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市中肺炎へのβラクタム系抗菌薬、単独療法でも有効/NEJM

 成人市中肺炎疑い患者へのβラクタム系抗菌薬単独療法は、マクロライド系抗菌薬との併用療法やフルオロキノロン系抗菌薬単独療法に比べ、90日死亡率に関して非劣性であることが示された。オランダ・ユトレヒト大学メディカルセンターのDouwe F. Postma氏らが、3群で約2,300例の患者を対象に行った試験の結果、報告した。NEJM誌2015年4月2日号掲載の報告より。90日死亡率を非劣性マージン3%で検証 市中肺炎が疑われ入院した患者(ICU以外)に対する経験的抗菌薬治療の選択について、エビデンスが少ない。Postma氏らは、3つの経験的治療戦略について、クラスター無作為化クロスオーバー試験を行った。 βラクタム系抗菌薬単独療法、βラクタム系抗菌薬・マクロライド系抗菌薬併用療法、フルオロキノロン系抗菌薬単独療法を、それぞれ4ヵ月ごとに交代で実施し、90日死亡率を比較。両側90%信頼区間を用いて、非劣性マージンは3%としてβラクタム系抗菌薬単独療法の非劣性について検証した。90日死亡リスク、併用療法+1.9ポイント、フルオロキノロン単独療法は-0.6ポイント 被験者は、βラクタム戦略期間656例、βラクタム・マクロライド戦略期間739例、フルオロキノロン戦略期間888例で、各戦略の順守率はそれぞれ93.0%、88.0%、92.7%だった。被験者の年齢中央値は70歳だった。 結果、補正前90日死亡率は、それぞれ9.0%、11.1%、8.8%だった。 intention-to-treat分析の結果、死亡リスクはβラクタム戦略よりも、βラクタム・マクロライド戦略が1.9ポイント高く(90%信頼区間:-0.6~4.4%)、一方フルオロキノロン戦略は0.6ポイント低く(同:-2.8~1.9)、βラクタム戦略の非劣性が示された。 なお、入院期間の中央値はいずれの戦略でも6日で、経口投与開始までの期間の中央値は、フルオロキノロン戦略で3日、それ以外の戦略では4日だった。

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第2版 レジデントのための やさしイイ呼吸器教室 -ベストティーチャーに教わる全27章

先生に教えてもらって、呼吸器科がもっと好きになりました!日々の講義や実習指導を行う中で見えてきた「みんながつまずくポイント」を、著者ならではのティーチングセンスでわかりやすく解説する本書。学会などで売上1位の好評書が早くもバージョンアップして登場です。大きく変わったところとしては、「画像診断」の章をより初心者向けに構成し直し、「間質性肺炎」の項目は最新の分類に書き改め、踏み込んだ事柄まで記載。「肺炎」の項目はすべてのガイドラインを盛り込んで大幅に加筆し、新たに「肺炎ガイドラインによるエンピリック治療」を独立させました。これから呼吸器内科をローテートする方はもちろん、呼吸器診療のエッセンスを身につけたい他科の先生方にもお勧めの1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。   第2版 レジデントのための やさしイイ呼吸器教室-ベストティーチャーに教わる全27章 定価 4,500円 + 税判型 B5変型判/2色刷頁数 512頁発行 2015年4月著者 長尾大志(滋賀医科大学呼吸器内科)Amazonでご購入の場合はこちら

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肺炎球菌ワクチン 接種間隔はどのくらい?

 インフルエンザの時期が過ぎ、花粉症の季節となった。一般的に肺炎は冬に多いが、高齢者の肺炎リスクは年間を通じて高いため、引き続き注意が必要である。先日、本サイトに高齢者肺炎に関する記事を掲載したところ、大きな反響があった。 肺炎の原因である肺炎球菌感染症の予防には、ワクチン接種が有効である。昨年(2014年)10月より、従来使用されてきた23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPSV23)の65歳以上の成人を対象とした定期接種が開始となった。また、同年6月から13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)が、65歳以上の成人に適応拡大になった。そのため、2種類のワクチンをどのように使い分けるか、併用接種する場合はどのような接種間隔が適切かなどを判断していく必要が生じている。そこで、今回は肺炎球菌ワクチンの接種間隔にフォーカスして、基本的な考え方を紹介する。 PPSV23とPCV13の接種間隔に関する考え方は、以下のとおり(図)1)。(1)PPSV23単剤で使用する:5年以上間隔を空けて接種する(2)PPSV23とPCV13を併用する:  (I)PPSV23を先に接種し、その後PCV13を接種する場合:1年以上間隔を空けて接種する  (II)PCV13を先に接種し、その後PPSV23を接種する場合:6ヵ月~4年以内に接種する図画像を拡大する 肺炎球菌ワクチンの接種によってすべての肺炎を予防できるわけではないが、リスクを小さくすることができる。ワクチン接種対象者の年齢や基礎疾患、経済的な負担を考慮したうえで適切なワクチンを選択し、適正に使用していくことが求められる。【参考】1)日本呼吸器学会呼吸器ワクチン検討 WG 委員会/日本感染症学会ワクチン委員会・合同委員会.65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方.日本感染症学会(参照 2015.4.17)

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Dr.桑島の動画でわかる「エビデンスの正しい解釈法」

J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とはJ-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。本企画では、J-CLEARの活動の一環として、CareNet.comで報道された海外医学ニュース「ジャーナル四天王」に対し、臨床研究の適正な解釈を発信するものです。詳しくはこちら1月~3月の3ヵ月間で最も読まれたJ-CLEAR発信記事 TOP51位)FINGER試験:もしあなたが、本当に認知症を予防したいなら・・・(解説:岡村 毅 氏)-3212位)LancetとNEJM、同じデータで割れる解釈; Door-to-Balloon はどこへ向かうか?(解説:香坂 俊 氏)-3003位)DAPT試験を再考、より長期間(30ヵ月)のDAPTは必要か?(解説:中川 義久 氏)-2994位)治療抵抗性高血圧の切り札は、これか?~ROX Couplerの挑戦!(解説:石上 友章 氏)-3135位)市中肺炎患者に対するステロイド投与は症状が安定するまでの期間を短くすることができるか?(解説:小金丸 博 氏)-311J-CLEARのメンバーが評論した論文を紹介したコーナー「CLEAR!ジャーナル四天王」記事一覧はこちらをクリック

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成人に対する13価肺炎球菌結合型ワクチンの有効性を示したCAPiTA trial(解説:小金丸 博 氏)-339

