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エキスパートが質問に回答「インフルエンザ診療」その2

CareNet.comでは12月のインフルエンザ特集を配信にあたり、会員の先生よりインフルエンザ診療に関する質問を募集しました。その中から、多く寄せられた質問に対し、岡部信彦先生にご回答いただきました。インフルエンザ脳症の早期発見のポイントについて教えてください。インフルエンザ様症状が発現後、比較的早い時期における“意味不明な言動を起こす”“意識状態に異常がみられる(呼んでも反応が鈍いなど)”という症状は、急性脳症を疑う重要なポイントといえるでしょう。もちろん、痙攣や重度の意識障害も、本症を疑う大きなポイントです。インフルエンザに伴う発熱について、解熱に積極的に介入していくべきか教えてください。インフルエンザの発熱は基本的には自然経過で解熱するため、解熱剤を使用しないというのも選択しうる一つの方法だと思います。しかし、一般的には患者さんの辛さや不安、全身状態の一時的な改善などを目的として使用することのほうが多いと思います。その際、小児に関しては、アスピリンなどのサリチル酸系解熱薬はライ症候群発症のきっかけとなる可能性があり、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸などのNSAIDsについては急性脳症発症者での予後を悪化させる可能性があるため、原則として使用しないという注意を遵守していただきたいと思います。商品名だとわかりにくいことがあるため、一般名を必ず確認するようにしてください。インフルエンザ治療後、職場に出勤する時期の目安は、どのように考えたらよいでしょうか?成人の場合は仕事などの関係上、学校や幼稚園・保育園などのようにはいかないと思いますが、少なくとも解熱しているかどうかの確認は必要です。また、解熱後はウイルス量は減少しますが、他人に感染させうる程度のウイルスは暫くは排泄される可能性があるため、発症(発熱)から5日程度経過し、かつ解熱から2日経過するくらいまでは、マスクや手洗いなどで他人にうつさないようにすることを指導していただければと思います。新型インフルエンザが発生した場合の一般診療所で行うべき防御手段について、スタッフやその家族を守る観点から教えてください。新型インフルエンザが発生した場合、その病原性、感染力については最新の情報を得ることが最も重要です。その程度によって対応は異なりますが、少なくても平常時から、感染対策におけるスタンダード・プレコーション(標準予防策)を、いつでもとれるように準備しておくことが重要です。それをレベルアップするか、レベルダウンするかは状況によって異なりますので、まずは最新の情報を入手してください。日本のインフルエンザの診療水準や予防への取り組みは、諸外国と比較した場合どの程度の水準なのでしょうか? また、どのような特徴があるのでしょうか?診療水準に関しては、インフルエンザ迅速診断キットで丁寧に診断し、抗インフルエンザ薬を豊富に使用するなど世界でも最上位にあるといえるでしょう。インフルエンザワクチンについても、アメリカには及ばないものの、わが国の関心は世界でも最も高いレベルに位置します。また、わが国における医療機関へのアクセスの良さは、やはりトップクラスであり、重症例の早期発見や早期治療に大きく結び付いていることでしょう。とはいえ、その利点は一方では軽症患者が夜昼となく外来および救急医療機関に集中することにもなり、解決すべき問題点としてあげられます。

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Dr.中野のこどものみかたNEO

第1回「小児気管支喘息最前線 ! 」第2回「使ってみよう ! こどもに漢方」第3回「ワクチン(1) Hib,肺炎球菌」第4回「ワクチン(2) 子宮頸癌の予防ワクチンとHPV」 第1回「小児気管支喘息最前線 ! 」他科領域で“最も難しい”、“なるべくなら回避したい”とされる小児科。小児の特異性は成人を診ることが多い医師にはどうしても判断しにくいものです。このシリーズでは、一般内科医の「診断はどうすれば良いのか?」「治療薬の処方は?」などの疑問に小児科専門医が答えるQ&A形式でわかりやすくお伝えしていきます。新米ママでもある馬杉先生が臨床現場の生の声をぶつけます。2008 年に改訂されたガイドラインを基軸に、現在の小児・乳児の気管支喘息の診断や治療、そして保護者への具体的な指導内容とその方法を徹底的に解説します。医師のみならず薬剤師や看護師など、小児と保護者に接する機会のある全ての医療従事者にご覧いただける内容です。第2回「使ってみよう ! こどもに漢方」最近では一般の医師でも漢方を処方したり、西洋薬と併用使用したりするケースが増えてきましたが、逆に情報通の保護者から漢方処方を依頼されることもあるのではないでしょうか。夜泣きや疳の虫、引きつけなど小さなこどもに多くみられる特有の症状。病気とはいえないがママ達には大変なストレス ! 漢方はそんな症状にズバリ著効することが多々あるのです。もちろん、嘔吐や下痢、発熱、くしゃみ鼻水といった一般的な症候によく効く漢方薬もあります。比較的小児に用い易い漢方処方を取り上げ、症例に沿って紹介します。大流行したノロウイルス感染症に効果のある「五散」のほか、「抑肝散」の母子同服という裏ワザ、そして服薬指導も行います。苦手意識をもたずに先ずは実践してみてください。第3回「ワクチン(1) Hib,肺炎球菌」Hib(インフルエンザ菌b型)と肺炎球菌(7価混合型)の2 種のワクチンについて学習します。Hib も肺炎球菌も、細菌性髄膜炎や中耳炎、肺炎、ときには菌血症といった非常に深刻な感染症を引き起こす菌。こどもが保育園などに通い始めると1年あまりで保菌率が飛躍的に上昇します。そのため家族に高齢者がいれば飛沫感染で影響を及ぼすこともあります。これらのワクチンは、世界的には非常にポピュラーでありWHO でも定期接種が勧められていながら日本では認知度も接種率も低かったのですが、2011 年度から公費助成での接種が始まりました。公衆衛生や集団免疫の観点からも、小児科医だけでなく全ての医師と医療従事者がきちんと知っておく必要がありますので、この機会に是非ワクチンの知識を身につけてください !第4回「ワクチン(2) 子宮頸癌の予防ワクチンとHPV」第4回は小児疾患ではなく、子宮頸がんとそのワクチンについて学習します。近年急増傾向にあり、特に20 代から30 代女性の罹患と発症が問題となっています。子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルス感染症によって引き起こされ、日本では成人女性の実に4 割以上がHPV に感染しているという驚くべき感染症です。タイプによっては予後が非常に悪く発症後の死亡率も高いため「Mother killer」と呼ばれています。にも関わらず日本では定期検診受診率が低くワクチンに関しても浸透しておらず、医師を含む医療従事者の間でさえ認知度が高いとはいえませんでした。しかし、2009 年12月から一般の医療機関でワクチン接種が可能となり、国と市町村の公費助成がはじまったため、婦人科以外で問合せを受ける可能性もあります。ワクチンで予防可能ながんをよく知り、その重要性を患者さんに啓蒙できるようになることが、これからの医療には求められるのではないでしょうか。

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関節疾患にみる慢性疼痛

関節痛の概要・特徴痛みを呈する関節で最も多いのが膝関節、次いで肩こりを含めた肩関節が多い。股関節では骨形成不全などがあると痛みが発症するが、膝関節や肩関節に比べて頻度は低い。また、肩関節、手関節および肘関節の痛みの訴えはそれ以上に少なく、治療上も問題になることは多くない。関節痛の原因としては変形性関節症が最も多く、次に痛風、偽痛風、関節リウマチなどの炎症性関節炎、そして感染性関節炎となる。関節痛の多くは、慢性的なケースが多く、継続して痛みがあるか亜急性的に痛みが悪化する患者さんが多い。関節痛のリスク因子には、下肢(股関節、膝関節、足関節)のアライメントの異常(関節の歪み)や肥満、筋力低下がある。日本人にはO脚が多いため、膝の内側が摩耗しやすく、体重増や筋力低下により摩耗が進むと関節痛がさらに悪化するというのはその典型といえる。関節痛の原因関節痛についても、痛みの原因を明らかにし、その原因に対処していくことが必要である。変形性関節症の場合、過労時や荷重時の痛みが多く、安静時痛がない。ちなみに、安静時痛のある場合は、関節リウマチや痛風などの炎症性関節炎や細菌感染などの化膿性関節炎などのこともあるので注意が必要である。炎症性関節炎の場合、痛みの原因となる内科疾患を明らかにする必要がある。痛風であれば熱感や発赤が認められるが関節液の濁りは少なく、採血でCRPおよび尿酸値の高値が認められる。偽通風であれば関節液からピロリン酸が検出される。炎症性関節炎では、感染性関節炎と鑑別しにくい場合もある。化膿性関節炎では、熱感、発赤が非常に強く、白血球は10万レベルになる。一方、炎症性関節炎であれば上がっても白血球は数千から1万程度である。また、化膿性関節炎の関節液では白色の膿が確認されるが、炎症性関節炎の関節液は少し濁っている程度である。炎症性、感染性が除外された場合、単純X線所見と併せて変形性関節症と診断することになる。また、胆嚢疾患や心疾患などの内科疾患が原因で肩関節が痛む関連痛が報告されているが、整形外科に来院する場合もあるので注意が必要である。変形性関節症の特徴的X線所見骨棘形成関節裂隙の狭小化軟骨下骨の硬化関節裂隙の消失関節痛の治療変形性関節症はセルフリミティングな疾患であり、ある程度までしか進行せず自然治癒力が期待できるため治療の緊急性は少ない。NSAIDsで効果を期待できるため、治療初期の2週間ほどはNSAIDsを処方して様子をみて、運動療法を行う。長期にわたり鎮痛効果が必要な場合は、NSAIDsの長期服用による腎障害や胃潰瘍の発現を考慮し、弱オピオイド鎮痛薬の併用あるいは切り替えを検討する。また、変形性関節症ではX線の所見と痛みの程度は必ずしも一致せず、進行した例でも薬物療法や運動療法が有効な場合がある。関節破壊が進展し十分な保存療法を行っても症状の改善が得られず、患者さんの希望するレベルの生活に障害がある場合などは手術の適応を検討する。炎症性関節炎の場合、原因となる内科疾患、関節リウマチであればその治療を、痛風であれば尿酸値を下げるなど、その疾患の治療を行う。感染性疾患は治療に緊急性を要する場合が多い。たとえば化膿性関節炎では、関節破壊が進行し、さらに敗血症で死亡する危険があるため緊急手術を要する。運動療法の積極導入ある程度痛みが軽減したら、運動療法、筋力トレーニング、関節可動域改善のトレーニングを行う。痛みがあると、その部位の筋力が低下していることが多く、運動療法で筋力を回復するだけでも随分痛みが改善することが多い。変性疾患で軟骨が摩耗している変形性膝関節症であれば、むしろ運動療法することでが機能が回復するとされている1)。「痛み=安静」という意識を変え、症状改善のためには、少し痛みが残っていても動くことを勧めるのも治療選択肢であろう。代表的な運動療法としては、肩関節周囲のコッドマン体操や滑車体操、膝関節の大腿四頭筋訓練、股関節の股関節周囲筋筋力体操などがある。いずれの場合も運動療法を導入する際は、管理下の運動療法といって、PTや整形外科医の指導・監視下で行うことが基本であり、その際には、整形外科医との連携を図っていただくべきであろう。高齢者の肩の腱板断裂関節痛とは異なるが整形外科では高齢者の肩の腱板断裂という疾患が近年多くみられるため紹介する。この疾患は、急に肩が動かなくなり、夜も寝られない程の肩の痛みを訴える。しかしながら、単純X線検査では診断がつきにくく、内科からの紹介も多い。検査としてはドロップアームサインがある。腕を上げてバンザイはできるが、肩の腱板が切れているため腕をおろしてゆくと保持できず途中でドロップする。つまり、棚の上の物が取れなくなるが、腕をおろした状態では問題がないため字は書ける。治療として、NSAIDsで痛みをある程度軽減してから、手術療法が必要なければ運動療法により肩の可動域を保持する。症例ごとに最適の疼痛診療を目指す整形外科領域の疼痛の診療にはさまざまなピットフォールがあるが、どんな場合でも痛みの原因を明らかにし、それぞれの症例に適した診療が必要となる。また、疼痛患者さんはどの診療科を受診するかわからず、他診療科からの紹介も多い。整形外科と他診療科が連携して、患者さんの痛みをうまくコントロールしていくことが、超高齢化社会に入っていくこれからの医療には重要なのではないだろうか。参考文献1)岩谷 力 (監修)ほか 変形性膝関節症の保存的治療ガイドブック;メジカルレビュー社2006年

