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ニンジンが糖尿病治療の助けになる?

 2型糖尿病の患者がニンジンを食べると、健康に良い効果を期待できるかもしれない。その可能性を示唆する、南デンマーク大学のLars Porskjaer Christensen氏らの研究結果が、「Clinical and Translational Science」に12月3日掲載された。同氏は大学発のリリースの中で、「われわれは、ニンジンが将来的には2型糖尿病の食事療法の一部として利用されるという、潜在的な可能性を秘めていると考えている」と記している。 この研究でChristensen氏らは、デンプン質の野菜に含まれる栄養素が生体に引き起こす代謝効果に着目し、マウスモデルを用いた実験を行った。特に、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)に対する作用を持つことが報告されている、ニンジンの可能性に焦点を当てた。なお、PPARγは、チアゾリジン薬という経口血糖降下薬の主要な作用標的でもある。 2型糖尿病を誘発させたマウスを3群に分けて、1群は低脂肪の餌を与えて飼育。他の2群は、非健康的な人の食習慣を模して、高脂肪の餌を与えた。さらに、高脂肪食群の一方の餌には、フリーズドライのニンジン粉末を10%の割合で混ぜて与えた。このような条件で16週間飼育して、その前後で糖負荷試験を行ったほか、腸内細菌叢の組成を比較検討した。 ベースラインの糖負荷後の血糖値の推移には有意な群間差はなかったが、16週後には、低脂肪食群の血糖変動が最も少なく、高脂肪食の2群では負荷後の血糖上昇が大きいという差が生じていた。しかし、高脂肪食の2群で比較した場合、ニンジン粉末を混ぜて飼育した群のほうが、糖負荷直後の血糖上昇幅が少なかった。腸内細菌叢の分析からは、ニンジン粉末を混ぜて飼育したマウスは細菌叢の多様性が高いことが明らかになった。 では、ニンジンはヒトの健康維持にも役立つのだろうか? 著者らは、本研究の結果を直ちにヒトに適用することには慎重な姿勢を示しながらも、ニンジンがヒトの健康にも影響を及ぼし得るかを検証するため、新たな研究資金の確保を目指しているとのことだ。もし、ニンジンに含まれている化合物が、ヒトに対してもマウスと同様の作用を発揮するとしたら、米国に住む膨大な数の2型糖尿病患者に恩恵をもたらす可能性がある。また、本研究で得られた知見から、糖尿病治療薬の効果をより高める手段が見つかるかもしれない。 なお、著者らは、ニンジンの健康効果を期待して摂取する場合には、調理の手をあまり加えずに食べることを勧めている。調理の工程で、健康へのプラス作用が期待される化合物が全く失われることはないものの、量が減ってしまう可能性があるとのことだ。

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卵の摂取量、高齢者では多くても少なくてもダメ?

 卵の摂取量と70歳以上の高齢者の全死因死亡および死因別死亡との関連性を前向きに調査した結果、卵をまったく/まれにしか摂取しない群に比べて、週に1~6回摂取する群では全死因死亡および心血管疾患(CVD)死亡のリスクが低減したが、毎日摂取する群ではこの潜在的な有益性は認められなかったことを、オーストラリア・モナッシュ大学のHolly Wild氏らが明らかにした。Nutrients誌2025年1月17日号掲載の報告。卵を毎週摂取する高齢者はCVD死亡リスクが29%低かった 卵の摂取量と健康との関係は広く研究されているが、その結果はしばしば矛盾しており、さらに65歳以上の高齢者におけるエビデンスは限られている。卵にはタンパク質のほか、ビタミンやミネラルなども豊富に含まれており、高齢者の重要な栄養供給源であることから、研究グループは卵の摂取量と高齢者の死亡との関連性を評価するために前向きコホート研究を実施した。 本研究では、オーストラリア居住者を対象とした高齢化に関する縦断コホート研究「ALSOP試験」の参加者である70歳以上の8,756例のデータを用いた。過去1年間の卵の摂取量を食物摂取頻度調査(FFQ)で聴取し、「まったく摂取しない/まれに摂取(月に0~2回)」、「毎週摂取(週に1~6回)」、「毎日摂取(毎日~1日に数回)」の3つのカテゴリーで解析した。卵摂取と死亡との関連をCox比例ハザード回帰分析により評価した。 卵の摂取量と高齢者の死亡との関連性を評価した主な結果は以下のとおり。●解析対象8,756例の年齢中央値は76.9±5.5歳、女性が54.0%であった。卵を毎日摂取していたのは2.6%、毎週摂取していたのは73.2%、まったく/まれにしか摂取していなかったのは24.2%であった。●追跡期間中央値5.9年で1,034例の全死因死亡(11.8%)が記録された。がん死亡は453例(5.2%)、CVD死亡は292例(3.3%)であった。●卵を毎週摂取する群では、まったく/まれにしか摂取しない群と比較して、全死因死亡リスクが15%低く、CVD死亡リスクが29%低かった。がん死亡では有意な関連は認められなかった。ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)は以下のとおり。 -全死因死亡のHR:0.85、95%CI:0.74~0.98 -CVD死亡のHR:0.71、95%CI:0.54~0.91 -がん死亡のHR:0.93、95%CI:0.76~1.16●卵を毎日摂取する群では、まったく/まれにしか摂取しない群よりもいずれのリスクも高い傾向にあったが、有意な関連は認められなかった。 -全死因死亡のHR:1.20、95%CI:0.85~1.71 -CVD死亡のHR:1.43、95%CI:0.79~2.58 -がん死亡のHR:1.36、95%CI:0.82~2.27 研究グループは「これらの知見は、高齢者のためのエビデンスに基づいた食事ガイドラインの作成に有益であると考えられるが、関連性の根底にあるメカニズムをより理解するためにはさらなる縦断的研究が必要である」とまとめた。

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加糖飲料により毎年世界で数百万人が糖尿病や心血管疾患を発症

