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HCV1型感染に経口3剤配合剤が高い効果/JAMA

 代償性肝硬変を伴うC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型感染者に対し、経口薬のみの3剤配合錠ダクラタスビル(商品名:ダクルインザ)+アスナプレビル(商品名:スンベプラ)+ベクラブビル(beclabuvir、国内未承認)の12週間治療は、87~98%と高い割合で持続的ウイルス学的著効率(SVR)を達成可能であることが示された。これまでにインターフェロンや直接作用型抗ウイルス薬(DAA)で治療を受けた人についても、同達成率は高かったという。米国・デューク大学のAndrew J. Muir氏らが、約200例の患者を対象に行った試験UNITY-2の結果、報告した。ダクラタスビルとアスナプレビルは日本で先行発売されている。ベクラブビルは非ヌクレオシド系NS5B阻害薬である。JAMA誌2015年5月5日号掲載の報告より。4ヵ国、49施設で試験を実施 UNITY-2試験は非盲検非対照無作為化試験で、2013年12月~2014年10月にかけて、米国、カナダ、フランス、オーストラリアにある49施設で、代償性肝硬変を伴うHCV遺伝子型1型感染者を対象に行われた。被験者のうち、インターフェロンやDAAで未治療の人は112例、すでに治療を受けたことのある人は90例だった。 同グループは全被験者に対し、ダクラタスビル(30mg)+アスナプレビル(200mg)+ベクラブビル(75mg)を1日2回、12週間投与した。 被験者を遺伝子型1aまたは1bで層別化し、無作為にリバビリン(1,000~1,200mg/日)またはプラセボを併用する群に割り付けて評価を行った。 主要評価項目は、治療12週後のSVR(SVR12)だった。リバビリン投与群でSVR12は未治療群98%、既治療群93% 被験者の年齢中央値は、未治療群が58歳、既治療群が60歳で、74%が遺伝子型1a感染者だった。 SVR12は、リバビリン投与群で未治療群が98%(97.5%信頼区間[CI]:88.9~100.0)、既治療群が93%(同:85.0~100.0)だった。プラセボ群では、それぞれ93%(同:85.4~100.0)と87%(同:75.3~98.0)だった。 なお、治療に関連する重度有害事象の発生は3例、有害事象による治療中止は4例だった。 治療により現出したグレード3または4のALT上昇は4例でみられ、総ビリルビン値の上昇がみられたのはそのうち1例だった。

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ジェノタイプ2型C型慢性肝炎治療薬 ソバルディ錠が5月25日発売

 ギリアド・サイエンシズ株式会社は5月20日、ジェノタイプ2型C型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善の効果・効能で、核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害薬「ソバルディ錠400mg」を5月25日に発売することを発表した。同社にとっては日本国内で初めての製品販売となる。 ソバルディは、ジェノタイプ2型C型慢性肝炎の治療において、インターフェロンを必要とせず、リバビリンとの併用において、1日1回の12週間投与を可能とする初めての経口薬のみの治療法となる。 日本国内には、C型肝炎ウイルスに感染している患者が150~200万人いると考えられており、20~30%がジェノタイプ2型に罹患している※といわれている。これまでのジェノタイプ2型のC型慢性肝炎に対する治療は、24~48週間に及ぶペグインターフェロンの注射とリバビリンなどによる治療法が主だったが、ソバルディでは経口薬のみ12週間の治療となり、患者の服薬負担が軽減される。※出典:国立国際医療研究センター 肝炎情報センター. C型肝炎. 詳細はギリアド・サイエンシズ株式会社のプレスリリースへ

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Borrelia miyamotoiに気を付けろッ! その1【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。読者の皆さまは今年のゴールデンウイークをどのようにお過ごしになられたでしょうか? 私はゴールデンウイークの後半である現在、この原稿を書いて過ごしています(例によって締め切りを過ぎているのですッ!)。さて、この連載は「新興再興感染症の気をつけ方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。前回はSFTSの気を付け方について学んだわけですが、今回は一気にグッとマニアック度を増してBorrelia miyamotoiについて考えたいと思います。Borrelia miyamotoiとは?Borrelia miyamotoiはボレリア属の細菌です。ボレリアは、スピロヘータの一種であり、ちぢれ毛のような形態をしております(図1)。画像を拡大するボレリア属は大きく分けると、ライム病の原因となるグループと回帰熱の原因となるグループの2つに分かれます。Borrelia miyamotoiは、このうち回帰熱ボレリアに属する細菌になります。これらの2つのグループは、それぞれ異なる種類のマダニに媒介されることが知られています(例外的にシラミによって媒介される回帰熱もあります)。しかし、このBorrelia miyamotoiだけは回帰熱グループのボレリアであるにもかかわらず、ライム病グループのマダニに媒介されるという面白い特徴を持つことがわかっています。一般的な回帰熱のイメージ=中島みゆき皆さんは、回帰熱というと1989年にリリースされた中島みゆきの17作目のアルバム『回帰熱』(図2)を想起される方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで言う回帰熱は感染症の回帰熱です。中島みゆき17作目のアルバム『回帰熱』。忽那は未聴ですが、国立国際医療研究センター 総合診療科 國松淳和医師いわく、名作とのことです。なお図はイメージです(編集部注)その名のとおり、無熱期と発熱期を繰り返す、特徴的な熱型の感染症です。輸入感染症としての回帰熱は、日本ではこれまでに2例が報告されています1、2)が、どちらも不肖忽那が診断したものです(捏造ではありません!)。そう、これまで日本で回帰熱といえば輸入感染症と相場が決まっていたのです。しかし……しかし、このBorrelia miyamotoiはこれまでのボレリアとは異なり、日本にいるボレリアなのです。つまり日本でもBorrelia miyamotoiに感染するかもしれないのですッ! 回帰熱が輸入モノの時代は終わったッ! 今は国内の回帰熱が熱いんですッ!おっと……少し興奮しすぎました……。気を取り直してBorrelia miyamotoiの解説を次に続けたいと思います。病原体の由縁このBorrelia miyamotoiという名前をみて「ミヤモトイ? 宮本?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そうなんです、このBorrelia miyamotoiの名前は、日本人の宮本健司先生のお名前に由来しており、日本で発見された病原体なのであります。発見された当時はヒトへの病原性はないのではないかと考えられていたそうです。しかし、ロシアで46例のBorrelia miyamotoi感染症の症例が報告され3)、がぜん注目を集め始めました。また、2013年は米国、欧州でも症例が報告され始め、“New England Journal of Medicine”4)や“Lancet”5)といったメジャー医学誌に、免疫不全者の慢性髄膜炎というプレゼンテーションで、受診し、診断に至ったBorrelia miyamotoi感染症の症例報告が掲載されたのは記憶に新しいところです。そして、ついには病原体が発見された地である日本でもBorrelia miyamotoi感染症が報告されるに至ったのです!!盛り上がってきたところで、次回はBorrelia miyamotoi感染症の日本国内の疫学、臨床像や治療に迫りますッ!1)Kutsuna S, et al. Am J Trop Med Hyg. 2013;89:460-461.2)忽那賢志ほか. 感染症誌. 2014;88:713-714.3)Platonov AE, et al. Emerg Infect Dis. 2011;17:1816-1823.4)Gugliotta JL, et al. N Engl J Med. 2013;368:240-245.5)Hovius JW, et al. Lancet. 2013;382:658.

