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Vol. 3 No. 4 高尿酸血症のコントロールと治療薬

土橋 卓也 氏製鉄記念八幡病院はじめに高尿酸血症は、痛風関節炎や痛風腎など尿酸塩沈着症としての病態とは別に高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム(MetS)、慢性腎臓病(CKD)などの生活習慣病と密接に関連することが明らかとなってきた。さらに最近の知見より、高尿酸血症が高血圧や糖尿病発症のリスクとなること、尿酸低下療法によって心血管イベントが抑制されることが報告されるようになった。本稿では、心血管疾患リスクとしての尿酸管理の意義と尿酸降下薬を用いた治療方針について概説する。1. 生活習慣病としての高尿酸血症の実態日本人における高尿酸血症の頻度に関して、尿酸値>7mg/dLで定義される高尿酸血症の頻度は、成人男性で21.5%、女性では50歳未満で1.3%、50歳以降で3.7%と報告されている1)。また、高尿酸血症は高血圧者に高頻度に合併することが知られている。われわれが調査した降圧薬服用者667名(平均年齢66.4歳)における高尿酸血症(尿酸値>7mg/dLまたは尿酸低下薬服用者)の頻度は男性で40.6%、女性で8.6%と男性で高頻度に認められ、特に使用降圧薬が3剤以上の者では37.3%と高頻度であった2)。この要因として、3剤以上の降圧薬を必要とする者は肥満やMetS、CKDなど高尿酸血症を合併する病態が多いこと、尿酸値を上昇させる利尿薬の使用頻度が高いことが挙げられる。すなわち、高尿酸血症は他の危険因子とともに心血管疾患リスクが重積した病態を形成することが多いことから、心血管疾患予防のためのtotal risk managementの一環として管理すべき疾患といえる。2. 高尿酸血症の治療(1) 治療方針日本痛風・核酸代謝学会による高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインが提唱する高尿酸血症の治療方針では、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えている場合、肥満の是正、飲酒制限、プリン体制限などの食事療法、運動など生活習慣修正を指導することが記載されている。痛風関節炎や痛風結節を認めず、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、MetS、CKDなどを合併する例においては、尿酸値が8mg/dL以上に上昇した場合、尿酸低下療法を考慮する。(2) 病型分類に基づく薬剤選択高尿酸血症は、その機序から産生過剰型と排泄低下型に病型分類される(本誌p.36図を参照)に示すように、病型分類を行うためには、尿酸産生量(尿中尿酸排泄量)と尿酸クリアランスを評価する必要がある3)。われわれが、高尿酸血症合併高血圧患者を対象として、24時間家庭蓄尿を用いて病型分類を行ったところ、MetS合併例を含め、約9割が排泄低下型であった4)。日常診療において24時間蓄尿や外来60分法による評価を行うのは困難である。われわれは、日常診療で使用可能な病型分類の指標として随時尿中尿酸/クレアチニン比(UA/Cr)を用いており、随時尿中UA/Crが0.5未満を示す場合、排泄低下型と判断してよいと考えている5)。(3) 尿酸降下薬の選択尿酸生成抑制薬のアロプリノールは尿酸産生過剰型に適した薬剤であり、尿路結石の既往など尿酸排泄促進薬が使用できない症例においても使用される。ただ、腎機能の低下に応じて使用量を減じる必要があり、クレアチニンクリアランス(Ccr)50mL/分以下では100mg/日、30mL/分以下では50mg/日とすべきである。最近発売されたフェブキソスタットやトピロキソスタットは、腎機能低下例においても用量調節が必要なく、使用しやすい薬剤といえる。前述のように高血圧合併高尿酸血症患者の病型はほとんど排泄低下型であることから、ベンズブロマロンなどURAT1阻害薬がより有用であることが多い。実際、アロプリノールを投与中の高血圧患者で随時尿中UA/Crが0.5未満を示し、排泄低下が疑われた15症例において薬剤を排泄促進薬のベンズブロマロンに切り替えたわれわれの検討では、随時尿中UA/Crは0.31から0.51へと有意に上昇し、血清尿酸値も7.3mg/dLから4.7mg/dLへと有意に低下した6)。ベンズブロマロン服用者(平均用量39mg/日)はアロプリノール服用者(平均用量106mg/日)に比し、血清尿酸値が低く(5.6±1.1 vs. 6.6±0.8mg/dL、p<0.01)ガイドラインが提唱する管理目標値≦6mg/dLの達成頻度も61.7%とアロプリノール服用者(18.2%)より高かった2)(本誌p.38図を参照)。これらの結果は、高血圧合併高尿酸血症の治療において尿酸排泄促進薬であるベンズブロマロンがより有用であることを示唆している。ただベンズブロマロンは尿酸排泄量が増加し、尿路結石のリスクが高くなるため、尿のアルカリ化が必要であること、腎機能低下例では作用が減弱するため、アロプリノールを使用するか、両者の少量併用を検討する必要があることに留意する。(4) 尿酸コントロールの目標高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは、尿酸降下薬による治療の目標値として血清尿酸値6.0mg/dL以下に維持することが望ましいとしている(本誌p.35図を参照)。確かに痛風患者の再発予防の観点からは6.0mg/dL以下にすることの根拠が示されているが7)、心血管疾患リスクとしての管理目標は明確でない。本態性高血圧患者を対象とした治療介入試験であるLIFE試験において、血清尿酸値は全体の平均5.6±1.3mg/dLからアテノロール群で0.8±1.2mg/dL、ロサルタン群で0.3±1.2mg/dL上昇しているが、6.0mg/dL前後であっても血清尿酸値上昇により心血管病発症リスクが増加することが示されており8)、高血圧患者における積極的な尿酸管理の重要性が示唆される。心臓手術を受けた高尿酸血症患者(血清尿酸値≧8mg/dL)141例を対象として、フェブキソスタット群とアロプリノール群に無作為に割り付け、血清尿酸値6.0mg/dL以下を目標として治療を行ったNU-FLASH試験における投与6か月後の血清尿酸値6.0mg/dL以下達成率は、フェブキソスタット群で95.8%と、アロプリノール群の69.6%に比し有意に高率であった9)。さらに、フェブキソスタット群では、投与1か月後からeGFRの有意な増加を認めている。このことは、血清尿酸値6.0mg/dL以下を目指した治療が腎機能保持の観点からも有用であることを示唆している。一方、尿酸は強力な抗酸化作用を有していることから、低値であることも心血管疾患リスクとなる報告が散見されており10)、“the lower, the better”とはいえない可能性がある。現時点では血清尿酸値4~6mg/dLが最もリスクの低い値と推測される。女性は血清尿酸値が男性に比し低値であるが、心血管疾患リスクとしての関与は男性より強いことが報告されていることから11, 12)、女性においてはより厳格なコントロールが望ましい可能性がある。おわりに高尿酸血症の心血管疾患リスクとしての意義を認識し、他のリスク因子とともに管理することが重要である。今後、心血管疾患リスクとしての高尿酸血症の治療開始基準および管理目標について検討する臨床試験が望まれる。文献1)冨田眞佐子ほか. 高尿酸血症は増加しているか?性差を中心に. 痛風と核酸代謝 2006; 30: 1-5.2)榊美奈子ほか. 降圧薬服用者における尿酸管理の現状. Gout and Nucleic Acid Metabolism 2013; 37:103-109.3)日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版, メディカルレビュー社,東京, 2010.4)宮田恵里ほか. 高血圧患者における高尿酸血症の実態と尿酸動態についての検討. 血圧 2008; 15: 890-891.5)大田祐子ほか. 高尿酸血症合併高血圧患者における高尿酸血症の慣習的病型分類の有用性について. 痛風と核酸代謝 2012; 36: 9-13.6)大田祐子ほか. 高尿酸血症合併高血圧患者におけるアロプリノールからベンズブロマロンへの変更の有用性. 血圧2008; 15: 910-912.7)Shoji A et al. A retrospective study of the relationship between serum urate level and recurrent attacks of gouty arthritis; Evidence for reduction of recurrent gouty arthritis with antihyperuricemic therapy. Arthritis Rheum 2004;51: 321-325.8)Hoieggen A et al. LIFE Study Group: The impact of serum uric acid on cardiovascular outcomes in the LIFE study. Kidney Int 2004; 65: 1041-1049.9)Sezai A et al. Comparison of febuxostat and allopurinol for hyperuricemia in cardiac surgery patients (NU-FLASH Trial). Circ J 2013; 77: 2043-2049.10)Verdecchia P et al. Relation between serum uric acid and risk of cardiovascular disease in essential hypertension ; PIUMA study. Hypertension 2000; 36: 1072-1078.11)Iseki K et al. Significance of hyperuricemia as a risk factor for developing ESRD in a screened cohort. Am J Kidney Dis 2004; 44: 642-650.12)Holme I et al. Uric acid and risk of myocardial infarction, stroke and congestive heart failure in 417,734 men and women in the Apolipoprotein MOrtality RISk study (AMORIS). J Intern Med 2009; 266: 558-570.