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小児急性胃腸炎動向からみえたノロウイルスワクチン開発の鍵

 長崎大学大学院のHoa Tran TN氏らは、小児(18歳以下)の急性散発性胃腸炎におけるノロウイルス遺伝子型分布を明らかにするため、2000年以降の発表論文のシステマティックレビューを行った。その結果、直近10年でGII.4、GII.3が大勢を占めるようになっており、その背景には世界的なGII.4変異型の出現があること、またノロウイルスはロタウイルス感染胃腸炎の減少と相反する形で小児急性胃腸炎での重要度を増している傾向が認められることなどを報告した。著者は、有効なノロウイルスワクチン開発には、GII.4、GII.3株に対する獲得免疫の提供が欠かせないとまとめている。Journal of Clinical Virology誌オンライン版2012年12月4日号の掲載報告。 ノロウイルスは世界的な流行性または散発性急性胃腸炎の原因である。研究グループは、過去20年間、感度の高い分子診断技術の開発がノロウイルス分子疫学の解明に革命をもたらしたものの、ノロウイルス株タイプと散発性胃腸炎との関連については十分に解明されていないとして、ノロウイルスの疫学的解析を行った。 2000年以降に行われた試験報告についてシステマティックレビューを行い、散発性急性胃腸炎の小児(18歳以下)におけるノロウイルス遺伝子型の分布状況を明らかにした。 主な結果は以下のとおり。・遺伝子グループでみるとGIIの占める割合が最も高く、すべての散発的な感染症のうち96%を占めていた。・遺伝子型でみるとGII.4の分布が最も優勢で、カプシド遺伝子型では70%を、ポリメラーゼ遺伝子型では60%を占めていた。次いで、GII.3(カプシド遺伝子型で16%)、GII.b(ポリメラーゼ遺伝子型で14%)であった。・最も頻度の高い組換え型ORF1.ORF2インター遺伝子型は、GII.3カプシド遺伝子型との結合によるGII.b、GII.12およびGII.4ポリメラーゼ遺伝子型で、同定されたすべての遺伝子型の19%を占めていた。・ここ10年間は、GII.4の突然変異の分布が勝っていた。現在までにGII.4/2002、GII.4/2004、GII.4/2006b、GII.4/2008、GII.4/2006bと続いてきている。・直近10年間の小児の散発性急性胃腸炎では、遺伝子型GII.4、GII.3の分布が優勢であった。その動きは、GII.4変異型ノロウイルスの世界的な出現で最も顕著であった。・小児予防接種プログラムの導入に伴ってロタウイルス疾患負荷が減少するに従い、相対的にノロウイルスが小児急性胃腸炎の原因における重要度を増している可能性がうかがえた。・有効なノロウイルスワクチン開発には、カプシド遺伝子型GII.4、GII.3株に対する獲得免疫提供が必要である。

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HPV DNA検査の子宮頸部病変検出能は、細胞診よりも良好/BMJ

 子宮頸がん検診における子宮頸部病変の検出能は、ヒトパピローマウイルス(HPV)DNA検査が従来の細胞診よりも高いことが、フィンランドがん登録のMaarit K Leinonen氏らの検討で示された。HPV DNA検査は細胞診に比べ感受性が高く、子宮頸部の進行性病変をより早期に検出するが、非進行性病変をも検出するリスクがあるという。ほとんどのHPV感染は重大な細胞異型を引き起こすことなく迅速に消退するため、HPV検査陽性例は即座に確定診断や治療を要するわけではなく、細胞診の質が高い国では、これら陽性例に対するパパニコロー塗抹標本検査が適切なスクリーニング戦略と考えられている。BMJ誌2012年12月8日号(オンライン版2012年11月29日号)掲載の報告。HPV DNA検査、細胞診の検出能を前向き無作為化試験で評価 研究グループは、HPV DNA検査および従来の細胞診による子宮頸部の前がん病変、がん病変の検出率を比較するプロスペクティブな地域住民ベースの無作為化試験を行った。 対象は2003~2007年にHPV検査を推奨された25~65歳のフィンランド人女性で、HPV DNA検査を受ける群または細胞診を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。HPV DNA検査の陽性例は細胞診を受けることとした。 主要評価項目は、5年後の2回目の検査または2008年12月31日までの子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)、上皮内腺がん(AIS)、浸潤がん(ICC)の検出率とし、細胞診に対するHPV DNA検査のハザード比(HR)を算出した。HRはCIN1が1.53、CIN2が1.54、CIN3/AISが1.32、ICCは0.81 HPV DNA検査群に10万1,678人、細胞診群には10万1,747人が割り付けられた。平均フォローアップ期間3.6年の時点で、前がん病変またはがん病変が検出されたのはHPV DNA検査群が1,010人、細胞診群は701人だった。 CIN 1(軽度異形成)の検出のHRは1.53〔95%信頼区間(CI):1.28~1.84〕、CIN2(中等度異形成)のHRは1.54(同:1.33~1.78)、CIN3(高度異形成、上皮内がん)またはAISのHRは1.32(同:1.09~1.59)と、HPV DNA検査の検出能が有意に優れたが、ICCのHRは0.81(同:0.48~1.37)であり2つの検査法に有意な差は認めなかった。 25~34歳の女性における5年間のCIN3またはICCの累積ハザード(累積検出率)は、HPV DNA検査が0.0057(95%CI:0.0045~0.0072)、細胞診は0.0046(同:0.0035~0.0059)、35歳以上の女性ではそれぞれ0.0022(同:0.0019~0.0026)、0.0017(0.0014~0.0021)であった。 著者は、「HPV DNA検査は細胞診よりも子宮頸部病変の検出能が高いことが示された。CIN3またはAISの検出率は、25~34歳、35歳以上の女性のいずれもがHPV DNA検査で高率だったが、35歳以上では両検査の絶対差は小さなものであった」とまとめ、「年齢や検査間隔を十分に考慮して検診対象を選択すれば、HPV DNA検査によって全体的な子宮頸部前がん病変の検出率が、わずかとはいえ改善する可能性がある。一方、これらの知見は、フィンランドは任意型検診の質が高いことを考慮したうえで解釈する必要がある」と指摘している。