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帯状疱疹の新規ワクチン、50歳以上で97%有効/NEJM

 帯状疱疹ウイルス中のタンパク質gEとAS01Bアジュバントを組み合わせた新規ワクチン「HZ/su」について、50歳以上高齢者への有効率は97%で、70歳以上にも同等の効果があることが報告された。米国・GSK Vaccines社のHimal Lal氏らが、50歳以上成人1万5,411例について行った第III相臨床試験の結果、示された。すでに高齢者を対象に組み込んだ第I-II相臨床試験において、臨床的に許容できる安全性プロファイルおよび高い免疫原性が示されていた。NEJM誌オンライン版2015年4月28日号掲載の報告より。 50歳以上を年齢別に分け、無作為化 著者らは世界18ヵ国で50歳以上の1万5,411例を対象に、プラセボ対照無作為化試験を行い、HZ/suの高齢者における有効性について検討した。 被験者を年齢別に、50~59歳、60~69歳、70歳以上に分類したうえで、それぞれの年齢群で無作為に2群に分けた。一方の群にはHZ/suを2ヵ月間隔で2回接種し、もう一方の群にはプラセボを接種した。帯状疱疹罹患率、HZ/su群0.3/1,000人年、プラセボ群9.1/1,000人年 結果、平均追跡期間3.2年間中に帯状疱疹を発症した人は、プラセボ群210例(罹患率:9.1/1,000人年)に対し、HZ/su群では6例(同:0.3/1,000人年)だった。 全体的な同ワクチン有効率は97.2%(95%信頼区間:93.7~99.0、p<0.001)と高かった。 また年齢群別のワクチン有効率は、96.6~97.9%と各年齢群で有意な差はなく、70歳以上への有効性も確認された。 副作用については、接種後7日以内の注射部位反応および全身性反応の報告が、ワクチン接種群のほうが高かった。また、グレード3症状の非自発的・自発的報告がプラセボ群では3.2%だったが、ワクチン群では17.0%だった。

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耐性菌が増加する尿路感染症に有望な抗菌薬/Lancet

 複雑性下部尿路感染症や腎盂腎炎に対し、新規抗菌薬セフトロザン/タゾバクタム配合薬は、高用量レボフロキサシンに比べ高い細菌学的効果をもたらすことが、ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学のFlorian M Wagenlehner氏らが実施したASPECT-cUTI試験で示された。尿路感染症は生命を脅かす感染症の発生源となり、入院患者における敗血症の重要な原因であるが、抗菌薬耐性の増加が治療上の大きな課題となっている。本薬は、新規セファロスポリン系抗菌薬セフトロザンと、βラクタマーゼ阻害薬タゾバクタムの配合薬で、多剤耐性緑膿菌のほか、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌などのグラム陰性菌に対する効果がin vitroで確認されている。Lancet誌オンライン版2015年4月27日号掲載の報告。セフトロザン/タゾバクタム配合薬の有効性を非劣性試験で評価 ASPECT-cUTI試験は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬の高用量レボフロキサシンに対する非劣性を検証する二重盲検ダブルダミー無作為化試験。対象は、年齢18歳以上、膿尿を認め、複雑性下部尿路感染症または腎盂腎炎と診断され、治療開始前に尿培養検体が採取された入院患者であった。 被験者は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬(1.5g、8時間ごと、静脈内投与)または高用量レボフロキサシン(750mg、1日1回、静脈内投与)を7日間投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、治療終了後5~9日における細菌学的菌消失と臨床的治癒の複合エンドポイントであった。細菌学的菌消失は、治癒判定時の尿培養検査におけるベースラインの尿路病原菌の104コロニー形成単位(CFU)/mL以上の減少と定義した。また、臨床的治癒は、複雑性下部尿路感染症または腎盂腎炎の完全消失、著明改善、感染前の徴候、症状への回復であり、それ以上の抗菌薬治療を必要としない場合とした。 非劣性マージンは10%とし、両側検定による群間差の95%信頼区間(CI)の下限値が-10%より大きい場合に非劣性と判定した。また、95%CIの下限値が0を超える場合は優位性があるとした。セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の優位性を確認 2011年7月~2013年9月に、25ヵ国209施設に1,083例が登録され、800例(73.9%)が解析の対象となった(セフトロザン/タゾバクタム配合薬群:398例、レボフロキサシン群:402例)。 656例(82.0%)が腎盂腎炎で、274例(34.3%)が軽度~中等度の腎機能障害を有し、199例(24.9%)が65歳以上であった。菌血症の62例(7.8%)の原因菌のほとんどは大腸菌で、多くが腎盂腎炎患者であった。また、776例(97.0%)が単一菌感染で、629例(78.6%)が大腸菌、58例(7.3%)が肺炎桿菌、24例(3.0%)がプロテウス・ミラビリス、23例(2.9%)が緑膿菌だった。 複合エンドポイントの達成率は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群が76.9%(306/398例)、レボフロキサシン群は68.4%(275/402例)であった(群間差:8.5%、95%CI:2.3~14.6)。95%CIの下限値が>0であったことから、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の優位性が確証された。 副次的評価項目であるper-protocol集団における複合エンドポイントの達成率にも、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の優位性が認められた(83.3% vs. 75.4%、群間差:8.0%、95%CI:2.0~14.0)。セフトロザン/タゾバクタム配合薬の優位性は複雑性尿路感染症でも セフトロザン/タゾバクタム配合薬群で治癒判定時の複合エンドポイントの優位性がみられたサブグループとして、65歳以上、複雑性尿路感染症、レボフロキサシン耐性菌、ESBL産生菌、非菌血症が挙げられ、他のサブグループもレボフロキサシン群に比べ良好な傾向にあり、いずれも非劣性であった。 有害事象の発現率は、セフトロザン/タゾバクタム配合薬群が34.7%、レボフロキサシン群は34.4%であった。最も頻度の高い有害事象は、両群とも頭痛(5.8%、4.9%)および便秘(3.9%、3.2%)、悪心(2.8%、1.7%)、下痢(1.9%、4.3%)などの消化管症状であった。 重篤な有害事象はそれぞれ15例(2.8%)、18例(3.4%)に認められた。セフトロザン/タゾバクタム配合薬群の2例(クロストリジウム・ディフィシル感染)は治療関連と判定されたが、いずれも回復した。同群の1例が膀胱がんで死亡したが治療とは関連がなかった。 著者は、「この新規配合薬は、複雑性尿路感染症や腎盂腎炎の薬物療法の有用な手段に加えられるだろう。とくに、治療が困難なレボフロキサシン耐性菌やESBL産生菌の治療に有望と考えられる」としている。

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ゴミを扱う仕事で起こった珍しい病気【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第43回