 加糖飲料の影響で、世界中で毎年200万人以上の人が2型糖尿病(T2DM)を発症し、120万人以上の人が心血管疾患(CVD)を発症しているとする論文が、「Nature Medicine」に1月6日掲載された。米ワシントン大学のLaura Lara-Castor氏らの研究によるもので、論文の筆頭著者である同氏は、「T2DMやCVDによる早期死亡を減らすためにも、加糖飲料消費量削減を目指したエビデンスに基づく対策を、世界規模で直ちに推し進めなければならない」と話している。 この研究では、184カ国から報告されたデータを用いた統計学的な解析により、加糖飲料摂取に関連して発症した可能性のあるT2DMとCVDの新規患者数を推定した。その結果、2020年において、約220万人(95%不確定区間200~230万)の新規T2DM患者、および、約120万人(同110~130万)の新規CVD患者が、加糖飲料摂取に関連するものと推定された。この数はそれぞれ、2020年の新規T2DM患者全体の9.8%、新規CVD患者の3.1%を占めていた。また、加糖飲料摂取に起因するT2DM患者の死亡が8万人、CVD患者の死亡が約26万人と推定された。 人口規模が上位30カ国の中で、加糖飲料摂取に関連する新規T2DM患者が多い国は、メキシコ(成人100万人当たり2,007人、新規T2DM患者全体に対して30%)、コロンビア(同1,971人、48.1%)、南アフリカ(1,258人、27.6%)などであり、新規CVD患者については、コロンビア(1,084人、23.0%)、南アフリカ(828人、14.6%)、メキシコ(721人、13.5%)などだった。なお、日本の加糖飲料摂取に関連する新規T2DM患者数は2万8,981人、新規CVD患者数は8,396人、死亡はそれぞれ158人、1,947人と推定されている。 加糖飲料がこれほどの害をもたらす理由の一つとして、栄養価が低いにもかかわらずカロリーは高く、また吸収が早いために満腹感を感じる前に飲み過ぎてしまいやすいことなどの影響が考えられている。長期にわたる加糖飲料の習慣的な摂取は、体重増加、インスリン抵抗性、そして、世界の死亡原因の上位を占めるT2DMやCVDの発症につながる。さらに加糖飲料は安価で、広く入手可能だ。論文の共著者である米タフツ大学のDariush Mozaffarian氏は、「低所得国や中所得国では加糖飲料が盛んに宣伝・販売されている。それらの国々では、長期的な健康への影響という視点での対策が十分講じられておらず、人々は健康に有害な食品を摂取してしまいやすい」と解説。また、著者らによると、国が発展し国民の所得が伸びるにつれて、加糖飲料がより入手しやすい飲み物になり、好まれるように変化していくという。 ソーダ税などの政策が、この問題の拡大を遅らせるかもしれない。米国の一部の地域で行われた研究は、そのような取り組みが効果的であることを示している。米ボストン大学公衆衛生大学院のデータによると、シアトルやフィラデルフィアといった米国内5都市で、課税に伴う加糖飲料の価格上昇による消費量減少が観察されたという。さらに最近の調査からは、カリフォルニア州の複数の都市で課税が導入された後、加糖飲料の売上減少とともに、若者のBMIの平均値が低下したことが明らかにされた。 課税を含む公衆衛生アプローチは、米国以外の国でも有効な可能性がある。また著者らは、課税などの戦略に加えて、人々の意識を高めるための公衆衛生キャンペーンや、広告の規制を求めている。現在すでに80カ国以上が、加糖飲料の消費削減を目的とした対策を実施しており、著者らによると「一部の国では介入効果が現れ始めている」という。

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GIP/GLP-1受容体に作用する週1回の肥満症治療薬「ゼップバウンド皮下注」【最新!DI情報】第32回

GIP/GLP-1受容体に作用する週1回の肥満症治療薬「ゼップバウンド皮下注」今回は、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「チルゼパチド(商品名:ゼップバウンド皮下注2.5mg/5mg/7.5mg/10mg/12.5mg/15mgアテオス、製造販売元:日本イーライリリー)」を紹介します。本剤は、週1回投与の肥満症治療薬であり、食欲を調節すると同時に、脂質などの代謝を亢進させることによって体重を減少させることが期待されています。<効能・効果>肥満症を適応として、2024年12月27日に製造販売承認を取得しました。本剤は高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に使用されます。BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有するBMIが35kg/m2以上<用法・用量>通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgから開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回10mgを皮下注射します。患者の状態に応じて適宜増減し、週1回5mgまで減量、または4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量することができます。なお、本剤は週1回投与する薬剤であり、同一曜日に投与します。<安全性>重大な副作用として、低血糖、胆嚢炎、胆汁うっ滞性黄疸、アナフィラキシー、血管性浮腫(いずれも頻度不明)、急性膵炎、胆管炎(いずれも0.1%未満)が報告されています。胃腸障害が現れた場合は急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査などによる原因の精査が行われることがあります。また、下痢や嘔吐が続くことで脱水となり、急性腎障害を起こす恐れがあるため、適度な水分補給が必要です。その他の副作用は、悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退、注射部位反応(紅斑、そう痒感、疼痛、腫脹など)(いずれも5%以上)、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、おくび、鼓腸、疲労、浮動性めまい、脱毛症(いずれも1~5%未満)、心拍数増加、低血圧、血圧低下、胆石症、糖尿病網膜症、過敏症(湿疹、発疹、そう痒性皮疹など)、味覚不全、異常感覚、膵アミラーゼ増加、リパーゼ増加、体重減少(いずれも1%未満)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は肥満症の患者さんのうち、高血圧や脂質異常症、または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない人に用いられます。2.この薬は食欲を調節すると同時に、脂質などの代謝を亢進させることによって体重を減少させる作用があります。3.美容やダイエットの目的で使用しないでください。4.この薬の使用中も食事療法・運動療法を継続してください。5.週1回の投与で効果が持続するように製剤的な工夫をした注射薬です。毎週、同じ曜日に注射してください。6.のどの渇きや立ちくらみなどの脱水症状が現れた場合は、十分な水分摂取を行い、速やかに主治医に相談してください。<ここがポイント!>ゼップバウンドは、持続性のグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)およびグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の2つの受容体に作用する持続性GIP/GLP-1受容体作動薬です。本剤の成分であるチルゼパチドは、2023年4月より2型糖尿病の治療薬としてマンジャロの商品名で販売されていますが、今回新たに肥満症の治療薬として承認を取得しました。肥満症は個人の生活習慣のみによって引き起こされるという誤解がありますが、遺伝的、心理的、社会的なさまざまな要因が複合的に影響し発症する慢性疾患です。チルゼパチドは中枢神経系においてGIP/GLP-1受容体に作用して食欲を調節すると同時に、脂肪細胞のGIP受容体に作用して脂質などの代謝を亢進し、体重を減少させる効果があります。本剤は、食事療法や運動療法を行っても十分に効果が得られない高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有する患者を対象にしています。美容や痩身、ダイエットなど肥満症治療以外の目的で使用することはできません。投与には1回使い切りのオートインジェクター型注入器(商品名:アテオス)を使用し、週1回皮下注射します。適切な在宅自己注射教育を受けた患者または家族は自宅で自己注射が可能です。日本人肥満症患者を対象とした国内第III相試験(GPHZ試験:SURMOUNT-J)において、投与72週時の体重のベースラインからの平均変化率は、プラセボ群が-1.8%であったのに対し、チルゼパチド10mg群では-18.4%、チルゼパチド15mg群では-22.6%であり、チルゼパチド両群でプラセボ群に対する優越性が示されました。また、5%以上の体重減少を達成した試験参加者の割合は、プラセボ群が21.2%であったのに対し、チルゼパチド10mg群では94.9%、チルゼパチド15mg群では96.9%であり、チルゼパチド両群でプラセボ群に対する優越性を示しました。

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第252回 依存や鎮静などを回避しうる新しい鎮痛薬を米国が承認

