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第118回 介護保険制度持続のため、負担と給付の見直しの議論開始

<先週の動き>1.介護保険制度持続のため、負担と給付の見直しの議論開始/厚労省2.医療人材確保のためにも働き方改革とデジタル化推進を/厚労省3.画期的な医薬品の早期の導入のために新しい薬価算定方式を/厚労省有識者会議4.かかりつけ医機能について議論開始/社会保障審議会5.大麻成分を含む医薬品の国内使用可能へ/厚労省6.イベルメクチン、コロナウイルス治療に有効性見出せず/興和1.介護保険制度持続のため、負担と給付の見直しの議論開始/厚労省厚生労働省は社会保障審議会介護保険部会を9月26日に開催し、介護保険制度における給付と負担についての本格的な議論に着手した。今年の6月に閣議決定された「骨太方針2022」には、持続可能な社会保障制度の構築するため、給付と負担のバランスの確保や、能力に応じた負担の在り方の検討などといった文言が盛り込まれており、介護保険サービスの利用者負担を原則2割とすることや、現役世代並み所得(3割負担)の判断基準の見直しを含んだ議論を行い、今年の12月までに取りまとめを行い、2024年の医療・介護報酬改定までに介護保険制度の改正を行う方針。(参考)給付と負担に関する指摘事項について(厚労省)「給付と負担」検討開始、介護保険部会 次期制度改正見据え(CB news)介護「給付と負担」見直し着手 2割負担の拡大など論点(日経新聞)2.医療人材確保のためにも働き方改革とデジタル化推進を/厚労省厚生労働省は9月30日に「医療介護総合確保促進会議」を開催した。2024年度から新たに第8次医療計画や介護保険事業計画が始まるのに合わせて、今後、団塊の世代が後期高齢者となり働き手が減少していく日本の人口構造の変化に対応して、地域医療構想の実現に向け、人材確保と構造改革のためには、医療のデジタル化の促進を行うことが求められる。年度内に総合確保方針の改正案をまとめ、2024年度の医療計画の策定などに向けて具体化を進める。(参考)第17回医療介護総合確保促進会議(厚労省)3.画期的な医薬品の早期の導入のために新しい薬価算定方式を/厚労省有識者会議厚生労働省は、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を9月29日に開催した。この中で、物価高で不採算品目への配慮を求める意見が出されたほか、既存の医薬品では治療困難な領域の疾患に対して新たな治療手段を提供する革新的な医薬品や医療ニーズの高い医薬品の日本への早期導入を進めるためにも、欧米と比較して、日本の薬価が低く抑えられている現状を見直すために、イノベーションを評価できる新算定方式の導入を求める意見が再生医療イノベーションフォーラムから出された。(参考)有識者検討会 物価高で不採算品目への配慮求める声相次ぐ 日薬連、GE薬協に次いで卸連も(ミクスオンライン)医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 資料(厚労省)4.かかりつけ医機能について議論開始/社会保障審議会厚生労働省は、9月29日に社会保障審議会の医療部会を開催した。これまで「第8次医療計画等に関する検討会」において、かかりつけ医機能の定義やかかりつけ医機能を発揮させるための具体的な仕組みなどについて、議論をしてきたが影響が大きいため、上位会議体である「社会保障審議会・医療部会」での話し合いを行うことになった。2024年に第8次医療計画が始まるのに合わせ、初回はフリートークで行われたが、財務省が検討を求めているかかりつけ医の登録制や、英国で採用されている「人頭払い」の導入には日本医師会などの委員が反対し、賛成意見はでなかったが、今後の動きに注目したい。(参考)第91回社会保障審議会医療部会「かかりつけ医機能について」(厚労省)「かかりつけ医機能」制度整備、法改正視野 社保審医療部会でも議論開始(CB news)かかりつけ医機能は医療部会で議論!「全国の医療機関での診療情報共有」でかかりつけ医は不要になるとの意見も-社保審・医療部会(Gem Med)5.大麻成分を含む医薬品の国内使用可能へ/厚労省厚生労働省は9月29日に厚生科学審議会の大麻規制検討小委員会を開催し、大麻取締法の改正に向けた方向性について取りまとめた。大麻所持者の検挙の増加などを踏まえ、これまでは罰則規定のなかった「使用罪」を新設するほか、医療用に大麻由来のカンナビジオールを含む難治性てんかんの治療薬の使用を解禁する方針を確認した。近年、日本を除く先進主要国では承認されており、現在国内でも臨床試験を実施している。(参考)第4回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会大麻規制検討小委員会大麻成分含む医薬品、国内使用に向け取締法改正へ 厚労省(産経新聞)大麻「使用罪」を新設=医療用解禁へ-取締法改正で骨子案・厚労省専門委(時事通信)6.イベルメクチン、コロナウイルス治療に有効性見出せず/興和興和株式会社は、9月26日、東京都内で記者会見を開き、軽症の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症を対象疾患として、抗寄生虫薬「イベルメクチン」の第III相臨床試験を進めていたが、今回の臨床試験の結果、主要評価項目において、統計的有意差が認めらず、開発を中止することを発表した。2021年7月から治験開始を発表、同年11月から今年の8月にかけ、日本とタイにおいて軽症患者1,030人を対象に二重盲検試験で実施していたが、投与開始4日前後で、37.5度以上の発熱や咽頭痛、筋肉痛などの症状は軽くなったが、統計的に有意差は認められなかった。一方、死亡例はなく、重症化例もほとんど認められず、安全性には問題はなかった。(参考)イベルメクチン「有効性見いだせず」 コロナ治療薬の臨床試験(朝日新聞)イベルメクチン コロナ治療薬の承認申請を断念 有効性見られず(NHK)興和 新型コロナウイルス感染症患者を対象とした「K-237」(イベルメクチン)の第III相臨床試験結果に関するお知らせ

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自己採取の抗原検査、口腔・鼻腔検体の併用で感度向上か/BMJ

 オランダ・ユトレヒト大学のEwoud Schuit氏らは、検体の自己採取による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)迅速抗原検査キット3種類の感度について調査し、鼻腔拭い液の自己採取による検査の感度は、3種類ともSARS-CoV-2オミクロン株の出現により低下し、1種類のみ統計学的に有意であったことを示した。また、感度は検査の理由(自主検査陽性後の確認検査者の割合)に大きく影響されたこと、2種類については鼻腔に加えて口腔咽頭からの拭い液採取を追加することで感度が改善されたことを示し、「自主検査の結果が陽性の場合、確認検査は必要なく速やかに自主隔離し、自主検査が陰性の場合は偽陰性の可能性が否定できないため、一般的な予防策を順守しなければならない」とまとめている。BMJ誌2022年9月14日号掲載の報告。有症状者を対象に検体自己採取による迅速抗原検査の診断精度を前向きに評価 研究グループは、オミクロン株流行期における、非監視下での鼻腔や口腔咽頭拭い液の自己採取による迅速抗原検査の診断精度を評価する目的で、前向き横断研究を行った。 対象は、2021年12月21日~2022年2月10日の期間に、検査のためオランダ公衆衛生サービスのCOVID-19検査施設3ヵ所を訪れたCOVID-19症状を有する16歳以上の6,497例であった。参加者に対し、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法(参照テスト)のために施設スタッフが検体採取を行った後、自宅にて非監視下で鼻腔拭い液または口腔咽頭と鼻腔拭い液を自己採取する迅速抗原検査キット1つを渡し、3時間以内に自宅で検査を完了してもらった。 評価した検査は、Flowflex(ACON Laboratories製、鼻腔のみ、後述の第1期のみ)、MPBio(MP Biomedicals製、鼻腔のみと口腔咽頭+鼻腔)、およびClinitest(Siemens Healthineers製、鼻腔のみと口腔咽頭+鼻腔)で、オミクロン株出現期(2021年および2022年第1週)、オミクロン株が感染の>90%を占める第1期、>99%を占める第2期に分けて評価した。 主要評価項目は、RT-PCR法による検査を参照基準とした各検査の診断精度(感度、特異度、陽性・陰性的中率)、副次評価項目は検査の理由(自主検査陽性後の確認検査、症状、濃厚接触、その他の理由)、COVID-19ワクチン接種状況、SARS-CoV-2感染歴、性別、年齢(16~40歳、40歳以上)で層別化した診断精度とした。感度は、鼻腔拭い液採取で約70~79%、確認検査者では上昇、口腔咽頭拭い液採取の追加で改善 第1期では、Flowflex群45.0%(279例)、MPBio群29.1%(239例)、Clinitest群35.4%(257例)が自主検査陽性後の確認検査者であった。鼻腔拭い液自己採取の感度は全体で、Flowflex群79.0%(95%信頼区間[CI]:74.7~82.8)、MPBio群69.9%(65.1~74.4)、Clinitest群70.2%(65.6~74.5)であった。感度は、確認検査者(それぞれ93.6%、83.6%、85.7%)が、その他の理由による検査者(52.4%、51.5%、49.5%)より著しく高かった。また、感度は、オミクロン株の感染に占める割合が29%から95%以上になると、Flowflex群で87.0%から80.9%(χ2検定のp=0.16)、MPBio群で80.0%から73.0%(p=0.60)、Clinitest群で83.1%から70.3%(p=0.03)へ低下した. 第2期では、自主検査陽性後の確認検査者の割合がMPBio群53.0%(288例)、Clinitest群44.4%(290例)であった。口腔咽頭および鼻腔の両方から拭い液を自己採取した場合の感度は全体で、MPBio群83.0%(95%CI:78.8~86.7)、Clinitest群77.3%(72.9~81.2)であった。確認検査者における感度は、鼻腔拭い液自己採取と比較して口腔咽頭+鼻腔拭い液自己採取でわずかに高く(86.1% vs.87.4%)、その他の理由による検査者においては非常に高い(59.9% vs.69.3%)ことが示された。 著者は、「MPBioとClinitestのメーカーは、口腔咽頭拭い液と鼻腔拭い液の自己採取を併用する使用方法の拡大を検討することができ、他の迅速抗原検査キットのメーカーも上記と同様の評価を検討する必要がある」と指摘している。

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第128回 「無理やり通す馬鹿なこと致しません」イベルメクチン第III相で有意差なし

