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デュルバルマブ、進展型小細胞肺がんのOSを有意に延長(CASPIAN)/AstraZeneca

 AstraZenecaは、2019年6月27日、進展型小細胞肺がん(SCLC)の1次治療を対象としたデュルバルマブの第III相CASPIAN試験で、主要評価項目である全生存率(OS)を達成したと発表。 CASPIAN試験は、進展型SCLC患者の1次治療における無作為化オープンラベル多施設共同国際第III相試験。この試験では、化学療法単独とデュルバルマブ+化学療法(エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン)およびデュルバルマブ+トレメリムマブ+化学療法(上記と同様)とを比較しており、米国、欧州、南米、アジア、中東を含む22ヵ国、200以上の施設で実施されている。 独立データモニタリング委員会による中間分析では、デュルバルマブ+化学療法(エトポシド+シスプラチン)群は、化学療法単独に比べ主要評価項目であるOSを統計学的に有意に改善した。デュルバルマブ併用療法の安全性と耐容性は、これらの既知の安全性プロファイルと一致していた。 AstraZenecaは、今後の医学会での発表のために、今回のデータを提出するとしている。

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FoundationOne CDx、エヌトレクチニブのコンパニオン診断として承認/中外

 中外製薬は、2019年6月27日、遺伝子変異解析プログラムFoundationOne CDx がんゲノムプロファイルに関し、ROS1/TRK阻害剤エヌトレクチニブ(商品名:ロズリートレク)のNTRK融合遺伝子陽性の固形がんに対するコンパニオン診断としての使用目的の追加について、6月26日に厚生労働省より承認を取得したと発表。FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルは、NTRK融合遺伝子(NTRK1、NTRK2、NTRK3遺伝子と他の遺伝子の融合遺伝子)を検出することにより、エヌトレクチニブの適応判定補助を行う。エヌトレクチニブは、成人および小児の NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がんに対する治療薬として本年6月18日に承認を取得している。 本プログラムは、米国のファウンデーション・メディシン社 により開発された、次世代シークエンサーを用いた包括的ながん関連遺伝子解析システムである。患者の固形がん組織から得られたDNAを用いて、324の遺伝子における置換、挿入、欠失、コピー数異常および再編成などの変異等の検出および解析、ならびにバイオマーカーとして、マイクロサテライト不安定性の判定や腫瘍の遺伝子変異量の算出を行う。また、国内既承認の複数の分子標的薬のコンパニオン診断として、適応判定の補助に用いることが可能である。FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル、コンパニオン診断の適応 [EGFRエクソン19 欠失変異及びエクソン21 L858R変異]  がん種:非小細胞肺がん  関連する医薬品:アファチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、オシメルチニブ [EGFRエクソン 20 T790M変異]  がん種:非小細胞肺がん  関連する医薬品:オシメルチニブ [ALK融合遺伝子]  がん種:非小細胞肺がん  関連する医薬品:アレクチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ [BRAF V600Eおよび V600K変異]  がん種:悪性黒色腫  関連する医薬品:ダブラフェニブ、トラメチニブ、ベムラフェニブ [ERBB2コピー数異常(HER2遺伝子増幅陽性)  がん種:乳がん トラスツズマブ [KRAS/NRAS野生型]  がん種:直腸・結腸がん  関連する医薬品:セツキシマブ(遺伝子組換え)、パニツムマブ(遺伝子組換え) [NTRK1/2/3融合遺伝子]  がん種:固形がん  関連する医薬品:エヌトレクチニブ

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IV期でも積極的な局所治療を?―オリゴメタ症例に対する治療戦略【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第8回

第8回 IV期でも積極的な局所治療を?―オリゴメタ症例に対する治療戦略1)Palma DA, et al. Stereotactic ablative radiotherapy versus standard of care palliative treatment in patients with oligometastatic cancers (SABR-COMET): a randomised, phase 2, open-label trial. Lancet. 2019;393:2051-2058.2)P Iyengar, et al. Consolidative radiotherapy for limited metastatic non-small-cell lung cancer: a phase 2 randomized clinical trial. JAMA Oncol. 2018 Jan 11.[Epub ahead of print]3)Gomez DR, et al. Local Consolidative Therapy Vs. Maintenance Therapy or Observation for Patients With Oligometastatic Non-Small-Cell Lung Cancer: Long-Term Results of a Multi-Institutional, Phase II, Randomized Study. J Clin Oncol. 2019;37:1558-1565.IV期NSCLCに対する局所治療(放射線照射や外科切除)は症状緩和が主な目的のため、無症状の時点で積極的に考慮される事はなかった。しかし近年、腫瘍量の少ない「オリゴメタ」に対する早期の局所治療が生存期間延長に寄与するのでは?という報告が相次いでいる。最近の主要な報告を概説する。1)についてSABR-COMET試験は欧州を中心に行われた無作為化第II相試験(SABR vs.経過観察)。「オリゴ」の定義は、転移巣が5つ以下(1臓器3個以下)で、全ての転移巣にSABR可能なもの。脳転移症例は除外されている。SABRは30-60Gy/3-8frs、状況によって単回照射も許容された。照射前後4週間の化学療法は休止が必須とされた。99例が登録され、乳がん・大腸がん・肺がんが各18例。16例登録された前立腺がんについては、14例がSABR群と偏りが大きい。登録症例の約80%は転移巣1~2個と、腫瘍量はかなり少なそう。主要評価項目であるOSはSABR群41ヵ月 vs.観察群28ヵ月と有意にSABR群で良好であった。PFSも12ヵ月 vs.6.0ヵ月とSABR群で良好であった。QOL評価としてFACT-Gが用いられているが、両群で有意差はなし(QOLが同等であった、というよりはFACT-GがQOL指標として適切でなかった可能性がある)。SABR群における治療関連死が3例(4.5%)に生じている(肺臓炎・肺膿瘍など)。2)について米国単施設における無作為化第II相試験(SABR vs.経過観察)。NSCLCのみ(遺伝子変異陽性例は除く)を対象とし、プラチナ併用後の維持療法にSABR追加の有無を比較している。免疫治療は含まれていない。「オリゴ」の定義は転移巣が5つ以下(肺・肝臓の転移は3個以内)とされ、未治療もしくは活動性の脳転移は不適格とされている。SABRは単回照射(21-27Gy)、26.5-33Gy/3frs、30-37.5Gy/5frs。状況によって、45Gy/15frsなども許容された。29例登録時点で有効中止となった(当初目標は36例)。主要評価項目であるPFSはSABR群9.7ヵ月 vs.3.5ヵ月。OSは未報告。治療関連死は認めなかったが、SABR群の4例(約30%)でgrade 3の有害事象を認めている(2例は呼吸器関連との事だが、詳細な情報は不明)。3)について米国を中心とした3施設での無作為化第II相試験。2016年にLancet Oncology誌に報告された内容のアップデート。NSCLCのみを対象とし、遺伝子変異陽性例は許容されている。「オリゴ」の定義は、転移巣が3つ以下。脳転移は既治療であれば適格。照射もしくは外科切除は無作為化時点で残存するすべての病変(原発巣を含む)に行われた。局所治療として外科切除を含んでいる点が前述した2つの試験と異なる。本試験も49例が無作為化された時点で有効中止となった(当初目標は94例)。主要評価項目であるPFSはSABR群14.2ヵ月 vs.4.4ヵ月。今回のアップデートで報告されたOSは41.2ヵ月 vs.17.0ヵ月。遺伝子変異以外の臨床背景(転移個数、初回化学療法の効果、N因子、脳転移の有無)はOSに影響せず。SABR群で4例(17%)がgrade 3以上の治療関連有害事象を発症している(食道炎2例(ともに入院が必要)、脾臓への照射に伴う貧血1例、肋骨骨折1例)。解説このところ、オリゴメタに対する臨床試験が立て続けにBig Journalに掲載されており、ニッチな対象ながら注目を集めている。ただ、いずれも様々な問題点を孕んでおり、現時点で日常臨床を変えるには至っていないというのが正直なところである。最も重要なポイントは「オリゴメタ」の定義・介入内容が試験によってまちまちであること。ちょうどJournal of Thoracic Oncology誌にオリゴメタに関するシステマティックレビューが掲載されているが(GiajLevra N, et al. J Thorac Oncol.2019 Jun 10. [Epub ahead of print])、この中でも定義の明確化(転移個数、臓器辺りの転移数のみならず、縦隔リンパ節の取り扱いも試験によって異なるとの事)が問題点として挙げられている。次に、これらはいずれも第II相試験であること、2)、3)は早期有効性中止となった試験ではあるが、主要評価項目はいずれもPFSであったことが挙げられる。1)はOSを主要評価項目としているものの、試験治療群に予後の良い前立腺がんが偏っていたり、乳がん、NSCLCについてもそのサブタイプが明確にされていないなどの問題がある(学会発表の際には前立腺がんを省いた解析が行われているようであるが、論文でははっきりしない)。最後に、IV期NSCLCでこの治療戦略を臨床導入する上での懸念事項を挙げる。IV期NSCLCの治療成績は近年、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害剤の導入によって飛躍的に向上した。今回紹介したオリゴメタに対する試験治療の成績は、これら新規薬剤の影響をほぼ受けていないにも関わらず非常に良好であり注目に値する。一方で、あくまで症状緩和・延命が最終目標であるにも関わらず、肺臓炎をはじめとする有害事象の増加は認容性に疑問を残す(新規薬物療法の多くが毒性が比較的軽いことと対照的)。進行期肺がんにおける積極的な局所治療はこれまでさまざまな点で失敗してきた。進展型SCLCでは予防的全脳照射は定期的な頭部画像検査に劣るという結果であったし(Takahashi T, et al. Lancet Oncol.2017; 18:663-671.)、III期NSCLCにおける化学放射線療法で検討された線量増加は、第II相試験では非常に有望視されたにも関わらず第III相試験では無効中止という結果に終わった(RTOG0617試験)。とくに放射線治療に関しては、参加施設が大幅に拡大される第III相試験においてこういった状況が得てして起こりうるようである。オリゴメタに対する局所治療戦略を成功させるためには、臨床医の納得しうる対象集団の定義づけ・適切な対照群設定(ランダム化)が重要と思われる。なお海外では既に第III相試験が開始されており、この結果が今後の標準治療を決めるのみならず、対象集団の定義についても重要な方向性を示すと思われる。