ここ20年以上なかった新しい作用機序の非オピオイド鎮痛薬を米国FDAが先週金曜日に承認しました1,2)。承認されたのは昨春2月に本連載でも取り上げた米国のバイオテクノロジー企業であるVertex Pharmaceuticals社の経口錠剤です。製品名をJournavxといい、その成分suzetrigineは依存や鎮静などの有害事象と背中合わせのオピオイド受容体ではなく、痛み信号伝達に携わる末梢感覚神経のNaチャネルを標的とします。suzetrigineは数ある電位開口型Naチャネルの1つであるNaV1.8に限って阻害します。Naチャネルは扉のような役割を担い、神経細胞を伝う電気信号に応じて開閉します。その働きによるNaイオンの通過をとっかかりとする一連の神経反応によって脳へと痛み信号が伝わっていきます3)。suzetrigineの開発はNaV1.8の活性を高める変異一揃いの発見4)に端を発します。NaV1.8を開きっぱなしにするそれらの変異を有する人は、無傷にもかかわらずひどい神経痛を被っていました。ゆえに、NaV1.8を阻害することで痛みを減らせるだろうと想定され、NaV1.8を強力に阻害するsuzetrigineがいくつかの試みから頭ひとつ抜けて今回の承認に漕ぎ着けました。suzetrigineは昨年1月に初出の2つの第III相試験の結果5)を拠り所にして承認されました。その1つでは軟部組織の痛みを代表する腹部美容手術(腹部の過剰脂肪を除去する腹壁形成術)後の痛み、もう1つでは骨痛として代表的な外反母趾手術後の痛みへの同剤の効果が調べられ、2試験ともsuzetrigineの鎮痛効果がプラセボを上回りました。ただし、オピオイド含有薬(ヒドロコドンとアセトアミノフェンの組み合わせ)との鎮痛効果の比較でsuzetrigineは勝てませんでした。suzetrigineの安全性はより良好で、有害事象の発現率はプラセボ群より少なくて済みました5)。中等度~重度の急な疼痛の治療に使うことが許可されたsuzetrigineの1錠の値段は15.5ドルです。初回の用量は100mgで、その後1日に1錠を2回服用6)する患者の1日当たりの値段は31ドルとなります。慢性痛への効果はどうやら覚束ない次にsuzetrigineが目指すのはオピオイドに代わるより安全な鎮痛薬がより切実に待望される、いわば本丸の慢性痛治療の適応獲得であり、糖尿病性末梢神経障害患者を対象にした同剤の第III相試験が昨年の後半にすでに始まっています7)。一見順調そうだったその前途は、昨年の暮れに発表された第II相試験結果を受けて今や傍目には覚束なくなったように見えます。同試験には坐骨神経痛(LSR)患者が参加し、suzetrigine投与群102例の疼痛数値評価尺度(NPRS)の低下はプラセボ群100例と差がつきませんでした8)。Vertex社によると、プラセボ効果は試験を担った54施設ごとにまちまちでした。プラセボ効果がより低かったおよそ40%の施設のsuzetrigine投与患者47例の12週時点のNPRS低下は2点弱で、全体集団と遜色がありませんでした。ゆえにそれら40%の施設でのsuzetrigineの効果は、プラセボ群36例の1点弱のNPRS低下に比べて良好でした9)。Vertex社にどうやら迷いはなく、LSR相手のsuzetrigineの第III相試験を米国FDAなどの規制当局との相談(discussions with regulators)の後に始めます。第III相試験はより整ったプラセボ効果になるように設計すると同社は言っています8)。参考1)Vertex Announces FDA Approval of JOURNAVX (suzetrigine), a First-in-Class Treatment for Adults With Moderate-to-Severe Acute Pain / BusinessWire2)FDA Approves Novel Non-Opioid Treatment for Moderate to Severe Acute Pain / PRNewswire 3)Dolgin E. Nature. 2025 Jan 31. [Epub ahead of print]4)Faber CG, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2012;109:19444-9.5)Vertex Announces Positive Results From the VX-548 Phase 3 Program for the Treatment of Moderate-to-Severe Acute Pain / BusinessWire6)Journavx prescribing information7)Vertex Announces Positive Results From the VX-548 Phase 3 Program for the Treatment of Moderate-to-Severe Acute Pain / BusinessWire 8)Vertex Announces Results From Phase 2 Study of Suzetrigine for the Treatment of Painful Lumbosacral Radiculopathy / BusinessWire 9)SUZETRIGINE (VX-548) PHASE 2 RESULTS IN PAINFUL LUMBOSACRAL RADICULOPATHY / Vertex

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過体重/肥満の2型糖尿病、ダパグリフロジン併用で寛解率が大きく改善/BMJ

 過体重または肥満を伴う2型糖尿病患者において、カロリー制限療法単独と比較してSGLT2阻害薬ダパグリフロジンと定期的なカロリー制限の併用は、大幅に高い糖尿病寛解率を達成し、体重減少やさまざまな代謝性リスク因子(体脂肪率、インスリン抵抗性指数[HOMA-IR]、収縮期血圧、空腹時血糖値、HbA1c値など)も有意に改善することが、中国・復旦大学のYuejun Liu氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2025年1月22日号に掲載された。中国の無作為化プラセボ対照比較試験 研究グループは、2型糖尿病の寛解に及ぼすダパグリフロジン+カロリー制限療法の有効性の評価を目的に多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験を行い、2020年6月~2023年1月に中国の16の施設で患者を登録した(中国国家自然科学基金などの助成を受けた)。 年齢20~70歳の2型糖尿病(罹患期間6年未満)で、BMI値25以上、HbA1c値6.5~10%の患者328例を対象とした。これらの患者を、カロリー制限療法に加え、ダパグリフロジン(10mg/日)を投与する群(165例)、またはプラセボを投与する群(163例)に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、糖尿病の寛解(抗糖尿病薬の投与を2ヵ月以上受けておらず、HbA1c値<6.5%かつ空腹時血糖値<126mg/dL)とした。 全体の平均年齢は46.7歳、男性が218例(66%)で、平均BMI値は28.2、平均HbA1c値は7.3%であり、148例(45%)がベースラインでメトホルミンの投与を受けていた。介入期間中央値は、ダパグリフロジン群が9ヵ月(四分位範囲:4~12)、プラセボ群は12ヵ月(4~12)だった。HDLコレステロール、トリグリセライドも改善 12ヵ月の時点での糖尿病寛解率は、プラセボ群が28%(46例)であったのに対し、ダパグリフロジン群は44%(73例)と有意に良好であった(リスク比:1.56[95%信頼区間[CI]:1.17~2.09]、p=0.002)。 また、副次アウトカムであるベースラインから最終受診時までの体重の変化量(ダパグリフロジン群-5.0[SD 4.5]kg vs.プラセボ群-3.2[3.8]kg、推定群間差:-1.3kg[95%CI:-1.9~-0.7]、p<0.001)およびHOMA-IRの変化量(-1.8 vs.-0.6、-0.8[-1.1~-0.4]、p<0.001)も、プラセボ群に比べ、ダパグリフロジン群で優れた。 同様に、体脂肪率の変化量(-2.1[SD 2.8]% vs.-1.4[3.4]%、-0.5%[95%CI:-0.9~0]、p=0.05)、収縮期血圧の変化量(-4.0[12.3]mmHg vs.-3.6[13.1]mmHg、-1.9mmHg[-3.0~-0.7]、p=0.002)、空腹時血糖値の変化量(-23.4[25.0]mg/dL vs.-13.8[29.1]mg/dL、-9.2mg/dL[-11.8~-6.7]、p<0.001)、HbA1c値の変化量(-1.0[1.0]% vs.-0.8[0.9]%、-0.2%[-0.3~-0.1]、p=0.003)のほか、HDLコレステロール値の変化量(4.8[6.9]mg/dL vs.2.3[6.2]mg/dL、1.3mg/dL[0.4~2.2]、p=0.003)、トリグリセライド値の変化量(-17.3[-62.0~7.1]mg/dL vs.-4.4[-35.4~20.4]mg/dL、-16.4mg/dL[-31.3~-1.6]、p=0.03)もダパグリフロジン群で良好だった。軽度~中等度の有害事象の発現率は同程度 ダパグリフロジン群で重篤な有害事象が2例(1.2%、いずれも尿路感染症による入院)に発現した。試験期間中の死亡例はなく、軽度~中等度の有害事象の発現率は両群で同程度だった。 著者は、「これらの知見は、初期の2型糖尿病患者の寛解の達成において、強力な体重管理以外の新たな選択肢として、より実践的な戦略を提供するものである」としている。

