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クリゾチニブ、ROS1陽性NSCLC治療薬のブレークスルー・セラピーに

 2015年4月、ファイザー社はクリゾチニブ(商品名:ザーコリ)が、ROS1陽性非小細胞肺がん(以下、非小細胞肺がんをNSCLC)治療薬として、米食品医薬品局(FDA)によりブレークスルー・セラピーに指定されたと発表した。 今回のブレークスルー・セラピー指定は、海外第I相試験(1001試験)の拡大コホートのデータ解析に基づくもの。この試験では、50人のROS1陽性進行NSCLCによるザーコリの評価が行われた。データは、New England Journal of Medicine誌2014年11月20日号(当サイト内紹介記事:ROS1陽性NSCLCへのクリゾチニブ、奏効率72%/NEJM)に掲載され、クリゾチニブが、ROS1陽性進行NSCLCに対し高い抗腫瘍効果活性を示したことを報告している1)。ファイザー株式会社のプレスリリースはこちら。

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ニボルマブ、非小細胞肺がん(非扁平上皮がんを除く)の効能追加承認を申請

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁)は、ヒト型抗ヒトPD-1(programmed cell death-1)モノクローナル抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)について、2015年4月22日、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(非扁平上皮がんを除く)」に対する効能追加承認申請を行った。 ニボルマブはPD-1とPD-1リガンドの経路を阻害する免疫チェックポイント阻害剤。化学療法治療歴を有する進行期肺扁平上皮がん患者に対する海外第Ⅲ相臨床試験(CheckMate-017)の中間解析において、ドセタキセルと比較して死亡リスクを41%低減させ、全生存期間(OS)の改善を示した。OS中央値はニボルマブ群が9.2ヵ月(95%CI:7.3~13.3)、ドセタキセル群が6.0ヵ月(95%CI:5.1~7.3)であった。 ニボルマブは2014年7月に「根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果として、日本で製造販売承認された。また、海外でも、2014年12月に米国で「イピリムマブでの治療後、かつ、BRAF V600変異陽性の場合は、BRAF阻害剤での治療後に病勢進行が認められた切除不能または転移性悪性黒色腫」の治療薬として迅速承認され、さらに2015年3月、「プラチナ製剤による化学療法での治療中または治療後に進行・再発が認められた進行期肺扁平上皮がん患者の治療」の適応が追加承認された。小野薬品工業のプレスリリースはこちら。

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ペムブロリズマブ、進行非小細胞肺がんに有用/NEJM

 現在の進行非小細胞肺がん(NSCLC)の標準治療の全生存期間(OS)中央値は約1年にすぎず、新たな治療薬の開発が切望されている。米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校のEdward B Garon氏らは、進行NSCLCに対する免疫チェックポイント阻害薬ペンブロリズマブ(国内未承認)の国際的な第I相試験(KEYNOTE-001試験、Merck社の助成による)を行い、副作用プロファイルは許容範囲内であり、持続性の抗腫瘍活性を発揮することを示した。研究の成果は、米国がん学会(AACR、2015年4月18~22日、フィラデルフィア)で発表され、4月19日号のNEJM誌オンライン版に掲載された。有用性とバイオマーカーを評価する国際的第I相試験 現在の進行NSCLCの標準治療は、プラチナ製剤ベースの化学療法±維持療法後に細胞傷害性化学療法薬による2次治療を施行するアプローチである。一方、近年、プログラム細胞死-1(PD-1)などの免疫チェックポイントを標的とするがん免疫療法の有用性が示され、NSCLCでも持続性の抗腫瘍効果が確認されている。 PD-1は、活性化T細胞表面に発現する抑制性の共刺激受容体で、これに腫瘍細胞表面に発現するリガンド(PD-L1、PD-L2)が結合すると、細胞傷害性T細胞の応答が抑制される。腫瘍は、この経路を利用してT細胞による抗腫瘍活性を回避しているとされる。ペンブロリズマブは、PD-1に対するヒト型IgG4モノクローナル抗体であり、PD-1とPD-L1、PD-L2の結合を阻害することで、T細胞による腫瘍の認識を回復させ、抗腫瘍効果を発揮するという。 本試験の対象は、年齢18歳以上、全身状態(ECOG PS)0/1の局所進行・転移性NSCLCの患者であった。2012年5月~2014年2月までに本薬の投与を1回以上受けた495例が登録され、安全性と有効性に加え、本薬の効果が高い患者を検出するバイオマーカーとしてPD-L1の発現状況の評価が行われた。 被験者は、トレーニング群(182例、既治療171例、未治療11例)またはバリデーション群(313例、既治療223例、未治療90例)に割り付けられ、本薬を3週ごとに2mg/kgまたは10mg/kg、2週ごとに10mg/kgを投与する治療が行われた。 また、腫瘍サンプルを用い、免疫組織化学的解析により細胞膜上のPD-L1が染色された腫瘍の占有率(プロポーション・スコア)を算出した。抗腫瘍効果の評価は9週ごとに中央判定で行った。有害事象Grade 3以上は9.5%、奏効期間が1年以上 患者の背景因子は進行NSCLCに典型的なものであった。フォローアップ期間中央値は10.9ヵ月だった。 治療関連有害事象は70.9%(351例)に発現したが、用量や投与スケジュールによる差は認めなかった。最も頻度の高い有害事象として、疲労(19.4%)、そう痒(10.7%)、食欲減退(10.5%)がみられた。また、Grade 3以上の有害事象は9.5%(47例)に発現した。 炎症性または免疫性の治療関連有害事象として、注射関連反応が3.0%(15例)、甲状腺機能低下症が6.9%(34例)、肺臓炎が3.6%(18例)にみられた。肺臓炎のうち9例(1.8%)がGrade 3以上で、1例が間質性肺疾患で死亡した。 全体の客観的奏効率は19.4%(既治療例:18.0%、未治療例:24.8%)で、病勢安定(SD)は21.8%であり、奏効期間中央値は12.5ヵ月(同:10.4ヵ月、23.3ヵ月)であった。また、無増悪生存期間(PFS)中央値は3.7ヵ月(同:3.0ヵ月、6.0ヵ月)、OS中央値は12.0ヵ月(同:9.3ヵ月、16.2ヵ月)だった。プロポーション・スコア≧50%が有効性の改善と相関 トレーニング群の検討では、腫瘍細胞におけるPD-L1発現細胞の占有率≧50%(プロポーション・スコア≧50%)がカットオフ値に選定された。バリデーション群でプロポーション・スコア≧50%の患者の検討を行ったところ、奏効率は45.2%(既治療例:43.9%、未治療例:50.0%)と良好であった。 全体のプロポーション・スコア≧50%の患者のPFS中央値は6.3ヵ月(既治療例:6.1ヵ月、未治療例12.5ヵ月)であり、OS中央値には未到達であった。また、プロポーション・スコア≧50%の患者に比べ、1~49%、<1%の患者は、PFS中央値およびOS中央値が短かった。一方、奏効期間中央値はプロポーション・スコアにかかわらず類似しており、≧50%が12.5ヵ月、1~49%が7.2ヵ月、<1%は未到達だった。 著者は、「ペンブロリズマブは既治療および未治療の進行NSCLCに対し持続的な抗腫瘍活性を有し、安全性も良好で、用量や投与スケジュールの違いによる差はないことが示された。PD-L1検査は実行可能であり、本薬の臨床的有効性が高い患者の同定に有用である」としている。