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ロズリートレク:NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発固形がん治療薬

国内で2番目となるがん種を問わない抗がん剤の登場ROS1/TRK阻害薬ロズリートレクは、成人および小児のNTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がんを対象とする臓器横断的ながんの分子標的薬であり、2019年6月、世界に先駆けて日本で製造販売承認を得た。本薬は、先駆け審査指定制度対象品目、希少疾病用医薬品の指定を受けていた。希少かつ臓器横断的に発生するNTRK融合遺伝子NTRK融合遺伝子は、NTRK遺伝子(NTRK1、NTRK2、NTRK3、それぞれTRKA、TRKB、TRKC蛋白質をコードする)と、他の遺伝子(ETV6、LMNA、TPM3など)が染色体転座を起こした結果として、融合して発現する異常な遺伝子である。NTRK融合遺伝子からつくられる融合TRKにより、がん細胞の増殖が促進されると考えられている。NTRK融合遺伝子の発生はきわめてまれであるが、成人や小児のさまざまな固形がんや肉腫などで確認されている。これまでにその発生が確認されたがん種としては、乳児型線維肉腫、神経膠腫、神経膠芽腫、びまん性橋グリオーマ、先天性中胚葉性腎腫、悪性黒色腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)、子宮肉腫、その他の軟部腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、乳腺分泌がん、唾液腺分泌がん、原発不明がん、肺がん、大腸がん、虫垂がん、乳がん、胃がん、卵巣がん、甲状腺がん、胆管がん、膵臓がん、頭頸部がんなどが挙げられる。NTRK融合遺伝子陽性固形がんにおける奏功が認められるロズリートレクは、ROS1(c-rosがん遺伝子1)およびTRK(神経栄養因子受容体)ファミリーを強力かつ選択的に阻害する経口チロシンキナーゼ阻害薬であり、脳転移巣への効果も示唆されている。本薬は、ROS1およびTRKキナーゼ活性を阻害することにより、ROS1またはNTRK融合遺伝子を有するがん細胞の増殖を抑制する。また、本薬は、前治療後に病勢進行、または許容される標準治療がないNTRK融合遺伝子陽性の局所進行または遠隔転移を有する成人および小児の固形がんに対し、米国食品医薬品局(FDA)より画期的治療薬(breakthrough therapy)に、欧州医薬品庁(EMA)によりPRIME(PRIority MEdicines)に指定されている。今回の承認の根拠となったのは、主に非盲検多施設国際共同第II相臨床試験であるSTARTRK-2試験の成績である。本試験は、臓器を問わないバスケット試験として、NTRK融合遺伝子陽性固形がんの成人患者51例を対象に行われ、主要評価項目である独立評価委員判定による奏効率は56.9%(95%信頼区間: 42.3〜70.7)であった。また、小児の有効性評価は海外の第Ⅰ/Ⅰb相臨床試験であるSTARTRK-NG試験に登録されたNTRK融合遺伝子陽性の固形がん患者5例で行われ、主治医判定により4例(完全奏効1例[3歳の類表皮性膠芽腫]、部分奏効3例[4歳の高グレード神経膠腫、4歳の悪性黒色腫、4歳の乳児型線維肉腫])で奏効が得られた(残りの1例は0歳の乳児型線維肉腫で、判定は安定)。今後のNTRK融合遺伝子陽性進行・再発固形がん診療への期待ロズリートレクの登場は、治療選択肢の少ない希少ながん種に、新たな治療戦略をもたらす。本薬の製造販売元である中外製薬は、同社の次世代シークエンサーを用いた網羅的がん関連遺伝子解析システム「FoundationOne CDxがんゲノムプロファイル」について、本薬のコンパニオン診断としての使用目的の追加に関する承認を取得している。今後、このような網羅的ゲノムプロファイリングの普及を通じて、がん領域におけるより高度な個別化医療がさらに進展すると考えられる。

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デュルバルマブの肺がんCCRT維持療法、3年後も一貫した効果(PACIFIC)/ASCO2019

 化学放射線同時併用療法(CCRT)を受けた切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした第III相PACIFIC試験において、デュルバルマブは無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の有意な改善を示した。本年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)では、PACIFIC試験の3年OSデータが発表された。・対象:CCRT後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者・試験群:デュルバルマブ10mg/kg、2週ごと12ヵ月(473例)・対照群:プラセボ、2週ごと12ヵ月(236例)・評価項目:[主要評価項目]盲検独立中央評価委員会(BICR)判定によるPFS、OS[副次評価項目]死亡または遠隔転移までの時間、2回目の進行までの時間、安全性などCCRTの1~42日後に、被験者はデュルバルマブとプラセボに2対1に無作為に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間の中央値は33.3ヵ月。・データカットオフ時(2019年1月31日)の死亡患者はデュルバルマブ群44.1%、プラセボ群56.5%であった。・最新のOS中央値はデュルバルマブ群未達(38.4~NR)、プラセボ群29.1ヵ月(22.1~35.1)と、以前の報告と一貫していた(HR:0.69、95%CI:0.55~0.86)。・12ヵ月OS率はデュルバルマブ群83.1%、プラセボ群74.6%、24ヵ月OS率は66.3%対55.3%、36ヵ月OS率は57.0%対43.5%であった。・後治療は、デュルバルマブ群の43.3%(9.7%が免疫療法)、プラセボ群の57.8%(26.6%が免疫療法)が受けていた。 著者らは、PACIFIC試験の最新OSデータは、CCRT後デュルバルマブの長期臨床的有益性を強調し、さらにこの集団における標準治療としてのPACIFICレジメンを確立するものだとしている。

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ASCO2019レポート 消化器がん(Upper GI)

