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80歳以上の冠動脈疾患、侵襲的治療 vs.保存的治療/Lancet

 80歳以上の非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)または不安定狭心症の高齢患者に対して、侵襲的な治療は保存的治療よりも複合イベントを減少し、治療戦略の選択肢として優れることが、ノルウェー・オスロ大学のNicolai Tegn氏らが行った、非盲検無作為化試験の結果、明らかにされた。ただし戦略の有効性は、年齢の上昇(クレアチニンおよび効果修飾を補正後)とともに漸減する。出血性合併症については戦略間で差はなかったという。80歳以上のNSTEMIおよび不安定狭心症は入院要因として頻度が高いが、至適戦略に関する同集団対象の臨床試験は少なく、またガイドラインに則した治療が行われているかも不明であった。研究グループは、早期の侵襲的治療 vs.保存的治療を比較し、どちらの戦略がベネフィットをもたらすのかを調べた。Lancet誌オンライン版2016年1月12日号掲載の報告。心筋梗塞・緊急血行再建術の必要性・脳卒中・全死因死亡の複合アウトカムを評価 試験は、ノルウェー東南部の16病院に入院した患者457例を対象とし、侵襲的治療群(早期に冠動脈造影検査を行い即時にPCI、CABGを評価、および至適薬物療法について評価、229例、平均年齢84.7歳)または保存的治療群(至適薬物療法についてのみ評価、228例、84.9歳)に無作為に割り付け追跡評価した。 主要アウトカムは、心筋梗塞・緊急血行再建術の必要性・脳卒中・全死因死亡の複合で、評価は2010年12月10日~14年11月18日に行われた。途中、侵襲的治療群5例、保存的治療群1例が試験中断となったが、解析はintention-to-treatにて行った。侵襲的治療群のハザード比0.53、出血性合併症は同程度 被験者を募集した2010年12月10日~14年2月21日のフォローアップ中(中央値1.53年)に、主要アウトカムは、侵襲的治療群93/229例(40.6%)、保存的治療群140/228例(61.4%)が報告された(ハザード比[HR]:0.53、95%信頼区間[CI]:0.41~0.69、p=0.0001)。 主要複合アウトカムを項目別にみると、発生に関するHRは心筋梗塞0.52(95%CI:0.35~0.76、p=0.0010)、緊急血行再建術の必要性0.19(0.07~0.52、p=0.0010)、脳卒中0.60(0.25~1.46、p=0.2650)、全死因死亡0.89(0.62~1.28、p=0.5340)であった。 出血に関して、侵襲的治療群で重大出血4例(1.7%)、軽度出血23例(10.0%)、保存的治療群でそれぞれ4例(1.8%)、16例(7.0%)が認められた。大半は消化管での発生であった。 結果の傾向は、性別、2型糖尿病、クレアチニン血中濃度(103μmol/L以上)、ワルファリン使用、90歳超で層別化した場合も変わらなかったが、クレアチニン値について交絡作用と90歳超での効果修飾がみられた。また多変量Cox分析で、クレアチニン値と年齢で調節した侵襲的治療戦略の効果を調べた結果、侵襲的治療戦略と年齢間には有意な相互作用があり(p=0.009)、侵襲的治療の有効性は年齢の上昇とともに減弱することが示された。

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日本糖尿病学会:「キラリ☆女性医師!」に新記事を掲載

 日本糖尿病学会は、「女性糖尿病医サポートの取り組み」ホームページの「キラリ☆女性医師!」コーナーに、立川 佳美 氏(公益財団法人 放射線影響研究所 臨床研究部)、佐藤 麻子 氏(東京女子医科大学 臨床検査科/糖尿病センター)の記事を掲載した。 同コーナーは、さまざまな女性医師を紹介するコーナーとして2015年4月に開設され、これまでに9名の女性医師が実名で登場している。 各記事は以下関連リンクより閲覧可能。関連リンク「キラリ☆女性医師!」(日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」)

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加糖飲料への課税で購入量6%減少:メキシコ/BMJ

 メキシコで加糖飲料に対しておよそ10%課税をしたことで、その購入量が非課税の場合に比べ6%、1日1人当たり12mL減少したという。メキシコ・国立公衆衛生研究所のM. Arantxa Colchero氏らが、6,000戸超について行った観察試験の結果、報告した。メキシコでは、糖尿病や肥満の罹患率が高く、2014年から加糖飲料に1ペソ/Lの課税を導入している。BMJ誌オンライン版2016年1月6日号掲載の報告。53都市、20万人超を対象に試験 Colchero氏らは2012年1月~14年12月にかけて、人口5万人超の53都市の住民6,253戸(20万5,112例)を対象に、観察試験を行い、加糖飲料への課税前と課税後の消費量の違いについて検証した。 分析には、固定効果モデルを用い、飲料購入に対して経時的に影響を与えるマクロ経済的変数や、既存トレンドについて補正を行った。家族の年齢や性別、社会経済的水準(低、中、高レベル)などを変数として盛り込み、分析した。 2014年の課税・非課税飲料の購入量を比較し、課税前の傾向を基にして課税されなかった場合の予測購入量を推算し、実際購入量と比較した。社会経済的水準が低い群で減少率高く、年平均9%減少 2014年の課税がない場合の予測購入量と比べ、課税対象飲料の実際の購入量は、平均6%(-12mL/人/日)減少した。減少率は加速度的に増し、2014年12月には12%減となった。 社会経済的水準がいずれの群でも課税飲料の購入量は減少したが、低レベル群で最も大幅な減少が認められ、2014年平均で9%減少、また同年12月には17%の減少が認められた。 一方で、ボトル入りの水の購入量などが増えており、非課税飲料の購入量は、加糖飲料の課税がなかった場合の予測値と比べ4%増加した。

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日本糖尿病学会:「女性糖尿病医のフロントランナー: 伊藤 千賀子 氏」の記事を公開

 日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」ホームページでは、「女性糖尿病医のフロントランナー」コーナーに、疫学研究を通じて日本の糖尿病学の発展に寄与した伊藤 千賀子 氏(グランドタワー メディカルコート 理事長)の記事を掲載した。 同コーナーは、「日本の糖尿病学において、女性医師として道を開拓、そして現在も牽引されている先生方より寄稿いただき、紹介していくコーナー」で、第1回(2015年6月)には 大森 安恵 氏(海老名総合病院 糖尿病センター長/東京女子医科大学 名誉教授)の記事を掲載している。 以下関連リンクより閲覧可能。関連リンク「伊藤 千賀子 先生 :女性糖尿病医のフロントランナー」(日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」)

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治療前血圧によらず、降圧で心血管リスクが減少/Lancet