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ニボルマブの非扁平上皮NSCLC試験早期終了

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国・ニューヨーク/CEO:ランベルト・アンドレオッティ)は2015 年4月21日、既治療の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対するニボルマブ(商品名:オプジーボ)の第III相非盲検無作為化試験(CheckMate-057)の結果について、独立データモニタリング委員会がニボルマブ投与群は対照群に対して優れた全生存期間(OS)を示し評価項目を達成したと結論付けたため、試験を早期に終了したと発表した。 CheckMate -057 試験は、治療歴を有する進行・再発性非扁平上皮NSCLCに対してニボルマブとドセタキセルを比較する第III相非盲検無作為化試験。582人の患者をニボルマブ2週間ごと3mg/kg 投与群とドセタキセル3週間ごと75mg/m2投与群に無作為に割り付け、主要評価項目は全生存期間、副次的評価項目は奏効率と無増悪生存期間(PFS)であった。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社プレスリリースはこちら。

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テレビの視聴時間が長いと肺がんのリスクが高まる?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第42回

テレビの視聴時間が長いと肺がんのリスクが高まる? >足成より使用 テレビを見るとこんなに弊害があるのかというほど文献は数多くありますが、賢明な読者の皆様はあまりテレビを怖がらないようにしてくださいね。別にテレビが健康に悪いというわけではなく、本稿の趣旨に合った論文を探しているとテレビがたまたま引っかかっただけです。 さて、紹介するのはテレビの視聴時間と肺がんの関連を調べた日本の論文です。 Ukawa S, et al. Prospective cohort study on television viewing time and incidence of lung cancer: findings from the Japan Collaborative Cohort Study. Cancer Causes Control. 2013;24:1547-1553. この論文はテレビの視聴時間が長い成人が肺がんになりやすいかどうかを検証したものです。日本の40歳から79歳の成人において行われた大規模コホート研究です。がんの既往のない5万4,258人(男性2万3,090人、女性3万1,168人)が登録され、中央値で15.6年フォローアップされました。Cox比例ハザードモデルを用いてテレビ視聴時間が肺がん発症に及ぼす影響を調べました。テレビの視聴時間は、アンケートによって「1日2時間未満」、「1日2~4時間」、「1日4時間以上」の3つに分類されました。フォローアップ後、798人の参加者が肺がんと診断されました。驚くべきことに、男性において1日4時間以上のテレビを視聴する参加者は、1日2時間未満の参加者と比較して肺がんを発症するハザード比が1.36(95%信頼区間1.04~1.80)という結果が得られました。テレビ視聴時間の長さは肺がんのリスクだけでなく、大腸がんのリスク(Howard RA, et al. Cancer Causes Control. 2008;19:939-953.)、卵巣がんのリスク(Zhang M, et al. Cancer Causes Control. 2004;15:83-89.)を上昇させる可能性が示唆されています。これは坐位が長時間に及ぶことが原因ではないかと考えられています。ちなみに日本人のテレビ視聴時間は1日平均3~4時間と考えられており、アメリカ人と比較すると1時間程度少ないそうです。インデックスページへ戻る

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吸入器操作指導が予後を好転させる

 2015年4月17日より3日間、東京都内において第55回日本呼吸器学会学術講演会が開催された。近年のトピックであるCOPD、肺がんをはじめ、30以上の特別講演と1,200題を超える演題発表が行われた。 成人喘息患者の増加が懸念される中、日本アレルギー学会との共同企画として「包括的気管支喘息治療」というセッションが行われた。その中で、治療の要となる吸入療法について堀口 高彦氏(藤田保健衛生大学呼吸器内科学II 教授)より、失敗をさせない吸入指導の方法に関する発表が行われた。高齢者に多い手技ミス、誤操作 はじめに吸入薬の特性として、正確な吸入操作をしないと効果が十分に発揮されないことを指摘。最近、多くの新薬の登場とともにデバイスの数も増えたことから、その操作方法を患者さんのみならず、医療スタッフも把握しきれていないという現状を報告した。 外来で吸入薬を新たに処方した患者さんについて、次回の受診時に吸入操作を確認すると、誤操作をしている例を多く見かける。これは、とくに高齢者に顕著であり、具体的には手技や操作に問題がある場合が多いという。 加齢による筋力低下、吸入流速の低下などで定量噴霧式吸入器が上手く吸入できない場合は、スペーサーなどの補助器具を使用するなどフォローが必要となる。また、吸入で気を付けるポイントとしては、「吸入時の姿勢補正」、「舌を下げること」が挙げられ、「ドライマウスを防ぐための吸入後のうがいや飲水の実施」、「吸入器の衛生管理」も患者指導のうえで重要であると説明を行った。DVDで吸入指導 今後は、吸入方法の統一した啓発が必要となる。堀口氏は、各種デバイスの操作方法を解説し、間違えやすい点についてもやさしく解説したDVDを制作しており、実際に指導で効果を上げていることを紹介した。 外来では、吸入薬の処方前にこのDVDを患者さんに視聴してもらい、処方後はさらに薬剤師による吸入指導を実施。また、家庭用DVDも配布することで、自宅で繰り返し確認が行えるように工夫した。その結果、誤操作が少なくなり、吸入薬の遵守率が上昇したとのことである。堀口氏は「DVD導入により正確な吸入操作を普及させることで、より吸入療法の発展に期待をしたい」と発表を終えた。 なお、DVDおよびポスター(正しい吸入方法を身につけよう)は、独立行政法人 環境再生保全機構で配布、およびこのサイトで視聴できるため参考にされたい。

