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なぜ必要? 4番目のIFNフリーC肝治療薬の価値とは

 インターフェロン(IFN)フリーのジェノタイプ1型C型肝炎治療薬として、これまでにダクラタスビル/アスナプレビル(商品名:ダクルインザ/スンベプラ)、ソホスブビル/レジパスビル(同:ハーボニー)、オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル(同:ヴィキラックス)の3つが発売されている。そこに、今年3月の申請から半年後の9月に承認されたエルバスビル/グラゾプレビル(同:エレルサ/グラジナ)が、11月18日に発売された。治療効果の高い薬剤があるなかで、新薬が発売される価値はどこにあるのか。11月29日、MSD株式会社主催の発売メディアセミナーにて、熊田 博光氏(虎の門病院分院長)がその価値について、今後の治療戦略とともに紹介した。患者背景によらず一貫した有効性 エレルサ/グラジナは、国内第III相試験において、SVR12(投与終了後12週時点のウイルス持続陰性化)率が慢性肝炎患者で96.5%、代償性肝硬変患者で97.1%と高いことが認められている。また、サブグループ解析では、前治療歴、性別、IL28Bの遺伝子型、ジェノタイプ(1a、1b)、耐性変異の有無にかかわらず、一貫した有効性が認められており、慢性腎臓病合併患者、HIV合併患者においても、海外第III相試験で95%以上のSVR12率を示している。IFNフリー治療薬4剤の効果を比較 しかしながら、すでにIFNフリー治療薬が3剤ある状況で、新薬が発売される価値はあるのかという疑問に、熊田氏はまず4剤の効果を治験成績と市販後成績で比較した。 薬剤耐性(NS5A)なしの症例では、治験時の各薬剤の効果(SVR24率)は、ダクルインザ/スンベプラが91.3%、ハーボニーが100%、ヴィキラックスが98.6%、エレルサ/グラジナが98.9%であり、実臨床である虎の門病院での市販後成績でも、ダクルインザ/スンベプラが94.0%、ハーボニーが98.2%、ヴィキラックスが97.7%(SVR12率)と、どの薬剤も良好であった。 一方、薬剤耐性(NS5A)保有例の治験時の成績は、ダクルインザ/スンベプラが38%、ハーボニーが100%、ヴィキラックスが83%、エレルサ/グラジナが93.2%であり、虎の門病院の市販後成績では、ダクルインザ/スンベプラが63.7%、ハーボニーが89.6%、ヴィキラックスが80.0%(SVR12率)であった。熊田氏は、「治験時の100%よりは低いがハーボニーが3剤の中では良好であるのは確かであり、実際に使用している患者も多い」と述べた。副作用はそれぞれ異なる 次に、熊田氏は虎の門病院での症例の有害事象の集計から、各薬剤の副作用の特徴と注意点について説明した。 最初に発売されたダクルインザ/スンベプラは、ALT上昇と発熱が多く、風邪のような症状が多いのが特徴という。 ハーボニーは、ALT上昇は少ないが、心臓・腎臓への影響があるため、高血圧・糖尿病・高齢者への投与には十分注意する必要があり、熊田氏は「これがエレルサ/グラジナが発売される価値があることにつながる」と指摘した。 ヴィキラックスは、心臓系の副作用はないが、腎障害やビリルビンの上昇がみられるのが特徴である。また、Ca拮抗薬併用患者で死亡例が出ているため、高血圧症合併例では必ず他の降圧薬に変更することが必要という。 発売されたばかりのエレルサ/グラジナについては、今後、症例数が増えてくれば他の副作用が発現するかもしれないが、現在のところ、ALT上昇と下痢が多く、脳出血や心筋梗塞などの重篤な副作用がないのが特徴、と熊田氏は述べた。 このように、各薬剤の副作用の特徴は大きく異なるため、合併症による薬剤選択が必要となってくる。今後の薬剤選択 熊田氏は、各種治療薬の薬剤耐性の有無別の治療効果と腎臓・心臓・肝臓への影響をまとめ、「エレルサ/グラジナは、耐性変異の有無にかかわらず、ハーボニーと同等の高い治療効果を示すが、ハーボニーで注意すべき腎臓や心臓への影響が少なく、ここに新しい薬剤が発売される価値がある」と述べた。 また、今後の虎の門病院におけるジェノタイプ1型C型肝炎の薬剤選択について、「耐性変異なし、心臓・腎臓の合併症なし」の患者にはハーボニーまたはヴィキラックスまたはエレルサ/グラジナ、「NS5A耐性変異あり」の患者にはハーボニーまたはエレルサ/グラジナ、「腎障害」のある患者にはヴィキラックスまたはエレルサ/グラジナ(透析症例はダクルインザ/スンベプラ)という方針を紹介した。さらに、「NS5A耐性変異あり」の患者には、「これまではハーボニー以外に選択肢がなかったが、今後はエレルサ/グラジナが使用できるようになる。とくに心臓の合併症がある場合には安全かもしれない」と期待を示した。

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アルツハイマーやうつ病の予防、コーヒーに期待してよいのか

 観察研究によると、コーヒーは2型糖尿病、うつ病、アルツハイマー病と逆相関するが、虚血性心疾患とは逆相関しないとされている。米国2015年食事ガイドラインにおいて、コーヒーは保護効果がある可能性が記載されている。短期的試験では、コーヒーは、多くの血糖特性に対し中和的な影響を及ぼすが、脂質やアディポネクチンを上昇させるといわれている。中国・香港大学のMan Ki Kwok氏らは、大規模かつ広範な遺伝子型の症例対照研究および横断研究に適応された2つのサンプルのメンデル無作為群間比較を用いて、遺伝的に予測されるコーヒー消費による2型糖尿病、うつ病、アルツハイマー病、虚血性心疾患とその危険因子を比較した。Scientific reports誌2016年11月15日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・遺伝的に予測されたコーヒーの消費は、2型糖尿病(OR:1.02、95%CI:0.76~1.36)、うつ病(OR:0.89、95%CI:0.66~1.21)、アルツハイマー病(OR:1.17、95%CI:0.96~1.43)、虚血性心疾患(OR:0.96、95%CI:0.80~1.14)、脂質、血糖特性、肥満、アディポネクチンと関連していなかった。・コーヒーは小児期の認知とは関係がなかった。 著者らは「観察研究と一致し、コーヒーは、虚血性心疾患とも、予想通り小児期の認知とも関連がなかった。しかし観察研究とは対照的に、コーヒーは2型糖尿病、うつ病、アルツハイマー病に対し、有益な効果を示さない可能性が示された」とし、「この結果は食事ガイドラインで示唆されたコーヒーの役割を明確化し、これらの複雑な慢性疾患の予防介入は、他の手段を用いるべきではないか」とまとめている。関連医療ニュース 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 毎日5杯の緑茶で認知症予防:東北大 1日1杯のワインがうつ病を予防

