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米国の認知症有病率が低下、その要因は

 高齢化は、認知症者数の増加につながる。しかし、米国や他の高所得国における近年の研究では、認知症の年齢別リスクが過去25年間で減少している可能性があることが示唆されている。認知症の有病率やリスクの現在および今後の人口動向を明らかにすることは、患者、家族、国家プログラムにおいて重要な意味を持つ。米国・ミシガン大学のKenneth M Langa氏らは、2000年と2012年の米国における認知症有病率の比較を行った。JAMA internal medicine誌2017年1月号の報告。 米国で代表的なHealth and Retirement Study(HRS)のデータより、2000年(1万546人)と2012年(1万511人)の65歳以上の米国人口縦断調査を行った。認知症は、HRS認知尺度を毎年実施し、自己回答者と代理人を分類するための方法で検証された。ロジスティック回帰を用いて、2000年と2012年の認知症有病率の変化に関連する社会経済的および健康的変数を特定した。 主な結果は以下のとおり。・コホートの平均年齢は、2000年75.0歳(95%CI:74.8~75.2歳)、2012年74.8歳(95%CI:74.5~75.1歳)であった(p=0.24)。女性の割合は、2000年58.4%(95%CI:57.3~59.4%)、2012年56.3%(95%CI:55.5~57.0%)であった(p<0.001)。・65歳以上の認知症有病率は、2000年11.6%(95%CI:10.7~12.7%)、2012年8.8%(95%CI:8.2~9.4%、年齢および性別で標準化:8.6%)であった(p<0.001)。・教育年数の多さが認知症リスク低下と関連しており、2000年と2012年で教育年数は11.8年(95%CI:11.6~11.9年)から12.7年(95%CI:12.6~12.9年)へ有意に増加していた(p<0.001)。・認知症有病率は、米国高齢者の心血管リスクプロファイル(たとえば、高血圧、糖尿病、肥満の有病率)の年数が、年齢、性別で調整した後でも有意に増加していたにもかかわらず、低下していた。 著者らは「米国における認知症有病率は、2000年から2012年にかけて有意に減少していた。認知症有病率の低下には、教育年数の増加が一部関連していたが、有病率低下に寄与する社会的、行動的、医学的要因は明らかになっていない。認知症の発症や有病率の傾向を継続的にモニタリングすることは、将来的な社会的影響を評価するために重要である」としている。関連医療ニュース アルツハイマー病へ進行しやすい人の特徴は 認知症の世界的トレンドはどうなっているか 軽度認知障害、5年後の認知症発症率は

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先天奇形の出産は長期死亡率を高めるか/JAMA

 先天奇形を有さない児を出産した母親と比べて、先天奇形を有する児を出産した母親の長期死亡率は、わずかだが統計的に有意に高いことが、カナダ・トロント大学のEyal Cohen氏らが行った、デンマーク住民ベースのコホート研究で明らかにされた。ただし、著者は「今回の結果について臨床的重要性は不明である」と述べている。先天奇形のある児の出産は、女性にとって深刻なライフイベントだが、そうした女性の長期的な健康への影響についてはほとんど知られていない。JAMA誌2016年12月20日号掲載の報告。デンマークの女性4万1,508例について住民ベースコホート研究 研究グループは、デンマークの個人レジストリデータを用いて、1979~2010年に主要な先天奇形(European Surveillance of Congenital Anomalies分類による)のある児を出産した母親4万1,508例(曝露群)について、2014年12月31日までフォローアップする住民ベースコホート研究を行った。比較コホート(非曝露群)は、同レジストリから無作為抽出した、曝露群1例につき、出産年齢、出産経歴、出産年で最大10例を適合した41万3,742例であった。 主要アウトカムは全死因死亡率、副次アウトカムは死因別死亡率などで、ハザード比(HR)を算出して評価。HR算出では、婚姻状況、移民状況、所得四分位値(1980年以降)、学歴(1981年以降)、糖尿病、修正チャールソン併存疾患指数スコア、高血圧、うつ病、アルコール関連疾患歴、自然流産、妊娠合併症、喫煙(1991年以降)、BMI値(2004年以降)について補正を行った。中央値21年追跡で1.22倍高率 両群(45万5,250例)の母親の出産時平均年齢(SD)は28.9(5.1)歳であった。 中央値21(IQR:12~28)年追跡における死亡は、曝露群1,275例(1,000人年当たり1.60)に対し、非曝露群は1万112例(同1.27)であった。すなわち絶対死亡率差は1,000人年当たり0.33(95%信頼区間[CI]:0.24~0.42)、補正前HRは1.27(95%CI:1.20~1.35)、補正後HRは1.22(同:1.15~1.29)であった。 死因別にみると、曝露群の死亡が多い傾向がみられたのは、心血管系疾患死(率差は1,000人年当たり0.05[95%CI:0.02~0.08]、補正後HR:1.26[同:1.04~1.53])、呼吸器系疾患死(同:0.02[0.00~0.04]、1.45[1.01~2.08])、その他自然死(同:0.11[0.07~0.15]、1.50[1.27~1.76])であった。

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「前糖尿病」状態と心血管障害の関連(解説:小川 大輔 氏)-632