 肺炎球菌結合型ワクチンは、小児における肺炎球菌性肺炎、侵襲性肺炎球菌感染症、中耳炎、およびHIV感染症患者における肺炎球菌感染症を予防できることが示されてきた。成人においては、13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)は23価肺炎球菌多糖ワクチン(PPSV23)と比較し、免疫原性が優れていることは示されていたが、実際に成人の肺炎球菌感染症を予防できるかどうかはわかっていなかった。 本論文は、成人に対するPCV13の予防効果を検討したランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験である。2005年以前には、小児に対する肺炎球菌結合型ワクチンを導入していなかったオランダにおいて、2008年9月~2013年8月に実施された。65歳以上の成人を、(1)PCV13接種群(4万2,240例)と(2)プラセボ接種群(4万2,256例)に割り付けし、ワクチン血清型の肺炎球菌による市中肺炎、非菌血症性・非侵襲性肺炎球菌性肺炎、侵襲性肺炎球菌感染症の予防効果を調査した。原因菌がワクチンに含まれる血清型の肺炎球菌だったかどうかの確認には、血液などの無菌材料からの培養検体に加えて、ワクチン血清型特異的尿中抗原検査を用いた。  per-protocol解析では、ワクチン血清型による市中肺炎はPCV13接種群で49例、プラセボ群で90例発生し、ワクチン効果は45.6%(95.2%信頼区間:21.8~62.5%)だった。同様に、非菌血症性・非侵襲性肺炎球菌性肺炎の発生数は、それぞれ33例と66例で、効果は45.0%(同:14.2~65.3%)、侵襲性肺炎球菌感染症の発生数は、それぞれ7例と28例で、効果は75.0%(95%信頼区間:41.4~90.8%)だった。ワクチン効果は試験期間中持続した(平均フォローアップ期間3.97年)。肺炎球菌以外も含めた全市中肺炎の発生数は、それぞれ747例と787例で、ワクチン効果は5.1%(95%信頼区間:-5.1~14.2%)だった。全死因死亡者数は両群間で同等だった。肺炎球菌感染症に関連した死亡者数は、ワクチンの有効性を解析する意味を持たないほど両群共に少なかった。 本試験はCAPiTA trialと呼ばれる臨床試験である。PCV13による成人の肺炎球菌感染症の予防効果を示した最初の論文であり、本試験の結果を受けて米国の予防接種諮問委員会(ACIP)の推奨が「PCV13をすべての65歳以上の成人に対して接種すること」と変更になった。  本邦においてPCV13は、2014年6月に65歳以上の成人に対して適応拡大されている。それに加えて、2014年10月からは65歳以上の成人を対象としたPPSV23の定期接種が開始されており、成人に対する肺炎球菌ワクチンの接種が複雑になっている。 米国では、PCV13はPPSV23と連続して使用される。ACIPは、(1)肺炎球菌ワクチン接種歴のない場合は、まずPCV13を接種し、6~12ヵ月後にPPSV23を接種、(2)65歳以降にPPSV23の接種歴がある場合は、PPSV23の接種から1年以上空けてPCV13を接種、(3)65歳未満にPPSV23の接種歴がある場合は、PPSV23の接種から1年以上空けてPCV13を接種し、その6~12ヵ月後にPPSV23を接種するように推奨している。PCV13とPPSV23を連続接種することにより高い免疫原性を得ることが期待できるが、至適接種間隔はわかっていない。また、連続接種による臨床効果を示した研究はなく、今後のさらなる研究が待たれる。

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認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか

 死亡診断書や処方箋データを用いた研究によると、認知症患者に対するハロペリドールによる治療は、心臓突然死のリスク増大と関連していることが示唆されている。ルーマニア・トランシルバニア大学のPetru Ifteni氏らは、ハロペリドールで治療した認知症患者の突然死例において心臓突然死率が高いかどうかを、剖検所見を用い調査した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2015年3月19日号の報告。 1989年から2013年までに、精神科病院に入院した行動障害を伴う認知症患者1,219例のうち、65例(5.3%)が突然死していた。突然死後、剖検を完了したのは55例(84.6%)であった。剖検例のうち27例(49.1%)が、経口ハロペリドール単剤(2.2㎎±2.1㎎/日)治療を受けていた。多変量比較および多変量回帰分析を用い、心臓突然死および非心臓突然死であった患者群との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・死亡の主な原因は、心臓突然死(32.7%)、心筋梗塞(25.5%)、肺炎(23.6%)、脳卒中(10.9%)であった。・心臓突然死患者と解剖学的に死亡原因が特定された患者では、ハロペリドールの治療率に差はなかった(p=0.5)。・心臓突然死患者では、アルツハイマー型認知症(p=0.027)、心臓病の既往歴(p=0.0094)の割合が高く、気分安定薬による治療率が低かった(p=0.024)。しかし、これらはいずれも心臓突然死の独立した危険因子ではなかった。・剖検データによる本調査では、精神科入院認知症患者に対する経口ハロペリドールの使用は、心臓突然死リスクと関連しないことが示唆された。関連医療ニュース 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット 統合失調症患者の突然死、その主な原因は  担当者へのご意見箱はこちら

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~プライマリ・ケアの疑問~  Dr.前野のスペシャリストにQ!【呼吸器編】