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自閉スペクトラム症の易怒性に対するメトホルミン補助療法の有用性

 糖尿病治療薬は、自閉スペクトラム症(ASD)の症状緩和に有効であることが示唆されている。しかし、メトホルミンがASDに伴う易怒性に及ぼす影響についての臨床研究は、不十分である。イラン・テヘラン医科大学のZahra Bazrafshan氏らは、小児ASD患者の易怒性に対するリスペリドン+メトホルミン補助療法の有効性および安全性を評価するため、10週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2024年12月15日号の報告。 本研究は、2024年3〜5月にイラン・Roozbeh Hospitalの小児自閉症外来で実施した。対象患者は、リスペリドン+メトホルミン(500mg/日)群またはリスペリドン+プラセボ群にランダムに割り付けられた。主要アウトカムは、易怒性とした。aberrant behavior checklist-community scale(ABC-C)を用いて、ベースライン、5週目、10週目に評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・最終分析には、55例を含めた。・メトホルミン群は、プラセボ群と比較し、易怒性の有意な減少が認められた(p=0.008)。・ABC-Cの4つのサブスケールのうち、多動性/ノンコンプライアンススコアは、ベースラインから5週目までに有意な低下を示した(p=0.021)。・メトホルミン群は、プラセボ群と比較し、ベースラインから5週目までの不適切な発言スコアの有意な減少が認められた(p=0.045)。・無気力/社会的引きこもり、常同行動スコアについては、統計学的に有意な差は認められなかった。 著者らは「メトホルミン補助療法は、ASD患者の易怒性軽減に有効であり、この結果は以前の研究と一致していたが、実臨床で推奨するためには、さらなる研究が必要である」と結論付けている。

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イコデクが発売、世界初の週1回皮下投与のインスリン/ノボ

 ノボ ノルディスク ファーマは、週1回投与のインスリンアナログ製剤インスリン イコデク(商品名:アウィクリ、以下、イコデク)を1月30日に発売した。イコデクは、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を適応症として世界で初めてとなる週1回投与の新しいBasalインスリン製剤。半減期は約1週間で、長時間作用が持続する。皮下投与後、イコデクは可逆的にアルブミンと結合するが、緩徐にアルブミンから解離し、インスリン受容体と結合して作用することで、血糖降下作用が1週間にわたり持続する。イコデクは週1回でも1日1回の持効型溶解インスリンと比較して非劣性 Basalインスリン製剤は、生理的なインスリンの基礎分泌を補充する目的で糖尿病を有する患者の血糖管理に用いられ、通常1日1回もしくは2回の皮下注射が必要となる。イコデクは週1回皮下注射製剤のため、従来のインスリン製剤よりも投与回数を大幅に減らすことができ、利便性が高いだけでなく、患者の心理的な治療負担の軽減により生活の質や治療実施率の向上が期待される。 本剤の承認は、イコデクの第III相試験プログラムである「ONWARDS試験」の結果に基づいている。ONWARDS試験は、成人の1型または2型糖尿病の患者4,000例以上を対象とした6つのグローバル第III相臨床試験で構成され、そのうち4つの試験(ONWARDS1、2、4および6)に日本人400例以上が参加している。ONWARDS試験はいずれも、イコデクの有効性および安全性を実薬対照と比較する無作為割り付け、並行群間、多施設共同、国際共同試験。これらの試験を通じて、週1回投与のイコデクでは、1日1回投与の持効型溶解インスリンと比較し非劣性が検証され、良好な有効性が認められた。また、すべての試験において、イコデクの投与は安全かつ忍容性は良好であり、予期されない安全性の問題は認められなかった。 同社では「週1回の投与であれば、Basalインスリン製剤の注射回数は少なくとも1年間に365回から約52回に減り、心理的な治療の負担軽減や注射実施率の向上が期待できる。イコデクは、糖尿病治療における有用な新しいオプションになると考えている」と期待を寄せている。【製品概要】一般名:インスリン イコデク(遺伝子組換え)販売名:アウィクリ注フレックスタッチ 総量300単位効能または効果:インスリン療法が適応となる糖尿病用法および用量:通常、成人では1週間に1回皮下注射する。初期は通常1回30~140単位とし、患者の状態に応じて適宜増減する。薬価:アウィクリ注フレックスタッチ総量300単位:2081円/キット製造販売承認:2024年6月24日薬価収載日:2024年11月13日発売日:2025年1月30日製造販売元:ノボ ノルディスク ファーマ

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肥満症治療薬、減量効果が特に高いのはどれ?

 GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬などの肥満症治療薬のうち、肥満や過体重の人の減量に最も効果的なのはどれなのだろうか? マギル大学(カナダ)医学部教授のMark Eisenberg氏らにより「Annals of Internal Medicine」に1月7日掲載された新たな研究によると、その答えは、デュアルG(GIP〔グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド〕/GLP-1)受容体作動薬のチルゼパチド(商品名ゼップバウンド)、GLP-1受容体作動薬のセマグルチド(商品名ウゴービ)、および開発中のトリプルG(GLP1/GIP/グルカゴン)受容体作動薬のretatrutide(レタトルチド)であるようだ。これに対し、GLP-1受容体作動薬のリラグルチド(商品名サクセンダ)の減量効果は、これら3種類ほど高くないことも示された。 GLP-1受容体作動薬は、食物を摂取したときに小腸から分泌されるホルモンのGLP-1の作用を模倣した薬剤で、もともと糖尿病の治療薬として開発された。GLP-1は、胃の内容物の排出を遅らせることで食後の血糖値の急上昇を抑えるとともに、中枢神経に作用して満腹感を高める効果を持つ。これにより、食物の摂取量が減り、それが体重減少につながる。デュアルGやトリプルG受容体作動薬は、GLP-1受容体に加え、GIP受容体やグルカゴン受容体などをターゲットにすることで、血糖値上昇を抑制したり満腹感を促進したりする効果を高めようとするもの。 今回Eisenberg氏らは、総計1万5,491人(女性72%、平均BMI 30〜41、平均年齢34〜57歳)を対象にした26件のランダム化比較試験(RCT)のデータを用いて、糖尿病のない肥満者に対する肥満症治療薬の有効性と安全性を検討した。これらのRCTでは、3種類の市販薬(リラグルチド、セマグルチド、チルゼパチド)およびretatrutideなど9種類の承認前薬剤の計12種類の効果が検討されており、治療期間は16週間から104週間(中央値43週間)に及んだ。 その結果、プラセボ投与と比較して、72週間のチルゼパチド(週1回15mg)投与により最大17.8%、68週間のセマグルチド(週1回2.4mg)投与により最大13.9%、48週間のretatrutide(週1回12mg)投与により最大22.1%の体重減少が確認された。また、これらの効果に比べると控え目ではあるものの、26週間のリラグルチド(1日1回3.0mg)投与によっても最大5.8%の体重減少が認められた。安全性の点では、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などが一般的な副作用として報告されていたが、薬の服用を中止しなければならないほどひどい副作用はまれだった。 論文の上席著者であるEisenberg氏は、「われわれの調査で対象とした12種類の肥満症治療薬のうち、RCTにおいて最も大きな減量効果が報告されていたのは、retatrutide、チルゼパチド、セマグルチドであることが判明した」と結論付けている。 研究グループは、これらの肥満症治療薬の欠点の一つは、治療効果を維持するために継続的な服用が必要な点であると指摘し、「われわれが実施したシステマティックレビューでは、治療期間が長いRCTでは、追跡期間の短いRCTと同様の減量結果が示されている。この結果は、継続的な治療の必要性を裏付けている」と述べている。なお、retatrutideは、イーライリリー社により開発が進められている薬剤で、現在、臨床試験が進行中である。