 前糖尿病状態と心血管障害の関連の有無についてはこれまで議論があったが、最近161万例もの前糖尿病状態を含む前向きコホート研究のメタ解析が行われ、前糖尿病状態は心血管疾患リスクの増加と関連することが報告された。 そもそも「前糖尿病状態」とはどういう状態であるのか、実のところその定義は曖昧である。空腹時の高血糖、食後の高血糖、糖負荷試験の負荷後の高血糖、HbA1cの高値など、前糖尿病であると判断する状態には種々あり、必ずしもこれらがすべてそろうわけではない。また、前糖尿病状態を「耐糖能異常」あるいは「境界型糖尿病」と別の用語で表現することもあるし、患者さんは「以前に糖尿病のけがあると言われた」と表現したりもする。さらに、糖尿病の診断は国や地域により診断基準が異なるため、どの診断基準を用いるかにより前糖尿病に判定されたり、正常型に判定されたりする。そのためこの研究では、空腹時血糖は米国糖尿病学会とWHOの基準別に、HbA1cは米国糖尿病学会と英国立臨床評価研究所の基準別に分けて解析が行われている。 以前に、前糖尿病状態は心血管障害リスクを増加するという報告がある一方、増加しないという報告もあった1)2)。今回の研究では、前糖尿病状態は心血管疾患リスクを高めることが示されたが、問題点は平均9.5年の経過中に糖尿病を発症した症例を把握できていないことである。この研究では、全症例のどの程度が糖尿病を発症したか特定できていないため、糖尿病症例が含まれて心血管障害リスクが高くなった可能性が否定できない。また、米国糖尿病学会の空腹時血糖の基準による前糖尿病状態では総死亡、冠動脈疾患、脳卒中のリスクはそれぞれ1.13倍、1.10倍、1.06倍とそれほど顕著ではなく、糖尿病を発症せずに前糖尿病状態であり続けることで心血管イベントが本当に増加するかどうかは依然として不明である。 前糖尿病状態であると、わずかに心血管疾患のリスクが増加することが今回示されたが、それでただちにイベント抑制のために前糖尿病状態でも薬物療法を開始するかというと、そうはならない。当然ながら前糖尿病状態では、食事や運動などの生活習慣の改善が最も重要である。生活習慣の改善により、前糖尿病状態から正常な状態に戻ることは日常臨床でしばしば経験するところである。また、過去に行われたDPP試験で、生活習慣強化介入群のほうが薬物療法介入群よりも糖尿病の発症をより強く抑制することが証明されている3)。

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飲み物に潜む糖尿病前症リスク

飲み物に含まれる糖分は、意外と見落としがち!?炭酸飲料を飲む習慣は糖尿病前症リスクを上昇させる!砂糖入り飲料の摂取量と糖尿病前症発症リスクの関係 糖尿病前症とは、糖尿病と診断されていないものの、血糖値(HbA1c)の値が5.7~6.4%と高く、糖尿病予備軍と考えられます。246%増に! 糖尿病前症は、砂糖の摂取量を減らすことで、完全な糖尿病への移行を防ぐことが可能です。 発 甘みを感じにくい炭酸飲料には、350mL/缶あたり、角砂糖10個相当の糖質が含まれています。炭酸飲料を飲むことが習慣化している人は、とくに注意が必要です。1.46症リ 1スク1.00砂糖入り飲料(350mL)をまったく飲まない人砂糖入り飲料(350mL)を平均6回/週 飲む人【対象】米国の中年男女1,700例年齢(平均±SD):51.9±9.2歳、BMI(平均±SD):26.3±4.4Jiantao Ma, et al. J Nutr. 2016 Nov 9. [Epub ahead of print]Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.

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新たな人工膵臓システム、日常生活下で有用/Lancet

 1型糖尿病成人患者への新たな連続血糖測定(CGM)付きインスリンポンプの安全性と有用性について、自由生活下で検討した多施設共同無作為化クロスオーバー比較試験の結果が発表された。米国・ボストン大学のFiras H El-Khatib氏らが検討したのは、iPhone 4SとG4 Platinum CGMを連動させた人工膵臓システムで、体格の情報のみで初期化し、インスリンおよびグルカゴンを自動投与する。既存のセンサー増強型インスリンポンプとの比較において、カーボカウントの食事療法を要することなく優れた血糖コントロールを達成したことが示された。CGM付きインスリンポンプについて、これまで、自宅で自由に生活しながらという設定で安全性・有効性を調べる臨床試験は行われていなかった。Lancet誌オンライン版2016年12月20日号掲載の報告。従来型インスリンポンプと無作為化クロスオーバー比較試験 研究グループは、この新たな人工膵臓システムが、食事や運動の制約を受けることなく自宅で日常生活を送る1型糖尿病成人患者の、平均血糖値や低血糖症の頻度を減じることが可能かを評価した。米国内4施設(マサチューセッツ総合病院、マサチューセッツ大学、スタンフォード大学、ノースカロライナ大学)で、車で30分圏内に住む1型糖尿病の18歳以上患者をボランティア参加で募った。 被験者は無作為に1対1の割合で、連番が付されている密封封筒を用いて2ブロックに割り付けられ、人工膵臓および通常ケア(従来型またはセンサー増強型インスリンポンプ療法)による血糖コントロールをクロスオーバーで受けた。それぞれの治療期間は11日間。期間中、被験者はスポーツやドライブなども含めてあらゆる活動に制限を受けなかった。 この人工膵臓は、被験者の体格の情報のみで初期化するようになっており、連続血糖モニターからのデータを用いた自動適応用量アルゴリズムによって、インスリンとグルカゴンが皮下注で投与される。 主要アウトカムは2つで、平均血糖値と、平均CGM血糖値が3.3mmol/L未満であった時間。両療法を完了した被験者の2~11日のデータを解析した。従来インスリンポンプ法よりも血糖コントロールが有意に優れる 2014年5月6日~2015年7月3日の間に43例が無作為化を受け、39例が試験を完了した。人工膵臓療法を最初に受けたのは20例、対照ケアを最初に受けたのは19例であった。 結果、平均CGM血糖値は、人工膵臓療法の期間中は7.8mmol/L(SD 0.6)、対照ケアの期間中は9.0mmol/L(1.6)であった(差:1.1mmol/L、95%信頼区間[CI]:0.7~1.6、p<0.0001)。 平均CGM血糖値が3.3mmol/L未満であった時間は、人工膵臓期間中では0.6%(0.6)、対照ケア期間中では1.9%(1.7)であった(差:1.3%、95%CI:0.8~1.8、p<0.0001)。 視覚アナログスケール(0~10)で評価した悪心の平均スコアは、人工膵臓療法の期間中(0.52[SD 0.83])が対照ケア期間中(0.05[0.17])よりも有意に高かった(差:0.47、95%CI:0.21~0.73、p=0.0024)。 体重および各種検査値(収縮・拡張期血圧など)の変化について、両療法期間中で有意差はみられなかった。また、人工膵臓療法期間中に、重篤または不測の有害事象の発生はなかった。 結果を踏まえて著者は、「さらなる大規模かつ長期の試験を行い、人工膵臓による自動血糖管理の長期的な有用性とリスクを確立する必要がある」とまとめている。【訂正のお知らせ】本文内の表記に誤りがあったため、一部訂正いたしました(2017年1月4日)。