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早期の禁煙ほど死亡リスクが低い

早く禁煙したほうが肺がんの死亡リスクが低い喫煙経験のない女性と比べた確率8<肺がんで死亡する確率の比較(女性)>75.916543.343211.8410喫煙経験のない女性喫煙していたが禁煙した女性25~35歳で禁煙35~44歳で禁煙45~54歳で禁煙Pirie K, et al. Lancet. 2013;381:133-141.Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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ブレークスルーとなるか、がん免疫チェックポイント阻害

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:相良 暁)とブリストル・マイヤーズ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ダビデ・ピラス)は2015年3月17日、「がん治療の新たな選択肢 ~がん免疫療法~」と題し、プレスセミナーを開催した。講師の西川 博嘉氏(大阪大学免疫学フロンティア研究センター 特任准教授)は、がん免疫療法の特徴や作用機序、他の治療法との相違点などについて紹介した。 がん免疫療法は、手術、放射線治療、化学療法に続く、がん治療の第4の治療法として注目を集めている。がん免疫療法の近年の進歩は目覚ましく、2013年には世界的科学誌「Science」のBreakthrough of the yearに選ばれている。また、米国臨床腫瘍学会(ASCO)や欧州臨床腫瘍学会(ESMO)などの国際的ながん学会でも、主要演題として大きく取り上げられるテーマとなっている。がん免疫療法とは 免疫は体内に発生した異常細胞であるがんを異物としてとらえ排除する。この機能を高めるのが、がん免疫療法である。 免疫には自然免疫と獲得免疫がある。自然免疫は単純な機能で異物を攻撃し、その異物の情報が獲得免疫系に伝えられる。異物の緻密な情報が引き継がれた獲得免疫による攻撃は、異物を根底から排除する。この獲得免疫で働くのがヘルパーT細胞、キラーT細胞などの免疫担当細胞である。この免疫担当細胞は異物の抗原を攻撃の目印とする。がんの場合はがん抗原である。これら免疫担当細胞は、がん抗原に結合し、がん細胞を攻撃する。 一方、この免疫の攻撃から生き残ったがん細胞は、免疫からの逃避機構を獲得する。積極的に免疫反応から逃げるための分子を備えるのである。これらの分子はT細胞にある免疫活性化抑制分子(CTLA-4やPD-1など)に結合し、免疫応答を遮断して攻撃を逃れる。免疫チェックポイント阻害薬 免疫チェックポイント阻害薬は、そのCTLA-4やPD-1といったチェックポイントと呼ばれる分子に結合し、免疫抑制を解除して免疫系によるがん細胞への攻撃を復活させる。 免疫チェックポイント阻害薬の効果は、従来の殺細胞性抗がん剤や分子標的治療薬とは異なる。免疫応答を回復させるため効果発現に若干時間がかかる一方、一度かかった疾患に対しては再びかからないという免疫の特徴を反映し、がんの場合も奏効した患者においては非常に長期間効果が持続する。そのため、従来の抗がん剤とは異なる特徴的な生存曲線を描くという。 実際、抗CTLA-4抗体イピリムマブの悪性黒色腫に対する臨床試験の結果においても、ある程度の生存率になると、その曲線は定常となり、その状態は10年以上の間、継続している。一方、有害事象も従来の薬剤とは異なる。免疫応答の活性化により発生する有害事象については、長年の移植医療の経験から十分対応できると考えられるが、まったく新たな薬剤であるだけに、注意が必要だと西川氏は述べる。 さまざまな方法が試みられているが、その1つに免疫チェックポイント阻害薬との併用がある。すでに悪性黒色腫における抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)と前出のイピリムマブの併用試験が行われている。4年の観察期間ではあるものの、2剤の組み合わせにより2年生存率が80%を超えるという、非常に高い効果が得られている。今まで非常に予後の悪かった悪性黒色腫においても、大きな変化が起こる可能性がある。 がん免疫療法はさまざまな流れがあるが、現在成功を迎えている免疫チェックポイント阻害薬を中心に、今後さらに発展していくであろう。また、免疫チェックポイントをはじめとした免疫抑制の分野は、日本が世界の基礎研究をリードしているという。日本の基礎研究の力を医療産業につなげるためにも、非常に重要な分野だといえる。

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日本発エビデンスを! 胃がん治療の未来とは

 科学技術の進歩と、その高度な技術を駆使する優れた外科医の存在により、日本の胃がん切除術は大きく変化しつつある。今後、胃がんの外科的治療はどのように展開していくのだろうか。2015年3月11日、都内にて「胃がんの切除術」をテーマにメディアセミナー(主催:日本イーライリリー株式会社)が開催された。演者の吉田 和弘氏(岐阜大学大学院 腫瘍制御学講座腫瘍外科学分野 教授)は、日本が世界を牽引し、胃がん切除術のエビデンスをつくっていくと力説した。胃がんの疫学 日本において、胃がんはがん全体の第1位(男女計)で、2010年の時点で最も頻度の高いがんである。男性に多くみられるがんで、年齢調整罹患率は減少傾向にあるものの、患者数は増加傾向にある。検診や医療技術の進歩により、死亡率は年々減少しており、現在は肺がんに次いで第2位である。 世界においては、胃がんは5番目に多いがんで、地域別の罹患率をみると、中国・日本・韓国など東アジアや南米で高く、欧米では低い傾向にある。胃がん治療の現状 遠隔転移のある場合を除き、胃がん治療の大部分は外科的手術が第1選択となる。従来は開腹手術が中心であったが、昨今はEMR(内視鏡的粘膜切除術)とESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)など内視鏡的切除の普及により、低侵襲治療が可能となっている。内視鏡治療適応外には、腹腔鏡胃切除も選択することができる。 さらに先進的な医療として、ロボット支援手術があり、きわめて少ない組織裂傷で、より緻密で正確な手術が可能になった。しかし、非常に高額な機器であるため、現在は限られた医療機関にしか導入されていない。このように、医療の進歩により、新しい治療法が次々と認可され、患者の治療の選択肢が増加しつつある。2014年『胃癌治療ガイドライン』の変更点 2014年に改訂された『胃癌治療ガイドライン』において、腫瘍の状態、進行度(病期)の表現は、TNM分類の第7版が採択され、治療法の国際的な整合性が生まれた。今回の改定によって、本邦の胃がん治療の効果を他国のものと比較することが可能になり、胃がん治療において高い治療成績を誇るわが国が、世界のオピニオンリーダーになる可能性が出てきた。切除不能進行胃がんに対する新たな治療戦略 前述のように、手術可能な早期がんの治療の選択肢は増加傾向にある。さらに治療成績を上げていくには、手術不能な進行がんに対するアプローチが重要になってくる。 がんの種類や進行度に応じてさまざまな治療を組み合わせて行う集学的治療では、stageIVの切除不能進行胃がんにおける術前化学療法や切除不能がんに対するConversion Therapyも検討されている。Conversion Therapyにおける治療概念とは、現存する切除不能ながんを、化学療法によって縮小させ、切除することで治療成績を上げていくというものである。このような新たな治療戦略においては、外科分野における抗がん剤治療・分子標的治療の重要性を示唆している。また、より多くのエビデンスの蓄積が望まれる。胃がん治療の未来とは 外科的切除とD2リンパ節郭清はわが国から世界へ広まった治療法である。胃がんの罹患率が高い日本では、世界に先立ち、さらなる標準治療法を確立できる可能性がある。吉田氏は「日本など東アジアが中心となってさらなる胃がん治療のエビデンスをつくっていく必要があり、そのためには外科治療の充実が欠かせない。外科医の増員と育成が胃がん全体の治療成績の向上につながる可能性があるため、今後の課題となるであろう」と結んだ。

