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オシメルチニブのEGFR陽性非小細胞肺がんアジュバントによるDFS改善、最終解析でも維持(ADAURA)/JCO

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法の第III相ADAURA試験。初回解析では、オシメルチニブとプラセボの臨床的に有意な無病生存率(DFS)の利点が実証された(DFSハザード比[HR]:0.20、99.12%信頼区間[CI]:0.14~0.30、p<0.001)。Journal Of Clinical Oncology誌オンライン版2023年1月31日号では、DFSの最終的な分析データが発表されている。・対象:EGFR変異陽性(ex19del/L858R)のStageIB/II/IIIAの完全切除された非扁平上皮NSCLC患者(術後化学療法は許容)・試験群:オシメルチニブ80mg/日 最大3年間治療・対照群:プラセボ・評価項目:[主要評価項目]治験担当医師評価によるStageII/IIIA患者のDFS、推定HR=0.70[副次評価項目]全集団のDFS、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL[事前に指定された探索的研究]再発パターン、中枢神経系病変(CNS)の再発または死亡(CNS DFS) 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2022年4月11日)、StageII〜IIIA集団の追跡期間中央値は、オシメルチニブ群44.2ヵ月、プラセボ群19.6ヵ月であった。・主要評価項目であるStageII~IIIAのDFS HRは0.23(95%CI:0.18〜0.30)、4年DFS率はオシメルチニブ群70%、プラセボ群29%であった。・全集団のDFS HRは0.27(95%CI:0.21〜0.34)、4年DFS率はオシメルチニブ群73%、プラセボ群38%であった。・StageII~IIIAの頭蓋内DFSのHRは0.24(95%CI:0.14〜0.42)であった。・オシメルチニブの長期安全性プロファイルは、初回解析と一致していた。

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扁平上皮非小細胞肺がん、ペムブロリズマブ+化学療法1次治療5年アップデート(KEYNOTE-407)/JCO

 転移を有する扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブ+化学療法による1次治療の第III相試験KEYNOTE-407の5年追跡結果が発表された。持続的な有効性と安全性が報告されている。KEYNOTE-407の5年アップデートでOSはより改善対象:転移を有する未治療の扁平上皮NSCLC試験薬群:ペムブロリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル/nab-パクリタキセル(3週間ごと4サイクル)→ペムブロリズマブ35サイクルまで(n=278)対照薬群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル/nab-パクリタキセル(3週間ごと4サイクル)→プラセボ35サイクルまで(n=281)・評価項目[主要評価項目]:盲検独立中央審査(BICR)評価の全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]:BICR評価の客観的奏効率、奏効期間、安全性など KEYNOTE-407の5年アップデートの主な結果は以下のとおり。・無作為化からデータベースのカットオフまでの期間中央値は、56.9ヵ月であった。・OSは、プラセボ+化学療法群に比べ、ペムブロリズマブ+化学療法群でより改善された(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.59~0.85)。5年OS率はそれぞれ、18.4%と9.7%であった。・PFSは、プラセボ+化学療法群に比べ、ペムブロリズマブ+化学療法群でより改善された(HR:0.62、95%CI:0.52〜0.7)。5年PFS率はそれぞれ、10.8%と3.5%であった。・OSおよびPFSのHRは、PD-L1レベル(TPS)を問わず、ペムブロリズマブ+化学療法群で良好であった。・毒性は管理可能であった。・ペムブロリズマブ35サイクル投与を完了した55例の客観的奏効率は90.9%、35サイクル完了後の3年(無作為割付後からは約5年)OS率は69.5%であった。

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ソトラシブ、KRASG12C変異陽性NSCLCのPFSを延長/Lancet

 既治療のKRASG12C変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、KRASG12C阻害薬ソトラシブは標準治療であるドセタキセルと比較して、無増悪生存期間(PFS)を延長し、安全性プロファイルも優れることが、オランダがん研究所のAdrianus Johannes de Langen氏らが実施した「CodeBreaK 200試験」で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2023年2月7日号で報告された。22ヵ国148施設の実薬対照第III相試験 CodeBreaK 200試験は、日本を含む22ヵ国148施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2020年6月~2021年4月の期間に患者の登録が行われた(Amgenの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、KRASG12C変異を有する進行NSCLCで、プラチナ製剤を用いた化学療法か、PD-1またはPD-L1阻害薬による前治療後に病勢が進行した患者であった。 被験者は、ソトラシブ(960mg、1日1回、経口)またはドセタキセル(75mg/m2、3週ごと、静脈内)の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目はPFSであり、盲検下の独立した中央判定によりintention-to-treat解析が行われた。 345例が登録され、ソトラシブ群に171例(年齢中央値64.0歳[範囲:32~88]、男性63.7%、脳転移の既往34%)、ドセタキセル群に174例(64.0歳[35~87]、54.6%、35%)が割り付けられた。それぞれ169例(99%)、151例(87%)が少なくとも1回の試験薬の投与を受けた。ドセタキセル群のうち、最終的に59例(34%)がKRASG12C阻害薬を投与された(ソトラシブ群へのクロスオーバーが46例、試験薬中止後の後治療としての投与が13例)。全奏効率、奏効期間、QOLも良好 全体の追跡期間中央値は17.7ヵ月(四分位範囲[IQR]:16.4~20.1)で、治療期間中央値はソトラシブ群が19.9週(範囲:0.4~101.3)、ドセタキセル群は12.0週(3.0~101.0)であった。 PFS中央値は、ドセタキセル群の4.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:3.0~5.7)に比べ、ソトラシブ群は5.6ヵ月(4.3~7.8)と、統計学的に有意に長かった(ハザード比[HR]:0.66、95%CI:0.51~0.86、p=0.0017)。1年PFS率はソトラシブ群が24.8%、ドセタキセル群は10.1%だった。 全奏効率は、ドセタキセル群13.2%に比し、ソトラシブ群28.1%であり、有意な差が認められた(群間差:14.8%、95%CI:6.4~23.1、p<0.001)。奏効までの期間はソトラシブ群で短く(1.4ヵ月vs.2.8ヵ月)、奏効期間はソトラシブ群で長かった(8.6ヵ月vs.6.8ヵ月)。全生存(OS)率は両群間に差がなく(HR:1.01、95%CI:0.77~1.33、p=0.53)、OS中央値はソトラシブ群が10.6ヵ月、ドセタキセル群は11.3ヵ月だった。 ソトラシブ群は忍容性も良好で、ドセタキセル群に比べGrade3以上の有害事象(56例[33%]vs.61例[40%])および重篤な治療関連有害事象(18例[11%]vs.34例[23%])の割合が低かった。 最も頻度の高いGrade3以上の治療関連有害事象は、ソトラシブ群が下痢(20例[12%])、ALT値上昇(13例[8%])、AST値上昇(9例[5%])であり、ドセタキセル群は好中球数減少(13例[9%])、倦怠感(9例[6%])、発熱性好中球数減少(8例[5%])であった。患者報告アウトカム(QOL[全般的健康、身体機能]、症状[呼吸困難、咳嗽、胸痛])は、全般にソトラシブ群で良好だった。 著者は、「これらの知見は、ソトラシブが、予後不良でアンメットニーズの高いこの患者集団における新たな治療選択肢となることを示すものである」としている。

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痛みの原因はがんとは限らない【非専門医のための緩和ケアTips】第46回

