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第149回 コロナ感染に特有の罹患後症状は7つのみ

2020年に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の世界的流行が始まって以降、その通常の感染期間後にもかかわらず長く続く症状を訴える患者が増えています。それらCOVID-19罹患後症状(コロナ罹患後症状)のうち疲労、脳のもやもや(brain fog)、息切れは広く検討されていますが、他は調べが足りません。感染症発症後の長患いはCOVID-19に限るものではありません。インフルエンザなどの他の呼吸器ウイルスも長期の影響を及ぼしうることが示されています。COVID-19ではあって他の一般的な呼吸器ウイルス感染では認められないCOVID-19に特有の罹患後症状を同定することはCOVID-19の健康への長期影響の理解に不可欠です。そこで米国・ミズーリ大学の研究チームはソフトウェア会社Oracleが提供するCerner Real-World Dataを使ってCOVID-19に特有の罹患後症状の同定を試みました。米国の122の医療団体の薬局、診療、臨床検査値、入院、請求情報から集めた5万例超(5万2,461例)のCerner Real-World Data収載情報が検討され、47の症状が以下の3群に分けて比較されました。COVID-19と診断され、他の一般的な呼吸器ウイルスには感染していない患者(COVID-19患者)COVID-19以外の一般的な呼吸器ウイルス(風邪、インフルエンザ、ウイルス性肺炎)に感染した患者(呼吸器ウイルス感染者)COVID-19にも一般的な呼吸器ウイルスにも感染していない患者(非感染者)SARS-CoV-2感染から30日以降1年後までの47の症状の生じやすさを比較したところ、呼吸器ウイルス感染者と非感染者に比べてCOVID-19患者により生じやすい罹患後症状は思いの外少なく、動悸・脱毛・疲労・胸痛・息切れ・関節痛・肥満の7つのみでした1,2)。無嗅覚(嗅覚障害)などの神経病態がSARS-CoV-2感染から回復した後も長く続きうると先立つ研究で示唆されていますが、今回の研究では一般的な呼吸器ウイルス感染に比べて有意に多くはありませんでした。無嗅覚は非感染者と比べるとCOVID-19患者に確かにより多く生じていましたが、COVID-19以外の呼吸器ウイルス感染者にもまた非感染者に比べて有意に多く発生していました。つまり無嗅覚はCOVID-19を含む呼吸器ウイルス感染症全般で生じやすくなるのかもしれません。一方、先立つ研究でCOVID-19罹患後症状として示唆されている末梢神経障害や耳鳴りは呼吸器ウイルス感染者と非感染者のどちらとの比較でも多くはありませんでした。全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、1型糖尿病(T1D)などの免疫病態もSARS-CoV-2感染で生じやすくなると先立つ研究で示唆されていますが、今回の研究では神経症状と同様にCOVID-19に限って有意に多い症状はありませんでした。ただし、1型糖尿病との関連は注意が必要です。COVID-19患者の1型糖尿病は呼吸器ウイルス感染者と比べると有意に多く発生していたものの、非感染者との比較では有意差がありませんでした。呼吸器ウイルス感染者の1型糖尿病はCOVID-19患者とは逆に非感染者に比べて有意に少なく済んでいました。心血管や骨格筋の病態でも1型糖尿病のような関連がいくつか認められており、COVID-19患者の頻拍・貧血・心不全・高血圧症・高脂血症・筋力低下は呼吸器ウイルス感染者と比べるとより有意に多く、非感染者との比較ではそうではありませんでした。今回の研究でCOVID-19に特有の罹患後症状とされた脱毛はSARS-CoV-2感染から100日後くらいに最も生じやすく、250日を過ぎて元の状態に回復するようです。疲労や関節痛は今回の試験期間である感染後1年以内には元の状態に落ち着くようです。COVID-19患者により多く認められた肥満はダラダラ続くCOVID-19流行が原因の運動不足に端を発するのかもしれません。ただし今回の研究ではそうだとは断言できず、さらなる研究が必要です。参考1)Baskett WI, et al. Open Forum Infect Dis. 1011;10: ofac683.2)Study unexpectedly finds only 7 health symptoms directly related to ‘long COVID’ / Eurekalert

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「ChatGPT」は論文著者になれない、医学誌編集者団体が声明

 2022年11月にリリースされた米国OpenAIが開発した「ChatGPT」が話題を集めている。質問文を入力するとAIが次々に回答を提示してくれるこの種のサービスは、リアルの人間と会話しているような使用感のため「チャットボット」とも総称される。ChatGPTはWebから広範なデータを収集し、強化学習させた回答が提示される。執筆やリサーチにどのくらい使えるのか、多くの利用法が世界中のユーザーによって試行され、リリースから2ヵ月で月間アクティブユーザー数は1億人に達したと推計されている。 医学分野においても、論文執筆などにどのくらい有用なのかという議論が巻き起こっている。こうした中、査読付き医学誌の編集者で構成される国際団体「WAME:World Association of Medical Editors」は、論文執筆におけるChatGPTの利用に関する推奨事項を発表した。WAMEは92ヵ国・1,000以上のジャーナルを代表する2,000人近い医学誌編集者が所属しており、2023年1月21日付のこの声明は、9人の著者(全員が役員または理事)による、理事会の立場を正式に表明したものだ。 本声明ではチャットボットについて、「『人工知能、自動化されたルール、自然言語処理(NLP)、機械学習(ML)などによってデータを処理し、あらゆる種類のリクエストに対応する』ツールである」と定義。ChatGPTについては「最近リリースされたチャットボットで、『既存の情報を新しい方法で整理して使えるという意味で、これまでにないまったく新しいものを作り出すことができる、生成型AIの一例』である」としている。 そのうえで、現時点で考えられるChatGPTの問題点について、以下のようにまとめている(一部を抜粋)。・ChatGPTはGoogleと異なり、時事的な情報を求めてウェブをクロールしておらず、その知識は2021年以前に学習したものに限定される。・チャットボットには意識がないため、既存の素材を繰り返したり、並べ替えたりすることしかできない。チャットボットの発言に新たな思考はなく、偶然にオリジナルになるしかない。・チャットボットは学習させた既存の文章をライブラリとして利用するため、状況によっては出典を明らかにせずにそのまま繰り返す危険性がある。・プログラミングによっては、意図的に嘘をつくことができる可能性がある。・チャットボットは法人ではなく、法的人格を持たないので、チャットボットを訴えたり、裁判所に喚問したり、何らかの形で罰することはできない。 そして、「ChatGPTは、研究者にとっては便利なツールだが、学術雑誌にとっては脅威である。なぜなら、ChatGPTが生成した記事は、出版される文献に誤った内容や盗用された内容を持ち込む可能性があるためだ。ピアレビューでは、ChatGPTで生成されたコンテンツを検出できない可能性がある」と危機感を表明したうえで、ChatGPTをはじめとしたチャットボットと医学論文作成に関する下記の推奨事項を挙げている。■WAMEの推奨事項(一部を抜粋)1. チャットボットは論文著者になれない。チャットボットは、著者の役割を理解したり、論文に責任を持ったりすることができないため、著者資格の要件を満たすことはできない。2. 著者は、チャットボットを使用する場合、透明性を確保し、どのように使用したかの情報を提供する必要がある。3. 著者は、論文の中でチャットボットが行った作業(発表内容の正確さ、盗用がないことを含む)、およびすべての出典(チャットボットが作成した資料を含む)の適切な帰属に責任を持つ。4. 編集者は、AIによって生成または改変されたコンテンツを検出するのに役立つ適切なツールを必要とし、これらのツールは支払い能力に関係なく利用できなければならない。