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ピオグリタゾンのがんリスクを検討~20万人のコホート試験/JAMA

 ピオグリタゾン(商品名:アクトスほか)の使用は、膀胱がんリスク増大と有意な関連は認められなかったが、がんリスクを除外することはできないことを、米国・ペンシルベニア大学のJames D. Lewis氏らが、約20万人について行ったコホート試験の結果、報告した。前立腺がんおよび膵臓がんリスク増大との関連が示され、著者は「さらなる検討を行い、それらの関連性に因果関係があるのか、偶然によるものか、残余交絡や逆相関についても調べる必要がある」とまとめている。JAMA誌2015年7月21日号掲載の報告。膀胱がん、その他10種類のがん発症リスクとの関連を追跡 研究グループは、米国のカイザー・パーマネンテ北カリフォルニアのデータベースから、1997~2002年時点で40歳以上の糖尿病患者19万3,099例(膀胱がんコホート)について、2012年12月まで追跡し、ピオグリタゾン使用と膀胱がんリスクについて分析した。 さらに、膀胱がんほか、前立腺がん、女性の乳がんや、肺(気管支含む)、子宮体、結腸、非ホジキンリンパ腫、膵臓、腎臓/腎盂、直腸、メラノーマの10種類のがんリスクとの関連について、40歳以上の糖尿病患者23万6,507例について、1997~2005年から2012年6月まで追跡した。ピオグリタゾン、前立腺がんを1.13倍、膵臓がんを1.41倍に 膀胱がんコホートのうちピオグリタゾンを服用したことのある人は、3万4,181例(18%)で、服用期間中央値は2.8年だった。そのうち膀胱がんを発症した人は1,261例で、ピオグリタゾン使用者の膀胱がん粗発生率は89.9/10万人年に対し、非使用者では75.9/10万人年だった。ピオグリタゾン使用者は非使用者と比べて、膀胱がん発症リスクの増大は認められなかった(補正後ハザード比:1.06、95%信頼区間[CI]:0.89~1.26)。 結果は、ケースコントロール解析でも同様であった(ピオグリタゾン使用:症例患者群19.6%、対照群17.5%、補正後オッズ比1.18、95%CI:0.78~1.80)。 補正後解析において、その他10種類のがんのうち8種類では、ピオグリタゾン使用により発症リスク増大はみられなかったが、前立腺がん(ハザード比:1.13、95%CI:1.02~1.26)と膵臓がん(同:1.41、1.16~1.71)では増大がみられた。使用者 vs.非使用者の粗発生率は、10万人年当たり前立腺がんが453.3 vs.449.3人年、膵臓がんが81.1 vs.48.4人年だった。

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Dr. 坂根のすぐ使える患者指導画集 Part1

生活習慣病の治療の継続のためには、患者さんがその気になることが大切ですが、そのためには記憶に残る説明や指導が重要となります。本シリーズでは、坂根直樹氏(京都医療センター)が作成された糖尿病や高血圧、脂質異常症に関する患者指導を毎週1枚ずつお届けします。ユーモアのあるイラストが付いた、わかりやすい指導画をダウンロードして、ぜひ診療にご利用ください。坂根直樹氏からのメッセージ現代は健康に関する情報が氾濫しています。一方的な難しい説明だけでは、患者さんには病態や治療方針を理解できていないことが多くあります。患者さんの心に残るような「説明力」をぜひ磨きたいものです。本シリーズでは、1枚のイラストや図を用いて患者さんの視覚に訴え、伝えたいことを「見える化」しています。イラストや図は、患者さんに気づきや驚き(サプライズ)を起こさせるように色々工夫してあります。難しいことをわかりやすく、時にはユーモアを用いて、患者さんと上手に言葉のキャッチボールができるようになることで、患者さんの満足度も高まることと思います。〔説明力を鍛えるポイント〕難しいことをわかりやすくわかりやすいイラストや図を用いる言葉のキャッチボールを行う時には、ユーモアを交えるDr.坂根のすぐ使える患者指導画集 Part2 のコンテンツは一覧はこちらページTOPへページTOPへ

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101)OKサインでできる食事指導【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師○○さんは、どんなおやつが好きですか?患者ケーキはあまり食べないんですけど、あんこ系のお饅頭が大好きです。医師なるほど。それでは、右手でOKサインをしてみてください。患者(右手でOKサインをする)医師このくらいの大きさの小さなお饅頭が、女茶碗半分のご飯と同じくらいのカロリー(50g=80kcal)になります。患者そんなにあるんですか!(驚きの顔)医師そうなんです。野菜は低カロリーなので、小さなお饅頭ときゅうり7本が同じくらいのカロリーになります。患者えっ、そうなんですか。野菜はカロリーが少ないんですね(気づきの言葉)。医師そうですね。トマト(中)なら3個分、もやしなら2袋分と同じカロリーになります。患者これから頑張って野菜を食べるようにします。●ポイント好きなおやつと野菜のカロリーを手ばかりを使って説明することで、理解度が深まります1)小西すず. いきいき栄養学―おいしく楽しくダイエット. 2010; 診断と治療社.

