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セマグルチドが肥満HFpEF患者の症状軽減、減量効果も/NEJM

 左室駆出率(LVEF)が保たれた心不全(HFpEF)を呈する肥満の患者において、GLP-1受容体作動薬セマグルチドはプラセボと比較して、症状と身体的制限を軽減するとともに、運動機能を改善し、減量効果をもたらすことが、米国・ミズーリ大学カンザスシティ校のMikhail N. Kosiborod氏らが実施した「STEP-HFpEF試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年8月25日号で発表された。13ヵ国の無作為化プラセボ対照比較試験 STEP-HFpEF試験は、日本を含む13ヵ国96施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2021年3月~2022年3月の期間に患者の登録を行った(Novo Nordiskの助成を受けた)。 年齢18歳以上、LVEF 45%以上でBMI30以上の心不全患者を、セマグルチド(2.4mg、週1回)またはプラセボを52週間にわたり皮下投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、23項目の質問から成るカンザスシティ心筋症質問票の臨床要約スコア(KCCQ-CSS、スコア範囲:0~100点、点数が高いほど症状と身体的制限が軽度)と体重のベースラインから52週までの変化であった。 529例を登録し、セマグルチド群に263例、プラセボ群に266例を割り付けた。全体のベースラインの年齢中央値は69歳、女性が56.1%、白人が95.8%であり、体重中央値は105.1kg、BMI中央値は37.0(66.0%が35以上)、KCCQ-CSS中央値は58.9点、LVEF中央値は57.0%であった。KCCQ-CSSの改善度は8点近く高い、重篤な有害事象も少ない KCCQ-CSSのベースラインから52週までの平均変化量は、プラセボ群が8.7点であったのに対し、セマグルチド群は16.6点と有意に優れた(推定群間差:7.8点、95%信頼区間[CI]:4.8~10.9、p<0.001)。また、体重の平均変化率は、プラセボ群の-2.6%と比較して、セマグルチド群は-13.3%と減量効果が有意に良好だった(推定群間差:-10.7ポイント、95%CI:-11.9~-9.4、p<0.001)。 6分間歩行距離の変化量は、プラセボ群の1.2mに比べ、セマグルチド群は21.5mであり、有意に延長した(推定群間差:20.3m、95%CI:8.6~32.1、p<0.001)。 階層法を用いた複合エンドポイント(全死因死亡、心不全イベント、KCCQ-CSSのベースラインからの変化量がそれぞれ15点、10点、5点以上、6分間歩行距離のベースラインからの変化量が30m以上)のwin比(win ratio)の解析では、プラセボ群に比べセマグルチド群でwin(勝利)の数が多かった(win比:1.72、95%CI:1.37~2.15、p<0.001)。 また、C反応性蛋白(CRP)値の平均変化率は、プラセボ群の-7.3%に比べ、セマグルチド群は-43.5%と有意に改善した(推定比:0.61、95%CI:0.51~0.72、p<0.001)。 重篤な有害事象は、セマグルチド群が35例(13.3%)、プラセボ群は71例(26.7%)で発現した(p<0.001)。各群6例ずつが、重篤な有害事象により投与を中止した。全有害事象による投与中止は、セマグルチド群が35例、プラセボ群は14例だった。 著者は、「KCCQ-CSS、体重減少、6分間歩行距離の改善度が、いずれも大きいことは注目に値する。これらの結果を先行研究の成果と統合すると、セマグルチドは肥満者のHFpEFの管理において、価値のある治療アプローチとなる可能性がある」としている。

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2型糖尿病治療薬としてのGIP/GLP-1/グルカゴン受容体作動薬retatrutide(解説:住谷哲氏)

 筆者はこれまで、血糖降下薬多剤併用でも血糖管理目標が達成できない患者を少なからず経験したが、その多くは食欲がコントロールできない肥満合併患者であった。しかしGLP-1受容体作動薬の登場で、食欲抑制を介して体重を減少させることが可能となり、2型糖尿病治療は大きく前進した。最新のADA/EASDの血糖降下薬使用アルゴリズムにおいて、GLP-1受容体作動薬はSGLT2阻害薬と同様に臓器保護薬として位置付けられている1)。しかし、GLP-1受容体作動薬はcardiovascular disease dominoのより上流に位置する肥満を制御することが可能な薬剤であり、この点がSGLT2阻害薬とは異なっている。 本試験は、GIP/GLP-1/グルカゴン受容体作動薬retatrutideの血糖降下薬としての有効性を検証した第II相臨床試験であるが、肥満症治療薬としての有効性を検証した試験の結果がほぼ同時に報告されている2)。そこでは約1年(48週)投与後の体重減少率が24%と、驚くべき効果が示されている。これはセマグルチド、チルゼパチドの体重減少作用を凌駕している。GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(商品名:マンジャロ)が登場するまでは、最強のGLP-1受容体作動薬はセマグルチド(同:オゼンピック)であった。しかしretatrutideが投与可能となれば、チルゼパチドは最強のGLP-1受容体作動薬の座をretatrutideに明け渡すことになるだろう。 開発企業のEli Lillyは、すでにretatrutideの臨床開発プログラムであるTRIUMPH programを開始しており、対象には肥満を合併した2型糖尿病だけではなく、睡眠時無呼吸症候群、変形性膝関節症の患者も含まれている。つまり、肥満を基礎とする広範な疾患に対する治療薬としての位置付けを目指しているようだ。 わが国で肥満症治療薬として認可されているGLP-1受容体作動薬はセマグルチド(同:ウゴービ)だけであるが、近い将来にチルゼパチドもretatrutideも認可されるだろう。わが国でも増加し続けている肥満症患者のすべてに、これらの薬剤を投与することが医療経済的に正当化されるか否かは議論が必要だろう。英国のNICEのガイダンスのように3)、対象患者、投薬期間を明確にして無制限な使用に歯止めをかけることも必要かもしれない。

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第180回 エビやキノコなどの食物繊維キチンは肥満を生じ難くする/GLP-1薬セマグルチドが1型糖尿病にも有効らしい

エビやキノコなどの食物繊維キチンは肥満を生じ難くする食物繊維の摂取は代謝を好調にし、肥満などの代謝疾患が生じ難くなることと関連します。とはいうものの食物繊維の代謝への恩恵をわれわれの体が引き出す仕組みはあまりわかっていません。不溶性の多糖繊維のほとんどは哺乳類の酵素で消化されず、腸の微生物による分解もごく限られています。しかしエビやカニなどの甲殻類、昆虫、真菌(キノコ)などの外骨格や細胞壁の主成分であるキチンは例外的で、ほかの食物繊維と一線を画します。マウスやヒトはキチンを作れませんが、キトトリオシダーゼ(Chit1)と酸性哺乳類キチナーゼ(AMCase)と呼ばれるキチン分解酵素2つを作ることができます。摂取したキチンがその消化を促す胃でのAMCase発現亢進を導くまでの免疫反応絡みの回路が新たな研究で同定され、AMCase欠如マウスにキチンを与え続けると高脂肪食にもかかわらずあまり太らずに済むことが示されました1)。キチンとともに高脂肪食が与えられたAMCase欠如マウスは、キチンを与えなかったマウスやキチンを与えたけれどもそれを分解できるマウスに比べて体重増加や脂肪量が少なくて済み、肥満になりにくいという結果が得られています。今後の課題として研究チームはヒトではどうかを検討する予定です2)。食事にキチンを含めることで肥満を予防できるかどうかを調べることを目標としています。また、胃のキチン分解酵素の阻害とキチン補給を組み合わせることでAMCase欠如マウスのキチン摂取と同様の最大の効果を引き出せそうと研究チームは考えています。チームのリーダーSteven Van Dyken氏によると胃のキチン分解酵素を阻害する手段はいくつか存在するとのことです。GLP-1薬セマグルチドが1型糖尿病にも有効らしい肥満治療といえば2型糖尿病(T2D)治療薬として出発したノボ ノルディスク ファーマのGLP-1受容体作動薬(GLP-1薬)セマグルチドが大人気ですが、同剤がT2Dのみならず1型糖尿病(T1D)にも有効らしいことを示す米国・バッファロー大学のチームによる症例解析がNEJM誌に先週掲載されました3)。T1Dになったばかりの患者のほとんどはまっとうなβ細胞を有しています。そういう初期段階であればインスリン分泌を促すセマグルチドが効くかもしれず、バッファロー大学の研究者はT1D診断後3ヵ月後以内に同剤投与が始まった患者10例の1年間の経過を調べました。10例とも食事の際のインスリンと基礎インスリンを使っていましたが、セマグルチド開始から3ヵ月以内に全員が食事時のインスリンを使わずに済むようになりました。また、10例中7例は6ヵ月以内に基礎インスリンも不要となってその後もそうして過ごせました。血糖値も落ち着き、もとは12%ほどもあった糖化ヘモグロビン値はセマグルチド使用開始後半年時点では5.9%、1年時点では5.7%に落ち着きました。セマグルチドの用量を増やしている期間に軽い低血糖が生じましたが、投与量が一定になって以降の発生は認められませんでした。T1D診断後すぐからのセマグルチド投与をより大人数の無作為化試験で検討する価値があると著者は言っています。T1Dへの有効性が示唆されたことが示すようにセマグルチドなどのGLP-1薬は代謝疾患の領域で手広い用途がありそうです。もっと言うと、その域を超えて依存症分野でも活躍できる可能性を秘めています。そういう可能性の臨床検討はすでに始まっており、たとえばセマグルチドと飲酒や喫煙量の変化の関連がノースカロライナ大学主催の試験で調べられています4,5)。参考1)Kim DH, et al. Science. 2023;381:1092-1098.2)Fiber from crustaceans, insects, mushrooms promotes digestion / Eurekalert3)Dandona P, et al. N Engl J Med. 2023;389:958-959.4)ClinicalTrials.gov(NCT05520775)5)ClinicalTrials.gov(NCT05530577)

