サイト内検索|page:75

検索結果 合計:4233件 表示位置:1481 - 1500

1481.

女性のHIV感染予防にcabotegravirが有益/Lancet

 女性のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染予防において、長時間作用型注射剤cabotegravirは、1日1回経口投与のテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩+エムトリシタビン(TDF-FTC)と安全性・忍容性・有効性は同等であることが、南アフリカ共和国・ウィットウォーターズランド大学のSinead Delany-Moretlwe氏らによる「HPTN 084試験」の結果、示された。サハラ以南のアフリカ諸国を含む70ヵ国以上で経口避妊薬は導入されているが、スティグマや批判の声、暴力を振るわれる恐れといった日々の服用に対する高い障壁が存在することから、長時間作用型製剤が求められていた。結果を踏まえて著者は、「女性のHIV予防のための効果的な選択肢の拡充が、とくに必要性が最も高い状況にある女性にとって喫緊に求められていることから、今回のデータは、cabotegravirを選択肢に加えることを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年4月1日号掲載の報告。8週ごと注射投与のcabotegravirと1日1回経口投与のTDF-FTCを比較 HPTN 084試験は、第III相の無作為化二重盲検ダブルダミー活性対照の優越性検証試験で、サハラ以南アフリカの7ヵ国20地点で行われた。参加者は18~45歳の生誕時女性で、過去30日間で2回以上の膣性交エピソードを報告し、HIVリスクスコアに基づくHIV感染リスクがあり、長時間作用型の可逆的避妊法の使用に同意した者を適格とした。 参加者は無作為に1対1の割合で、cabotegravirとプラセボTDF-FTCの投与を受ける群(cabotegravir群)またはTDF-FTCとプラセボcabotegravirの投与を受ける群(TDF-FTC群)に割り付けられた。試験薬を準備した試験地の薬剤師を除く試験スタッフおよび参加者は割り付けをマスキングされた。 参加者は、最初の経口薬導入フェーズ(ステップ1:1~4週)で、経口薬による連日投与を受けた(cabotegravir群には経口薬のcabotegravir(30mg)とプラセボTDF-FTCが、TDF-FTC群には経口薬のTDF(300mg)-FTC(200mg)とプラセボcabotegravirを投与)。続いてステップ2(5~185週)で、cabotegravir群には長期作用型注射剤cabotegravir(600mg)の8週ごと投与+プラセボ経口TDF-FTCの連日投与が、TDF-FTC群には経口TDF(300mg)-FTC(200mg)の連日投与+プラセボ注射剤cabotegravirの8週ごと投与が処方された。また、注射剤投与が中断となった参加者は、48週間にわたる非盲検下での経口TDF-FTCの連日投与が処方された。 試験の主要エンドポイントは、intention-to-treat集団におけるHIV感染の発生と、試験薬を少なくとも1回投与されたすべての女性におけるGrade2以上の臨床的および検査で確認されたイベントとした。cabotegravir群のHIV感染リスクが88%低下 2017年11月27日~2020年11月4日に、参加者3,224例(cabotegravir群1,614例、TDF-FTC群1,610例)が登録された。年齢中央値は25歳(IQR:22~30)、前月に2人以上のパートナーがいた参加者は1,755/3,209例(54.7%)であった。 感染発生は3,898人年で40例観察された(HIV発生率1.0%[95%信頼区間[CI]:0.73~1.40])。cabotegravir群は4例(HIV発生率は100人年当たり0.2例[0.06~0.52])、TDF-FTC群は36例(100人年当たり1.85例[1.3~2.57])で、cabotegravir群のHIV感染リスクはTDF-FTC群より88%低かった(ハザード比:0.12[95%C:0.05~0.31]、p<0.0001)。また、両群間の絶対リスク差は-2%(-1.3~-2.7)であった。 無作為抽出のTDF-FTC群405例のサブグループ解析において、毎日の使用を示すテノホビル濃度を有する血漿サンプル例は、812/1,929例(42.1%)であった。 注射の適用者は、全被験者(人年総計)の93%にわたっていた。 有害事象の発現頻度は、注射部位反応を除いて両群で同程度あった。注射部位反応は、cabotegravir群がTDF-FTC群に比べて頻度が高かったが(577/1,519例[38.0%]vs.162/1,516例[10.7%])、注射剤投与中断には至っていなかった。妊娠が確認されたのは100人年当たり1.3例(95%CI:0.9~1.7)、先天異常の出生児は報告されなかった。

1482.

第104回 国産コロナ治療薬のネガティブ情報が流出、策士の仕業か!?

なんとも騒がしい。そんなに騒ぐべきことなのか? 何のことかというと以下の記事だ。「コロナの新飲み薬、動物実験で胎児に異常 塩野義『妊婦への使用は推奨されない』」(東京新聞)新聞記事を見ればわかるが、大元は共同通信の記事である。塩野義製薬が2月に条件付き早期承認制度で申請を行った新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の経口薬で3CLプロテアーゼ阻害薬(開発番号:S-217622)の動物実験で、催奇形性が確認されたという内容だ。その後の続報でこれが妊娠ウサギで起きていたことがわかっている。そしてこの件を報道各社が一斉に報じたことで13日に塩野義製薬がコメントを発表。その内容を見ても第一報は共同通信らしきことがうかがえる。コメントでは一般的な非臨床試験での結果であること、すでに厚生労働省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告済みで、前述の承認申請でもデータを提出済みとしている。また、確認された催奇形性は臨床用量を上回るものだったことも記述がある。そもそも多くの方がご存じのように非臨床試験での催奇形性試験は、だいたい臨床用量・曝露量の10倍程度が一つの目安で、それ以内で催奇形性が認められた場合はおおむね添付文書に記載がされ、妊婦への投与が禁忌になる。そして、これまたすでにご存じのように特例承認されたMSDの新型コロナ治療薬のモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)でも催奇形性は報告されている。モルヌピラビルはプロドラッグなので、体内での主要代謝物のN-ヒドロキシシチジン(NHC)になり細胞に取り込まれる。非臨床試験では、NHC臨床曝露量の8倍相当量で妊娠ラットの器官形成期に催奇形性と胚・胎児致死、3倍相当量以上で胎児の発育遅延、NHC臨床曝露量の18倍相当量で妊娠ウサギの器官形成期の胎児体重の低値が認められている。このため妊婦または妊娠している可能性のある女性は禁忌で、妊娠可能な女性は投与中と最終投与後一定期間は適切な避妊を行うよう求められている。塩野義製薬が申請中のS-217622では、実際に臨床用量の何倍でこうした結果が出たかは現時点では不明。しかし、報道の影響で塩野義製薬の株価は12日終値の1株7,440円から、翌13日には最安値で6,252円まで1,000円以上下落。14日になってやや持ち直したが、株価は6,000円台後半をウロウロしている。塩野義製薬にとっては半ば迷惑な話だろう。そして今回の報道でSNS上などを見ていると、医師のアカウントから「これで発売されても使いにくくなった」という趣旨の発言は少なからず見受けられる。ちなみに過去の本連載(第101回)で触れたようにS-217622は現時点では有効性もまだ十分に示せているとは言えない。催奇形性が報告されていないファイザーのニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッド)がすでに発売されているため、そのような反応も当然だろう。もっともニルマトレルビル/リトナビルについては、いまだ供給量が少なく、院外処方の対応薬局は東京都内ですら10軒程度と言われる点が泣き所になっているようだ。さてその一方で一般人の反応を見ると、これはこれで悩ましい。やはり以前の本連載(第95回)でも記述したが、SNS上でやたらと「国産新型コロナ治療薬」にこだわる発言をする人などは、S-217622に期待を寄せていることが多い。またこうした人はドラッグ・リポジショニングで注目されながら、いまだ有効性を示す決定打のデータがない新型インフルエンザ治療薬ファビピラビル(商品名:アビガン)や駆虫薬のイベルメクチン(商品名:ストロメクトール)を早く承認すべきと声高に叫ぶ人たちと重なる。そうした人たちが今回どんな反応をしているか覗いてみると、「やっぱりアビガンのほうがましだったということはないですか」や「塩野義には悪いけど、やっぱりイベルメクチン」といった反応が散見される。しかしだ。ファビピラビルは臨床曝露量同程度かそれを下回る用量でサル、マウス、ラット、ウサギ、イベルメクチンも最高推奨用量の0.2倍でマウス、ラット、ウサギでの催奇形性がそれぞれ認められている。いずれも催奇形性だけ見れば、むしろS-217622やラゲブリオよりも慎重に扱わなければならない薬だ。このようなSNS上の動向を見るにつけ、ため息が出てしまう。そして今回、私が何とも奇妙だと思っていることがある。それは今回の第一報が「関係者への取材でわかった」とされている点だ。現在申請中であることを考えれば、催奇形性のデータを知っているのは(1)厚生労働省の医薬生活衛生局、(2)PMDA、または(3)塩野義製薬の内部ということになる。記者としての経験から推論すると、この中で情報を流した可能性が最も低いのは(3)塩野義製薬内部である。記者にしてみれば、この丈夫を流すのに何のメリットもないどころか今回の過剰反応のようなデメリットのほうが大きいからだ(ただ、前述の本連載でこの新薬候補に触れた時の状況を考えると可能性はなくもない)。となると残る2者がリーク元として考えられる。だとすると、なぜこの時期にこの情報を出したのだろうか? と正直いぶかってしまう。もしかして「早期承認の声が大きいことを懸念して鎮静化させるためのリークか?」とも勘ぐってしまう。ちなみに私は陰謀論がかなり嫌いなほうだ。そうした私自身が勘ぐってしまうほど、今回のリークは常道で考えれば誰にとってもメリットがない。「関係者」が悪気なく口走ったのだとするなら、少しは控えてはどうかと言ってしまうのは上から目線すぎるだろうか?