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薬物有害事象による救急受診、原因薬剤は?/JAMA

 米国において2013~14年の薬物有害事象による救急外来受診率は、年間1,000例当たり4件で、原因薬剤として多かったのは抗凝固薬、抗菌薬、糖尿病治療薬、オピオイド鎮痛薬であった。米国疾病予防管理センターのNadine Shehab氏らの分析の結果、明らかになった。米国では、2010年の「患者保護および医療費負担適正化法(Patient Protection and Affordable Care Act :PPACA)」、いわゆるオバマケアの導入により、国家的な患者安全への取り組みとして薬物有害事象への注意喚起が行われている。結果を受けて著者は、「今回の詳細な最新データは今後の取り組みに役立つ」とまとめている。JAMA誌2016年11月22・29日号掲載の報告。薬物有害事象による救急外来受診率は、年間1,000人当たり約4件 研究グループは、全国傷害電子監視システム-医薬品有害事象共同監視(NEISS-CADES)プロジェクトに参加している米国の救急診療部58ヵ所における4万2,585例のデータを解析した。主要評価項目は、薬物有害事象による救急受診ならびにその後の入院に関する加重推定値(以下、数値は推定値)であった。 2013~14年における薬物有害事象による救急外来受診は、年間1,000人当たり4件(95%信頼区間[CI]:3.1~5.0)で、そのうち27.3%が入院に至った。入院率は65歳以上の高齢者が43.6%(95%CI:36.6~50.5%)と最も高かった。65歳以上の高齢者における薬物有害事象による救急外来受診率は、2005~06年の25.6%(95%CI:21.1~30.0%)に対して、2013~14年は34.5%(95%CI:30.3~38.8%)であった。高齢者では抗凝固薬、糖尿病治療薬、オピオイド鎮痛薬、小児では抗菌薬 薬物有害事象による救急外来受診の原因薬剤は、46.9%(95%CI:44.2~49.7%)が抗凝固薬、抗菌薬および糖尿病治療薬であった。薬物有害事象としては、出血(抗凝固薬)、中等度~重度のアレルギー反応(抗菌薬)、中等度~重度の低血糖(糖尿病治療薬)など、臨床的に重大な有害事象も含まれていた。また傾向として2005~06年以降、抗凝固薬および糖尿病治療薬の有害事象による救急外来受診率は増加したが、抗菌薬については減少していた。 5歳以下の小児では、原因薬剤として抗菌薬が最も多かった(56.4%、95%CI:51.8~61.0%)。6~19歳も抗菌薬(31.8%、95%CI:28.7~34.9%)が最も多く、次いで抗精神病薬(4.5%、95%CI:3.3~5.6%)であった。一方、65歳以上の高齢者では、抗凝固薬、糖尿病治療薬、オピオイド鎮痛薬の3種が原因の59.9%(95%CI:56.8~62.9%)を占めた。主な原因薬剤15種のうち、抗凝固薬が4種(ワルファリン、リバーロキサバン、ダビガトラン、エノキサパリン)、糖尿病治療薬が5種(インスリン、経口薬4種)であった。また、原因薬剤に占めるビアーズ基準で「高齢者が常に避けるべき」とされている薬剤の割合は、1.8%(95%CI:1.5~2.1%)であった。 なお、本研究には致死性の薬物有害事象、薬物中毒や自傷行為などは含まれていない。

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冠動脈石灰化、低リスク女性の心血管疾患リスク予測精度を向上/JAMA

 アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスクが低い女性の約3分の1に冠動脈石灰化(CAC)が認められ、CACはASCVDのリスクを高め、従来のリスク因子に加えると予後予測の精度をわずかに改善することが、オランダ・エラスムス大学医療センターのMaryam Kavousi氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年11月22日(オンライン版2016年11月15日)号に掲載された。米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)の予防ガイドラインに基づく、心血管疾患(CVD)の低リスク女性の予防戦略の導出におけるCAC検査の役割は、明らかにされていないという。欧米の5つの大規模コホート研究のメタ解析 研究グループは、ASCVDのリスクが低い女性のCVDリスクの予測および層別化におけるCAC検査の効用性を評価するために、5つの大規模な地域住民ベースのコホート研究のデータを用いてメタ解析を行った。 ダラス心臓研究(DHS、米国)、フラミンガム心臓研究(FHS、米国)、ハインツ・ニクスドルフ・リコール研究(HNR、ドイツ)、アテローム動脈硬化症多民族研究(MESA、米国)、ロッテルダム研究(RS、オランダ)の参加者のうち、ASCVDの10年リスクが7.5%未満の女性を選出した。 これら5つの研究は、一般人口からの多くの低リスク女性のCACデータが、詳細な長期フォローアップデータとともに入手可能と考えられるコホートとして選ばれた。固定効果モデルを用いたメタ解析で、これらの試験の結果を統合した。 主要評価項目はASCVDの発生とし、非致死的心筋梗塞、冠動脈心疾患(CHD)、脳卒中が含まれた。CACとASCVDの関連の評価には、Cox比例ハザードモデルを用いた。CACが、ASCVDリスクの従来のリスク因子よりも優れた予測因子であるかを評価するために、C統計量および連続的純再分類改善度(continuous net reclassification improvement:cNRI)を算出した。CAC発生率は36.1%、CAC>0のASCVDリスクのHRは2.04 ASCVDの低リスク女性6,739例が解析の対象となった。5研究のベースラインの平均年齢の幅は44~63歳であり、糖尿病の有病率は2.3~6.6%、早期CHDの家族歴ありは14.0~42.4%の範囲であった。 5研究のCACあり(CAC>0)の範囲は25.2~66.5%で、全体では36.1%(2,435例)であった。全体として、CACありの群は、より高齢で、心血管リスクのプロファイルがより不良であり、糖尿病有病率や早期CHD家族歴も高かった。フォローアップ期間中央値の幅は7.0~11.6年だった。 165件のASCVDイベントが発生し(非致死的心筋梗塞:64件、CHD死:29件、脳卒中:72件)、5研究のASCVD発生率の幅は1,000人年当たり1.5~6.0件であった。 CACあり(CAC>0)は、CACなし(CAC=0)と比較してASCVDのリスクが有意に高かった(1,000人年当たりの発生率:1.41 vs.4.33件、発生率差:2.92、95%信頼区間[CI]:2.02~3.83、多変量補正ハザード比[HR]:2.04、95%CI:1.44~2.90)。 従来のリスク因子にCACを加えると、C統計量が0.73(95%CI:0.69~0.77)から0.77(95%CI:0.74~0.81)へ改善し、ASCVD予測のcNRIが0.20(95%CI:0.09~0.31)となった。 著者は、「この予測精度の向上の臨床的な効用性と費用対効果を評価するには、さらなる検討を要する」としている。