第1回 気管支喘息治療のスタンダードは? 第2回 吸入ステロイドを使い分けるポイントは? 第3回 気管支喘息で経口ステロイドはどう使う? 第4回 風邪症状から肺炎を疑うポイントは?第5回 呼吸器感染症の迅速診断は臨床で使える?第6回 肺炎のempiric therapyの考え方とは?第7回 COPDの薬物療法は何から始める?第8回 呼吸リハビリテーション、プライマリ・ケアでできることは?第9回 在宅酸素療法の基本的な考え方は?第10回 慢性咳嗽の原因疾患を鑑別する方法は?第11回 アトピー咳嗽と咳喘息、どう見分ける?第12回 成人の百日咳、鑑別と検査のポイントは?第13回 結核の発見と対応のポイントは?第14回 肺塞栓を疑うポイントは?第15回 肺の聴診のコツは? 日常診療におけるジェネラリストの素朴な疑問に一問一答で回答するQ&A番組!気管支喘息や肺炎、COPDなどの実臨床でよく見る呼吸器疾患の診察、検査、治療に関する15の質問を、番組MCの前野哲博先生が経験豊富なスペシャリスト・長尾大志先生にぶつけます!第1回 気管支喘息治療のスタンダードは? プライマリ・ケアで扱うことも多い気管支喘息。寛解への近道は継続した投薬です。そのため、患者のアドヒアランスを高めることも治療のキーポイント。治療の原則と併せて、最も効果がある処方例をズバリお教えいたします!第2回 吸入ステロイドを使い分けるポイントは? 吸入ステロイドは気管支喘息治療薬のスタンダードですが、その剤形やデバイスは年を追うごとに進歩しています。かつて主流だったMDIと、近年数多く発売されているDPI。それぞれの特徴と使い分けをズバリお教えいたします。また、気管支喘息治療でよく使用されるDPI合剤の使い分けについても伝授。吸入ステロイドの選択はこの番組でばっちりです!第3回 気管支喘息で経口ステロイドはどう使う?気管支喘息治療では発作時の対処も重要なポイント。発作止めとしてよく使用する経口ステロイドですが、怖いものと思って、おそるおそる使っては効果も半減してしまいます。今回は、効果的に使用するために重要な投与量と中止のタイミングをズバリ解説。救急での受診後に処方する場合など発作時以外の使い方も併せてレクチャーします。第4回 風邪症状から肺炎を疑うポイントは?風邪はプライマリ・ケアで最もよく見る症状のひとつ。風邪症状から肺炎を見逃さないために、風邪の定義、そして風邪をこじらせた場合、初めから肺炎だった場合など、様々なシュチエーションに応じた見分け方のコツをズバリお教えします。第5回 呼吸器感染症の迅速診断は臨床で使える?インフルエンザに迅速診断は必要?肺炎を疑う場合に使うのはどの検査?信頼性は?迅速診断に関する疑問にズバリお答えします。マイコプラズマ、尿中肺炎球菌、レジオネラ菌。それぞれの原因微生物ごとの迅速診断の特徴やキットの使い勝手など実臨床に役立つ情報をお届けします。第6回 肺炎のempiric therapyの考え方とは?肺炎だけど起炎菌が同定できない!そんなときに行うのがempiric therapyです。今回はプライマリ・ケアで多い市中肺炎に焦点をあてて、empiric thearpyの進め方を解説します。その際、最も重要なのは肺炎球菌なのかマイコプラズマなのか予想すること。この2つを見分けるポイントと、またそれぞれに適した薬剤をズバリお教えします。第7回 COPDの薬物療法は何から始める?急激に患者数が増加するCOPD。2013年にガイドラインが改訂され、第1選択薬に抗コリン薬とβ2刺激薬が併記されました。でも実際に専門医はファーストチョイスにどちらを使っているのか?抗コリン薬が使えない場合はどうする?喀痰調整薬ってどんな患者に有用?COPDの薬物療法についてズバリお答えします。第8回 呼吸リハビリテーション、プライマリ・ケアでできることは?COPD治療に必要な呼吸リハビリテーション。専門の機械や人員のいないプライマリ・ケアでもできることはあるの?答えはYES!と長尾先生は断言します。専門病院のような細かいプログラムは不要。しかもプライマリ・ケア医の強みを活かせる指導なのです。第9回 在宅酸素療法の基本的な考え方は?専門病院で導入された在宅酸素療法。どういうときならプライマリ・ケア医の判断で酸素量を増やしてもいいの?SpO2の管理目標値はどのくらい?嫌がる患者さんに在宅酸素を継続してもらうコツはある?などの疑問にズバリ答えます!第10回 慢性咳嗽の原因疾患を鑑別する方法は?長引く咳を主訴に来院する患者さん、最も多い感染後咳嗽を除外したあとに残るのは慢性咳嗽です。慢性咳嗽の原因疾患は、副鼻腔炎、後鼻漏、胃食道逆流、咳喘息と多彩。これらをどのように鑑別するのか?ズバリそのキーポイントは喀痰のありなしなのです!今回の講義ではすぐに使える鑑別のノウハウをレクチャーします。第11回 アトピー咳嗽と咳喘息、どう見分ける?慢性咳嗽の代表的な鑑別疾患である、咳喘息とアトピー咳嗽。この2つはどう違うの?アトピー咳嗽という言葉はよく耳にするけれど、実は慢性咳嗽の半数は咳喘息なのだそう。今回は両者の違いを端的に解説。咳喘息の特徴的な症状や診断と治療を兼ねた処方例まで網羅します。第12回 成人の百日咳、鑑別と検査のポイントは?百日咳は近年、成人の罹患率が高まり、受診する患者も増えてきました。成人では特徴的な症状が見られにくく、診断ができるころには治療のタイミングを逸しているのも診療の難しいところ。今回はそんな百日咳の鑑別のコツや検査をすべき対象について、ズバリお教えいたします!第13回 結核の発見と対応のポイントは?再興感染症とも言われる結核。早期の発見治療にはプライマリケアでの対応が重要です。今回は特徴的な感染徴候やリスク因子をレクチャー。検査はクオンティフェロンと喀痰検査どちらがいい?周囲に感染者が出たと心配する患者さんにどう対応したらいい?などの質問にもズバリお答えいたします!第14回 肺塞栓を疑うポイントは?いち早く発見したい肺塞栓症。確定診断までの流れなどのベーシックな知識はもちろん、造影CTやDダイマーなどの検査ができないときでも肺塞栓を除外できる条件をズバリお教えします!第15回 肺の聴診のコツは?肺の聴診は基本的な手技。どうやってカルテに書いたら伝わりやすい?今回は代表的な4つの肺雑音の特徴とカルテの記載方法をレクチャーします。連続性か断続性か、高音か低音かなど、聞き分けるコツと、その機序も併せて解説。仕組みの講義で病態生理の理解も深まること間違いありません!