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心血管疾患リスク予測式は、がん生存者に有用か/Lancet

 がん患者は心血管疾患のリスクが高いという。ニュージーランド・オークランド大学のEssa Tawfiq氏らは、がん生存者を対象に、同国で開発された心血管疾患リスク予測式の性能の評価を行った。その結果、この予測式は、リスクの予測が臨床的に適切と考えられるがん生存者において、5年心血管疾患リスクを高い精度で予測した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年1月23日号で報告された。ニュージーランドの妥当性検証研究 研究グループは、がん生存者における心血管疾患リスクの予測式の性能を、プライマリケアで評価する目的で、妥当性の検証研究を行った(オークランド医学研究財団などの助成を受けた)。 「ニュージーランド心血管疾患リスク予測式」の開発に使用されたPREDICTコホート研究の参加者のうち、年齢が30~74歳で、心血管疾患リスクの初回評価日の2年以上前に浸潤がんの初回診断を受けた患者が解析に含まれた。 リスク予測式は、性別で分けられ、予測因子として年齢、民族、社会経済的剥奪指標、心血管疾患の家族歴、喫煙状況、心房細動と糖尿病の既往、収縮期血圧、総コレステロール/HDLコレステロール比、予防的薬物療法(降圧薬、脂質低下薬、抗血栓薬)が含まれた。 較正(calibration)では、男女別に、リスク予測式で推定された5年心血管疾患リスクの平均予測値と実測値とを十分位群別に比較し、さらにニュージーランドのガイドラインの3つの臨床的5年心血管疾患リスクグループ(<5%、5~15%未満、≧15%)に分けて比較することで評価した。判別(discrimination)は、HarrellのC統計量で評価した。がん生存者で妥当な臨床的手段 1万4,263例(男性6,133例[43.0%]、女性8,130例[57.0%])が解析に含まれた。リスク評価時の平均年齢は男性が61(SD 9)歳、女性は60(SD 8)歳で、追跡期間中央値はそれぞれ5.8年、5.7年だった。 追跡期間中に、男性は658例(10.7%)、女性は480例(5.9%)で心血管疾患イベントが発生し、それぞれ110例(1.8%)、90例(1.1%)が致死的な心血管疾患イベントであった。また、心血管疾患の粗発生率は、年間1,000人当たり男性が18.1例、女性は10.2例だった。 リスク予測値の十分位群(高いほど高リスク)における実測値との差は、男性ではほとんどが2%以内であったが、2つの群(第4十分位群:-2.49%、第9十分位群:-2.41%)では約2.5%の過小評価が認められた。同様に、女性では、リスクの予測値と実測値の差は多くが1%以内であったが、1つの群(第10十分位群:-3.19%)では約3.2%過小評価されていた。 臨床的なリスクグループで分類した解析では、心血管疾患リスクの実測値と比較して予測値は、低リスク群では男女とも2%以内で過小に予測していた(<5%群[男性:-1.11%、女性:-0.17%]、5~15%未満群[-1.15%、-1.62%])。これに対し、高リスク群(≧15%)の男性では2.2%(実測値17.22%、予測値19.42%)、女性では約3.3%(16.28%、19.60%)過大に予測していた。HarrellのC統計量は、男性が0.67(SE 0.01)、女性は0.73(0.01)だった。 著者は、「予測式にがん特異的な変量を追加したり、競合リスクを考慮したりすることで、予測値は改善する可能性がある。今回の結果は、この予測式がニュージーランドのがん生存者において妥当な臨床的手段であることを示唆する」としている。

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スタチン・アスピリン・メトホルミンと肝がんリスクとの関連~メタ解析

 スタチン、アスピリン、メトホルミンが肝細胞がんを予防する可能性があることを示唆する報告があるが、これまでのメタ解析は異質性やベースラインリスクを適切に調整されていない試験が含まれていたため、シンガポール・National University of SingaporeのRebecca W. Zeng氏らは新たにメタ解析を実施した。その結果、スタチンおよびアスピリンは肝細胞がんリスク低下と関連していたが、併用薬剤を考慮したサブグループ解析ではスタチンのみが有意であった。メトホルミンは関連が認められなかった。Alimentary Pharmacology and Therapeutics誌オンライン版2023年1月10日号に掲載。 このメタ解析では、スタチン、アスピリン、メトホルミンの肝細胞がんリスクへの影響について、傾向スコアマッチングもしくは逆確率治療重み付けを用いてベースラインリスクのバランスをとって検討した試験を、2022年3月までMedlineおよびEmbaseデータベースを用いて検索した。肝細胞がんの多変量調整ハザード比(HR)は、ランダム効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・スタチンは、全体として肝細胞がんリスクの低下と関連していた(HR:0.52、95%信頼区間[CI]:0.37~0.72、10試験、177万4,476例)。さらに、肝硬変、B型/C型肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患、アスピリンとメトホルミンの併用および脂溶性スタチンを考慮した試験のサブグループ解析において肝細胞がんリスクの低下と関連していた。・アスピリンは、全体として肝細胞がんリスクの低下と関連していた(HR:0.48、95%CI:0.27~0.87、11試験、219万285例)が、スタチンやメトホルミンとの併用で検討した試験では関連が認められなかった。・メトホルミンは、全体として肝細胞がんリスクの低下と関連していなかった(HR:0.57、95%CI:0.31~1.06、3試験、12万5,458例)。

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一般集団よりも2型DM患者でとくに死亡率が高いがん種は?