 英国・オックスフォード大学のDena Ettehad氏らは、システマティックレビューとメタ解析の結果、ベースラインの血圧値や併存疾患を問わず、降圧は心血管リスクを有意に減少することを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「解析の結果は、130mmHg未満に対する降圧を、そして心血管系疾患、冠動脈疾患、脳卒中、糖尿病、心不全、慢性腎臓病を有する人の降圧治療の提供を強く裏付けるものであった」と報告している。心血管疾患予防に対する降圧のベネフィットは確立されているが、その効果が、ベースラインの血圧値や、併存疾患の有無、降圧薬の種類によって異なるかは明白になっていない。Lancet誌オンライン版2015年12月23日号掲載の報告。降圧ベネフィットをシステマティックレビューとメタ解析で評価 レビューはMEDLINEを介して1966年1月1日~2015年7月7日に発表された大規模降圧試験を検索して行われた(最終検索は2015年11月9日)。すべての降圧に関する無作為化試験を適格とし、各試験群のフォローアップが最低1,000人年であったものを包含した。ベースラインで併存疾患ありのものも除外せず、また高血圧症以外を指標とする降圧薬の試験も適格とした。 要約データレベルで、試験特性、重大心血管疾患イベント、冠動脈疾患、脳卒中、心不全、腎不全、全死因死亡のアウトカムを抽出。逆分散加重固定効果メタ解析にて求めたプール推定値で評価を行った。収縮期血圧10mmHg低下で各イベントの相対リスクは0.72~0.83に 検索により123試験61万3,815例のデータを特定。メタ回帰分析の結果、降圧が大きいほど相対的にリスクは低下することが示された。収縮期血圧10mmHg低下は、重大心血管疾患イベントリスク(相対リスク[RR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.77~0.83)、冠動脈心疾患(0.83、0.78~0.88)、脳卒中(0.73、0.68~0.77)、心不全(0.72、0.67~0.78)のリスクを有意に低下した。試験集団の全死因死亡率は有意に13%減少した(0.87、0.84~0.91)。しかしながら、腎不全に対する効果は有意ではなかった(0.95、0.84~1.07)。 同様のリスク減少(収縮期血圧10mmHg低下による)は、ベースラインの収縮期血圧の平均値が高値であった試験、および低値であった試験でもみられた(すべての傾向のp>0.05)。 ベースラインでの疾患歴の違い(糖尿病とCKDを除く)による重大心血管疾患の比例リスクの低下については、エビデンスは得られなかったものの、わずかだが有意なリスクの低下は認められた。 降圧薬別にみると、β遮断薬が重大心血管イベント、脳卒中、腎不全の予防について他剤と比べて劣性であった。Ca拮抗薬は、他剤と比べて脳卒中の予防について優れていたが、心不全予防については劣性であった。心不全予防については利尿薬が他剤と比べて優れていた。 なお、バイアスリスクについては113試験が低いと判定され、不明は10試験であった。アウトカムのばらつきも低~中等度であった。I2検定による結果は、重大心血管疾患イベント41%、冠動脈疾患25%、脳卒中26%、心不全37%、腎不全28%、全死因死亡35%であった。 また、層別解析の結果、ベースラインで130mmHg未満の低値であった人を包含した試験で比例効果が減弱したとの強いエビデンスはみられず、重大心血管イベントは、ベースラインでさまざまな併存疾患のハイリスク患者で明白に低下したことが示され、降圧効果についてはSPRINT試験と一致した所見が得られたとしている。

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日本人における便秘と心血管疾患死のリスク

 大阪大学の久保田 康彦氏らは、排便頻度および下剤使用と心血管疾患(CVD)との関連について、日本人の大規模コホート研究であるJACC(Japan Collaborative Cohort)Studyで検討した。その結果、便秘はCVD危険因子への曝露を示すマーカーとなる可能性があり、下剤使用は冠動脈疾患と虚血性脳卒中による死亡の危険因子となりうることが示唆された。Journal of epidemiology誌オンライン版2015年12月26日号に掲載。 本研究では、1988~90年にCVDやがんの既往のない7万2,014人(40~79歳、男性2万9,668人、女性4万2,346人)について、排便頻度(毎日・2~3日に1回・4日以上に1回)と下剤使用(はい・いいえ)に関する情報を含むライフスタイルのアンケートを開始時に実施し、2009年まで追跡した。 主な結果は以下のとおり。・116万5,569人年のフォローアップの間に死亡した参加者は、冠動脈疾患が977人(男性561人、女性416人)、脳卒中全体が2,024人(男性1,028人、女性996人)、虚血性脳卒中が1,127人(男性606人、女性521人)、出血性脳卒中が828人(男性388人、女性440人)であった。・CVDの危険因子(糖尿病、ストレス、うつ病、運動不足など)の保有率は、下剤使用者と排便頻度の低い人で高かった。・多変量解析による下剤使用者のハザード比(95%CI)は以下のとおり。 冠動脈疾患:1.56(1.21~2.03) 脳卒中全体:1.27(1.08~1.49) 男性における虚血性脳卒中:1.37(1.07~1.76) 女性における虚血性脳卒中:1.45(1.17~1.79)・追跡期間初期の死亡を除外しても同様の結果が認められた。・排便頻度とCVDによる死亡の間に有意な関連は認められなかった。

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硝酸イソソルビドは拡張不全の運動耐容を低下させる?(解説:野出 孝一 氏)-469

 わが国でも高齢化社会や、肥満、糖尿病の増加に伴い、心不全、とくに拡張不全の患者数が急増している。拡張不全は生命予後の悪化のみならず、運動耐容能の低下に大きく影響している。 一方、ACE阻害薬やβ遮断薬でさえ、拡張不全の生命予後を改善する薬剤はいまだ見出されておらず、実臨床ではケースバイケースで個別に利尿薬等で拡張不全の治療を行っているのが現状である。硝酸薬は、とくに虚血性心疾患を伴う慢性心不全に対して、生命予後の改善というよりは、自覚症状の改善を目的として処方されているケースが多い薬剤である。 今回の研究は、その硝酸薬である硝酸イソソルビドが、拡張不全に対して、1日平均加速度単位という感度が高い運動耐容能の指標を、プラセボに比して有意に低下させることを報告したものである。理由として、1週間間隔という短期間で30mgから60mg、120mgに増量することで血圧が低下し、交感神経が賦活化したことや、多剤処方による薬物同士の相互作用などが考えられる。慢性拡張不全の症状軽減に作用すると考えられていた硝酸薬が、6週間で日常生活動作レベルを悪化したことは、軽症心不全に対し容易に硝酸薬を使用することに対し、注意を喚起している。ただ、拡張不全に対する硝酸薬の予後に対する大規模介入研究は、今後必要である。

