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誕生日会のCOVID-19リスクは?

 COVID-19の蔓延阻止のための政策の多くは、職場や食事の場などの集いに対応しているが、身内の集いが感染の場として重要かもしれない。米国・ランド研究所のChristopher M. Whaley氏らは、家族の誕生日後にCOVID-19が増加するかどうか調査することにより、パーティーと新型コロナウイルス感染との関連を調べた。その結果、COVID-19有病率の高い郡(county)の世帯において、誕生日がCOVID-19診断の増加と関連していることが示唆された。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2021年6月21日号に掲載。 本研究は、米国で民間保険に入っている290万世帯について、2020年1月1日~11月8日の全国的データを使用した横断的研究で、過去2週間に誕生日があった世帯とない世帯の新型コロナウイルス感染を比較した。その週における郡レベルのCOVID-19有病率によって層別化し、世帯の大きさ、週および郡による違いを調整した。本研究では、誕生日に関連した世帯レベルの感染率が、誕生日の種類(例:子供の誕生日/大人の誕生日、50歳の誕生日などの節目の誕生日)、毎週土曜日の郡レベルの降水量(パーティーを屋内にする可能性を考慮)、郡における政治的傾向、州における自宅待機の方針でどう異なるかについても比較した。 主な結果は以下のとおり。・研究対象の290万世帯のうち、COVID-19有病率が最も高い十分位数だった群において、過去2週間以内に誕生日があった世帯はなかった世帯に比べ、COVID-19診断が1万人当たり8.6人(95%CI:6.6~10.7)多く、郡レベルの有病率(1万人当たり27.8人)に対して31%増加していた。一方、COVID-19有病率が第5十分位数だった群では、誕生日があった世帯はなかった世帯に比べ、COVID-19診断が1万人当たり0.9人(95%CI:0.6~1.3)多かった(相互作用のp<0.001)。・COVID-19有病率が最も高い十分位数の世帯におけるCOVID-19の診断の増加は、子供の誕生日の後では1万人当たり15.8人(95%CI:11.7〜19.9)だったのに対し、大人の誕生日の後は1万人当たり5.8人(95%CI:3.7~7.9)だった(相互作用のp<0.001)。・節目の誕生日、郡の政治的傾向、降水量、自宅待機の方針による違いは認められなかった。

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AZ製ワクチン接種後の血栓症の診療の手引き・第2版/日本脳卒中学会・日本血栓止血学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まり、全国で一般市民に対しても接種が急速に進んでいる。その一方で、2021年3月以降、アストラゼネカ社アデノウイルスベクターワクチン(商品名:バキスゼブリア)接種後に、異常な血栓性イベントおよび血小板減少症を来すことが報道され、4月に欧州医薬品庁(EMA)は「非常にまれな副反応」として記載すべき病態とした。また、ドイツとノルウェー、イギリスなどからもバキスゼブリア接種後に生じた血栓症のケースシリーズが相次いで報告され、ワクチン接種後の副反応として血小板減少を伴う血栓症が問題となった。この血栓症は、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と類似した病態と捉えられ、VITTやVIPITという名称が用いられた(本手引きでは血小板減少症を伴う血栓症[TTS]を用いる)が、本症の医学的に適切な名称についてはいまだ議論があるところである。 海外では、国際血栓止血学会、米国血液学会などからTTSに関する診断や治療の手引きが公開されており、WHOからも暫定ガイドラインが発表された。海外と医療事情が異なるわが国には、これまで本疾患に対する診療の手引きは存在しなかったため、日本脳卒中学会と日本血栓止血学会は、COVID-19ワクチンに関連した疾患に対する診断や治療をまとめ、日常診療で遭遇した場合の対応方法を提言するために2021年6月に「アストラゼネカ社COVID-19ワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症の診断と治療の手引き・第2版」(2021年6月)を作成、公開した。まれだが発症すると致死的なTTS TTSの特徴は1)ワクチン接種後4~28日に発症する、2)血栓症(脳静脈血栓症、内臓静脈血栓症など通常とは異なる部位に生じる)、3)血小板減少(中等度〜重度)、4)凝固線溶系マーカー異常(D-ダイマー著増など)、5)抗血小板第4因子抗体(ELISA法)が陽性となる、が挙げられる。TTSの頻度は1万人~10万人に1人以下と極めて低いが、これまでに報告されたTTSの症例は、出血や著明な脳浮腫を伴う重症脳静脈血栓症が多く、致死率も高い。また、脳静脈血栓症以外の血栓症も報告されているので、極めてまれな副反応であるが、臨床医はTTSによる血栓症を熟知しておく必要がある。目次はじめに1 TTSの診断と治療の手引きサマリー 1)診断から治療までのフローチャート 2)候補となる治療法2 TTSの概要 1)TTSとは 2)ワクチン接種後TTSの発症時期と血栓症の発症部位3 TTSとHITとの関連4 TTSの診断 1)TTSを疑う臨床所見  2)検査 3)診断手順 4)鑑別すべき疾患と見分けるポイント5 TTSの治療 1)免疫グロブリン静注療法 2)ヘパリン類 3)ヘパリン以外の抗凝固薬 4)ステロイド 5)抗血小板薬 6)血小板輸血 7)新鮮凍結血漿 8)血漿交換 9)慢性期の治療おわりに 付1)血栓症の診断 付2)脳静脈血栓症の治療 血栓溶解療法(局所および全身投与)/血栓回収療法/開頭減圧術/抗痙攣薬 付3)COVID-19ワクチンとは 文献 同手引きでは「おわりに」で「TTSは新しい概念の病態であり、確定診断のための抗体検査(ELISA法)の導入、治療の候補薬の保険収載、さらにはワクチンとの因果関係の解明など、多くの課題が残されている。今後、新たな知見が加わる度に、本手引きは改訂していく予定」と今後の方針を記している。

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COVID-19後遺障害に関する実態調査/厚生労働省

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策として定期的に厚生労働省で開催されている「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」の第39回(令和3年6月16日)において、「COVID-19 後遺障害に関する実態調査(中間集計報告)等」が報告された。 本報告は、2つの中間報告と1つの最終報告で構成され、(1)中等症以上を対象としたCOVID-19の後遺障害、(2)COVID-19の長期合併症の実態把握と病態理解解明、(3)COVID-19による嗅覚、味覚障害の機序と疫学、予後の解明の3つが報告された。 本稿ではその概要をお届けする。退院3ヵ月後でも「筋力低下」、「息苦しさ」、「倦怠感」を自覚 「COVID-19後遺障害に関する実態調査」〔中間集計報告〕(研究代表者:横山 彰仁氏)は、「中等症以上のCOVID-19の、とくに呼吸器関連における他覚・自覚症状の遷延(いわゆる後遺症)の実態とその予測因子を把握すること」を目的にCOVID-19で入院した967例(2020年9月~2021年5月)を調査している(ただし中間報告の対象は、512例)。 その結果、退院3ヵ月後の肺CT画像所見では54%に何らかの所見があった。また、重症度別入院時症状と3ヵ月後自覚症状の比較では、3ヵ月後にみられた自覚症状では「筋力低下」、「息苦しさ」、「倦怠感」が顕著にみられた。なかでも「筋力低下」、「息苦しさ」は重症度に依存するという。退院後もCOVID-19関連の自覚症状があると精神や社会活動に影響がある 「COVID-19長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究」〔中間報告〕(研究代表者:福永 興壱氏)は、「日本におけるCOVID-19の長期合併症の実態把握を行う」ことを目的に、COVID-19 PCR検査もしくは抗原検査陽性で入院した522例(2020年1月~2021年2月)を調査している。 その結果、疲労感・倦怠感、息苦しさ、筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力低下、脱毛に関しては退院時までに認めた患者の3割以上が、診断6ヵ月後でも認めており、遷延する症状と考えられた。また、症状が精神的、社会的活動に与える影響については、前記の遷延する症状が1つでもあると、健康に関連したQOLは低下し、不安や抑うつおよびCOVID-19に対する恐怖の傾向は強まり、睡眠障害を自覚する傾向が強まった。一方で、診断6ヵ月後のアンケート結果から、約8割の対象者は罹患前の健康状態に戻ったと自覚していたと回答している。「嗅覚・味覚障害」について約6割の入院患者に症状あり 「COVID-19による嗅覚、味覚障害の機序と疫学、予後の解明に資する研究」〔最終報告〕(研究代表者:三輪 高喜氏)は、「わが国におけるCOVID-19による嗅覚障害、味覚障害の発生頻度や特徴を把握するとともに、どの程度の期間症状が持続するかおよびその予後を把握すること」を目的に、病院入院中、ホテル療養中の無症状・軽症・中等症のCOVID-19患者(20~59歳)の参加希望者を調査。これらのうちアンケート回答者の251例(内119例に嗅覚・味覚検査を実施)が対象(2021年2月18日~5月21日)。 その結果、入院・療養中に「嗅覚・味覚障害あり」が37%、「嗅覚障害のみ」が20%、「味覚障害のみ」が4%、「嗅覚・味覚障害なし」が39%だった。また、嗅覚障害を自覚する例の多くが嗅覚検査でも正常値以下を示したが、味覚障害を自覚する例の多くは味覚検査は正常だった。そのほか、1ヵ月後までの改善率は嗅覚障害が60%、味覚障害が84%であり、海外の報告とほぼ一致し、QOLの変化については、食事が楽しめなくなったことなどに嗅覚・味覚障害と強い相関を認めた。

