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新型コロナ、医療者のメンタルヘルスをどう守る?/日本精神神経学会提言と会員アンケート

 日本精神神経学会は、新型コロナウイルス感染症に関連し、学会員を主な対象としたメンタルヘルス関連の提言を行っている。これまでに出された提言は以下の3つ。1)親子・学校・女性のメンタルヘルスのサポート役割を担う学会員向け2)働く人のメンタルヘルスケアや産業保健体制に関する提言3)「コロナ関連自殺」予防について 精神科・心療内科を専門とする学会員に向け、新型コロナウイルス感染症がメンタルヘルスにおよぼす影響や、診療にあたっての注意点をまとめている。産業医として企業に対して感染予防対策や新しい働き方に関連するアドバイスをする際に役立つ内容も多い。「メンタルヘルスの専門家として今知っておくべきこと」を中心にまとめられているが、提言には「医療者自身のメンタルヘルスをいかに保つか」という内容も多く含まれている。 2)の提言内では「特に医療や介護現場などではメンタルヘルス不調の発生が強く危惧される」とし、個人防護服(PPE)を着たままの診療による身体的疲労や緊張の継続による精神的疲労の双方が懸念され、さらに新型コロナの専門病棟ではこれら疲労に加え、対応人員不足やPPE不足などへの危惧が継続的に発生している、と指摘。「当初は責任感や緊張感から普通に勤務できているように見えていても、対応期間が長引くにしたがい心身の疲弊症状として、抑うつ症状などの精神症状や不眠や頭痛などの身体化症状が顕在化」する、と警告している。こうしたメンタルヘルス不調を念頭に置いた産業保健活動が求められるが、そうした体制の確立が難しい小規模事業者などに対しては、早期から行政が介入・支援することが必要だ、と訴えている。 3)の提言内でも「このたびの感染防止対応は、ほとんどの医療スタッフにとって通常経験したことのない、複雑に絡み合う複数のストレス要素を伴っています。心身の不調が起きるのが当然といえば当然です。(略)会員の皆様も、精神医学やメンタルヘルスに精通しているからといって例外ではないのだということを忘れないでください」と注意を促している。会員アンケートでもストレス傾向が明らかに 2020年5月中旬、ケアネットが医師会員1,000人を対象に行ったメンタルヘルスをテーマにしたアンケート(新型コロナは日常診療にどう影響?勤務医1,000人に聞いたストレス・悩みの理由)からも、医療者が大きなストレス下に置かれていることが明らかになった。「COVID-19感染リスクに自身・スタッフがさらされることに不安を覚える」と答えた回答者は57.4%と6割近く、「COVID-19感染リスクに自身・スタッフがさらされることに不安を覚える」(57.4%)、「学会や勉強会などの直接的なコミュニケーションの機会が失われた」(55.6%)といった回答も半数を超えた。 医療現場のストレスマネジメントに詳しい国際医療福祉大学大学院 心療内科学教授の中尾 睦宏氏は、この結果を踏まえ、専門家の立場からアドバイスを寄せた。「アンケートには『臨床心理士を配置した』『メンタル相談の専門窓口を設けた』といった回答が寄せられており、医療現場の素早い対応は評価できる。しかし、医療者には責任感が強く、弱音を吐くことが苦手な人も多い。オンラインのミーティングや勉強会などの正しい情報共有に加え、カジュアルなコミュニケーションや愚痴を吐き出しやすい環境づくりが長期的なメンタルヘルス対策につながるはず」と述べている。【会員医師アンケート】新型コロナは日常診療にどう影響?1,000人に聞いたストレス・悩み【アンケート結果を解説】今、医療者が知るべき・やるべきメンタル対策

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第12回 さよならN95マスク!? 米国病院でのP100フィルターマスク導入

目下の新型コロナウイルス感染(COVID-19)流行で使い捨てのN95マスクが不足し、多くの医療施設はメーカーの推奨使用期間を超えて長く使えるように消毒して再利用する取り組みを始めました。しかし消毒して再利用する手順は実に負担が大きく、しかもN95マスクを消毒できる回数はたかが知れています。米国ペンシルベニア州ピッツバーグを本拠とする医療網Allegheny Health Network(AHN)も、2万人以上が働く合計2,200床ほどの9つの病院でN95マスクを消毒して繰り返し使用する体制をいったんは整えました。しかし消毒後の接顔不良を訴えるスタッフが多くいました。それに費用負担の問題も解決しません。そこでAHNはN95マスクに見切りを付け、ほぼ際限なく繰り返し使えるガスマスク様のP100フィルター付きエラストマー製マスク(以下、エラストマーマスク)の導入に踏み切ります1)。エラストマーマスクは柔軟で顔に隙間なく装着できるゴム様の素材でできており、繰り返し洗浄できます。米国疾病管理センター(CDC)によるとN95マスクと同等かそれ以上の空気中の感染物質からの保護性能を誇り、P100フィルターは空気中の浮遊粒子をほぼ100%遮断します。AHNは、鼻と口を覆う半顔面エラストマーマスクを3月末から試しに1ヵ月間使ってみました。まずはAHNの9つの病院でCOVID-19患者に最も多く接するスタッフに提供されました。最初は共有されましたが、十分に手に入るようになってからは1人に1つが充てがわれ、各々がメーカーの説明書に沿って使用のたびに消毒をして次の使用に備えました。Journal of American College of Surgeons(JACS)誌に掲載されたAHNの医師等の報告2)によると、約2,000人(1,962人)が試着をしてほぼ全員(94%;1,840人)が自分に合うものが見つかるか合うように調節できました。合うものがどうしても見つからなかったスタッフには、N95マスクか他の通気手段が提供されました。1ヵ月使用した後でN95マスクに戻ることにしたスタッフは1人もおらず、N95の出番はほぼ無くなりました(N95マスクの使用が95%減少)。AHNのある1つの病院における、18床の集中治療室(ICU)での比較の結果、月1回のP100フィルター交換による半顔面エラストマーマスク使用は安上がりであり、1ヵ月あたりの費用は控えめに見積もってもN95マスクのわずか10分の1で済みました。エラストマーマスクはN95マスクと違って試着して合わなかったものがゴミになることはなく、しかも長く使うほどより安上がりになります。N95マスクを消毒して再利用する取り組みをしている病院なら、新たな負担なく導入できることもエラストマーマスクの利点です。エラストマーマスクは将来の流行に備えて保管可能であり、医療スタッフそれぞれが身につける防護具一揃いに不可欠とみなすべきとAHNの医師/最高医学責任者Sricharan Chalikonda氏はJACS報告で結論しています。参考1)Elastomeric masks provide a more durable, less costly option for health care workers2)Chalikonda S, et al. J Am Coll Surg. 2020 June 11. [Epub ahead of print]

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COVID-19、回復期におけるうつ病と免疫反応に相関性

 これまで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染して重度の急性呼吸器症候群となった患者のうち、退院後に自己申告のうつ病とされた患者は観察されていたが、回復期からこの自己申告のうつ病が発症しているのかは不明だった。中国・深センSamii医療センター(SSMC)のBo Yuan氏らは、オンラインアンケートを利用して回復期のCOVID-19患者のメンタルヘルス状態を調べたうえで、定期的な血液および生化学データを含む患者の臨床的特徴を遡及的に分析し、うつ病と免疫反応との相関性を見た。Brain, Behavior, and Immunity誌オンライン版5月25日号掲載の報告。 2020年2月21日~3月12日にSSMCに入院したCOVID-19患者226例中126例に対し、オンラインアンケートを行った。アンケートには心的外傷性ストレス障害(PTSD)自己評価スケール(PTSD-SS)、不安自己評価スケール、うつ病自己評価スケール(SDS)が用いられ、50のインデックススコアで臨床的重要度を判断した。 アンケートは3月2日~12日に行われ、回答から臨床的重要度が高いと判断された96例の回復期患者が対象となった。患者の年齢、性別、併存症、初期感染の重症度の潜在的影響、再発および初期疾患期間(入院平均日数)を含む疫学的特徴を調査し、血液を採取して白血球と炎症性因子の炎症性免疫応答を見た。その他のCOVID-19関連の医療データは電話インタビューと医療記録の確認から収集した。 主な結果は以下のとおり。・96例のうち、SDSスコアが50を超える自己申告うつ病群は42例だった(正常群:54例)。・自己申告うつ病の発生と性別、年齢、併存症、初期感染の重症度、および初期疾患期間には、有意な相関は見られなかった。・自己申告うつ病群は、正常群と比べて白血球数(6.7±1.5vs. 6.0±1.5、p=0.016)、好中球数(4.1±1.2vs. 3.3±0.9、p=0.000)が有意に多かった。・炎症の発現では、自己申告うつ病群は正常群よりもCRP値が高かった(0.2±0.3 vs. 0.1±0.1 mg/dl、p=0.035)一方で、IL-6値には有意差がなかった。 著者らは「自己申告うつ病はCOVID-19の回復初期から発生しており、退院後の短期追跡によってうつ病群は免疫応答が増加していることが示された」とした。さらに、「免疫応答と自己申告うつ病をつなぐメカニズム解明にはさらなる研究が必要だ」としつつも、「自己申告うつ病の患者には適切な心理的介入が必要であり、免疫機能の変化は長期フォローアップ中に重点を置くべきポイントだ」と述べている。

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COVID-19血漿療法試験、中国103例の報告/JAMA