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必要以上にHbA1cを検査することは糖尿病の過剰治療につながる(解説:吉岡 成人 氏)-468

日本の現状と米国糖尿病学会の推奨 血糖コントロールが安定している2型糖尿病患者において、インスリン製剤を使用していない患者では、どの程度の間隔でHbA1cを測定するのが適切なのであろうか。 私たちの施設では、非薬物療法の場合は3ヵ月から半年に1回、経口糖尿病治療薬を使用している場合は、2~3ヵ月に1回、インスリン治療を行っている患者では、1~2ヵ月に1回の間隔で測定を行っている。糖尿病の専門施設で病診連携を積極的に行っている場合には、2型糖尿病の場合は1年に1~2回程度、しかし、連携先の一般のクリニックでは、おそらく毎月1回程度はHbA1cを測定していると思われる。 米国糖尿病学会(ADA:American diabetes association)ではHbA1cの適正な測定間隔について、・血糖コントロール目標を達成し、安定している場合には少なくとも年に2回以上・治療モードを変更した場合ないしは血糖コントロール目標を達成していない場合には 3ヵ月に1回・HbA1cの簡易測定装置を利用したPOCT(point-of-care testing)によって、より適切に治療モードの変更を行うことができる。と記載している(Standards of Medical Care in Diabetes-2015: Diabetes Care. 2015;38: S34-35.)。 医療費や医療に対するアクセスが日本とは異なる、米国における推奨(Recommendations)をどの程度尊重するかには慎重な姿勢が求められるが、今回、HbA1cの過剰な測定が糖尿病の「過剰治療につながる」という論文がBMJに公表された。安定した2型糖尿病患者でHbA1c測定を3回以上実施するのは過剰治療 インスリン製剤を使用せずに血糖コントロール目標が達成され、維持されている場合は、2型糖尿病では、年に1~2回のHbA1cの測定が「適切」と考えられているため、地域住民を対象とした後ろ向きの調査によって、HbA1cの過剰測定が治療変更へ影響しているかどうかを検討したものである。 全米8,600万人以上の民間保険加入者を対象とした、診療報酬請求データベースであるOptum Labs Data Warehouseおよびメディケア・アドバンテージの2001~14年のデータが解析の対象となっている。 18歳以上で、インスリンを使用せずに血糖コントロールが安定しており(24ヵ月以内の2回の検査でいずれもHbA1c<7.0%)、重症の低血糖や高血糖の既往がない2型糖尿病患者を抽出し解析が行われた。妊娠中の患者は除外されている。HbA1cの測定は2回目の実施を起点としてその後24ヵ月までの実施回数を数え、ガイドラインの推奨回数(6ヵ月ないしはそれ以上の間隔で2回/年まで)、高頻度(3~4回/年)、過剰(5回以上/年)に分類。治療レジメンの変更は、検査の3ヵ月後と3ヵ月前の薬剤の診療報酬請求を比較することで確認している。血糖降下薬の薬剤数の増加、インスリン製剤の追加を「治療の強化」と判定している定義し、脱強化は1つ以上の薬剤を中止した場合とした。 解析の対象となったのは、3万1,545例、平均年齢58±11歳、HbA1cは6.2±0.4%、全体の32.9%は経口糖尿病治療薬を投与されておらず、37.7%は単剤での治療、21.3%は2剤、8.2%が3剤以上の併用であった。 HbA1cの測定頻度が適切でRecommendationに沿っていたのは39.7%であり、過剰が5.8%、高頻度は54.5%であり、およそ60%がRecommendationを超えて実施されていた。 検査回数の多い患者は、年齢が高く、合併症罹患率が高く、糖尿病治療薬の数が多く、HbA1cが高値であり(いずれもp<0.001)、一般医よりも専門医ではHbA1cの測定頻度が高かった。 解析期間中に治療モードの変更がなかった患者は81.6%、血糖コントロールが推奨目標値を満たしたにもかかわらず治療が強化された患者が8.4%認められ、HbA1cの測定が過剰な群で13%、高頻度の測定群で9%、推奨範囲の測定患者では7%と、HbA1cの測定が多いことが過剰治療と関連することが確認された(p<0.001)。HbA1cが過剰に測定された群では、HbA1cの測定が推奨回数にとどまった群に比較して、治療が強化される可能性が有意に高かった(オッズ比:1.35、95%信頼区間:1.22~1.50)。 著者らは、推奨回数以上のHbA1cの測定が過剰な血糖降下薬治療をもたらす可能性があり、過剰な検査が保健医療における無駄を増やし、糖尿病管理における患者の負担を増大させると結論付けている。日本における実情を勘案してみると 医療費が日本と比べ桁違いに高い米国で、保険会社のサポートを受けて実施された後ろ向き観察研究であり、データも保険会社が保有しているものが使用されている。検査回数の適正化が無駄な医療費を減らし、患者の負担を軽減すると結論付けているが、このデータには、治療の中断や未治療の患者は入ってこない。確かに、医療機関を定期的に受診している50代後半のHbA1cが6.2%の患者では、HbA1cの測定は年に数回で構わないのであろうが、診察の機会が少ないことは患者の病識を希薄にし、治療の中断にもつながる。日本においては、未受診や治療を中断している患者が糖尿病患者全体の30%を超えるという現状があることを勘案すると、このデータをそのまま受け止めるのはためらいを感じざるを得ない。

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糖尿病による認知症リスクに男女差あり~230万人の解析

 2型糖尿病により上乗せされる心血管疾患リスクは、男性より女性で大きい。糖尿病は認知症の危険因子でもあるが、その関連性に男女差がないかどうかは不明である。オーストラリアAlfred HealthのSaion Chatterjee氏らは、男女の糖尿病患者と認知症発症における性特異的な関連を検討するために、未発表データを用いてメタ解析を行った。その結果、2型糖尿病患者は非糖尿病者に比べて認知症の発症リスクが約60%高いこと、また、血管性認知症の上乗せリスクは女性のほうが大きいことが示唆された。Diabetes Care誌オンライン版2015年12月17日号に掲載。 著者らは、2014年11月以前に発表された研究で、糖尿病と認知症とのプロスペクティブな関連についての報告を体系的に検索した。各研究の著者から、糖尿病と認知症(全体およびサブタイプ)の関連における未発表の性特異的相対リスク(RR)および95%CIを入手した。ランダム効果メタアナリシスを用いて、性特異的RRおよびRRの女性対男性比(RRR)をプールした。 主な結果は以下のとおり。・14研究、合計231万330人、認知症10万2,174例のデータを解析した。・複数の交絡因子による調整後の解析では、男女共に、糖尿病により何らかの認知症のリスクが約60%増加した(女性:プールされたRR 1.62 [95%CI:1.45~1.80]、男性:同 1.58 [同:1.38~1.81])。・血管性認知症における糖尿病関連RRは、女性で2.34(95%CI:1.86~2.94)、男性で1.73(同:1.61~1.85)であった。また、非血管性認知症におけるRRは、女性で1.53(同:1.35~1.73)、男性で1.49(同:1.31~1.69)であった。・糖尿病の女性の血管性認知症の発症リスクは、男性よりも19%高かった(複数因子で調整されたRRR 1.19 [95%CI:1.08~1.30]、p<0.001)。