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OCTガイド下PCI、標的血管不全を低減せず/NEJM

 複雑な冠動脈病変などに対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)について、光干渉断層撮影(OCT)ガイド下の施行は血管造影ガイド下の施行と比較し、最小ステント面積は大きかったが、2年時点での標的血管不全が発生した患者の割合については両群間で差はみられなかった。米国・Cardiovascular Research FoundationのZiad A Ali氏らが、国際多施設共同にて2,487例を対象に行った前向き無作為化単盲検試験の結果を報告した。OCTガイド下でPCIを施行した後の臨床アウトカムに関するデータは、血管造影ガイド下のPCIと比べて限定的だった。NEJM誌オンライン版2023年8月27日号の報告。18ヵ国、80ヵ所の医療機関で無作為化試験 研究グループは、18ヵ国80ヵ所の医療機関を通じて、薬物治療中の糖尿病患者または複雑な冠動脈病変を有する患者を無作為に2群に割り付け、OCTガイド下PCIまたは血管造影ガイド下PCIを実施した。血管造影ガイド下PCIに割り付けられた患者にも、最終的には盲検下でOCTが行われた。 主要有効性エンドポイントは2つで、OCTで評価したPCI後の最小ステント面積と、2年後の標的血管不全(心疾患死亡、標的血管心筋梗塞、または虚血による標的血管血行再建術の複合イベントで定義)だった。安全性についても評価した。2年以内の標的血管不全の発生、OCT群7.4%、血管造影群8.2% 被験者数は計2,487例で、OCTガイド下PCI(OCT群)1,233例、血管造影ガイド下PCI(血管造影群)1,254例だった。 PCI後の最小ステント面積は、OCT群5.72±2.04mm2、血管造影群5.36±1.87mm2(平均群間差:0.36mm2、95%信頼区間[CI]:0.21~0.51、p<0.001)でOCT群が有意に大きかった。 2年以内の標的血管不全の発生は、OCT群88例、血管造影群99例で有意差はなかった(Kaplan-Meier法による推定値はそれぞれ7.4%および8.2%、ハザード比[HR]:0.90、95%CI:0.67~1.19、p=0.45)。 OCT関連有害事象は、OCT群1例、血管造影群2例で発生した。2年以内のステント血栓症は、OCT群6例(0.5%)、血管造影群17例(1.4%)で発生した。

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標的部位で持続的に放出される潰瘍性大腸炎薬「コレチメント錠9mg」【下平博士のDIノート】第128回

標的部位で持続的に放出される潰瘍性大腸炎薬「コレチメント錠9mg」今回は、潰瘍性大腸炎治療薬「ブデソニド腸溶性徐放錠(商品名:コレチメント錠9mg、製造販売元:フェリング・ファーマ)」を紹介します。本剤は、標的部位の大腸にブデソニドが送達され、持続的に放出されるように設計されている1日1回服用の薬剤で、良好な治療効果や服薬アドヒアランスが期待されています。<効能・効果>活動期潰瘍性大腸炎(重症を除く)の適応で、2023年6月26日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはブデソニドとして9mgを1日1回朝経口投与します。投与開始8週間を目安に本剤の必要性を検討し、漫然と投与を継続しないように留意します。<安全性>2~5%未満に認められた副作用として潰瘍性大腸炎増悪があります。2%未満の副作用は、乳房膿瘍、感染性腸炎、乳腺炎、口腔ヘルペス、不眠症、睡眠障害、腹部膨満、口唇炎、ざ瘡、湿疹、蛋白尿、月経障害、末梢性浮腫、白血球数増加、尿中白血球陽性が報告されています。<患者さんへの指導例>本剤は、大腸に送られて持続的に炎症を鎮める潰瘍性大腸炎活動期の薬です。服薬時にかまないでください。生ワクチン(麻疹、風疹、おたふく風邪、水痘・帯状疱疹、BCGなど)を接種する際には医師に相談してください。疲れを残さないよう十分な睡眠と規則正しい生活が重要です。消化の悪い繊維質の多い食品や脂肪分の多い食品、香辛料などを避けて、腸に優しい食事を心がけましょう。<Shimo's eyes>潰瘍性大腸炎は、活動期には下痢や血便、腹痛、発熱などを伴い、寛解と再燃を繰り返す炎症性腸疾患であり、わが国では指定難病に指定されています。潰瘍性大腸炎の活動期には、軽症~中等症では5-アミノサリチル酸製剤が広く用いられ、効果不十分な場合や重症例にはステロイド薬などが投与されます。ステロイド抵抗例ではタクロリムスや生物学的製剤、ヤヌスキナーゼ阻害薬などが使用されます。本剤の特徴は、MMX(Multi-Matrix System)技術を用いた薬物送達システムにあり、pH応答性コーティングにより有効成分であるブデソニドを含むマルチマトリックスを潰瘍性大腸炎の標的部位である大腸で送達し、親水性基剤と親油性基剤がゲル化することでブデソニドを持続的かつ広範囲に放出させます。また、本剤の有効成分であるブデソニドはグルココルチコイド受容体親和性が高いステロイド薬であり、局所的に高い抗炎症活性を有する一方、肝初回通過効果によって糖質コルチコイド活性の低い代謝物となるため、経口投与によるバイオアベイラビリティが低いと考えられ、全身に曝露される糖質コルチコイド活性の軽減が期待されるアンテドラッグ型のステロイドとなります。本剤は1日1回投与の経口薬であることから、良好な服薬利便性や服薬アドヒアランスも期待でき、海外では2023年3月現在、75以上の国または地域で承認されています。なお、本成分を有効成分とする既存の潰瘍性大腸炎治療薬には、直腸~S状結腸に薬剤を送達するブデソニド注腸フォーム(商品名:レクタブル2mg注腸フォーム)がありますが、本剤は大腸全体が作用部位となる点に違いがあります。本剤の主な副作用として、潰瘍性大腸炎の増悪が2~5%未満で報告されています。本剤はほかの経口ステロイド薬と同様に、誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、クッシング症候群、骨密度の減少、消化性潰瘍、糖尿病、白内障、緑内障、精神障害などの重篤な副作用に注意が必要です。本剤投与前に水痘または麻疹の既往歴や予防接種の有無を確認しましょう。製剤の特性を維持するために、本剤を分割したり、乳鉢で粉砕したりすることはできません。患者さんにもかんで服用しないように伝えましょう。潰瘍性大腸炎治療の新たな選択肢が増えることで、患者さんのQOL向上が期待されます。

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ASCVDリスク評価、タンパク質リスクスコアが有望/JAMA

 アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスク評価において、プロテオミクスに基づくタンパク質リスクスコア(protein risk score)は、1次および2次予防集団の双方で優れた予測能を示し、1次予防集団で臨床的リスク因子にタンパク質リスクスコアと多遺伝子リスクスコアを加えると、統計学的に有意ではあるもののわずかな改善が得られたことが、アイスランド・deCODE genetics/AmgenのHannes Helgason氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年8月22・29日合併号に掲載された。3つのリスク評価法を比較するアイスランドの研究 研究グループは、1次および2次予防集団において、ASCVDのリスクを予測するタンパク質リスクスコアを開発し、臨床的リスク因子モデルおよび多遺伝子リスクスコアと比較した。 主解析は1次予防集団の後ろ向き研究であり、募集時にプロテオミクスのデータを有し、主要なASCVDイベント既往のない年齢40~75歳のアイスランド居住者1万3,540人を対象とした。募集期間は2000年8月23日~2006年10月26日で、2018年まで追跡調査を行った。 2次予防集団の解析では、スタチン治療を受けている安定期のASCVD患者を対象とした二重盲検無作為化試験(FOURIER試験、2013~16年)の参加者で、プロテオミクスのデータを有する6,791人を対象に含めた。 4,963人の血漿タンパク質の値に基づき、1次予防集団の訓練セットを用いてタンパク質リスクスコアを開発し、冠動脈疾患と脳卒中の多遺伝子リスクスコア、および血漿採取時の年齢、性別、スタチン使用、高血圧治療、2型糖尿病、BMI、喫煙状況などを含む臨床的リスク因子のモデルと比較した。 主要アウトカムは、心筋梗塞、脳卒中、冠動脈性心疾患死、心血管死の複合とした。Cox生存モデルと、非ASCVD死の競合リスクを考慮した判別および再分類の指標(C index)を用いて、3つのリスク評価法の性能を解析した。アフリカ/アジア系の2次予防で、MACEと有意な関連 1次予防集団のテストセット(白人4,018人[女性59.0%]、イベント発生数465件、追跡期間中央値15.8年)では、タンパク質リスクスコアの1標準偏差(SD)当たりのハザード比(HR)は1.93(95%信頼区間[CI]:1.75~2.13)であった。 また、臨床的リスク因子モデルに、タンパク質リスクスコアと多遺伝子リスクスコアを加えると、C indexが有意に上昇した(C indexの変化量:0.022、95%CI:0.007~0.038)。臨床的リスク因子モデルに、タンパク質リスクスコアのみを追加した場合も、C indexの有意な上昇を認めた(群間差:0.014、95%CI:0.002~0.028)。 2次予防集団(白人6,307人、イベント発生数432件、追跡期間中央値2.2年)では、タンパク質リスクスコアの1SD当たりのHRは1.62(95%CI:1.48~1.79)であり、臨床的リスク因子モデルにタンパク質リスクスコアを加えた場合、C indexが有意に上昇した(C indexの変化量:0.026、95%CI:0.011~0.042)。 また、2次予防集団のアフリカ系およびアジア系の人種では、タンパク質リスクスコアが主要有害心血管イベント(MACE:心筋梗塞、脳卒中、心血管死の複合)と有意な関連を示した(アフリカ系の1SD当たりのHR:1.82、p=0.001、アジア系の同HR:1.82、p=0.008)。 著者は、「タンパク質リスクスコアと多遺伝子リスクスコアが、スクリーニングを目的とした場合に臨床的に有用かを明らかにするために、さらなる検討を要する」としている。

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医師の役割が重要な高齢者の肺炎予防、ワクチンとマスクの徹底を/MSD

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数の増加や、インフルエンザの流行の継続が報告されているが、高齢者にとっては肺炎球菌による肺炎の予防も重要となる。そこで、これら3つの予防に関する啓発を目的として、MSDは2023年8月28日にメディアセミナーを実施した。国立病院機構東京病院 感染症科部長の永井 英明氏が「人生100年時代、いま改めて65歳以上が注意しておきたい肺炎対策-Life course immunizationの中での高齢者ワクチン戦略-」をテーマとして、高齢者の肺炎の特徴や原因、予防方法などについて解説した。肺炎は高齢者の大敵、肺炎による死亡の大半は高齢者 肺炎は日本人の死因の第5位を占める疾患である1)。65歳を超えると肺炎による死亡率は大きく増加し、肺炎による死亡者の97.9%は65歳以上と報告されている2)。そのため、肺炎は高齢者の大敵であり、とくに「慢性心疾患」「慢性呼吸器疾患」「腎不全」「肝機能障害」「糖尿病」を有する患者は肺炎などの感染症にかかりやすく、症状も重くなる傾向があると永井氏は指摘した。また、「高齢者の肺炎は気付きにくいという問題も存在する」と言う。肺炎の一般的な症状は発熱、咳、痰であるが、高齢者では「微熱程度で、熱があることに気付かない」「咳や痰などの呼吸器症状が乏しい」「元気がない、食欲がないという症状のみ」といった場合があるとし、「高齢者の健康状態については注意深く観察してほしい」と述べた。とくに肺炎球菌に注意が必要 肺炎の病原菌として最も多いものは肺炎球菌である3)。肺炎球菌の感染経路は飛沫感染とされる。主に小児や高齢者において侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を引き起こすことがあり、これが問題となる。IPDの予後は悪く、成人の22.1%が死亡し、8.7%に後遺症が残ったことが報告されている4)。 インフルエンザウイルス感染症も2次性細菌性肺炎を引き起こすため、注意が必要である5)。季節性インフルエンザ流行時に肺炎で入院した患者の原因菌として肺炎球菌が最も多いことが報告されている6)。肺炎予防の3本柱 肺炎を予防するために重要なこととして、永井氏は以下の3つを挙げた。(1)細菌やウイルスが体に入り込まないようにする当然ではあるが、マスク、手洗い、うがいが重要であり、とくにマスクが重要であると永井氏は強調する。「呼吸器感染症を抑制するためには、マスクが最も重要である。国立病院機構東京病院では『不織布マスクを着用して院内へ入ってください(布マスクやウレタンマスクは不可)』というメッセージのポスターを掲示している」と述べた。また、口腔ケアも大切であると指摘した。高齢者では誤嚥が問題となるが、「咳反射や嚥下反射が落ちることで不顕性誤嚥が生じ得るため、歯磨きなどで口腔内を清潔に保つことが重要である」と話した。(2)体の抵抗力を強める重要なものとして「規則正しい生活」「禁煙」「持病の治療」を挙げた。(3)予防接種を受ける肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチン、新型コロナワクチンなどのワクチン接種が肺炎予防のベースにあると強調した。医師の役割が大きいワクチン接種 永井氏は、高齢者に推奨されるワクチンとして肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン、帯状疱疹ワクチン、新型コロナワクチンの4つを挙げた。「これらの4つの感染症は疾病負荷が大きく、社会に与えるインパクトが大きいため、高齢者に対して積極的にワクチン接種を行うことで、医療機関の負担の軽減や医療費削減につながると考えている」と述べる。しかし、健康に自信のある高齢者はワクチンを打ち控えているという現状があることを指摘した。そこで、医師の役割が重要となる。本邦の家庭医クリニックに通院中の65歳以上の患者を対象として、23価肺炎球菌ワクチン(PPSV23)の接種につながる因子を検討した研究では、PPSV23を知っていること(オッズ比[OR]:8.52、p=0.003)、PPSV23の有効性を認識していること(OR:4.10、p=0.023)、医師の推奨(OR:8.50、p<0.001)が接種につながることが報告されている7)。 また、COVID-19の流行後、永井氏は「コロナワクチンのほかに打つべきワクチンがありますか?」と患者から聞かれることがあったと言う。そこで、COVID-19の流行によって、ワクチン忌避が減ったのではないかと考え、ワクチン接種に対する意識の変化を調査した。COVID-19流行前に肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン、帯状疱疹ワクチンを打ったことがない人に、それぞれのワクチン接種の意向を調査した。その結果、新型コロナワクチン0~2回接種の人と比べて、3~4回接種した人はいずれのワクチンについても、接種を前向きに検討している割合が高かった(肺炎球菌ワクチン:27.3% vs.54.5%、p=0.009、インフルエンザワクチン:15.8% vs.62.0%、p<0.001、帯状疱疹ワクチン:18.8% vs.41.1%、p=0.001)。この結果から、「コロナワクチン接種はワクチン接種に対する意識を変えたと考えている」と述べた。 ワクチン接種について、永井氏は「肺炎球菌ワクチンは定期接種となったが、接種率が低く、接種率の向上が求められる。ワクチン接種の推進には、医療従事者の勧めが大きな力となる。コロナワクチン接種はワクチン接種に対する意識を変えた」とまとめた。■参考文献1)厚生労働省. 令和4年人口動態調査2)厚生労働省. 令和3年人口動態調査 死因(死因簡単分類)別にみた性・年齢(5歳階級)別死亡率(人口10万対)3)日本呼吸器学会成人肺炎診療ガイドライン2017作成委員会編集. 成人肺炎診療ガイドライン2017. 日本呼吸器学会;2017.p.10.4)厚生労働科学研究費補助金 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業「重症型のレンサ球菌・肺炎球菌感染症に対するサーベイランスの構築と病因解析 その診断・治療に関する研究」(2023年8月31日アクセス)5)Brundage JF. Lancet Infect Dis. 2006;6:303-312.6)石田 直. 化学療法の領域. 2004;20:129-135.7)Sakamoto A, et al. BMC Public Health. 2018;18:1172.