 重症/重篤の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の治療において、標準治療に回復期血漿療法を併用するアプローチは標準治療単独と比較して、28日以内の臨床的改善(生存退院、重症度の低減)を増加させなかったとの研究結果が、中国医学科学院のLing Li氏らによって報告された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2020年6月3日号に掲載された。回復期の患者の血漿を使用する回復期血漿療法は、これまでにもさまざまな感染症の治療に用いられており、COVID-19の治療選択肢となる可能性があるが、その使用を支持するエビデンスは十分でない。また、ドナーの選択や血漿の質の管理、レシピエントの適応などは標準化されておらず、これらについてもエビデンスに基づく根拠はないという。7施設が参加の無作為化試験、患者登録が進まず早期中止 本研究は、中国武漢市の7つの医療センターが参加した非盲検無作為化試験であり、2020年2月14日~4月1日の期間に実施された(中国医学科学院 技術革新基金などの助成による)。最終フォローアップ日は2020年4月28日だった。 対象は、年齢18歳以上、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査で確定されたCOVID-19で、重症(呼吸困難または低酸素血症、あるいは双方)または重篤(ショック状態、臓器不全、機械的換気を要する病態)の患者であった。 被験者は、標準治療+回復期血漿療法(血漿療法群)または標準治療のみを行う群(対照群)に無作為に割り付けられた。標準治療は、症状コントロールや支持療法から成り、中国のCOVID-19治療ガイドラインに準拠した。血漿療法では、ABO式血液型適合回復期血漿が、患者の体重によって4~13mL/kg投与された。 主要アウトカムは、28日以内の臨床的改善(生存退院または疾患重症度尺度[1~6点、1点は退院、6点は死亡]の2点の低下)とした。 本試験は200例の登録を予定していたが、COVID-19流行の封じ込めにより、3月下旬には患者数が減少したため登録が進まず、2020年4月1日、103例を登録した時点で早期中止となった。重症例では有意差あり、PCR陰性化率は高い 103例の年齢中央値は70歳(IQR:62~78)、男性が60例(58.3%)であった。血漿療法群に52例(重症例23例、重篤例29例)、対照群には51例(22例、29例)が割り付けられた。101例(98.1%)が試験を完遂した。 試験参加時に89.2%の患者が平熱で、体温の中央値は36.5℃(IQR:36.2~36.7)だった。血漿療法群の注入血漿量中央値は200mL(IQR:200~300)で、96%が1回で注入された。 28日以内の臨床的改善の割合は、血漿療法群が51.9%(27/52例)、対照群は43.1%(22/51例)であり、両群間に有意な差は認められなかった(群間差:8.8%、95%信頼区間[CI]:-10.4~28.0、ハザード比[HR]:1.40、95%CI:0.79~2.49、p=0.26)。 重症例における28日以内の臨床的改善の割合は、血漿療法群が91.3%(21/23例)と、対照群の68.2%(15/22例)に比べ有意に良好であった(HR:2.15、95%CI:1.07~4.32、p=0.03)のに対し、重篤例ではそれぞれ20.7%(6/29例)および24.1%(7/29例)であり、有意な差はみられなかった(0.88、0.30~2.63、p=0.83)(交互作用のp=0.17)。 28日死亡率には両群間に差はなかった(血漿療法群15.7% vs.対照群24.0%、オッズ比[OR]:0.65、95%CI:0.29~1.46、p=0.30)。また、無作為割り付けから死亡までの期間にも差がなかった(HR:0.74、0.30~1.82、p=0.52)。重症例では、血漿療法群に死亡例はなく、対照群では2例が死亡した。重篤例ではそれぞれ8例(28.6%)および10例(35.7%)が死亡した。 無作為割り付け時から28日までの退院例の割合(51.0% vs.36.0%、HR:1.61、95%CI:0.88~2.93、p=0.12)にも、両群間に有意な差はなかった。重症例の28日退院率は、血漿療法群で91.3%に達したが、対照群の68.2%との間に有意な差はなかった(p=0.07)。 一方、PCR検査の結果が陰性化した患者の割合は、24時間後(44.7% vs.15.0%、OR:4.58、95%CI:1.62~12.96、p=0.003)、48時間後(68.1% vs.32.5%、4.43、1.80~10.92、p=0.001)、72時間後(87.2% vs.37.5%、11.39、3.91~33.18、p<0.001)のいずれにおいても、血漿療法群で高かった。重症例では、24時間後と48時間後に有意な差はなかったが、72時間後には有意差が認められ(p<0.001)、重篤例ではいずれの時間にも有意差がみられた(p=0.01、p=0.003、p<0.001)。 血漿療法群の2例で注入関連の有害事象が発現した。重症例の1例では、注入から2時間以内に悪寒と発疹が、重篤例の1例では、6時間以内に息切れ、チアノーゼ、重症呼吸困難がみられたが、いずれも支持療法により改善した。 著者は、「本試験は早期に中止となったため、臨床的に重要な差の検出力が低い可能性があり、これらの知見の解釈には限界がある」としている。

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第11回 医療従事者には最大20万円の慰労金、二次補正予算が成立

<先週の動き>1.医療従事者には最大20万円の慰労金、二次補正予算が成立2.病院の再編・統合に向け、地域包括ケア病棟の開設条件を緩和3.今年の薬価調査・薬価改定に関係業界から延期論が相次ぐ4.新型コロナによる受診抑制の影響が明らかに(日本医師会)5.新型コロナ接触確認アプリが今週以降にリリース1.医療従事者には最大20万円の慰労金、二次補正予算が成立6月12日、第2次補正予算案が参議院本会議にて賛成多数により可決、成立した。厚生労働省分は追加額4兆9,733億円(うち一般会計3兆8,507億円、労働保険特別会計1兆4,446億円)であり、「感染拡大の抑え込み」と「社会経済活動の回復」の両立を目指すための対策を強化したものとなっている。具体的には、新型コロナ感染者対策として、病床の確保や人工呼吸器の整備、地域の医療提供体制を強化するため「緊急包括支援交付金」2兆2,370億円の増額分が含まれている。新型コロナ患者を受け入れた医療機関のスタッフや感染が発生した介護施設などの職員に対して、慰労金として20万円のほか、患者の受け入れのため病床確保に協力した医療機関のスタッフなどに10万円、その他の医療機関などで働く人には5万円の支給もこの予算成立によって実施される。(参考)新型コロナウイルス感染症対策関係 令和2年度 厚生労働省第二次補正予算案のポイント(厚労省)2.病院の再編・統合に向け、地域包括ケア病棟の開設条件を緩和今年4月から、地域包括ケア病棟は400床以上の病院では開設できないとされていたが、6月10日に開催された中央社会保険医療協議会総会において、病院の再編・統合によって400床以上となった場合においては、規制を緩める方針が打ち出された。今回の規制緩和は、地域の病院再編・統合により地域包括ケア病棟の新規届け出ができなくなることによって、地域医療提供体制の見直しに支障が出てしまうことを防ぐためのもの。医療提供体制について、地域医療構想調整会議で合意が得られている場合、地域包括ケア病棟を1棟に限り開設が可能となる。今月中に改正通知が発出される見込み。(参考)地域包括ケア病棟入院料の取扱いについて(中医協)3.今年の薬価調査・薬価改定に関係業界から延期論が相次ぐ6月10日にオンライン開催された中医協薬価専門部会において、日本医薬品卸売業連合会などから、2年おきから毎年改定となった今年度の薬価調査について、否定的な意見が出された。現在、大半の医薬品卸売業者は、医療機関側からの訪問自粛要請を受けて、通常の納品・配送業務以外、ほとんど営業活動ができていないため、現状では対応が困難であるとしている。また、日本製薬団体連合会からも、平時とは大きく異なる厳しい状況の中、医療提供体制の確保や医薬品流通における安定供給のために全力を傾注しており、今回の薬価調査・薬価改定を実施する状況にはないとの考えを示した。製薬業界としては、COVID-19に対する有効で安全な治療薬やワクチンの研究開発について、あらゆるリソースを最大限に活用し、優先的かつ迅速に取り組まなければならないとしている。日本医師会と日本歯科医師会、日本薬剤師会も、部会後に記者会見を開き、延期が望ましいとする意見を述べている。(参考)中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第166回) 議事次第「関係業界からの意見聴取令和2年度薬価調査の実施の見送りについて(日本医師会)4.新型コロナによる受診抑制の影響が明らかに(日本医師会)日本医師会は、6月10日の記者会見において、新型コロナ感染症拡大期であった2020年3~4月の医療機関経営の状況についての調査結果を明らかにした。4月の入院外総点数は前年に比べて大幅に減少しており、前年同月比で初診料3割以上、再診料は1割以上減。入院外総点数の減少は新型コロナ患者の受入れにかかわらず、総件数が減少していることから、受診控えが理由と考えられる。一方、電話などによる初診は、算定回数としてはわずかであったが、病院の4.2%、診療所の5.6%で実施されており、再診も4月に入って大幅に増加し、再診料または外来診療料に占める電話等再診の算定割合は病院で2.12%、診療所で1.69%であった。同会は、長期処方、電話等再診が拡大していることから、新型コロナ収束後も受診が戻らないことを懸念しており、「このまま国民の医療機関へのアクセスが疎遠になり、健康が脅かされることのないよう、国民への適切な受診勧奨も必要である」とコメントしている。(参考)新型コロナウイルス感染症対応下での医業経営状況等アンケート調査(2020年3~4月分)(日本医師会)5.新型コロナ接触確認アプリが今週以降にリリース6月中旬に公開予定の「新型コロナウイルス接触確認アプリ」について、厚労省から概要が発表された。新型コロナ感染症拡大防止のために、利用者本人の同意を前提に、スマートフォンのBluetoothを利用して、プライバシーを確保しつつ、新型コロナ陽性者と接触した可能性について通知を受けられる仕組み。同様の試みは韓国やシンガポールなどで導入されているが、効果を発揮させるためには利用者数を増やす必要があり、今後、アプリについての積極的な広報活動が重要となる。(参考)新型コロナウイルス接触確認アプリ COVID-19 Contact-Confirming Application(厚労省)「新型コロナ感染者を追跡するアプリ」が海外で話題。プライバシーの犠牲も止むなしなのか?(GetNavi web)