1483.

ファイザー製ワクチン4回目、オミクロン株への予防効果は/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のB.1.1.529(オミクロン変異株)の流行中に行った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのBNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の4回目接種は、3回のみ接種と比べて、SARS-CoV-2感染率およびCOVID-19重症化率を低下した。イスラエル・ワイツマン科学研究所のYinon M. Bar-On氏らが、オミクロン変異株流行中に同ワクチン4回目を接種した60歳以上125万人超を対象に行った試験の結果を報告した。イスラエルでは、2022年1月2日に、60歳以上を対象としたBNT162b2ワクチンの4回目接種を開始していた。NEJM誌オンライン版2022年4月5日号掲載の報告。対COVID-19感染・重症化予防効果を疑似ポアソン回帰で分析 研究グループはイスラエル保健省データベースを用いて、オミクロン変異株流行期間中(2022年1月10日~3月2日)にCOVID-19ワクチン4回目接種の対象だった60歳以上125万2,331人に関するデータを抽出・解析した。 感染率と重症COVID-19について、ワクチン4回目接種後8日以上経過した(4回接種)群と、3回のみ接種した(3回接種)群、また4回目接種後3~7日(4回接種早期)群を比較。発生率は疑似ポアソン回帰モデルを用い、年齢、性別、人口統計上の集団、暦日によって補正を行い推算した。重症COVID-19、3回接種群が4回接種群の3.5倍 補正前の重症COVID-19発生率は、4回接種群が1.5/10万人に対し、3回接種群は3.9/10万人、4回接種早期群は4.2/10万人だった。 疑似ポアソン回帰分析の結果、重症COVID-19の補正後発生率は、3回接種群が4回接種後4週経過群と比べて3.5倍(95%信頼区間[CI]:2.7~4.6)高かった。また4回接種早期群は、4回接種後4週経過群と比べて2.3倍(1.7~3.3)高かった。 3回接種群の同発生率は、4回目接種後2週経過群と比べても2.4倍(2.0~2.9)高かった。COVID-19重症化に対するワクチン予防効果は、4回目接種後6週間は減弱がみられなかった。 補正前の感染率は、4回接種群が177/10万人、3回接種群は361/10万人、4回接種早期群は388/10万人だった。補正後感染率は、3回接種群が4回接種後4週経過群と比べて2.0倍(95%CI:1.9~2.1)高く、4回接種早期群は4回接種後4週経過群よりも1.8倍(1.7~1.9)高かった。しかしながら、感染に対するワクチンの予防効果は、ワクチン接種後約4週間でピークに達し、その後は徐々に減弱し、8週後には感染リスクは3回接種群とほぼ同等だった。

1484.

新型コロナ後遺症、多岐にわたる症状と改善時期/東京感染症対策センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波が懸念される中で新規の陽性患者だけでなく、COVID-19の後遺症の報告も医療機関で上がっている。厚生労働省は、2021年12月に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(暫定版)」を作成し、全国の医療機関に診療の内容を示したところである。 今回、東京都は、3月24日に開催された東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議で「都立・公社病院の外来を受診した後遺症患者の症例分析」を発表した。これは、都の感染症に関する政策立案、危機管理、調査・分析などの感染症対策を行う東京感染症対策センター(東京iCDC)が取りまとめたもの。 分析の結果、症状では「倦怠感」「息切れ」「頭痛」などの症状が多く、出現時期も2週間未満での発症が多かった。 東京都では、HP上で後遺症の症状、体験談、相談窓口などを紹介する「新型コロナウイルス感染症 後遺症リーフレット」を作成・公開し、後遺症診療の啓発につとめている。調査の概要・対象:都立・公社病院のコロナ後遺症相談窓口から自院の外来受診につながった症例など、都立・公社病院の外来を受診した後遺症が疑われる患者の症例・期間:令和3年5月10日~令和4年1月28日に受診した症例・症例数:230例 年齢:50代、40代、30代の順 性別:男(60%)、女(40%) 重症度:軽症(54%)、不明(28%)、中等症I(8%)の順COVID-19後遺症の主訴の多くが倦怠感、息切れ、頭痛の3つ 次に調査結果の概要を示す。【1.後遺症の症状】・全症状(複数回答)倦怠感(93人)、息切れ(44人)、頭痛(38人)の順で多く、その他が128人・主症状(単一回答)倦怠感(52人)、息切れ(25人)、頭痛(23人)の順で多く、その他が49人・後遺症の症状の数(症例データ)1つ(35%)、2つ(27%)、3つ(27%)の順・訴える症状の数(相談窓口データ)2つ(34%)、1つ(30%)、3つ(19%)の順 症状は上位3つの主訴が多いが、「その他」も多く、多岐にわたる症状が多い。また、全体の65%が2つ以上の症状を訴えていたことが判明した。【2.後遺症の出現時期と改善状況】・後遺症の出現時期[発症からの期間](n=213)2週間未満(116人)、2週間以上1ヵ月未満(46人)、1ヵ月以上3ヵ月未満(40人)の順・直近受診日における改善状況(n=125)改善(68人)、症状継続(54人)、他院紹介(3人)の順 全体の約54%がCOVID-19発症から2週間未満であり、症状が継続していた。また、改善状況では全体の54%が直近受診日において改善していた。【3.治療・検査】 後遺症の治療法は確立されていないが、都立・公社病院では、症状に応じた検査・薬の処方など、対症療法を行っている。(1)倦怠感(n=52)・検査:血液検査(33人)、胸部X線(17人)、脳・頭部MRI(14人)など・治療:漢方薬(23人)、抗うつ薬(5人)、解熱鎮痛薬(4人)など(2)息切れ(n=25)・検査:胸部X線(20人)、血液検査(14人)、心電図(8人)など・治療:漢方薬(4人)、解熱鎮痛薬(4人)、咳止め薬(4人)など(3)頭痛(n=23)・検査:血液検査(16人)、脳・頭部MRI(9人)、心電図、胸部X線(ともに7人)など・治療:解熱鎮痛薬(9人)、漢方薬(4人)など 改善時期では、倦怠感が発症から1~3ヵ月、3~6ヵ月がほぼ同じ割合で多く、息切れは1~3ヵ月、頭痛は3~6ヵ月の回答が多かった。 東京iCDCは、以上の結果から「時間の経過とともに改善がみられる事例がある一方で、コロナ罹患時よりも重い症状となる事例、症状が長期に遷延し、仕事などを休まざるをえない事例もみられた。コロナ発症時から1~2ヵ月以上症状が継続するなど、後遺症が疑われる場合は、無理な活動は避け、かかりつけの医療機関や相談窓口などへ相談をしてほしい」と結んでいる。

1485.

ウクライナ語を新たに追加、医療通訳サービス活用を/日医

 ウクライナからの避難者やその親族等の支援として、日本医師会では医療通訳サービスに、2022年4月6日より新たにウクライナ語を追加した。同サービスは医師賠償責任保険の付帯サービスとして実施されているもので、ウクライナ語を含む19言語に対応。通訳者を介して話すことができる電話医療通訳とアプリを活用した機械翻訳の2つのサービスからなる。同日開催された日本医師会定例記者会見で、松本 吉郎常任理事が発表した。併せて、新型コロナウイルス感染症の影響や未収金発生状況等について審議結果をまとめた「令和2年・3年度外国人医療対策委員会報告書」の内容が公開された。特別な設備は不要、電話1本で利用可能 同サービスは当初東京オリンピックの開催に伴う外国人患者増加に向けた施策の一環として開始されたものだが、現在も継続されている。[電話医療通訳サービス概要]対応言語:19言語(英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・ベトナム語・タイ語・ロシア語・タガログ語・フランス語・ヒンディー語・モンゴル語・ネパール語・インドネシア語・ペルシャ語・ミャンマー語・広東語・アラビア語・ウクライナ語)対応時間:毎日8:30~24:00利用対象者:開設者・管理者が日本医師会A1会員である医療機関の医師・職員利用料:A1会員1人当たり年間20回まで無料※ウクライナから避難された患者やその親族における電話医療通訳については、対象言語に関わらず、年間20回の回数制限を除外して対応利用方法:事前登録完了後に通訳直通電話番号を案内→電話1本で利用可能外国人COVID-19患者への対応や未収金の発生防止にも活用を 「令和2年・3年度外国人医療対策委員会報告書」では、新型コロナワクチン接種のための手続きが日本語が十分に使える状況にない来日外国人にとって非常に難易度が高いこと、日本人と比べ自宅療養の比率が高くなる傾向が報告されていること、陽性判明から入院・入所までの手続きにおけるコミュニケーションが十分にとれていないケースも散見されることなどが指摘されている。 また、未収金の発生状況についても、厚生労働省「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」(令和3年3月)よりデータがまとめられている。令和2年10月の1ヵ月間で、外国人患者の受入実績のある2,195病院のうち、363病院(16.5%)が外国人患者による未収金を経験していた。発生件数は平均4.4件、総額は平均37.0万円で、500万円を超える事例が6件あり、最高額は約989万円だった。 松本氏は、ウクライナからの避難民や新型コロナ感染症患者への対応はもちろん、未収金の発生防止対策の1つとしても、円滑なコミュニケーション推進のために医療通訳サービスを活用してほしいと話した。

1486.