つい先ごろまで世の中はシルバーウイークなる連休期間中だったが、「貧乏暇なし」フリーランスには無関係である。だいたいがこうした期間であることにすら気づかず、銀行や郵便局にノコノコと出かけてしまい、シャッターが下りているのを見て、「なぜ?」と思いながらスマートフォンのカレンダーを見てようやく気づくというのが間抜けな私のデフォルトである。と言いつつも先週末の金曜日は家族の予定などで“奇跡的”に祝日ということには気づいていた。そしてその日の朝、私の医薬業界紙記者時代の競合他社の同期(つまり同時期に競合他社に入社)SさんからSNSにメッセージが届いた。送信されていたのは前夜の午後8時40分。「ご存じかもしれませんが念のため」というメッセージとともに写真が添付されている。こうした文面は、こちらの面子を重んじた社交辞令で、たいがいこういう時は私のほうは何も知らない。写真を見ると、「『K-237』(イベルメクチン)の第III相臨床試験結果 記者発表会」とある。朝からぎょっとした。新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に対して国内中堅製薬企業・興和が実施していたイベルメクチン投与の臨床試験結果を発表するというのである。メッセージによると木曜日の午後7時に報道各社に案内が来たらしい。まあ、過去にも触れているが記者クラブに所属していないフリーランスのデメリットがこれ。すなわち記者クラブの面々がごく当たり前に知っている記者会見情報を入手できないことである。フリーになってから会社員記者時代は良かったと振り返ることは極めて少ないが、こうした瞬間だけは羨ましく思ってしまう。もっとも過去とは違い、今はメールで記者個人へのニュースリリース配信が一般的になっているので、昔と比べればデメリットは少なくなってはいる。しかしながら、会社員記者時代から付き合いのある製薬企業広報担当者がいる場合や外部のPR支援会社に広報を委託している会社以外になると、こうした抜け落ちが時々ある。祝日であることを詫びながら、Sさんにこの会見案内のPDFファイルの入手を依頼すると、早速ご本人から私宛に会見申込ページも付いたファイルが送信されてきた。本当にSさんには感謝しかない。このファイルに必要事項を記入し、参加を申し込んだ。さて、イベルメクチンに話を戻そう。この連載でも何度か触れているように抗寄生虫薬のイベルメクチンは新型コロナパンデミック当初、海外でのin vitroデータから有効である可能性が指摘され、この薬が入手容易な発展途上国を中心に有効性を示唆する複数の研究が報告された。これに加え、イベルメクチンの発見者である北里大学特別栄誉教授の大村 智氏がその発見で2015年のノーベル医学・生理学賞を受賞していたこともあり、日本国内では「未知の新型コロナに対する特効薬になるかも」との期待が高まった。もっとも海外からの報告の多くは、症例報告や後ろ向き試験で、一部に二重盲検比較試験はあっても症例数が少ないなどのリミテーションもあり、数ヵ月もすると医療従事者の大勢は懐疑的になったと個人的には見ている。しかし、一部の医療関係者が同薬に対する期待値を過度に高める情報発信をSNS上などで展開したこともあり、中には海外から個人輸入をして予防的服用を行うケースもあった。過去の本連載でも取り上げたが、実際、私もそうした人に遭遇したことがある。そしてTwitter上などでは信奉派(主に一般人)vs.懐疑派(主に医療従事者)のバトルがこれまで断続的に繰り返されていた。最近では海外での二重盲検比較試験の結果として有効性を見いだせないとの報告も相次いでいたが、このバトルが止むことはなかった。海外でもこの薬の信奉者は一定数存在し、中には動物用のイベルメクチンを服用して事故になるケースも報告されている。あの米国食品医薬品局(FDA)が「あなたは馬でも牛でもないでしょう。真面目にそんなことすべて止めなさい」とギャグともとれる警告をTwitterで流すほどだ。そうした中で、国内では2020年9月に北里大学が医師主導治験を開始し、2021年11月には興和が企業治験を開始。しかし、北里大学の治験は2021年10月30日時点で被験者募集を完了し、間もなく1年が経過しようとしているが、いまだに結果は明らかになっていない。そんなこんなもあって興和の治験結果には注目が集まっていた。さてこの記者会見開催のリリースを見て、関係各位には申し訳ないが、私はすでに結果の察しがついていた。というのもリリースに記載のある記者会見時間、会社側からの発表内容説明とそれに伴う質疑応答の合計時間は30分しかないのである。迎えた当日。会見開始30分前の開場時間に赴き、受付を済ませて会場内に入った。ソーシャルディスタンスを意識してまばらに配置された椅子の上には大型封筒が置いてあった。これに会見資料が入っていることはほぼ確実。最前列の席に陣取り、封筒に入ったA4サイズ1枚のリリースを取り出し、サッと目を通した。やっぱりだった。「興和/新型コロナウイルス感染症患者を対象とした『K-237』(イベルメクチン)の第III相臨床試験結果に関するお知らせ」と題したプレスリリースの第1パラグラフ最終文は「主要評価項目において、統計的有意差が認められなかったことをお知らせいたします」とある。ちなみのこの第III相臨床試験は軽症の新型コロナ患者1,030例を対象に実施した国際共同、多施設共同のプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験。主要評価項目はイベルメクチンあるいはプラセボの投与開始から168時間までの臨床症状が改善傾向に至るまでの時間である。リリースに試験結果の詳細なデータ記載はなかったが、「安全性は確認されました。また、死亡例はなく、重症化例もほとんど認められませんでした。しかしながら、オミクロン株が主流と考えられる今回の対象患者においては、本剤およびプラセボともに投与開始4日前後で症状の軽症化が認められましたが、本剤の有効性を見出すことができませんでした」と記述されていた。私は早速Twitterでの投稿準備にかかった。あれだけTwitter上でバトルが繰り広げられているのを目にしている以上、記事よりも先に発信しなければならないと考えたからだ。もっともプレスリリースは手元にあるものの報道の慣例は、会見開始が解禁時間。ということで投稿予定稿を用意して待機。会見者である同社代表取締役社長の三輪 芳弘氏らが会見直前に着席した様子を写真撮影し、それも投稿原稿に添付。16:30の司会者による会見開始のあいさつ直後にTwitterに送信した。三輪社長はプレスリリース記載内容を説明した後、現時点で未確認の今後の課題として以下の3点を挙げた。(1)用量相関、いわゆる用量依存性(2)発症3日間の効果比較(3)後遺症での効果会見での質疑応答の要旨は以下の通りである。 記者今回、主要評価項目の未達成についてどのようにお感じか?三輪氏試験開始から1週間で、プラセボ群、イベルメクチン群ともほとんど治癒してしまった。被験者に重症化例、死亡例もなく、オミクロン株に限れば、多分かなり集団免疫があるのではないかと推察する。記者後遺症への応用の話も出ていたが、今回の実用化に向けた計画は、事実上断念ということか?三輪氏断念と言うか、今の段階ではこれ以上は開発することはできない。製薬企業としては主要評価項目を達成できないものを無理やり通すような馬鹿なことはしないし、今回の結果は素直に受け入れなければいけない。今の時点では申請を考えることができない。記者1,030例に対する投与は、いつからいつまで行われたのか?奥村 睦男氏*1最初の患者がエントリーされたのが昨年の11月、最後の患者がエントリーされたのが8月初旬。基本的に被験者のほとんどがオミクロン株感染者となる。*1 取締役専務執行役員医薬事業部研究・開発本部長記者主要評価項目と用量設定が決まった経緯を教えてください。奥村氏主要評価項目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)、厚労省と相談の上、決定した。投与量に関しては、第II相臨床試験を当社が行っておらず、基本的には諸外国での臨床研究論文などを参考に米国立衛生研究所(NIH)、オックスフォード大学での臨床研究と同じ用量とした。記者主要評価項目の「投与開始から168時間までの臨床症状が改善傾向に至る時間」は具体的にどのような評価を行ったか?成沢 隆氏*2発熱は37.5℃以上と定義し、その熱が下がり、なおかつ筋肉痛、咽頭痛、下痢、悪心・嘔吐、咳、息切れの症状の軽症化を72時間維持した時点を改善と定義した。*2 医薬事業部医療用医薬臨床開発統括部長記者この結果を北里大学の大村教授にはどのような形で報告し、大村教授からどんなコメントがあったか?三輪氏近々お会いするが、今の時点ではまだお会いしていない。もちろんご報告しなければならないし、一部先生方にはすでに報告している。記者良好な結果が示せなかった最大の要因は発症直後に投与ができなかったということか?三輪氏それはちょっとわからない。記者(筆者)早期の投与が難しかったとのことだが、新規陽性者の全数把握が簡略化された今、発症後3日目までの患者をエントリーし、新たに治験を実施することは難しいのではないか?奥村氏おっしゃる通り、今後臨床試験を続けていくのは難しい状況にある。また、患者数も減少しているので、もし臨床試験を再開するとなれば、さらなる工夫が必要になる。三輪氏(もし再開するならば)プロトコールを最初から作り直して臨まなければならない。ただ、私どもが今回実施した治験は関係各機関と確認した上で進めたので、これを変更して治験するのはかなり難しい。記者(筆者)副次評価項目などではウイルス量ほか、より定量的な検討はしているか?成沢氏今ちょうど解析中で、しかるべきタイミングで専門家の先生方と相談の上、公表したいと思う。記者(筆者)今回協力を得た北里大学が先行して医師主導治験を行っているが、その結果は共有しているか?奥村氏公表がまったくされておらず、われわれも結果についてはまったく知らない。記者条件を変更した治験、あるいは後遺症に対する治験をこれから実施する可能性はどれくらいあるのか?三輪氏先ほど申し上げたように若干の可能性は無きにしもあらずで、それを今解析中。そうした中で新たな可能性があるということになれば、新たなプロトコールで治験をやることは可能だとは思っている。記者オミクロン株で新型コロナが軽症化し、治験が難しさも増している中でも社長としては新たな治験の検討を前向きに考えているのか。三輪氏今回の治験を実施したことで、どうやって早く患者に治験に参加してもらえるかなど、ある程度新型コロナについては学習した。従ってテーマさえ良ければ、今後いち早くそれをやっていく可能性はある。ただ、いずれにせよ今回の治験では結果として軽症の場合はプラセボ群でも早期に回復してしまうことがわかった。記者たとえばインフルエンザ治療薬の場合、服用で症状回復までの時間が12~24時間程度短縮すると言われているが、今回のイベルメクチンの治験では当初どの程度の効果を期待して治験を実施したのか。菅波 秀規氏*3当初の計画では1.7日程度の症状改善までの時間短縮を見込んで実施した。*3 医薬事業部データサイエンスセンター長 この質疑応答を概観すればわかるように、かなり慎重に言葉は選んでいるものの、同社が今後イベルメクチンの治験を再度実施する可能性はほぼないだろう。さてこの会見中、私のポケットの中ではブンブンとスマートフォンのバイブレーションが鳴り続けていた。ツイートがリツイートされまくっていたからだ。かなり熱烈なイベルメクチン信奉者も多いので、そうした人たちから的が外れた引用リツイートやリプライが来そうだったが、現時点ではそうしたものは予想していたよりもはるかに少ない。一部誤解の多い反応としては「発表が遅すぎる」とか「ようやくか」というもの。これについては同じくツイートしたが、治験開始を興和が発表したのは昨年7月だが、実際の治験開始は同年11月で、会見の質疑応答でも説明があったように興和によるエントリー終了は8月上旬。むしろ今回の発表はかなりの速報で、そのため質疑応答にあったように主要評価項目以外はまだ解析が十分ではないことを明らかにしている。実際、会見終了後に興和側の出席者の1人に私が名刺を差し出しながらぶら下がり取材をした際に、「とにかく予断を持たずに迅速に発表しろと言うのが社長の指示だったんで」と言いつつ、「そんなこんなで今日自分の名刺も準備してなかった状態です」と苦笑いしていたほど。ネガティブデータにもかかわらず迅速に発表した同社の姿勢は高く評価して良いと個人的には思っている。実際、私のツイートに対する引用リツイートでもそうした反応が多かった。さて今回の興和による治験に対しては、今年3~4月にかけて厚労省が合計で約61億円の緊急支援を行っている。この点について当時はすでに米国医師会雑誌(JAMA)などにイベルメクチンに関してのプラセボ対照二重盲検試験などで有効性が証明できなかったとする研究が複数報告されていたことから、公費が支出されたことを問題視する向きがあるのは承知している。確かに今回の新型コロナに関しては公費支援を受けた医薬品などの開発の中でも「?」と思うものが個人的にはある。しかし、医薬品開発とは億単位の金額を投じても明確な効果が認められずに終わることは日常茶飯事。そしてイベルメクチンに関しては、私はやむを得なかったのではないかと思う。というのも極端なイベルメクチン信奉派は、発見者が日本人であったことなどから、とりわけ日本に多かったと思われるからだ。その人たちに明確な結果を示すためには日本で臨床試験を行い、その結果を明らかにすることが必要だったのではないかと考える。さてこれで一部のイベルメクチンへの過度な信奉は治まるだろうか? 一定程度は治まるだろうが、残念ながら完全にはなくならないだろう。これはTwitter上などでイベルメクチン信奉派の投稿を見ればよく分かる。こうした人たちの一部はこの件に限らず、社会現象全般を極端な「逆張り」で考察する人が少なくないからだ。いずれにせよ約61億円を投資(あくまで公費分のみ)した一つの熱狂がこれで一旦は終了する。追伸:これを読んだ製薬企業を含む医療関係企業や団体の皆さんへ。新たに私をリリース送信先に加えたいという奇特な方はページ下部の問い合わせフォーム(Q2にメールアドレスとお名前をご記入ください)を通じて編集部にご連絡を。ただし、常に良く書くという保証はできません。その点はあしからずご了承ください(笑)。

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妊婦コロナ患者、中等症以上になる3つのリスク/成育医研・国際医研