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第42回 心電図中級への道:右心系を“チラ見”するテクニック(前編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第42回:心電図中級への道:右心系を“チラ見”するテクニック(前編)右心系(右房、右室)の心電図異常の特徴をおさえられれば、心電図的には“中級レベル”に入った証。「右房拡大」についてはこれまで何度か扱いましたが、今回は「右室肥大」(RVH)について扱いましょう。左心系に比べて頻度が低いのですが、出会った時にビシッと診断できると病態把握やマネージメントの質が向上するでしょう。心電図の話をする前に、今回は軽めに病態の考え方を整理して、次回以降の心電図の話につなげたいと思います。【問題1】以下のうち、心電図において「右室肥大」(RVH)所見を呈することが稀なものをすべて選べ。1)ファロー四徴症2)慢性気管支炎3)高血圧性心疾患4)心室中隔欠損症5)肺動脈性肺高血圧症6)肺動脈弁狭窄症7)大動脈弁狭窄症8)慢性血栓塞栓性肺高血圧症9)気管支喘息10)細菌性肺炎解答はこちら(3)、(7)、(10)解説はこちら今回、次回は心電図における「右室肥大」(RVH)を扱いますが、その前に病態生理を考えましょう。いずれも循環器専門の方はよく見る疾患ですよね。心電図でのRVH所見は右室に「容量」(ボリューム)より「圧」(プレッシャー)の負荷を生じる疾患が代表的で、それに注目して選んでくださいね。“心電図界での「右室肥大」の考え方”「肥大」とは、病的に心筋重量が増えることですよね。ボディービルダーのように心室筋が厚さを増す「求心性」、英語では「concentric」と呼ばれる肥大と、壁厚は不変ないし減少しても膨らんだ風船のように全体的にサイズアップする「遠心性」(こちらは「eccentric」)な肥大の2パターンがあります。右室への“負荷”という観点では、求心性肥大は「圧負荷」、遠心性肥大は「容量負荷」と関連することが多いことはご存じでしょう。「左室肥大」(LVH)のところでも述べましたが、RVHに関してはより顕著で、検査としての感度・特異度いずれの面において心電図は心エコーにかないません。というのも、正常時から左室に比べて心筋量の少ない右室では、相応の求心性肥大でないとなかなか心電図所見として現れにくいからです。たとえば、“ARVC”と称される「不整脈原性右室心筋症(異形成はARVD)」という病気があります。これは拡張型心筋症(DCM)と類似の病態が右室メインに生じて右心不全(と心室性不整脈)を生じますが、高度に右室拡大(遠心性肥大)をきたしてもRVHの心電図を呈することは稀だと思います。心電図のRVH所見と関連づけておくべき病態のDr.ヒロ流整理法を以下に示します。■右室肥大を見た時に考える病態■(ア)肺動脈弁ないしその手前(右室流出路)の狭窄(イ)先天性心疾患(ウ)肺高血圧症(エ)慢性呼吸器疾患(肺性心)これら個々の疾患を丸暗記するのではなく、うまく考えてできるだけ“覚えない”のがポイントです。(ア)は肺動脈弁狭窄症が典型です。肺動脈弁より手前で右室から肺動脈につながる「右室流出路」の狭窄を呈するファロー四徴症も病態的には類似します(こちらは[イ]にも該当します)。(ウ)は肺動脈性肺高血圧症や慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)が該当します。どちらも日常臨床で頻繁に見かける疾患ではないですが、基本的には高血圧でLVHを生じるのと同じ考え方と思っておきましょう。心室中隔欠損症(VSD)は(イ)の“代表選手”で通常「左→右シャント」となる右室への流入血による「容量負荷」をきたします。負荷が一定以上となるとRVH所見が見られることがあります。先天性心疾患のすべてで右心系負荷、RVHを生じるわけではありませんが、頻度が高いのは事実ですし、特殊疾患*1でバリエーションも豊富、そもそも心電図による詳細な診断は不可能です(心エコーの独壇場)。ですから、ボクは心電図でRVHを考える場合、「先天性心疾患」という大きな括りでとらえ、疾患の“微”や“細”には立ち入らないスタンスを推奨しています。(エ)は“cor pulmonale”(肺性心)と表現され、普通は慢性的な呼吸器疾患による影響(肺高血圧症)が右心系に反映されるというものです。慢性気管支炎や肺気腫などCOPDと呼称されるもの、また管理不良の気管支喘息も肺性心の一因となることが知られています。*1:成人に関しても“ACHD”(Adult Congenital Heart Disease)が専門領域の一つとして認知されつつある。今回はここまでにしましょう。心電図を見るだけでは、右室肥大を生じている原因(疾患)まで特定することはできません。ただ、発見のキッカケが心電図となることも多いのが現実です。それが不意の”中級”への入門試験かもしれません。今回のような考え方で鑑別を挙げ、次の診断プロセスに進んで行ければ、普段の臨床現場で心電図を”活かす”―その言葉が真となるはずです。次回、実際の症例を用いて引き続き「右室肥大」を考えます。乞うご期待!Take-home Message右室への圧負荷を呈する病態が「右室肥大」(RVH)心電図を来すケースが多いので、代表的な4つのパターンをおさえよう。【古都のこと~安国寺】安国寺(景徳山)は、通常の寺院と比べ雰囲気が一風変わっているのでオススメです。JR綾部駅からバスで15分くらい、車なら京都縦貫自動車道からインターチェンジ*1を降りてすぐで、京都市内中心部から1時間半はかかりません。安国寺は室町幕府を築いた足利尊氏と非常に深いつながりがあります。正暦年間(990~995年)に開創され、はじめは光福寺と呼ばれていました。この辺りはもともと上杉荘と呼ばれていましたが*2、足利貞氏家に嫁いだ上杉清子は、同寺門前の別邸*3に里帰りし、1305年(嘉元3年)に尊氏を出産*4します。以後、光福寺は上杉・足利両氏の尊崇を受けることになります。その後、時代が鎌倉から南北朝、そして室町へと変わる激動の中、尊氏は夢窓疎石の勧めで、後醍醐天皇をはじめ戦乱で亡くなった人々の冥福や菩提を祈るため、国ごとに安国寺・利生塔(りしょうとう)の建立を発願し、1338年(暦応元年)自身のルーツでもある光福寺を丹波の安国寺とし、諸国の筆頭に置きました。何といっても目を引くのは、茅葺き屋根の本殿で、どことなく田舎の原風景を感じさせます。本尊に手を合わせ、なぜかホッコリ(笑)。尊氏が三つ並びで母と妻(登子)と眠るとされる宝篋印塔(ほうきょういんとう)に一礼し、紅葉シーズンの境内の風情を想像しながら、その場を後にしました。*1:綾部安国寺IC。綾部市は日本有数の繊維メーカーがあることでも知られる。*2:勧修寺重房が1252年(慶長4年)に上杉荘を賜り、「上杉」を姓とするとともに、光福寺は上杉氏の菩提寺となった。*3:のちに安国寺に寄進され、常光寺という門外塔頭(たっちゅう)となっていたが、大正初年に廃寺となった。*4:産湯に使ったとされる井戸も残されている。

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「そろそろ禁煙しないと」と思っているだけの患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第34回

■外来NGワード「禁煙しなさい!」(これでできたら苦労していない)「喫煙を続けると早死にしますよ!」(ショックを与える言動)「タバコの本数を減らしなさい!」(あいまいな節煙指導)■解説 新型コロナ感染症の重症化には、糖尿病、心不全、呼吸器疾患、透析などに加え、喫煙が強く関係しています。喫煙室は、新型コロナウイルス感染リスクが高い「3密」(密閉、密集、密接)の代表ともいえます。また、テレワークや休校のために、喫煙者が家でタバコを吸う機会が多くなり、家族の受動喫煙のリスクも高まっています。このようなパンデミックは、経済的な負担だけでなく精神的なダメージも大きく、「ストレスで喫煙本数が増えた」という患者さんもおり、普段以上に禁煙のハードルが高くなっているのかもしれません。禁煙治療には、ニコチンパッチ・ニコチンガムなど(ニコチン代替療法)や、禁煙補助薬バレニクリンなどを用いた薬物療法があります。薬物療法に行動療法(行動パターン変更法、環境改善法、代償行動法など)を組み合わせることで、禁煙成功率は高まります。しかし、すぐに禁煙しようとしない無関心期にある患者さんの場合、本数を減らすという選択肢もあります。コクランによると、禁煙する前に喫煙本数を減らすのと、ただちに完全禁煙する場合では、同程度の禁煙成功率であるとのエビデンスが報告されています1)。徐々に減らす場合には、1~2週間後に禁煙するという目標を立てることが大切です。新型コロナ感染症にはACE2受容体が関係するとの報告がありますが、喫煙はACE2受容体の発現を増加させます。喫煙が新型コロナウイルス感染症の重症化に深く関わることを上手に説明して、禁煙に真摯に向き合ってもらえるといいですね。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師最近、タバコの本数はいかがですか?患者今、テレワークになって家にずっといるんですが、子供も家にいるのでタバコが吸いづらくて。医師なるほど。確かに、ご家族にとっては受動喫煙になりますからね。患者そうなんです。妻から、「家の中では吸わないで」と言われていて…。医師どこで吸っておられるんですか?患者外に出て吸っています。近くに喫煙所もないし、マンションのベランダも喫煙禁止なので。医師なるほど。喫煙室も3密ですし、吸える場所がだんだん少なくなってきましたね。患者そうなんですよ。医師ところで、喫煙が新型コロナの重症化に深く関わっているのはご存じですか?患者やっぱり、そうですよね。そろそろ、禁煙しないといけないとは思っているんですが。医師これをきっかけに、禁煙について真剣に考えてもいいかもしれませんね。患者はい。けど、スパッと禁煙する自信がなくて。医師そんな人でも禁煙できる方法がありますよ!(前置きする)患者それはどんな方法ですか?(禁煙の準備についての話に進む)■医師へのお勧めの言葉「コロナをきっかけに、禁煙について真剣に考えてみませんか?」1)Lindson N, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2019;9:CD013183.2)Berlin I, et al. Nicotine Tob Res. 2020 Apr 03. [Epub ahead of print]3)Vardavas CI, et al. Tob Induc Dis. 2020;18:20.4)Seys LJM, et al. Clin Infect Dis. 2018;66:45-53.5)Brake SJ, et al. J Clin Med. 2020;9:841.