レポーター紹介今年のASCOも消化器がん領域では免疫チェックポイント阻害薬が主役であった。胃がん初回化学療法におけるペムブロリズマブの効果を検証したKEYNOTE-062試験の結果が報告された。また、ポスターセッションでは、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果をより高めるために、血管新生阻害薬との併用効果を検討したり、食道がん術前化学放射線療法に免疫チェックポイント阻害薬を併用した試験が多く認められた。膵臓がんでは、gBRCA陽性患者に対するPARP阻害薬のメンテナンス治療の効果をみた試験の結果がプレナリーセッションで報告された。また、支持療法では、消化器がんで用いることが多い、50mg/m2以上のCDDPを使用する患者に対して、4剤併用の有効性を検証したJ-FORCE試験が報告された。LBA-4007 胃がん初回化学療法KEYNOTE-062試験(Non-colorectal, Oral presentation)胃がんにおける免疫チェックポイントの位置付けは、3次治療以降でのニボルマブの単剤投与であり、昨年報告されたKEYNOTE-061試験の結果では、2次治療としてのペムブロリズマブは、パクリタキセル単剤に対してCPS(Combined Positive Score:腫瘍細胞および腫瘍浸潤免疫細胞でのPD-L1陽性割合)が1%以上の胃がんでの優越性を示すことはできなかった。今回は初回化学療法例を対象に、5-FU(あるいはカペシタビン)+CDDP療法(C群)に対する、ペムブロリズマブ併用療法(C+P群)の優越性と、単剤療法(P群)の非劣性を検証したKEYNOTE-062試験の結果が報告された。対象はCPS 1%以上の切除不能再発胃がんで、763例が登録された。日本を含む東アジアからは約25%が登録され、欧州・米国・オーストラリアからの登録が約60%と多数を占めた。主要評価項目は4つあり、C群に対するP+C群の無増悪生存期間(PFS)の優越性(≧CPS 1)、全生存期間(OS)の優越性(≧CPS 1)および(≧CPS 10)、P群のOSでの非劣性(≧CPS 1)であった。C群とP群の比較においては、OS中央値、12ヵ月OS割合、24ヵ月OS割合は、C群とP群でそれぞれ11.1ヵ月と10.6ヵ月、46%と47%、そして19%と27%であり、HR:0.91(99.2%CI:0.69~1.18)と、HRの信頼区間の上限は、あらかじめ決めておいた非劣性マージン1.20を下回ったため、P群の非劣性が示された。探索的な検討であるが、≧CPS 10の患者群では、24ヵ月生存割合がC群とP群で22%と29%と、よりP群で良好な結果であった。しかし、PFS中央値は、C群とP群で6.4ヵ月と2.0ヵ月、12ヵ月PFS割合は19%と14%と、P群で不良な傾向であった。後治療はP群で52.8%実施されていることから、後治療を含めた治療により、長期生存が得られていると考えられた。C群とC+P群の比較では、OS中央値はC群とC+P群でそれぞれ11.1ヵ月と12.5ヵ月、12ヵ月OS割合は46%と53%、24ヵ月OS割合は19%と24%であり、HR:0.85(95%CI:0.70~1.03、p=0.046)と、統計学的に有意な生存期間の延長は認められなかった。驚いたことに、≧CPS 10の患者群でも両者のHRは0.85であり、より有効性が期待できる手段においてもC+P群の効果は変わらなかった。有害事象はいずれの群も許容される範囲内であった。まず、CPSにて対象を絞っても、他のがん種で示されているような、プラチナ併用初回化学療法に対する免疫チェックポイント阻害薬の併用効果が胃がんでは示せなかったこと、C+P群で思ったほど治療効果が持続していないこと、KEYNOTE-061試験で示されたCPSでの対象選択が、併用群では打ち消されていることなど、いくつかのポイントがクエスチョンとして挙がってくるが、今後の検討が必要である。非劣性が示され、CPS 1以上の胃がんでの初回化学療法の選択肢となりうるとされたペムブロリズマブも、効果のある症例は長く持続するが、半数の患者が2ヵ月で病勢進行を来している。従来の化学療法を受ける機会を逸しないためにも、対象は慎重に選択されるべきで、CPS 10以外にも効果のありそうな対象が絞り込める情報が必要である。また、薬剤コストの面についても問題が指摘されており、臨床的意義についてディスカッションが必要である。また、現在実施中である、ATTRACTION-4試験(胃がん初回化学療法SOX/XELOX±ニボルマブ)、CheckMate-649試験(胃がん初回化学療法XELOX/FOLFOX±ニボルマブ、およびニボルマブ+イピリムマブ)の比較試験の結果がどうなるのか、同じ結果なのか、異なる結果になるのか、大変興味深い。消化管がんに対する免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬、放射線療法の併用(Non-colorectal, Developmental therapeutics, poster)KEYNOTE-062試験の結果で、改めて消化管がんの研究者が思ったことは、胃がんは免疫原性が低い、CPSも堅牢なバイオマーカーではなく、化学療法との併用も微妙で、より強力な治療が必要、である。以前より、ニボルマブ(Nivo)とラムシルマブの併用が有効性を高めることが報告されていたり、肝細胞がんでのペムブロリズマブとレンバチニブとの併用で、奏効割合の改善が報告されたりしていたが、同様に、免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬の併用療法を検討した、Nivoとレゴラフェニブ(Rego)の併用Phase I試験の結果が報告された(#2522)。REGONIVO試験では、標準投与量のNivoにRegoを通常量の半量である80mgより併用し、毒性をみながら増量し安全性をみる試験である。Regoが腫瘍関連マクロファージ(TAM)を抑えることで免疫抑制状態を解除し、抗腫瘍効果を高めるということが報告されている。胃がん、大腸がんそれぞれ25例が登録されたが、Rego 80mgとRego 120mgのコホートでは用量制限毒性(DLT)を認めず、160mgへ増量された。160mgのコホートでは、3例中3例にDLT(皮膚毒性、蛋白尿、消化管穿孔)が認められ、また120mgのコホートでも継続投与にて頻繁にGrade3の皮膚毒性が認められたため、Rego 80mgが推奨投与量とされた。奏効割合はマイクロサテライト安定(MSS)大腸がんに対して36%、胃がんに対して44%と高い効果を認め、さらなる治療開発が期待されている。また、胃がん初回化学療法例に対して、XELOX療法に抗PD-1抗体であるcamrelizumabを併用し、4~6回投与した後、XELOXを休止、血管新生阻害薬であるapatinibとcamrelizumabの併用療法によるメンテナンスを行うPhase II試験(#4031)では奏効割合58.6%、食道扁平上皮がんの初回化学療法例に対するリポソーマルパクリタキセルと、ネダプラチンにcamrelizumabとapatinibの併用を評価したPhase II試験(#4033)では奏効割合80%と報告されている。いずれも併用により毒性が強くなるため、血管新生阻害薬の単剤での投与量を大幅に減量する必要があるが、有効性は、探索的な検討ながら、良好にみえる。さらなる結果を待って、使いどころを検討する必要がある。肺がんなど他がん腫ですでに示されている、放射線療法と免疫チェックポイント阻害薬の探索的な試験の結果が報告されている。韓国からは食道扁平上皮がんに対する術前化学放射線療法にペムブロリズマブを併用したPhase II(#4027)が報告された。病理学的完全奏効割合(pCR)は46.1%と高く、懸念された間質性肺炎は認められなかったが、手術症例26例中2例がARDSなどの肺障害により死亡しており、術前のペムブロリズマブの影響が懸念された。また食道胃接合部腺がんに対しては、欧米での標準治療の1つである術前カルボプラチン+パクリタキセル+放射線療法に、PD-L1抗体であるアベルマブを併用し、術後にもアベルマブを継続するPhase I/II試験(#4041)が行われ、7例のPhase I部分のみの発表であったが、重篤な毒性はなく、pCR割合も43%と比較的良好であった。また、術前化学放射線療法後に切除を行った食道胃接合部腺がんの術後にデュルバルマブを1年投与するPhase II試験(#4058)では、重篤な有害事象はないと報告されている。今後の免疫療法は、“併用療法”“周術期”といったところへシフトしていくと思われる。LBA4 膵臓がんに対するPARP阻害薬メンテナンス:POLO試験(Plenary session)PARP阻害薬であるオラパリブは、生殖細胞系列遺伝子のBRCA(gBRCA)に変異のある乳がんや卵巣がんに用いられているが、他がん腫での検討はまれである。POLO試験では、gBRCA1/2に変異のある進行膵がんに対してプラチナ併用化学療法を行い、進行がみられなかった患者をオラパリブとプラセボに割り付け、メンテナンス治療としての有効性をみた試験である。gBRCA1/2変異は、3,315例の患者をスクリーニングし、247例(7.4%)に認められ、うち、92例がオラパリブ群、62例がプラセボ群に割り付けられた。前治療はFOLFIRINOXが約80%と多く、治療効果も群間で差異はなかった。主要評価項目である無増悪生存期間中央値はオラパリブ群7.4ヵ月、プラセボ群3.8ヵ月であり、HR:0.53と有意に改善が認められた。生存期間を評価するにはイベントは不十分であるが、中央値オラパリブ群18.9ヵ月、プラセボ群18.1ヵ月と差を認めなかった。有害事象は予想されたものであった。また、すべてのサブグループにて同様の傾向であった。日本ではこの試験は実施されておらず、この結果が今後の日常診療にどのように取り込まれるのか、今後注目される。#11503 標準的制吐薬に対するオランザピンの上乗せ効果を検証したJ-FORCE試験(Symptom and Survivorship, Oral presentation)高度催吐性化学療法(Highly Emetogenic Chemotherapy:HEC)における標準制吐療法である、アプレピタント(APR)、セロトニン受容体拮抗薬、デキサメタゾン(DEX)にオランザピン(OLZ)10mgを併用することが遅発期の制吐に有効であることが証明されているが、眠気が問題点であった。この試験では予備的試験を行ったうえ、OLZ:5mgを試験治療群とし、プラセボ群に対する、遅発期(CDDP投与開始24時間後から120時間以内)の嘔吐完全抑制割合における優越性を検証した。705例が登録され、試験治療群が354例、プラセボ群が351例、患者背景は、55歳以上が80%以上、男性が65%、肺がん(50%)、食道がん(20%)、婦人科がん(10%)、その他であった。主要評価項目である遅発期の嘔吐完全抑制割合は、プラセボ群の66%に対して、試験治療群が79%(p<0.001)と有意に優れた結果であった。また、副次的評価項目である急性期の嘔吐完全抑制割合は、プラセボ群の89%に対して、試験治療群が95%(p=0.002)、全期間の嘔吐完全抑制割合は、プラセボ群の64%に対して、試験治療群が78%(p<0.001)と有意に良好な結果であった。試験治療群の有害事象のうち、全グレード(Grade3)の眠気が43%(0.3%)、めまいが8%(0%)と口腔内乾燥が21%(0%)と有意に多かったが、両群ともにGrade4は認めなかった。しかしながら、治療期間中の生活経過記録の解析結果から、試験治療群はプラセボ群と比較して有意(p<0.05)に良好であったことが示され、新たな標準治療であることが示された。日本の支持療法研究グループで行われた臨床試験が、世界の標準治療を塗り替えた非常に意義深い試験である。今回のASCOでも依然として免疫チェックポイント阻害薬の演題が多数を占めた。単剤の治療の時代から、併用療法や集学的治療へシフトしている。また、免疫細胞療法などの演題も多数認められ、新時代の到来を予感させられる。また、J-FORCE試験がOral Presentationに選ばれるなど、支持療法のエビデンス創出が日本でも盛んになってきており、今後にも期待したい。

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非扁平上皮NSCLCへの維持療法、Bev対Pem対Bev+Pem(ECOG-ACRIN 5508)/ASCO2019