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第162回 2022年度の医療費46兆円、2年連続過去最高/厚労省

<先週の動き>1.2022年度の医療費46兆円、2年連続過去最高/厚労省2.新学期スタートでも学級閉鎖相次ぐ、新型コロナ感染者数が5類移行後で最多に/厚労省3.ワクチン接種後の副反応の解析用にデータベースを整備へ/厚労省4.30年ぶりの肥満症新薬の登場も、メディカルダイエットの流行が弊害に/厚労省5.生殖補助医療における課題の解決に向け、公的機関の設立を/日本産科婦人科学会6.2021年度の介護費用、過去最大の11兆円に、高齢化が影響/厚労省1.2022年度の医療費46兆円、2年連続過去最高/厚労省2022年度の日本の概算医療費が46兆円に達し、2年連続で過去最高を更新したことが厚生労働省から発表された。前年度に比べて4.0%増加しており、新型コロナウイルスの感染拡大と高齢化が主な影響因子とされている。厚労省によると、新型コロナウイルスのオミクロン株の流行が、とくに影響を与え、発熱外来などの患者数が大幅に増加した。コロナ患者の医療費は前年度の倍近い8,600億円に上った。また、75歳以上の人々が全体の医療費の約39.1%(18兆円)を占め、その1人当たりの医療費が95万6千円であり、75歳未満の24万5千円に比べ3.9倍だった。診療種類別では、医科が34.3兆円(4.5%増)、歯科が3.2兆円(2.6%増)、調剤が7.9兆円(1.7%増)といずれも増加。とくに、医科の外来や在宅などの入院外が16.2兆円(6.3%増)と目立つ伸びをみせた。診療所においては、不妊治療の保険適用が拡大したことで、産婦人科が前年度比41.7%増と大幅に伸びた。このような背景から、医療費の増加が持続している現状において、その抑制方法が課題となっている。とくに新型コロナウイルスの影響と高齢化が相まって、今後も医療費の増加が予想される。参考1)令和4年度 医療費の動向-MEDIAS-(厚労省)2)医療費が過去最大46兆円 4年度概算、コロナ影響(産経新聞)3)医療費1.8兆円増の46兆円 2年連続過去最高 新型コロナが影響(朝日新聞)4)22年度概算医療費46兆円、2年連続で過去最高 前年度比4%増(CB news)2.新学期スタートでも学級閉鎖相次ぐ、新型コロナ感染者数が5類移行後で最多に/厚労省厚生労働省によると、全国の新型コロナの患者数は前週比で1.07倍増となり、とくに岩手、青森、宮城の患者数が多い状況が明らかとなった。新たな入院者数は全国で1万3,501人と、前週よりは減少しているものの、重症患者数は増加している。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、学校における影響も顕著になっており、とくに新学期が始まった地域で学級閉鎖が相次いでいる。日本学校保健会によると、全国の小中高校と幼稚園、保育園で149クラスが閉鎖されている。長野県では、新学期が始まったばかりで31クラスが閉鎖され、これは5月以降で最多。感染症の専門家は、学校が再開されることで、子供たちでの感染がさらに広がる可能性を指摘している。また、ワクチン接種から時間が経過すると効果が下がるため、高齢者や基礎疾患のある人は、次の接種が必要になると警告している。自治体や学校は、発熱や倦怠感などがある場合には、無理に登校しないよう呼びかけており、基本的な感染対策の徹底を求めている。参考1)新型コロナで学級閉鎖相次ぐ 「5類移行」後、最多更新の地域も(毎日新聞)2)新型コロナ 全国の感染状況 前週の1.07倍 2週連続の増加(NHK)3)コロナ感染者数、2週続けて増加 前週比1.07倍 5類後最多に(朝日新聞)3.ワクチン接種後の副反応の解析用にデータベースを整備へ/厚労省厚生労働省は、9月1日に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会を開き、自治体が管理している予防接種の記録や、国が保有する副反応の情報などをまとめた全国的なデータベースを作成する方針を明らかにした。これまでの手書きでの報告を改訂し、効率的に情報収集を行う予定。データベースには、接種記録や副反応疑い報告などが匿名化されて格納され、他のデータベースと連携し、予防接種の有効性・安全性の調査・研究が可能となるため、大学研究機関などに第三者提供も行われる予定。これらの取り組みで、ワクチン接種後の副反応や重篤な有害事象の発生について、副反応の情報と接種歴を結びつけて詳細な分析を可能になる見込み。また、データベースの情報は、レセプト(診療報酬明細書)とも結びつけられ、接種した人としていない人の間で副反応が疑われる症状が起きる割合に差があるかを調査することも計画されている。厚労省は、このデータベースを令和8年度中に稼働させ、ワクチンの有効性や安全性の分析に役立てる方針としている。参考1)予防接種データベースについて(厚労省)2)予防接種データベース「整備イメージ」提示 厚労省、報告様式改訂し情報収集を効率化(CB news)3)ワクチン分析 自治体や国保有の情報データベース作成へ 厚労省(NHK)4.30年ぶりの肥満症新薬の登場も、メディカルダイエットの流行が弊害に/厚労省今春、肥満症治療の新薬「セマグルチド(商品名:ウゴービ)」が承認され、1992年に承認されたマジンドール(同:マサノレックス)以来、約30年ぶりの肥満症治療の新薬の登場で、肥満症の治療は大きく進歩している。さらに糖尿病治療薬として承認された持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「チルゼパチド(同:マンジャロ)」は20%の体重減少効果が確認されており、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬は、糖尿病の治療だけでなく、肥満症の治療としても注目されている。その一方、近年、痩せるために糖尿病薬を処方する「メディカルダイエット」が横行し、その弊害として欠品が問題となっている。厚生労働省は、この問題に対処するために、医療機関や卸業者に対してGLP-1受容体作動薬について「買い込みを控え適正使用」を呼びかけ、適正な使用と供給の優先を求めている。メーカー側は「医師の処方権」や「独占禁止法」により、適応外処方を厳しく規制することができないとしている。しかし、GLP-1受容体作動薬が適応外使用での処方や適応外でありながら大量に広告されていることから有害事象の発生など懸念が広がっている。参考1)GLP-1 受容体作動薬の在庫逼迫に伴う協力依頼(厚労省)2)30年ぶりの肥満症新薬と、「メディカルダイエット」が招く弊害(毎日新聞)3)“体重20%減”のダイエット効果があだに、糖尿病薬「空前の品不足」で診療に支障も(ダイヤモンド・オンライン)5.生殖補助医療における課題の解決に向け、公的機関の設立を/日本産科婦人科学会日本産科婦人科学会は、生殖補助医療の倫理的課題やデータ管理に対応するための公的機関設立の準備を始めたと発表した。医療技術の進展に伴い、第三者からの精子や卵子の提供など、新たな治療法が増加している一方で、倫理的な議論や法制度の整備が遅れている現状に対処するよう国側に強く働きかけたいとして同学会が決定した。1978年に世界で初めて体外受精が成功して以降、多くの国では親子関係や提供者の情報管理に関する法制度が整備されているのに対し、わが国では、生殖補助医療に関する法整備が世界に比べて遅れており、法整備が進まず、議論が始まったのは比較的最近であり、その結果としての法制度も不十分な状態が続いている。2020年には「生殖補助医療法」が成立し、一定の規定は確立されたが、提供者と子の「出自を知る権利」などがいまだに十分に考慮されていないのが現状。この法には2年以内に詳細を検討するという付則があったが、その期限が過ぎても議論は進展していない状態となっている。具体的には、新たな改正案で提案されている公的機関(独立行政法人)は、提供者の氏名や住所、生年月日などを100年間保存するよう求められている。しかし、この機関が情報を開示するかどうかは、提供者の同意に依存しており、その点が問題視されている。また、法案では提供を受けられるのは法律上の夫婦に限定されているなど、性的マイノリティーや代理出産に対する規定も不明確となっている。これらの課題を解決するためには、公的機関の設立だけでなく、広範な倫理的、法的議論が必要であり、産婦人科学会は国や関連団体に対して、専門の調査委員会を設けて、これらの課題に十分に議論を重ねることを求めている。参考1)“生殖補助医療の課題対応” 学会 公的機関の設立準備委(NHK)2)世界から遅れ 生殖補助医療法の必要性を指摘してきた識者の憂い(毎日新聞)3)生殖補助医療法、2年の改正期限過ぎるも議論混迷、次期国会どうなる(朝日新聞)6.2021年度の介護費用、過去最大の11兆円に、高齢化が影響/厚労省厚生労働省は、2021年度の介護費用(保険給付と自己負担を含む)が11兆2,838億円に達し、過去最大を更新したと発表した。この額は2年連続で11兆円を超え、高齢化に伴い、介護サービスの利用者が増加している。同時に、介護保険の給付費(利用者負担を除く)も前年度比2.0%増の10兆4,317億円となり、これもまた過去最高を更新した。介護や支援が必要とされる人々も、21年度末時点で前年度比1.1%増の690万人となり、うち601万人が75歳以上であることが明らかとなり、これも過去最多の数値。給付費の内訳については、訪問介護などの「居宅サービス」が4兆9,604億円で最も多く、次いで特別養護老人ホームなどの「施設サービス」が3兆1,938億円となっている。高齢化が進む中で、介護費用と給付費の増加は持続的な問題となっている。とくに、75歳以上の高齢者が多くを占めていることから、今後もこの傾向は続くと予想される。参考1)令和3年度 介護保険事業状況報告(厚労省)2)介護費、最大の11兆円 21年度(日経新聞)3)介護給付費、10兆4千億円 21年度、高齢化で更新続く(共同通信)

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DOAC内服AF患者の出血リスク、DOACスコアで回避可能か/ESC2023