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HIV陽性者の突然死発生率は?院外心停止の死亡例を全例調査/NEJM

 米国・カリフォルニア大学のZian H. Tseng氏らは、「Postmortem Systematic Investigation of Sudden Cardiac Death study:POST SCD研究」において、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性者はHIV感染の非判明者と比べて、心臓突然死(推定)および心筋線維症の発生率が高いこと、また、HIV陽性者の心臓突然死(推定)の3分の1は潜在的な薬物過剰摂取に起因していたことを明らかにした。これまで、HIV感染者における心臓突然死および不整脈による突然死の発生率について、詳細は明らかになっていなかった。NEJM誌2021年6月17日号掲載の報告。HIV陽性の院外心停止による死亡例を全例調査 研究グループは、2011年2月1日~2016年9月16日の期間に、サンフランシスコで発生した、18~90歳のすべての院外心停止による死亡例(HIV感染判明の有無を問わず)を対象に、包括的な培検ならびに毒性学的・組織学的検査を行い、心臓突然死と不整脈による突然死の発生率を検討した。 対象期間にサンフランシスコで18~90歳のHIV陽性者の死亡は1,379例発生し、これらのうち予期せぬ死亡は610例であった。そのうち、救急医療サービス(EMS)の記録および現場調査により院外心停止と判断されたのは109例で、遺族が解剖を拒否した1例を除く108例で剖検が行われた。HIV陽性者は、心臓突然死と心筋線維症の発生率が高い 院外心停止109例中、WHOの心臓突然死(推定)の基準を満たしたのは48例(剖検実施47例)で、そのうち半数以下(22例)は不整脈が原因であった。 2011年2月1日~2014年3月1日の期間に、HIV感染が確認されておらず心臓突然死と推定された死亡は505例発生した。 心臓突然死(推定)による死亡の発生率は、HIV感染の判明者で53.3例/10万人年、非判明者で23.7例/10万人年であった(発生率比:2.25、95%信頼区間[CI]:1.37~3.70)。不整脈による突然死の発生率は、それぞれ25.0例/10万人年、13.3例/10万人年であった(1.87、0.93~3.78)。 心臓突然死(推定)のうち、潜在的な薬物過剰摂取に起因する死亡は、HIV感染の判明者が非判明者よりも多かった(34% vs.13%)。また、HIV陽性者では、感染の非判明者よりも、組織学的に間質性心筋線維化が高度であった。

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第64回 内憂外患に苦慮、初のオンライン代議員会で露呈した日医の内情

日本医師会(日医)から6月11日、定例代議員会に関する案内が送られてきた。「通常と異なる開催方法」と書かれていた。新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、テレビ会議システムを用いて開催するほか、中川 俊男会長の挨拶と議案審議のみを実施。また、代議員の質問に対する執行部からの回答は当日行わず、『日本医師会雑誌』8月号で誌面回答するという。週刊誌による中川会長のスキャンダル記事や日医への批判記事が相次ぐ中、執行部に不都合な質問がテレビ会議を通じて流れることを避けようとしたのかと勘繰りたくなった。外患には対処、しかし内憂には…『日本医師会雑誌』が会員制雑誌のため、後日、質疑応答を載せた同誌8月号か、該当ページのコピーを頂けないか、と日医広報課に尋ねたところ、役員に打診してみるとの回答だった。日医会館では昨年末、反マスク・反ウイルスを掲げる団体から抗議を受けると、敷地と道路の間にフェンスが置かれ、週刊誌報道が始まると、正面玄関内にセキュリティゲートが設けられた。週刊誌への情報提供の多くは、内部からの告発と見られる。“外堀”は物理的に固められても、内部に敵がいるのではどうしようもない。定例代議員会の案内が送られた前後から、臨時代議員会の開催や、中川会長の解任動議を求める動きが当日あるとの話が流れた。しかし、6月27日の定例代議員会当日に波乱はなかった。広報課に聞くと、前日26日の議事運営委員会において、急な動議などは受け付けないことを決めたという。質疑応答に関しては、『日本医師会雑誌』への掲載に加え、28日正午をめどに代表質問と回答を日医ホームページにアップするという。限定的な質問対応で定例代議員会を乗り切る執行部中川会長は冒頭の挨拶で、新型コロナウイルス感染症対応を中心とした日医のこれまでの取り組みや今後の方針を説明した。事前に寄せられた代表質問は16件あったという。池田 秀夫・定例代議員会議長(前佐賀県医師会会長)は質問に関して、6月30日までに書面で日医総務課宛に提出することを求めるとともに、「会長挨拶と事業報告に関連しないと判断した場合、取り上げない場合もあることを承知してほしい」と述べた。中川会長は挨拶の中で「開かれた医師会」を約束したと述べたが、例年のような活発な質疑応答はなくなり、事実上の“統制”を敷いたと感じた。定例代議員会は、予定通り約1時間で閉会した。日医と距離置く政治家とマイナス改定狙う財務省中川会長は、新型コロナに対する日医の成果をみずから評価し、総選挙を前に医療現場の声を国政に届けるため医政活動への協力を呼び掛けたりした。しかし、日医が支持する自民党国会議員らは冷ややかだ。というのも、会員医師に対し、日医がコロナ対策への協力を強く要請する様子が見られず、毎週のように週刊誌で報じられるスキャンダルや批判記事によるイメージダウンもあり、日医と距離を置く姿勢が出ているという。「医政活動への協力」を求めるのは、言うまでもなく2022年度の診療報酬のプラス改定が念頭にあるからだ。しかし財務省は、限られた財源を新型コロナ感染症に対応する医療機関に集中投入することを大義名分に、マイナス改定を目指しているという。医療政策会議も「内向き」の評中川会長は、挨拶の結びで「政府与党と緊密に連携し、あるべき医療政策を実現していきたい」と述べた。令和3年度日本医師会事業計画に書かれた重要課題20項目のトップにも「医療政策の提言と実行」が掲げられている。また、日医の中に「医療政策会議」があり、学術推進会議、生命倫理懇談会と並ぶ日医の「3大委員会」の1つに位置付けられている。委員は都道府県医師会長が多く、厚生労働省社会保障審議会委員を務めた田中 滋氏(慶應義塾大学名誉教授、埼玉県立大学理事長)や、中川氏の出身母体である北海道医師会の長瀬 清会長などが議長を務め、現在は権丈 善一氏(慶應義塾大学商学部教授)だ。ある医療政策の研究者は「中川会長は医療政策に関しては保守的だが、権丈氏も同様。医療政策会議の報告書もインパクトのある内容が少なく、内向きの会議にして見えない」と指摘する。これでは、医発の医療政策に存在感がないのも致し方ないのかもしれない。

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COVID-19に対する政府対応の質がメンタルヘルスに及ぼす影響

 COVID-19のパンデミックは、公衆衛生、経済、メンタルヘルスに深刻なダメージを与えている。カナダ・トロント大学のYena Lee氏らは、ウイルス感染を減少させるための政府の厳格な措置をタイムリーに実施することが、メンタルヘルスにベネフィットをもたらすと仮定し、抑うつ症状発現率の減少に影響するかを調査するためシステマティックレビューを行った。Journal of Affective Disorders誌2021年7月1日号の報告。 政府が実施したCOVID-19に対する対応の厳格さおよびタイムリーさの違いがうつ症状の発症をどの程度緩和するかを調査するため、33ヵ国の研究(114件、64万37例)のシステマティックレビューを実施した。高所得国18ヵ国、上位中所得国9ヵ国、下位中所得国6ヵ国からのデータが含まれた。政府が実施したCOVID-19に対する対応の厳格さおよびタイムリーさの評価には、Oxford COVID-19 Government Response("Stringency")Indexを用いた。うつ病の定義は、PHQ-9スコア10以上またはPHQ-2スコア3以上とした。 主な結果は以下のとおり。・臨床的に有意な抑うつ症状を有する参加者の割合は、21.39%(95%CI:19.37~23.47)であった。・臨床的に有意な抑うつ症状の有症率は、政府が厳格な政策をタイムリーに実施した国で有意に低かった。・政府の対応によるこの効果は、調査開始時のCOVID-19発生率、ヘルスケアへのアクセスと質の指標、研究にCOVID-19患者を含めた場合でも、有意なままであった。・本結果に影響を与える可能性のある因子として、ロックダウン期間の違い、研究参加者およびアウトカム評価者の盲検化の欠如、抑うつ症状の重症度に対するレトロスペクティブ評価などが考えられる。 著者らは「COVID-19の蔓延を封じ込めるために厳格な対応を講じた政府は、国民の身体的な健康だけでなく、メンタルヘルスに対してもベネフィットをもたらした」としている。