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者における維持療法として、ベバシズマブ、ペメトレキセド、およびその併用の3群を比較した第III相ECOG-ACRIN 5508試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、米国・Winship Cancer Institute of Emory UniversityのSuresh Ramalingam氏が発表した。・対象:全身療法歴のない、ECOG PS 0~1の進行非扁平上皮NSCLC患者(カルボプラチン・パクリタキセル・ベバシズマブ併用3週ごと4サイクルの導入療法実施後、CR/PR/ SDとなった患者が、維持療法として、ベバシズマブ群とペメトレキセド群、ベバシズマブ・ペメトレキセド併用群に1:1:1の割合で無作為に割り付けられた)・試験群:ペメトレキセド3週ごとPDまで(Pem群)ベバシズマブ+ペメトレキセド3週ごとPDまで(Bev+Pem群)・対照群:ベバシズマブ3週ごとPDまで(Bev群)・評価項目:[主要評価項目]無作為化後の全生存期間(OS)[副次評価項目]無作為化後の無増悪生存期間(PFS)、RECIST1.1による奏効率(RR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・導入療法後、874例が3群に無作為化された(Bev群287例、Pem群294例、Bev+Pem群293例)。年齢中央値:64歳、男性:49%、ECOG PS1:55%。ベースライン特性は、3群でバランスがとれていた。・治療サイクル数の中央値はBev群およびPem群で6サイクル、Bev+Pem群8サイクルであった。無作為化後の追跡期間中央値は50.6ヵ月。・無作為化後のOS中央値はBev群14.4ヵ月に対し、Pem群15.9ヵ月(ハザード比[HR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.70~1.07、p=0.12)、Bev+Pem群16.4ヵ月(HR:0.90、95%CI:0.73~1.12、p=0.28)。・無作為化後のPFS中央値はBev群4.2ヵ月に対し、Pem群5.1ヵ月(HR:0.85、95%CI:0.69~1.03、p=0.06)、Bev+Pem群7.5ヵ月(HR:0.67、95%CI:0.55~0.82、p<0.001)。・維持療法のRRはBev群13%、Pem群19%、Bev+Pem群21%であった。・維持療法におけるGrade3以上の有害事象は、Bev群29%、Pem群37%、Bev+Pem群50%と併用群で多い傾向がみられた。Pem群およびBev+Pem群で多くみられたのはリンパ球減少症(1%、5%、8%)、好中球減少症(1%、7%、11%)、血小板減少症(0%、3%、4%)など。Bev群で多くみられたのはタンパク尿(4%、1%、3%)、高血圧(16%、5%、19%)であった。 これらの結果を受けてRamalingam氏は、併用群では、Bev群と比較してPFS中央値を延長したものの、OS中央値は有意な差が認められなかったと結論付けている。

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1人でも多くの人に正しい理解を―『がん悪液質ハンドブック』発信。シリーズがん悪液質(3)【Oncologyインタビュー】第7回

昨今、がん悪液質に関しては認知度が徐々に高まっているが、決定打となる治療方針はないのが実情である。そのような状況下で日本がんサポーティブケア学会は、2019年3月より、同学会監修によるガイドブックのダイジェスト電子版を学会HPで公開している。こうした取り組みについて、同学会で作成の実務を担当した、静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科の内藤 立暁氏に聞いた。―まず『がん悪液質ガイドブック』電子版作成の経緯を教えていただけますか。がん悪液質に関するガイドライン、治療指針は、欧州のEuropean Palliative Care Research Collaborative(EPCRC)によるガイドラインを除くと、世界的にもほとんどないのが現状です。日本では日本緩和医療学会、日本静脈経腸栄養学会などの関連ガイドラインの中で一部言及がある程度で、やはりまとまったマニュアル、ガイドラインはありませんでした。こうした中、日本がんサポーティブケア学会(JASCC)代表理事である田村 和夫先生(福岡大学医学部 総合医学研究センター 教授)から、最新研究をまとめた英文学術書『Cancer cachexia: mechanisms and progress in treatment(がん悪液質:機序と治療の進歩)』(著者:Egidio Del Fabbroら)の翻訳書を学会から発行しようという提案があり、そこから、学会内に高山 浩一先生(京都府立医科大学 呼吸器内科 教授)を部会長としたJASCC Cachexia部会で翻訳が始まりました。その結果、学会監修で『がん悪液質:機序と治療の進歩』が発刊されましたが、非常に膨大なものなので読み切ることは難しく、コンパクトにまとめたものが欲しいとの要望がありました。その要望にお応えしたのが、2019年3月にJASCCより発刊された全16ページの『がん悪液質ハンドブック』(以下ハンドブック)です。―ハンドブック作成の目的、無料の電子版を公表した意図を教えていただけますか。ハンドブックを作成した目的は大きく3つあります。1つ目は、がん悪液質の正しい理解を広め、社会の認知度を高めることです。臨床現場では「がん悪液質は終末期の緩和病棟などで起こる症状」という誤った固定概念が根付いてしまっています。しかし最近、がんの種類によっては、手術で治癒が見込める症例であっても、術前の体重や骨格筋の減少が術後転帰を悪化させることが報告されています。つまり進行がんだけでなく、治癒可能な早期のがんでも悪液質はすでに共存しているのです。この事実を医療従事者が広く知り、イメージを変えてもらいたいのです。2つ目は、医療従事者に、がん患者さんの体重への関心を高めていただくことです。がん悪液質の診断には体重測定が重要ですが、がん治療を専門とする医療機関であっても、定期的な体重測定の習慣が根付いていないことが少なくありません。がん患者さんの体重減少の重要性が認知されていないのです。体重を定期的に測定することによって、医療従事者にも患者さんにも栄養状態の変化に関心を持っていただきたいのです。3つ目の目的は、医師以外の医療従事者にも気軽に読んでいただき、多職種の連携に役立てていただくことです。ハンドブックでも述べたように、がん悪液質の治療は医師の力だけでは難しいのです。栄養士の栄養管理、理学療法士による運動療法、看護師の生活指導、薬剤師の薬剤管理、心理療法士の心理介入など、がん悪液質の治療には多職種の協力が不可欠です。そのため、内容を絞り込み、図説を多用することで、多くの職種の皆さんに受け入れやすいハンドブックとなるよう心がけました。―ガイドブックの内容について簡単にご説明ください画像を拡大する内容は3章立てで、第1章ではがん悪液質がどのような症状で、臨床転帰にどのような影響を及ぼすかを解説しています。それは、がん悪液質は生命予後に影響するという大枠はもちろんのこと、悪液質があれば、化学療法の効果減弱と副作用増加を引き起こし、結果として治療の継続性に関わる疾患であるという点です。また、筋肉量の減少に伴う体重低下と食欲の低下は、外見の変貌なども相まって外出・外食を控える、その結果、家族との軋轢が生じるなど、心理面の影響も大きいのです。加えて、前述のEPCRCガイドラインで示されている悪液質のステージも紹介しています。このステージ分類では「前悪液質」→「悪液質」→「不応性悪液質」という段階を踏み、すでに「前悪液質」で集学的介入の必要性があることをうたっています。前述した悪液質に対する誤ったイメージは、「不応性悪液質」と呼ばれる最終段階のみを悪液質だと思い込んでいるためではないかと考えられます。画像を拡大する第2章では、悪液質の症状と現在わかっているそのメカニズムを解説しています。骨格筋減少では慢性的炎症とそれに伴うサイトカインの分泌物が特殊な代謝状況を引き起こしていること、また脂肪組織から分泌され食欲を抑えるホルモン「レプチン」と、胃から分泌され食欲を増進するホルモン「グレリン」のバランスが治療の鍵を握ることなど、図解を用いて説明しています。第3章では、現在までにわかっている各種治療の実態を解説しています。早期診断・早期介入の必要性、薬物だけでなく栄養、運動、社会心理面など、集学的介入の必要性を示しています。要は、がん悪液質の治療はどこか1つのスイッチを押せばよいというのではなく、多職種連携のもとで集学的に取り組む必要性があることが、この章でお伝えできればと思います。また、新規に開発されている薬物療法も紹介しています。―臨床現場でどのような活用を期待していますか?まずは病棟や外来で設置や配布し、看護師、薬剤師、理学療法士など多くの医療従事者に目を通していただき、がん悪液質の認知を広めてほしいということに尽きます。患者さんに見ていただいても差し支えないとも思っています。患者さんにとってはやや難しい内容かもしれませんが、「がん悪液質」という病名とその概要を大まかに知っていただき、医療スタッフと体重についてお話するきっかけになるかもしれません。医療現場でこのような対話が増えることが、がん悪液質の早期発見と早期治療の鍵となると考えています

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局所進行非小細胞肺がん、予防的全脳照射のメリットは?/JAMA Oncol

 非小細胞肺がん(NSCLC)患者への予防的全脳照射(PCI)は有益か無益か。カナダ・プリンセスマーガレットがんセンターのAlexander Sun氏らは、RTOG 0214試験の最新の長期追跡結果より、治療後の病勢進行を認めないStageIIIの局所進行NSCLC(LA-NSCLC)患者において、PCIは5年および10年脳転移率を低下し、5年および10年無病生存期間(DFS)を改善したが、全生存期間(OS)は改善しなかったことを報告した。ただし、結果を踏まえて著者は、「主要評価項目を達成できなかったが、今回の長期結果は将来の研究に役立つ多くの重要な知見をもたらした。PCIが適切な患者集団と安全な介入を特定することが重要である」とまとめている。LA-NSCLCは脳転移率が高く、PCIは脳転移率を低下することは示されているが、OSを改善するかは不明であった。JAMA Oncology誌オンライン版2019年3月14日号掲載の報告。 RTOG 0214試験は、米国、カナダ等の291施設で実施された国際共同無作為化第III相臨床試験。 StageIIIのLA-NSCLC患者340例を、Stage(IIIA vs.IIIB)、組織型(非扁平上皮がん vs.扁平上皮がん)および手術の有無(手術なし vs.手術あり)で層別化してPCI群と経過観察群に無作為に割り付けた。 主要評価項目はOS、副次評価項目はDFSおよび脳転移率であった。 主な結果は以下のとおり。・340例の患者背景は平均年齢61歳、男性213例、女性127例、追跡期間中央値は全例で2.1年、生存例で9.2年であった。・PCI群のOSは、経過観察群と比較して有意な改善は認められなかった(5年生存率:24.7% vs.26.0%、10年生存率:17.6% vs.13.3%、HR:0.82、95%CI:0.63~1.06、p=0.12)。・DFSは、PCI群が経過観察群より有意に良好であった(5年DFS:19.0% vs.16.1%、10年DFS:12.6% vs.7.5%、HR:0.76、95%CI:0.59~0.97、p=0.03)。・脳転移率はPCI群が経過観察群より有意に低く、PCIは脳転移リスクを57%減少させた(16.7% vs.28.3%、HR:0.43、95%CI:0.24~0.77、p=0.003)。・若年者(<60歳)および非扁平上皮がん患者で、脳転移率が高かった。・多変量解析の結果、PCIは脳転移およびDFSの改善と関連していたが、OSの改善は示されなかった。