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飽和脂肪酸の不飽和脂肪酸による置換は冠動脈疾患リスクを低下させる!(解説:島田 俊夫 氏)-631

 私たちは、炭水化物、脂肪、タンパク質と少量のミネラル、ビタミンを摂取することによりエネルギーを獲得している。しかしながら、炭水化物の過剰摂取と運動不足が糖尿病・肥満の主要因になっている。糖質制限は治療上重要だが、適切な供給カロリーを維持するためには炭水化物以外の栄養素からエネルギーを獲得することが必要となる1)。1g当たりの産生カロリーは、炭水化物4kcal、脂肪9kcal、タンパク質4kcalのエネルギーを産生する。単純計算から、糖質制限食は代替エネルギーを脂肪またはタンパク質から取らざるを得ない。飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸置換することは冠動脈疾患死を減らす 今回取り上げた、BMJ誌2016年11月23日号に掲載された米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のGeng Zong氏らが、米国男女大規模コホート2試験で1984~2012年の看護師健康調査に参加した女性7万3,147例と、1986~2010年の医療従事者追跡調査に参加した4万2,635例の2つのコホートによる前向き縦断コホート試験により、飽和脂肪酸の冠動脈疾患への関与に対して解析を行った。本研究の被験者はベースラインでは主たる慢性疾患を認めない人のみを対象とした。 被験者のうち、冠動脈疾患の発生(n=7,035)は自己申告により、関連死は全米死亡記録や親戚縁者、郵便局からの報告により裏付けられた。冠動脈疾患症例については診療記録により確認が行われた。 その結果、追跡期間中の総エネルギー摂取量に占める飽和脂肪酸の割合は9.0~11.3%で、ラウリン酸(12:0)、ミリスチン酸(14:0)、パルミチン酸(16:0)とステアリン酸(18:0、8.8~10.7%エネルギー)が主な構成脂肪酸であった。これら4種の脂肪酸は、冠動脈疾患発症と強い相関を示し、スペアマンの順位相関係数は0.38~0.93(すべてのp<0.001)であった。 生活習慣要因と総エネルギー摂取量については多変量調整後、各々の飽和脂肪酸の摂取量の最高5分位数群 vs.最小5分位数群のハザード比は、タウリン酸が1.07(95%信頼区間[CI]:0.99~1.15、傾向p=0.05)、ミリスチン酸が1.13(1.05~1.22、傾向p<0.001)、パルミチン酸が1.18(1.09~1.27、傾向p<0.001)、ステアリン酸が1.18(1.09~1.28、傾向p<0.001)、4種複合飽和脂肪酸で1.18(同:1.09~1.28、傾向p<0.001)であった。 4種の飽和脂肪酸から摂取するエネルギーの1%相当分を、多価不飽和脂肪酸で置換することにより同ハザード比は0.92(p<0.001)に、また1価不飽和脂肪酸で置換すると0.95(p=0.08)、全粒炭水化物で0.94(p<0.001)、植物性タンパク質で0.93(p=0.01)とリスクの減少がみられた。また、単体ではパルミチン酸での置換がリスクを最も低下させ、ハザード比は多価不飽和脂肪酸の置換で0.88(p=0.002)、1価不飽和脂肪酸で0.92(p=0.01)、植物性タンパク質で0.89(p=0.01)であった。糖質制限食使用上の注意点 糖質制限食の重要性がクローズアップされている今日、代替エネルギーを脂肪から取ることは一見理にかなっているが、本論文の結果から脂肪酸の質が重要となり2)3)、飽和脂肪酸の摂取を抑え、多価不飽和脂肪酸または1価不飽和脂肪酸、植物性タンパク質を糖質代替エネルギー源とすることは、糖質制限食の弱点強化につながる可能性を示唆する。

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第7回 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)による治療のキホン【糖尿病治療のキホンとギモン】