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高齢者のSU薬とワルファリンの併用、低血糖リスク増大/BMJ

 高齢者のワルファリンとスルホニル尿素薬(SU薬)の同時服用は、SU薬単独服用時に比べ、低血糖による病院救急部門受診・入院リスクを約1.2倍に増大することが、また、転倒リスクも約1.5倍に増大することが明らかにされた。米国・南カリフォルニア大学のJohn A. Romley氏らが、65歳以上のメディケア出来高払いプラン加入者の保険請求データを基に後ろ向きコホート試験を行った結果、示されたという。著者は、「結果は、これら薬物間の重大な相互作用の可能性を示唆するものだ」と指摘している。BMJ誌オンライン版2015年12月7日号掲載の報告。2006~11年の保険請求データを基に併用群 vs.SU薬単独群を分析 研究グループは、メディケア出来高払いプラン加入者の20%に相当する保険請求データを基に、SU薬(glipizideまたはグリメピリド)服用高齢者において、ワルファリンの併用が、低血糖などによる病院救急部門受診または入院リスク増大と関連するのかを調べた。被験者は、2006~11年にSU薬を処方されていた46万5,918例。そのうちワルファリンを処方されていたのは、7万1,895例(15.4%)だった。 主要評価項目は、ワルファリンとSU薬を同時処方されていた四半期(併用群)と、SU薬のみ処方されていた四半期(単独群)とで比較した、低血糖による病院救急部門受診または入院の発生率だった。多変量ロジスティック回帰法にて各被験者特性を補正し分析した。併用群で低血糖1.22倍、転倒1.47倍、精神状態関連1.22倍 結果、低血糖による病院救急部門受診または入院の発生は、併用群1,903件/393万8,939人・四半期、単独群は294件/41万6,479人・四半期で、併用群が有意に高率だった(補正後オッズ比[OR]:1.22、95%信頼区間[CI]:1.05~1.42)。 その中でも同時服用による低血糖発症リスクは、ワルファリンを初めて服用する人や、65~74歳の人で高かった。 また、ワルファリンとSU薬の同時服用時は、転倒(補正後OR:1.47、95%CI:1.41~1.54)や変性意識状態・精神状態関連(同:1.22、1.16~1.29)の病院救急部門受診や入院リスクについても、SU薬単独服用時に比べて有意に高率だった。なお、結果について著者は、ワルファリン使用と重症低血糖の関連については交絡因子の存在が否定できないこと、また今回の所見をもって高齢者全般について言えるものではないとしている。

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医師が選んだ「2015年の漢字」を発表!【CareNet.com会員アンケート結果発表】

12月15日に日本漢字能力検定協会が発表した『今年の漢字』では、「安」が1位に選ばれました。ところで、今年の世相を表す漢字について、医師に聞いてみたらどんな結果になるのでしょうか?CareNet.com医師会員を対象に募集したところ、1位に選ばれたのは「乱」でした。2位以下にランクインした漢字にも、今年らしさがよく表れています。アンケートの結果から、トップ5を発表します。※発表にあたって今年もケアネットの達筆社員が筆を執りました。書を持つ5人も弊社社員です。1位乱安保法案可決やマイナンバー法施行による政治の混乱、東京オリンピックのエンブレム騒動、ISによる数々の人質事件やテロ事件など。今年も多くの出来事が物議を醸したり恐怖に陥れたり、何かと「混乱」の一年だったというコメントが、「乱」の字を挙げた先生方からいくつも寄せられました。世の中と、そして人々の心の動揺までもを言い表すかのような一文字ですね。 「乱」を選んだ理由(コメント抜粋)安保闘争、ISISなど何かと乱れた1年だったように思います。(30代 呼吸器内科医/富山県)安保法、マイナンバーなど国民の理解が進まないまま乱立したため。それによって混乱をきたしているから。(30代 整形外科医/福岡県)安全保障問題、TPPや無差別テロなどで世の中が混乱している様に感じる。(40代 消化器外科医/沖縄県)安全保障問題、自然災害や大きな飛行機事故や船舶事故、ISのテロ行為など、世の中を混乱させる事柄が多かった様に思うからです。(50代 内科医/広島県)宗教戦争とはいいませんが、あまりにも寛容さがなさ過ぎます。経済・政治・宗教の混乱が「ごちゃごちゃ感」があり、選びました。(60代 内科医/東京都)2位戦第2位に選ばれた「戦」も、安保法案や沖縄の米軍基地移設問題など、戦争を想起させるため、この字を選んだというご意見が多く寄せられました。もう1つ、ラグビー日本代表の活躍と五郎丸歩選手の人気というポジティブなイメージをこの字に当てはめているというコメントもいくつかありました。 「戦」を選んだ理由(コメント抜粋)安全保障関連法案や沖縄辺野古基地移転など戦争に関する話題が多かったのに加えて、ラグビーのようにスポーツにおける戦いで躍進があったため。(40代 脳神経外科医/大阪府)世界中で戦争がなくならないのは厳然とした事実です。その中で、憲法9条だけでは国民の命を守れない事に目を向けるようになった転機の年です。(50代 内科医/広島県)ISによる人質事件に始まり、今回のパリのテロなど、テロ組織の「戦い」に明け暮れた一年だったように思います。安全保障法制も「戦」争法案と騒がれたこともあります。(50代 内科医/和歌山県)安全保障法案の成立やISのテロ、人質殺害など戦争の機運が高まるニュースが多かった。(20代 泌尿器科/群馬県)3位偽横浜のマンション杭打ちデータ偽装、欧州自動車大手の排出ガスデータ改ざん問題、国内大手電機メーカーの粉飾決算など、今年も数々の偽装の発覚が目立ちました。それを物語るかのような一文字です。このようなニュースはなかなかなくならないですね。 「偽」を選んだ理由(コメント抜粋)ここ毎年、この漢字しか思いつかない。(40代 外科医/京都府)東芝の粉飾決算、東京五輪エンブレムパクリ、マンション杭打ちデータ偽装、ギリシアの借金問題、フォルクスワーゲンの排気ガスデータ偽装……などなど。(30代 消化器内科医/静岡県)くい打ちデータ改ざんをはじめとして、日本の物作りは高品質であると思っていたものが、そうではないということが明らかとなったニュースが多いため。(40代 医師/山口県)4位争過激派組織ISが次々に仕掛けた人質事件やテロ事件に、世界中が恐怖に陥れられることが多かったこの一年を表している漢字です。また、安保法案や中国との領土問題など国内外の政治に関しても「争」の字を想起させるというご意見も多く寄せられました。 「争」を選んだ理由(コメント抜粋)国同士の争いやISの問題、TPPもまた争いであろう。(30代 小児科医/愛知県)戦争法案可決、パリでのテロ、ISの台頭、中国の南・東シナ海の侵攻など戦争や争いごとを感じる一年だったから。(40代 精神科医/岡山県)今年もあちこちで起こっている様々な争い。フランスの同時多発テロ、争いの負のスパイラルは繰り返されます。(50代 整形外科医/新潟県)5位安日本漢字能力検定協会発表の『今年の漢字』に選ばれた「安」は、CareNet.com医師会員では5位にランクイン。安倍政権の下で安保法案が可決されたという2つの「安」という意味を含んでいるようです。ほかにも、流行語大賞のトップ10に入ったお笑い芸人のセリフが連想されるというコメントもありました。 「安」を選んだ理由(コメント抜粋)安保関連法、ISによるテロ、マイナンバーの安全性に対する懸念など、安全、安心に関する事柄が多かった印象があるため。(40代 糖尿病・代謝・内分泌内科医/北海道)安保関連法案、安心してください、など。(30代 放射線科医/富山県)円安、安倍総理、安保にちなんで。(60代 呼吸器内科/埼玉県) アンケート概要アンケート名 :『医師が選ぶ!今年の漢字』実施日    :2015年11月18日調査方法   :インターネット対象     :CareNet.com会員医師有効回答数  :1,016件