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医療施設におけるインフルエンザの予防と治療

1 流行に備えた感染対策インフルエンザ対策は、本格的な流行が始まる前に開始する。平素の感染対策活動に加え、流行前に職員に対するインフルエンザ感染対策に関する啓発活動を強化する。また、施設内で患者発生を早期に探知できる体制を構築しておく。職員もインフルエンザ様症状を認めた場合はただちに当該部署に届けて欠勤するなどのルールを作っておく。その他重要な点を以下に示す。(1)ワクチン接種ワクチン接種はインフルエンザ感染対策の基本である。患者に対し、予防接種の意義、有効性、副反応の可能性を十分に説明して同意を得たうえで、禁忌者を除き積極的にワクチンを接種する。とくに65歳以上の者、および60歳以上65歳未満の者であって心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能またはHIV感染による免疫機能障害を有する者に対するワクチン接種は、予防接種法上定期接種と位置付けられている。医療施設の職員にも、禁忌者を除き積極的にワクチン接種を勧める。(2)ウイルスの持ち込みリスクの低減流行期間中、ウイルスは医療施設外からもたらされるため、ウイルス持ち込みのリスクを低減する工夫が必要となる。インフルエンザ様症状を呈する者が面会などの目的で施設内に入ることは、必要に応じて制限する。そのため施設の入口にポスターを掲示したり、家族等にはあらかじめ説明しておくなどして、事前に理解を得ておく。施設に入る前に擦り込み式アルコール消毒薬の使用を求めることも必要である。2 流行開始後の感染対策インフルエンザ患者に対しては、まず良質かつ適切な医療の提供が基本となる。治療については後述するので、ここでは医療施設内でインフルエンザが発生した後の対応について述べる。(1)速やかな患者の隔離施設内でインフルエンザ様患者が発生した場合は、迅速診断キットを活用して診断を行う。発症早期には偽陰性となる場合があるので、キットの結果が陰性であっても、臨床的に疑われる場合はインフルエンザとして扱う。患者はただちに個室に隔離し、できるだけ個室内で過ごすように指示する。個室が確保できない場合は、患者とその他の患者をカーテン等で遮蔽する、ベッド等の間隔を2メートル程度空ける、患者との同室者について、入居者の全身状態を考慮しつつサージカルマスクの着用を勧める、といった次善の策も提案されている。患者が複数いる場合は、同型のインフルエンザ患者を同室に集めることも検討する。(2)飛沫感染予防策とその他の予防策職員が患者の部屋に入る場合はサージカルマスクを着用する。インフルエンザ患者がやむを得ず部屋を出る場合は、サージカルマスクを着用させる。インフルエンザの感染対策では通常、空気予防対策は不要であるが、サクションチューブで喀痰を吸引する時や、緊急で心肺蘇生を行う場合などは、N95マスクなどの高性能マスクの着用も勧められる。飛沫予防策として、インフルエンザを発症してから7日間もしくは発熱や呼吸器症状が消散してから24時間のどちらか長い方が経過するまで継続することが推奨されている。(3)患者への抗ウイルス薬の予防投与CDCは、施設内で72時間以内に2名以上のインフルエンザ様患者が発生した場合や、1名のインフルエンザ確定患者が発生した場合は、入所者への抗ウイルス薬の予防投与を勧めている。日本感染症学会は、インフルエンザ患者に接触した患者には、承諾を得たうえで、ワクチン接種歴にかかわらずオセルタミビルかザナミビルによる予防投与を開始すべきであるとしている。予防投与の範囲は、原則的にはインフルエンザ発症者の同室者とする。なお、現時点でペラミビルとラニナミビルには予防投与の適応は無い。(4)職員への予防投与CDCは、医療施設の職員についても、ワクチン未接種者については抗ウイルス薬の予防投与を検討すべきであるとしている。日本感染症学会は、職員は本来健康なので抗ウイルス薬の予防投与は原則として必要ではなく、発症した場合の早期治療開始でよいとしている。しかし、施設内での流行伝搬に職員が関与していると考えられる場合、とくに職員の間でインフルエンザ発症が続く場合は、職員にも予防投与が必要であるとしている。3 インフルエンザの治療-抗インフルエンザウイルス薬-ここでは主に抗ウイルス薬について述べる。現在わが国で使用可能な抗インフルエンザウイルス薬は、アマンタジン、ザナミビル水和物、オセルタミビルリン酸塩、ペラミビル水和物、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の5種類である。そのうちアマンタジンはA型ウイルスにのみ有効であることと、ほとんどの流行株が耐性化していること、ならびに副作用の問題などから使用機会は少なく、現在は主としてノイラミニダーゼ阻害薬が使用される。以下に各薬の特徴をまとめた。ザナミビル水和物(商品名:リレンザ)は、吸入で用いるノイラミニダーゼ阻害薬である。通常インフルエンザウイルスは主に上気道~気管で増殖するため、非常に高濃度のザナミビルが感染局所に到達する。副作用として、まれではあるが吸入に伴い気道攣縮を誘発する可能性がある。これまでにザナミビルでは耐性ウイルスの出現はほとんど報告されていない。オセルタミビルリン酸塩(同:タミフル)は、内服のノイラミニダーゼ阻害薬である。消化管から吸収され、肝でエステラーゼにより加水分解され活性体に変換される。ペラミビル水和物(同:ラピアクタ点滴用)は、1回の点滴静注でA型およびB型インフルエンザウイルス感染症に対して有効性を示す。点滴静注であるため確実に血中に移行し長時間効果を表す。ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(同:イナビル吸入粉末剤)の特徴は、初回の吸入のみで完結する点で、服薬中断や服薬忘れの懸念が無い。以上の薬剤をどのように使い分けるかは、臨床的に大きな課題である。社団法人日本感染症学会の提言などが参考になる。文献(1)CDC. Prevention strategies for seasonal influenza in healthcare settings. http://www.cdc.gov/flu/professionals/infectioncontrol/healthcaresettings.htm(2)CDC. Interim guidance for influenza outbreak management in long-term care facilities. http://www.cdc.gov/flu/professionals/infectioncontrol/ltc-facility-guidance.htm(3)厚生労働省健康局結核感染症課、日本医師会感染症危機管理対策室.インフルエンザ施設内感染予防の手引き 平成23年11月改訂.http://dl.med.or.jp/dl-med/influenza/infl_tebiki23.pdf(4)社団法人日本感染症学会.社団法人日本感染症学会提言2012~インフルエンザ病院内感染対策の考え方について~(高齢者施設を含めて).http://www.kansensho.or.jp/influenza/pdf/1208_teigen.pdf(5)Fiore AE, et al. MMWR.Recomm Rep.2011;60 : 1-24.

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エキスパートが質問に回答「インフルエンザ診療」その1

CareNet.comでは12月のインフルエンザ特集を配信にあたり、会員の先生よりインフルエンザ診療に関する質問を募集しました。その中から、多く寄せられた質問に対し、岡部信彦先生にご回答いただきました。成人のインフルエンザワクチン接種について、推奨される接種時期を教えてください。インフルエンザ流行時には抗体をすでに持っていないと予防にならないため、10月下旬から12月中旬までに接種しておくことが望ましいといえます。妊婦へのインフルエンザワクチン接種で注意する点を教えてください。ワクチンは不活化ワクチンなので、妊婦が接種しても直接的な影響はないと考えられています。また、これまで接種により胎児に影響があったというデータもありません。ただし、妊娠の初期段階は不安定な状態であり、インフルエンザワクチン接種の有無にかかわらず、流産など妊娠経過に異常を来しやすい時期です。よって、この点について妊婦さんには十分な説明が必要だと思います。インフルエンザ予防におけるマスク、うがい、手洗い、加湿器などの実際の効果とその根拠について教えてください。身近なインフルエンザ予防については、次のように考えています。マスク:ウイルスをブロックするのであればN95のマスクが有効です。しかし一般生活の中では使い勝手が悪く、実際的ではないでしょう。飛沫感染予防という点では、医療現場ではサージカルマスク、一般の方であれば不織布製マスクが使いやすいと思います。うがい:うがい施行群で上気道感染症全般の頻度が低いというデータがみられますが、インフルエンザウイルス感染について明らかな有効性が示されたデータはないように思います。しかし、口腔内の湿潤を保ち、清浄にするという意味では有効であろうと思います。手洗い:手洗いでインフルエンザ感染が減少したとういうエビデンスは多くないと思いますが、上気道感染症全体の頻度が低下したというデータがあります。手洗いは感染症予防の基本であり、日常の一般的な予防手段として、身につけておきたいことだと思います。加湿器:湿度が高い方がウイルスの広がりを抑えるというデータもあるようですが、これによってインフルエンザウイルスが激減したというデータはないと思います。しかし、加湿することで口腔内や気管のコンディションが良くなることから、気道感染症全体の感染機会を下げるという効果はあると考えられます。インフルエンザ迅速診断キットでは陰性だが、症状からインフルエンザが疑われる場合、すぐに抗インフルエンザ薬を使用した方がよいのでしょうか? とくに小児の対応をお願いします。インフルエンザ迅速診断キットで陰性であってもインフルエンザに感染していることは十分考えられます。迅速診断キットの感度は、キットそのものの性能のほかにも、検体を得るタイミングや手技、つまりそこに含まれるウイルス量に影響されます。一般的には、発症初期の検査ではウイルスが検出されず陰性になることも少なからずあり、やはり診断は、症状や検査、周辺の疫学情報などを考慮した総合的な判断が必要であろうかと思います。つまり、インフルエンザの可能性が高いと思われたら、必ずしもインフルエンザ迅速診断キットに100%頼る必要はありません。これは成人でも小児でも同様です。インフルエンザ迅速診断キット検査で陽性になるのは、発熱出現後何時間くらいでしょうか? 目安があれば教えてください。キットの種類によっても異なりますが、おおむね発熱後12時間あるいは5日以内が陽性結果を得られやすい時期の目安となります。

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ロタウイルス胃腸炎の世界的な季節性パターンを明らかにするには?