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砂糖入り飲料、肥満に関係なく糖尿病リスク増加/BMJ

 砂糖入りの飲料を習慣的に飲用すると、肥満の有無とは無関係に2型糖尿病のリスクが上昇することが、英国・ケンブリッジ大学の今村 文昭氏らの調査で明らかとなった。砂糖入り飲料は肥満や2型糖尿病を増加させる可能性があり、人工甘味料入り飲料や果物ジュースによる代替が検討されているが、これらの飲料と2型糖尿病との関連は確立されていない。また、砂糖入り飲料の摂取に起因する2型糖尿病の発症状況も不明だという。BMJ誌オンライン版2015年7月21日号掲載の報告。前向きコホート試験のメタ解析、英米の人口寄与割合を評価 研究グループは、砂糖入り飲料、人工甘味料入り飲料および果物ジュースの摂取と2型糖尿病のプロスペクティブな関連を評価するために、文献を系統的レビューし、メタ解析を行った(Medical Research Council Epidemiology Unit Core Supportの助成による)。 砂糖入り飲料は甘味を加えたあらゆる飲料とし、砂糖入りの果物ジュースも含めたが、ダイエット用やカロリーゼロの飲料は除外した。人工甘味料入り飲料は、各試験で報告された低カロリーの清涼飲料とした。また、果物ジュースは果汁100%の飲料とし、果汁含有飲料とは区別した。 4つの医学文献データベースを用いて、2014年2月までに発表された非糖尿病の成人を対象とした前向き試験を検索した。ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行った。 さらに、米国の2009~2010年の全国調査から、20歳以上の非糖尿病者1億8,910万例を代表するサンプルとして4,729例のデータを用いて人口寄与割合を算出した。また、英国の2008~2012年の全国調査から、4,470万例を代表する1,932例のデータを用いて、同様の検討を行った。砂糖入り飲料1サービング/日で、肥満と独立にリスクが13%上昇 日本の3つのコホートを含む17コホート(3万8,253例、1,012万6,754人年)から、事前に規定された情報のデータを抽出した。 砂糖入り飲料の1サービング/日の増加ごとに、肥満で補正前の2型糖尿病発症の相対リスクが18%(95%信頼区間[CI]:9~28、異質性検定:I2=89%)上昇した。肥満で補正すると相対リスクの上昇は13%(95%CI:6~21、I2=79%)に低下した。 人工甘味料入り飲料では、1サービング/日ごとの相対リスク上昇率は、肥満で補正する前は25%(95%CI:18~33、I2=70%)であり、補正後は8%(95%CI:2~15、I2=64%)まで低下した。一方、果物ジュースでは、補正前の相対リスク上昇は5%(95%CI:-1~11、I2=58%)であったのに対し、補正後は7%(95%CI:1~14、I2=51%)へと上昇した。 砂糖入り飲料に関しては、異質性やバイアスの明確な潜在的原因は確認されなかった。一方、人工甘味料入り飲料では、出版バイアスや残余交絡が示された。また、果物ジュースと2型糖尿病の正の相関が確認されたのは患者の自己申告による試験のみで、診療記録や血糖値、HbA1c値で客観的に確かめた試験では有意な関連は認めなかった(相対リスク上昇率:8%、95%CI:-3~20、異質性検定:p=0.008)。 2010年からの10年間における、肥満とは関連しない砂糖入り飲料による2型糖尿病の絶対イベント発生率は、米国が11.0%(2,090万件)、英国は5.8%(260万件)と推定された。人口寄与割合は、米国が8.7%(180万件、95%CI:3.9~12.9)、英国は3.6%(7万9,000件、95%CI:1.7~5.6)であった。また、両国とも、砂糖入り飲料の摂取量および2型糖尿病の人口寄与割合は、高齢者よりも若年者、女性よりも男性で高値を示した。 著者は、「砂糖入り飲料の習慣的な摂取は、肥満とは独立して2型糖尿病の発症に寄与する。人工甘味料入り飲料や果物ジュースにも正の関連が認められたが、バイアスの関与の可能性が示唆された」とまとめ、「砂糖入り飲料の摂取量を少なくすることで2型糖尿病の新規発症が抑制される可能性があるが、砂糖入り飲料の代わりに人工甘味料入り飲料や果物ジュースを飲用しても、2型糖尿病の予防にはつながらないと考えられる」と指摘している。

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なぜ骨粗鬆症になるのか?

骨粗鬆症の原因となるものは、何ですか?【骨粗鬆症】生活習慣病高血圧心臓病糖尿病薬による続発性骨粗鬆症ステロイド薬●骨粗鬆症の原因(危険因子)として、女性、加齢、喫煙、飲酒、生活習慣病、ステロイド薬使用などがあります!監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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糖尿病性腎症に合併する高K血症、patiromerが有効/JAMA

 糖尿病性腎症で高カリウム血症の合併がありRAAS阻害薬を服用している患者に対し、patiromerを4.2~16.8g、1日2回投与することで、血中カリウム値は有意に低下し、52週にわたり維持されたことが報告された。米国・シカゴ大学のGeorge L. Bakris氏らが、306例の患者を対象に行った、patiromerの用量範囲探索、無作為化非盲検第II相試験「AMETHYST-DN」の結果、報告した。JAMA誌2015年7月14日号で発表した。軽度/中程度群ごとに3通りの投与量について、4週間後の変化を比較 試験は2011年6月~2013年6月にかけて、ヨーロッパ48ヵ所の医療機関を通じて、2型糖尿病患者306例を対象に行われた。被験者のeGFRは15~60mL/分/1.73m2で、血中カリウム値は5.0mEq/L超であり、治験開始前からRAAS阻害薬を服用していた。 ベースライン時の血中カリウム値に応じて、被験者を軽度または中程度高カリウム血症に分類。patiromerの投与量について各群の被験者を無作為に3群に分け、軽度群では4.2g、8.4g、12.6gを、中程度群では8.4g、12.6g、16.8gを、いずれも1日2回投与した。 主要有効性エンドポイントは、ベースラインから4週時(または初回patiromer滴定)の平均血中カリウム値の変化だった。また副次有効性エンドポイントは、52週間の平均血中カリウム値の変化などとした。主要安全性エンドポイントは、52週間の有害事象であった。いずれの投与量でも血中カリウム値が有意に低下 結果、主要エンドポイントの平均血中カリウム値(最小二乗平均減少幅)は、軽度群の4.2g群が0.35(95%信頼区間[CI]:0.22~0.48)mEq/L、8.4g群が0.51(0.38~0.64)mEq/L、12.6g群が0.55(0.42~0.68)mEq/Lだった。 中程度群では、8.4g群が0.87(0.60~1.14)mEq/L、12.6g群が0.97(0.70~1.23)mEq/L、16.8g群が0.92(0.67~1.17)mEq/Lだった(ベースライン時からの変化に関するp<0.001)。 4~52週にかけて、毎月の血中カリウム値の有意な低下は維持された。 治療に関連する最も多く認められた有害事象は、低マグネシウム血症(7.2%)、消化管関連では便秘(6.3%)だった。低カリウム血症(<3.5mEq/L)は5.6%だった。

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第1回 英語プレゼンに必要なチカラとは?