 国立成育医療研究センター 感染症科の庄司 健介氏と国立国際医療研究センター国際感染症センター・AMR臨床リファレンスセンターの都築 慎也氏らの研究チームは、デルタ株・オミクロン株流行期における妊婦の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院例の臨床的な特徴を分析した研究結果を発表した。 本研究は、国立国際医療研究センターが運営している国内最大のCOVID-19レジストリ「COVID-19 Registry Japan(COVIREGI-JP)」を利用したもの。 この研究は、2021年8月~2022年3月までの間に登録された妊婦のCOVID-19入院患者310人(デルタ期:111人、オミクロン期:199人)を対象に実施された。その結果、オミクロン期の患者はデルタ期の患者に比べ、鼻汁と咽頭痛が多く、倦怠感、嗅覚・味覚障害が少ない傾向にあった。また、多変量解析で、軽症の入院患者と中等症-重症の入院患者の比較を行ったところ、中等症-重症に至った患者は「デルタ期の患者」「妊娠中期以降」「ワクチン2回接種未完了」の患者が多いことが判明した。COVID-19で入院した妊婦310人を解析【背景・目的】 これまでわが国の妊婦におけるデルタ株とオミクロン株流行期の妊婦COVID-19の臨床的特徴に関する情報は限られていた。 そこで、COVIREGI-JPを利用して、妊婦のCOVID-19入院患者における(1)デルタ株流行期とオミクロン株流行の臨床的特徴の違いを比較すること、(2)中等症-重症に至った患者の特徴を明らかにすること、の2点について検討を行った。【研究概要・結果】研究対象:2021年8月~2022年3月の間にCOVIREGI-JPに登録された妊婦COVID-19入院患者。研究方法:対象患者の患者背景、重症度、治療内容などのデータを集計・分析。デルタ株・オミクロン株流行期の臨床的特徴についての比較検討を行った。また、軽症と中等症-重症の患者背景を多変量解析で中等症から重症に関連する要因を探索した。【研究結果】・期間中に1万4,006人の患者情報が登録され、そのうち研究対象となった妊婦の入院患者は310人(無症状患者38人を除く)。そのうち、デルタ期の妊婦は111人、オミクロン期の妊婦は199人だった。・オミクロン期の患者は、デルタ期の患者に比べて鼻汁(26.1% vs.15.3%)、咽頭痛(52.8% vs.37.8%)が多く、倦怠感(29.6% vs.43.2%)、嗅覚障害(1.5% vs.18.9%)・味覚障害(2.5% vs.16.2%)が少ないという結果だった。・本研究の定義による中等症-重症患者と軽症患者の多変量解析では、デルタ株流行期、妊娠中期以降のオッズ比はそれぞれ2.25(95%信頼区間[CI]:1.08~4.90、p=0.035)、2.08(1.24~3.71、p=0.008)、とそれぞれ有意に中等症-重症と関連していることがわかった。一方、ワクチン2回接種完了はオッズ比0.34(95%CI:0.13~0.84、p=0.021)と、中等症-重症となることを防ぐ方向に関連していることが判明した。・同様の検討をオミクロン株流行期の患者に限って実施したところ、ワクチン接種についてはオッズ比0.40(95%CI:0.15~1.03、p=0.059)と有意差は認めなかった。 研究チームは、これらの結果を踏まえ、「今後の妊婦COVID-19の診断、治療、予防を考えていく上での重要な基礎データとなると考えられる。今回の検討でも明らかであったように、流行している変異株によりその臨床的特徴が変化していくため、今後も最新の情報を用いた解析を実施し、情報をアップデートしていくことが必要」と展望を述べている。※なお本研究は、オミクロン株BA.5の流行前の時期に実施され、その影響は検討できていない点、各患者の株は明確に証明されているわけではなく、それぞれの株が国内の主流であった時期の患者を比較した研究である点、すべてのCOVID-19患者が登録されているわけではない点、中等症-重症の定義は本研究で定めた定義である点など注意が必要としている。

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コロナ診療報酬の臨時的な取扱いが延長・新設/日医

 日本医師会常任理事の長島 公之氏は、2022年9月28日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いが厚生労働省より示されたことを報告した。発熱外来の特例的加算が10月31日まで延長 2022年9月30日までを期限として算定可能な特例的加算である「2類感染症患者入院診療加算(250点)」および「電話や情報通信機器による療養上の管理に係る点数(147点)」は、1ヵ月延長して2022年10月31日まで引き続き算定が可能となる(新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて[その77])。1. 2類感染症患者入院診療加算(250点) 診療・検査医療機関(発熱外来)において、新型コロナウイルス感染症であることが疑われる患者に対し、必要な感染予防策を講じた上で外来診療を実施した場合に「2類感染症患者入院診療加算(250点)」の算定が可能となる。なお、「院内トリアージ実施料(300点)」と併せて550点が算定できる。2. 電話や情報通信機器による療養上の管理に係る点数(147点) 自宅・宿泊療養中の新型コロナウイルス感染症患者のうち重症化リスクの高い者に対し、保健所などから健康観察に係る委託を受けている保険医療機関または診療・検査医療機関の医師が、電話などを用いて診療を行った場合に「電話や情報通信機器による療養上の管理に係る点数(147点)」の算定が可能となる。なお、上記の「2類感染症患者入院診療加算(250点)」も算定できる。入院患者の2つの特例的加算が新設 疾患別リハビリテーションが必要な患者や、回復後も引き続き入院管理が必要な患者に関する2つの特例的加算が新設された(新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて[その76])。1. 2類感染症患者入院診療加算(250点) 入院中の新型コロナウイルス感染症患者に対し、必要な感染予防策を講じた上で疾患別リハビリテーションを実施した場合に「2類感染症患者入院診療加算(250点)」の算定が可能となる。2. 救急医療管理加算1の100分の200に相当する点数(1,900点) 新型コロナウイルス感染症から回復した後、引き続き入院管理が必要な患者が退院に関する基準を満たし、入院の勧告・措置が解除された後、最初に転院した保険医療機関における入院日を起算日として30日を限度として、「救急医療管理加算1」の100分の200に相当する点数(1,900点/日)の算定が可能となる。

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第13回 「療養証明書が発行されないなんて聞いていない」と苦情

「健康フォローアップセンター」構想9月26日から、(1)65歳以上の方、(2)重症化リスクがあり治療薬の投与等が必要と医師が判断する方、(3)入院を要する方、(4)妊婦、の4類型にCOVID-19の発生届が限定されるようになりました1)。また、療養証明書も4類型に限定され、今後は軽症者に発行されなくなります。入院給付金も同様の扱いで、9月26日以降は「みなし入院」での支払いはありません。「証明書好き」の日本人にとっては気になるテーマかと思いますが、そもそも「療養証明書提出を求めないように」と通達を出しているのですから、企業・学校・保険会社に対して求めないスタンスが正しい。それでも証明が必要な場合は、以下のもので代用します。My HER-SYSの療養証明書(電子的証明) ※みなし陽性者を除く届出対象者のみ発行可能保健所から陽性者に出された案内文(医療機関で配布された患者説明用シート等)診療明細書(医学管理料に「二類感染症患者入院診療加算」[外来診療・診療報酬上臨時的取扱を含む]が記載されたもの)医療機関等で実施されたPCR検査や抗原検査の結果がわかるものコロナ治療薬が記載された処方箋、服用説明書陽性者サポートセンターへの登録結果(SMS等)PCR検査や抗原検査を実施する検査センター(医療機関以外でも可)の検査結果(市販の検査キットは除く)など自治体によって少し差異はありますが、4類型以外の軽症者については陽性の自己登録を促しており、これによって健康サポート(悪化時の電話)や配食等のサービスを受けられることになります。東京都や大阪府のように、登録すれば手厚いサービスが受けられる自治体もあれば、先行して対応を簡略化している茨城県のように、届出対象外の軽症者の健康観察、食料配送などを取りやめている自治体もあります。これらは、まとめて「健康フォローアップセンター」という名称の構想になっています。概要は図のとおりとなっています。現場としては、とてもラクだなと思ったのですが、一般の人々への認知度が低過ぎました。ちょっと政府の啓発をしっかりしてほしいです。画像を拡大する図. 健康フォローアップセンター構想(自治体によって差異がある)(筆者作成)「そんな話は聞いていない」最近陽性になった患者さんを診察したのですが、30歳代の軽症者だったので発生届の対象外であることを説明して、「陽性者登録センター」へ誘導しようと思ったのですが、「軽症者が届出対象外なんて初耳だ、友人は保健所に届出を出してもらっている」「療養証明書がないと困る、そんな話は聞いていない」というご意見をいただき、この説明だけでかなり時間が掛かってしまいました。とくに療養証明書が発行されないというのは、かなり不満を持たれていた印象です。「なくても大丈夫」という安心感がまったくないわけですから、当然です。過渡期の混乱はやむを得ないとはいえ、せめて第8波までの間に、もう少し国民への周知を促してほしいところです。参考文献・参考サイト1)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部 Withコロナの新たな段階への移行に向けた全数届出の見直しについて

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塩野義の経口コロナ治療薬、第II/III相Phase 3 partで主要評価項目を達成

 塩野義製薬は9月28日付のプレスリリースにて、同社が開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬のensitrelvir(S-217622)について、第II/III相臨床試験Phase 3 partにおいて良好な結果を得たことを発表した。主な結果として、軽症/中等症患者において、重症化リスク因子の有無にかかわらず、オミクロン株に特徴的なCOVID-19の5症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳の呼吸器症状、熱っぽさまたは発熱、倦怠感[疲労感])が消失するまでの時間(発症前の状態に戻るまでの時間)を、プラセボに対して有意に短縮することなどが認められたという。 プレスリリースによると、今回のPhase 3 partの臨床試験では、本剤(低用量、高用量の2用量)を1日1回、5日間経口投与した際の臨床症状の改善効果を検証することを主な目的として、日本、韓国、ベトナムの1,821例の患者が、重症化リスク因子の有無、またワクチン接種の有無にかかわらず登録され、軽症/中等症患者を対象に実施された。本試験における主要評価項目は、発症から72時間未満の患者集団における、オミクロン株流行期に特徴的な5症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳の呼吸器症状、熱っぽさまたは発熱、倦怠感 [疲労感])の消失までの時間が設定された。 主な結果は以下のとおり。・申請用量(低用量)の本剤投与により、対象患者集団においてCOVID-19の5症状が消失するまでの時間は、プラセボ群と比較して約24時間短縮され、統計学的に有意な症状改善効果が確認された(p=0.04)。症状消失までの時間の中央値は、本剤の申請用量投与群167.9時間vs.プラセボ群192.2時間。・同患者集団における投与4日目(3回投与後)のベースラインからのウイルスRNA変化量は、プラセボ群と比較して1.4 log10コピー/mL以上大きく(p<0.0001)、これまでに実施された臨床試験と同様に優れた抗ウイルス効果が示された。・いずれの用量においても、本剤の投与による重篤な副作用や死亡例の報告はなく、これまでの試験と同様の良好な忍容性と安全性が確認されている。・比較的高頻度に見られた副作用は、これまでの試験でも観察された高比重リポ蛋白の減少および血中トリグリセリドの上昇であった。 同社によると、本結果は、厚生労働省と独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)とすでに共有されており、今後の承認審査ならびに審議について、協議が開始されたという。

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鼻腔ぬぐい液を用いた新型コロナウイルス検査-自己採取と医療従事者採取の比較-(解説:小金丸博氏)