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過度のHbA1c検査が糖尿病治療の過剰化をもたらす/BMJ

 血糖コントロールが安定した2型糖尿病患者の多くでは、糖化ヘモグロビン(HbA1c)の検査回数が多過ぎ、そのため血糖降下薬による治療が過剰となる可能性があることが、米国メイヨークリニックのRozalina G McCoy氏らの検討で示された。米国では、インスリン製剤を使用せずに血糖コントロールが達成、維持され、直近の糖尿病関連の急性合併症がみられない成人2型糖尿病患者(妊婦を除く)には、年に1~2回のHbA1c検査が推奨されている。一方、HbA1cの検査回数が多いと保健医療における冗長性(redundancy)や無駄が増えることが報告されているが、これらの試験は規模が小さいため、過剰なHbA1c検査が治療に及ぼす影響の評価は難しいという。BMJ誌オンライン版2015年12月8日号掲載の報告。HbA1c検査頻度別の治療変更への影響を後ろ向きに評価 研究グループは、2型糖尿病患者におけるHbA1c検査の実施状況およびその治療への影響を評価するために、地域住民ベースのレトロスペクティブな観察試験を行った(米国医療研究・品質調査機構[AHRQ]などの助成による)。 解析には、全米の8,600万人以上の民間保険加入者を対象とした診療報酬請求データベースであるOptum Labs Data Warehouseおよびメディケア・アドバンテージの2001~14年のデータを用いた。 対象は、年齢18歳以上、血糖コントロールが安定し(24ヵ月以内の2回の検査でいずれもHbA1c<7.0%)、インスリン製剤を使用しておらず、重症の低血糖や高血糖の既往がない2型糖尿病患者であり、妊婦は除外した。 HbA1c検査の頻度は、2回目を起点としてその後24ヵ月までの実施回数を数え、ガイドラインの推奨回数(0~2回/年)、高頻度(3~4回/年)、過剰(5回以上/年)に分類した。 治療レジメンの変更は、検査の3ヵ月後と3ヵ月前の薬剤の診療報酬請求を比較することで確認した。治療の強化は、血糖降下薬の薬剤数の増加およびインスリン製剤の追加と定義し、脱強化は1つ以上の薬剤を中止した場合とした。HbA1c検査は60%以上が推奨回数以上、過剰群は強化療法が1.35倍 解析の対象となった3万1,545例のベースラインの平均年齢は58±11歳、起点の検査時の平均HbA1cは6.2±0.4%であった。32.9%が血糖降下薬の投与を受けておらず、1剤が37.7%、2剤が21.3%、3剤以上は8.2%であった。 HbA1c検査の頻度は、過剰が5.8%(1,828例)、高頻度が54.5%(1万7,182例)、推奨回数は39.7%(1万2,535例)であった。再検査までの期間中央値は、それぞれ4週、12週、27週だった。 検査回数の多い患者は、年齢が高く、合併症罹患率が高く、糖尿病治療薬の数が多く、HbA1cが高値であった(いずれも、p<0.001)。 また、年間の医療提供者の数が、HbA1c検査頻度が推奨回数の患者に比べ過剰群(オッズ比[OR]:1.14、95%信頼区間[CI]:1.10~.1.18、p<0.001)および高頻度群(OR:1.05、95%CI:1.04~1.07、p<0.001)はともに有意に多かった。 起点のHbA1c検査後に、81.6%の患者は治療を変更しなかったが、血糖コントロールが推奨目標値を満たしたにもかかわらず、治療が強化された患者が8.4%認められた。その内訳は、過剰群が13%、高頻度群が9%、推奨回数群は7%だった(p<0.001)。 HbA1c検査頻度の過剰群は、推奨回数群に比べ強化療法が施行される可能性が有意に高かった(OR:1.35、95%CI:1.22~1.50)が、脱強化療法への移行には有意な差はなかった(同:1.08、0.97~1.20)。 過剰な検査の割合は、2001~08年には大きな変動はなかったが、09年以降は有意に減少した。11年の過剰検査率は、2001~02年に比べ46%低下した(OR:0.54、95%CI:0.46~0.64、p<0.001)。 著者は、「60%以上が推奨回数以上の検査を受けており、これが過剰な血糖降下薬治療をもたらす可能性がある」とまとめ、「過剰な検査は、保健医療における無駄を増やし、糖尿病管理における患者の負担を増大させる」としている。