【第7回】速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)による治療のキホン―軽症、もしくは耐糖能異常(IGT)の方に使うイメージなのですが、どのような患者さんに適しているのでしょうか。 速効型インスリン分泌促進薬は、SU薬同様、膵β細胞のSU受容体に結合してインスリン分泌を促進させる薬剤ですが、SU薬に比べ吸収と血中からの消失が速く、作用時間がSU薬より短いため、1日3回食直前投与による食後高血糖の改善に適しています。食後高血糖の改善が心血管疾患の発症や進展を抑制するうえで重要であることは、DECODE Studyやわが国のFunagata Studyといった大規模臨床試験から明らかです1)、2)。 速効型インスリン分泌促進薬は、空腹時血糖値はそれほど高くないのに、HbA1cがやや高いなど、食後高血糖の是正が必要な2型糖尿病患者さんで、患者さん自身のインスリン分泌能(内因性インスリン分泌能)がある程度保たれている(膵β細胞に十分な残存機能がある)比較的早期の患者さんが適しています。インスリン分泌能の指標については、「第5回 SU薬による治療のキホン」で紹介していますが、“過去にSU薬を長期に使っていない”ことを1つの目安にしていただくのもよいです。 なお、同じ食後高血糖改善薬であるα-グルコシダーゼ阻害薬(GI)「ボグリボース(商品名:ベイスン)」は、糖尿病の前段階であるIGTにおける2型糖尿病の発症予防が確認されていることから、0.2mg錠に限ってIGTに対して保険適用となっていますが、その他のα-GIと速効型インスリン分泌促進薬の添付文書上での適応は「2型糖尿病」です。―他剤との効果的な併用方法について教えてください。 速効型インスリン分泌促進薬は食後高血糖の改善に適しているため、血糖降下特性の異なる薬剤との併用という点から考えると、空腹時血糖値を低下させる薬剤との併用が考えられます。 速効型インスリン分泌促進薬は毎食直前の投与で朝食後、昼食後、夕食後の高血糖を改善しますが、食事と食事の間が短い時間帯では、連日投与である程度、次の食前血糖値の低下にも寄与します。つまり、朝食直前の投与で朝食後の高血糖が改善されると、昼食前血糖値は低下し、また、昼食直前の投与で昼食後の高血糖が改善されると、夕食前血糖値もある程度低下します。 しかし、夕食後は翌日の朝食前まで時間が空いてしまうため、血中からの消失速度が速い速効型インスリン分泌薬では、夜間・深夜帯に高血糖を生じることがあります。速効型インスリン分泌促進薬単独で治療をしていて、朝食前血糖値が200mg/dLを超えることが続くようであれば、主に空腹時血糖値を低下させるビグアナイド(BG)薬、チアゾリジン薬、SGLT2阻害薬の併用を検討します。 DPP-4阻害薬は、インスリン分泌促進、グルカゴン分泌抑制により、空腹時血糖値と食後血糖値のいずれも低下させますが、速効型インスリン分泌促進薬とは異なる経路でインスリン分泌を促進させるため、速効型インスリン分泌促進薬とDPP-4阻害薬の併用は効果的に食後高血糖を改善するという点でも有用です。SU薬とは、SU受容体に結合してインスリン分泌を促進するという同じ作用点を有し、併用の効果・安全性が確認されていないため、併用できません。 併用する薬剤については、薬価や副作用といった観点から選ぶとよいでしょう。 α-GIは、速効型インスリン分泌促進薬同様、食後高血糖を改善する薬剤ですが、インスリン分泌を介して血糖値を低下させる速効型インスリン分泌促進薬と異なり、糖の吸収を遅らせることで食後の高血糖を改善します。つまりインスリン分泌を介さずに血糖値を低下させるため、インスリン分泌を必要とせず、逆にインスリン分泌を節約できます。速効型インスリン分泌促進薬は、作用時間がSU薬よりも短いとはいえ、インスリン分泌を促進させることに変わりはありません。 食後高血糖を来す病態として、食後のインスリンが食後の血糖上昇よりも遅れて出る「インスリン遅延分泌」があるため、食後高血糖を改善するためにインスリン分泌を促す治療は理にかなってはいるのですが、肥満がある場合、インスリン抵抗性により、インスリンが効きにくくなっており、それを補って血糖値を下げようとして、多量のインスリンを分泌してしまう「高インスリン血症」になっていることがあります。そこに速効型インスリン分泌促進薬だけを用いてしまうと、さらなる高インスリン血症から、肥満が助長されたり、高血圧や心血管疾患のリスクにつながってしまう恐れがあります。 また、インスリンは、脂肪組織や肝臓で、中性脂肪の分解を抑制する働きを持つため、「高インスリン血症」は中性脂肪にも影響を及ぼします。肥満があって、食後の高インスリン血症があると考えられる患者さんでは、遅れて出るインスリン分泌を前倒しにして、“健康な人と同じインスリン分泌パターン”に近づけるために速効型インスリン分泌促進薬を用い、インスリン分泌を節約しながら食後の高血糖を改善できるα-GIを併用(もしくは速効型インスリン分泌促進薬/α-GIの配合薬※)することがよいでしょう。 ※配合薬を第1選択薬として用いることはできません。 また、吸収が速やかである速効型インスリン分泌促進薬は、食後の急峻なインスリン分泌を促しますが、持続血糖測定器(CGM)で速効型インスリン分泌促進薬とα-GIの血糖の低下を比較すると、α-GIが食直後から低下させるのに対し、速効型インスリン分泌促進薬はα-GIのそれよりもやや遅く、食後の血糖上昇を抑える時間帯が異なっている傾向がみられます3)。そのため、食後の血糖値全体を抑え、より強力に食後高血糖を改善するという点からも、速効型インスリン分泌促進薬とα-GIの併用は有用な手段です。―患者さんに毎食直前に服用していただくのは難しいと感じますが、どのように指導したらよいでしょうか。 1日3回服用する薬剤の場合、アドヒアランスも薬剤の効果に大きく影響するため、アドヒアランスが順守できることが重要となりますが、食後の高血糖が顕著な場合、やはり、食事のタイミングに合わせて服用する1日3回の食後高血糖改善薬が最も効果的です。 1日3回の場合、昼間の服用を忘れてしまうことが多いので、1日3回が難しければ、朝食前と夕食前だけでも服用してもらうようにします。とくに夕食後の血糖値が上がってしまうと、翌朝の服用まで時間が空いてしまうことと、夕食は1日の食事の中で最もボリュームが多く、その後、大きな身体活動をするわけでもなく、あとは寝るだけになってしまうため、夜間・深夜帯に高血糖が持続してしまいます。1日1回しか服用できなければ、夕食前だけは必ず服用してもらうようにしましょう。 速効型インスリン分泌促進薬は「1日3回“毎食直前”に経口投与する」とされています。服用を忘れてしまい、食中や食後に服用してしまうと効果が減弱することがあります。また、食前30分投与では、食後の血糖が上昇する前にインスリン値が上昇してしまうため、食事開始前に低血糖を起こしてしまう可能性があります。食前投与の時間や食中・食後投与については、各薬剤の添付文書に記載がありますので、ご確認いただければと思います。また、食事のタイミングと合わせた服用が必要な薬剤ですので、シックデイなどで食事が十分に取れない場合は、服用を中止するよう指導してください。―長時間使っていくと膵β細胞が疲弊しないか心配です。 速効型インスリン分泌促進薬もSU薬同様、膵β細胞のSU受容体に結合してインスリン分泌を促進させますが、SU薬に比べて血中からの消失が速いため、インスリン分泌を刺激する時間がSU薬よりも短いのが特徴です。動物実験では、SU薬と速効型インスリン分泌促進薬の連続投与において、SU薬でみられるインスリン分泌の減弱(膵β細胞の疲弊)が、速効型インスリン分泌促進薬では少ないことが報告されていますが4)、実臨床で、膵β細胞の疲弊が薬剤によるものなのかを判断するのは容易ではありません。食事・運動療法の乱れがなければ、薬剤の長期使用による膵β細胞の疲弊(2次無効)と判断できますが、多くは、生活習慣の乱れによる血糖コントロール不良により、持続する高血糖が存在するからです。 いずれにしても、速効型インスリン分泌促進薬の効果がみられなくなってきたときは、まず、薬剤を1日3回きちんと服用できているか、食事・運動療法が守られているかを確認する必要があります。1)DECODE Study Group, the European Diabetes Epidemiology Group. Arch Intern Med. 2001;161:397-405.2)Tominaga M et al. Diabetes Care. 1999;22:920-924. 3)森 豊. Calm 2(1): 1-7, 20154)Kawai J et al. Biochem J. 2008; 412: 93-101.