 心房細動患者における出血リスクの評価には、HAS-BLEDスコアが多く用いられているが、このスコアはワルファリンを用いる患者を対象として開発されたものであり、その性能には限界がある。そこで、米国・ハーバード大学医学大学院のRahul Aggarwal氏らは直接経口抗凝固薬(DOAC)による出血リスクを予測する「DOACスコア」を開発・検証した。その結果、大出血リスクの判別能はDOACスコアがHAS-BLEDスコアよりも優れていた。本研究結果は、オランダ・アムステルダムで2023年8月25日~28日に開催されたEuropean Society of Cardiology 2023(ESC2023、欧州心臓病学会)で発表され、Circulation誌オンライン版2023年8月25日号に同時掲載された。 RE-LY試験1)のダビガトラン(150mgを1日2回)投与患者5,684例、GARFIELD-AFレジストリ2)のDOAC投与患者1万2,296例を対象として、DOACスコアを開発した。その後、一般化可能性を検討するため、COMBINE-AF3)データベースのDOAC投与患者2万5,586例、RAMQデータベース4)のリバーロキサバン(20mg/日)投与患者、アピキサバン(5mgを1日2回)投与患者1万1,1945例を対象に、DOACスコアの有用性を検証した。 以下の10項目の合計点(DOACスコア)に基づき、0~3点:非常に低リスク、4~5点:低リスク、6~7点:中リスク、8~9点:高リスク、10点以上:非常に高リスクに患者を分類し、DOACスコアの大出血リスクの判別能を検討した。また、DOACスコアとHAS-BLEDスコアの大出血リスクの判別能を比較した。【DOACスコア】<年齢> 65~69歳:2点 70~74歳:3点 75~79歳:4点 80歳以上:5点<クレアチニンクリアランス/推算糸球体濾過量(eGFR)> 30~60mL/分:1点 30mL/分未満:2点<BMI> 18.5kg/m2未満:1点<脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)、塞栓症の既往> あり:1点<糖尿病の既往> あり:1点<高血圧症の既往> あり:1点<抗血小板薬の使用> アスピリン:2点 2剤併用療法(DAPT):3点<NSAIDsの使用> あり:1点<出血イベントの既往> あり:3点<肝疾患※> あり:2点※ AST、ALT、ALPが正常値上限の3倍以上、ALPが正常値上限の2倍以上、肝硬変のいずれかが認められる場合 主な結果は以下のとおり。・RE-LY試験の対象患者5,684例中386例(6.8%)に大出血が認められた(追跡期間中央値:1.74年)。・ブートストラップ法による内部検証後において、DOACスコアは大出血について中等度の判別能を示した(C統計量=0.73)。・DOACスコアが1点増加すると、大出血リスクは48.7%上昇した。・いずれの集団においても、DOACスコアはHAS-BLEDスコアよりも優れた判別能を有していた。 -RE-LY(C統計量:0.73 vs.0.60、p<0.001) -GARFIELD-AF(同:0.71 vs.0.66、p=0.025) -COMBINE-AF(同:0.67 vs.0.63、p<0.001) -RAMQ(同:0.65 vs.0.58、p<0.001) 本研究結果について、著者らは「DOACスコアを用いることで、DOACを使用する心房細動患者の出血リスクの層別化が可能となる。出血リスクを予測することで、心房細動患者の抗凝固療法に関する共同意思決定(SDM)に役立てることができるだろう」とまとめた。

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経口セマグルチド(リベルサス)の最大投与量は50mgで決着か?(解説:住谷哲氏)

 現在(2023年8月)、わが国ではGLP-1受容体作動薬の注射製剤の供給に問題が生じており、使いやすい週1回製剤であるトルリシティ、オゼンピック、マンジャロ(厳密にはGIP/GLP-1受容体作動薬)の新規処方はできず、使用できるのは毎日注射製剤のビクトーザ、リキスミアとバイエッタのみとなっている。経口セマグルチドであるリベルサスに関しては処方制限の噂は聞かないので、当面は新規処方に問題は生じないと信じたい。 セマグルチド注射薬は血糖降下薬としての最大投与量は1.0mg/週であるが、肥満症治療薬としては2.4mg/週までの投与が、わが国でも製造承認されている。つまり、肥満症治療薬としては血糖降下薬よりも投与量を増やす必要があることになる。経口セマグルチドは現時点で血糖降下薬としてのみ承認されているが、同じセマグルチドなので当然肥満症治療薬として使用可能である。すでにそのための臨床試験であるOASIS 1の結果が報告されて、経口セマグルチド50mg/日が肥満症治療薬として有効であることが示された1)。 経口セマグルチドの第II相臨床試験では、経口セマグルチドの血糖降下作用には40mgまで用量依存性のあることが報告されている2)。しかしリベルサスの最大投与量は14mgに設定されて、40mgではない。それでは、なぜ今になって25mgと50mgとの有効性を検証する本試験が実施されたのだろうか? セマグルチドの血糖降下作用および体重減少作用は、注射薬および経口薬を問わず、達成されたセマグルチドの血中濃度に依存する3)。その論文では、経口セマグルチド14mg投与患者の血中セマグルチド濃度には最大で10倍程度の個人差があることが示されている。単純に言えば、14mg投与しても1.4mg投与したのと同様の効果しか出ない患者が存在することになる。したがって、血中セマグルチド濃度の上昇が少ない患者では50mg投与すれば、血中濃度の増加に伴って血糖降下作用および体重減少作用が増大することが期待される。それを証明するのが本試験の目的だったのだろうと筆者は推測している。 経口薬であれ注射薬であれ、GLP-1受容体作動薬の有用性は確立している。供給問題の一刻も早い収束を期待したい。

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統合失調症患者の認知機能を含む症状に対するメトホルミンの影響~メタ解析

 統合失調症または統合失調感情障害患者の抗精神病薬誘発性メタボリックシンドローム(MetS)のマネジメントに対し、メトホルミンは優れた有効性を示す薬剤である。メトホルミンによる抗うつ効果や認知機能改善への影響も検討されているものの、これらの情報はシステマティックに評価されていなかった。イタリア・ミラノ大学のVera Battini氏らは、抗精神病薬治療中の統合失調症患者における認知機能およびその他の症状に対するメトホルミンの影響を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、統合失調症の認知機能やその他の症状に対し、メトホルミンのある程度の効果が確認された。メトホルミンの潜在的な薬理学的効果を明らかにするためには、適切な尺度を用いた長期にわたる研究が必要であるとしている。Frontiers in Psychiatry誌2023年7月12日号の報告。 2022年2月までに公表された、統合失調症および統合失調感情障害と診断された後、体重増加の治療のために抗精神病薬の追加療法としてメトホルミン治療を実施した患者を対象に、精神症状および認知機能の変化を評価したランダム化比較試験(RCT)をPubMed、ClinicalTrials.gov、Embase、PsycINFO、WHO ICTRPのデータベースより検索した。 主な結果は以下のとおり。・該当したRCT19件のうち、適格基準を満たした12件をメタ解析に含めた。・安定期統合失調症患者において、24週間のメトホルミン治療により、良好な傾向が認められた(標準化平均差:-0.40[95%信頼区間[CI]:-0.82~0.01]、オッズ比:0.5[-2.4~3.4])。・統合失調症認知機能簡易評価尺度(BACS)および陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)による評価は、研究間の不均一性が低く、より良い影響が確認された。・1つの研究では、プラセボにおいてBACSの言語記憶サブドメインの好ましい変化が報告されていた(平均差:-16.3[95%CI:-23.65~8.42])。・最も報告された副作用は、胃腸障害、口腔乾燥症、錐体外路症状であった。・精神医学的有害事象、とくに統合失調症の再発に起因する症状も報告されていた。

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第176回 虫垂がんを宣告されたある医師の決断(後編) 田舎の親の病医院を継ぎたくない勤務医にも参考になる「中小病院が生き残るための20箇条」

