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高齢者糖尿病治療ガイド2021を発行/日本糖尿病学会・日本老年医学会

 日本糖尿病学会(理事長:植木浩二郎)は、同学会と日本老年医学会で合同編集・執筆した『高齢者糖尿病治療ガイド2021』を同学会のホームページで3月24日に発表し、刊行した。 超高齢社会のわが国では、高齢者の糖尿病管理は深刻な問題であり、両学会は2015年4月に合同委員会を設置。「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)」の策定・公表やさまざまなガイドを発行することで高齢者糖尿病診療に道筋を示してきた。高齢者糖尿病治療ガイド2021では11の具体的な症例を提示 今回改訂された高齢者糖尿病治療ガイド2021では、高齢糖尿病患者に多い認知症、サルコペニア・フレイル、“mulitimorbidity”などの併存症、介護保険など高齢者をサポートする諸制度などの高齢者糖尿病患者に特化した内容が掲載されている。また、読者の理解に役立つようにと「高用量SU薬投与中の高齢者」や「中等度の認知症」など11の具体的な症例を提示し、糖尿病診療に従事する医療者以外にでも参考にできるように工夫されている。 下記に高齢者糖尿病治療ガイド2021の主要な項目を示す。高齢者糖尿病治療ガイド2021主要な目次項目1.高齢者糖尿病の特徴2.高齢者糖尿病の診断3.高齢者糖尿病の総合機能評価4.高齢者糖尿病の治療方針5.高齢者糖尿病の食事療法6.高齢者糖尿病の運動療法7.高齢者糖尿病の薬物療法8.低血糖およびシックデイ9.高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドローム、サルコペニア肥満10.高齢者糖尿病における合併症とその対策11.高齢者に多い併存症とその対策12.さまざまな病態における糖尿病の治療13.高齢者糖尿病をサポートする制度具体的な症例(各項目の間に挿入)[症例1]2型糖尿病の高齢女性[症例2]カテゴリーIIの高齢女性[症例3]カテゴリーIIの高齢男性[症例4]高齢者で高用量SU薬を使用している患者への治療見直し[症例5]非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を合併した2型糖尿病[症例6]認知機能の低下でインスリンの自己注射が困難な症例[症例7]心血管疾患を合併する糖尿病患者にGLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬を検討[症例8]カテゴリーII:手段的ADL低下例[症例9]カテゴリーIII:中等度の認知症例[症例10]認知症合併例の治療例[症例11]フレイル合併例の治療例付録/索引

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急性・慢性心不全診療―JCS/JHFSガイドラインフォーカスアップデート版発表 /日本循環器学会