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147)感情は如実に血圧に反応します【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師家庭での血圧記録をみせてもらってもいいですか? 患者はい。これです、どうぞ(血圧記録を差し出す)。 医師このとき、いつもより血圧が高いですね。何かあったんですか? 患者ハハハ…ばれましたか。妻とちょっとしたことで、夫婦喧嘩をしてしまって…。 医師そうでしたか。ストレスと血圧は密接に関係していますからね。この間、面白い論文がありましたよ。 患者それは、どんな研究ですか?(興味津々) 医師夫婦で意見の合わないときはあると思うんですが、そういったときに「怒り」を前面に押し出す人は、胸痛や高血圧になりやすいんだそうです。 患者それ、私ですね。 医師逆に、感情を抑える人は、背中の痛みや肩こりなどを訴えるそうです。 患者へー、そんなこともあるんですね。やっぱり、夫婦円満が一番ですね。●ポイント夫婦円満が健康的な生活につながることをわかりやすく説明します1)Haase CM, et al. Emotion. 2016 May 23. [Epub ahead of print]

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毎食後の歯磨きで糖尿病と脂質異常症リスクが減少

 歯磨き頻度と生活習慣病の関連について調査したところ、毎食後の歯磨きが男性での糖尿病と女性での脂質異常症の発症を有意に抑制することがわかった。聖路加国際病院における5年間の後ろ向きコホート研究の結果を、虎の門病院の桑原 政成氏らが報告した。歯磨きは心血管疾患発症の危険因子を減少させるために有益と考えられる。Journal of cardiology誌オンライン版2016年11月15日号に掲載。 著者らは以前、横断研究で歯磨きと糖尿病と脂質異常症の関連を報告しているが、今回、歯磨き頻度の低さが糖尿病および脂質異常症の独立した危険因子であるかどうかを検討した。 本研究は、2004年と2009年に年次健康診断を受け、2004年時点で30~85歳の人を調査した。歯磨きの頻度が「毎食後」「少なくとも1日1回」「1日1回未満」の3群における2004年から2009年の糖尿病、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症の累積発症率を比較した。さらに、「毎食後磨く」群と「毎食後は磨かない」群の2群間で、年齢、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症の調整後に、糖尿病と脂質異常症の発症リスクの男女別のオッズ比(OR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・1万3,070人の対象者のうち、2004年に糖尿病(575人)、脂質異常症(5,118人)、高血圧症(2,599人)、高尿酸血症(1,908人)であった人を除外した。・2004年と2009年の間の累積発症率は、糖尿病が318人(2.5%)、脂質異常症が1,454人(18.3%)、高血圧症が1,108人(10.6%)、高尿酸血症が489人(4.4%)であった。・「毎食後磨く」群に比べて、「毎食後は磨かない」群では男性の糖尿病発症(OR:1.43、95%信頼区間[CI]:1.040~1.970)、女性の脂質異常症発症(OR:1.18、95%CI:1.004~1.383)のリスクが有意に高かった。

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太り過ぎると高血圧になりやすい

太り過ぎると高血圧になりやすい太り過ぎないよう心掛けましょう!【対象】30~79歳の日本人 2,547人(2010年の調査)高血圧になる確率3.482.821.00正常体重男性女性BMIが25以上の人正常体重者(BMI:18.5~24.9)と比較した過体重者/肥満者(BMI:25.0以上)の高血圧症のオッズ比Nagai M, et al. Hypertension research. 2015;38;790-795.より作図Copyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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EUCLID試験:クロピドグレルの先進性は驚異的(解説:後藤 信哉 氏)-615

 チクロピジン、クロピドグレルは、フランスの政財官が協調して作り上げた優れた抗血小板薬であった。作用標的は未知であったが、当時の標準治療であったアスピリンに対するランダム化比較試験を、冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患を対象として行い勝利した。 米国にて、1997年に広い適応を取得した時点でも薬効標的は未知であったものの、これらの疾患におけるアスピリンに対するわずかな優位性に加えて、冠動脈ステント術後のステント血栓の予防には臨床家が実感できる効果があった。薬剤としての化学構造は、複雑、体内の代謝も未知、薬効標的分子も単離されないまま臨床家には広く使用された。世界のあまたの企業は、クロピドグレルの先進性にまったく追いつくことができなかった。 2001年に、7回膜貫通型受容体蛋白P2Y12が薬効標的として単離された。P2Y12はADPの受容体である。クロピドグレルはADPと相同性のないプロドラッグであったが、アストラゼネカ社はADP/ATP類似化合物として、P2Y12 ADP受容体阻害薬チカグレロル、カングレロルを開発した。最近の抗X薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬が各社ほぼ同時に開発する「me too!」ドラッグであることと比較すると、クロピドグレルの先進性、革新性は群を抜いていた。 カングレロルは、急性冠症候群を対象とする直接的な経静脈的P2Y12 ADP受容体阻害薬である。本邦の急性冠症候群は年間10万人なので、1回投与の価格を1万円としても、企業の収益は年間1万円×10万人=10億円にすぎない。1週間継続投与としても70億円なのでは、1,000億円クラスのブロックバスターを次々開発する大企業には、微々たる利益で開発の対象にならない。 チカグレロルは経口薬なので、1年服薬を継続すると考えれば、急性冠症候群で1日1万円の薬価とすると1万円×10万人×365日=3,650億円と商売になる。1万円の薬価は“べらぼう”なので1,000円にしても365億円、クロピドグレル並の200円にして70億程度と考える。クロピドグレルは特許を喪失して値崩れするだろうから、価格の競合を考えると市場をすべてとっても数億程度で大企業には魅力がない。 企業は、患者のための存在というよりも株主のための存在でもある。株主に大きな利益の期待を語れなければ良い経営者ではない。 チカグレロルでは、急性冠症候群のほかに脳血管疾患、末梢血管疾患、過去に血管病の既往のある糖尿病など、potentialな巨大市場を狙った「パルテノン計画」を発表した。 世界で年間数千億を売り上げた先進的、革新的なクロピドグレルが一社独占から開放されて価格競争の時代になっても、クロピドグレルに優る有効性、安全性を示すことができれば広い適応の取得が可能と考えた。 急性冠症候群を対象としたPLATO試験、心筋梗塞後1年以降の症例を対象としたPEGASUS試験は成功した。日本でも年間10万例の急性冠症候群を、発症後2~3年までチカグレロルで引っぱる科学的根拠を提示した(もっとも、日本で施行したPHILLO試験では急性期の有効性、安全性は示せなかったが…)。しかし、クロピドグレルの水準に達するためには脳血管疾患、末梢血管疾患における過去の標準治療と比較した有効性、安全性を示す必要がある。残念ながら、急性期脳卒中とTIAではアスピリンとの比較におけるSOCRATES試験にてチカグレロルの優越性を示すことができなかった。日本、アジア諸国では脳血管疾患の有病率が高く、世界人口におけるアジア人の比率も増加しているので、SOCRATES試験の失敗は開発企業には打撃であった。 症候性の末梢血管疾患は、近未来の血管イベント発生率が高い。メタ解析にてアスピリンによる心血管イベント予防効果が示されているが、標準治療が確立された領域ではない。急性冠症候群では90mg×2/日の用量にて、75mg/日のクロピドグレルに優る有効性を示した。 血栓イベントの発生に血小板が重要な役割を演じること、血小板による血栓形成にP2Y12 ADP受容体が重要な役割を演じていること、の2つの仮説が正しければ、急性冠症候群により強いP2Y12 ADP受容体阻害効果を示したチカグレロルは、クロピドグレルに優るはずであった。開発企業にとっても「チカグレロルが勝って当然」の試験であったと想像される。 しかし、結果はクロピドグレルとチカグレロルは同等であった。あらためて、クロピドグレルこそが革新的新薬であったことが確認された。 PLATO試験では、チカグレロル群の死亡率はクロピドグレル群より低く、死亡率の差は時間経過とともに拡大する傾向を認めた。死亡率低減効果は、チカグレロルの普及に大きく寄与した。しかし、今回のEUCLID試験では死亡率、心筋梗塞ともにクロピドグレル群において低い傾向であった。ランダム化のキーオープンの夜は、開発責任者は眠れなかったと想像される。 EBMの世界ではやり直しはできない。1万4千例近い大規模の末梢血管疾患における、抗血小板薬の有効性を検証する試験は過去に類をみない。私が開発責任者であれば、脳血管疾患、心血管疾患合併例を増やしたかもしれない。試験の登録基準を心筋梗塞後、脳梗塞後の末梢血管疾患とすれば、症例数を減らした試験はできたかもしれない。 しかし、あらためて、先行していたクロピドグレルは優れた薬であった。特許が切れて、広く社会に還元されたクロピドグレルの使用推奨により、医療コスト削減にも役立つ本試験のインパクトは甚だしい。