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オンコマインは4つのドライバー遺伝子を同時測定するコンパニオン診断システム

 肺がん治療においては、現在、4つのドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF)に対して分子標的薬が承認されている。6月1日、これら4つのドライバー遺伝子を少量の検体で同時に測定できるコンパニオン診断システム「オンコマイン Dx Target Test マルチCDxシステム」(以下オンコマイン)が保険収載された。6月10日に開催されたメディアセミナー(サーモフィッシャーサイエンティフィック/ノバルティス ファーマ共催)で、後藤 功一氏(国立がん研究センター東病院呼吸器内科長/サポーティブケアセンター長)が有効な治療薬を患者さんに届けることの重要性を強調した。ゲノム医療=遺伝子解析ではない! オンコマインの保険収載と同じ日に、がん遺伝子パネル検査であるFoundationOne CDxがんゲノムプロファイル(中外製薬)およびOncoGuide NCCオンコパネルシステム(シスメックス)も保険収載された。後藤氏は、一部のマスメディアがこれらの保険収載を報道する際に、遺伝子解析をすることがゲノム医療であるように報道していることについて、「ゲノム医療(「個別化医療」「Precision Medicine」とほぼ同義)とは、遺伝子解析に基づいて有効な治療薬を患者に届けることであり、遺伝子解析=ゲノム医療ではない。遺伝子検査ができても有効な治療薬が届かなければ、ゲノム医療とは言えない」と指摘した。オンコマインはコンパニオン検査、プロファイリング検査との違いは? 次に、遺伝子検査を理解するうえで知っておくべき重要なキーワードとして、後藤氏はコンパニオン検査とプロファイリング検査の2つを説明した。 コンパニオン検査は、治療薬と1対1対応になっており、陽性になれば承認された有効な治療薬が投与可能になる検査である。一方、プロファイリング検査とは、標準治療の完了後にさらなる治療の可能性を求めて行う検査で、治療は主に未承認薬である(臨床試験)。オンコマインは前者であり、がん遺伝子パネル検査であるFoundationOne CDxがんゲノムプロファイルおよびOncoGuide NCCオンコパネルシステムは後者である。後藤氏は「後者がゲノム医療の主体であるかのような報道があるがそうではなく、主体はコンパニオン検査であることを認識してほしい」と訴えた。 なお、オンコマインはがん遺伝子パネル検査とは異なり、がん診療を実施しているすべての医療施設で使用できる。 検査費用は、オンコマインは11万7,000円、がん遺伝子パネル検査はいずれも56万円(検査実施料8000点、検査判断・説明料4万8000点)である。後藤氏は、がん遺伝子パネル検査で遺伝子変異が判明しても、臨床試験に登録されていて治療が可能になるのは約5%しかないことを指摘し、「5%しか治療に結び付かない検査を国民皆保険制度の中で保険収載して、税金で賄っていくことについて、もっと検討すべきではないか」と見解を述べた。オンコマインは46種類の遺伝子検査が可能だが、4つのドライバー遺伝子のコンパニオン検査として承認 オンコマインは次世代シーケンスを用いた遺伝子パネル検査で、46種類の遺伝子検査が可能である。そのうち4つのドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF)の薬剤適応判定補助の目的で承認された。原則、この4種類の遺伝子の測定結果のみがレポートされ、残りの42種類については、医師から申し出があった場合に限り、例外的に参考情報として返却されるという。 現在、進行肺がんの治療開始前には、これらの4つのドライバー遺伝子を診断することが必須となっている。従来は別々に検査しなければならなかったが、オンコマインにより1回でまとめて検査できるようになり、短期間で検査できる。また、個々に遺伝子検査をすると最大33枚の標本スライドが必要であるが、オンコマインでは2~9枚で解析できる。後藤氏らの施設では、標本スライドをわずか2枚用いるだけでも約50%が解析可能であったという。 講演中、後藤氏はたびたび、患者さんに有効な治療薬を届けることの重要性を強調した。現在、治療薬が承認されている遺伝子変化を、少ない検体量と短い期間で、どの医療施設でも検査できるオンコマインによって、より早く、有効な治療薬が届くことが期待される。