 4~14歳の小児において、鼻腔ぬぐい液を用いた新型コロナウイルスの検出率を自己採取と医療従事者採取で比較した横断研究がJAMA誌オンライン版2022年8月26日号に報告された。自己採取は簡単な説明資材(ビデオと印刷物)を見た後に行い、その次に医療従事者が2回目の検体を採取した。その結果、陽性一致率は97.8%(95%信頼区間[CI]:94.7~100.0)、陰性一致率は98.1%(同:95.6~100.0)と高率だった。陽性検体のCt値も検討されているが、両群間で同等の結果であった。検査結果が不一致となったのが4例あったが、陽性検体において比較的高いCt値を示しており、ウイルスの排出量が少ない場合に一致率が低下する可能性が示唆された。 自己検体採取に関しては、過去に性感染症や呼吸器系ウイルス感染症で検討されており、成人において高い一致率が示されてきた。本研究では、小児において自己採取の高い精度を示しており、学校等におけるマススクリーニングで活用できる可能性がある。医療従事者が検体採取を行う場合、自己採取と比較して時間と費用がかかり、加えて、医療従事者は常に患者からの感染リスクを伴う。これらの観点から自己採取のメリットは大きく、自己採取と医療従事者採取で検査結果の一致率が高いのであれば、今後さらに自己採取による検査が広がる可能性がある。 本研究のLimitationとして以下のようなことが挙げられる。第1に、本研究の参加者はすべて有症状者であり、無症状の小児において同等の結果が得られるかは不明である。自己採取のメリットのひとつは、学校などの集団環境でのスクリーニング検査で用いることであるが、多くの人が無症候性であることが想定される場面での使用には大きな懸念事項がある。第2に、本研究は 2021年7月~8月のデルタ変異株の流行期に行われたことであり、変異株の違いがテスト結果に与える影響は不明である。第3に、不快感を伴う研究への自発的な参加においては、とくに子供が関与している場合、より協力的な子供だけが登録され、テストに消極的な子供の親は参加を辞退する可能性があるため、選択バイアスにつながる可能性がある。 新型コロナウイルス感染症は、早期に診断することによって重症化の防止や感染拡大の抑制につながる。自己検体採取はさまざまな場面で早期診断のための重要なツールとなりうるため、今後、無症候者や変異株の違いが検査結果に与える影響が検証され、検査方法として確立することを期待したい。

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第131回 感染症後の体調不良(sickness behavior)を誘発する脳神経を同定

感染症は病原体を直接の原因とはしない食欲低下、水分を摂らなくなる(無飲症)、倦怠感、痛み、寒気、体温変化などのとりとめのない種々の症状や生理反応を引き起こします。ともすると新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状の一因かもしれないそういう体調不良(sickness behavior)に寄与する脳の神経がマウス実験で同定されました1)。よく知られているとおり人体は絶えずある種の均衡を保とうとし、体温、食欲、睡眠などを調節しています。われわれが日々健康に生きられるのも恒常性と呼ばれるその均衡のおかげです2)。しかし病気になってその均衡が崩れると上述したような一連の症状や生理的反応が生じます。sickness behaviorの少なくとも幾らかは脳幹に端を発することが先立つ研究で示唆されています3)。今は米国バージニア州のJanelia Research Campusに籍を置くAnoj Ilanges氏やその同僚はさらに突き詰めて脳幹のどこがsickness behaviorの発端なのかを同定することを目指しました。最初にIlanges氏らは細菌感染と同様にsickness behaviorを引き起こす細菌毒素・リポ多糖(LPS)をマウスに注射し、続いて脳のどこが活性化するかをFOSと呼ばれるタンパク質を頼りに探りました。FOSは神経発火の後で発現することが多く、神経活動の目安となります2)。そのFOSがLPS注射マウスの脳幹で隣り合う2つの領域・孤束核(NTS)と最後野(AP)に多く認められました。LPSに反応するとみられるそれら2領域を活性化したところLPSがなくともsickness behaviorが生じ、NTS- AP領域こそsickness behaviorに寄与する神経の在り処であることが確かになりました。さらなる研究によりそれら神経はタンパク質(神経ペプチド)ADCYAP1を発現していることも判明し、ADCYAP1発現神経を活性化するとNTS- AP領域の活性化の時と同様にLPSが誘発するsickness behaviorが再現されました。また、それらADCYAP1発現神経を阻害するとLPS投与後に見られる食欲低下、無飲症、運動低下を解消とはいかないまでも和らげることができました。sickness behaviorに寄与するのはNTS- AP領域の神経のみというわけではなさそうで、今回の報告と同様にNatureに掲載された別のチームの最近の研究では発熱、食欲低下、暖を取る行動などのsickness behavior症状に視床下部の神経が不可欠なことが示されています4)。今回の研究で対象外だった睡眠障害や筋痛などの他のsickness behaviorの出どころの検討も興味深いところです2)。NTS-AP領域は脳と各臓器の連絡路・迷走神経からの信号を直接受け取り、血中に放たれたタンパク質などの体液性信号を感知することが知られています。今回の研究ではsickness behaviorを引き起こすNTS-AP神経の反応がどの生理成分を頼りにしているのかはわからず仕舞いでした。ウイルスや非細菌感染症でもNTS-AP神経が果たして活性化するのかどうかも調べられていません。ロックフェラー大学在籍時に今回の研究を手掛けたIlanges氏は今の職場であるJanelia Research Campusで続きに取り組む予定であり、他の研究者の加勢も期待しています。Ilanges氏等の今回の結果は何らかの理由でsickness behaviorが解消しない患者の治療の開発に役立ちそうです。たとえば慢性的に不調の患者の食欲を回復させる薬が実現するかもしれません。また、広い意味では感染症への対抗に脳の役割が不可欠なことを示した今回の成果を契機にADYAP1発現神経活性化後の脳の反応、sickness behaviorの持続の調節の仕組み、COVID-19の罹患後症状などの感染後慢性症状へのNTS-AP経路の寄与の検討5)などのさまざまな研究が今後続いていくでしょう2)。参考1)Ilanges A, et al.Nature.2022;609:761-771.2)Research Pinpoints the Neurons Behind Feeling Ill / TheScientist3)Konsman JP, et al. Trends Neurosci.2002;25:154-9. 4)Osterhout JA, et al.Nature.2022;606:937-944.5)Infection Activates Specialized Neurons to Drive Sickness Behaviors / Genetic Engineering & Biotechnology News.

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1・2回目ファイザーワクチンなら、3回目はモデルナで感染予防効果増/東大

 ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンによる1次接種(1回目および2回目接種)完了者が、3回目のブースター接種としてファイザー製ワクチンを接種するよりも、モデルナ製ワクチンを接種するほうがその後の新型コロナウイルス感染率が低いことを、東京大学大学院医学系研究科の大野 幸子氏らが発表した。これまで1次接種とブースター接種のワクチンの組み合わせによって効果が異なる可能性が示唆されていたが、実際の感染予防効果の差は明確ではなかった。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2022年9月18日号掲載の報告。 本研究は、山口県下関市のワクチン接種記録システム(VRS)と新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)を用いて行われた。解析対象は、2021年11月22日までにファイザー製ワクチンによる1次接種を完了した16歳以上の15万4,925人で、2022年4月15日まで追跡を行った。年齢(16~44歳、45~64歳、65~84歳、≧85歳に分類)、性別、2回目接種からの日数を調整した年齢層別Cox回帰分析およびランダム効果メタ解析による推定ハザード比の統合を行った。 主な結果は以下のとおり。・ファイザー製ワクチンによるブースター接種群は6万2,586人(40.4%、年齢中央値:69歳)、モデルナ製ワクチンによるブースター接種群は5万1,490人(33.2%、同:71歳)、ブースター接種なし群は4万849人(26.4%、同:47歳)であった。・新型コロナウイルス感染の割合は、ファイザー製ワクチンによるブースター接種群が1.4%、モデルナ製ワクチンによるブースター接種群が0.7%、ブースター接種なし群が4.9%であった。・ファイザー製ワクチンによるブースター接種群を基準とした新型コロナウイルス感染の統合ハザード比は、モデルナ製ワクチンによるブースター接種群が0.62(95%信頼区間[CI]:0.50~0.74)、ブースター接種なし群が1.72(同:1.22~2.22)であった。・モデルナ製ワクチンによるブースター接種群の感染予防効果は、年齢カテゴリ間で同様の傾向であった。 同氏らは、「本研究では、ファイザー製ワクチンによる1次接種完了者において、モデルナ製ブースターワクチンを接種した群の方が新型コロナウイルス感染のリスクが低いことが示された。本研究結果は、今後のワクチン確保・流通の政策立案や個人の意思決定に寄与すると考えられる」とまとめた。

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肝細胞がん1次治療 レンバチニブ+ペムブロリズマブの成績(LEAP-002)/ESMO2022

 切除不能な肝細胞がん(aHCC)に対する1次治療としてのレンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法は、レンバチニブ単独に比べ、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)ともに統計学的な有意差は認められなかった。 日本も参加した国際共同の二重盲検第III相LEAP-002試験の解析結果である。米国・カリフォルニア大学のRichard S. Finn氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表した。・対象:前治療歴を持たない切除不能なaHCC症例・試験群:ペムブロリズマブ3週ごと+レンバチニブを連日投与(Pem群:395例)・対照群:プラセボ3週ごと+レンバチニブを連日投与(Len群:399例)ペムブロリズマブとプラセボは最大35サイクルまで・評価項目:[主要評価項目]OS、独立評価委員会判定によるPFS[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・最終解析のデータカットオフ(2022年6月)での観察期間中央値は32.1ヵ月であった。・両群の患者背景に偏りはなく、ウィルス性病因が約6割、肝外病変ありが約6割、BCLC病期分類のBが約2割であった。・OS中央値は、Pem群21.2ヵ月、Len群19.0ヵ月、ハザード比(HR)は0.840(95%信頼区間[CI]:0.780~0.997)、p=0.0227であったが、事前に規定されたOSのp=0.0185を超えることはできなかった。24ヵ月OS率はPem群が43.7%、Len群が40.0%だった。・中間解析時のPFS中央値は、Pem群8.2ヵ月、Len群8.0ヵ月、HRは0.867(95%CI:0.734~1.024)、p=0.0466と、こちらも事前規定のp=0.002を超えることはなかった。・最終解析時点のPFSのHRは0.834で、1年PFS率はPem群34.1%、Len群29.3%、2年PFS率は16.7%と9.3%であった。・ORRはPem群26.1%、Len群17.5%、DoR中央値は、Pem群16.6ヵ月、Len群10.4ヵ月であった。・両剤併用による新たな安全性シグナルは報告されなかった。Grade3/4の有害事象はPem群で61.5%、Len群で56.7%に発現した。有害事象により投薬を中止した割合は18.0%と10.6%であった。・ステロイドが投与された免疫原性の有害事象症例は、Pem群で9.6%、Len群で1.8%であった。・試験の後治療として免疫チェックポイント阻害薬の投与を受けた割合は、Pem群で14.4%、Len群で22.8%であった。

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第127回 未報道コメントに真意が!?WHOテドロス事務局長が発した「終わりが視野に…」