ゴミを扱う仕事で起こった珍しい病気 >足成より使用 ゴミを扱う仕事に従事する人がどういった呼吸器疾患にかかるのかを検証した大規模な研究はありませんが、呼吸器症状や呼吸機能検査には影響を与えないと結論付けた報告があります(Tschopp A. et al. Occup Environ Med. 2011;68:856-859.)。 しかしその一方で、ゴミと関連した感染症やアレルギーを呈する報告もあります。 Allmers H, et al. Two year follow-up of a garbage collector with allergic bronchopulmonary aspergillosis (ABPA). Am J Ind Med. 2000;37:438-442. この論文は、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)に罹患した29歳のゴミ回収業社員の症例報告です。彼は、ゴミ回収業に従事した夏に、呼吸困難感、発熱、インフルエンザ様症状を呈するようになりました。病院を受診したところ、胸部レントゲン写真では粘液栓(mucoid impaction)を示唆する索状影が観察され、IgE高値、アスペルギルス沈降抗体が陽性であることからABPAを疑われました。Aspergillus fumigatus抽出物を吸入すると、即時型喘息反応がみられました。この症例報告は日本の夏型過敏性肺炎と同様の機序と考えてよいと思いますが、過去にゴミを扱うことで真菌のアレルギー症状を起こすことが報告されています(Hagemeyer O, et al. Adv Exp Med Biol. 2013;788:313-320.)。また、ゴミ捨て場で働く子供において酸化ストレスマーカーが高いことも報告されています(Lahiry G, et al. J Trop Pediatr. 2011;57:472-475.)。日本のように医療制度が充実している国はともかくとして、健康へのリスクを有する職業に就いている人に対する健康診断は、世界的にもまだまだ課題が残されているようです。インデックスページへ戻る

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デング熱の重症度、ウイルス特異的メモリーT細胞応答が関与

 これまでにデングウイルス(DENV)に自然感染した人において、DENVに対する抗体反応が詳細に調べられたが、DENV特異的メモリーT細胞の機能性と臨床的な疾患重症度との関連は完全に解明されていない。スリランカ・スリ ジャヤワルダナプラ大学のChandima Jeewandara氏らは、DENV特異的メモリーT細胞によって産生されるサイトカインの種類が、臨床的な重症度に影響することを報告した。T細胞応答を用いた新しいアッセイ法により感染血清型を特定できることも示され、免疫疫学的研究やデング熱ワクチンの臨床試験で役立つと期待される。PLOS Neglected Tropical Diseases誌オンライン版2015年4月13日号の掲載報告。 スリランカで得られたDENV自然感染者(デング熱で入院または軽度~不顕性感染)338例の検体について、ex vivoでIFNγ ELISpotアッセイを用いてサイトカイン産生を測定しDENV特異的メモリーT細胞応答を調べた。 主な結果は以下のとおり。・軽度~不顕性感染者または入院歴のある感染者のどちらにおいても、T細胞はDENV-NS3 抗原刺激時に複数のサイトカインを産生した。・しかし、軽度~不顕性感染者のDENV-NS3特異的T細胞はグランザイムBのみを産生する傾向にあったのに対して、入院歴のある感染者ではTNFαおよびIFNγの両方、またはTNFαのみを産生する傾向にあった。・T細胞応答を利用して感染血清型を調べたところ、DENV血清陽性者の92.4%で、1つ以上の血清型が認められた。・DENV血清陰性であるが日本脳炎ワクチンも受けたことのある個人では、感染血清型のアッセイでT細胞応答がみられなかった。したがって、このアッセイに用いた抗原ペプチドは、日本脳炎ウイルスと交差反応しないと考えられる。

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梅雨の季節。原因不明の咳は真菌のせい!?

 4月21日、東京都内において「梅雨から要注意!カビが引き起こす感染症・アレルギー  -最新の研究成果から導く“梅雨カビ”の対策ポイント-」(主催:株式会社衛生微生物研究センター、協力:ライオン株式会社)と題し、メディアセミナーが開催された。 これから梅雨の季節を迎え、家中のさまざまなところで発生するカビについて、その性質と健康に及ぼす影響を概説し、具体的にどのような疾患を生じさせるかをテーマに講演が行われた。カビを吸い込むことで喘息やアレルギー性疾患を誘発 はじめに「カビ」の研究者である李 憲俊氏(衛生微生物研究センター所長)が、「身の回りのカビと、人体への影響」と題して、家カビの発生とその影響について解説を行った。 カビは、水の溜まるシンク周りや浴室に多く繁殖し、また、湿気のこもる下駄箱、押し入れ、結露する北側の壁、窓枠、浴室天井などに多く発生する。とくに天井のカビは、思いのほか気が付きにくく、掃除も難しい。また、胞子が舞い落ちることで人が吸い込む可能性もある。そして、カビを吸い込むことで、喘息、アレルギー性疾患を誘発、悪化させるほか、肺炎などの感染症の原因ともなる。李氏は「現在のように密封性の高い家屋では、カビの増殖が容易なため、いかにカビを発生させないか対策が大事」とまとめた。原因不明の咳はカビによるアレルギー性疾患の疑い 続いて、「カビが引き起こす感染症・アレルギー」と題して、亀井 克彦氏(千葉大学真菌医学研究センター 臨床感染症分野 教授)が、カビ(真菌)が原因となる呼吸器疾患のレクチャーを行った。 真菌が原因となる病気は、水虫が広く知られているが、その他にも感染症、アレルギー、(食物摂取による)中毒症などがある。そして、私たちは1日に1万個以上の真菌を吸い込んでおり、真菌が原因の疾患で亡くなる方も現在増加中だという。 原因不明の咳などの診療でのポイントとしては、「古い木造一戸建てに引っ越した」「梅雨ごろから症状が始まった」「しつこい乾いた咳」「家の外だと軽快」「次第に息切れする」「中年女性」といったファクターがあった場合、「夏型過敏性肺臓炎」や「カビによるアレルギー性疾患」などが疑われ、早期の検査と治療が必要となる。とくに「夏型過敏性肺臓炎」は、わが国独特の疾患であり、風邪などと区別がつきにくいために見過ごされ、治療が遅れることも散見されるので、注意が肝要とのことである。 また、頻度は少ないが、喫煙者や糖尿病などの慢性疾患を持つ人が罹りやすい「慢性壊死性肺アスペスギルス症」などは治療薬も効果が弱く、進行すると予後不良となるため、定期健診での早期発見が大切だという。 真菌感染症は、容易に感染しないものが多いが、一度感染すると難治性となり、治療薬も効果が弱く副作用も強い。また、再発しやすく、アレルギーなどのさまざまな疾患の原因ともなるので、原因不明の咳などで「前述の疾患を疑ったら呼吸器科の中でもアレルギー疾患領域に明るい専門医の受診が必要」とのことだった。 最後に、患者に指導できる予防策として、肺の老化予防のために「禁煙の実施」、住宅内の「カビの排除」(とくにエアコン、水まわりなど)、原因不明のしつこい咳や息苦しさがあれば「専門医師への受診」を患者に伝えることが重要だと亀井氏は述べ、「カビについて過度に神経質になる必要はないが、適度な心配はしてほしいと患者に指導をお願いしたい」とレクチャーを終えた。

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TAF配合の新規抗HIV薬、TDF配合薬に非劣性/Lancet