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医師が選んだ「2016年の漢字」TOP5!【CareNet.com会員アンケート結果発表】

毎年恒例となっている日本漢字能力検定協会の『今年の漢字』。今年も漢字の日である12月12日に発表されますが、CareNet.comでは一足先に医師会員に募集してみました。その結果、2016年を言い表す漢字、1位に選ばれたのは「震」でした。2位以下にランクインした漢字にも、今年らしさがよく表れています。アンケートの結果から、トップ5を発表します。発表に当たって、今年もケアネットの達筆社員が筆を執りました。書を持つ5人も弊社社員です。1位震4月に発生した熊本地震、そして10月の鳥取地震と、同じ年に強い地震が2つも発生したことを、この字を選んだ理由に挙げる先生がとても多くいらっしゃいました。また、地震以外にも「世の中を震撼させる」「心が震える」出来事が多かった1年であった、そういう思いも込められての選出でした。 「震」を選んだ理由(コメント抜粋)地震もあるし、震撼するような事件も多いため。(50代 腎臓内科医/石川県)熊本市で熊本地震を実際に被災した経験と、その後の支援のありがたさに心が震える思いをしたから。(40代 精神科医/熊本県)熊本、鳥取の地震も含めて、世の中が「震」えたから。(30代 皮膚科医/秋田県)地震(熊本、鳥取等)もあり、東京オリンピックの問題や、築地移転問題等震える事柄が多かった。(60代 内科医/福島県)地震、噴火、爆発などが相次ぎ、大地が震えるというイメージがあった1年でした。(60代 小児科医/茨城県)2位災1位と同じく熊本地震と鳥取地震、そして阿蘇山噴火、台風の影響による東北と北海道での浸水被害など、地震以外の自然災害が複数起きたことも含めてというのが主な選出理由でした。また、築地市場の豊洲移転問題、不安定な世界情勢によって繰り返される戦闘なども、「災」の字を選んだ理由に挙げられています。 「災」を選んだ理由(コメント抜粋)熊本や鳥取の地震や台風による被害など大きな自然災害が目立った。(50代 整形外科医/群馬県)天災が多い年だった。(20代 臨床研修医/兵庫県)地震、豊洲問題、かけつけ警護を必要とする戦闘状態などの問題が印象深いので。(50代 小児科医/愛媛県)熊本に住んでいて、予想だにできなかった地震でした。世界を見ればIS、シリア、ソマリアなどの紛争も解決の道筋が見えません。(50代 腎臓内科医/熊本県)熊本地震、阿蘇山噴火、鳥取地震、北海道洪水被害など自然災害が目立った。(60代 小児科医/北海道)3位乱昨年のCareNet.comのアンケートで1位だった「乱」は、今年は3位にランクイン。まさに混乱した世相を表す漢字です。国内だけでも、2020年の東京オリンピック開催場所にまつわる問題、築地市場の豊洲移転に伴ってさまざまな問題が噴出したこと、また海外に至ってはいまだ予断を許さない状況が続くなど、世の中が相変わらず混乱していることを、この字に当てはめての選出です。 「乱」を選んだ理由(コメント抜粋)気候、世界情勢、国内でいろいろあり。(60代 糖尿病・代謝・内分泌内科医/宮城県)異常気象や女性新都知事の種々の既存組織への乱入(挑戦?)(50代 内科医/京都府)混乱した世相を反映して。(30代 精神科医/大分県)オリンピック関連で開催場所の変更、築地市場でのゼネコンの問題等これからもいろいろ出てきそうなので。(40代 循環器内科医/京都府)地震や台風などの天災で日本中が乱れ、中東ではシリア問題で乱れ、ヨーロッパでは移民問題からイギリスのEU離脱問題で足並みが乱れ、アメリカでは大統領選挙がお互いの中傷合戦で乱れているから。(50代 内科医/岡山県)4位金リオ五輪が開催された今年、まず「金」の字のイメージとしてオリンピックの金メダルを挙げる方が多いと思います。今回の五輪での日本のメダル獲得数は、41個と過去最多を記録しました。閉会式では安倍首相がマリオの姿で登場するというサプライズも、閉幕から3ヵ月余りたった今も記憶に新しいと思います。ほかには、2020年の東京五輪の費用問題、舛添前都知事の政治資金問題、日銀のマイナス金利政策など、喜べない「金」の話題もあり、両方の意味を含めての選出です。 「金」を選んだ理由(コメント抜粋)オリンピック・パラリンピックイヤー。(50代 循環器内科医/福井県)オリンピックの金、舛添の金、金利マイナス。(30代 糖尿病・代謝・内分泌内科医/大阪府)オリンピックの金メダルと、総額3兆円超といわれる東京五輪費用問題を引っ掛けて。(60代 内科医/東京都)リオ五輪の金メダルと、東京五輪のお金の問題。(40代 放射線科医/兵庫県)5位倫この漢字一文字が、芸能人の不倫報道をはじめ、精神保健指定医資格の大量取り消し問題など、倫理観を問う問題が一年を通じて世間を賑わせ続けていたことを物語るかのような一文字です。余談ですが、本家の今年の漢字の予想では、同じ理由で(文春砲の)「砲」も挙がっているようです。12日の発表がどうなるか楽しみですね。 「倫」を選んだ理由(コメント抜粋)医療倫理、政治倫理、不倫など、倫理観の変化がみられる。(50代 内科医/東京都)公務員倫理や芸能界の不倫が話題になったから。(30代 精神科医/埼玉県)倫理的に問題なことが多かった。(40代 外科医/愛媛県) アンケート概要アンケート名 :『2016年を総まとめ!今年の漢字と印象に残ったニュースをお聞かせください』実施日    :2016年10月24日調査方法   :インターネット対象     :CareNet.com会員医師有効回答数  :524件