HPVワクチン接種者へのスクリーニング、陽性者にはコルポスコピーを/BMJ

 子宮頸がんの予防では、ヒトパピローマウイルス(HPV)の1次スクリーニングは細胞診よりも有効性が高いとされる。オーストラリア・シドニー大学のMegan A. Smith氏らは、これまでに十分な検討が行われていないHPVワクチン接種を受けた女性における子宮頸がんの1次スクリーニング検査の効果を評価し、コルポスコピー検査導入の決定に際しては、基本となるがんのリスクを考慮する必要があり、これに基づいてHPVスクリーニング検査を行えば、その結果がHPV16/18陽性の女性では、細胞診の結果にかかわらず、過去に繰り返しスクリーニング検査を受けている女性であっても、コルポスコピー検査で前がん病変やがんが発見される可能性が高いことを示した。研究の詳細は、BMJ誌2022年3月30日号に掲載された。オーストラリア350万女性の観察研究 研究グループは、オーストラリアのHPVワクチン接種済みの女性において、子宮頸がんの1次スクリーニング検査プログラムの開始から2年間の実態を調査する目的で、観察研究を行った(筆頭著者らはオーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]から給与支援を受けた)。 対象は、2017年12月1日~2019年12月31日の期間にHPVの1次スクリーニング検査を受けた女性であった。 1次スクリーニング検査でHPV16またはHPV18が陽性であった場合、液状処理細胞診でのhigh grade、low grade、陰性、不十分の集団に、HPV16/18以外の高リスクHPV型陽性者では液状処理細胞診でhigh gradeの集団に、コルポスコピー検査が行われた。 また、HPV16/18以外の高リスクHPV型陽性者には、液状処理細胞診によるトリアージが行われ、中等度リスク(low grade、陰性)の集団には、12ヵ月間のフォローアップHPV検査が推奨され、期間中に高リスクHPV型(HPV16/18およびHPV16/18以外)が陽性となった時点でコルポスコピー検査が導入された。 主要アウトカムは、初回HPVスクリーニング検査で陽性となり、コルポスコピー検査を受けた女性の割合と、子宮頸部上皮内新生物(CIN)Grade3以上、同Grade2以上およびがんの検出の短期的なリスクとされた。 スクリーニング検査の対象となった25~69歳の女性642万8,677例のうち350万7,281例(54.6%)が、2019年末までに初回HPVスクリーニング検査を受けた。がん検出率:HPV16/18陽性者0.98%、細胞診陰性でも0.32% 定期的にスクリーニング検査を受けた25~69歳の女性304万5,844例では、HPV16/18陽性率は2.0%、HPV16/18以外のHPV型陽性率は6.6%であり、ワクチン接種率が高い25~34歳の女性(76万8,362例)では、それぞれ2.2%および13.3%であった。 コルポスコピー検査を受けた女性の割合は3.5%で、12ヵ月間の再HPV検査を終了していない女性を考慮すると、6.2%に増加すると推定された。 子宮頸がんは、ベースライン時にHPV16/18陽性の女性の0.98%(456/4万6,330例)で検出された。このうち細胞診でhigh gradeの女性は子宮頸がんの検出率が4.4%(330/7,583例)とリスクが最も高く、陰性の女性でも0.32%(89/2万8,003例)と相対的に高いリスクを示し、これはlow gradeの0.26%(26/9,821例)と同程度であった。 ベースラインと12ヵ月後の双方においてHPV16/18以外のHPV型が陽性で、細胞診が陰性またはlow gradeの中等度リスクの女性(2万19例)は、重篤な病態のリスクが低かった(CIN Grade3以上:3.4%、がん:0.02%)が、このスクリーニングアルゴリズムでは、コルポスコピー検査を受けた62.0%に当たると推定された。 著者は、「これらの結果は、HPV16/18陽性の女性は子宮頸がんのリスクが高い(0.98%)ため、細胞診の結果にかかわらず、コルポスコピー検査を考慮する必要があることを示唆する」とし、「HPV16/18以外のHPV型が陽性で、細胞診が陰性またはlow gradeの女性では重篤な病態のリスクが低かったが、コルポスコピー検査を受けた女性の多くを占めていたことから、HPV検査を1回ではなく2回繰り返すことで安全に管理できる可能性がある」としている。

1487.

こういうランダム化比較試験は仕方ない?(解説:後藤信哉氏)

 日本ではランダム化比較試験の多くが薬剤の臨床開発の一環としての治験として行われている。治験でないランダム化比較試験には薬を売るためのseeding trial(種まき試験)が多い。企業の利益と臨床試験が直結するため、規制当局による厳格な規制がなければ資本は何をするかわからない。 経済利益と直結する臨床試験と異なり、本研究は新型コロナウイルスという脅威にさらされた人類の治療法探索の一環として施行された研究である。新型コロナウイルス感染は血栓症のリスクを増やす。血栓イベント予防効果のある抗血小板薬は感染症の予後を改善するかもしれないとの仮説が検証された。 筆者は知らなかったが、世界には肺炎の予後改善を目指したREMAP-CAP試験という各種薬剤の効果を検証する継続的なランダム化比較試験の基盤があるらしい。本研究では新型コロナウイルス肺炎にてICU入院あるいは機械的補助循環・呼吸を要した重症例1,557例を対象とした。試験のendpointは登録後21日以内の機械的補助循環・呼吸を外れた日数とした。日数-1は死亡、日数22は無事退院となる。ランダム化はオープンラベルでアスピリン・P2Y12阻害薬使用ないし不使用である。 重篤な出血は増えるようだが、生存できる可能性は抗血小板薬を使ったほうがよい方向に見えるが統計学的に差異はなかった。1,400例以上集めても差がなかったことが示された。論文の著者はREMAP-CAP Writing Committee for the REMAP-CAP Investigatorsで個人ではない。人類のために能力のあるものが臨床試験にて医療のシステム的改善にチャレンジするとのランダム化比較試験のお手本のような例だと筆者は思う。

1488.

第107回 自宅療養COVID-19患者へのまめな自動通知でパルスオキシメーターいらず?

ペンシルベニア大学が実施した無作為化試験の結果によると、自宅療養する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者にまめに通知して病状を把握して必要に応じて看護師等が事に当たる遠隔医療体制が整っていればパルスオキシメーターのような新手の装置の導入なしで入院や死亡を十分に防ぐことができるようです1,2)。2020年3月に同大学医学部(Penn Medicine)は自宅療養COVID-19患者を遠隔通信で見守る仕組みを開始しました。COVID Watchという名称のその取り組みでは呼吸困難の有無と体調はどうかを尋ねる文章通知が2週間のあいだ1日に2回自動配信されます。もし患者の呼吸がより困難になっているようであれば24時間対応チームの担当者から連絡があり3)、救急科(ED)に患者をすぐさま届けるか、遠隔での急診を手配するか、自宅での引き続きの様子見が指示されます。そのようにして入院が必要な悪化患者を容易に見つけ出し、あとは家で安全に過ごしてもらうCOVID Watchには開始以来のべ2万8,500人超の患者が参加しており、その効果は死亡率の低下となって現れています。COVID Watchで世話した患者3,448人とそうでない4,337人を比較したところ、30日間の死亡者数は前者ではわずか3人、後者では12人であり、COVID Watchは死亡率の実に68%低下と関連しました4,5)。COVID Watchでは悪化の兆しを患者の呼吸困難の自覚を頼りに読み取りますが、COVID-19患者が知らぬ間に被る低酸素状態をパルスオキシメーターで測定した酸素飽和度を頼りに把握して悪化を察知するのはさらに良さそうと考える向きもあります1)。COVID-19患者は呼吸困難などの発症に先立って血中酸素レベル低下を呈するとの報告があり、パルスオキシメーターでその低酸素を感知すれば入院が必要な患者をより早期に発見して急を要する治療をより素早く施して患者転帰を更に改善できるかもしれません。一見理にかなうパルスオキシメーターの使用はどうも抗いがたい説得力があるらしく、自宅療養COVID-19患者の遠隔体調把握の取り組みの多くでその使用が取り入れられています。しかしパルスオキシメーターの効果のほどの裏付けは乏しく、無作為化試験での検討はこれまでありませんでした。そこでペンシルバニア大学の研究者は2020年11月29日から去年2021年2月5日に募ったCOVID-19患者2,000人超をいつも通りのCOVID Watch手順のみの群かそれに加えてパルスオキシメーターも使ってもらう群に割り振って入院や死亡の予防効果を比較する無作為化試験を実施しました。その結果、余分な支出をしてパルスオキシメーターを使うひと手間の価値は残念ながら認められませんでした。試験参加から30日間を入院なしで生きながらえた日数平均の比較が試験の主な目的で、パルスオキシメーター使用群でのその日数はいつも通りのCOVID Watch手順群の29.5日とほぼ同じ29.4日であり、有意差はありませんでした。不安の程度も有意差はなく、パルスオキシメーターのおかげで患者はより安心して過ごせたというわけでもありませんでした。試験は体調の遠隔把握の取り組みに上乗せしてパルスオキシメーターを使った場合を検討したものであるという点を踏まえてその結果を解釈する必要があります。COVID Watchのような遠隔での世話を患者が受けられないのであれば自宅でのパルスオキシメーター使用は妥当な手段の一つとなり得るかもしれません。試験主導医師の一人Krisda Chaiyachati氏は次のように言っています2)。「自動配信の通知を利用する原始的な手段で遠隔対応すれば値が張る装置をあえて使わずとも十分に事足りるようです。自動通知を利用すればより少ない看護師の手配で多数のCOVID-19患者の世話が可能であり、そのような仕組みはCOVID-19に限らず他の病気の患者にも役立てられそうです」。他の病気にはたとえば高血圧、糖尿病、心不全などの慢性疾患が含まれます3)。参考1)Lee KC,et al. N Engl J Med. 2022 Apr 6. [Epub ahead of print]2)Pulse oximeters did not change outcomes for patients in COVID-19 monitoring program / Eurekalert3)Remote Monitoring of Patients with Covid-19: Design, implementation, and outcomes of the first 3,000 patients in COVID Watch. NEJM Catalyst. July 21, 20204)Delgado MK, et al.. Ann Intern Med. 2022 Feb;175:179-190. 5)Automated texting system saved lives weekly during first COVID surge / Eurekalert

1489.