 2型糖尿病の高齢患者のがん死亡率を長期的に調査したところ、全死因死亡率の低下とは対照的にがん死亡率は上昇し、とくに大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、子宮内膜がんのリスクが増加していたことを、英国・レスター大学のSuping Ling氏らが明らかにした。Diabetologia誌オンライン版2023年1月24日掲載の報告。 これまで、年齢や性別などの人口統計学的要因が2型糖尿病患者の心血管アウトカムに与える影響は広く研究されているが、がん死亡率への影響については不十分であった。そこで研究グループは、人口統計学的要因や肥満や喫煙などのリスク因子が2型糖尿病患者のがん死亡率に与える長期的な傾向を明らかにするため、約20年間のデータを用いて調査を行った。 対象は、1998年1月1日~2018年11月30日に2型糖尿病と新規で診断され、英国の診療データベース「Clinical Practice Research Datalink」に登録された35歳以上の13万7,804例であった(年齢中央値63.8歳、女性44.6%、白人83.0%、非喫煙者46.9%、正常体重者11.7%、BMI中央値30.6kg/m2)。年齢、性別、人種、貧困状態(複数の剥奪指標ランク)、BMI、喫煙の有無で調整し、全死因、全がん、がん部位別の死亡率を一般集団と比較した。 主な結果は以下のとおり。・2型糖尿病患者119万4,444人年(中央値8.4年[四分位範囲:5.0~12.2年])の追跡で、3万9,212例(28.5%)が死亡した。・全死因死亡率は、1998年~2018年にすべての年齢(55歳、65歳、75歳、85歳)で減少した。・全がん死亡率は55歳と65歳で減少したが、75歳と85歳で増加した。また、白人、現在/過去の喫煙者で増加したが、他の人種や非喫煙者では減少傾向にあった。・全がん死亡率の平均年間変化率(AAPC)は、55歳で-1.4%(95%信頼区間[CI]:-1.5%~-1.3%)、65歳で-0.2%(-0.3%~-0.1%)、75歳で+1.2%(+0.8%~+1.6%)、85歳で+1.6%(+1.5%~+1.7%)であった。また、AAPCが高かったのは、女性+1.5%(男性+0.5%)、最貧困層+1.5%(最富裕層+1.0%)、重度肥満者+5.8%(普通体重者+0.7%)であった。・一般集団と比較した2型糖尿病患者の標準化死亡比(SMR)は、全死因1.08(95%CI:1.07~1.09)、全がん1.18(1.16~1.20)、大腸がん2.40(2.26~2.54)、肝臓がん2.13(1.94~2.33)、膵臓がん2.12(1.99~2.25)、子宮内膜がん(女性のみ)2.08(1.76~2.44)、胆嚢がん1.36(0.99~1.83)、乳がん(女性のみ)1.09(1.01~1.18)、肺がん1.04(1.00~1.08)であった。 研究グループは、上記の結果から「2型糖尿病の高齢患者では、全死因死亡率の低下とは対照的にがん死亡率は上昇し、とくに大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、子宮内膜がんが増加していた。高齢者、貧困層、喫煙者における個別のがん予防と早期発見のための戦略が必要である」とまとめた。

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2月1日 フレイルの日【今日は何の日?】

【2月1日 フレイルの日】〔由来〕フレイルの概念、予防の重要性を多くの人に認識してもらい、健康長寿社会の実現を図ることを目的に、2月1日を「フ(2)レ(0)イ(1)ル」と読む語呂合わせから、スマートウエルネスコミュニティ協議会、日本老年学会、日本老年医学会、日本サルコペニア・フレイル学会の4団体が共同で制定した。関連コンテンツフレイル予防のための食事スライド毎日の2つの運動でロコモを防ぐ【患者説明スライド】フレイル【診療よろず相談TV】糖尿病診療における高齢者総合機能評価の活用法【高齢者糖尿病診療のコツ】肺炎およびフレイルと認知症リスク~日本老年学的評価研究

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尿酸の上昇は心房細動発症と関連

 さまざまな疫学調査より高い尿酸値は心房細動(AF)の独立したリスクとされている。今回、スウェーデン・カロリンスカ研究所のMozhu Ding氏らがスウェーデンのAMORISコホート研究から尿酸の上昇がAFの新規発症と関連することを報告した。Journal of the American Heart Association誌1月12日号からの報告。33万9,604例を対象に追跡調査 心血管系疾患の評価において尿酸値の役割はますます重要となっているが、AFとの関係は明確でない。本研究では、尿酸値とAFの新規発症リスクとの関連について検討した。 スウェーデンのAMORIS(Apolipoprotein-Mortality Risk)コホートにおいて、ベースライン時(1985~96年)に30~60歳で心血管疾患のない33万9,604例を対象に、2019年12月31日までAF発症した登録者を追跡調査。Cox回帰モデルを用い、潜在的な交絡因子で調整し、心血管疾患の発症で層別し、尿酸とAFの関連を検討した。 平均25.9年の追跡期間中に、4万6,516例のAF発症があった。尿酸の四分位が最も低い場合と比較して、上位3つの四分位はそれぞれAFのリスク上昇と用量反応的に関連していた。 調整後のハザード比は、第2四分位が1.09(95%信頼区間[CI]:1.06~1.12)、第3四分位が1.19(95%CI:1.16~1.23)、第4四分位が1.45(95%CI:1.41~1.49)だった。 これらの関連は、高血圧、糖尿病、心不全、冠動脈疾患の発症の有無にかかわらず同様だった。尿酸を繰り返し測定している人のサブサンプルでは、用量反応パターンがさらに裏付けられた。 以上から尿酸の上昇は、心血管疾患および心血管危険因子を持つ人だけでなく、持たない人においても、心房細動のリスク上昇と関連していた。尿酸を下げることがAFの予防につながるかどうかは、今後も研究が必要となる。

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造血幹細胞移植後に心不全を発症した症例【見落とさない!がんの心毒性】第17回