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PCV13、高齢者市中肺炎にも有効/NEJM

 高齢者への13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)接種について、ワクチン型の肺炎球菌性、菌血症性、および非血症性の市中肺炎と、ワクチン型の侵襲性肺炎球菌感染症の予防に有効であることが明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのM.J.M. Bonten氏らが、8万4,496例の65歳以上高齢者を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。PCVワクチンは、新生児において肺炎球菌感染症の予防が認められているが、65歳以上高齢者の肺炎球菌性市中肺炎の有効性は明らかにされていなかった。試験の結果では、あらゆる原因による市中肺炎へのワクチンの有効性は示されなかったが、著者は「ワクチン型の市中肺炎が46%減少しており、高齢者の市中肺炎の減少に寄与すると思われる」とまとめている。NEJM誌2015年3月19日号掲載の報告より。オランダ65歳以上8万4,496例を登録して無作為化二重盲検プラセボ対照試験 試験は2008年9月15日~2010年1月30日にかけて、オランダ国内101地点で65歳以上高齢者を8万4,496例登録して行われた。被験者は1対1の割合で無作為に割り付けられ、4万2,240例がPCV13接種を、4万2,256例がプラセボの接種を受けた。追跡期間は中央値3.97年であった。 PCV13の有効性について、ワクチン型肺炎球菌性市中肺炎、非菌血症性・非侵襲性肺炎球菌性市中肺炎、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の初回エピソードの予防について評価した。市中肺炎とIPDの特定は、標準的なラボ検査と血清型に特異的な尿中抗原検出アッセイにより行った。 追跡期間中に、肺炎またはIPDが疑われ試験協力病院を受診した人は、PCV13群1,552例、プラセボ群1,680例であった。このうち2,842例(88%)は、前年にインフルエンザワクチンの接種を受けていた。ワクチン型株市中肺炎への有効率、per-protocol解析で45.6% ワクチン型株による感染症の初回エピソードのper-protocol解析の結果、市中肺炎発生は、PCV13群49例、プラセボ群90例でワクチンの有効率は45.6%(95.2%信頼区間[CI]:21.8~62.5%)であった。非菌血症性・非侵襲性市中肺炎は、PCV13群33例、プラセボ群60例でワクチン有効率は45.0%(同:14.2~65.3%)、侵襲性肺炎球菌感染症は PCV13群7例、プラセボ群28例でワクチン有効率は75.0%(95%CI:41.4~90.8%)だった。有効性は試験期間中、持続していた。 修正intention-to-treat解析(安全性データを入手できなかった人を除外した8万4,492例)においても、ワクチン型株による感染症の初回エピソードに対するワクチン有効率は同程度であった(それぞれ37.7%、41.1%、75.8%)。 一方、あらゆる原因(非肺炎球菌性と肺炎球菌性を含む)による市中肺炎の初回エピソード発生例は、PCV13群747例、プラセボ群787例で、ワクチン有効率は5.1%(95%CI:-5.1~14.2%)だった。 重篤な有害事象と死亡は、両群で同程度であったが、PCV13群で局所反応が、より多く認められた。

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成人の季節性インフルエンザに対するオセルタミビルの効果:ランダム化比較試験のメタ解析(解説:吉田 敦 氏)-319

 ノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビルは、現在世界で最も使用されている抗インフルエンザ薬であり、パンデミックに対する備えとしてもその位置付けは大きい。その効果についてはこれまで多くの臨床試験と経験が蓄積されてきたが、今回あらためてランダム化比較試験のメタ解析が行われ、成人例におけるオセルタミビルの効果と副作用が検証された。Lancet誌オンライン版2015年1月30日号の発表。用いられたランダム化比較試験 対象として解析されたのは、成人に75mg 1日2回投与を行ったランダム化プラセボ対照二重盲検試験であり、これまで論文として発表された、あるいはロシュ社がスポンサーになって施行された未発表のものを含む。インフルエンザ様症状を訴えて来院した例についてランダム化して投与を行い、一部ではその後ウイルス分離あるいは抗体検査を行い、その結果によってインフルエンザウイルス感染症の証拠を得た(Intention-to-treat infected population)。すべての症状が消失するまでの時間をアウトカムとし、投与により短縮された時間を解析した。同時に、合併症・副作用の内容と出現頻度、入院数を比較した。9試験の集計結果 合計して4,328例が解析可能であった。上記の検査で、インフルエンザウイルスの感染が判明した集団(Intention-to-treat infected population)に絞った解析では、プラセボ群に比べ、オセルタミビル群は解熱までの期間が21%短かった(時間比0.79、95%CI:0.74~0.85、p<0.0001)。中央値で比較しても、プラセボ群122.7時間に対し、オセルタミビル群97.5時間であった。一方、検査の有無にかかわらず、インフルエンザ様症状を訴えた患者全体(Intention-to-treat population)を対象として解析すると、その効果はやや弱くなったが、それでも17.8時間の違いがみられた。合併症と副作用に及ぼす影響 Intention-to-treat infected populationでの解析では、抗菌薬の使用が必要となる下気道感染合併症を来した例は、やはりオセルタミビル群で少なく(リスク比0.56、95%CI:0.42~0.75、p=0.0001、オセルタミビル群4.9%、プラセボ群8.7%)、入院が必要となる例も少なかった(リスク比0.37、95%CI:0.17~0.81、p=0.013、オセルタミビル群0.6%、プラセボ群1.7%)。安全性については、オセルタミビル群で嘔気(リスク比1.60、95%CI:1.29~1.99、p<0.0001、オセルタミビル群9.9%、プラセボ群6.2%)と、嘔吐(リスク比2.43、95%CI:1.83~3.23、p<0.0001、オセルタミビル群8.0%、プラセボ群3.3%)が増加したが、精神神経疾患としての影響は見られず、重篤な副作用も認められなかった。オセルタミビルの位置付けと今後 今回のメタ解析では、オセルタミビルによる症状消失までの時間が約1日短くなること、下気道感染合併例・入院例が少なくなること、嘔気と嘔吐が増えたことが確認された。この結果はこれまでの観察研究や経験とおおよそ合致しており、わが国では比較的納得しやすい結果であろう。なお、メタ解析の基になった解析の中で、標本数の少ない解析についてはとくに、オセルタミビル群で差が出た解析に偏って報告されているバイアスは否定できない。しかし、これらの解析の重み付けは少なくなっている。 一方で著者らは、本研究の限界として、元々の解析では呼吸器感染症の合併をアウトカムに設定しておらず、特異的な診断法がなく診断されていること、入院例・肺炎例共に数が少ないことを挙げている。また、予防投与で用いられるような、長期投与での安全性・利便性についても、データを示していない。 オセルタミビルを含む抗インフルエンザ薬について、今後もさまざまな角度から検討がなされ、より厳密な情報が得られることに期待したい。登場してから10年余りでここまで広く使用されているが、それ以前と比べて何がよくなったのか、常に考えるべきではないだろうか。

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ロフルミラストは重度増悪リスクが高いCOPDに有効/Lancet