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ASCO2019レポート 肺がん

レポーター紹介2019年のASCO、とくに肺がん領域は、このところ続いた免疫チェックポイント阻害薬による新境地の開拓の連続とは異なり、比較的おとなしいエビデンスの報告が主体であった。その中でも、RELAY試験の中川先生、JIPANG試験の劔持先生、COMPASS試験の瀬戸先生、そして大規模な外科切除データに基づく発表が注目された津谷先生といった日本人演者のOral presentationが多数報告され、活況を呈した。今回はその中から、とくに注目すべき演題について概観したい。RELAY試験EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの患者を対象に、試験治療としてのエルロチニブとラムシルマブの併用療法を標準治療としてのエルロチニブと比較したRELAY試験の結果が報告された。本試験には、Exon19欠失変異、Exon21 L858R変異があり、PS 0-1、血管新生阻害薬の一般的な適格規準を満たし、脳転移のない患者が合計449例登録された。主要評価項目はPFS、副次評価項目は安全性、OS、奏効割合などが設定されている。本試験はこれまでのEGFR-TKIと血管新生阻害薬の試験に比べ多数の症例が登録されており、また、アジア例が77%、そのうち日本人が多数を占めるという点も特徴的である。主要評価項目であるPFS中央値は、試験治療群で19.4ヵ月、標準治療群で12.4ヵ月、ハザード比は0.591(95%信頼区間0.461~0.760)であり、有意にエルロチニブ+ラムシルマブ併用群が良好な成績であった。探索的に実施されたPFS2の解析でも、ハザード比0.690(95%信頼区間0490~0.972)であった。安全性に関しては、Grade 3以上の有害事象が試験治療群で72%、標準治療群で54%報告されており、両者の違いは多くは高血圧であり、皮膚障害などの有害事象はCTCAE Gradeでは大きな違いを認めなかった。脳転移のない患者集団であることは考慮する必要があるものの、PFSの中央値でオシメルチニブのFLAURA試験と同等の結果が得られたことは、今後明らかになる全生存期間の解析に期待が持たれる結果であった。ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの患者を対象に、試験治療としてゲフィチニブとカルボプラチン+ペメトレキセド療法を併用する治療と、標準治療としてのゲフィチニブを比較するPhase III試験の結果が、インドから報告された。本試験には、Exon 19欠失変異、Exon 21 L858R変異があり、PS 0~2の患者が350例登録された。主要評価項目はPFS、副次評価項目はOS、安全性、奏効割合などであった。本試験に登録された患者の年齢中央値は50代半ばであり、PSに関しては2の患者が21~22%登録されており、わが国で実施されたNEJ009試験とは患者集団が異なる可能性が高い試験である。PFS中央値は試験治療群で16ヵ月、標準治療群で8ヵ月であり、ハザード比0.51(95%信頼区間0.39~0.66)と、良好な成績であった。OSについては試験治療群の中央値は到達しておらず、ハザード比は0.45(95%信頼区間0.31~0.65)であり、副次評価項目ながら併用療法群が良好な結果であった。NEJ009試験で話題となったゲフィチニブ、カルボプラチン+ペメトレキセド療法がPDとなった後のPSや腫瘍量などについての情報は開示されなかったものの、同様にOSを延長する結果が得られたことは評価に値する。ただ、FLAURA試験の結果でオシメルチニブが初回治療で注目されており、オシメルチニブを基本として今回と同様のデザインでどのような結果が得られるか、注目がさらに集まっている。JCOG1210/WJOG7813L試験75歳以上の高齢者を対象として、試験治療としてのカルボプラチン+ペメトレキセド療法と標準治療ドセタキセルと比較したPhase III試験である、JCOG1210/WJOG7813L試験の結果も報告されている。本試験には未治療、PS 0~1の75歳以上の非扁平上皮非小細胞肺がん患者433例が登録され、試験治療としてカルボプラチン+ペメトレキセド併用療法とその後の維持療法が、標準治療としてドセタキセル単剤療法が実施された。主要評価項目はOSの非劣性であり、非劣性マージンはハザード比で1.154に設定された。登録された患者の年齢中央値は78歳、試験治療群では最高87歳、標準治療群では最高88歳の高齢患者が登録されている。OSは中央値で試験治療群が18.7ヵ月、標準治療群が15.5ヵ月、ハザード比は0.850(95%信頼区間は0.684~1.056)であり、カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法のドセタキセルに対する非劣性が証明された。安全性については、試験治療群で貧血が多い傾向にあり、標準治療群で白血球減少、好中球減少が多い傾向を認め、治療関連死はそれぞれ2例ずつ報告されている。FACT-LCを用いたQOL評価では、試験治療群が良いことが示されている。非劣性が証明され、かつ有害事象やQOLでも試験治療群が想定されたとおり良好な結果であったことを受け、カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法とそれに続くペメトレキセド維持療法が、75歳以上の高齢者における標準治療と考えて問題ない結果であった。サブセット、フォローアップ今回、肺がん領域では、主たる結果が発表済みの試験においても盛んにサブセット解析、フォローアップ解析の結果が報告された。IMpower150試験は、進行期非小細胞肺がんにおいて、カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブにアテゾリズマブを上乗せすることの優越性を示したPhase III試験である。本試験ではこれまでのベバシズマブを用いた試験の結果を受け、肝転移の有無が層別化因子に加えられていた。今回報告された肝転移の有無で分けられたサブセット解析では、肝転移を有する症例で、カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ療法に対し、アテゾリズマブを加えることで、PFS、OSのハザード比がそれぞれ0.41(95%信頼区間0.26~0.62)、0.52(95%信頼区間0.33~0.82)と、いずれも明らかに改善していることが認められた。AACRでは、KEYNOTE189試験において、層別化因子には含まれていなかったものの肝転移の有無でのサブセット解析結果が報告されており、同様に肝転移症例でも有効であることが示されている。肝転移症例が予後不良であることはすでに報告されており、この患者集団においてもプラチナ併用療法と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法の意義を示すエビデンスが積み重ねられている。一方、フォローアップデータとしては、KEYNOTE189試験のアップデート、PACIFIC試験のアップデート等が報告され、いずれも良好な傾向が維持されていることが示されている。なかでも注目を集めたのはLate breakingで報告されたKEYNOTE001試験の5年生存のデータである。KEYNOTE001試験は、ペムブロリズマブのPhase I試験であり、この中から同薬の安全性や至適投与量のデータだけでなく、PD-L1のTPSカットオフについての知見も得られている。今回報告された5年生存のデータでは、未治療患者、治療歴のある患者それぞれについて、PD-L1発現別のサブセットを含め長期生存のデータが評価された。5年生存割合は、未治療患者では23.2%、治療歴あるセカンドライン以降の患者では15.5%であった。すでにニボルマブの長期生存のデータが報告されており、既治療の患者集団での成績は大きく異ならない印象であった。一方、未治療の患者における23.2%の5年生存割合はこれまで報告されていなかった情報であり、初回治療から免疫チェックポイント阻害薬を使用する場合の5年生存割合の新たな指標として受け止められる結果であった。PD-L1 TPS別の解析結果でも、PD-L1 50%以上の集団では、未治療、既治療問わず、5年生存割合が25%を超えるという驚くべき結果であった。ただし、Phase I試験のデータであるなど、対象となった患者集団は日常臨床の患者集団とは異なる、具体的にはより状態が良い可能性もあり、この結果が一般臨床でも再現されるかは、今後の追加情報を待つ必要がある。周術期治療NEOSTAR:術前のニボルマブ+イピリムマブ併用療法の有効性と安全性を評価するPhase II試験である。本試験には、切除可能Stage I~IIIA(Single N2)症例44例が登録され、ニボルマブ単剤療法とニボルマブ+イピリムマブ併用療法にランダム化された。主要評価項目はMajor Pathologic Response(<10% viable tumor)とされた。両群併せて手術検体が得られた41例中10例(29%)、ニボルマブ単剤では20%、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法では43%でMPRが達成されていた。有害事象に関しては、ニボルマブ群1例でbronchopleural fistulaとそれに伴う肺臓炎による死亡例が報告されており、それ以外にも、肺臓炎、低酸素血症、低マグネシウム血症、下痢などがGrade 3の有害事象として報告されている。免疫チェックポイント阻害薬による術前導入療法については、本試験以外にも複数実施されており、注目が高まっている。評価手法として用いられたMPRについて、従来からあるpCRを含めた病理学的効果判定の意義や、長期生存のデータとの関連性等について今後さらなる解析が必要と考えられる。JIPANG:Stage II~IIIAの非扁平上皮非小細胞肺がんの術後化学療法として、試験治療としてシスプラチン+ペメトレキセド併用療法を、標準治療であるシスプラチン+ビノレルビン併用療法と比較したPhase III試験である。本試験には、完全切除後のpStage II-IIIAの非扁平上皮非小細胞肺がん患者804例が登録され、性別、年齢、pStage、EGFR遺伝子変異の有無、施設を層別化因子としてランダム化された。主要評価項目は無再発生存期間、副次評価項目はOS、安全性等とされ、優越性試験のデザインで実施された。無再発生存期間の中央値は、試験治療群で38.9ヵ月、標準治療群で37.3ヵ月、ハザード比は0.98(95%信頼区間0.81~1.20)であり、試験治療の優越性は証明されなかった。安全性に関しては、Grade 3以上の有害事象の発生頻度は、試験治療群で47.4%、標準治療群で89.4%であり、試験治療群がより良好な結果であった。確かに優越性は証明されなかったものの、有効性は大まかには同等といえ、かつ安全性においてもシスプラチン+ペメトレキセドが良好な傾向を示したことが、会場でも話題になっていた。分子標的薬今回のASCOではMET阻害薬のデータが複数報告された。capmatinibとtepotinibは従来からMET exon14 skipping変異に対する有効性が報告されており、今回もそのフォローアップならびに追加データが示された。capmatinibに関しては、MET amplificationに対しても開発が進められている。MET阻害薬の発表と同時に、クリゾチニブを中心としたMETに対するTKIの耐性機序についても小数例ながら報告が行われており、EGFR等と並んで耐性機序の克服についても将来的には課題となってくることが示唆された。EGFRについては、通常のEGFR-TKIでは効果が限定されるExon 20 insに対する治療薬である、TAK788のPhase I試験の有効性と安全性が報告された。一方、EGFR等Driver oncogeneに対する治療の耐性因子としてMETに対する治療開発も盛んであり、今回ADCであるTeliso-V、EGFRとc-METのbispecific抗体であるJNJ-61186372についても発表があった。EGFR遺伝子変異陽性患者におけるADCであるTeliso-Vとエルロチニブの併用療法、EGFRとc-METを標的とする抗体療法によって、EGFR遺伝子変異陽性肺がんにおける新たな治療戦略が開拓されることが期待されている。最初に記載したとおり、今回のASCO肺がん領域では、いくつかの重要なPhase III試験の結果発表とともに、免疫チェックポイント阻害薬による術前治療、新たな分子標的薬等、近い将来の標準治療の変革を示唆する情報が多数報告された。今後の各学会、来年のASCOに期待したい。

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日本人非扁平上皮NSCLCへの維持療法、Bev対Bev+Pem(COMPASS)/ASCO2019

 日本人進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者における、カルボプラチン+ペメトレキセド+ベバシズマブ後の維持療法として、ベバシズマブとベバシズマブ・ペメトレキセド併用を比較した第III相COMPASS試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、九州がんセンターの瀬戸 貴司氏が発表した。・対象:化学療法歴のない、Stage IIIB~IV、EGFR野生型または不明の非扁平上皮NSCLC患者(被験者は、カルボプラチン・ペメトレキセド・ベバシズマブ併用3週ごと4サイクルの導入療法実施後、維持療法として、ベバシズマブ群とベバシズマブ・ペメトレキセド併用群に無作為に割り付けられた)・試験群:(維持療法)ベバシズマブ+ペメトレキセド3週ごとPDまで(Bev+Pem群)・対照群:(維持療法)ベバシズマブ3週ごとPDまで(Bev群)・評価項目:[主要評価項目]無作為化後の全生存期間(OS)[副次評価項目]無作為化後の無増悪生存期間(PFS)、1次登録(導入療法開始前)時からのOSとPFS、安全性 1次登録での主な結果は以下のとおり。・2010年9月~2015年9月に、71施設から907例が1次登録され、導入療法が実施された。1次登録からの追跡期間中央値は63.3ヵ月。・1次登録におけるPFS中央値は7.1ヵ月、OS中央値は21.1ヵ月であった。 無作為化後の主な結果は以下のとおり。・導入療法後、599例がBev群とBev+Pem群に無作為に割り付けられ、うち維持療法評価に登録された患者は594例(Bev群295例、Bev+Pem群299例)であった。無作為化後の追跡期間中央値は59.9ヵ月。・無作為化後のOS中央値は、Bev群19.6ヵ月に対しBev+Pem群23.3ヵ月であった(HR:0.87、95%CI:0.73~1.05、p=0.069)。・無作為化後のPFS中央値は、Bev群4.0ヵ月に対しBev+Pem群5.7ヵ月と、Bev+Pem群で有意に改善した(HR:0.67、95%CI:0.57~0.79、p<0.001)。・無作為化後のOSについてサブグループ解析の結果、70歳未満(Bev群19.7ヵ月対Bev+Pem群23.7ヵ月、HR:0.79、95%CI:0.64~0.98、p=0.03)ならびにEGFR野生型(Bev群18.8ヵ月対Bev+Pem群23.3ヵ月、HR:0.82、95%CI:0.68~0.99、p=0.041)において、Bev+Pem群でより改善した。・維持療法におけるGrade3以上の有害事象のうち、Bev+Pem群で多くみられたのは好中球数減少(1.0%対14.0%)、白血球数減少(0.0%対5.4%)であった。高血圧については、Bev群16.6%、Bev+Pem群11.7%であった。新たな有害事象のプロファイルはみられなかった。 Bev+Pemによる維持療法は、Bev単剤に比べPFSを延長し、また、70歳未満およびEGFR野生型患者においてはOSを有意に改善した。瀬戸氏は、カルボプラチン・ペメトレキセドベースの1次治療において、ペメトレキセドによる継続維持療法は外せないと結論付けている。

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Stage I NSCLCにおける術後補助化学療法の効果/ASCO2019