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ACE2遺伝子発現の年齢依存的な増加はCOVID-19重症化と関連?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、小児では比較的重症化しにくいとされている。その要因の1つとして、小児の鼻上皮におけるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)発現が成人より少ないことがあるかもしれない。米国・Icahn School of Medicine at Mount SinaiのSupinda Bunyavanich氏らの調査で、鼻上皮におけるACE2遺伝子発現が年齢とともに増加することが示された。JAMA誌オンライン版2020年5月20日号リサーチレターでの報告。ACE2遺伝子発現は10歳未満で最も低く、年齢とともに増加 本研究は、2015~18年にMount Sinai Health System(ニューヨーク市)を受診した4~60歳の患者の鼻上皮を後ろ向きに調査した。サンプルは、喘息におけるバイオマーカー研究のため、喘息の有無にかかわらず収集されたもの。線形回帰モデルは、統計処理ソフトウェアR version 3.6.0(R Foundation)を使用して、ACE2遺伝子発現を100万当たりのlog2カウントで従属変数として、年齢層を独立変数として作成した。年齢層は、10歳未満(45例)、10〜17歳(185例)、18〜24歳(46例)、25歳以上(29例)の4群に分類した。 4~60歳のCOVID-19患者のACE2遺伝子発現を調査した主な結果は以下のとおり。・305例のコホートが収集され、そのうち48.9%が男性、49.8%が喘息だった。・鼻上皮に年齢依存的なACE2遺伝子発現が見られた。ACE2遺伝子発現は、10歳未満で最も低く2.40(95%信頼区間:2.07~2.72)で、年齢とともに増加し、10〜17歳では2.77(同:2.64~2.90)、18〜24歳では3.02(同:2.78~3.26)、25歳以上では3.09(同:2.83~3.35)だった。・従属変数としてのACE2遺伝子発現および独立変数としての年齢層を使用した線形回帰は、年少児と比較して、ACE2遺伝子発現が年長児(p=0.01)、若年成人(p<0.001)、および成人(p=0.001)で有意に高かったことを示した。・性別と喘息について調整された線形回帰モデルでも、ACE2遺伝子発現と年齢層間に有意な関連(両側検定、有意な閾値:p≦0.05)が示され、この関連が性別と喘息に依存しないことを示した。 著者らは「この研究結果は、SARS-CoV-2と人体の最初の接触点である鼻上皮におけるACE2発現が年齢依存的であることを示している。成人に比べて子供のACE2発現が低いことが、COVID-19が子供に少ない理由を説明するのに役立つかもしれない。なお、本研究の限界として60歳以上の検体が含まれていないということがある」と述べている。

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周術期のCOVID-19、術後肺合併症や死亡への影響は/Lancet

 手術を受けた重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染患者では、2割以上が30日以内に死亡し、約半数が術後肺合併症を発症しており、全死亡例の約8割に肺合併症が認められたとの調査結果が、英国・バーミンガム大学のDmitri Nepogodiev氏らCOVIDSurg Collaborativeによって報告された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年5月29日号に掲載された。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行以前には、質の高い国際的な観察研究により、術後の肺合併症(最大10%)および死亡(最大3%)の割合は確立されていた。研究グループは、COVID-19が世界的に流行している現在および収束後に、外科医と患者がエビデンスに基づく意思決定を行えるようにするには、術後の肺合併症と死亡に及ぼすSARS-CoV-2の影響を明らかにする必要があるとして本研究を行った。235施設が参加した国際的なコホート研究 本研究は、24ヵ国235施設が参加した国際的なコホート研究であり、2020年1月1日~3月31日の期間に実施された(英国国立健康研究所[NIHR]などの助成による)。 対象は、手術の7日前~30日後の期間にSARS-CoV-2感染と診断された患者であった。良性疾患、がん、外傷、産科などを含むあらゆる適応症で手術を受けた患者が対象となった。年齢制限は各参加施設の規定に基づき、小児も含まれた。 主要アウトカムは、術後30日以内の死亡とした。主な副次アウトカムは、肺合併症(肺炎、急性呼吸急迫症候群[ARDS]、術後の予期せぬ換気[術後抜管後の侵襲的・非侵襲的換気、体外式膜型人工肺のエピソード、または患者が術後に計画どおりに抜管できなかった場合])であった。流行期はとくに70歳以上の男性で手術の閾値を高くすべき 2020年5月2日の解析の時点で、30日間のフォローアップが完了した1,128例が解析に含まれた。605例(53.6%)が男性で、214例(19.0%)が50歳未満、353例(31.3%)が50~69歳、558例(49.5%)が70歳以上であった。 術前にSARS-CoV-2感染が確定していたのは294例(26.1%)で、術後の確定例は806例(71.5%)だった。835例(74.0%)が緊急手術、280例(24.8%)は待機的手術を受けた。手術の内訳は、良性疾患が54.5%、がんが24.6%、外傷が20.1%であり、小手術が22.3%、大手術は74.6%であった。 30日死亡率は23.8%(268/1,128例)だった。補正後解析では、以下の6つが30日死亡の有意な予測因子であった。 男性(女性と比較したオッズ比[OR]:1.75、95%信頼区間[CI]:1.28~2.40、p<0.0001)、年齢70歳以上(70歳未満と比較したOR:2.30、1.65~3.22、p<0.0001)、米国麻酔学会(ASA)の術前状態分類のGrade3~5(Grade1/2と比較したOR:2.35、1.57~3.53、p<0.0001)、がんの診断(良性疾患/産科の診断と比較したOR:1.55、1.01~2.39、p=0.046)、緊急手術(待機的手術と比較したOR:1.67、1.06~2.63、p=0.026)、大手術(小手術と比較したOR:1.52、1.01~2.31、p=0.047)。 肺合併症は577例(51.2%)で発生した。このうち、456例(40.4%)が肺炎、240例(21.3%)が予期せぬ換気、162例(14.4%)はARDSであった。肺合併症例の30日死亡率は38.0%(219/577例)であり、非肺合併症例の8.7%(46/526例)に比べて高かった(p<0.0001)。また、肺合併症は、全死亡例の81.7%(219/268例)に認められた。補正後解析では、男性(OR:1.45、95%CI:1.07~1.96、p=0.016)およびASA Grade3~5(2.74、1.89~3.99、p<0.0001)は、肺合併症の独立の予測因子であった。 著者は、「COVID-19の世界的流行の期間中は、とくに70歳以上の男性において、通常の診療時よりも手術の閾値を高くすべきである。また、緊急性のない手術の延期を検討し、手術の遅延や必要性の回避を目的とする非手術的治療の積極的導入を考慮する必要がある」と指摘している。

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acalabrutinib、新型コロナ重症例のサイトカインストーム改善/アストラゼネカ

 多施設無作為化非盲検国際共同試験のCALAVI試験において、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤acalabrutinib(国内未承認)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者の炎症マーカーを低下させ、臨床転帰を改善したと示された。これを受け、アストラゼネカは2020年6月5日に本試験結果を発表。Science Immunology誌2020年6月5日号にも同時掲載された。 現在、ウイルス誘発性の過剰免疫反応(高サイトカイン血症、サイトカインストーム)がCOVID-19患者の呼吸器疾患の主な発症機序であると仮説が立てられている。そこで、本試験ではCOVID-19入院患者を対象とし、既存のベストサポーティブケアにacalabrutinibを追加した併用療法による効果について検証された。主要評価項目は治療後の生存患者数および呼吸不全を回避できた患者数。本試験は世界中で実施されており、米国、欧州、そして日本も参加している。 本試験結果によると、acalabrutinibをCOVID-19重症患者19例(酸素補充:11例、人工呼吸器管理:8例)に投与。10〜14日間の治療コースにおいて、acalabrutinib投与により大部分の患者の酸素化を改善した。また、CRPとIL-6、リンパ球の減少と相関して酸素化が改善した。acalabrutinib投与終了後、酸素補充を要した11例中8例(72.7%)と人工呼吸器管理を要した8例中2例(25%)は室内気で退院。人工呼吸器管理を要した8例中4例(50%)は抜管に成功した。 次世代の選択的BTK阻害薬のacalabrutinibは、B細胞の増殖・輸送・遊走化、および接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こすBTKに結合し、阻害作用を発揮する。現在、日本国内では未承認であるが、成人の慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ性リンパ腫(SLL)、成人マントル細胞リンパ腫(MCL)の治療薬として米国、オーストラリア、アラブ首長国連邦、インドなどで承認されている。ただし、現時点でSARS-CoV-2関連疾患の治療薬としては承認されていない。