9月14日から15日にかけて、ちょっと驚くニュースが全世界に向けて発信された。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長が新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)との戦いについて「終わりが視野に入ってきた」と発言したというのだ。個人的な雑感を言えば、終わりが見えなくもないが、「もう一段先かな」と思っていただけに、この一報にはやや驚いた。ちなみに「もう一段先」とは、現在流行しているオミクロン株BA.5の次に流行をもたらすウイルス株が、このままオミクロン株の亜系統になるのか、それとは別の新たな変異株になるのか、そしてそれらの感染力や重症化率を見極められればということである。とりわけ現在のオミクロン株は約10ヵ月と、武漢株を除けば最も長く流行の主流を維持し続けている変異株。次なる流行の主流がこの亜系統となれば、私としてもテドロス事務局長とほぼ似た認識になるだろう。もっとも今回の新型コロナは世間の希望的観測を何度も裏切ってきているので油断はできないというのも本音。その意味でテドロス事務局長よりも“慎重派”の私はまだ「終わりが視野に入ってきた」とは言えないのである。とはいえ比較として適切ではないかもしれないが、通称“スペインかぜ”と呼ばれる1918~19年のインフルエンザ大流行以降のインフルエンザvs.人類の戦いと比べれば、新型コロナの事実上の制圧はこれより大幅に短縮されるのではないかと希望的観測は抱いている。ところでテドロス事務局長はより正確に何と言ったのか? WHOが発表しているブリーフィングの全文を読むと、実は報じられたようなシンプルなものではないことが分かる。実は「終わりが視野に入ってきた」と報じられたフレーズには、「私たちはまだそこに至っていないが(We are not there yet)」という枕詞がついていた。また、現在の新型コロナと人類との戦いをマラソンに例え「マラソンランナーはゴールラインが見えるまで立ち止まらない」として、「今は走るのを止めるには最悪の時期である(But now is the worst time to stop running)」と言い切っている。そのうえで各国が取り組まなければならないことを6つ提言している。(1)医療従事者や高齢者などを含むリスクにさらされやすい人では100%、人口全体では70%のワクチン接種率実現に向けた注力(2)新型コロナの陽性判定検査や遺伝子検査の体制維持し、それらをインフルエンザを含むその他呼吸器感染症のサーベイランス・検査体制へと統合(3)患者に対する正しいケアシステムの確立とそれをプライマリ・ケア体制への統合(4)感染者急増に備えた計画立案と必要な物資、機器、医療従事者の確保(5)医療施設での医療従事者と非コロナ感染者を保護するための感染予防・制御措置の維持(6)新型コロナ関連政策の変更時の明確なコミュニケーションいずれの提言も至極まっとうなものと言える。敢えてこの時期にこの発言をしたのは、約3年におよぶコロナ禍で各国では政府や一般大衆に「疲れ」が見え始めているからだろうと邪推する。さて、この6つの提言を日本に当てはめるとどうなるだろう。個人的な雑感だが、(4)(5)はほぼ実現できているのではないだろうか。(2)についてはまあ達成できていると言えるだろうが、昨今の全数把握の中止方針が今後どのような影響をもたらすかは、未知数だ。(1)についても日本はそこそこに良い線を行っている。9月16日現在の国内総人口に占める3回接種完了率は65.1%。基礎免疫の2回接種完了だけでみれば80.4%で、先進7ヵ国首脳会議(G7)参加国の中ではトップである。もっとも課題はある。すでに2回接種完了率は20代以降では80%超となっているが、5~11歳の小児では2回接種完了者はわずか18.6%に留まっている。比較的、自覚する副反応が多いワクチンであることもあって、親自身が接種しても子供への接種には躊躇してしまうというケースが少なくない。この点ではまだ行政や医療従事者からの情報提供がリーチできていない部分もあるだろう。また、2回目接種完了率と3回目接種完了率には10%以上の開きがある。まさに今週、オミクロン株BA.1対応ワクチンの接種が開始されたが、頻回なワクチン接種にうんざりしている層もいるため、どこまで接種率が上昇するかは、これまた不透明である。(3)も「プライマリ・ケア体制への統合」となると、まだ一般内科の医療機関ならどこでも受診できるという状況には至っていない。(6)については、日本の最大の問題とも言える。過去に何度も指摘しているが、岸田 文雄首相の新型コロナ関連のリスク対応、リスク・コミュニケーション能力はあまりにも欠陥だらけである。オミクロン株BA.1対応ワクチンの承認と接種の前倒しも、アメリカのFDAが最新のオミクロン株BA.5の緊急使用許可の後という間の悪さである。現状の厚生労働省の新型コロナワクチンQ&Aもまだオミクロン株対応ワクチンについての情報は薄く、政治だけが先走っている感は否めない。このように考えると、テドロス事務局長が言うごく正論過ぎる6つの提言を満たすのは実は容易ではないことがわかる。これは実際のところ日本だけの問題ではないはずだ。そして世界的な状況を俯瞰した場合、やはり大きなカギを握る(1)のワクチン接種は地域格差がある。「Our World in Data」によると、全世界の2回接種完了率は62.45%と、テドロス事務局長が掲げる70%(そもそも何を根拠に70%としているのかはわからないが)に近づいている。しかし、地域別で見るとEUが73.31%、アジアが72.07%、北米が64.55%、オセアニアが62.29%に対して、まさにテドロス事務局長の出身地域(本人はエチオピア出身)であるアフリカは22.56%である。今のオミクロン株がアフリカ南部で最初に確認されたことを考えれば、先進国で何回もワクチン接種を推進してもここから蟻の一穴のごとく崩される懸念は消えない。結局、考えれば考えるほど不透明感は増すばかり。逆に「終わりが視野に入る」とはとても思えなくなるという皮肉な様相だと感じている。

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第12回 「今年こそインフルエンザ流行」はオオカミ少年?

毎年「インフルエンザと新型コロナの同時流行が…」という懸念が出つつ、流行しないということが続いています。今度こそインフルエンザが流行するかもしれないと報道されていますが、オオカミ少年のようにあまり信用されていないのが現状です。「インフルエンザと新型コロナはウイルス干渉して共存しないため、コロナ禍ではインフルエンザは流行しない」という見解があり、実際に2シーズン連続でそのような動きとなっています。オーストラリアの流行オーストラリアは南半球にあるため、インフルエンザは夏に流行します。そのため、日本のインフルエンザの流行を予測するうえで、オーストラリアの流行状況を参考にすることが多いです。ほかの国のデータも参考になりますが、オーストラリアが圧倒的に開示されている情報が多く、こちらを基に予測されています。残念ながら、2022年に関しては、オーストラリアでインフルエンザと新型コロナの同時流行が起こっており、ウイルス干渉というロジックがあやふやであることが示されました。オーストラリアでは例年よりも2~3ヵ月早くインフルエンザの流行が起こっており(図)1)、日本でもしこのような事態になるとすれば、年末くらいから流行が始まるかもしれません。図. オーストラリアのインフルエンザ流行状況(参考資料1より)ワクチン同時接種は筋注+皮下注?新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種が認められました。新型コロナワクチンは筋注で行いますが、インフルエンザワクチンは実はまだ添付文書的には皮下注が基本です。病院職員・看護学生へのインフルエンザワクチン接種を筋肉注射か皮下注射の希望選択としている施設での研究によると、申告を要する副反応は、筋肉注射8.2%、皮下注射11.3%と、筋肉注射のほうが少なかったという結果でした2)。別の研究においても、筋肉注射のほうが皮下注射よりも副反応が少なかったと報告されています3)。インフルエンザワクチンによる抗体価上昇は、皮下注射と筋肉注射で差がないこともわかっています4)。一方が筋注、もう一方が皮下注だと、インシデントのもとになりますので、可能であれば両腕に筋肉注射できるようにすべきと考えます。まぁ、そう簡単に同時接種が実現するとは思っていません。ウチの子供の3回目接種が近づいてきたのですが、新型コロナワクチンは自治体から予約、インフルエンザワクチンはかかりつけの小児科で予約、という状況です。参考文献・参考サイト1)Australian Influenza Surveillance Report No. 12 - 29 August to 11 September 20222)馬嶋健一郎ほか. 発症率・接種時疼痛・副反応の前向きコホート観察研究. 日本環境感染学会誌. 2021;36(1):44-52.3)Ikeno D, et al. Immunogenicity of an inactivated adjuvanted whole-virion influenza A (H5N1, NIBRG-14) vaccine administered by intramuscular or subcutaneous injection. Microbiol Immunol. 2010 Feb;54(2):81-8.4)Sanchez L, et al. Immunogenicity and safety of high-dose quadrivalent influenza vaccine in Japanese adults ≥65 years of age: a randomized controlled clinical trial. Hum Vaccin Immunother. 2020 Apr 2;16(4):858-866.

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8月末で人口の何%が感染?コロナの“いま”に関する11の知識(2022年9月版)/厚労省

 厚生労働省は、COVID-19の感染者数・病原性、感染性、検査・治療、変異株について、現在の状況とこれまでに得られた科学的知見をまとめた「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識」を更新した2022年9月版を公開した。主な更新内容は以下のとおり。Q 日本では、どれくらいの人が新型コロナウイルス感染症と診断されていますか。2022年9月1日0時時点で、1,891万7,782人が診断され、全人口の約15.0%に相当する。Q 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人や死亡する人はどれくらいですか。オミクロン株が流行の主体である2022年3~4月に診断された人における重症化率は50代以下で0.03%、60代以上で1.50%、死亡率は50代以下で0.01%、60代以上で1.13%だった。Q 海外と比べて、日本で新型コロナウイルス感染症と診断された人の数は多いのですか。2022年9月3日時点での日本の人口当たりの報告されている感染者数および死亡者数は主要国を上回っている。(ただし、各国の感染者数・死亡者数の報告方法が異なることも影響しているなど、結果の解釈には留意が必要)Q 現在、日本で接種できる新型コロナワクチンはどのようなワクチンですか。接種はどの程度進んでいますか。初回(1、2回目)接種と追加接種における接種可能なワクチンの種類と対象者、ワクチンの効果と主な副反応、年齢階級別の接種実績(2022年9月7日公表時点)の一覧表を掲載。Q 新型コロナウイルスの変異について教えてください。現在はB.1.1.529系統(オミクロン株)の亜系統のBA.5系統の変異株が日本を含む世界各地で主流であることなどを記載。 上記のほか、以下の6項目についてまとめられている。Q 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化しやすいのはどんな人ですか。Q 新型コロナウイルスに感染した人が、他の人に感染させる可能性がある期間はいつまでですか。Q 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、どれくらいの人が他の人に感染させていますか。Q 新型コロナウイルス感染症を拡げないためには、どのような場面に注意する必要がありますか。Q 新型コロナウイルス感染症を診断するための検査にはどのようなものがありますか。Q 新型コロナウイルス感染症はどのようにして治療するのですか。

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第127回 アマゾン処方薬ネット販売と零売薬局、デジタルとアナログ、その落差と共通点(後編)