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見直されるガバペンチンの転倒リスク、安全性に新知見

 ガバペンチンは、オピオイド系鎮痛薬の代替薬として慢性疼痛や神経痛の緩和に広く用いられているが、高齢者に投与した場合、転倒リスクを高めるという報告もある。このような背景から高齢者へのガバペンチンの処方には慎重になるべき、という意見もある。しかし、米ミシガン大学医学部内科のAlexander Chaitoff氏らの最新の研究で、この鎮痛薬が当初考えられていたよりも高齢者にとって安全である可能性が示唆された。 研究を主導したChaitoff氏は、「ガバペンチンは、軽度の転倒による医療機関への受診回数を減少させる傾向を示したが、重症度のより高い転倒関連事象(股関節骨折や入院など)リスクとの関連は確認されなかった」と述べている。同氏らの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に1月7日掲載された。 ガバペンチンの処方件数は2020年には5000万件近くに達したが、この薬が高齢者の転倒リスクを高める可能性を指摘した複数の研究の影響で、2022年には処方件数が20%減少した。しかし、研究グループは、適応となる疼痛疾患自体も転倒リスクを高めることから、ガバペンチンによる転倒リスクが誇張されている可能性があると考えた。このような背景から、研究グループは、ガバペンチンと、転倒リスクを高めるとの報告がない神経痛治療薬デュロキセチンの転倒リスクを比較検討することとした。 この研究では、2014年1月から2021年12月の間に糖尿病、帯状疱疹、線維筋痛症に関連する神経痛のためにガバペンチンまたはデュロキセチンを処方された65歳以上の高齢者5万7,086人(ガバペンチン5万2,152人、デュロキセチン4,934人)のデータを収集・分析した。主要評価項目は、薬剤の投与開始後6カ月以内の、あらゆる転倒による受診リスクとした。副次評価項目は重度の転倒関連イベント(転倒による股関節骨折、救急外来受診、または入院と定義)の発生リスクとした。 その結果、ガバペンチンを処方された患者では、デュロキセチンを処方された患者に比べて、あらゆる転倒のリスクが全体で48%(ハザード比0.52、95%信頼区間0.43~0.64)低いことが判明した。しかし、重度の転倒関連イベントの発生リスクに関しては、両群に違いは認められなかった。 研究グループは、「高齢者において、ガバペンチンが転倒リスクを高めないとは断言できない。しかし、ガバペンチンの投与開始から6カ月間における転倒リスクは、他の代替薬と比較して高いわけではなく、むしろ安全性の面ではより適している可能性がある」と結論付けた。 また、研究グループは、今回の研究の限界点として、対象者にフレイルの高齢者が少なかったため、転倒件数が過小評価された可能性があることを挙げている。

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最初の3歩のビデオ撮影で働き盛りの転倒リスクを機械学習で推定/京都医療センターほか

 70歳までの就業が企業の努力義務となり、生涯現役時代が到来した。その一方で、職場での転倒による労働災害は最も多い労働災害であり、厚生労働省は2015年から「STOP!転倒災害プロジェクト」を展開している。しかし、休業4日以上の死傷者数は、令和3(2021)年度で転倒が最も多く(3.4万人)、平成29(2017)年度と比べ18.9%も増加している(労働者死傷病報告)。保健・医療・福祉分野においてさまざまな転倒リスクアセスメントトツール(AIを含めた)が開発されているが、元となるデータは診療録や看護記録であるため精度に限界があることが指摘されていた。 そこで、坂根 直樹氏(京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長)らのVBGA研究グループ(山内 賢氏[慶應義塾大学体育研究所]、パナソニック株式会社)は、フィールド実験に参加した40~69歳の男女190例(平均年齢=54.5±7.7歳、男性48.9%)をトレーニングデータとして、歩き方を撮影し、最初の3歩の3次元動画から歩行特徴量を抽出した。そして、機械学習を用いて転倒リスクを評価するモデルを作成した。 ラボ実験に参加した男女28例(平均年齢=52.3±6.0歳、男性53.6%)をバリデーションデータとして、転倒リスクを予測することができるかを検証した。 研究結果はJournal of Occupational Health誌オンライン版2025年1月10日号に掲載された。 主な結果は以下のとおり。・最初の3歩につき77の歩行特徴が抽出された。・男性では、3つの歩行特徴で転倒リスクを予測することができ、その曲線下面積(AUC)は0.909(95%信頼区間[CI]:0.879~0.939、Excellent[優れている])と判定された。・女性では、5つの歩行特徴から転倒リスクを予測することができ、そのAUCは0.670(95% CI:0.621~0.719、sufficient[十分])と判定された。 これらの結果を受けて坂根氏は、「従来の転倒リスクを推定する研究は高齢者を対象とした研究が多かった。今回は働き盛りの転倒リスクを、最初の3歩のビデオ画像から判定しており、応用範囲は広く、労働災害防止に役立つ可能性がある」と述べている。

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加齢黄斑変性は関節リウマチの発症リスクを高める

 加齢黄斑変性(AMD)患者は関節リウマチ(RA)の発症リスクが高いとする、成均館大学校(韓国)のJe Moon Yoon氏らの研究結果が「Scientific Reports」に9月9日掲載された。 AMDは、加齢、遺伝、喫煙、食生活などのほかに、慢性炎症がリスク因子の一つと考えられている。また近年の研究では、AMDとパーキンソン病やアルツハイマー病リスクとの間に関連があり、慢性炎症や酸化ストレスがその関連の潜在的なメカニズムと想定されている。一方、RAは滑膜の炎症を特徴とする全身性疾患であることから、RAもAMDのリスクと関連している可能性がある。以上を背景としてYoon氏らは、韓国の国民健康保険データを用いて、AMDとRAリスクとの関連を検討した。 2009年に健診を受け、RAと診断されていない50歳超の成人353万7,293人を2019年まで追跡し、多変量補正Cox回帰モデルを用いた解析を行った。RAの発症は、保険請求の診断コードと薬剤の処方で定義した。ベースライン時において、4万1,412人(1.17%)がAMDに罹患しており、このうちの3,014人(7.28%)は視覚障害を有していた。 平均9.9年の追跡期間中に4万3,772人(1.24%)がRAを発症していた。AMD群では4万1,412人中567人がRAを発症し、1,000人年当たりの罹患率は1.43であり、対照群は349万5,881人中4万3,205人がRAを発症し、罹患率は1.25であった。交絡因子(年齢、性別、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、糖尿病、高血圧、脂質異常症、チャールソン併存疾患指数、収入など)を調整後、AMD群は対照群に比しRA発症リスクが有意に高いことが明らかになった(調整ハザード比〔aHR〕1.11〔95%信頼区間1.02~1.21〕)。 次に、AMD患者をベースライン時の視覚障害の有無で二分して検討。視覚障害を有していなかった群は、3万8,398人中535人がRAを発症し罹患率は1.46であり、前記の交絡因子を調整後に有意なリスク上昇が認められた(aHR1.13〔同1.03~1.21〕)。一方、ベースライン時に視覚障害を有していた群は、3,014人中32人がRAを発症し罹患率は1.14であって、aHR0.90(0.64~1.27)と、有意なリスク上昇は観察されなかった。 なお、年齢や性別、併存疾患の有無で層別化したサブグループ解析では、AMDとRA発症リスクとの関連に有意な交互作用のある因子は特定されなかった。 著者らは、「AMDはRA発症リスクの高さと関連していた。この関連のメカニズムの理解のため、さらなる研究が必要とされる」と総括している。また、視覚障害を有するAMD患者では有意なリスク上昇が認められなかった点について、「視覚障害がある場合にRAが過小診断されている可能性も考えられる」との考察を付け加えている。