 3月26~28日に開催された第85回日本循環器学会学術集会のガイドライン関連セッションにおいて、筒井 裕之氏(九州大学循環器内科学 教授)が「2021年JCS/JHFSガイドラインフォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療」を発表した。本講ではHFrEF治療に対する新規薬物の位置付けに焦点が当てられた。慢性心不全の薬物治療、アルゴリズムと保険適用薬3つに注目 今回のアップデート版は2017年改訂版を踏襲している。まず、筒井氏はアルゴリズムの仕様の変更点について説明。前回の治療アルゴリズムでは、薬物治療と非薬物治療を明確に分けず疾患管理や急性増悪時の対応が不十分であった。これを踏まえ、「薬物治療と非薬物治療を明確に分け、薬物治療から非薬物治療へ移行する際に薬物治療が十分に行われていたかどうかを確認する。疾患管理はすべての心不全患者に必要なため、緩和ケアを含め位置付けを一番下部から上部へ変更し、急性増悪した際には急性心不全のアルゴリズムに移行することを追記した」と話した。 薬物治療の内容で見逃せないのは、新しく保険適用となったHFrEFに対する治療薬のHCNチャネル遮断薬イバブラジン、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)サクビトリル・バルサルタン、SGLT阻害薬ダパグリフロジンの3つである。ANRI、海外と国内で選択優先度が異なる まず、特筆すべきは昨年発売されたサクビトリル・バルサルタンで、PARADIGM-HF試験と国内で実施されたPARALLEL-HF試験の結果に基づき慢性心不全治療薬として承認された。この薬剤の追加が反映されているのは心不全ステージCのHFrEF(LVEF<40%)とHFmrEF(40≦LVEF<50%)の場合。HFrEFでは基本薬(ACE阻害薬/ARB+β遮断薬+MRAから次のステップとしてACE阻害薬/ARBをARNIへ切り替え+SGLT2阻害薬)と追加薬の2本立てに変更、注釈には“ACE阻害薬/ARB未使用で入院例への導入も考慮(ただし、保険適用外)”の旨が記載された。その理由として、「2019年NEJM誌で発表されたPIONEER-HF試験において、ACE阻害薬/ARBによる前治療がない患者を53%含むHFrEF入院患者に対するNT-proBNPの減少効果が示されたから。また、ACCコンセンサス2021UpdateではARNIの使用を優先し、ACE阻害薬/ARBはARNIが禁忌、不耐性などの患者でのみ考慮されるべきと記載されている。ただし、日本では保険適用の点を考慮して注釈に留めた」と説明した。 さらに、HFmrEFでの可能性については、わが国の患者も含まれているPARAGON-HF試験やPARADIGM-HF試験から示唆、追加された。これらのARNIの推奨やエビデンスレベルについてはアルゴリズムとは別の表で推奨クラスIに位置付けられ、一方のHFpEFへの投与は「推奨してもよい」IIbとなった。基本薬のSGLT2阻害薬、追加薬のイバブラジン SGLT2阻害薬はDAPA-HF試験やその日本人サブグループ解析によって心不全への適用が認められた。また、EMPEROR-reduced試験での報告を受け、基本薬の位置付けでダパグリフロジンとエンパグリフロジンが認められた。だたし、エンパグリフロジンは国内では保険適用外である。 HFrEFの追加薬として記載されたイバブラジンは、同氏らが行ったJ-SHIFT試験でも安静時心拍数が有意に減少し、「イバブラジン群の主要評価項目のハザード比は0.67(33%のリスク低減)で、SHIFT試験と同様の有効性が示された」と今回の追加理由が解説された。非薬物療法のMitraClip(R)やカテーテルアブレーションの位置付け 経皮的僧帽弁接合不全修復術におけるMitraClip(R)の推奨については、2次性(機能性)僧帽弁閉鎖不全に対するエビデンスであるMITRA-FR試験とCOAPT試験の結果を反映している。これについて「両者の予後に対する効果には相違があったものの、COAPT試験のなかでHFrEFの心不全による入院や死亡が抑制されたことを反映し、推奨クラスをIIa、エビデンスレベルをBとした。一方で、器質性の場合は手術のエビデンスが確立しているため推奨クラスが異なる」と説明した。 カテーテルアブレーションについては、CASTLE-AF試験やCABANA試験を踏まえ、推奨レベルがIIbからIIaへ、エビデンスレベルがCからBへと上げられた。 このほか、今後期待される薬剤として記載されているvericiguat(sGC刺激薬)やomecamtiv mecarbil (心筋ミオシン活性化薬)の現状について説明し、「今後、正式な改訂版が公表される際に位置付けられる。EFによる分類なども改訂されているので本編をぜひご覧いただきたい」と締めくくった。<フォーカスアップデート版に盛り込まれた主な改訂点>1.総論:LVEFによるあらたな分類の提唱とHFmrEF、HFrecEFに関する記載の変更2.心不全治療の基本方針:心不全治療アルゴリズムの改訂3.薬物治療:Ifチャネル阻害薬(HCNチャネル遮断薬)、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)、SGLT2阻害薬の項目の改訂、わが国における治験(J-SHIFT試験、PARALLEL-HF試験)をふまえた記載の追加4.非薬物治療:経皮的僧帽弁接合不全修復システムの記載の改訂5.併存症:心房細動 CASTLE-AF試験とCABANA試験をふまえた記載の改訂6.併存症:糖尿病 DAPA-HF試験、EMPEROR-Reduced試験等をふまえた記載の改訂7.手術療法:TAVIの低リスク試験 PARTER3試験、EVOLUT試験をふまえた記載の改訂、IMPELLA(R)の記載の改訂8.疾患管理:心不全療養指導士の記載の追加9.緩和ケア:緩和ケア診療加算の記載の追加10.今後期待される治療:vericiguat、omecamtiv mecarbilの記載改訂

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着々と広がるコロナワクチン接種、一方で接種忌避やアクセス困難者も【臨床留学通信 from NY】第19回

第19回:着々と広がるコロナワクチン接種、一方で接種忌避やアクセス困難者もこちら米国では、COVIDワクチンが徐々に行き渡りつつあります。私の外来に来る人たちも、50歳以上もしくは糖尿病などの合併症があればワクチンを勧めることができ、1月中旬から高齢者を中心に、すでにワクチンを接種し終えている人も相当数います。米国では、3月25日時点のワクチン接種がトータルで1億6,900万回を超えている状況ですが、同時点のニューヨーク州における感染者数は1日7,000人ほどで、依然として減る兆しがありません。変異株の影響も心配されます。3月30日から30歳以上が、4月6日からは16歳以上が接種対象となり、一段とワクチン接種が加速する見通しですが、皆がワクチン接種を望んでいるわけではないのはどこの国も同じで、合併症があって、医学的に勧められても接種に前向きでない人も一定数います。また、単回接種で済むジョンソン&ジョンソン社製がより行き渡るのを待ちたい、という人もいます(Mount Sinaiで接種できるのは、現時点ではファイザー社製のみ)。ワクチンへのアクセス困難者を訪問診療でカバーさて、米国レジデントは通常のプライマリケア外来のみならず、Geriatric、すなわち老年学の勉強のため、Geriatric serviceの外来ローテーションを経験する必要があります。超高齢化社会はどこの先進国も同様であり、90歳を超えてもピンピンしている人もいれば、70歳代で合併症を抱えて、歩くのもままならない人もいます。そういった超高齢化社会に対応するのがGeriatricです。現在はコロナの影響でTelephone visit, Video visitもしていますし、Visiting doctorsとして訪問診療をすることもあります。日本では通常大きな病院が訪問診療をすることはないと思いますが、こちらでは大学病院の事業の一貫として、必要な患者さんを訪問していくわけですが、マンハッタン全域をカバーしているため移動がなかなか大変です。また家で採血、さらにはワクチンが受けられるようにセッティングするのですが、そういった方々には確かにジョンソン&ジョンソンの1回で済むワクチンが良いのかもしれません。またそういった方々の介護をしているHome aidの人に対しても、ワクチンが接種できるように手配の手助けもしています。Home aidの人がコロナに罹患して、抵抗力の弱い年配者に感染が広がると大変なので、先手の予防策は理に適っています。日本ではまだ医療従事者の段階ではありますが、システム作りの得意な米国には見習うところがあると思います(コロナの流行拡大で世界最大の感染者数を出している点はさておき)。Column画像を拡大する3月中旬のレジデントのマッチの結果が出て、7月からの次年度の当院のメンバーも決まったようです。早いもので、私のレジデント生活もあと少しで終わろうとしています。コロナのPandemicの中心にいた昨年4月を含め、激動の3年間でした。現在の職場で、コロナ関連の研究などやれることをできるだけやって、次のステップに進みたいと思います。ニューヨークは、3月上旬は-4℃くらいまで冷え込む日もありましたが、下旬には20℃を超えてきています。写真は、見頃を迎えた花の並木道を撮ったもの。春の訪れを感じます。