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2020年の米国平均余命、2018年から約2年短縮/BMJ

 米国では、2018~20年の平均余命(life expectancy)が他の高所得国よりもはるかに大きく短縮し、とくにヒスパニック系および非ヒスパニック系黒人集団で顕著であった。米国・バージニア・コモンウェルス大学のSteven H. Woolf氏らが、分析結果を報告した。2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより世界中の人々が命を落としたが、米国では他の高所得国に比べ死亡者数が多かったことから、2020年の死亡者数が米国の平均余命や他国との差にどのような影響を与えたかを分析したもの。著者は、「長期にわたり拡大している米国の健康上の不利益、2020年の高い死亡率、持続的な人種・民族的マイノリティに対する不公平な影響は、長年の政策選択と組織的な人種差別の産物であると考えられる」と述べている。BMJ誌2021年6月23日号掲載の報告。米国と他の高所得国16ヵ国について分析 研究グループは、米国および他の高所得国16ヵ国(オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、イスラエル、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、韓国、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、英国)の2010~18年および2020年の平均余命を、米国は国立健康統計センター(NCHS)、その他の高所得国は死亡データベース(Human Mortality Database)のデータを用いて分析した。オーストラリア、カナダ、ドイツ、イタリア、日本は、死亡データが不完全であったため分析には含まなかったという。 評価項目は、男女別の出生時の平均余命ならびに25歳時と65歳時の平均余命で、米国のみ人種・民族別の平均余命も分析した。なお、対象国の多くで生命表データが入手できなかったため、2019年は分析から除外した。また、2020年の平均余命は、2020年の年齢別死亡率の推定値からシミュレーションし、確率的誤差を10%として算出した。米国は他高所得国の8.5倍となる1.87年短縮、人種・民族的な差も 米国と他高所得国の平均余命の差は、2010年の1.88年(米国の平均余命:78.66歳vs.他高所得国の同平均値:80.54歳)から、2018年には3.05年(78.74歳vs.81.78歳)に拡大していた。2020年では、米国の平均余命は76.87歳で、2018年から1.87年短縮していた。同値は、他高所得国の平均短縮幅(0.22年)の8.5倍で、両者の差は4.69年とさらに拡大した。 2018~20年の米国の平均余命の低下は、人種・民族的マイノリティにより差がみられ、ヒスパニック系では3.88年、非ヒスパニック系黒人では3.25年であったのに対して、非ヒスパニック系白人では1.36年であった。ヒスパニック系と非ヒスパニック系黒人の平均余命の短縮は、他高所得国のそれぞれ18倍および15倍に上った。 米国では2010年以降、黒人と白人の平均余命の差が縮まってきていたが、2018年から2020年にかけてその縮小は消失し、黒人男性の平均余命は1998年以来の最低水準となる67.73歳で、長年続いていたヒスパニック系の優位性もほぼなくなった。

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新型コロナ治療に中和抗体カクテル療法を承認申請/中外

 中外製薬は6月29日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療のためのcasirivimabおよびimdevimabの抗体カクテル療法について、国内における製造販売の承認申請を行ったことを発表した。COVID-19患者を対象とした海外臨床第III相試験(REGN-COV 2067)の成績と、日本人における安全性・忍容性、薬物動態の評価を目的とした国内第I相臨床試験の成績に基づき、厚生労働省に特例承認の適用を求めた。 本抗体カクテル療法は、SARS-CoV-2に対する2種類のウイルス中和抗体(casirivimab+imdevimab)を組み合わせ、COVID-19に対する治療および予防を目的として、米国・リジェネロン社などが開発したもの。先述のREGN-COV 2067においては、本抗体カクテル療法はプラセボと比較して、入院または死亡のリスクを70%(1,200mg静脈内投与)および71%(2,400mg静脈内投与)と有意に低下させた。米国では2020年11月、成人および小児患者(12歳以上で体重が40㎏以上)で軽度~中等度のCOVID-19外来患者への治療薬として、FDAから緊急使用の許可を取得している。 中外製薬は、本抗体カクテル療法の意義について「変異株の感染拡大など、COVID-19の流行は長期化しており、新たな治療選択肢が必要とされている。1日も早く患者さんに届けられるよう、規制当局と緊密に協働していきたい」とコメントしている。

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第64回 「辞任」ではなく「解任」の可能性も…、老害、旭川医大学長のお粗末な退陣劇