 米国疾病管理予防センター(CDC)のManish M. Patel氏らは、ロタウイルス胃腸炎発生の世界的な季節性パターンの分布図作成を目的に、ワクチンが広く導入される以前の発生に関する報告論文をレビューした。しかし、統一的な説明が可能である季節性のパターンは認められず、国の所得レベルが多少ではあるが、他の因子よりも季節性疾患であることを示す予測因子であることが明らかになったという。Pediatric Infectious Disease Journalオンライン版2012年11月28日号の掲載報告。 研究グループは、1995年以降に発表された下痢症状を伴う小児におけるロタウイルス検出を報告した研究をレビューした。 季節性有病率と局地性(地理的、国の発展度、緯度別にみたロタウイルス陽性下痢症状の発生割合を月平均でプロットしたもの)との関連性を評価した。線形回帰分析にてロタウイルスの季節性を指し示す可能性のある変数を同定した。 主な結果は以下のとおり。・世界6大地域の状況を示す合計99件の研究報告をレビューした。・国の所得レベルが低レベルまたは低~中レベルの国では、高レベルの国よりも、ロタウイルス胃腸炎が年間を通して発生しているとのエビデンスが顕著であった。・所得が高レベルの国では、ロタウイルス胃腸炎は季節性である可能性が高かった。・国の発展レベルは、地理的な位置や気候よりも、季節性の強さを示す有意な予測因子であった(p=0.001)。・一方で、地理的、緯度、開発程度が同程度の国でも、ロタウイルス胃腸炎について明確に異なる季節性パターンがみられ、ロタウイルス胃腸炎の季節性のバリエーションについて、単一の統一された見解を示すことのできる可能性は低いと思われた。・以上の結果を踏まえて著者は、「さらに、異なる設定のもと、季節性パターンにおけるロタウイルスワクチン接種の効果について研究を進めることで、ロタウイルス胃腸炎の世界的な季節性を指し示す因子の解明に寄与する可能性がある」と結論した。

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学校および地域社会におけるインフルエンザウイルスの伝播(日本臨床内科医学会シンポジウムより)

日本臨床内科医会インフルエンザ研究班 副班長 川崎市 廣津医院 院長 廣津伸夫氏インフルエンザウイルスの広がりを知る事は、インフルエンザの流行を阻止するためには非常に重要である。そこで、学校が地域に及ぼす影響、学校における出席停止措置、学級閉鎖のあり方について述べる。インフルエンザの広がりインフルエンザの広がりをみるために、パンデミックシーズンにおけるインフルエンザの流行パターンを、川崎市医師会で行った同年の第21週(5/8)~第43週(10/20)の罹患者全例把握事業のデータから考察する。まず夏期休暇中に成人での流行が起こっているが、これは地域の流行にはつながっていない。学校が始まる第36週から小・中学生を中心に流行は拡大し、第41週に同年齢層の流行はピークを迎え、第42週には終息に向かっている。しかし、成人層ではさらに増加傾向にあった。このデータから、成人がインフルエンザウイルスを家庭に持ち込み、家庭内で子供に伝播し、その子供が学校で拡散し、拡散したウイルスが再び成人に還元されて社会に流行が広がるというパターンがとらえられる。この傾向は、川崎市全体でも、地域ごとの状況をみても同様である。地域でのインフルエンザの広がりには"集団"が大きな影響を及ぼす。地域における"集団"としての性格が大きいのは、小・中学校である。地域での流行パターンは画一化していても、小・中学校単位での感染状況は異なり、個々の学校の流行が、その学校が属する細かな地域の流行に影響することも明らかになっている。学校における出席停止措置文部科学省は学校保健安全法により、出席停止期間を解熱後2日間とすることを1958年から定めていた。この基準が本年4月から改訂され、インフルエンザ発症後5日間を出席停止とし、加えて幼稚園については解熱後の停止期間を2日間から3日間とした。その理由は、ラニナミビル(イナビル)などの新たな抗インフルエンザ薬の登場により治療後2日程度で解熱するケースが増えたものの、その期間ではウイルスが体内に残存し、ウイルスを持ったまま学校に行くリスクが残るためというものである。しかしながら、実際の学校での調査データでは、病欠日数と罹患率はまったく相関しなかった。そこで出席停止期間の決定に関し、家庭内感染の調査で得たウイルス残存率の結果と実際の学校での調査データから考察した。ウイルス残存は治療の有無、治療開始の時期、治療効果、また、治療効果が異なる年令の違いによって大きく影響を受ける。ところが、解熱からウイルス消失までの期間は、治療・年齢を問わず一定であることがわかった。このことから、出席停止期間は解熱時間を基準に決定することが望ましいと考えられる。出席停止日数については、ウイルス残存率の成績から、解熱後2日間後であっても良いと考えられ、実際の学校での調査からも、2日間の出席停止期間を守った児童からのインフルエンザの感染はほとんどない事が確認されている。行き過ぎた対応は患者さんのためにならず、家族ひいては社会に過度な負担を強いる事になる。出席停止の基準は必要最低限にとどめるべきであり、再度検討される事が望ましいと思われる。学級閉鎖のあり方について学級閉鎖の開始時期と閉鎖期間についての合意は得られておらず、閉鎖措置は多くの学校で取られているものの、そのほとんどが感染規模の縮小という本来の目的を達成していない。そこで、学級閉鎖措置について、調査データをもとに構築した再現性の高いインフルエンザ伝播モデルと、実際の小学校の調査結果により検討した。伝播モデルでは、学級閉鎖を開始する基準になる集団罹患率を5、10、15、20%に設定し、それぞれ閉鎖期間の違いによる感染者数をシミュレーションした。その結果、罹患率10%で学級閉鎖を行った場合、閉鎖期間1日での感染者数は46%、2日間では37%、3日間では32%と閉鎖期間を長くするにしたがって人数は減少した。しかし、閉鎖期間4日間以上では期間を長くしても感染者数はほとんど変わらなかった。つまり、伝播モデルからは、集団の罹患率10%で3日間の学級閉鎖という組み合わせが浮かび上がった。また、実際に各学校での学級閉鎖の状況をみてみると、罹患数が多くなってから閉鎖を行っている学級では流行を抑えきれていない。(学級人数の約10%にあたる)3名休んだところで閉鎖をした学級では流行の拡大はなかった。このように、伝播モデルを用いた結果からも実際の学校での調査からも、集団の罹患数が10%となったところで3日間の学級閉鎖を行うことでインフルエンザの流行は抑えられるのではないかと考えられた。

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インフルエンザ流行の立ち上がりをSHARE…MLインフルエンザ流行前線情報DB