 ロフルミラスト(roflumilast、 国内未承認)は、吸入ステロイド薬+長時間作用型β2遮断薬にチオトロピウムを併用しても高頻度の重度増悪発症リスクを有する重度慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、増悪を抑制し入院リスクを低減することが、米国・ワイルコーネル大学のFernando J Martinez氏らが行ったREACT試験で示された。ロフルミラストは、抗炎症作用を有する経口ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)阻害薬で、とくに重度~きわめて重度のCOPD、慢性気管支炎の症状、増悪のリスクを有する患者において、中等度~重度の増悪や肺機能の有意な改善効果が示されているが、標準治療を施行しても増悪のリスクが高い患者に関する検討は行われていなかった。Lancet誌オンライン版2015年2月12日号掲載の報告。追加による増悪抑制効果を無作為化試験で評価 REACT試験は、吸入ステロイド薬や長時間作用型β2遮断薬を併用しても、増悪のリスクのある重症COPD患者に対する、ロフルミラストによる増悪の抑制効果を評価する多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化第III/IV相試験。 対象は、年齢40歳以上、喫煙歴が20pack-years以上で、重篤な気流制限や慢性気管支炎の症状を伴い、前年に2回以上の増悪を来した重度COPD患者であった。 被験者は、固定用量の吸入ステロイド薬と長時間作用型β2遮断薬とともに、ロフルミラスト500μgまたはプラセボを1日1回経口投与する群に無作為に割り付けられた。試験前からの吸入チオトロピウム投与例は、継続投与が可とされた。 患者と担当医には治療割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は、中等度~重度のCOPDの増悪の年間発症率とした。感度分析で13.2%の改善 2011年4月3日~2014年5月27日までに、21ヵ国203施設に1,945例が登録された。ロフルミラスト群に973例、プラセボ群には972例が割り付けられ、それぞれ969例、966例が解析の対象となった。平均年齢は両群ともに65歳、男性がそれぞれ74%、75%で、喫煙状況は両群とも48pack-yearsで、現喫煙者はそれぞれ42%、45%だった。 ポアソン回帰分析では、中等度~重度COPD増悪の発症率はプラセボ群に比べロフルミラスト群で13.2%減少し(0.805 vs. 0.927、率比[RR]:0.868、95%信頼区間[CI]:0.753~1.002、p=0.0529)、負の二項回帰モデルを用いた事前に定義された感度分析では、ロフルミラスト群で14.2%の減少が示された(0.823 vs. 0.959、RR:0.858、95%CI:0.740~0.995、p=0.0424)。 ベースラインから気管支拡張薬投与後52週までのFEV1の変化および重度COPD増悪率は、いずれもプラセボ群に比べロフルミラスト群で有意に良好であった(それぞれ、p<0.0001、p=0.0175)。 有害事象は、ロフルミラスト群で67%(648/968例)、プラセボ群では59%(572/967例)に発現した。有害事象関連の治療中止は、ロフルミラスト群が11%(104/968例)であり、プラセボ群の5%(52/967例)に比べ高率であった。 最も頻度の高い有害事象はCOPDの増悪であり、ロフルミラスト群で15%(145/968例)、プラセボ群では19%(185/967例)に認められた。また、下痢がそれぞれ10%、4%、体重減少が9%、3%、悪心が6%、2%、鼻咽頭炎が5%、5%、頭痛が4%、2%、肺炎が4%、5%にみられた。ロフルミラスト群の17例(2%)、プラセボ群の18例(2%)が治療期間(二重盲検期)中に死亡した。 著者は、「ロフルミラストは、許容されない副作用を発現せずに、臨床的に付加的ベネフィットをもたらす唯一の経口抗炎症薬である。本試験の知見は、既存の吸入薬の最大用量を使用しても重度の増悪のリスクがある重度~きわめて重度のCOPDと慢性気管支炎がみられる患者に対する、治療選択肢の情報として役立つだろう」と述べている。

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高CRPの重症市中肺炎、ステロイドで治療失敗減/JAMA

 重症市中感染性肺炎で高度炎症反応を示す患者に対し、メチルプレドニゾロンを5日投与することで、治療失敗リスクは18ポイントほど低下することが明らかにされた。スペインのバルセロナ・ホスピタル・クリニックのAntoni Torres氏らが多施設共同プラセボ対照二重盲検無作為化試験の結果、報告した。重症市中肺炎患者では、治療失敗と高度炎症反応とが関係しており、予後が不良となることが知られていた。こうした患者について、コルチコステロイドは炎症サイトカイン放出を調整するが、その治療の有益性については議論の的となっていた。JAMA誌2015年2月17日号掲載の報告より。入院36時間以内からメチルプレドニゾロンを5日投与 研究グループは、2004年6月~2012年2月にかけて、スペイン3ヵ所の教育病院で、重症市中感染性肺炎で高度炎症反応を示す患者を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはメチルプレドニゾロン(0.5mg/kg/12時間、61例)を、もう一方にはプラセボ(59例)を、入院36時間以内から5日間、それぞれ静脈内ボーラス投与した。 高度炎症反応については、入院時CRP値が150mg/L超と定義した。 主要評価項目は、(1)臨床的増悪によるショックの発症、(2)ベースライン時には不要だった侵襲的人工呼吸器の必要性の発生、(3)治療72時間以内の死亡、で定義した「初期治療失敗」。または、(1)X線検査で増悪を確認、(2)持続的な重度呼吸不全、(3)ショックの発症、(4)ベースライン時には不要だった侵襲的人工呼吸器の必要性の発生、(5)治療開始後72~120時間内の死亡、で定義した「後期治療失敗」のいずれかだった。治療失敗に関するメチルプレドニゾロン群のオッズ比は0.34 結果、治療失敗はプラセボ群18例(31%)に対し、メチルプレドニゾロン群は8例(13%)と、有意に低率だった(群間差:18%、95%信頼区間:3~32%、p=0.02)。 メチルプレドニゾロン群のプラセボ群に対する、治療失敗リスクに関するオッズ比は、0.34(同:0.14~0.87、p=0.02)だった。 一方で、院内死亡率はプラセボ群9例(15%)、メチルプレドニゾロン群6例(10%)で、有意差はみられなかった(p=0.37)。また、高血糖症が、メチルプレドニゾロン群11例(18%)で、プラセボ群7例(12%)で確認されたが有意差はみられなかった(p=0.34)。

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ICUの肥満パラドックス、該当する患者は?