旭川医大の学長選考会議が「解任」を決定こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。緊急事態宣言の解除であちこちの人流が急増し、東京のコロナの感染者数も下げ止まってしまったようです。再びの緊急事態宣言も近いと踏んで、久しぶりに昔の山仲間とともにテントを担いで奥多摩に行ってきました。奥多摩湖湖畔の倉戸口から倉戸尾根を登り、鷹ノ巣避難小屋までという広葉樹の自然林が美しいコース。昨年と同様、全員1人用テント持参、テントの外で炊事も行いました。「台風で大雨」という天気予報も大外れで、人流少ない(少し奥深い山域では高齢者のパーティが激減しています)初夏の奥多摩を堪能しました。さて、今回は旭川医科大学(北海道旭川市)の吉田 晃敏学長の解任について書いてみたいと思います。朝日新聞やNHK等の報道によると、旭川医大の学長選考会議(議長=西川 祐司・旭川医大副学長)は6月22日、不祥事が相次いだ吉田学長の解任を萩生田 光一文部科学大臣に申し出ることを決め、24日に実行したとのことです。22日に行われた記者会見で西川副学長は「吉田学長の解任の申し出を、出席者の全会の合意で決議した」と話し、「いびつなガバナンスが放置され、本学の価値を低めた」と吉田学長を強く批判しました。「職務上の義務違反」「不適切な行為」続々この事件、そもそもの発端は「週刊文春」2020年12月24日号で報道された市内の慶友会吉田病院からの患者受け入れを拒否する発言、「コロナを完全になくすためには、あの病院がなくなるしかない。ここの旭川市の吉田病院があるということ自体が、ぐじゅぐじゅ、ぐじゅぐじゅとコロナをまき散らして」というものでした。年が明けると、コロナ患者の旭川医大病院受け入れを巡り、吉田学長は当時の病院長を突然解任しました。この解任騒動を機に、14年ものあいだ学長の座に就き続けてワンマン経営を行ってきたことや、公立病院とアドバイザー契約を結んで月40万円(14年間で計6,920万円)の報酬を受け取っていたことなど、さまざまな問題行動が表沙汰になりました。本連載でも今年2月に、「第43回 ドタバタ続きの旭川医大、ワンマン学長の言動を文科省が静観する理由」で取り上げましたが、その後の旭川医大では、吉田学長解任に向けての動きが着々と進んでいました。病院長解任に反発した教授らは学長解任を求める職員1,000人超の署名を集め、学長選考会議に提出。弁護士らによる第三者委員会が設置され、病院長解任の経緯や吉田学長の過去の言動を調べることになりました。第三者委員会は調査内容を学長選考会議に報告、同会議はその報告から吉田学長の職務上の義務違反と学長として不適切な行為を確認、同大の学長解任規定にある「職務上の義務違反」などに当たるとして、文科大臣への解任申し出に至ったわけです。選考会議が吉田学長の職務上の義務違反と不適切な行為と判断した理由は以下のようなものでした。新型コロナウイルス患者の受け入れを巡る不適切な対応付属病院の古川博之前病院長の解任を巡る不適切な対応大学職員へのパワーハラスメント執務時間中の飲酒大学の信用を毀損(きそん)する行動契約切れの学長特別補佐に対する不適切な支出なお、6月28日に改めて記者会見を開いた学長選考会議の西川副学長は、職務上の義務違反と不適切な行為の内訳も明らかにしています。それによれば、大学病院の病院長に対するものをはじめとしたパワハラ9件、不正支出9件、大学の信用を害する行為6件、その他の問題行為10件とのことです。NHKの報道によれば、パワハラについて西川副学長は「大学の人事権を背景に、叱責の域を明らかに超えて辞職や辞任を迫った。パワハラの中でも非常に悪質」と語ったとのことです。公金の私的流用も?最後の「契約切れの学長特別補佐に対する不適切な支出」は、6月22日の学長選考会議の決定に先立つ6月13日に明らかになったものです。同日付の読売新聞は「吉田学長が契約切れとなっていた『学長特別補佐』に報酬300万円を大学から支払わせていた」と報じました。吉田学長は今年3月、学長特別補佐を昨年6月まで務めていた男性が病気で入院し、治療費に困っているなどとして、男性に報酬を支払うよう大学事務局に指示しました。事務局は「現在は勤務実態がない」と拒否したものの、再三指示があったため、複数回に分けて計約300万円を支出した、とのことです。男性の治療費を立て替えたという吉田学長の主張に基づいて、このうち一部が学長の関連口座に振り込まれていたとの報道もありました。この学長特別補佐に対する不敵切な支出ですが、28日の記者会見では9件、計693万円に増えていました。勤務実態のない学長特別補佐は吉田学長の単なる“財布”だったのかもしれません。さすがにこのお金の流れ(公金の私的流用の疑い)が明るみに出たのはヤバい、と感じたのか、吉田学長は15日付けで萩生田文科相に辞任届を郵送したとのことです。辞任届については17日の記者会見で吉田氏の代理人弁護士が明らかにしたもので、代理人は「吉田氏は学内に混乱をもたらしたことを反省しており、これ以上の混乱は本意ではないと考えて身を引く決意をした」と説明したとのことです。なお、この翌日、18日には学長選考会議は一連の問題を巡り、吉田氏から事情を聴くことになっていました。しかし、吉田氏は姿を見せず、代理人が書面で「解任の結論ありきで、強引に進行されている」といった吉田氏の主張を述べるに留まりました。つまり、学長選考会議のヒアリングから「逃げた」わけです。強面でワンマンだった割に意外と心はチキンな人のようです。ずっと静観だった文科省さて、旭川医大のこの件、文科省は当初、「学内人事は各大学の判断で、よしあしを判断する立場にない」として静観していました。任命するのは国なのですから、交代させることも可能だと考えがちですが、そうは簡単にはいかない理由もありました。国立大学法人法は「学長の任命は、国立大学法人の申出に基づいて、文部科学大臣が行う」(同法12条)となっています。ただ、その申し出を文科相が拒否することはほとんどありません。国立大学法人が、同法人の規則に則って学長を選出、それを文科相に申し出ます。この申し出に明白に形式的な違法性がある場合や、明らかに不適切と客観的に認められる場合などを除き、法人の申し出を国が拒否することはできない(申し出には法的拘束力がある)とされているためです。今回、学長選考会議の結論が出たことで、文科省もやっと旭川医大の学長に関して”介入”できるようになったと言えるでしょう。萩生田文科相は18日の閣議後会見で、吉田学長が提出した辞任届が17日に届いたことを明らかにしています。学長選考会議に見解を聴いたうえで、辞職の可否を判断する考えを示したとのことですが、場合によっては辞任届を受理せず、解任となる可能性もあるでしょう。公金の私的流用などが明らかになれば、刑事事件に発展するかもしれません。6月29日現在、吉田学長は辞任となるのか、解任なのか、文科省は判断を下していません。ということで、今も旭川医大のホームページの「学長室から」には、吉田学長の顔写真とお言葉が掲載されたままになっています。国立大学法人法改正で学長の権限にメスところで、今回の旭川医大の学長の”暴走”が表沙汰になる前から、東京大学、筑波大学、北海道大学など、複数の国立大学において学長権限の肥大化が問題となっていました。一部の国立大学法人では学長が学長選考会議の委員に名を連ねたり、教授ら学内出身の委員が過半数を占めたりしていました。そうした、学長選考会議に対する学長の強い影響力を排除するため、先の国会では国立大学法人法の改正案が成立しています。成立した改正国立大学法人法では、「学長選考会議」の名称が「学長選考・監察会議」に変更され、学長は同会議の委員になれないようにするとともに、学内と学外の委員が同数となるよう徹底されます。学長決定後も、法令違反が疑われるような事案が発生した場合、職務の執行状況の報告を求めることができるようになります(法施行は2022年4月1日)。文科省が旭川医大のドタバタをここまで静観してきた背景には、ちょうど進めていたこの国立大学法人法の改正もあったのかもしれません。今回の改正で、国立大学法人を私物化する学長たちの独善、独裁が収まっていけばいいのですが。

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トファシチニブ、COVID-19肺炎入院患者の予後を改善/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による肺炎で入院した患者の治療において、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬トファシチニブはプラセボと比較して、28日以内の死亡または呼吸不全のリスクを抑制し、安全性に大きな差はないことが、ブラジル・Hospital Israelita Albert EinsteinのPatricia O. Guimaraes氏らが実施した「STOP-COVID試験」で示された。NEJM誌オンライン版2021年6月16日号掲載の報告。ブラジル15施設の無作為化プラセボ対照比較試験 研究グループは、COVID-19肺炎入院患者の治療におけるトファシチニブの有効性と安全性を評価する目的で、二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験を行った(Pfizerの助成による)。本試験では、2020年9月16日~12月13日の期間に、ブラジルの15施設で患者登録が行われた。 対象は、年齢18歳以上、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法で重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染が確定され、画像検査(胸部CTまたはX線)でCOVID-19肺炎の証拠が認められ、入院から72時間未満の患者であった。被験者は、トファシチニブ(10mg、1日2回)またはプラセボを経口投与する群に無作為に割り付けられ、14日間または退院まで投与された。 主要アウトカムは、28日時点での死亡または呼吸不全とされた。米国国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の疾患重症度に関する8段階順序尺度(点数が高いほど、病態の重症度が高い)で、6点(入院中に非侵襲的換気または高流量酸素装置による換気を受けている)、7点(入院中に侵襲的機械換気または体外式膜型人工肺[ECMO]の装着を受けている)、8点(死亡)の場合に、主要アウトカムを満たすと定義された。全死因死亡には差がない 289例が登録され、144例がトファシチニブ群、145例はプラセボ群に割り付けられ、それぞれ2例および3例が試験薬の投与を受けなかった。全体の平均年齢は56歳で、34.9%が女性であった。COVID-19の診断から無作為化までの期間中央値は5日だった。 ベースラインの全体のBMI中央値は29.7で、50.2%が高血圧、23.5%が糖尿病を有しており、75.4%が酸素補充療法、78.5%が糖質コルチコイド、77.9%が予防的抗凝固療法、20.8%が治療的抗凝固療法を受けていた。入院中に89.3%が糖質コルチコイドの投与を受けた。 28日の時点での死亡または呼吸不全の発生率は、トファシチニブ群が18.1%(26/144例)と、プラセボ群の29.0%(42/145例)に比べ有意に低かった(リスク比:0.63、95%信頼区間[CI]:0.41~0.97、p=0.04)。 28日時の全死因死亡の発生率は、トファシチニブ群が2.8%(4/144例)、プラセボ群は5.5%(8/145例)であり、両群間に差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.49、95%CI:0.15~1.63)。 プラセボ群と比較したトファシチニブ群の8段階順序尺度スコアの比例オッズは、14日の時点で0.60(95%CI:0.36~1.00)、28日時は0.54(0.27~1.06)であった。 重篤な有害事象は、トファシチニブ群が14.1%(20例)、プラセボ群は12.0%(17例)で発現した。とくに注目すべき有害事象は、トファシチニブ群で深部静脈血栓症、急性心筋梗塞、心室頻拍、心筋炎が1例ずつ認められた。重篤な感染症の発生率は、トファシチニブ群3.5%、プラセボ群4.2%であった。また、死亡を除き、試験薬投与中止の原因となった有害事象は、それぞれ11.3%および3.5%でみられ、最も頻度の高かった原因はアミノトランスフェラーゼ値上昇(4.2%、0.7%)と、リンパ球減少(2.8%、1.4%)だった。 著者は、「ACTT-2試験(バリシチニブ+レムデシビルはレムデシビル単剤に比べ、とくに高流量酸素補充または非侵襲的機械換気を受けている患者で、回復までの期間を短縮)と本試験の結果を統合すると、JAK阻害薬は、侵襲的機械換気を受けていないCOVID-19肺炎患者の新たな治療選択肢となることを示すエビデンスがもたらされた」としている。

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まれだが致死的な血栓症への対応・事前説明はきわめて難しい(AZワクチン)(解説:後藤信哉氏)-1407