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幸せだと長生きするとは本当か?/Lancet

 幸福であることで寿命が伸びたり、ストレスによる苦痛が死亡を早めることはないとの研究結果が、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のBette Liu氏らにより報告された。幸福や、精神的負担感(ストレス)が少ない、落ち着いて、くつろぎ感(リラックス)のある生活は、死亡率を低下させることが示唆されている。一方、不幸は、喫煙、アルコールの過剰摂取、肥満、運動不足など、疾患の危険のある生活様式をもたらす可能性があるが、むしろ不健康が不幸の原因となる逆因果関係の重要性が指摘されており、これらの交絡因子で補正すると、不幸は死亡率の上昇とは関連しないとする研究もあり、統一的な見解は得られていないという。Lancet誌オンライン版2015年12月9日号掲載の報告。約72万人の女性で幸福が死亡に及ぼす影響を評価 研究グループは、Million Women Studyのデータを用いて、幸福やそれに関連する健康的な生活の主観的指標(ストレスが少ない、落ち着き、リラックス)が、逆因果関係や交絡因子を適切に考慮しても、直接的に死亡を低減するかとの疑問に答えるための検討を行った。 Million Women Study(http://www.millionwomenstudy.org/introduction/)は、女性のさまざまな健康問題の解決を目的とする英国の全国調査である。1996年5月1日~2001年12月31日に、イングランドおよびスコットランドの50~69歳の女性約130万人が登録され、電子記録により原因別の死亡の追跡調査が行われた。 被験者には、登録から3年後にベースラインの質問票が送付され、社会人口学的因子や生活様式のほか、健康状態、幸福、ストレス、落ち着き、リラックスに関する質問に、自己評価で回答するよう求められた。 ベースラインの質問票への回答時に心疾患、脳卒中、COPD、がんが認められなかった女性において、2012年1月1日までの死亡(全死因、虚血性心疾患、がん)について解析を行った。 Cox回帰を用いてベースラインの自己評価による健康状態と生活様式の因子で補正したうえで、「不幸」(幸福を感じる頻度が「ときどき」「ほとんど/まったくない」)と回答した女性の死亡率を、「ほとんどいつも幸福」と答えた女性と比較し、死亡の率比(RR)を算出した。 71万9,671例(年齢中央値:59歳、四分位範囲:55~63)が解析の対象となり、平均9.6年(SD 1.9)の追跡期間中に4%(3万1,531人)が死亡した。不健康は不幸をもたらすが、不幸で死亡率は上昇しない 「ほとんどいつも幸福」と答えた女性が39%(28万2,619人)、「たいていは幸福」が44%(31万5,874人)であり、「不幸」との回答は17%(12万1,178人)だった。 ベースライン時に自己評価による健康状態が「不良」または「普通」と答えた女性では、「不幸」と強い関連が認められた(補正RR:0.298、99%信頼区間[CI]:0.293~0.303)。 年齢、自己評価による健康状態、高血圧・糖尿病・喘息・関節炎・うつ状態・不安の治療、社会人口学的因子や生活様式因子(喫煙、窮乏、BMIなど)で補正すると、「不幸」は全死因死亡(「ほとんどいつも幸福」に対する「不幸」の補正RR:0.98、95%CI:0.94~1.01)、虚血性心疾患死(補正RR:0.97、95%CI:0.87~1.10)、がん死(補正RR:0.98、95%CI:0.93~1.02)とは関連しなかった。 ベースライン時に健康状態が「良好」「きわめて良好」と答えた女性では、「不幸」は虚血性心疾患死およびがん死とは関連がなかった。 また、健康状態が「良好」「きわめて良好」と答えた女性では、「ストレスがある」「リラックスできない」「落ち着かない」のいずれの場合でも、全死因死亡率が上昇することはなかった。 著者は、「中年女性では、不健康が不幸の原因となる可能性はある。これを考慮したうえで交絡因子で補正すると、幸福やストレスは、死亡に対し直接的に重大な影響は及ぼさない」と結論している。

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予定帝王切開児は喘息や死亡リスクがわずかに高い/JAMA

 予定帝王切開分娩児は、経腟分娩児と比べて、5歳時点における入院またはサルブタモール吸入薬(商品名:サルタノールインヘラーほか)投与を要する喘息の絶対リスク、およびフォローアップ期間中(21歳時点)の全死因死亡の絶対リスクがわずかだが高いことが、英国・アバディーン大学のMairead Black氏らによる検討の結果、明らかにされた。予定帝王切開分娩は世界的に顕著な割合を占めており、予定・予定外を合わせると50%に達する国・地域もあることが報告されている。観察研究で、帝王切開分娩児は小児期の疾病リスクが高いことが示唆されているが、それらはキーとなる交絡因子が考慮されておらず、また予定帝王切開分娩児の、新生児期以降の死亡リスクに関する報告はなかったという。JAMA誌2015年12月1日号掲載の報告。スコットランド32万1,287例、予定帝王切開 vs.予定外帝王切開、経膣分娩で比較 研究グループは、1993~2007年にスコットランドで生まれた第1子単体児32万1,287例を対象に、2015年2月までフォローアップを行い、予定帝王切開分娩と小児期の健康問題や死亡との関連を調べた。初回妊娠の予定帝王切開分娩と、予定外帝王切開分娩および経膣分娩を比較した。 主要アウトカムは、入院を要した喘息とした。副次アウトカムは、5歳時点のサルブタモール吸入薬処方、5歳時点の肥満、フォローアップ中の炎症性腸疾患(IBD)、1型糖尿病、がん、死亡などであった。予定 vs.予定外は同等、vs.経膣の喘息1.13~1.22倍、死亡1.41倍 本解析における対象の内訳は、予定帝王切開分娩児1万2,355例(3.8%)、予定外帝王切開分娩児5万6,015例(17.4%)、経膣分娩児25万2,917例(78.7%)であった。 予定外帝王切開分娩児との比較で、予定帝王切開分娩児に、入院を要した喘息、5歳時点のサルブタモール吸入薬処方、5歳時点の肥満、IBD、がん、死亡のリスクの有意差はみられなかった。しかし、1型糖尿病リスクの増大がみられた(0.66% vs.0.44%、差:0.22%、95%信頼区間[CI]:0.13~0.31%、補正後ハザード比[HR]:1.35、95%CI:1.05~1.75)。 経膣分娩児との比較では、予定帝王切開分娩児に、入院を要した喘息(3.73% vs.3.41%、差:0.32%、95%CI:0.21~0.42%、補正後HR:1.22、95%CI:1.11~1.34)、5歳時点のサルブタモール吸入薬処方(10.34% vs.9.62%、差:0.72%、95%CI:0.36~1.07%、補正後HR:1.13、95%CI:1.01~1.26)、死亡(0.40% vs.0.32%、差:0.08%、95%CI:0.02~1.00%、補正後HR:1.41、95%CI:1.05~1.90)のリスク増大がみられた。5歳時点の肥満、IBD、1型糖尿病、がんのリスクについて有意差はみられなかった。 これらの結果について著者は、「さらなる調査を行い、観察された関連の因果関係を明らかにする必要がある」と述べている。