 一般集団においては肥満が死亡率の増加と関連しているが、危篤状態の患者では、BMIが高いほど死亡率が低いという逆説的相関がみられる。これは「肥満パラドックス」と呼ばれているが、どのようなサブグループが最も影響されるのかは不明である。東京大学臨床疫学・経済学分野の笹渕 裕介氏らは、ICU入室患者について人口呼吸器の装着有無で比較することにより、肥満が低死亡率と関連するかどうかを検討した。その結果、人工呼吸器あり群ではBMIが高いと死亡率が低かったが、人工呼吸器なし群では逆J字型の関連が認められた。また両群とも低体重患者の死亡率が高かった。Respiratory care誌オンライン版2015年2月17日号に掲載。 著者らは、全国のデータベースから、2010年7月~2012年3月に退院もしくは死亡したICU入室患者33万4,238例を評価した。主要転帰は院内死亡率とした。 主な結果は以下のとおり。・評価患者のうち23.3%が、ICU入室後2日以内に人工呼吸器管理を開始していた。・人工呼吸器あり群は、人工呼吸器なし群より、敗血症、肺炎、昏睡が多くみられた。・人工呼吸器あり群は、人工呼吸器なし群より、ICU入室後2日以内により多くの治療が施行された。・制限付き3次スプライン関数によると、人工呼吸器あり群ではBMIが高いと死亡率が低かったが、人工呼吸器なし群ではBMIが増加するほど死亡率が増加した。

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心不全、心筋梗塞、肺炎で入院の高齢者の再入院・死亡リスク/BMJ

 心不全や急性心筋梗塞、肺炎で入院した高齢者は、退院後数ヵ月にわたり、再入院や死亡リスクが高い状態にあることが明らかにされた。初回再入院リスクが最大値から50%に減少するのは、心不全で退院後38日だった。米国・コロンビア大学医療センターのKumar Dharmarajan氏らが、メディケアに加入する米国高齢者300万人超のデータについて分析し明らかにした。結果を踏まえて著者は、「高齢患者は退院後、しばらくの間は健康に関して用心することが必要である。一方、医療提供者は、退院後高齢患者の絶対リスクや回復への軌跡に関する知識を活用することで有害転帰を軽減する介入を行うことができるだろう」とまとめている。BMJ誌オンライン版2月5日号掲載の報告より。初回再入院と退院後1年死亡リスクの軌跡を分析 研究グループは、2008~2010年に米国内4,767ヵ所の病院に入院した65歳以上のメディケア出来高払いプラン加入者について、後ろ向きコホート試験を行った。300万人超の同プラン加入者のうち、心不全や急性心筋梗塞、肺炎で入院後、生存退院した人を対象に、退院後の入院や死亡リスクについて分析を行った。 主要評価項目は、初回再入院と退院1年後までの死亡の1日ごとの絶対リスクだった。そうしたリスクの軌跡をたどるため、再入院と死亡について、同リスクが最大値から50%まで減少するまでに要する日数などを求めた。死亡リスクが最大値から半減、心不全11日、心筋梗塞6日、肺炎10日 その結果、退院1年後までの再入院と死亡の発生率は、心不全で入院した患者はそれぞれ67.4%と35.8%、急性心筋梗塞で49.9%と25.1%、肺炎で55.6%と31.1%だった。 初回再入院リスクが最大値から50%に減少するのは、心不全で退院後38日、急性心筋梗塞で同13日、肺炎で同25日だった。死亡については、それぞれ11日、6日、10日だった。 初回再入院リスクが最大値から95%減少したのは、心不全で45日、急性心筋梗塞で38日、肺炎で45日だった。死亡リスクについて最大値から95%減少したのは、それぞれ21日、19日、21日だった。 一方、心不全、急性心筋梗塞、肺炎で入院した人は、入院をしていない人に比べて、退院後90日間の再入院リスクはそれぞれ8倍、6倍、6倍高かった。同期間の死亡リスクについても、それぞれ11倍、8倍、10倍高かった。

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高齢者における市中肺炎の危険因子

 聖マリア学院大学(福岡県)の鷲尾 昌一氏らは、わが国の高齢者において、病院外での肺炎発症に関連する因子を病院ベースの症例対照研究で検討した。その結果、地域に住む高齢者では低アルブミン血症が肺炎の危険因子である可能性が示唆された。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2015年2月5日号に掲載。 本研究では、新たに病院外で発症し肺炎と診断された患者をケースとし、それぞれに同病院の肺炎以外の外来患者1~3例をコントロールとした。すべてのケース(50例)とコントロール(110例)は65歳以上であった。 主な結果は以下のとおり。・肺炎患者では、コントロールと比較して、低アルブミン血症(3.5g/dL未満)と低BMI(18.0未満)が多く認められた。・自分自身で外出可能な(すなわちADLが自立)患者の割合と季節性インフルエンザのワクチン接種率は、肺炎患者のほうがコントロールより低かった。・年齢、性別、病院、上述の因子による調整後も、低アルブミン血症は肺炎リスクを増加させた(OR:9.19、95%CI:3.70~22.81)。・季節性インフルエンザのワクチン接種は肺炎リスクを減少させた(OR:0.37、95%CI:0.16~0.85)。・老人ホーム入居者を除外しても、低アルブミン血症は肺炎リスクを増加させた(OR:12.19、95%CI:4.29~34.63)。

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市中肺炎患者に対するステロイド投与は症状が安定するまでの期間を短くすることができるか?(解説:小金丸 博 氏)-311

 市中肺炎では過剰な炎症性サイトカインによって肺が障害され、肺機能が低下すると考えられている。そのため、理論的には抗炎症効果を有するステロイドを併用することが有効と考えられ、肺炎の治療に有益かどうか1950年代から議論されてきた。しかしながら、最近報告された2つのランダム化比較試験においても相反する結果が得られており、いまだにステロイド併用の有益性について結論が出ていない1)2)。 本研究は、入院が必要な市中肺炎患者に対し、ステロイドを併用投与することの有用性を調べるために行った、多施設共同二重盲検ランダム化プラセボ対照比較試験である。18歳以上の市中肺炎患者785例を、(1)プレドニゾン50mg/日を7日間投与する群(392例)と、(2)プラセボ投与群(393例)に割り付けた。プライマリエンドポイントは、症状が安定化(バイタルサインが少なくとも24時間安定)するまでの日数とした。 その結果、症状が安定化するまでの期間の中央値は、プレドニゾン投与群が3.0日、プラセボ投与群が4.4日であり、プレドニゾン投与群のほうが有意に短かった(ハザード比1.33、95%信頼区間:1.15~1.50、p<0.0001)。プライマリエンドポイント以外の結果では、入院期間はプレドニゾン投与群のほうが約1日短かった。抗菌薬の総投与期間に有意差はなかったが、静脈注射での投与期間はプレドニゾン投与群で0.89日短かった。30日目までの肺炎関連合併症の発症率は両群間で有意差はなかったものの、プレドニゾン投与群で低い傾向がみられた。30日時点での総死亡率に差はなかった。 プレドニゾン投与群では、インスリンを要する高血糖の頻度が有意に高かった(19% vs 11%、オッズ比1.96、95%信頼区間:1.31~2.93、p=0.0010)。ステロイドによるその他の有害事象はまれであり、両群間で差はなかった。 適切な抗菌薬にステロイドを短期間併用することで、全身状態が早く安定化するのは理解できる結果である。ステロイドを併用することによって、入院期間や抗菌薬の静注投与期間を短縮できるのであれば、結果として入院費を抑制でき、患者にとってメリットになるかもしれない。 しかし、この研究を根拠に、入院を要する市中肺炎患者全例にステロイドを併用するかどうかを決めることは難しいと思う。ステロイドは、高血糖以外にも多くの副作用がある薬剤であり、死亡率の改善など誰もが納得できる理由がなければ全例に投与する必然性は乏しい。本研究の「症状が安定化するまでの日数」というプライマリエンドポイントの設定には疑問が残る。 最後に、実臨床ではステロイドの併用が必要と思われる肺炎患者がいるのも事実である。現時点では患者の基礎疾患、重症度、肺障害の程度などから総合的にステロイドの適応を判断することが多いと思われる。とくにICUに入室するような超重症肺炎患者にステロイドを併用すべきかどうかのデータは不足しており、今後のさらなる研究が待たれる。