《今回の症例》年齢・性別50代、男性主訴呼吸困難、血圧上昇、浮腫現病歴10年前、前医に急性骨髄性白血病(AML)と診断され寛解導入療法が施行された。地固め療法3コース、維持強化療法1コース(シタラビン+アントラサイクリン)により寛解状態となった。アントラサイクリンの総投与量はドキソルビシン換算で214mg/m2であった。その後、当センター血液内科において造血幹細胞移植(HSCT :hematopoietic stem cell transplantation)が施行された。移植前の心機能は心エコー上左室駆出率76%と正常範囲内であった。移植後の急性および慢性移植片対宿主病(GVHD :graft versus host disease)は出現せず寛解状態となり、血液内科外来ならびに近医で高血圧、軽度の腎機能低下についてフォローアップ中であった。造血幹細胞移植11年後、発熱、下痢、嘔吐が出現し浮腫ならびに腎機能悪化を認めたため精査加療目的で入院した。入院時には腎機能低下ならびに高血圧を呈しており、心陰影の拡大は認めないものの胸水貯留を認め循環器内科へ紹介された。飲酒歴(1合/日)、喫煙歴(-)――入院時現症血圧162/90mmHg、心拍数100/分。意識は清明、全身は浮腫状、眼瞼結膜に貧血所見を認めた。胸部聴診上、下肺野の呼吸音の減弱と軽度のラ音を認め心尖部に収縮期雑音を聴取した。腹部に異常は認めず、神経学的にも有意な所見は認めなかった。検査所見検尿…蛋白定性(2+)、潜血(3+)、生化学…AST 21U/L、ALT 17U/L、LDH 287U/L、CK 58U/L、BUN 58mg/dL、Cr 3.37mg /dL、 UA 17.1mg/dL、Na 136mEq/L、K 3.6mEq/L、Cl 100mEq/L、BS 106mg/dL、CRP 2.96mg/dL、BNP 905.8pg/mL。入院時の心電図所見…心拍数100/分、洞調律、ST-T変化、不整脈などの異常は認めず。胸部X線写真…CTR 44.7%、肺野のうっ血像、両側胸水を認めた。心エコー検査…左室壁運動は全周性に著明に低下し、左室駆出率34 %、左室拡張末期径/収縮末期径(LVDd/Ds)52mm/44mm、左房径(LAD)38mm、中隔厚/後壁厚 (IVST/PWT)8mm/9mm、僧帽弁閉鎖不全(MR)3度、三尖弁閉鎖不全(TR)3度 、三尖弁収縮期圧較差(TR-PG)71mmHg、肺動脈弁閉鎖不全2度。IVC 19mm(呼吸性変動低下)、echo free space (-)。【問題】本例の病状について下記の選択枝について、正しいものはどれか。当てはまるものすべてを選べ。a. アントラサイクリンの総投与量は比較的少ないことから、今回の心不全には関連性はない。b. 造血幹細胞移植後の合併症に対して投与される薬剤に加え、長期に投与された免疫抑制薬などの影響も疑われる。c. 晩期心毒性の発症には感染や生活習慣病(高血圧、糖尿病など)の増悪などが引き金になることがある。d. がんサバイバーの晩期合併症で生命予後に影響する疾患として、心血管毒性以外に二次発生がんが重要である。がん治療の進歩に伴い、今後急増するがんサバイバーにおいて出現する晩期合併症への対応が大きな問題となっています。がん治療がすでに終了(寛解)し病状が安定している慢性期から晩期にかけて、急性期がん治療を行なっている腫瘍医には対応は困難であり、数年から10年以上にわたる長期間のフォローアップを受け持つ医療リソースの不足が世界的に大きな問題となっています。そこで、がんと循環器にわたる学際領域に関する知識を有するプライマリケア医や外来かかりつけ薬剤師の養成、そしてがんサバイバーを対象とした人間ドック(がんサバイバードック)による疾病発症二次予防の開発など、新たな体制づくりが始まっています10)。※本症例は、文献11)を基に作成いたしました。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。1)Legha SS, et al. Ann Intern Med. 1982;96:133-139.2)Singal RK, et al. N Engl J Med. 1998;339:900-905.3)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022;43:4229-4361.4)向井幹夫. 医学のあゆみ. 2020;273:483-488.5) Sakata-yanagimoto M et al, Bone Marrow Transplant. 2004;33:1043-1047. 6)Armenian SH, et al. Blood. 2012;120:4505-4512.7)Miller LW, et al. Am J Transplant. 2002;2:807-818.8)Suter TM, et al. Eur Heart J. 2013;34:1102-1111.9) Odani S, et al. Cancer Med. 2022;11:507-519.10)向井幹夫. AYA がんの医療と支援. 2022;2:16- 21.11)向井幹夫他ほか. Osaka Heart Club. 2019;43:6-10.講師紹介

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第148回 糖尿病の厄介な合併症にいとも単純な治療・アミノ酸補給が有効かもしれない

糖尿病患者のおよそ半数が主に手や足に生じる脱力、しびれ、痛みを伴う末梢神経障害を被ります。その厄介な糖尿病合併症になんとも単純な治療・アミノ酸補給が有効かもしれないことを示唆する研究成果が先週25日にNatureに掲載されました1)。米国・カリフォルニア州サンディエゴにある世界屈指の研究所・The Salk Institute(ソーク研究所)のChristian Metallo氏等のその報告によると、セリンのやりくりが不得手(恒常性異常)でセリンとグリシンが乏しいことは糖尿病マウスの末梢神経障害を生じやすくし、なんとセリンを補給するだけで糖尿病マウスの神経障害症状が緩和しました。アミノ酸は連なってタンパク質を作ります。また、神経系に豊富な特殊な脂質・スフィンゴ脂質の生成に不可欠です。アミノ酸の1つ・セリンが乏しいとスフィンゴ脂質を作るのに別のアミノ酸が使われるようになります。そうして作られるいつもと違うスフィンゴ脂質は蓄積して末梢の神経損傷にどうやら寄与します。Metallo氏が率いるチームはセリンの長期欠乏で末梢神経障害が生じるかどうかを調べるべくいつもの餌かセリン制限餌を最大12ヵ月間マウスに与えて様子を見ました。その結果、全身のセリンが乏しいことと高脂肪食の組み合わせは末梢神経障害の発生をどうやら早めると示唆され、糖尿病マウスにセリンを補給したところ末梢神経障害の進行を遅らせることができ、調子も良くなりました。また、スフィンゴ脂質の生成に使うアミノ酸をセリン以外へと切り替える酵素・セリンパルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)の阻害薬・マイリオシン(myriocin)も高脂肪のセリン制限食マウスの末梢神経障害症状をセリン補給と同様に減らしました。SPT活性抑制もセリン欠乏絡みの末梢神経障害を緩和する作用があるようです。マイリオシンは漢方で使われるきのこ・冬虫夏草から見つかりました。マイリオシンは西洋医学にも貢献しており、多発性硬化症(MS)の治療薬・イムセラの成分フィンゴリモドはそのマイリオシンを加工して作られた化合物です2)。余談はさておき、糖尿病患者の神経障害にどうやら加担するらしいことが今回の研究で示されたセリン欠乏はこれまでの研究で種々の神経変性疾患と関連することが知られています。たとえばMetallo氏らのチームは先立つ研究で失明疾患・黄斑部毛細血管拡張症2型(MacTel 2型)患者のセリンとスフィンゴ脂質の代謝異常を発見しています3)。マウスの実験でセリン欠乏はいつもと違うスフィンゴ脂質を増やして視力低下を招きました。そういう研究成果を背景にしてMacTel 2型患者へのセリンの効果や安全性を調べる臨床試験がすでに実施されています4)。それにアルツハイマー病へのセリンの臨床試験も進行中です5)。進行性で体を消耗させる非常にまれな末梢神経疾患・遺伝性感覚-自律神経性ニューロパチー1型(HSAN1)患者へのセリン高用量経口投与の無作為化試験では有望なことにプラセボを上回る病状指標CMTNS改善効果が示されています6)。糖尿病患者の末梢神経障害の主な手当ては血糖を減らすように食事を変えることです。それに加えて鎮痛薬、理学療法、つえや車いすなどの歩行補助具も使われます。末梢神経障害に効果があるかもしれないセリンは豆類(大豆、ひよこ豆、レンズ豆)、木の実、卵、肉、魚に豊富に含まれます。セリンのサプリメントは安価で店頭販売されていますが、神経障害を防ぐのにセリンのサプリメントを糖尿病患者に服用するように勧めることはできません。その前にヒトの体内でのセリンの振る舞いをもっと調べる必要があります。セリン補給で生じうる好ましくない作用の検討も必要です。セリン補給治療実現に向け、Metallo氏等のチームはまずはセリン負荷検査(STT)の開発に取り組んでいます7)。セリンやグリシンの欠乏を招くセリン恒常性異常を検出しうるSTTは糖尿病の診断で使われる糖負荷検査(OGTT)に似たもので、セリン摂取後のセリンの取り込みや廃棄の量を調べます。STTをすればセリンをやたら廃棄していて(elevated, postprandial serine disposal)神経障害をとくに生じやすい患者を同定できるかもしれません1)。上述のアルツハイマー病患者へのセリンの試験では体重1kg当たりセリン400 mgを摂取する負荷試験が採用されています。末梢神経障害を最も生じやすい患者をSTTで見極め、それらの患者に限って治療が施せるようになることをMetallo氏等は期待しています7)。参考1)Handzlik MK, et al. Nature. 2023 Jan 25. [Epub ahead of print]2)Chiba K. J Antibiot (Tokyo). 2020 Oct;73:666-678.3)Scerri TS, Nat Genet. 2017 Apr;49:559-567.4)SAFE試験(ClinicalTrials.gov)5)LSPI-2試験(ClinicalTrials.gov)6)Fridman V, et al. Neurology. 2019;92:e359-e370.7)Supplementation with amino acid serine eases neuropathy in diabetic mice / The Salk Institute