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CAVIは心血管イベントを予測できるか(CAVI-J)/日本循環器学会

 高リスク患者の心血管イベント予測因子として、CAVI(cardio-ankle vascular index:心臓足首血管指数)の付加的有用性を検証したCAVI-J研究の結果を、三好 亨氏(岡山大学循環器内科)が第85回日本循環器学会学術集会(2021年3月26日~28日)のLate Breaking Sessionで発表した。本結果から、CAVIは心血管イベントの予測に役立つことが示唆された。 動脈硬化は心血管イベントの重要な予測因子であり、単一施設または小規模の研究では、CAVIと心血管イベント発症の関連が報告されている。今回、三好氏らは大規模前向きコホートで、心血管リスクのある患者においてCAVIが心血管イベントの予測に優れているかどうか、心血管イベントの予測でCAVIの追加が従来のリスク因子による予測能を改善するかどうかを検討した。CAVIは心血管リスクのある患者の心血管イベントリスクの評価に役立つ CAVI-J研究は多施設前向きコホート研究で、40〜74歳の2型糖尿病、高血圧(JSH2014による高リスク)、メタボリックシンドローム、CKD(ステージ3)、冠動脈疾患または脳梗塞の既往のある患者を対象とした。主要アウトカムは、心血管死、非致死性脳卒中、非致死性心筋梗塞の複合心血管イベントであった。2013年5月~2014年12月に計3,026例が登録され、CAVIの測定日から5年間観察した。患者をCAVIにより五分位に分け(Q1:<7.55、Q2:7.60~8.20、Q3:8.25~8.80、Q4:8.85~9.45、Q5:>9.50)、検討した。 高リスク患者の心血管イベント予測因子としてCAVIの付加的有用性を検証したCAVI-J研究の主な結果は以下のとおり。・心血管イベントは計72例(心血管死13例、脳卒中44例、心筋梗塞25例)に発症し、累積発症率のカプランマイヤー曲線ではQ5がQ1に比べ有意に高かった(log-rank検定:p<0.01)。・Q5ではQ1に比べて、複合心血管イベントの発症率が有意に高く(多変量調整ハザード比[HR]:3.31、95%信頼区間[CI]:1.26~8.71)、CAVIの1ポイント増分において有意に高かった(同:1.38、同:1.196~1.65)。・イベントのサブタイプ別にみると、心血管死(年齢・性別調整HR:1.63、95%CI:1.05~2.30)、脳卒中(同:1.49、同:1.15~1.87)、入院を伴う心不全(同:1.50、同:1.11~2.12)が有意にCAVIと関連していた。・心血管イベントの予測において、既知の心血管リスクによるモデルにCAVIを組み込んだ場合、グローバルカイ2乗スコアとNRI(Net reclassification index)は有意に増加したがC-staticの増加は有意ではなかった。 これらCAVI-J研究の結果から三好氏は、CAVIは心血管リスクのある患者の心血管イベントリスクの評価に役立つと述べた。

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若年者の肥満・高血圧、心不全発症リスクへの影響は?/BMJ

 若年者のほうが高齢者と比較して、心不全発症率および絶対リスクは低いが、リスクとの関連性が強く、修正可能な絶対リスクのリスクへの寄与が高いことが示された。シンガポール国立心臓センターのJasper Tromp氏らが、フラミンガム心臓研究などの参加者を対象としたプールコホート研究の結果、明らかにした。若年者のほうが高齢者と比べて心不全発症率が低いことは知られているが、年齢差を考慮したリスク因子との関連に関する研究はほとんど行われていなかった。先行研究では、電子健康記録を用いた研究で、心不全を含む12の心血管疾患発症と血圧上昇との相対リスク低下が認められたことや、心不全患者を対象とした研究で、若年患者(55歳以下)は肥満、男性、糖尿病既往者で多くみられることは報告されていた。今回の結果について研究グループは、「成人への生涯にわたる予防介入の重要性を浮き彫りにしている」と述べている。BMJ誌2021年3月23日号掲載の報告。一般集団を対象に心不全の年齢別リスク因子を評価 研究グループは、一般集団における心不全の年齢別リスク因子を評価するため、フラミンガム心臓研究、PREVEND(Prevention of Renal and Vascular End-stage Disease)研究、およびアテローム性動脈硬化症の多民族(MESA)研究を基にプール住民ベースコホート研究を行った。 被験者は心不全歴のない2万4,675例で、若年者(<55歳、1万1,599例)、中年者(55~64歳、5,587例)、前期高齢者(65~74歳、5,190例)、後期高齢者(75歳以上、2,299例)に層別化し、心不全の発症について評価した。被験者の平均年齢は56(SD 14)歳、男性47%であった。若年者のほうが発症の絶対リスクは低いが、リスク因子との関連が強い 追跡期間中央値12.7年において、心不全発症者は、若年者138/1万1,599例(1%)、中年者293/5,587例(5%)、前期高齢者538/5,190例(10%)、後期高齢者412/2,299例(18%)だった。駆出率が保持された心不全として分類されたのは、若年者では32%(44例)、後期高齢者では43%(179例)だった。 高血圧、糖尿病、現在喫煙、および心筋梗塞既往などのリスク因子は、高齢者と比較して、若年者のほうが相対リスクへの寄与が大きかった(すべての相互作用のp<0.05)。たとえば高血圧は、若年者の将来的心不全リスクを3倍(ハザード比[HR]:3.02、95%信頼区間[CI]:2.10~4.34、p<0.001)増大したのに対し、後期高齢者では1.4倍(1.43、1.13~1.81、p=0.003)の増大であった。 心不全発症の絶対リスクは、リスク因子の有無にかかわらず、高齢者より若年者のほうが低かった。 注目されたのは、既知のリスク因子が占める集団寄与リスクへの割合が、若年者のほうが高齢者より大きく(75% vs.53%)、モデルパフォーマンスは良好であったこと(C統計量0.79 vs.0.64)で、同様に、肥満(21% vs.13%)、高血圧(35% vs.23%)、糖尿病(14% vs.7%)、現在喫煙(32% vs.1%)の集団寄与リスクも、若年者のほうが高齢者と比較して大きかった。