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第10回 救える未来があるならば高額薬でもいいじゃない-ゾルゲンスマは少子化対策の切り札だ

新型コロナウイルス感染症パンデミックに伴い、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく緊急事態宣言が行われたインパクトは絶大で、その間起きていた現象やニュースはやや吹き飛ばされた感がある。その一つが5月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)で薬価収載が了承された脊髄性筋萎縮症治療薬・ゾルゲンスマ(一般名:オナセムノゲン アベパルボベク)の件である。1患者当たりの薬価は1億6,707万7,222円と薬価収載品としては初の億超えを記録。従来の最高薬価はCAR-T細胞療法・キムリアの投与1回当たり3,349万3,407円であり、その5倍超の薬剤が登場したことになる。もっともこの件は、既に2019年5月に米・FDAの承認が先行し、そこで日本円にして2億3,300万円の薬価がついていたために、「ああ、やっぱり」という程度の反応だった医療関係者も少なくないだろう。この薬価収載了承時の新聞各紙の見出しを並べると、次のようになる。ゾルゲンスマ、1回1.7億円 難病治療薬、保険対象に 厚労省(朝日新聞)超高額薬「ゾルゲンスマ」保険適用を了承 国内最高の1億6707万円(毎日新聞)難病治療薬「ゾルゲンスマ」薬価1億6700万円で保険適用(読売新聞)乳幼児難病薬1.6億円 最高額、保険適用へ 脊髄性筋萎縮症(産経新聞)医療保険ゆさぶる高額薬 1億6707万円、20日保険適用(日本経済新聞)メディアの側にいる身として、こういう見出しにならざるを得ないことは重々承知している。そして記事の中身については、医療保険財政への影響に関する言及の仕方で3つに分けられる。影響を懸念:産経新聞、日本経済新聞影響はなし:読売新聞言及はせず:朝日新聞、毎日新聞もっともこれらの記事中にもあるように、ゾルゲンスマの投与対象となる患者は年25人程度で、年間売上高は42億円の見込みであるため、前述の分類で厳格に採点するならば、後二者が○になる。脊髄性筋萎縮症、そしてゾルゲンスマとは?そもそも脊髄性筋萎縮症(SMA:spinal muscular atrophy)は、ざっくり言えば、運動神経細胞生存(SMN:survival motor neuron)遺伝子の欠失あるいは変異により筋力低下、筋萎縮、深部腱反射の減弱・消失を起こす遺伝性疾患だ。小児期に発症するI型(重症型、別名:ウェルドニッヒ・ホフマン病)、II型(中間型、別名:デュボビッツ病)、III型(軽症型、別名:クーゲルベルグ・ウェランダー病)、成人期に発症するIV型に分類される。発症時期が早期であればあるほど重症で、生後6ヵ月ごろまでに発症するⅠ型の場合、ミルクを飲むことすら困難で、支えなしに座ることすらできない。人工呼吸器を用いなければ、ほとんどの患者が1歳半までに死亡するという厳しい予後である。ゾルゲンスマは、アデノ随伴ウイルス(AAV:Adeno Associated Virus)にSMAの原因となるSMN遺伝子を組み込んだもの。これを1回注射することで正常な遺伝子を長期的に補い、症状を改善する。I型SMA患者15例を対象に行われた海外の第Ⅰ相試験・CL-101試験では、投与後24ヵ月のフォローアップ完了時点で全員が人工呼吸器なしで生存。支えなしで座るなど、運動機能も大幅に改善されたことがわかっている。まだまだ長期評価は必要だが、ある種の治癒に近い状態が得られる可能性も指摘されている。高額新薬への財政懸念と命を天秤に掛ける?こうした薬剤が世に出るようになった背景には、製薬業界の変化と技術革新がある。従来、製薬企業各社は生活習慣病領域など、メガマーケットを軸に創薬を行ってきたが、これらの領域では近年、創薬ターゲットが枯渇しつつある。その結果、1ヵ国での患者数は少ないものの、世界的に見れば一定の患者数があり、なおかつ高薬価になる難病・希少疾患に対する創薬が活発化してきた。これを「カネ亡者」と評する向きもあることは承知しているが、結果として患者への恩恵が増えていることからすれば、私個人はどうでもいいことと思っている。むしろそれ以上に、こうした高薬価の希少疾病治療薬が登場する度にむしずが走るのが「知ったかぶりの保険財政懸念派」である。世界最速の少子高齢化が進行する日本では、将来的に医療保険財政の逼迫は確実である。しかし、その陰で飲み忘れや自己中断による残薬の額が年間推定約500億円にものぼるとの試算を代表に、数々の無駄が指摘されている。国民皆保険を維持しながら持続的な社会保障制度を維持していくとするならば、少子高齢化のうち、「高齢化」については、医療とは無縁ではいられない高齢者での医療費適正化・低減化に取り組むのは当然と言えば当然で、そのために国や現場の医療従事者が必死に取り組んでいるのは百も承知している。しかし、少子高齢化のうち「少子化」については、どうにも決定打に欠ける政策ばかりだと常に感じている。今年5月29日に閣議決定された第4次の「少子化社会対策大綱」を見ても溜息が出る。要は働き方改革・IT化による「産めよ増やせよ」でしかない。だが妊娠・出産、さらにその後の育児は男女のパートナーシップの中での価値観に左右されるもので、単に労働時間や子育て関連給付の変更で何とかなるものではないことは明らかである。少子化対策の発想転換を一方、視点を変えて厚生労働省が発表する人口動態統計2018年版を見てみよう。年齢・死因別でみると、今回のSMAに代表されるような「先天奇形、変形及び染色体異常」により亡くなる未成年は758人いる。同じく、がんで380人、心疾患で139人の未成年が命を落とす。周産期にかかわる障害などで500人弱の0歳児の命が失われている。これらは統計上、各年齢で死因トップ10に挙げられているものを集計しただけで、そのほかにも医療の進化・充実次第で失われなくて済む若年者がいる。たぶんその数は10代までで数千人はいるだろうし、これを20代まで拡大するなら万単位になるだろう。「そんな数はたかだか知れている」という御仁もいるかもしれない。しかし、考えてみて欲しい。厚生労働省が2019年12月に発表した人口動態統計の年間推計によると、同年の日本人の国内出生数は86万4,000人である。今後この数は確実に減少していく。ならば、新規出生数の1%程度の若年者数千人の命を医療で救うことができるならばそれも十分意味のあることではないだろうか?そしてもし前述のような若年者が医療のおかげで一定レベルの日常生活を取り戻せるならば、彼らが将来働くことで経済を潤すかもしれないし、直接的にお金には換算できなくとも新たな価値を生む可能性だってある。またその介護などに時間を割かれていた家族も働くことができるようになるかもしれない。さらにはこうした若年者が家庭を持って子供を持つかもしれない。その意味で「少子高齢化」対策として、若年者を死なせない医療・創薬という視点があってもいいのではないかと常に思っている。どうにも大人の世界は引き算ばかりの夢のない世界になりがちだ。実は私は過去のテレビCMで今でも時々思い出すものがある。いつの時期だったか忘れたがNTTドコモのCMだ。CMでは手塚治虫原作のSF漫画「鉄腕アトム」の白黒テレビアニメ時代の映像が登場し、その手には携帯のようなものが握られている。鉄腕アトムのテーマソングをバックに流れたキャッチフレーズは次のようなものだった。「僕たちが夢見た未来がやってきた」これまで、難病で失われていった若年者にも生きていた時に夢見た未来があったはず。それを大人の銭感情だけで汚して良いものかと、ゾルゲンスマの薬価収載に際して思うのだ。今回のSMAについては患者家族による「脊髄性筋萎縮症家族の会」がある。このホームページの背景にはSMA患者の子供たちの写真がモザイクのように配され、その多くが人工呼吸器を装着している。ゾルゲンスマは適応が2歳未満となっているため、世界各地で承認を待ちわびながらも間に合わず、やむなく気管切開して人工呼吸器を装着したSMA患者も少なくないと聞く。私はこのホームページの背景が人工呼吸器なしで笑う子供たちで埋め尽くされ、したり顔で経済性を語っていた大人が黙りこくる未来がやってくることを今期待している。

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“シャリテ-”はドイツの誇り【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第11回