コロナ終息とエリザベス女王国葬こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。WHOのテドロス事務局長は9月14日の記者会見で、新型コロナウイルスの世界全体の死者数が、先週、2020年3月以来の低い水準になったと指摘、「世界的な感染拡大を終わらせるのにこれほど有利な状況になったことはない。まだ到達していないが、終わりが視野に入ってきた」と述べたそうです。同日、厚生労働省の新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」も、全国的に新規感染者数の減少が続いている、との分析を公表しました。世界的に流行が終息に向かっていることは、米国MLBの中継や、英国エリザベス女王の国葬の様子を見ても実感することができます。国葬もそうでしたし、女王の国葬に先立つウエストミンスター宮殿での公開安置の行列でも、マスクをしている人はほとんどいませんでした(デビット・ベッカム氏も!)。その点、日本人は真面目というか、融通が効かないというか、街中の屋外では、皆、まだマスクをしています。こうした、お上の言うことに真面目に従い、世間体(周囲)を気にする他人任せな点が、日本でセルフメディケーションがなかなか進まない一因なのかもしれません。アマゾンの処方薬ネット販売の背景さて前回は、米アマゾン・ドット・コム(以下、アマゾン)が日本で処方薬のネット販売に乗り出すことになった、というニュースについて書きました(「第126回 アマゾン処方薬ネット販売と零売薬局、デジタルとアナログ、その落差と共通点(前編)」参照)。アマゾンの処方薬ネット販売進出の背景にあるのは、オンライン診療、オンライン服薬指導の普及・定着と、来年から始まる予定の電子処方箋の運用です。電子処方箋が運用されれば、処方箋のやりとりだけでなく、処方薬の流通についても徹底した効率化が求められるようになります。近い将来やってくるであろう調剤・配送集中化の時代を見据え、アマゾンとしてはまずは同社の服薬指導のシステムを普及させることで、地域の薬局をネットワーク化しておきたいというのが、その大きな狙いとみられます。こうした動きに対し、日本保険薬局協会の首藤 正一会長(アインホールディングス代表取締役専務)は記者会見で、「リアル店舗やかかりつけ薬剤師の存在感を高めることで、アマゾンに対抗する」といった趣旨のコメントをしたそうです。その記事を読んで、私は首をかしげてしまいました。世の中で「かかりつけ薬剤師」は「かかりつけ医師」よりももっと曖昧な存在です。そんなものに力を入れることで、果たして巨大アマゾンに対抗できるのでしょうか。そんなことを考えていたら、アマゾン報道の1週間ほど前に利用した都内の零売(れいばい)薬局のことを思い出しました。大都市圏で増える零売薬局零売薬局はコロナ禍で医療機関の受診控えが起こったことなどを背景に、東京都内をはじめ、大都市圏で急増しています。「処方箋なしで病院の薬が買える」などのキャッチフレーズで、新宿、渋谷、池袋など、特に若者が多く集まる街で増えている印象です。その動きは地方にも及んでいます。東海テレビ(愛知県)は7月29日の放送で、名古屋で初めての零売薬局、「セルフケア薬局」が繁華街である地下鉄名城線栄駅・南改札すぐのところにオープンした、と報じています。「セルフケア薬局」は、東京に本拠を構える零売薬局チェーンで、東京、神奈川のほか、大阪、京都などでも店舗を展開しています。厚労省が零売を公式に認めたのは2005年そもそも零売とは、医療用医薬品を、処方箋なしに容器から取り出して顧客の必要量だけ販売することをいいます。「零」は「ゼロ」を意味する漢字ですが、「少ない」「わずか」と言う意味もあります。つまり零売とは「少数や少量に小分けして売ること」という意味なのです。厚生労働省が処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売、すなわち零売を公式に認めたのは、2005年とそんなに昔のことではありません。それ以前は法令上での明確な規定がなく、一部薬局では医療用医薬品の販売が行われていました。厚労省が零売を容認するきっかけとなったのが2005年4月の薬事法改正です。医薬品分類を現在の分類に刷新するとともに「処方箋医薬品以外」の医療用医薬品の薬局での販売を条件付きで認める通知を発出しました。同年3月30日の厚生労働省から発出された「処方せん医薬品等の取扱いについて」(薬食発第0330016号厚生労働省医薬食品局長通知)は、「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」は、「処方せんに基づく薬剤の交付を原則」とするものであるが、「一般用医薬品」の販売による対応を考慮したにもかかわらず、「やむを得ず販売せざるを得ない場合などにおいては、必要な受診勧奨を行った上で」、薬剤師が患者に対面販売できるとしました。なお、零売に当たっては、1)必要最小限の数量に限定、2)調剤室での保管と分割、3)販売記録の作成、4)薬歴管理の実施、5)薬剤師による対面販売――の順守も求められることになりました(本通知の内容は現在、2014年3月18日付薬食発0318第4号厚生労働省医薬食品局長通知「薬局医薬品の取扱いについて」に引き継がれています)。医療用医薬品約1万5,000 種類のうち半数は処方箋なしでの零売可能2005年4月施行の改正薬事法は、処方箋医薬品の零売を防ごうとしたのも目的の一つでした。それまでの「要指示医薬品」と、全ての注射剤、麻薬、向精神薬など、医療用医薬の約半分以上が新たに「処方箋医薬品」に分類されたわけですが、逆に使用経験が豊富だったり副作用リスクが少なかったりなど、比較的安全性が高い残りの医薬品が「処方箋医薬品以外の医薬品」に分類され、零売可能となったわけです。現在、日本で使われる医療用医薬品は約1万5,000種類あり、このうち半分の約7,500 種類は処方箋なしでの零売が認められています。鎮痛剤、抗アレルギー薬、胃腸薬、便秘薬、ステロイド塗布剤、水虫薬など、コモンディジーズの薬剤が中心で、抗生剤や注射剤はありません。また、比較的新しい、薬効が強めの薬剤も含まれません(H2ブロッカーはあるがPPIはない等)。ついでだからとリンデロンVG軟膏5mgも買ってしまうさて、9月初旬に私が利用したのは、都内のとある零売薬局です。いつも通っている整形外科の診療所でいつもの鎮痛剤と湿布薬を処方してもらうつもりだったのですが、外来で2時間近く待つ時間的余裕がなく、仕方なしに山手線の某駅近くにある零売薬局を利用することにしたのです。店内に入ると女性の薬剤師がカウンターに座るよう促しました。こちらの症状や、欲しい薬剤をヒアリングし、パソコンの画面を見せながら推奨する薬剤を勧めるという流れです。私は整形外科で処方してくれている鎮痛剤のエトドラク錠200mgと、ジクロフェナクテープ30mgを希望しました。しかし、「いずれも処方箋医薬品以外の医薬品ですが、当店では扱っていません」とのことで、同種のロキソプロフェンNa錠60mgとロコアテープを勧められ、それらを購入することにしました。また、雑談(!)の中で、二日酔いの薬やビタミン剤、虫刺されの薬などの話も出たので、ついでだからとリンデロンVG軟膏5mgも買ってしまいました。リンデロンVGは、山登りや沢登りでの虫刺されにてきめんに効く薬ですが、ステロイドの含有量が多いこともあって普通の薬局・薬店では買えません。「前は調剤薬局にいたが、今の仕事のほうが面白い」と、なんだかんだで薬剤師と20分近く会話をして、約4,000円の買い物をしてしまいました。薬局を出てから、今までかかってきた整形外科でも、その門前にある調剤薬局でも、鎮痛剤や湿布薬についてここまで詳しく説明を聞いたことがなかったことに気付きました。エトドラク錠と、ジクロフェナクテープがなかったのは、単にこの薬局が仕入れる薬剤リストに入っていないためか、あるいは薬効や副作用などから自主的に販売していなためかはわかりませんが、少なくとも代替薬を勧める薬剤師の説明は理には適っていました。症状を自分で聞いて、薬を選択するアドバイスをし、客の人となりを見て他の薬剤も勧めるには、それなりの知識とコミュニケーション力が要るでしょう。私を担当した薬剤師は最後に、「前は調剤薬局で働いていたが、今の仕事のほうが面白い」と話していました。零売薬局の不適切事例に厚労相が注意喚起の通知というのが私の零売薬局体験なのですが、調べてみるとコロナ禍で急増した零売薬局の中には、不適切事例も相次いでいるようです。厚労省は2022年8月5日、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の薬局での販売の不適切な販売事例について、都道府県などに再周知を促す通知「処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売方法等の再周知について」(薬生発0805第23号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)を発出、不適切な事例について指導を徹底するよう求めています1)。前述したように2005年の通知、それを引き継いだ2014年の通知で、零売は「一般用医薬品の販売等による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売等を行わざるを得ない場合」に例外的な販売が認められていますが、そうした“考慮”をすることなく販売されている事例を、「不適切」として注意喚起したわけです。私自身のケースも考えてみればそうでした。今回の通知ではまた、「同様の効能・効果を有する一般用医薬品等がある場合は、まずはそれらを販売すること」、「在庫がない場合は他店舗の紹介などによる対応を優先すること」され、さらに販売に当たっての遵守事項として「反復継続的に医薬品を漫然と販売等することは、医薬品を不必要に使用する恐れがあり不適切」とも改めて明示されました。さらに、広告やホームページなどで次のような表現を用いて処方箋医薬品以外の医療用医薬品の購入を消費者等に促すことは不適切ともされました。「処方箋がなくても買える」「病院や診療所に行かなくても買える」 「忙しくて時間がないため病院に行けない人へ」 「時間の節約になる」 「医療用医薬品をいつでも購入できる」 「病院にかかるより値段が安くて済む」…。コモンディジーズならば医療機関の受診をはしょれるこの通知は増える零売薬局への強烈な牽制と考えられます。実は厚労省は同様の指摘を2021年に一般社団法人日本零売薬局協会に対して行っており、同協会は12月、「厚生労働省からのご指摘について」という文書を会員に対して配布、広告表現等について注意するよう促しています2)。私自身は、ここまで零売に足かせをはめる必要はないと思います。医療保険が使えず、現状極めてアナログなシステムと言えますが、少なくともコモンディジーズならば医療機関の受診をはしょれます。患者は勝手知ったる薬を手早く入手できますし、国の医療費削減にも寄与します。一方、薬剤師も医師の処方にただ従って調剤するのではなく、自らの判断で薬剤を選ばなければならないので、説明も責任をもって行うようになるかもしれません。プリントされた薬剤情報提供書を機械的に渡すだけの調剤薬局の薬剤師とは異なる職能も求められ、仕事としての面白味も増しそうです。日本の薬局や処方箋調剤が抱える“欠点”DXの最先端であるアマゾンとアナログの極みとも言える零売薬局。日本の薬局や処方箋調剤が抱える“欠点”に対するアンチテーゼという意味でも共通点があります。その“欠点”とは服薬指導です。処方薬の場合、現状、すべてのケースで服薬指導を行わないと、処方薬を患者に渡すことはできません。もし、患者の希望によって、あるいは一部の薬剤においてそのプロセスをはしょることができれば、電子処方箋の運用はもっとスムーズなものになるはずです。患者はオンライン診療を受けるだけで(オンライン服薬指導を受けなくても)、薬剤が手元に届くことになるからです。一方、リアルでアナログな薬局である零売薬局ですが、そこで行われている服薬指導のほうが薬剤師は熱心だし、責任をもってやっている、というのも皮肉な話です。OTC販売では構築できなかった新しい「患者-薬剤師関係」が生まれる可能性もあります。何より、零売は医療機関を受診しない(保険診療ではない)ことで、医療費の削減につながります。国が言う、セルフメディケーション推進の流れにも合っているわけで、風邪や下痢などのコモンディジーズや患者自身も十分に理解している疾患に限っては、零売は「規制」よりも「推進」があるべき形だと考えられます。10月にも岸田 文雄首相を本部長とする「医療DX推進本部」がいよいよ発足します。現状の仕組みをすべてシステムの中に落とし込もうとするのではなく、服薬指導や医療機関受診といった現在のプロセスの中のはしょれる部分を大胆にはしょった上で、新たにシステムを組み直すほうが真のDXになると思いますが、皆さんいかがでしょう。ドラゴンクエストの世界のような、エリザベス女王の国葬をテレビ中継で観ながら、そんなことを考えていた雨の週末でした。参考1)処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売方法等の再周知について/厚生労働省2)厚生労働省からのご指摘について/一般社団法人日本零売薬局協会