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CAD-Man試験:冠動脈CT(CTCA)は虚血性心疾患診療適正化のゲートキーパーになれるか?(解説:中野 明彦 氏)-614

【はじめに】 CTCAは冠動脈狭窄の評価に加え、positive remodelingに隠されたプラークの検出(内腔のみを判定する冠動脈造影[CAG]では冠動脈硬化症の重症度が過小評価になってしまう)、胸痛を呈する非冠動脈疾患(肺梗塞・大動脈解離・心膜炎・肺炎胸膜炎・食道裂肛ヘルニアなど)の鑑別を非侵襲的に行える利点を有する。有意狭窄判定の感度・特異度は報告によりばらつきがあるが、陰性適中率については100%近い精度を示し虚血性心疾患のルールアウトに有用というのが共通認識となっている。これらの利点により、CTCAはすでに日本の津々浦々の循環器専門病院やクリニックで導入されているが、臨床現場でどう使っていくかについてのスタンスは施設ごとにまちまちであり、これからの課題と考えられる。 その指標となる本邦での直近の指針「冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン(JCS 2009)1)」を整理してみると、以下のようになる。(UAP;不安定狭心症、NSTEMI;非 ST上昇型急性心筋梗塞、STEMI;ST上昇型急性心筋梗塞) *:安定狭心症のリスク層別化は検査前有病予測を意味し、胸痛の性状や臨床所見から推測する急性冠症候群の短期リスク評価とは異なる。胸痛の特徴(1.胸骨後部に手のひらで押されたような圧迫感,重苦しさ、2.労作に伴って出現、3.安静により治まる)を満たす項目数により典型的狭心症・非典型的狭心症・非狭心症性胸痛に分類し、年齢・性別を加味して層別化するが、非典型的狭心症の大半と非狭心症性胸痛で男性(>40歳)/高齢女性(>60歳)が中リスク群に分類される2)。検査前有病予測ではDuke clinical score2)がよく知られている。 【CAD-Man試験について】 ドイツから報告された CAD-Man(Coronary Artery Disease Management)試験は、特定のクリニカルシナリオ(30歳以上の非典型的狭心症および非狭心症性胸痛;2つ以上の負荷試験陽性例を除く)を対象としたCTCAとCAGとの無作為比較試験である。中リスクが多い対象群であり、上記「IIa 安定狭心症」に重なる。 詳細は、別項(本ページ上部:オリジナルニュース)に譲るが、要約すると、CTCAを選択しても放射線被曝量・3年間の心血管イベントの発生頻度は変わらず、QOL(入院期間・満足度)が高かった。CTCA群で最終診断ツールであるCAGが実施された割合は14%であり、当然のことながらその正診率(75%)は高く、CAG群の5倍だった。さらに、一連の検査・治療による大合併症(1次エンドポイント)は不変、小合併症は有意に抑制された。 わずか329例、single centerでの研究がBMJ誌に掲載されたことに驚かされたが、これまでCTCAとCAGとの直接比較が少なかったことや、特定のシナリオを設定しその有用性を示した点が評価されたのだろう。 本研究への疑問点・課題をいくつか提示しておきたい。 まずは、有病率の低さ(CTCA群11%、CAG群15%)である。トロポニンI/T値や心電図変化を対象外とせず、したがって急性冠症候群(UAP/NSTEMI)を許容する一方、全症例の平均年齢は60歳、半数が女性で糖尿病合併率は20%未満、虚血性心疾患の既往症例は除外された。さらに非典型的狭心症も半数以下だったことから、実際にはCTCA・CAGの適応とならない低リスク群が多数含まれていたと推察される。Duke clinical scoreから34.3%と予測した筆者らにとっても誤算だったであろうが、対象症例の有病率の低さは、検査に伴う合併症や長期予後の点に関してCTCA群に有利に働いた可能性があるし、被曝の観点からも問題である。 次に、血行再建術適応基準が示されていない点が挙げられる。CTCA群のみMRIでの当該領域心筋バイアビリティー≧50%が次のステップ(CAG)に進む条件となっているが、血行再建術の適応はCAG所見のみで決定されている。負荷試験の洗礼を受けない対象症例達は生理的・機能的評価なしに解剖学的要件のみで“虚血”と判断されたことになり、一部overindicationになっている可能性がある。 さらに、研究施設の日常臨床の延長線上で行われた本研究では、CTCAはすべて入院下で施行された。この点は、外来で施行されることが多い本邦の現状とは異なる。同様の試験を日本で行えば、入院期間やコスト面で、CTCA群での有効性にさらなる上積みが期待される。【冠動脈診療の適正化とCTCA】 高齢化社会の到来や天井知らずに膨らみ続ける医療経済的観点から、諸外国では医療の標準化・適正化(appropriateness)が叫ばれて久しい。虚血性心疾患診療の分野でも、治療のみならず診断の段階から appropriateness criteriaが提示されている3)。翻って、日本はどうだろうか。循環器疾患診療実態調査報告書(2015年度実施・公表) 4)から2010年と2014年のデータを比較すると、CTCAが34.6万件から42.4万件へと増加しているのに対し、CAGはいずれも49.8万件であった。待機的PCI数やCABG数があまり変化していないことを考え合わせれば、CTCAを有効かつ適正には活用できていないことになる。 CAD-Man試験は、CTCAが“不要な”CAGを減少させる可能性を示し、また反面教師として、 症例選択の重要性も示唆した。一方、血行再建症例の適応基準が課題として残っている。 多少横道にそれるが、新時代を切り開く技術としてFFRCTが注目されている。FFRCT法は CTCAのボリュームデータを使い、数値流体力学に基づいて血行動態をシミュレーションし FFRを推定する方法で、解剖学的判定と生理的・機能的評価を非侵襲的に行うことができる理想的なモダリティーである。実臨床に普及するには多くのハードルがあるが、昨年Duke大学から報告された「FFRCT版CAD-Man試験」ともいうべきPLATFORM試験5)6)では、臨床転帰を変えることなくCAGの正診率向上やコスト低減・QOL改善効果が示された。  日本でもappropriatenessの議論が始まっていると聞くが、CAD-Man試験が示したように現在のCTCAにはまだまだ課題が多い。適切な症例選択とFFRCT、これが融合すればCTCAが真のゲートキーパーとなる、と確信する。参考文献1)循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007―2008年度合同研究班報告)―冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン(PDF)2)Pryor DB, et al. Ann Intern Med. 1993;118:81-90.3)Hendel RC, et al. J Am Coll Cardiol. 2006;48:1475-1497.4)循環器疾患診療実態調査報告書 (2015年度実施・公表)(PDF)5)Douglas PS, et al. Eur Heart J. 2015;36:3359-3367.6)Douglas PS, et al. J Am Coll Cardiol. 2016;68:435-445.