MLインフルエンザ流行前線情報DB http://ml-flu.children.jp(以下ML-flu)は医師が参加するメーリングリスト(以下ML)で有志を募り、インフルエンザ症例をインターネット上のデータベースに自主的に報告し、日本全国および各地のインフルエンザの流行を迅速に周知するプロジェクトであり、2000-01シーズンから13シーズン運用している。多忙な臨床の傍ら、プロジェクトを発足させ、現在も運営業務を行っている西藤成雄氏にプロジェクト発足の経緯と現状を聞いた。MLインフルエンザ流行前線情報DB開始の経緯従来から国立感染症研究所では流行状況を把握するため各地域の医療機関の定点観測による感染症発生動向調査週報(以下IDWR)を配信していますが、その集計結果が診療現場に届くには10日から2週間ほど要しています。感染症の流行阻止には早期の対策が重要であり、インフルエンザのような立ち上がりの早い感染症では課題を残していました。そのような中、2000年に国立感染症研究所感染症情報センターの砂川富正先生はML上でインフルエンザ症例を報告して流行情報を共有しようと呼びかけられました。時代はWeb拡大の折、MLを通じて診療の情報交換を行うようになっていました。インフルエンザ診療においては、迅速診断キットや最初の抗インフルエンザ薬アマンタジン(シンメトレル)が発売され、大きな転換期を迎えていました。当時は、国立感染症研究所のサーベイランスも臨床的診断であり、砂川先生のインフルエンザ迅速診断を用いた症例報告の提案は確実なインフルエンザの検出状況を共有できる素晴らしいものでした。砂川先生の呼びかけに対し小児科医が報告しだしましたが、当初は毎日報告された症例を、砂川先生が夜間に集計して公開するというものでした。そのやり取りをみていて、報告数が増え数百件というレベルになると対応できなくなるので、それに特化したwebデータベースを作りませんかと私から提案させていただきました。当時開発していたオンライン喘息日誌を応用してインフルエンザの広がりがわかるよう日本地図に表示し、喘息日誌のゾーン分けに習い流行数に応じた色分けを盛り込み、岐阜県医師会で運用されていたインフルエンザWebサイトを参考にして、直接webページに入力し自動的に集計されるシステムを作りました。画像を拡大するML-fluのトップページ日本地図に色分けされた流行情報が表示されるhttp://ml-flu.children.jp/こうしたユニークさのためか、提案はすぐに受け入れられました。そして、データベースが完成したのち、砂川先生を通し有志医師に登録を呼びかけていただきました。呼びかけは日本小児科電子メールカンファレンス(JPMLC) (代表:日本大学医学部社会医学系医療管理学分野 根東義明 先生)、小児科フリートークML (Ped-ft)(代表:たからぎ医院・東京都渋谷区 宝樹真理 先生)、さらに私が行っている内科医主体のFlu-DBのMLに対して行いました。小児科医MLの2つの会員数は計5,000名を超え、小児科専門医なら1/3をカバーする大きなネットワークです。2004年までは私だけでシステム開発をしていましたが、それ以降は谷口清洲先生(元 国立感染症研究所感染症情報センター第一室長)の研究班に参加させていただき、現在まで研究と開発・運営を続けてきました。ML-flu参加者・報告数の推移有志医師数はスタートから280~400名程度で運営しています、2009年が最も多く、その後は、300名程度の先生に情報提供いただいています。近年、報告件数が増えており2011-12シーズンは7万5千例以上の症例が登録されました。これは報告者一人当たりにすると年間260例以上の報告件数となります。運営を重ねていくにつれ感染症に関心が高い医師に数多く参加いただいているようです。 ML-fluはリアルタイムで流行の立ち上がりを知らせる事を大切な目的としていますので、必ずしも感染者数の定量性は、正しいとは考えておりませんでした。しかし、自主的に報告するML-fluが実際の流行をどの程度正しく反映するのか調査してみました。ML-fluの報告推移とIDWRの報告を重ね合わせてみたところ、非常に強い相関を示すことがわかりました。ML-fluとIDWRとの報告数推移の決定係数(R2)は運用開始した2000-01シーズンから1シーズンを除き0.9以上であり、最近2シーズンは0.99以上となっています。画像を拡大するML-fluとIDWRのデータの相関は高いML-fluの機能・特徴まず日本の全国集計がリアルタイムで見られることが大きな特徴です。これは短い期間で感染が拡大するインフルエンザにとっては非常に有効です。また、集められたデータを様々な断面で分析できることも特徴だといえます。報告数推移、タイプ(A/B)別割合、男女比、年齢分布、薬剤の使用割合などがわかります。報告数推移については直近3ヵ月、1ヵ月、2週間のデータが得られ、リアルタイムで流行の傾向を把握することができます。また、全国集計だけではなく、地域別集計地域も行っており、47都道府県のすべてが集計・分析されているとともに、各都道府県の市町村レベルの情報も地図とグラフで表されます。上記はML-fluに参加しなくても得られる機能ですが、参加登録する事によって有志医師には、より多くのメリットが得られます。参加登録するには、前述のJPMLC、 Ped-ft、Flu-DBのMLに参加します。参加いただくと報告用のURLやパスワードが送られて、ウイルス分離状況、ワクチン接種状況に加え、登録されたすべての症例の詳細が閲覧できます。また、ユニークなサービスとしてMyData機能があります。これは症例報告した有志医師ごとにアカウントを設けて、ご自身が登録した症例がすべてご覧になれるというもので、自施設のインフルエンザの報告数推移やタイプ別の分析など全国集計と同じ分析が可能です。つまり、自施設のインフルエンザ診療が統計処理されたデータとして得られる訳で、診療における強力なツールとなると思います。データはExcel形式でダウンロードできるので、臨床の分析や研究に利用できます。自施設の検出状況をランダムパスを発生させたURLに表示も可能で、自施設のホームページからリンクを張り、インフルエンザの検出状況として通院される患者さんに周知する、といった利用も可能です。また、メールによる集計結果の配信が日・週単位で届きます。ここには報告例数の他に、感染症関連のトピックスが配信されています。このように、私自身が臨床を行っているなかで、欲しいと思う機能はすべてMyDataという機能に実装しました。画像を拡大するML-fluのデータはXMLで書き出すことが可能である今までの活動の中で役に立ったエピソード09-10シーズンはGW明けから、ML-fluでA型の割合が急増していました。新型インフルエンザの早期察知かと思ったのですが、調べてみるとA/香港型による学級閉鎖など季節性インフルエンザの報告によるものでした。早期察知はできなかったももの、新型インフルエンザを本邦で最初に報告した医師は、プロジェクトの有志であり、その症例はML-fluに登録されていました。手軽に報告できる機能や1年を通したリマインドが、発見後すぐの報告をもたらしたエピソードだと思います。また、ML-fluによって未知のインフルエンザの振る舞いが把握できました。未知の感染症では、臨床症状、重症度なども分かりません。これらに対応するためには、定型の入力フォームを事前に準備することはできません。そこでML-fluでは症例入力ページを通常症例(軽症例)と特異症例(重症例)に分け、重症例を文章で書き込むというシステムにしていました。ML-fluには感染症に関心が高い臨床医が多く、その先生方の重症例報告とそこに書き込む文章は多くの情報を提示してくれます。H1N1pdm09感染が主だった09-10シーズンは重症例数をみると、過去のシーズンに比べ重症例の報告が圧倒的に多いことがわかりました。インフルエンザ1000件当たりの重症例の件数は1.82件、前年は 0.22件だったので約9倍重症例が多かったことになります。ちなみに、翌年は0.82件と平年通りになっています。つまり、H1N1pdm09は重症度が高かったということが把握できたのです。とはいえ、一人の臨床医にすると、重症例の印象は年間1例入院が出たかな?という小さなものです。それが数万という症例情報が入る事で違いが分かるのです。また、症状について重症例報告の書き込みからキーワードを分析してみると、09-10シーズンでは呼吸器症状に関する記載が他シーズンよりも特異的に高いということもわかりました。このように重症度や臨床症状といった新型インフルエンザの振る舞いを捉えていくことができたのも一つのエピソードです。ML-fluの今後の上手な活用方法ML-fluでは各都道府県のデータも市町村単位で集計表示されます。地域単位で参加していただければ、すぐにでもその地域の流行状況を共有することができます。都道府県・市町村にインフルエンザのローカルサーベイランスがない場合など、ご活用いただたくのもよい方法だと思います。ML-fluにはXMLによる生データ書き出し機能も備えておりますので、流行状況をご自身のwebサイトに表示していただくこともできます。また、前述のようにMyDataを活用し自分のサイトに自院のデータを掲示するのもよいでしょう。ご自身の医療機関におけるインフルエンザの検出情報は、患者さんにとって最も身近で確かなインフルエンザの流行情報となります。とはいえ、日集計を読んで流行情報を臨床に役立てていただくだけでも立派な活用だと考えております。視聴者の先生へメッセージ有志の先生が多いほど、より流行を正確に提供できます。また地域の偏りを無くすためにも、一人でも多くの有志の先生を募集しております。インフルエンザの流行の立ち上がりを知らせ合う事はもちろんですが、「これはもしかすると」ということを知らせあう事もとても大事です。専門外の先生方にも気軽に参加していただければと思います。現在、オンラインサーベイは乱立の状態です。各ローカルサーベイもにXMLを盛り込んでいただければ、データ連携が実現し、各都道府県の生データを集めて一晩で全国集計を出すことも可能です。実際、石川県のローカルサーベイランスと連携しており、石川県のローカルサーベイに入力すると同時にML-fluに記録される仕組みが成立しています。将来的には、感染症情報交換規約を作って各都道府県のローカルサーベイと連携をしていければと考えています。オンラインサーベイランスの展望ML-fluのシステムはさらに、RSウイルスオンラインサーベイや百日咳発生データベースなどに転用されている。そのような中、西藤氏はITによる感染症サーベイランスの「症候群サーベイランス」としての可能性を期待している。そして、Ml-fluで文字の情報からインフルエンザ情報が把握できることが明らかになったことから、新たなインフルエンザサーベイランスとしてツイッター「tweetflu」http://tweetflu.jpを立ち上げた。これは、twitter機能を利用して"インフルエンザ"が含まれるツイートを取り出すものである。患者さんがそのまま入力するため、医師の入力というタイムラグがない。まさにリアルタイム集計といえる。このサイトでは、ツイートを全国集計し、日本地図上で流行の分布を、そしてツイート数に応じた色分けで流行の度合いを表わしている。さらに、時系列グラフで流行の傾向をも把握できる。ツイート数の集計データも、厚生省の報告と相関のあるML-fluと相関しているという分析データもある。この新しい試みの展開に期待したい。「tweetflu」http://tweetflu.jp

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少量、安全接種が可能な貼付パッチ式のロタウイルスワクチンの可能性

 米国疾病予防管理センター(CDC)のSungsil Moon氏らは、極微針パッチ(microneedle patch)を用いた皮下注射による、ロタウイルスワクチン予防接種の可能性についてマウスを用いた試験で検討を行った。皮下注予防接種(skin immunization)は天然痘や結核など多数の感染症で効果が認められているが、接種が難しい。一方、極微針パッチは、貼付式で接種が容易であり、その点で有望視されている。Vaccine誌オンライン版2012年11月19日号の掲載報告。 研究グループは、不活化ロタウイルス・ワクチン(IRV)の皮下ワクチン接種において、接種容易な極微針(MN)パッチの活用についてマウス試験で評価(接種効果と投与量)を行った。 6グループのメスの純系BALB/cマウスを対象に、5μgまたは0.5μgのIRVをコーティングしたMNパッチ、または各量IRVを筋肉内注射によりそれぞれ1回接種を行った。その後、0日、10日、28日時点で採血を行った。 主な結果は以下のとおり。・ロタウイルス特異的IgGは、MNパッチ群、筋肉内注射群いずれも、時間の経過とともに血清内レベルが上昇した。・IgG値と中和活性は、筋肉内注射群よりもMNパッチ群で概してより高かった。0.5μg MNパッチ群は、5μg筋肉内注射群とIgG上昇についてはほぼ匹敵、またはより高く、投与量が節約できることを示した。・陰性対照である無抗原のMNパッチを貼り付けたマウスでは、いかなるIgGをも有していなかった。・MNパッチによる予防接種は、筋肉内注射によるものと同程度以上の効果があり、脾臓由来樹状細胞の免疫誘導が示された。・試験によって、MNパッチでは筋肉内注射よりも少ない量のIRVで免疫を得られる可能性が示された。MNパッチは、世界中の子どもが、より安全で効果的なロタウイルスワクチンを受けるための開発戦略として有望視される。

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アレムツズマブ、再発寛解型多発性硬化症の再発を抑制:CARE-MS I試験/Lancet