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ヒートショックに気を付けよう

冬季の入浴では、高齢者は要注意!冬季、室内外の寒暖の差の影響で、血圧に負担がかかり、上下に激しく変動することで失神や不整脈、場合によっては死亡まで発展することがあります(これを「ヒートショック」といいます)。とくに、お風呂、トイレなどで起こりやすく、高齢者、高血圧、糖尿病など持病のある方は注意が必要です。●参考資料2,0001,000入浴中の心肺機能停止者数(2011年)件数1,7591,2461,07780685801,562586505359 212165 2251月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月東京都健康長寿医療センター 研究所(東京都老人総合研究所)パンフレットより改変Copyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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サウナに通う男性は認知症リスクが低い?

 フィンランドの住民ベースの前向きコホート研究であるKuopio Ischaemic Heart Disease Risk Factor Studyで、中等度~高頻度のサウナ浴が認知症およびアルツハイマー病のリスク低下と関連していたことが報告された。Age and ageing誌オンライン版2016年12月7日号に掲載。 本研究では、1984~1989年に42~60歳であった健康成人男性2,315人において、ベースライン時の調査でサウナ浴の頻度を質問した。認知症とアルツハイマー病のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)は、潜在的な交絡因子の調整後、Cox回帰モデルで確認した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間の中央値は20.7年(四分位範囲:18.1~22.6)で、それまでに204人が認知症、123人がアルツハイマー病と診断された。・年齢、飲酒量、BMI、収縮期血圧、喫煙、2型糖尿病、心筋梗塞の既往、安静時心拍数、血漿LDLコレステロールで調整後、サウナ浴が週に1セッションの男性と比較した認知症のHRは、週に2~3セッションの男性で0.78(95%CI:0.57~1.06)、週に4~7セッションの男性で0.34(95%CI:0.16~0.71)であった。・同様にアルツハイマー病のHRは、週に2~3セッションの男性で0.80(95%CI:0.53~1.20)、週に4~7セッションの男性で0.35(95%CI:0.14~0.90)であった。

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エンパグリフロジンに糖尿病の心血管死予防の新適応:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2016年12月2日、心血管疾患を有する成人2型糖尿病の心血管死リスク抑制に関するエンパグリフロジン(商品名:Jardiance)の新たな適応を承認した。 このFDAの決定は、成人糖尿病患者の食事運動療法による血糖管理改善の補足として2014年にエンパグリフロジンを承認した際に当局が要求した市販後試験の結果による。 米国疾患予防管理センター(CDC)によれば、心血管疾患による死亡は成人糖尿病患者では非糖尿病患者に比べ70%高く、糖尿病患者の余命は大部分が心血管疾患の早期死亡の影響により短くなっているという。FDAプレスリリースはこちら(ケアネット 細田 雅之)