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FDA、ニボルマブの扁平上皮NSCLCへの追加適応承認

 2015年3月4日、米国FDAは、完全ヒト型抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)について、プラチナ製剤による化学療法での治療中または治療後に進行が認められた転移性の扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する治療への適応拡大を承認した。 扁平上皮NSCLCに対するニボルマブの有効性は無作為比較試験で確認されている。試験対象患者272例をニボルマブ群135例、およびドセタキセル群137例に無作為に割り付け、比較分析した。その結果、ニボルマブ群の全生存期間平均値はドセタキセル群に比べ3.2ヵ月長かった。 また、ニボルマブの安全性および有効性は、プラチナベースの化学療法を含む複数の全身療法後にもかかわらず進行した117例に対する単群試験で確認された。結果、ニボルマブ奏効率(ORR)は15%であり、そのうち59%で6ヵ月以上の奏効期間が認められた。詳しくはFDA Press Announcementsへ

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甲状腺がん治療薬レンバチニブをFDAが承認

 エーザイ株式会社は16日、米国子会社であるエーザイ・インクが、自社創製の新規抗がん剤「Lenvima」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)について、局所再発又は転移性、進行性、放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんに係る適応で、米国食品医薬品局( FDA)より承認を取得したことをお知らせします。同剤は優先審査品目に指定されていたが、優先審査終了目標日より約 2ヵ月早い迅速な承認となったという。なお、今回の米国での承認が同剤に関する世界で初めての承認となる。 「Lenvima」は、血管新生や腫瘍増殖に関わるVEGFR、FGFR、RET、KIT、PDGFRなどに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な分子標的治療薬であり、とくに甲状腺がんの増殖、腫瘍血管新生に関与するVEGFR、FGFR およびRETを同時に阻害する。また、本剤は、VEGFR2 とのX線結晶構造解析から、新たな結合様式(タイプV)を有することが確認された最初の薬剤であり、速度論的解析からは、素早く強力なキナーゼ阻害作用を示すことが確認されている。 今回の承認は、392人の進行性放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんの患者を対象とした多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床第III相試験(SELECT試験)の結果に基づいているという。同試験において、「Lenvima」投与群はプラセボ投与群に比べ、主要評価項目である無増悪生存期間 (progression free survival: PFS)を統計学的に有意に延長した[p<0.001、Lenvima18.3ヵ月 vs プラセボ 3.6ヵ月(中央値)、ハザード比 0.21(99%信頼区間=0.14-0.31)]。また、Lenvimaは、プラセボに対して統計学的に有意に高い奏効率(完全奏効および部分奏効の割合)を示した(p<0.001、Lenvima 64.8% vs プラセボ 1.5%)。とくに、Lenvima投与群では、完全奏効が 1.5%(4例)確認されました(プラセボ投与群では0例)。Lenvima投与群において高頻度(頻度40%以上)に認められた副作用は、高血圧(67.8%)、下痢(59.4%)、疲労・無力症(59.0%)、食欲減退(50.2%)、体重減少(46.4%)、悪心(41.0%)でした。 同剤は、現在、日本、欧州のほか、スイス、韓国、カナダ、シンガポール、ロシア、オーストラリア、ブラジルで承認申請中であり、欧州では迅速審査品目に指定されている。引き続き、世界各国で承認申請を進め、承認取得後には同社が各国での販売を行なう予定。また、同剤に関しては、肝細胞がんを対象としたグローバル臨床第III相試験や腎細胞がん、非小細胞肺がんなど複数のがん腫を対象にした臨床第II相試験が進行中とのこと。詳細はプレスリリース(PDF)へ

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2014年 医療ニュース「いいね!」ランキング

2014年にCareNet.comに掲載した医療ニュースのなかで「いいね!」ボタンが押され、Facebookでシェアされたもの、トップ20を発表します。最新の医学情報はもちろん、食事や運動など私たち自身の健康に関わる話題も多くランクインしました。 1位 タバコ規制から50年で平均寿命が20年延長/JAMA (2014/1/16) 2位 体幹を鍛える腹部ブレーシング、腰痛に効果 (2014/5/7) 3位 歩数を2,000歩/日増加させれば心血管リスク8%低下/Lancet (2014/1/8) 4位 緑茶が認知機能低下リスクを減少~日本の前向き研究 (2014/6/3) 5位 認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的 (2014/10/28) 6位 コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない (2014/8/7) 7位 タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究 (2014/6/18) 8位 うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに (2014/7/9) 9位 変形性股関節症への理学療法、害あって利なし/JAMA (2014/6/5) 10位 食べる速さはメタボと関連~日本の横断的研究 (2014/9/12) 11位 なぜコーヒーでがんリスクが低下? (2014/7/31) 12位 糖尿病予防には歩くよりヨガ (2014/8/4) 13位 原因不明の慢性腰痛は姿勢制御の障害が原因か (2014/4/2) 14位 回復期リハ退院後の30日再入院率は11.8%/JAMA (2014/2/24) 15位 アトピー性皮膚炎患者が避けるべきスキンケア用品 (2014/2/6) 16位 牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ (2014/11/13) 17位 日本発!牛乳・乳製品を多く摂るほど認知症リスクが低下:久山町研究 (2014/6/20) 18位 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 (2014/5/8) 19位 骨折リハビリ後の高齢者に在宅運動療法は有用か?/JAMA (2014/3/6) 20位 コーヒーをよく飲む糖尿病者はうつが少ない (2014/11/18) .dl_yy {width: auto;} .dl_yy dt{width: 50px;}

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肺がん診断後も禁煙メリット有

肺がん診断後でも禁煙したほうが生存率は高まります5年生存率(65歳以上のデータ)禁煙しましょう!80%70%早期非小細胞肺がん60%早期限局小細胞肺がん70%63%50%40%30%20%33% 29%10%0%診断後も喫煙を継続した患者診断後禁煙した患者A Parsons, et al. BMJ. 2010; 340: b5569.Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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【医療ニュース トップ100】2014年、最も読まれた「押さえておくべき」医学論文は?