 活動性の早期再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の治療において、アレムツズマブ(alemtuzumab:国内未承認)はインターフェロンβ1aに比べ再発を有意に抑制するが、障害の集積の抑制効果には差がないことが、米国・クリーブランド・クリニックのJeffrey A Cohen氏らが行ったCARE-MS I試験で示された。ヒト化抗CD52モノクローナル抗体であるアレムツズマブは、血中のTリンパ球およびBリンパ球を枯渇させ、結果としてその再生を促すことで効力を発揮すると考えられる。未治療RRMSを対象とした第II相試験では、その疾患活動性の抑制効果が確認されている。Lancet誌2012年11月24日号(オンライン版2012年11月1日号)掲載の報告。アレムツズマブの有用性を無作為化第III相試験で評価 CARE-MS I(Comparison of alemtuzumab and Rebif Efficacy in Multiple Sclerosis)試験は、未治療の活動性RRMSに対するアレムツズマブの有用性を、インターフェロンβ1aとの比較において評価する無作為化対照比較第III相試験。 対象は、18~50歳、McDonald診断基準(2005年)を満たし、総合障害度スケール(EDSS)3点以下で、MRIで脳病変が確認された未治療のRRMSとした。これらの患者が、アレムツズマブ(12mg/日、ベースライン時に1日1回5日間、12ヵ月後に1日1回3日間)を静注する群またはインターフェロンβ1a(用量漸増後、44μg、週3回)を皮下注する群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、再発率と6ヵ月後の障害の持続的集積の複合エンドポイントとした。再発は、48時間以上持続するMSに起因する神経症状の新規発現または増悪とした。障害の持続的集積は、6ヵ月後のEDSSで1点以上の上昇と定義した。再発率が54.9%有意に改善、障害の持続的集積は30%改善したが有意差なし 2007年9月7日~2009年4月17日までに16ヵ国101施設から581例が登録された。アレムツズマブ群に386例、インターフェロンβ1a群には195例が割り付けられ、それぞれ376例(97%)(平均年齢33.0歳、女性65%)、187例(96%)(同:33.2歳、65%)が解析の対象となった。 アレムツズマブ群の再発率は22%(82/376例)であり、インターフェロンβ1a群の40%(75/187例)に比べ54.9%有意に改善された[イベント発生の率比:0.45、95%信頼区間(CI):0.32~0.63、p<0.0001]。Kaplan-Meier法による2年無再発率は、アレムツズマブ群が78%と、インターフェロンβ1a群の59%に比べ有意に良好だった(p<0.0001)。 障害の持続的集積は、アレムツズマブ群が8%(30/376例)と、インターフェロンβ1a群の11%(20/187例)よりも30%改善したが、両群間に有意な差はなかった[ハザード比(HR):0.70、95%CI:0.40~1.23、p=0.22]。 アレムツズマブ群の90%(338/376例)に注射関連反応がみられ、そのうち3%(12/376例)が重篤と判定された。感染症がアレムツズマブ群の67%(253/376例)、インターフェロンβ1a群の45%(85/187例)にみられたが、ほとんどが軽度~中等度だった。ヘルペスウイルス感染症(主に皮膚ヘルペス)が、それぞれ16%(62/376例)、2%(3/187例)に認められた。 2年間で甲状腺関連の有害事象がアレムツズマブ群の18%(68/376例)、インターフェロンβ1a群の6%(12/195例)にみられ、アレムツズマブ群では免疫性血小板減少が1%(3/376例)に発現した。アレムツズマブ群の2例は甲状腺乳頭がんを発症した。 著者は、「アレムツズマブの一貫性のある安全性プロフィールと再発抑制におけるベネフィットは、未治療のRRMS患者への使用を支持するものだが、以前の試験で認められた障害の抑制に関するベネフィットが今回は確認できなかった」と結論し、「アレムツズマブの重篤な有害事象のリスクは適切なモニタリングで管理でき、治療可能である。アレムツズマブはRRMS治療において実質的に有効であり、有害事象とのバランスを考慮して使用すべきである」と指摘する。

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インフルエンザの流行状況とワクチン、抗インフルエンザ薬の有効性について(日本臨床内科医学会シンポジウムより)

日本臨床内科医会インフルエンザ研究班 班長 岐阜市河合内科医院 院長 河合直樹氏日本臨床内科医会では、インフルエンザ研究班を組織し、全国の会員による多施設共同試験を2000-01シーズンから行っている。今回は昨シーズン(2011-12年)の結果を発表する。インフルエンザの流行状況インフルエンザ流行は毎年のようにドラスティックな変化を起こしている。当研究会班で調査している過去10シーズンをみると、A型が流行し、少し後にB型が流行するのが典型的なパターンである。2004-05シーズンや2006-07シーズンはA・B 両型が同時流行し、2009-10のパンデミックシーズンでは季節外れの時期に流行したが、最近の2010-11、2011-12シーズンは冬季にA型が流行し、その後B型が流行する典型的パターンに戻っている。A型亜型の流行をみると、2006-07シーズンまではほとんどがH3N2(香港型)であった。しかし、2007-08シーズンはH1N1 (ソ連型)が大流行し、翌2008-09シーズンには、このH1N1 (ソ連型)のほとんどがH275Y変異によりオセルタミビル(タミフル)耐性となっている。そして、2009-10シーズンはH1N1 (ソ連型)に代わりH1N1pdm09(パンデミックウイルス)がすべての年齢層で流行した。H1N1pdm09の流行はその後も続くと予想されたが、翌2010-11シーズンにはH3N2が復活し、H1N1pdm09、H3N2、B型の混合流行となった。昨シーズン(2011-12)はH1N1pdm09が姿を消し、H3N2に置き換わった形となり、H3N2とB型の混合流行となった。図:Key Note Lecture 12ページ 「インフルエンザの型・亜型別内訳」参照このH3N2はすべての年代で前シーズンより増えている。また、H3N2の高齢者層の罹患が過去2シーズン(09-10、10-11)のH1N1pdm09やH3N2よりも増加し、昨シーズンのH3N2罹患者における60歳以上の比率は13.5%と非常に高くなっている点は注目すべきである。すでにH3N2ウイルスに何回もさらされているはずの高齢者層での流行、ワクチンの有効性の低さを考えると、H3N2はこの数年で連続変異が進んでいる可能性がある。B型については、国立感染症研究所のデータによれば、ここ数年Victoria系統が流行していたが、昨シーズン(2011-12)は山形系統が増えてきている。インフルエンザワクチンの発症予防効果本邦のインフルエンザワクチンの発症予防効果については疑問を唱える説もあるが、われわれ臨床家としては予防効果を期待したいところである。当研究班では、過去11シーズン臨床現場におけるワクチン接種の有無によるインフルエンザの発生率を前向き調査している。調査開始後の数シーズンは、接種群において有意に発症が少なかった。2009-10シーズンでは、H1N1pdm09単価ワクチンが、患者の多かった19歳以下で有意に良好な効果を示している。また、2010-11シーズンの3価ワクチンも、H1N1pdm09の比率が高かった成人層で高い効果を示している。昨シーズンは成人層で大きな有効性は確認されていないが、未成年では接種群で発症が少ない傾向がみられているのは、臨床現場としては救いである。研究班ではまた血清HI抗体価によるワクチンの有効性について検討している。これはワクチン接種により、HI抗体価が40倍以上の感染防御水準に被接種者の何%が達するかを調査するものである。2011-12シーズンではH1N1、H3N2とも接種後の40倍以上の抗体価保有率は良好(各々81.5、97.0%)であったがH3N2については、接種前すでに同抗体価保有率は83%あり、ワクチン接種による効果は限定的と思われた。一方、B型はいずれのシーズンでもA型に比べ、接種により感染防御機能水準に達する割合は低く、その傾向は昨シーズンも同様であった。ワクチン株と臨床株の抗原性の差が生じていないか、ここで問題となるのはワクチンのマッチングである。昨年まで使われたH3N2のA/ビクトリア/210/2009株については、マッチングが良好でない旨がすでに関係方面から発表されており、これが現実となった可能性もある。2012-13シーズンではH3N2はA/ビクトリア/361/2011株に変わっている。B型に流行を反映し、山形系統に入れ替わる。今回の株の変更でワクチンの効果が戻る事を期待したい。抗インフルエンザ薬の効果当研究班での昨シーズンの抗インフルエンザ薬の使用状況をみてみると、9歳以下ではオセルタミビルが過半数、ザナミビル(リレンザ)も増えておりラニナミビル(イナビル)も一部使われている。10歳代では原則としてオセルタミビルはハイリスク以外使えないため、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル(ラピアクタ)という使用頻度である。20歳以上ではオセルタミビル、ラニナミビル、ザナミビルの使用頻度が高く、ペラミビルも使われている。解熱時間をみるとH3N2については、いずれの薬剤でも27~28時間であり、薬剤間でほとんど差がない。H1N1ソ連型のH275Y変異による耐性のため2008-09シーズンにオセルタミビルの小児での解熱時間が延びたものの、その後H1N1(ソ連型)は消失しH1N1pdm09となったことによりオセルタミビルの有効性は戻ってきている。B型での解熱時間は、いずれの薬剤においてもA型よりも長く、31~38時間であった。また、年齢層別にみると、いずれの薬剤においても成人に比べ15歳以下で長い傾向となる。新種ブタH3N2vインフルエンザ新しい情報としては、現在米国で散発的に発生している新種のブタH3N2vインフルエンザがある。今のところブタからの直接感染のみ認められている。ウイルス学的にはヒトのH3N2とは異なるが、H1N1pdm09の遺伝子を一部持っているので今後の動向に注意が必要であるとされている。そのほか、症状は季節性とほぼ同様、迅速診断キットは有用だが偽陰性もみられA型季節性との鑑別できない、季節性ワクチン無効、NA阻害薬オセルタミビルやザナミビルは有効、10歳以下の小児はこのウイルスの免疫を持っていない、などの特徴がある。最近のデータでは306例ほど罹患し、死亡例が9月に入って1例発生したと報じられている*。*シンポジウム開催日(2012年10月7日)現在直近のインフルエンザ流行状況をみると、H3N2、H1N1pdm09、B型といろいろな型が流行し、シーズンによってその様相は大きく変わる。日本ではH1N1pdm09はほぼ消えているが、国外ではまだ流行している地域もある。このように多くの要素があり、来たるシーズンどのような流行になるのか予想は難しい。さらに、米国での新たなH3N2v出現など、今後ともインフルエンザの流行状況からは目を離すことはできないであろう。