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ストロングスタチンの対象患者【日常診療アップグレード】第22回

ストロングスタチンの対象患者問題52歳男性。高血圧のため通院中である。症状はない。他に特記すべき既往歴や家族歴はない。内服薬はロサルタンを服用している。喫煙なし。バイタルサインは正常で血圧は130/78mmHgである。それ以外の身体所見に異常を認めない。最近の検診結果はHDLコレステロール87mg/dL、LDLコレステロール122mg/dLであった。耐糖能の異常はない。男性と高血圧、2つのリスク因子があるので、ストロングスタチンでの治療を始めることとした。

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第251回 細菌との旧交を温めて肥満を予防

細菌との旧交を温めて肥満を予防哺乳類の進化に寄り添ってきた細菌をマウスに週1回注射することで、油や砂糖が多い現代的な食事による体重増加を防ぐことができました1,2)。哺乳類の進化に絶えず付き添ってきた非病原性マイコバクテリア、蠕虫、乳酸菌などの無害な微小生物、いわば「旧友(Old Friends)3)」との接触の減少が、脂肪や炭水化物が多くて繊維質が乏しい西洋式の食事(Western-style diet)が身近となった近代社会の炎症疾患の増加の原因かもしれないと考えられています。その説によると、繊維質を代謝して抗炎症や免疫調整作用を担う共生微生物の減少を西洋式の食事が招いています。西洋式の食事による腸微生物変動は肥満や内臓脂肪増加にしばしば先立って認められ、はては不適切な炎症や免疫代謝疾患を生じやすくなることと関連します。そういうことであれば、西洋式の食事の生理や行動への弊害を「旧友」微生物の助けを得ることで軽減できるかもしれません。牛乳や土壌に含まれるMycobacterium vaccae(M. vaccae)という名称の「旧友」細菌をマウスに接種することで、ストレスによる炎症や不調を防ぎ得ることが先立つ研究で示されています4)。その結果やその後の成果を受け、コロラド大学ボルダー校のLuke Desmond氏らは西洋式の食事が招きうる脳の炎症やその結果としての不安症のいくらかがM. vaccaeで防げるかもしれないと考えて研究を始めました。その結果は、体重増加の抑制という想定外の効果の発見をもたらしました。Desmond氏らは、人間でいえば思春期ほどの雄マウスを2群に分け、一方にはいつもの定番の餌を10週間与え、もう一方にはビッグマックとフライドポテトに相当する高脂肪で高炭水化物(半分は砂糖)の餌を与えました。また、それぞれの群の半数に熱で不活化したM. vaccaeが週1回注射されました。M. vaccae非投与で高脂肪・高炭水化物食のマウスの体重は定番の餌のマウスに比べて予想どおりより増えました。しかしM. vaccae投与の高脂肪・高炭水化物食マウスの体重増加は定番の餌のマウスと変わりなく、どうやらM. vaccaeは高脂肪・高炭水化物食による体重を防ぐ作用があると示唆されました。M. vaccaeは高脂肪・高炭水化物食に伴う内蔵脂肪蓄積も防いでいます。また、先立つ研究と一致してM. vaccaeは不安様行動を抑制する効果も示しました。今後の課題として、M. vaccaeの経口投与でも同じ効果があるかどうかを調べたいと研究チームは考えています2)。また、すでに太ってしまっていてもM. vaccaeが有効かどうかも検討したいと思っています。チームは研究成果の商業化も目指しています。体重増加を防いで健康を増進する微生物成分に取り組むKiogaという新会社が同大学の商業化部門(Venture Partners at CU Boulder)の支援を受けて設立されています。参考1)Desmond LW, et al. Brain Behav Immun. 2024;125:249-267.2)A vaccine against weight gain? It’s on the horizon / University of Colorado Boulder3)Rook GAW, et al. Springer Semin Immunopathol. 2004;25:237-55.4)Amoroso K, et al. Int J Mol Sci. 2021;22:12938.

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CVDを伴う肥満者、死亡リスクが高い人は?

 現在、体重変化と心血管疾患(CVD)リスクの関連性についての研究が進んでいるが、肥満とCVDとの関連を報告した報告は乏しい。そこで今回、英国・アングリア・ラスキン大学のJufen Zhang氏らは、CVDを併存する肥満者の大幅な体重増加がCVDによる死亡および全死亡リスクを高めることを明らかにした。 今回、UKバイオバンクのデータベースを用いた大規模な人口ベースの前向きコホート研究が行われ、ベースラインと追跡調査時の体重測定間の絶対間隔変化スコアを計算した。主要評価項目は体重変化とCVD死亡、脳血管疾患、虚血性心疾患、全死亡の関連で、Cox回帰分析より推定ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・研究対象者8,297例のうち、43.1%は女性であった。・平均年齢±SDは56.6±7.2歳だった。・追跡期間の中央値は13.9年(IQR:13.1~14.6)年だった。・参加者の52.7%は安定した体重変化(体重減少または増加が5kg未満)、14.2%は大幅な体重減少(10kg以上)、5.1%は大幅な体重増加(10kg以上)がみられた。・体重が安定していた群と比較して、大幅な体重増加がみられた群のみがCVD死亡および全死亡のリスク増加と関連し、完全調整HRはCVD死亡で3.05(95%CI:1.40~6.67)、全死亡で1.93(同:1.15~3.26)であった。 研究者らは、体重減少または体重増加と死亡率の関連性の正確なメカニズムを理解するには、さらなる研究が必要としている。

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「別れた後が地獄」職場内恋愛経験者は約半数!/医師1,000人アンケート