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小遣いが多い子どものBMIは高い【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第184回

小遣いが多い子どものBMIは高いいらすとやより使用子供のいらっしゃるケアネット会員の皆さんは、どのくらいのお小遣いをあげているでしょうか。私は、小学生の子供がいますが、学年×100円の小遣いをあげています。お小遣い帳に記入させて、マネーリテラシーを学んでもらっていますが、これが正しいのかどうか、よくわかりません。Ma L, et al.A 3-year Longitudinal Study of Pocket Money, Eating Behavior, Weight Status: The Childhood Obesity Study in China Mega-CitiesInt J Environ Res Public Health . 2020 Dec 7;17(23):9139.これは、中国の縦断的データを使用して、子供の小遣いと食事行動・体重の関連性を調べた研究です。2015年、2016年、2017年に、中国全土の大都市(北京、上海、南京、西安、成都)の学齢期の子供と親にアンケートを実施し、データが収集されました。子供の体重、身長、胴囲を測定し、お小遣いについては、子供に「いくら受け取っているの?」と質問しました。また、過去3ヵ月間の食事行動については、ファストフード、赤身肉、スナックなど不健康なカテゴリーと、緑黄色野菜、穀物、白身肉、乳製品など健康的なカテゴリーに分類しました。その結果、学齢期の年齢が高い子供は、年齢が低い子供よりも多くの小遣いを受け取っていることがわかりました(発生率比[IRR]:1.21、95%信頼区間[CI]:1.15~1.26)。ま、そりゃそうですね。また、父親は母親よりも多くの小遣いを子供に与えていました(IRR:1.22、95%CI:1.16~1.30)。そして、大学教育以上の教育水準にある父親を持つ子供は、その他の子供よりも多くの小遣いを受け取っていました(IRR:1.20、95%CI:1.04~1.40)。ひー、インテリパパ、注意ですよ!!図. 小遣いと子供のBMIの関連(10人民元は約160円)小遣いを受け取っている額が多いほど、不健康な食品を消費する頻度が高く、BMIも上昇しました。単純に解釈すると、金持ちの子供は肥満が多い、ということになりますかね……。とはいえ、BMIの中央値は大きくても0.5程度の差なので、そこまで懸念する現象ではないかもしれません。――皆さんは、どのくらいの小遣いが妥当だと考えますか?

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循環器疾患合併COVID-19入院患者の予後規定因子を検討/日本循環器学会