 新型コロナウイルス対策としてワクチンの普及は切り札になれると期待している。ワクチンに限らず、すべての医療介入にはメリットとデメリットがある。新型コロナウイルスワクチンの場合には、ワクチン接種によりウイルス感染の広がりを阻止できるとの社会的期待がある。しかし、個別症例にはデメリットもある。本研究は医療従事者における13万例の接種に合併した5例の血栓症の報告である。 対象となった医療従事者は32~54歳で特段の疾病の既往はなかった。いずれの症例も接種後7~10日にイベントが起こっている。アナフィラキシーは接種現場で起こる。対応の準備もできる。接種後7~10日に頭痛、背部痛、腹痛などにて救急搬送されている。いずれの症例も静脈血栓が確認されている。血栓の形成部位は脳静脈洞など普通遭遇しない部位である。本研究では臨床イベントのみでなく血液検査を詳細に施行している。いずれの症例もHIT抗体と呼ばれる血小板第4因子・ポリアニオンの高い抗体価を呈した。著者は、これらの症例をワクチンによる免疫性の血小板減少・血栓症としての自発的な(ヘパリンを使用していないとの意味)ヘパリン惹起血小板減少・血栓症(HITT:heparin-induced thrombocytopenia・thrombosis)としている。HITは時に致死的な病態である。ワクチンにまったくの健常者に、ワクチン接種の1~2週に発症する。 本邦では、ワクチン接種は本人の希望によるとされている。重篤な合併症が元気な人に突然起こるという情報は医療関係者のみならず広く一般に広報されるのがよいと筆者は考える。確率は低いが致死的な合併症への対応、事前説明はきわめて難しい。

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今、改めて見直したい院内の換気対策【コロナ時代の認知症診療】第4回

質問されることの多い、ワクチン2回完了後のマスク着用65歳以上の高齢者対象の新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり進行しつつある。私の関与する患者さんとその家族でも2回目が終わったと安堵の報告をしてくださる人が増えてきた。政府の言う「この7月下旬には終了」の目標は実現しなくても、それにさほど遅れることなく終わりそうな気配になってきた。こうした過渡期にある現在、「2回のワクチン接種を済ませた患者さん、医療関係者は院内でマスクを外してもよいか?」という質問への回答が求められるようになってきた。すでにこの3月には、わが国の厚労省などが感染症対策においてよく参考にするとされる、米国疾病予防管理センター(CDC)による米国国民向けの文書が出されていた1)。堅実な臨床研究の結果2)に基づくものだそうだが、米国らしい大胆に割り切った内容であることに驚いた。ざっと次のような内容である。もしあなたが十分に予防接種されているのなら、パンデミック前の活動に戻れます。十分に予防接種されているのなら、行政等が定めた例外的な場所以外では、マスクをつけたり、フィジカルディスタンス(日本でいうソーシャルディスタンス)をとったりせずに従来の活動をしてもかまいません。けれども予防接種がまだなら、ワクチンを見つけなさい。さてここでいう「十分に予防接種されている」とは、ファイザー社やモデルナ社のような2回接種タイプのワクチンなら、2回目接種の2週間後である。またジョンソンアンドジョンソン社のような1回接種型のワクチンなら、接種の2週間後と上述のCDCのページでは解説されている。理論としてはこのとおりだと納得できる。実際、テレビのニュースなどを見ていると、米国ではマスクをしている人が少数派になってきている様子が見える。けれどもこの方針がこのまま日本で使えるか? となると、これは難しそうだ。実際、次のような反対の声もある。たとえワクチン接種されていてもまだ他人にウイルスを感染させる可能性がある。また抗体ができるには接種後、時間を要する。さらに免疫系が弱い人でもマスクによって防御効果が期待できる。加えて変異種に対してワクチンの有効性が低下する可能性がある、といった批判である3)。※なお、本稿執筆後の6月16日、新型コロナウイルス感染症対策分科会が発表した「変異株が出現した今、求められる行動様式に関する提言」では、ワクチン接種後も国民の多くがワクチン接種を終えるまでは、マスク着用を求めている。少なくとも自分のクリニックにおいてどうするかは、問題になる。今考えているのは、条件付きマスク解放である。当院のスタッフは、事務職員を含め全員がすでに2回の接種を終えている。患者さんで2回の接種を終えている人で、それを証明するものがあれば、診察時の限定的な場においては、患者さんも私たちもマスクをしないでよしとしようかと考えている。もっとも未接種の付き添いがいらっしゃる場合は別にする必要がある。忘れてはならない換気、基本を振り返る一方で忘れてはならないのが換気である。感染症対策では風の流れを作り出して、ウイルスを含む空気が効率よくこの場から外へ流れ出す工夫する工夫が求められる。対策の基本は、一定の方向に着実に風の流れを作ることだ。これを実現するにはいくつかの段階がある。仮に10坪(33平方メートル)以上の比較的広い区間を想定する。まずは、ここと思しき窓やドアを2ヵ所(たとえばAとB)開けてみて、風の方向を見る。この際に、私たちは写真に示すようなスズランテープを用いている。2ヵ所のテープが空中に漂う様子(写真)から、仮にAからBへと向かっているとわかれば、この流れを強化する仕掛けを作る。画像を拡大するその基本は換気扇と扇風機の併用である。そもそもサーキュレーターと扇風機は用途が異なる。サーキュレーターは、小さい羽根で直線的で強い風を出し、遠くまで風が届くように設計されているので、室内の空気を循環させられる。つまり部屋の中の空気をかき混ぜるだけではなく、部屋の空気と外の空気を入れ替えもできる。と言うのは、サーキュレーターは、後ろの空気を吸い込み、その空気を前へ放出するからだ。この場合、サーキュレーターを窓Aに置き、外気を室内に吸い込むように部屋の内側に向ける。一方で扇風機は本来、大きい羽根により広範囲に風を送り出せる。そこで扇風機は窓Bの位置に外に向けて置く。この併用により循環効率が上がる(図)4,5)。画像を拡大するなお狭い部屋(たとえば10平方メートル以下)で、入り口と1つの窓だけしかない環境もある。この場合、風が外から強く吹き込むときが問題になる。基本はサーキュレーターを窓の外に向けることだが、戸外へ送風できない場合には、外からの風を人のいない方向にどうやって流すかの工夫が求められる。終わりにご注意を1つ。部屋中の窓を皆開ければ換気効率が良くなると思われがちだが、それは違う。部屋の中に空気が渦巻いてしまう。参考文献・参考情報1)CDC 「When You've Been Fully Vaccinated | CDC2)Thompson MG,et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021 Apr 2;70:495-500.3)Here’s Why Vaccinated People Still Need to Wear a Mask/NY times4)ダイキン工業株式会社「上手な換気の方法~住宅編~」5)厚生労働省「「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法」

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第66回 ModernaやPfizerのCOVID-19ワクチン説明書に心筋炎/心膜炎の警告をFDAが追加

米国疾病予防管理センター(CDC)会議での検討結果を受け、心筋炎や心膜炎(心臓を包む組織の炎症)がどうやら生じやすくなるとの警告(Warning)をModernaとPfizerの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)mRNAワクチンそれぞれの説明書(Fact Sheet)1,2)に米国FDAが追加しました3)。心筋炎や心膜炎はそれらワクチンの2回目の接種後にとくに生じやすいらしく、ほとんどの場合接種から数日以内に発症するようです。CDC検討会議の資料4)によるとmRNAワクチン2回目接種者100万人当たり約13人(12.6人)の割合で心筋炎/心膜炎が発生しています。接種を受ける人やその保護者向けの説明書(Fact Sheets for Recipients and Caregiver)も変更され、胸痛、息切れ、心臓の動悸(心拍の亢進、動揺、高ぶり)が接種後に生じたらすぐに診てもらう必要があるとの指示が付け加えられています。心筋炎や心膜炎の症状はほとんどの場合短期で解消するようですが、長期の転帰はまだ不明です。FDAとCDCは報告を検討し、より多くの情報を集め、数ヵ月の長期転帰を追跡する予定です。心筋炎や心膜炎がワクチンの説明書の警告に加えられたとはいえ、米国のワクチン接種支持に変わりはありません。ワクチン後の心筋炎や心膜炎は非常に稀であり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で生じることのほうがずっと多いことが知られています。それに、COVID-19の心臓への害は重症化する恐れがあります。米国保健行政代表や家庭・小児科・産婦人科・心臓・内科・看護・公衆衛生・地域医療・感染症の専門家たちは恩恵が害を遥かに上回るワクチンを許容可能な12歳以上の誰もが接種することを強く望んでいます5,6)。また、COVID-19ワクチンに伴う心筋炎様病態で入院した19~39歳の患者7例をCirculation誌に最近報告した著者らも接種の価値は害を引き続きだいぶ上回ると結論しています7)。それらのうち6例はModernaかPfizer/BioNTechのmRNAワクチン接種後、1例はJohnson & Johnson社のアデノウイルス仕様のCOVID-19ワクチン接種後のものでした。今月初めにPediatrics誌に報告された別の7例8)と同様に経過は概ね良好であり、治療にはβ遮断薬や抗炎症薬などが使われ、全員が症状解消の上で入院から2~4日以内に退院できました7,9)。参考1)EMERGENCY USE AUTHORIZATION (EUA) OF THE PFIZER-BIONTECH COVID-19 VACCINE TO PREVENT CORONAVIRUS DISEASE 2019 (COVID-19) 2)EMERGENCY USE AUTHORIZATION (EUA) OF THE MODERNA COVID-19 VACCINE TO PREVENT CORONAVIRUS DISEASE 2019 (COVID-19) 3)Coronavirus (COVID-19) Update: June 25, 2021 / FDA4)Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) June 23, 2021 / CDC5)Statement Following CDC ACIP Meeting from Nation’s Leading Doctors, Nurses and Public Health Leaders on Benefits of Vaccination / AAP 6)Health officials, AAP urge COVID-19 vaccination despite rare myocarditis cases / AAP7)Rosner CM, et al. Circulation. 2021 Jun 16. [Epub ahead of print] 8)Marshall M,et al,. Pediatrics. 2021 Jun 4:e2021052478.9)Symptoms resolved in 7 patients with myocarditis-like illness after COVID-19 vaccination.AMERICAN HEART ASSOCIATION / EurekAlert