 HIV-1感染症の初回治療としての新規抗HIV薬配合薬エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビル-アラフェナミド(E/C/F/TAF、国内承認申請中)の安全性と有効性を、E/C/F/テノホビル-ジソプロキシルフマル酸塩(E/C/F/TDF、商品名:スタリビルド配合錠)と比較検討した2つの第III相二重盲検無作為化非劣性試験の結果が、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul E Sax氏らにより報告された。48週時点で両投与群とも90%超の患者で抗ウイルス効果が認められた一方で、腎臓と骨への影響は、E/C/F/TAF投与群がE/C/F/TDF投与群に比べて有意に低かった。著者は、「いずれの試験も、骨折や腎障害といった臨床的安全性イベントを評価する検出力はなかったが、E/C/F/TAFは、良好で長期的な腎臓および骨の安全性プロファイルを有すると思われる」と結論している。Lancet誌オンライン版2015年4月15日号掲載の報告より。TDF配合薬と比較、国際多施設共同の二重盲検無作為化非劣性試験 テノホビルのプロドラッグである既存のTDFは、血漿中の高いテノホビル濃度に関連した腎臓や骨への毒性作用を引き起こす可能性が指摘されている。TAFはテノホビルの新規プロドラッグで、TDFと比べて血漿中テノホビル濃度を90%低く抑えることを可能とした。第II相の試験において、TAF配合薬はTDF配合薬に比べて、eGFR、尿細管性蛋白尿、骨密度への影響の低下がみられ、腎臓や骨の安全性を改善する可能性が示唆された。同所見を確認するため第III相試験では、腎臓と骨の安全性に関するプロトコルを事前に規定して検討された。 報告された2つの試験は、日本を含む16ヵ国178施設の協力の下で行われ、推定クレアチニンクリアランス50mL/分以上で未治療のHIV感染症患者を対象とした。 被験者は、E/C/F/TAF(各含有量は150mg/150mg/200mg/10mg)またはE/C/F/TDF(TDF含有量300mg)を投与する群に無作為に割り付けられた。無作為化はコンピュータ生成配列法(4ブロック)にて行われ、HIV-1 RNA量、CD4数、参加国(米国とそれ以外)による層別化も行った。 主要アウトカムは、FDA が定義したSnapshot アルゴリズム解析を用いて、48週時点で血漿中HIV-1 RNA値50コピー/mL未満の患者の割合(事前規定の非劣性マージン12%)と、事前規定の48週時点の腎および骨のエンドポイントであった。 有効性と安全性に関する主要解析は、試験薬を1回受けたすべての患者を含んでintention-to-treatにて行われた。抗ウイルス効果は同等、腎臓と骨のエンドポイントはTAF配合薬のほうが良好 2013年1月22日~2013年11月4日に2,175例の患者がスクリーニングを受け、1,744例が無作為に割り付けられ、1,733例が治療を受けた(E/C/F/TAF群866例、E/C/F/TDF群867例)。 結果、48週時点の血漿中HIV-1 RNA値50コピー/mL未満患者の割合は、E/C/F/TAF群800/866例(92%)、E/C/F/TDF群784/867例(90%)、補正後両群差は2.0%(95%信頼区間[CI]:-0.7~4.7%)で、E/C/F/TAFのE/C/F/TDFに対する非劣性が認められた。 また、E/C/F/TAF群のほうが、血清クレアチニンの平均値上昇が有意に少なく(0.08 vs. 0.12mg/dL、p<0.0001)、蛋白尿(ベースラインからの%変化中央値:-3 vs. 20、p<0.0001)や、脊椎(同:-1.30 vs. -2.86、p<0.0001)および腰椎(-0.66 vs. -2.95、p<0.0001)の骨密度低下が有意に低かった。

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SFTSに気を付けろッ!その2【新興再興感染症に気を付けろッ!】

国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。この「新興再興感染症に気を付けろッ!」は、新興再興感染症への適切な気を付け方について、まったりと学ぶコーナーです。前回は、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)についての概説をさせていただきましたが、今回はSFTSに潜む謎に迫りたいと思います。SFTSの謎(1)高い致死率SFTSの日本での致死率は29%と非常に高いのですが、一方で中国のSFTS症例の致死率は12~15%程度であり、日本のおよそ半分程度です。同じSFTSなのに、なぜこのような致死率の違いが生まれるのでしょうか?まず、ウイルスの病原性の違いについて、中国のSFTSウイルスと日本のSFTSウイルスは、遺伝子学的にはかなり昔に分かれているということが判明しています1)。つまり、最近になって中国から日本にやって来たというわけではなく、おそらくかなり昔から日本に潜んでいたウイルスということになります。しかし、この中国のSFTSウイルスと日本のSFTSウイルスの病原性についての違いは、これまでのところ明らかではありませんので、致死率の違いは、ウイルスの病原性の違いによるものとは言いにくいと思われます。では、人種間の違いでしょうか? その可能性はあるかもしれませんが、遺伝子が比較的近い日本人と中国人で死亡率に大きく違いがあるとは思えません。では、なぜ日本ではSFTSの致死率が高いのでしょうか。もしかしたら日本では、重症症例のみが診断されているという可能性があるかもしれません。中国でも当初は致死率が30%程度とされていましたが、現在の致死率まで下がっており、軽症例が診断されるようになったことが、原因の1つと考えられます。日本でも当初は厚生労働省の提示した症例定義(前回の表をご参考ください)というものがあり、これに該当しない軽症例は検査されなかったために、死亡率が高く出ているということなのかもしれません。SFTSは、高齢者で致死率が高いとされています。現在、日本では農村部の高齢者を中心に症例が報告されていますが(図1)、実際には若年者もSFTSに感染しているけれど、診断されていないだけなのかもしれません。今後、軽症の若年者も診断されるようになり、致死率が下がってくる、という可能性はあるかと思います。画像を拡大するSFTSの謎(2)発生地域の分布前述のように西日本で感染が見られていますが、東日本ではまったく感染者は報告されていません。SFTSは、主にタカサゴキララマダニとフタトゲチマダニによって媒介されるダニ媒介感染症と考えられています。タカサゴキララマダニは、西日本に多く分布していますが、フタトゲチマダニは日本全域に見られるマダニです。実際にSFTSウイルスは、北海道や宮城県など東日本でも遺伝子が検出されています(図2)2)。また、SFTS抗体を持つ動物も、東日本で見つかっています。しかし、実際に感染者が出ているのは西日本に限局しており、最東端は和歌山県です。なぜこのような偏りが生まれるのか……。画像を拡大する考えられる原因としては、ダニのSFTSウイルス保有率の違いでしょうか。SFTSウイルスを持つダニの比率が、西日本のほうが高いのかもしれません。現にシカのSFTSウイルス抗体陽性率は西高東低といわれており、ダニのウイルス保有率を反映しているのでしょうか。このマダニのSFTSウイルス保有率については、今後サーベイランスの結果が待たれるところです。東日本でもマダニからSFTSウイルスの遺伝子が検出されているということから、まれであるかもしれませんが、東日本でもSFTSが発生するかもしれません。東日本で勤務する医療従事者も、白血球と血小板減少を伴う発熱疾患ではSFTSを鑑別に挙げるようにしましょう(あとデング熱も)。SFTSの謎(3)適切な感染対策SFTSは広義のウイルス性出血熱であり、エボラ出血熱と同様に、血液・体液を介してヒト-ヒト感染が起こりうると考えられています。実際に、患者家族や医療従事者でのヒト-ヒト感染事例も複数報告されています3)。しかし、SFTS疑い(あるいは確定例)でどのような感染対策を行えばよいのかについては、まだきちんとした方針がありません。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの作成した『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き』2)を一例として公開しておりますので、ご参考ください。これまでにSFTS患者から感染した医療従事者は、採血の介助や気管挿管をした際に感染したと考えられており、また、ご遺体に触れた家族や納棺師も感染しています4)。診療の際には標準予防策を徹底する必要がありますし、SFTSの患者さんは亡くなられた際にウイルス量が最も多くなっているため、亡くなられた際の埋葬の方法についても注意が必要です。というわけで、とくに解決策を提示することなくお送りした「SFTSに気を付けろッ!」ですが、いかがでしたでしょうか。次回は、個人的な激アツトピックである「Borrelia miyamotoi感染症の気を付け方」について取り上げたいと思います。1)Takahashi T, et al. J Infect Dis. 2014;209:816-827.2)国立国際医療研究センター 国際感染症センター. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き. 第3 版. 2014. (参照2015.3.27)3)Kim WY, et al. Clin Infect Dis. 2015 Feb 18. [Epub ahead of print]4)Gai Z, et al. Clin Infect Dis. 2012;54:249-252.