 循環器疾患およびリスク因子を合併している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の臨床的背景や転帰を明らかにすることを目的としたレジストリ研究「CLAVIS-COVID」の結果の一部について、第85回日本循環器学会学術集会(2021年3月26日~28日)で松本 新吾氏(東邦大学医療センター大森病院)が発表した。循環器疾患やリスク因子の合併の有無にかかわらず、年齢の上昇に伴い死亡率が増加していることから、年齢が独立した非常に強い予後規定因子であることが示唆された。 COVID-19患者の予後については、昨年、中国から循環器疾患合併かつトロポニン陽性の患者の予後が悪いとの報告がJAMA Cardiology誌に掲載され、米国からは年齢・性別に加えて冠動脈疾患・心不全・不整脈などの循環器疾患合併患者で予後が悪いという論文がNEJM誌に掲載された。このような中、松本氏らは昨年3月時点で、わが国で進行しているレジストリ研究が見当たらなかったことから、循環器疾患およびリスク因子(CVDRF)合併COVID-19入院患者に関する多施設共同観察研究であるCLAVIS-COVIDを立ち上げ、日本循環器学会の公式なレジストリ研究として実施している。 本研究は後ろ向き観察研究で、2020年1月1日~5月31日にCOVID-19により入院した患者のうち、循環器疾患およびリスク因子(高血圧、糖尿病、高脂血症)を合併した患者を対象とし、主要エンドポイントは院内死亡とした。 最終的に国内49施設の1,518例のデータが解析対象となり、平均年齢は57±19歳、男性が58%、全体の死亡率は9.2%、CVDRF合併症例は693例(45.7%)であった。生存退院群(1,378例)と院内死亡群(140例)で比較すると、患者背景については、年齢、男性比率、ECMO使用、ICU入室、挿管管理で有意に院内死亡群が高かった。カプランマイヤー曲線は、CVDRF合併症例が非合併症例に比べて有意に死亡率が高く、海外と同様の傾向がみられた。 CVDRF合併症例について、生存退院例(585例、84.4%)と院内死亡例(108例、15.6%)で比較すると、患者背景については、院内死亡例でより高齢で、転院・介護/療養型施設からの入院が多かった。入院時に認められた合併症については、院内死亡例では慢性/急性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、中等度以上の弁膜症、不整脈、COPD、慢性腎臓病、がんの合併割合が有意に高かった。入院時の自覚症状については、全体で一番多かったのは咳嗽(52.0%)で、息切れ/呼吸困難、悪寒、心不全症状(末梢浮腫、肺うっ血)の発現割合が院内死亡例で有意に高い一方、咽頭痛、嗅覚異常、頭痛の発現割合は生存退院例で有意に高かった。バイオマーカーについては、CRP、D-ダイマー、プロカルシトニン、KL-6、トロポニンもしくは高感度トロポニン陽性、BNP、NT-proBNPが院内死亡例で有意に高かった。このバイオマーカーの結果について松本氏は、「日本のように日常臨床で細かく繰り返し数値を取得できる国は珍しいため、貴重なデータである」と述べた。 本研究の最終的な解析結果の論文は現在レビュー中で、まずは年齢に着目して報告をまとめているという。その中でもインパクトのある結果として松本氏は、循環器疾患やリスク因子の合併の有無にかかわらず、年齢の上昇に伴い死亡率が急増しているグラフを示し、年齢が独立した非常に強い予後規定因子であることを指摘した。

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完全人工膵臓開発における熾烈な競争(解説:住谷哲氏)-1371

 筆者は本連載1167回の『完全人工膵臓実現へのさらなる一歩』で、高血糖時に投与するcorrection bolusを自動化したControl-IQシステムについてコメントした。この点でControl-IQシステムに一歩遅れをとっていたMedtronicが新たに開発したシステムであるadvanced hybrid closed-loop system(AHCL)についての報告である。Medtronicはすでにhybrid closed-loop system(HCL)としてMiniMed 670Gを市場に送り出していたが、MiniMed 670Gにcorrection bolus投与自動化アルゴリズムを持つMD-Logic artificial pancreas algorithm(DreaMed Diabetes[イスラエル、ペタフ・ティクバ])を組み込んだAHCLを新たに開発した。MiniMed 670Gとハード(インスリンポンプとCGM)はまったく同一で、新しいソフトを搭載した機種になる。 試験の対象となったのは1型糖尿病のなかでも血糖管理が困難とされている思春期・若年成人(adolescents and young adults)1型糖尿病患者113人である。機種の違いを比較する試験でありmaskingは不可能であるが、対象患者間の個体差を最小にするために無作為化クロスオーバーデザインが用いられた。Correction bolus投与自動化による有益性を評価するのが試験目的であるので、日中における血糖値>180mg/dLの時間と、<54mg/dLの時間との2つの主要評価項目coprimary endpointが設定された。結果は、血糖値>180mg/dLの時間がHCL期間で34%、AHCL期間で37%(p<0.001)でありAHCLで有意に減少していた。 それではControl-IQシステムとadvanced MiniMed 670G(今回検討された新機種)のどちらが優れているだろうか? 両機種には機能に種々の相違点があるが、この疑問は両者のhead-to-head試験が実施されない限り(その実現可能性はきわめて低いが)答えられない。しかしControl-IQシステムは自己血糖測定によるCGMの較正が不要であるのに対して、MiniMed 670Gに搭載されたCGMは12時間ごとの較正が必要であり、この点ではControl-IQシステムが利便性に勝る。Control-IQシステムvs.MiniMed 670Gの勝者がいずれになるかは、食事の前に投与するmeal bolusの自動化をどちらが達成するかにかかっていると思われる。

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インクレチン薬同士での切り替えの理由【処方まる見えゼミナール(眞弓ゼミ)】

処方まる見えゼミナール(眞弓ゼミ)インクレチン薬同士での切り替えの理由講師:眞弓 久則氏 / 眞弓循環器科クリニック院長動画解説前医でGLP-1製剤を使用していた糖尿病患者。今回からDPP-4阻害薬へ変更となりましたが、患者がかかりつけ医を変えたことと、この処方変更に関係はあるのでしょうか?若手薬剤師の推理を聞いたうえで、眞弓先生が“真相”を語ります。

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81歳にインスリン導入!糖尿病専門医の深謀【処方まる見えゼミナール(三澤ゼミ)】

処方まる見えゼミナール(三澤ゼミ)81歳にインスリン導入!糖尿病専門医の深謀講師:三澤 美和氏 / 大阪医科大学附属病院 総合診療科動画解説今回から経口血糖降下薬がインスリンに変更された81歳の患者さん。「高齢者にインスリンを導入するのはハードルが高い」と言われているなか、三澤先生はなぜ切り替えを決断したのでしょうか。糖尿病専門医でもある三澤先生が考えた処方意図、インスリン導入時の検討事項などを解説します。

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HbA1c6.2%で糖尿病治療薬を変更しなければならなかった患者の謎【処方まる見えゼミナール(三澤ゼミ)】