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クランベリーカプセルで高齢女性の細菌尿と膿尿を予防できるか?(解説:小金丸 博 氏)-613

 尿路感染症(UTI)は介護施設における代表的な感染症であり、UTIを繰り返す高齢者は多い。そのUTIの非抗菌的な予防法として期待されているのがクランベリーである。クランベリーに含まれるプロアントシアニジンには、大腸菌が尿路上皮に接着するのを阻害する働きが示されており、クランベリージュースがUTIの予防法として数多く検討されてきたが、有効性に関するエビデンスは一致していなかった。クランベリージュースの有効性が得られなかった研究では、その理由として、ジュースでは飲みにくくアドヒアランスが不良となり、十分量のプロアントシアニジンを摂取できなかったことが挙げられた。 本研究は、介護施設に入所している65歳以上の高齢女性を対象に、クランベリーカプセルによる細菌尿+膿尿の発症予防効果を検討した二重盲検プラセボ対象ランダム化比較試験である。観察期間1年間での細菌尿+膿尿の発生率は、クランベリー投与群で25.5%、プラセボ投与群で29.5%であり、欠損データや背景因子を補正した後の解析では両群間で有意差は認めなかった(29.1% vs.29.0%、95%信頼区間:0.61~1.66、p=0.98)。また、セカンダリアウトカムである症候性UTIの発生数、死亡数、入院数、耐性菌による細菌尿、抗菌薬使用日数などにも差を認めなかった。 本研究では、介護施設に入所している高齢女性に対してクランベリーカプセルを投与しても、細菌尿、膿尿の発生を予防することができなかった。高齢女性に一律に投与しても十分な予防効果は期待できないのかもしれない。本研究では、尿道カテーテル留置者は対象から除外されているが、過去には、長期尿道カテーテル留置、糖尿病、UTIの既往といったUTIのハイリスク患者に対するクランベリーカプセルの有効性を示した報告もあり、クランベリーカプセルが有効な患者背景が今後同定される可能性は残されている。 本研究でクランベリーカプセルの有効性を示せなかった理由の1つに、ジュースでは得られるハイドレーション効果がカプセルでは得られないことが挙げられている。クランベリーカプセルを用いた研究では十分な飲水量を設定することで、予防効果が上がる可能性はあると考える。

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146)睡眠時の無呼吸は、血圧上昇のサイン【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師体調のほうは、いかがですか? 患者最近、仕事が忙しくて、睡眠時間が短くなって…ナポレオンは3時間しか寝てなかったというし…もっと頑張らないと…。 医師それは大変ですね。昼間に眠気はありませんか? 患者昼食後に無性に眠くなることがあります。仕事の効率も落ちてきて…。 医師それはいけませんね。実は、ナポレオンも昼間に居眠りをたびたびしていて、夜中には無呼吸だった可能性もあると歴史家は分析しています。 患者えっ、そうなんですか。私も妻に「いびきがうるさい」「呼吸が止まっている」と言われて…。そういえば、体重がだんだん増えてきて…。 医師それなら、一度睡眠時の検査をしておいたほうがよさそうですね。無呼吸があると交感神経が過緊張して、朝の血圧がだんだん上がってきますからね。 患者はい。よろしくお願いします。●ポイント体重増加は睡眠時無呼吸リスクが高まり、血圧上昇もしやすいことを説明します1)Sotos JG. Chest. 2004;125:1588.

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ステント留置後のDAPT期間、糖尿病の有無で検討/BMJ

 薬剤溶出ステント留置後の2剤併用抗血小板療法(DAPT)の投与期間は、短期か長期か。スイス・ベルン大学のGiuseppe Gargiulo氏らが、メタ解析により糖尿病患者と非糖尿病患者を層別化して検討した。その結果、糖尿病はステント留置後の重大有害心血管イベント(MACE)の独立予測因子であることが明らかになったが、MACE発生のリスクは、糖尿病患者また非糖尿病患者についてもDAPT投与期間の短期(6ヵ月以下)と長期(12ヵ月)で有意な差はなく、一方で長期DAPTは出血リスクを増大することが示された。BMJ誌2016年11月3日号掲載の報告より。MACE発生との関連について1万1,473例のデータをメタ解析 メタ解析は、Medline、Embase、Cochrane databases、国際学会の抄録から、薬剤溶出ステント留置後のDAPTの投与期間について調べた無作為化対照試験を検索。被験者個別データをプールして、試験によって層別化したCox比例回帰モデルを作成し糖尿病のアウトカムへの影響を調べた。 主要試験アウトカムは、心臓死、心筋梗塞、definite/probableのステント塞栓症で定義したMACE。すべての解析はintention-to-treatにて行った。 検索により6つの無作為化試験の被験者1万1,473例のデータをプールした。そのうち、糖尿病患者は3,681例(32.1%)、非糖尿病患者は7,708例(67.2%)で、平均年齢はそれぞれ63.7(SD 9.9)歳、62.8(10.1)歳であった。残る84例については情報が紛失し不明であった。また、糖尿病患者のうち、短期DAPT群は1,828例、長期DAPT群は1,853例、非糖尿病患者はそれぞれ3,860例、3,848例であった。追跡1年時点のMACEリスク減少効果は、短期と長期で有意差なし 解析の結果、糖尿病はMACEの独立予測因子であった(ハザード比[HR]:2.30、95%信頼区間[CI]:1.01~5.27、p=0.048)。 しかしながら追跡1年時点で、長期DAPT群は短期DAPT群と比べて、MACEのリスク減少との関連が、糖尿病患者群(1.05、0.62~1.76、p=0.86)および非糖尿病患者群(0.97、0.67~1.39、p=0.85)のいずれにおいても認められなかった(交互作用のp=0.33)。 心筋梗塞のリスクについて、糖尿病・非糖尿病患者別で検討した場合は、糖尿病患者群での有意な増大が認められたが、DAPT投与期間の長短で比較すると、糖尿病患者群(0.95、0.58~1.54、p=0.82)、非糖尿病患者群(1.15、0.68~1.94、p=0.60)共に差はみられなかった(交互作用のp=0.84)。 definite/probableのステント塞栓症のリスクは、糖尿病・非糖尿病患者別で検討した場合は、糖尿病患者群で有意差はないが数的には増大が認められた(HR:1.89、95%CI:0.31~11.38、p=0.49)。DAPT投与期間の長短で比較すると、ランドマーク解析法では、両群共にベネフィットがある傾向が示されたが、陽性交互検定では、糖尿病患者群で長期DAPT群のほうが短期DAPT群よりも有意な低下が認められ(0.26、0.09~0.80、p=0.02)、非糖尿病患者群では観察されなかった(1.42、0.68~2.98、p=0.35)(交互作用のp=0.04)。 大小の出血リスクについては、糖尿病の有無にかかわりなく、長期DAPT群で高かった。