第46回 痛みの原因はがんとは限らないどの分野でも診断は大切ですが、緩和ケアでも同様に大切です。診断なくして適切な症状緩和なし! です。といっても、なかなか診断が難しいときも多いのですが、今回はそのような緩和ケアにまつわる診断エラーの話題です。今日の質問進行した大腸がん患者が腹痛を訴え、オピオイドのレスキューを使ってもらったのですが、改善がないということで往診の依頼がありました。これまで良好な疼痛緩和ができていたため、おかしいと思い診察したら、何と尿閉になっておりました。もともと腹水もあって腹部が膨隆していたので気付きにくかったのですが、危うく見逃すところでした。がん患者で注意すべき、痛みの原因になる非がん疾患はどのようなものがあるのでしょうか?今回質問をいただいた先生は、丁寧な診察もあって気付くことができたのでしょう。「腹痛の原因ががんではなく、尿閉だった」というのは、時々経験することです。とくに今回の腹水のように、診断に影響を与える修飾因子がある場合は、さらに疑うことが難しくなります。そうした意味では、今回の例はよく気付いた、といえるでしょう。後から言われれば簡単なことに思えるかもしれませんが、現場できちんと疑うのは難しいものです。最近では「診断エラー」の話題が取り上げられることが増えてきました。誤診の要因やうまく診断できなかった事例を分析して防止策を考えるのが診断エラー学の分野です。緩和ケア領域における診断エラーは、まとまった知見はないと思いますが、今回のように終末期に近くなると多くの症状が複雑に絡むため、診断エラーが生じる要素も増えます。私の経験では、同様に腹痛に対してオキシコドンを使用していた患者さんに、尿閉が生じたことがありました。実は、オピオイドであまり知られていない副作用に尿道括約筋の収縮による尿閉があるのです。そういった意味では尿閉は遭遇する可能性が比較的高い疾患なのです。ほかに気を付けたい痛みの伴う非がん疾患としては、高齢患者も多いため筋骨格系の疾患が挙げられます。変形性関節症はもちろん、ベッド上で動けないことによる関節の拘縮なども痛みの原因になります。褥瘡も心配する必要がありますし、知らない間に病的骨折をしていた、ということもあります。後は、診察しないとわからない帯状疱疹といった原因もあります。まずは、患者さんが痛みを訴えている部位をきちんと診察することが基本です。こうしてみると、緩和ケアには一般的な診断と治療の知識も大切だとわかります。主に内科的な知識ですが、しっかり勉強を続けることが求められます。今回のTips今回のTipsがん患者の痛みの原因として、非がん疾患も忘れない。

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免疫チェックポイント阻害薬の開始後6日目に出現した全身倦怠感【見落とさない!がんの心毒性】第18回

※本症例は、実臨床のエピソードに基づく架空のモデル症例です。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。2014年9月のニボルマブの販売開始から8年半が経過した2023年2月現在、本邦では6種類の免疫チェックポイント阻害薬(ICIs:immune checkpoint inhibitors)が承認されています。これまで、再発、遠隔転移、難治性、切除不能のがん症例に対しては、悪性黒色腫を皮切りに、肺、消化管、乳腺、腎・尿路、子宮、リンパ腫、頭頚部、原発不明のがんに承認されてきました。近年は根治性を高め、再発・転移を予防する目的で、悪性黒色腫、腎細胞がん、非小細胞肺がん、トリプルネガティブ乳がんにおいて適応が拡大しています。ICIsは今やがん薬物療法における標準治療薬の地位を確立しつつあります。一方で、思いがけない副作用で大変な思いをする患者さんもいます。今回、その一例をご紹介しましょう。《今回の症例》70代・男性。進行期食道がんに対し、ペムブロリズマブ、シスプラチンおよび5-FUによる化学療法開始後6日目に嘔気と全身倦怠感を訴えた。既往歴特記すべきことなし。現症血圧80/56mmHg、脈拍110/分・整、体温35.5℃、SpO2 96%(室内気)、冷汗をかいている。心音でIII音を聴取する。呼吸音に異常はない。腹部は平坦・軟で、圧痛はない。下腿浮腫は認めない。検査所見[血液検査]白血球 1万1,500/μL、赤血球466万/μL、ヘモグロビン15.3g/dL、血小板36.1万/μL[血液生化学]総蛋白6.1g/dL、アルブミン2.7g/dL、AST 21U/L、ALT 17U/L、LDH 139U/L、総ビリルビン0.6 mg/dL、CPK 314U/L(正常値59~248U/L)、Na 131mEq/L、K 5.0mEq/L、Cl 97mEq/L、クレアチニン 0.95mg/dL、尿素窒素21mg/dL、CRP 2.16mg/dL、SCC 6.6ng/mL(正常値2.0ng/mL未満)、心筋トロポニンI 178pg/mL(正常値26.2pg/mL未満)、NT-proBNP 1,560pg/mL(心不全除外のカットオフ値125pg/mL未満)、血糖値180mg/dL、TSH 2.5μU/mL、FT4 1.3ng/dL、コルチゾール 23.6μg/dL(正常値6.2~18.0μg/dL)治療開始前と心不全発症時の12誘導心電図と、発症時の経胸壁心エコー図(左室長軸像)を以下に示す。治療開始前と心不全発症時の12誘導心電図画像を拡大する発症時の経胸壁エコー図(左室長軸像)画像を拡大する※所見(1)~(3)は解説をご覧ください【問題】本症例は免疫関連有害事象(irAE:immune-related Adverse Events)による急性心不全と診断された。本症例のirAEついて正しいものを選べ。a.患者数は増加傾向にある。b.ICIs投与後1ヵ月以内の発症はまれである。c.本症例の心電図には予後不良の所見を認める。d.本症例の心エコー図所見は当irAEのほとんどの症例で認められる。e.診断したら速やかにステロイドパルス療法を開始する。今日、がん薬物療法においてICIsは多くのがん種で標準治療薬としての地位を確立しています。適応は進行がんのみならず術後補助化学療法にも拡大してきており、近い将来、がん患者の40%以上が免疫療法の対象となる可能性が指摘されています10)。早期発見、ICIs中止、かつステロイドパルス療法が救命のポイントですが、一部の医師だけによる場当たり的な対応には限界があります。“がん治療に携わる医師が心筋炎を疑い、循環器医が遅滞なく診断をし、速やかに患者をICUに収容し、厳重な循環監視(または補助)下でステロイドパルス療法を開始する”という、複数の診療科間と病院間の連携体制を事前に確立しておく必要があります11)。腫瘍循環器領域を担う医師は、ICIs関連心筋炎患者の救命のための連携体制を構築すべく、リーダーシップを発揮することが期待されています。心筋炎の検査体制が整備されるにつれ、きちんと診断される患者が増え、適切な治療により本疾患による死亡率が低下することを期待しましょう。1)Mahmood SS, et al. J Am Coll Cardiol. 2018;71:1755-1764.2)Furukawa A, et al. J Cardiol. 2023;81:63-67.3)Salem JE, et al. Lancet Oncol. 2018;19:1579-1589.4)Hasegawa S, et al. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2020;29:1279-1294.5)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022:43:4229-4361. 6)Power JR, et al. Circulation. 2021;144:1521-1523. 7)Awadalla M, et al. J Am Coll Cardiol. 2020;75:467-478. 8)Zhang L, et al. Circulation. 2020;141:2031-2034.9)Axelrod ML, et al. Nature. 2022;611:818-826.10)Haslam A, et al. JAMA Netw Open. 2019;2:e192535.11)大倉裕二ほか. 新潟県医師会報2023年2月号. 診療科の垣根を越えてノベル心筋炎に備える.講師紹介