英語プレゼンはなぜ重要か?画像を拡大する研究成果を世界に発信するなら論文を書けばいいと思うかもしれない。確かに論文発表は重要だが、どこの誰か顔の見えない論文発表では説得力が半減する。学会発表の持つライブでの迫力、「コイツがこの研究をしているのか!」とface-to-faceでワカラセル力は、プレゼンテーションならではである(ミュージシャンのライブに行くのと、CDを聴くのとでは全然違うのと同じ。そもそも違うのだ)。だから、まず、いい研究を世界で認めてもらうには、いい論文と同時に、いい英語プレゼンが重要だとわかってほしい。英語に惑わされるな!では、「よい英語プレゼン」とはなんだろう? 上手な英語で発表すること? これは日本人が最も勘違いするポイントであり、英語プレゼンコンプレックスの源でもある。英語(英会話)が上手な人なら、世界に何億人もいる。われわれはそのone of themになることを求めているのではない。「英会話力≠英語プレゼン力」だと認識しよう。英語プレゼンであなたが本当にやらなければならないことは?画像を拡大するでは、本当の英語プレゼン力とは何か?それはメッセージを伝えられる力。そして、あなたがやらなければならないことは、上手に「英語プレゼン」をこなすことではなく、英語のプレゼンを道具として使い、あなたのイイタイコト、熱いメッセージを最大限効果的に相手に伝えることなのだ。私の目標は、それに必要な技術と勉強法を皆さんにお伝えすることである。次回は、英語プレゼンで最も重要な「メッセージ」を伝えるための極意、『魔法の7行ルール』を中心に解説する予定です。講師紹介

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CVD予防のためのスタチン開始基準、費用対効果を検証/JAMA

 2013年11月、米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)は、脂質異常症におけるスタチン治療の新ガイドラインを発表した。米国・ハーバード公衆衛生大学院のAnkur Pandya氏らは、心血管疾患(CVD)の1次予防における本ガイドラインの費用対効果プロフィールの検証を行った。新ガイドラインでは、LDLコレステロールの目標値を設定せず、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の10年リスク(≧7.5%)をスタチン治療導入の指標としているが、リスク判定に使用されるPooled Cohort Equationsは過大評価を引き起こす可能性があるため、実臨床で閾値の幅を広げた場合などに、不要な治療による甚大なコスト増大やスタチン誘発性糖尿病のリスク上昇の懸念があるという。JAMA誌2015年7月14日号掲載の報告。マイクロシミュレーション・モデルでQALYの増分コストを評価 研究グループは、米国人における10年ASCVDリスクの至適な閾値を確立するために、ACC/AHAガイドラインの費用対効果分析を行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]の助成による)。ガイドラインの他の要素は、一切変更しないこととした。 仮想的な100万人の成人(40~75歳)の生涯健康アウトカムおよびCVD関連コストを予測するマイクロシミュレーション・モデルを開発した。モデルのパラメータのデータソースには、国民健康栄養調査(NHANES)、スタチンのベネフィットや治療に関する臨床試験およびメタ解析などが含まれた。 これらを用いて、ASCVDイベント(致死的/非致死的な心筋梗塞、狭心症、心停止、脳卒中)の予防効果および質調整生存年(QALY)の増分コストを算出した。費用対効果は許容範囲内、リスク閾値を広げても基準満たす ACC/AHAガイドラインの推奨閾値である10年ASCVDリスク≧7.5%では、成人の48%でスタチン治療が適切と判定され、10年ASCVDリスク≧10%と比較した1QALY当たりの増分費用対効果比(ICER)は3万7,000ドルであった。これは、一般に使用される費用対効果の閾値である5~10万ドル/QALYを下回っていた。 リスクの閾値をさらに緩めると、10年ASCVDリスク≧4.0%(成人の61%でスタチン治療が適切と判定)のICERは8万1,000ドル/QALY、≧3.0%(同67%)のICERは14万ドル/QALYであり、それぞれの費用対効果の閾値である10万ドル/QALYおよび15万ドル/QALYを満たしていた。 40~75歳の成人1億1,540万人において、10年ASCVDリスクの閾値を≧7.5%から≧3.0%へ転換すると、さらに16万1,560件のCVDイベントが回避されると推算された。また、これらの費用対効果の結果は、スタチンの毎日の服薬、価格、スタチン誘発性糖尿病のリスクに関連した効用値の損失(disutility)の変化に対し感受性を示した。 確率論的感度分析では、10年ASCVDリスクの至適な閾値が≦7.5%となる確率は、費用対効果の閾値が一般的に使用される10万ドル/QALYの場合は99%以上であり、5万ドル/QALYでは86%以上であった。また、費用対効果の閾値が10万ドル/QALYの場合に、10年ASCVDリスクの至適な閾値が≦5.0%となる確率は93%以上であった。 著者は、「ACC/AHAコレステロール治療ガイドラインで推奨されているスタチン治療導入の閾値である10年ASCVDリスク≧7.5%の費用対効果プロフィール(ICER:3万7,000ドル/QALY)は許容範囲内であったが、これを≧4.0%、≧3.0%に緩めても、費用対効果の閾値はそれぞれの基準値である10万ドル/QALYおよび15万ドル/QALYを満たし、毎日の服薬に関する患者の好みや価格の変動、糖尿病のリスクに感受性を示した」とまとめている。

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抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症、乳がんリスクとの関連は

 最近のメタ解析で、統合失調症女性患者では一般集団と比べ乳がんが多いことが示され(エフェクトサイズ=1.25、p<0.05)、実験および疫学データの蓄積により、乳がん発症におけるプロラクチン(PRL)の影響について、研究者らに注意が促されていた。ベルギーのルーヴェン・カトリック大学精神科医療センターのM. De Hert氏らは、統合失調症女性患者における抗精神病薬誘発性の高プロラクチン血症(HPRL)と、乳がんリスクとの関連について批判的レビューを行った。その結果、プロラクチンが乳がんの発症に関連するという明確なエビデンスは示されなかったことを報告した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2015年6月26日号の掲載報告。プロラクチン以外の乳がんリスクファクターが個々の症例により大きく関連している可能性 検討は、MEDLINE データベースを用い、英語で公表された臨床試験について文献検索(1950年から2015年1月まで)を行い、統合失調症女性における乳がんリスク(ファクター)と、HPRLおよび抗精神病薬治療との関連に関わる現在の認識に関するデータを特定、統合した。 高プロラクチン血症と乳がんリスクとの関連についてレビューした主な結果は以下のとおり。・乳がん発症におけるプロラクチンの関与を支持するエビデンスが増えているが、ヒトにおけるプロスペクティブ研究の結果は限定的、あいまい、そして相関的(リスク比の範囲、閉経前女性:0.70~1.9、閉経後女性:0.76~2.03)なデータが混在していた。・さらに、局所のオートクリン/パラクリンPRL loopの増幅または過剰発現が腫瘍形成においてより重要なメカニズムであるにもかかわらず、これらの研究では乳房上皮におけるプロラクチンの局所産生が考慮されていなかった。・今のところ、抗精神病薬が乳房悪性腫瘍および死亡リスクを増加させうるという決定的なエビデンスについても得られていない。・未経産、肥満、糖尿病および不健康な生活習慣(アルコール依存、喫煙、低い身体活動性)といったプロラクチン以外の乳がんリスクファクターが、統合失調症女性における個々の乳がん症例により大きく関連している可能性があった。関連医療ニュース プロラクチン上昇リスクの低い第二世代抗精神病薬はどれか 抗精神病薬による高プロラクチン血症に関するレビュー 統合失調症の自殺にプロラクチンは関連するのか

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100)簡単な運動測定でわかる。あなたに合った運動法【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者最近、体力の低下を感じて……。 医師それなら、簡単な体力チェックをやってみましょうか。 患者はい。よろしくお願いします。 医師それでは、この階段の2段目から片脚で立ち上がってみてもらえますか? 患者……ちょっと、難しいですね。 医師では、1段目から両脚で立ち上がってみてください。 患者これなら簡単にできます。 医師それなら、筋トレや水中運動がお勧めです。どちらが、やりやすいですか? 患者家の近くにプールがないので、筋トレですかね。 医師では、効果的な筋トレの方法について説明しますね。 患者よろしくお願いします。●ポイント簡単にできる体力測定法を紹介し、患者さんに適した運動の種類や強度を患者さんと一緒に探します●資料階段を利用した脚筋力テスト: (1)2段目から片脚で立てる→ウォーキング・自転車こぎ (2)1段目から片脚で立てる→ジョギング・スポーツ (3)2段目から片脚で立てないが、1段目からは両脚で立てる→筋トレ・水中運動 1) 村永信吾. 昭和医学会誌. 2001; 61: 362-367. 2) 星野武彦. DxM. 2014; 5.