子宮頸がん撲滅に向けて:HPVワクチン接種の意義とは

 2022年3月29日、MSD株式会社は子宮頸がん予防に関するメディアセミナーを開催した。 今回のセミナーでは、「子宮頸がん予防の重要性ついて」を近藤 一成氏が、「ワクチン接種を検討する方へ伝えるべきポイント」について勝田 友博氏が説明した。若年女性で多い子宮頸がん 主要先進7ヵ国、G7の中で日本は子宮頸がん罹患率が最も高く、年間約1万人が子宮頸がんに罹患し、約3,000人が死亡している。2019年の1年間であれば、死亡者のうち571人が25~49歳と若年の女性であった。つまり、子宮頸がん予防の遅れが課題となっている。 「子宮頸がんは人生を変えてしまう疾患である」。子宮頸がんが原因で離婚することになった患者、幼い子供がいながら余命宣告をされた患者など多くの患者を診てきた近藤氏は、子宮頸がんをそう評価する。子宮頸がん撲滅のために 子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)感染によるものであり、HPVは性交経験のある女性のうち約80%が感染しているとされ、誰にでも起こりえるといえる。実際に、HPVに感染していない子宮頸がんはほとんどないといわれている。 子宮頸がんはHPVに感染した後、軽度異形成から中等度、高度異形成、そして上皮内がんへと進行する。がん検診で早期発見できるのは、高度異形成以上であるため、検診率が80%台になっても罹患率の減少は35%程度しか見込めないと近藤氏は指摘する。さらに、細胞診の感度は53~78%であり、一定の割合で偽陰性が生じることや、最近増加傾向にある子宮頚部腺がんは検出が難しい。そのため、子宮頸がんの予防戦略としては1次予防でHPVワクチン、検診は2次予防である、と近藤氏は訴えた。 実際にHPVワクチンの接種率向上によって、スコットランドでは子宮頸がんやその前段階である異形成が減少したと報告されており、スウェーデンやイングランドにおいても同様の報告がなされている。 「このままでは子宮頸がんは日本の風土病になってしまう」、諸外国の状況と日本の現状を比べて近藤氏はそう語った。HPVワクチンの積極的勧奨が再開された今、早期のHPVワクチン接種が望まれる、と述べて近藤氏は講演を終えた。正確な情報をもとに判断する 続いて、「ワクチン接種を検討する方に伝えたい留意点」と題して勝田 友博氏が講演を行った。 HPVワクチンと聞くと真っ先に思い浮かぶのが、接種後の痛みや手足の動かしにくさ、不随意運動などの身体機能症状である。これらの身体機能症状がHPVワクチンによるものなのではないか、という点を気にしてHPVワクチンを接種しない選択をした方も多くいることが想像できる。 しかし、HPVワクチンと多様な身体機能症状の関連について調査した名古屋Studyでは、月経量の異常だけが接種群において非接種群よりも頻度が増加していた。また、『青少年における疼痛または運動障害を中心とする多様な症状の受領状況に関する全国疫学調査』によると、HPVワクチンの接種歴がなくても接種後に報告されている症状と同様の多様な症状を呈するものが一定数存在することが報告されている。 HPVワクチンに関する情報が溢れている昨今、その中から正確な情報をもとに接種希望者には判断をしてもらう必要がある。とくに医療従事者は正確で透明性の高い情報をわかりやすく提供し、判断の助けをする必要がある、と勝田氏は語った。今後のHPVワクチン接種体制 現在、日本国内で2000年度以降に生まれた女性におけるHPVワクチン接種率がかなり低い状況にある。そのため、キャッチアップ接種の必要性があるとされており、対象は1997~2005年生まれの女性となる。 HPVワクチンは接種年齢が遅れるとワクチンの効果が低下するため、接種機会を得たら速やかに接種することを勝田氏は推奨している。 ワクチン接種の重要性も接種する本人、または保護者に伝わらないと意味がない。将来「知らなかった」で後悔しないよう、ワクチン接種するかどうかを、本人や保護者に正確な情報をもとに判断してもらうためにも、国や医療従事者が正確かつ透明性の高い情報をわかりやすく提供することが重要だ、と勝田氏は述べ、講演を締めくくった。

1490.

第96回 COVID-19レジストリ研究“ダッシュボード”公開/国立国際医療研究センター

<先週の動き>1.COVID-19レジストリ研究“ダッシュボード”公開/国立国際医療研究センター2.感染拡大を懸念し、新型コロナウイルス感染症対策分科会が緊急メッセージ3.医師大量退職の大津市民病院、理事長に次いで院長も辞任4.2021年の救命救急センター評価、S評価は96ヵ所/厚労省5.ヤングケアラー実態調査で小学6年生の15人に1人が家族の世話6.精神病院での身体拘束後の死亡事件、遺族と病院が和解1.COVID-19レジストリ研究“ダッシュボード”公開/国立国際医療研究センター国立研究開発法人 国立国際医療研究センターは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症例データベース研究「COVID-19 REGISTRY JAPAN(COVIREGI-JP)」に登録されたデータ等を活用したダッシュボードを公開した。COVID-19と診断され、日本国内の医療機関に入院した患者を対象として、以下の情報が登録されている。(1)基本情報(年齢、性別、出生国、人種、感染に関する疫学的情報、基礎疾患、内服歴・治療歴など)(2)入院や治療に関する情報(症状、入院期間、治療方法、血液・画像検査の結果など)(3)感染症に関する情報(COVID-19の検査結果、その他病原体検査結果など)(4)その他(妊婦:妊娠期間、妊娠中の異常、妊娠転帰/小児:出生歴、ワクチン接種の有無など)本研究は、国際感染症センターと全国700余りの医療機関が共同で6万3,000例以上の症例を登録し、わが国で最大級のCOVID-19入院患者データを蓄積するレジストリとなっている。今後も研究を推進させるため、引き続きデータ登録や研究への参画を呼びかけている。ダッシュボードでは、重症患者の推移、年齢男女構成、症状、併存疾患、薬物治療、呼吸補助治療、喫煙状況などを一覧することができる。2022年4月11日時点のダッシュボード画面画像を拡大する(参考)コロナ入院患者の症状推移や治療状況などまとめたサイト公開(NHK)COVIREGI-JPダッシュボード公開について~COVID-19・レジストリ登録データを見える化しました~(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター)2.感染拡大を懸念し、新型コロナウイルス感染症対策分科会が緊急メッセージ政府は8日、新型コロナウイルス感染症対策分科会を開催した。今後の急激な感染拡大を防止して、社会経済活動を継続するための緊急メッセージを発信し、国民へ可能な限り早めの3回目接種などを呼び掛けた。まん延防止等重点措置の解除後、わが国でも海外と同様に、陽性者でオミクロン株BA.2が占める割合が増加し、感染再拡大の兆候が見られているため、適切なマスク着用など基本的感染対策の徹底が求められる。また、医療機関や自治体に対しては、高齢者施設で感染が疑われる人が出た場合、早期の医療介入や施設での感染対策のために手厚い支援をするよう求めている。(参考)高齢者対策重点に 感染急拡大で医療逼迫も 分科会(産経新聞)急拡大防止“追加接種やマスク着用を”分科会が緊急メッセージ(NHK)第7波対策、分科会で議論 社会経済活動の制限に賛否(日経新聞)3.医師大量退職の大津市民病院、理事長に次いで院長も辞任京都大学から派遣されている外科・消化器外科・乳腺外科などの医師19人の相次ぐ退職見込みが報道されている滋賀・大津市民病院は、若林 直樹院長が一連の責任をとる形で辞任することを明らかにした。後任の院長には、京都府立医大出身の日野 明彦氏(現・済生会滋賀県病院 院長補佐)が4月18日に就任する。なお、院長を辞任した若林氏は副理事長として、引き続き病院運営や診療に携わり新院長をサポートしていくとされる。一方、後任の理事長はまだ決まっておらず、大津市長が人選を急いでいる。(参考)大津市民病院 院長辞任発表“多くの医師退職問題で責任とる”(NHK)院長辞任→院長代行に 大津市民病院(読売新聞)大津市民病院の院長が辞任「責任を痛感」 医師大量退職問題、副理事長は継続(京都新聞)4.2021年の救命救急センター評価、S評価は96ヵ所/厚労省厚生労働省が、2021年「救命救急センターの充実段階評価の評価結果」を公表した。全国298ヵ所の救命救急センターが対象に行われた本調査は、1999年度から救命救急センター全体のレベルアップを図ることを目的として実施されており、最もランクの高い「S」評価を得たのは、東北大学病院、福島県立医科大学附属病院、筑波大学附属病院、自治医科大学附属病院、埼玉医科大学総合医療センター、手稲渓仁会病院、東京都立墨東病院、亀田総合病院、慈泉会相澤病院など96ヵ所。評価としては「A」が196ヵ所で最も多く、「B」は5ヵ所、「C」は1ヵ所となっている。評価の結果は、救命救急センター運営事業費の補助額と診療報酬に反映される。たとえば診療報酬では、「S」評価であれば救命救急入院料に救急体制充実加算1(1,500点)、「A」なら同加算2(1,000点)、「B」なら同加算3(500点)がそれぞれ上乗せされる。(参考)2021年の救命救急センターの評価、S:96か所、A:196か所、B:5か所、C:1か所に―厚労省(Gem Med)21年の充実段階評価「S」、救命センター96カ所「C」は1カ所、厚労省(CB news)5.ヤングケアラー実態調査で小学6年生の15人に1人が家族の世話厚労省は今年1月、介護など家族の世話をしている子供や若者(ヤングケアラー)の実態調査を行った。その結果、小学6年生の15人に1人、大学3年生では16人に1人が実際に家族の介護などをしていることが明らかとなった。平日1日あたり7時間以上を費やすと回答したヤングケアラーは7.1%であり、割合は家事や幼い兄弟姉妹の世話が多く、学業や健康面への影響が心配だ。(参考)“ヤングケアラー”国が初調査 小学生15人に1人「家族を世話」(NHK)ヤングケアラー、小6の15人に1人 1日7時間費やす例も 厚労省調査(日経新聞)小学生の15人に1人はヤングケアラー 長時間ケアが学校生活に影響(朝日新聞)6.精神病院での身体拘束後の死亡事件、遺族と病院が和解東京都足立区の精神科病院で、患者(当時54歳)が死亡したのは違法な身体拘束によるものとして、遺族が病院側に約6,200万円の損害賠償を求めた訴訟があり、東京高裁(足立 哲裁判長)で4月7日に和解が成立した。被告となった病院は、再発防止に努めるとともに、解決のため和解金を支払うこととなったが、金額は明らかにされていない。東京地裁の判決によると、双極性障害と診断されていた患者が2016年1月、足立区内の精神科病院を受診し、夫の同意下で入院したが、医療者側の指示に従わないため、医師の指示によって両腕・胴の拘束を開始した。7日後に解除されたが、直後に容体が急変し、肺塞栓症にて亡くなった。(参考)身体拘束後死亡、遺族と病院和解 東京高裁(日経新聞)身体拘束後に死亡、精神科病院側と遺族が和解 「一層の配慮」を約束(朝日新聞)