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部位別がんの5年相対生存率

がんの5年相対生存率(部位別・男女別)34.1脳・中枢神経系甲状腺(%)37.491.360.7口腔・咽頭69.481.881.7喉頭40.6食道45.967.564.6胃72.470.1大腸肝および肝内胆管胆のう・胆管膵臓肺22.18.98.126.836.235.129.5男性94.494.692.3乳房子宮頸部76.5子宮体部81.3卵巣60.099.1前立腺膀胱63.0腎・尿路悪性リンパ腫白血病女性46.8皮膚多発性骨髄腫95.841.976.570.464.866.468.643.643.444.95年相対生存率:あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表した値全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.がんの5年相対生存率(部位別・進行度別)口腔・咽頭13.953.514.554.0喉頭食道胃胆のう・胆管膵臓肺80.451.661.028.52.995.773.292.559.323.9前立腺甲状腺95.766.820.153.49.599.390.022.5卵巣腎・尿路98.139.3子宮体部遠隔65.816.5子宮頸部領域83.531.16.4乳房膀胱限局42.112.4皮膚97.375.317.315.43.11.896.751.96.6大腸肝および肝内胆管93.733.710.0(%)86.638.053.612.447.0100.099.287.394.395.7100.05年相対生存率:あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表した値※限局:最初にがんが発生した臓器(原発臓器)にがんが限局/領域:所属リンパ節(原発臓器と関連するリンパ節)転移または隣接臓器への浸潤(がんの広がり)あり/遠隔:遠隔臓器、遠隔リンパ節などに転移・浸潤あり全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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2cm以下末梢型NSCLC、縮小手術vs.肺葉切除術/NEJM

 腫瘍径2cm以下で病理学的に肺門・リンパ節転移陰性が確認された末梢型非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する縮小手術は、無病生存に関し、肺葉切除術に対し非劣性であることが示された。全生存は同等だった。腫瘍径が小さなNSCLCの検出率の上昇に伴い、肺葉切除から縮小手術へと再び関心が移っている中、米国・New York-Presbyterian病院のNasser Altorki氏らが、697例を対象に行った第III相多施設共同非劣性試験の結果で、NEJM誌2023年2月9日号で発表された。主要エンドポイントは無病生存、副次エンドポイントは全生存、再発など 研究グループは、2007年6月~2017年3月にかけて、臨床病期T1aN0(腫瘍径2cm以下)のNSCLC患者について、術中にリンパ節転移陰性を確認したうえで無作為に2群に割り付け、縮小手術または肺葉切除術をそれぞれ実施した。 主要エンドポイントは無病生存で、無作為化から疾患再発または全死因死亡までの期間と定義した。副次エンドポイントは、全生存、局所再発と全身再発、肺機能だった。5年全生存率、縮小手術群80%、肺葉切除術群79% 被験者数は697例、縮小手術を受けたのは340例、肺葉切除術は357例が受けた。 追跡期間中央値7年時点で、無病生存率について、縮小手術は肺葉切除術に対し非劣性を示した(疾患再発・死亡のハザード比[HR]:1.01、90%信頼区間[CI]:0.83~1.24)。全生存率も、縮小手術群と肺葉切除術群で同程度だった(死亡のHR:0.95、95%CI:0.72~1.26)。 5年無病生存率は、縮小手術群が63.6%(95%CI:57.9~68.8)、肺葉切除術群が64.1%(58.5~69.0)で、5年全生存率は、それぞれ80.3%(75.5~84.3)と78.9%(74.1~82.9)だった。 局所再発率と遠隔再発率は、両群間で大差はなかった。また、術後6ヵ月時点の予測1秒量比率のベースラインからの減少幅は、縮小手術群(-4.0、95%CI:-5.0~-2.0)より肺葉切除術群(-6.0、-8.0~-5.0)が2ポイント大きく、肺機能は縮小手術後のほうが良好であった。

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がんと共に生きる人々を支えるために、医師ができること/武田

 がん治療の進歩は目覚ましく、新たな治療法が続々と登場している。しかし、がん患者の精神・心理的苦痛に対する支援はどうだろうか。がん患者が抱える課題と、それに対する取り組みについての理解を深めることを目的に、武田薬品工業は「がんになっても“誰一人取り残されない社会”を作るために」をテーマとして、2023年1月27日にメディアセミナーを開催した。 セミナーの前半では、大西 秀樹氏(埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 診療部長・教授)が「がん患者さん・ご家族の心理社会的支援の必要性」をテーマに、心理支援の重要性を語った。後半では、坂本 はと恵氏(国立がん研究センター東病院 サポーティブケアセンター 副サポーティブケアセンター長)が「がん相談支援センターの役割と現状」をテーマに、がん相談支援センターの具体的な業務内容を紹介し、医療者・患者への周知の重要性を述べた。セミナーの座長は、悪性リンパ腫の罹患経験を有する天野 慎介氏(一般社団法人全国がん患者団体連合会 理事長)が務めた。がん患者の約半数は精神科診断がつく 病気には固有のイメージがある。がんであれば「死」だという。大西氏は「がんの診断は患者の大きなストレスとなり、約5割に精神科診断がつく。このことを確実に知っておいていただきたい。それは、精神科疾患のうち、うつ病は薬物治療により改善することが多く、適応障害であれば、医療者が関わることで改善することが多いからである」と話した。精神症状は、治療にも影響を及ぼす。乳がん患者では、抑うつがない患者の92.2%が術後化学療法を受けたのに対し、抑うつがあるとその割合は51.3%にとどまったと報告されている1)。また、自殺も懸念される。本邦の調査では、がんと診断後1年以内の自殺のリスクが23.9倍と報告されているのである2)。 それでは、がん患者のうつ病はどのように見つけたらよいのだろうか。大西氏は「たとえば、がん患者が倦怠感や食欲不振を訴えたとき、副作用やがんの進行を疑うだろう。しかし、もう少し質問してみると、『眠れない』『気分が滅入る』『意欲が低下する』と訴えることがあり、うつ病が判明する場合もある」と具体例を示した。加えて、「うつ病が判明した患者にうつ病治療を行うと、副作用やがんの進行が原因と考えていた倦怠感や食欲不振などの身体症状も改善することがある」と述べた。 がん患者の家族のケアも忘れてはいけない。がん患者の家族にも抑うつが多くみられ、身体面(不眠、せん妄、心疾患など)や社会面(失業、貯蓄減少など)にも影響が出るという。したがって「腫瘍精神科やがん相談支援センターは、がん患者の家族も利用できることを周知してほしい」と述べた。がん相談支援センターの積極的な活用を がん相談支援センターは、全国453施設に設置され、がんの疑いから旅立ちまで、具体的には「治療場所の選択」「治療選択の迷い」「住居、食べ物、日常生活や移動手段などのニーズ」「子供の世話」「雇用や学校の問題」「医療費負担」「残される家族の生活の再設計」など、さまざまな相談に応じている。坂本氏は「がん相談支援センターは、一人ひとりの『希望』に橋をかけることのお手伝いをしたいという思いで支援を行っている」と話した。 しかし、がん相談支援センターの認知には課題があるという。平成30年度の患者体験調査3)では、がん相談支援センター自体の認知率は66.4%にのぼったものの、「がん相談支援センターを知っている」と回答した人のうち、「利用したことがある」と回答した割合は14.4%にとどまった。また、利用しなかった人のうち、15.9%が「何を相談する場所かわからなかった」「プライバシーの観点から利用しにくかった」という理由で利用しなかったという。したがって、「がん相談支援センターはどのような機能を持っている場所なのか、医療者に理解いただき、患者へ伝えていただくことが重要である」と強調した。 坂本氏は、“ひとりもとりこぼすことなく”の実現のためには、「がん患者がどのような困難に直面しているのかを聞いたうえで、日々の臨床に生かすことが重要」とまとめ、「オンラインも活用しながら、多施設連携、社会協働で“知らなかったが故の不利益”を減らしたい」と語った。