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Vol. 3 No. 4 高尿酸血症と循環器疾患 高血圧とのかかわり

川添 晋 氏鹿児島大学大学院心臓血管・高血圧内科学はじめに高尿酸血症は、痛風関節炎や痛風腎など尿酸塩沈着症としての病態とは別に、心血管疾患のリスクになることが次々と報告され、メタボリックシンドロームの一翼としての尿酸の重要性が認識されるようになってきた。最近では、高尿酸血症が高血圧発症のリスクとなることや、尿酸低下療法によって心血管イベントが抑制される可能性を示唆する報告もなされている。本稿では、血圧上昇や高血圧性臓器合併症と尿酸との関連を疫学と機序の両面から概説するとともに、高血圧症を合併した高尿酸血症に対する薬物治療を行う際の注意すべき点について解説する。高尿酸血症と高血圧血圧上昇と血清尿酸値との疫学の歴史は意外に古い。1800年代後半には、痛風の家族歴を持つ高血圧患者が多いことや、低プリン食が高血圧と心血管病を予防することが報告されている。最近の報告では、高尿酸血症が高血圧発症のリスクとなることが国内外の疫学調査から明らかとなっている。米国における国民健康栄養調査にて、血清尿酸値が上昇するにつれて高血圧の有病率は上昇し、血清尿酸値6.0mg/dL以下では24.5%であるのに対して10.0mg/dLでは84.7%に高血圧が合併していた1)。わが国における調査でも、高血圧患者は男性で34.1%、女性で16.0%に高尿酸血症が合併していたと報告されている2)。高尿酸血症と高血圧発症に関する国内外11研究の成績をまとめたメタアナリシスでは、高尿酸血症患者における高血圧発症の相対リスクは1.41と有意に高く、1mg/dL の尿酸値の上昇により高血圧発症リスクは13%上昇するとの結果であった3)(本誌p.29図を参照)。尿酸値上昇自体が高血圧のリスクとなることが明確に示されたことになる。また小規模の研究ではあるが、アロプリノールによる尿酸降下療法にて24時間血圧が有意に下がるとの介入試験の結果も報告されている4)。尿酸が血圧を上昇させるメカニズムについてもさまざまな知見が得られている(本誌p.30図を参照)5)。尿酸によるNO(一酸化窒素)産生低下とレニン・アンジオテンシン系の産生亢進を伴った血管内皮機能低下に起因した腎血管収縮により血圧が上昇すると報告されている6, 7)。このタイプの高血圧は、食塩抵抗性で尿酸値を下げることにより降圧を認めることが特徴であるが6)、別のタイプもあることが推察されている。高尿酸血症は動脈硬化性変化による腎微小循環障害をきたし、塩分感受性で腎依存性、血清尿酸値非依存性の高血圧が形成される8)。微小循環の損傷に起因する病態においては、直接尿酸が血管平滑筋細胞に対して増殖反応を促し、レニン・アンジオテンシン系を賦活化し、CRPや単球走化性蛋白-1(MCP-1)といった炎症関連物質の産生を刺激することが報告されている9)。高血圧性臓器合併症と尿酸日本高血圧学会やヨーロッパ高血圧学会のガイドラインでは、高血圧性臓器合併症の有無でリスクの層別化を行うことを推奨している。Viazziらは、このような臓器合併症の重症度と血清尿酸値との関連性を横断研究にて検討している。これによると、ヨーロッパ高血圧学会のガイドラインに準拠した高血圧性臓器合併症が重症になるにしたがって、血清尿酸値が高値となっていくことが示されている。さらに古典的心血管危険因子で補正後も、心肥大や頸動脈不整の危険因子となることが示唆されている。またSystolic Hypertension in the Elderly Program(SHEP)10)やThe Losartan Intervention for Endpoint Reduction in Hypertension(LIFE)11) といった大規模臨床試験のサブ解析において、血清尿酸値と心血管イベントの発症との間に関連があることが示されている。われわれは669名の本態性高血圧症を対象に前向きに検討を行い、尿酸値が心血管疾患と脳卒中の発症の予測因子となるかどうかの検討を行った12)。平均7.1年のフォローアップ期間に脳卒中71例、心血管疾患58例が発生し、64例が死亡した。生存曲線では、尿酸値が最も高かった群(8.0mg/dL以上)では有意に脳卒中と心血管疾患の発症が多く(p=0.0120)、死亡率も高かった(p=0.0021)。古典的な心血管疾患のリスク因子で補正した後も、血清尿酸値は心血管疾患(相対リスク1.30, p=0.0073)、脳卒中および心血管疾患(相対リスク1.19, p=0.0083)、死亡(相対リスク1.23, p=0.0353)、脳卒中および心血管疾患による死亡(相対リスク1.19, p=0.0083)の有意な予測因子であった(本誌p.31図を参照)。また、血清尿酸値が心血管疾患リスクに与える影響は、女性においてより強かった。しかしながら、大規模疫学調査のなかには、Framingham Heart研究13)やNIPPON DATA 8014)のように、他の心血管危険因子で補正を行うと血清尿酸値の心血管死に対する影響が減弱するか喪失すると結論づけている報告もいくつか認められる。また血清尿酸値と心血管疾患の間のJカーブ現象の報告もあり15)、この分野に関しては今後のさらなる検討が必要と考えられる。高血圧治療の最終的な目標は臓器合併症、すなわち心血管イベント発症や腎機能悪化に伴う透析などの回避であることはいうまでもない。臓器合併症予防のためには、蓄積されつつある知見を踏まえて、血圧のみならず血清尿酸値も含めた管理を行う必要がある。高血圧症例における高尿酸血症の管理高血圧患者における血清尿酸値上昇が腎障害や心血管事故発症と関連することから、日本痛風・核酸代謝学会による『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第2版)』16)に準じて、総合的なリスク回避をめざした6・7・8ルールに基づく尿酸管理が推奨されている(本誌p.32図を参照)。高尿酸血症を合併する高血圧では、血清尿酸値7mg/dL以上でエネルギー摂取制限、運動習慣、節酒等の生活指導を開始する。8mg/dL以上では、生活習慣の修正を行いながら尿酸降下薬の開始を考慮する。降圧療法中の血清尿酸値の目標は6mg/dL以下をめざす。この際、降圧剤が尿酸代謝に及ぼす影響も考慮することが望まれる(本誌p.32図を参照)。サイアザイド系利尿薬やループ利尿薬は高尿酸血症を増長し、痛風を誘発することがあるため注意が必要である。Ca拮抗薬とロサルタンは高血圧患者の痛風発症リスクを減少させることが知られている17)。大量のβ遮断薬およびαβ遮断薬の投与は血中尿酸値を上昇させる。ACE阻害薬、Ca拮抗薬、α遮断薬は血清尿酸値を低下させるという報告と、影響を与えないとする報告がある。ARBの1つであるロサルタンは、腎尿細管に存在するURAT1の作用を阻害することによって血中尿酸値を平均0.7mg/dL低下させる18, 19)。重症高血圧患者におけるβ遮断薬のアテノロールに対するロサルタンの標的臓器保護作用の有意性を示したLIFEでは、ロサルタンの降圧を超えた臓器保護作用のうち29%は尿酸値の改善によることが示唆されている11)。最近使用頻度が増えているARB/利尿薬合剤には、ヒドロクロロチアジド6.25mgまたは12.5mgが使用されているが、尿酸管理の観点からはより低用量の製剤を使用するか、尿酸排泄増加作用を有するARBであるロサルタンを含む合剤の使用が望ましい。高血圧合併高尿酸血症患者の病型は排泄低下型が多いことから、ベンズブロマロンなどURAT1阻害薬が有用であることが多い。キサンチンオキシダーゼ阻害薬のアロプリノールは、これまで唯一の尿酸生成抑制薬として40年間にわたり全世界で用いられてきた。しかしアロプリノールの活性代謝産物であるオキシプリノールは腎排泄性であり、血中半減期が長く体内に蓄積しやすいため、腎機能障害ではオキシプリノールの血中濃度が上昇し20)、汎血球減少症などの重篤な副作用の出現に関係するとされる。高血圧患者には腎機能低下を合併する症例が多いためアロプリノール使用に関してはこの点に注意が必要である。本邦において2011年から臨床使用可能となったフェブキソスタットは、肝腎排泄型であるため腎機能障害者においても用量調節が不要であるとされている。おわりに高尿酸血症が高血圧発症や心血管疾患のリスク因子であるというエビデンスが蓄積されてきている。高血圧診療の場では、糖尿病や脂質異常症などの既知のリスクに加えて、尿酸値も意識して総合的な管理を行うことが求められている。文献1)Choi HK et al. Prevalence of the metabolic syndrome in individuals with hyperuricemia. Am J Med 2007; 120: 442-447.2)宮田恵里ほか. 高血圧患者における高尿酸血症の実態と尿酸動態についての検討. 血圧 2008; 15: 890-891.3)Grayson PC et al. Hyperuricemia and incident hypertension: a systematic review and meta-analysis. Arthritis Care Res 2011; 63: 102-110.4)Feig DI et al. Effect of allopurinol on blood pressure of adolescents with newly diagnosed essential hypertension: a randomized trial. JAMA 2008; 300: 924-932.5)大野岩男. 高血圧のリスクファクターとしての尿酸. 高尿酸血症と痛風 2010; 18: 31-37.6)Mazzali M et al. Elevated uric acid increases blood pressure in the rat by a novel crystal-independent mechanism. Hypertension 2001; 38:1101-1106.7)Sanches-Lozada LG et al. Mild hyperuricemia induces vasoconstriction and maintains glomerular hypertension in normal and remnant kidney rats. Kidney Int 2005; 67: 237-247.8)Watanabe S et al. Uric acid, hominoid evolution,and the pathogenesis of salt-sensitivity. Hypertension 2002; 40: 355-360.9)Johnson RJ et al. A unifying pathway for essential hypertension. Am J Hypertens 2005; 18: 431-440.10)Franse LV et al. Serum uric acid, diuretic treatment and risk of cardiovascular events in the Systolic Hypertension in the Elderly Program (SHEP). J Hypertens 2000; 18: 1149-1154.11)Hoieggen A et al. The impact of serum uric acid on cardiovascular outcomes in the LIFE study. Kidney Int 2004; 65: 1041-1049.12)Kawai T et al. Serum uric acid is an independent risk factor for cardiovascular disease and mortality in hypertensive patients. Hypertens Res 2012: 35: 1087-1092.13)Culleton BF et al. Serum uric acid and risk for cardiovascular disease and death : the Framingham Heart Study. Ann Intern Med 1999;131: 7-13.14)Sakata K et al. Absence of an association between serum uric acid and mortality from cardiovascular disease: NIPPON DATA 80, 1980-1994 . National Integrated Projects for Prospective Observation of Non-communicable Diseases and its Trend in the Aged. Eur J Epidemiol 2001; 17: 461-468.15)Mazza A et al. Serum uric acid shows a J-shaped trend with coronary mortality in non-insulin-dependent diabetic elderly people. The CArdiovascular STudy in the ELderly(CASTEL). Acta Diabetol 2007; 44: 99-105.16)日本痛風・核酸代謝学会. ガイドライン改訂委員会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版. メディカルレビュー社, 東京, 2010.17)Choi HK et al. Antihypertensive drugs and risk of incident gout among patients with hypertension:population based case-control study. BMJ 2012;344: d8190.18)Iwanaga T et al. Concentration-dependent mode of interaction of angiotensin II receptor blockers with uric acid transporter. J Pharmacol Exp Ther 2007; 320: 211-217.19)Enomoto A et al. Molecular identification of a renal urate anion exchanger that regulates blood urate levels. Nature 2002; 417: 447-452.20)佐治正勝. アロプリノール服用患者における血中オキシプリノール濃度と腎機能. 日腎会誌 1996; 38: 640-650.