 医師は、結婚したい職業ランキングで上位の常連となっている。では、医師の結婚・恋愛事情は、どのようになっているのだろうか。CareNet.comでは、20~40代の医師1,003人を対象に、結婚・恋愛事情に関するアンケートを実施した(2024年12月25~31日実施)。本アンケートでは、パートナーの有無や出会いのきっかけ・取り組み、パートナーの方の職業、職場内恋愛の経験について聞いた。また、職場内恋愛のエピソードも募集した。特定のパートナーがいる割合は約85% 「配偶者を含む特定のパートナー(結婚/恋愛)の有無」を聞いたところ、「いる」と回答した割合は全体で84.7%であり、男性87.5%、女性73.6%であった。年代別にみると、20代68.3%、30代83.9%、40代90.1%であり、年代が上がるほど「いる」と回答した割合が高い傾向にあった。出会いのきっかけは職場や学校が多い 次に「パートナーとの出会いのきっかけ」を聞いた。その結果「職場の同僚」が最も多く、34.7%であった。次点で「学校(大学・高校)」が多く20.9%であった。「マッチングアプリ・婚活サイト」の割合は6.9%であり、20代では20.2%にのぼった。少数ながら「患者」という回答も得られた(0.2%)。 「パートナーの職業(交際当初)」については、約70%を医療者が占めた。内訳は「看護師」が27.3%、「医師」が26.2%、「薬剤師」が4.1%、「その他の医療者」が11.9%であった。男性では「看護師」が多く(33.1%)、女性では「医師」が多かった(52.7%)。 特定のパートナーはいないと回答した方の「パートナー探しの取り組み」について聞いたところ、約半数(46.5%)が「パートナーは求めていない」と回答した。パートナー探しの取り組みとして多かったものは「友人・知人に紹介を求める」「合コン・イベント・飲み会へ参加する」「マッチングアプリ・婚活サイトを利用する」であった。職場内恋愛経験者は約半数 また、「職場内恋愛の経験」についても聞いた。その結果、「ある」と回答した割合は47.8%にのぼった。男性50.1%、女性38.3%であり、男性のほうが職場内恋愛経験者が多い傾向にあった。年代別にみると、20代29.3%、30代45.0%、40代55.6%であり、年代が上がるほど職場内恋愛経験者が多い傾向にあった。 「職場内恋愛のエピソード(自身の経験以外でも可)」を募集したところ、「職業への理解があるし当直の大変さなども共有できる」といったポジティブなコメントも得られたが、「別れた後が地獄」などの職場内恋愛の難しさ・気まずさに関するコメントも得られた。そのほか、「看護師長に出禁を食らっていた」「医師がモテるというのは幻想」など、さまざまなコメントが寄せられた。【ポジティブな意見・エピソード】・仕事内容(忙しいこと)を理解してくれて助かる(40代男性、放射線科)・職業への理解があるし当直の大変さなども共有できる(20代女性、臨床研修医)・看護師である妻と同じ寮に住んでおり、インフルエンザに罹患したときにいろいろと世話をしてくれて恋に落ちた(30代男性、腫瘍科)【バレる/バレない】・秘密にしてたのに、コロナで濃厚接触者になりバレてしまった(30代男性、精神科)・研修医の頃、同期の研修医がこっそりと病棟看護師さんと付き合っていたが、周りには全員知れ渡っていた。院内でのゴシップは隠せないことを研修医のころに学んだ(30代男性、泌尿器科)・結婚するまでばれなかった(30代男性、血液内科)・指導が厳しいことで有名な先生が特定の研修医にのみ優しい、当直によく一緒に入っているなど噂があり、「あの先生に限って」とみんな笑っていたが、臨床研修終了後に入籍していて驚いた(40代女性、内科)【職場内恋愛の難しさ・気まずさ】・お互いのシフトを完全に把握しているため、閉塞感・圧迫感がすごかった。不安になることも多々あった(20代男性、腎臓内科)・部内恋愛をしたことがあるが、別れた後が地獄だったので二度としないと誓った(20代男性、糖尿病・代謝・内分泌科)・医局内で付き合ってる人が、ケンカや別れた時に正直、周りの人は空気が悪く、迷惑だと思う(40代女性、整形外科)・自分の周囲だと離婚率が高いので、その後が地獄。大抵は女性側が離れていくが、男性側も居心地は当然悪くなる(40代女性、内科)・同期の職員が付き合っていたが、別れた後の気まずさで片方は退職してしまった(30代男性、血液内科)【医師と看護師の関係】・看護師さんを一生懸命口説き落とした人がいる(30代男性、血液内科)・看護師さんから積極的に誘われる(30代男性、精神科)・看護師と医師で付き合っている人は多かった(30代男性、糖尿病・代謝・内分泌科)【不倫】・不倫バレ、職場追放の話を複数聞いて、自分では絶対しないと心に誓った(40代男性、総合診療科)・不倫している医師と看護師が忘年会で喧嘩を始め、なかなかの修羅場であった(40代男性、放射線科)・結婚しているにもかかわらず、いろんな若い女医さんに手を出している医師がいた。最終的には奥さんにばれて慰謝料を請求されたうえで離婚していた(30代女性、呼吸器内科)【交際や出会いのきっかけ】・行きつけの居酒屋が一緒で仲良くなり結婚した(30代男性、形成外科)・当直と夜勤が被ったのがきっかけ(40代男性、小児科)・院長の紹介(40代男性、耳鼻咽喉科)・研修医の同期同士で結婚した(40代男性、麻酔科)・受付のお姉さんに手を出してそのまま結婚した人がいた(30代女性、放射線科)・病院見学に来た学生と研修医が交際し、結婚(30代男性、放射線科)・医師同士での結婚は学生時代から付き合っていたパターンが多い(30代女性、精神科)・真面目に働いていると職場以外で出会う機会がない(40代男性、小児科)【その他のエピソード】・今まで朝早く来ていた人が来なくなって、気が付いたら看護師さんと2人でゆっくり出てくるようになって、当直も同じ日に合わせていた。その後、別の病院に同時に異動したがすぐに別れた(30代男性、呼吸器外科)・自分と別れた恋人が、1年後に後輩から届いた年賀状で結婚していて、驚いたと同時に複雑な感情となった(40代男性、精神科)・後輩女性医師は出入りしている担当MRと結婚し、夫は主夫となり、妻は専門医を取った(40代女性、外科)・同級生に各フロアに友達を作っていた猛者がいたが、看護師長に出禁を食らっていた(40代男性、呼吸器内科)・何もなさすぎて残念ながら書くことがない。巷で言われるような医師がモテるというのは幻想(20代男性、放射線科)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。https://www.carenet.com/enquete/drsvoice/cg005085_index.html

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敗血症、thymosinα1は死亡率を改善するか/BMJ