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toripalimabのNSCLC周術期治療が主要評価項目を達成/Junshi Biosciences

 Junshi Biosciences社は、2023年1月18日、抗PD-1抗体toripalimabによる非小細胞肺がん(NSCLC)の周術期治療が、第III相試験Neotorchの中間解析で主要評価項目を達成したと発表した。 Neotorch試験は、肺がんの術前・術後補助療法において、プラチナダブレット化学療法単独と、toripalimab+プラチナダブレット化学療法の有効性と安全性を比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相研究。 中間解析の結果、NSCLCへのtoripalimab+化学療法の手術前後の補助療法とtoripalimab単剤の地固め療法の組み合わせは、化学療法単独と比較して無病生存期間(EFS)を有意に延長する可能性を示した。toripalimabの安全性データは既知のリスクと一致しており、新たな安全性シグナルは確認されていない。 世界保健機関の発表によると、2020年、中国における肺がんの新たな発症は 81万6,000例で、がん全体の17.9%を占める。また、肺がんによる死亡者は71万5,000例で、全がん死亡者の23.8%を占めた。

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日本の部位別がん死亡数

がんの種類と死亡数日本の部位別がん死亡数(2021年)口腔・咽頭 5,634胆のう、胆管 9,615喉頭 711乳房 105白血病 5,549膀胱 6,434食道男性8,864胃27,196大腸 28,080肝臓膵臓肺前立腺悪性リンパ腫その他15,91319,33453,27813,2177,6279,159皮膚 865甲状腺 656脳・中枢神経系 1,709口腔・咽頭 2,367喉頭 84食道 2,094胃女性14,428子宮体部 2,741子宮頚部 2,894多発性骨髄腫2,247胆のう、胆管 8,557大腸肝臓24,338 8,189甲状腺 1,278脳・中枢神経系 1,3280腎・尿路 6,274卵巣 5,081白血病 3,57550,000膵臓肺乳房悪性リンパ腫19,24522,93414,8036,154皮膚 853膀胱 3,009腎・尿路 3,523100,000その他 9,513多発性骨髄腫 2,050150,000200,000 (人)2021年にがんで死亡した人は38万1,505人(男性22万2,467人、女性15万9,038人)日本人ががんで死亡する確率は、男性26.2%(4人に1人)、女性17.7%(6人に1人)がん死亡数は男性では肺がんが最も多く、次いで大腸、胃、膵臓、肝臓、女性では大腸がんが最も多く、次いで肺、膵臓 、乳房、胃、男女合わせると肺がんが最も多く、次いで大腸、胃、膵臓、肝臓となっています国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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見逃しがちな、「あの部分」の診察【非専門医のための緩和ケアTips】第45回

第45回 見逃しがちな、「あの部分」の診察緩和ケア診療、というとオピオイドの適切な投与や患者コミュニケーションのイメージが強いようですが、実は「身体診察」も大切だったりします。とくに意識しないと忘れてしまうのが「口腔内の診察」。これを怠ったがゆえに、痛い目に遭うことがあります。今回もいただいた質問を元に考えてみましょう。今日の質問先日、訪問診療をした患者さん。寝たきりで本人は症状を訴えられないのですが、苦しそうだと家族から相談がありました。原因がわからず、診断的治療と考えてオピオイドを導入したのですが、その後、訪問看護師より「口の中が白くなっていて、カンジダのようだ」と連絡がありました。口腔カンジダが苦痛症状の原因かははっきりしませんが、口腔内を診察しなかったことを後悔しています。はい、私も同じ経験があります。というか、皆さんもこれに近い経験はあるのではないでしょうか? 診察後に、看護師や時には家族が気付いて指摘される…。中でも緩和ケアの臨床でしばしば遭遇するのが、口腔カンジダです。口腔カンジダはご存じのとおり、免疫状態の悪化した患者さんやステロイドなどの免疫抑制状態の患者さんに生じる真菌感染症です。口腔内の症状を訴える患者さんの口の中を見ると白いポツポツと斑点がある、というイメージです。治療は抗真菌薬の含嗽剤などで行います。口腔カンジダは口腔内の痛みの原因となります。患者さんが「口の中が痛いです」と言ってくれればわかりやすいのですが、患者さんが正確に症状を訴えることができないこともしばしばです。なので、「こういう患者さんでは口腔カンジダも注意!」と忘れずに口腔内も丁寧に診察しないと、気付くことができません。見逃しやすい疾患です。このような特徴から、今回のように看護師が気付くこともしばしばです。要注意な疾患として看護師とも情報共有し、気になった点を共有できるチーム医療ができるといいですね。医師が気付くことが難しくても、職種間の連携によって患者さんに必要な医療が提供できればOKだと思います。気付いてくれた看護師に感謝を伝えつつ、ちょっとだけ反省しながら頑張っていきましょう!今回のTips今回のTipsがん患者の緩和ケアでは、口腔カンジダのことを忘れないようにしましょう。

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がん診断後の急速な身体機能低下はいつまで続く?

 高齢がん患者の身体機能の推移をがん診断の前後10年にわたって調査したところ、がん患者の身体機能はがん診断後に加速度的に低下し、5年後であっても非がん患者のコントロール群と比べて低いままであることが、Elizabeth M. Cespedes Feliciano氏らによって明らかになった。JAMA Oncology誌オンライン版2023年1月19日号掲載の報告。 これまで、非がん患者と比較して、がん患者のがん部位や進行度、治療が身体機能へ与える長期的な影響を調べた研究はなかった。そこで研究グループは、がん診断の前後10年間の身体機能を調査するために前向きコホート研究を実施した。 研究には、一般閉経後女性を対象とした臨床試験である「The Women's Health Initiative」から9,203例のがん患者(乳がん5,989例、大腸がん1,352例、子宮体がん960例、肺がん902例)と年齢でマッチさせた非がん患者(コントロール群)4万5,358例が組み込まれた。参加者は1993~98年に登録され、2020年12月まで追跡された。がん診断時と1年後のRAND-36項目健康調査(0~100、点数が高いほど身体機能が良好)による身体機能を線形混合モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・がん患者群のがん診断時の平均年齢は73.0歳(±7.6歳)であった。・臨床進行度が限局のがん患者の身体機能の低下は、がん診断前はコントロール群と同程度であったが、がん診断後はコントロール群と比較して加速度的に低下し、RAND-36項目健康調査のスコアは年1~2ポイント低下した。・がん診断の翌年の身体機能の低下は、臨床進行度が領域浸潤のがん患者で最も顕著であった(限局の乳がん患者−2.8ポイント/年[95%信頼区間[CI]:−3.4~−2.3]vs.領域浸潤の乳がん患者−5.3ポイント/年[同:−6.4~−4.3])。・また、全身療法を受けている患者でも身体機能の低下が顕著であった(何らかの化学療法を受けている限局の子宮体がん患者−7.9ポイント[95%CI:−12.2~−3.6]vs.放射線療法単独の限局の子宮内膜がん患者−3.1ポイント[同:−6.0~−0.3])。・がん患者の身体機能の低下は診断後の追跡後期に緩徐になったが、5年後であってもコントロール群の身体機能を大幅に下回っていた。 これらの結果から、研究グループは「本前向きコホート研究において、がん患者群ではがん診断後に加速度的に身体機能が低下し、数年後であってもコントロール群よりも低かった。がん患者には身体機能を維持するための支持的介入が有用である可能性がある」とまとめた。