今年も、4大医学誌の論文を日本語で紹介する『ジャーナル四天王』をはじめ、1,000本以上の論文をニュース形式で紹介してきました。その中で、会員の先生方の関心の高かった論文は何だったのでしょう? ここでは、アクセス数の多いものから100本を紹介します。 1位 日本男性の勃起硬度はアレと関連していた (2014/11/13) 2位 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学 (2014/1/7) 3位 子供はよく遊ばせておいたほうがよい (2014/3/28) 4位 思春期の精神障害、多くは20代前半で消失/Lancet (2014/1/27) 5位 なぜコーヒーでがんリスクが低下? (2014/7/31) 6位 メロンでかゆくなる主要アレルゲンを確認 (2014/4/15) 7位 新たな輸液プロトコル、造影剤誘発急性腎障害の予防に有効/Lancet (2014/6/9) 8位 体幹を鍛える腹部ブレーシング、腰痛に効果 (2014/5/7) 9位 コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない (2014/8/7) 10位 スタチンと糖尿病リスク増大の関連判明/Lancet (2014/10/9) 11位 スルピリドをいま一度評価する (2014/5/16) 12位 米国の高血圧ガイドライン(JNC8)のインパクト/JAMA (2014/4/16) 13位 インフルエンザワクチン接種、無針注射器の時代に?/Lancet (2014/6/16) 14位 新規経口抗凝固薬4種vs.ワルファリン-心房細動患者のメタ解析-/Lancet (2013/12/25) 15位 アルコール依存症、薬物治療の減酒効果は?/JAMA (2014/5/29) 16位 SGLT2阻害薬「トホグリフロジン」の日本人への効果 (2014/2/28) 17位 大人のリンゴ病 4つの主要パターン (2014/7/29) 18位 脳動脈瘤、コイルvs. クリッピング、10年転帰/Lancet (2014/11/12) 19位 ACE阻害薬を超える心不全治療薬/NEJM (2014/9/8) 20位 アルツハイマーに有用な生薬はコレ (2014/11/14) 21位 塩分摂取と死亡リスクの関係はJカーブ/NEJM (2014/8/25) 22位 スタチン投与対象者はガイドラインごとに大きく異なる/JAMA (2014/4/14) 23位 食後血糖によい食事パターンは?(低脂肪vs低炭水化物vs地中海式) (2014/3/27) 24位 成人ADHDをどう見極める (2014/5/21) 25位 各種ダイエット法の減量効果/JAMA (2014/9/16) 26位 牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ (2014/11/13) 27位 腰痛持ち女性、望ましい性交体位は? (2014/11/21) 28位 ロマンチックな恋愛は幸せか (2014/3/26) 29位 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 (2014/5/8) 30位 下肢静脈瘤、ベストな治療法は?/NEJM (2014/10/10) 31位 せん妄管理における各抗精神病薬の違いは (2014/9/18) 32位 降圧薬投与量の自己調整の有用性/JAMA (2014/9/11) 33位 深部静脈血栓症の除外診断で注意すべきこと/BMJ (2014/3/20) 34位 StageII/III大腸がんでのD3郭清切除術「腹腔鏡下」vs「開腹」:ランダム化比較試験での短期成績(JCOG 0404) (2014/2/26) 35位 たった1つの質問で慢性腰痛患者のうつを評価できる (2014/2/21) 36位 スタチン時代にHDL上昇薬は必要か/BMJ (2014/8/7) 37位 就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大 (2014/8/29) 38位 認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的 (2014/10/28) 39位 統合失調症患者の突然死、その主な原因は (2014/4/18) 40位 うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに (2014/7/9) 41位 帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ (2014/5/26) 42位 慢性のかゆみ、治療改善に有用な因子とは? (2014/7/1) 43位 女性の顔の肝斑、なぜ起きる? (2014/5/8) 44位 DES1年後のDAPT:継続か?中断か?/Lancet (2014/7/30) 45位 駆出率が保持された心不全での抗アルドステロン薬の効果は?/NEJM (2014/4/23) 46位 レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は (2014/10/30) 47位 アトピー性皮膚炎患者が避けるべきスキンケア用品 (2014/2/6) 48位 タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究 (2014/6/18) 49位 世界中で急拡大 「デング熱」の最新知見 (2014/10/17) 50位 円形脱毛症とビタミンDに深い関連あり (2014/4/10) 51位 不眠の薬物療法を減らすには (2014/7/23) 52位 オメプラゾールのメラニン阻害効果を確認 (2014/11/6) 53位 タバコ規制から50年で平均寿命が20年延長/JAMA (2014/1/16) 54位 ICUでの栄養療法、静脈と経腸は同等/NEJM (2014/10/15) 55位 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット (2014/3/17) 56位 COPDにマクロライド系抗菌薬の長期療法は有効か (2014/1/13) 57位 座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか (2014/5/12) 58位 PSA検診は有用か:13年後の比較/Lancet (2014/8/22) 59位 気道感染症への抗菌薬治療 待機的処方 vs 即時処方/BMJ (2014/3/17) 60位 血圧と12の心血管疾患の関連が明らかに~最新の研究より/Lancet (2014/6/19) 61位 マンモグラフィ検診は乳がん死を抑制しない/BMJ (2014/2/21) 62位 機能性便秘へのプロバイオティクスの効果 (2014/8/14) 63位 超高齢の大腸がん患者に手術は有用か:国内での検討 (2014/2/14) 64位 糖尿病予防には歩くよりヨガ (2014/8/4) 65位 乳がん術後リンパ節転移への放射線療法、効果が明確に/Lancet (2014/3/31) 66位 75歳以上でのマンモグラフィ検診は有効か (2014/8/11) 67位 大腸がん術後の定期検査、全死亡率を減少させず/JAMA (2014/1/23) 68位 「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサインかも (2014/5/13) 69位 食事由来の脂肪酸の摂取状況、国によって大きなばらつき/BMJ (2014/4/28) 70位 心房細動合併の心不全、β遮断薬で予後改善せず/Lancet (2014/9/19) 71位 薬剤溶出ステントの直接比較、1年と5年では異なる結果に/Lancet (2014/3/24) 72位 ピロリ除菌、糖尿病だと失敗リスク2倍超 (2014/8/21) 73位 認知症にスタチンは有用か (2014/7/25) 74位 RA系阻害薬服用高齢者、ST合剤併用で突然死リスク1.38倍/BMJ (2014/11/20) 75位 腰痛へのアセトアミノフェンの効果に疑問/Lancet (2014/8/6) 76位 食べる速さはメタボと関連~日本の横断的研究 (2014/9/12) 77位 うつになったら、休むべきか働き続けるべきか (2014/9/16) 78位 英プライマリケアの抗菌治療失敗が増加/BMJ (2014/10/1) 79位 総胆管結石疑い 術前精査は必要?/JAMA (2014/7/21) 80位 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン (2014/10/8) 81位 前立腺がん、全摘vs.放射線療法/BMJ (2014/3/10) 82位 緑茶が認知機能低下リスクを減少~日本の前向き研究 (2014/6/3) 83位 高力価スタチンが糖尿病発症リスクを増大させる/BMJ (2014/6/16) 84位 乳がんの病理学的完全奏効は代替エンドポイントとして不適/Lancet (2014/2/27) 85位 Na摂取増による血圧上昇、高血圧・高齢者で大/NEJM (2014/8/28) 86位 抗グルタミン酸受容体抗体が神経疾患に重大関与か (2014/8/15) 87位 歩数を2,000歩/日増加させれば心血管リスク8%低下/Lancet (2014/1/8) 88位 肩こりは頚椎X線で“みえる”のか (2014/3/19) 89位 地中海式ダイエットと糖尿病予防 (2014/4/7) 90位 閉塞性睡眠時無呼吸、CPAP vs. 夜間酸素補給/NEJM (2014/6/26) 91位 揚げ物は肥満遺伝子を活性化する?/BMJ (2014/4/3) 92位 6.5時間未満の睡眠で糖尿病リスク上昇 (2014/9/4) 93位 セロトニン症候群の発現メカニズムが判明 (2014/3/14) 94位 日本発!牛乳・乳製品を多く摂るほど認知症リスクが低下:久山町研究 (2014/6/20) 95位 肥満→腰痛のメカニズムの一部が明らかに (2014/8/8) 96位 低炭水化物食 vs 低脂肪食 (2014/8/7) 97位 認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは (2014/3/21) 98位 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか (2014/7/2) 99位 血糖降下強化療法の評価―ACCORD試験続報/Lancet (2014/8/20) 100位 小児BCG接種、結核感染を2割予防/BMJ (2014/8/21) #feature2014 .dl_yy dt{width: 50px;} #feature2014 dl div{width: 600px;}