大谷選手右肘靭帯損傷とレカネマブ製造販売承認了承のインパクトこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この1週間はさまざまな分野で大きなニュースが目白押しでした。個人的には、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷 翔平選手の右肘靭帯損傷のニュースにがっくりきました。この秋にも、大谷選手の投球を観にアナハイムに行こうと思っていたのですが…。報道では、大谷選手は2度目となる肘の再建手術(トミー・ジョン手術)に踏み切る可能性もあるとのことです。ただ、当の本人は8月25日(現地時間)からのニューヨーク・メッツ戦にDHとして出場し、第1戦、第2戦では打撃も好調でした。今回の故障、本人が一番ショックを受けていると思われますが、さすがというか、なんというか…。まあ、打者として出場できるだけでもラッキーと言えるかもしれません。右投げ左打ちの効用でしょうか。しかし、これでシーズン終了後のFAも混迷の度合いが深まりました。9月に入ってからは、ホームラン王(三冠)争いと、MLBでの大谷争奪戦をウオッチしたいと思います。医療では、8月21日、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会第一部会が、エーザイが主導し、米バイオジェン社と共同開発した「レケンビ点滴静注」(一般名:レカネマブ)の製造販売承認を了承したことが最大のニュースと言えるでしょう。近く承認され、薬価も確定し、10月か11月には日本の医療現場で使われるようになる見込みです。レカネマブについては、本連載でも度々書いてきました(「第169回 深刻なドラッグ・ラグ問題が起こるかも?アルツハイマー病治療薬・レカネマブ、米国正式承認のインパクト」参照)ので、今回は詳しくは書きません。ただ、薬事・食品衛生審議会第一部会終了後の記者説明会で、医薬品審査管理課の担当者が「アルツハイマー病に対する『夢の新薬』と思われるかもしれないが、レケンビはあくまで認知機能の悪化を27%遅らせる薬剤であり、アルツハイマー病を完全に治す薬ではない」と何度も強調していたのが印象的でした。8月27日付の日本経済新聞朝刊の科学面に、「アミロイド仮説は勝ったか」という、とてもわかり易い解説記事が掲載されています。この記事では、「米国の神経生物学者であるカール・へラップ氏はアミロイド仮説を批判した近著『アルツハイマー病研究、失敗の構造』の中で、レカネマブの『27%減』について『生物学的にほとんど実質のない差である』と指摘している」と書き、「薬効27%減」について「実際の治療にあたる医師や患者、その家族からすると、どこまで期待に応えるものかどうかは評価が難しい」と冷静に記しています。薬価が決まり、臨床での使用がスタートしてから、いろいろなトラブルが起こりそうな予感がします。中小病院や診療所の経営者だけでなく、親の病医院を継ぐかどうかに悩む若手医師にもさて、前回に引き続き、がん宣告を受けた熊本の病院経営者、東 謙二氏の著書、『続“虎”の病院経営日記 コバンザメ医療経営を超えて』(日経メディカル開発)の内容を紹介します。前回は、東氏ががん宣告後に下した経営者としての決断について書きましたが、今回は本書に掲載されている「中小病院が生き残るための20箇条」について書きます。東氏は2017年に出版された前著『“虎”の病院経営日記 コバンザメ医療経営のススメ』の中で、「中小病院が生き残るための15箇条」をまとめていますが、今年出た新著ではその内容をバージョンアップし、5箇条を新たに追加し、全部で20箇条としています。改めてじっくり読んでみますと、中小病院や診療所の経営者に参考になるだけでなく、病医院の経営者の子供で勤務医を続けている医師が、親の病医院を継ぐかどうかを考える際のヒントにもなりそうです。以下、東氏の了解を得て、20箇条の一部分を抜粋で紹介します。1. 病院の「周り」をよく見る「私が病院を経営する上で心がけていることの一つが、病院の『周り』をよく見るということだ。『周り』とは簡単に言えば、病院の立地や、周辺の医療機関と言い換えてもいいだろう。(中略)。『周り』をよく見るとは、このように、時間をかけて地域の他の医療機関との関係性を構築することでもある。だからこそ新規開業や、新しい診療科の開設など、大事な決断をする場合は他人任せにせずに、まず周辺の医療機関の医師たちと飲んで話し合ってみる。これが肝である」。2. 敵対より連携「東病院に戻ってからは、内視鏡手術を積極的に取り入れることはしなかった。一つの理由は、内視鏡手術は導入する機器がかなり高額だからだ。その上、内視鏡分野の機器は今後もどんどん進歩していく。進歩に合わせてその都度、新しいものに買い替えていたのでは、民間病院では到底ペイしない。(中略)そこで内視鏡手術の適応患者は近くの基幹病院に紹介することにした。(中略)。患者を紹介する縁で、済生会熊本病院や熊本中央病院との病病連携は深まっていった」。3. コバンザメ医療経営のススメ「東病院は、ある時期から基幹病院との患者争奪戦から足を洗い、基幹病院に寄り添う“コバンザメ”経営で、なんとかしのいできた。ただ、コバンザメになることで、基幹病院にもそれなりのメリット(軽症患者受け入れ、在院日数短縮に貢献など)を提供できていると自負している」。4. 中小病院の生きる道「大きな病院は、大きな戦艦と同様、施策の変更の振れ幅が大きい場合、すぐには進路変更できない。これに対し、中小病院は組織が小さい分、幹部職員で意思統一を図りやすく、病院の進路を一気に変えることも可能だ。中小病院経営の面白さはそういった点にもある」。5. 病院経営はいいかげんに「残念ながら医師は“商人”ではない。むしろ商人にはなるべきではない。医師は医師らしく下手な経営をやっていけばいいと思っている。自分の能力の範囲でできることをできるだけすればいい。ただ、守るべきことがある。前にも書いたが『「全ての責任は理事長である自分が持つ』ということである」。6. 2代目は本当にだめか「初代の多くが持ち合わせているパイオニア的な性格は、逆に2代目には向かないと言われる。既に立ち上がった事業を安定的に成長させるには、“進取の気性”が逆に邪魔になることがあるからだ。父親が時間をかけて作った事業の枠組みを、あえてぶち壊そうとしてもがく2代目は少なくないが、そうした人はパイオニア的な性格である場合が多いようだ」。7. ブランドと持分「ブランドは病院経営の観点から見ると、また違った側面が見えてくる。医療法人で言えば、地域医療に貢献し、経営が順調であれば、ブランド力は向上、患者も増えて高収益となる。この高収益が、医療法人にとっては悩みの種になることがある。医療法人は剰余金配当ができないため、高収益であればあるほど純資産価額が多額となるからだ」。8. 同族経営と事業承継について考える「私が考える事業承継を成功させるポイントを整理してみた。1.早期から承継に向けた準備を行う。2.病院事業を継続・発展させるという強い意志のある後継者を選ぶ。3.事業承継が決まったら、その方針を親族や従業員にも周知する。一度決めた方針はよほどのことがない限り変更しない。4.現経営者と後継者との間に信頼関係があること。いったん、継承したら現経営者は経営の一線からは退く覚悟で(返り咲きは紛争の元)」。9. 理事長はつらいよ「組織では、往々にして身内が反旗を翻す。そこで身内には“甘く”するようにしている。『身内には厳しく』というのが常道だが、私は逆を行く。(中略)逆に身内でない人間には『身内』のように接するようにしている」。10. 右腕について「もしも神経質で細かなことが気になる人間だったら、とても2つの職務をこなせないだろう。そしてもう一つの理由は、いい加減な私を支えてくれる(中略)2人の“右腕”のおかげである。診療に関しては副院長にほとんどを任せ、事務・経理に関しては事務局長に全面的に任せている」。11. 医師をどう集める、どう働いてもらう「医師を集めることも大変だが、集めた医師に継続して働いてもらうことの方がずっと難しい。中小病院は、大病院のように医療機器・設備は不十分だし、診療だけに専念できる環境も整っていない。たとえ給与面で厚遇しても、医師の不満は溜まりがちだ」。12. 職員の採用と教育、私の考え方「面接では、その人の人間性や優秀さではなく、適応能力だけを見ることにした。適応能力とは、置かれた環境や状況の変化に、自らの考え方や行動を切り替えて、どれだけ適応することができるかの能力だ。適応能力がある人間は、逆境に強く、様々な変化にも対応できる。言い換えれば柔軟性がある」。13. 医師仲間との付き合い「公的な団体への参加の傍ら、私が院長に就任して3年後の平成18年(2006年)から、熊本の同世代の病院長の集まりを始めた。こんな地方の病院の理事長・院長になると、将来にわたってずっとなんらかの関わりが続くだろうから、若いうちから知り合って、顔をつないでおこうという気軽な気持ちで始めた」。14. 酒の飲み方 医師以外のネットワークの作り方「こうした行きつけの店は、私にとって今では息抜きの場所だ。同時に、病院の評判や大げさに言えば世の中の動き(景気や流行)を知る上でも得難い場所となっている。それを知ることで、病院経営がうまくいくわけでもないが、世の中を知るために、気の置けない医療業界以外の仲間も開業医には必要だと思う今日この頃である」。15. 子どもを医者にするのは是か非か「まずは本人の意志だろう。子どもが医師になりたくない、というならば私は決して勧めない。医師は社会的責任が強い。いやいやながら責任を負わされることほど苦痛なことはない。次に親として医師になることを勧めるならば、その適性を見極めなければならない」。16. 持分放棄の決断の前に「私は父から理事長を受け継いだ時点で出資持分の相続税を支払わなければならなかった。書類上、東謙一から東謙二という漢字に一本加えるだけで数億円の税金を払うことになった。『持分あり』医療法人は理事長が変わるたびに多額の相続税がかかる。この制度があるために医療法人は『3代で潰れる』と言われるのは、あながち嘘ではない」。17. 子どもに病院を継がせるということ「私も親となり子どもも医者となった。そして、子どもに継承してほしいと望んではいる。しかし決めるのは子ども自身であり、強制することではない。そのため、継承したくない場合は他人に譲渡しやすいよう、『持分なし』の医療法人形態に変えた。そして私の代で理事長と院長の役割を明確に区分し、理事長となり病院の経営だけに関わる道と、医療・介護事業の運営に専念できる院長の道も用意。子どもにある程度の選択ができる環境を整えた」。18. 理事長の仕事と院長の仕事「理事長の仕事と院長の仕事を兼任した方がいいか、分担した方がいいのかは、それぞれの病院の事情次第である。ただ、冒頭でも述べたように、病院経営は複雑化しており、経営と診療をどちらも十分にこなすのは難しい時代である。組織が大きければ大きいほど、経営と診療の分離は不可欠だと思う」。19. 公的な役職について「熊本には『肥後の引き倒し』という言葉がある。『出る杭は打たれる』とほぼ同義で、誰かが成功したり頭角を現わしたりするとみんなでその人の足を引っ張るという意味だ。私自身は引き倒されてもいいと思っている。役職というものは地位ではなく使うものだ。その役職を使って何かを完成に導けるならば、その地位なんて必要ない。誰かが私の後を引き継いで、最終的によりいい形になればいい」。20. 医師は世間知らず、開業で騙されないために「例えば開業準備を進める勤務医の場合、働きながら商売相手に負けないほどの診療所経営の知識やノウハウを身に付ける時間はない。そこがプロ集団が付け入る隙となる。だからこそ急いではいけない。少なくとも契約までにはじっくりと時間をかけること。商売相手以外に信用できる相談相手を見つけること。それが重要だ。(中略)。では相談相手として有名銀行の銀行員なら大丈夫か、有名な医療経営コンサルティング会社のコンサルタントなら大丈夫か。バカ言っちゃいけない。そう信じている能天気な医師は開業は諦めた方がいいだろう」。手術から4年、転移や再発もなく元気に病院経営と病院団体の活動を継続中以上、同書から一部分を抜粋してみました。20箇条をじっくり読んでみたい方は、Amazonなどでのご購入をお勧めします。ところで、当の東氏ですが、2019年に回盲部切除術を受けてから丸4年が経ちましたが、現在、転移や再発もなく、元気に病院経営と病院団体の活動を続けているとのことです。コロナ禍もあって、しばらくは“夜の街の活動”も自粛が続いていたようですが、そちらもコロナ禍前の状況に戻りつつあるそうです。今度、機会があれば、手術後に大虎が子虎になったかどうか、確認しに行ってみたいと思います。