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日本の部位別がん罹患数

1年間で新たにがんと診断される患者さんの数は日本の部位別がん罹患数(2019年)口腔・咽頭 16,463胆のう、胆管 11,964喉頭 4,688乳房 670白血病 8,396肝臓 25,339男性悪性リンパ腫食道胃大腸膵臓肺前立腺21,71985,32587,87222,28584,32594,74819,311その他20,308腎・尿路 20,678甲状腺 4,888脳・中枢神経系 3,116口腔・咽頭 7,208喉頭 423食道 4,663胃女性38,994皮膚 12,815子宮頚部 10,879子宮体部 17,880胆のう、胆管 10,195多発性骨髄腫 4,052白血病 5,922悪性リンパ腫肝臓 11,957大腸67,753膀胱 17,498肺膵臓 42,22117,325乳房卵巣97,14213,388その他16,81721,579甲状腺 13,892脳・中枢神経系 2,7330100,000200,000皮膚 12,432膀胱 5,885300,000400,000多発性骨髄腫 3,539腎・尿路 9,780500,000600,000(人)(2019年のデータに基づき)日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性65.5%、女性51.2%男性は前立腺がん(11.0%*)が最も多く、次いで大腸がん(10.3%) 、胃がん・肺がん(ともに10.0%)の順、女性は乳がん(11.2%)が最も多く、次いで大腸がん(8.1%) 、肺がん(5.0%)の順になっています*()内の%は生涯罹患リスク国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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「骨転移診療ガイドライン」-新たな課題を認識しつつ改訂

 『骨転移診療ガイドライン』の改訂第2版が2022年12月に発刊された。2015年に初版発刊後、骨修飾薬の使用方法や骨関連事象のマネジメントなどの医学的エビデンスが蓄積されてきたことを踏まえ、7年ぶりの改訂となる。今回、骨転移診療ガイドライン作成ワーキンググループのリーダーを務めた柴田 浩行氏(秋田大学大学院医学系研究科臨床腫瘍学講座)に、2022年の改訂のポイントや疫学的データの収集などの課題について話を聞いた。骨転移診療ガイドラインは機能維持を念頭に置いた がん治療で病巣を取り除けたとしても身体機能の低下によって生活の質(QOL)が低下してしまっては、患者の生きがいまでも損なわれてしまうかもしれない。骨転移はすべてのがんで遭遇する可能性があり1)柴田氏らはがん患者の骨転移がもたらす身体機能の低下をいかにして防ぐことができるのかを念頭に置いて『骨転移診療ガイドライン』を作成した。「骨転移が生じる患者の多くはStageIVではあるが、外科的介入に対するエビデンスが蓄積されつつあることから、今回の改訂には多くの整形外科医にご参加いただき、外科領域のClinical Questionを増やした」と話し、「作成メンバーが、診断・外科・放射線・緩和・リハビリテーションと看護の5領域に分かれて取り組んだ点も成果に良く反映されている」と骨転移診療ガイドライン作成時の体制について説明した。 治療については、上市から10年が経過した骨修飾薬(BMA:ビスホスホネート製剤、RANKL抗体薬)に関する長期経過報告がまとめられ、近年では骨修飾薬を投与することで骨関連事象の発生が低下していること、骨修飾薬投与前の歯科検診や投与中のカルシウム値の補正が行われていることなどが示された(p.15 総説3)。一方で、その投与間隔や至適投与期間を有害事象やコスト面から検討する必要性も指摘され課題になっている。 それらを踏まえ、「標準的な診療の概要を示し、骨転移患者の診療プロセスの改善や患者アウトカムの改善を期すること」を目的とし、4つの総説(1.骨転移の病態、2.骨転移の診断、3.骨転移の治療とケア、4.高齢者・サルコペニア・フレイル患者の骨転移治療)、Background Question(36個)、Clinical Question(38個)、Future Research Question(41個)を盛り込んだ。骨転移診療ガイドラインで読んでおきたい項目 『骨転移診療ガイドライン』を作成し、その成果をモニターする上で疫学的な情報は不可欠であるが、「骨転移の実態を知ることはなかなかに困難である」と同氏は話した。がんの罹患状況は2016年に厚生労働省がスタートさせた『全国がん登録』2)の集計結果などを参考にするが、そこには遠隔転移の記載のみで、骨転移を含む個別の転移部位については登録されない。結果、がんの『転移部位』はすべて“転移”に包含されてしまい、どの部位への転移なのかを入力する項目がないことから、「その集計結果から骨転移の実数などを把握できない。現在の骨転移に関する必要情報はカルテを直接調べるしかないのが実情」と残念がった。なお、『骨転移診療ガイドライン』には日本の調査例として胸椎~腰椎の組織学的骨転移の剖検報告3)が示されており、それによると乳がんや前立腺がんでは75%、肺がんや甲状腺がんでは50%、消化器がん(消化器、肝胆膵)では20%前後の骨転移が認められている。このデータは約25年前のものであるが、2010~16年に米国の医療保険データベースを用いた研究結果と傾向は同様であった(p.2 総説1)。 このほか、『骨転移診療ガイドライン』で読んでおきたい項目は以下のとおり。・CQ5「骨転移を有する原発不明がん患者において、骨転移巣を用いた遺伝子パネル検査は原発巣の同定に有効か?」・CQ8「病的骨折や切迫骨折のリスクのある四肢長管骨の骨転移に手術は有効か?」・CQ19「過去に外照射を受けた骨転移の痛みの緩和に再照射は有効か?」・CQ37「去勢抵抗性前立腺がん骨転移においてラジウム-223内用療法は有効か?」・FRQ31「骨転移の治療に外照射と骨修飾薬(BMA)の併用は有効か?」・FRQ32「骨代謝マーカーは骨転移を有するがん患者の治療モニタリングに有用か?」・FRQ39「病的骨折のある患者の外科的治療後にリハビリテーション医療は有用か?」・FRQ40「痛みのある骨転移患者に対するマネジメント教育は有効か?」骨転移診療ガイドラインの作成から患者の未来を変えたい さらに同氏は「ガイドラインの改訂というのは医療者側の知識のアップデートだけではなく、患者への骨転移の病態啓発や、骨転移に関する症状の有無を問診する際などの医師と患者の医療面接おいても重要」だと話した。さらに骨転移診療ガイドラインの内容を基に同氏は患者が理解を深めやすい資料作成にも意欲的に取り組み、秋田大学医学部附属病院ではオリジナル漫画を患者に配布している。また、昨今、盛んに行われる骨転移キャンサーボードも「多施設間で行うことも新たな情報や知識、視点が加わることになるので実施することをお薦めする」と話した。 ガイドラインは発刊後もその使用状況や患者アウトカムの改善についてモニタリングが必要で、作成して終わりではない。『骨転移診療ガイドライン』の場合は発刊1年以降を目途に、臨床的アウトカム(1:骨転移のがん種別頻度、2:外科的介入の割合、3:放射線治療の割合、4:骨修飾薬の使用割合、5:ADLの評価[通院、入院治療の別]など)への影響に関して調査を行う予定である点にも触れた。 最後に同氏はガイドラインを山登りに例え、「ガイドラインは“山岳ガイド”のようなもの。トップクライマーは遭難のリスクを冒してでも前人未踏の頂きを目指すかもしれないが、山岳ガイドは登山客を遭難させる冒険はできない。派手さはなくとも、安全に、確実に登頂できるように先導することが重要。もちろん、もっと高い頂きを目指す必要は常にあるが、現状でそれが無理なら技術を磨いたりルートを開拓したりする必要がある」と話し、医師の知識のアップデートに留まらず、患者一人ひとりの病態に応じて参考にされることや骨転移診療ガイドラインの課題が新たな臨床試験の推進力になることを願った。