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日本でのコロナ死亡例の分析結果/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第98回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、9月7日に開催された。その中で大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター/COVIREGI解析チーム)らのチームが、「COVID-19レジストリに基づく死亡症例の分析」を報告した。 レジストリ研究は、わが国におけるCOVID-19患者の臨床像および疫学的動向を明らかにすることを目的に、2020年1月から行われている。COVID-19と診断され、医療機関において入院管理されている症例を対象に(8月22日時点で登録症例数は7万920症例)、COVID-19の臨床像・経過・予後、重症化危険因子の探索、薬剤投与症例の経過と安全性について解析、検討が行われている。軽症例での死亡率が徐々に上昇【各波の死亡症例】 各波の死亡症例を比較すると、第6波と第7波は中等症および軽症からの死亡が増加していた。登録数で1番死亡例が多かった第3波と比較すると次のようになる〔( )の死亡率は編集部で算出した〕。・第3波 総死亡:1,218、重症死亡数:235(19.3%)、中等症死亡数:957(78.6%)、軽症:26(2.13%)・第6波 総死亡:300、重症死亡数:40(13.3%)、中等症死亡数:250(83.3%)、軽症:10(3.3%)・第7波 総死亡:19、重症死亡数:1(5.2%)、中等症死亡数:17(89.0%)、軽症:1(5.2%)【中等症での死亡症例】 中等症のうち、第4波以降ネーザルハイフローの利用が進んだが、第6波以降酸素のみ使用で死亡する症例が増えている。第5波で約50%、第6波で約65%、第7波で約80%と上昇。【中等症のリスク因子】 第1波~第7波まで共通して、基礎疾患ありの患者の方が死亡していた。第1波 224人中209人が基礎疾患あり(93.3%)第2波 208人中200人が基礎疾患あり(96.2%)第3波 924人中868人が基礎疾患あり(93.9%)第4波 254人中235人が基礎疾患あり(92.5%)第5波 118人中103人が基礎疾患あり(87.3%)第6波 233人中223人が基礎疾患あり(95.7%)第7波 17人中16人が基礎疾患あり(94.1%)【第5波と第6・7波の比較】・入院中のCOVID-19治療目的での薬物投与の登録割合 (第5波)ワクチン接種あり(ステロイド、抗凝固薬、レムデシビル順で多い)ワクチン接種なし(サリルマブ、モルヌピラビル、ナファモスタット、カモスタットの順で多い)(第6・7波) ワクチン接種あり(ステロイド、レムデシビル、抗凝固薬の順で多い)ワクチン接種なし(ファビピラビル、カモスタット、サリルマブが同順で多い)・入院中の呼吸補助の登録割合 (第5波)ワクチン接種あり(酸素投与、ネーザルハイフロー、侵襲的機械換気の順で多い)ワクチン接種なし(体外式膜型人工肺、非侵襲的機械換気、侵襲的機械換気の順で多い)(第6・7波)ワクチン接種あり(酸素投与、ネーザルハイフロー、侵襲的機械換気の順で多い)ワクチン接種なし(体外式膜型人工肺、非侵襲的機械換気、侵襲的機械換気の順で多い)【第6波と第7波の比較】・入院中のCOVID-19治療目的での薬物投与の登録割合 (第6波)ワクチン接種あり(レムデシビル、ステロイド、抗凝固薬の順で多い)ワクチン接種なし(ファビピラビル、カモスタット、サリルマブが同順で多い)(第7波)ワクチン接種あり(レムデシビル、ステロイド、抗凝固薬の順で多い)ワクチン接種なし(ファビピラビル、トシリズマブ、ナファモスタット、カモスタット、サリルマブ、カシリビマブ/イムデビマブが同順で多い)・入院中の呼吸補助の登録割合 (第6波)ワクチン接種あり(酸素投与、ネーザルハイフロー、侵襲的機械換気の順で多い)ワクチン接種なし(体外式膜型人工肺、非侵襲的機械換気、侵襲的機械換気の順で多い)(第7波)ワクチン接種あり(酸素投与、ネーザルハイフロー、侵襲的機械換気の順で多い)ワクチン接種なし(体外式膜型人工肺、非侵襲的機械換気、侵襲的機械換気の順で多い)【まとめ】・第5波と第6-7波の死亡例比較では、第6-7波の方が人工呼吸・ネーザルハイフローの使用率やステロイド処方が下っていた。また、ともに90%の事例では酸素を必要としていた。・第6波と第7波の死亡例比較では、第7波の方が、さらに人工呼吸・ネーザルハイフローの使用率やステロイドの処方率が下がっていた。・ワクチン3回、4回接種者の割合が増加していることから、重篤なCOVID-19肺炎による呼吸不全の方が占める比率が下がっていると推測される。※なお、本報告のレジストリ登録患者は入院患者かつわが国全体の患者の一部であり、すべてのCOVID-19患者が登録されているわけではないこと、また報告では統計学的な検討は実施していないことに注意が必要。

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曝露前の発症抑制の適応を取得したコロナ抗体薬「エバシェルド筋注セット」【下平博士のDIノート】第106回

曝露前の発症抑制の適応を取得したコロナ抗体薬「エバシェルド筋注セット」今回は、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体「チキサゲビマブ(遺伝子組換え)/シルガビマブ(遺伝子組換え)(商品名:エバシェルド筋注セット、製造販売元:アストラゼネカ)」を紹介します。本剤は、SARS-CoV-2による感染症の治療に加え、曝露前の発症抑制にも使用することができる世界初の薬剤です。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症およびその発症抑制の適応で、2022年8月30日に特例承認されました。<用法・用量>SARS-CoV-2による感染症通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、チキサゲビマブ(遺伝子組換え)/シルガビマブ(遺伝子組換え)としてそれぞれ300mgを併用により筋肉内注射します。SARS-CoV-2による感染症の発症抑制通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、チキサゲビマブ(遺伝子組換え)/シルガビマブ(遺伝子組換え)としてそれぞれ150mgを併用により筋肉内注射します。SARS-CoV2変異株の流行状況などに応じて、チキサゲビマブ(遺伝子組換え)/シルガビマブ(遺伝子組換え)としてそれぞれ300mgを併用により筋肉内注射することもできます。なお、2剤は混和せずにそれぞれ筋肉内注射を行い、投与部位は左右の臀部とします。<安全性>主な副作用として、注射部位反応(発現頻度 1%以上)、発疹・蕁麻疹や注射に伴う反応(発現頻度 1%未満)が報告されています。なお、重大な副作用として、アナフィラキシーを含む重篤な過敏症(頻度不明)が現れることがあります。<患者さんへの指導例>1.本剤は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療または発症抑制に用いられる薬です。2種類の中和抗体を投与することで、新型コロナウイルスに対する中和作用を示します。2.過去に薬剤などで重篤なアレルギー症状を起こしたことのある方は必ず事前に申し出てください。3.投与中または投与後に、発熱、悪寒、吐き気、不整脈、胸痛、脱力感、頭痛のほか、過敏症やアレルギーのような症状が現れた場合は、すぐに医療者または医療機関に連絡してください。<Shimo's eyes>エバシェルド筋注セットは、新型コロナウイルス感染症の「治療」と「発症抑制」の適応を取得した抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体です。ワクチンを除き、新型コロナウイルス曝露前の発症抑制に用いることのできる初めての医薬品です。既承認薬のカシリビマブ/イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)も発症抑制の適応を有していますが、カシリビマブ/イムデビマブの対象患者は濃厚接触者であり、本剤の対象は濃厚接触者ではない曝露前の人という違いがあります。治療目的での投与対象は、軽症~中等症I相当で、重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者です。しかし、供給量が限られていることや治療を目的とした薬は他にもあることから、当面の間は発症抑制を目的とした投与に限って薬剤が供給されます。発症抑制目的での投与対象は、新型コロナウイルスに対するワクチン接種が推奨されない人や、免疫機能低下などによりワクチン接種で十分な免疫応答が得られない可能性がある人です。事務連絡では、日本感染症学会の「COVID-19に対する薬物治療の考え方 第14版」(2022年8月30日)を踏まえて以下のようになっています。抗体産生不全あるいは複合免疫不全を呈する原発性免疫不全症の患者B細胞枯渇療法(リツキシマブなど)を受けてから1年以内の患者ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬を投与されている患者キメラ抗原受容体T細胞レシピエント慢性移植片対宿主病を患っている、または別の適応症のために免疫抑制薬を服用している造血細胞移植後のレシピエント積極的な治療を受けている血液悪性腫瘍の患者肺移植レシピエント固形臓器移植(肺移植以外)を受けてから1年以内の患者T細胞又はB細胞枯渇剤による急性拒絶反応で最近治療を受けた固形臓器移植レシピエントCD4Tリンパ球細胞数が50cells/μL未満の未治療のHIV患者発症抑制の効果については、海外第III相試験(PROVENT 試験)において、プラセボ群と比較して、RT-PCR検査で陽性が確認された患者の症状のリスク減少率は76.7%であり、統計学的に有意な差が認められました。また、1回投与後、少なくとも6ヵ月間は感染抑制効果が持続することが示されています。新型コロナウイルス感染症の予防の基本はワクチン接種ですが、ワクチンを接種することができない人や効果が不十分と考えられる人に対するワクチン以外の予防の選択肢として期待されます。また、筋注ということから、訪問診療において曝露前の患者への投与が簡便であることも利点の1つと考えられます。<流通・費用>本剤は一般流通を行わず、厚生労働省が所有した上で、流通委託先を通じて対象医療機関に配分・無償譲渡されます。発症抑制目的での投与に限って配分されるため、計画的な投与が可能であることから在庫配置は認められていません。患者負担については、本来は薬剤費を含めて全額自己負担となるところですが、本剤を必要とする対象者にとって過度な負担とならないように、投与時の自己負担分の徴収金額は3,100円以下となる方針です。

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オミクロン流行も学術集会の現地参加は問題ない?

 国内の学術集会が軒並みオンライン中心で実施されるなか、海外ではマスクなしで大勢の参加者が現地に赴いているというが、大丈夫なのだろうか。米国・Surgical Outcomes and Quality Improvement CenterのCasey M Silver氏らが、新型コロナウイルスのオミクロン株が急増中に開催された大規模な学会において、現地出席者とオンライン出席者の新型コロナウイルス感染症の陽性率を比較した。それによると、ほとんどの登録者は会議に直接出席するも、陽性率は低く、現地出席者とオンライン出席者の間で陽性率が同等であったことが示唆された。JAMA Network Open 2022年9月1日号掲載の報告。 本横断的調査研究には、米国最大の外科学会の1つであるAcademic Surgical Congress (ASC) の参加者が含まれた。ASCは2022年2月1~3日にフロリダ州オーランドで開催(現地またはオンライン参加)。その際の新型コロナ感染予防対策として、自己検査の奨励、ワクチン接種とマスク着用の義務化、屋外での飲食物の提供などが行われた。学会後7日間の新型コロナ検査と症状を評価する調査のために登録者を募集した。また、現地出席者とオンライン出席者の陽性率の違いはχ2検定を使用して評価された。 主な結果は以下のとおり。・1,617人の学会参加者のうち、681人(42.1%)が調査に回答した。内訳は187人が学生(27.4%)、234人が研修医(34.3%)、226人が医師(33.2%)だった。・回答者のうち、135人(19.8%) がオンライン、546人(80.2%) が現地参加だった。会議前の検査で陽性だった6人(4.4%)はオンライン参加となった。・すべての現地参加者はワクチン完全接種を受けており、500人(91.6%)がブースター接種も済ませていた。・会議から7日以内に10人の現地参加者(1.8%)と 2人のオンライン参加者(1.5%) から陽性と報告を受けたが、陽性率の差は統計学的に有意ではなかった(p=0.83)。・彼らに共通した検査理由は、「新型コロナに感染していないことを確認したかった」(86人[69.3%])だった。4人が症状について報告したが検査は行われなかった。・陽性者全員がブースター接種を済ませており、10人中7人は欠勤(平均日数±SD:4.8±2.7日)するも、入院した者はいなかった。 研究者らは「対面を再開している学術集会もあるが、新たな亜種が出現するたびに、コロナ曝露のリスクを評価し続けることが重要。ASCは、オミクロン株の急増がピークに達した直後に開催したが会議の主催者がリスクを考慮して安全対策を迅速に適応させた。本結果は、職業上、曝露リスクが高くワクチン接種率も高い医師に対し、コロナ対策が効果的だった」とするも、「新型コロナ陽性の出席者は旅行中にウイルス感染した可能性があるが、感染は依然として現地出席に関連していたことに注意することが重要」と記している。 なお、日本人医師が希望する学術集会の開催形式の在り方について、今年2月にケアネット会員医師(n=1,031)へ行ったアンケート調査によると、現地・オンラインのハイブリッド希望者は60%、オンラインは27%、現地は13%だった。

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第126回 これは屁理屈なんじゃ…国産コロナ薬への補足説明を見てビックリ!