処方まる見えゼミナール(三澤ゼミ)HbA1c6.2%で糖尿病治療薬を変更しなければならなかった患者の謎講師:三澤 美和氏 / 大阪医科大学附属病院 総合診療科動画解説血糖コントロールが良好なのに治療薬が大きく変わった女性。三澤先生が迷いなく変更した理由は何なのでしょうか。糖尿病専門医ならではのきめ細やかなヒアリング内容、もし変更しなかった場合に起こりうることなどを解説します。

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糖尿病治療薬がガラッと変わった後の服薬指導【スーパー服薬指導(2)】

スーパー服薬指導(2)糖尿病治療薬がガラッと変わった後の服薬指導講師:近藤 剛弘氏 / 元 ファイン総合研究所 専務取締役動画解説病院を変え、初めて薬局を訪れた男性患者。処方薬も変わったことをお薬手帳で知った薬剤師がまず最初に確認したこととは?

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知らないと悲劇?毎朝血糖値測定を欠かさない患者【スーパー服薬指導(5)】

スーパー服薬指導(5)知らないと悲劇?毎朝血糖値測定を欠かさない患者講師:近藤 剛弘氏 / 元 ファイン総合研究所 専務取締役動画解説脂質異常症を併発する糖尿病患者が来局。コレステロールと中性脂肪が改善しないと、スタチン系の処方が変更されたが、薬剤師は併用薬との相互作用に気づき…

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ワクチン接種2回目で多い副反応疑い、主な症状と発症時期は?/厚労省

 厚生労働省は3月26日、医療機関や製造販売業者からの副反応疑い報告状況、国内アナフィラキシー発生状況などについての検討会*を開催し、「新型コロナワクチン投与開始初期の重点的調査(コホート調査)」の中間報告などを行った。それによるとファイザー製の新型コロナウイルスワクチンを接種した場合、発熱、倦怠感、頭痛などの副反応が2回目に多くみられた。また、いずれの症状も接種当日~翌日に出現している場合が多かった。 報告によると、発熱の場合“1回目接種後の発熱(37.5℃以上)は3.3%であったのに対し、2回目は35.6%と高率だった。発熱する場合は翌日が多く、接種3日目には解熱した”とあり、また接種部位の疼痛は“1回目、2回目いずれでも90%超で、接種翌日が最も頻度が高く、接種3日後には軽快した”という。調査概要と結果詳細 この調査は伊藤 澄信氏(順天堂大学医学部臨床研究・治験センター)らによるワクチン接種者を対象とした前向き観察研究で、治験と同様の方法で1~2万人の安全性情報を収集し、厚労省の専門家会議を通じて国民に安全性情報を発信することを目的としている。 2月14日に特例承認となったファイザー製の新型コロナワクチン「コミナティ筋注」を2月17日から先行接種対象者に接種開始。2月25日に被接種者登録が終了、1万9,808例が1回目を接種しコホート調査に登録され、2回目接種者は1万7,579例だった。接種者の職種は医師17%、看護師47%、その他医療従事者36%(薬剤師・臨床検査技師・放射線技師は各3%、理学療法士2%ほか)。年代は20代:21%、30代:24%、40代:25%、50代:21%、60代以上:8.7%で、男性34%、女性66%だった。治療中疾患は高血圧が最も多く、次いで脂質異常症、糖尿病、気管支喘息の順に多かった。 症状の出現について、接種後8日目以降に回収した1回目接種1万9,035例(全体の96.1%) および2回目接種3,933例の健康観察日誌から調べた結果、1回目に比べると2回目接種では接種翌日に頭痛(約40%)、全身倦怠感(約60%)を自覚した。また、接種部位の疼痛については1回目、2回目ともに接種翌日時点で約90%の接種者が記録しており、これは2009年のH1N1pdmインフルエンザワクチンNHO 2万人調査での疼痛出現の割合(43.8%)と比較しても、頻度が明らかに高いことが示された。 主な症状と発症率は以下のとおり(1回目/2回目)。発熱(37.5℃以上):3.3%/35.6%発熱(38℃以上):0.9%/19.1%接種部位反応:92.9%/93.0%発赤:13.9%/16.0%疼痛:92.3%/91.9%腫脹:12.5%/16.9%硬結:10.6%/9.9%熱感:12.8%/16.6%かゆみ:7.9%/10.4%倦怠感:23.2%/67.3%頭痛:21.2%/49.0%*:第54回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、第14回薬事食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会合同開催(ケアネット 土井 舞子)患者説明用スライドはこちら『新型コロナワクチン副反応疑い症状』

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過体重・肥満へのセマグルチド、中断で体重リバウンド/JAMA