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tTMBがPD-L1陽性NSCLCに対するペムブロリズマブ単剤の治療効果を予測(KEYNOTE-042)/Ann Oncol

 ペムブロリズマブ単剤は、PD-L1陽性(TPS≧1%)の進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、1次治療に用いられている。中国・香港中文大学のT. S. K. Mok氏らは、ペムブロリズマブ単剤の化学療法に対する治療効果を予測するバイオマーカーの探索を行った。その結果、腫瘍組織の遺伝子変異量(tTMB)が1エクソームあたり175個以上(tTMB≧175mut/exome)の集団において、ペムブロリズマブ単剤は化学療法と比べて、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を改善したが、tTMB<175mut/exomeではいずれも改善しなかった。Annals of Oncology誌オンライン版2023年1月25日掲載の報告。 EGFR遺伝子変異陰性、ALK融合遺伝子陰性かつPD-L1陽性(TPS≧1%)の進行・再発のNSCLC患者を対象に、1次治療としてペムブロリズマブ単剤または化学療法による治療を行ったKEYNOTE-042試験の後ろ向き解析。ペムブロリズマブ単剤による治療効果の予測における、tTMB、STK11、KEAP1、KRAS遺伝子変異の有用性を検討した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者793例中、tTMB≧175mut/exomeが43.5%(345例)、tTMB<175mut/exomeが56.5%(448例)であった。・PD-L1の発現状況とtTMBには関連が認められなかった。・tTMBの値は、ペムブロリズマブ単剤群でOS、PFSの改善と関連していた(片側検定のp<0.001、Wald検定)。一方、化学療法群では、関連が認められなかった。・tTMB≧175mut/exomeの集団では、ペムブロリズマブ単剤群は化学療法群と比べて、OSとPFSが改善した(OSのハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.48~0.80、PFSのHR:0.75、95%CI:0.59~0.95)。・一方、tTMB<175mut/exomeの集団では、ペムブロリズマブ単剤群は化学療法群と比べて、OSとPFSが改善しなかった(OSのHR:1.09、95%CI:0.88~1.36、PFSのHR:1.27、95%CI:1.04~1.55)。・STK11、KEAP1、KRAS変異の有無にかかわらず、ペムブロリズマブ単剤群は化学療法群と比べて、OSを改善した。

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肺がんゲノム医療の実態を探る:REVEAL(WJOG15421L)試験【肺がんインタビュー】 第92回