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ロタウイルスワクチンの効果について41試験をレビュー

 英国・Enhance Reviews社のKarla Soares-Weiser氏らは、ロタウイルス下痢症予防に用いられているロタウイルスワクチン接種介入試験の系統的レビューを行った。評価は、現在承認されている、単価ワクチン(RV1、商品名:ロタリックス)、5価ワクチン(RV5、商品名:ロタテック)と、中国のみで使用されている蘭州ラムロタウイルスワクチン(LLR、蘭州生化学製品研究所製)を対象として行われた。Cochrane Library 2012年11月14日の発表報告。 MEDLINE(PubMed経由、1966年~2012年5月)、Cochrane Infectious Diseases Group Specialized Register(2012年5月10日)、CENTRAL(Cochrane Library 2012年5月発表)、などにより文献検索を行い、小児を対象としたワクチン接種とプラセボ(または非接種あるいは他のワクチン接種)とを比較している無作為化試験(RCT)を選択した。 2人のレビュワーが個別に試験適格の評価、データ抽出、バイアスリスク評価を行った。リスク比(RR)、95%信頼区間(CI)を利用して二分データを統合し、小児死亡率による解析を階層化し、GRADEにてエビデンスの質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たしたのは41試験(被験者総計18万6,263例)で、そのうち29試験(同10万1,671例)がRV1を、12試験(同8万4,592例)がRV5を評価したものであった。LLRについては適格試験がみつからなかった。[RV1接種1歳未満児について]・小児死亡率の低い国では、重症ロタウイルス下痢症の86%が予防された(RR:0.14、95%CI:0.07~0.26、被験者4万631人・6試験、エビデンス高)。すべての原因による重症下痢症エピソードの予防は、ラテンアメリカとフィンランドにわたる大規模多施設試験1試験から、40%と思われる(同:0.60、0.50~0.72、1万7,867例・1試験、エビデンス中)。・小児死亡率の高い国では、重症ロタウイルス下痢症の63%が予防されたと思われる(同:0.37、0.18~0.75、5,414人・2試験、エビデンス中)。すべての原因による重症下痢症エピソードの予防は、マラウイと南アフリカでの1試験から、34%であると思われる(同:0.66、0.44~0.98、4,939例・1試験、エビデンス中)。[RV1接種2歳児まで]死亡率の低い国では、重症ロタウイルス下痢症の85%が予防された(RR:0.15、95%CI:0.12~0.20、被験者3万2,854人・8試験、エビデンス高)。すべての原因による重症下痢症エピソードの予防は、37%であると思われる(同:0.63、0.56~0.71、3万9,091例・2試験、エビデンス中)。・死亡率の高い国では、マラウイと南アフリカでの1試験から、重症ロタウイルス下痢症の42%が予防されたと思われる(同:0.58、0.42~0.79、2,764人・1試験、エビデンス中)。すべての原因による重症下痢症エピソードの予防は、18%であると思われる(同:0.82、0.71~0.95、2,764例・1試験、エビデンス中)。[RV5接種1歳未満児について]・死亡率の低い国では、重症ロタウイルス下痢症の87%が予防されたと思われる(RR:0.13、95%CI:0.04~0.45、被験2,344人・3試験、エビデンス中)。すべての原因による重症下痢症エピソードの予防は、フィンランドでの1試験から、72%であると思われた(同:0.28、0.16~0.48、1,029例・1試験、エビデンス低)。・死亡率の高い国では、重症ロタウイルス下痢症の57%が予防された(同:0.43、0.29~0.62、5,916人・2試験、エビデンス高)。しかし、すべての原因による重症下痢症エピソードついては、データが不十分であった。[RV5接種2歳児まで]・死亡率の低い国についてのデータがあったのは、4試験であった。3試験から、重症ロタウイルス下痢症の予防は82%と思われた(RR:0.18、95%CI:0.07~0.50、被験3,190人・3試験、エビデンス中)。1試験(フィンランド)から、すべての原因による重症下痢症エピソードについて、96%が予防可能であることがわかった(同:0.04、0.00~0.70、1,029例・1試験、エビデンス低)。・死亡率の高い国では、重症ロタウイルス下痢症の41%が予防された(同:0.59、0.43~0.82、5,885人・2試験、エビデンス高)。すべての原因による重症下痢症エピソードの予防は、15%であった(同:0.85、0.75~0.98、5,977人・2試験、エビデンス高)。・ワクチンの死亡に対する効果のエビデンスはなかった(18万1,009例、34試験、エビデンス低)。ただし同エンドポイントの検出力はなかった。・重篤な有害事象は、RV1について4,565例(9万9,438例中)、RV5は1,884例(7万8,226例中)で報告された。・腸重積症の報告例は、RV1接種後58例(9万7,246例中)、RV5は34例(8万1,459例中)であった。・重篤な有害事象、とりわけ腸重積症については、RV1またはRV5接種群とプラセボ群で有意な差はみられなかった。・RV1、RV5はロタウイルス下痢症のエピソードを予防する。ワクチンの効果は、死亡率の高い国では低かったが、疾患負荷が高いためであり、絶対的なベネフィットは高い。腸重積症を含む重篤な有害事象のリスク増加は検出されなかったが、導入後サーベイランスはワクチン関連のまれなイベントを検出するためにも必要である。

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小児と成人の季節性インフルエンザワクチン有効率は解析因子で変化

 小児と成人(高齢者を除く)への季節性インフルエンザワクチンの有効性と、その有効性を規定する因子について検証した結果、有効率の推定は、ワクチンのタイプ(弱毒生、不活化)、接種年齢(小児、成人)、ワクチンとウイルス株の適合度、インフルエンザのタイプ、症例確認の手法といった因子次第で変わることが明らかにされた。インフルエンザワクチンの真の有効性レベルについては議論の的となっており、その推定には多くの因子が影響をもたらす可能性があり、米国・Sanofi PasteurのCarlos A Diazgranados氏らがメタ解析にて検証した。Vaccine誌2012年11月7日号の掲載報告。 解析は、小児と成人(高齢者除く)のインフルエンザワクチン予防接種の効果を評価すること、およびワクチンのタイプ、年齢、ウイルス株の適合度、インフルエンザのタイプ、症例確認法のワクチン推定有効率への影響を調べることを目的とした。 2011年10月時点のMedlineとEmBaseを検索し、関連論文の参考文献についてもレビューを行い、季節性インフルエンザワクチンの評価と検査確認されたインフルエンザ発生率を示していた対照試験を適格とした。実験的なチャレンジ後に有効性を評価しているもの、複製データが認められた試験、グループランダム化試験、特定年齢を対象とした試験は除外した。 ワクチンのインフルエンザ予防に関する有効性は、Mantel-Haenszelリスク比(RR)で算出し、ランダム効果モデルを用いて評価した。各比較群のワクチン有効性は、[(1-RR)×100]にて算出した。 主な結果は以下のとおり。・1つ以上の分析が行われていた30試験(計101の分析含む、被験者8万8,468例)が解析に組み込まれた。解析のエビデンスについての不均一性は49%であった。・ワクチンの有効性は、あらゆるウイルス株に対しては65%であり、適合したウイルス株に対しては78%、非適合ウイルス株に対しては55%であった。・弱毒生および不活化ワクチンのいずれもが、非適合ウイルス株に対する予防効果は低かった(それぞれ60%、55%)。・小児においては、弱毒生ワクチン接種のほうが不活化ワクチン接種よりも良好であった(80%vs. 48%)。一方、成人では、不活化ワクチンのほうが弱毒生ワクチンよりも良好であった(59%vs. 39%)。・非適合ウイルス株に対する有効性について、インフルエンザA型(69%)と、インフルエンザB型(49%)では大きな差(20%)があった。・ワクチン有効率の推定は、疾患確認を培養法をベースに行った場合、最も高かった。

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Dr.岩田の感染症アップグレード―外来シリーズ―

第5回「気分はトラベル!楽しい旅行医学」第6回「外来の最難関 ST I に挑戦 !」第7回「知らないではすまされない ! H I Vの基礎知識」 第5回「気分はトラベル ! 楽しい旅行医学」感染症というと、難しい疾患名や細菌名、ややこしい治療法など“頭が痛くなることばかり”と言う方も多いと思いますが、そんな中、楽しくできる感染症学が「旅行医学」です。大学では教えていないので、日本ではまだ未熟な分野ですが、日本人の行動範囲がどんどん世界に広がり、昔と違い発展途上国に旅行する人も飛躍的に増えているため、ますます重要になっていく分野だと岩田先生は考えています。これからはすべてのプライマリ・ケア医に必要な知識なのです。旅行前のカウンセリングの仕方、予防接種や予防薬の考え方、また旅行後の注意などを詳しく解説します。第6回「外来の最難関 ST I に挑戦 !」性行為感染症、いわゆるSTIが日本では近年増加し、問題になっています。「ウチは内科だから診ることはない」「専門医に紹介するからプライマリ・ケアでは関係ない」などと言っていられる時代ではなくなってきたのです。例えば腹痛で来た患者さんが、若い女性であればPID(骨盤内炎症性疾患)などのSTIも頭に入れて鑑別しなければいけません。内診や生殖器の診察技術も最低限身に付けておきたいものです。また、デリケートな問題だけに、患者さんの心理面を考えたり、予防や再発の防止のために性教育も考慮しなければいけません。そこで、プライマリ・ケアでSTIを診るときの大原則を伝授します。また梅毒、ヘルペス、クラミジア、淋菌と言った代表的なSTIについても、その診断と治療の概略を解説します。外来の最難関STIにチャレンジしてみてください !第7回「知らないではすまされない ! HIVの基礎知識」ちょっとヘビーなこのテーマを岩田先生が敢えて外来シリーズの最終回に選んだ理由は、日本ではまだまだHIVへの関心が低く、先進国の中で唯一患者数が増加しており、プライマリ・ケアでの適切な診断と正しい性教育が急務だからです。HIV診断は専門医だけの仕事ではありません。実は、多くの患者さんが一般の病院や診療所で見つかっています。また、さらなる感染拡大を防ぐためにはプライマリレベルでの日頃の性教育が大切なのです。どんな人に検査をするべきか、また検査時の患者さんへの対応、最新の治療情報などを詳しく解説します。HIVの研究は日進月歩。知っているつもりにならず、この機会に是非最新の情報を身に付けてください !