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エボロクマブのプラーク退縮、AHAで発表:アムジェン

 アムジェン社は2016年11月15日、冠動脈疾患(CAD)患者に対して最適用量のスタチン療法にエボロクマブ(商品名:レパーサ)を上乗せした結果、統計学的に有意なアテローム性動脈硬化の退縮が確認されたことを発表した。この第III相プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験(GLAGOV試験)の結果は、2016年米国心臓学会議(AHA)学術集会での発表と同時に、Journal of the American Medical Association(JAMA)誌にも掲載された。 GLAGOV試験では、サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤エボロクマブの、最適用量のスタチン療法を受けている患者に対する冠動脈のアテローム性プラーク進展への影響をベースラインおよび78週目の血管内超音波(IVUS)測定により検証した。 この試験は主要評価項目を達成し、エボロクマブの治療が、動脈血管内に占めるプラークの割合であるアテローム体積率(PAV:Percent Atheroma Volume)をベースライン時から統計学的に有意に減少することを明らかにした。 最適用量スタチン+エボロクマブ(エボロクマブ群)ではPAVがベースラインに対し0.95%の減少が認められたが、最適用量スタチン+プラセボ群では0.05%の増加が認められた(エボロクマブ群:p<0.0001、プラセボ群:p=0.78)。投与群間で統計的に有意な差が認められた(p<0.0001)。さらに、エボロクマブ群ではプラセボ(プラセボ群)と比較し、より多くの患者でPAVの退縮が認められた(エボロクマブ群:64.3%、プラセボ群:47.3%、p<0.0001)。 プラーク量測定のもう1つの基準である標準化した総アテローム体積(TAV:Total Atheroma Volume)の減少ついては、エボロクマブ群で平均5.8mm3、プラセボ群では0.9mm3で(エボロクマブ群:p<0.0001、プラセボ群:p=0.45)、2群間で統計的に有意な差が認められた(p<0.0001)。 ベースラインでは、いずれの群でも患者の平均LDL-C値は92.5mg/dLであり、両群で98%の患者が高用量から中用量のスタチン療法を受けていた。78週間の治療期間中、エボロクマブ群のLDL-C値の時間加重平均は36.6mg/dLで、プラセボ群の93.0mg/dLと比較し59.8%の低下が認められた。78週目において、エボロクマブ群の平均LDL-C値は29mg/dLで、プラセボ群が90mg/dLを示したのに対し、ベースラインから68.0%低下を認めた。  この試験では、安全性に関する新たな所見は認められなかった。治療中の有害事象の発現率は両群で同等であった(エボロクマブ群:67.9%、プラセボ群:79.8%)。本試験で検討された臨床的に重要な有害事象は筋肉痛(エボロクマブ群:7.0%、プラセボ群:5.8%)、新たに診断された糖尿病(エボロクマブ群:3.6%、プラセボ群:3.7%)、神経認知機能関連の事象(エボロクマブ群:1.4%、プラセボ群:1.2%)、注射部位反応(エボロクマブ群:0.4%、プラセボ群:0.0%)であった。 GLAGOV試験では結合抗体はほとんど認められず(エボロクマブ群:0.2%[1例])、中和抗体は検出されなかった。 また、心血管イベントへの影響を評価する目的では設計されていないものの、明確に主要心血管イベントと判定された事象の発現率はエボロクマブ群で12.2%、プラセボ群で15.3%であった。判定された事象の多くは、冠動脈血行再生術(エボロクマブ群:10.3%、プラセボ群:13.6%)、心筋梗塞(エボロクマブ群:2.1%、プラセボ群:2.9%)、その他の判定された心血管イベントの発現率はいずれの治療群でも0.8%以下であった。GLAGOV試験について GLAGOV(GLobal Assessment of Plaque ReGression with a PCSK9 AntibOdy as Measured by IntraVascular Ultrasound)試験は、臨床的に冠動脈造影が必要とされている最適用量のスタチン治療中の患者968例を対象に、冠動脈疾患における動脈硬化(プラーク)に対するエボロクマブの効果を評価するため設計された。患者は、最低4週間継続して定用量のスタチン療法を受けており、LDL-C80mg/dL以上か、60~80mg/dL の場合は、1件の重要な心血管リスク要因(冠動脈以外のアテローム性血管疾患、直前2年間における心筋梗塞または不安定狭心症による入院、もしくは2型糖尿病と定義)または3件の軽微な心血管リスク要因(現在喫煙している者、高血圧、HDLコレステロール低値、若年性冠動脈疾患の家族歴、2mg/dL以上の高感度C反応性タンパク質、50歳以上の男性、55歳以上の女性)があることが要件であった。被験者は、エボロクマブ420mg月1回またはプラセボに1:1で割り付けられた。最適用量のスタチン療法の定義は、20mg/日以上相当のアトルバスタチンを投与し、ガイドラインに沿ってLDL-Cを低下させられる投与用量とした。主要評価項目は、IVUS測定による、プラセボと比較した78週目におけるPAVのベースラインからの変化率。副次的評価項目は、PAVの減少(ベースラインからのすべての減少)、78週目におけるTAVのベースラインからの変化、およびTAVの減少(ベースラインからのすべての減少)であった。(ケアネット 細田 雅之)原著論文はこちらNicholls SJ, et al.JAMA. 2016 Nov 15. [Epub ahead of print]参考アムジェン社(米国):ニュースリリースGLAGOV試験(ClinicalTrials.gov)

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左冠動脈主幹部病変、PCIよりCABGが予後良好/Lancet