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世界初の治療が行われている難病

 12月8日、都内において「『命を考える』~患者さまのためにわたしたちができること 知られざる難病 脂肪萎縮症」と題して、塩野義製薬株式会社はメディアセミナーを開催した。「脂肪萎縮症」は、100万人に1人に発生する難病で、根治療法はなく、患者の生命予後も不良の難病である。罹患率100万人に1人の難病 セミナーでは、本症の診療ガイドラインの作成委員長である中尾 一和氏(京都大学大学院医学研究科 メディカルイノベーションセンター 特任教授)が、「脂肪萎縮症の診断と治療を取り巻く環境」をテーマに、疾患の概要を説明した。 脂肪萎縮症は、「種々の原因により、全身性、部分性、あるいは限局性に脂肪組織が萎縮する疾患」であり、難治性の糖尿病や高中性脂肪血症、脂肪肝などの合併症を呈する。本症の原因はいまだ解明されていないが、脂肪細胞の発生分化・増殖・機能に関わる遺伝子異常、感染症、自己免疫疾患、薬剤、注射など機械的な圧迫、除神経などにより生じると考えられている。本症は脂肪組織が萎縮する疾患のため、摂取エネルギーを過剰にしても、体内に蓄積されず、かえって合併症を悪化させるという。本症は、遺伝性要因によるものか、非遺伝性要因によるものかで大別され、さらに脂肪萎縮が全身性、部分性、あるいは限局性に認められるかによって細分類される。 疫学では、世界的にみて罹患率は100万人に1人であり、わが国では36人の患者が報告されている。脂肪萎縮症の診断と治療 本症の診断では、脂肪細胞の萎縮、アディポカインの減少・欠乏、糖脂質代謝異常などの所見で診断するほか、MRIのT1強調所見での確認も有効であるという。また、本症では血中レプチン濃度も低下することから、この数値の動きも診断の助けとなる。 治療に関しては、特効薬が確立されていなかったこともあり、対症療法の有効性は限定的で、予後についても患者が30歳を過ぎると糖尿病合併症、非アルコール性脂肪肝炎、肝硬変、肥大型心筋症などの疾患により、亡くなる場合が多かった。 こうした中、当初、米国で肥満症治療薬として研究が進められていたレプチンについて、本症治療への有効性が認められ、レプチン補充療法が開発された。そして、2013年に世界で初めて、わが国において薬事承認されたものである。 レプチン補充療法は、1日1回皮下注射で投与する。全身性・部分性脂肪萎縮症、小児・成人の区別なく施行できる。 効果としては、投与開始後1~2週間で空腹時血糖、中性脂肪濃度は有意に改善する。また、5年間のレプチン補充療法の効果としては、空腹時血糖、HbA1c、中性脂肪、肝臓容積がいずれも低下または基準値内を示しており、有効性と安全性も確認されている1)。 この治療法により、患者に健康な人並みの生命予後が実現されること、さらにiPS細胞などの応用により将来、脂肪細胞の再生ができるようになることを期待すると、レクチャーを終えた。疾患ネットワーク作りが急務 続いて、小児科領域から横谷 進氏(国立成育医療研究センター病院 副院長)を迎え、「脂肪萎縮症の診断、治療を促進するために~環境整備・患者支援を考える」と題し、中尾氏と対談が行われた。 対談では、難病の新医療補助制度により、本症が指定難病に指定されたこと、また、小児期に発症すれば、小児慢性特定疾病として指定難病と同じく治療費などの補助が受けられるようになったことを受けて、全年齢期に応じた治療環境が整ったことへの評価が語られた。 また、実臨床では、医師同士、専門医同士のネットワーク作りが重要であるとの意見が交わされた。たとえば、ある勉強会で報告された事例として、糖尿病が急激に発症・進行した患者を専門医に紹介したことで、本症への診断へとつながった例などが挙げられ、専門医に紹介や問い合わせが行われることが必要だとした。最後に中尾氏が、「今後、日本ホルモンステーションへの症例の集約や、内分泌学会で進めている診療ガイドラインの作成により、正しい診断を期したい」と結んだ。(ケアネット 稲川 進)関連コンテンツケアネット・ドットコム 希少疾病ライブラリ 脂肪萎縮症はこちら。参考文献1)Ebihara K, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2007;92:532-541.

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プライマリケア医に糖尿病診療マニュアルは有用か

  国立国際医療研究センター病院では、一般診療所・クリニック向けに診療の最適化と病診連携の観点から「糖尿病標準診療マニュアル」を作成・配布し、糖尿病診療の均てん化などを図っている。 本診療マニュアルは、インターネットで一般無料公開されており、内容は半年ごとに改訂され、検査の頻度や選択薬剤の優先度を明記するとともに、エビデンスの系統的な批評・査定による推奨を記載し、専門医・拠点病院への紹介の適応とタイミングも述べられている。 今回、本診療マニュアルの有用性がランダム化試験で研究され、その結果、糖尿病合併症に関して、診療の質を改善することが能登 洋氏(聖路加国際病院内分泌代謝科)によって示唆された。また、血糖コントロール・合併症罹患率・病診連携などに関する長期試験での更なる検証も重要としている。Journal of Diabetes Investigation誌に掲載(Accepted manuscript online:2015年12月12日)。 エビデンスに基づいた多数の診療ガイドラインや診療マニュアルの有効性が、わが国では検証されていないことに鑑み、本研究では、「糖尿病標準診療マニュアル」が、地域のかかりつけ医に通院する2型糖尿病患者の診療の質(Quality Indicator:QI)を改善するかどうかを検証した。 本研究は、かかりつけ医を対象に、「糖尿病治療ガイド」に加えて「糖尿病標準診療マニュアル」を配布する群(介入群)と前者のみを配布する群(対照群)の2群に割り付け、QIを比較するクラスター・ランダム化比較試験とした。参加かかりつけ医には評価項目をマスクし、主要評価QIとして診療達成目標遵守割合(糖尿病網膜症評価[1回/年]遵守率・尿中微量アルブミン測定[1回/6ヵ月]遵守率・血中クレアチニン[1回/6ヵ月]遵守率)を指標とした。また、副次評価QIとしてHbA1c測定[1回/3ヵ月]遵守率・血圧測定[1回/3ヵ月]遵守率・総コレステロール(またはLDLコレステロール)測定[1回/3ヵ月]遵守率の診療達成目標遵守割合とHbA1c値を指標とした。 主な結果は以下のとおり。・8地区42人の一般医が参加し、計416人の糖尿病患者が登録された。・介入群(n=234)・対照群(n=182)のベースライン平均HbA1c値はそれぞれ7.1%、 7.0%(p=0.76)であり、各QIにも有意差はなかった。・介入後1年間で、尿中微量アルブミン測定の実施率は、「糖尿病標準診療マニュアル」により有意に向上した(17.9% vs.5.3%、p=0.016)が、他のQIには両群間で有意な変化はなかった。・介入後の平均HbA1c値にも両群間で有意差はなかった(7.1% vs.7.1%、p=0.90)。  詳しい論文内容については、こちら『糖尿病標準診療マニュアル』の入手は、こちら関連コンテンツ診療よろず相談TV 「糖尿病」はこちら