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AIの画像診断能、糖尿病網膜症の検出で確認/JAMA

 成人糖尿病患者の網膜基底部の画像評価について、ディープラーニングをベースとした診断アルゴリズムは、糖尿病網膜症の検出に関し、高い感度、特異度を示したことを、米国・Google社のVarun Gulshan氏らが発表した。ディープラーニングは、コンピュータアルゴリズムのプログラムに、自身で膨大な症例から学び適切な行動を示すことを容認する人工知能(AI)技術の1つで、プログラムに明確なルールを記述する必要がない。研究グループは、この技術を医学画像診断に適用できるか、評価と検証試験を行った。JAMA誌オンライン版2016年11月29日号掲載の報告。12万8,175枚の網膜写真を使って画像診断を訓練 研究グループは、網膜基底部写真で糖尿病網膜症と糖尿病黄斑浮腫を自動検出する、ディープラーニングを適用したアルゴリズムの開発を行った。 開発用に用意した12万8,175枚の網膜写真を用いて、画像分類を至適化するために深層畳み込みニューラルネットワーク(deep convolutional neural network、回路の一部を多層とすることでデータの特徴を深く学習する)と呼ばれる訓練プログラムをアルゴリズムに施した。使用した網膜像については、2015年5~12月に米国の眼科医と眼科シニアレジデント54人のパネルメンバーによって、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、および画像階調性について従来どおりのグレード付けが3~7回にわたって行われた。 構築されたアルゴリズムを、2016年1~2月に、2つのデータセット(EyePACS-1、Messidor-2)を用いて検証した。いずれのデータセットも、7人以上の米国委員会認定眼科医によってグレード付けが行われていた。 眼科医パネルの多数決で標準化した参照をベースに、アルゴリズムの、関係する糖尿病網膜症(RDR、中等症~重症の糖尿病網膜症として定義)、関係する糖尿病黄斑浮腫のいずれかもしくは両方の検出について感度と特異度を算出して評価した。アルゴリズムは、開発セットから選択された2つのオペレーティングポイント(1つは高特異度、もう1つは高感度のオペレーティングポイント)で評価された。検出の感度は87.0~97.5%、特異度93.4~98.5% EyePACS-1には、画像写真9,963枚、患者4,997例(平均年齢54.4歳、女性62.2%、RDR有病率は完全にグレード付けされた画像写真で7.8%[683/8,878例])のデータが含まれた。Messidor-2には、1,748例、患者874例(57.6歳、42.6%、14.6%[254/1,745例])が含まれた。 結果、アルゴリズムの検出能は良好であることが示された。評価に用いたROC曲線下面積は、EyePACS-1検証試験では0.991(95%信頼区間[CI]:0.988~0.993)、Messidor-2検証試験では0.990(0.986~0.995)であった。 最初の高感度オペレーティングカットポイントを用いた評価における感度、特異度は、EyePACS-1では感度90.3%(95%CI:87.5~92.7)、特異度98.1%(97.8~98.5)であり、Messidor-2ではそれぞれ87.0%(81.1~91.0)、98.5%(97.7~99.1)であった。 次の開発セットの高感度オペレーティングポイントを用いた評価では、EyePACS-1における感度は97.5%、特異度は93.4%であり、Messidor-2はそれぞれ96.1%、93.9%であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「さらなる研究で、このアルゴリズムの臨床への適用の可能性を確認すること、またこのアルゴリズムを用いることで治療やアウトカムが、従来の眼科学的評価と比較して改善可能かどうかを確認する必要がある」と述べている。

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やはり高齢者では、抗血栓薬、糖尿病治療薬で薬物有害事象が多発(解説:桑島 巖 氏)-626

 米国において2013~14年の58ヵ所の救急診療部に搬送された症例のうち、薬剤の有害事象についてまとめた報告である。予想どおり、抗凝固薬、糖尿病治療薬による出血事故や低血糖症状などの有害事象が、とくに65歳以上で多いことが明らかにされた。 これらは、高齢化社会の実現による心房細動患者や糖尿病患者の増加を反映していると共に、それらの治療薬としての強力な抗血小板薬、抗凝固薬や糖尿病治療薬の不適切な使用法を意味している。最近では、冠動脈疾患ではクロピドグレルやアスピリンといった抗血小板薬が標準薬となっており、また心房細動では、ワルファリンやダビガトランなどの抗凝固薬は脳梗塞予防には必須の薬となっている。しかし、これらの抗血栓薬はいずれも高齢者に多い出血事故の原因となる「諸刃の剣」であることを、臨床医は肝に銘じなければならない。とくに最近のわが国では、新規抗凝固薬(DOAC)は企業宣伝効果もあり、その適応基準が低くなる傾向があるが、抗凝固機能をモニターすることなく処方することが、高齢者の診療において適切であるか否かをいま一度考えてみる必要はあろう。 また近年、SGLT2阻害薬などの新しい機序の糖尿病治療薬が実用化されているが、本論文はその普及前の調査であることから、今後、低血糖に由来する有害事象が増えることが予想される。 昨今の治療薬は、“毒にも薬にもなるクスリ”であることを臨床医は銘記する必要があろう。

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高齢者の降圧、要注意の45日間

お年寄りの降圧薬、飲み始めに注意高齢者では、降圧薬を新たに飲み始めてから45日間の股関節(大腿骨近位部)骨折の頻度が、それ以外の期間に比べ、1.4倍になるという報告があります。飲み始めの時期は、めまいやふらつきに注意しましょう。2股関節骨折が起こる頻度の比率11.431.00飲み始めから45日間以外飲み始めから45日間対象:カナダ・オンタリオ州住民の入院データベースで、新たに降圧薬治療を開始した患者 30万1,591例(平均年齢80.8歳、男性19.3%:女性80.8%)方法:大腿骨近位部骨折の発症頻度を2000年4月~2009年3月に調査(観察期間:投与前後450日間)。Butt DA, et al. Arch Intern Med. 2012;172:1739-1744.Copyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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早期死亡リスクが最も低い人の特徴/BMJ