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ワクチン未接種のコロナ感染、急性期の死亡リスク80倍超

 中国・香港大学のEric Yuk Fai Wan氏らの研究グループは、英国のデータベースを用いて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の心血管疾患(CVD)発症リスクや全死亡リスクに及ぼす短期的および長期的な影響を検討した。その結果、ワクチン未接種のCOVID-19感染は急性期(感染から21日後まで)のCVD発症リスク、全死亡リスクを大きく上昇させ、これらのリスクは最長18ヵ月間の追跡においても上昇していた。Cardiovascular Research誌2023年1月19日号に掲載の報告。 英国において2020年3月~11月にCOVID-19に感染した患者7,584例(感染群)を感染から最長18ヵ月後まで前向きに追跡した。年齢と性別をマッチングさせた同時期の非感染対照7万5,790人(同時期対照群)、2018年3月~11月の非感染対照7万5,774人(過去対照群)とCVD発症リスク、全死亡リスクなどを急性期と急性期後(感染から22日後以降)に分けて比較した。解析にあたり、傾向スコア分析の拡張版であるMarginal Mean Weighting through Stratification(MMWS)法を用いて、年齢、性別、喫煙習慣、糖尿病の既往、高血圧症の既往、民族などを調整した。なお、英国では2020年3月~11月において使用可能な新型コロナウイルスワクチンは存在しなかったため、本試験の対象者はワクチン未接種であった。 主な結果は以下のとおり。・急性期の主要なCVD(心不全、脳卒中、冠動脈心疾患)発症リスクは、感染群が同時期対照群の4.3倍(ハザード比[HR]:4.3、95%信頼区間[CI]:2.6~6.9)、過去対照群の5.0倍(HR:5.0、95%CI:3.0~8.1)であった。・急性期において、脳卒中、心房細動、深部静脈血栓症(DVT)のリスクも感染群が同時期対照群(それぞれ9.7倍、7.5倍、22.1倍)および過去対照群(それぞれ5.0倍、5.9倍、10.5倍)と比べて高かった。・急性期の全死亡リスクは、感染群が同時期対照群の81.1倍(HR:81.1、95%CI:58.5~112.4)、過去対照群の67.5倍(HR:67.5、95%CI:49.9~91.1)であった。・急性期後の主要なCVD発症リスクは、感染群が同時期対照群の1.4倍(HR:1.4、95%CI:1.2~1.8)、過去対照群の1.3倍(HR:1.3、95%CI:1.1~1.6)であった。・急性期後の全死亡リスクは、感染群が同時期対照群の5.0倍(HR:5.0、95%CI:4.3~5.8)、過去対照群の4.5倍(HR:4.5、95%CI:3.9~5.2)であった。・感染群において、急性期には有意な上昇がみられなかった心膜炎発症リスクが急性期後では上昇していた。急性期後の心膜炎発症リスクは、感染群が同時期対照群の4.6倍(HR:4.6、95%CI:2.7~7.7)、過去対照群の4.5倍(HR:4.5、95%CI:2.7~7.7)であった)。 本論文の著者らは、今回の結果についてワクチン接種を受けたコホートにおける結果との比較が必要としながらも、「COVID-19患者はCVD発症リスクや全死亡リスクが上昇し、これらのリスクは回復から1年後まで上昇したままであったことから、COVID-19感染後および回復後におけるCVDの徴候や症状の継続的なモニタリングが有益であろう」とまとめている。

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世界初「NASH治療用アプリ」の効果を臨床試験で確認/東大

 肥満を背景に発症する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、国内に200万人程度(予備軍は推定1,000万人以上)存在すると考えられているが、確立された治療法がなく、減量のための栄養指導や医師からの運動の励行など、個々の施設の取り組みにとどまっているのが現状である。そこで、東京大学医学部附属病院検査部の佐藤 雅哉氏らの研究グループは、疾患治療用プログラム医療機器の開発を手がけるCureAppと共同開発した「NASH治療用アプリ」を用いた第II相試験を実施し、その有用性が認められた。本研究結果は、American Journal of Gastroenterology誌オンライン版2023年1月20日号に掲載された。 研究グループは、組織学的にNASHと診断された19例を対象として、多施設共同単群第II相試験を48週間の期間で実施した。主要評価項目は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病理学的スコアNAFLD Activity Score(NAS)の変化量、副次評価項目は、肝線維化の悪化を認めないNASスコア2点以上の改善、体重変化、肝線維化の退縮などであった。 主な結果は以下のとおり。・NASスコアの改善が認められた患者の割合は68.4%(13/19例)であった。・NASスコアのベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)は-2.05±1.96であり、有意な改善が認められた(p<0.001、過去の研究における経過観察群のデータを基に設定した閾値-0.7との比較)。・NASスコア2点以上の改善が認められた患者の割合は57.9%(11/19例)であった。・試験終了時の体重変化率(平均値)は-8.3%であった。・ベースライン時に中等度以上の肝線維化が認められた患者(肝線維化stageがF2またはF3)において、肝線維化stageの改善が58.3%(7/12例)に認められた。

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COPDガイドライン改訂―未診断者の早期発見と適切な管理を目指して