肺がんは個別化医療が進んでいるが、実臨床ではまだ十分に普及しておらず、活用拡大の余地がありそうだ。西日本がん研究機構(WJOG)では、実臨床での遺伝子検査活用状況を調査するREVEAL(WJOG15421L)試験を行っている。2022年の日本肺癌学会で同試験の初回解析結果を報告した鳥取大学の阪本智宏氏と、ESMO-Asiaで追加解析を報告した北九州市立医療センターの松原太一氏、研究代表者である近畿大学の高濱隆幸氏に、試験実施の結果と臨床現場での評価を聞いた。左から、松原氏、高濱氏、阪本氏現場のゲノム検査はドライバー遺伝子の解明に追い付いているか肺がんでは、次々にドライバー遺伝子が解明され、ターゲット治療薬も続々と開発されている。最近では、初期診断から複数の遺伝子を測定できる、マルチプレックス検査(以下、マルチ検査)が可能となっている。一方、ドライバー遺伝子の解明に、遺伝子検査の普及が追い付いていないのではないか、疑問が浮上している。このような中、遺伝子検査と標的治療についての実地臨床での状況と課題を明らかにするためにREVEAL試験が開始された。「本来届けられるべき治療が患者に届けられていないのではないか、その原因は何かを明らかにしたい」と阪本氏は述べる。高濱氏は「今までも状態の良い症例を対象にした試験はあったが、REVEAL試験ではPS不良な患者も含め、リアルワールドでどこまで検査をしているのか明らかにできた」と振り返る。マルチプレックス検査は予想以上に少ないが、日本の肺がん治療を反映している可能性もREVEAL試験では、WJOG登録の29施設で進行非小細胞肺がんと診断された1,500例を登録し(登録期間:2020年1月1日〜2021年6月30日)、後ろ向きに解析している。遺伝子検査は、解析対象となった1,479例中86%の1,273例に行われた。内訳をみると、マルチ検査は47.7%(705例)に、シングルプレックス検査(以下、シングル検査)は57.3%(848例)に、シングル・マルチ併用は18.9%(280例)で実施されていた。マルチ検査の実施状況について阪本氏は「マルチ検査は、検査成功率や検体の量・質の確保といった問題があるが、この実施率は少ないと感じる」と述べる。松原氏も「この試験は、マルチ検査の保険償還から1年経過したときのもの。その時点でマルチ検査の割合が半分以下だとは予想しなかった」と言う。この試験はWJOG登録施設であり、遺伝子検査への意識は高いといえる。全国的な普及率はもっと下がる可能性もありそうだ。画像を拡大するマルチ検査が避けられる「PS不良」「合併症あり」「扁平上皮がん」多変量解析による、マルチ検査の非実施因子は、「PS不良」「合併症あり」「扁平上皮がん」の3つであった。PS不良例については、「確かに診断時すでに治療が適用できないほどPSが悪化しているケースはある。ただ、ターゲット治療薬であれば、PS不良例でも改善できるケースもある。検体を採取している症例なので、PS不良例だからといって一元的に調べなくてよい理由にはならないだろう」と阪本氏は言う。また、合併症については、ILDなどがベースにあるとターゲット治療薬が使えない場合もあるものの、「合併症があるときは調べても意味がない」という医師の意識が反映されている可能性もある、と指摘する。組織を採ってもゲノム検査に出さないケースもドライバー変異ごとの検査実施率を見ると、EGFRは84.2%、ALKは78.8%、ROS1は72.8%、BRAFは54.3%、METexon14スキッピング(以下、MET)は54.4%であった。この結果について高濱氏は「組織まで採って診断したのに、EGFRやALKでさえ出していないのは問題」と指摘する。阪本氏は「EGFRとALK以外は“レア”、まずはEGFRとALKだけ調べておけばよい、と考える医師が一部にはいる。しかし、医師にとっては“レア”だが、陽性患者にとっては100%」だと言う。BRAF、METについてはほかの3遺伝子と比べて、検査実施率が大きく下がる。また、この2つの変異は大部分マルチプレックスで検査されている点が、ほかの3遺伝子とは異なる。この点について阪本氏は「BRAFもMETもシングル検査はどちらもNGS。NGS用の検体量を採るのであれば、マルチ検査をしてしまう可能性もある」と推測する。画像を拡大する潜在患者がいるか? METexon14スキッピング前述のとおり、METはマルチ検査が多く、かつ検査実施率が低い。一方、組織型別の陽性率を見ると、ほかの4遺伝子と異なり、非腺がんでも腺がんと同等あるいはそれ以上に高い傾向にある(腺がん陽性率1.7%、非腺がん陽性率2.1%)。また、METはほとんどマルチ検査で行われているが、前出のとおり、扁平上皮がんではマルチ検査が行われない傾向にある。「マルチ検査が普及すると、METの陽性率は今以上に増えるかもしれない」と阪本氏は述べる。画像を拡大するドライバー変異が陽性でも治療薬が届いていない?松原氏はESMO-Asiaで同試験の追加解析を発表した。結果を見ると、陽性が判明していても、すべての症例にターゲット治療が提供されているわけではない。1次治療でターゲット治療薬を使用したのは、EGFR 94.6%、ALK 71.1%、ROS1 66.7%、BRAF 75.0%、MET 60.0%だった。ターゲット治療以外の治療法を見ると、ALKとROS1では、それ以外の標的治療(下図のOther therapyに相当)が、BRAFとMETではIO単剤およびIO+化学療法が目立つ。松原氏が、このOther therapyの内訳を調査したところ、2つの要因が明らかになった。1つは、IHCではALK陽性だがFISHでは陰性といったケース。こういった場合、臨床的にはALK陽性ととられない。もう1つは、ALK陽性かつEGFRも陽性といったケース。こういうケースでは、EGFRが最優先で評価され、EGFR-TKIが投与される。このようなケースでは「EGFR-TKIが有効であったか評価が必要」と松原氏は述べる。一方、BRAFとMETにおけるターゲット治療以外の手段はほとんどがIOである。バイオマーカー陽性が出たら対応するターゲット治療が最優先だが、この2つのドライバーでは、比較的高いICIの有効性を反映しているのではないか、と松原氏。今後は、ターゲット治療が入ったケースと入らなかったケースの治療効果を調べ、最適な治療シークエンスの発信につなげていきたいという。画像を拡大するプロファイリング検査も不足している肺がん肺がん領域はゲノム検査、分子標的薬のトップランナーといわれているが、実際は婦人科がんや消化器がんのほうが、網羅的遺伝子解析の実績は多くなっている、と高濱氏は指摘する。同氏はまた「肺がんでは、初期治療から遺伝子検査を行えるが、逆にこの限られた遺伝子の世界だけで治療している。つまり、初回検査の結果だけでPDになり、そのまま亡くなってしまう。“本当の遺伝子解析”を受けていない患者を増やしてしまっているのではないか」と警鐘を鳴らす。リキッドバイオプシー検査も精度が上がっているので、組織検体が採れなくても、積極的にプロファイリング検査を活用し、少しでも治療を届けられるよう検討することが重要であろう。高濱氏は最後に、「NGS検査は生涯1回しかできない。初回から網羅的遺伝子解析をすれば、貴重な検体を有効に活用できる」と訴えた。遺伝子検査の可能性を引き出し、より多くの肺がん患者を最適な治療に結び付ける肺がんでは、ドライバー遺伝子が次々に発見され、それに対応した標的治療薬も開発されている。近年では、初期診断からマルチ遺伝子検査が適用できるようになったものの、REVEAL試験の結果からは、実臨床ではまだ十分に普及しておらず、活用拡大の余地がありそうだ。このような研究から、遺伝子検査のさらなる可能性を引き出し、治療に結び付くことを期待したい。(ケアネット 細田 雅之)参考1)UMIN-CTR 臨床試験登録情報(UMIN000046079)

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一般集団よりも2型DM患者でとくに死亡率が高いがん種は?

 2型糖尿病の高齢患者のがん死亡率を長期的に調査したところ、全死因死亡率の低下とは対照的にがん死亡率は上昇し、とくに大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、子宮内膜がんのリスクが増加していたことを、英国・レスター大学のSuping Ling氏らが明らかにした。Diabetologia誌オンライン版2023年1月24日掲載の報告。 これまで、年齢や性別などの人口統計学的要因が2型糖尿病患者の心血管アウトカムに与える影響は広く研究されているが、がん死亡率への影響については不十分であった。そこで研究グループは、人口統計学的要因や肥満や喫煙などのリスク因子が2型糖尿病患者のがん死亡率に与える長期的な傾向を明らかにするため、約20年間のデータを用いて調査を行った。 対象は、1998年1月1日~2018年11月30日に2型糖尿病と新規で診断され、英国の診療データベース「Clinical Practice Research Datalink」に登録された35歳以上の13万7,804例であった(年齢中央値63.8歳、女性44.6%、白人83.0%、非喫煙者46.9%、正常体重者11.7%、BMI中央値30.6kg/m2)。年齢、性別、人種、貧困状態(複数の剥奪指標ランク)、BMI、喫煙の有無で調整し、全死因、全がん、がん部位別の死亡率を一般集団と比較した。 主な結果は以下のとおり。・2型糖尿病患者119万4,444人年(中央値8.4年[四分位範囲:5.0~12.2年])の追跡で、3万9,212例(28.5%)が死亡した。・全死因死亡率は、1998年~2018年にすべての年齢(55歳、65歳、75歳、85歳)で減少した。・全がん死亡率は55歳と65歳で減少したが、75歳と85歳で増加した。また、白人、現在/過去の喫煙者で増加したが、他の人種や非喫煙者では減少傾向にあった。・全がん死亡率の平均年間変化率(AAPC)は、55歳で-1.4%(95%信頼区間[CI]:-1.5%~-1.3%)、65歳で-0.2%(-0.3%~-0.1%)、75歳で+1.2%(+0.8%~+1.6%)、85歳で+1.6%(+1.5%~+1.7%)であった。また、AAPCが高かったのは、女性+1.5%(男性+0.5%)、最貧困層+1.5%(最富裕層+1.0%)、重度肥満者+5.8%(普通体重者+0.7%)であった。・一般集団と比較した2型糖尿病患者の標準化死亡比(SMR)は、全死因1.08(95%CI:1.07~1.09)、全がん1.18(1.16~1.20)、大腸がん2.40(2.26~2.54)、肝臓がん2.13(1.94~2.33)、膵臓がん2.12(1.99~2.25)、子宮内膜がん(女性のみ)2.08(1.76~2.44)、胆嚢がん1.36(0.99~1.83)、乳がん(女性のみ)1.09(1.01~1.18)、肺がん1.04(1.00~1.08)であった。 研究グループは、上記の結果から「2型糖尿病の高齢患者では、全死因死亡率の低下とは対照的にがん死亡率は上昇し、とくに大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、子宮内膜がんが増加していた。高齢者、貧困層、喫煙者における個別のがん予防と早期発見のための戦略が必要である」とまとめた。