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がん生存率の動向~日本含む67ヵ国2,570万例のデータ/Lancet

 CONCORDワーキンググルーブでは、1995~2009年における67ヵ国のがん登録データを調査し、がん種別、国・地域別、期間別に5年生存率を推定した結果を報告した。生存率の大きな違いは、早期診断と最適な治療へのアクセスの差による可能性が高い。著者らは、「継続的な世界的サーベイランスは、がん患者と研究者において不可欠な情報源となり、また保健政策と医療システム改善のための政治家への刺激となるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年11月26日号に掲載。 本サーベイランスには、67ヵ国279集団のがん登録から、1995~2009年にがんと診断され、2009年12月31日以降まで追跡された成人(15~99歳)2,570万例および小児(0~14歳)7万5千例の記録が提出された。ワーキンググループは、胃がん、結腸がん、直腸がん、肝臓がん、肺がん、乳がん(女性)、子宮頸がん、卵巣がん、前立腺がん(成人)、白血病(成人・小児)について、年齢(1歳毎)、性別、暦年、人種や民族(一部の国において)によって調整した5年生存率を推定した。計算にあたっては、年齢で調整した生存率計測のための世界標準人口(International Cancer Survival Standard)に沿って行った。 2005~2009年に診断された各がん患者における5年生存率は以下のとおり。【結腸がん・直腸がん・乳がん】ほとんどの先進国で着実に上昇している。結腸がん・直腸がんでは22ヵ国で60%以上に達し、乳がんでは17ヵ国で85%以上に上昇した。【肝臓がん・肺がん】すべての国で低いままである。ヨーロッパではどこの国も20%未満、北米では15~19%、モンゴルとタイでは7~9%と低い。【前立腺がん】多くの国で著しく上昇した。南米、アジア、ヨーロッパの22ヵ国で、1995~1999年から2005~2009年の間に10~20%上昇した。しかし、ブルガリアやタイでは60%未満、ブラジルやプエルトリコ、米国では95%以上と、国によって開きがある。【子宮頸がん】50%未満から70%以上と地域によって大きな差がある。1995~1999年から2005~2009年の間の改善はわずかである。【卵巣がん】エクアドル、米国、アジアおよびヨーロッパの17ヵ国のみ、40%以上であった。【胃がん】他の国が40%未満であるのに比べて、日本(54.0%)と韓国(57.9%)が高かった。【成人白血病】胃がんと対照的に、日本(18.9%)と韓国(23.4%)が他のほとんどの国に比べて低かった。【小児急性リンパ芽球性白血病】いくつかの国で60%未満だが、カナダ、欧州の4ヵ国では90%と高い。

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クリゾチニブ、ALK陽性NSCLCの1次治療薬へ/NEJM