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C型肝炎治療最前線 経口薬への期待

 C型肝炎の治療に新たな変化が起きている。ダクルインザ・スンベプラ併用療法のインターフェロン未治療・再燃患者への適応拡大に伴い、2015年4月8日、都内にてプレスセミナー(主催:ブリストル・マイヤーズ株式会社)が開催された。今回は、茶山 一彰氏(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 応用生命科学部門 消化器・代謝内科学 教授)の講演内容を中心にセミナーの内容を紹介する。インターフェロンの副作用が大きな負担 従来、本邦におけるC型肝炎根治療法の主体はインターフェロン(IFN)であった。1992年にIFN単独療法が、2004年にペグIFN・リバビリン併用療法が承認された。さらに、2013年には経口プロテアーゼ阻害薬が承認され、3剤併用療法が開始された。しかし、依然として治療の主体はIFNであり、うつ・全身倦怠感をはじめとする重い副作用が患者にとって大きな負担となってきた。ダクルインザ・スンベプラ療法 昨年9月に発売されたダクルインザ(一般名:ダクラタスビル)とスンベプラ(同:アスナプレビル)は日本初のIFNフリーで治療可能な経口C型肝炎治療薬である。ダクルインザ・スンベプラ療法は、日本におけるC型肝炎の約70%を占めるセログループ1(ジェノタイプ1)型またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症を改善する効果がある。本剤の登場により、これまで高齢や合併症リスク、副作用などでIFNを含む既存の治療を受けられない患者、あるいは十分な効果が得られなかった患者さんに、新たな治療選択肢が加わった。経口2剤併用療法が適応拡大 また、これまでダクルインザ・スンベプラ療法の適応は、「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変で、(1)IFNを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者、(2)IFNを含む治療法で無効となった患者」であった。 しかし、今回(2015年3月)の適応拡大に伴い、IFNの治療歴にかかわらず、日本人で最も多いジェノタイプ1型C型肝炎のすべての患者がこの治療法を選択できるようになった。さらに、第III相試験において、本療法の貧血・皮疹などの副作用は、3剤併用療法例よりも有意に低発現であり、安全性の面でも期待されている。IFNフリー療法への期待 ダクルインザ・スンベプラ療法はその安全性と有効性の観点から、現在約2万6,000例に投与されているという。第III相試験では、ウイルスの遺伝子変異がなければ本療法は98%と高い著効率を示している。茶山氏は「投与前のウイルス遺伝子検査を徹底し適切に使用すれば、患者に優れた有効性と安全性をもたらすことができる」と強調し、講演を結んだ。

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SFTSに気を付けろッ!その1【新興再興感染症に気を付けろッ!】

タイトル募集中ケアネットをご覧の皆さま、はじめまして。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那と申します。感染症医であり感染症全般の診療をさせていただいておりますが、そのなかでも専門は新興再興感染症であります。この連載では日本を取り巻く新興再興感染症について、時にまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと書き綴っていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。さて、本連載のタイトル「新興再興感染症に気を付けろッ!」ですが、いったい何に気を付ければいいのかまったく伝わってこない漠然としたタイトルであり、私が5秒で考えたタイトルであるとバレバレかもしれませんが、時間もありませんので(なぜならすでにこの原稿は締め切りを過ぎているのですッ!)とりあえずこのタイトルで進めていきたいと思います。ほかによいタイトルがあれば積極的に変えていきたいと思いますのでぜひご教示ください。最近流行の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)第1回目となる今回は「SFTSに気を付けろッ!」ということで、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の謎に迫りたいと思います!メディアでも大きく報道されたのでSFTSという感染症については、ご存じの方も多いと思いますが、SFTSが最初に報告されたのは中国でした。2007年頃からこの感染症の存在が知られはじめ、2011年にはブニヤウイルス科フレボウイルス属であるSFTSウイルスによる感染症であることが報告されました1)。クリミア・コンゴ出血熱に類似した臨床像であり、致死率も高い疾患であることが明らかになるにつれ「中国におっかないウイルスがいるなあ……」と思っていたところ、なんとなんと2013年1月には日本の山口県でSFTS患者が報告されました。日本でも(広義の)ウイルス性出血熱が……。その後、次々と日本国内でSFTS患者が報告され、これまでに西日本を中心に110例が報告されています2)(図1)。画像を拡大するSFTSは主にタカサゴキララマダニとフタトゲチマダニによって媒介されるダニ媒介感染症と考えられています。ちなみに図2がフタトゲチマダニです。これは私が趣味のダニ狩りにいった際に撮ったものです。症例の発生はマダニの活動期に一致して春から夏にかけて多く報告されています。画像を拡大するSFTSの症状と治療SFTSの臨床症状ですが、SFTSウイルスに感染すると6~14日の潜伏期を経て発熱、消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛など)、頭痛、筋肉痛などの症状で発症します。意識障害や失語などの神経症状、下血などの出血症状がみられることもあります。PCRによるSFTSウイルス遺伝子の検出によって診断されます。2013年1月に厚生労働省から「SFTSの症例定義」なるものが発表され(表)、この1~7をすべて満たす症例に関して全国の医療機関に情報提供の依頼がなされていますが、診断のためには必ずしもこれらすべてを満たす必要はなく、実際にこれらすべてを満たさなくてもPCRでSFTSウイルスが検出され、診断されている事例もあります。診断のためというよりも、参考程度に使うという理解でよろしいかと思いますが、自治体によっては症例定義を満たさないと検査してくれないところもあるようです。画像を拡大する治療は支持療法が中心です。これまでの日本での致死率は29%と高く、恐ろしい感染症です。さて、このSFTS、いまだによくわかっていないことがいくつかあります。この「新興再興感染症に気を付けろッ!」では、SFTSに気を付けるために2回にわたってSFTSに潜む謎に深く切り込む予定です。とりあえず急に頑張り過ぎるとろくなことがありませんので、今日のところはこのくらいで……次回に続きます。1)Yu XJ, et al. N Engl J Med. 2011;364:1523-1532.2)国立感染症研究所. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS).(参照 2015.3.27)