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13種のがん発生率と生活習慣・遺伝的因子の関係

 19万人以上のUKバイオバンクのデータを用いて、世界がん研究基金(WCRF)による生活習慣のアドバイスを遵守することが13種類のがんのリスクとどのような関係があるのか、また遺伝的リスクによってこれらの関連性が異なるのかを調査するため、前向きコホート研究が実施された。南オーストラリア大学のStephanie Byrne氏らによるInternational Journal of Epidemiology誌オンライン版2023年1月18日号への報告。 2006~10年にかけて37~73歳の参加者の生活習慣を評価し、2015~19年までがんの発生率を追跡調査した。解析対象は、悪性腫瘍の既往がない19万5,822人。13のがん種(前立腺がん、大腸がん、閉経後乳がん、肺がん、悪性黒色腫、非ホジキンリンパ腫、腎臓がん、子宮がん、膵臓がん、膀胱がん、口腔・咽頭がん、卵巣がん、リンパ性白血病)とがん全体について多遺伝子リスクスコア(PRS)を計算し、WCRFの勧告からライフスタイル指数を計算。両者の加法的・乗法的交互作用が評価された。 ライフスタイル指数は体型(BMI、腹囲)、身体活動、全粒粉・果物・野菜摂取、赤肉・加工肉摂取、アルコール消費、喫煙状況について2018 WCRF/米国がん研究財団(AICR)のスコアリングシステムに基づき評価され、スコアが高いほど推奨事項への忠実度が高いとされる。 主な結果は以下のとおり。・192万6,987人年(追跡期間中央値:10.2年)で1万5,240件のがんが発生した。・交絡因子で調整後、ライフスタイル指数の高さはがん全体のリスク(1標準偏差増加当たりのハザード比:0.89、95%信頼区間:0.87~0.90)および、大腸がん(0.85、0.82~0.89)、閉経後乳がん(0.85、0.81~0.89)、肺がん(0.57、0.54~0.61)、腎臓がん(0.78、0.72~0.85)、子宮がん(0.82、0.74~0.89)、膵臓がん(0.79、0.72~0.87)、膀胱がん(0.72、0.65~0.79)、口腔・咽頭がん(0.78、0.71~0.86)のリスク低下と関連していた。・ライフスタイル指数と悪性黒色腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣がん、リンパ性白血病との間に関連はみられず、前立腺がんリスクとの間には、逆方向の関連性がみられた(1.04、1.01~1.08)。・PRSが高いほどがん全体および口腔・咽頭がんと卵巣がんを除く評価したすべてのがん種のリスクが高い傾向がみられた。とくに膵臓がん(1.51、1.36~1.66)、リンパ性白血病(1.50、1.33~1.69)、悪性黒色腫(1.39、1.32~1.47)、大腸がん(1.36、1.31~1.42)、前立腺がん(1.36、1.32~1.40)で高かった。・大腸がん、乳がん、膵臓がん、肺がん、膀胱がんのリスクにはライフスタイル指数とPRSの加法的相互作用がみられ、推奨されるライフスタイルは、遺伝的リスクの高い人ほど絶対リスクの変化と関連していた(すべてでp<0.0003)。 著者らは、WCRF推奨の生活習慣は、ほとんどのがんについて有益な関連性がみられたとし、さらにいくつかのがんでは遺伝的リスクの高い集団で保護的な関連が大きいと結論づけた。そのうえで、これらの知見は遺伝的にそれらのがんに罹患しやすい人々や、がん予防のための標的戦略にとって重要な意味を持つとまとめている。

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FDA、ペムブロリズマブの非小細胞肺がん術後補助療法を承認

 米国食品医薬品局(FDA) は、2023年1月26日、ペムブロリズマブをStageIB(T2a≧4cm)〜IIIAの切除後非小細胞肺がん(NSCLC)に対する化学療法後の補助療法として承認した。 今回の承認は、多施設無作為化三重盲検プラセボ対照試験であるKEYNOTE-091に基づくもの。試験の主要評価項目は、治験担当医師の評価による無病生存率(DFS)であった。 試験の結果、ペムブロリズマブ群は全集団におけるDFSを統計学的有意に改善し、主要評価項目を達成している。 KEYNOTE-091では術後化学療法の投与は任意。無作為に割り付けた1,177例中1,010例(86%)が完全切除後にプラチナベースの補助化学療法を受けている。探索的解析では、補助化学療法を受けた患者のDFS中央値は、ペムブロリズマブ群58.7ヵ月、プラセボ群34.9ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.60〜0.89)。また、化学療法を受けなかった患者では、プラセボ群に対するペムブロリズマブ群のDFSのHRは1.25(95%CI:0.76~2.05)であった。

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痛みの評価が難しい患者さん【非専門医のための緩和ケアTips】第44回

第44回 痛みの評価が難しい患者さんがん疼痛の症状緩和を実践していると、必ず「痛みの評価が難しい患者さん」の存在に当たります。「認知症のあるがん患者さん」の訴える痛みにどう対処すべきかなど、皆さんも経験があるのではないでしょうか? 今回はそのような状況への対応法を考えてみましょう。今日の質問訪問診療で担当する患者さんのがん疼痛対応で困っています。胆管がんで在宅でのお看取りも視野に入れながら症状緩和に努めているのですが、高齢で認知症もあるため痛みを上手く訴えることができません。苦しそうに見えるときはレスキューを使用して対応しているのですが、家族はもちろん訪問看護師も「苦しんでいるのではないか」と不安を感じているようです。こういった痛みの評価が難しい患者さんの場合、どのように対応すればよいのでしょうか?これは症状緩和で非常によくある難しいテーマですよね。学会のセッションなどでも、しばしば取り上げられる話題でもあり、苦労されている方も多いと思います。がん疼痛に対するアプローチは、「評価と介入を繰り返しながら、目標となる鎮痛を実現すること」が原則です。薬を変更したら、痛みが和らいだかどうかを患者さんに評価してもらって量を調整します。そうした意味で、本人からのフィードバックがはっきり得られない、認知症の高齢者や頭頸部がんで発声自体が負担の大きい患者さんの場合は、難しさを感じて当然です。こういった場合の評価はいくつかの方法があり、現場ではそれらを組み合わせて実践するのが一般的です。表情や仕草を注意深く観察する。難聴、発声困難な患者さんにはジェスチャー、筆談を活用する。心拍数の増加などに着目する。痛みの強くなる状況(体位変換など)の際は、予防的に鎮痛薬を活用する。家族、ケア提供者で印象を擦り合わせる。このあたりがよく実践されていることです。皆さんも自然としていたことがあるのではないでしょうか?とくに、最後の「印象を擦り合わせる」という点が重要です。複数の関係者で「顔色が悪く、少し元気がないようだ」「先週に比べ、食欲が戻って元気そうだ」といった印象を共有するわけですが、その際に医師は、ご家族や介護職の方に向け「難しいケアに取り組んでいる」ことに対する承認の言葉を掛けてみてください。私がよく使う言葉は、「○○さんが少しでもラクに過ごせるよう、考えてくれてるんですね」「○○さんはお話しするのが難しいので状態把握が大変なのですが、皆さんが教えてくれて助かってます」といったものです。いかがでしょう? 皆さんの工夫もぜひ教えてください。今回のTips今回のTips痛みの評価が難しい患者さんの場合、表情や仕草などを観察しながら、関係者の印象を擦り合わせることが大切です。

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