先日、ドイツのクリスチャン・ドロステン教授が「コロナ対策は日本をモデルにするべきだ」とコメントして、日本でもそのことがニュースになりました。このドロステン教授、超有名な先生で、この先生の発言に連日ドイツ中が注目している状況です。ドロステン先生は画像のようにイケメンでベルリンにある「シャリテー病院」のウイルス学の教授です。実はこの「シャリテー」と言う施設、恥ずかしながら私ドイツに来るまで名前も知りませんでした。シャリテーは約300年の歴史シャリテーは“Charite”(eはアキュート・アクセント)と書きます。フランス語で「博愛」を意味する単語です。なんでフランス語なのか、何人か聞いてみたことがあるのですが、結局わからずじまいでした。設立は1710年で、300年以上昔になります。そもそも「ドイツ」と言う国ができるよりずっと前からあるので、当時の「国」とか「言語」とか、今の区分で分類すること自体ナンセンスなのかもしれません。シャリテーはドイツでは医療従事者でなくともその名を知っている「ドイツの誇り」だと教えてもらいました。2019年のニューズウィーク誌世界病院ランキングで5位。ヨーロッパでは最高位にランクされている病院です。ベルリン大学と提携していて、ベルリン市内にいくつか施設があります。全部で3,000床以上の病床数を誇ります。ドイツの医学研究をリードするシャリテードイツのノーベル生理学・医学賞のほとんどはシャリテー出身者が受賞しています。細菌学のロベルト・コッホも、外科領域でもよく耳にするルドルフ・ルートヴィヒ・カール・フィルヒョウ(病理学者)、テオドール・ビルロート(外科医)などのビッグネームもシャリテー出身です。そして、日本からも森鴎外や北里柴三郎などが留学していたことで知られています。 建物の内部は(すべて見たわけではないのですが)殺風景で、お洒落さはほとんど感じません。廊下も基本的に狭いし、デザインも単調なので迷子になりそうです。無駄なところにお金をかけない、「いかにもドイツの病院」と言った感じです。しかし、どの分野においても、世界をリードする最新の治療がここでは行なわれています。たとえば心臓外科領域に関して言えば、ドイツに3つある国立心臓センターのうちの1つがシャリテーの中に組み込まれています。この歴史を感じさせる建物が、「ベルリン心臓センター」です。200床程度の小さな病院ですが、年間3,500例を超える心臓・大血管手術をこなし、冠動脈、弁膜症、大血管…それぞれの分野のエキスパートが揃っています。移植大国ドイツでも屈指の心移植数を誇り、年間100例の心移植を達成したこともあるそうです。日本で初めて認可された小児用補助心臓を制作している「ベルリンハート社」はドイツ心臓センターが設立した会社だそうです。外見に負けず劣らず、内装も歴史を感じさせる建物でしたが、現在移転のプロジェクトが進んでいるとのことです。

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COVID-19、抗がん剤治療は死亡率に影響せず/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患したがん患者の死亡率は、主に年齢、性別、基礎疾患により上昇することが示された。また、細胞障害性抗がん剤または他の抗がん剤治療中のがん患者が、こうした積極的治療を受けていない患者と比べて、COVID-19による死亡リスクが高いというエビデンスを確認できなかったという。英国・Institute of Cancer and Genomic SciencesのLennard Y. W. Lee氏らが、UK Coronavirus Cancer Monitoring Project(UKCCMP)による前向きコホート研究の結果を報告した。がん患者、とくに全身薬物療法を受けている患者は、COVID-19による死亡リスクが高いと考えられていたが、この推測を支持する大規模な多施設共同研究のデータは乏しかった。Lancet誌オンライン版2020年5月28日号掲載の報告。UKCCMPに登録された最初の新型コロナ感染症のがん患者800例を解析 UKCCMPは、COVID-19のがん患者における臨床的および人口統計学的特徴とCOVID-19の転帰を検討し、がんの存在およびがん治療がCOVID-19に及ぼす影響を評価する目的で、2020年3月18日に発足した、最初のCOVID-19臨床レジストリである。ほぼリアルタイムでデータの収集、分析およびレポートを可能にし、迅速な臨床的意思決定をサポートしている。 研究グループは、英国がんネットワークのがんセンターを受診しているすべてのがん患者のうち、鼻咽頭拭い液のRT-PCR検査でSARS-CoV-2陽性と判定された患者を登録した(画像診断または臨床的にCOVID-19と診断されてもRT-PCR検査が陰性の患者は除外)。 今回は、2020年3月18日~4月26日の期間に、英国内のがんセンター55施設で登録された症候性COVID-19を有するがん患者800例について解析した。主要評価項目は、患者が入院中にその施設で評価された全死亡または退院である。抗がん剤はがん患者の新型コロナ感染症による死亡に有意な影響を及ぼさない 解析対象800例のうち、412例(52%)は軽症COVID-19で、226例(28%)が死亡した。死亡リスクは、年齢の上昇(オッズ比[OR]:9.42、95%信頼区間[CI]:6.56~10.02、p<0.0001)、男性(OR:1.67、95%CI:1.19~2.34、p=0.003)、高血圧(OR:1.95、95%CI:1.36~2.80、p<0.001)および心血管疾患(OR:2.32、95%CI:1.47~3.64、p=0.0003)などの基礎疾患の存在と有意な関連が認められた。 281例(35%)が、RT-PCR検査で陽性と判定される前4週以内に細胞障害性抗がん剤による治療を受けていた。年齢、性別、基礎疾患で補正すると、新型コロナウイルス感染症による死亡率は、過去4週間に抗がん剤治療を受けた患者と受けていない患者とで有意差はなかった(OR:1.18、95%CI:0.81~1.72、p=0.380)。また、過去4週以内に免疫療法、ホルモン療法、分子標的療法、放射線療法を受けた患者においても、死亡率に有意な影響は認められなかった。

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グラム陰性菌血症への抗菌薬、個別vs.7日間vs.14日間/JAMA

 合併症のないグラム陰性菌血症の成人患者において、抗菌薬の投与期間をC反応性蛋白(CRP)に基づいて個別に設定した場合および7日間固定とした場合のいずれも、30日臨床的失敗率は14日間固定に対して非劣性であることが示された。スイス・ジュネーブ大学病院のElodie von Dach氏らが、スイスの3次医療機関3施設において実施した無作為化非劣性臨床試験の結果を報告した。抗菌薬の過度の使用は抗菌薬耐性を引き起こす。グラム陰性菌血症は一般的な感染症で、十分な抗菌薬使用を必要とするが、投与期間で有効性に差があるかは十分に解明されていなかった。JAMA誌2020年6月2日号掲載の報告。CRPによる個別設定投与、7日間投与、14日間投与の3群に無作為化 研究グループは、2017年4月~2019年5月にグラム陰性菌血症で入院した成人患者を登録し、2019年8月まで追跡した。適格基準は18歳以上、24時間以内の発熱および複雑性感染症(膿瘍など)または重度の免疫抑制の所見がなく、血液培養で発酵性グラム陰性細菌が検出され微生物学的に有効な抗菌薬が投与されている患者であった。 有効な抗菌薬が投与されて5日(±1日)目に、投与期間をCRPに基づき設定する群(CRPがピークから75%低下で中止)(以下、CRP群)、7日間固定群(7日群)、14日間固定群(14日群)に、1対1対1の割合で無作為化した。患者および医師は、無作為化から抗菌薬投与中止まで盲検化された。投与開始後30日、60日、90日時に電話で追跡調査を行った。 主要評価項目は、30日以内の臨床的失敗(菌血症の再発、局所の化膿性合併症、最初の菌血症と同じ菌種による遠隔部位の合併症、臨床的悪化によるグラム陰性菌に対する抗菌薬の再投与、全死因死亡のいずれか1つ以上)で、非劣性マージンは10%とした。副次評価項目は、90日以内の臨床的失敗などであった。30日以内の臨床的失敗、14日間投与に対し個別設定および7日間投与は非劣性 2,345例がスクリーニングされ、504例(年齢中央値79歳、四分位範囲:68~86歳)が無作為化された。このうち、493例(98%)が30日間、448例(89%)が90日間の追跡調査を完遂した。CRP群(170例)は、投与期間中央値が7日(四分位範囲:6~10、範囲:5~28)で、30日間の追跡調査を完遂した164例のうち34例(21%)はプロトコール違反(CRP低下前の退院など)があった。 主要評価項目である30日以内の臨床的失敗は、CRP群で164例中4例(2.4%)、7日群で166例中11例(6.6%)、14日群で163例中9例(5.5%)に確認された(CRP群vs.14日群の差:-3.1%[片側97.5%信頼区間[CI]:-∞~1.1、p<0.001]、7日群vs.14日群の差:1.1%[片側97.5%CI:-∞~6.3、p<0.001])。また、90日以内の臨床的失敗は、CRP群143例中10例(7.0%)、7日群151例中16例(10.6%)、14日群153例中16例(10.5%)であった。 なお、著者は、盲検化が無作為化から抗菌薬中止までに限られたことなどを研究の限界として挙げたうえで、「発生したイベントが少ないのに対して非劣性マージンが広く、CRP群でのアドヒアランスの低さや投与期間の幅広さなどから、結果の解釈には限界がある」とまとめている。

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うつ病の発症、HHV-6が持つ遺伝子SITH-1が関与か:慈恵医大