 過体重または肥満の成人に対し、20週間のセマグルチド皮下投与後、2.4mg/週を48週間継続投与した群はプラセボに切り替えた群と比べて、体重減少が維持されていたことが示された。米国・Washington Center for Weight Management and ResearchのDomenica Rubino氏らが、約800例を対象に行った68週間の第III相無作為化二重盲検試験「STEP 4試験」で明らかにした。過体重または肥満者へのGLP-1受容体作動薬セマグルチドの投与について、投与を継続した場合と中断した場合の影響については、これまで明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2021年3月23日号掲載の報告。10ヵ国73ヵ所の医療機関で試験 研究グループは2018年6月~2020年3月にかけて、10ヵ国73ヵ所の医療機関を通じて、BMI値30以上、または27以上で体重関連の併存疾患が1つ以上ある、非糖尿病成人を対象に試験を行った。 902例がrun-in期間中に週1回のセマグルチド皮下投与を受けた。20週間(16週は漸増投与、4週は維持投与)の実施後、803例(89.0%)が2対1の割合で無作為化され、2.4mg/週のセマグルチド継続投与(535例)またはプラセボへの切り替え投与(268例)を受け、体重減少効果などが検証された。両群ともに、専門家による毎月のカウンセリングを含む生活習慣への介入も行われた。 主要エンドポイントは、20週から68週の体重変化(%)だった。副次エンドポイントは、腹囲、収縮期血圧、身体機能(Short Form 36 Version 2 Health Survey, Acute Version[SF-36]を用いた評価)だった。セマグルチド継続群、対プラセボ群で腹囲-9.7cm、収縮期血圧-3.9mmHg 803例(平均年齢46歳[SD 12]、女性79%、平均体重107.2kg[SD 22.7])のうち、787例(98.0%)が試験を完了し、治療を完遂したのは741例(92.3%)だった。 20~68週の体重変化率は、プラセボ群は6.9%増加したのに対し、セマグルチド継続群は7.9%減少した(群間差:-14.8%、95%信頼区間[CI]:-16.0~-13.5、p<0.001)。 また、セマグルチド継続群はプラセボ群に比べ、腹囲(群間差:-9.7cm[95%CI:-10.9~-8.5])、収縮期血圧(-3.9mmHg[-5.8~-2.0])、SF-36身体機能スコア(2.5[1.6~3.3])のいずれも改善が認められた(すべてのp<0.001)。 なお、胃腸関連イベントの発生が、プラセボ群26.1%だったのに対しセマグルチド継続群では49.1%に認められた。有害事象による投与中断率は、セマグルチド継続群2.4%、プラセボ群2.2%で同程度だった。

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円形脱毛症リスク、地毛の色で有意差

 円形脱毛症と地毛の色には有意な関連がみられ、より暗い色(黒髪や暗褐色の髪)のほうが有意にリスクが高い。米国・ウェストバージニア大学のAhmed Yousaf氏らが、英国の白人種男女を対象とした適合ケースコントロール試験の結果を報告した。円形脱毛症は、複合的な免疫異常によって非瘢痕性脱毛を引き起こすとされている。 先行研究では、病変部における白髪を形成する毛包の色素細胞、非色素細胞を標的とした報告がされ、メラノサイトおよびケラチノサイトにおけるメラニン形成に関連したタンパク質の免疫標的化が、円形脱毛症の成長期の毛髪を標的とする炎症のメカニズムを表すものと示唆されていた。著者は、「われわれの結果はそうしたモデルを支持するものである。ただし、円形脱毛症と髪の色の免疫原性の関連性をより正確に解き明かすには、さらなる研究が必要だ」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年3月10日号掲載の報告。 研究グループは2020年10月に、英国居住の白人種における円形脱毛症と髪の色の関連を調べる適合ケースコントロール試験を行った。試験には、前向きに収集された大規模コホートが用いられ、UK Biobank(成人の表現型および遺伝子型の決定因子を研究するためにデザインされた大規模前向きリソース)から集めたデータを包含した。 UK Biobankの被験者計50万2,510例をレビューし、髪の色が報告されていた円形脱毛症1,673例(ケース群)を抽出し、1対4のマッチング法を用いて年齢と性別で適合した非円形脱毛症6,692例(対照群)と比較検証した。 アウトカム変数は円形脱毛症、主な予測因子を白髪になる前の地毛の色として、条件付きロジスティック回帰分析にて評価した。考慮した変数は糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、白斑などであった。 主な結果は以下のとおり。・被験者46万4,353例において、25万4,505例(54.8%)が女性であった。・円形脱毛症を呈した被験者の平均年齢(SD)は46.9(16.5)歳であった。・円形脱毛症は、薄茶色の髪の被験者と比較して、黒髪(補正後オッズ比[aOR]:2.97、95%信頼区間[CI]:2.38~3.71)、暗褐色(1.26、1.11~1.42)の被験者で有意に多く認められた。・対照的に、金髪の被験者では、薄茶色の髪の被験者と比較して、円形脱毛症が有意に少なかった(aOR:0.69、95%CI:0.56~0.85)。・赤毛の被験者と薄茶色の髪の被験者に、有意差はみられなかった。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用 その3【「実践的」臨床研究入門】第6回