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重症患者の連日クロルヘキシジン清拭は無効?/JAMA

 連日のクロルヘキシジン(商品名:ヒビテンほか)清拭は、重症患者の医療関連感染(health care-associated infection)を予防しないことが、米国・ヴァンダービルト大学のMichael J Noto氏らの検討で確認された。入院中の院内感染(医療関連感染)は、入院期間の延長や死亡率の上昇、医療費の増大をもたらす。入院患者の皮膚は病原菌の貯蔵庫であり、医療関連感染の機序には皮膚微生物叢の浸潤が関連すると考えられている。クロルヘキシジンは広域スペクトルの局所抗菌薬であり、清拭に使用すると皮膚の細菌量が減少し、感染が抑制される可能性が示唆されている。AMA誌2015年1月27日号掲載の報告。予防効果をクラスター無作為化クロスオーバー試験で評価 研究グループは、連日クロルヘキシジン清拭による、重症患者における医療関連感染の予防効果を検証するために、実臨床に即したクラスター無作為化クロスオーバー試験を行った。対象は、2012年7月~2013年7月までに、テネシー州ナッシュビル市にある3次医療機関の5つの専門機能別ICU(心血管ICU、メディカルICUなど)に入室した9,340例の患者であった。 5つのICUは、毎日1回、使い捨ての2%クロルヘキシジン含浸タオルを用いて清拭する群(2施設)または抗菌薬を含まないタオルで清拭する群(対照、3施設)に無作為に割り付けられた。これを10週行ったのち、2週の休止期間(この間は抗菌薬非含浸使い捨てタオルで清拭)を置き、含浸タオルと非含浸タオルをクロスオーバーしてさらに10週の清拭治療を実施した。 主要評価項目は、中心静脈ライン関連血流感染(CLABSI)、カテーテル関連尿路感染(CAUTI)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、クロストリジウム・ディフィシル(C.ディフィシル)感染の複合エンドポイントとした。副次評価項目には、多剤耐性菌、血液培養、医療関連血流感染の陽性率などが含まれた。医療費の損失や耐性菌の増加を招く可能性も クロルヘキシジン群に4,488例(年齢中央値:56.0歳、男性:57.6%)、対照群には4,852例(57.0歳、57.8%)が割り付けられた。医療関連感染は、クロルヘキシジン清拭期に55例(CLABSI:4例、CAUTI:21例、VAP:17例、C.ディフィシル感染:13例)、抗菌薬非含浸清拭期には60例(4例、32例、8例、16例、)に認められた。 主要評価項目の発生率は、クロルヘキシジン清拭期が1,000人日当たり2.86、抗菌薬非含浸清拭期は同2.90であり、両群間に有意な差は認められなかった(発生率の差:-0.04、95%信頼区間[CI]:-1.10~1.01、p=0.95)。ベースラインの変量で補正後も、主要評価項目に関して両群間に有意差はみられなかった。 また、院内血流感染、血液培養、多剤耐性菌などの副次評価項目の発生率にも、クロルヘキシジン清拭による変化は認めなかった。さらに、事前に規定されたサブグループ解析では、各ICU別の主要評価項目の発生率にも有意な差はなかった。 著者は、「連日クロルヘキシジン清拭は、CLABSI、CAUTI、VAP、C.ディフィシルによる医療関連感染を予防せず、重症患者に対する連日クロルヘキシジン清拭は支持されない」とまとめ、「クロルヘキシジン清拭はいくつかの専門ガイドラインに組み込まれているが、医療費の損失やクロルヘキシジン耐性菌の増加を招いている可能性がある」と指摘している。

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高齢になるほど肺炎既往歴はその後の心血管疾患発症リスクに大きな影響を与える(解説:島田 俊夫 氏)-307

 高齢化の進んだわが国においては、肺炎による死亡が今や死因の第3位を占めるに至っている。周知のごとく、1位は悪性腫瘍、2位は心疾患である。 最近、JAMA誌(2015年1月20日号)に掲載された年齢構成の異なる(高齢と中高年)2地域住民コホートに基づいたカナダ・オタワ大学のVincente F. Corrales-Medina氏による研究成果によると、肺炎罹患入院歴を有する群は肺炎罹患入院歴のない対照群よりも、肺炎罹患後の経過中に高率に心血管疾患を発症すると報告されている。 これまで、一般的に肺炎罹患入院後の心血管疾患発症リスクに関する理解は十分とは言えない。本研究の目的は、肺炎入院歴が心血管疾患発症の短期および長期のリスクを高めるか否かを、平均年齢の異なる2地域住民コホートの観察を通して明らかにすることである。 その対象研究の1つがCardiovascular Health Study(CHS;研究参加者数は5,888人、参加者登録時年齢は65歳以上、動員期間は1989~1994年)と、もう一方がAtherosclerosis Risk in Communities Study(ARIC;研究参加者数は1万5,792人、参加者登録時年齢は45~64歳、動員期間は1987~1989年)である。 研究参加者は2010年12月31日まで経過観察が行われた。いずれの研究においても、最初の15年間に肺炎で入院した症例ごとに背景のマッチした2人の対照を選択し、対照群を設けた。肺炎症例と対照群をマッチさせた後10年間にわたり、種々の時間間隔で心血管疾患発症に関して経過観察が行われた。人口構成、心血管危険因子、潜在する心血管病、合併症、身体機能状態等を調整後に心血管疾患発症ハザード比を算出した。 本研究での曝露因子は肺炎であり、主要評価項目は心血管疾患イベント(心筋梗塞、脳卒中および致命的冠動脈疾患)である。その結果、CHSの591人の肺炎症例中206人(34.9%)が肺炎で入院後、10年間にわたる経過観察中に心血管疾患に罹患した。対照群と比較すると、肺炎症例での心血管疾患発症リスクは肺炎入院後1年の期間が最も発症リスクが高く、10年間にわたる経過観察期間を通じて対照群よりも有意に高い心血管発症リスクを示した。 もう一方のARIC研究では、680人の肺炎症例中112人(16.5%)が肺炎入院後10年間にわたる経過観察中に心血管イベントを引き起こした。肺炎入院後2年目以降では、肺炎症例の心血管発症リスクは対照群のそれと比較して有意差を認めなかった。高齢群では心血管疾患発症リスクが明らかに高く、影響の持続も長い傾向を認めた。 要するに、高齢者肺炎による入院は短期および長期の心血管発症リスクの増加に関係しており、この事実は肺炎が心血管疾患発症の独立した危険因子であることを示唆する。 この論文は、2つの年齢構成の異なる疫学研究解析情報に基づいて結論が導かれている。原因についてはこの研究デザインのみで明らかにすることは難しいが、肺炎による感染症を契機に、炎症の遷延化、潜在する動脈硬化巣(プラーク)の不安定化、炎症に基づく凝固活性の亢進、加齢等の因子が複雑に交絡することにより心血管疾患発症が易誘発されることを示唆している。 このことを踏まえて、とくに高齢者肺炎罹患後のアフターケアに関して上記のリスク因子の関与軽減に取り組むことで、心血管発症リスク抑制につながる可能性が考えられる。