 BMI値範囲が18.5~22.4で、代替健康食指数(AHEI)が高く、身体活動度が高値で、飲酒は適度、たばこは吸わない人が、最も早期死亡リスクが低いことが、米国・ワシントン大学のNicola Veronese氏らによる、医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-up Study)と看護師健康調査(Nurses’ Health Study)の男女2つの大規模な前向きコホート研究の結果、明らかにされた。また、BMIが高値でも、1つでも低リスクの生活習慣因子を有していれば早期死亡リスクは減らせることも示された。先行研究で、やせ型の人は、代謝系の健康度が高く、2型糖尿病、心血管疾患、がん、全死因死亡のリスクが低いことが示されている。一方で、複数の疫学研究のデータで、過体重および軽度肥満でも、死亡リスクは減少することが示唆されていた。BMJ誌2016年11月24日号掲載の報告。4つの生活習慣因子とBMIの組み合わせについて、死亡リスクとの関連を調査 研究グループは、4つの生活習慣因子(食事・身体活動・飲酒・喫煙)と体重の組み合わせについて、全死因死亡および疾患特異的死亡のリスクとの関連を評価する検討を行った。看護師健康調査は1980~2012年、医療従事者追跡調査は1986~2012年に行われ、32年間のフォローアップが完了。参加者はそれぞれ7万4,582例(女性)、3万9,284例(男性)であり、いずれもベースラインで心血管疾患、がんを有していなかった。 曝露因子にBMI、代替健康食指数スコア、身体活動度(時間/週)、喫煙習慣(現在喫煙有無)、飲酒量(g/日)などを含み、死亡(全死因、心血管疾患、がん)をアウトカムとして評価した。Cox比例ハザードモデルを用いて、全死因死亡、がん死、心血管死の補正後ハザード比(HR)を95%信頼区間(CI)とともに、BMI値の分類群(8群に分類、参照値群は22.5~24.9)について算出した。BMI値と死亡との関連評価では、生活習慣を考慮することが重要 32年間のフォローアップの間に、死亡は3万13例(がん死1万808例、心血管死7,189例)であった。 BMI値の4つの分類群(18.5~22.4、22.5~24.9、25.0~29.9、30.0以上)の検討において、いずれの群でも健康的な生活習慣因子が1つ以上ある人は同因子がまったくない人に比べて、全死因死亡、心血管死、がん死のリスクが有意に低かった。 また、低リスクの生活習慣因子が3つ以上ある、BMI値が18.5~22.4の人が、同因子が4つのうち1つもなく、BMI値が参照値の人と比べて、全死因死亡、がん死、心血管死のリスクがいずれも最も低かった。それぞれHR(95%CI)は、全死因死亡0.39(0.35~0.43)、がん死0.40(0.34~0.47)、心血管死0.37(0.29~0.46)であった。 結果を踏まえて著者は、「BMI値と死亡との関連の評価では、食事と生活習慣因子を考慮することが大切である」とまとめている。

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149)心筋梗塞を避ける朝晩の血圧測定【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師血圧はいつ頃、測っていますか? 患者とくには決めていません。いろいろです。 医師それなら、朝と晩に測定されるといいですよ! 患者どうして朝なんですか? 医師心筋梗塞や脳卒中は、「朝に起こりやすい」と言われています。とくに、目が覚めてから急激に血圧が上昇する「早朝高血圧」に注意が必要です。それに…。 患者それに? 医師喫煙や飲酒をされる働き盛りの人では、夜にも心筋梗塞になる人が多いそうです。 患者なるほど。血圧測定は朝と晩、それに禁煙と節酒も大切なんですね。よくわかりました。●ポイント心筋梗塞が起こりやすい時間帯を説明し、血圧測定の習慣化や生活習慣の改善を説明します1)Kinjo K, et al. Jpn Circ J. 2001;65:617-620.2)Yamasaki F, et al. Clin Exp Hypertens. 2002;24:1-9.

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PCSK9阻害薬とスタチン、効果も影響もほぼ同じ/NEJM

 PCSK9遺伝子多様体と、スタチンが標的とするHMGCR遺伝子多様体は、LDLコレステロール単位当たりの低下につき、心血管イベントリスクにはほぼ同様の低減効果を及ぼすことが、また糖尿病リスクには非常に類似した増大効果を及ぼすことが明らかにされた。また両遺伝子多様体の影響は、独立的かつ相加的であることも示された。米国・ウェイン州立大学のBrian A. Ference氏らによる遺伝子多様体スコア研究の結果で、NEJM誌2016年11月30日号で発表された。PCSK9の薬理学的阻害は、臨床試験で心血管疾患治療について評価がされている。しかし、スタチンと同様に、PCSK9阻害によるLDLコレステロール低下の心血管イベントおよび糖尿病のリスクへの影響は明らかにされていなかった。PCSK9多様体またはHMGCR多様体により低下したLDL-C値の影響を比較 研究グループは、PCSK9およびHMGCRをコードする遺伝子多様体から構成された遺伝子スコアを操作変数として用いて、14試験の被験者11万2,772例(加重年齢中央値59.9歳、心血管イベント1万4,120例、糖尿病例1万635例を含む)を無作為にPCSK9多様体スコア群とHMGCR多様体スコア群に分類した。また、LDLコレステロール値を低下するアレル数によって、被験者を分類(スコア中央値でabove群とbelow群に二分)した。 PCSK9多様体またはHMGCR多様体によって低下したLDLコレステロール値の、心血管イベントリスクおよび糖尿病リスクへの影響について比較した。心血管イベントには同様の保護効果、糖尿病リスクは同様に増大 PCSK9多様体とHMGCR多様体は、心血管イベントリスクについてほぼ同様の保護効果が認められた。PCSK9多様体によるLDLコレステロール値10mg/dL(0.26mmol/L)低下ごとの心血管イベントに関するオッズ比は0.81(95%信頼区間[CI]:0.74~0.89)で、HMGCR多様体による場合は0.81(同:0.72~0.90)であった。 また両遺伝子多様体は、糖尿病リスクについても非常に類似した影響が認められた。LDLコレステロール値10mg/dL低下ごとの糖尿病に関するオッズ比は、PCSK9多様体の場合は1.11(95%CI:1.04~1.19)、HMGCR多様体は1.13(同:1.06~1.20)であった。 糖尿病リスクの増大は、PCSK9多様体スコア群とHMGCR多様体スコア群いずれにおいても、ベースラインで空腹時血糖異常値を有した被験者に限ってみられた。同リスク増大は、心血管イベントへの保護作用に比べて小さかった。 PCSK9多様体とHMGCR多様体両者が存在する場合は、心血管イベントと糖尿病の両者のリスクについて、相加的な影響があることも確認された。