 治療歴のないALK遺伝子陽性非小細胞肺がん(以下、ALK陽性NSCLC)に対し、ALKチロシンキナーゼ阻害薬クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)は、標準的な化学療法よりも優れた有用性を持つことが、オーストラリア・メルボルンのPeter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J Solomon氏らの研究で示された。 ALK陽性(ALK遺伝子の再配列)は、NSCLCの3~5%にみられ、若年者、非(軽度)喫煙者、腺がんに多くみられることが特徴である。一方、クリゾチニブはALK、ROS1、METを標的とするチロシンキナーゼ阻害薬である。すでにALK陽性NSCLCの2次治療に対する第III相試験(PROFILE 1007)では、単剤の化学療法に比べたクリゾチニブの有意な効果が示されている。しかしながら、同疾患の1次治療における標準化学療法(プラチナダブレット)との比較はなかった。NEJM誌2014年12月4日号掲載の報告より。オープンラベル無作為化試験で標準化学療法と比較 著者らは、進行性ALK陽性NSCLCの1次治療におけるクリゾチニブの有用性を標準化学療法と比較する、多施設国際オープンラベル無作為化比較第III相試験「PROFILE 1014」を開始した。対象は、全身療法治療歴のない進行性ALK陽性NSCLCであった。これらの患者は無作為にクリゾチニブ群(250mgx2/日投与)と標準的化学療法群(ペメトレキセド500mg/m2+シスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC5~6)に割り付けられ、3週毎6サイクルの治療を受けた。病勢進行(PD)した化学療法群患者については、クリゾチニブへのクロスオーバーが許容された。主要評価項目は、放射線学的評価によるPFS(無増悪生存期間)であった。PFS中央値は10ヵ月以上に延長、肺がん症状、QOLも改善 2011年1月~2013年7月に343例が登録され、クリゾチニブ群172例、化学療法群171例に割り付けられた。両群間の患者背景に差はなく、被験者にはアジア人も含まれた(クリゾチニブ群45%、化学療法群47%)。PFS中央値は、クリゾチニブ群で10.9ヵ月と化学療法群の7.0ヵ月に比べ有意に延長した(HR:0.45、95%CI:0.35~0.60、p<0.001)。この傾向は、プラチナ製剤の種類、患者のPS、人種、脳転移の有無といったすべてのサブグループで同様であった。奏効率は、クリゾチニブ群で74%(95%CI:67~81)と化学療法群の45%(95%CI:37~53)に比べ有意に良好であった(p<0.001)。生存期間中央値は被験者の約7割がPFS評価時に追跡中であったことから、両群とも到達していない。1年生存率はクリゾチニブ群で84%(95%CI:77~89)、化学療法群では79%(95%CI:71~84)である。また、化学療法群の被験者の70%がクリゾチニブにクロスオーバーしている。 有害事象は、クリゾチニブへのクロスオーバーの影響で、両群の投与期間中央値に差がある状態で集計している(クリゾチニブ群10.9ヵ月、化学療法群4.1ヵ月)。両群の有害事象の大部分は、グレード1~2であった。クリゾチニブ群で多く報告された有害事象は、視覚障害(71%)、下痢(61%)、浮腫(49%)など。化学療法群で多く報告された有害事象は、疲労感(38%)、貧血(32%)、好中球減少(30%)などであった。2群間で同程度の発現率を示した事象は、嘔気(クリゾチニブ56%、化学療法59%)、食欲減退(クリゾチニブ30%、化学療法34%)などであった。グレード3~4のアミノトランスフェラーゼ上昇がクリゾチニブ群の14%(化学療法群では2%)に認められたものの、投薬中断または減量によって管理可能であった。グレード3~4の好中球減少症は、クリゾチニブ群11%、化学療法群15%で認められた。研究者の評価による治療関連死は認められていない。 患者のQOLは、クリゾチニブ群で有意に改善し(p<0.001)、患者の自己申告による肺がん症状(咳嗽、呼吸困難、胸痛など)もクリゾチニブ群で有意に減少している(p<0.001)。 著者は、「クリゾチニブの1次治療は、NSCLCの標準化学療法(ペメトレキセド+プラチナレジメン)に比べ、ALK陽性NSCLCのPFSを有意に改善した。この1次治療の成績は、既報の2次治療の成績よりも優れている。1次治療としてクリゾチニブを投与することでALK陽性NSCLC患者の治療ベネフィットを最大にできる可能性がある」と指摘している。

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ALK陽性肺がんに対する標準治療を確立した重要な試験(解説:倉原 優 氏)-285

 このPROFILE 1014試験は、未治療のALK陽性進行非扁平上皮非小細胞肺がんの患者343例を、クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)250mg1日2回(3週間1サイクル)投与する群(172例)と標準化学療法を行う群(171例)にランダムに割り付けたものである。標準化学療法群は、3週間おきにペメトレキセド500mg/m2、シスプラチン75mg/m2あるいはカルボプラチンAUC5~6を最長6サイクルまで投与している。重要な点は、両群とも増悪後にクロスオーバーが認められている点である。プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)、セカンダリエンドポイントは奏効率、全生存期間(OS)などである。 試験の結果、PFSはクリゾチニブ群が有意に優れており、PFS中央値はクリゾチニブ群が10.9ヵ月、標準化学療法群が7.0ヵ月、ハザード比は0.45(95%信頼区間:0.35~0.60、p<0.0001)だった。クロスオーバーが認められているため、OSには差はみられなかった。奏効率もクリゾチニブ群が74%(95%信頼区間:67~81)、化学療法群が45%(95%信頼区間:37~53)で、群間差29%(95%信頼区間:20~39、p<0.0001)とクリゾチニブ群が有意に良好であった。 この試験は、ALK陽性非小細胞肺がんのファーストラインにクリゾチニブを用いることが標準治療と位置付けた歴史的な研究である。クロスオーバーが可能であるためOSには差は出なかったものの、PFSに大きな差が出たことは臨床医にとってインパクトが大きかった。過去のレトロスペクティブ解析によれば、ALK陽性例ではクリゾチニブ単剤投与の有無によってOSが大きく異なるのではないかと考えられており1)、本研究と併せて考えると、ALK陽性例に対してクリゾチニブを投与しないという選択肢は現時点ではないだろう。 ただし、現行の日本のガイドラインではパフォーマンスステータス(PS)不良例に対するクリゾチニブの使用は推奨されていない。今後、PS不良例に対するエビデンスが蓄積されれば、クリゾチニブを現場で使用する頻度が増えてくるかもしれない。 クリゾチニブはMET阻害薬として開発された経緯があるため、ALKのみを阻害するわけではない。これまでの肺がんに対する抗がん剤の歴史においてマルチターゲット阻害薬は結果が芳しくないが、ALK阻害薬に関しては期待ができそうな報告が多い。とりわけROS1阻害作用がホットトピックであり2)、最近取り沙汰されるアレクチニブ(商品名:アレセンサ)とクリゾチニブの位置付けが今後どうなるのか注目である。