先日の本連載(第125回)で取り上げた日本感染症学会と日本化学療法学会による新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の治療薬候補エンシトレルビル(商品名:ゾコーバ)の緊急承認を求めた合同提言。SNS上などでは非難囂々だったが、これに対し学会側が9月8日、補足説明なる文書を改めて発表した。この文書を読んでみたが、正直な感想を言えば「は?これが補足説明?」と思ってしまった。今回はこの内容について私見ながら批判的吟味を加えてみたい。補足説明は6項目に分かれている。1.本提言の公表までのプロセス2.この時期に提言を出した理由について3.抗ウイルス薬が十分に使われていない現状に関して4.ウイルス量を早期に減らすことの意義に関して5.今回ゾコーバに関して緊急承認の適応を求めたことに関して6.今回の提言と4学会声明の違いについてこの中で個人的に気になったのは、1、2、4、5番目の内容である。まず1番目。これによると、提言のきっかけは、2022年7月20日に行われた薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会・薬事分科会の合同審議の後に「“多くの患者さんが連日亡くなられており医療逼迫・医療崩壊が起こっている状況にもかかわらず、審議会ではその状況を踏まえた検討がなされていないのではないか。また、当日の議論が抗ウイルス薬としての評価ではなく、ほかの内容がほとんどを占めているのは問題ではないのか”とのご意見が寄せられ、“感染症学会・化学療法学会として提言を出すべきではないか”とのご意見がありました」という状況を踏まえてのことだったという。この“意見”なるものの認識がずれているように思う。そもそも今回のエンシトレルビルに関しては、合同審議に先立って開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会単独の審議で、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査結果の説明とそれを基にした議論で抗ウイルス効果については検討済みである。しかも、そのうえで緊急承認制度が必須とする薬事分科会も含めた合同会議で再度検討が行われており、抗ウイルス効果について科学的議論がおろそかにされた形跡はない。補足説明ではこの“意見”を基に「日本感染症学会・日本化学療法学会で今後の方向性について話し合って頂く方を両学会から選出した後、ウェブ会議を8月中に2回行うとともにメールでの意見交換を行いました。意見をふまえて作成した提言案を、さらに両学会の役員(理事・監事)全員にお示ししてご意見を伺いました。頂いたご意見はさまざまでしたが、提言を出すことに対して反対意見はありませんでした。役員の先生方のご指摘をなるべく反映させる形で修正を行い、8月下旬に最終案をまとめました」とある。審議経過に不審な点はないと強調したいのだろう。だが、気になるのは「今後の方向性について話し合って頂く方を両学会から選出」と言う点である。この際の選出基準はどのようなものであったのか、また、中核になって議論したメンバーが誰かも不明である。たとえば、日本感染症学会では過去にもさまざまな提言を発表しているが、その際は検討した委員会名や委員名、その利益相反が開示されていることが多い。少なくとも過去と比べ、今回の提言はこの点で透明性が確保されているとは言いがたい。次に2番目。要約すると、すでにオーストラリアや東アジアでインフルエンザが流行しており、それを踏まえると、今秋以降に日本で同様のことが起こりえること、そこに新型コロナの流行も重なれば、医療逼迫が深刻化する恐れについて言及している。これを踏まえて▽新型コロナウイルス感染症の早期診断、早期治療の必要性▽ニルマトレルビル/リトナビルやモルヌピラビルの高齢者や基礎疾患保有者への投与▽後遺症で苦しむ可能性がある重症化リスクのない患者へのエンシトレルビルの投与を可能にする、ことで医療逼迫を回避すべきと指摘している。ここで突如、エンシトレルビルの話が出てくる。重症化しにくい若年者でも新型コロナの後遺症リスクがあるのは確かだが、ここで後遺症いわゆるLong COVIDに言及したことで、私は7月20日の審議のある光景が浮かんでしまう。それはまさにこの審議に参考人として出席した日本感染症学会理事長の四柳 宏氏が、あるデータを基に意見陳述した光景である。あるデータとは塩野義製薬がエンシトレルビルについて行った第II/III相試験の第IIb相パートのサブ解析結果の1つで、合同審議の際に追加的に提出されたもの。それによると、エンシトレルビルあるいはプラセボ投与開始から3週間後の新型コロナ関連12症状の有無では、プラセボ群に比べ、エンシトレルビル群では有症状者の割合が有意に低率だったというものだ。確かにデータ上はその通りだ。しかし、そもそもエンシトレルビルの緊急承認が保留になった最大の要因は、過去の本連載(第118回)でも触れたようにエンシトレルビル群ではプラセボ群に比べ、ウイルス力価とウイルスRNA量の低下が有意に認められながら、新型コロナ関連12症状の改善では有意差がなかったことに起因している。そして塩野義製薬や参考人だった感染症専門医は、この12症状のうちオミクロン株感染時に特徴的な呼吸器症状などの4症状では改善効果があったとし、オミクロン株感染者の薬効評価では12症状改善を指標にすることの妥当性にもやんわり疑問を呈している。にもかかわらず、Long COVIDになると、エンシトレルビル群で12症状改善の面で有意差を認めた、と言われても「都合の良いサブ解析結果を総動員させているだけでは?」と疑われて仕方がないのではないだろうか。補足説明の4番目では、まず「抗ウイルス薬に期待する薬効は臨床症状の改善であり」とある。これはその通りで、エンシトレルビルではまさにこの点に?が付いたのである。しかし、その後段では「エンシトレルビルの治験では、ウイルス株の変異に伴い、ラゲブリオやパキロビッドの治験のような入院や死亡率の減少を証明できなかったものの、ウイルス量の減少が有意差をもって確認されています。また発熱や呼吸器症状の改善を認めました。こうした結果より、エンシトレルビル投与によるウイルス量の早期の減少は、臨床症状の改善につながると考えられ、その結果は今後の臨床試験で明らかにされることが期待されます」と最初の提言と変わらぬ主張を繰り返している。この点に関して私が言いたいことは、ほぼ前回と変わらない。サブ解析結果はあくまで参考値に過ぎない。そもそも企業治験では、新薬候補の効果が最大限発揮できるように主要評価項目や試験デザインを設定する。もし、サブ解析で新たな知見が示されたならば、あくまでその結果を正しく証明できる試験デザインで再度検証することが求められる。前回も記述したように、サブ解析結果で示されたことが再度の臨床試験で否定されることは決して珍しくない現象だからだ。この現実を日本感染症学会と日本化学療法学会の理事の皆さんは軽視するつもりなのだろうか?かなり酷なことを言うかもしれないが、このエンシトレルビルの結果の速報値が発表されたのは2月である。もし塩野義製薬が科学的な知見を重視して、なお緊急承認を求めるならば、同社が主張するオミクロン株に特徴的な4症状の改善を主要評価項目に設定した小規模のパイロット的な試験などを実施すべきである(治験実施が容易ではないのは百も承知だが、小規模のパイロット試験なら不可能とは言えない)。もっと言えば、今回の緊急承認制度は「探索的な臨床試験(後期第II相試験)で有効性が認められれば承認可能」としているが、少なくともこの文言は探索的な臨床試験の主要評価項目は達成されたうえでと解釈するのが自然である。それができずに製薬企業や学会がゴリ押しするのは、せっかく新設された緊急承認制度に対する冒とくとさえ個人的には思える。そして5番目を読むと、ため息が出てしまう…。そこには以下のような記述がある。「現時点で60歳以下のリスクのない方に対する抗ウイルス薬はありませんから、この群に対する効果が期待され、その結果感染・健康被害の拡大が防止できる薬であれば緊急承認の適応ということになります。今回2学会が提言を出したのは“60歳以下のリスクのない方”に対する効果が期待され、その結果“感染・健康被害の拡大が防止できる薬であるかどうか”の確認が充分行われたように思えなかったことがきっかけです」要は前述の7月20日の審議の際に一部の委員から同一作用機序のニルマトレルビル/リトナビルがあるなかで、エンシトレルビルの承認に緊急性があるとは必ずしも思えないと言われたことへの反論らしい。しかし、あくまで私見に過ぎないかもしれないが、ここまでくると「屁理屈」とさえ映ってしまう。そして7月20日の審議では60歳以下のリスクのない人での投与に関して、薬事分科会の委員で日本医師会常任理事の神村 裕子氏が発言したことを日本感染症学会と日本化学療法学会の役員の皆さまはお忘れなのだろうか? 念のために再掲したい。「私は女性の医師ですので、女性の患者さんがたくさんいます。この中でたとえば妊娠の可能性のある患者さんに禁忌という場合、妊娠しているかどうかわからないとなると、とても怖くて使えない。また、錠剤が大きくて飲み難いことはありますが、すでに同じような作用機序のニルマトレルビル/リトナビルがあるなかで、なぜそちらではダメなのかと考えている。当然ながら私が臨床の外来で、この程度の呼吸器症状の有効性の差が出たと言われても、『とても使いたくはないな』と、申し訳ないですけれども率直にそう感じました」塩野義製薬や参考人が主張するオミクロン株特有の有効性を踏まえたうえでも、その差は小さく、なおかつエンシトレルビルが持つ催奇形性のリスクを考慮すれば臨床では有益性があるとは思われないという発言である。正直、補足説明が出たというので、もう少しマシな主張をするのではないかと期待したが「我田引水、ここに極まれり」と言わざるを得ない。

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5~11歳への3回目接種を追加、新型コロナ予防接種の手引き9版/厚労省

 厚生労働省は、9月6日に全国の市町村に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(9版)」を発出するとともに、同省のホームページでも公開した。本手引きは2020年12月17日の初版以来、十数回の更新を行い、その時どきの臨床知見、行政施策を反映した内容に改訂されている。今回の主な改訂点【第4章 3(13)(接種を受ける努力義務等の取扱い)】 接種を受ける努力義務などの取扱いについて更新(本文抜粋) 新型コロナウイルス感染症に係る予防接種については、予防接種法附則第7条第2項の規定により同法第6条第1項の臨時接種とみなして実施するものであり、市町村長は対象者に対して接種勧奨をすることとされていること。 また、対象者については原則として接種を受ける努力義務の規定が適用されるが、第2期追加接種(4回目接種)に関しては60歳未満の者について、努力義務の規定の適用が除外されていること。【第5章 1(3)対象者、(4)、接種間隔、(5)ワクチンの種類】5歳以上11歳以下の者への3回目接種について追記(本文抜粋)(3)対象者ア 第1期追加接種(3回目接種) 第1期追加接種(3回目接種)については、初回接種(1、2回目接種)の完了から一定期間経過した者を対象に、1回行うこととする。現時点で3回目接種において使用するワクチンとしているものは、ファイザー社ワクチン(5~11歳用のものを含む)、モデルナ社ワクチンおよび武田社ワクチン(商品名:ノババックス)であり、各ワクチンの対象年齢は、5~11歳用ファイザー社ワクチンについては5~11歳、12歳以上用ファイザー社ワクチンについては12歳以上、モデルナ社ワクチンおよび武田社ワクチン(ノババックス)については18歳以上となっていることに留意すること。(4)接種間隔 3回目接種は、1、2回目接種の完了から、ファイザー社ワクチン(5~11歳用のものを含む)またはモデルナ社ワクチンについては5ヵ月以上、武田社ワクチン(ノババックス)については6ヵ月以上の接種間隔をおいて行うこと。 また、4回目接種は、3回目接種の完了から5ヵ月以上の接種間隔をおいて行うこと。(5)ワクチンの種類 3回目接種に用いる新型コロナワクチンは、1、2回目接種で使用したワクチンの種類にかかわらず、現時点ではファイザー社、モデルナ社および武田社(ノババックス)のものである。なお、5~11歳用ファイザー社ワクチンについては5~11歳、12歳以上用ファイザー社ワクチンについては12歳以上、モデルナ社ワクチンおよび武田社ワクチン(ノババックス)については18歳以上の者に対する3回目接種に使用することに留意すること。【第5章 3(4)イ(ウ)(接種券の発行申請の方法)】 接種券発行申請書(4回目接種用)の様式(図参照)について更新【第7章 2(2)(5歳以上11歳以下の者への接種)】 5~11歳用ファイザー社ワクチンの3回目接種について追記(本文抜粋)ア 5~11歳用ファイザー社コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)(ア)対象者 市町村長は、5~11歳用ファイザー社コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)を用いて、接種を受ける日に当該市町村に居住する5歳以上11歳以下の者に対して新型コロナウイルス感染症にかかわる第1期追加接種(3回目接種)を実施する。 なお、戸籍および住民票に記載のない5歳以上11歳以下の者のうち、当該市町村に居住していることが明らかなものおよびこれに準ずるものについても対象者に含まれる。(イ)接種方法 1.3ミリリットルの生理食塩液で希釈した5~11歳用ファイザー社コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)を1回筋肉内に注射するものとし、接種量は、0.2ミリリットルとすること。(ウ)接種間隔 初回接種の完了から5ヵ月以上の接種間隔をおいて行うこと。 前後に他の予防接種(インフルエンザの予防接種を除く)を行う場合においては、原則として13日以上の間隔をおくこととし、他の予防接種(インフルエンザの予防接種を除く)を同時に同一の接種対象者に対して行わないこと。(エ)その他 対象者、接種方法および接種間隔以外の事項については、1(1)ア(イ)[予防接種要注意者]および(キ)[接種後の経過観察]ならびに1(2)ア(エ)[接種の用法]~(カ)[配送資材]の記載事項に従うこと。

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