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すべての1型糖尿病患者にインスリンポンプ療法を施行すべきか?(解説:住谷 哲 氏)-387

 1型糖尿病患者は、インスリン分泌が枯渇しているため、インスリン投与が必須となる。現在では基礎インスリンとボーラスインスリンを組み合わせた、インスリン頻回注射療法[MDI:Multiple daily injections、(BBT [Basal-bolus treatment]ともいう)]を用いたインスリン強化療法が主流である。しかし、生理的インスリン補充のために必要となる基礎インスリンの調節は、MDIにおいては困難である。一方、インスリンポンプ療法(CSII [continuous subcutaneous insulin infusion]ともいう)は、自由に基礎インスリン量を調節できるために、MDIと比較して低血糖の少ない、より変動の少ない血糖コントロールが可能であるとされる。 これまでに、血糖コントロール指標や低血糖の頻度などの代用アウトカム(surrogate outcomes)を両治療法において比較した報告は多数あるが、心血管イベントや総死亡などの真のアウトカム(true outcomes)を比較した報告はほとんどなく、本論文は貴重である。その結果、インスリンポンプ療法によりMDIと比較して、総死亡が27%減少することが示され、衝撃的である。 本論文の結果が真実であれば、すべての1型糖尿病患者にインスリンポンプ療法を行うことが正当化されると思われるが、そうだろうか。 まず、本研究は観察研究であり、厳密には因果関係を証明することはできない。観察研究での因果関係の強さを推定する際には、介入の生物学的妥当性を考える必要があるが、この論文ではインスリンポンプ療法による重症低血糖の減少が可能性の1つとして挙げられている。 これまでに本論文の著者らにより、1型糖尿病患者における重症低血糖の頻度と、その後の心血管死との関連が報告されていることから、この推論は支持されると思われる1)。加えて、仮想的交絡因子(hypothetical confounders)を用いた統計学的解析により、治療選択によるバイアス(treatment allocation bias)も可能な限り排除されている。さらに、スウェーデンではほぼ100%の1型糖尿病患者が本研究で用いられたレジストリに登録されており、選択バイアス(selection bias)の可能性もほとんどない。以上から、本論文で示されたインスリンポンプ療法と総死亡も含めた心血管イベントリスクの減少との間には、因果関係がかなりの確率で存在すると考えられる。 筆者の外来にも多数の1型糖尿病患者さんが通院しているが、インスリンポンプ療法を施行しているのはごく一部である。わが国ではスウェーデンとは異なり治療費の問題もあるが、現実的にはインスリンポンプ療法に移行するには大きな壁があるように感じている。さらに、いったんインスリンポンプ療法に移行しても、その後にMDIに戻る患者も存在する。 本論文によれば、インスリンポンプ療法の壁が小さいと考えられるスウェーデンにおいても、インスリンポンプ療法を行っている患者は全体のわずか13.4%であり、きわめて少ない。つまり、現実にはインスリンポンプ療法が継続できる患者とできない患者が存在しており、後者が大部分を占めている。この両患者群の違いは単純ではなく、患者側のみならず、医療者側も含めた多数の複雑に絡み合った要因に依存していると思われる。 著者らも述べているが、インスリンポンプ療法の生理学的作用のみによる結果と単純に考えることはできず、インスリンポンプ療法が長期にわたって継続できることこそが、総死亡を含めた心血管イベントのリスク減少につながるとするのが正しい解釈であろう。 今後はインスリンポンプ療法の可否について、すべての1型糖尿病患者と医療提供者との間のshared decision makingが必要になると思われる。