 COPDは、日本全体で約500万人を超える患者がいると見積もられており、多くの非専門医が診療している疾患である。そこで、疾患概念や病態、診断、治療について非専門医にもわかりやすく解説する「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第6版」が2022年6月24日に刊行された。本ガイドラインは、2018年版からの4年ぶりの改訂で、大きな変更点としてMindsに準拠した形で安定期COPD治療に関する15のクリニカルクエスチョン(CQ)を設定したことが挙げられる。本ガイドライン作成委員会の委員長を務めた柴田 陽光氏(福島県立医科大学呼吸器内科学講座 教授)に改訂点や日常診療におけるCOPD診断・治療のポイントについて、話を聞いた。未診断のCOPD患者を発見するために COPD患者は、なかなか症状を訴えないことが多いという。柴田氏は、「高齢の方は『歳だから、あるいはタバコを吸っているから仕方がない』と考えていたり、無意識のうちに身体活動レベルを落としていて、息切れを感じなくなっていたりすることもある」と話す。そのような背景から、未診断のままの患者が存在し、診断がつく時点ではかなり進行していることも多い。そこで第6版では、「風邪が治りにくい」「風邪の症状が強い」などの増悪期の症状や、気道感染時の症状で医療機関を受診したときが診断の契機となることなどを強調した。 COPDの確定診断には呼吸機能検査が必要であるが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響や設備の問題で実施が難しい場合も多い。その場合は「長期の喫煙歴と息切れがあり、咳や痰などの慢性的な症状が併存し、他疾患を否定できればCOPDの可能性がかなり高い。病診連携などを活用して画像診断を実施し、肺気腫を発見してほしい」と述べた。また、呼吸機能検査が難しい場合の診断について、日本呼吸器学会では「COVID-19流行期日常診療における慢性閉塞性肺疾患(COPD)の作業診断と管理手順」を公表しており、本ガイドラインにも掲載されているので参照されたい。管理目標と安定期の治療 第6版では、COPDの管理目標に「疾患進行の抑制および健康寿命の延長」が追加された。その背景として、「疾患進行抑制の最大の要素である禁煙の重要性を強調したい」、「何らかの症状を抱えていたり、生活に不自由を感じていたりする患者の多いCOPDでは、健康寿命に影響を及ぼすフレイルに陥らないようにして、健康寿命を延ばすことの重要性を強調したい」という意図があると、柴田氏は述べた。 安定期の治療について、第6版では「安定期COPD管理のアルゴリズム」が喘息病態の合併例と非合併例に分けて記載された。柴田氏は「COPD患者の約4分の1が喘息を合併し、喘息合併例では吸入ステロイド薬(ICS)が治療の基本となるため、治療の入り口を分けた」と解説する。具体的には、日頃からの息切れと慢性的な咳・痰がある場合、喘息非合併例では「長時間作用性抗コリン薬(LAMA)あるいは長時間作用性β2刺激薬(LABA)」、喘息合併例では「ICS+LABAあるいはICS+LAMA」から治療を開始し、症状の悪化あるいは増悪がみられる場合、喘息非合併例では「LAMA+LABA(テオフィリン・喀痰調整薬の追加)」、喘息合併例では「ICS+LABA+LAMA(テオフィリン・喀痰調整薬の追加)」にステップアップする。 喘息非合併例では、頻回の増悪かつ末梢好酸球数増多がみられる患者には「LAMA+LABA+ICS」の使用を考慮する。なお、喘息非合併の安定期COPD治療は、LAMAまたはLABAの単剤で始めなければならないというわけではなく、「CAT(COPDアセスメントテスト)が20点以上やmMRC(modified British Medical Research Council)グレード2以上といった症状の強い患者は、LAMA+LABAで治療を開始しても問題ない。詳細はCQ5を参照してほしい」と述べた。 安定期の治療について、第6版では15個のCQが設定された。その中で「強く推奨する」となったのは、「LAMAによる治療(CQ2)」「禁煙(CQ10)」「肺炎球菌ワクチン(CQ11)」「呼吸リハビリテーション(CQ12)」の4つである。とくに「呼吸リハビリテーション」について、柴田氏は「エビデンスレベルが高く、強く推奨するという結果になったことは、まだまだ普及が進んでいない呼吸リハビリテーションを普及させるという観点から、非常に意義のあることだと考えている」と話した。 COVID-19流行期における注意点として、「COPD患者は新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいため、感染対策が重要となるが、身体活動性を落とさないよう定期的な運動は続けてほしい。薬物療法については、ICSを使用していてもCOVID-19の重症化リスクは上昇しないため、現在の治療を継続することが重要」とした。診断・治療共に積極的な病診連携の活用を 第6版では、病診連携の項でプライマリケア医と呼吸器専門医の役割を詳細に解説している。柴田氏は、非専門医に期待する役割について「COPD治療の基本である禁煙の徹底、併存症の管理、インフルエンザや新型コロナのワクチンに加えて肺炎球菌ワクチン接種を行ってほしい」と述べた。加えて、「COPD患者の肺がんの年間発生率は2%ともいわれるため、願わくは年1回など定期的な低線量CTを実施してほしい」とも述べた。一方、呼吸器専門医については、「呼吸機能検査を実施して診断の入口となることや、治療をしていても増悪を繰り返すような管理の難しい患者の治療、呼吸リハビリテーションの実施といった役割を期待する」と話し、病診連携を活用して呼吸器専門医に紹介してほしいと強調した。 また、COPDの薬物治療は吸入療法が中心となるため、適切な吸入指導が欠かせない。しかし、吸入薬の取り扱いや指導に不慣れな医師もいるだろう。そこで活用してほしいのが、病薬連携だという。柴田氏は「薬剤服用歴管理指導料吸入薬指導加算が算定できるため、吸入薬の取り扱いに慣れている薬局の薬剤師に、吸入指導を依頼することも可能だ。デバイスについては、患者によって向き・不向きがあり、処方変更が必要になることもあるため、病薬連携が重要となる」と述べた。COPD患者の発見と積極的な介入を 柴田氏は、非専門医の先生方へ「皆さんの思っている以上にCOPD患者は多い。70歳以上の高齢男性では4人に1人が何らかの気流閉塞があることが知られており、高血圧や循環器疾患の3人に1人はCOPDというデータもある。高齢で糖尿病を有し喫煙歴のある患者にもCOPDが多い。このような患者をどんどん発見して、治療介入してほしい。その際、本ガイドラインを活用してほしい」とメッセージを送った。COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第6版定価:4,950円(税込)判型:A4変型判頁数:312頁発行:2022年6月編集:日本呼吸器学会COPDガイドライン第6版作成委員会発行:メディカルレビュー社

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コロナに感染した医師はどれくらい?ワクチン接種回数別では?