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妊婦、子供は?各学会のワクチン接種に対する声明まとめ

 新型コロナワクチンの接種が進む中、疾患等を理由として接種に対して不安を持つ人を対象に、各学会が声明を出している。主だったものを下記にまとめた。■日本感染症学会「COVID-19ワクチンに関する提言(第3版)」対象:全般要旨:ワクチンの開発状況、作用機序、有効性、安全性等の基本情報■日本小児科学会「新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~」対象:子供(12歳以上)要旨:まずは子どもの周囲への成人の接種を進める。そのうえで、12歳以上の子供へのワクチン接種は本人と養育者が十分に理解したうえで進めることが望ましく、個別接種を推奨する。■日本産科婦人科学会「―新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて―」対象:妊婦要旨:妊娠初期を含めワクチンは妊婦・胎児双方を守る。希望する妊婦はワクチンを接種できる。持病のある妊婦はとくに接種を検討すべきである。■日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会「女性のみなさまへ 新型コロナウイルスワクチン(mRNA ワクチン)Q & A」対象:女性全般要旨:ワクチン接種で不妊になったり、流産したりといった情報に科学的根拠は全くない。生理中や経口避妊薬服用中でもワクチン接種に対する問題はない(7/26情報追加)。■日本血液学会「新型コロナウィルス感染症蔓延下における血液疾患診療について」対象:血液疾患患者要旨:基本的にワクチン接種は推奨されるものの、治療の状況に応じてワクチン接種の効果が減じる可能性があるため、主治医と適切なタイミングを相談する。■日本神経学会「COVID-19 ワクチンに関する日本神経学会の見解」対象:神経疾患患者要旨:現時点では神経疾患(脳卒中、認知症、神経難病)を対象としたエビデンスはないが、海外のデータから副反応は一過性のものに限られ、アナフィラキシー以外には重篤な健康被害はみられていないことから、リスクは小さいものと考えられる。■日本骨髄腫学会「骨髄腫患者に対する新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン接種について」対象:骨髄腫患者要旨:骨髄腫患者は重篤化と死亡のリスクが高いと推測され、ワクチン接種による罹患率と重篤化防止が期待できるが、接種タイミングは患者ごとの免疫不全状態をみながらの判断となる。■日本リウマチ学会「COVID-19ワクチンについて」対象:リウマチ性疾患患者要旨:ステロイドをプレドニゾロン換算で5mg/日以上または免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤のいずれかを使用中の患者は他の人たちよりも優先して接種したほうがよい。通常のワクチン接種の場合、免疫抑制剤やステロイドを中止・減量することはない。■日本麻酔科学会「mRNA COVID-19 ワクチン接種と手術時期について(5月18日修正版)」対象:手術予定患者要旨:待機手術もワクチン接種後すぐに行うことができるが、数日間(最大1週間)空けることで、術後の発熱などの症状が副反応か手術によるものかが区別できる。■日本癌治療学会、日本癌学会、日本臨床腫瘍学会「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療について Q&A-患者さんと医療従事者向け ワクチン編 第1版-」対象:がん患者要旨:がん患者における重症化の可能性を考慮すると、ワクチン接種はベネフィットがリスクを上回ると思われ、接種が推奨される。

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COVID-19入院患者へのトシリズマブを緊急使用許可/FDA

 中外製薬は6月25日、同社創製の関節リウマチ治療薬トシリズマブ(商品名:アクテムラ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用を許可したと発表した。コルチコステロイドの全身投与を受けており、酸素補給、非侵襲的もしくは侵襲的な人工呼吸、またはECMOが必要な入院中の成人および2歳以上小児がその対象となる。 今回の緊急使用許可は、4つのランダム化比較試験におけるCOVID-19入院患者、計5,500例超の成績に基づいており、酸素補給または呼吸補助を必要とするコルチコステロイド投与中の患者の転帰を改善する可能性があることが示唆された。 これらの試験のいずれにおいても、トシリズマブに対する新たな安全性シグナルは認められなかった。主な副作用(発現率3%以上)は、便秘、不安、下痢、不眠、高血圧、悪心。 トシリズマブは、炎症性サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害する働きを持つ、中外製薬創製の国産初の抗体医薬品。国内では2005年6月に販売を開始し、点滴静注用製剤では関節リウマチなど6つの適応症、皮下注製剤では3つの適応症で承認を取得している。 中外製薬では、日本国内においても新型コロナ治療薬の適応について、年内の承認申請を目指し準備を進めている。

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第60回 ワクチン接種ミス139件で重大報告70件、再発防止策は?/厚労省