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成人に対する13価肺炎球菌結合型ワクチンの有効性を示したCAPiTA trial(解説:小金丸 博 氏)-339

 肺炎球菌結合型ワクチンは、小児における肺炎球菌性肺炎、侵襲性肺炎球菌感染症、中耳炎、およびHIV感染症患者における肺炎球菌感染症を予防できることが示されてきた。成人においては、13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)は23価肺炎球菌多糖ワクチン(PPSV23)と比較し、免疫原性が優れていることは示されていたが、実際に成人の肺炎球菌感染症を予防できるかどうかはわかっていなかった。 本論文は、成人に対するPCV13の予防効果を検討したランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験である。2005年以前には、小児に対する肺炎球菌結合型ワクチンを導入していなかったオランダにおいて、2008年9月~2013年8月に実施された。65歳以上の成人を、(1)PCV13接種群(4万2,240例)と(2)プラセボ接種群(4万2,256例)に割り付けし、ワクチン血清型の肺炎球菌による市中肺炎、非菌血症性・非侵襲性肺炎球菌性肺炎、侵襲性肺炎球菌感染症の予防効果を調査した。原因菌がワクチンに含まれる血清型の肺炎球菌だったかどうかの確認には、血液などの無菌材料からの培養検体に加えて、ワクチン血清型特異的尿中抗原検査を用いた。  per-protocol解析では、ワクチン血清型による市中肺炎はPCV13接種群で49例、プラセボ群で90例発生し、ワクチン効果は45.6%(95.2%信頼区間:21.8~62.5%)だった。同様に、非菌血症性・非侵襲性肺炎球菌性肺炎の発生数は、それぞれ33例と66例で、効果は45.0%(同:14.2~65.3%)、侵襲性肺炎球菌感染症の発生数は、それぞれ7例と28例で、効果は75.0%(95%信頼区間:41.4~90.8%)だった。ワクチン効果は試験期間中持続した(平均フォローアップ期間3.97年)。肺炎球菌以外も含めた全市中肺炎の発生数は、それぞれ747例と787例で、ワクチン効果は5.1%(95%信頼区間:-5.1~14.2%)だった。全死因死亡者数は両群間で同等だった。肺炎球菌感染症に関連した死亡者数は、ワクチンの有効性を解析する意味を持たないほど両群共に少なかった。 本試験はCAPiTA trialと呼ばれる臨床試験である。PCV13による成人の肺炎球菌感染症の予防効果を示した最初の論文であり、本試験の結果を受けて米国の予防接種諮問委員会(ACIP)の推奨が「PCV13をすべての65歳以上の成人に対して接種すること」と変更になった。  本邦においてPCV13は、2014年6月に65歳以上の成人に対して適応拡大されている。それに加えて、2014年10月からは65歳以上の成人を対象としたPPSV23の定期接種が開始されており、成人に対する肺炎球菌ワクチンの接種が複雑になっている。 米国では、PCV13はPPSV23と連続して使用される。ACIPは、(1)肺炎球菌ワクチン接種歴のない場合は、まずPCV13を接種し、6~12ヵ月後にPPSV23を接種、(2)65歳以降にPPSV23の接種歴がある場合は、PPSV23の接種から1年以上空けてPCV13を接種、(3)65歳未満にPPSV23の接種歴がある場合は、PPSV23の接種から1年以上空けてPCV13を接種し、その6~12ヵ月後にPPSV23を接種するように推奨している。PCV13とPPSV23を連続接種することにより高い免疫原性を得ることが期待できるが、至適接種間隔はわかっていない。また、連続接種による臨床効果を示した研究はなく、今後のさらなる研究が待たれる。

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PCV13、高齢者市中肺炎にも有効/NEJM

 高齢者への13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)接種について、ワクチン型の肺炎球菌性、菌血症性、および非血症性の市中肺炎と、ワクチン型の侵襲性肺炎球菌感染症の予防に有効であることが明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのM.J.M. Bonten氏らが、8万4,496例の65歳以上高齢者を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。PCVワクチンは、新生児において肺炎球菌感染症の予防が認められているが、65歳以上高齢者の肺炎球菌性市中肺炎の有効性は明らかにされていなかった。試験の結果では、あらゆる原因による市中肺炎へのワクチンの有効性は示されなかったが、著者は「ワクチン型の市中肺炎が46%減少しており、高齢者の市中肺炎の減少に寄与すると思われる」とまとめている。NEJM誌2015年3月19日号掲載の報告より。オランダ65歳以上8万4,496例を登録して無作為化二重盲検プラセボ対照試験 試験は2008年9月15日~2010年1月30日にかけて、オランダ国内101地点で65歳以上高齢者を8万4,496例登録して行われた。被験者は1対1の割合で無作為に割り付けられ、4万2,240例がPCV13接種を、4万2,256例がプラセボの接種を受けた。追跡期間は中央値3.97年であった。 PCV13の有効性について、ワクチン型肺炎球菌性市中肺炎、非菌血症性・非侵襲性肺炎球菌性市中肺炎、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の初回エピソードの予防について評価した。市中肺炎とIPDの特定は、標準的なラボ検査と血清型に特異的な尿中抗原検出アッセイにより行った。 追跡期間中に、肺炎またはIPDが疑われ試験協力病院を受診した人は、PCV13群1,552例、プラセボ群1,680例であった。このうち2,842例(88%)は、前年にインフルエンザワクチンの接種を受けていた。ワクチン型株市中肺炎への有効率、per-protocol解析で45.6% ワクチン型株による感染症の初回エピソードのper-protocol解析の結果、市中肺炎発生は、PCV13群49例、プラセボ群90例でワクチンの有効率は45.6%(95.2%信頼区間[CI]:21.8~62.5%)であった。非菌血症性・非侵襲性市中肺炎は、PCV13群33例、プラセボ群60例でワクチン有効率は45.0%(同:14.2~65.3%)、侵襲性肺炎球菌感染症は PCV13群7例、プラセボ群28例でワクチン有効率は75.0%(95%CI:41.4~90.8%)だった。有効性は試験期間中、持続していた。 修正intention-to-treat解析(安全性データを入手できなかった人を除外した8万4,492例)においても、ワクチン型株による感染症の初回エピソードに対するワクチン有効率は同程度であった(それぞれ37.7%、41.1%、75.8%)。 一方、あらゆる原因(非肺炎球菌性と肺炎球菌性を含む)による市中肺炎の初回エピソード発生例は、PCV13群747例、プラセボ群787例で、ワクチン有効率は5.1%(95%CI:-5.1~14.2%)だった。 重篤な有害事象と死亡は、両群で同程度であったが、PCV13群で局所反応が、より多く認められた。