 2020年初頭から新型コロナウイルス感染症の国内での流行が始まり、3年が経過した。CareNet.comでは、これまでにどれくらいの医師が新型コロナに感染したのかを把握するため、会員医師1,000人を対象に『医師の新型コロナ感染状況に関するアンケート』を実施した。その結果、コロナ診療の有無や、年齢、診療科、病床数別、ワクチン接種回数別の感染状況が明らかとなった。また、回答者自身や周囲が感染した際に感じたさまざまな課題も寄せられた(2022年12月10~17日実施)。若い医師ほどコロナ診療・感染の割合が高い Q1では、コロナの診療に携わっているかについて聞いた。「診療している」が63%、「以前は診療していたが、今はしていない」が7%、「診療していない」が30%となり、全体の70%の医師がコロナの診療に携わっていた。年代別では、「診療している」もしくは「以前は診療していたが、今はしていない」と答えた回答者の割合は、年齢が若い医師ほど高く、20代は87%、30代は78%、40代は70%だった。診療科別では、割合が高い順に、救急科(100%)、呼吸器内科(90%)、腎臓内科、臨床研修医(87%)であった。 Q2では、これまでの新型コロナの感染歴を医師に聞いた。感染したことがない医師は全体の74%で、1回感染が24%となり、2回が1.7%、3回以上が0.4%で、再感染の割合はごくわずかであり、全体の26%の医師が1回以上感染していた。 コロナ診療経験の有無と感染歴との相関では、「以前は診療していたが、今はしていない」と回答した医師において、1回以上の感染の割合が最も高く36%だった。「診療している」と回答した医師では29%、「診療していない」人では18%が、コロナに1回以上感染していた。 年代別では、Q1の結果と同様に、年齢が若い医師ほど感染の割合が高かった。1回以上の感染の割合は、20代と30代で同率の36%、40代では30%、50代で22%だった。病床数別では、200床以上の医師の感染の割合が最も高く30%で、次いで0床(診療所)が23%だった。診療科別では、感染の割合が最も高いのはQ1と同様に救急科(39%)、次いで糖尿病・代謝・内分泌内科(38%)、臨床研修医(37%)、循環器内科(35%)であった。 ちなみに、厚生労働省が1月16日に発表した「(2023年1月版)新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識」によると、これまでにコロナと診断されたのは、日本の全人口の約23.2%であった(2023年1月1日0時時点のデータ)1)。 Q3では、第1~8波の流行期別に感染した時期を医師に聞いた。本アンケート実施時点(2022年12月10~17日)で最も多かったのは、2022年7~10月の第7波(125人)、次いで2022年1~6月の第6波(55人)、2022年11以降の第8波(50人)だった。ワクチン接種回数が多い医師ほど感染率が低い Q4では、新型コロナのワクチンの接種回数を医師に聞いた。接種回数の割合が最も高かったのは4回(42%)、次いで5回(33%)、3回(19%)、1・2回(3%)だった。ワクチンの接種回数と感染の相関を調べたところ、感染していない割合は接種回数が多い医師ほど高く、5回接種者は85%、4回では71%、3回では66%が「感染していない」と答えた。ワクチン接種1・2回で感染していない医師の比率は44%で半数を下回っており、2回感染した人が18%と最も多かった。 Q5では、自らが感染したと思う場所について聞いた。多かったのは職場と家庭で、ともに約100人であった。医療者の人手不足がコロナ診療での最大の課題 Q6の自由回答のコメントでは、回答者自身や周囲が感染した際に感じた課題を聞いた。挙げられた課題は、主に以下の内容に分類された。・医療者の感染が相次ぎ、病院が人手不足になった(160件)・病院でクラスターが発生した(80件)・コロナに感染し、判断に迷った(61件)・家族内で感染者が出た(55件)・コロナ以外の診療について(21件)・感染対策について(14件)・収入に影響した(7件)・コロナの診療について(6件)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。どれくらいの医師がコロナに感染した?/医師1,000人アンケート

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高血圧の人では、コーヒーと緑茶のどちらが危ない?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第226回

高血圧の人では、コーヒーと緑茶のどちらが危ない?Pixabayより使用今回紹介する研究は、コーヒーあるいは緑茶の摂取が、高血圧の患者さんにおいて心血管疾患(CVD)の死亡リスクにどのような影響を及ぼすかを検討したものです。個人的にはコーヒーのほうがかなり好きなのですが、私はブラックコーヒーが飲めないので、寒い日は毎晩温かいカフェオレを飲んでいます。砂糖がたっぷり入った甘いカフェオレばかり飲んでいるので、「糖尿病になるわよ」と妻から注意されています。Teramoto M, et al. Coffee and Green Tea Consumption and Cardiovascular Disease Mortality Among People With and Without Hypertension.J Am Heart Assoc. 2022 Dec 21;e026477.これは、JACC(Japan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer)コホートにおいて、ベースライン時に40~79歳で、生活習慣、食事、病歴に関する質問票と健康診断に回答した1万8,609人(男性6,574人、女性1万2,035人)を2009年まで追跡調査した報告です。参加者を、至適・正常血圧、正常高値血圧、I度高血圧、II-III度高血圧、の4つの血圧カテゴリーに分類しました(現在の分類とは少し異なります)。そして、Cox比例ハザードモデルを用いて、CVD死亡のハザード比を算出しました。中央値18.9年の追跡期間中に、合計842人のCVD死亡が記録されました。コーヒー摂取は、コーヒーを飲まない人と比較して、II-III度高血圧の人のCVD死亡リスクの増加と関連していることがわかりました。CVD死亡のハザード比(95%信頼区間)は、1杯/日未満で0.98(0.67~1.43)、1杯/日で0.74(0.37~1.46)、2杯/日以上で2.05(1.17~3.59)という結果だったのです。ただし、I度高血圧以下の集団では、このような関連は観察されませんでした。反面、緑茶の摂取は、どの血圧カテゴリーにおいてもCVDのリスク上昇と関連しませんでした。というわけで、II度高血圧(診察室血圧が収縮期血圧160~179mmHgかつ/または拡張期血圧100~109mmHg、家庭血圧が収縮期血圧140~159mmHgかつ/または拡張期血圧90~99mmHg)以上の場合、コーヒーを飲み過ぎないほうがよいということになります。緑茶が循環器に対して良い効果をもたらすというのは、いろいろな研究で示されています。この機序として、(1)心・腎臓・大動脈におけるナトリウム-カリウムポンプの発現、(2)腎臓におけるレニン-アンジオテンシンII-アルドステロン系の活性化、(3)心・腎臓・大動脈における抗酸化・抗炎症作用、(4)血管内皮における一酸化窒素の合成促進、(5)脂質プロファイルの改善、が考えられています1)。1)Gao J, et al. Green tea could improve elderly hypertension by modulating arterial stiffness, the activity of the renin/angiotensin/aldosterone axis, and the sodium-potassium pumps in old male rats. J Food Biochem. 2022 Sep 30;e14398.

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映画「ラン」(前編)【なんで子どもを病気にさせたがるの?(代理ミュンヒハウゼン症候群)】Part 1