<先週の動き>1.ワクチン接種ミス139件で重大報告70件、再発防止策は?/厚労省2.大学病院の経営状況、過去最大1兆円以上の落ち込み3.若年層への違法薬物対策で、大麻の使用も罰則化へ/厚労省4.10月の本格稼働に間に合う?マイナンバーカード保険証の準備状況5.日本全国の医療機関や専門医の検索サイトを新設/厚労省6.「即日インプラント」「全身脱毛し放題」もNG、規制強化へ/厚労省1.ワクチン接種ミス139件で重大報告70件、再発防止策は?/厚労省厚生労働省は、22日に事務連絡「新型コロナ予防接種の間違いの防止について(その2)」を発出し、新型コロナワクチンの接種開始から6月16日までに報告された「接種間違い」は139件(10万回当たり0.596件)であり、そのうち健康被害につながる恐れのある「重大な間違い」は70件(同0.300件)だったことを公表した。なお、現時点で健康被害は確認されていない。最も多かったミスは、「接種間隔の間違い」が31件、次いで注射器の再使用など「血液感染を起こしうる間違い」が23件、「不必要な接種(生理食塩水のみ)」と「接種量の間違い」がそれぞれ13件。厚労省が掲げる対策として、「リキャップを行わない」「接種後は速やかに使用後の注射器を確実に廃棄する」「一連の作業を中断させない」など、再発防止の徹底を呼び掛けた。厚労省は、全国の自治体に対し、ワクチンの接種ミスがあった場合、速やかに報告するよう求めている。(参考)ワクチン接種ミス139件 厚労省、再発防止を呼びかけ(朝日新聞)ワクチン接種ミス「139件」、厚労省が集計…最多は「接種間隔の間違い」(読売新聞)ワクチン接種ミス 139件確認 使用済み注射器使用など 厚労省(NHK)2.大学病院の経営状況、過去最大1兆円以上の落ち込み全国医学部長病院長会議が23日に発表した大学病院の経営状況調査の結果によると、2020年度は、新型コロナウイルス感染症患者の対応により、対前年度比4%減の1,204億円強の医業赤字となり、医業利益率はマイナス8.3%と前年度に比べて3.93ポイント悪化したことが明らかになった。また、手術件数も前年と比較して累計約13万件減少となっている。今年の3月以降、改善しつつある指標もあるが、前年度の反動と考えられ、依然として厳しい経営環境にあり、同会議は一層の財政支援を強く要望している。(参考)2020年度に大学病院経営は1204億円強の医業赤字、3月に外来指標が改善するが「前年の反動」である点に留意―医学部長病院長会議(GemMed)新型コロナウイルス感染症に関する大学病院の経営状況調査(3月度)全国医学部長病院長会議 プレスリリース20213.若年層への違法薬物対策で、大麻の使用も罰則化へ/厚労省厚労省は、21日に「大麻等の薬物対策のあり方検討会とりまとめ~今後の大麻等の薬物対策のあり方に関する基本的な方向について~」を公表した。世界と比較し、日本の違法薬物使用の生涯経験率は著しく低い水準に留まっている一方で、2020年には大麻事犯の検挙人員が7年連続で増加し過去最高を更新、30歳未満の検挙者も7年連続で増加するなど、若年層での大麻乱用が拡大している状況だ。使用に対する罰則が規定されていないことが、「大麻を使用してもよい」というメッセージと受け止められかねないため、ほかの薬物と同様、大麻の使用に対しても罰則を科すことが必要という意見が多かった。今後、法制化について国会で審議される見込み。(参考)大麻使用罪に賛成多数 厚労省検討会が報告書(福祉新聞)「大麻等の薬物対策のあり方検討会」とりまとめを公表します(厚労省)資料 「大麻等の薬物対策のあり方検討会」について(同)4.10月の本格稼働に間に合う?マイナンバーカード保険証の準備状況25日に開催された社会保障審議会・医療保険部会で、健康保険証の代わりにマイナンバーカードが使える医療機関や薬局の数が、6月21日時点で732施設と明らかになった。今年3月から本格稼働する予定が、保険団体側のミスなどにより10月に延期になっている。受付に必要なカードリーダーの補助金には、全国の医療機関、薬局合計約13万施設(57%)が申し込みを行っているが、マイナンバーカードの健康保険証利用登録状況は、20日時点で440.3万件(10.4%)と、まだ本格的な稼働まで時間がかかりそうだ。(参考)オンライン資格確認等システムについて(厚労省)マイナ保険証732施設どまり、10月運用へ準備急ぐ(日経新聞)オンライン資格確認、試行運用に732施設参加 21日時点、来週には800施設超(CBnewsマネジメント)5.日本全国の医療機関や専門医の検索サイトを新設/厚労省24日に開催された「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」において、厚労省は全医療機関の治療内容や専門医の有無などを全国横断的に検索できる「医療情報サイト」を新設することを明らかにした。これまで、各都道府県が医療機関等に対して、患者が医療機関等の選択をするために必要な情報(医療機能情報)の報告を義務付け、自治体ごとに運用していたが、都道府県をまたいで検索・比較ができないなどの課題があった。新システムは外国語対応のほか、医療機関の業務負担軽減のために、手術などの実施件数はNDBオープンデータを利用して事前入力を行う方針であり、運用開始は2024年度を目指す。(参考)医療機能情報提供制度に関する全国統一的な検索サイトの構築に向けた進捗状況について(厚労省)「治療どこで」全国18万病院を一括検索、厚労省が情報サイト新設へ(読売新聞)6.「即日インプラント」「全身脱毛し放題」もNG、規制強化へ/厚労省厚労省は、24日に開催された「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」で、ウェブサイト広告で規制している美容医療関係の事例について、具体的な解説を公表した。「即日インプラント治療1日で終了」「医療脱毛満足度99%」「全身脱毛3年し放題」などの表示、ビフォーアフター写真は虚偽や誇大広告とされ規制される。医療機関やウェブサイト制作事業者、地方自治体などに対し、医療に関する広告規制の理解を深めるのが目的とされる。なお、虚偽広告は自治体が中止命令や是正命令に従わなかった場合、6ヵ月以下の懲役か30万円以下の罰金となる。(参考)第17回医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会 資料(厚労省)医療広告禁止などの事例解説書を公開へ 厚労省(CBnewsマネジメント)「脱毛3年し放題」は誇大 ネット広告、厚労省が解説書(朝日新聞)

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コロナワクチン後に心筋炎、CDCが接種との関連性を指摘

 米国疾病予防管理センター(CDC)は6月23日、新型コロナワクチンを接種した若年層において、心筋炎などの副反応と見られる症状が、ワクチン有害事象報告システム(VAERS)に1,000件以上報告されていることを明らかにした。CDCは接種と関連している可能性を指摘し、さらなる調査を進めるとしている。ただ、これまでに投与されたワクチン総量と比しても発症はまれであり、COVID-19のリスクおよび関連合併症を考慮した上で、ワクチン接種を引き続き推奨する方針だ。 米国では、現在12歳以上がコロナワクチンの接種対象となっていて、これまでに1億7,700万人以上が少なくとも1回目の接種を受けている状況。着実に接種人口が増える中、今年4月以降、ファイザー社やモデルナ社が開発したmRNAワクチン接種後に起きた心筋炎および心膜炎の症例が、VAERSに1,226例報告されたという(6月11日時点)。 CDCによると、症例が確認されたのは主に16歳以上の男性青年および若年成人で、2回目接種後で多く、おおむね接種後、数日以内だったという。CDCが323例について経過を調べたところ、309例が入院したものの295例がすでに退院、218例(79%)が症状から回復している。 CDCは、「ワクチン接種がCOVID-19から自身および家族を守るのに役立つ最良の方法」とし、12歳以上のすべての人にCOVID-19ワクチン接種を引き続き推奨する方針を明らかにした。日本国内での報告例は11例 一方、日本国内における症例報告はどのような状況なのだろうか。厚生労働省によると、副反応疑い報告制度において、ファイザー社のワクチン接種後の心筋炎関連事象(心筋炎・心膜炎)として、6月13日までに、医療機関から12件(11例)*の報告があったという。年齢群別では、40歳未満8件(7例)*、40歳~65歳未満2件、65歳以上2件となっている。モデルナ社のワクチンでは現在までに同症例の報告はない。*40歳未満の男性1例は、心筋炎・心膜炎の両者の記載があるため、1例分を2件として計上。

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新型コロナ感染者の7割が症状持続:系統的レビュー

 COVID-19で長期持続する症状の頻度や種類、重症度についてはまだよくわかっていない。米国・スタンフォード大学のTahmina Nasserie氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の持続的な症状の頻度と多様性を調べた研究の系統的レビューを実施した結果、COVID-19の症状は一般的に感染急性期が過ぎても持続し、健康関連機能とQOLに影響を与えることがわかった。少なくとも1つの持続的な症状を経験している患者の割合は72.5%(中央値)であった。JAMA Network Open誌2021年5月26日号に掲載。 著者らは、2020年1月1日~2021年3月11日に公開されたSARS-CoV-2感染後の持続的な症状を調べた研究をPubMedとWeb of Scienceで検索した。持続的な症状の定義は、診断/発症/入院後の少なくとも60日間、または急性疾患からの回復/退院後少なくとも30日間持続する症状とした。SARS-CoV-2感染者の持続的な症状の有症率を報告し、明確に定義された十分なフォローアップが行われたコホート研究の1次データを提示しているすべての英語文献を含めた。症例報告、症例シリーズ、発症時や入院時のみの症状を記載した研究は除外した。構造化されたフレームワークで研究の質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・特定された1,974研究のうち適格とされたのは47研究で、84の臨床症状を報告した45報の研究について系統的レビューを実施した。・9,751例のうち男性が5,266例(54.0%)で、45研究のうち30研究で年齢の平均値または中央値が60歳未満だった。・16研究(ほとんどが入院していた症例での研究)のうち、少なくとも1つの持続的な症状を経験している患者の割合の中央値は72.5%(四分位範囲[IQR]:55.0~80.0)だった。・頻度が高い症状は、息切れまたは呼吸困難(26研究、頻度の中央値:36.0%、IQR:27.6~50.0)、倦怠感または疲労感(25研究、頻度の中央値:40.0%、IQR:31.0~57.0)、睡眠障害または不眠症(8研究、頻度の中央値:29.4%、IQR:24.4~33.0)だった。・研究のデザインと質には大きなばらつきがあり、主なデザインの違いは、患者集団、観察開始時期の定義、観察期間の長さ、重症度の定義などのアウトカムの定義であった。