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真菌症に対しタザロテン有望

 遠位側縁爪甲下爪真菌症は爪真菌症の中で最も多い病型である。爪甲下角質増殖を来し外用抗真菌薬の浸透が限られていることから、抗炎症作用および免疫調節作用を有し、角質増殖を伴う爪乾癬に対する有効性が確立されているタザロテン(tazarotene)が期待されている。イタリア・ローマ大学トルベルガータ校のElena Campione氏らは、予備的な非盲検臨床試験を行い、遠位側縁爪甲下爪真菌症に対しタザロテン0.1%ゲルの局所投与で臨床的に良好な治療成績が得られることを示した。著者は、爪真菌症に対するタザロテンの有効性および安全性を大規模臨床試験で確認する必要があるとまとめている。Drug Design, Development and Therapy誌オンライン版2015年2月16日号の掲載報告。 対象は、足の遠位側縁爪甲下爪真菌症患者15例で、タザロテン0.1%ゲルを1日1回、12週間、局所塗布した。試験開始時および終了時に爪の真菌培養および水酸化カリウム染色を行い、臨床的治癒および真菌陰性の場合に有効とした。 また、in vitroにおけるタザロテンの静真菌活性をディスク拡散法(48時間培養)にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・投与4週後、6例(40%)が真菌学的治癒を達成した。・投与12週後、全例で臨床的治癒および真菌陰性を認めるとともに、感染した爪のすべての臨床的パラメータが有意に改善した。・すべての真菌培養検体で、中心領域の増殖抑制がみられた。・6ヵ月後の追跡調査でも、大部分の患者は治癒が維持されていた。

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HCVとHIV重複感染に3D+リバビリンレジメン有効/JAMA

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とC型肝炎ウイルス(HCV)の重複感染患者の治療において、インターフェロン(IFN)フリーの全経口3剤組み合わせ直接作用型抗ウイルス薬(3D)+リバビリン併用レジメンは、治療期間12週または24週についていずれも高い持続性ウイルス学的著効(SVR)率に結び付いたことが示された。米国ジョンズ・ホプキンス大学のMark S. Sulkowski氏らによる非盲検無作為化非対照試験TURQUOISE-Iのパイロット試験パート1aの結果、報告された。3Dレジメンは、オムビタスビル、パリタプレビル(またはリトナビル併用[パリタプレビル/r])、ダサブビルから成る。本検討の結果を受けて著者は、「重複感染患者について本療法の第III相試験を行うべき根拠が示された」とまとめている。JAMA誌オンライン版2015年2月23日号掲載の報告より。63例を対象に非無作為化非対照試験で12週、24週投与について評価 TURQUOISE-Iパート1a試験は、米国およびプエルトリコの17ヵ所で2013年9月~2014年8月に行われた。被験者は、HCV遺伝子型1型とHIV遺伝子型1型に重複感染しており、HCV未治療またはペグIFN+リバビリン治療が無効であった63例であった。被験者には肝硬変を有するものも含まれ、CD4+T細胞数は200/mm3超もしくはT細胞割合が14%超、血清HIV-1RNAはアタザナビルまたはラルテグラビルを含む抗レトロウイルス(ART)レジメンにより安定していた。 被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方は3D+リバビリンレジメンを12週(31例)、もう一方は同24週(32例)の治療を受けた。 主要評価は、治療後12週時点のHCV RNA<25 IU/mLで規定したSVR12達成患者の割合で検討した。SVR12達成患者、12週治療群94%、24週治療群91% 結果、SVR12達成患者は、3D+リバビリンレジメン12週治療群は29/31例で94%(95%信頼区間:79~98%)、同24週治療群は29/32例で91%(同:76~97%)であった。 SVR未達成だった5例の患者のうち、1例は同意の段階での中断例であり、2例はウイルス学的再発または再燃が確認され、2例はHCVの再感染が臨床歴および系統的エビデンスとして認められた患者であった。 最も頻度が高かった治療に関連した有害事象は、疲労感(48%)、不眠(19%)、悪心(18%)、頭痛(16%)であった。有害事象は概して軽度であり、重篤あるいは治療中断に至った報告例はなかった。 なお治療中にHIV-1再燃(200コピー/mL超)となった患者はいなかった。

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メール/電話によるHIV治療継続 その費用対効果は?

 HIV/AIDS患者の健康や良好な治療成績を維持するためには、抗レトロウイルス療法(ART)のアドヒアランスが重要である。そのアドヒアランス向上に、携帯電話を用いたリマインド(週次の電話・メール)が有効であることを示した研究はいくつかあるが、国家AIDS管理プログラムで採用した際の費用に関する研究報告はほとんどない。 そこで、スウェーデン・カロリンスカ研究所のRashmi Rodrigues氏らは、インドの国家エイズ管理プログラムにおいて、アドヒアランス向上のため携帯電話を用いたリマインダー戦略を導入した際、どれくらいの費用がかかるのかを調査した。Journal of the International AIDS Society誌 オンライン版2014年9月2日号掲載の報告。 主な結果は以下のとおり。・1患者あたり年間79~110インドルピー(USD 1.27~1.77)と比較的安価にできることがわかった。・2017年までの5年間で100万人の患者に対して実施する費用は、5年分のプログラム予算の0.36%と試算されている。

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成人の季節性インフルエンザに対するオセルタミビルの効果:ランダム化比較試験のメタ解析(解説:吉田 敦 氏)-319

 ノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビルは、現在世界で最も使用されている抗インフルエンザ薬であり、パンデミックに対する備えとしてもその位置付けは大きい。その効果についてはこれまで多くの臨床試験と経験が蓄積されてきたが、今回あらためてランダム化比較試験のメタ解析が行われ、成人例におけるオセルタミビルの効果と副作用が検証された。Lancet誌オンライン版2015年1月30日号の発表。用いられたランダム化比較試験 対象として解析されたのは、成人に75mg 1日2回投与を行ったランダム化プラセボ対照二重盲検試験であり、これまで論文として発表された、あるいはロシュ社がスポンサーになって施行された未発表のものを含む。インフルエンザ様症状を訴えて来院した例についてランダム化して投与を行い、一部ではその後ウイルス分離あるいは抗体検査を行い、その結果によってインフルエンザウイルス感染症の証拠を得た(Intention-to-treat infected population)。すべての症状が消失するまでの時間をアウトカムとし、投与により短縮された時間を解析した。同時に、合併症・副作用の内容と出現頻度、入院数を比較した。9試験の集計結果 合計して4,328例が解析可能であった。上記の検査で、インフルエンザウイルスの感染が判明した集団(Intention-to-treat infected population)に絞った解析では、プラセボ群に比べ、オセルタミビル群は解熱までの期間が21%短かった(時間比0.79、95%CI:0.74~0.85、p<0.0001)。中央値で比較しても、プラセボ群122.7時間に対し、オセルタミビル群97.5時間であった。一方、検査の有無にかかわらず、インフルエンザ様症状を訴えた患者全体(Intention-to-treat population)を対象として解析すると、その効果はやや弱くなったが、それでも17.8時間の違いがみられた。合併症と副作用に及ぼす影響 Intention-to-treat infected populationでの解析では、抗菌薬の使用が必要となる下気道感染合併症を来した例は、やはりオセルタミビル群で少なく(リスク比0.56、95%CI:0.42~0.75、p=0.0001、オセルタミビル群4.9%、プラセボ群8.7%)、入院が必要となる例も少なかった(リスク比0.37、95%CI:0.17~0.81、p=0.013、オセルタミビル群0.6%、プラセボ群1.7%)。安全性については、オセルタミビル群で嘔気(リスク比1.60、95%CI:1.29~1.99、p<0.0001、オセルタミビル群9.9%、プラセボ群6.2%)と、嘔吐(リスク比2.43、95%CI:1.83~3.23、p<0.0001、オセルタミビル群8.0%、プラセボ群3.3%)が増加したが、精神神経疾患としての影響は見られず、重篤な副作用も認められなかった。オセルタミビルの位置付けと今後 今回のメタ解析では、オセルタミビルによる症状消失までの時間が約1日短くなること、下気道感染合併例・入院例が少なくなること、嘔気と嘔吐が増えたことが確認された。この結果はこれまでの観察研究や経験とおおよそ合致しており、わが国では比較的納得しやすい結果であろう。なお、メタ解析の基になった解析の中で、標本数の少ない解析についてはとくに、オセルタミビル群で差が出た解析に偏って報告されているバイアスは否定できない。しかし、これらの解析の重み付けは少なくなっている。 一方で著者らは、本研究の限界として、元々の解析では呼吸器感染症の合併をアウトカムに設定しておらず、特異的な診断法がなく診断されていること、入院例・肺炎例共に数が少ないことを挙げている。また、予防投与で用いられるような、長期投与での安全性・利便性についても、データを示していない。 オセルタミビルを含む抗インフルエンザ薬について、今後もさまざまな角度から検討がなされ、より厳密な情報が得られることに期待したい。登場してから10年余りでここまで広く使用されているが、それ以前と比べて何がよくなったのか、常に考えるべきではないだろうか。