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英語で「詳細を教えてください」は?【1分★医療英語】第95回

第95回 英語で「詳細を教えてください」は?I don’t feel like eating recently.(最近、食欲がないんです)Could you elaborate on that?(もう少し詳しく教えてもらえますか?)《例文1》Could you explain further?(もっと説明してもらえますか?)《例文2》Could you tell me more about it?(それについてもう少し話してもらえますか?)《解説》問診において患者さんからオープンクエスチョンで情報収集することは非常に大切ですが、なかなか具体的な説明が伴わないこともよくあります。「もっと情報が欲しい」というときは、“Could you tell me more about it?”(それについて、もう少し話してもらえますか?)または“Could you explain further?”(もっと説明してもらえますか?)といった表現があります。そして、「もっと詳細を教えてほしい」と言いたい場合には、“Could you elaborate on that?”(それについて、もう少し詳しく教えてもらえますか?)、“Could you tell me in detail?”(詳細について話してもらえますか?)、“Could you break it down for me?”(詳しく教えてもらえますか?)などと表現することができます。“break it down”は「かみ砕いて話す」という意味になりますので、さらに内容を詳しく教えてほしいと言いたいときに使いやすい表現です。また、周辺の状況や背景について説明をしてほしい場合には、“Could you please give me a bit more background?”(もう少し状況について教えてもらえますか?)という言い方もできます。講師紹介

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外傷の処置(3)陥入爪【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q81

外傷の処置(3)陥入爪Q81総合病院の休診日の日直バイト中、高血圧、糖尿病既往の40歳男性が左母趾の痛みを主訴に受診した。痛みは急性経過で、歩行も困難だという。きっと痛風だろうと思いながら靴下を脱がしたが、MTP関節の腫脹、発赤、熱感はない。左母趾爪の側縁の陥入と側爪郭の腫脹発赤がみられた。院内では簡単な小外科対応しかできず、専門医もいない。どうする?

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在宅アルブミン尿スクリーニング、最適な方法は?/Lancet

 一般住民におけるアルブミン尿増加の在宅スクリーニングは、採尿器(UCD)法で参加率が高く、アルブミン尿高値ならびに慢性腎臓病(CKD)や心血管疾患のリスク因子を有する個人を正しく同定した。一方、スマートフォンのアプリケーションを用いる方法(スマホアプリ法)は、UCD法より参加率が低く、精密スクリーニングによる個人のリスク因子の正確な評価のためには検査の特異度が低かった。オランダ・フローニンゲン大学のDominique van Mil氏らが、前向き無作為化非盲検試験「Towards Home-based Albuminuria Screening:THOMAS試験」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「UCDスクリーニング戦略により、CKD患者の進行性腎機能低下と心血管疾患を予防するための早期の治療開始が可能となるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年8月16日号掲載の報告。45~80歳の一般住民を、UCD法とスマホアプリ法に無作為化 研究グループは、オランダ・ブレダ地区に居住する45~80歳の一般住民から無作為に抽出され本研究の参加に同意した人を、UCD法群またはスマホアプリ法群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 UCD法群では、UCDで採取した尿サンプルを中央検査施設に送ってもらい、免疫比濁法による尿アルブミン/クレアチニン比(ACR)を測定した。スマホアプリ法群では、家庭用アルブミン尿スクリーニング自己検査キットを配布し、スマートフォンのアプリケーションを使用して自宅でディップスティックによるACR測定を行った。 いずれの群も、最初の検査でアルブミン尿高値(国際腎臓病ガイドライン機構[KDIGO]の分類でA2以上など)を認めた参加者には、2回目の検査キットを送付し、2回目の検査結果が陰性であった場合は、3回目の検査キットを送付した。2回目または3回目の検査が陽性だった参加者は、ブレダにあるAmphia HospitalでCKDと心血管リスク因子の精密スクリーニングを受け、高血圧、高コレステロール血症、2型糖尿病または腎機能障害などが発見された場合は、治療のために一般開業医に紹介された。 主要アウトカムは、在宅スクリーニングと精密スクリーニングの参加率と陽性率とした。また、探索的解析として、在宅スクリーニングの2つの方法の感度と特異度を評価することを事前に計画した。検査完了はUCD法群59.4%、スマホアプリ法群44.3%、検査の感度と特異度はUCD法で96.6%および97.3% 2019年11月14日~2021年3月19日の間に1万5,074例が登録され、7,552例(50.1%)がUCD法群、7,522例(49.9%)がスマホアプリ法群に割り付けられた。 在宅スクリーニングを完了した人(参加率)は、UCD法群で7,552例中4,484例(59.4%、95%信頼区間[CI]:58.3~60.5)、スマホアプリ法群で7,522例中3,336例(44.3%、43.2~45.5)であった(p<0.0001)。 そのうち、最終的にアルブミン尿陽性が確認された人(陽性率)は、UCD法群で4,484例中150例(3.3%、95%CI:2.9~3.9)、スマホアプリ法群で3,336例中171例(5.1%、4.4~5.9)であった。 精密スクリーニングには、UCD法群で150例中124例(82.7%、95%CI:75.8~87.9)、スマホアプリ法群で171例中142例(83.0%、76.7~87.9)が参加した。 ACR高値の検出感度は、UCD法で96.6%(95%CI:91.5~99.1)、スマホアプリ法で98.1%(89.9~99.9)、特異度はそれぞれ97.3%(95%CI:94.7~98.8)、67.9%(62.0~73.3)であり、UCD法のみ検査特性はスクリーニングに十分であることが示された。 精密スクリーニングを完了したUCD法群の124例のうち、アルブミン尿、高血圧、高コレステロール血症、腎機能低下が新たに診断されたのはそれぞれ77例(62.1%)、44例(35.5%)、30例(24.2%)、27例(21.8%)であり、111例(89.5%)が新たにCKDまたは心血管疾患等のリスク因子を有すると診断され、一般開業医に紹介された。

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高血圧への第1選択としての利尿薬vs.他の降圧薬~コクランレビュー