「観察研究」と「介入研究」CQ 慢性腎臓病(CKD) の進行を抑制するためにたんぱく質摂取量を制限することは推奨されるか?推奨CKD の進行を抑制するためにたんぱく質摂取量を制限することを推奨する。ただし、画一的な指導は不適切であり、個々の患者の病態やリスク、アドヒアランスなどを総合的に判断し、腎臓専門医と管理栄養士を含む医療チームの管理の下で行うことが望ましい (推奨グレード B 1)。前回までに、設定したCQに類似する上記のCQの記載と回答(推奨)を、「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」で見つけ、本文の解説を読み込みました。解説文(筆者がまとめた概要)では、下記のように先行研究を引用して、CKD患者における食事療法(低たんぱく食)に関するエビデンスが述べられています。CKD患者におけるたんぱく質制限による腎保護効果は、これまで多くのランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)1-11)や、それらを統合(メタ解析)した、いくつかのシステマティック・レビュー12-18)で検討されている。CKD患者(とくに糖尿病非合併例)に対するたんぱく質制限は、腎機能低下抑制に有効な可能性がある。RCTやシステマティック・レビューといった臨床疫学用語が出てきたので、ここでは臨床研究の「型」について簡単に解説してみたいと思います。臨床研究の「型」は「観察研究」と「介入研究」に大別されます。「観察研究」では研究目的を意識した介入(I)は加えずに、ある疾患やそれに対する診療の実態をありのままに観察します。一方、「介入研究」は、研究者が研究の対象(P)に対して意図した介入(I)を加えたうえでアウトカム(O)を追跡します。「介入研究」は介入(I)をP(対象)にランダム(無作為)に割り付けるか否かによって、RCTとnon-RCTに分類されます。「介入」の効果を科学的に検証するためには介入(I)群と対照(C)群の「比較の妥当性」をできる限り担保する必要があります。「ランダム割付」によって、介入(I)群と対照(C)群の間でアウトカムに影響する可能性のある背景因子を揃えることが期待でき、高い「比較の妥当性」を得ることができます(non-RCTはこの「ランダム割付」という「介入研究」の最大の「強み」を活かしていないので、「介入研究」≒RCTと捉えて良いのではないか、と筆者は考えています)。「内的妥当性」と「外的妥当性」また、前回まとめたように、「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」では、上記のCQに対する推奨(回答)が根拠とするこれまでのエビデンスのひとつの限界として、以下のように言及されています。これらのエビデンスはほとんどが適格基準が厳しいRCTで示されたものである。また、腎臓専門医ならびに管理栄養士の指導の遵守率が高い状態の研究結果でもあり、CKD診療一般にあてはめることは難しい可能性がある。われわれが行おうとしている研究は「観察研究」です(連載第1回冒頭のダイアローグ参照)。「ランダム割付」した「介入研究」、いわゆるRCTは、介入(I)群と対照(C)群を公平に比較できることが期待されます。したがって、前述したとおりRCTは「比較の妥当性」が高く(別の言い方で、「内的妥当性」が高い、とも言います)、エビデンスレベルも「観察研究」より高く位置づけられています。それでは、「観察研究」の価値はRCTと比べて著しく低いのでしょうか、そんなことはありません。「内的妥当性」に対して「外的妥当性」という臨床疫学用語があります。「外的妥当性」とは、ざっくり言うと、ある特定の臨床研究で得られた結果を、その臨床研究で対象としたサンプル(研究対象集団)以外の集団に対しても当てはめることができるか、ということです(別の言い方で、「一般化可能性」、とも言います)。確かにRCTは前述したとおり「内的妥当性」には優れています。しかしRCTの適格基準を満たし、かつRCTの参加に同意する患者集団は、現実の一般的な診療で対象としている患者集団とかけ離れているかもしれません。なぜなら、RCTでは高齢者や重篤な併存疾患があるようなリスクの高い患者さんは適格基準を満たさず除外されてしまうことが多いからです。また、RCTへの参加に同意する患者さんは、そうでない患者さんに比べて健康意識が高く、日常の診療でも治療遵守の程度も高いかもしれません。このようなことから、一般にRCTは「内的妥当性」は高いけれども「外的妥当性」が低いことが多い、と言われます。「内的妥当性」と「外的妥当性」のバランスの観点から、われわれが行う「観察研究」でも新たなエビデンスを積み上げる余地(ニッチ)がはあると判断して、研究デザインの検討を前に進めて行きます。もちろん「観察研究」はRCTと比較して「内的妥当性」が低いことは否めません。研究デザインや統計解析計画で「観察研究」の「内的妥当性」を高める工夫についても、おいおい、解説して行きたいと思います。1)Ihle BU et al. N Engl J Med 1989;321:1773-7.2)Brouhard BH et al. Am J Med 1990;89:427-31.3)Zeller K et al. N Engl J Med 1991;324:78-84.4)Williams PS et al. Q J Med 1991;81:837-55.5)Klahr S et al. N Engl J Med 1994;330:877-84.6)Hansen HP et al. Kidney Int 2002;62:220-8.7)Pijls LT et al. Eur J Clin Nutr 2002;56:1200-7.8)Meloni C et al. J Ren Nutr 2004;14:208-13.9)Koya D et al. Diabetologia 2009;52:2037-45.10)Cianciaruso B et al. Am J Kidney Dis 2009;54:1052-61.11)Garneata L et al. J Am Soc Nephrol 2016;27:2164-76.12)Kasiske BL et al. Am J Kidney Dis 1998;31:954-61.13)Pan Y et al. Am J Clin Nutr 2008;88:660-6.14)Fouque D et al. Cochrane Database Syst Rev 2009:CD001892.15)Robertson L et al. Cochrane Database Syst Rev 2007:CD00218116)Nezu U et al. BMJ Open 2013;3:e002934.17)Rughooputh MS et al. PLoS One 2015;10:e0145505.18)Jiang Z et al. Int Urol Nephrol 2016;48:409-18.1)福原俊一. 臨床研究の道標 第2版. 健康医療評価研究機構;2017.2)木原雅子ほか訳. 医学的研究のデザイン 第4版. メディカル・サイエンス・インターナショナル;2014.3)矢野 栄二ほか訳. ロスマンの疫学 第2版. 篠原出版新社;2013.4)中村 好一. 基礎から学ぶ楽しい疫学 第4版. 医学書院;2020.5)片岡 裕貴. 日常診療で臨床疑問に出会ったときに何をすべきかがわかる本 第1版.中外医学社;2019.

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