 左冠動脈主幹部病変の治療では、冠動脈バイパス術(CABG)が経皮的冠動脈インターベンション(PCI)よりも良好な予後をもたらす可能性があることが、フィンランド・オウル大学病院のTimo Makikallio氏らが行ったNOBLE試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年10月31日号に掲載された。欧州では、従来、非保護左主幹部病変の標準的な血行再建術はCABGであるが、最近はPCIの使用が急増している。欧州心臓病学会(ESC)の現行ガイドラインでは、左主幹部病変や非複雑病変、非びまん性病変にはPCIが推奨されているが、その論拠とされる試験は症例数が少なく、最良の治療を決めるには検出力が十分でないという。約1,200例が参加したPCIの非劣性試験 NOBLEは、非保護左主幹部病変を有する患者において、薬剤溶出ステントを用いたPCIのCABGに対する非劣性を検証する非盲検無作為化試験(デンマーク・オーフス大学病院などの助成による)。 対象は、冠動脈造影で視覚的な狭窄度≧50%または冠動脈の入口部、midshaft、分岐部の冠血流予備量比≦0.80の病変を有する安定狭心症、不安定狭心症、非ST上昇型心筋梗塞の患者であった。 主要評価項目は、主要な心脳血管有害事象(MACCE)の複合エンドポイント(全死因死亡、手技に伴わない心筋梗塞、再血行再建術、脳卒中)であった。非劣性マージンは1.35とした。 2008年12月9日~2015年1月21日までに、欧州9ヵ国36施設に1,201例が登録され、PCI群に598例、CABG群には603例が割り付けられた。両群とも592例ずつがITT解析の対象となった。全死因死亡に差はないが、5年MACCE発生率が高い ベースラインの平均年齢は、PCI群が66.2歳(SD 9.9)、CABG群は66.2歳(9.4)で、女性がそれぞれ20%、24%(p=0.0902)を占め、糖尿病を有する患者が両群とも15%含まれた。logistic EUROSCOREは両群とも2(IQR:2~4)、SYNTAXスコアはそれぞれ22.4(SD 7.8)、22.3(7.4)であった。 Kaplan-Meier法による5年MACCE発生率は、PCI群が29%(121イベント)、CABG群は19%(81イベント)で、HRは1.48(95%CI:1.11~1.96)であり、CABG群のPCI群に対する優越性が確認された(p=0.0066)。 全死因死亡の5年発生率には有意な差はなかった(PCI群:12% vs.CABG群:9%、HR:1.07、0.67~1.72、p=0.77)が、手技に伴わない心筋梗塞(7 vs.2%、2.88、1.40~5.90、p=0.0040)および血行再建術(16 vs.10%、1.50、1.04~2.17、p=0.032)はPCI群で有意に多く、脳卒中(5 vs.2%、2.25、0.93~5.48、p=0.073)はPCI群で多い傾向がみられた。 1年MACCE発生率は、2つの群で同じであり(7 vs.7%、リスク差:0.0、95%CI:-2.9~2.9、p=1.00)、両群間の差は1年以降に生じていた。1年時の全死因死亡(p=0.11)、手技に伴わない心筋梗塞(p=0.49)、血行再建術(p=0.27)、脳卒中(p=0.16)にも差は認めなかった。 著者は、「これらの知見は、SYNTAX試験の左主幹部病変例とPRECOMBAT試験のメタ解析の結果(5年MACCE発生率、PCI群:28.3% vs. CABG群:23.0%、p=0.045)を追認するものである」としている。

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糖尿病患者の喫煙の恐さ

糖尿病患者がタバコを吸っていると死亡リスクが1.6倍に【対象】糖尿病患者113万2,700例禁煙すればリスクは下がる! 死亡する確率1.551.191.00非喫煙者喫煙者元喫煙者(禁煙した人)糖尿病患者と死亡リスクを研究した89研究の統合相対リスクPan A, et al. Circulation. 2015;132:1795-804.より作図Copyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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生体吸収性スキャフォールド、3年で血管運動は回復したのか/Lancet

 冠動脈狭窄患者の治療において、エベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド(Absorb)はエベロリムス溶出金属ステント(Xience)と比較して、力学特性の指標である、血管運動の回復の結果としての内腔径の増加に寄与しないことが、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのPatrick W Serruys氏らが進めるABSORB II試験の中期的な検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年10月30日号に掲載された。循環器インターベンション医にとって、務めを終えたら消え去る一過性のスキャフォールドは、長い間の夢だという。生理学的には、固い金属製のケージがなければ、血管運動の堅調さや適応性のあるずり応力、遠隔期の内腔拡張などの回復が促進される可能性がある。約500例の3年時の解析結果 ABSORB IIは、生体吸収性スキャフォールドの導入を支持するエビデンスに基づくデータを生成することで、この技術の付加的な価値を評価する単盲検実対照比較試験(Abbott Vascular社の助成による)。今回は、3年時の中期的な解析の結果が発表された。 対象は、年齢18~85歳、心筋虚血および異なる心外膜血管に1または2個の新たな自然病変が確認された患者であった。被験者は、AbsorbまたはXienceを留置する群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。 複合主要エンドポイントは、3年時の硝酸塩の冠動脈内投与後の冠動脈造影による血管運動反応性(投与前後の平均内腔径の変化)の優越性と、冠動脈造影による遠隔期損失径の非劣性(非劣性マージン:0.14mm)であった。 2011年11月28日~2013年6月4日までに、欧州とニュージーランドの46施設に501例が登録され、Absorb群に335例(364病変)、Xience群には166例(182病変)が割り付けられた。抗血小板薬2剤併用の長期投与が今後の研究トピックに ベースラインの平均年齢は、Absorb群が61.5歳(SD 10.0)、Xience群は60.9歳(10.0)、女性がそれぞれ24%、20%含まれた。糖尿病は両群とも24%にみられ、安定狭心症は両群とも64%、不安定狭心症はそれぞれ20%、22%であり、一枝病変が83%、85%を占めた。 3年時の血管運動反応性は両群間に有意な差を認めず(Absorb群:0.047mm[SD 0.109] vs.Xience群:0.056mm[0.117]、優越性検定p=0.49)、遠隔期損失径はAbsorb群のほうが大きい(0.37mm[0.45] vs.0.25mm[0.25]、非劣性検定p=0.78)という結果であり、複合主要エンドポイントは達成されなかった。この内腔径の差は、最小血管面積の血管内エコー検査で確定された(4.32mm2[SD 1.48] vs.5.38 mm2[1.51]、p<0.0001)。 患者志向の副次エンドポイントであるシアトル狭心症質問票(狭心症の頻度・安定性、身体機能制限、QOL、治療満足度)に「狭心症なしの患者数」を加えた指標、および運動負荷試験は、両群間に有意な差を認めなかった。 一方、デバイス志向の複合エンドポイント(心臓死、標的血管心筋梗塞、臨床的に標的領域の血行再建を要する場合)はAbsorb群で有意に高頻度であり(10% vs.5%、ハザード比[HR]:2.17、95%信頼区間[CI]:1.01~4.69、log-rank検定p=0.0425)、この差には主に周術期心筋梗塞(4 vs.1%、p=0.16)を含む標的血管心筋梗塞(6 vs.1%、p=0.0108)が寄与していた。 著者は、「今後の研究では、デバイスのサイズの決定やスキャフォールド留置術の最適化における血管内画像法の臨床的インパクトを検討すべきであり、留置後の長期の抗血小板薬2剤併用療法のベネフィットと必要性の検討もトピックとなるだろう」と指摘している。

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145)血圧測定では、話さず、動かず、静粛に!【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師それでは、血圧を測定しますね。 患者はい。ちょっと急いできたから、血圧が上がっているかもしれません。 医師(カフを巻きながら)そうですか。 患者先生、昨日、食べ過ぎたので…血圧が上がっているかも…。 医師……(血圧を徐々に上げる)。 患者それに、最近、運動していないし…(話し続ける)。 医師Aさん、喋ると血圧は高めに出ますよ(身振り・手振りを加えながら)。 患者えっ、そうなんですか。黙ってます(驚いた顔)。●ポイント静かな環境で、会話をせずに血圧を測定することの必要性を説明します参考資料1)『高血圧治療ガイドライン2014』(Minds ガイドラインセンター)

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