1491.

血友病の遺伝子治療、EUでは発売間近だが日本は出遅れた(解説:長尾梓氏)

 単一遺伝子欠損で発症する血友病は遺伝子治療の有望なターゲットで、唯一のcureを目指せる治療として有望視され、現時点で少なくとも血友病AとBを合わせて14社が開発に乗り出している。遺伝子のサイズが小さくアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに搭載しやすい血友病Bが先行して開発され、8年間の耐久性を示した製品もある(scAAV2/8-LP1-hFIXco, sponsor; St. Jude Children’s research Hospital/UCL)。サイズの大きい血友病A遺伝子治療は少し出遅れたが、その中ではBioMarin社の遺伝子治療(roctavian[valoctocogene roxaparvovec])が最も先行している。ロイター通信によると、BioMarin社のroctavianは2019年に3年間の第I/II相データと第III相データの中間解析に基づいてFDAおよびEMAに承認申請したものの、第I/II相データでは2年目に治療効果が低下傾向にあり、第III相のデータをさらに2年分追加することが要求された。つまり、FDAもEMAもdurabilityに懸念を示したわけである。 遺伝子治療の懸念はほかにも多数ある。AAV抗体を保有している患者への投与の可否、ベクターのdose(多ければ多いほど発現は増えるが、副作用も増える)。そのほか、AAVが肝臓指向性に改編されているため投与後の肝機能異常がほぼ必発で、免疫抑制薬を必要とする場合はその用量、タイミングそして副作用の問題。第VIII因子発現にも個人差が大きく(variability)、発現しなかった場合の再投与の可否、過剰発現の場合の抗凝固薬の要否等の問題である。 さて、今回のNEJM誌はそのBioMarin社の重症血友病Aに対するAAVを用いた遺伝子治療の多施設共同単群非盲検第III相試験「GENEr8-1試験」の結果である。抗AAV5抗体を保有していない18歳以上の重症血友病A患者134例にvaloctocogene roxaparvovec(6×1013vg/kg)を単回注入、51週以上の追跡調査を完了した。 49~52週時の第VIII因子活性は平均41.9 IU/dL増加した(95%信頼区間[CI]:34.1~49.7、p<0.001、変化量中央値:22.9 IU/dL、四分位範囲:10.9~61.3)。132例のうち17例から104週までのデータが得られ(つまり2年以上)、104週での第VIII因子活性は平均24.4±29.2%、中央値14.7%(四分位範囲6.4~28.6)と個人差は大きいもののまずまずの結果であった。 132例のうち270-902試験のデータが6ヵ月以上ある112例においては、投与後4週目以降の第VIII因子製剤の年間使用量がベースラインから98.6%減少し、年間の治療した出血回数もベースラインから83.8%減少した(p<0.001)。 134例全例に有害事象が認められ、22例(16.4%)で重篤な有害事象が報告された。ALT増加は134例中115例(85.8%)に認められ、免疫抑制薬により治療された。そのほかの主な有害事象は、頭痛(38.1%)、悪心(37.3%)、AST増加(35.1%)であった。第VIII因子インヒビターや血栓症の発現は認められなかった。 今回のNEJM誌のデータをもってBioMarin社はFDAに再申請すると報じられている。一方、EMAはすでに再申請を受け入れており、EMAの医薬品委員会(CHMP)と先端医療委員会(CAT)の2つの機関で審査が行われ、2022年6月までに決定される予定とのこと。承認されれば、roctavianは血友病Aに対して欧州で承認された最初の遺伝子治療薬となる。 ただ、残念ながらroctavianは昆虫細胞系の産生システムを採用しているため、日本の法下では扱いが難しく、臨床試験も困難な状況で日本での発売の見通しはまったく立っていない。ひとつ、朗報としては、同AAVベクターをHEK293で発現させてマウスでの耐久性を比較し同等であったと2021年の米国血液学会で発表されている。

1492.

妊娠中のコロナワクチン接種、周産期アウトカムへの影響は?/JAMA

 妊娠中の女性に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを接種しても、妊娠終了後の接種や非接種と比較して、母子における有害な周産期アウトカムのリスクの増加はほとんどみられないことが、カナダ・オタワ大学のDeshayne B. Fell氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年3月24日号に掲載された。オンタリオ州の後ろ向きコホート研究 研究グループは、妊娠中のCOVID-19ワクチン接種の、周産期のアウトカムに及ぼす影響の評価を目的に、人口ベースの後ろ向きコホート研究を行った(カナダ公衆衛生庁の助成を受けた)。 解析には、カナダ・オンタリオ州のCOVID-19予防接種データベース(COVaxON)と連携させた出生レジストリ(Better Outcomes Registry & Network[BORN] Ontario)の2020年12月14日~2021年9月30日のデータが用いられた。 被験者は、妊娠中に少なくとも1回のCOVID-19ワクチン接種を受けた群、妊娠終了後に接種を開始した群、接種の記録がない群の3群に分けられた。 主要アウトカムは、母親では分娩後出血、絨毛膜羊膜炎、帝王切開による分娩(全体および緊急時)、新生児では新生児集中治療室(NICU)入室、分娩5分後の新生児Apgarスコア低値(7点未満)の発生とされた。リスク増大なし、ほとんどがmRNAワクチンである点に留意 9万7,590人(平均年齢 31.9[SD 4.9]歳)の妊婦が解析に含まれた。2万2,660人(23%)が妊娠中に少なくとも1回のワクチン接種を受け、このうち63.6%は妊娠第3期(妊娠期間中央値213日[在胎週数30週])に1回目の接種を受けており、99.8%(BNT162b2[Pfizer-BioNTech製]79.9%、mRNA-1273[Moderna製]19.9%)がmRNAワクチンであった。 これら妊娠中接種群は、妊娠終了後接種群(4万4,815人)と比較して、5つの有害な周産期アウトカムについて、統計学的に有意なリスクの増加は認められなかった。 すなわち、分娩後出血の発生率は、妊娠中接種群が3.0%、妊娠終了後接種群も3.0%(補正後群間リスク差:-0.28/100人[95%信頼区間[CI]:-0.59~0.03]、補正後リスク比:0.91[95%CI:0.82~1.02])で、絨毛膜羊膜炎はいずれも0.5%(-0.04/100人[-0.17~0.09]、0.92[0.70~1.21])と両群に差はなく、帝王切開による分娩は30.8%および32.2%(-2.73/100人[-3.59~-1.88]、0.92[0.89~0.95])と、妊娠中接種群のほうが低かった。また、新生児の2つのアウトカムはいずれも妊娠中接種群でリスクが低く、NICU入室は11.0%および13.3%(-1.89/100人[-2.49~-1.30]、0.85[0.80~0.90])、分娩5分後Apgarスコア低値は1.8%および2.0%(-0.31/100人[-0.56~-0.06]、0.84[0.73~0.97])だった。 また、非接種群(3万115人)と比較した場合の、妊娠中接種群における有害な周産期アウトカムの発生のリスクは以下のとおりであり、妊娠終了後接種群との比較とほぼ同程度であった。 分娩後出血(3.0% vs.3.4%、補正後リスク差:-0.32/100人[95%CI:-0.64~-0.01]、補正後リスク比:0.90[0.81~1.00])、絨毛膜羊膜炎(0.5% vs.0.3%、0.07/100人[-0.04~0.19]、1.20[0.90~1.59])、帝王切開による分娩(30.8% vs.28.5%、-0.97/100人[-1.81~-0.14]、0.97[0.94~1.00])、NICU入室(11.0% vs.12.8%、-0.93/100人[-1.52~-0.35]、0.92[0.87~0.97])、分娩5分後Apgarスコア低値(1.8% vs.2.0%、-0.23/100人[-0.47~0.02]、0.88[0.77~1.01])。 著者は、「これらの結果を解釈する際は、妊娠中のワクチン接種の多くは妊娠第2~3期に接種されたmRNAワクチンである点に留意する必要がある」としている。