 敗血症の成人患者の治療において、プラセボと比較して免疫調整薬thymosinα1は、28日以内の全死因死亡率を低下させず、90日全死因死亡率や集中治療室(ICU)内死亡率も改善しないが、60歳以上や糖尿病を有する患者では有益な効果をもたらす可能性があり、重篤な有害事象の発生率には両群間に差を認めないことが、中国・中山大学のJianfeng Wu氏らTESTS study collaborator groupが実施した「TESTS試験」で示された。研究の詳細は、BMJ誌2025年1月15日号で報告された。中国の無作為化プラセボ対照第III相試験 TESTS試験は、thymosinα1は敗血症患者の死亡率を低減するかの検証を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2016年9月~2020年12月に中国の22施設で患者を登録した(Sun Yat-Sen University Clinical Research 5010 Programなどの助成を受けた)。 年齢18~85歳、Sepsis-3基準で敗血症と診断された患者1,106例を対象とし、thymosinα1の投与を受ける群に552例、プラセボ群に554例を無作為に割り付け、それぞれ12時間ごとに7日間皮下注射した。 主要アウトカムは、無作為化から28日の時点における全死因死亡とし、修正ITT集団(試験薬を少なくとも1回投与された患者)について解析した。副次アウトカムもすべて有意差はない 試験薬の投与を受けなかった17例を除く1,089例(年齢中央値65歳[四分位範囲[IQR]:52~73]、男性750例[68.9%])を修正ITT集団とした(thymosinα1群542例、プラセボ群547例)。スクリーニングの時点で1,046例(96.1%)が抗菌薬の投与を受けており、APACHE-IIスコア中央値は14点(IQR:10~19)、SOFAスコア中央値は7点(5~10)だった。 28日全死因死亡は、thymosinα1群で127例(23.4%)、プラセボ群で132例(24.1%)に認め、両群間に有意な差はなかった(ハザード比[HR]:0.99、95%信頼区間[CI]:0.77~1.27、p=0.93[log-rank検定])。また、90日全死因死亡率(thymosinα1群31.0% vs.プラセボ群32.4%、HR:0.94、95%CI:0.76~1.16、p=0.54)にも差はみられなかった。 ICU内死亡率(thymosinα1群8.5% vs.プラセボ群9.9%、p=0.40)、SOFAスコア変化率中央値(38% vs.40%、p=0.56)、28日間における新規感染症発症率(25.3% vs.26.1%、p=0.74)・機械換気を受けない日数中央値(19日vs.21日、p=0.15)・昇圧薬治療を受けない日数中央値(23日vs.23日、p=0.84)・持続的腎代替療法を受けない日数中央値(17日vs.19日、p=0.88)などの副次アウトカムもすべて両群間に有意差を認めなかった。予想外の重篤な有害事象はない 事前に規定されたサブグループ解析では、主要アウトカムの発生率が年齢60歳未満ではthymosinα1群で高かった(HR:1.67、95%CI:1.04~2.67)が、60歳以上ではthymosinα1群で低く(0.81、0.61~1.09)、有意な交互作用を認めた(交互作用のp=0.01)。 また、糖尿病を有する集団ではthymosinα1群で主要アウトカムの発生率が低かった(HR:0.58、95%CI:0.35~0.99)が、糖尿病がない集団ではthymosinα1群で高く(1.16、0.87~1.53)、交互作用は有意であった(交互作用のp=0.04)。さらに、冠動脈性心疾患(p=0.06)および高血圧(p=0.06)を有する集団でも、thymosinα1群で主要アウトカムの発生率が低い傾向がみられた。 90日の追跡期間中に、少なくとも1つの有害事象が、thymosinα1群で360例(66.4%)、プラセボ群で370例(67.6%)に認め(p=0.70)、少なくとも1つの重篤な有害事象は、それぞれ145例(26.8%)および160例(29.3%)に発現した(p=0.38)。全体で最も頻度の高い有害事象は貧血(10.7%)で、次いで発熱(9.6%)、腹部膨満(5.4%)、凝固障害(4.8%)の順であった。試験期間中に、thymosinα1に起因する予想外の重篤な有害事象はみられなかった。 著者は、「thymosinα1が成人敗血症患者の死亡率を減少させるという明確なエビデンスは得られなかったが、本薬の良好な安全性プロファイルが確認された」「thymosinα1は60歳以上の患者や糖尿病などの慢性疾患を有する患者にも有益な効果をもたらす可能性があり、今後、これらの患者に焦点を当てた研究が進むと考えられる」としている。

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医師による身体活動量の評価は慢性疾患の予防につながる

 医師が患者の身体活動量について尋ねることは、慢性疾患の予防に役立つ可能性があるようだ。米アイオワ大学ヘルスケア医療センターの患者を対象にした調査結果から、中強度から高強度の身体活動を週に150分以上というガイドラインの推奨を満たしていた人では、高血圧や心疾患、糖尿病など19種類の慢性疾患の発症リスクが有意に低いことが示された。論文の上席著者である、アイオワ大学健康・人間生理学分野のLucas Carr氏らによるこの研究結果は、「Preventing Chronic Disease」1月号に掲載された。 この研究でCarr氏らは、2017年11月1日から2022年12月1日の間にアイオワ大学ヘルスケア医療センターで健康診断を受けた患者を対象に、Exercise Vital Sign(EVS)質問票を用いた身体活動量のスクリーニングを受けた患者と受けていない患者の健康状態を比較した。また、スクリーニングで測定された身体活動量の違いに基づく健康状態の比較も行った。 EVS質問票は、「中強度から高強度の身体活動(早歩きなど)を週に平均何日程度行っていますか」と「中強度から高強度の身体活動を平均何分間行っていますか」の2つの質問で構成されている。Carr氏は、「この2つの質問には、通常は30秒もあれば回答できるので、患者の診察の妨げになることはない。それにもかかわらず、患者の全体的な健康状態について多くの情報を得ることができる」と述べている。 Carr氏らはまず、EVSの有効なデータがそろった患者7,261人と、スクリーニングを受けていない患者3万3,445人の比較を行った。その結果、身体活動量のスクリーニングを受けた患者は、受けていない患者に比べて、肥満(15%対18%)、うつ病(17%対19%)、高血圧(22%対28%)、合併症のない糖尿病(5.9%対8.5%)、合併症を伴う糖尿病(4.4%対7.3%)、貧血(4.6%対6.1%)、甲状腺機能低下症(9.3%対10.0%)、うっ血性心不全(1.1%対1.9%)、および中等度の腎不全(1.8%対2.5%)の発症率が有意に低いことが明らかになった。 次に、身体活動量のスクリーニングを受けた7,261人の患者を身体活動量に基づき、十分な身体活動量(4,382人、60%)、不十分な身体活動量(2,607人、36%)、身体活動を全く行わない(272人、4%)の3群に分けて健康状態を比較した。その結果、十分な身体活動量の群は、不十分な身体活動量の群や身体活動を全く行わない群に比べて、肥満、うつ病、合併症のない/合併症を伴う高血圧・糖尿病、弁膜症、うっ血性心不全など、身体活動不足に関連する19種類の併存疾患のリスクが低いことが示された。 こうした結果に基づき研究グループは、医師に対し、患者に身体活動量について質問し、活動量を増やす必要がある患者には活動量を増やすように促すことを推奨している。Carr氏は、「現在の医療環境では、患者の身体活動量を増やすために医師が支援を行っても、それに対する報酬を得ることは難しい。身体活動量の不足を報告している患者に対しては、身体活動の処方や地域の健康専門家などの支援サービスと簡単につながるための選択肢が必要だ」と述べている。 Carr氏は、「この研究は、たとえ短時間であっても、患者と身体活動習慣について話すことの大切さを強調している」との見方を示す。なお、2024年12月に「Journal of Physical Activity and Health」に発表した関連研究でCarr氏らは、医師が患者への身体活動のカウンセリングを行った場合、保険会社が医師に95%近くの確率で払い戻しを行っていることを明らかにしている。同氏は、「われわれの研究結果は、推奨されている身体活動に関する請求コードを医療従事者が申請すると、高確率で払い戻しが行われていることを示唆している。この結果は、身体活動量の評価とカウンセリングサービスを提供する取り組みの推進を支持するものだ」と結論付けている。

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