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事例38 特定疾患療養管理料(退院後1月以内)の査定【斬らレセプト】

解説腰痛と慢性胃炎が主病の患者に対して、B000 特定疾患療養管理料を算定したところ、C事由(医学的理由により不適当、重複〔国民健康保険連合会〕)で査定となった。初診日、再診日と診療内容からみて算定は妥当と思われた。カルテを確認したところ「○○病院、肺炎のため入院 12/3 ENT(退院証明書を拝見)」の記載があった。同管理料は、退院の日から1月以内に行った管理の費用は入院基本料に含まれるものとするとされている。したがって、他院の退院であっても退院後1月以内は同管理料の算定はできない。医療機関から問われないといわない患者も多い。しばらく来院のない患者には、入院の有無をかならず確認すべきであろう。この査定の件数が著しく増えている。その理由として審査機関のコンピュータチェックでは、レセプト請求後、すぐに他院レセプトも併せて電子的に突合が行われていることが考えられる。今回のように、診療録内に記載されていることを見逃さないようにするには、退院後1月以内の患者であることがわかるように、しおりを診療録に挟むなどの視覚に訴える工夫が有効である。電子カルテの場合は、退院日が登録できる機能を有効に活用して、画面上で警告もしくは算定制限がかかるようにするとよいであろう。※ なお2016年4月の診療報酬改定で本特定疾患療養管理料は、「退院日から」が「当該保険医療機関から退院した日から」に要件が変更され、該当する場合は算定可能となりますのでご注意ください。

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肺炎入院歴は心血管疾患のリスク因子/JAMA

 肺炎による入院歴がある集団では、これがない集団に比べ心血管疾患(CVD)の発症率が、短期的および長期的にも高いことが、カナダ・オタワ大学のVicente F. Corrales-Medina氏らの検討で示された。65歳以上では、30日発症率が約4倍に達し、その後10年まで有意なリスクの増大がみられ、65歳未満でも2年目まで有意なリスク上昇が確認された。CVDの至適な予防戦略を確立するには、リスク因子の特性化が重要であり、感染症はCVDの短期的、長期的なリスク因子である可能性が指摘されている。JAMA誌2015年1月20日号掲載の報告。2つのコホート研究から肺炎のCVDリスクを評価 研究グループは、肺炎による入院と、CVDの短期的、長期的リスクの関連を検討するマッチ化コホート試験(matched-cohort study)を実施した(国立心肺血液研究所[NHLBI]、国立神経疾患・脳卒中研究所[NINDS]、国立老化研究所[NIA]の助成による)。 Cardiovascular Health Study(CHS、5,888例、登録時年齢65歳以上、登録期間1989~1994年)と、Atherosclerosis Risk in Communities study(ARIC、1万5,792例、登録時年齢45~64歳、登録期間1987~1989年)の、2つの地域住民ベースの多施設共同観察的コホート研究のデータを使用した。フォローアップは2010年12月31日まで行われた。 個々の研究の参加者のうち肺炎で入院した患者を選出し、それぞれの研究の対照群と背景因子をマッチさせた。マッチング後10年間、肺炎群と対照群におけるCVDの発症状況を追跡した。人口統計学的因子、CVDのリスク因子、潜在性CVD、併存疾患、身体機能状態などで補正したハザード比(HR)を推算した。CVD(心筋梗塞、脳卒中、致死性の冠動脈心疾患)の発症を主要評価項目とした。30日発症率がCHSで約4倍、ARICでも2倍以上に CHSの1,773例[肺炎群:591例(平均年齢73.9歳、女性57.8%)、対照群:1,182例(72.6歳、65.8%)]、ARICの2,040例[680例(55.8歳、53.8%)、1,360例(55.4歳、56.8%)]が解析の対象となった。 CHSの肺炎群591例のうち、入院から10年の間に206例(34.85%)がCVDを発症した[心筋梗塞104例(50.5%)、脳卒中35例(17.0%)、致死性冠動脈心疾患67例(32.5%)]。対照群と比較した肺炎群のCVDリスクは、入院後1年までが最も高く(0~30日:HR 4.07、95%信頼区間[CI]:2.86~5.27/31~90日:2.94、2.18~3.70/91日~1年:2.10、1.59~2.60)、その後10年にわたり有意に高い状況が持続した(9~10年:1.86、1.18~2.55)。 ARICでは、肺炎群の680例のうち入院後10年間で112例(16.5%)がCVDを発症した(心筋梗塞:33例[29.5%]、脳卒中36例[32.1%]、致死性冠動脈心疾患:43例[38.4%])。2年目までは、対照群に比べ肺炎群でCVDリスクが有意に高い状態が続いた(0~30日:HR 2.38、95%CI:1.12~3.63/31~90日:2.40、1.23~3.47/91日~1年:2.19、1.20~3.19/1~2年:1.88、1.10~2.66)が、2年以降は有意な差はなくなった(9~10年:1.54、0.74~2.34)。 著者は、「肺炎による入院は短期的および長期的にCVDリスクを増大させており、肺炎はCVDのリスク因子である」と結論している。感染がCVDリスクを増大させる機序については、短期的なメカニズムに関する議論はいくつかあるが、長期的メカニズムはほとんどわかっていないという。

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