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糖尿病、脳卒中、心筋梗塞、2つ以上の罹患歴があると…/JAMA

 糖尿病、脳卒中、心筋梗塞のうち2つ以上の罹患歴を有する場合を、心代謝性疾患の多疾病罹患(cardiometabolic multimorbidity)と呼ぶ。このような集団は、罹患歴がない場合に比べ死亡リスクが相乗的に増大することが、英国・ケンブリッジ大学のEmanuele Di Angelantonio氏らEmerging Risk Factors Collaboration(ERFC)の研究グループの検討で示された。近年、心代謝性疾患の多疾病罹患の有病率が急速に上昇している。3疾患の個々の死亡リスクについては多数のエビデンスが存在するが、複数の疾患の罹患歴がある場合の生存に関するエビデンスはほとんどないという。JAMA誌2015年7月7日号掲載の報告。参加者約120万人、死亡数約13万5,000人のデータを解析 研究グループは、ERFCおよび英国Biobankのデータを用いて、心代謝性疾患の多疾病罹患が生存に及ぼす影響の評価を行った(英国医学研究審議会[MRC]などの助成による)。 ERFC(登録期間:1960~2007年、参加者:68万9,300人、91コホート、死亡数:12万8,843人、最新フォローアップ:2013年4月)の個々の患者データを用いて、年齢と性別で補正した死亡率およびハザード比(HR)を算出した。 次いで、ERFCから得られたHRを英国Biobank(登録期間:2006~10年、参加者:49万9,808人、死亡数:7,995人、最新フォローアップ:2013年11月)のHRと比較した。さらに、算出された死亡に対する年齢特異的HRを、米国の年齢特異的死亡率に適用することで累積生存率を推算した。 ERFCの参加者のベースラインの平均年齢は53±9歳、女性が51%であり、英国Biobankはそれぞれ57±8歳、55%であった。60歳時の余命が2疾患罹患で12年、3疾患では15年短縮 ERFCのうちベースライン時に糖尿病、脳卒中、心筋梗塞の罹患歴のない参加者(対照群)における性別で補正した年齢60歳時の死亡率は、1,000人年当たり6.8であった。 これに対し、糖尿病の罹患歴のある集団の1,000人年当たりの死亡率は15.6で、脳卒中は16.1、心筋梗塞は16.8であり、いずれも対照群の2倍以上となった。 さらに、糖尿病と心筋梗塞の双方の罹患歴がある場合の死亡率は32.0/1,000人年、糖尿病/脳卒中は32.5、脳卒中/心筋梗塞は32.8と、対照群の約5倍近くとなり、3疾患の罹患歴がある場合は59.5と約9倍近くにまで上昇した。 対照群と比較した全死因死亡のHRは、糖尿病の罹患歴がある集団では1.9(95%信頼区間[CI]:1.8~2.0)、脳卒中は2.1(2.0~2.2)、心筋梗塞は2.0(1.9~2.2)で、糖尿病/心筋梗塞は3.7(3.3~4.1)、糖尿病/脳卒中は3.8(3.5~4.2)、脳卒中/心筋梗塞は3.5(3.1~4.0)であり、3疾患すべての罹患歴がある場合は6.9(5.7~8.3)であった。 これらERFCで得られたHRは、登録の時期がより最近である英国BiobankのHRと類似していた。また、HRは、さらに脂質や収縮期血圧、BMI、喫煙、食事、社会経済的地位で補正しても、ほとんど変化しなかった。 60歳時の余命は、2つの疾患に罹患した場合は12年(男性:12年、女性:13年)短くなり、3疾患すべてに罹患すると15年(14年、16年)短縮すると推定された。また、男性の余命の短縮には心血管疾患(脳卒中、心筋梗塞)の影響が大きかったのに対し、女性では糖尿病の関与が大きかった。 著者は、「糖尿病、脳卒中、心筋梗塞の罹患歴のある集団の死亡率は、個々の疾患でほぼ同じであった。これらの疾患の罹患歴が複数あると死亡率が相乗的に増大し、多疾病罹患者の余命は実質的に減少した」とまとめ、「これらの結果は、心血管疾患の1次予防と2次予防のバランスを取る必要があることを強調するものである」「ERFCは47年間の18ヵ国、91コホートの個々の参加者のデータに基づくことから、一般化の可能性は高いと考えられる」と指摘している。

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99)太りやすい体質の方への指導法【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者家族も太っていて、太りやすい体質で……。 医師なるほど。それは倹約遺伝子を持っている可能性がありますね。 患者倹約遺伝子!? 医師そうです。人類は400万年前に誕生しましたが、近年に至るまで飢餓の時代が長く続きました。そのような時代の中で、エネルギーを倹約できる遺伝子を持った人が生き延びたそうです。その遺伝子のことを倹約遺伝子といいます。ところが、飽食の時代になると太りやすくなってしまうのだそうです。 患者なるほど太りやすい体質はあるんですね。 医師そうです。ただし、そのような体質の人でも痩せるいい方法がありますよ。 患者それはどんな方法ですか?(興味津々)●ポイント倹約遺伝子を持っていても、上手に痩せる方法があることを説明します●資料 1) 小西すず. いきいき栄養学―おいしく楽しくダイエット. 2010; 診断と治療社.

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心血管疾患リスクが高いほど汗腺膿瘍の発症率が高い

 汗腺膿瘍の患者では対照群と比較して、心血管疾患リスクが高いことが、北ノルウェー大学病院のThrasivoulos Tzellos氏らによって報告された。British Journal of Dermatology誌2015年7月6日掲載の報告。 Tzellos氏らは、システマティックレビューを行い、汗腺膿瘍患者では対照群に比べて心血管疾患リスクが有意に高いのかどうかを調査した。 試験はMedline、Embase、Cochraneをソースとして検索された。試験適格として、症例対照研究、横断研究、汗腺膿瘍患者および対照群の心血管疾患リスク因子の比較を行ったコホート研究である試験が組み込まれた。I2値>50%を異質性ありとした。プール解析のオッズ比はDerSimonian and Laird変量効果モデルを用い、それ以外は固定効果モデルを使用した。 主な結果は以下のとおり。・9試験から、汗腺膿瘍患者6,174例と対照群2万4,993例が組み込まれた。・汗腺膿瘍と有意な関連がみられたのは、以下のものであった。  肥満(OD 3.45、95%CI:2.20~5.38、p<0.001)  中心性肥満(OD 2.97、95%CI:1.41~6.25、p=0.004)  現在の喫煙(OD 4.34、95%CI:2.48~7.60、p<0.001)  喫煙歴(OD 6.34、95%CI:2.41~16.68、p<0.001)  高トリグリセリド血症(OD 1.67、95%CI:1.14~2.47、p=0.009)  低HDL値(OD 2.48、95%CI:1.49~4.16、p<0.001)  糖尿病(OD 2.85、95%CI:1.34~6.08、 p=0.007)  メタボリックシンドローム(OD 2.22、95%CI:1.62~3.06、p<0.001)・一般集団と入院の比較では、入院の汗腺膿瘍患者のほうが一様に上記のオッズ比が高かったが、因果関係を解明するには至らなかった。・すべての試験で異質性ありとされた。