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糖尿病状態は心血管疾患リスクと関連/BMJ

 前糖尿病状態(耐糖能異常、空腹時血糖異常、HbA1c高値)は心血管疾患のリスク増加と関連しており、空腹時血糖値5.6mmol/L(=100.8mg/dL)以上またはHbA1c 39mmol/mol(NGSP 5.7%)以上で健康リスクが高まる可能性があることを、中国・第一人民病院のYuli Huang氏らが、前向きコホート研究のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。前糖尿病状態の患者は世界的に増えているが、前糖尿病状態を定義する空腹時血糖異常やHbA1cのカットオフ値はガイドラインで異なっている。また、全死因死亡および心血管イベントとの関連性に関する報告も一貫していなかった。BMJ誌2016年11月23日号掲載の報告。前向きコホート研究53件、計約160万人のメタ解析を実施 研究グループは、電子データベース(PubMed、Embase、Google Schoar)を用い、複合心血管イベント(冠動脈疾患、脳卒中、その他の心血管疾患)、冠動脈疾患、脳卒中および全死因死亡と、前糖尿病状態との関連について、補正後相対リスクおよび95%信頼区間(CI)が報告されている、一般集団での前向きコホート研究を特定し、メタ解析を行った。 適格研究の選択と評価は、研究者2人が独立して実施。前向きコホート研究53件、合計161万1,339例が解析に組み込まれた。 前糖尿病状態は、空腹時血糖異常(空腹時血糖値が米国糖尿病学会基準[IFG-ADA]で5.6~6.9mmol/L、WHO基準[IFG-WHO]で6.1~6.9mmol/L)、耐糖能異常(経口ブドウ糖負荷試験2時間値が7.8~11.0mmol/L)、またはHbA1c高値(ADA基準で39~47mmol/mol[5.7~6.4%]、英国立臨床評価研究所[NICE]ガイドラインで42~47mmol/mol[6.0~6.4%])と定義した。 主要評価項目は、全死因死亡および心血管イベントの相対リスク(95%CI)を算出して評価した。耐糖能異常、空腹時血糖異常で心血管イベントおよび全死因死亡のリスクが増加 追跡期間中央値は9.5年であった。正常血糖と比較すると、前糖尿病状態は複合心血管イベント(相対リスクはIFG-ADA基準の場合1.13、IFG-WHO基準の場合1.26、耐糖能異常1.30)、冠動脈疾患(同様にそれぞれ1.10、1.18、1.20)、脳卒中(1.06、1.17、1.20)、全死因死亡(1.13、1.13、1.32)のリスク増加と関連していた。 HbA1c高値(ADAの39~47mmol/mol、またはNICEの42~47mmol/mol)は、どちらの基準も複合心血管イベント(相対リスクはそれぞれ1.21、1.25)および冠動脈疾患(同様に1.15、1.28)のリスク増加と関連していたが、脳卒中や全死因死亡のリスクとの関連は認められなかった。 なお、著者は研究の限界として、研究のほとんどが糖尿病の発症について調整しておらず、約半数は空腹時血糖値のみを測定したものであったことなどを挙げている。

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日本人統合失調症、外来と入院でメタボ率が高いのは:新潟大

 統合失調症患者は、一般よりも平均余命が有意に短く、肥満やメタボリックシンドロームにつながる可能性のある不健全な生活習慣の問題にしばしば直面する。統合失調症患者におけるメタボリックシンドロームの構成要素である肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病の有病率を明確にする必要があるが、日本における大規模調査は不十分であったことから、新潟大学の須貝 拓朗氏らが調査を行った。PLOS ONE誌2016年11月17日号の報告。 2012年1月~2013年7月に、日本精神病院協会の外来520施設、入院247施設を対象に、アンケートを用いて、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病の有病率を大規模に調査した。統合失調症の外来患者は7,655例、入院患者は1万5,461例であった。 主な結果は以下のとおり。・外来患者は、入院患者と比較し、肥満、高血圧、高トリグリセリド血症、高LDLコレステロール血症、糖尿病の有病率が有意に高かった。・低HDLコレステロール血症の有病率は、外来患者よりも入院患者で高かった。・年齢別分析では、外来患者の肥満、高血圧、高トリグリセリド血症、高LDLコレステロール血症、糖尿病の罹患率が、入院患者の2~3倍であることが示唆された。・60歳以上の患者では、外来患者の肥満および糖尿病の有病率が、入院患者の約3倍であった。 著者らは「日本人統合失調症の外来患者は、入院患者よりも肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの身体的リスクを有する可能性が高かった。統合失調症患者の身体的リスクは、ケアの種類などの環境パラメータにより影響を受ける可能性があり、より注意する必要がある」としている。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者のMets有病率を調査:新潟大学 どのような精神疾患患者でメタボリスクが高いのか 非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か

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