 これまで、ヒト遺伝子の中にうつ病の原因となる有効な遺伝子は発見されていなかった。今回、東京慈恵会医科大学の近藤 一博氏らは、ヒトに寄生する微生物を含む遺伝子群(メタゲノム)に着目、ヒトに潜伏感染しているヒトヘルペスウイルス6B(HHV-6B)が持つ、うつ病の原因となる遺伝子SITH-1を発見したことを発表した。SITH-1は脳のストレスを亢進させることでうつ病を発症させる作用があり、うつ病と診断されない程度の軽いうつ症状にも影響していたという。iScience誌オンライン版2020年5月21日号掲載の報告。SITH-1がうつ病になる前から作用していることが示唆された HHV-6Bは小児期に突発性発疹として感染し、ほぼ100%のヒトが潜伏感染している。HHV-6Bは脳神経に親和性の高いウイルスで、さまざまな脳神経疾患や精神疾患との関係が予想されている。研究チームはHHV-6Bが嗅球で潜伏感染する際に発現するSITH-1遺伝子を発見、疾患との関係を調べた。 SITH-1は、細胞内へカルシウムを流入させ、アポトーシスを誘導する。また、マウスの嗅球による実験では、SITH-1を発現させると嗅球が細胞死を起こし、さらにSITH-1を発現させたマウスは脳のストレスが亢進し、うつ状態になった。ヒトの場合、嗅球の組織をとることは危険であるため、SITH-1がカルシウムを流入させるときの特殊な構造を突き止め、これに対する抗体を測定することで嗅球でのSITH-1の発現を調べた。この活性型SITH-1に対する抗体を測定する方法を用い、健常人とうつ病患者におけるSITH-1発現を比較した。また、SITH-1が脳のストレスを亢進させることによってうつ病が起こりやすくなると考えられることから、SITH-1がうつ病になる前からヒトに影響を与えている可能性を検証するため、「健常人でまったくうつ症状のない人」と「うつ病というほどではないけれども軽いうつ症状がある人」の活性型SITH-1抗体価も比較した。 健常人とうつ病患者におけるSITH-1発現を比較した主な結果は以下のとおり。・うつ病患者は健常人に比べ、SITH-1特異的抗体の検出量が有意に高かった(p=1.78×10 -15)。・抗体陽性率はうつ病患者で79.8%、健常者で24.4%だった(オッズ比[OR]:12.2)。・「うつ病というほどではないけれども軽いうつ症状がある人」も「健常人でまったくうつ症状のない人」に比べて、SITH-1抗体価が有意に高かった。 著者らは、「SITH-1遺伝子はうつ病の発症に大きな影響を持つ遺伝子であり、うつ病の発症メカニズムの解明や治療法の開発に新たな展開をもたらすことが期待できる。さらにSITH-1がうつ病になる前から作用していることが示唆されたことから、SITH-1抗体検査によってうつ病の早期発見やうつ病のなりやすさの予測ができる可能性がある」としている。

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第10回 将来的な健康をも脅かすコロナ禍の受診自粛

医師や歯科医師で構成する全国保険医団体連合会(保団連)が6月4日に公表した「新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する緊急アンケート」(第1次集計)によると、医療機関の逼迫した状況だけでなく、子どもの将来的な健康に関する懸念も明らかになった。集計数は6,881件(医科5,157件、歯科1,724件)。昨年4月比で、9割近くの医療機関で外来患者数、保険診療収入共に減少した。保険診療収入が30%以上減少している医療機関は、医科では27.3%、歯科では23.1%という結果が出た。医療機関は、ほかの業界に比べて原価率が高く、固定費が保険料収入の5割を超えているところが多い。医科の場合、利益率が3割いかない医療機関が多い中での保険診療収入の減少である。それでも医科の診療報酬では、さまざまな名目で指導管理料が設けられているが、歯科の場合、診療報酬の多くが処置に関する点数である上、医科の指導管理料に相当する診療報酬の点数が低く抑えられているため、外来患者数減少下における利益率は15%程度と予測されている。診療科別では、耳鼻咽喉科と小児科が大きな影響を受け、外来患者数は9割以上減少した。また、歯科ではネットで拡散された誤情報などによる風評被害も影響しているようだ。コロナ禍による経営環境の悪化が今後も続けば、小児科や耳鼻咽喉科、歯科の医療機関の中には、半年後に倒産するケースが相次ぐかもしれない。一方、受診控えによる患者の心身への影響も懸念される。保団連の理事は「3ヵ月健診、6ヵ月健診などがあるのは、重要な病気を見逃したり、将来に渡って治すチャンスが奪われてしまう病気があったりするのを未然に防ぐため。“不要不急”と思ってその時期を逃すと、大変なことになる可能性がある」と警鐘を鳴らす。実際、乳幼児健診や学校健診で、先天的な心疾患や側弯症などが見つかることもある。しかし、一斉休校による学校健診の中止や受診控えにより、これらの疾患が発見されないまま経過しているケースもあることだろう。高齢者については、外出自粛による下肢の衰えや、高血圧、うつ症状の進行が懸念される。新型コロナによる間接的な影響は、今後さまざまな疾患となって発現してくることだろう。こういった疾患をフォローする態勢も今後は必要だ。子どもに関しては、一斉休校よる外出規制で、自宅での甘味摂取量の増加や生活習慣の乱れなどから、虫歯が増えている状況も見過ごせない。また、妊婦においても歯科検診の受診控えの影響で、女性ホルモンの増加に伴う歯周病菌の増加などが見逃され、低体重児や早産のリスクが高くなることが懸念される。このような状況下、口腔ケアの重要性が増しているのは言うまでもない。災い転じて、歯科は「新型コロナ対策の最前線」になれるだろうか。

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Withコロナの夏に5つの提言/日本感染症学会・日本救急医学会・日本臨床救急医学会・日本呼吸器学会

 本格的な夏の到来を控え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防でのマスク着用により、例年以上の熱中症被害が危惧されている。 そこで、日本救急医学会の呼びかけにより、日本感染症学会・日本救急医学会・日本臨床救急医学会・日本呼吸器学会の4学会で構成するワーキンググループが組織され、「『新型コロナウイルス 感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言』について」が発表された。 同提言では、感染対策としての換気やマスク着用の重要性、熱中症対策としてのエアコン使用やマスクを外す必要性との両立など、夏季を迎えて注意するポイントをまとめている。「適宜マスクを外して休憩も大切」と5つの提言 提言では、大きく5項目を示し、細かい解説を加えている。提言の内容は次の通り。(1)屋内においては、室内換気に十分な配慮をしつつ、こまめにエアコン温度を調節し室内温度を確認しましょう。(2)マスク着用により、身体に負担がかかりますので、適宜マスクをはずして休憩することも大切です。ただし感染対策上重要ですので、はずす際はフィジカルディスタンシングに配慮し、周囲環境等に十分に注意を払って下さい 。また口渇感に依らず頻回に水分も摂取しましょう。(3)体が暑さに慣れていない時期が危険です。フィジカルディスタンシングに注意しつつ、室内・室外での適度な運動で少しずつ暑さに体を慣れさせましょう。(4)熱中症弱者(独居高齢者、日常生活動作に支障がある方など)の方には特に注意し、社会的孤立を防ぐべく、頻繁に連絡を取り合いましょう。(5)日頃の体調管理を行い、観察記録をつけておきましょう。おかしいなと思ったら、地域の「帰国者・接触者相談センター」や最寄りの医療機関に連絡・相談をしましょう。 同提言では、最後に「COVID-19と気温・湿度についての関連性についても 十分なエビデンスに基づくデータはなく、コロナ禍における熱中症の予防や治療に関しても、依然、学術的にも情報が限られている。ゆえに、今回の提言はアップデートされる可能性がある」と今後の修正なども示唆している。

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距離1m以上で感染リスク8割以上減少、マスクでも/Lancet

 ウイルス伝播の予防に、人との物理的距離(physical distance、フィジカルディスタンス)1m以上の確保、フェイスマスクおよび保護眼鏡の着用が有効であることが、カナダ・マックマスター大学のDerek K. Chu氏らによるシステマティック・レビューとメタ解析の結果、示された。解析は、6大陸・16ヵ国で行われた172件の観察研究など患者総数2万5,697例を含むデータを包含して行われ、フィジカルディスタンスが1m以上の場合、感染リスクは約82%減少、フェイスマスクの着用は約85%減少することが示されたという。COVID-19を引き起こす新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、人から人への感染が濃厚接触により拡大している。研究グループは医療機関および非医療機関(コミュニティなど)におけるウイルス伝播について、フィジカルディスタンス、フェイスマスク、保護眼鏡の影響を明らかにするため本検討を行った。Lancet誌オンライン版2020年6月1日号掲載の報告。フィジカルディスタンスなどの影響をシステマティック・レビューとメタ解析で検証 システマティック・レビューとメタ解析は、フィジカルディスタンス、フェイスマスク、保護眼鏡の影響を明らかにするために、PubMedやEmbaseなど世界保健機関(WHO)が特定する21の標準的データベースと、COVID-19の特異的データベースを基に、重症急性呼吸器症候群を引き起こすSARS-CoV-2とβコロナウイルス、および中東呼吸器症候群(MERS)に関するデータを集めて行われた。 2020年5月3日時点でシステマティック・レビューを実施。言語は問わなかったが、比較試験であることを適格条件とし、また、試験の容認度や柔軟性、資源活用性、公平性の文脈的要因を確認した。そのうえで試験結果をスクリーニングしデータを抽出、バイアス・リスクについては2度評価した。 頻度論的統計、ベイズ・メタ解析、ランダム効果メタ回帰解析を行った。エビデンスの確実性については、Cochrane法とGRADEアプローチで評価した。フィジカルディスタンス1m以上で0.18倍、マスクで0.15倍、保護眼鏡で0.22倍に 検索により、6大陸にわたる16ヵ国からの観察研究172件を特定した。無作為化試験はなかった。 医療現場・非医療現場で行われた比較試験であるとの適格条件を満たした44件(患者総数2万5,697例)を対象にメタ解析を行った。 感染リスクは、フィジカルディスタンスが1m未満の場合に比べ1m以上の場合は、大幅に低下した(被験者総数1万736例、統合補正後オッズ比[OR]:0.18[95%信頼区間[CI]:0.09~0.38]、群間リスク差[RD]:-10.2%[95%CI:-11.5~-7.5]、中等度の確実性)。物理的間隔が広がるほど、ウイルスの感染防御は増大した(1m増の相対リスク[RR]変化:2.02、交互作用のp=0.041、中等度の確実性)。 フェイスマスクの着用も、感染リスクの大幅な減少につながった(被験者総数2,647例、統合補正後OR:0.15[95%CI:0.07~0.34]、RD:-14.3%[95%CI:-15.9~-10.7]、低度の確実性)。とくに、N95マスクや類似の防毒マスクは、使い捨てサージカルマスクや類似のマスク(再利用できる12~16層の綿マスクなど)と比べ、感染予防効果との関連性が強かった(交互作用p=0.090、事後確率95%超、低度の確実性)。 保護眼鏡の使用も感染リスクの低減につながった(被験者総数3,713例、統合補正後OR:0.22[95%CI:0.12~0.39]、RD:-10.6%[95%CI:-12.5~-7.7]、低度の確実性)。 未補正試験やサブグループ解析、感度解析でも、同様の結果が得られた。 著者は、「システマティック・レビューとメタ解析の結果は、1m以上のフィジカルディスタンスを支持するもので、政府が取り組むべきモデルおよび接触者追跡の定量的推定値が明らかになった。解析結果に基づき、公共の場および医療機関でのフェイスマスク、防毒マスク、保護眼鏡の適切な使用を広報しなければならない」と述べるとともに、「今回の介入のエビデンスをより明らかにするために、頑健な無作為化試験を行う必要があるが、解析結果は現時点で得られる最善のエビデンスであり、中間的なガイダンスとして利用可能と思われる」とまとめている。