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ERFC試験:心血管代謝疾患の重積と生命予後~糖尿病のリスクは心血管疾患のリスクに匹敵?~(解説:浦 信行 氏)-385

 The Emerging Risk Factors Collaboration(ERFC)は、1960年~2007年に追跡が開始され、2013年4月までに12万8,843例が死亡した、欧州と北米の91コホート、68万9,300例の性と年齢で調整した死亡率とハザード比を算出した。そして、2006年~2010年に49万9,808例の追跡開始がなされ、2013年11月までに7,995例が死亡した、より新しいUK Biobankの成績と対比させた。 追跡例を糖尿病、心筋梗塞、脳卒中の有無と集積別に検討したところ、1,000人年当たりの死亡率は因子なしで6.8、1因子で15.6~16.8、2因子集積で32.0~32.8、3因子すべての集積で59.5と上昇した。また、ハザード比は1因子で1.9~2.1、2因子集積で3.5~3.8、3因子すべての集積で6.9と上昇し、ハザード比はより新しいUK Biobankのそれらと変わりがなかった。そして、これらのハザード比は脂質値、血圧値、喫煙の有無、食事内容などで調整してもほとんど変化しなかった。性別で検討すると、女性でハザード比がやや高い傾向があった。 また、2因子保有の60歳時の余命の短縮は12年、3因子保有者は15年と算出された。3因子保有者で40歳時の余命短縮は23年、50歳時では20年と、若年者であるほど余命は短縮することが確認された。また、男性のほうが余命短縮は大きい傾向にあった。 これらの成績は十分理解可能なものであるが、注目に値するのは糖尿病が心筋梗塞や脳卒中の既往に匹敵するリスクの高さということである。心筋梗塞や脳卒中は、すでに動脈硬化性病変を発症していることから、リスクが高いことは理解しやすいが、糖尿病がそれに匹敵するという事実は、糖尿病の心筋梗塞新規発症率と心筋梗塞既往者の再発率が同程度であるという、Finnish研究1)を思い起こさせる。いかに糖尿病のリスクが高いかを物語るものである。また、生活環境や疾患背景の時代による変遷があっても各々のハザード比が同等であったということは、糖尿病の有病率は増加しているが、有病率が小さい年代であっても、それを保有することのリスクは同等に高いということも注目される。 残された課題は、わが国ではどうかということである。欧米とわが国では、心血管系の発症頻度そのものの違いがあり、わが国は欧米と比較して、いまだに脳卒中の発症頻度は高く、心筋梗塞の発症頻度は低い。また、糖尿病の新規発症は欧米と比較してむしろ多い現実がある。欧米と同じ様相を呈するか否かが検証される必要がある。

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イングレスその後【Dr. 中島の 新・徒然草】(076)

七十六の段 イングレスその後とある講習会の事前打ち合わせの席で。 講師 A 「さっき中島先生、外で会いましたよね。どこか行くところだったのですか?」 中島 「ちょっとその辺を散歩に」 講師 A 「どこに向かって歩いているのかと思いました」 中島 「イングレスをやっているもんですから」 講師 A 「なんですか、それ?」 講師 B 「すごく流行っているらしいですね!」 最近は、暇さえあれば外を歩いています。この日も会場に早く着きすぎたので、周辺のポータルを巡回していたのです。医療界ではあまり浸透していないのか、「自分もやっています」という人にはまだ会ったことがありません。以前にもこのエッセーで述べましたが、イングレスというのはスマホに内蔵されたGPSを使って遊ぶゲームです。ゲームの概要を一言で表すと、「各地に散らばるポータルと呼ばれる場所を回って点数を稼ぐ」ということになります。したがって、このゲームに参加しているとつい外に出てポータルを訪問したくなるわけです。その結果、日焼けした健康な人間ができてしまいます。私もイングレスを開始してから毎日平均4.4km歩いています。もっともポータルの見当たらない田舎に行くと、まったく歩く気になれません。さて、医師のさがとして自分の健康に良いと思ったものは、患者さんにもお勧めしてしまいます。あまり高齢の方はスマホを使いこなすのも難しそうなので、ほどほどの年齢の人までになります。特に運動不足になりがちな肥満の方や糖尿病の方などが格好のターゲットです。中島「散歩すると痩せられますよ」患者「犬を飼ってたときは朝晩散歩してたんだけど」中島「目的なく散歩するのもつらいですよね」患者「そうなのよ」 中島「そこでイングレスですよ」患者「イングレス?」 中島「スマホを使ったゲームで、ついつい外を歩きたくなるんですよ」患者「はあ」ここで「何それ、面白そう!」となればいいのですが、皆さん歩くのも面倒なのか、あまり積極的な返事はかえってきません。それでも日々イングレスをお勧めしています。最後に1句イングレス 健康維持に ゲームやり

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2型糖尿病、男性では膝OAの有意な予測因子に

 最近の研究では、肥満、糖尿病、高血圧および脂質異常症といった代謝因子やそれらの集積であるメタボリックシンドロームが、変形性膝関節症(膝OA)の病態生理に関与している可能性が示唆されている。フランス・AP-HP Henri Mondor HospitalのFlorent Eymard氏らは、膝OA患者を対象としたstrontium ranelateの第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(SEKOIA試験)におけるプラセボ群について解析し、2型糖尿病が男性膝OA患者における関節裂隙狭小化の予測因子であることを報告した。Osteoarthritis and Cartilage誌2015年6月号(オンライン版2015年2月3日号)の掲載報告。 試験は、50歳以上の症候性膝OA患者559例(SEKOIA試験のプラセボ群:平均年齢62.8歳、女性392例)を対象に行われた。 試験開始時および1年ごとに3年間、単純X線検査を行い脛骨大腿関節の内側コンパートメントの最小関節裂隙幅を自動計測し、代謝因子などのX線学的進行に及ぼす影響を調査した。 糖尿病、高血圧および脂質異常症の有無は試験開始時の問診により確認し、BMI 30超を肥満、4つの代謝因子のうち3つ以上を有する場合をメタボリックシンドロームと定義した。主な結果は以下のとおり。・対象559例中、43.8%が肥満、6.6%が2型糖尿病、45.1%が高血圧、27.6%が脂質異常症、13.6%がメタボリックシンドロームを有していた。・関節裂隙狭小化(最小関節裂隙幅の年平均低下)は、2型糖尿病合併患者が非合併患者より有意に大きかった(0.26mm vs.0.14mm、p=0.001)。・この関連は、性別、年齢、BMI、高血圧および脂質異常症に関して調整した後も有意なままであった(p=0.018)。・サブグループ分析の結果、2型糖尿病は女性ではなく男性において関節裂隙狭小化の有意な予測因子であることが示された。・他の代謝因子およびメタボリックシンドロームは、関節裂隙狭小化と関連していなかった。

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