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新型コロナ感染のアスリート、無症候性心筋炎に注意

 心筋炎はアスリートの突然死の主な原因であり、新型コロナウイルスが原因で発症することも示唆されている。今回、Big Ten COVID-19 Cardiac Registry InvestigatorsのメンバーであるCurt J Daniels 氏らは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患したすべての米国アスリートを対象に、心臓MRI検査(CMR)を実施して心筋炎の発症有無を調べた。その結果、37例(2.3%)が臨床症状を有する心筋炎または無症候性心筋炎と診断された。今回の研究では、大学間で有病率にばらつきが見られたものの、検査プロトコルは心筋炎の検出と密接に関連していた。JAMA Cardiology誌オンライン版2021年5月27日号掲載の報告。 研究者らはCOVID-19に罹患したアスリートの心筋炎の有病率を定め、プレーに安全に復帰するための戦略を洗い出し比較することを目的とし、2020年3月1日~12月15日の期間にCOVID-19に罹患したアスリートの観察データを調査した。心筋炎を発症した選手については、心臓の状態や心臓検査の詳細が記録された。なお、心筋炎は心臓の症状とCMR所見に基づいて臨床症状を有する心筋炎または無症候性心筋炎に分類。無症候性心筋炎は、ほかの検査異常に基づいてprobableまたはpossible に分類した。 主な結果は以下のとおり。・13大学のアスリート1,597例(男性:964例[60.4%])でCMRが実施された。・37例(男性:27例)でCOVID-19による心筋炎と診断され(全体の2.3%、プログラムあたりの範囲:0~7.6%)、そのうち9例は臨床症状を有する心筋炎であり、28例は無症候性心筋炎だった。・心臓検査が心臓症状のみに基づいていた場合、検出されたのは5例のみであった(検出された有病率:0.31%)が、すべてのアスリートにCMRを施したことにより、心筋炎(臨床症状有および無症候性)の検出が7.4倍に増加した。・心筋炎と診断されたうちの27例(73.0%)でフォローアップCMRを行ったところ、全例(100%)でT2シグナル上昇を示し、11例(40.7%)で遅延ガドリニウム造影(LGE)を呈した。 研究者らは、「CMR所見のさまざまな確認と未知なる影響は、心臓検査のタイミングの標準化と解釈の必要性を強調し、アスリートの安全なプレー復帰のためにも定期的なスクリーニングにおけるCMRの役割をさらに調査する必要がある」としている。

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第63回 尾身会長の専門家のプライド滲む具体的な指摘vs.模範解答も無視の菅政権

新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき4月25日から東京都に出されていた緊急事態宣言が今週月曜日から約2ヵ月ぶりに解除され、「まん延防止等重点措置(まん防)」へと移行した。東京都で焦点となっていた飲食店の営業形態については、措置区域内(檜原村、奥多摩町を除く)で5~20時までの時間短縮営業を要請し、酒類の提供は来店者が同一グループで2人以内、最大滞在時間90分を条件に19時まで認めることになった。実効性はもちろん、なんとも分かりにくい。医療の世界で言うところの、なるべく取ってほしくない高点数の診療報酬の算定に当たって、あれこれと条件を付けるのと似ていなくもない。緊急事態宣言最終日の6月20日の日曜日。東京は午前中には雨がぱらつき、昼以降は曇り空、その割に気温は高いという何ともはっきりしない天気。仕事の合間(私は年中ほぼ無休、というか無窮とも言えるかもしれない)に昼食を取りに出かけた最寄り駅の繁華街周辺は、長らく休業が続いていた飲食店のシャッターが開けられ、店内では翌日以降の開店準備のためか、清掃をしている様子があちこちで見受けられた。久しぶりに活気があったことは私自身もやや嬉しくもあったが、同時に素直に喜びきれない複雑な思いも抱えていた。というのも6月12日に約1ヵ月ぶりに感染者報告数が前週同一曜日を上回り、6月17日からも同様の現象が3日間続いていたからだ。20日も夕方の時点でやはり前週日曜日よりも感染者報告数が上回ったことが明らかになった。そして、まん防移行後、本稿執筆時点までひたすら前週同一曜日を上回る現象が続きっぱなしだ。潜伏期間を考慮すれば、やはりヒトの我慢の限界は1ヵ月程度なのかもしれない。宣言開始直前の本連載での言葉を用いれば、私たちは赤点だったことになる。だが、今回それ以上に赤点だったと思える存在は政治である。そもそも4月25日から3回目となる緊急事態宣言を東京都、大阪府、京都府、兵庫県の4都府県を対象に発出した際の期限は5月11日。潜伏期間などを考えれば、5月11日というのは宣言の効果が見え始めるか否かの段階に過ぎず、端から宣言解除は期待できない期限だった。それでも政治がこの期限を設定したのは、3回目の緊急事態宣言に伴う国民の宣言疲れへの配慮や経済を必要以上に横目で眺めた結果だったのだろうと推測できる。そして1回目の宣言延長時、実は政治には赤点回避の模範解答が示されていた。緊急事態宣言の対象地域に4都府県に加え、愛知県、福岡県を追加し、期限も5月31日まで延長することを決定した5月7日の首相官邸での記者会見でのことだ。会見冒頭の質問で東京新聞の記者から宣言解除の基準を問われた際に菅 義偉首相は「基本的対処方針、ここにも書かれていますように、ステージ4、ここを脱却することが目安となりますが、具体的には専門家や自治体の意見も聴きながら総合的に判断していきたい、このように考えております」と、いつものようにややボヤっとした基準を示したのに対し、もはや同席が慣例となった新型インフルエンザ等対策閣僚会議新型インフルエンザ等対策有識者会議会長兼新型コロナウイルス感染症対策分科会長の尾身 茂氏はかなり具体的な形での指摘を行っている。以下に引用したい。「ステージ3に入って、しかもステージ2のほうに安定的な下降傾向が認められるということが非常に重要。それからもう一つは、感染者の数も重要ですけれども、解除に当たっては医療状況のひっ迫というものが改善されているということが重要だと思います。それから、今回は明らかに変異株の影響というのが前回に比べて極めて重要な要素になっていますので、今回は、いずれ解除するときには、今まで以上に慎重にやる必要があると思います。それから最後の点、申し上げたいことは、これは多くの専門家はなるべく下げたいという、なるべく数が少ないほうが良いということでいろいろな数が出ていますけれども、そうなることが理想ですが、必ずしもかなり下がるというところまでいかない可能性も、これはある。その場合は、いわゆる下げ止まりという状況があります。これがあり得る。そのときに、下げ止まったからすぐに解除するということをすると必ずリバウンドが来ますので、ここは何週間ということはなかなか難しいですけれども、必要な対策を続けながら、普通、われわれ感染症の専門家の常識を考えると、下げ止まっても、大まかな目安ですけれども、2~3週間はぐっと我慢するということが次の大きなリバウンドになるまでの時間稼ぎをできるということで、そういうことが必要だと思います。」私はスポーツジムのトレッドミルを走りながら、目の前のディスプレイであの会見をリアルタイムで聞いていたのだが、上記の中でも太字にした部分について「かなり踏み込んだ」と個人的には感じていた。私の勝手な推測だが、尾身氏のこの発言には2回目の緊急事態宣言の苦渋の解除が頭にあったのだろうと思っている。改めて記すと、2回目の緊急事態宣言は1月8日から東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に発出され、1月14日には栃木県、愛知県、岐阜県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県へと対象地域が拡大。最終的に首都圏の1都3県では3月21日まで宣言が維持された。この時の東京都では3月10日前後を境に前週同一曜日の感染者報告を上回り、200~300人台で感染者報告は下げ止まった。宣言期間が約2ヵ月半におよんだうえでの下げ止まりで、打つ手なしのやや投げやりな解除にも映った。実際、諮問委員会では反対意見を言った専門家は一人もいなかったこと、それに驚いたことを尾身氏自身が明らかにしている。「宣言解除、専門家の反対はゼロ 尾身会長も驚いた議論」(朝日新聞)こう書くと、「そういう尾身氏自身が反対しなかったのでは?」と野暮な突っ込みをする人が出てくるだろうが、あくまで専門家は助言・提言を行う立場であることを考えれば、おのずとできることに限界はある。ただ、その後まもなくリバウンドが起こり、現実に3回目の宣言発出になったからこそ、前述の会見での発言につながったのだろうと思う。専門家としての後悔も感じていたのではないかと思えるし、それ以上に政治の側に公の場で「くぎを刺す」意味もあったのだろう。だからこそ私はこの尾身氏の示した基準通りに政府側が動くか否かだけを注視していた。すでに答えは明らかで、模範解答は破り捨てられた。しかも、今回の東京都では、2回目の宣言解除直前よりやや多い300~400人台の感染者報告数で「まん防」に移行した。前回と違って一気に解除ではなく「まん防」に移行しているのだからましだと思えるかもしれないが、町の様子を見ていると多くの人は「移行」というよりは「解除」と捉えているのではないだろうか。現在、ようやく目標の1日100万回に達したワクチン接種。これを促進して力技で第5波への突入を阻止できるかは微妙だ。だが、もし第5波となってしまえば、今回はさすがに今まで以上に政府・政治家の責任は大きいと言わざるを得ない。と、そう思ったのだが、この政治は言ってしまえばわれわれの総意の結果、産み出されているものである。そうなるとやっぱり自分たちの赤点ぶりも相当のものと反省しなければならないとも思うのである。

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