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IFNフリーレジメン、4つの遺伝子型のHCVとHIV重複感染に有効/Lancet

 C型肝炎ウイルス(HCV)とヒト免疫不全ウイルス(HIV)の重複感染患者の治療において、インターフェロン(IFN)フリーレジメンであるソホスブビル+リバビリン併用療法は、HCVの4つの遺伝子型のいずれに対しても高い有効性を発揮することが、フランス・パリ第7大学(ディドロ)のJean-Michel Molina氏らが行ったPHOTON-2試験で示された。欧州ではHIV感染例の25%にHCVの重複感染が認められ、遺伝子型2および3型HCVとHIVの重複感染例にはIFNフリーレジメンが承認されているが、1および4型HCV重複感染例の治療選択肢はIFNベースレジメンに限られる。PHOTON-1試験では、未治療の1~3型および既治療の2および3型HCVの重複感染例に対する本レジメンの有効性が確認されている。Lancet誌オンライン版2015年2月3日号掲載の報告。遺伝子型別に非無作為化非対照試験で評価 PHOTON-2試験は、PHOTON-1試験で除外された遺伝子型4型を含むHCVとHIVの重複感染例に対するIFNフリーの経口レジメンとしてのソホスブビル+リバビリン併用療法の安全性および有効性を評価する非盲検非無作為化非対照第III相試験(Gilead Sciences社の助成による)。対象は、年齢18歳以上、遺伝子型1~4型(既治療例は2および3型のみ)のHCVとHIV-1に重複感染し、病態の安定した症例であり、代償性肝硬変を有する患者も含めた。 全例にソホスブビル(400mg、1日1回)+リバビリン(体重<75kg:1,000mg、≧75kg:1,200mg、1日2回)併用療法が行われた。未治療の遺伝子型2型HCV感染例には12週投与が行われ、それ以外の患者には24週投与が施行された。主要評価項目は、治療終了後12週時の持続性ウイルス学的著効(SVR、HCV RNA濃度<定量下限値[LLOQ]と定義)とした。 2013年2月7日~2013年7月29日までに、7ヵ国(オーストラリア、フランス、ドイツ、イタリア、ポルトガル、スペイン、イギリス)の45施設から275例が登録され、262例(95%)が治療を完遂し、274例が解析の対象となった。4型への高い有効性を示した初のIFNフリーレジメン HCVの遺伝子型および前治療の有無別の内訳は、未治療の1型が112例、未治療の2型が19例(治療期間12週)、既治療の2型が6例、未治療の3型が57例、既治療の3型が49例、未治療の4型が31例であった。 各群の年齢中央値は45~55歳、男性が67~100%で、89~100%が抗レトロウイルス薬の投与を受けていた。全体の20%(54例)に肝硬変がみられ、既治療例(33~47%)のほうが併発率が高かった。 治療終了後12週時のSVR率は、遺伝子型1型感染群が85%、2型が88%、3型が89%、4型が84%であった。また、2型の未治療例は89%、3型の未治療例は91%であり、SVR率は両群で類似していた。治療終了後4週時のSVR率は83~91%だった。 各群の治療期間中のSVR達成率は、4週時が96~100%、12週時が95~100%、24週時は100%(未治療の2型群以外の全群)であった。治療期間中のウイルス学的再燃が、既治療の3型群の1例(2%)に認められた。SVR達成例における治療終了後のウイルス学的再発率は4~20%であり、再発例にソホスブビル抵抗性の遺伝子変異は認めなかった。 全体で、6例(2%)が有害事象により治療中止となった。最も頻度の高い有害事象は、疲労感(20%)、不眠(16%)、脱力感(16%)、頭痛(16%)であった。また、重篤な有害事象は15例(5%)に認められ、4例(1%)が治療関連(貧血が2例、血小板減少と点状出血が1例、躁病が1例)であったが、フォローアップ終了までに全例が回復した。試験期間中の死亡例はなかった。 抗レトロウイルス薬投与中の患者のうち4例(1%)にHIVの一過性のウイルス学的再燃がみられたが、抗レトロウイルス薬のレジメンの変更を要する患者はいなかった。 著者は、「本併用療法は、4つの遺伝子型のHCVとHIVに重複感染した未治療および既治療の患者に有効であった」とまとめ、「本試験は、遺伝子型4型HCVとHIVの重複感染例にIFNフリーレジメンが高い有効性を発揮するとのエビデンスを示した初めての臨床研究である。本併用療法は、HIV治療に使用される抗レトロウイルス薬と臨床的に問題となる相互作用を示さないため、HCVとHIVの重複感染者の有用な治療選択肢となる可能性がある」と指摘している。

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76)気をつけたいSGLT2阻害薬の有害事象を説明する【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師この新しい薬(SGLT2阻害薬)の副作用として、尿路感染症になるリスクが高まることが、報告されています。患者それは心配です。どうしたらいいですか?医師いくつかのポイントがあります。まずは、身体を清潔にしてください。ほとんどの尿路感染は、腸内細菌が尿道の先から入っていきますので・・・。患者なるほど。医師夜中にトイレにいく回数が多くなるのが心配で、水分をあまりとらない人がいます。患者それ、私です。医師尿がたくさんでると、細菌を洗い流します。水分は日中は大目に、夕方から控えられるといいですね。患者なるほど、わかりました。●ポイント尿路感染症を予防する項目を、わかりやすく説明できるといいですね●資料尿路感染症にかからないための10ヵ条1.下着を毎日、取り換える2.トイレを我慢しない3.水分は日中は多めに、夕方から控える4.適度な運動をする5.アルコールは控えめに6.陰部を清潔に保つ(排便時は前から後ろにふく)7.下半身を冷やさない8.疲れを残さない9.身体の抵抗力をつける10.うがい・手洗いをする

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