今回のキーワードミュンヒハウゼン症候群同情中毒承認中毒育児中毒罪悪感(社会脳)心の距離感(バウンダリー)皆さんは、自分の子供を病気にさせたいですか? 「そんなことありえない」と思いますよね。しかし、世の中には、症状をねつ造してまで自分の子供を病気にさせたがる人がいます。それは、代理ミュンヒハウゼン症候群と呼ばれる子供虐待です。関連記事1で紹介した「病気になりたがる人」、ミュンヒハウゼン症候群の代理バージョンです。今回は、代理ミュンヒハウゼン症候群をテーマに、サイコスリラー映画「RUN/ラン」を取り上げ、子供を病気にさせたがる心理やその要因を掘り下げます。なお、ミュンヒハウゼン症候群の詳細については、関連記事1をご覧ください。何が最初からおかしい?主人公は、高校生のクロエとその母親のダイアン。クロエは、早産で生まれたことで、もともと下半身の麻痺があり、車いす生活をしています。また、不整脈、喘息、糖尿病があり、さらに鉄過剰症に伴う発疹や嘔吐が見られ、たくさんの薬を飲んでいます。母親のダイアンは、働きに出ることもなく、そんな一人娘のクロエのお世話を家で熱心にしています。父親はおらず、家計をどうやって成り立たせているかは不明ですが、経済的には不自由はないようです。しかし、ストーリーが進むにつれて、実は最初からおかしな点があることに、私たちはだんだんと気付かされます。主に3つ挙げてみましょう。(1)クロエの部屋が1階ではない1つ目のおかしな点は、クロエの部屋が1階ではないことです。確かに、子供部屋は一軒家の2階にあることが多いです。しかし、車いす生活をしているのなら、必然的に1階になるのが合理的です。クロエの部屋が2階にあるため、階段にわざわざ電動の昇降機まで設置しています。つまり、クロエは、部屋が2階にあることによって、物理的に行動範囲が制限されていることがわかります。(2)クロエは学校に行っていない2つ目のおかしな点は、クロエは学校に行っていないことです。確かに、彼女は科学好きであることから、ホームスクーリングによって、自宅で十分な教育を受けてきたことはわかります。スクールバスは、車いすに対応していないという事情があることもわかります。しかし、母親が学校までの送り迎えをしても良いはずです。または、アメリカの高校生は車での通学も可能であることから、クロエが障害者として車の免許を取ることもできるはずです。なぜなら、学校は、単に勉強するところではなく、友達との人間関係を通して社会性を育むところでもあるからです。この映画の前半は、この2人のやり取りが家でずっと続く展開で、見ている私たちはだんだんと息苦しくなります。つまり、クロエは、学校に行っていないことによって、人間関係が制限されていることがわかります。(3)手紙を直接受け取れない3つ目のおかしな点は、手紙を直接受け取れないことです。確かに、車いすに乗っているため、手紙を受け取るために車いすで玄関先に出ることは手間がかかります。しかし、クロエは大学の合否通知を待っているタイミングであり、本来は配達員が来たら本人に受け取らせてあげても良いはずです。それなのに、必ず母親が先に受け取ります。そして、「手紙が来ても開けないわよ」とわざわざ言うのです。また、自宅の電話機は、母親の部屋にあり、クロエが使うにはわざわざ母親の部屋に入る必要があります。母親は携帯電話を持っていますが、もちろんクロエは持っていません。パソコンは1階にありますが、調べ物をする時は、母親の目があります。つまり、クロエは、手紙が直接受け取れないなどによって、外部との情報のアクセスが制限されていることがわかります。次のページへ >>

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常染色体優性多発性嚢胞腎の遺伝的基盤は予想以上に多彩/JAMA

 常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の遺伝に関する研究の多くは、PKD1とPKD2に焦点を当てたコホートで行われるため、ADPKD関連遺伝子変異の有病率やその表現型の発現状況を推定する際にバイアスが生じる可能性があるという。米国・GeisingerのAlexander R. Chang氏らは、同国の大規模な非選択的コホートで他の遺伝子を含むADPKDの遺伝的基盤と表現型について検討し、ADPKDはこれまで考えられていた以上に高度な多様性を有し、遺伝的なばらつきが認められることを示した。研究の成果は、JAMA誌2022年12月27日号に掲載された。ペンシルベニア州の後ろ向き観察研究 研究グループは、米国ペンシルベニア州中部地域と北東地域の医療システムベースの非選択的コホートにおいて、エクソームシークエンス(2004~20年に登録)と電子健康記録(EHR)データ(2021年10月まで)を用いて、後ろ向き観察研究を行った(筆頭著者は、米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所[NIDDK]の助成を受けた)。 PKD1、PKD2、嚢胞腎関連の他の遺伝子(ALG8、ALG9、DNAJB11、GANAB、HNF1B、IFT140、SEC61B、PKHD1、PRKCSH、SEC63)における機能喪失型(LOF)変異、およびPKD1とPKD2の病原性と考えられるミスセンス変異について調査が実施された。 コホート内の患者数は17万4,172例(年齢中央値60歳[IQR:44~72]、女性60.6%、欧州系93%)であった。このうち178家族の303例がADPKDの診断コード(ICD-9またはICD-10)を有しており、診療録調査の結果、303例中235例がADPKDと確定された。遺伝子型を優先した早期診断の可能性も PKD1、PKD2に加え、IFT140、GANAB、HNF1BのLOF変異が、ADPKDの診断と関連していた。PKD1のLOF変異を有する患者68例のうち66例(97%)、PKD2のLOF変異を有する43例のうち43例(100%)がADPKDであった。 これに対し、以前に「病原性の可能性が高い」に分類されていたPKD1ミスセンス変異の77例では、ADPKDは24例(31.2%)のみであり、誤分類または浸透度のばらつきが示唆された。 診療録調査で確定されたADPKD患者235例では、180例(76.6%)が遺伝的な原因の可能性があり、多くはPKD1(127例)またはPKD2(34例)のまれな変異で、残りの19例(8.1%)は嚢胞腎関連の他の遺伝子変異を有していた。また、確定ADPKD患者235例中150例(63.8%)にはADPKDの家族歴があった。 ADPKDの遺伝的決定因子の割合は、ADPKDの家族歴を有する集団が91.3%(137/150例)と、家族歴のない集団の50.6%(43/85例)に比べて高かった(群間差:40.7%、95%信頼区間[CI]:29.2~52.3、p<0.001)。 さらに、これまで報告されていないPKD1、PKD2、GANABの変異が、病原性を示唆する家系データと共に特定され、これまで病原性の可能性が高いと報告されていたPKD1のミスセンス変異のいくつかは良性と考えられた。 著者は、「ADPKDの遺伝的原因に関する知識が深まれば、遺伝子型を優先した早期診断が可能となり、トルバプタンなどの薬剤の予防的または疾患修飾作用を期待した使用や早期治療への導入のほか、進行中の臨床試験で評価が進められている新たな治療選択肢の使用が可能になると考えられる」としている。

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フォシーガ、左室駆出率にかかわらず慢性心不全の治療薬として使用可能に/添文改訂

 アストラゼネカと小野薬品工業は1月10日付のプレスリリースで、「フォシーガ錠5mg、10mg(一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物、以下フォシーガ)」について、日本における電子化された添付文書(電子添文)を改訂したことを発表した。 主な変更点は以下のとおり。・「効能又は効果に関連する注意」の項の慢性心不全における「左室駆出率の保たれた慢性心不全における本薬の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。」の記載を削除・「臨床成績」の項に、左室駆出率の保たれた慢性心不全患者を対象とした国際共同第III相試験(DELIVER試験)の結果を追記 これらは、上記のDELIVER試験の結果に基づき変更された。今回の電子添文の改訂により、フォシーガは左室駆出率を問わず慢性心不全患者の治療薬として使用可能となった。なお、日本で承認されている効能又は効果は、「2型糖尿病」「1型糖尿病」「慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)」および「慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く)」である。

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