1493.

回復期患者血漿、ワクチン未接種のコロナ外来患者に有効か?/NEJM

 多くがワクチン未接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の外来患者において、症状発現から9日以内の回復期患者血漿の輸血は対照血漿と比較して、入院に至る病態悪化のリスクを有意に低減し、安全性は劣らないことが、米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のDavid J. Sullivan氏らが実施した「CSSC-004試験」で確認された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年3月30日号に掲載された。米国23施設の無作為化対照比較試験 本研究は、COVID-19外来患者の重篤な合併症の予防における回復期患者血漿の有効性の評価を目的とする二重盲検無作為化対照比較試験であり、2020年6月3日~2021年10月1日の期間に、米国の23施設で参加者の登録が行われた(米国国防総省などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陽性で、COVID-19の症状発現から8日以内の外来患者であり、病態悪化のリスクやワクチン接種の有無は問われなかった。 被験者は、回復期患者血漿または対照血漿の輸血を受ける群(両群とも約250mLを単回投与)に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、登録後24時間以内に約1時間をかけて輸血された後、30分間の経過観察が行われた。 対照血漿には、2019年に献血で得られたか、2019年12月以降にSARS-CoV-2陰性と判定された集団から得られた血漿が用いられた。 主要アウトカムは、輸血から28日以内のCOVID-19関連入院とされた。相対リスクが54%低下 1,225例(SARS-CoV-2陽性の判定はRNA検出が87%、抗原検出が13%)が無作為化の対象となり、このうち実際に輸血を受けた1,181例(年齢中央値43歳、65歳以上7%、50歳以上35%、女性57%[3例の妊婦を含む]、症状発現から輸血までの期間中央値6日)が修正intention-to-treat解析に含まれた(回復期患者血漿群592例、対照血漿群589例)。 ワクチンは、未接種が回復期患者血漿群83.3%、対照血漿群81.7%、部分接種がそれぞれ4.6%および5.3%、完全接種は12.2%および13.1%であった。 28日以内のCOVID-19関連入院は、回復期患者血漿群が592例中17例(2.9%)で認められ、対照血漿群の589例中37例(6.3%)と比較して有意に良好で(絶対リスク低下率:3.4ポイント、95%信頼区間[CI]:1.0~5.8、p=0.005)、相対リスクが54%低下した。1回の入院を回避するのに要する治療必要数は29.4例だった。 回復期患者血漿群の12例と対照血漿群の26例で、病態の悪化により酸素補給が行われた。対照血漿群の3例が、入院後に死亡した。 両群を合わせた入院患者54例のうち53例はワクチン未接種で、残りの1例は部分接種であり、完全接種はなかったため、ワクチン接種者における有効性の評価はできなかった。 Grade3/4の有害事象は89件発現し、回復期患者血漿群が34件、対照血漿群は55件であった。非入院患者では、16件のGrade3/4の有害事象が認められ、それぞれ7件および9件だった。 著者は、「これらの結果は、とくにワクチン配布に不均衡がみられる医療資源が乏しい地域において、公衆衛生上の重要な意味を持つ」とし、「将来のCOVID-19の世界的流行を想定すると、回復期患者血漿を迅速に投与できる輸血センターの設立が考慮すべき課題となるだろう。また、現在の世界的流行においても、モノクローナル抗体に対する耐性を持つSARS-CoV-2変異株が伝播し続けていることから、とくに地域で得られた最近の血漿には、循環する株に対する抗体が含まれるため、COVID-19回復期患者血漿の入手と配布の能力の開発が、有益性をもたらす可能性がある」と指摘している。

1494.

第103回 24年度まで無料延長!今がチャンスの風疹抗体検査とワクチン接種

前回、新型コロナウイルス感染症の3回目接種の進捗が低調なのではないかと本連載で触れたが、以下の記事によると、実際にそうらしい。「ワクチン3回目、遅れる現役世代 対象の2割が未接種」(日本経済新聞)記事では3月末までに3回目の接種時期を迎えた現役世代の4人に1人は未接種とのデータを紹介。その背景について厚生労働省は副反応への懸念があると見ているとのこと。前回はそうした可能性があることを踏まえ、メッセンジャーRNAワクチンに比べて接種者が自覚する副反応頻度がやや低い「組み換えタンパクワクチン」の承認を急ぐべきだと私は主張したが、どうやらその点は実現しそうな見込みである。一方、岸田 文雄首相はワクチンの3回接種完了者向けにコンサートやスポーツ観戦などのイベントに割引を適用する「ワクワクイベント事業」の展開を検討していると報じられている。すでにこの種の振興事業に関しては、「Go To トラベル事業」の代替措置として観光庁が支援している「県民割」がある。これは新型コロナの感染状況がステージII以下の自治体で、新型コロナワクチンの2回接種完了あるいはPCR検査などの陰性を条件に居住県内あるいは隣接県への旅行代金を最大7割引にするというもので、4月6日現在、全国39道府県で実施中だ。4月1日からはこれが自県や隣接県のみならず、全国を6つに分けた地域ブロック内の旅行でも適用する「ブロック割」となり、条件も新型コロナワクチンの3回接種完了あるいはPCR検査などの陰性に切り替えられている(ただし、県内旅行の場合は知事の判断で従来のワクチン2回接種かPCR検査などの陰性結果の条件でも可)。この種の経済インセンティブによる「ニンジンをぶら下げ」手法には反発もあるようだが、行動変容などを促す場合にはある程度は必要だと個人的には思っている。さらに言えば、私はこのインセンティブ策を現在中断している「Go To Eat」へも拡大するとより効果的ではないかと考えている。ご存じのように、コロナ禍では飲食業界は新型インフルエンザ等特措法に基づく都道府県の営業自粛要請で最も大きな打撃を受けている。その意味では自粛要請期間すべてにきちんと応じた飲食店のみを対象に、前述のコロナワクチン接種の完了あるいは検査陰性を条件に飲食で割引が受けられるなどお得に使えるクーポン発行などをするという具合だ。ちなみにこうしたインセンティブ政策は、群馬県などのように地方自治体独自で行っているものもある。そうしたなかでさらに私見ではあるが、今回の新型コロナワクチンのインセンティブ策に乗っかる形で、時限措置としてインセンティブを与えたほうが良いのではないかと考えていることがある。それは中年男性への風疹ワクチン接種事業である。国内では2012~13年と2018~19年に風疹の大流行があり、その中核が過去に定期接種の機会がなく抗体保有率が低い中年男性だったことから、該当する1962年4月2日~79年4月1日生まれの男性約1,500万人を対象に無料抗体検査とその検査で風疹ウイルスに対する抗体価が低いと判断された場合のワクチン接種のクーポンが配布されてきた。この事業は本来ならば2021年度末で終了予定だったが、これまで検査を受けた人が約350万人と対象人口に比してかなり低い水準にとどまっていることから、2024年度末まで延長されることが決まった。コロナ禍による受診控えやワクチン接種がコロナにばかり注目が集まるなど、風疹ワクチン接種をめぐってはやや不運な状況が続いている。もっとも新型コロナをきっかけに良くも悪くもワクチンという存在に社会的注目が集まっていることや、4月からのヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種勧奨再開などを踏まえれば、ワクチンを巡る状況にはフォローウインドの側面もある。中年男性への風疹ワクチン接種事業は対象も限定的なため、経済的インセンティブ措置を講じる場合も予算規模はより小さくて済む。さらにやや余計な物言いかもしれないが、風疹ワクチンが細胞性免疫の賦活効果が高い生ワクチンであることを考えれば、接種者では風疹以外の感染症への副次的効果も期待できる。その意味では今こそ風疹ワクチンの接種キャンペーンを行う絶好の機会だと思うのだ。

1495.