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肺がん患者と医療者の乖離を埋める―WJOG

 「患者さんのためのガイドブック よくわかる肺がんQ&A(第4版)」(編集:NPO法人西日本がん研究機構、以下WJOG)の発行を記念して、「肺がんの最新治療に関するセミナー~分子標的薬の登場で肺癌治療は大きく変わった~」が2014年11月28日、都内にて行われた。当日は、中川和彦氏(近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 教授)、本書の編集を行った澤 祥幸氏(岐阜市民病院 がん診療局長)が講演した。 中川氏の講演では、肺がん診療の最新情報が紹介された。講演の中で、中川氏は次のように述べた。肺がんの治療は最近の20~30年で大きく進歩している。とくに2002年のEGFR–TKIゲフィチニブの登場以降、ALK阻害薬、第2世代EGFR-TKIが次々に登場している。今後も第3世代EGFR-TKI、PD-1やPD-L1など新たな免疫療法なども治療選択肢として加わってくると考えられ、肺がん治療は大きく変化していくことが予想される、と述べた。また、このように新たな臨床試験が数多く出てくる中、EBMや診療ガイドラインを踏まえ、肺がんについての正しい情報を研究者から一般社会に伝えることが重要であるとも述べた。 続いて、澤 祥幸氏が、肺がん患者の疑問とその対応に関して次のように述べた。がん患者は告知の際、医療者に対し自分自身の不安を解決するため希望的回答を期待している。しかし、がんであるという事実は最悪の知らせである。将来への見通しを根底から否定的に変えてしまうため、冷静な状態ではいられない。担当医にしてみれば、しっかり説明したのに理解してもらえない。一方、患者も家族も真剣に説明を聞いていたはずなのに覚えていないという事態に陥る。また、希望的回答への期待を裏切られたことが医療者への不信を招き、診療への否認行動をとるなど、その後のトラブルにつながることもある。さらに、悪い知らせを聞いた後、一部の患者は適応障害やうつ病に陥る。がん患者の自殺率は健康人の4倍との報告もあり、これも大きな問題である。 がんと診断された後、がん患者・家族はどのような情報を求めているのか? 肺がんの種類・進行度、標準治療といった情報を伝えようとする医療者とは乖離があるようだ。WJOGはその乖離を明らかにするため、各地で開催する市民講座の際、患者・家族の疑問や質問を収集した。その結果、患者の疑問・質問の上位は、「もっといい病院・医者は?」「抗がん剤治療が不安」「補完代替医療、免疫療法」「術後の痛み」「がん告知の問題」などであった。実際にサプリメントや高額な民間療法に頼る患者、治療拒否により手遅れになる患者、医療費控除制度を知らず経済的不安から治療を拒否するケースも少なくないと、澤氏は言う。 「よくわかる肺がんQ&A(第4版)」は、このように収集した疑問・質問をまとめる形で、本年(2014年)11月7日に発行された。Q&A は119項目からなり、医師向けのガイドラインにはない、補完代替医療の説明、不安・衝撃へのアドバイス、医療費といった項目も含まれる。今版は市民の要望に応え、書店でも購入可能である。価格帯も市民が気軽に買えるよう2,200円(+税)に設定。今後はwebフリーダウンロードの予定もある。amazon リンク:「患者さんのためのガイドブック-よくわかる肺がんQ&A(編集;西日本がん研究機構-WJOG)」はこちら。

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低線量CT肺がん検診の費用対効果/NEJM

 低線量CTによる肺がん検診の増分費用対効果(ICER)について調べたところ、獲得生存年1年当たり5万2,000ドル、1QALY当たり8万1,000ドルと推定されることが示された。一方で、サブグループ分析や感度分析では、そのICERに大幅なばらつきが認められたという。米国・Geisel School of Medicine at DartmouthのWilliam C. Black氏らが、全米肺スクリーニング試験(NLST)のデータを基に検討し明らかにした。NLSTの結果からは、低線量CTによる肺がん検診は、胸部X線検診に比べて、肺がん死亡率を低下することが示されている。NEJM誌2014年11月6日号掲載の報告より。低線量CT肺がん検診、胸部X線肺がん検診、検診なしを比較 Black氏らはNLSTのデータから、低線量CTによる肺がん検診、胸部X線による肺がん検診、肺がん検診なしの3群について、生存年数、質調整生存年(QALY)、1人当たり費用、ICERのそれぞれについて、予測平均値を算定し評価を行った。 QALYについては、生存年は試験期間中の死亡数と試験終了時生存者の予測生存年を基に推定した。質調整値は、サブグループに対しQOL調査を行い推定した。費用は、医療サービス利用率やメディケアの償還額から割り出した。 また得られた結果については、年齢や性別、喫煙歴、肺がんリスクによるサブグループ分析や、数種類の仮定別の感度分析を行った。低線量CT肺がん検診、検診なしと比べ追加費用は1人1,631ドル 分析の結果、肺がん検診をしない場合と比べて低線量CT肺がん検診の、1人当たり追加費用は1,631ドル(95%信頼区間:1,557~1,709)であった。また、生存年を1人当たり0.0316年(同:0.0154~0.0478)、1人当たりQALYは0.0201年(同:0.0088~0.0314)それぞれ延長した。 ICERについては、獲得生存年1年当たり5万2,000ドル(同:3万4,000~10万6,000)、1QALY当たり8万1,000ドル(同:5万2,000~18万6,000)だった。ただしICERは、サブグループ分析や感度分析により、大幅なばらつきが認められた。

1940.

アファチニブ LUX-Lung 3 試験の日本人サブグループ解析

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)は 11 月 17 日、ジオトリフ(一般名:アファチニブマイレン酸塩)の国際共同第 3 相臨床試験LUX-Lung 3 試験の日本人のサブグループ解析結果を発表した。 この結果は第 55 回日本肺癌学会学術集会にて、本年(2014年)11月 16 日に発表されたもの。LUX-Lung3試験では、EGFR 遺伝子変異陽性を有する非小細胞肺がんの未治療の患者 345 人を、ジオトリフ群と、ペメトレキセド+シスプラチン群に 2:1 の割合で無作為割り付けし、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として OS などが検討された。 日本人患者83 人を対象として検討されたこのサブグループ解析の結果、全体のOSは、ジオトリフ群で 46.9ヵ月、ペメトレキセド+シスプラチン群で35.8ヵ月。一般的EGFR 遺伝子変異(Del19 および L858R)患者のOS は、それぞれ46.9ヵ月と35.0ヵ月。Del19 遺伝子変異患者のOS は、それぞれ46.9ヵ月と31.5ヵ月であった。 主なグレード 3 以上の有害事象(10%以上)の発現率は、ジオトリフ群で爪の異常 26%、下痢 22%、発疹/ざ瘡 20%、標準的化学療法群で好中球数減少 50%、白血球減少 25%であった。日本ベーリンガーインゲルハイムのプレスリリースはこちら

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