 StageIの非小細胞肺がん(NSCLC)には異質性があり、再発を来すケースがある。しかし、これらの集団に対する術後補助化学療法には議論の余地がある。広島大学の津谷 康大氏らは、再発リスクによる病理StageI(pStage I)のNSCLCの術後補助化学療法の効果を分析し、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。 肺葉手術で完全切除したpStageI NSCLC 1,278例を分析対象とした。再発高リスクはCox比例ハザードモデルにより、腫瘍径(浸潤径)2cm超、リンパ管侵襲あり、血管侵襲あり、臓側胸膜浸潤ありと定義した。評価項目は無再発生存期間(RFS)、全生存期間(OS)、がん特異的生存期間(CSS)とした。 主な結果は以下のとおり。[高リスク群と低リスク群の予後]・5年RFSは低リスク群96.0%、高リスク群76.7%(HR:6.62、95%CI:4.18~11.10、p<0.0001)、5年OSは低リスク群96.0%、高リスク群85.7%(HR:3.99、95%CI:2.39~7.03、p<0.0001)と、いずれも高リスク群で不良であった。[術後補助化学療法の効果]低リスク群・5年RFSは術後補助化学療法群98.1%、観察群95.7%(HR:0.47、95%CI:0.07~1.67、p=0.30)、5年OSは術後補助化学療法群98.0%、観察群95.6%(HR:0.50、95%CI:0.08~1.81、p=0.35)、5年CSSは補助療法群100%、観察群99.4%(HR:NA、p=0.52)と、いずれも統計学的な差は示さなかった。高リスク群・5年RFSは術後補助化学療法群81.4%、観察群73.8%(HR:0.63、95%CI:0.41~0.93、p=0.023)、5年OSは術後補助化学療法群92.7%、観察群81.7%(HR:0.28、95%CI:0.13~0.53、p<0.0001)、5年CSSは術後補助化学療法群95.0%、観察群89.5%(HR:0.34、95%CI:0.13~0.77、p=0.012)と、いずれも術後補助化学療法で有意に良好であった。・高リスク群における化学療法をプラチナダブレットと単剤化学療法(以下、単剤)で比較したところ、5年RFSはプラチナダブレット群72.8%、単剤群83.3%(HR:1.45、95%CI:0.72~2.94、p=0.29)、5年OSはプラチナダブレット群72.8%、単剤群83.3%(HR:0.69、95%CI:0.32~4.98、p=0.69)と統計学的な差は認められなかったが、5年CSSについてはプラチナダブレット群89.9%、単剤群98.4%と単剤で良好であった(HR:8.92、95%CI:1.40~172.80、p=0.018)。 同氏らは、腫瘍径(浸潤径)2cm超、リンパ管侵襲あり、血管侵襲あり、臓側胸膜浸潤ありは再発高リスク因子であること、術後補助化学療法は高リスク患者の生存を改善すること、pStageIのNSCLCにおける単剤化学療法と比べたプラチナダブレットの生存改善は認められなかったことを結論として示した。

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局所進行NSCLCにおけるCCRT+アテゾリズマブの評価(DETERRED)/ASCO2019

 デュルバルマブが局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)の化学放射線同時併用療法(CCRT)後の地固め療法の新たなスタンダードとなるなど、CCRTと免疫療法の併用によるサバイバルの改善が期待されている。そのような中、StageII~IIIのNSCLCにおいて、CCRTとアテゾリズマブの併用(地固めおよび維持療法)とCCRT単独を比較する第II相臨床試験DETERREDが実施された。その結果を米国・MDアンダーソンがんセンターのSteven H. Lin氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。 同試験の対象は手術不能でPS2以下、StageII~IIIの局所進行NSCLC患者40例。患者のステージは、StageIIが15%、IIIAが50%、IIIBが35%、組織型は腺がん58%、扁平上皮がん35%、分類不能が7%であった。 登録患者は40例で、パート1(10例)、パート2(30例)に割り付けられた。パート1はCCRT(カルボプラチン+パクリタキセル+放射線、毎週)後に地固め化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)+アテゾリズマブ3週ごとを2サイクル、さらにその後に維持療法として1年以内のアテゾリズマブを3週ごと。パート2はCCRT(パート1と同様)+アテゾリズマブ後に地固め化学療法(パート1と同様)+アテゾリズマブ3週ごとを2サイクル、さらにその後に維持療法として1年以内のアテゾリズマブ3週ごとという投与方法である。主要評価項目は安全性、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、Grade3以上の放射線肺臓炎など。 Grade3以上の有害事象発現頻度はパート1が60%、パート2が67%、試験薬の投与中止につながった有害事象発現頻度はそれぞれ30%、17%、Grade3以上のアテゾリズマブに関係する免疫関連有害事象の発現頻度はそれぞれ30%、20%だった。 PFS中央値はパート1が18.6ヵ月、パート2が13.2ヵ月、OS中央値はパート1が22.8ヵ月、パート2が未到達であった。

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終末期14日間の化学療法、5%未満に減少/JCO

 終末期(end of life、以下EOL)がん患者の積極的治療について、わが国でも高齢者においては中止を支持する機運が醸成されつつあるのではないだろうか。米国ではEOL化学療法は、最も広く行われている、不経済で、不必要な診療行為として、ベンチマーキングで医師のEOL14日間の化学療法使用を減らす取り組みが行われている。その結果、同施行は2007年の6.7%から2013年は4.9%に減少したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのPenny Fang氏らによる調査の結果、明らかになった。著者は、「首尾よく5%未満に減少した。この結果を現行のEOLオンコロジー戦略に反映することで、さらに高レベルのEOLの実践が期待できるだろう」と述べている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年5月29日号の掲載報告。 研究グループは全米のEOL化学療法と標的療法の最近の傾向を評価するため、SEER-Medicareデータベースを用いて、2007~13年に乳がん(1万9,887例)、肺がん(7万9,613例)、大腸がん(2万9,844例)、前立腺がん(1万7,910例)で死亡した65歳以上の患者について、EOL14日間の化学療法の使用に関するガイドラインベンチマーク指標を評価した。 EOL6ヵ月間の各タイムポイントでの化学・標的療法の非ベンチマーク指標を比較アウトカムとし、Cochran-Armitage検定法で時間的傾向を評価。また、医師レベルによるEOL化学療法の使用のばらつきを、マルチレベル・ロジスティックモデルおよび級内相関係数(ICC)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・EOL14日間の化学療法は、2007年6.7%から2013年は4.9%まで減少した(傾向のp<0.001、Δ=-1.8%)。・同様の減少傾向は、EOL1ヵ月間(傾向のp<0.001、Δ=-1.8%)および同2ヵ月間(傾向のp<0.001、Δ=-1.3%)にも認められた。・対象的に、EOL4~6ヵ月間の化学療法使用は増加していた(傾向のp≦0.04、Δ=0.7→1.7%)。・EOL6ヵ月間で化学療法を受けた患者は、全体の43.0%であった。・EOL6ヵ月間のすべてのタイムポイントの標的療法の頻度は、2007~13年にわずかだが安定的に上昇していた(傾向のp=0.09~0.82、Δ=-0.2→1.8%)・標的療法を受けた患者は、EOL14日間で1.2%、同1ヵ月間で3.6%であった。同6ヵ月間では13.2%であった。・マルチレベルモデルの評価(ICC法による)において、医師レベルに起因すると考えられるEOL14日間の化学療法のばらつきは5.19%であった。

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サルコペニアは肺がん患者の約半数に合併し、OSを短縮する/Chest

 健康寿命を延ばすキーワードの1つとして注目されるようになったサルコペニア(骨格筋減少)だが、疾患予後との関連も注目されている。中国・四川大学のMing Yang氏らは、さまざまな報告がある肺がん患者の予後との関連について、コホート研究のメタ解析を行い、サルコペニアは、肺がん患者の約2人に1人と非常に多く認められること、小細胞肺がん(SCLC)患者および種々のStageの非小細胞肺がん(NSCLC)患者で全生存期間(OS)不良の重要な予測因子であることを明らかにした。Chest誌オンライン版2019年5月22日号の掲載報告。 研究グループは、肺がん患者におけるサルコペニアの予後に及ぼす影響を評価する目的で、MEDLINE、EmbaseおよびCochrane Central Register of Controlled Trialsを用い、2018年7月23日までに発表された後ろ向きまたは前向きコホート研究を特定し、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。 個々の研究のバイアスリスクの評価には、Quality in Prognosis Study(QUIPS)を用いた。異質性および出版バイアスを調べ、サブグループ解析および感度解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・13件(計1,810例)の研究が解析に組み込まれた。・サルコペニアの有病率は、NSCLC患者で43%、SCLC患者で52%であった。・サルコペニアは、肺がん患者のOS不良と関連していた(HR:2.23、95%CI:1.68~2.94)。・この関連は、NSCLC(HR:2.57、95%CI:1.79~3.68)およびSCLC(HR:1.59、95%CI:1.17~2.14)のいずれにおいても認められた。・サルコペニアはNSCLCにおいて、StageI~II(HR:3.23、95%CI:1.68~6.23)およびStageIII~IV(HR:2.19、95%CI:1.14~4.24)における、OS不良の独立予測因子であった。・しかしながら、サルコペニアはNSCLC患者の無病生存(DFS)の独立予測因子ではなかった(HR:1.28、95%CI:0.44~3.69)。

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ABCP療法、肺がん肝転移例に良好な結果(IMpower150)/ASCO2019