新型コロナへのイベルメクチン、RCTの結果が明らかに/NEJM

 早期に診断された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者において、イベルメクチンで治療してもCOVID-19進行による入院の発生率や救急外来での観察期間延長は低下しないことが、ブラジル・Pontifical Catholic University of Minas GeraisのGilmar Reis氏らが実施した無作為化二重盲検プラセボ対照アダプティブプラットフォーム試験「TOGETHER試験」の結果、示された。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の急性症状を呈するCOVID-19外来患者に対するイベルメクチンの有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版2022年3月30日号掲載の報告。入院/救急外来受診患者でイベルメクチンvs.プラセボ 研究グループは、ブラジルの公衆衛生クリニック12施設において、COVID-19の症状発現後7日以内の18歳以上の外来患者のうち、糖尿病、降圧療法を要する高血圧、心血管疾患、肺疾患、50歳以上などのリスク因子のうち少なくとも1つを有する患者を、イベルメクチン(400μg/kgを1日1回3日間投与)群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、無作為化後28日以内のCOVID-19による入院またはCOVID-19悪化による救急外来受診(救急外来での>6時間の経過観察と定義)の複合アウトカムとした。主要評価項目のイベント発現率は14.7% vs.16.3%、有意差なし 2021年3月23日~8月6日の間に、イベルメクチン群(679例)またはプラセボ群(679例)に割り付けられた1,358例が解析に含まれた。 主要評価項目のイベントは、イベルメクチン群で100例(14.7%)、プラセボ群で111例(16.3%)確認され、相対リスクは0.90(95%ベイズ信用区間[CrI]:0.70~1.16)であった。主要評価のイベント計211例のうち、171例(81.0%)が入院であった。 少なくとも1回のイベルメクチンまたはプラセボの投与を受けた患者のみを解析対象とした修正intention-to-treat解析(相対リスク:0.89、95%ベイズCrI:0.69~1.15)、ならびに割り付けられた治療のアドヒアランスが100%の患者のみを解析対象としたper-protocol解析(0.94、0.67~1.35)でも、主解析と同様の結果が得られた。 イベルメクチン投与による副次評価項目または有害事象への有意な影響は観察されなかった。

1496.

HPVワクチン積極的勧奨再開にあわせたイベント&患者説明用フライヤー

 HPVワクチンは2013年に定期接種の対象となったが、その後に相次いで副反応疑いの事例が報告されたため、厚労省は接種を個別に呼びかける「積極的勧奨」を中断していた。その後、ワクチンの有効性に関するエビデンス1)が蓄積し、さらにはワクチン接種後の多様な症状とワクチン接種の関係を否定する報告2)などを背景に、今年4月より9年振りに積極的勧奨が再開されている。 今回の勧奨再開によって、定期接種の対象となる小学校6年生~中学3年生相当年齢の女子に対し、自治体から接種の案内が送付されるようになる。無料接種が可能なのは2価・4価ワクチンで、9価ワクチンや男性の接種は自費となる。併せて、積極的勧奨中断で接種機会を逃した1997~2006年生まれの女性が無料で接種を受けられる「キャッチアップ接種」や、定期接種の対象期間を過ぎて自費で接種を受けた人へ接種費用を払い戻す制度も用意されている。 HPVワクチンの普及啓発活動を行う一般社団法人みんなで知ろうHPVプロジェクト(通称みんパピ!)は、2020年8月の設立以来、HPV感染症について正確な知識を伝えるための活動を展開してきた。今回の積極的勧奨の再開にあたり、 4月9日の「子宮の日=子宮頸がん予防の日」に合わせ、さまざまな啓蒙活動を展開している。 具体的な活動は以下のとおり。人気医療マンガ『コウノドリ』の子宮頸がん編を限定無料公開 鈴ノ木 ユウ氏の人気医療漫画『コウノドリ』の「子宮頸がん」編(13巻40話・14巻41話)を出版社の協力により、「みんパピ!」サイト上で4月22日(金)まで限定無料公開。交通広告の展開 東京の渋谷駅、大阪の難波駅の大型ビジョンにワクチンについての、対象者向けのメッセージ広告を展開。4/9にYou Tubeライブを開催 医療政策などをテーマとした有識者を招いたYou Tubeライブを複数開催。患者説明用フライヤーを更新 従来から作成・配布してきた、医療機関に向けた患者説明用フライヤーの内容を更新(「みんパピ!」サイトでダウンロード可)。 みんパピ!の副代表を務める医師の木下 喬弘氏はプレスセミナーの中で「日本のHPVワクチンの接種率は2019年度で1.9%と他国に比べて恐ろしいほど低い。みんパピ!が昨年行った独自調査(参考記事)では14.4%と上昇してきたが、それでも他先進国の6~9割という接種率には程遠い。今後の急速な接種率回復が今後の子宮頸がんの罹患率・死亡率を下げることは明らかで、メディアとも協力しつつ、対象者と親、学校等への啓蒙活動を続けていきたい」とした。

1497.

3回目接種情報サイトを開設/モデルナ・ジャパン

 2022年4月4日、モデルナ・ジャパン株式会社(以下モデルナ社)はCOVID-19ワクチンの3回目接種を啓発・支援するため、新型コロナウイルスワクチン3回目接種情報サイト「どうする3回目接種?」を開設したことを公表した。 同サイトでは、ワクチン3回目の追加接種についての疑問や悩みに答えるべく、3つの知っておきたいこと(「3回目接種の必要性」、「交互接種について」、「3回目接種の副反応」)に関して、わかりやすい情報と動画を掲載。柔道家のウルフ・アロン氏、パラトライアスリートの谷真海氏がインタビュアーとしてそれぞれの目線で質問し、医師が解説する動画を視聴することができる。解説役はさくら・はるねクリニック銀座/順天堂大学 富坂美織氏、桜新町アーバンクリニック 遠矢純一郎氏の2名が務める。 モデルナ社はよりわかりやすい情報提供を通じて、3回目のワクチン接種の啓発と理解促進につながることを期待しているという。新型コロナウイルスワクチン3回目接種情報サイト「どうする3回目接種?」

1498.

第103回 医師の働き方改革まであと2年、求められる「医師独自の宿日直許可基準」

2024年4月からスタートする「医師の働き方改革」。その課題の一つとして医療機関側が挙げているのが医師(勤務医)の宿日直許可基準だ。日本医師会や、日本病院会などの四病院団体協議会、全国有床診療所連絡協議会の計6団体は3月18日、現状の許可基準のままでは地域の医療提供体制を縮小せざるを得なくなるなどと、許可基準の緩和などを求める要望書を後藤 茂之・厚生労働大臣に提出した。しかし、要望内容は経営者寄りで、勤務医の健康を考慮していないなどの指摘もされている。病院医療・地域医療を維持しながら、勤務医の健康を守るには、機械的な許可基準の適用ではなく、現場の実態を把握したうえでの対応が求められる。時間外労働の上限規制施行まで2年しかない同改革について振り返ってみる。2019年に働き方改革関連法が施行されたが、医師の勤務環境改善には5年の猶予が与えられ、2024年の施行と先延ばしされた。同年4月には、すべての勤務医に対して新たな時間外労働の上限規制が適用される。原則は年間960時間以下(A水準)だが、救急医療など緊急性の高い医療を提供する医療機関(B水準:地域医療暫定特例水準)や、研修医など集中的に多くの症例を経験する必要がある医師(C水準:集中的技能向上水準)は年間1,860時間以下の上限が適用される。また、医療機関の管理者には追加的健康確保措置を講じる義務が課される。それは28時間までの連続勤務時間制限、9時間以上の勤務間インターバル、代償休息、面接指導と必要に応じた就業上の措置(勤務停止)などだ。これらを実行するために、すべての病院が勤務医の労働内容の整理や労働時間の正確な把握、タスク・シフティング(業務移管)、36協定の締結、宿日直許可の取得などを進めていかなければいけない。現状の宿日直許可基準では病院存続も難しい宿日直は医療機関側が労働基準監督署に申請し、許可を得なければならない。対象業務は以下の条件を満たしていることが必要だ。(1)通常の勤務時間から完全に解放された後のものである。(2)一般の宿日直業務以外には、特殊な措置を必要としない軽度または短時間の業務に限る。(3)一般の宿日直許可条件(原則として宿直が週1回、日直が月1回以内など)を満たしている。(4)宿直の場合は十分な睡眠がとり得る。宿日直許可が認められないと、夜勤などは労働時間(時間外労働)と扱われ、960時間や1,860時間の上限規制をクリアすることは難しくなる。上限規制時間を超えれば、違法となり、割増賃金の負担も大きくなる。賃金負担から当直医の確保が困難になれば、病院としての存続も難しくなるだろう。これに対して前述の6団体は、医療機関からは「現状の許可基準では宿日直許可を取得できない」との声が上がっていると指摘。医師の宿日直は一般業種とは異なり、(1)救急外来、入院患者対応など気を張り詰めた業務が一定程度発生する。(2)宿日直中であっても、応召義務があるため対応しなければならない。(3)多くの医療機関が、大学病院からの応援に依存している。という特殊性を挙げた。そのうえで、現状の許可基準のままで、罰則付きの時間外労働の上限規制や、勤務間インターバル規制、連続勤務時間制限が導入されると、次のような懸念が生じるとした。▽上限規制を遵守するために医療提供体制を縮小せざるを得なくなる。▽上限規制により大学から他の医療機関への応援が制限されると、副業・兼業先からの収入が得られなくなった大学病院の医師が離職して、処遇の良い一般病院に移る動きが起こる。これにより、大学病院の診療・研究・教育の質の確保が困難になる。▽上限規制により大学から他の医療機関への応援が制限されると、副業・兼業先からの収入が得られなくなった大学病院の医師が離職して、処遇の良い一般病院に移る動きが起こる。これにより、大学病院の診療・研究・教育の質の確保が困難になる。医療団体は許可の判断基準・回数の緩和、罰則規定の猶予を要望「まだ続く新型コロナウイルスへの対応と、働き方改革への準備という極めて大きな2つの課題に同時に取り組むことを現場に求めるのは、現実的には非常に厳しい」としたうえで、「医師独自の宿日直許可基準」の策定を求め、以下の要望を行った。詳しく見てみる。1.宿日直許可の判断基準の緩和(1)各医師について「宿直時の睡眠時間が十分でない日」(例えば6時間未満など)が「月5日以内」であれば、宿日直を許可する。(2)宿日直中に救急などの業務が発生する場合でも、当該業務時間が「平日の業務時間と比べて一定程度の割合に収まっている」場合であれば、宿日直を許可する。(3)「とくにローリスクな分娩」が主となる産科医療機関では、分娩数にかかわらず、宿日直を許可する。ハイリスクな分娩を行う産科医療機関では、「宿日直中の分娩などの対応が月8~12件程度」であれば、宿日直を許可する。2.宿日直許可の回数の緩和(1)医師の健康に配慮しつつ、「地域医療提供体制を維持する」ために、各医師の宿直を月8回、日直を月4回まで許可する。(2)上記の宿日直回数は「他の医療機関に宿日直の応援に行く場合」と分けて取り扱う。(3)各医師の連日の「宿日直」を認める。3.行政の対応医師独自の宿日直許可基準を設定・明確化し、対応の統一を図る。実態に沿わない判断が出された場合、「相談窓口」を厚労省に設けてほしい。4.罰則規定の取り扱い許可基準を見直したとしても、全国の医療機関は新型コロナ対応にあたっており、働き方改革に取り組める状況にないことから、時間外労働の上限規制の罰則適用を数年猶予してほしい。地域医療も勤務医の健康も共に守る方途は少子高齢化が進む中、日本は先進国の中でも勤務医が慢性的に不足。医師の偏在と相まって過重労働の原因になっている。長時間労働や睡眠不足、ストレスは医療の質を落とすだけでなく、医療ミスの可能性を高める。昨今はコロナ禍で、医療の最前線で働く医師は感染リスクと隣り合わせにあり、精神的な緊張感が一層高まっている。医師の働き方を改善し、勤務環境を整備することは不可欠だ。医療機関の経営者からは「宿日直許可基準が厳格に運用されれば、地域医療提供体制、とりわけ救急医療や産科医療の提供体制が崩壊する」という声が聞こえる。だが、6団体の要望は「経営者寄りの要望で、現場の医師にとっては厳しい内容だ」との指摘もある。地域医療も、勤務医の健康も共に守るには、現場の実態に即して双方が納得できる「医師独自の宿日直基準」の策定が必要だろう。

