診断します。また、もともと母語の滑舌が悪い(発音がうまくできない)場合は、語音障害(語音症)と診断します。そして、これらには言語療法のトレーニングが行われます。このように、言語能力には個人差があることも受け止める必要があります。(2)言語能力が高くはない場合2つ目は、言語能力が高くはない場合です。この目安は、言語理解IQが85~100です。このような子供は、統計上約35%います。彼らは、一見、日本語の学習に問題はなさそうです。しかし、言語能力としては平均以下ですので、余力があるとは言えません。この状況で、英語の学習を掛け持ちすると、単純に発音・語彙・文法が2倍になるわけですから、生活言語能力を習得する時期が遅れます。その分、学習言語能力が始まる時期が遅れ、十分な学習言語が習得できなくなる恐れがあることも想像できるでしょう。さらにこの状況は、ダブルリミテッドバイリンガルだけでなく、学習障害も引き起こすリスクがあります。これは、発音の敏感期が遅れて終わる子供はその分、その後の語彙の学習が遅れるという、先ほど紹介した現象に通じます。ちなみに、この言葉の学習の量(生活言語能力)と質(学習言語能力)のトレードオフの関係は、絶対音感を身に付けると相対音感が損なわれるという音感のトレードオフにも通じます。この詳細については、関連記事2をご覧ください。先ほどの胃の栄養吸収に例えるなら、消化酵素の量が多くない(もともとの言語能力が高くない)ため、メインディッシュが1つ(日本語だけ)でようやく消化しているのに、メインディッシュが2つ(日本語と英語の両方)になることで、2つとも吸収できなくなってしまうというわけです。私たちは、「子供は語学の天才である」などと根拠のない語学ビジネスの宣伝に振り回されず、この事実をもっと深刻に受け止める必要があります。もちろん、子供のためによかれと思ってという親心や憧れはよくわかります。また、国際結婚で生まれた子供の言語環境がどうしても多言語になってしまう状況は致し方ないです。しかし、子供のもともとの言語能力を見極められない幼少期から、モノリンガルの日本人の両親が日本国内で英語教育をあえて本格的にやろうとするのは、時間とお金と労力がかかるばかりでなく、子供をダブルリミテッドバイリンガルという言語障害にさせてしまう危うさもあるというわけです。これが、子供をバイリンガルにさせようとして落ちる「落とし穴」なのです。1)英語学習は早いほど良いのかP71、P34、P140:バトラー後藤裕子、岩波新書、2015<< 前のページへ■関連記事NHKドラマ「フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話」(後編)【言葉は噂をするために生まれたの!?(統語機能)】NHK「おかあさんといっしょ」(後編)【絶対音感よりも○○!?才能よりも○○!?(幼児教育)】Part 1

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標的部位で持続的に放出される潰瘍性大腸炎薬「コレチメント錠9mg」【下平博士のDIノート】第128回

標的部位で持続的に放出される潰瘍性大腸炎薬「コレチメント錠9mg」今回は、潰瘍性大腸炎治療薬「ブデソニド腸溶性徐放錠(商品名:コレチメント錠9mg、製造販売元:フェリング・ファーマ)」を紹介します。本剤は、標的部位の大腸にブデソニドが送達され、持続的に放出されるように設計されている1日1回服用の薬剤で、良好な治療効果や服薬アドヒアランスが期待されています。<効能・効果>活動期潰瘍性大腸炎(重症を除く)の適応で、2023年6月26日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはブデソニドとして9mgを1日1回朝経口投与します。投与開始8週間を目安に本剤の必要性を検討し、漫然と投与を継続しないように留意します。<安全性>2~5%未満に認められた副作用として潰瘍性大腸炎増悪があります。2%未満の副作用は、乳房膿瘍、感染性腸炎、乳腺炎、口腔ヘルペス、不眠症、睡眠障害、腹部膨満、口唇炎、ざ瘡、湿疹、蛋白尿、月経障害、末梢性浮腫、白血球数増加、尿中白血球陽性が報告されています。<患者さんへの指導例>本剤は、大腸に送られて持続的に炎症を鎮める潰瘍性大腸炎活動期の薬です。服薬時にかまないでください。生ワクチン(麻疹、風疹、おたふく風邪、水痘・帯状疱疹、BCGなど)を接種する際には医師に相談してください。疲れを残さないよう十分な睡眠と規則正しい生活が重要です。消化の悪い繊維質の多い食品や脂肪分の多い食品、香辛料などを避けて、腸に優しい食事を心がけましょう。<Shimo's eyes>潰瘍性大腸炎は、活動期には下痢や血便、腹痛、発熱などを伴い、寛解と再燃を繰り返す炎症性腸疾患であり、わが国では指定難病に指定されています。潰瘍性大腸炎の活動期には、軽症~中等症では5-アミノサリチル酸製剤が広く用いられ、効果不十分な場合や重症例にはステロイド薬などが投与されます。ステロイド抵抗例ではタクロリムスや生物学的製剤、ヤヌスキナーゼ阻害薬などが使用されます。本剤の特徴は、MMX(Multi-Matrix System)技術を用いた薬物送達システムにあり、pH応答性コーティングにより有効成分であるブデソニドを含むマルチマトリックスを潰瘍性大腸炎の標的部位である大腸で送達し、親水性基剤と親油性基剤がゲル化することでブデソニドを持続的かつ広範囲に放出させます。また、本剤の有効成分であるブデソニドはグルココルチコイド受容体親和性が高いステロイド薬であり、局所的に高い抗炎症活性を有する一方、肝初回通過効果によって糖質コルチコイド活性の低い代謝物となるため、経口投与によるバイオアベイラビリティが低いと考えられ、全身に曝露される糖質コルチコイド活性の軽減が期待されるアンテドラッグ型のステロイドとなります。本剤は1日1回投与の経口薬であることから、良好な服薬利便性や服薬アドヒアランスも期待でき、海外では2023年3月現在、75以上の国または地域で承認されています。なお、本成分を有効成分とする既存の潰瘍性大腸炎治療薬には、直腸~S状結腸に薬剤を送達するブデソニド注腸フォーム(商品名:レクタブル2mg注腸フォーム)がありますが、本剤は大腸全体が作用部位となる点に違いがあります。本剤の主な副作用として、潰瘍性大腸炎の増悪が2~5%未満で報告されています。本剤はほかの経口ステロイド薬と同様に、誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、クッシング症候群、骨密度の減少、消化性潰瘍、糖尿病、白内障、緑内障、精神障害などの重篤な副作用に注意が必要です。本剤投与前に水痘または麻疹の既往歴や予防接種の有無を確認しましょう。製剤の特性を維持するために、本剤を分割したり、乳鉢で粉砕したりすることはできません。患者さんにもかんで服用しないように伝えましょう。潰瘍性大腸炎治療の新たな選択肢が増えることで、患者さんのQOL向上が期待されます。

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