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最も多く「いいね!」を集めたのはこれ!【2015年 Facebookいいね!年間ランキング】

2015年にCareNet.comに掲載した医療ニュースの中でFacebookの「いいね!」が多かった記事、トップ30を発表します。最新の医学情報はもちろん、飲食や睡眠にまつわるエビデンス、生活習慣とがんリスクなど、私たち自身の健康に関わるテーマの記事が多くランクインしました。1位音楽療法が不眠症に有用(2015/9/8)2位本当だった!? 血液型による性格の違い(2015/6/2)3位緑茶やコーヒーで胆道がんリスクは減少するか~日本のコホート研究(2015/11/12)4位かかりつけ機能を基に薬局を地域の健康窓口へ~「健康情報拠点薬局」第2回検討会(2015/6/24)5位膝OAに陸上運動療法は有効(2015/2/3)6位コーヒー摂取量と死亡リスク~日本人9万人の前向き研究(2015/5/11)7位なんと!血糖降下薬RCT論文の1/3は製薬会社社員とお抱え医師が作成(解説:桑島 巖氏)(2015/7/14)8位心房細動へのジゴキシン、死亡増大/Lancet(2015/3/30)9位脳梗塞の発症しやすい曜日(2015/4/3)10位片頭痛の頻度と強度、血清脂質と有意に相関(2015/10/13)11位周術期の音楽が術後の疼痛・不安を軽減/Lancet(2015/8/24)12位抗認知症薬の脳萎縮予防効果を確認:藤田保健衛生大(2015/8/13)13位新しいがん免疫療法、これまでと何が違う?~肺がん医療向上委員会(2015/8/4)14位少量飲酒でも発がんリスクは上昇する?/BMJ(2015/9/1)15位夫の喫煙で乳がんリスクが増大~高山スタディ(2015/2/9)16位心肺蘇生への市民介入で後遺症のない生存が増大/JAMA(2015/8/7)17位長時間労働は、冠動脈心疾患よりも脳卒中のリスクを高める/Lancet(2015/8/31)18位認知症患者への睡眠薬投与、骨折に注意(2015/7/1)19位腰痛は患者の心身を悪化させ医療費を増やす:日本発エビデンス(2015/3/27)20位肺がん患者が禁煙したときの延命効果は?(2015/7/2)21位社会生活の「生きにくさ」につながる大人のADHD(2015/9/16)22位唐辛子をほぼ毎日食べると死亡リスク低下/BMJ(2015/8/17)23位長時間労働は多量飲酒につながる/BMJ(2015/1/26)24位アルコール摂取とがんリスク、用量依存的に関連(2015/10/14)25位慢性疼痛 患者の性差を考慮した対処を(2015/5/1)26位脱毛症の人はあのリスクが上昇(2015/1/21)27位失明患者の視覚を回復、人工網膜システムが欧米で初承認(2015/8/26)28位統合失調症への集団精神療法、効果はどの程度か(2015/6/24)29位糖質制限食と糖尿病リスク:日本初の前向き研究(2015/2/27)30位魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大(2015/7/1)

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ACS発症の糖尿病におけるリキシセナチド、心血管転帰への影響は?/NEJM

 2型糖尿病で急性冠症候群(ACS)を発症した患者に対し、GLP-1受容体作動薬リキシセナチド(商品名:リキスミア)を追加投与しても通常治療のみの場合と比べて、主要心血管イベントやその他重篤有害事象の発生率について有意な変化はみられなかった。米国ハーバード・メディカル・スクールのMarc A. Pfeffer氏らによる6,068例を対象とした多施設共同無作為化プラセボ対照試験ELIXAの結果、報告された。リキシセナチドなどGLP-1受容体作動薬は多くの国で2型糖尿病患者への血糖降下薬として承認されているが、これまで大規模な心血管アウトカム試験の報告はなかった。NEJM誌2015年12月3日号掲載の報告。49ヵ国で6,068例を対象に無作為化プラセボ対照試験 試験は2010年7月9日~13年8月2日に、49ヵ国で6,068例の患者を登録して行われた。被験者は、2型糖尿病で、無作為化前180日以内に心筋梗塞または不安定狭心症で入院歴のある患者で、通常治療に追加してリキシセナチドまたはプラセボを投与する群に無作為に割り付け、リキシセナチドのプラセボに対する非劣性(ハザード比の95%信頼区間上限値を1.3と定義)と優越性(同1.0と定義)を評価した。 主要エンドポイントは、心血管死・心筋梗塞・脳卒中・不安定狭心症による入院の複合であった。 両群の被験者特性は類似しており、リキシセナチド群(3,034例)は平均年齢59歳、65歳以上被験者比率33.1%、女性30.4%、糖尿病罹病期間9.2年、HbA1c値7.7%、BMI 30.1、喫煙者11.7%、指標ACS以前の心筋梗塞歴22.1%、無作為化時の病歴は高血圧75.6%、PCI 67.6%、心不全22.5%など。また収縮期血圧129mmHg、LDL-C値78.8mg/dL、確認されたACSイベントはSTEMIが44.5%、非STEMI 38.4%、不安定狭心症16.9%、ACSから無作為化までの期間は71.8日などの特性を有していた。主要心血管イベントの発生、プラセボに対する優越性は認められず 追跡期間は中央値25ヵ月であった。主要エンドポイントの発生は、リキシセナチド群406例(13.4%)、プラセボ群399例(13.2%)で(ハザード比[HR]:1.02、95%信頼区間[CI]:0.89~1.17)、リキシセナチドのプラセボに対する非劣性は確認されたが(p<0.001)、優越性は認められなかった(p=0.81)。また両群間で、追加エンドポイント指標の心不全による入院(リキシセナチド群のHR:0.96、95%CI:0.75~1.23)、全死因死亡(同:0.94、0.78~1.13)についても有意差は示されなかった。 一方で、リキシセナチドはプラセボと比べて、重篤有害事象の発生は高率ではなかった(20.6% vs.22.1%)。また重症低血糖、膵炎、膵腫瘍、アレルギー反応の発生率もプラセボと変わらなかった。

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