 高血圧患者における死亡率、心血管イベントの発生率、有害事象による中止率などについて、第1選択薬としてのサイアザイド系利尿薬と他のクラスの降圧薬を比較したシステマティックレビューの結果を、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のMarcia Reinhart氏らがThe Cochrane Database of Systematic Reviews誌2023年7月13日号に報告した。 2021年3月までのCochrane Hypertension Specialized Register、CENTRAL、MEDLINE、Embase、および臨床試験登録が検索された。対象は1年以上の無作為化比較試験で、第1選択薬としての利尿薬と他の降圧薬の比較、および死亡率とその他のアウトカム(重篤な有害事象、総心血管系イベント、脳卒中、冠動脈性心疾患[CHD]、うっ血性心不全、有害作用による中止)が明確に定義されているものとした。 主な結果は以下のとおり。・9万例超が対象の、26の比較群を含む20件の無作為化試験が解析された。・今回の結果は、2型糖尿病を含む複数の合併症を有する50〜75歳の男女高血圧患者における第1選択薬に関するものである。・第1選択薬としてのサイアザイド系およびサイアザイド系類似利尿薬が、β遮断薬(6試験)、Ca拮抗薬(8試験)、ACE阻害薬(5試験)、およびα遮断薬(3試験)と比較された。・他の比較対照には、アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、アリスキレン(直接的レニン阻害薬)、およびクロニジン(中枢作用薬)が含まれていたが、データが不十分だった。・重篤な有害事象の総数に関するデータを報告した研究は3件のみで、利尿薬とCa拮抗薬を比較した研究が2件、直接的レニン阻害薬と比較した研究が1件だった。β遮断薬と比較したサイアザイド系利尿薬:・全死亡率(リスク比[RR]:0.96[95%信頼区間:0.84~1.10]、5試験/1万8,241例/確実性:中程度)。・総心血管イベント(5.4% vs.4.8%、RR:0.88[0.78~1.00]、絶対リスク減少[ARR]:0.6%、4試験/1万8,135例/確実性:中程度)。・脳卒中(RR:0.85[0.66~1.09]、4試験/1万8,135例/確実性:低)、CHD(RR:0.91[0.78~1.07]、4試験/1万8,135例/確実性:低)、心不全(RR:0.69[0.40~1.19]、1試験/6,569 例/確実性:低)。・有害作用による中止(10.1% vs.7.9%、RR:0.78[0.71~0.85]、ARR:2.2%、5試験/1万8,501例/確実性:中程度)。Ca拮抗薬と比較したサイアザイド系利尿薬:・全死亡率(RR:1.02[0.96~1.08]、7試験/3万5,417例/確実性:中程度)。・重篤な有害事象(RR:1.09[0.97~1.24]、2試験/7,204例/確実性:低)。・総心血管イベント(14.3% vs.13.3%、RR:0.93[0.89~0.98]、ARR:1.0%、6試験/3万5,217例/確実性:中程度)。・脳卒中(RR:1.06[0.95~1.18]、6試験/3万5,217例/確実性:中程度)、CHD(RR:1.00[0.93~1.08]、6試験/3万5,217例/確実性:中程度)、心不全(4.4% vs.3.2%、RR:0.74[0.66~0.82]、ARR:1.2%、6試験/3万5,217例/確実性:中程度)。・有害作用による中止(7.6% vs.6.2%、RR:0.81[0.75~0.88]、ARR:1.4%、7試験/3万3,908例/確実性:低)。ACE阻害薬と比較したサイアザイド系利尿薬:・全死亡率(RR:1.00[0.95~1.07]、3試験/3万961例/確実性:中程度)。・総心血管イベント(RR:0.97[0.92~1.02]、3試験/3万900例/確実性:低)。・脳卒中(4.7% vs.4.1%、RR:0.89[0.80~0.99]、ARR:0.6%、3試験/3万900例/確実性:中程度)、CHD(RR:1.03[0.96~1.12]、3試験/3万900例/確実性:中程度)、心不全(RR:0.94[0.84~1.04]、2試験/3万392例/確実性:中程度)。・有害作用による中止(3.9% vs.2.9%、RR:0.73[0.64~0.84]、ARR:1.0%、3試験/2万5,254例/確実性:中程度)。α遮断薬と比較したサイアザイド系利尿薬:・全死亡率(RR:0.98[0.88~1.09]、1試験/2万4,316例/確実性:中程度)。・総心血管イベント(12.1% vs.9.0%、RR:0.74[0.69~0.80]、ARR:3.1%、2試験/2万4,396例/確実性:中程度)。・脳卒中(2.7% vs.2.3%、RR:0.86[0.73~1.01]、ARR:0.4%、2試験/2万4,396例/確実性:中程度)、CHD(RR:0.98[0.86~1.11]、2試験/2万4,396例/確実性:低)、心不全(5.4% vs.2.8%、RR:0.51[0.45~0.58]、ARR:2.6%、1試験/2万4,316例/確実性:中程度)。・有害作用による中止(1.3% vs.0.9%、RR:0.70[0.54~0.89]、ARR:0.4%、3試験/2万4,772例/確実性:低)。 著者らは、本結果を以下のようにまとめている。・利尿薬と他のクラスの降圧薬の間で、おそらく死亡率に差はない。・利尿薬はβ遮断薬と比較して、心血管イベントをおそらく減少させる。・利尿薬はCa拮抗薬と比較して、心血管イベントと心不全をおそらく減少させる。・利尿薬はACE阻害薬と比較して、脳卒中をおそらくわずかに減少させる。・利尿薬はα遮断薬と比較して、心血管イベント、脳卒中、心不全をおそらく減少させる。・利尿薬はβ遮断薬、Ca拮抗薬、ACE阻害薬、α遮断薬と比較して、有害作用による中止がおそらく少ない。

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英語で「再確認しましょう」は?【1分★医療英語】第94回

第94回 英語で「再確認しましょう」は?Is this dose correct?(この用量で大丈夫でしたか?)Let’s double-check.(再確認してみましょう)《例文1》医師Have you sent this medication to their pharmacy?(この薬を患者さんの薬局に処方してありますか?)看護師Yes, but let me double-check.(はい、でも再確認しますね)《解説》“double-check(double check)”の表現を学びましょう。これは医学以外でも幅広く使われる英語表現なので、すでに知っている方も多いと思います。日本語でも「ダブルチェック」という言葉はそのまま使われますよね。ただ、日本の医療現場で「ダブルチェック」と言ったとき、「2人が同時にチェックする」という意味で使われることが多いかと思います。英語の場合はちょっとニュアンスが異なります。ケンブリッジ辞典では、“To make certain that something is correct or safe, usually by examining it again.”(もう一度調べることによって、何かが正しいのか問題がないのかを確認すること)と記載がありますが、「正しいかどうかを、チェックすることで確かめる」といったような意味になります。“double-check”を聞かない日はないくらい、医療現場で頻用されている表現です。意味としてはほぼ同じなのですが、さらに“extra”な表現として“double-check”の上の“triple-check”なんて言うこともあります。講師紹介

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アミリンアナログとGLP-1受容体作動薬の配合剤は肥満を伴う2型糖尿病に有効である(解説:小川大輔氏)

 肥満を伴う2型糖尿病の治療として、GLP-1受容体作動薬であるセマグルチドが有効であることは周知のとおりである。一方、新規のアミリンアナログであるcagrilintideは肥満症の治療薬として期待が高まっている。今回、BMI 27以上の2型糖尿病患者を対象に、週1回投与のセマグルチド2.4mgとcagrilintide 2.4mgの配合剤(CagriSema)の第II相臨床試験の結果がLancet誌に発表された1)。 アミリンは高血糖時にインスリンと共に膵β細胞から分泌されるホルモンであり、視床下部の食欲中枢に作用して胃の内容物排出速度を低下させ、満腹感を促進する。アミリンアナログであるpramlintideは1型および2型糖尿病の治療薬として2005年にFDAによって承認された。しかし作用時間が短く、1日2~3回注射しなければいけないため実際にはほとんど使用されていない。その後、長時間作用型のアミリンアナログであるcagrilintideが開発され、GLP-1受容体作動薬と共に肥満症の治療薬として期待されている2)。 この試験は米国の17施設において、BMI値27以上でメトホルミン治療中の2型糖尿病成人患者92例を無作為に1対1対1の3群に割り付け、CagriSema、セマグルチド、cagrilintide(いずれも2.4mgまで漸増)をそれぞれ週1回皮下投与した。主要エンドポイントはHbA1cのベースラインから32週目までの変化量で、副次エンドポイントは体重、空腹時血糖値、CGMパラメータ、安全性であった。 ベースラインから32週までのHbA1c値と空腹時血糖値の平均変化は、CagriSema群は、cagrilintide群よりも有意に変化幅が大きかったが、セマグルチド群とは有意差は認められなかった。また体重の平均変化は、CagriSema群-15.6%、セマグルチド群-5.1%、cagrilintide群-8.1%と、CagriSema群はセマグルチド群、cagrilintide群のいずれよりも減少幅が有意に大きかった。これらの結果より、セマグルチドとcagrilintideの併用は、セマグルチド単独に比べてHbA1c値と空腹時血糖値の有意な改善は認めないが、体重に関してはセマグルチド単独よりさらに減少することが示された。 有害事象については、CagriSema群、セマグルチド群、cagrilintide群のいずれの群も同程度であり、消化器系有害事象の頻度が高かった。レベル2およびレベル3の低血糖の発現はいずれの群にも認めなかった。またDexcom G6を用いたCGMのデータにおいても低血糖を伴わず良好な血糖プロファイルが確認された。 今回発表されたCagriSemaの第II相試験で、週1回投与のセマグルチド2.4mgとcagrilintide 2.4mgの配合剤は、過体重の2型糖尿病患者の減量に有効である可能性が示された。第III相試験では症例数を1,200例に増やして現在検討が行われているので、その結果を待ちたい。残念ながら、日本ではセマグルチドはまだ1mgまでしか使えず、アミリンアナログは承認されていない。肥満を伴う2型糖尿病の治療の格差はますます広がるばかりである。

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