 非小細胞肺がん(NSCLC)のうち化学療法未治療の肝転移を有する非扁平上皮がんでは、ベバシズマブ・化学療法併用にアテゾリズマブを追加することで、ベバシズマブ・化学療法併用に比べ、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を有意に延長することがわかった。NSCLCを対象に行った無作為化オープンラベル第III相試験IMpower150の試験開始時に規定した探索的解析に基づき、米AdventHealth Cancer InstituteのMark A. Socinski氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。ABCP療法は肝転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がんで重要な選択肢 IMpower150は、化学療法未治療の切除不能な進行・再発の非扁平上皮NSCLC患者1,202例を対象に、アテゾリズマブ+ベバシズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(ABCP群)、アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(ACP群)、ベバシズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(BCP群)の効果と安全性を評価した。 Impower150試験開始時の肝転移例は162例。各群の肝転移例はABCP群が52例、ACP群が53例、BCP群が57例で、試験開始時の肝転移例での患者背景は3群間で差はなかった。 肝転移例のPFS中央値はABCP群が8.2ヵ月、ACP群が5.4ヵ月、BCP群が5.4ヵ月でBCP群に対するABCP群のハザード比(HR)は0.41(95%CI:0.26~0.62)、OS中央値はABCP群が13.3ヵ月、ACP群が8.9ヵ月、BCP群が9.4ヵ月でBCP群に対するABCP群のHRは0.52(95%CI:0.33~0.82)と、いずれもBCP群に対してABCP群で改善が認められた。 肝転移例での全奏効率はABCP群が60.8%、ACP群が26.9%、BCP群が41.1%、奏効期間中央値はそれぞれ10.7ヵ月、5.6ヵ月、4.6ヵ月であった。 Grade3~4の治療関連有害事象発現率はABCP群、ACP群、BCP群でそれぞれ、52.1%、36.5%、54.5%だった。 Socinski氏は「アテゾリズマブ+ベバシズマブ+カルボプラチン+パクリタキセルは、肝転移を有する非扁平上皮NSCLCで重要な治療選択肢となる」との見解を強調した。

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NSCLC1次治療、ペムブロリズマブ+化学療法のOS、PFS2(KEYNOTE-189)/ASCO2019

 未治療の転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)での1次治療としてのペムブロリズマブとプラチナベースの化学療法の併用は、化学療法のみと比べ、PD-L1発現レベルにかかわらず、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、2次治療までの無増悪生存期間(PFS2)を約2倍に有意に改善することがプラセボ対照無作為化二重盲検第III相試験KEYNOTE-189の解析結果から明らかになった。米Karmanos Cancer InstituteのShirish M. Gadgee氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。 同試験の対象は、再発・転移のある無治療のStageIV非扁平上皮NSCLC患者616例。登録患者は、ペムブロリズマブ(200mg 3週ごと最大35サイクル)+化学療法(カルボプラチンAUC5またはシスプラチン75mg/m2+ペメトレキセド500mg/m2の3週ごと4サイクル後、ペメトレキセド500mg/m2 3週ごと)群410例とプラセボ+化学療法(ペムブロリズマブ併用群と同一用法用量)群206例に無作為に割り付けられた。 主要評価項目はOS、PFS、副次評価項目は客観的奏効率(ORR)、奏効期間、安全性、予備的評価項目としてPFS2であった。今回はデータカットオフ日2018年9月21日、試験の追跡期間中央値が23.1ヵ月(生存者の追跡期間中央値は18.7ヵ月)の発表。 OS中央値はペムブロリズマブ+化学療法群22.0ヵ月、プラセボ+化学療法群10.7ヵ月であった(HR:0.56、95%CI:0.45~0.70)。PFS中央値はペムブロリズマブ+化学療法群9.0ヵ月、プラセボ+化学療法群4.9ヵ月であった(HR:0.48、95%CI:0.40~0.58)。 ORRはペムブロリズマブ+化学療法群48.0%、プラセボ+化学療法群19.4%であった。PFS2中央値はペムブロリズマブ+化学療法群17.0ヵ月、プラセボ+化学療法群9.0ヵ月であった(HR:0.49、95%CI:0.40~0.59)。 TPS別のOS中央値のHRはTPS50以上が0.59、TPS1~49が0.62、TPS1未満が0.52、PFS中央値のHRはTPS50以上が0.36、TPS1~49が0.51、TPS 1未満が0.64、PFS2はTPS1未満が0.52、PFS中央値のHRはTPS50以上が0.47、TPS1~49が0.59、TPS 1未満が0.46であった。TPS別のORRは、TPS50以上でペムブロリズマブ+化学療法群62.1%、プラセボ+化学療法群24.3%、TPS1~49でそれぞれ49.2%、20.7%、TPS1未満ではそれぞれ32.3%、14.3%だった。 全有害事象発現率はペムブロリズマブ+化学療法群99.8%、プラセボ+化学療法群99.0%。免疫関連有害事象およびインジェクションリアクションの発現率は、ペムブロリズマブ+化学療法群26.4%、プラセボ+化学療法群12.9%であった。 Gadgee氏はこの結果について「ペムブロリズマブ+化学療法はPD-L1の発現有無にかかわらず、転移を有する非扁平上皮NSCLCのアウトカムを最大化させる1次治療の一つと位置付けるべき」との見解を強調した。

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肺がん患者の7割が合併。食欲不振など悪液質の実態

 がん悪液質は、がん克服の重要な課題の1つとされており、肺がんでは死亡率上昇との関連も指摘されている。悪液質の定義と分類については2011年に、主に体重減少、サルコペニア(骨格筋量減少)、炎症および食欲不振に基づくものとの国際的なコンセンサスが発表されているが、フランス・パリ・サクレー大学のSami Antoun氏らは、非小細胞肺がん患者について初となるFearon基準に基づく分類を試みた。その結果、Fearon悪液質ステージ分類と、QOLの機能尺度および身体活動レベルはリンクしており、早期の悪液質を臨床的に検出するのに役立つ可能性が示されたという。Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle誌オンライン版2019年4月1日号掲載の報告。非小細胞肺がん患者がFAACT質問票の食欲不振/悪液質サブスケールに回答 研究グループは、Fearonらの基準と定量化パラメータを用い、非小細胞肺がん患者の悪液質のステージ分類を行う目的で、横断的な非介入の多施設共同研究を行った。非小細胞肺がん患者集団における悪液質の分布と、非小細胞肺がんの分子異常と悪液質の関連を示す初の研究である。 L3のCTスキャンにて骨格筋量を評価するとともに、患者にFAACT(Functional Assessment of Anorexia/Cachexia Therapy)質問票の食欲不振/悪液質サブスケール、EORTC QLQ-C30、および国際標準化身体活動質問票(International Physical Activity Questionnaire:IPAQ)に回答してもらい、分析評価した。 非小細胞肺がん患者の食欲不振など悪液質を調査した主な結果は以下のとおり。・56施設から非小細胞肺がん患者531例が登録され、312例が骨格筋量の測定を受けた。・非小細胞肺がん患者背景は、男性が66.5%で、平均年齢は65.2、79.9%がPS 0~1で、StageIIIB/IVが87.3%と大半を占めた。・非小細胞肺がん患者の38.7%が悪液質、33.8%が前悪液質、0.9%が不応性悪液質であった。・腫瘍の分子プロファイルは、悪液質の存在と有意に関連した。・EGFR、ALK、ROS1、BRAFまたはHER2陽性患者では悪液質の併存が23.9%であったが、K-RAS陽性では41.4%、分子異常のない患者では43.2%であった(p=0.003)。・悪液質のステージが進行しているほど、QOL(p<0.001)とIPAQ(p<0.001)の機能尺度が低下した。・サルコペニアは、悪液質の66.7%、および前悪液質患者の68.5%にみられた。・前悪液質の非小細胞肺がん患者の43.8%は、わずかな体重減少(2%以下)を伴うサルコペニアのみで、食欲不振はなかった。

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MET阻害薬tepotinibのMETΔex14変異NSCLCに対する効果(VISION)/ASCO2019

 METエクソン14スキッピング変異(METΔex14)は非小細胞肺がん(NSCLC)の3~4%にみられる。tepotinibはMET受容体チロシンキナーゼ(c-MET)に高い選択性を有するMET-TKIであり、わが国でも非小細胞肺がんに対する先駆け審査指定制度対象品目に指定されている。VISION試験は、MET遺伝子変異を有するNSCLCに対するtepotinibの第II相シングルアーム試験で、コホートA(MET△ex14対象)とコホートB(MET増幅対象)に分かれる。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)ではコホートAの結果について発表された。・対象:StageIIIB/IVのMETΔex14(MET遺伝子増幅/遺伝子コピー数にかかわらない)NCSLC患者・介入:tepotinib(500mg/日)・評価項目:[主要評価項目]独立判定委員会評価(IRC)による全奏効率(ORR)[副次評価項目]治験担当医によるORR、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOLtepotinibによるDOR中央値は14.3ヵ月 tepotinibのMETΔex14変異NSCLCに対する効果を評価した主な結果は以下のとおり。・105例のMETΔex14患者が登録され、87例がtepotinibの治療を受けた。・IRC評価のORRは、リキッドバイオプシーによる陽性患者では50.0%、組織生検による陽性患者では45.1%であった。・治験担当医評価のORRは、リキッドバイオプシーによる陽性患者では55.3%、組織生検による陽性患者では45.1%であった。・DOR中央値は14.3ヵ月であった。・IRC評価のPFS中央値は、リキッドバイオプシーによる陽性患者では9.5ヵ月、組織生検による陽性患者では10.8ヵ月でであった。・治験担当医評価のPFS中央値は、リキッドバイオプシーによる陽性患者では9.5ヵ月、組織生検による陽性患者では12.2ヵ月であった。・tepotinibによる全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)発現率は81.6%、Grade3の発現率は19.5%で、Grade4以上のものはなかった。頻度の高いものは末梢浮腫、悪心、下痢などであった。・TRAEによる治療中止は4例であった。

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