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Dr.岡田のアレルギー疾患大原則

第4回「鼻炎」第5回「副鼻腔炎」第6回「薬物(前編)」第7回「薬物(後編)」 第4回「鼻炎」鼻炎治療は、基本治療の3段階(抗ヒスタミン薬→点鼻ステロイド→短期経口ステロイド)と2つの補助療法(点鼻抗アレルギー薬と鼻閉改善薬)をしっかりつかめば単純化されます。第4回は図表と国際的なガイドラインを用いて解説します。もちろん、くしゃみの数を数えたりする必要はありません。そこで患者さんによって違う鼻炎の主症状に応じた薬剤の選択が一目でわかる表にしました。これは必見です! また、実際の症例を用いて、種類の多い抗ヒスタミン・アレルギー薬、点鼻ステロイドを特徴に応じて使い分け、第1選択薬を例示します。ステロイドは点鼻でもちょっと…という方のために、強力ではないものの副作用の心配が少ないインタールなどの効果を最大限に引き出す工夫も紹介します。第5回「副鼻腔炎」第5回は、外来で問題となることが多い遷延性の咳嗽を、アレルギーのほかにも副鼻腔炎、胃食道逆流症、上気道感染後の気道反応性の亢進、百日咳、喘息、咳喘息、Vocal cord dysfunctionなどの鑑別診断から治療まで、症例に基づいて解説します。 また、急性細菌性副鼻腔炎の診断に役立つ、画像を使わない診断基準などを紹介。治療法の確立していない慢性副鼻腔炎に関しても、代表的な診断と治療の選択肢をそれぞれの特徴を含めて示します。 そして最後に、最近話題の自然免疫と獲得免疫に関して、単純明快な図を使用して解説。ストレスや睡眠の影響などの最新知見を含めたミニレクチャーもあります。第6回「薬物(前編)」薬物アレルギーは臨床医なら誰でも避けて通れない問題ですが、なかなか系統的に勉強する機会がないのではないでしょうか。岡田先生の著書『アレルギー疾患診療マニュアル』では薬物アレルギーについて84ページも割いています。第6回と第7回はこの中から、本当に必要なエッセンスを解説します。 前編は、アレルギーの基本である、アレルギーだった場合のの鑑別はもとより、薬物アレルギーの危険因子、抗生物質アレルギーの交差反応、再投与してよいアレルギー反応と再投与が絶対禁忌の反応について解説します。そして、局所麻酔薬アレルギーやアスピリン・NSAIDアレルギーなどのよくあるアレルギーから、稀ではあるが重篤なスティーブンス・ジョンソン症候群やDIHS(薬剤性過敏症症候群)まで、広く深く網羅してます。第7回「薬物(後編)」後編も、具体的な症例をもとに、ペニシリン系抗菌薬とセフェム系/カルバペネム系抗菌薬の交差反応、β-ラクタム系抗生物質経口減感作プロトコール、ST合剤過敏症とその脱感作療法スケジュール、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)と中毒性表皮壊死剥離症(TEN)の分類/薬剤別頻度、アスピリン喘息、COX-1とCOX-2の働き、局所麻酔薬アレルギーの検査法まで解説します。

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Dr.岡田のアレルギー疾患大原則

第8回「喘息(前編)」第9回「喘息(後編)」第10回「アトピー性皮膚炎」第11回「じん麻疹・血管性浮腫・接触性皮膚炎」 第8回「喘息(前編)」喘息の基本は、慢性の気道炎症→気道過敏症→気道狭窄→喘息発作。長期コントロールは気道炎症を抑える抗炎症剤、発作が起こってしまったら炎症がおさまるまでとりあえず気管支拡張剤で呼吸を維持するのは常識ですが、炎症を抑えるためにステップアップすることばかりでなく、副作用も無視できません。そこで、もう一歩奥に踏み込んで、アレルギー、鼻炎、GERDなどを含めた慢性炎症の原因について考えていきます。 前編では、いつもの外来ですぐに役立つ、毎回聞く6つの質問、ピークフローがどうして必須なのか、GINA2006、JGL2006の具体的な利用法、ロイコトリエン抑制剤の効果が得られやすい患者群と吸入性ステロイドを使うべき患者の特徴などを解説します。第9回「喘息(後編)」喘息の長期コントロールには気道炎症を抑える抗炎症剤を用います。しかし、患者さんから「ステロイドはちょっと…」と言われたときはどうしていますか? また折角処方しても実際使ってもらえないのでは意味がありません。後編では、吸入ステロイドの副作用に関してデータを一つひとつ示しながら、医師も患者も納得して使えるように詳しく説明していきます。 さらに、抗ロイコトリエン剤が有効な症例の選び方、アスピリン喘息の解説、喘息治療の落とし穴=Vocal Cord Dysfunctionの症例呈示に加えて、ヨーロッパで常識になってきているシングルインヘーラー療法まで紹介します。第10回「アトピー性皮膚炎」ステロイドクリームの強さの分類が、アメリカと日本とフランスでは全く違うことをご存じでしょうか。日本では5段階中2番目のベリーストロングに分類されている「フルメタ」が、アメリカでは7段階中4番目と、真ん中より下になります。このような例からも分類に固執して部位ごとに外用薬を何種類も処方したり、症状によって毎回種類を変えるのではなく、塗り方と回数を調節してみる方が効果があることがわかります。 今回は簡単なステロイドの使い方はもちろん、ワセリンが加湿剤ではなく保湿剤であることを認識した上での使い方、また、注意が必要な感染症であるとびひ、ヘルペス、真菌症などについて解説します。 できてしまったアトピーは、先ずシンプルに一度治してしまいましょう!第11回「じん麻疹・血管性浮腫・接触性皮膚炎」大人の慢性じん麻疹は、食物アレルギーに因る確率はわずか1%未満で、原因としては自己免疫、ストレス、感染症など様々な因子に関連していることが多いです。しかし、いつ、どこまで検索すればよいのか迷うことはないでしょうか。今回は、すべての原因を一つの図にして、患者さんが納得できる説明方法と実践的な治療法を紹介します。また、複雑な病態を診断する上で無意識に行っているパターン認識、Aphorism(定石集)、分析の考え方も整理します。 接触性皮膚炎は、アレルギー性と刺激性の区別を発症時間、症状、病態でひとつの表にすると鑑別が容易になります。数少ない実地臨床で高頻度に出会う「非I型(IV型)アレルギー=接触性皮膚炎」をマスターすれば、大原則の総仕上げです!

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Dr.名郷のコモンディジーズ常識のウソ

第1話「NSAIDsで胃薬を欲しがる患者さん」第2話「風邪で抗菌薬を欲しがる患者さん」特別篇「101人目の患者 〜EBMの常識のウソ〜」 第1話「NSAIDsで胃薬を欲しがる患者さん」「痛み止めのNSAIDs薬を常用している患者さんが、胃痛を訴えて来院する」というのは日常診療でよくあること。それでは・・・と惰性で粘膜保護剤を出す前に、「ちょっと待った!その処方に根拠はありますか?」と名郷先生。こういう場合、どんな薬を出すのが最も適切であると言えるのでしょうか? 前編では、主にコンクランライブラリー記載の臨床試験データを勉強し、個々の患者に最適な処方とは何かを考え、後編では、クリニカルエビデンスをもとに、臨床現場でEBMを具体的に使っていく方法を学んでいきます。「薬剤の副作用にまた別の薬剤をもって対処する」ことを求められた時、医師は一体何を考え、どのように行動すべきなのか?診療に対する考えが、更に一歩深まるはずです。第2話「風邪で抗菌薬を欲しがる患者さん」一般に感冒はウィルスに感染することによりおこり、抗菌薬は無効であると知られています。その一方で、風邪に罹った患者さんが「抗生物質」を欲しがることは非常に多く、かなりの医師が(後ろめたい気持ちを抱きつつも)実際に抗菌薬を処方しています。そこには、「もし処方せずに患者が肺炎に罹ったら大変」というリスク回避の論理が強く働いていることでしょう。本番組では、このテーマについて掘り下げ、「風邪に抗菌薬は無効」というのは本当に正しいのか?もし多少なりとも効果があるのであれば、それはどの程度のものなのか? 膿性鼻汁、水溶性鼻汁ではどうなのか?Dr.名郷が驚きのデータとともに解説していきます。特別篇「101人目の患者 〜EBMの常識のウソ〜」多くの人がEBMについて抱くイメージとは、“大規模臨床試験に基づく論文など外部の客観的情報から臨床判断を行う”というものでしょう。しかし、元来EBMのプロセスでは、先に述べた外部情報だけでなく、むしろ個々の患者にじかに接することによって得られた情報が重要で、両者を統合して臨床判断に至ることこそが求められていたはずです。この「特別篇」では、ゲストにマッシー池田先生をお招きし、「狂牛病」の話題を枕に「EBMそのもの」の常識のウソに迫ります。「100人の患者を相手にした場合、101人目の患者がいることに気がつくんですよ」と、なぞの言葉をつぶやく名郷先生。硬い脳ミソを打ち砕き、目からウロコのお話の数々!御出演の先生方と一緒に(グラス片手に)どうぞお楽しみください。

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Dr.夏井の創傷治療大革命

Dr.夏井の創傷治療大革命特典映像「激論!創傷治療の常識は非常識か !?」 Dr.夏井の創傷治療大革命「ガーゼと消毒を使った創傷治療は、患者の苦痛(=医原性・治療性疼痛)を増し、傷の回復を遅らせる野蛮な反医療行為だ!」。こう断言する夏井睦先生。夏井流創傷治療のポイントは、「皮膚の乾燥を避け、真皮や肉芽組織を残すこと」「消毒をやめて皮膚の常在菌を残すこと」。この2つを守ることで傷はみるみる治っていくのです。なぜ消毒とガーゼがいけないのかを明解にするとともに、「早く、きれいに治り、痛くない」新しい創傷治療のやり方を極めて理論的に、そしてわかりやすく解説します。擦過傷、指尖部損傷、皮膚欠損、熱傷、爪甲剥離、顔面裂傷、接触性皮膚炎ほか多数の治療例を披露します。これまでの医療行為そのものに変革を促すべく熱のこもったエキサイティングな講義を是非ご堪能ください。特典映像「激論!創傷治療の常識は非常識か!?」創傷治療は過去十数年の間に大きな転換を迎えました。しかし、最新のエビデンスや新薬情報をいち早く採り入れる先生方ですら、こと創傷治療となると迷信に基づく前近代的な治療を継続していることが少なくないとの報告があります。そこで、「創傷治療専門医」「皮膚科医」「内科医」「形成外科医」の各分野のスペシャリストがそれぞれの立場から激論を交わします。「ガーゼは、実は創傷の治癒を妨げ、疼痛をもたらし、傷痕を残す有害な存在なのか」、「細菌が傷に入ると化膿するというのは本当に正しいことなのか」、「消毒すれば細菌は死ぬのか」、「化膿した傷を消毒するのは本当に有効な手立てなのか」などをテーマに、ついルーチンに陥りがちな創傷治療をあらためて基本から問い直します。

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