1499.

無症状の濃厚接触者、「抗原検査が陰性なら出勤」は正しい?

 家庭内感染により自身が濃厚接触者になっても、医療者は抗原検査で陰性が確認されているなどの一定の要件を満たせば出勤することができる1)。ところが抗原検査キットには、有症状の患者データを基に承認されている物2)3)もある。また、海外では無症状者のみを対象にスクリーニングすると感度や特異性が低いとの評判も抗原検査キットにはある。そこで、米国・Weill Cornell MedicineのBradley A. Connor氏らはニューヨークのある企業の従業員をスクリーニングし、無症状者のPCR検査と抗原検査の結果の有効性と推定精度を比較・分析した。その結果、従業員スクリーニングのプログラム参加者に抗原検査を繰り返した場合、新型コロナウイルスのPCR検査で真陽性と判定される推定精度が38%から92%に増加したことが示唆された。JAMA Network Open誌3月18日号のリサーチレターでの報告。無症状者の抗原検査キット、1回目陽性で2回目陰性だった人の95%はPCR陰性 この後ろ向き研究では2020年11月27日~2021年10月21日の期間、訓練を受けた担当者が参加者の中鼻甲介検体をスワブで採取し、抗原検査キットとしてQuidel社のSofia2 SARS Antigen Fluorescent Immunoassay(陽性一致率[PPA]:96.7%、陰性一致率[NPA]:100%)とAbbott 社のLumiraDx(PPA:97.6%、NPA:96.6%)、およびAbbott 社のBinaxNOW(PPA:84.6%、NPA:98.5%)を使用して検査を行った。ただし、新型コロナウイルス感染症の主要な症状をいずれかでも有する者はスクリーニングから除外された。 また、抗原検査結果が陽性だった場合には、最初の検査結果から1時間以内に2回目の抗原検査用に鼻咽頭スワブ検体を提供した。さらに鼻咽頭スワブ検体は、確認用RT-qPCR検査のために、CLIA(Clinical Laboratory Improvement Amendments)認定された検査機関にも送られた。推定精度として、PCR検査も陽性だった2回目の抗原検査陽性の割合を算出した。 無症状者の抗原検査の有効性と推定精度を比較・分析した主な結果は以下のとおり。・抗原検査を受け、分析に含まれたのは17万9,127例で、年齢中央値は36歳(範囲:18~65歳)、男性が58%、女性が36%、6%が性別不明だった。・2020年11月~2021年10月に実施された抗原検査の陽性率は0.35%(623例)で、彼らをPCR検査したところ、38%(238例)が真陽性、62%(385例)が偽陽性だった。・抗原検査の陽性者623例のうち569例(91%)では2回目の抗原検査が行われた。一致した結果が得られた224セット(異なる2つの抗原検査で連続して陽性結果を得た)のうち、PCR検査で陽性だったのは207セット(92%)だった。・最初の抗原検査が陽性で、2回目の抗原検査が陰性だった345例のうち328例(95%)はPCR検査で陰性だった。・2回目の抗原検査の全体的な推定精度は94%だった。

1500.

妊婦への新型コロナワクチン、胎児への悪影響なし/JAMA

 妊娠中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチンの接種は、非接種者と比べて有害妊娠アウトカムのリスク増大と有意に関連しないことが示された。ノルウェー・Norwegian Institute of Public HealthのMaria C. Magnus氏らが、スウェーデンとノルウェーの妊婦約16万人を対象に行った、後ろ向きコホート試験の結果を報告した。結果について著者は「ワクチン接種の大多数は、妊娠第2~3期にmRNAワクチンを使用して行われており、今回の調査結果で考慮すべき点である」と述べている。妊娠中の新型コロナワクチンの安全性に関するデータは限定的であった。JAMA誌オンライン版2022年3月24日号掲載の報告。スウェーデン10万人超、ノルウェー5万人超を対象に試験 研究グループはスウェーデンとノルウェーでレジストリベースの後ろ向きコホート試験を行い、妊娠中の新型コロナワクチン接種後の有害妊娠アウトカムのリスクを調べた。被験者は、スウェーデンで2021年1月1日~2022年1月12日に、またノルウェーで2021年1月1日~2022年1月15日に、妊娠22週以降で単胎児を出産した妊婦15万7,521人(スウェーデン:10万3,409人、ノルウェー:5万4,112人)。 Pregnancy Register in SwedenとMedical Birth Registry of Norwayを、ワクチン接種およびその他のレジストリと結びつけ、ワクチン接種情報や被験者背景に関する情報を入手し解析した。mRNAワクチン(BNT162b2[Pfizer-BioNTech製]、mRNA-1273[Moderna製])および1バイアルベクターワクチン(AZD1222[AstraZeneca製])に関するデータは、全国ワクチンレジストリから得た。 主要評価項目は、早産と死産リスクで、妊娠日齢やワクチン接種(時間依存性曝露)を変数に用いたCox回帰モデルを用いて評価し、低出生体重児、アプガー指数低スコア、新生児入院のリスクは、ロジスティック回帰分析で評価。ランダム効果モデルメタ解析で、2国間の結果を統合した。妊娠中COVID-19ワクチン接種率は18% 被験者の分娩時平均年齢は31歳だった。妊娠中に新型コロナワクチンを接種したのは2万8,506人(18%)で、うちBNT162b2が12.9%、mRNA-1273が4.8%、AZD1222が0.3%だった。接種時期の内訳は、妊娠第1期が0.7%、第2期が8.3%、第3期が9.1%だった。 妊娠中の新型コロナワクチン接種は、早産(非接種群6.2/1万妊娠日vs.接種群4.9/1万妊娠日、補正後ハザード比[aHR]:0.98[95%信頼区間[CI]:0.91~1.05]、I2=0%、異質性のp=0.60)、死産(2.1 vs.2.4/10万妊娠日、aHR:0.86[95%CI:0.63~1.17])、低出生体重児(7.8% vs.8.5%、群間差:-0.6%[95%CI:-1.3~0.2]、補正後オッズ比[aOR]:0.97[95%CI:0.90~1.04])、アプガー指数低スコア(1.5% vs.1.6%、群間差:-0.05%[95%CI:-0.3~0.1]、aOR:0.97[95%CI:0.87~1.08])、新生児入院(8.5% vs.8.5%、群間差:0.003%[95%CI:-0.9~0.9]、aOR:0.97[95%CI:0.86~1.10])の有害妊娠アウトカムについて、いずれもリスク増大との有意な関連は認められなかった。

検索結果 合計:4233件 表示位置:1481 - 1500