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COVID-19、アンケートから見えた医療者のメンタル状況と対策を識者が解説

COVID-19の拡大を受け、医療現場では長期に渡って対応を迫られる状況が続いている。20床以上の医療機関に勤務するケアネット会員医師に、経営・組織・心理面での影響、とくに個人と組織のメンタル面での影響についてアンケートで聞いた(アンケート結果についてはこちら)。アンケート結果を踏まえつつ、今後の医療者が取るべき対策について、国際医療福祉大学大学院教授の中尾 睦宏氏に聞いた(聞き手・構成:ケアネット 杉崎 真名)。今回のCOVID-19感染流行とこれまでの大規模災害時と比べ、医療者に求められている対応は何が大きく異なるでしょうか?一番は「医療機関・地域内で対応を完結させなければならない」点でしょう。これまでの大規模災害では、被災地以外や海外からの派遣・応援が望めましたが、今回は全国・地球規模の問題であり、人の移動にも制限があって各地域内で対応せざるを得ません。日常診療に加えてCOVID-19対応をしなくてはならず、病床数を含めてキャパオーバーになっても応援を頼めない、というプレッシャーは大きい。時間的なロードマップが描けない苦しさもあります。災害であれば発生後から復興に向けた計画を立てられますが、今回はいつ収束するかの見通しが立ちにくく、収まったとしても第2波、第3波が来るかもしれない。そうした緊張感に常にさらされています。アンケート回答者が勤務する20床以上の医療機関は、発熱外来などCOVID-19対応をしている総合病院が多いでしょうが、どうしても呼吸器・感染症・耳鼻咽喉科などに負荷が偏りがち。一方で外来患者が減った科もあるので、診療科の垣根を超えた院内連携が今まで以上に求められています。また、できる範囲での地域を超えた連携も必要です。それぞれの立場や利害が異なる場合が多いため、ここでは、行政や専門家団体などによる、ある程度強権的な舵取りも必要になってくるでしょう。アンケートにおける「医師の日常診療の影響」の回答結果をどう分析され、どのような課題が浮き彫りになったとお考えですか?中尾 睦宏氏。取材はオンラインで行った回答では「院内感染防止のための特別な対応が必要になった」(63.4%)が最も多く、それに伴って「感染リスクに自身・スタッフがさらされることに不安を覚える」(57.4%)や「衛生資材の確保が難しくなった」(53.9%)も高い回答率となっています。入室前に体温測定をしたり、診察室の患者-医師の距離を取ったり、診療が終わるたびに消毒したりなど、通常より手間暇がかかり、診療効率は落ちます。さらに今後はCOVID-19に関連したさまざまな疾患も増えてくることが予測されます。たとえば、4月以降にCOVID-19感染者が「たこつぼ型心筋症」を発症した、という症例報告がありました。収縮期の心臓の動きが局所的に悪くなる疾患ですが、強いストレスや激しい情動を契機に引き起こされることが多いとされ、大震災後に発症者数が増加しています。このように、今後はCOVID-19そのものだけでなく、その周囲の疾患も併せて診療することが求められます。「来院者が減り、経営面の不安が出るようになった」(37.3%)との回答も目立ちます。実際、定期昇給なしやボーナス減額を通告された勤務医もいるようです。ただでさえハイリスクの中で仕事をしている最中、「努力-報酬バランス」(仕事の遂行のために行われる努力に対して得られる報酬が少ないと感じられた場合により大きなストレス反応が発生するというモデル)が崩れ、きつい思いをしている勤務医も多いことでしょう。医師は責任感があり、我慢強い人が多いので、不安や恐怖心を公にしにくい面もあると思います。こうした「見通しが立たない状況が続くことに疲れやいらだちを感じる」(35.5%)点も問題で、中長期的な医療体制の大きなロードマップを国や専門団体が示し、現場の医師を少しでも安心させる配慮が求められます。定期的なアンケートやストレスチェックにより、随時こうした状況を捕捉することも重要でしょう。医師には、専門技能の習得や研鑽も欠かせませんが、「学会や勉強会などの直接的なコミュニケーションの機会が失われた」(55.6%)という点は医学全体のレベル維持に支障を来しかねません。現在の医学教育や臨床体制は平時を基準としていますが、今後は現在のような非常時が続くことを想定した“プランB”も用意する必要があるでしょう。一方、「医療者に対する差別や偏見にさらされ、つらい思いをしている」(9.4%)や「COVID-19に関する情報が足りず、診療に不安を覚える」(12.6%)はそこまで高い割合にはなっていません。現状は落ち着いて情報を取捨選択し、周囲の支援を受け働き続けている医療者が大半だと思われます。世界を見渡したとき、医療者の働き方やメンタルケアへの取り組みで参考になる動きはありますか?今回のCOVID-19対応をしている医療従事者のメンタルヘルス問題を集計した論文がいくつか発表されています1)。現在は中国・武漢のものが中心で、その内容からは「うつ、不安、不眠、ストレスの自覚」などの有訴率が高まっており、心理的なサポート不足を感じる人が多いことが伺えます。アンケートの記述コメントでは、スタッフのメンタルサポートのために「臨床心理士を配置した」「専門の相談窓口をつくった」といった内容が寄せられており、こうした素早い動きは評価すべきでしょう。とはいえ、私自身も長年医療者のストレス問題をみてきましたが、医師は弱音を吐くことが苦手な人が多く、窓口を設置してもなかなか活用されない面があることも事実です。アンケートの回答には、オンラインミーティングや勉強会など、制約のなかでもコミュニケーションをとる工夫をしている声が多くありました。こうした日々の取り組みやちょっとした遊び心が、長期的なメンタルヘルス対策につながります。東日本大震災のとき、遺体回収などの過酷な任務に就いた自衛隊は、任務後に不安やつらさをメンバー同士で吐き出し合う時間を設け、「自分だけがつらいのではない」と確認するメンタルケアを行っていたそうです。こうした例を参考に、マネジメント層の方はメンバーが本音を言い合える場をつくることを意識するとよいでしょう。米国では医療従事者のメンタルヘルス面における情報提供も進んでおり、トラウマティック・ストレス研究センター (Center for the Study of Traumatic Stress)では 医療従事者向けのCOVID-19対応マニュアルを作成しており 、その日本語版も用意されています。日本赤十字社がまとめた「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に 対応する職員のためのサポートガイド」の内容も非常に充実しています。国立精神・神経医療研究センターも医療者のためのケアの方法をまとめました。自分に合ったリラックス方法を見つけたり、自施設の取り組みを検討、確認したりするうえで参考になるでしょう。今後、長期に渡るであろうCOVID-19対応において、医療者が心身の健康を保つためのポイントは?各種論文や調査からは、各医師が全力で困難に立ち向かっている最中であることが伺えますが、長期戦になればその忍耐にも限界が来ます。自らの精神的健康を守るために、ストレス対応の基本を確認しておくとよいでしょう。「ストレスモデル」(図1)は仕事のストレス要因に個人的な要因、仕事以外の要因、緩衝要因が作用し合い、心理・身体・行動面のストレス反応を生み、その持続がメンタル疾患につながる、というモデルです。図1画像を拡大する国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health: NIOSH)の職業性ストレスモデルを参考に編集部作成また、「高ストレス状態のモデル図」(図2)ではイライラ→身体不調→不安→うつが相関していることが確認できます。身体疾患のうしろにメンタル疾患が潜んでいることも多くあります。単に「最近疲れやすい」「調子が出ない」とやり過ごさず、適宜自分の状況を当てはめてみるようにしましょう。図2画像を拡大する中尾氏の資料より自分の思考のクセを知り、気持ちや行動をコントロールする「認知行動療法」の基本も誰もが知っておくべきです。今後は、AIやビッグデータを利用したメンタルケアのサービスが登場し、使いやすくなることに期待しています。組織面からは、今回導入が進んだ遠隔診療のさらなる充実と普及をはかり、不要な感染リスクを高めない工夫が求められるでしょう。同時に、長期的な課題になりますが、医療者教育に「危機管理学」や「組織論」を組み込むことも重要だと感じます。COVID-19は突如出現した厄災ではありますが、医師の偏在や医療者個人に無理を強いる働き方など、医療現場が長らく抱える問題をあらわにしました。医療に注目が集まる今、医療者はみずからと周囲の人の心身を守るため、必要なケアと発信をしていくべきでしょう。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。新型コロナに関する日常診療への影響、ストレスや悩みを教えてください

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